(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】車載カメラユニット及び車載カメラユニットインナーミラー複合体
(51)【国際特許分類】
B60R 11/04 20060101AFI20231127BHJP
B60R 1/12 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B60R11/04
B60R1/12 Z
(21)【出願番号】P 2022554979
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037681
(87)【国際公開番号】W WO2022074704
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】煤孫 雄城
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171137(JP,A)
【文献】特開2012-166615(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146093(WO,A1)
【文献】特開2009-271757(JP,A)
【文献】特開2003-048491(JP,A)
【文献】特開2016-016830(JP,A)
【文献】特開2019-172191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/04
B60R 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラと、
前記車載カメラが移動するように、当該車載カメラを保持するカメラ保持部と、を備え、
前記カメラ保持部は、
前記車載カメラに力が加わった場合、当該力によって前記車載カメラが移動する方向とは反対の方向に前記車載カメラを付勢する付勢部材を有し、
前記車載カメラを回動可能に保持する回動軸部をさらに有することにより、前記車載カメラを移動可能に保持し、
前記付勢部材は、
前記回動軸部の回動軸を中心に前記車載カメラを回動させる力が前記車載カメラに加わった場合、当該力によって前記車載カメラが回動する方向とは反対の方向に前記車載カメラを付勢
し、
前記回動軸部は、前記回動軸を中心とした回動面とは異なる面において前記車載カメラがさらに回動可能であるように前記車載カメラを保持し、
前記カメラ保持部は、前記異なる面において前記車載カメラを回動させる力が前記車載カメラに加わった場合、当該力によって前記車載カメラが回動する方向とは反対の方向に前記車載カメラを付勢する別の付勢部材をさらに有し、
前記別の付勢部材は、前記回動軸部の周囲に巻かれると共に、前記回動軸部の先端に設けられる固定部と前記車載カメラとの間に挟まれており、前記異なる面において前記車載カメラを回動させる力が前記車載カメラに加わって、当該車載カメラが回動した場合、前記固定部と前記車載カメラとの間の距離が短くなることで収縮する
ことを特徴とする車載カメラユニット。
【請求項2】
前記カメラ保持部は、前記付勢部材による付勢によって回動した車載カメラを制動する制動部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラユニット。
【請求項3】
前記車載カメラは、一方の幅が前記回動軸部の直径と同等であり且つ他方の幅が前記回動軸部の直径よりも長い貫通孔を有し、
前記回動軸部は、前記貫通孔を貫通していることにより、前記回動軸を中心とした回動面において前記車載カメラが回動可能であり且つ前記回動軸を中心とした回動面とは異なる面において前記車載カメラがさらに回動可能であるように前記車載カメラを保持していることを特徴とする、
請求項1に記載の車載カメラユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の車載カメラユニットと、
車両のインナーミラーと、
前記インナーミラーの背後において前記インナーミラーを前記車両に固定するインナーミラー固定部と、を備え、
前記車載カメラは、レンズを有し、
前記カメラ保持部は、前記車載カメラの前記レンズの位置が前記車両の室内を撮影可能な位置となるように、前記インナーミラーの背後において前記インナーミラー固定部に固定されていることを特徴とする、車載カメラユニットインナーミラー複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載カメラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両の乗員をモニタリングする技術では、車両の室内にカメラが設置される。
例えば、特許文献1には、車両のフロントガラスに設置されたドライブレコーダが記載されている。当該ドライブレコーダは、カメラ部、及び本体部を備え、当該カメラ部は、撮影する方向を変更可能なように、当該本体部に回動可能に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の室内に設置された車載カメラは、車両の室内で突出していることがあるため、乗員が車載カメラに接触してしまう可能性がある。乗員が車載カメラに接触した場合、車載カメラに衝撃が加わり、例えば、車載カメラが破損する等の問題が生じる。例えば、上述の特許文献1の技術では、乗員による車載カメラへの接触は、考慮されていないため、当該問題を解決できない。
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、車載カメラに加わる衝撃を軽減させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る車載カメラは、車載カメラと、車載カメラが移動するように、当該車載カメラを保持するカメラ保持部と、を備え、カメラ保持部は、車載カメラに力が加わった場合、当該力によって車載カメラが移動する方向とは反対の方向に車載カメラを付勢する付勢部材を有し、車載カメラを回動可能に保持する回動軸部をさらに有することにより、車載カメラを移動可能に保持し、付勢部材は、回動軸部の回動軸を中心に車載カメラを回動させる力が車載カメラに加わった場合、当該力によって車載カメラが回動する方向とは反対の方向に車載カメラを付勢し、回動軸部は、回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラがさらに回動可能であるように車載カメラを保持し、カメラ保持部は、異なる面において車載カメラを回動させる力が車載カメラに加わった場合、当該力によって車載カメラが回動する方向とは反対の方向に車載カメラを付勢する別の付勢部材をさらに有し、別の付勢部材は、回動軸部の周囲に巻かれると共に、回動軸部の先端に設けられる固定部と車載カメラとの間に挟まれており、異なる面において車載カメラを回動させる力が車載カメラに加わって、当該車載カメラが回動した場合、固定部と車載カメラとの間の距離が短くなることで収縮する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、車載カメラに加わる衝撃を軽減させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る車載カメラユニットを備えている車載カメラユニットインナーミラー複合体の正面図を示す。
【
図2】実施の形態1に係る車載カメラユニット1を備えている車載カメラユニットインナーミラー複合体100の側面図を示す。
【
図3】実施の形態1に係る車載カメラが撮影した車両の室内の例を示す図である。
【
図4】
図4Aは、実施の形態1に係る車載カメラユニットの正面図を示す。
図4Bは、実施の形態1に係る車載カメラユニットの側面図を示す。
図4Cは、実施の形態1に係る車載カメラユニットの部分断面図を示す。
【
図5】実施の形態1に係る車載カメラユニットの動作の具体例を説明するための車載カメラユニットインナーミラー複合体の正面図及び側面図である。
【
図6】
図6Aは、実施の形態1に係る車載カメラユニットの動作の具体例を説明するための車載カメラユニットの正面図である。
図6Bは、実施の形態1に係る車載カメラユニットの動作の具体例を説明するための車載カメラユニットの側面図である。
【
図7】実施の形態1に係る車載カメラユニットの動作の具体例を説明するための車載カメラユニットの正面図である。
【
図8】実施の形態1に係る車載カメラユニットが奏する効果の具体例を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係る車内監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】撮影画像における車両の室内の構造物の具体例を示す。
【
図11】実施の形態2に係る車内監視装置による車内監視方法を示すフローチャートである。
【
図12】
図12Aは、実施の形態2に係る車内監視装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図12Bは、実施の形態2に係る車内監視装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示をより詳細に説明するため、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1を備えている車載カメラユニットインナーミラー複合体100の正面図を示す。
図2は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1を備えている車載カメラユニットインナーミラー複合体100の側面図を示す。
【0009】
図1及び
図2が示すように、車載カメラユニットインナーミラー複合体100は、インナーミラー固定部2、車両101のインナーミラー3、及び車載カメラユニット1を備えている。なお、実施の形態1では、車載カメラユニットインナーミラー複合体100が車載カメラユニット1を備えている構成について説明するが、車載カメラユニット1が設置される箇所は、車内であれば、特に限定されない。例えば、車載カメラユニット1は、フロントガラス、インストルメントパネル、ダッシュボード、又はオーバーヘッドコンソール等に設置されてもよい。
【0010】
なお、実施の形態1では、上記のように、インナーミラー3と車載カメラユニット1とは、別体構造としている。インナーミラー3と車載カメラユニット1とを一体構造にした場合、車両101の運転手が自身の体格又は座席位置に合わせてインナーミラー3に対して角度調整を行った場合に、車載カメラユニット1の位置又は角度も同時に動くことで、車載カメラユニット1の撮影範囲も動いてしまうという問題がある。そのため、予め車載カメラユニット1の画角を広くとったり、車載カメラユニット1が動くことを前提としたセンシング機能を追加したりする必要があり、開発負荷の増大又は製品コストアップにつながることから、実施の形態1では、インナーミラー3と車載カメラユニット1とは別体構造としている。
【0011】
インナーミラー固定部2は、インナーミラー3の背後においてインナーミラー3を車両101に固定する。なお、ここにおけるインナーミラー3の背後は、インナーミラー3における鏡面とは反対の面側を意味する。
【0012】
車載カメラユニット1は、車載カメラ10、及びカメラ保持部11を備えている。車載カメラ10は、レンズ12を有する。実施の形態1では、車載カメラ10における乗員が接触する可能性がある部分は、乗員に対する衝撃を軽減するために、R形状を有している。
【0013】
車載カメラユニット1のカメラ保持部11は、車載カメラ10を移動可能に保持する。なお、カメラ保持部11による車載カメラ10を移動可能に保持する構成の詳細については後述する。また、車載カメラユニット1のカメラ保持部11は、車載カメラ10のレンズ12の位置が車両101の室内を撮影可能な位置となるように、インナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定されている。より具体的には、カメラ保持部11は、車載カメラ10のレンズ12の位置が車両101の室内における運転手席、助手席又は後部座席のうちの少なくとも1つの席を撮影可能な位置となるように、インナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定されている。
【0014】
より詳細には、実施の形態1では、カメラ保持部11は、一方の端部がインナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定され、他方の端部が車載カメラ10を移動可能に保持している。また、車載カメラ10のレンズ12の光軸は、車両101の室内の方向を向いている。つまり、車載カメラ10のレンズ12の光軸は、インナーミラー3に覆われておらず、車両101の運転手席、助手席又は後部座席から車載カメラユニットインナーミラー複合体100を見た場合、インナーミラー3の下部から車載カメラ10が突出しているように見える。これにより、車載カメラ10は、運転手の前方の監視エリアを遮ることなく、車両101の室内を広範囲に撮像することが可能である。
【0015】
図3は、車載カメラ10が撮影した車両101の室内の例を示す図である。
図3が示すように、当該例では、車載カメラ10は、運転手席、助手席及び後部座席を撮影している。つまり、当該例では、カメラ保持部11は、車載カメラ10のレンズ12の位置が車両101の室内における運転手席、助手席及び後部座席を撮影可能な位置となるように、インナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定されている。
【0016】
上記のように車載カメラ10が車両101の室内を撮影することにより得られた撮影画像は、例えば、運転手の目の状態又は顔向きを検知するために用いられる。または、当該撮影画像は、例えば、運転手の脇見又は居眠りを検知するために用いられる。または、当該撮影画像は、例えば、手の形状を認識し機器操作を行うなどの、ジェスチャーによる機器操作のために用いられる。または、当該撮影画像は、頭部、体又は腕などの位置から乗員の行動を推定するために用いられる。
【0017】
上記のように、実施の形態1では、車載カメラ10が車両101の室内を撮影可能な位置に設置されている構成について説明するが、車載カメラ10は、車両101の車外を撮影可能な位置に設置されていてもよい。つまり、カメラ保持部11は、車載カメラ10のレンズ12の位置が車両101の車外を撮影可能な位置となるように、インナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定されていてもよい。または、車載カメラ10は、車両101の車内及び車外をそれぞれ撮影可能な位置に設置されていてもよい。つまり、例えば、車載カメラ10は、360度撮影可能なカメラであってもよい。
【0018】
以下で、実施の形態1に係る車載カメラユニット1の詳細な構成について図面を参照して説明する。
図4Aは、実施の形態1に係る車載カメラユニット1の正面図を示す。
図4Bは、実施の形態1に係る車載カメラユニット1の側面図を示す。
図4Cは、実施の形態1に係る車載カメラユニット1の部分断面図を示す。なお、当該部分断面図は、
図4Aの点線AA´で車載カメラユニット1を切断した断面図である。
【0019】
カメラ保持部11は、車載カメラ10に力が加わった場合、当該力によって車載カメラ10が移動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する付勢部材20を有する。換言すれば、付勢部材20は、車載カメラ10に力が加わった場合、車載カメラ10が当該力によって移動した位置から元の位置に戻るように、車載カメラ10を付勢する。
【0020】
さらに詳細には、実施の形態1では、カメラ保持部11は、車載カメラ10を回動可能に保持する回動軸部21をさらに有することにより、車載カメラ10を移動可能に保持している。付勢部材20は、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が回動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する。換言すれば、付勢部材20は、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10が当該力によって移動した位置から元の位置に戻るように、車載カメラ10を付勢する。
【0021】
さらに詳細には、実施の形態1では、付勢部材20は、引張バネである。カメラ保持部11は、突起部22を有し、車載カメラ10は、突起部23を有している。付勢部材20の一方の端部は、カメラ保持部11の突起部22に固定され、付勢部材20の他方の端部は、車載カメラ10の突起部23に固定されている。これにより、付勢部材20は、
図4BのX方向及びY方向の2方向に付勢力を加えるような角度に配置されている。回動軸部21は、カメラ保持部11において突起部22とは反対側に突出している。付勢部材20は、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10が当該力によって回動し、突起部22と突起部23との間の距離が長くなることにより伸長する。これにより、付勢部材20は、車載カメラ10を付勢する復元力(
図4Bの矢印B)を発生する。
【0022】
また、実施の形態1では、カメラ保持部11は、付勢部材20による付勢によって回動した車載カメラ10を制動する制動部24をさらに備えている。より詳細には、実施の形態1では、制動部24は、カメラ保持部11がさらに有する突起部であり、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面と直交するように突出している。制動部24は、付勢部材20による付勢によって回動して元の位置に戻ってきた車載カメラ10と接触することにより車載カメラ10を制止させる。
【0023】
さらに詳細には、実施の形態1では、カメラ保持部11の回動軸部21は、回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持している。また、カメラ保持部11は、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が回動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する別の付勢部材25をさらに有する。換言すれば、別の付勢部材25は、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10が当該力によって移動した位置から元の位置に戻るように、車載カメラ10を付勢する。
【0024】
さらに詳細には、実施の形態1では、
図4Cが示すように、車載カメラ10は、一方の幅が回動軸部21の直径と同等であり且つ他方の幅が回動軸部21の直径よりも長い貫通孔26を有している。カメラ保持部11の回動軸部21は、貫通孔26を貫通していることにより、回動軸を中心とした回動面において車載カメラ10が回動可能であり且つ回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持している。つまり、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面(実施の形態1では当該回動面と垂直な面)において車載カメラ10が回動した場合、貫通孔26の他方の幅が回動軸部21の直径よりも長いことにより、回動軸部21が貫通孔26の内壁に衝突しない。これにより、カメラ保持部11の回動軸部21は、回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持している。
【0025】
さらに詳細には、実施の形態1では、別の付勢部材25は、回動軸部21の周囲に巻かれた圧縮バネである。回動軸部21は、先端に、別の付勢部材25の一方の端部を固定するための固定部27を有している。別の付勢部材25の他方の端部は、車載カメラ10におけるレンズ12が設置された端部とは反対側の端部と接触している。つまり、別の付勢部材25は、固定部27と車載カメラ10とに挟まれている。別の付勢部材25は、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力(
図4B及び
図4Cの奥行方向の力)が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10が回動し、固定部27と車載カメラ10との間の距離が短くなることにより収縮する。これにより、別の付勢部材25は、車載カメラ10を付勢する復元力を発生する。
【0026】
以下で、実施の形態1に係る車載カメラユニット1の動作の具体例について図面を参照して説明する。
図5は、車載カメラユニット1の動作の具体例を説明するための車載カメラユニットインナーミラー複合体100の正面図(左側の図)及び側面図(右側の図)である。
図6Aは、車載カメラユニット1の動作の具体例を説明するための車載カメラユニット1の正面図である。
図6Bは、車載カメラユニット1の動作の具体例を説明するための車載カメラユニット1の側面図である。より詳細には、
図6Aは、力が加わる前の車載カメラユニット1を示し、
図6Bは、矢印方向の力が加わった後の車載カメラユニット1を示す。
図7は、車載カメラユニット1の動作の具体例を説明するための車載カメラユニット1の正面図である。より詳細には、
図7の真ん中の図は、力が加わる前の車載カメラユニット1を示し、
図7の左側の図は、図の右から左の方向に力が加わった後の車載カメラユニット1を示し、
図7の右側の図は、図の左から右の方向に力が加わった後の車載カメラユニット1を示す。
【0027】
図5の右側の図、及び
図6の右側の図が示すように、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力として、レンズ12の光軸が向いている方向とは反対方向の力が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10は、当該力によって、レンズ12の光軸が向いている方向とは反対方向に回動する。そして、付勢部材20は、突起部22と突起部23との間の距離が長くなることにより伸長する。これにより、付勢部材20は、レンズ12の光軸が向いている方向に車載カメラ10を付勢する復元力を発生する。レンズ12の光軸が向いている方向とは反対方向の力がなくなった場合、車載カメラ10は、当該復元力により、レンズ12の光軸が向いている方向に回動する。制動部24は、付勢部材20による付勢によって回動した車載カメラ10と接触することにより、車載カメラ10を制止させる。つまり、車載カメラ10は、レンズ12の光軸が向いている方向とは反対の方向の力が加わる前の元の位置に戻る。
【0028】
一方で、
図5の左側の図、並びに
図7の右側の図及び左側の図が示すように、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力として、レンズ12の光軸が向いている方向と直交し且つ車載カメラ10の長手方向と直交する方向(
図5の左側の図並びに
図7の右側の図及び左側の図における左方向又は右方向)の力が車載カメラ10に加わった場合、車載カメラ10は、レンズ12の光軸が向いている方向と直交し且つ車載カメラ10の長手方向と直交する方向に回動する。別の付勢部材25は、固定部27と車載カメラ10との間の距離が短くなることにより収縮する。これにより、別の付勢部材25は、車載カメラ10が回動した方向(
図7における左方向又は右方向)とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する復元力を発生する。車載カメラ10は、当該復元力により、当該反対の方向に回動する。そして、車載カメラ10は、レンズ12の光軸が向いている方向と直交し且つ車載カメラ10の長手方向と直交する方向の力が加わる前の元の位置に戻る。
【0029】
図8は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1が奏する効果の具体例を説明するための図である。
図8の右側の図が示すように、車両101の乗員の頭部が何らかの原因でインナーミラー3の正面から背後に向かう方向に移動することにより車載カメラ10に接触した場合、レンズ12の光軸が向いている方向とは反対の方向の力が車載カメラ10に加わる。車載カメラ10は、当該力によって、レンズ12の光軸が向いている方向とは反対の方向に回動する。その際に、付勢部材20は、レンズ12の光軸が向いている方向に車載カメラ10を付勢する復元力を発生する。これにより、結果として、付勢部材20は、緩衝材として機能し、車載カメラ10に加わる衝撃を軽減させる。また、同様に、車両101の乗員の頭部に加わる衝撃を軽減させる。また、車載カメラ10は、車両101の乗員の頭部が接触する前の元の位置に戻ることができる。なお、乗員の頭部以外の部位(例えば、手等)が車載カメラ10に接触した場合も、上記の各効果と同様の効果を奏する。
【0030】
一方で、
図8の左側の図が示すように、車両101の乗員の頭部が何らかの原因でインナーミラー3の一方の側面から他方の側面に向かう方向に移動することにより、車載カメラ10に接触した場合、レンズ12の光軸が向いている方向と直交し且つ車載カメラ10の長手方向と直交する方向の力が車載カメラ10に加わる。車載カメラ10は、当該力によって、レンズ12の光軸が向いている方向と直交し且つ車載カメラ10の長手方向と直交する方向に回動する。その際に、別の付勢部材25は、車載カメラ10が回動した方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する復元力を発生する。これにより、結果として、別の付勢部材25は、緩衝材として機能し、車載カメラ10に加わる衝撃を軽減させる。また、同様に、車両101の乗員の頭部に加わる衝撃を軽減させる。また、車載カメラ10は、車両101の乗員の頭部が接触する前の元の位置に戻ることができる。なお、乗員の頭部以外の部位(例えば、手等)が車載カメラ10に接触した場合も、上記の各効果と同様の効果を奏する。
【0031】
なお、実施の形態1では、カメラ保持部11が車載カメラ10を回動可能に保持する構成について説明したが、カメラ保持部11は、車載カメラ10を直動可能に保持してもよい。その場合、例えば、付勢部材20は、車載カメラ10を直動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が直動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する。
また、実施の形態1では、カメラ保持部11は、付勢部材20及び別の付勢部材25を有する構成について説明したが、カメラ保持部11は、3つ以上の付勢部材を有していてもよい。その場合、例えば、カメラ保持部11は、付勢部材20及び別の付勢部材25を有する構成において車載カメラ10が回動可能な面とは別の面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持していてもよい。また、さらなる別の付勢部材は、付勢部材20及び別の付勢部材25を有する構成において車載カメラ10が回動可能な面とは別の面において車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が回動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢してもよい。
【0032】
また、実施の形態1では、カメラ保持部11が車載カメラ10を2方向に回動可能に保持する構成について説明したが、カメラ保持部11は、車載カメラ10を1方向又は3方向以上の方向に回動可能に保持してもよい。カメラ保持部11が車載カメラ10を1方向に回動可能に保持している場合、カメラ保持部11は、上述の別の付勢部材25を有していなくてもよい。カメラ保持部11が車載カメラ10を3方向以上の方向に回動可能に保持している場合、上述のように、カメラ保持部11は、3つ以上の付勢部材を有していてもよい。その場合、例えば、上述の貫通孔26は、上述の一方の幅が回動軸部21の直径よりも長くてもよい。これにより、カメラ保持部11の回動軸部21は、貫通孔26を貫通していることにより、車載カメラ10が3次元的に回動可能であるように車載カメラ10を保持していてもよい。つまり、車載カメラ10が3次元的に回動した場合、貫通孔26の一方の幅及び他方の幅がそれぞれ回動軸部21の直径よりも長いことにより、回動軸部21が貫通孔26の内壁に衝突しない。これにより、カメラ保持部11の回動軸部21は、車載カメラ10が3次元的に回動可能であるように車載カメラ10を保持している。
【0033】
以上のように、実施の形態1に係る車載カメラユニット1は、車載カメラ10と、車載カメラ10を移動可能に保持するカメラ保持部11と、を備え、カメラ保持部11は、車載カメラ10に力が加わった場合、当該力によって車載カメラ10が移動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する付勢部材20を有する。
【0034】
上記の構成によれば、車載カメラ10に力が加わった場合でも、当該力によって移動する車載カメラ10を、付勢部材20の付勢によって減速させることができるため、車載カメラ10に加わる衝撃を軽減させる。また、例えば、車載カメラ10に車両の乗員が接触した場合、同様に、車両の乗員に加わる衝撃を軽減させる。
【0035】
実施の形態1に係る車載カメラユニット1におけるカメラ保持部11は、車載カメラ10を回動可能に保持する回動軸部21をさらに有することにより、車載カメラ10を移動可能に保持し、付勢部材20は、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が回動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する。
【0036】
上記の構成によれば、車載カメラ10に、回動軸部21の回動軸を中心に車載カメラ10を回動させる力が加わった場合でも、当該力によって回動軸部21の回動軸を中心に回動する車載カメラ10を、付勢部材20の付勢によって減速させることができるため、車載カメラ10に加わる衝撃を軽減させる。また、例えば、車載カメラ10に車両の乗員が接触した場合、同様に、車両の乗員に加わる衝撃を軽減させる。
【0037】
実施の形態1に係る車載カメラユニット1におけるカメラ保持部11は、付勢部材20による付勢によって回動した車載カメラ10を制動する制動部24をさらに備えている。
上記の構成によれば、付勢部材20の付勢によって回動する車載カメラ10を制動することができる。例えば、車載カメラ10が、力が加わる前の元の位置で静止するように、適宜、付勢部材20を設置することにより、車載カメラ10を元の位置に戻すこともできる。
【0038】
実施の形態1に係る車載カメラユニット1における回動軸部21は、回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持し、カメラ保持部11は、回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力が車載カメラ10に加わった場合、当該力によって車載カメラ10が回動する方向とは反対の方向に車載カメラ10を付勢する別の付勢部材25をさらに有する。
【0039】
上記の構成によれば、車載カメラ10に、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10を回動させる力が加わった場合でも、当該力によって回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において回動する車載カメラ10を、別の付勢部材25の付勢によって減速させることができるため、車載カメラ10に加わる衝撃を軽減させる。また、例えば、車載カメラ10に車両の乗員が接触した場合、同様に、車両の乗員に加わる衝撃を軽減させる。
【0040】
実施の形態1に係る車載カメラユニット1における車載カメラ10は、一方の幅が回動軸部21の直径と同等であり且つ他方の幅が回動軸部21の直径よりも長い貫通孔26を有し、回動軸部21は、車載カメラ10の貫通孔26を貫通していることにより、回動軸を中心とした回動面において車載カメラ10が回動可能であり且つ回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能であるように車載カメラ10を保持している。
【0041】
上記の構成によれば、回動軸部21の回動軸を中心とした回動面において車載カメラ10が回動可能であり且つ回動軸部21の回動軸を中心とした回動面とは異なる面において車載カメラ10がさらに回動可能である車載カメラユニット1を好適に実現することができる。
【0042】
実施の形態1に係る車載カメラユニットインナーミラー複合体100は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1と、車両101のインナーミラー3と、インナーミラー3の背後においてインナーミラー3を車両101に固定するインナーミラー固定部2と、を備え、車載カメラ10は、レンズ12を有し、カメラ保持部11は、車載カメラ10のレンズ12の位置が車両の室内を撮影可能な位置となるように、インナーミラー3の背後においてインナーミラー固定部2に固定されている。
上記の構成によれば、車両の運転手の視界を遮らずに車両の室内を撮影することができる。
【0043】
例えば、インストルメントパネルは、ディスプレイなどの情報機器等が搭載され、ダッシュボードは、ディスプレイなどの情報機器、及び空調機器等が搭載されており、車両によっては車載カメラ10の搭載スペース確保が困難な場合がある。また、例えば、オーバーヘッドコンソールは、乗員の目線よりかなり高い位置からの撮像となるため、乗員が下を向いた場合に目の状態検知(目の開閉判定など)が困難となる。一方で、上述の車載カメラユニットインナーミラー複合体100の構成によれば、車載カメラ10をインナーミラー3とともに車両に設置することができ、また、車両の運転手の視界を遮らずに車両の乗員を好適に撮影することができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態1では、車載カメラユニット1の構成について説明した。実施の形態2では、車載カメラユニット1を含む車内監視システム102の構成について説明する。
以下で、実施の形態2に係る車内監視システム102の構成について図面を参照して説明する。
図9は、実施の形態2に係る車内監視システム102の構成を示すブロック図である。
図9が示すように、車内監視システム102は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1、車内監視装置30、スピーカ40、及びマイク50を含む。なお、図示しないが、車載カメラユニット1は、上述のように、車載カメラ10、及びカメラ保持部11を備えているものとする。
【0045】
車内監視装置30は、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36、及び指示情報生成部37を備えている。
撮影画像取得部31は、車載カメラ10が車両の室内を撮影することにより得られた撮影画像を取得する。撮影画像取得部31は、取得した撮影画像を、カメラ移動判定部32及び乗員状態判定部33にそれぞれ出力する。
【0046】
カメラ移動判定部32は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像に基づいて、車載カメラ10の移動を判定する。より詳細には、実施の形態2では、カメラ移動判定部32は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が変化したか否かを判定する。また、カメラ移動判定部32は、構造物の位置が変化したと判定した場合、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が元の位置に戻ったか否かを判定する。ここにおける「元の位置」は、位置が変化する前の構造物の位置を意味する。カメラ移動判定部32は、判定結果を乗員状態判定部33及び問い合わせ情報生成部34にそれぞれ出力する。
【0047】
実施の形態1で説明したように、車載カメラユニット1において、カメラ保持部11は、車載カメラ10を移動可能に保持し、また、車載カメラ10に力が加わった場合、車載カメラ10が当該力によって移動した位置から元の位置に戻るように、車載カメラ10を付勢する構成を有する。そこで、実施の形態2では、カメラ移動判定部32は、上記のように、撮影画像における車両の室内の構造物の位置が変化したか否かを判定することにより、車載カメラ10に力が加わったか否かを判定することができる。つまり、車両において車載カメラ10に力が加わるような異常が発生したことを検出することができる。また、カメラ移動判定部32は、撮影画像における車両の室内の構造物の位置が元の位置に戻ったか否かを判定することにより、車載カメラユニット1のカメラ保持部11による車載カメラ10を付勢する機能が働いているか否かを判定することができる。
【0048】
カメラ移動判定部32が上記の判定を行う際に用いる撮影画像における車両の室内の構造物の例として、車両におけるAピラー又はBピラー等のフレームなどが挙げられる。
図10は、撮影画像における車両の室内の構造物の具体例を示す。例えば、カメラ移動判定部32は、
図10が示す撮影画像における車両のフレームCの軌跡を検出することにより、車載カメラ10の移動を判定する。
【0049】
乗員状態判定部33は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像に基づいて、車両の乗員の状態を判定する。より詳細には、実施の形態2では、乗員状態判定部33は、カメラ移動判定部32が、構造物の位置が元の位置に戻ったと判定した場合、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の乗員の人数をカウントし、カウントした人数が、元の人数から変化したか否かを判定する。なお、ここにおける「元の人数」は、上述の構造物の位置が変化する前の乗員の人数を意味する。乗員状態判定部33は、判定結果を問い合わせ情報生成部34に出力する。
【0050】
つまり、乗員状態判定部33が上記のように乗員の人数の変化を判定することにより、結果として、車両において異常が発生したか否かを判定することができる。なお、実施の形態2では、乗員状態判定部33が乗員の人数の変化を判定する構成について説明するが、少なくとも、乗員状態判定部33は、車両の乗員の状態を判定することにより、結果として、車両において異常が発生したか否かを判定することができればよい。
【0051】
問い合わせ情報生成部34は、カメラ移動判定部32による判定結果、及び乗員状態判定部33による判定結果に基づいて、車両の乗員に車両における異常の有無を問い合わせる問い合わせ情報を生成する。より詳細には、実施の形態2では、問い合わせ情報生成部34は、乗員状態判定部33が、カメラ移動判定部32による判定結果の後に、乗員の人数が変化したと判定した場合、車両の乗員に車両における異常の有無を問い合わせる問い合わせ情報を生成する。ここにおける「車両における異常」の例として、車両の事故等が挙げられる。問い合わせ情報生成部34は、生成した問い合わせ情報をスピーカ40に出力する。
【0052】
スピーカ40は、問い合わせ情報生成部34が生成した問い合わせ情報を音声により出力する。マイク50は、スピーカ40が出力した問い合わせ情報に対する車両の乗員の応答を受け付ける。マイク50は、車両の乗員の応答を受け付けることにより得られた応答情報を応答情報取得部35に出力する。なお、実施の形態2では、車内監視システム102がマイク50を備えている構成について説明するが、車内監視システム102は、マイク50の代わりに、押しボタンを備えていてもよい。その場合、当該押しボタンは、スピーカ40が出力した問い合わせ情報に対する車両の乗員の応答(押しボタンへの押圧)を受け付ける。
【0053】
応答情報取得部35は、問い合わせ情報生成部34が生成した問い合わせ情報に対する車両の乗員の応答に関する応答情報を取得する。より詳細には、実施の形態2では、応答情報取得部35は、マイク50が車両の乗員の応答を受け付けることにより得られた応答情報を取得する。応答情報取得部35は、取得した応答情報を異常判定部36に出力する。なお、車内監視システム102がマイク50の代わりに押しボタンを備えている場合、応答情報取得部35は、当該押しボタンが車両の乗員の応答(押しボタンへの押圧)を受け付けることにより得られた応答情報(例えば、異常有り)を取得する。
【0054】
異常判定部36は、応答情報取得部35が取得した応答情報に基づいて、車両における異常の有無を判定する。より詳細には、実施の形態2では、異常判定部36は、応答情報取得部35が取得した応答情報に基づいて、車両の乗員が異常なしと応答したか否かを判定する。異常判定部36は、判定結果を指示情報生成部37に出力する。
【0055】
指示情報生成部37は、異常判定部36による判定結果に基づいて、車両における異常に対する対応を指示する指示情報を生成する。より詳細には、実施の形態2では、指示情報生成部37は、異常判定部36が、車両の乗員が異常なしと応答しなかったと判定した場合、車両における異常に対する対応を指示する指示情報を生成する。ここにおける「対応」の例として、車両の停止、又は、事故の通報等が挙げられる。例えば、当該対応が車両の停止である場合、当該指示情報は、車両の自動ブレーキに対して車両の停止を指示する。例えば、当該対応が事故の通報である場合、当該指示情報は、車両の自動通報システムに対して事故の通報を指示する。
【0056】
以下で、実施の形態2に係る車内監視装置30の動作について図面を参照して説明する。
図11は、実施の形態2に係る車内監視装置30による車内監視方法を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各ステップが実行されている間、車載カメラ10は、車両の室内を撮影しているものとする。
【0057】
図11が示すように、撮影画像取得部31は、車載カメラ10が車両の室内を撮影することにより得られた撮影画像を取得する(ステップST1)。撮影画像取得部31は、カメラ移動判定部32及び乗員状態判定部33にそれぞれ出力する。
【0058】
次に、カメラ移動判定部32は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が変化したか否かを判定する(ステップST2)。
カメラ移動判定部32が、構造物の位置が変化したと判定した場合(ステップST2のYES)、車内監視装置30は、ステップST3の処理に進む。カメラ移動判定部32が、構造物の位置が変化していないと判定した場合(ステップST2のNO)、車内監視装置30は、ステップST1の処理に戻る。
【0059】
ステップST3において、カメラ移動判定部32は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が元の位置に戻ったか否かを判定する。
カメラ移動判定部32が、構造物の位置が元の位置に戻ったと判定した場合(ステップST3のYES)、乗員状態判定部33は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の乗員の人数をカウントする(ステップST4)。カメラ移動判定部32は、構造物の位置が元の位置に戻っていないと判定した場合(ステップST3のNO)、車載カメラ10が撮影を中止するように制御する(ステップST5)。つまり、車載カメラユニット1のカメラ保持部11による車載カメラ10を付勢する機能が働いておらず、カメラ保持部11が故障した可能性があるため、車載カメラ10による撮影を中止する。
【0060】
ステップST4の次のステップとして、乗員状態判定部33は、ステップST4でカウントした人数が、構造物の位置が変化する前の乗員の人数から変化したか否かを判定する(ステップST6)。
【0061】
乗員状態判定部33が、カウントした人数が変化したと判定した場合(ステップST6のYES)、車内監視装置30は、ステップST7の処理に進む。乗員状態判定部33が、乗員の人数が元の人数から変化していないと判定した場合(ステップST6のNO)、車内監視装置30は、ステップST1の処理に戻る。
【0062】
ステップST7において、問い合わせ情報生成部34は、車両の乗員に車両における異常の有無を問い合わせる問い合わせ情報を生成する。問い合わせ情報生成部34は、生成した問い合わせ情報をスピーカ40に出力する。
【0063】
スピーカ40は、問い合わせ情報生成部34が生成した問い合わせ情報を音声により出力する。マイク50は、スピーカ40が出力した問い合わせ情報に対する車両の乗員の応答を受け付ける。マイク50は、車両の乗員の応答を受け付けることにより得られた応答情報を応答情報取得部35に出力する。
【0064】
次に、応答情報取得部35は、マイク50が車両の乗員の応答を受け付けることにより得られた応答情報を取得する(ステップST8)。応答情報取得部35は、取得した応答情報を異常判定部36に出力する。
【0065】
次に、異常判定部36は、応答情報取得部35が取得した応答情報に基づいて、車両の乗員が異常なしと応答したか否かを判定する(ステップST9)。
異常判定部36が、車両の乗員が異常なしと応答したと判定した場合(ステップST9のYES)、車内監視装置30は、処理を終了する。異常判定部36が、車両の乗員が異常なしと応答しなかったと判定した場合(ステップST9のNO)、指示情報生成部37は、車両における異常に対する対応を指示する指示情報を生成する(ステップST10)。
【0066】
車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、車内監視装置30は、
図11に示した各ステップの処理を実行するための処理回路を備える。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0067】
図12Aは、車内監視装置30の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図12Bは、車内監視装置30の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
【0068】
上記処理回路が
図12Aに示す専用のハードウェアの処理回路60である場合、処理回路60は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0069】
車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0070】
上記処理回路が
図12Bに示すプロセッサ61である場合、車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。
なお、ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ62に記憶される。
【0071】
プロセッサ61は、メモリ62に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各機能を実現する。すなわち、車内監視装置30は、これらの各機能がプロセッサ61によって実行されるときに、
図11に示した各ステップの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ62を備える。
【0072】
これらのプログラムは、車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各手順又は方法をコンピュータに実行させる。メモリ62は、コンピュータを、車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0073】
プロセッサ61には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0074】
メモリ62には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0075】
車内監視装置30における、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32、乗員状態判定部33、問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37の各機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。
【0076】
例えば、撮影画像取得部31、カメラ移動判定部32及び乗員状態判定部33の各機能は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。問い合わせ情報生成部34、応答情報取得部35、異常判定部36及び指示情報生成部37については、プロセッサ61がメモリ62に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現してもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにより上記機能のそれぞれを実現することができる。
【0077】
以上のように、実施の形態2に係る車内監視システム102は、実施の形態1に係る車載カメラユニット1と、車内監視装置30と、を含み、車内監視装置30は、車載カメラ10が車両の室内を撮影することにより得られた撮影画像を取得する撮影画像取得部31と、撮影画像取得部31が取得した撮影画像に基づいて、車載カメラ10の移動を判定するカメラ移動判定部32と、を備えている。
【0078】
上記の構成によれば、車載カメラ10の移動を判定することにより、車載カメラ10に力が加わったか否かを判定することができる。よって、例えば、車両において車載カメラ10に力が加わるような異常が発生した場合、当該異常が発生したことを検出することができる。
【0079】
実施の形態2に係る車内監視システム102は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像に基づいて、車両の乗員の状態を判定する乗員状態判定部33をさらに備えている。
上記の構成によれば、車両の乗員の状態を判定することによって、車両において異常が発生したか否かをさらに判定することができる。
【0080】
実施の形態2に係る車内監視システム102は、カメラ移動判定部32による判定結果、及び乗員状態判定部33による判定結果に基づいて、車両の乗員に車両における異常の有無を問い合わせる問い合わせ情報を生成する問い合わせ情報生成部34と、問い合わせ情報生成部34が生成した問い合わせ情報に対する車両の乗員の応答に関する応答情報を取得する応答情報取得部35と、応答情報取得部35が取得した応答情報に基づいて、車両における異常の有無を判定する異常判定部36と、をさらに備えている。
上記の構成によれば、車両の乗員に車両における異常の有無を問い合わせることにより、車両において異常が発生したか否かをさらに判定することができる。
【0081】
実施の形態2に係る車内監視システム102は、異常判定部36による判定結果に基づいて、車両における異常に対する対応を指示する指示情報を生成する指示情報生成部37をさらに備えている。
上記の構成によれば、当該指示情報に適宜基づくことにより、車両における異常に対して対応を行うことができる。
【0082】
実施の形態2に係る車内監視システム102におけるカメラ移動判定部32は、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が変化したか否かを判定し、当該構造物の位置が変化したと判定した場合、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の室内の構造物の位置が元の位置に戻ったか否かを判定し、乗員状態判定部33は、カメラ移動判定部32が、構造物の位置が元の位置に戻ったと判定した場合、撮影画像取得部31が取得した撮影画像における車両の乗員の人数をカウントし、カウントした人数が、構造物の位置が変化する前の乗員の人数から変化したか否かを判定し、問い合わせ情報生成部34は、乗員状態判定部33が、カウントした人数が変化したと判定した場合、問い合わせ情報を生成し、異常判定部36は、応答情報取得部35が取得した応答情報に基づいて、車両の乗員が異常なしと応答したか否かを判定し、指示情報生成部37は、異常判定部36が、車両の乗員が異常なしと応答しなかったと判定した場合、指示情報を生成する。
上記の構成によれば、車内監視システム102による上述の各効果を好適に実現することができる。
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示に係る車載カメラユニットは、車載カメラに加わる衝撃を軽減させるため、車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 車載カメラユニット、2 インナーミラー固定部、3 インナーミラー、10 車載カメラ、11 カメラ保持部、12 レンズ、20 付勢部材、21 回動軸部、22 突起部、23 突起部、24 制動部、25 別の付勢部材、26 貫通孔、27 固定部、30 車内監視装置、31 撮影画像取得部、32 カメラ移動判定部、33 乗員状態判定部、34 問い合わせ情報生成部、35 応答情報取得部、36 異常判定部、37 指示情報生成部、40 スピーカ、50 マイク、60 処理回路、61 プロセッサ、62 メモリ、100 車載カメラユニットインナーミラー複合体、101 車両、102 車内監視システム。