(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ネックウォーマー
(51)【国際特許分類】
A41D 23/00 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A41D23/00 D
(21)【出願番号】P 2019134277
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】597093115
【氏名又は名称】株式会社シオジリ製帽
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】塩尻 英一
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3210690(JP,U)
【文献】特開2011-017109(JP,A)
【文献】特開2017-190549(JP,A)
【文献】中国実用新案第209073574(CN,U)
【文献】米国特許第06023787(US,A)
【文献】韓国意匠公報300809601(KR,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D23/00
A41D13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の頭部及び首部を挿入可能な筒状本体部を有し、
筒状本体部の上側開口端の寸法を調節する寸法調節紐が、筒状本体部の上側開口端に設けられたネックウォーマーであって、
筒状本体部の上側開口端における前縁が、折り返されて鞘状に形成された前側鞘状部とされ、
折り曲げて
塑性変形させることが可能な線状芯材が、筒状本体部の上側開口端における前縁に沿うように、前側鞘状部に挿通された状態で設けられ、
筒状本体部の上部で着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、着用者の鼻の形状に応じて線状芯材を
塑性変形させることにより、筒状本体部の上側開口端における前縁が着用者の鼻から脱落しにくくするとともに、
筒状本体部の上側開口端における後縁が、折り返されて鞘状に形成された後側鞘状部とされ、
寸法調節紐が、後側鞘状部に挿通した状態で設けられ、
寸法調節紐の左右の両端部が、筒状本体部の上縁における後側鞘状部と前側鞘状部との境界付近で縫い止められ、
後側鞘状部の最後部近傍から外側に導き出された寸法調節紐の長さを調節することによって、筒状本体部の上側開口端の寸法を調節できるようにした
ことを特徴とするネックウォーマー。
【請求項2】
筒状本体部における、着用者の顎から口を経て鼻先に至る範囲を覆う口元被覆部が、筒状本体部における他の部分(以下「首回り被覆部」という。)とは別生地で形成されることにより、口元被覆部が首回り被覆部よりも外側に膨出する形態とされるとともに、
線状芯材が、口元被覆部の上縁に沿って設けられた
請求項1記載のネックウォーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の首回りを覆って防寒するためのネックウォーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の首回りを覆って防寒するネックウォーマーとしては、用途等に応じた各種のものが提案されているが、着用者の首部を挿入可能な筒状本体部を有するもの(例えば、特許文献1の第1図における「ネックウォーマー2」を参照。)が一般的である。
【0003】
しかし、この種のネックウォーマーは、筒状本体部に首を通した状態から筒状本体部の上部を上側に引き延ばし、その引き延ばした部分で着用者の顔の略下半分(顎から口を経て鼻先に至る範囲)を覆った状態で着用されることもある。これにより、首回りだけでなく、口元周辺の防寒を行うことが可能になる。しかし、ネックウォーマーをこの状態で着用すると、筒状本体部の上縁がずり下がりやすく、着用者は、筒状本体部における上部の前側部分を度々引き上げなければならないという問題があった。
【0004】
このような実情に鑑みて、これまでには、筒状本体部の上側開口端に寸法調節紐(例えば、特許文献2の
図1の「紐状部材2」を参照。)を設けたネックウォーマーも提案されている。また、筒状本体部の上縁にバイアス処理(例えば、特許文献3の
図3aの「バイアス処理部161」を参照。)を施すこと等によって、筒状本体部の上縁に弾性を付与したネックウォーマーも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実願昭60-017673号(実開昭61-133510号)のマイクロフィルム
【文献】実登第3105271号公報
【文献】実登第3207233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2のネックウォーマーのように、寸法調節紐による締付力のみで筒状本体部のずり下がりを防止しようとすると、寸法調節紐をきつく締め付ける必要があり、着用者が圧迫感を覚えやすかった。また、着用者の鼻上や頬等に、寸法調節紐による圧迫痕が残るおそれもあった。
【0007】
また、特許文献3のネックウォーマーのように、筒状本体部の上縁に弾性を付与することで筒状本体部のずり下がりを防止しようとする場合でも、その弾性力を強めに設定する必要があった。このため、特許文献3のネックウォーマーでも、特許文献2のネックウォーマーと同様、着用者が圧迫感を覚えるだけでなく、着用者の鼻上や頬等に、寸法調節紐による圧迫痕が残るおそれもあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、筒状本体部の上部で着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、筒状本体部がずり下がりにくくするだけでなく、着用者が圧迫感を覚えにくく、着用感が良好なネックウォーマーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、
着用者の頭部及び首部を挿入可能な筒状本体部を有し、
筒状本体部の上側開口端の寸法を調節する寸法調節紐が、筒状本体部の上側開口端に設けられたネックウォーマーであって、
筒状本体部の上側開口端における前縁に沿って、折り曲げて変形させることが可能な線状芯材が設けられ、
筒状本体部の上部で着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、着用者の鼻の形状に応じて線状芯材を変形させることにより、筒状本体部の上側開口端における前縁が着用者の鼻から脱落しにくくした
ことを特徴とするネックウォーマー
を提供することによって解決される。
【0010】
本発明のネックウォーマーでは、着用者の鼻の形状に応じて変形させることができる線状芯材を、着用者の鼻の周辺に当たる筒状本体部の前縁に沿って設けたため、ネックウォーマーを着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、寸法調節紐を強く締め付けなくても、筒状本体部のずり下がりを防止することができる。このため、着用者に生ずる圧迫感を軽減し、ネックウォーマーの着用感を良好にすることが可能になる。
【0011】
本発明のネックウォーマーにおいては、筒状本体部における、着用者の顎から口を経て鼻先に至る範囲を覆う口元被覆部を、筒状本体部における他の部分(以下「首回り被覆部」という。)とは別生地で形成することにより、口元被覆部が首回り被覆部よりも外側に膨出する形態とするとともに、線状芯材を、口元被覆部の上縁に沿って設けることが好ましい。
【0012】
鼻や唇はその周辺部分よりも高く突き出た箇所となっているところ、上記のように、筒状本体部における口元被覆部を、筒状本体部における首回り被覆部とは別生地で形成し、口元被覆部を膨出させることによって、ネックウォーマーを着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、着用者が鼻や口元に圧迫感を覚えにくくすることができる。また、着用者が息苦しさを感じにくくすることもできる。したがって、ネックウォーマーの着用感をさらに良好にすることが可能になる。
【0013】
本発明のネックウォーマーにおいては、筒状本体部の上側開口端における前縁(口元被覆部の上縁)を、折り返して鞘状に形成した前側鞘状部とし、線状芯材を、前側鞘状部に挿通した状態で設けることが好ましい。
【0014】
線状芯材は、ある程度の剛性を有するため、人の肌に直接触れてしまうと、着用者が違和感を覚えるおそれがある。この点、上記のように、筒状本体部の上側開口端を鞘状に形成した部分(前側鞘状部)に線状芯材を収容することによって、線状芯材が人の肌に直接触れないようにして、着用者が違和感を覚えにくくすることが可能になる。したがって、ネックウォーマーの着用感をさらに良好にすることが可能になる。
【0015】
本発明のネックウォーマーにおいては、筒状本体部の上側開口端における後縁(口元被覆部の上縁となる部分以外の箇所)を、折り返して鞘状に形成した後側鞘状部とし、寸法調節紐を、後側鞘状部に挿通した状態で設け、後側鞘状部の最後部近傍から外側に導き出された寸法調節紐の長さを調節することによって、筒状本体部の上側開口端の寸法を調節できるようにするとともに、寸法調節紐の左右の両端部を、筒状本体部の上縁における後側鞘状部と前側鞘状部との境界付近で縫い止めることも好ましい。
【0016】
ネックウォーマーを着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際には、寸法調節紐をある程度の力で締め付けるため、寸法調節紐が筒状本体部の上側開口端の全周部に亘って設けられていると、寸法調節紐が着用者の鼻の周辺も締め付けるようになる。この点、上記のように、寸法調節紐の左端部を筒状本体部の上側開口端における左側部分(後側鞘状部と前側鞘状部との左側の境界付近)で縫い止めて、寸法調節紐の右端部を筒状本体部の上側開口端における右側部分(後側鞘状部と前側鞘状部との右側の境界付近)で縫い止め、筒状本体部の上側開口端における前縁に寸法調節紐が存在しないようにすることによって、寸法調節紐の締付力が、着用者の鼻の周辺に伝わりにくくすることができる。したがって、ネックウォーマーの着用感をさらに良好にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によって、筒状本体部の上部で着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用する際に、筒状本体部がずり下がりにくくするだけでなく、着用者が圧迫感を覚えにくく、着用感が良好なネックウォーマーを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るネックウォーマーを着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用した様子を示した図である。
【
図2】本発明に係るネックウォーマーの全体を示した図である。
【
図3】本発明に係るネックウォーマーを
図2における部分β
1を拡大して示したX-X断面図である。
【
図4】本発明に係るネックウォーマーの縫製を説明する展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のネックウォーマーの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。
図1は、本発明に係るネックウォーマー10を着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用した様子を示した図である。
図2は、本発明に係るネックウォーマー10の全体を示した図である。本発明のネックウォーマー10は、
図1に示すように、筒状本体部11,12と、寸法調節紐13と、線状芯材16とを備えたものとなっている。以下、本発明のネックウォーマー10を構成するこれらの部材について順に説明する。
【0020】
1.筒状本体部
筒状本体部11,12は、生地を筒状に形成したものとなっており、その内側に着用者の頭部及び首部を挿入できるようになっている。本発明のネックウォーマー10は、この筒状本体部11,12の上側開口端を引き上げて、その前縁側を鼻上に引っ掛けると、
図1に示すように、着用者の顔の略下半分を覆った状態で着用することができるものとなっている。
【0021】
これにより、着用者の首回りだけでなく、口元や頬の周辺の防寒を行うこともできる。これに対し、口元や頬まで覆う必要がなく、首回りの防寒のみを行いたい場合には、筒状本体部11,12の上側開口端を顎の辺りまで下げて着用することもできる。この筒状本体部11,12は、ネックウォーマー10の生地として適した各種の織布や不織布で形成することができる。
【0022】
筒状本体部11,12は、連続した1枚の生地を筒状に巻いた状態で縫製等することによって形成されたものであってもよいが、この場合には、筒状本体部11,12を円筒状や円錐筒状等の単純な形状に形成することはできても、それよりも複雑な形状にすることが難しい。人の顔における鼻から下側の部分は、鼻や唇等を有する複雑な立体形状を為しているところ、単純な形状の筒状本体部11,12では、筒状本体部11,12を鼻や唇等に対して適度(着用者が息苦しさを感じにくい程度)にフィットさせにくい。
【0023】
この点、本実施態様のネックウォーマー10では、
図2に示すように、筒状本体部11,12における、着用者の顎から口を経て鼻先に至る範囲を覆う部分(口元被覆部12)を、筒状本体部11,12における他の部分(首回り被覆部11)とは別生地で形成している。また、口元被覆部12自体も、鼻よりも右側を覆う右側生地12aと、鼻よりも左側を覆う左側生地12bとの2枚の生地で構成している。これにより、口元被覆部12を首回り被覆部11よりも外側に膨出する形態とし、筒状本体部11,12における口元被覆部12を、着用者の口元に対して適度にフィットしやすい形状とすることが可能となっている。
【0024】
2.寸法調節紐
寸法調節紐13は、筒状本体部11,12の上側開口端を絞る又は広げることにより、筒状本体部11,12の上側開口端の寸法を調節するものとなっている。このため、寸法調節紐13は、筒状本体部11,12の上側開口端に設けられる。本実施態様のネックウォーマー10では、寸法調節紐13を、筒状本体部11,12の上側開口端における後縁(首回り被覆部11の上縁)に設けた後側鞘状部α1に挿通した状態で設けている。後側鞘状部α1は、首回り被覆部11の上縁(筒状本体部11,12の上側開口端における後縁)を、内側に折り返して鞘状に形成した部分となっている。寸法調節紐13における、筒状本体部11,12の最後部付近に位置する箇所は、後側鞘状部α1から外側に引き出された状態となっている。この外側に引き出される部分の長さを調節することによって、筒状本体部11,12の上側開口端が絞られたり、広がったりするようになっている。
【0025】
寸法調節紐13は、左右に分かれた一対の紐材を互いに結び合う(後側鞘状部α
1から外側に引き出された2本の紐材を結ぶ)ものであってよいが、この場合には、紐材を首の後ろで結ぶ必要があり、煩わしい。この点、本実施態様のネックウォーマー10では、
図2に示すように、寸法調節紐13を、口元被覆部12の右側の端部β
2から、首回り被覆部11の最後部を経て、口元被覆部12の左側の端部β
3まで至る連続した1本の紐材で構成している。寸法調節紐13の右端部と左端部は、筒状本体部11,12の上縁における後側鞘状部α
1と前側鞘状部α
2との境界付近で、筒状本体部11,12に対して縫い止められた状態となっている。寸法調節紐13における中央部(後側鞘状部α
1から外側に引き出された部分)には、紐固定具14と抜止具15を設けている。
【0026】
紐固定具14は、外筒部14aと、外筒部14aに対して押し込み可能な状態で取り付けられた押込部14bとで構成されている。押込部14bは、図示省略の付勢手段によって外筒部14aから突出する向きに付勢された状態となっている。外筒部14aと、押込部14bにおける外筒部14aの内側に挿入される部分には、外筒部14aの径方向に平行な貫通孔が設けられている。外筒部14aの貫通孔と、押込部14bの貫通孔は、押込部14bが押し込まれたときには、連続しながらも、押込部14bが押し込まれていないときには、連続しない(段違いの状態となる)ようになっている。外筒部14a及び押込部14bの貫通孔には、寸法調節紐13における、後側鞘状部α1から外側に引き出された部分が挿入されている。
【0027】
このため、押込部14bを押し込むと、紐固定具14を寸法調節紐13に対して動かすこと(寸法調節紐13における、後側鞘状部α1から外側に引き出された部分の長さを調節すること)が可能になる一方、押込部14bを開放する(押し込みを止める)と、寸法調節紐13が紐固定具14の内部で外筒部14aと押込部14bとに噛み込まれた状態となり、紐固定具14を寸法調節紐13に対して動かすことができないようになっている。
【0028】
このように、寸法調節紐13を1本の紐材で形成するとともに、このような構造の紐固定具14を使用することで、紐材を結ぶ等の煩わしい作業をしなくても、寸法調節紐13における、後側鞘状部α1から外側に引き出された部分の長さを調節することができ、筒状本体部11,12の上側開口端の寸法を容易に調節することが可能となっている。寸法調節紐13における、外筒部14a及び押込部14bの貫通孔から引き出された部分(寸法調節紐13の折り返し部分)には、その部分が外筒部14a及び押込部14bの貫通孔の中に入ってしまい、紐固定具14が寸法調節紐13から脱落するのを防止するための抜止具15を設けている。
【0029】
また、寸法調節紐13を、筒状本体部11,12の上側開口端の全周部に亘って設けるのではなく、寸法調節紐13の右端部と左端部を首回り被覆部11と口元被覆部12との境界部分で縫い止めて、筒状本体部11,12の上側開口端の前縁(口元被覆部12の上縁)には、寸法調節紐13を設けないようにしたことによって、寸法調節紐13の締付力が、着用者の鼻の周辺に伝わりにくくし、ネックウォーマー10の着用感をさらに良好にすることが可能となっている。
【0030】
3.線状芯材
線状芯材16は、ある程度の剛性を有しながらも、人手により折り曲げて変形(塑性変形)させることができるものとなっている。折り曲げた後の線状芯材16は、その折り曲げられた形態を維持することができる。線状芯材16は、通常、硬質樹脂や金属によって形成される。この線状芯材16は、筒状本体部11,12の上側開口端における前縁に沿って設けられる。既に述べたように、本実施態様のネックウォーマー10では、筒状本体部11,12を首回り被覆部11と口元被覆部12とで構成したところ、口元被覆部12の上縁に沿って線状芯材16を設けている。
【0031】
筒状本体部11,12における線状芯材16が設けられた箇所(口元被覆部12の上縁部)は、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した際に、着用者の鼻上に位置する部分となっている。筒状本体部11,12の上側開口端における前縁(口元被覆部12の上縁)が柔らかくなっていると、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した際に、筒状本体部11,12の上側開口端における前縁(口元被覆部12の上縁)が着用者の鼻上から脱落して、顎の辺りまでずれ下がるおそれがある。
【0032】
この点、着用者の鼻の形状に適合するように適切な形態に変形させた線状芯材16を着用者の鼻上に載せることで、筒状本体部11,12の上側開口端における前縁(口元被覆部12の上縁)が鼻上に引っ掛かった状態が保たれやすくなっている。すなわち、ネックウォーマー10のずれ下がりを防止することが可能となっている。
【0033】
加えて、本発明のネックウォーマー10では、寸法調節紐13を締め付けることで、筒状本体部11,12の上側開口端を絞ることができるようになっているところ、線状芯材16を設けたことによって、寸法調節紐13を強く締め付けなくても、筒状本体部11,12のずり下がりを防止することができるようになっている。このため、着用者に圧迫感を与えないようにし、ネックウォーマー10を着用感に優れたものとすることが可能となっている。また、寸法調節紐13等による圧迫痕が着用者の顔に形成されないようにすることも可能となっている。
【0034】
線状芯材16は、口元被覆部12の外面側や内面側に露出した状態に設けてもよいが、線状芯材16を口元被覆部12の外面側に露出した状態で設けると、ネックウォーマー10の見た目が悪くなるおそれがある。一方、線状芯材16を口元被覆部12の内面側に露出した状態で設けると、線状芯材16が着用者の肌に直接触れるようになり、ネックウォーマー10の着用感が悪くなるおそれがある。
【0035】
この点、本実施態様のネックウォーマー10では、
図3に示すように、口元被覆部12の上縁(筒状本体部11,12の上側開口端における前縁)を、内側(着用者の肌に触れる側)に折り返して鞘状に形成した前側鞘状部α
2とするとともに、この前側鞘状部α
2の内側に線状芯材16を挿通している。
図3は、本発明に係るネックウォーマー10を
図2における部分β
1(口元被覆部12の上縁部)を拡大して示したX-X断面図である。これにより、線状芯材16が外部に露出しないようにして、ネックウォーマー10の見た目を良くするだけでなく、ネックウォーマー10の着用感を良くすることが可能となっている。
【0036】
線状芯材16は、ワイヤ状の部材によって形成してもよいが、この場合には、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した場合に、線状芯材16から着用者の顔面に局所的に圧力が加わりやすくなる。また、線状芯材16をワイヤ状に形成すると、線状芯材16が筒状本体部11,12の生地を突き破って外部に露出するおそれもある。このため、線状芯材16は、ある程度の幅を有する帯状の部材によって形成することが好ましい。これにより、線状芯材16から着用者の顔面に加わる圧力を分散するだけでなく、線状芯材16が筒状本体部11,12の生地を突き破りにくくすることも可能になる。本実施態様のネックウォーマー10においても、線状芯材16は、帯状の部材によって形成している。
【0037】
線状芯材16の長さ(線状芯材16の長手方向での長さ。以下同じ。)は、ネックウォーマー10の寸法(例えば大人用であるか子供用であるか等)によっても異なり、特に限定されない。しかし、線状芯材16は、後述するように、外部に露出しない状態で設けられるところ、線状芯材16を短くしすぎると、線状芯材16の位置が分かりにくくなり、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用する際に、線状芯材16を手探りで探さなければならなくなる。また、線状芯材16を着用者の鼻上に上手く引っ掛けることが難しくなるおそれもある。
【0038】
このため、線状芯材16は、少なくとも、着用者の左側の小鼻周辺から鼻上を経て右側の小鼻周辺に至るまでをカバーできる程度の長さに設定することが好ましい。例えば、ネックウォーマー10を大人用のものとする場合、線状芯材16の長さは、5cm以上とすることが好ましい。線状芯材16の長さは、10cm以上とすることがより好ましく、15cm以上とすることがさらに好ましい。
【0039】
これに対し、線状芯材16を長くしすぎると、ネックウォーマー10の着用者が違和感を覚えやすくなる。特に、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した際に、線状芯材16が着用者の耳にかかるようなことがあると、耳に違和感を覚えやすくなる。このため、線状芯材16の長さは、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した際に、線状芯材16が着用者の両耳にかからない程度に抑えることが好ましい。例えば、ネックウォーマー10を大人用のものとする場合、線状芯材16の長さは、25cm以下とすることが好ましい。本実施態様のネックウォーマー10において、線状芯材16の長さは、約20cmに設定している。
【0040】
線状芯材16の幅(線状芯材16の長手方向に垂直な方向(短手方向)での幅。以下同じ。)は、線状芯材16に用いる素材(硬質樹脂で形成するか金属で形成するか)等によっても異なり、特に限定されない。線状芯材16を硬質樹脂で形成する場合には、線状芯材16を金属で形成する場合よりも、線状芯材16は太くなる。
【0041】
しかし、線状芯材16の幅を狭くしすぎると、線状芯材16をワイヤ状の部材で形成した上述の場合と同様の問題が生ずるおそれがある。加えて、線状芯材16の強度を確保しにくくなり、線状芯材16が破断するおそれもでてくる。このため、線状芯材16の幅は、1mm以上とすることが好ましい。線状芯材16の幅は、2mm以上とすることが好ましく、3mm以上とすることがより好ましい。
【0042】
これに対し、線状芯材16の幅を広くしすぎると、ネックウォーマー10を
図1に示す状態で着用した場合に、着用者が線状芯材16の存在を感じやすくなり、違和感を覚えやすくなる。このため、線状芯材16の幅は、15mm以下に抑えることが好ましい。線状芯材16の幅は、10mm以下とすることがより好ましく、7mm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様のネックウォーマー10において、線状芯材16の幅は約4mmに設定している。
【0043】
4.その他
図4は、本発明に係るネックウォーマー10の縫製を説明する展開図である。本実施態様のネックウォーマー10は、
図4に示すように、首回り被覆部11を形成する生地と、口元被覆部12を形成する右側生地12a及び左側生地12bとからなる計3枚の生地を縫合することにより構成したものとなっている。
【0044】
口元被覆部12を形成する右側生地12a及び左側生地12bは、それぞれ扇状を為しており、
図4の矢印A
1に示すように、右側生地12aの縁部12a
1と左側生地12bの縁部12b
1とを縫合することによって、口元被覆部12を構成するようになっている。このとき縫合される縁部12a
1,12b
1は、ネックウォーマー10の外面側に表れないように、内面側に折られた状態で縫合される。右側生地12aの上縁部12a
2と左側生地12bの上縁部12b
2は、内面側に折り返されて鞘状に形成され、上述した前側鞘状部α
2(
図3)を形成する。既に述べたように、この前側鞘状部α
2には、線状芯材16(
図3)が挿入される。
【0045】
右側生地12aにおける円弧状の縁部12a
3は、
図4の矢印A
2に示すように、首回り被覆部11を形成する生地の上縁中央部に設けられた逆三角形状の切欠部分の一方の縁部11aに縫合される。一方、左側生地12bにおける円弧状の縁部は、
図4の矢印A
3に示すように、首回り被覆部11を形成する生地の上縁中央部に設けられた逆三角形状の切欠部分の他方の縁部11bに縫合される。右側生地12aの縁部12a
1と左側生地12bの縁部12b
1とを縫合する場合と同様、首回り被覆部11を形成する生地の縁部11a,11bに対して右側生地12aの縁部12a
3や左側生地12bの縁部12b
3を縫合する際にも、縫合する縁部11a,11b,12a
3,12b
3が内面側に折られた状態とされる。
【0046】
また、首回り被覆部11を形成する生地の右側の上縁部11cと左側の上縁部11dは、内面側に折り返されて鞘状に形成され、上述した後側鞘状部α
1(
図2)を形成する。既に述べたように、この後側鞘状部α
1には、寸法調節紐13(
図2)が挿入される。首回り被覆部11を形成する生地の一対の側縁部11e,11fは、
図4の矢印A
4に示すように、互いに縫合される。これにより、首回り被覆部11を形成する生地は、筒状に形成される。右側生地12aの縁部12a
1と左側生地12bの縁部12b
1とを縫合する場合と同様、首回り被覆部11を形成する生地の側縁部11e,11fを縫合する際にも、縫合する縁部11e,11fを内面側に折った状態とする(ただし、実際には、首回り被覆部11を形成する生地は、裏(内面)が表(外面)になる筒状とされて、その生地の側縁部11e,11fを縫合した後、その筒の裏表がひっくり返される。)。
【符号の説明】
【0047】
10 ネックウォーマー
11 筒状本体部における首回り被覆部
12 筒状本体部における口元被覆部
12a 右側生地
12b 左側生地
13 寸法調節紐
14 紐固定具
14a 外筒部
14b 押込部
15 抜止具
16 線状芯材
α1 後側鞘状部
α2 前側鞘状部