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特許7391228三次元プリント用途のための水溶性ワックス状支持材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】三次元プリント用途のための水溶性ワックス状支持材料
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20231127BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231127BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20231127BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20231127BHJP
【FI】
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/112
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022541637
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021014557
(87)【国際公開番号】W WO2021150854
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/965,246
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ボー
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-081296(JP,A)
【文献】特表2002-539276(JP,A)
【文献】特表2005-519176(JP,A)
【文献】特表2016-536434(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元プリントに用いるための支持材料インクであって、
単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの反応生成物を含むウレタンワックス;および
モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物
を含む、支持材料インク。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートがジイソシアネートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の支持材料インク。
【請求項3】
前記ジイソシアネートがアルキル-ジイソシアネートであることを特徴とする、請求項2に記載の支持材料インク。
【請求項4】
前記反応生成物が以下の式:
【化1】
のものであり、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、mおよびnは、6~20から独立して選択される整数であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項5】
前記ウレタンワックスが、前記支持材料インクの30~55質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項6】
前記モノマー硬化性材料が、1つまたは複数の単官能性種を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項7】
前記単官能性種は、1つまたは複数の極性部分を含むことを特徴とする、請求項に記載の支持材料インク。
【請求項8】
前記モノマー硬化性材料が、1種以上のアクリレートまたはアクリレート誘導体を含むことを特徴とする、請求項7に記載の支持材料インク。
【請求項9】
前記モノマー硬化性材料が、アクリロイルモルホリンを含むことを特徴とする、請求項7に記載の支持材料インク。
【請求項10】
前記モノマー硬化性材料が、前記支持材料インクの40~65質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項11】
光開始剤、抑制剤、安定剤、増感剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項12】
前記支持材料インクが、硬化されると、35℃で100gの水に少なくとも5gの水溶性を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項13】
前記水溶性が、35℃で100gの水に5g~100gであることを特徴とする、請求項12に記載の支持材料インク。
【請求項14】
前記支持材料インクが、硬化されると、80~110のショアA硬度を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の支持材料インク。
【請求項15】
三次元物品をプリントする方法であって、
支持材料インクの層を堆積させる工程;
前記支持材料インクの堆積層を硬化させる工程であって、前記支持材料インクは、請求項1~14のいずれか一項に記載のインクを含む、工程;および
前記硬化した支持材料インク上に造形材料インクを堆積させる工程
を含む、方法。
【請求項16】
前記硬化した支持材料インクを水で溶解する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2020年1月24日出願の米国仮特許出願第62/965,246号に対する特許協力条約の第8条に従う優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、三次元プリント用途のための支持材料に関し、特にワックス成分を含む水溶性支持材料に関する。
【背景技術】
【0003】
米国サウスカロライナ州ロックヒル所在の3D Systemsが製造するProJet(登録商標)3Dプリンタなどのいくつかの市販の3Dプリンタまたは付加製造システムは、ヘッドを通じて液体として噴射されて、さまざまな3D物体、物品、または部品を形成する造形材料および支持材料を含むインクを使用する。他の3Dプリントシステムもまた、プリントヘッドを通じて噴射される、あるいは、その他の方法で基材上に分配される、インクを使用する。いくつかの事例では、インクは周囲温度で固体であり、高い噴射温度で液体へと変化する。このような相変化材料としては、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、および脂肪アミドワックスなどのさまざまなワックス混合物を含む支持材料が挙げられる。これらの支持材料は、一般に水溶性ではなく、加熱によりおよび/またはホット・イソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒を用いてプリント物品から除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この除去プロセスは、造形材料を弱め、完成した三次元物品の機械的特性を損なうという重大な欠点を有する。機械的性質が弱められることにより、完成した三次元物品がその意図される用途に不適切なものになる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスが本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、ウレタンワックスを他の成分と組み合わせて、三次元プリント用途で使用するための支持材料インクを提供する。支持材料インクは、例えば、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスを含む。支持材料インクは、いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはそれらの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、支持材料インクは、硬化されると水溶性を示し、それによって、三次元プリント物品のプリント後処理を促進する。
【0006】
別の態様では、三次元物品をプリントする方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、方法は、支持材料インクの1つまたは複数の層を堆積させる工程、支持材料インクの堆積された層を硬化させる工程、および硬化された支持材料インク上に造形材料インクを堆積させる工程を含む。支持材料インクは、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物と、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスとを含む。
【0007】
これらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載される実施形態は、以下の詳細な説明および実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載される要素、装置および方法は、詳細な説明および実施例に提示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は本開示の原理の単なる例示であることが認識されるべきである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および適合が、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0009】
加えて、本開示の範囲はすべて、その中に含まれる任意および全ての部分的範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」と記載される範囲は、例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9など、1.0以上の最小値から開始して10.0以下の最大値で終わる、任意かつ全ての部分的範囲を含むとみなされるべきである。同様に、「1~10」と記載される範囲は、1以上の最小値から開始して10以下の最大値で終わる、任意かつ全ての部分的範囲、例えば、1~5、または4~10、または3~7、または5~8を含むとみなされるべきである。
【0010】
本明細書に開示されるすべての範囲はまた、特に明記されない限り、その範囲の端点も含むとみなされるべきである。例えば、「5と10との間」、「5から10まで」、または「5~10」の範囲は、一般に、5および10の端点を含むとみなされるべきである。
【0011】
さらには、語句「最大で/最長で」が数量または分量と共に用いられる場合、その量は、少なくとも検出可能な数量または分量であることが理解されるべきである。例えば、「最大で」指定された量までの量で存在する材料は、検出可能な量から、その指定された量を含めて、最大でその指定された量まで、存在しうる。
【0012】
「三次元プリントシステム」、「三次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、概して、光造形、選択的堆積、噴射、熱溶解積層法、マルチジェットモデリング、および、造形用の材料またはインクを使用して三次元物体を製作する、当技術分野で知られているまたは将来知られるであろう他の付加製造技術によって、三次元の物品または物体を製造するためのさまざまな固体自由形状製作技法について記載するものである。
【0013】
I.ウレタンワックス
一態様において、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスが本明細書に記載されている。本明細書に記載の技術的目的と矛盾しない任意の単官能性ポリエチレンオキシドを使用することができる。いくつかの実施形態において、単官能性ポリエチレンオキシドは、CARBOWAX(商標)の商品名でダウケミカル社から市販されている。例えば、単官能性ポリエチレンオキシドは、いくつかの実施形態では、CARBOWAX(商標)MPEG 350、CARBOWAX(商標)MPEG 550、CARBOWAX(商標)750、またはこれらの混合物であり得る。
【0014】
さらに、本明細書に記載の技術的目的と矛盾しない任意のポリイソシアネートを反応生成物に用いることができる。いくつかの実施形態では、ポリイソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアナートまたはそれらの混合物を含む。例えば、ジイソシアネートは、いくつかの実施形態において、アルキル-ジイソシアネート、例えばヘキサンジイソシアネート(HDI)またはトリメチルヘキサンジイソシアネート(TMHDI)を含み得る。
【0015】
反応生成物の具体的な式は、単官能性ポリエチレンオキシドおよびポリイソシアネートの同一性に依存する。いくつかの実施形態では、反応生成物は、全てまたは実質的に全てのイソシアネート基が反応するように、化学量論的当量の単官能性ポリエチレンオキシドおよび多官能性イソシアネートを含む。反応生成物は、いくつかの実施形態では、以下の式のものである:
【化1】
式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、mおよびnは、6~20から独立して選択される整数である。いくつかの実施の形態では、RはC-C20アルキルである。さらに、mおよびnは、反応生成物を形成する際に使用される反応物に応じて等しくても等しくなくてもよい。
【0016】
II.支持材料インク
別の態様では、三次元プリント用途のための支持材料インクが、本明細書に記載されている。支持材料インクは、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスを含む。ウレタンワックスの反応生成物は、上記のセクションIに記載の任意の組成および/または特性を有することができる。さらに、ウレタンワックスは、支持インク組成物中に任意の所望の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、ウレタンワックスの量は、硬化支持材料インクの所望の機械的および/または水溶性特性を含むが、それらに限定されない、いくつかの考慮事項に従って選択される。ウレタンワックスは、いくつかの実施形態では、支持材料インクの30~55質量パーセントまたは35~45質量パーセントの量で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、支持材料インクは、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはそれらの混合物をさらに含む。本明細書に記載の技術的目的と矛盾しない任意のモノマー硬化性材料および/またはオリゴマー材料を、支持材料インク組成物に用いることができる。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料および/またはオリゴマー硬化性材料は、本明細書でさらに論じる硬化した支持インクの水溶性特性に従って選択される。いくつかの実施形態では、例えば、モノマー硬化性材料および/またはオリゴマー硬化性材料は、硬化した支持材料インクの所望の水溶性特性を達成するための1つまたは複数の極性部分または親水性部分を含む種を含んでもよい。いくつかの実施形態では、モノマーおよび/またはオリゴマー硬化性材料は、単官能性アクリレート、多官能性アクリレート、および/またはアクリレート誘導体、例えばアクリロイルモルホリンおよび関連種を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の種のアクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを含む。
【0018】
硬化性材料には、ここでは参照の目的で、1つ以上の硬化可能なまたは重合可能な部分を含む化学種が含まれる。「重合可能な部分」には、ここでは参照の目的で、3D物品または物体のプリントにおいて重合または硬化できる部分が含まれる。このような重合または硬化は、本開示の目的と矛盾しない任意の方式で行うことができる。いくつかの実施形態では、例えば、重合または硬化には、重合性または硬化性材料に、重合または架橋反応を開始するのに十分なエネルギーを有する電磁放射線を照射することが含まれる。例えば、いくつかの事例では、紫外線(UV)照射を使用することができる。よって、いくつかの事例では、重合可能な部分には、UV重合可能な部分など、光重合性または光硬化性の部分が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される硬化性材料は、約300nm~約420nm、または約320nm~約410nmの範囲の波長において、光重合性または光硬化性である。あるいは、他の事例では、硬化性材料は、電磁スペクトルの可視波長において光重合性である。
【0019】
さらには、重合反応には、いくつかの事例では、エチレン性不飽和の位置(points)を含めた不飽和の位置間のものなど、フリーラジカル重合反応が含まれる。他の重合反応も使用することができる。当業者に理解されるように、本明細書に記載される硬化性材料の重合または硬化に用いられる重合反応には、互いに反応して1つ以上の共有結合を形成することができる1つ以上の官能基または官能性部分を有する複数の「モノマー」または化学種の反応が含まれうる。
【0020】
本明細書に記載される硬化性材料の重合可能な部分の非限定的な例の1つは、ビニル部分、アリル部分、または(メタ)アクリレート部分などのエチレン性不飽和部分であり、ここで、用語「(メタ)アクリレート」には、本開示を通して、アクリレートまたはメタクリレート、もしくはそれらの混合物または組合せが含まれる。
【0021】
加えて、本明細書に記載されるモノマー硬化性材料および/またはオリゴマー硬化性材料は、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、またはより高次の官能性の硬化性種を含みうる。「単官能性」の硬化性種には、ここでは参照の目的で、1つの硬化可能または重合可能な部分を含む化学種が含まれる。同様に、「二官能性」の硬化性種には、2つの硬化可能なまたは重合可能な部分を含む化学種が含まれ;「三官能性」の硬化性種には、3つの硬化可能なまたは重合可能な部分を含む化学種が含まれ;「四官能性」の硬化性種には、4つの硬化可能なまたは重合可能な部分を含む化学種が含まれ;「五官能性」の硬化性種には、5つの硬化可能なまたは重合可能な部分を含む化学種が含まれる。よって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるインクの単官能性硬化性材料はモノ(メタ)アクリレートまたはアクリロイルモルホリンを含み、本明細書に記載されるインクの二官能性の硬化性材料はジ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載されるインクの三官能性の硬化性材料はトリ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載されるインクの四官能性の硬化性材料はテトラ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載されるインクの五官能性の硬化性材料はペンタ(メタ)アクリレートを含む。他の単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、および五官能性の硬化性材料も使用することができる。
【0022】
本開示の目的と矛盾しない任意のモノマー硬化性材料またはモノマー硬化性材料の組合せを、支持材料インク組成物中のウレタンワックスと共に用いることができる。本明細書に記載されるように、モノマー硬化性材料の種は、硬化した支持材料インクの所望の水溶性を達成するために、1つまたは複数の極性または親水性部分を含んでもよい。いくつかの場合において、本明細書に記載される支持材料インクのモノマー硬化性材料は、1つ以上の単官能、二官能、三官能、四官能(メタ)アクリレート、および/または五官能(メタ)アクリレートなど、1種類以上のアクリレート、(メタ)アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、例えば、硬化性モノマー材料は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、硬化性モノマー材料は、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールジアクリレートのうちの1つ以上を含む。加えて、いくつかの事例では、硬化性モノマー材料は、1,3-または1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンまたはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またはビスフェノールSを含めた、脂肪族、脂環式または芳香族のジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステルを含む。本明細書に記載される硬化性モノマー材料には、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、および/またはビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレートも含まれうる。さらには、いくつかの事例では、硬化性モノマー材料は、エトキシル化またはプロポキシル化されたネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールF、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化された1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、またはエトキシル化またはプロポキシル化されたグリセロールトリ(メタ)アクリレートなどのエトキシル化またはプロポキシル化された種を含みうる。いくつかの場合には、モノマー硬化性材料は、脂環式エポキシを含む。
【0023】
本開示の目的と矛盾しない任意のオリゴマー硬化性材料またはオリゴマー硬化性材料の組合せを、支持材料インク組成物中のウレタンワックスと共に用いることができる。本明細書に記載されるように、オリゴマー硬化性材料の種は、硬化した支持材料インクの所望の水溶性を達成するために、1つ以上の極性または親水性部分を含んでもよい。
【0024】
いくつかの場合において、硬化性オリゴマー材料は、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、またはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。さらには、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される硬化性オリゴマー材料は、脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー、および/または、EBECRYL7100などのアクリレートアミンオリゴマー樹脂を含む。いくつかの事例では、本明細書に記載される硬化性オリゴマー材料は、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、硬化性オリゴマー材料は、単官能性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含む。さらには、いくつかの事例では、硬化性オリゴマー材料は、ポリエチレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化されたネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールF、エトキシル化またはプロポキシル化されたビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化された1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、またはエトキシル化またはプロポキシル化されたグリセロールトリ(メタ)アクリレートを含めた、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステルを含む。オリゴマー材料はまた、脂環式エポキシを含んでもよい。
【0025】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において有用な市販の硬化性オリゴマー材料のいくつかの非限定的な例としては、次のものが挙げられる:SR611という商品名でSARTOMER社から市販される、アルコキシル化されたテトラヒドロフルフリルアクリレート;GENOMER1122という商品名でRAHN USA社から市販される、単官能性ウレタンアクリレート;EBECRYL8402という商品名でALLNEX社から市販される、脂肪族ウレタンジアクリレート;BR-952という商品名でDYMAX社から市販される、多官能性アクリレートオリゴマー;および、BR-371Sという商品名でDYMAX社から市販される、脂肪族ポリエーテルウレタンアクリレート。他の市販の硬化性オリゴマー材料も使用することができる。
【0026】
モノマー硬化性材料またはオリゴマー硬化性材料は、支持材料インク組成物中に任意の所望の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料またはオリゴマー硬化性材料の量は、硬化した支持材料の所望の機械的および/または水溶性特性を含むがこれらに限定されない、いくつかの考慮事項に従って選択される。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料またはオリゴマー硬化性材料は、支持材料インクの40~65質量パーセントの量で存在する。
【0027】
モノマー硬化性材料およびオリゴマー硬化性材料の混合物もまた、支持材料インク中にウレタンワックスと共に存在することができる。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料とオリゴマー硬化性材料との混合物は、支持材料インクの40~65質量パーセントの量で存在する。モノマー硬化性材料対オリゴマー硬化性材料の任意の所望の比を支持材料インクに用いることができる。モノマー硬化性材料対オリゴマー硬化性材料の比は、硬化した支持材料インクの所望の機械的および/または水溶性特性を含むがこれらに限定されない、いくつかの考慮事項に従って選択することができる。
【0028】
本明細書に記載されるインクはまた、1つ以上の光開始剤を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を、本明細書に記載のインクに使用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、光開始剤は、約250nm~約420nmまたは約300nm~約410nmの光を吸収してフリーラジカルを生成するように動作可能な、アルファ開裂型(単分子分解プロセス)光開始剤または水素引き抜き型光増感剤-第三級アミン相乗剤を含む。アルファ開裂型の光開始剤の例は、Irgacure184(CAS947-19-3)、Irgacure369(CAS119313-12-1)、およびIrgacure819(CAS162881-26-7)である。光増感剤-アミンの組合せの例は、ジエチルアミノエチルメタクリレートと共に用いるDarocur BP(CAS119-61-9)である。
【0029】
加えて、いくつかの事例では、光開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンゾインイソプロピフェニルエーテルおよび酢酸ベンゾインを含むベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシアセトフェノンおよび1,1-ジクロロアセトフェノンを含むアセトフェノン類;ベンジル;ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;トリフェニルホスフィン;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO)などのベンゾイルホスフィンオキシド類;ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;チオキサントン類およびキサントン類;アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体または1-フェニル-1,2-プロパンジオン、2-O-ベンゾイルオキシム、1-アミノフェニルケトン類;若しくは、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンおよび4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンなどの1-ヒドロキシフェニルケトン類が挙げられる。
【0030】
光開始剤はまた、アセトフェノン類、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン類、並びに、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(すなわち、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)などの1-ヒドロキシフェニルケトン類を含む、HeCdレーザ放射源と共に使用するように動作可能な光開始剤も含む。加えて、いくつかの事例では、除外されるまたは実質的に除外される光開始剤は、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタールを含む、Arレーザ放射源と共に使用するように動作可能な光開始剤を含む。いくつかの実施形態では、適切な光開始剤としては、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
本明細書に記載されるインクに含まれうる光開始剤の別の種類として、化学線を吸収し、重合開始のためのフリーラジカルを生成することができるイオン性染料-対イオン化合物が挙げられる。いくつかのイオン性染料-対イオン化合物およびそれらの動作モードは、欧州特許出願公開第0223587号、並びに、米国特許第4,751,102号;同第4,772,530号;および、同第4,772,541号の各明細書に開示されている。本明細書に記載の光開始剤はまた、トリフェニルスルホニウム光開始剤などのカチオン性光開始剤であってもよい。
【0032】
光開始剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載の支持材料インク中に存在することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、インクの総重量に基づいて、最大約5質量%、最大約4質量%、または最大約3質量%の量でインク中に存在する。いくつかの場合において、光開始剤は、約0.1~5質量%、0.1~4質量%、0.1~3.5質量%、0.1~2質量%、0.5~5質量%、0.5~4質量%、0.5~3.5質量%、1~5質量%、1~4質量%、1~3.5質量%、2~5質量%、または2~4質量%の量で存在する。
【0033】
本明細書に記載される支持材料インクの可能な追加の成分に目を向けると、本明細書に記載されるインクは、1つ以上の光増感剤をさらに含むことができる。概して、このような増感剤は、存在しうる1つ以上の光開始剤の有効性を高めるために、インクに加えることができる。いくつかの場合において、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)または2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0034】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で支持材料インク中に存在することができる。いくつかの実施形態では、増感剤は、支持材料インクの総重量に基づいて、約0.1質量%~約2質量%または約0.5質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。しかしながら、他の場合には、本明細書に記載されるインクは、上述のような増感剤を除外する。
【0035】
本明細書に記載される支持材料インクの別の可能な成分に目を向けると、本明細書に記載されるインクはまた、少なくとも1つの着色剤を含むことができる。本明細書に記載されるそのようなインクの着色剤は、微粒子顔料などの微粒子着色剤、または分子染料などの分子着色剤でありうる。本開示の目的と矛盾しない、このような任意の微粒子または分子着色剤を使用することができる。いくつかの事例では、例えば、インクの着色剤は、TiOおよび/またはZnOなどの無機顔料を含む。いくつかの実施形態では、インクの着色剤は、RGB、sRGB、CMY、CMYK、L*a*b*、またはPantone(登録商標)カラー化スキームに使用するための着色剤を含む。さらには、いくつかの事例では、本明細書に記載される微粒子着色剤は、約5μm未満、または約1μm未満の平均粒径を有する。いくつかの事例では、本明細書に記載される微粒子着色剤は、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、または約150nm未満の平均粒径など、約500nm未満の平均粒径を有する。いくつかの事例では、微粒子着色剤は、約50~5000nm、約50~1000nm、または約50~500nmの平均粒径を有する。
【0036】
着色剤は、本明細書に記載されるインク中に、本開示の目的と矛盾しない任意の量で存在しうる。いくつかの事例では、着色剤は、支持材料インクの総重量に基づいて、最大で約2質量%まで量、または約0.005~2質量%、0.01~2質量%、0.01~1.5質量%、0.01~1質量%、0.01~0.5質量%、0.1~2質量%、0.1~1質量%、0.1~0.5質量%、または0.5~1.5質量%の量で、インク中に存在する。
【0037】
さらには、本明細書に記載される支持材料インクは、いくつかの実施形態では、1つ以上の重合抑制剤および/または安定剤をさらに含む。重合抑制剤は、組成物にさらなる熱安定性をもたらすために、インクに添加されうる。本開示の目的と矛盾しない任意の重合抑制剤を使用することができる。さらには、重合抑制剤は、重合の速度を遅らせるまたは低下させることができる、および/または、ある期間、または重合抑制剤が消費されるまでの「誘導時間」の間、重合が発生するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、例えば、重合抑制剤は、ドイツのノイス所在のFujiFilm Wako Chemicals Europe GmbHから市販されているQ-1301などのニトロソアミン抑制剤を含む。さらに、いくつかの事例では、本明細書に記載される重合抑制剤は、「付加型」の抑制剤である。本明細書に記載される抑制剤はまた、「連鎖移動型」の抑制剤であってもよい。いくつかの事例では、適切な重合抑制剤は、メトキシヒドロキノン(MEHQ)を含む。
【0038】
安定剤は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の抗酸化剤を含む。安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の抗酸化剤を含みうる。いくつかの事例では、適切な抗酸化剤としては、本明細書に記載されるいくつかの実施形態において重合抑制剤としても使用可能な、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含めた、さまざまなアリール化合物が挙げられる。より一般的には、単一の種が、安定剤と重合抑制剤の両方の役割を果たすことができる。いくつかの事例では、異なる抑制剤および/または安定剤が、異なる効果をもたらす、および/または、相乗的に作用する、複数の抑制剤および/または安定剤を使用することも可能である。
【0039】
重合抑制剤および/または安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、支持材料インク中に存在しうる。いくつかの実施形態では、重合抑制剤は、約0.01質量%~約2質量%、または約0.05質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。同様に、いくつかの事例では、安定剤は、インクの総重量に基づいて、約0.1質量%~約5質量%、約0.5質量%~約4質量%、または約1質量%~約3質量%の範囲の量で、インク中に存在する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される支持材料インクは、1つ以上の表面張力調整剤または添加剤をさらに含む。表面張力調整剤または添加剤は、いくつかの実施形態では、表面張力を低減し、湿潤を促進することができる。好適な表面張力調整剤としては、修飾ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン含有化合物が挙げられる。表面張力調整剤は、いくつかの実施形態では、BYK Additives & Instrumentsから市販されているBYK-307を含む。表面張力調整剤または添加剤は、概して、支持材料インクの総重量に基づいて0.1質量%~1質量%の量で存在することができる。
【0041】
本明細書に記載の支持材料インクは、いくつかの実施形態では、80℃で9~12センチポアズ(cp)の粘度を示す。
【0042】
本明細書に記載される支持材料インクはまた、適切な波長の放射線または他のエネルギー源への曝露によって硬化されると、さまざまな望ましい特性を示すことができる。いくつかの実施形態では、支持材料インクは、硬化されると、35℃で100gの水に少なくとも5gの水溶性を有する。硬化された支持材料インクはまた、表1から選択された値を有する水溶性を示すことができる。
【表1】
【0043】
硬化した支持インク材料の水溶性は、プリント物品の機械的特性を損なうまたは弱めることなく、三次元プリント物品の後処理を容易にすることができる。本明細書に記載されるように、従来の支持インク材料は、硬化される際、後処理において造形材料から除去するためにアルコール溶媒を必要とする。アルコール溶媒は、プリント物品の1つ以上の機械的特性を実質的に弱めうる。本明細書に記載される水溶性の硬化した支持インク材料は、除去のためのそのような溶媒の使用を不要にし、それによって、造形材料および完成したプリント物品の機械的および構造的完全性を維持する。
【0044】
本明細書に記載される支持材料インクはまた、硬化されると望ましい機械的特性を示すことができる。いくつかの実施形態では、硬化した支持材料インクは、950~1050MPaの曲げ弾性率および9~11MPaの曲げ応力を有する。硬化した支持材料インクはまた、90~110のショアA硬度を示し得る。
【0045】
III.三次元物品をプリントする方法
別の態様では、三次元物品をプリントする方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、方法は、支持材料インクの1つまたは複数の層を堆積させる工程、支持材料インクの堆積された層を硬化させる工程、および硬化された支持材料インク上に造形材料インクを堆積させる工程を含む。支持材料インクは、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物と、単官能性ポリエチレンオキシドとポリイソシアネートとの間の反応生成物を含むウレタンワックスとを含む。支持材料インクは、上記のセクションIIに記載される任意の組成および/または特性を有することができる。この方法は、支持材料を水に溶解することによって、プリント物品の造形材料を支持材料から分離する工程をさらに含む。
【0046】
いくつかの例では、本明細書に記載の支持材料インクおよび造形材料インクは、流体状態で、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基板上に選択的に堆積される。選択的堆積は、例えば、事前に選択されたCADパラメータに従ってインクを堆積させることを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プリントされる所望の3D物品に対応するCADファイル図面が生成され、充分な数の水平スライスにスライスされる。次いで、所望の3D物品をプリントするために、CADファイル図面の水平スライスに従って、支持インクおよび/または造形インクが層ごとに選択的に堆積される。水平スライスの「充分な」数は、例えば所望の3D物品を正確かつ精密に製造するための、所望の3D物品のプリントの成功に必要な数である。
【0047】
さらには、いくつかの実施形態では、予め選択された量の本明細書に記載される支持材料インクおよび/または造形材料インクは、適切な温度へと加熱され、適切なインクジェットプリンタの1つまたは複数のプリントヘッドを通じて噴射されて、プリントチャンバ内のプリントパッド上に層を形成する。いくつかの事例では、インクの各層は、予め選択されたCADパラメータに従って堆積される。インクの堆積に適したプリントヘッドは、いくつかの実施形態では、圧電式プリントヘッドである。本明細書に記載されるインクおよび支持材の堆積に適したさらなるプリントヘッドは、さまざまなインクジェットプリンティング装置製造業者から市販されている。例えば、いくつかの事例では、Xerox、Hewlett Packard、またはRicohのプリントヘッドを使用することができる。
【0048】
本明細書に記載の方法で使用される造形材料は、上記のセクションIIに記載の硬化した支持材料インクとの適合性を示す任意の造形材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、好適な造形材料は、硬化した支持材料インクから分離しない。さらに、適切な造形材料は水溶性を示さず、硬化した支持材料インクが水への曝露によって除去される後処理操作に造形材料を適合させる。いくつかの実施形態では、造形材料はワックスまたはワックス系である。ワックスまたはワックス系造形材料は、非極性ワックス、極性ワックス、またはそれらの混合物を含んでもよい。造形材料の非極性ワックスは、いくつかの実施形態では、パラフィン系ワックス、ポリオレフィンワックス、またはそれらの混合物を含む。さらに、造形材料の極性ワックスは、一価アルコールワックスを含む、1つまたは複数のカルボン酸ワックスおよび/またはアルコールワックスを含むことができる。ワックス状造形材料はまた、1つまたは複数のロジンエステルを含んでもよい。
【0049】
これらおよび他の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに例証される。
【実施例
【0050】
実施例1-支持材料インク
表IIの組成パラメータを有する支持材料インクを調製した。
【表2】
【0051】
表IIにおける質量パーセント値は近似値であり、したがって、合計して100質量パーセントをわずかに下回るまたはわずかに上回りうる。ウレタンワックス1は、スズ触媒の存在下でのCARBOWAX(商標)MPEG 350とHDIとの反応生成物であった。ウレタンワックス2は、スズ触媒の存在下でのCARBOWAX(商標)MPEG 550とHDIとの反応生成物であった。さらに、ウレタンワックス3は、スズ触媒の存在下でのCARBOWAX(商標)MPEG 750とHDIとの反応生成物であった。さらに、ウレタンワックス4は、スズ触媒の存在下でのCARBOWAX(商標)MPEG 550とトリメチルヘキサンジイソシアネート(TMHDI)との反応生成物であった。モノマー硬化性材料は、各支持材料インクにについてアクリロイルモルホリンであり、光開始剤は、Irgacure 819であった。Q-1301およびBHTの重合抑制剤を混合物中で使用した。
【0052】
支持材料インク2および3を、水溶性試験のためにUV硬化させた。支持材料インク2は、硬化されると、35℃の水100g中で46g超の水溶性限界を示した。支持材料インク3は、硬化されると、35℃の水100g中で45g超の水溶性限界を示した。
【0053】
支持材料インク2および3の試験片を、米国サウスカロライナ州ロックヒル所在の3D Systemsから市販されるProjet(登録商標)MJP 2500プリンタ上でプリントした。プリントされた試験片を曲げ強度および硬度について試験した。結果を表3に示す。
【表3】
【0054】
本発明のさまざまな実施形態が、本発明のさまざまな目的の達成に関して説明されている。これらの実施形態は本発明の原理を単に例証していることが認識されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それらの数多くの修正および適合は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。