(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】汗センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
A61B5/00 N
(21)【出願番号】P 2022562276
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2021058567
(87)【国際公開番号】W WO2021209267
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-08-25
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フアイブレグツ ローレンシア ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デリーモア キラン ハミルトン ジェイ.
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】Jessica Francis, et al.,Digital nanoliter to milliliter flow rate sensor with in vivo demonstration for continuous sweat rat,Lab on a Chip,2019年,vol. 19,pp. 178-185
【文献】Yuji Gao, et al.,Wearable Microfluidic Diaphragm Pressure Sensor for Health and Tactile Touch Monitoring,ADVANCED MATERIALS,Vol. 29, Issue 39,2017年10月18日,https://doi.org/10.1002/adma.201701985
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの皮膚から取り込まれたユーザの汗を分析するための汗センサであって、
前記ユーザの汗が当該汗センサに取り込まれる1以上の流入口、及び、
前記汗センサにより取り込まれた汗を分析して汗パラメータを決定する分析器
を有
する、汗センサにおいて、前記汗センサは、
前記1以上の流入口の開口のサイズを、前記1以上の流入口の開口の断面積を変化させることにより、及び/又は特定のサイズの流入口を選択することにより制御する、
プロセッサ又はマイクロコントローラを有することを特徴とする、汗センサ。
【請求項2】
前記汗センサが前記1以上の流入口の開口のサイズを、前記分析器により決定された前記汗パラメータに基づいて制御する、請求項1に記載の汗センサ。
【請求項3】
前記汗センサが、汗を取り込むための複数の流入口を有し、
前記複数の流入口の少なくとも幾つかは、開口のサイズが異なり、
前記汗センサが、特定のサイズの流入口を選択する、
請求項1又は2に記載の汗センサ。
【請求項4】
前記分析器が、前記ユーザの前記決定された汗パラメータを汗パラメータの基準設定と比較し、前記比較の結果に基づいて前記開口のサイズを制御する、請求項1から3の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項5】
前記ユーザの前記決定された汗パラメータが、前記ユーザの発汗量及び流入口あたりのアクティブな汗腺の数のうちの少なくとも一方である、
請求項1から4の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項6】
前記分析器は、前記汗センサの第1の分析サイクルにおいて決定された前記汗パラメータの第1の値を、前記汗センサの前記第1の分析サイクルに後続する第2の分析サイクルにおいて決定された前記汗パラメータの第2の値と比較し、
前記汗センサは、第2の値が第1の値を超える場合、前記汗センサが次の分析サイクルにおいて汗を取り込むと共に取り込まれた汗を分析するために使用する前記1以上の流入口の開口のサイズを減少させる、
請求項1から5の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項7】
前記分析器は前記ユーザの汗腺あたりの発汗量を決定し、
前記分析器は前記ユーザの取り込まれた汗中の生体分子の濃度を測定し、
前記汗センサが、前記ユーザの血液中の生体分子の濃度を、前記決定された汗腺あたりの発汗量、及び取り込まれた汗中の前記生体分子の測定された濃度に基づいて推定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項8】
前記汗センサによりサイズを調整可能な各開口を備えた複数の流入口を更に有し、
前記汗センサは、取り込まれた汗から、前記ユーザの発汗量及び/又は前記ユーザのアクティブな汗腺の数を決定し、
当前記汗センサが、前記決定された発汗量及び/又は決定されたアクティブな汗腺の数に基づいて、前記複数の流入口の全ての流入口を同じ開口サイズに調整する、
請求項1から7の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項9】
前記汗センサのチャネル内に配置された流量センサを更に有し、前記チャネルは少なくとも1つの流入口を前記分析器に接続し、
前記流量センサが、排出される汗の排出量を測定する、
請求項1から8の何れか一項に記載の汗センサ。
【請求項10】
センサの1以上の流入口を介してユーザの皮膚から取り込まれた前記ユーザの汗を前記センサにより分析する方法であって、
前記取り込まれた汗の少なくとも幾らかを分析するステップ、及び、
前記取り込まれた汗の前記分析の結果に基づいて、後続の分析サイクルにおいて前記1以上の流入口の開口のサイズを制御するステップ
を有
する、方法において、
前記サイズの制御が、少なくとも1つの流入口の調節可能な開口のサイズを増加又は減少させることにより、及び/又は、次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された流入口の開口のサイズに比較して大きな開口若しくは小さな開口を持つ1以上の流入口を選択することにより
、プロセッサ又はマイクロコントローラによって実行される
ことを特徴とする、
汗を分析する方法。
【請求項11】
前記センサにより汗が取り込まれる流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定するステップ、及び、
前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数を、流入口あたりのアクティブな汗腺の数に関する基準設定と比較するステップ
を有し、
前記サイズの制御が、
A)前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数が前記基準設定で定義された流入口あたりのアクティブな汗腺の予め定められた最小数より小さい場合に、前記少なくとも1つの流入口の開口のサイズを増加させることにより、及び/若しくは、次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して大きな開口を持つ1以上の流入口を選択することにより、並びに/又は、
B)前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数が前記基準設定で定義された流入口あたりのアクティブな汗腺の予め定められた最大数より大きい場合に、前記少なくとも1つの流入口の開口のサイズを減少させることにより、及び/若しくは、次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して小さな開口を持つ1以上の流入口を選択することにより
実行される、
請求項10に記載の汗を分析する方法。
【請求項12】
前記ユーザの発汗量を決定するステップ、及び、
前記センサにより汗が取り込まれる流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定するために前記決定された発汗量を使用するステップ
を有する、請求項11に記載の汗を分析する方法。
【請求項13】
ユーザの皮膚から汗センサにより取り込まれたユーザの汗を分析するための
コンピュータプログラムであって、請求項1から9の何れか一項に記載の汗センサの前記プロセッサにより実行された場合に、前記汗センサに請求項10から12の何れか一項に記載の汗を分析する方法を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルセンサによる汗分析に関する。特に、本発明は、ユーザの皮膚から汗センサに取り込まれるユーザの汗を分析するための汗センサ、ユーザの皮膚からセンサにより取り込まれるユーザの汗を分析する方法、及びコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病/健康状態及び健康さを示すバイオマーカ、すなわち生体分子の非侵襲的で半連続的かつ長期的なモニタリング(監視)は、例えば脱水症、ストレス、睡眠、子供の健康をモニタリングするため、及び周術期モニタリングにおいて需要がある。
【0003】
汗、涙液及び唾液は全て非侵襲的に採取できる。特に、汗はアクセスし易い生体液であり、被験者の生理学及び代謝に関する豊富な情報源である。
【0004】
汗の臨床的に関連のある成分の幾つかの例は、脱水症状を監視するためのNa+、Cl-及び/又はK+、炎症(敗血症に関連する)の早期警告としての乳酸、糖尿病患者及び新生児のブドウ糖、並びに睡眠時無呼吸症候群及びストレスモニタリングに関連するコルチゾールである。
【0005】
汗バイオマーカモニタリング装置を使用する、重度の慢性疾患を有する患者、術前又は術後の患者及び高齢者等の高リスク患者の継続的なモニタリングは、通常複数の血液サンプルを繰り返し抽出することにより実行される定期的なバイオマーカスポットチェックよりも高い品質の診断情報を提供できる。このような継続的な監視は、病院の環境又は他の場所で行われ得る。人間の汗は、単独で又は皮脂脂質との混合物として、ウェアラブル皮膚上装置におけるバイオマーカ測定のための容易にアクセス可能なソースであり得る。例えば、コレステロールは心血管疾患の発症リスクの上昇に関連する重要なバイオマーカである。インターロイキン(例えば、TNF-a、IL-6)等の炎症性マーカ又はサイトカインは、免疫反応において、並びに関節リウマチ及び乾癬性関節炎における関節損傷、及び腸疾患の検出又は疾患モニタリングにおいて重要な役割を果たす。
【0006】
適切な捕捉種(抗体、アプタマ、分子インプリントポリマ等)を使用してエクリン/アポクリン汗で検出できるバイオマーカ/生体分子の例は:尿素、クレアチニン、コレステロール、トリグリセリド、ステロイドホルモン(コルチゾール)、グルコース、メラトニン等の小分子;IL-1alpha、IL-1beta、IL-6、TNF alpha、IL-8及びTGF-beta IL-6等のサイトカイン、システインプロテイナーゼ、DNAse I、リゾチーム、Zn-α2-糖タンパク質、システイン豊富な分泌タンパク質-3及びダームシジンを含むペプチド及びタンパク質;及びC型肝炎ウイルス等の大きなバイオマーカである。
【0007】
文献:“Sweat: A sample with limited present applications and promising future in metabolomics”,J.Pharm.Biomed.Anal.90,139-147(2014)においてMena-Bravo及びde Castroにより要約されているように、汗検知の結果は高度に変動性であり得、血液及び汗サンプルから決定された値の間の相関関係は、種々のバイオマーカに関して欠けているようである。この点に関し、この分野における過去の研究は、バッグ又は布に大量の汗を収集する等の、相対的に粗雑なサンプリング技術を伴っていた。このような技術における欠陥が、このような明らかな相関関係の欠如の一因であったと思われる。このように、上記Mena-Bravo及びde Castroのレビューは、分析のために十分な汗を生成する困難さ、サンプルの蒸発の問題、適切なサンプリング装置の欠如、訓練されたスタッフの必要性、及びサンプリングされたボリュームの正規化に関連する問題に関する従来の汗感知技術による重大な不満足さを更に浮き彫りにしている。
【0008】
汗が皮膚から浮き出る際に該汗にウェアラブルセンサを略即座に接触させることにより、これらの問題に対処する努力がなされてきた。最近の例は、文献:“Fully integrated wearable sensor arrays for multiplexed in situ perspiration analysis”,Nature 529,509-514(2016)にGao他により提示されたウェアラブルパッチである。該パッチは、Na+、K+、グルコース、乳酸及び皮膚温度を測定するためのセンサアレイを含んでいる。しかしながら、この研究の焦点は、センサ自体の開発及び統合に当てられたもので、該研究は、明らかに重要ではあるが、汗のサンプル収集に関連する問題に対処するものではない。後者は、殆どの場合、主に皮膚とセンサの間に数cm2サイズの吸収パッドを配置することにより行われている。想定は、十分な量の汗が生成されるならば(したがって、検査は運動している個人に対して実行される)、パッドは分析のための汗を吸収し、新たに生成される汗は該パッドを補充して、古い汗を「洗い流す」というものである。しかしながら、センサの時間依存性応答は、蓄積効果のために、経時的なバイオマーカの実際のレベルを直接反映しそうもない。当該サンプル収集及び公開されたセンサへの提供は十分に制御され得ず、したがって、長期間にわたる継続的な信頼性の高いセンシングは困難である。このようなパッチは、通常の状態で生成される微量の汗、すなわち、汗腺あたり毎分サブナノリットルからナノリットルのオーダの汗、を扱うように設計することもできない。
【0009】
成人は、安静時に毎秒100ジュール(100ワット)のオーダの熱を発生する。22℃前後の温度で衣服を着用している人の場合、この熱は、伝導及び対流により熱を失う等の受動的な手段により取り除かれる。この場合、コア温度(深部体温)は一定のままである。しかしながら、i)人が肉体労働又は運動に従事している場合、及び/又は ii)周囲温度が上昇した場合、このような伝導/対流プロセスは深部体温を維持するには不十分である。恒常性を維持するために、身体は皮膚内の血管を拡張させて血液を冷却すると共に、蒸発により皮膚を冷やす汗を生成し始める。
【0010】
人により周囲温度において軽い運動又は軽作業のみで生成される汗の量は、文献:“Regional variations in transepidermal water loss, eccrine sweat gland density, sweat secretion rates and electrolyte composition in resting and exercising humans”,Extrem Physiol Med 2013;2:4においてTaylorにより、及び文献:“Prolonged and localized sweat stimulation by iontophoretic delivery of the slowly-metabolised cholinergic agent carbachol”,Journal of Dermatological Science 89(2018)40-51においてSimmersにより論じられているように、相対的少ない。約25℃から30℃の範囲内にある、いわゆる熱中性ゾーンにおいて、深部体温は非常に安定したままであり、身体を冷却するために発汗を誘発する必要はない。このゾーンは、安静時の裸の男性に対して定義されている。衣服を着て安静状態にある人の場合、熱中性ゾーンは一層低く、約13℃から22℃の範囲内である。したがって、温度がこのゾーン内にあり、当該人が安静状態にある場合、発汗量は非常に低い。
【0011】
Taylorによれば、安静で熱中性の状態において、交感神経放電(汗腺のコイルによる分泌)は測定可能な発汗を誘発しない可能性がある。汗の再吸収が、汗の形成率と一致し得るからである。Simmersは、衣服を着用しており、空調環境に曝されており、主に非肉体労働を行っている人の汗生成率を測定し、約0.3nl/分/汗腺の典型的な値(0と0.7nl/分/汗腺との間で測定された値)を持つ発汗量(発汗速度)を見いだした。人が安静ではあるが、36℃の高い温度にいる場合、Taylorにより、汗生成率は平均で0.36mg・cm-2・分-1であると測定された。1.8m2(平均的な人の皮膚面積)あたり203万個の汗腺及び1g/mlの汗密度を仮定すると、平均的な汗生成は約3.2nl/分/汗腺となる。熱中性ゾーンを超える高い温度により、身体は冷却を必要とし、実際に汗生成率は増加される。
【0012】
したがって、入院患者等の座りがちな状態にある人は最小の発汗量を有し、かくして、汗の排出とバイオマーカの検出との間には大きな遅延が存在し、このことは、適時な監視及び差し迫った余病の早期警告を妨げ得る。特定の関連するバイオマーカの濃度は発汗量に依存し、したがって、臨床的に関連する解釈のためには汗腺あたりの発汗量を評価する必要がある。従来の汗感知解決策は、限られた用途しか有さない。これら解決策は、監視対象者が運動に関わっていることを要し、発汗量を決定するために相当に複雑なマイクロ流体技術及びセンサを使用する傾向があるからである。
【0013】
例えば、国際特許出願公開第WO2018/125695号は、能動的汗サンプリングを伴うウェアラブル汗バイオセンシング装置を開示している。エレクトロウェッティングの電気機械的効果を利用した汗を輸送するための能動的方法が記載されている。エレクトロウェッティングプレートは、電極を覆う疎水性誘電体層(例えば、テフロン(登録商標))を有している。親水性材料から形成された汗結合「ウィッキング」部品により、皮膚表面からの汗が時間の経過と共に上記エレクトロウェッティングプレートに緩やかに拡散し、汗は電気機械的効果により輸送される。このアプローチは、非常に時間がかかり、蒸発により少量の汗に対しては非効果的であり得る。更に、この技術は、異なる時間に皮膚から受け取られた汗の混合を伴い、このことは、信頼性のある半連続的なバイオマーカ測定には望ましくない。
【0014】
センサによりユーザの発汗量を決定することは従来技術において既知である。例えば、米国特許出願公開第2015/0112165号は、汗腺当たりの発汗量を決定する方法を開示している。この方法は、多数の発汗量センサを使用して、各汗収集チェンバ内の多孔質材料の誘電値の累積的変化を監視する。ナトリウムセンサが、各チェンバ内の汗のナトリウム濃度を各々監視する。ボランティア検査から得られた相関曲線を使用することにより、ナトリウムイオン濃度が総汗流量と相関される。このアプローチには2つの大きな欠点:(i)ボランティア検査の間における表面積当たりの汗腺の数を仮定している;及び(ii)ボランティア検査により決定されたナトリウム濃度と発汗量との相関関係は如何なる特定の人/患者にも適用可能であると仮定している;という欠点がある。個人間で観察される相当に大きな相違は、後者の仮定を賢明でないものにし得、病気は斯様な相違を更に大きくさせ得る。
【0015】
Heikenfeld他は文献“Digital nanoliter to milliliter flow rate sensor with in vivo demonstration for continuous sweat rate measurement”,Lab Chip,2019,19,178において、及びYang他は文献“Wearable microfluidics:fabric-based digital droplet flowmetry for perspiration analysis”,Lab on a Chip.Accepted 4th January 2017.DOI:10.1039/c6lc01522kにおいて、皮膚に隣接して配置されたチェンバ内で汗を収集する発汗量センサを開示している。汗の滴(汗滴)は、チェンバの流出口から、該汗滴が該流出口に対向する芯に接触して該芯に転送されることにより該流出口から釈放されるまで成長する。この釈放の直前に、汗滴は一対の電極のうちの芯上に取り付けられた一方に接触する。他方の電極はチェンバ内に取り付けられている。したがって、これら電極は、チェンバ内の汗及び該チェンバに未だ付着している汗滴によりもたらされる接続により短絡される。汗滴の芯への釈放の直前の斯かる電極の短絡は、当該装置が汗滴を計数(カウント)することを可能にする。該設計は、それにもかかわらず、チェンバ毎に発汗量センサを設けることを必要とする。これにより、装置を不利にも複雑にする。更に、この設計は、代替の汗滴検知原理を設けることとは互換性がないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の発明者は、驚くべきことに従来技術のセンサ及び方法の精度は特定の発汗量範囲に対して低いことに気付いた。本発明の発明者は、このことは、以下でより詳細に説明するように汗の測定の精度を制限し得ることに気付いた。
【0017】
したがって、本発明の目的は、とりわけ、改善された汗センサ及びユーザの汗を分析する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、独立請求項の主題により解決される。本発明の更なる実施形態及び利点は、従属請求項に組み込まれている。更に、方法に関する本発明の全ての実施形態は、説明されたステップの順序で実行され得るが、これは、本明細書に提示された方法のステップの唯一かつ必須の順序である必要はないことに留意されたい。本明細書に開示される方法は、以下でそうでないと明示的に言及されない限り、各々の方法実施形態から逸脱することなく、開示されたステップとは別の順序で実行することができる。
【0019】
技術用語は常識的に使用されている。特定の意味が特定の用語に付与される場合、用語の定義は、以下で当該用語が使用される文脈で付与される。
【0020】
本発明の第1態様によれば、ユーザの皮膚から当該汗センサに取り込まれたユーザの汗を分析するための汗センサが提供される。該センサは、ユーザの汗を該センサに取り込むことができる1以上の流入口(インレット)を有する。更に、当該センサは、前記1以上の流入口を介して該センサにより取り込まれた汗を分析するように構成された分析器を有し、該分析器は1以上の分析ユニットを有し得る。当該センサは、前記1以上の流入口の開口のサイズを、a)該1以上の流入口の開口の断面積を変化させることにより、及び/又はb)例えば該センサの次の分析サイクルのために使用されるべき特定のサイズの流入口を選択することにより制御するよう構成される。
【0021】
当該センサ、及び特に前記分析器は、以下により詳細に説明されるように、このような制御及び/又は選択を実行するために、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラを使用し又は有することができる。幾つかの実施形態において、該センサのマイクロコントローラはプロセッサを有する。
【0022】
したがって、様々なサイズの流入口及び/又は1以上のサイズ調節可能な流入口を備える汗センサが提供される。このような様々なサイズの流入口を選択するための対応する方法、及び/又は調整可能な開口断面積若しくは直径を有する斯様な流入口の開口のサイズを制御する、すなわち調整するための対応する方法は、後に更に詳細に説明される。言い換えると、本発明の汗センサは、調節可能な開口サイズを備える1以上の流入口を設けることにより、及び/又は、選択された流入口又は複数の流入口のみにより取り込まれた汗が次の分析サイクルにおいて汗の分析のために使用されるという意味で、選択/活性化され得る異なる予め定められた/固定のサイズを有する少なくとも2つの別個の流入口を設けることにより、少なくとも2つのサイズの流入口を設けることができる。
【0023】
このように、本発明の汗センサは、該センサの次の分析サイクルで使用される流入口の開口のサイズを適応させることにより、例えば発汗量(発汗速度)又は流入口あたりの汗腺の数の決定/測定に反応することができる。例えば、ユーザの発汗量が所定の閾値を超えていると当該センサが判断した場合、該センサは流入口の開口のサイズを減少させることができ、ユーザは該サイズを次の測定に使用する。このようなサイズの減少は、対応する制御信号で一層小さなサイズの流入口を選択することにより、及び/又は1以上のサイズ調整可能な流入口の開口の断面積又は直径のサイズを調整することにより実現できる。
【0024】
本明細書に提示される汗センサは、汗中の生体分子(例えば、乳酸又は例えば前述した生体分子のいずれか)の濃度が血中濃度に変換される場合に特に有利である。このような汗のモニタリングは、例えば患者又は健康な人間若しくは動物等のユーザの目立たないモニタリングのための最適化された方法を提供する。汗の濃度と血中濃度との間の相関関係は汗腺あたりの発汗量に依存することが知られており、該汗腺あたりの発汗量は本発明のセンサにより決定することができる。汗腺あたりの発汗量を決定するために、当該センサはアクティブな(活性状態の)汗腺の数を決定する。この数は、人及び身体位置に依存するだけでなく、時間的にも変化し得る。本発明の発明者は、汗腺あたりの発汗量を測定する従来技術の汗センサは、流入口すなわち表面積あたりの特定の範囲のアクティブ汗腺に対してのみ正確に測定することに気付いた。この洞察に基づいて、本発明は、この範囲を様々なサイズの流入口を使用することにより拡大する。更に、これらの種々のサイズの流入口、すなわち、流入口/表面積あたりのアクティブな汗腺のダイナミックレンジの適応的選択又は動的適応化の何れかを、好ましくは対応する制御信号をトリガするためにユーザの発汗量を使用して実行するように構成されたセンサ及び方法が提供される。当該センサにより使用される流入口の開口の適切なサイズ設定により、該センサの測定結果、例えばユーザの血中の生体分子の濃度は、従来技術におけるよりも正確となる。
【0025】
好ましい実施形態において、発汗量は、以下で詳細に説明するように、取り込まれた汗の流体流量、電気皮膚反応(GSR)及び/又は浸透圧を測定することにより決定される。
【0026】
好ましい実施形態において、当該センサは前述したように適切な流入口サイズにサイズを制御する。次いで、前記1以上の分析ユニットは、正しいサイズの流入口開口で発汗量を測定し、汗腺の数を決定し、汗腺あたりの発汗量を決定する。例えば、前記離散化方法のうちの1以上を、このような測定/決定に使用することができるが、これについては後でより詳細に説明する。該1以上の分析ユニットは、ユーザが取り込まれた汗中の生体分子の濃度も測定/決定する。当該センサは、ユーザの血液中の生体分子の濃度を、上記の決定された汗腺あたりの発汗量に基づくと共に、取り込まれた汗中の生体分子の測定濃度に基づいて推定するように構成される。当該センサにより使用される流入口の開口の適切なサイズ設定により、該センサの全体的な測定結果、特にユーザの血液中の生体分子の濃度の最終的な推定は、従来技術と比較して一層正確となる。
【0027】
このように、当該汗センサは、該センサが次の分析サイクルにおいて汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用する流入口の開口のサイズを決定することができる。以下の詳細な説明から明らかとなるように、当該センサは、例えば機械的に制御される絞り又は(機械的)応答性材料ベースの開口により、開口サイズを変更できる1以上の流入口を有し得る。このような応答性材料ベースの開口の実施形態は、例えば、電気活性ポリマ、磁気粘性エラストマ若しくは形状記憶ポリマ、又はその他の好適な刺激応答性材料を使用できる。当該センサは、付加的に又は代替的に、サイズが異なる複数の流入口を有することもでき、該センサは、当該流入口の開口の所望の目標サイズに基づいて、異なるサイズの流入口の何れが該センサの次の分析サイクルのために使用されるかを制御/選択できる。この次の分析サイクルにおいて、当該センサは、該センサによりそれにしたがって選択された流入口からの汗のみを取り込み、分析する。言い換えると、当該汗センサは、様々なサイズの流入口を有し、使用されるべき1以上の流入口の開口のサイズを選択する方法を実行する。当該センサは、例えば
図5の実施形態の文脈において更に詳細に説明されるように、このような制御/選択を実行するために、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラを使用できる。本発明の前後関係において、説明された方法のステップは、例えば本明細書に開示される汗センサのプロセッサ及び/又はマイクロコントローラにより実行され得ることに留意されたい。特定の実施形態において、本明細書に記載のマイクロコントローラはプロセッサを有する。
【0028】
当該センサは、該センサが次の分析サイクルで使用する流入口の開口のサイズを、例えば該センサの前の分析サイクルにおいて該センサにより決定/測定された汗パラメータに基づいて制御する、すなわち選択及び/又は調整するように構成され得る。例えば、当該センサは第1の分析サイクルにおいてユーザの発汗量を決定することができ、ユーザの発汗量の該決定された値に依存して、該センサは、汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を次の分析サイクルで分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを制御、すなわち選択及び/又は調整することができる。しかしながら、以下で更に詳細に説明されるように、本発明の他の実施形態においては当該汗センサにより他の汗パラメータも決定できる。
【0029】
本発明の発明者は、従来技術の汗センサ及び方法が全て同じサイズを有すると共に固定されたサイズも有する流入口を使用する場合、不利になり得ることに気付いた。本発明の発明者は、全ての流入口が同じ固定されたサイズを有する従来技術のセンサは測定の精度が限られ得ることに気付いた。これは、以下で更に詳細に説明するように、例えば当該センサにより離散化方法が使用される場合に当てはまる。特に、流入口あたり特定の数より多いアクティブな汗腺が存在する場合、関連する汗の測定は精度を失い得る。この洞察に基づいて、本発明は、センサの少なくとも1つの流入口の開口のサイズを、例えば絞り機構若しくは半径方向に変化する口径に基づいて流入口の断面積又は直径を変化させることにより、及び/又は異なるサイズを有する複数の流入口から所望のサイズを有する流入口を能動的に選択することにより制御できる、すなわち選択及び/又は調整できる汗センサを提供する。異なるサイズの流入口を有するセンサの限定するものでない例は、例えば、
図1及び
図2に示される実施形態から推測でき、
図3及び
図4の実施形態は、前述された制御を介して断面積又は直径が調整可能な開口を備えた流入口を使用する汗センサの異なる実施形態を示す。
【0030】
当該汗センサは、
図3及び
図4に示される特定の実施形態について先に説明したように、開口のサイズを調整可能な1個のみの流入口を有し得ることに留意されたい。該センサは、異なるサイズの開口を備えた少なくとも2つの異なるサイズの流入口を有することもでき、これらの2つの実施形態は勿論組み合わせることができ、調整可能な断面積/直径を備える又は、例えば
図2から分かるように、複数の異なるサイズの開口を備える一層多くの流入口に拡張することもできる。
【0031】
本発明の汗センサによれば、汗は皮膚から例えば円筒状チャネルを介して当該センサ内に輸送され得、したがって、流入口は
図2に例示的に示されるように円形形状を有し得る。それにも拘わらず、本発明は、例えば方形の流入口又は三角形断面を持つ流入口等の他の形状/幾何学構造を排除するものではない。
図2から分かるように、異なるサイズの複数の流入口を流入口間の空き空間がほとんど生じないように設けることができ、このことは、センサを小さく保つと共に、装着者、すなわちユーザにとり邪魔にならないようにするために望ましい。
【0032】
「分析ユニット」という用語は、本発明の文脈において広く理解されるべきであることに留意されたい。該ユニットは、センサにより取り込まれた汗を該汗の測定を実行することにより分析できる如何なる装置も含むものとする。特に、当該分析ユニットは、以下でより詳細に説明するように、例えば、発汗量(発汗速度)又は流入口あたりのアクティブな汗腺の数等の汗パラメータを決定するように構成され得る。例えば、本発明の分析ユニットは、流体流量センサ、GSRセンサ又は電気化学センサを含み得る。勿論、当業者には明らかなように、このような分析ユニットを実施化するために従来技術の装置及び方法を使用することができる。
【0033】
更に、本明細書に示される「ユーザ」という用語は、人間及び動物も含むと理解されるべきであることに留意されたい。したがって、本発明の汗センサ及び方法は、人間に適用され得るのみならず、動物にも適用できる。特に、家畜の監視は、本発明の有用な用途である。
【0034】
本発明の文脈において、「流入口の開口のサイズ」という用語は、流入口の開口の断面積を記述することに留意されたい。このように、該サイズは、例えば
図1、
図3及び
図4に関して記載される実施形態ら明らかなように、皮膚に投影される流入口の開口の断面積である。したがって、当業者は、このフィーチャを流入口の皮膚接触領域と理解するであろう。開口の断面積の代わりに、以下では断面積を面積とも呼ぶであろう。
【0035】
当該汗センサは、1つの分析ユニットだけでなく、複数の分析ユニットを備えることもできる。好ましい実施形態においては、センサの各々の異なる流入口に対して、例えば
図1及び
図5の異なる実施形態から分かるように、別個の分析ユニットが設けられる。
【0036】
本開示から当業者には明らかとなるように、当該汗センサは、装着者に目立たないセンサを提供するための幾つかの方法が本明細書に提示されているように、ユーザにより日常生活で携帯できるウェアラブルセンサである。
【0037】
したがって、好ましい実施形態において、本発明の汗センサはプロセッサ又はマイクロコントローラを備え、該プロセッサ又はマイクロコントローラは、該センサが汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを、前述され及び後述するように、1以上の流入口の開口の断面積を変更することにより、及び/又は特定のサイズの流入口を選択することにより制御するように構成されたる。このように、この実施形態において、上記制御を実行するのは該汗センサのプロセッサ又はマイクロコントローラである。
【0038】
好ましい実施形態において、当該センサは流入口のサイズが依然とし適切であるか、又はアクティブな汗腺の数、汗腺の密度若しくは発汗量が大幅に変化したため変更されるべきかを定期的に(例えば、毎秒、毎分又は30分毎に)チェックする。このために一定の時間経過を使用する代わりに、心拍数又は皮膚電気伝導度の増加/減少のようなトリガを使用することもできる。
【0039】
他の実施形態によれば、当該汗センサは、好ましくはプロセッサ又はマイクロコントローラにより:
前記センサにより汗が取り込まれる流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定し;及び
前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数を、流入口あたりのアクティブな汗腺の数に関する基準設定と比較する;
ように構成され、
当該汗センサは:
A)前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数が前記基準設定で定義された流入口あたりのアクティブな汗腺の予め定められた最小数より小さい場合に、前記少なくとも1つの流入口の開口のサイズを増加させることにより、及び/若しくは、次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して大きな開口を持つ1以上の流入口を選択することにより;並びに/又は、
B)前記決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の数が前記基準設定で定義された流入口あたりのアクティブな汗腺の予め定められた最大数より大きい場合に、前記少なくとも1つの流入口の開口のサイズを減少させることにより、及び/又は次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して小さな開口を持つ1以上の流入口を選択することにより;
前記サイズを制御するように構成される。
【0040】
この実施形態についての更なる詳細が、以下に説明される。
【0041】
例示的実施形態によれば、前記1以上の分析ユニットは、取り込まれた汗を分析することによりユーザの汗パラメータを決定するように構成される。更に、該センサは、汗を取り込むと共に取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを、1以上の分析ユニットにより決定された汗パラメータに基づいて制御するように構成される。
【0042】
当該分析ユニットにより決定される汗パラメータの例は、ユーザの発汗量及び流入口/面積あたりのアクティブな汗腺の数である。該パラメータを決定する方法の異なる実施形態を、以下に詳細に説明する。
【0043】
複数の分析ユニットが当該汗センサにより設けられる場合、各分析ユニット、例えば当該センサの各流入口に対応して設けられる各分析ユニットは、例えば対応する流入口あたりの発汗量又はアクティブな汗腺の数等の汗パラメータを決定するように構成される。限定するものでない例として、分析ユニット108、109及び110を備える
図1に示されたセンサが参照され、これら分析ユニットの各々は、ユーザの発汗量を対応する流入口により取り込まれた汗に基づいて測定するように構成される。
【0044】
以下では、センサの1以上の分析ユニットが流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定するように構成される一方、該センサが次の分析サイクルにおいて汗を取り込むと共に取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口のサイズを制御、したがって選択するように構成される例が提示される。3つのサイズの流入口が、ここに提示される実施形態の非常に実用的な構成である。該3つのサイズは、例えば0.005cm2、0.02cm2及び0.1cm2であり、これらは、円形の流入口が使用される場合、各々、0.4mm、0.8mmm及び2mmの半径に対応する。
【0045】
当業者には理解されるように、センサにより使用される流入口の開口の最も適切なサイズを決定することは、該センサにより各測定で以前に決定された流入口あたりのアクティブな汗腺の決定された数に基づくものであり得る。最小の流入口のほとんどが流入口あたり0のアクティブな汗腺を示し(例えば、最小の流入口に対し、流入口あたり平均で0.09のアクティブな汗腺)、中間の流入口のほとんどが流入口あたり1つ又は 2つのアクティブな汗腺を示し(例えば、中間の流入口に対し、流入口あたり平均で1.5のアクティブな汗腺)、最大の流入口が流入口あたり10個以上のアクティブな汗腺を示す(これは、非常に大きいため、最早信頼できない数である)場合、センサは上記中間の流入口を最も適切なサイズを有するものとして選択する。例えば該センサ内に記憶された基準設定が、5を超えるアクティブな汗腺を用いる測定値は十分に正確ではないと定義するからである。このように、該センサは、次の分析サイクルのために中間のサイズの流入口のみを選択し又は中間のサイズの流入口の分析ユニットのみを起動するための対応する制御信号を送信し、その場合、該選択/起動された流入口からの汗のみが、取り込まれた汗の次の測定のために使用される。次の測定、すなわち後続の分析サイクルにおける測定は、ここでも流入口あたりのアクティブな汗腺の数の決定であり得るが、この測定は取り込まれた汗の他のパラメータも決定し得る。
【0046】
したがって、当該センサは、流入口あたりのアクティブな汗腺の決定された汗パラメータに基づいて、次の分析サイクルのために中間のサイズの流入口を選択するように構成される。このことは、該センサが、この中間サイズの流入口により取り込まれた汗のみを分析することを意味する。したがって、該センサ又は該センサに含まれ得るプロセッサは、適切であるとして決定されたもの以外のサイズの流入口から生じるデータを処理することはない。このように、最も適切なサイズの流入口のみが次の分析サイクルのために使用され、該センサは、これを上記にしたがって、センサの開口の断面積又は直径の大きさを調整することにより、及び/又は適切でないサイズの流入口により取り込まれた汗からは分析データを生成しないことにより又は適切でないサイズの流入口に対応する分析ユニットにより生成されたものであり得るデータを無視することにより制御できる。
【0047】
ここでは3つの異なるサイズの流入口の面積は、概ね分かっているので、必要なら、アクティブな汗腺の密度も当該汗センサにより計算できる。このような密度は、面積により除算されたアクティブな汗腺の数として定義されるであろう。
【0048】
以下に他の実施形態に関連して説明されるように、前記1以上の分析ユニットはユーザの取り込まれた汗中の生体分子の濃度を測定するように構成され、前述した例において、該センサは該生体分子の濃度を適切な中間サイズを有する流入口から到来する汗のみに基づいて決定するであろう。
【0049】
アクティブな(活性状態の)汗腺の数を決定するための最も適切なサイズの流入口を決定するための他の例示的な方法は、測定された発汗量(発汗速度)を使用することによるものである。発汗量はアクティブな汗腺の数と相関するためである。例えば、発汗量が5nl/分/cm2より少ない場合は最大の流入口が使用され、発汗量が5~100nl/分/cm2の場合は中間の流入口が使用され、発汗量が100nl/分/cm3を超える場合は最小の流入口が使用される。このように、この例において、汗センサは設けられた分析ユニットで発汗量を決定できると共に、それにしたがって、汗を取り込むと共に次の分析サイクルにおいて該取り込まれた汗を分析するために使用される流入口の開口のサイズを制御することができる。
【0050】
他の例においては、時間により変化する流入口サイズを次のように使用できる。固定サイズの流入口の代わりに、流入口あたりの決定されたアクティブな汗腺の数に対して又は決定された現在のアクティブな汗腺密度に対して適切なサイズを得るために、サイズを適応させる流入口を使用することができる。先に説明したものと同様に、適切なサイズは、前の分析サイクルにおいて当該センサにより決定されたアクティブな汗腺の数に基づくものとすることができる。例えば、流入口あたり10個を超えるアクティブな汗腺が測定された場合、サイズは減少され得る。他の例として、発汗量を決定でき、調整可能な開口サイズを有する1以上の流入口のサイズを減少させることができる。
【0051】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該汗センサは複数の流入口を備え、該複数の流入口の少なくとも幾つかは、開口サイズ/皮膚への投影断面積が異なる。該センサは、汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用する特定のサイズの流入口を選択するように構成される。
【0052】
特定のサイズの流入口を選択するためのセンサの構成は、そのように選択された流入口により取り込まれた汗だけが次の分析サイクルにおいて処理するために使用され、このように選択された流入口により取り込まれた汗を分析する分析ユニットが起動されるようにする、ことを意味することに留意されたい。例えば、全ての分析ユニットが標準手順として起動される場合、当該センサのプロセッサは、そのように選択された流入口の分析ユニットから到来するデータのみを処理し、考慮に入れるようにする。
【0053】
このような特定のサイズを有する流入口の選択の例示的実施形態が、例えば
図1、
図2及び
図5に示される実施形態の文脈において、以下に更に詳細に説明される。
【0054】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該汗センサはプロセッサを有し、該プロセッサはユーザの決定された汗パラメータを該汗パラメータに関する基準設定と比較するように構成される。該プロセッサは、好ましくは上記比較の結果に基づいて、流入口開口の目標サイズ/面積を決定するように構成される。該センサは、決定された目標サイズ/面積の開口サイズを有する流入口により取り込まれた汗のみを考慮するように構成される。
【0055】
当業者には理解されるように、上記プロセッサは、或る範囲の目標サイズを決定するように構成することもでき、この範囲内の目標サイズ/面積に入る流入口により取り込まれた汗のみを考慮することができる。
【0056】
限定するものでない例で前述したように、当該センサ内に閾値又は基準設定を記憶することができ、該汗センサは、これらを、決定された汗パラメータの現在測定された値と比較でき、それにしたがって、次の分析サイクルで汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用される1以上の流入口の開口のサイズを適合させることができる。
【0057】
本発明の発明者は、当該センサが後に分析される汗を取り込むために使用する流入口の開口のサイズが、例えば発汗量又はアクティブな汗腺の数等の汗パラメータの現在測定された値に依存して制御されるならば、該汗センサの精度が改善され得ることに気付いた。特に、発明者は、従来技術の汗センサは、汗センサが流入口当たり最小数のアクティブな汗腺の数が汗測定のために存在することのみならず、更に重要なことに、流入口当たり過度に多くのアクティブな汗腺が汗測定のために存在しないことを保証する場合に、精度が改善され得ることに気付いた。この実施形態は、センサの適切なサイズの流入口で汗パラメータが正しく測定されることを保証する1つの方法である。
【0058】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該汗センサは、該センサにより断面積を調整可能な開口を備える少なくとも1つの流入口を有する。
【0059】
当業者には明らかなように、皮膚表面上に投影された断面積を調節可能な開口を備える少なくとも1つの流入口が存在する。好ましい実施形態において、当該汗センサは、該センサにより制御され得る直径が調整可能な開口を備えた少なくとも1つの流入口を有する。
【0060】
流入口開口の可変サイズは、例えば
図4の実施形態の文脈で説明されたもののような良く知られた機械的絞り等の、例えば絞りと同様の技術を使用することにより達成できる。他の代替例は、例えばSeo Gyun Kim他の文献:“Human-Iris-Like Aperture and Sphincter Muscle Comprising Hyperelastic composite Hydrogels Containing Graphene Oxide”,Macromol.Mater.Eng.2019,304,1800560に記載されているような、加熱又は冷却に敏感なドーナツ状の柔らかな超弾性複合ヒドロゲルベースの開口を用いるもっと最近の技術である。
【0061】
図4の絞りは、常に非常に滑らかな円形の孔を形成する。しかしながら、
図3の実施形態に示される代替的応用においては、決定された汗パラメータの値及びセンサに記憶された閾値又は参照設定に依存して一層大きな又は一層小さな開口を提供するように機械的に及び/又は電気的に作動され得る方形エレメント等の、遙かに単純な形態も可能である。
【0062】
勿論、当該センサにより断面積/直径を調整可能な開口を備える流入口に提供するために、他の材料及び機構を使用することもできる。
【0063】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該汗センサはプロセッサを備え、該プロセッサはユーザの決定された汗パラメータを、該汗パラメータの基準設定と比較するように構成される。該プロセッサは、流入口開口の目標サイズ/面積を決定するように構成される。更に、該センサは、調整可能な開口径を備える少なくとも1つの流入口の断面積を、決定された目標サイズ/面積に基づいて、又は該決定された目標サイズ/面積に調整するように構成される。
【0064】
当該センサの1以上の分析ユニットにより決定される汗パラメータは、好ましくは、ユーザの発汗量(発汗速度)又は流入口あたりのアクティブ汗腺の数である。この汗パラメータの現在測定され、したがって決定された値に基づいて、プロセッサは、これを基準設定と比較し、次の分析サイクルに使用されるべき流入口開口の何のサイズが適切であるかを決定する。したがって、該センサは、調節可能な開口断面積/直径を持つ少なくとも1つの流入口の断面積(例えば、直径)を、該決定された目標サイズに制御するように構成される。上記目標サイズ/面積が或る範囲の目標サイズ/面積として定義され、該センサが、それに応じて、1以上のサイズ調整可能な開口の断面積/直径の調整を制御することもできる。
【0065】
本発明の他の例示的実施形態によれば、前記1以上の分析ユニットにより決定される、ユーザの上記決定される汗パラメータは、ユーザの発汗量(発汗速度)、及び流入口あたり及び/又は面積あたりのアクティブな汗腺の数のうちの少なくとも一方である。
【0066】
ユーザの発汗量の測定及び決定は、種々の異なる方法で適用できる。例えば、発汗量は、例えば温度差に基づく現状技術の流量センサで決定できる。ユーザの発汗量の斯かる決定に関する更なる詳細が、以下に更に詳細に示される。しかしながら、発汗量は、特定のサイズを有する液滴の数を計数することにより決定することもできる。これは、例えば、国際特許出願公開第WO2019/183529A1に提案及び記載されている“Digital Volume Dispensing System”と呼ばれるEccrine Systems/University of Cincinnatiの汗センサで使用される方法である。
【0067】
更に、発汗量の決定はモル浸透圧の測定値を使用することもできる。原理的に、ユーザの身体は全てのイオンを取り除きたくないため、汗が汗腺から汗管を介して皮膚表面に輸送される間に、汗管で再吸収しようとする。しかしながら、発汗量が高い場合、この再吸収は十分に行われない。イオンは僅かな程度にしか再吸収されない。したがって、汗中の特定のイオン、特に Na+及びCl-の濃度は、発汗量が高い場合は高く、発汗量が低い場合は低くなる。このように、この濃度、すなわち浸透圧を、発汗量測定の代用として測定できる。その意味で、これは汗の代理測定であり、本発明の例示的実施例において使用できる。
【0068】
同様に、pHも使用できる。発汗量の他の代用、代用測定は、前述し及び後述するように、電気皮膚反応(GSR)である。したがって、ユーザの発汗量の決定は、前述し及び後述するように、例えば流量センサを使用することによる直接的な発汗量測定であり得る。代替的に又は追加的に、特定のイオン、特にNa+及びCl-の濃度の測定のような代理測定も、本発明の該実施形態に含まれ得る。生理学的背景についての詳細は、Biomicrofluidics 9、031301に掲載されたZ.Sonner他の科学記事:“The microfluidics of the eccrine sweat gland, including biomarker partitioning, transport, and biosensing implications”に見られる。
【0069】
本発明の例示的実施形態によれば、当該汗センサはプロセッサを有し、該プロセッサは該センサの第1の分析サイクルで決定された汗パラメータの第1の値を、該センサの第2の分析サイクルで決定された汗パラメータの第2の値と比較するように構成され、上記第2の分析サイクルは第1の分析サイクルに後続するものである。更に、該センサは、第2の値が第1の値を超える場合、該センサが汗を取り込むために使用すると共に、次の分析サイクルで該取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズ/断面積を減少させるように構成される。
【0070】
該実施形態の一例において、汗パラメータは、例えば、ユーザの汗パラメータであり、当該汗センサによりユーザの発汗量が特定の閾値を超えて増加したことが決定された場合、該センサは、該センサが取り込み及び分析のために使用する1以上の流入口の開口のサイズ/面積を減少させるか、又は対応する制御信号を生成して、固定の開口サイズを有する適切な流入口を選択する。言い換えると、当該センサは、該センサにより各々の断面積(例えば、直径)を調節可能な開口を各々が有する1つ以上の流入口を調節でき、及び/又は該センサは、一層小さなサイズ/面積の流入口を選択する。同じことが、例えば、前述したように前記分析ユニット又は複数のユニットにより決定される流入口あたりのアクティブな汗腺の数にも当てはまり得る。このようにして、この汗センサは、当該プロセッサの次の分析サイクルにおいて流入口あたりの過度に多くの数のアクティブな汗腺が使用されないことを保証する。前述したように、このことは、当該汗センサの測定精度を改善する。
【0071】
本発明の他の例示的実施形態によれば、前記1以上の分析ユニットはユーザの汗腺あたりの発汗量を決定するように構成され、該分析ユニットはユーザの取り込まれた汗中の生体分子の濃度を測定するように構成される。当該センサは、更に、ユーザの血液中の生体分子の濃度を、決定された汗腺あたりの発汗量に基づいて及び取り込まれた汗中の生体分子の測定された濃度に基づいて推定するように構成される。
【0072】
汗中の例えば乳酸等の生体分子の濃度は、血液中の濃度に変換でき、したがって、汗のモニタリングは患者をモニタリングする理想的な目立たない方法を提供する。この変換を妨げる問題は、汗の濃度と血中濃度との間の相関関係が汗腺あたりの発汗量に依存するという事実である。汗腺あたりの発汗量を決定するために、アクティブな汗腺の数が決定される。この数は、人及び身体の位置に依存するだけでなく、時間的にも変化し得る。汗腺あたりの発汗量を測定する従来技術の汗センサは、これを、表面積あたり特定の範囲のアクティブな汗腺に対してしか行うことができない。しかしながら、本発明の汗センサは、様々なサイズの流入口を使用することにより、この範囲を拡大する。したがって、ユーザの血液中の生体分子の濃度の改善された推定又は決定が提示される。
【0073】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該汗センサは、該センサによりサイズが調整可能な各開口を備える複数の流入口を有する。該センサは、取り込まれた汗から、ユーザの発汗量及び/又はユーザのアクティブな汗腺の数を決定するように構成される。該センサは、複数の流入口の全ての流入口を、決定された発汗量に基づいて及び/又は決定されたアクティブな汗腺の数に基づいて、同じ開口サイズに導くように構成される。
【0074】
本発明の例示的実施形態によれば、当該センサのチャンネル(例えば、流体チャンネル)内又は該チャンネルの周りに配置された流量センサが提供され、該チャネルは少なくとも1つの流入口を分析ユニットに接続する。該流量センサは、汗の発汗速度(発汗量)を測定するように構成される。
【0075】
「発汗量(発汗速度)」という用語は、本明細書では「排出率」という用語と同義的に使用され、「汗」又は「取り込まれた汗」は「排出された汗」と理解されるべきであることに留意されたい。
【0076】
好ましい実施形態によれば、当該流入口が配置される複数のサンプル領域のうちの1以上は、空洞に接続されたチャネルを備えることができる。当該センサは、上記チャネル内に配置された流量センサであり得、サンプル領域で排出される汗の排出量を測定することができる。上記チャネル及びサンプル領域は、該サンプル領域で排出された汗が上記空洞を少なくとも部分的に満たし、上記チャネルに沿って流入し、及び上記流量センサと作用し合うように配置され得る。
【0077】
したがって、該チャネルは実効的に上記空洞の流出口を形成し得、該空洞内に集められた汗が該チャネルを通って該空洞から流出するようにする。当該センサは該チャネル内に配置できる。該チャネルは、上記空洞の上部、すなわち該空洞の皮膚の表面に対面する上面の中央に配置され得る。該チャネルは、主空洞に取り付けられた円筒状チャネル及び該円筒状チャネルに取り付けられた長方形チャネルを有し得る。該チャンネル内には、1以上の生体分子濃度センサを配置できる。
【0078】
前記流量センサは、上流側の温度センサ、下流側の温度センサ、及びパルス加熱エレメントを備えることができる。排出速度は、パルス加熱エレメントに対して上流側温度センサにより測定された温度と下流側温度センサにより測定された温度との間の差を計算して、流速測定値を導出することにより;及び該流速測定値を時間の関数として積分して、排出率を得ることにより;測定することができる。上記パルス加熱エレメントは、上流側温度センサと下流側温度センサとの間に配置され得る。当該センサは、異なる流体を使用した工場検査において事前に較正され得る。
【0079】
本発明の他の態様によれば、ユーザの皮膚からセンサにより取り込まれたユーザの汗を分析する方法が提供される。この方法は、センサの1以上の流入口を介してユーザの皮膚から汗を取り込むステップ、及び該取り込まれた汗の少なくとも幾らかをセンサの分析ユニットにより分析するステップを含む。更に、この方法は、上記取り込まれた汗の分析結果に基づいて、当該センサが汗を取り込み、該取り込まれた汗を次の分析サイクルで分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを制御するステップを含む。該サイズの制御は、少なくとも1つの流入口の調節可能な開口のサイズを増減することにより、及び/又は次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された流入口の開口のサイズと比較して大きい開口又は小さい開口を備える1以上の流入口を選択することにより実行される。
【0080】
先に詳細に説明したように、上記サイズを制御するとは、1以上の対応する流入口の開口の断面積を調整することと理解されるべきである。
【0081】
この方法を実行するために使用できるセンサは、先に詳細に説明したように、開口の異なる開口サイズ/断面積を備える固定サイズの流入口を有することができ、時間により変化する調整可能な流入口のサイズ/面積を有することができ、これら両方の組み合わせを使用することもできる。言い換えると、この制御は、本明細書に記載される両方の実施形態をカバーする。すなわち、例えば
図1、
図2及び
図5に示される実施形態の文脈で説明されるように、汗を取り込み及び分析する次の分析サイクルのためにセンサにより選択的に選ばれる固定サイズの流入口を使用する実施形態をカバーする。しかしながら、この制御は、例えば
図3及び
図4に示されるような開口を備えた流入口を使用することにより、時間により変化する流入口面積サイズが使用される他の実施形態にも適用される。
【0082】
本発明の発明者は、自身の研究において、ユーザの汗の測定及び分析は流入口のサイズ/面積が現在測定されているユーザの汗パラメータに基づいて調整される場合、精度が改善され得ることを見いだした。特に、本発明の方法によれば、このような汗センサにより、例えば、流入口あたり過度に少ない数のアクティブな汗腺が測定に使用されることがなく、且つ、過度に多くの数のアクティブな汗腺が使用されることもないことが保証され得る。言い換えると、本明細書に提示される方法は、汗を取り込み、その後に該汗を分析するために使用される1以上の流入口の開口の最適なサイズ/面積が実現されることを保証できる。
【0083】
前述したように、好ましい実施形態において、センサが汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを、該1以上の流入口の断面積を変化させることにより、及び/又は特定のサイズの流入口を選択することにより制御するステップは、該センサのプロセッサ又はマイクロコントローラにより実行される。
【0084】
以下では、固定サイズの流入口面積のための処理方法が説明される。当該プロセッサがデータを処理するための種々のオプションが存在する。最も特徴的な方法は次のとおりである。
A.プロセッサは、アクティブな汗腺の数/汗腺密度を決定するために、最も適切なサイズ/面積の流入口からの情報のみを使用する。
B.プロセッサは、探索される領域におけるアクティブな汗腺の数をカウントするために、全ての流入口からの情報を使用する。
C.プロセッサは、多い数のアクティブな汗腺に対して方法Aを使用する一方、少ない数のアクティブな汗腺に対して方法Bを使用する。
【0085】
[ケースA - 最適なサイズ/面積の流入口のみ]
最も適切なサイズ/面積の決定は、特定のサイズの流入口あたりどれだけ多くのアクティブな汗腺が測定されるかに基づくものであり得る。例えば、3つのサイズの流入口が存在し、最も小さい流入口のほとんどは0のアクティブな汗腺を示し(例えば、最小の流入口に対し、流入口あたり平均で0.09のアクティブな汗腺)、中間の流入口のほとんどは流入口あたり1つ又は2つのアクティブな汗腺を示し(例えば、中間の流入口に対し、流入口あたり平均で1.5のアクティブな汗腺)、最大の流入口が流入口あたり10個以上のアクティブな汗腺を示す(これは、非常に大きいため、もはや信頼できない数値である)場合、結論は中間の流入口が最も適切なサイズ/面積を有するということである。ケースAでは、これらの流入口のみがアクティブな汗腺の数を決定するために使用される。中間サイズの流入口の面積は既知であるため、必要に応じて、アクティブな汗腺の密度も決定できる(すなわち、密度=数/面積)。バイオマーカ濃度を中間サイズの流入口のみから到来する汗から決定するか、該濃度をシステム内の全ての汗、すなわち全ての流入口から到来する汗から決定するかの選択肢が依然として存在する。アクティブな汗腺の数を決定するための最も適切なサイズの流入口を決定する他の方法は、測定された発汗量(発汗速度)を使用することによるものである。発汗量はアクティブな汗腺の数と相関するためである。例えば、発汗量が5nl/分/cm2より低い場合は最大の流入口が使用され、発汗量が5~100nl/分/cm2の場合は中間の流入口が使用され、発汗量が100nl/分/cm2よりも高い場合は最小の流入口が使用される。
【0086】
[ケースB - 全ての流入口]
アクティブな汗腺の数を決定するために全ての流入口を使用することは、アクティブな汗腺の密度が低い場合に可能である。しかしながら、アクティブな汗腺の密度が増加すると、これは一層不正確になる。より大きな流入口が、多くのアクティブな汗腺により供給されるからである。この問題を解決するために、オプションCが存在する。
【0087】
[ケースC - 発汗量が高い場合は方法Aを使用し、発汗量が低い場合は方法Bを使用する]
このケースは、ケースBで述べた問題を解決するためのものである。どちらの方法 A又はB)を使用するかの決定は、(ケースAで説明したものと同様に)発汗量又は決定されたアクティブな汗腺の数に基づくものであり得る。
【0088】
「中間のケース - 全てのサイズではないが、幾つかのサイズの流入口を使用」
中間のケースの例は、最小サイズの流入口及び中間サイズの流入口がアクティブな汗腺の数を決定するために使用される一方、最大サイズの流入口は当該目的には使用されない場合である。(注: 最大の流入口は、バイオマーカ濃度の決定に依然として使用され得る、又は該目的にさえ使用され得ず、完全に無視され得る。)
【0089】
以下では、時間的に変化する流入口サイズの操作及び処理方法が説明される。
【0090】
固定サイズを有する流入口の代わりに、現在のアクティブな汗腺密度に適したサイズを得るためにサイズを適応させる流入口を使用することができる。前の段落でケースAに関して説明したのと同様に、適切なサイズ/面積は、現在測定されているアクティブな汗腺の数(例えば、流入口あたり10個を超えるアクティブな汗腺が測定される場合、サイズは減少されるべきである)又は発汗量(例えば、<5nl/分/cm2の場合、サイズを流入口開口の断面積が大きくなるように増加させる)に基づくものであり得る。
【0091】
流入口のサイズは個別に操作できる(すなわち、全ての流入口は、当該特定の流入口に関して決定されたアクティブな汗腺の数又は発汗量に基づいて、自身の最良なサイズを取ることができる)。しかしながら、最も単純な適用例は、小さく、したがって皮膚面積のごく一部(おそらく1cm2程度)しかカバーしないウェアラブルセンサであると予想されるので、当該面積にわたるアクティブな汗腺密度大きな変動は予想されず、したがって、全ての流入口を同じサイズに操作することが適切であろう。
【0092】
流入口のサイズが依然として適切であるか、又はアクティブな汗腺の密度が大幅に変化したために変更されねばならないかを、定期的に、例えば毎秒、毎分又は30分毎に、チェックできる。この目的のために一定の時間経過を使用する代わりに、心拍数又は皮膚電気伝導度の増加/減少等のトリガを使用することもできる。
【0093】
各時点において、全ての流入口はアクティブな汗腺密度に適したサイズを有するので、全ての流入口から収集された汗は、例えばバイオマーカ濃度の更なる分析のために使用できる。
【0094】
特に、当該方法は、当該センサの1以上の分析ユニットを用いて、該センサが第1の分析サイクルに基づいてこれに使用される流入口の開口サイズ/面積を適合させた後に、アクティブな汗腺の数を決定するために使用することができる。したがって、第1の分析サイクルにおいて、ユーザの汗パラメータを決定でき、これにしたがって、1以上の流入口の開口のサイズが、他の分析サイクルが第2の分析サイクルにおいて汗パラメータ及び/又は生体分子濃度を決定する前に制御される。
【0095】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該方法は、センサにより汗が取り込まれる流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定するステップを含む。更に、該決定されたアクティブな汗腺の数は、アクティブな汗腺の数の該パラメータに関する基準設定と比較される。決定されたアクティブな汗腺の数が、基準設定で定義されたアクティブな汗腺の予め定められた最小数を下回る場合、該方法は、少なくとも1つの流入口の開口のサイズを大きくする、及び/又は次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して大きな開口を持つ1以上の流入口を選択するステップを含む。言い換えると、この方法においてアクティブな汗腺の数が少なすぎると判断された場合、該方法は、次の分析サイクルにおいて、使用される流入口の開口のサイズが増加されることを保証する。
【0096】
更に、流入口あたりの決定されたアクティブな汗腺の数が、基準設定で定義されたアクティブな汗腺の予め定められた最大数を超える場合、該方法は、少なくとも1つの流入口の開口のサイズ/面積を減少させ、及び/又は次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された1以上の流入口の開口のサイズと比較して小さい開口を備えた1以上の流入口を選択するステップを有する。
【0097】
言い換えると、予め定められた最大閾値を超える数のアクティブな汗腺が現在測定されていることが当該方法により検出された場合、使用される流入口の開口のサイズは減少される。
【0098】
本発明の他の例示的実施形態によれば、当該方法は、ユーザの発汗量を決定すると共に、該決定された発汗量を使用して、センサにより汗が取り込まれる流入口あたりのアクティブな汗腺の数を決定するステップを含む。
【0099】
言い換えると、この実施形態においては、アクティブな汗腺の数が少ない場合は流入口のサイズ/面積は大きくなければならず、アクティブな汗腺の数が多い場合は小さくなければならないことが、当業者に教示される。更に、発汗量が多い場合は流入口のサイズ/面積は小さく、発汗量が少ない場合は流入口のサイズ/面積は大きい。更に、発汗量を使用して、アクティブな汗腺の数を概算できる。これは、特定の数の、特に最大の数の流入口あたりのアクティブな汗腺を目標とすることと理解できる。
【0100】
本発明の他の態様によれば、ユーザの皮膚からセンサにより取り込まれるユーザの汗を分析するためのプログラム要素が提供される。該プログラム要素は、プロセッサにより実行された場合に、取り込まれた汗の少なくとも幾らかをセンサの分析ユニットにより分析し、該取り込まれた汗の分析の結果に基づいて、該センサが汗を取り込むと共に後の分析サイクルで該取り込まれた汗を分析するために使用する当該汗センサの1以上の流入口の開口のサイズを制御するように構成され、該サイズの制御は、少なくとも1つの流入口の調整可能な開口のサイズを増減することにより、及び/又は次の分析サイクルのために前の分析サイクルで使用された流入口の開口のサイズと比較して大きい開口又は小さい開口を備える1以上の流入口を選択することにより実行される。
【0101】
当該プログラム要素は、コンピュータプログラムの一部とすることができるが、それ自体でプログラム全体とすることもできる。例えば、該プログラム要素を使用して、既存のコンピュータプログラムを更新し、本発明に到達することができる。
【0102】
当該プログラム要素は、例えば、USBスティック、CD、DVD、データ記憶装置、ハードディスク、又は上述したプログラム要素を記憶できる任意の他の媒体等の記憶媒体のようなコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。
【0103】
以下では、上記及び下記において「離散化センサ/方法」と称される、本発明の汗センサ及び関連する方法の異なる実施形態が説明される。対応するセンサは、そのような方法を実行するように構成されると理解されたい。これらの離散化方法は、本明細書で説明されるように、流入口又は面積あたりのアクティブな汗腺の数を決定し、及び/又は発汗量又は汗腺あたりの発汗量を決定するための方法及びセンサの例である。当業者には明らかなように、これらのパラメータを決定するために他の方法/センサを使用することもできる。これらのセンサ及び方法は、本発明の概念と組み合わせて、さまざまなサイズの流入口及び/又はサイズ調整可能な流入口を備えた汗センサ、並びにそれらの選択及び/又は調整のための方法を提供することができる。
【0104】
第1の離散化方法は、センサの異なる流入口/サンプル領域を、汗ボリューム(体積)のx、2x、3x、4x等の汗の取り込み離散ボリュームレベルに分類し、ここでxは、単一の汗腺により排出される汗の推定量、すなわち基本排出量である。サンプル領域とは、皮膚から汗を取り込み、流入口により画定される領域(面積)と理解されるべきである。
【0105】
この離散化方法を使用する場合、この実施形態の汗センサはユーザの汗腺あたりの汗排出率を決定するように構成され、該センサは、ユーザの皮膚と接触して該ユーザの皮膚の表面において汗腺から排出される汗を収集するように構成された流体構造を備え、該流体構造は、各々が排出された汗を集めるように構成された空洞を有する複数のサンプル領域を含み、該複数のサンプル領域のうちの2以上は、当該サンプル領域で排出された汗の排出率に関するセンサデータを取得するように構成された分析ユニットを有する。また、プロセッサも設けられ、該プロセッサは、上記流体構造におけるセンサのうちの2以上からセンサデータを受信し、該受信されたセンサデータから、各サンプル領域における汗腺の数及び当該サンプル領域の総汗排出率を決定し、各サンプル領域における汗腺の数から、汗腺の総数を決定し、及び上記総汗排出率及び総汗腺数を用いて、汗腺あたりの汗排出率を決定するように構成される。
【0106】
一実施形態によれば、各サンプル領域における汗腺の数は、受信されたセンサデータから、サンプル領域におけるゼロの汗腺に対応するゼロ排出率を決定して、所定の閾値を下回るセンサデータがゼロ排出率と分類されるようにし;受信されたセンサデータから、サンプル領域における1つの汗腺に対応する基本排出率を決定して、該基本排出率の倍数が1つの汗腺の倍数に対応するようにし;各サンプル領域からのセンサデータをゼロ排出率、基本排出率及び基本排出率の倍数に従い分類して、各サンプル領域における汗腺の数を決定する;ことにより決定される。
【0107】
一実施形態によれば、当該プロセッサは、サンプル領域の総汗排出率を、ゼロ排出率と分類されたサンプル領域以外の全てのサンプル領域からのセンサデータを合計することにより決定し;汗腺の総数を、各サンプル領域において決定された汗腺の数を合計することにより決定し;及び汗腺あたりの汗排出率を、総汗排出率を汗腺の総数で除算することにより決定する;ように構成される。
【0108】
一実施形態によれば、前記複数の空洞のうちの1以上は複数の円錐構造に分離され、各円錐構造の中心は、皮膚が第1の位置にあるときは皮膚と接触する一方、皮膚が第2の位置にあるときには皮膚と接触せず、排出された汗が当該円錐構造の間を流れるようにする。
【0109】
一実施形態によれば、当該汗センサは、排出された汗中の化合物の濃度を決定するように構成された濃度センサを備える。
【0110】
一実施形態によれば、当該汗センサは三角形に配置された3以上のサンプル領域を有し、前記プロセッサは、受信されたセンサデータから、第1の時点での3つのサンプル領域の各々における排出率を決定し;受信されたセンサデータから、第1の時点の後に生じる第2の時点での3つのサンプル領域の各々における排出率を決定し;第1の時点での3つのサンプル領域における排出率の比を示す第1の時点の比を計算し;第2の時点での3つのサンプル領域における排出率の比を示す第2の時点の比を計算し;第1の時点の比と第2の時点の比との間の差を計算し;第1の時点の比と第2の時点の比との間の差が所定の閾値を超えることに応答して、当該流体構造の劣化を決定するように構成される。
【0111】
一実施形態によれば、当該汗センサは汗腺からユーザの皮膚の表面に排出される汗を収集するためにユーザの皮膚と接触するように構成された補助流体構造を有し、該補助流体構造は、排出された汗を収集するように構成された補助空洞を備える補助サンプル領域;該補助空洞に接続された補助チャネル;及び上記補助チャネル内に配置されると共に、排出された汗中の化合物の濃度を決定するように構成された濃度センサ;を有し、上記補助サンプル領域は、該補助サンプル領域で排出された汗が前記補助空洞を少なくとも部分的に満たし、前記チャンネルに沿って該チャンネルに流入し、及び前記濃度センサと作用し合うように構成され、該補助流体構造の上記補助空洞のサイズは前記流体構造の複数の空洞のうちの或る空洞よりも少なくとも100倍大きい。
【0112】
一実施形態によれば、前記複数のサンプル領域の1以上は前記空洞に接続されたチャネルを更に有し、前記センサは、該チャネル内に配置されると共に前記サンプル領域において排出される汗の排出率を測定するように構成された流量センサであり;
前記チャネル及びサンプル領域は、該サンプル領域で排出された汗が前記空洞を少なくとも部分的に満たし、前記チャネルに沿って該チャンネル内に流入し、前記流量センサと作用し合うするように配置される。
【0113】
一実施形態によれば、前記流量センサは上流側の温度センサ、下流側の温度センサ及びパルス加熱エレメントを有し、前記排出率は、前記パルス加熱エレメントに関して、前記上流側温度センサにより測定された温度と前記下流温度センサにより測定された温度との間の差を計算して、流速測定値を導出し;及び該流速測定値を時間の関数として積分して、排出率を得る;ことにより測定される。
【0114】
一実施形態によれば、前記流体構造は、一次交差部と、該一次交差部に接続されると共に該流体構造から排出された汗を除去するように構成された流出口チャネルとを有し、前記複数のチャネルのうちの1以上は、排出された汗が当該チャネルを経て一次交差点に、次いで流出口チャネルに流れるように、一次交差点に接続される。
【0115】
一実施形態によれば、当該汗センサは、前記複数の空洞のうちの1以上に配置されると共に親水性材料から構成される流体レベラを備え、該流体レベラは排出された汗を前記チャネルに導くように構成される。
【0116】
一実施形態によれば、当該汗センサは、排出された汗内に形成された気泡を除去するように構成された気泡除去器を有し、該気泡除去器は、親水性突起の間に複数のチャネルを画定するように順次配置された複数の親水性突起を含む第1の部分;並びに疎水性材料及び通気孔を含む第2の部分;を有し、第1の部分は第2の部分の反対側に配置され、前記気泡除去器は、チャネル及び流出口チャネルのうちの1以上に配置される。
【0117】
一実施形態によれば、当該汗センサは複数のサンプル領域を有し、該複数のサンプル領域は、第1の空洞に収集された排出された汗が隣接する空洞内に溢れることができるように互いに隣接して配置され、該センサは、前記複数のうちの或る空洞内に配置されると共に、排出された汗との相互作用に応答して前記サンプル領域の色の変化を活性化するように構成された着色センサであり、前記センサデータはサンプル領域の着色を示すデータであり、前記プロセッサは、受信されたセンサデータから、着色のないサンプル領域におけるゼロの汗腺に対応するゼロ排出率を決定し;受信されたセンサデータから、単一のサンプル領域に着色があるサンプル領域における1つの汗腺に対応する基本排出率を決定し;受信されたセンサデータから、複数の隣接するサンプル領域に着色があるサンプル領域における1つの汗腺の倍数に対応する基本排出率の倍数を決定し;各サンプル領域からのセンサデータをゼロ排出率、基本排出率及び基本排出率の倍数に従い分類して、各サンプル領域における汗腺の数を決定する;ことにより、汗腺の数を決定するように構成される。
【0118】
一実施形態によれば、前記プロセッサは、ゼロ排出率として分類されたサンプル領域以外の各サンプル領域における汗排出率を、前記空洞のボリューム(容積)をサンプル領域で着色が生じるのに掛かった時間により除算することにより決定し;サンプル領域の総汗排出率を、ゼロ排出率として分類されたサンプル領域以外の全てのサンプル領域において決定された汗排出率を合計することにより決定し;汗腺の総数を、各サンプル領域で決定された汗腺の数を合計することにより決定し;及び汗腺あたりの汗排出率を、上記総汗排出率を汗腺の総数により除算することにより決定する;ように構成される。
【0119】
上述したセンサの実施形態は第1の離散化方法に関するもので、該方法の実施形態を次に方法の実施形態として説明する。
【0120】
一実施形態によれば、ユーザの汗腺あたりの汗排出率を決定する方法が提供され、該方法は、流体構造により、ユーザの皮膚の表面で汗腺から排出された汗を、流体構造の複数のサンプル領域において排出された汗を空洞内に集めることにより収集するステップであって、各サンプル領域が空洞を有するステップ;複数のサンプル領域の1以上における2つ以上のセンサからのセンサデータとして、サンプル領域で測定された排出された汗の排出率を取得するステップ;プロセッサにより、流体構造のセンサのうちの 2つ以上からセンサデータを受信するステップ;受信されたセンサデータから、各サンプル領域における汗腺の数及びサンプル領域の総汗排出率を決定するステップ;各サンプル領域における汗腺の数から汗腺の総数を決定するステップ;並びに汗腺あたりの汗排出率を、総汗排出率及び総汗腺数を用いて決定するステップ;を有する。
【0121】
好ましい実施形態において、前記センサデータは流入口/サンプル領域において測定された排出率/発汗速度であり、各サンプル領域における汗腺の数は、受信されたセンサデータから、サンプル領域におけるゼロの汗腺に対応するゼロ排出率を決定して、所定の閾値を下回るセンサデータがゼロ排出率として分類されるようにし;受信されたセンサデータから、サンプル領域における1つの汗腺に対応する基本排出率を決定して、該基本排出率の倍数が1つの汗腺の倍数に対応するようにし;各サンプル領域からのセンサデータを、ゼロ排出率、基本排出率及び基本排出率の倍数に従い分類して、各サンプル領域における汗腺の数を決定するようにする;ことにより決定される。
【0122】
本発明の第1の離散化方法及び対応して構成されたセンサの実施形態は、例えば、
図10に示される実施形態で使用されている。
【0123】
以下では、第2の離散化方法及び対応するセンサ構成について説明する。第2の離散化方法の本質は、以下に説明するように、センサ内部でアクティブな汗腺の数を決定できることである。該方法は、各エクリン汗腺が汗をバースト状で;すなわち、汗が生成される相対的に短い期間に、汗が生成されない長い期間が後続する(例えば、30 秒間の発生成及び90秒間の非汗生成)という態様で生成するという事実を利用している。
【0124】
このように、本発明の一実施形態によれば、当該汗センサ、特に1以上の分析ユニットは汗滴を感知するように構成される。更に、該汗センサは、1以上の汗腺から汗を受け取り、該汗を離散的汗滴として1以上の分析ユニットに移送するように構成される。更に、プロセッサが含まれ、該プロセッサは、或る期間内に1以上の分析ユニットにより感知された汗滴を記録するように構成される。更に、該プロセッサは、上記期間中に連続して感知された汗滴間の時間間隔を決定するように構成されると共に;該時間間隔を使用して、対応する汗腺が汗を排出している1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの活性期間、及び対応する汗腺が汗を排出していない1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの休止期間を識別するように構成され、これら活性期間及び休止期間が1以上の汗腺に割り当てられる。
【0125】
好ましい実施形態において、上記プロセッサは、更に、活性期間及び休止期間が割り当てられた汗腺の数を決定するように構成される。
【0126】
他の実施形態において、前記プロセッサは、更に、記録された汗滴の各々の体積の尺度を受信し;及び該記録された汗滴の数、記録された汗滴の各々の体積の尺度及び決定された汗腺の数から、汗腺あたりの発汗量を決定する;するように構成され、オプションとして、該プロセッサは、記録された汗滴の各々の体積の尺度及び時間間隔に基づいて、少なくとも1つの活性期間及び少なくとも1つの休止期間を識別するように構成される。
【0127】
他の実施形態において、前記1以上の分析ユニット/センサは汗滴の体積のインジケータを感知するように構成され、前記プロセッサは該感知されたインジケータを受信するように構成される。
【0128】
他の実施形態において、前記プロセッサは、センサから受信されたデータを第1のテンプレートモデルに当てはめ、これにより、1以上の汗腺の各々の活性期間及び休止期間を特定するように構成され、上記データは少なくとも前記時間間隔、及び記録された各汗滴の体積の尺度を含む。
【0129】
他の実施形態において、第1のテンプレートモデルへの上記当てはめは、更に、少なくとも1つの活性期間中の汗滴の数、少なくとも1つの活性期間の持続時間及び/又は少なくとも1つの休止期間の持続時間を使用する。
【0130】
他の実施形態において、前記プロセッサは、前記データの第1のテンプレートモデルへの当てはめの良好度を評価し、オプションとして、該当てはめの良好度に基づいて、該データの少なくとも一部を他の第1のテンプレートモデルに当てはめるように構成される。
【0131】
他の実施形態において、前記プロセッサは、前記データを第1のテンプレートモデルに当てはめた後、該データの少なくとも一部を第2のテンプレートモデルに当てはめるように構成され、第1のテンプレートモデルは単一の汗腺から排出された汗により構成される汗サンプルから派生する汗滴の少なくとも幾らかに基づくものであり、第2のテンプレートモデルは2以上の汗腺から排出された汗により構成される他の汗サンプルに由来する汗滴の少なくとも幾らかに基づくものである。
【0132】
他の実施形態において、前記センサは、所定の体積を有する汗滴を1以上の分析ユニットに輸送するように構成される。
【0133】
他の実施形態において、前記センサは、濃度が発汗量の関数として変化する分析物の濃度に関連するパラメータを検出するための感知装置を備え、前記プロセッサは、活性期間及び休止期間を1以上の汗滴に割り当てる際に該パラメータを使用するように構成される。
【0134】
他の実施形態において、上記感知装置は導電率センサであり、上記パラメータは導電率である。
【0135】
他の実施形態において、前記センサはバイオマーカセンサを有し、オプションとして、前記プロセッサは、対応する汗腺の少なくとも1つの活性期間中に該バイオマーカセンサから複数のバイオマーカ濃度を受信し、該少なくとも1つの活性期間内において時間的なバイオマーカ濃度の変動を決定するように構成される。
【0136】
上述したセンサの実施形態は、第2の離散化方法に関するものであり、該方法を次に方法の実施形態として説明する。
【0137】
該方法は、1以上の汗腺から汗を受け取るステップ;該汗を離散的汗滴として分析ユニットに移送するステップ;該汗滴を或る期間の間に前記センサを使用して感知するステップ;該期間の間に感知された汗滴を記録するステップ;該期間において連続して感知された汗滴間の時間間隔を決定するステップ;該時間間隔を使用して、対応する汗腺が汗を排出している1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの活性期間、及び対応する汗腺が汗を排出していない1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの休止期間を特定するステップ;を有し、上記活性期間及び休止期間は1以上の汗腺に割り当てられる。
【0138】
他の実施形態において、該方法は、更に、活性期間及び休止期間が割り当てられた汗腺の数を決定するステップを有する。
【0139】
更なる実施形態において、該方法は、更に、記録された汗滴の各々の体積の尺度を受け取るステップ、及び記録された汗滴の数、記録された汗滴の各々の体積の尺度、及び決定された汗腺の数から汗滴あたりの発汗量を決定するステップを有し、オプションとして、前記少なくとも1つの活性期間及び少なくとも1つの休息期間を特定するステップは、前記記録された汗滴の各々の体積の尺度及び前記時間間隔に基づくものである。
【0140】
第2の離散化方法を使用するセンサ及び方法の特定の限定するものでない例が、
図11に示され、該図に関して説明されている。
【0141】
以下では、第2の離散化方法及びセンサが、処理の側面に焦点を当てて説明される。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、当該汗センサ、特に1以上の分析ユニットは、汗滴を感知し、1以上の汗腺から汗を受け取り、該汗を離散的汗滴として該センサに移送するように構成される。該センサはプロセッサを有し、該プロセッサは、或る期間中に1以上の分析ユニットにより感知された汗滴を記録し;該期間中に連続して感知された汗滴間の時間間隔を決定し;並びに、該時間間隔を使用して、対応する汗腺が汗を排出している1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの活性期間、及び対応する汗腺が汗を排出していない1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの休止期間を識別するように構成され、これら活性期間及び休止期間は1以上の汗腺に割り当てられる。
【0143】
他の実施形態によれば、上記プロセッサは、更に、活性期間及び休止期間が割り当てられた汗腺の数を決定するように構成される。
【0144】
他の実施形態によれば、該プロセッサは、更に、記録された汗滴の各々の体積の尺度を受信し;並びに、汗腺あたりの発汗量を、記録された汗滴の数、記録された汗滴の各々の体積の尺度及び決定された汗腺の数から決定する;ように構成され、オプションとして、該プロセッサは、少なくとも1つの活性期間及び少なくとも1つの休止期間を、前記記録された汗滴の各々の体積の尺度及び時間間隔に基づいて識別するように構成される。
【0145】
他の実施形態によれば、前記センサ/1以上の分析ユニットは汗滴の体積のインジケータを感知するように構成され、前記プロセッサは該感知されたインジケータを受信するように構成される。
【0146】
他の実施形態によれば、前記プロセッサは、前記センサから受信されたデータを第1のテンプレートモデルに当てはめ、これにより、1以上の汗腺の各々の活性期間及び休止期間を識別するように構成され、上記データは少なくとも前記時間間隔及び記録された各汗滴の体積の尺度を含む。
【0147】
他の実施形態によれば、上記第1のテンプレートモデルへの当てはめは、更に、少なくとも1つの活性期間における汗滴の数、少なくとも1つの活性期間の持続時間、及び/又は少なくとも1つの休止期間の持続時間を使用する。
【0148】
他の実施形態によれば、前記プロセッサは、前記データの第1のテンプレートモデルに対する当てはめの良好度を評価し、オプションとして、該良好度に基づいて、前記データの少なくとも一部を他の第1のテンプレートモデルに当てはめるように構成される。
【0149】
他の実施形態によれば、前記プロセッサは、前記データを第1のテンプレートモデルに当てはめた後、該データの少なくとも一部を第2のテンプレートモデルに当てはめるように構成され、第1のテンプレートモデルは、単一の汗腺から排出された汗により構成される汗サンプルに由来する汗滴の少なくとも幾らかに基づくものであり、第2のテンプレートモデルは、2以上の汗腺から排出された汗により構成される他の汗サンプルに由来する汗滴の少なくとも幾らかに基づくものである。
【0150】
他の実施形態によれば、前記センサは、所定の体積を有する汗滴を該センサに移送するように構成される。
【0151】
他の実施形態によれば、前記1以上の分析ユニットは、濃度が発汗量の関数として変化する分析物の濃度に関連するパラメータを検出するための感知装置を備え、前記プロセッサは、前記活性期間及び休止期間を1以上の汗腺に割り当てる際に該パラメータを使用するように構成される。
【0152】
他の実施形態によれば、上記感知装置は導電率センサであり、前記パラメータは導電率である。
【0153】
他の実施形態によれば、前記センサはバイオマーカセンサを有し、オプションとして、前記プロセッサは、対応する汗腺の少なくとも1つの活性期間中に上記バイオマーカセンサから複数のバイオマーカ濃度を受信し、該少なくとも1つの活性期間内の時間的なバイオマーカ濃度の変動を決定するように構成される。
【0154】
上述したセンサの実施形態は第2の離散化方法の処理態様に関連するものであり、該方法は、次に、方法の実施形態として説明される。
【0155】
以下のステップを伴う方法が提供される。すなわち、1以上の汗腺から汗を受け取るステップ;該汗を離散的汗滴として、汗センサの1以上の分析ユニットに移送するステップ;或る期間中に上記1以上の分析ユニットを使用して上記汗滴を感知するステップ;該間中に感知された汗滴を記録するステップ;該期間中に連続して感知された汗滴間の時間間隔を決定するステップ;及び、該時間間隔を使用して、対応する汗腺が汗を排出している1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの活性期間、及び対応する汗腺が汗を排出していない1以上の汗腺の各々の少なくとも1つの休止期間を識別するステップ;であり、上記活性期間及び休止期間は1以上の汗腺に割り当てられる。
【0156】
一実施形態によれば、上記活性期間及び休止期間が割り当てられる汗腺の数を決定するステップが含まれる。
【0157】
一実施形態によれば、該方法は、記録された汗滴の各々の体積の尺度を受信するステップ;並びに、腺あたりの発汗量を、記録された汗滴の数、記録された汗滴の各々の体積の尺度、及び決定された汗腺の数から決定するステップ;を有し、オプションとして、前記少なくとも1つの活性期間及び少なくとも1つの休息期間を識別するステップは、前記記録された汗滴の各々の体積の尺度及び時間間隔に基づくものである。
【0158】
以上に詳細に説明したように、第1及び/又は第2の離散化方法を使用する当該方法及びセンサは、本発明のセンサ及び方法と一緒に使用できる。このように、該離散化方法の方法及びセンサは、本発明の実施形態として開示されている。このことは、
図10及び
図11の実施形態により強調されるであろう。
【0159】
本発明の上記及び他のフィーチャは、後に記載される実施形態から明らかとなり、斯かる実施形態を参照して解明されるであろう。
【0160】
本発明の例示的実施形態が、以下の図面に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【
図1】
図1は、本発明の例示的実施形態による、ユーザの皮膚から汗センサに取り込まれたユーザの汗を分析するための汗センサを概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の例示的実施形態による複数の異なるサイズの流入口開口を有する汗センサを概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の例示的実施形態による汗センサにより直径が調節可能な開口を備えた流入口を概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の例示的実施形態による汗センサにより直径が調節可能な開口を備えた流入口を概略的に示す。
【
図3C】
図3Cは、本発明の例示的実施形態による汗センサにより直径が調節可能な開口を備えた流入口を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の例示的実施形態によるセンサにより直径が調整可能な開口を備えた流入口として使用される絞り機構を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明の例示的実施形態による、流入口のサイズ/面積の適応的選択を伴う汗センサを概略的に示す。
【
図6】
図6は、本発明の例示的実施形態による、流入口サイズの適応的断面積又は直径を有する汗センサを概略的に示す。
【
図7】
図7は、本発明の例示的実施形態による、センサによりユーザの皮膚から取り込まれたユーザの汗を分析する方法のフローチャートを概略的に示している。
【
図8】
図8は、本発明の例示的実施形態による、センサの1以上の開口のサイズを適応的に選択する方法のフローチャートを概略的に示している。
【
図9】
図9は、本発明の例示的実施形態による、センサの1以上の流入口のサイズを動的に適応させる方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図10】
図10は、本発明の例示的実施形態による汗センサを概略的に示すもので、該センサは流入口あたりのアクティブな汗腺の数を第1の離散化方法を使用して決定する。
【
図11】
図11は、本発明の例示的実施形態による汗センサを概略的に示すもので、該センサは発汗量/汗腺あたりの発汗量を本明細書に開示される第2の離散化方法を用いて決定する。
【発明を実施するための形態】
【0162】
図1は、ユーザの皮膚111から汗センサ100に取り込まれるユーザの汗を分析するための汗センサ100を示す。センサ100は、ユーザの汗を該センサ100に取り込むことができる3つの流入口(インレット)102、103及び104を備える。各流入口102、103及び104は、対応する流体チャネル105、106及び107を介して分析ユニット108、109及び110と接続されている。このようにして、最小の開口102を持つ流入口により取り込まれる汗は、分析ユニット108により、残りの流入口103及び104により取り込まれる他の汗とは独立して分析される。勿論、同じことが、流入口103及び104並びにそれらの独立した分析ユニット109及び110にも当てはまる。汗センサ100は、勿論、分析されたデータを更に処理するためのプロセッサ等の更なる構成部品を有し得るが、これらは図示を簡単にするために図示されていない。ハウジング101内には、このように、異なるサイズの流入口102、103及び104により提供される3つの異なるサンプル領域が存在する。分析ユニット108、109及び110は、各々取り込まれた汗に基づいて、前述され及び以下に説明されるように、例えばユーザの発汗量(発汗速度)及び/又は流入口あたりの活動中の(アクティブな)汗腺の数を決定するように構成され得る。更に、汗センサ100は、該センサが汗を取り込み、取り込まれた汗を分析するために使用する流入口の開口のサイズを制御する、すなわち選択するように構成される。例えば、センサ100は、第1の分析サイクルにおいて、各流入口102、103及び104の取り込まれた汗を分析することにより流入口当たりのアクティブな汗腺の数を決定する。この決定は、分析ユニット108、109及び110により実行される。
図1から分かるように、最小のサイズの開口102を有する流入口は、ユーザの皮膚111の1つの汗腺112のみから汗を受け取る。中間のサイズの流入口103は3つの汗腺113から汗を受け取り、大きいサイズの流入口104はユーザの皮膚の5つの汗腺114から汗を受け取る。ここには図示されていないが、汗センサ100のプロセッサは、決定された流入口あたりの汗腺の数を、以前に定義された基準設定と比較するように構成される。このような予め定義された基準設定は、当該センサの内部又は外部の記憶媒体内に記憶することができる。この基準設定は、例えば、少なくとも2つのアクティブな汗腺が流入口に汗を抽出しており、かつ、最大で4つのアクティブな汗腺が汗を流入口に抽出している場合に、斯様な流入口により取り込まれた汗が分析され、この分析のデータが当該センサにより更に処理されるという意味で、最適な流入口のみが使用されるべきことを定義できる。したがって、汗センサ100のプロセッサは、当該センサの次の分析サイクルには流入口103のみが使用されるべきことを決定し、将来における該センサの更なる測定及び分析が流入口103及び分析ユニット109のみで実行され得るようにする。このようにして、当該センサはサイズを制御する、すなわち、積極的に使用される流入口のサイズを選択する。このことは、当該汗センサにより行われる測定の精度を改善し得、例えば後続の分析サイクルにおけるアクティブな汗腺の数の決定、したがって、ユーザの汗及び血液中の生体分子濃度の決定も改善され得る。
【0163】
言い換えると、
図1に示される汗センサ100は、流入口102及び104により将来の分析サイクルで取り込まれる汗を無視する。
図1に示されるものに基づく他の例示的実施形態において、当該センサは、分析ユニット108、109及び110を用いて発汗速度を決定するように構成でき、対応する基準設定を、決定された発汗速度に依存する流入口開口の所望の目標サイズに関して記憶することができる。
【0164】
更に、当該センサが前述したように当該サイズを適切な流入口サイズに制御した後、分析ユニット108、109及び110は、正しいサイズの流入口開口で発汗速度を測定し、汗腺の数を決定し、汗腺当たりの発汗速度を決定する。例えば、前述した離散化方法の1以上を、このような測定/決定に使用できる。分析ユニット108、109及び110は、ユーザの取り込まれた汗中の生体分子の濃度も測定/決定する。センサ100は、ユーザの血中の生体分子、例えば乳酸の濃度を、決定された汗腺あたりの発汗速度、及び取り込まれた汗の生体分子の測定された濃度に基づいて推定するように構成される。当該センサにより使用される流入口の開口の適切なサイズ設定により、該センサの全体的な測定結果、特にユーザの血液中の生体分子の濃度の最終的な推定は、従来技術と比較して一層正確となる。
【0165】
図2は、本発明の例示的実施形態による汗センサ200の底面図を概略的に示す。この底面図では、センサ200が、開口サイズが異なる複数の流入口を有することが分かる。センサ200は、該センサの次の分析サイクルのために汗を取り込み、該取り込まれた汗を分析するために使用する特定のサイズを持つ流入口を選択するように構成される。このような特定のサイズを有する流入口の選択は、ユーザの決定された汗パラメータに基づくことができ、前述され及び後述されるように、基準設定又は閾値との比較に基づくものであり得る。センサ200は、同じサイズを有すると共に、
図2に示される開口のうちの最大のサイズを有する第1グループの流入口201a、201b及び201cを備える。更に、センサ200は、当該流入口のうちの僅かに小さな開口径の開口202a、202b及び202cを持つ3つの流入口を有する。更に、同じサイズを有すると共に、参照符号203aから203fで示された第3グループの複数の流入口が存在する。汗センサ200の開口の組み合わせの該限定するものでない例は、一緒に詰め込まれる複数のサイズの流入口の1つの可能性のある構成に過ぎない。
【0166】
汗は、通常、皮膚から円筒状チャネルを介してセンサに導かれるので、流入口は
図2に示されるように概ね円形である。それにも拘わらず、本発明は例えば方形の開口等の他の形状を排除するものではない。
図2から分かるように、流入口間には僅かな空所しか存在せず、このことは、センサを小さく保ち、着用者の邪魔にならないようにするために必要である。センサ200は、勿論、ユーザにより取り込まれた汗から決定された汗パラメータに基づいて、及び該センサが例えば基準設定と行う比較に基づいて、特定のサイズを有する流入口を選択するように構成できる。例えば、開口201aから201cに関連する分析ユニットのみを活性化するための対応する制御信号は、1つの非限定的なオプションである。
【0167】
図3は、本発明の例示的実施形態によるセンサにより皮膚上に投影される断面積を調整可能な開口303を備える流入口300を概略的に示す。左側の
図3Aから分かるように、流入口300は、4つの可動機械要素302が配置されたフレーム301を有する。
図3Aにおいて、4つの可動機械要素302は、可能な限り小さい流入口開口303を画定するような位置にある。しかしながら、
図3Bにおいて、機械要素302は対応するセンサにより僅かに異なって調整され、流入口300により提供される開口303が中間のサイズとなるようにする。
図3Cにおいて、センサ300は機械要素302を、流入口300の開口が最大サイズを有するように調整している。機械要素302の斯かる調整は、当該汗センサのマイクロコントローラ又はプロセッサにより送出される制御信号に基づくものであり得る。当該汗センサは、このような制御信号を、例えば前の分析サイクルで測定されたユーザの発汗速度に基づいて、又は前の分析サイクルにおいて該流入口300について決定されたアクティブな汗腺の数に基づいて、生成することができる。
【0168】
汗が開いた流入口からだけ捕捉され、周囲の材料(サイズを変えるために開き又は閉じる部分)の下からは捕捉されないようにするために、この材料は当該領域における汗を吸収するために皮膚と接触するスポンジ又は芯材(ウイック)により被覆され得る。
【0169】
図4は、本発明の例示的実施形態による、センサにより直径が調節可能な開口を有する流入口の他の実施形態を概略的に示す。
図4は、複数の可動薄板401を使用して開口402の直径を画定及び調整する絞り機構400を概略的に示す。このような機械的機構は、当該センサの1つの流入口にだけでなく、複数の流入口にも使用できる。代替的に又は組み合わせて、当該開口の直径を適合させるために加熱及び冷却に反応する超弾性複合ヒドロゲルを使用することもできる。したがって、このような流入口400は、本発明の例示的実施形態による汗センサにおいて開口のサイズを制御するために実装できる。
【0170】
図5は、本発明の例示的実施形態による他の汗センサ500を概略的に示す。センサ500は、3つの異なるサイズの流入口502、503及び504が配置されたハウジング501を備える。当該流入口を流体流量/圧力測定を実行する対応する分析ユニット512に接続する各流体/液体チャネルには、当該流体チャネルの開口を開閉するための少なくとも1つのバルブ506が含まれる。この
図5の実施形態において、センサ500は、汗を分析するための別個の分析ユニット511を備え、該ユニットでは汗内の生体分子が測定され得る。特定の実施形態において、分析ユニット511はユーザの取り込まれた汗中の生体分子の濃度を測定するように構成され、当該センサはユーザの血中の生体分子の濃度を、決定された汗腺あたりの発汗速度に基づいて、及び該取り込まれた汗内の生体分子の測定された濃度に基づいて推定するように構成される。
【0171】
図5において、汗センサ500は、皮膚505の汗を各流入口から関連する分析ユニット512に輸送するために、バルブ506のアレイ及びマイクロ流体システム507を備える。
図5の実施形態では、ここで詳細に説明するように、適切なサイズ/断面積を備えた流入口の発汗量により制御される選択が示される。流体流量(速度)/圧力測定分析ユニット512は、流体流量センサ又はGSRセンサに基づく汗検出器として、又は例えば電気化学センサとして具体化できる。したがって、要素510に記憶される前記基準設定は、例えば流体の流れに関する、発汗速度に関する又は浸透圧(Osmolality)に関するものであり得る。流入口ごとの発汗量信号は要素508で収集され、電気接続部を介してマイクロコントローラ509に転送される。当業者により理解されるように、当該マイクロコントローラは前述したプロセッサを含む。マイクロコントローラ509は、要素510に記憶されている基準設定を読み出すことができる。受信される流入口ごとの発汗量信号及び基準設定に基づいて、該マイクロコントローラはマイクロ流体システム507に電気信号を送信し、最も適切なサイズの流入口がセンサ500の次の分析サイクルに使用されるように、すなわち、適切でない全てのバルブ506を閉じるようにすることができる。この最も適した流入口の適応的選択の後、汗センサ500は、マイクロ流体システム507を介して次の分析サイクルで取り込まれた汗をセンサ500の実際の汗分析ユニット511に転送でき、該ユニットは、かくして、正しく選択された流入口を用いて所望のパラメータ、例えば取り込まれた汗中の生体分子の濃度等のパラメータを測定する。該センサ500に関連する方法は、
図8の前後関係に関連して後述されることに留意されたい。
【0172】
図6は、例えば絞り機構によりサイズ/面積を変更可能な流入口を備えた汗センサ600を概略的に示す。センサ600は、機械的アクチュエータ602により開口のサイズを適応できる適応型流入口幾何学形状601を備える。流入口601により第1の分析サイクルで取り込まれた汗は、分析ユニット604により分析される。この分析ユニットは、例えば、流体流量センサ、GSRセンサ又は電気化学センサであり得る。基準設定は要素605に記憶され、マイクロコントローラ603が分析ユニット604の結果を基準設定と比較できるようにする。このマイクロコントローラ603は、本明細書で説明される目的のためにプロセッサを備えることができる。分析ユニット604は、例えば発汗量等の汗の所望のパラメータを決定している。この場合、上記基準設定は、当該調整可能な流入口の例えば直径等の何の種類の開口面積、すなわち断面積が、現在測定されている発汗量に適しているかを定義できる。マイクロコントローラ603により、対応する電子信号を前記機械的アクチュエータに送信できる。このように、適応型流入口601の断面積又は直径は、それに応じて調整される。次の分析サイクルにおいて、流入口 601により取り込まれた汗は、測定ユニット606、すなわち実際のバイオマーカ測定ユニットに転送でき、該ユニットは正しいサイズの流入口で取り込まれた汗の汗パラメータを決定及び測定する。センサ600の関連する方法は、以下で
図9の前後関係で説明されることに留意されたい。
【0173】
図7は、センサによりユーザの皮膚から取り込まれた汗を分析する方法を概略的に示している。
図7の方法は、ステップS1で示されるセンサの1以上の流入口を介してユーザの皮膚から汗を取り込むステップを有する。更に、該取り込まれた汗の少なくとも幾らかを当該センサの分析ユニットで分析するステップが、ステップS2で示されている。更に、ステップS3は、取り込まれた汗の上記分析の結果に基づいて、ユーザが汗を取り込むと共に、後の分析サイクルにおいて該取り込まれた汗を分析するために使用する1以上の流入口の開口のサイズを制御するステップを定義する。
【0174】
汗中の生体分子濃度が血液中の濃度に変換される場合、そのような汗のモニタリングは、患者をモニタリングする理想的な目立たない方法を提供する。このような変換を妨げる問題は、汗内濃度と血中濃度との間の相関関係が汗腺あたりの発汗量に依存するという事実である。したがって、
図7に記載された方法においては、汗腺あたりの発汗量を決定するために、アクティブな(活動中の)汗腺の数が、より広い範囲の活動中の汗腺にわたって一層高い信頼度で決定される。汗腺あたりの発汗量を測定する従来技術の汗センサは、流入口/表面積あたり特定の範囲のアクティブな汗腺に対してしか、これを行うことができない。
図7の方法は、この範囲を、種々のサイズの流入口を選択的に使用することにより拡大する。更に、種々のサイズのこれらの流入口の適応的選択又は動的適応のいずれかを実行するのに適した方法、すなわち、表面積あたりのアクティブな汗腺のダイナミックレンジは、トリガ/制御信号として発汗量(例えば、流体流量、GSR、浸透圧)を使用する。また、適応的選択と動的適応との組み合わせも、勿論、一実施形態において可能である。
【0175】
図8は、センサにより取り込まれたユーザの発汗を分析すると共に、対応する汗センサを制御する方法のフローチャートを概略的に示す。
図8に示される方法は、例えば、
図5に示された汗センサ500を制御するために使用され得る。
図8に示される方法は、低発汗量(発汗速度)が測定される場合に汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用される流入口のデフォルトのサイズ又は面積の使用を含む。しかしながら、過度の発汗により臨界的発汗量に達すると、制御信号が使用されて、そのようなより高い発汗量に対して最適な流入口サイズ又は流入口面積を有する流入口を選択することができる。先に説明したように、本発明の発明者は、流入口あたり特定の数より多いアクティブな汗腺が使用される場合、汗の測定値が不正確になることに気付いた。したがって、過度の発汗量の場合、汗の測定には一層小さいサイズの流入口又は複数の一層小さいサイズの流入口が選択されるべきである。後の時点において発汗量が減少し、基準発汗量(例えば、低発汗又は座りがちな状態における発汗に対応)に達したと当該センサが判断した場合、該センサはデフォルトサイズの流入口が該センサの招来の分析サイクルに関して再び使用されるように制御され得る。この論理及び制御方法が
図8に示されている。
【0176】
図9は、流入口サイズの動的適応を伴う汗センサのための方法のフローチャートを示す。当該センサにより低発汗量が判定された場合、該センサによりデフォルトの流入口サイズが使用される。しかしながら、例えば所定の閾値を超えるような臨界的発汗量に達したと判断された場合、該センサは、流入口サイズが減少するように流入口サイズを適応させるように制御される。
【0177】
図10に示す本発明のセンサの実施形態においては、第1の離散化方法が使用されている。この場合、本発明は、最大の流入口及び最小の流入口が除外され(すなわち、該センサの対応する制御信号により)、中間のサイズの流入口のみが該センサの次の又は更に多くの分析サイクルの測定のために考慮に入れられるという意味合いで使用される。言い換えると、
図10のセンサは、次の分析サイクルのための中間のサイズの流入口を、該センサにより最初の分析サイクルにおける測定から前もって決定されたアクティブな汗腺の数に基づいて選択するように構成される。
図10の汗センサにおける各流入口から測定される汗の量は、xの0倍、1倍、2倍又は3倍であり、ここでxは例えば2nl/分であり、したがって、実際に測定される値は、例えば左流入口から右流入口に、4.1nl/分、0.01nl/分、3.9nl/分、6.2nl/分、1.9nl/分、0.02nl/分、5.8nl/分、2.0nl/分、4.1nl/分となる。次いで、当該センサによりアクティブな汗腺の数は、各々、2、0、2、3、1、0、3、1、2 であると決定される。
【0178】
図11は、本発明の例示的実施形態によるセンサ1100を示すもので、該センサは先に詳細に説明した第2の離散化方法を使用する。センサ1100の流入口1104が汗腺1108の近傍に示されている。センサ1100は、
図3及び
図4に示されるような、サイズが調整可能な1以上の流入口を有し、該センサは当該サイズを、測定された汗パラメータに基づいて調整する。代替的に又は追加的に、当該センサは複数の流入口1104を有し、該複数の流入口の少なくとも幾つかは開口サイズが異なる。当該センサは、該センサが次の分析サイクルにおいて汗を取り込むと共に該取り込まれた汗を分析するために使用する特定のサイズの流入口を選択するように構成される。
【0179】
汗腺1108により排出された汗は、流入口1104を介してチャンバに入り、充満する。
図11に示すように、センサ1100は皮膚1106の表面に取り付けられるプレート1110を有し得る。個々のチャンバに受け入れられる限られた量の汗を補償するために、センサ1100は、例えば、このような流入口1104により画定される複数の斯様なチャンバ、例えば、10から40のチャンバ等の2から50のチャンバ、例えば約25のチャンバを含むことができる。
【0180】
流入口1104が汗で満たされると、汗滴1112が当該チャンバの流出口1114から突出する。
図11に示す例において、流出口1114はプレート1110の上面により画定され、当該チャンバが汗で満たされると、流出口1114の上に半球状の汗滴1112が形成される。より一般的には、汗センサ1100は、汗滴1112の形成速度が発汗量により決定される一方、汗滴1112の体積は該センサの流体輸送アセンブリにより決定できるように構成され得る。
【0181】
センサ1100は、相対的に均一なサイズの汗滴1112の形成を可能にすることができ、更に、変化する汗滴1112の体積も同様に処理することができる。後者に関し、センサ1100が汗滴1112を輸送する1以上の分析ユニットは、汗滴1112をカウントすると共に、各汗滴1112が分析ユニットを通過するのに掛かる時間を決定するように構成できる。
図11は、汗滴1112の離脱が流体輸送アセンブリにより達成される一例を示し、該流体輸送アセンブリにおいて、プレート1110の上面及び他のプレート1128の下面の両方には受動的勾配、例えば化学的及び/又は位相幾何学的(トポロジ的)勾配が設けらる。この点に関し、矢印1126A及び1126Bは、当該分析ユニットに向かって汗滴1112を輸送するためにプレート1110の上面及び他のプレート1128の下面に設けられた勾配の方向を各々示している。
【0182】
定められた汗滴1112の離脱は、代替的に又は追加的に、流出口1114から突出する汗滴1112に圧力勾配を付与する流体輸送アセンブリにより達成することもできる。この構成は、汗滴1112の接触角ヒステリシスを克服するために能動的勾配を提供する一例と考えることができる。該流体輸送アセンブリは、汗滴1112の接触角ヒステリシスを克服するために汗滴1112に圧力/力を能動的に印加するからである。
【0183】
上記圧力勾配は、例えば、突出する汗滴1112を搬送流体の流れに接触させることにより付与され得る。該搬送流体は、好ましくは、汗滴1112が混和しない流体とする。このように汗滴1112が搬送流体と混合するのを実質的に防止することにより、当該分析ユニットは、搬送流体により運ばれる個々の離散的汗滴1112を検出することができる。このような搬送流体の好適な例は、オキシサイト等の、水分を吸収しない、すなわち吸湿性が相対的に低いか無視できる油を含む。オキシサイトは、血液の代替として一般的に使用されるパーフルオロカーボン化合物である。
【0184】
搬送流体の流れが汗滴1112を離脱させるような例においては、前述したように、チャンバ1102の境界を定めるプレート1110に対向して他のプレート1128が設けられ得る。汗滴1112は該汗滴1112が他のプレート1128と接触するまで形成及び成長でき、そうなると、汗滴1112は各プレート1110、1128の間の空間により画定される通路を遮断し得る。この場合、汗滴1112は搬送流体の流れにより移動され得る。このようにして、相対的に均一なサイズの汗滴112が供給され得、それらのサイズはプレート1110、1128の間の距離1130により決定される。搬送流体の流れは、更に、汗滴112を1以上の分析ユニットに輸送するのを助け得る。
【0185】
例えば、この搬送流体の流れが汗滴1112を離脱させるのに不十分である場合、当該流体輸送アセンブリは流速にパルス又はピークを誘起させるように構成でき、これらパルスが汗滴1112を流出口1114から解放させるのに十分な圧力を提供し得る。例えば、圧電ポンプを使用して、搬送流体の流速に斯様なピークを誘起させることができる。このことは、上記ポンプのパルス周波数を変化させることにより簡単に達成できる。
【0186】
したがって、このようなセンサ1100は1以上の汗腺から汗を受け取ると共に、該汗を離散的な汗滴として前記1以上の分析ユニットに輸送するように構成され、これら分析ユニットを有効に使用して、本明細書に開示された第2の離散化方法により発汗量(発汗速度)又は汗腺あたりの発汗量を決定することができる。
【0187】
センサ1100は、本明細書で詳細に説明したように、第2の離散化方法の処理態様を使用することもできる。この目的のために、センサ1100は、或る期間の間に前記分析ユニットによって感知された汗滴1112の数をカウントし、該期間の間に連続して感知された汗滴1112間の時間間隔を決定するように構成されたプロセッサを備える。該プロセッサは、カウントされた汗滴1112の各々の体積の尺度も受信する。該プロセッサは、更に、上記時間間隔及びカウントされた汗滴1112の各々の体積の尺度を使用して、1以上の汗腺1108が汗を排出している該1以上の汗腺1108のアクティブ(すなわち、汗バースト)期間を識別すると共に、該1以上の汗腺108が汗を排出していない該1以上の汗腺1108の休止期間を識別するように構成される。当該1以上の汗腺1108の汗バースト及び休止期間を識別する該プロセスは、該1以上の汗腺1108にアクティブ期間及び休止期間を割り当てることを付随的に含む。
【0188】
次に、当該プロセッサは、アクティブ期間及び休止期間が割り当てられた汗腺1108の数を決定し 次いで、汗腺あたりの発汗量を、汗滴1112の数、カウントされた汗滴112の各々の体積の尺度、及び決定された汗腺1108の数から決定する。
【0189】
このように、センサ1100は、汗腺1108の間欠的な汗排出挙動に基づいて、汗滴1112を特定の汗腺1108に割り当てることにより汗滴あたりの発汗量を決定する。当該センサは従来の汗感知システムよりも物理的に簡素でもある。該センサは汗滴1112を幾つかの流入口/チャンバから共通の分析ユニットに輸送できるからである。
【0190】
上述した実施形態は、本発明を限定するというより例示するものであり、当業者であれば、添付請求項の範囲から逸脱することなく、多くの代替実施形態を設計することができるであろう。請求項において、括弧の間に記載された参照記号は、当該請求項の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「有する(含む)」という文言は、請求項に記載されているもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。単数形の要素は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を含むハードウェアにより、及び/又は適切にプログラムされたプロセッサにより実施することができる。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、1つの同一の品目のハードウェアにより具現化され得る。相互に異なる従属請求項に記載された手段は、有利に組み合わせて使用することができる。