(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】バスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法
(51)【国際特許分類】
H02G 5/06 20060101AFI20231128BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H02G5/06 311J
H02G5/06 311V
H02B1/20 D
(21)【出願番号】P 2019203080
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】田口 年寿
(72)【発明者】
【氏名】小峯 功
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-208185(JP,A)
【文献】実公昭47-006528(JP,Y1)
【文献】特開平08-149666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 5/06
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムであって、
第1導体と、
第2導体と、
前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、
前記接続導体を収容するハウジングと、
前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、
前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、
前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とするバスダクトシステム。
【請求項2】
前記第1導体、前記第2導体及び前記接続導体は締着具によって電気的に接続されるとともに、
前記第1導体または前記接続導体の少なくとも一方に切り欠きまたは孔を設けて前記締着具を挿通可能に構成とすることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトシステム。
【請求項3】
前記操作部材は、前記ハウジングの外部から前記接続導体を操作可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスダクトシステム。
【請求項4】
複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムにおけるバスダクトであって、
第1導体と、
第2導体と、
前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、
前記接続導体を収容するハウジングと、
前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、
前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、
前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とするバスダクト。
【請求項5】
複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムのエンド構造であって、
第1導体と、
第2導体と、
前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、
前記接続導体を収容するハウジングと、
前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、
前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、
前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とするバスダクトシステムのエンド構造。
【請求項6】
請求項1~3にいずれかに記載のバスダクトシステム、請求項4に記載のバスダクト、及び請求項5に記載のバスダクトシステムのエンド構造のいずれかを用いたバスダクトシステムの増設方法であって、
前記接続導体が前記第1位置にあって、かつ前記第1導体および前記接続導体もしくは前記第2導体のいずれか一方のみが通電された状態で、他方の通電された状態にない前記第2導体もしくは前記第1導体に対して追加のバスダクトの母線導体を電気的に接続するステップと、
前記接続導体を前記ハウジング外部から操作して、
前記第1導体の長尺方向にスライド移動させることにより前記第1位置から前記第2位置へ移動させるステップと、
前記接続導体、前記第1導体および前記第2導体を電気的に接続するステップとを含むことを特徴とするバスダクトシステムの増設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法に関し、特に既設の通電されたバスダクトシステムに対して追加のバスダクトを設置して増設する所謂活線増設を可能とするバスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バスダクトシステムは、複数の導体をハウジングで被覆してなるバスダクトを接続部によって順次電気的に接続することで一体の電気幹線を形成した構造物であるため、配電設備の集約化に大きなメリットを提供する。
また、バスダクトシステムは、その特性から、オフィスビル、工場、商業施設等々の建築物等における電気幹線として広く活用されており、使用電力量が増大する傾向にあるデータセンター等においても広がりを見せている。
【0003】
近年、データセンター等の利用においてはバスダクトシステムの拡張性も注目されている。これは、バスダクトシステムが順次バスダクトを接続部で接続していく構造であるため、データセンター等におけるサーバーの追加設置等があっても、その端部に追加のバスダクトを連ねていくことで対応可能であるからである。
【0004】
ところで、通電されたバスダクトシステムに対して追加のバスダクトを設置する増設方法(以下、「活線増設」という)がある。
通常、バスダクトシステムを増設するには、通電を一旦停止した上で追加分のバスダクトの電気的な接続を行うが、既存設備を停止することは言及するまでもなく甚だ不経済であるため、「活線増設」に対する需要がかねてからあった。
【0005】
なお、バスダクトシステムに追加のバスダクトを接続する部分の構造(エンド構造)として、例えば、特許文献1にバスダクトのエンドキャップが開示されている。
ここで、
図12を参照しながら特許文献1に記載された従来技術のエンドキャップの構成を説明する。
図示するように、特許文献1に記載のエンドキャップ500は、矩形板状の本体部501と、本体部501の左右両側から一方に向けて屈曲し延設された一対の屈曲部502、502と、本体部501の下端から一方に向けて屈曲し延設された舌片504と、本体部501の上端に形成された係止鍔片505と、バスダクトに取り付けるためのばね板506とを有している。また、舌片504及びバネ板506には、それぞれ、ボルト用の挿通孔504a、506aが形成されている。
また、図中の符号550は、内部にバスダクト等(図示せず)を収容しているハウジングを示しており、その下面には長孔551が形成されている。
【0006】
上記のエンドキャップ500は、バスダクトの端部のハウジング550の外周側面に対して屈曲部502の内側面を当接させ、舌片504の下面をハウジング550の内側下面に当接させ、ハウジング550の上端に係止鍔片505を係止させた状態にし、且つバネ板506をハウジング550の内側下面に当接させてボルトで固定することにより、ハウジング550に取り付けられるようになっている。
【0007】
また、特許文献2には、バスダクトシステムのエンド構造として、バスダクトシステムを構成するバスダクトの端部に、バスダクトの継ぎ足し用連結部(バスダクトシステムの中間に継ぎ足し用のバスダクト)を設け、この連結部にキャップを被せる構成が開示されている。
ここで、
図13を参照しながら特許文献2に記載された従来技術のエンド構造を説明する。
図示するように、特許文献2に記載のバスダクトシステムは、移動式の配電ユニット601と、継ぎ足し用の移動式の配電ユニット602とを組み合わせて構成されている。各配電ユニット601、602は、キャスタ604を付けた架台603を有し、その架台603上に設けられた支柱605によりバスダクト606を水平に支持している。
【0008】
また、配電ユニット601の端部(バスダクト終端)と、配電ユニット602の両端部(バスダクト始端、バスダクト終端)には、バスダクトの継ぎ足し用連結部610が設けられている。配電ユニット601(或いは配電ユニット602)に設けられた連結部610は、他方の配電ユニット602(或いは配電ユニット601)に接続されていない状態のときには、キャップ611が被せられている。
そして、配電ユニット601と、配電ユニット602とを接続する場合には、配電ユニット601の端部のキャップ611を取り外すと共に、配電ユニット602の一方の端部のキャップ611を取り外し、両ユニットの連結部610、610同士を接続し、その後、両ユニットから外したキャップ611のどちらかを端板を外した状態にして再装着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実公昭47-6528号公報
【文献】特開平8-149666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来技術(特許文献1、2)のバスダクトシステムは、以下の課題を有している。
特許文献1に開示されたエンド構造を備えたバスダクトにおいて「活線増設」をする場合、エンドキャップ500を取り外して通常のバスダクトの接続作業をする必要があるが、通電した状態でエンドキャップ500を取り外すと、通電中の導体が露出して大変危険である。そのため、特許文献1に開示された構成において「活線増設」の作業を行おうとする場合には、相当の絶縁対策並びに注意が必要となってコストも高くつくため、この様な構造による「活線増設」は現実的でない。
【0011】
また、特許文献2に開示されたバスダクトシステムにおいて「活線増設」をする場合も、特許文献1に開示された構成と同様に通電された部分の露出は免れず、相当の絶縁対策並びに注意が必要となってコスト高となり、この様な構造による「活線増設」もまた現実的ではない。
【0012】
そのため、バスダクトシステムを安全・簡易に活線増設することができる構造・方法が望まれている。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より安全・簡易に活線増設を行うことができるバスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1態様は、複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムであって、第1導体と、第2導体と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、前記接続導体を収容するハウジングと、前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると操作部材を介して接続導体を「第1導体および第2導体が電気的に接続していない状態である第1位置」と、「第1導体及び第2導体が電気的に接続可能な状態である第2位置」とに切り替え可能となるため、接続導体に直接触れることなくバスダクトシステムの既設側と増設側との電気的接続を図ることができ、バスダクトシステムの「活線増設」をより安全・簡易に行うことができる。
例えば、上記の構成によれば、第1導体及び第2導体が電気的に接続されてない第1位置に配置されて、且つ第1導体が通電中で、第2導体が通電していない場合において、通電していない第2導体に対して追加するバスダクトの導体を接続してから、操作部材を操作して第1導体及び第2導体が電気的に接続された第2位置に切り替える作業により、バスダクトシステムの「活線増設」をより安全・簡易に行うことができる。
【0016】
また、本発明の第2態様は、複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムにおけるバスダクトであって、第1導体と、第2導体と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、前記接続導体を収容するハウジングと、前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とする。
本発明第2態様においても、上述した第1態様と同様、ダクトシステムの活線増設をより安全・簡易に行うことができる。
【0017】
また、本発明の第3態様は、複数のバスダクトを電気的に接続してなるバスダクトシステムのエンド構造であって、第1導体と、第2導体と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続する接続導体と、前記接続導体を収容するハウジングと、前記接続導体を操作可能とする操作部材とを有するとともに、前記接続導体が、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続しない状態となる第1位置と、前記第1導体及び前記第2導体を電気的に接続可能な状態となる第2位置とを、前記第1導体の長尺方向にスライド移動することにより切り替え可能に設けられていることを特徴とする。
本発明第3態様においても、上述した第1態様と同様、ダクトシステムの活線増設をより安全・簡易に行うことができる。
【0018】
また、前記第1導体、前記第2導体及び前記接続導体は締着具によって電気的に接続されるとともに、前記第1導体または前記接続導体の少なくとも一方に切り欠きまたは孔を設けて前記締着具を挿通可能に構成とすることが望ましい。
【0019】
この構成によると接続導体と締着具を効率よく配置することができ、また締着具が操作部材を兼ねることができるため、低コストに本発明の作用効果を得ることができる。
【0020】
また、前記操作部材は、前記ハウジングの外部から前記接続導体を操作可能に設けられていることが望ましい。
【0021】
上記の構成によると、接続導体がハウジングによって保護されるため、接続導体の第1位置と第2位置との切り替えをより安全に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第4態様は、前記バスダクトシステム、前記バスダクト、及び前記バスダクトシステムのエンド構造のいずれかを用いたバスダクトシステムの増設方法であって、前記接続導体が前記第1位置にあって、かつ前記第1導体および前記接続導体もしくは前記第2導体のいずれか一方のみが通電された状態で、他方の通電された状態にない前記第2導体もしくは前記第1導体に対して追加のバスダクトの母線導体を電気的に接続するステップと、前記接続導体を前記ハウジング外部から操作して、前記第1導体の長尺方向にスライド移動させることにより前記第1位置から前記第2位置へ移動させるステップと、前記接続導体、前記第1導体および前記第2導体を電気的に接続するステップとを含むことを特徴とする。
本発明第4態様によれば、バスダクトシステムの「活線増設」をより安全・簡易に行う方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より安全・簡易に活線増設を行うことができるバスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態のバスダクトの全体を説明するためにバスダクトを斜め上方から視た模式図である。
【
図2】本発明の実施形態のバスダクトの内部を説明するためにバスダクトを部分的に分解・透過させた状態を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態のバスダクトにおける母線導体と接続導体との位置関係を示す斜視説明図である。
【
図4】本発明の実施形態のバスダクトの接続導体が第1位置にある状態と第2位置にある状態とを説明するための模式図であり、(a)は本実施形態のバスダクトにおいて接続導体が第1位置にあり且つ上板が取り外された状態を平面視した模式図であり、(b)は本実施形態のバスダクトにおいて接続導体が第2位置にあり且つ上板が取り外された状態を平面視した模式図である。
【
図5】本発明の実施形態のバスダクトの接続導体が第1位置にある状態と第2位置にある状態とを説明するための模式図であり、(a)は本実施形態のバスダクトにおいて接続導体が第1位置にある状態の正面を示した模式図であり、(b)は第本実施形態のバスダクトにおいて接続導体が第2位置にある状態の正面を示した模式図である。
【
図6】本発明の実施形態のバスダクトを端部に配置したバスダクトシステムにおける活線増設の手順を説明するための模式図であり、(a)はバスダクトシステムの端部に本実施形態のバスダクトを配置した状態を平面視した模式図であり、(b)は当該バスダクトシステムのエンドキャップを取り外した状態を平面視した模式図であり、(c)は追加のバスダクトを当該バスダクトシステムの端部に配置した状態を平面視した模式図であり、(d)は当該追加のバスダクトをバスダクトシステムに接続した状態を平面視した模式図であり、(e)はバスダクトシステムに対してその他の追加のバスダクトの接続を完了した状態を平面視した模式図であり、(f)は本実施形態のバスダクトを操作して追加されたバスダクトへの通電を完了した状態を平面視した模式図である。
【
図7】本発明の実施形態のバスダクトの操作を説明するための斜視説明図であり、(a)は本実施形態のバスダクトにおいて接続導体が第1位置にある状態を示す斜視説明図であり、(b)は(a)に示す状態からカバー材とビスを取り外した状態を示す斜視説明図であり、(c)は接続導体を第2位置に移動させた状態を示す斜視説明図であり、(d)はビスを戻し、ボルトを締めて電気的な接続を完了した状態を示す斜視説明図である。
【
図8】本発明の実施形態の第1変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)は2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)は2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【
図9】本発明の実施形態の第2変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)は2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)は2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【
図10】本発明の実施形態の第3変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)は2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)は2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【
図11】本発明の実施形態の第4変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体、締着部材、および接続導体を保持する絶縁体の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)は2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)は2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【
図12】従来技術のバスダクトのエンド構造を説明するための模式図である。
【
図13】従来技術のバスダクトのエンド構造を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態のバスダクトについて、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0026】
尚、本発明の詳細な説明においては、
図1に示す通り、各母線導体(母線導体5、105(
図8参照)、205(
図9参照)、305(
図10参照))の長さ方向をX軸方向として図示の通りX1方向、X2方向とし、各母線導体の幅方向をY軸方向として図示の通りY1方向、Y2方向、各母線導体の厚さ方向をZ軸方向として図示の通りZ1方向、Z2方向として説明する。
【0027】
先ず、本実施形態のバスダクトの概略構成を説明する。
図示するように、本実施形態のバスダクトWは、母線導体(第1導体)5及び母線導体(第2導体)7と、母線導体5及び母線導体7を電気的に接続する接続導体14と、「母線導体5、母線導体7及び接続導体14(
図2、4参照)」を収容するハウジングHと、接続導体14を操作可能な操作部材Sとを有している。また、接続導体14は、ハウジングHの外部から操作部材Sを操作することにより、母線導体5及び母線導体7が電気的に接続しない状態になる第1位置(
図4(a)参照)と、母線導体5及び母線導体7が電気的に接続可能な状態になる第2位置(
図4(b)参照)とに切り替え可能に設けられている。
母線導体5、7は、幅方向(Y軸方向)の両端における厚み(Z軸方向の厚さ寸法)が幅方向中央部における厚みよりも薄く設計されており(
図3参照)、中央部の厚みがある部分で接続導体14と接触するように設けられている。
【0028】
具体的には、
図1に示すように、本実施形態のバスダクトWは、複数(本実施形態では4線)の導体(母線導体5、7)をハウジングHで被覆して構成されており、その一方の端部2から母線導体7の端部(4線)が露出し、他方の端部3から母線導体5の端部(4線)が露出している。また、後述するが、母線導体5、7は、バスダクトWの中央付近で各々の端部を突き合わせて所定距離離間して配置されている別体の母線導体で構成されており、母線導体5、7としては4線で合計8本の構成となっている。
なお、ハウジングHの一方の端部2から露出している母線導体7の端部と、ハウジングHの他方の端部3から露出している母線導体5の端部とが、他のバスダクトに接続する場合に、接続部としての機能を果たす。
【0029】
ハウジングHは、バスダクトWの一方の端部2側に配置された第1筒部20と、他方の端部3側に配置された第2筒部21とを備え、第1筒部20及び第2筒部21が、側板15、16、上板17、及び下板18(
図2参照)と図示しないビス等の締着手段によって結合され、一体的に形成されている(一体のハウジングHを形成している)。
なお、第1、2筒部20、21は、いずれも、両端が貫通している中空・矩形筒状に形成されている。
【0030】
また、ハウジングHは、
図2に示すように、第1筒部20の端部20aと、第2筒部21の端部21aとが相対向し且つ所定の間隔を空けて配置され、第1筒部20の一方の側面と第2筒部21の一方の側面とに側板15が架設され、第1筒部20の他方の側面と第2筒部21の他方の側面とに側板16が架設されている。また、第1筒部20の上面と第2筒部21の上面とに上板17が架設され、第1筒部20の下面と第2筒部21の下面とに下板18が架設されている。
なお、本実施形態では、ハウジングHを構成する第1筒部20及び第2筒部21のいずれにも、プラグインホール4a及びプラグインホール4aを開閉するシャッター部4bが設けられている。
プラグインホール4aは、母線導体5、7とサーバー等の電気的負荷とを電気的に接続するための分岐装置(図示しない)に設けられた分岐端子を挿通してハウジングH内に導くために、ハウジングHに設けられた開口である。
シャッター部4bは、ハウジングHのプラグインホール4aが設けられた箇所の外側に取り付けられた保護構造であり、通常の使用状態では閉じた状態であって、プラグインホール4aから異物や作業工具等がハウジングHの内部に侵入することを防ぐが、分岐装置の分岐端子をプラグインホール4aに挿通しようとする際に分岐端子によって開き、開口を形成するものである。
分岐装置の分岐端子をプラグインホール4a、シャッター部4bが設けられた箇所に挿通しようとすると、シャッター部4bが分岐端子によって開口し、プラグインホール4aの開口とシャッター部4bの開口とが連通してハウジングH上に分岐端子を挿通可能な一体の開口を形成するため、この一体の開口を通過させることで分岐端子をハウジングHの内部に導くことができ、分岐端子と母線導体5、7との電気的な接続を確立することができる。
分岐装置の分岐端子と母線導体5、7との電気的な接続を完了することで、分岐装置と電気的に接続するサーバー等の電気的負荷を母線導体5、7と電器的に接続することができるため、簡易かつ柔軟にサーバー等の電気的負荷に電源を供給することができる。
【0031】
なお、バスダクトWは、一方の端部2側に図示しないバスダクトが電気的に接続され、かつ、他方の端部3側に図示しないエンドカバーが取り付けられて露出した母線導体5が被覆されて、バスダクトシステムの端部構造(エンド構造)を構成している。
以下、本実施形態のバスダクト1の各構成について詳細に説明する。
【0032】
図2に示すとおり、母線導体5、7は、略板状に形成され、各々が所定距離・離間した状態で並列配置され、その端部同士を突き合わせて配置されている。ここでいう「突き合わせ」の状態とは接触を意味するものではなく、長尺の導体がその長尺方向に各相(同相)が縦列した状態を意味する。
【0033】
また、上記の所定距離とは、母線導体5は異相間、およびハウジングHを構成する第2筒部21と最外側の母線導体5との絶縁距離や延面距離が確保された距離を意味する。なお、上記の絶縁距離とは、導電性部材(例えば、母線導体5、7や第1、2筒部20、21等)の間の絶縁が確保される最短直線距離のことをいい、介在する物質(本実施例では空気)によって異なる。また、上記の延面距離とは、導電性部材に接触する絶縁物等の表面上に規定される導電性部材間の最短距離をいう。
【0034】
また、母線導体5は、第2筒部21に被覆され、母線導体7は第1筒部20に被覆されている。
具体的には、母線導体5は、第2筒部21の内部に配置された複数のホルダー27によって母線導体5の各相間および最外側の母線導体5と第2筒部21との間において、所定距離・離間した状態で保持されている。なお、母線導体5は、第2筒部21の一端側から母線導体5の一端側が突出して露出し、且つ第2筒部21の他端側から母線導体5の他端側が突出して露出した状態になるように、第2筒部21に保持されている。
また、母線導体7は、母線導体5と同様、第1筒部20内部において複数のホルダー27によって各相間および最外側の母線導体7と第1筒部20との間において所定距離を離間した状態で保持されている。なお、母線導体7は、第1筒部20の一端側から母線導体7の一端側が突出して露出し、且つ第1筒部20の他端側から母線導体7の他端側が突出して露出した状態になるように、第1筒部21に保持されている。
【0035】
また、
図2には示していないが、バスダクトWのハウジングHの内部において、母線導体5、7が所定距離離間した区間の近傍の位置に、
図3に示す接続導体14が複数配置されている。
図3に示すとおり、接続導体14は、母線導体5、7を電気的に接続することのできる接続用の導体であって、母線導体5、7の各相に対して2枚ずつ設けられている。図示する例では、接続導体14は、平面視矩形の板状に形成されており、その中心部に、貫通孔14aが設けられている。
また、2枚の接続導体14、14は、両者の間に母線導体5、7を挟んだ状態で母線導体5、7と接触するものであり、接続導体14が押圧されて母線導体5、7との電気的な接触を得ることができる。後述するが、接続導体14は、母線導体5の長さ方向(長尺方向(
図3に示す「X軸方向」))にスライド移動することができるようになっており、このスライド移動によって母線導体5のみに接触する「第1位置」と、母線導体5、7のいずれにも接触可能な「第2位置」とを切り替え可能となっている。
【0036】
また、
図2及び
図4に示すように、接続導体14は、略板状の絶縁体25、26によって異相間および最外側の接続導体14とハウジングHとの絶縁が図られている。絶縁体25、26は、接続導体14と同様、その中心に貫通孔が設けられており、ここにボルト10が挿通されて一体となる(接続導体14の貫通孔14a、絶縁体25、26の貫通孔にボルト10が挿通されて一体となる)。この他、側板15、16、ワッシャー11、補助金具12、24もボルト10が挿通されて一体となるものであり、ナット構造を併せ持つワッシャー8によって、これらのパーツ一式(接続導体14、絶縁体25、26、ワッシャー8、11、補助金具12、24、ボルト10)が保持される。尚、側板15、16は、長孔15a、16aを有し、ここにボルト10が挿通されることでパーツ一式と一体となった状態(
図2参照)でハウジングHに固定される。このため、ボルト10とパーツ一式は長孔15a、16aに動作を規制され、長孔15a、16aの分だけ母線導体5の長さ方向(図中のX軸方向)にスライド移動することが可能となっている。
具体的には、異相の接続導体14の間の位置に絶縁体26が配置され、最外側の接続導体14の外側に絶縁導体25が配置され、絶縁導体25の外側に側板15、16が配置され、側板15、16の外側に補助金具12、24が配置され、補助金具12、24の外側にワッシャー8、11が配置された状態でボルト10が挿通されて一体になっている。
なお、パーツ一式をボルト10及びワッシャー8、11で一体とした状態において、ボルト10は図示しない絶縁体によって保護されている。そのため、ボルト10は、どのような状態においても母線導体5、7および接続導体14と絶縁された状態が確保される。例えば、接続導体14の貫通孔14aと、絶縁体25、26の各貫通孔とに、絶縁体で形成された絶縁スリーブを挿嵌し、その絶縁スリーブにボルト10を挿入することにより、導体(母線導体5、7、接続導体14)に対して、ボルト10が絶縁されている状態にすることができる。
【0037】
また、上記の絶縁体25は、最外側の接続導体14と側板15、16との絶縁を図る目的で設けられている。母線導体5、7と側板15、16との間は、所定距離が確保されているが、接続導体14と側板15、16との離間距離は、母線導体5、7と側板15、16との離間距離よりも短いため、接続導体14と側板15、16との間に絶縁体25を介在させることで絶縁を確保している。接続導体14が「第1位置」から「第2位置」に移動したとしても、貫通孔に挿通したボルト10で一体となった絶縁体25も接続導体14と一体になって移動をして、常に、絶縁体25が側板15、16と最外側の接続導体14との間に介在する。そのため、側板15、16は、最外側の接続導体14に対して、確実に絶縁された状態が確保される。
【0038】
また、上記の絶縁体26は、異相の接続導体14相互の絶縁を図る目的で設けられている。異相の接続導体14相互の離間距離は、
図4の各図に示すとおり、異相の母線導体5、7が保っている離間距離よりも短いため、絶縁体26を介在させることで、異相の接続導体14相互の絶縁を確保している。接続導体14が第1位置から第2位置に移動したとしても、絶縁体26の貫通孔に挿通したボルト10で一体となった絶縁体26も接続導体14と一体となって移動して、常に、絶縁体26が異相の接続導体14間に介在する。そのため、異相の接続導体14相互は、確実に絶縁された状態が確保される。
【0039】
また、
図3に示すように、母線導体5は、その一端部(母線導体7側の端部)の導体幅方向の中心部分を導体長さ方向に、凹状に切り欠かれた凹部5a(平面視で略矩形状の凹部5a)が設けられている。凹部5aはボルト10及びワッシャー8で一体となったパーツ一式が配置可能なサイズに形成されているため、ボルト10とパーツ一式が凹部5aの存在により母線導体5の長さ方向(図中のX軸方向)にスライド移動することが可能となっている。
【0040】
続いて、
図4、
図5を用いて、接続導体14の「第1位置」および「第2位置」に関してより詳細に説明する。なお、
図4(a)及び
図5(a)が「第1位置」に対応し、
図4(b)及び
図5(b)が「第2位置」に対応した説明図となっている。
【0041】
接続導体14は、スライド移動させることで、
図4(a)に示す「第1位置」および
図4(b)に示す「第2位置」を相互に切り替え可能に設けられている。前述した「母線導体5の凹部5a」および「側板15、16の長孔15a、16a」は、各々、接続導体14の第1位置、第2位置間の移動を妨げない長さ寸法で設けられている。
【0042】
図4(a)に示すとおり、接続導体14は、第1位置にある場合には、母線導体5側に配置されており、且つ母線導体7とは所定距離離間した状態で保持されている。
パーツ一式のうち、補助金具12、24とボルト10の頭部分、ワッシャー8、11は、側板15、16よりも外方、即ちハウジングHの外方に配置されている。
したがって、ボルト10の頭部分、ワッシャー8、11、補助金具12、24をハウジングHの外方で操作することで、パーツ一式をスライド移動することができる。すなわち、本実施形態では、「ボルト10、ワッシャー8、11、補助金具12、24」が、接続導体14の位置を移動させるための操作部材(操作部)Sになっている。
また、本実施形態では、「ハウジングH」と、「ハウジングH内部の母線導体5、7および接続導体14」とは、絶縁された状態が確保されているため、仮に母線導体7が通電状態であったとしても、感電等の恐れなくボルト10の頭部分、ワッシャー8、11、補助金具12、24を操作することが可能であり、接続導体14のスライド移動時に、追加の絶縁対策をする必要がない。
【0043】
また、
図4(a)に示すように接続導体14が「第1位置」に配置されている状態において、作業者が操作部材S(補助金具12、24、ボルト10、ワッシャー8、11)を掴んで、バスダクトWの端部2側(図中のX1方向)に押すと(或いは引っ張ると)、接続導体14は、母線導体7側にスライド移動して、
図4(a)に示す「第1位置」から
図4(b)に示す「第2位置」へと移動する。
「第2位置」では接続導体14が母線導体5、7のいずれに対しても十分に接触可能となっており、締着具であるボルト10を所定トルクで締め付けることで、母線導体5、7および接続導体14相互の十分な電気的接続を得ることができる(母線導体5、母線導体7及び接続導体14は締着具によって電気的に接続されるようになっている)。
なお、ボルト10は、所定トルクで締め付けるとボルト頭がねじ切れる構造となっており、ボルト頭をねじ切ることで確実に所定の接触圧力を得ることができる。
なお、上述したように、母線導体5、7は、幅方向(Y軸方向)の両端における厚み(Z軸方向の厚さ寸法)が幅方向中央部における厚みよりも薄く設計され(
図3参照)、中央部の厚みがある部分で接続導体14と接触するようになっている。すなわち、母線導体5、7は幅方向中央部の厚みの厚い部分で接続導体14と接触し、幅方向両端の厚みの薄い部分では接続導体14と接触しないため、接触面積が小さく、接続導体14の「第1位置」と「第2位置」間の移動に力を要さず、当該移動が容易になっている。
【0044】
また、補助金具12、24には孔31、32が各々設けられており、
図4(a)、(b)に示すとおり、接続導体14が第1位置にある状態と第2位置にある状態とに対応して、孔31、32の位置も移動する。
一方で、
図2に示すとおり、上板17には孔33~36が設けられている。そのため、接続導体14が第1位置にあるときは、孔31と孔33、孔32と孔36とが各々連通して一体の孔となり、ビス28、29によって固定することができる。また、接続導体14が第2位置にあるときは、孔31と孔34、孔32と孔35とが各々連通して一体の孔となり、ビス28、29によって固定することができる。
【0045】
これらの構造によると、接続導体14が「第1位置」にある状態ではボルト10は仮締着状態となっているため、運搬中又は施工中の予期せぬ外力等によってボルト10で締着されたパーツ一式、即ち接続導体14がスライド移動をしてしまうことで、母線導体7と母線導体5とが導通してしまう虞があるが、ビス28、29によって補助金具12、24の位置、即ち接続導体14の位置を固定することができるため、母線導体7と母線導体5とが導通してしまう虞がなくなる。
また、接続導体が「第2位置」に配置されて初めて上板17の孔34、35と補助金具12、24の孔31、32が一体の孔となるため、ビス28、29で固定した状態において、接続導体14が母線導体5、7共に十分な接触面積が確保できる位置にあることがハウジングHの外部から確認できる。このため、接続導体14が母線導体5、7との十分な接触面積が得られない位置でボルト10を締め付けてしまう虞がなく、確実に接続導体14と母線導体5、7との十分な電気的接続を得ることができる。
【0046】
上述のとおり、接続導体14が「第1位置」にあるか、または「第2位置」にあるかで母線導体5、7の電気的な接続状態が変化するため、上板17、下板18に位置を表示することで、見た目で作業者が理解できるように構成してもよい。また、
図5(a)、(b)に示すとおり、長孔16aが側面に空いて内部の絶縁体25が露出するため、絶縁体25の露出部分を色分けして、母線導体5、7の電気的な接続状態を知らせる構造としてもよい。また、絶縁体25と側板15、16との間に別途表示用の部材を介する構造としてもよい。
【0047】
次に、
図6、
図7を用いて、本実施形態のバスダクトWを活用したバスダクトシステムの活線増設の方法について説明する。
【0048】
ここで、
図6は、本実施形態のバスダクトを端部に配置したバスダクトシステムにおける活線増設の手順を説明するための模式図であり、(a)がバスダクトシステムの端部に本実施形態のバスダクトWを配置した状態を平面視した模式図であり、(b)が当該バスダクトシステムのエンドキャップを取り外した状態を平面視した模式図であり、(c)が追加のバスダクトWを当該バスダクトシステムの端部に配置した状態を平面視した模式図であり、(d)が当該追加のバスダクトWをバスダクトシステムに接続した状態を平面視した模式図であり、(e)がバスダクトシステムに対してその他の追加のバスダクトの接続を完了した状態を平面視した模式図であり、(f)が本実施形態のバスダクトを操作して追加されたバスダクトへの通電を完了した状態を平面視した模式図である。
また、
図7は、本実施形態のバスダクトの操作を説明するための斜視説明図である。なお、
図7では、本実施形態のバスダクトWの中心付近を拡大して示しており、(a)が活線増設前の状態を示す斜視説明図であり、(b)~(d)が操作における各段階のバスダクトWの状態を示す斜視説明図である。
【0049】
先ず、「活線増設」の手順の説明に先立って、「活線増設」をする前のバスダクトシステムの端部の状態を説明する。
具体的には、
図6(a)に示すように、バスダクトシステムは、図示しない電源から複数のバスダクト及び接続部を電気的に接続してなり、バスダクト40aはその端部側に配置されているバスダクトである。また、図示しない「電源と、複数のバスダクト」に接続されているバスダクト40aは、本実施形態のバスダクトWと接続部39で接続されて構成されており、バスダクト40aとバスダクトWが電気的に接続されている。
なお、複数のバスダクト及びバスダクト40aは、4線の母線導体をハウジングで覆っている周知構成の一般的なバスダクトである。
また、バスダクトWは、その一端部2において、母線導体7がバスダクト40aの母線導体と電気的に接続されており、バスダクトシステムの末端に配置されている。更に、バスダクトWの他端部3はエンドキャップ41によって被覆されている。また、バスダクトWに設けられている接続導体14(
図6には示さず)は、「第1位置」に配置されている。
【0050】
次に、「活線増設」の手順について順次説明していく。
最初に、
図6(a)に示すバスダクトシステムの端部からエンドキャップ41を取り外し、
図6(b)に示すように、バスダクトWの他端部3から母線導体5を露出させる。この状態において、バスダクトWの接続導体14が「第1位置」、即ち母線導体5、7が電気的に接続しない位置にあるため、母線導体7がバスダクト40を介して電源に電気的に接続して通電された状態である一方で、母線導体5が通電されていない状態になっている。そのため、この
図6(b)に示した状態において、バスダクトWから露出している母線導体5に触れても危険はなく、絶縁対策をしなくとも安全にエンドキャップ41を取外すことができる。
【0051】
続いて、
図6(c)に示すとおり、バスダクトWの他端部3の近傍に、追加のバスダクト40bを配置し、
図6(d)に示すとおり、接続部39によってバスダクトWと接続する。更に、
図6(e)に示すとおり、バスダクトWと接続したバスダクト40bに対して、その他の追加のバスダクト40cの接続を完了する。
なお、追加のバスダクト40b、40cは、バスダクト40aと同じ構成のもの、すなわち、4線の母線導体をハウジングで覆っている周知構成の一般的なバスダクトである。
また、
図6(c)~(e)に示す各状態においても、バスダクトWの母線導体5が通電されていないから、絶縁対策をしなくとも安全に追加のバスダクトを接続することができる。
【0052】
最後に、
図6(e)に示す状態において、作業者がバスダクトWに設けられた操作部材S(補助金具12、24、ボルト10等の操作部材S)を掴んで、バスダクトWの長手方向(図中のX1方向)に押すと(或いは、引っ張ると)、接続導体14が「第1位置」から、
図6(f)に示す「第2位置」に移動する。すなわち、接続導体14が「第1位置」から「第2位置」に切り替わる。
そして、接続導体14を「第2位置」に移動させた後、ボルト10を所定トルクで締め付けることで、接続導体14が、母線導体5及び母線導体7に架設され当接した状態になり、接続導体14を介して母線導体5と母線導体7とが電気的に接続されて、追加のバスダクト40b、40cも通電された状態になる。
この手順によると、バスダクトシステムを停電させることも、また、絶縁対策をすることなく、安全かつ低コストにバスダクトシステムの「活線増設」を完了することができる。
【0053】
続いて、バスダクトWにおいて
図6(e)から
図6(f)に移行する際のバスダクトWにおける操作方法について、より詳細に説明する。
なお、
図6(e)に示されるバスダクトWをより詳細に示したのが
図7(a)であり、
図6(f)に示されるバスダクトWをより詳細に示したのが
図7(d)である。
【0054】
図7(a)に示すとおり、バスダクトWは、接続導体14が「第1位置」にある状態においてカバー材9が取り付けられている。ビス28によって上板17、補助金具12と一括で保持されているため、ボルト10が仮締着状態である接続導体14を含むパーツ一式が不意に移動してしまうことがなく、母線導体5の絶縁された状態が確保されている。
【0055】
そして、バスダクトWの接続導体14を第1位置から第2位置に移動させる場合には、以下の操作を行う。
具体的には、作業者は、先ず、
図7(a)に示した状態からビス28を取り外し、続いてカバー材9を取り外して、
図7(b)に示す状態にする。なお、ビス29は、カバー材9とは関係がないため、ビス28と同時に取り外してもよいし、カバー材9を取り外した後で取り外してもよい。
【0056】
次に、作業者は、
図7(b)に示す状態のバスダクトWの操作部材S(補助金具12、24、ワッシャー8、及びボルト10等の操作部材S)を把持して、バスダクトWの長手方向(図中のX1方向)にスライド移動させ、
図7(c)に示す状態にする。この際、ボルト10及びワッシャー8によって一体となった接続導体14を含むパーツ一式が連動して移動するため、「第1位置(
図4(a)参照)」にあった接続導体14が「第2位置(
図4(b)参照)」に移動する。この際、接続導体14が「第1位置」にある状態において、補助金具12、24の孔31、32は各々、上板17の孔33、36と連通してビス28、29を挿通可能となっているが、接続導体14が第2位置にある状態においては、補助金具12、24の孔31、32は上板17の孔34、35と連通して、ビス28、29を挿通可能となる。
次に、
図7(d)に示すとおり、ビス28、29を連通した孔31、33および孔34、35に挿通して接続導体の位置を決め、ボルト10を締め付けて接続導体14と母線導体5、7の電気的な接続を確立する。
なお、上述したように、ボルト10は、所定トルクで締め付けるとボルト頭10hがねじ切れるようになっている。
【0057】
なお、図示していないが、
図7(d)の状態から、カバー材9を取り付けてもよい。この構成を採用すると、活線増設後に誤操作でボルト10を緩めてしまう恐れを排除でき、より安全性が増す。
このように、本実施形態によれば、より安全・簡易に活線増設を行うことができるバスダクトシステム、バスダクトW及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法を提供することができる。
【0058】
なお、本発明のバスダクトシステム、バスダクト及びバスダクトシステムのエンド構造並びにバスダクトシステムの増設方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本実施形態や本明細書記載例の部分的な構成を組み合わせて特定したもの、本実施形態の部分的な構成を変更して特定したもの、本実施形態の構成に本明細書記載例の部分的な構成を追加して特定したもの、各実施形態の部分的な構成を削除して特定したものを包含するものである。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、接続導体14がスライド移動する構成となっているが、回転、挟み込み、その他の接続導体14の移動によって母線導体5、7と接続導体14相互の位置関係が変化する構成であればどのような構造によってもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、
図3に示す構成の「接続導体14、母線導体5、7」を例示しているが、接続導体と母線導体の形状は例えば、
図8~
図10に示すとおり、どの様な形状としてもよい。以下、
図8~
図10に示す本実施形態の変形例(第1~3変形例)について順番に説明する。
なお、本実施形態の変形例(第1~第3変形例)の説明では、上述した実施形態と異なる部分を説明し、同じ構成の説明を省略する。また、本変形例においては、上述した実施形態と同じ構成、或いは相当する構成については、同じ符号を付している。
【0061】
先ず、本実施形態の第1変形例について、
図8を参照しながら説明する。
ここで、
図8は、本実施形態の第1変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)が2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)が2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【0062】
図8に示す第1変形例では、母線導体7、105は、第1実施形態の母線導体7、5と同様、バスダクトW(
図8には示さず)の中央付近で各々の端部を突き合わせて所定距離離間して配置されている(図示しないが、母線導体7、105は、第1実施形態と同様、4線で合計8本の構成になっている)。
そして、第1変形例では、母線導体7、105のいずれにも切り欠きを設けずに、母線導体7、105を挟むように2枚の接続導体14を配置し、図中のY軸方向(母線導体の幅方向)に、接続導体14をスライド移動できる構成を採用している。この構成により、接続導体14が、
図8(a)に示す「第1位置」と、
図8(b)に示す「第2位置」とに切り替え可能に配置されるようになっている。
【0063】
第1変形例によれば、
図8(a)に示す「第1位置」に接続導体14を配置させた場合、2枚の接続導体14が、2つの母線導体7、105のいずれに対しても図中のY1方向に離間して配置されている状態になる。この「第1位置」でボルト10を締めても、接続導体14が、母線導体7、105の両者に接触できず、母線導体7と母線導体105を電気的に接続できない。
また、第1変形例によれば、
図8(a)に示す「第1位置」に配置されている接続導体14に対して、操作部材S(補助金具12、24またはボルト10)を掴んで、図中のY2方向に移動させることで、
図8(b)に示す「第2位置」に接続導体14を配置させることができる。「第2位置」では、2枚の接続導体14が、母線導体7、105の両者を挟んで、架設できるようになっている。そのため、「第2位置」に接続導体14を移動させた後、ボルト10を所定トルクで締め付けることで、2枚の接続導体14により2つの母線導体7、105が挟持されて(すなわち、接続導体14が、母線導体7、105の両者に接触して)、接続導体14を介して母線導体7が母線導体105と電気的に接続される状態になる。
【0064】
次に、本実施形態の第2変形例について、
図9を参照しながら説明する。
ここで、
図9は、本実施形態の第2変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)が2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)が2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【0065】
図9に示す第2変形例では、母線導体205、207及び接続導体214の何れにも、その端部に切欠き(凹部205a、凹部207a、凹部214b)を設け、母線導体205、207の長尺方向(図中のX軸方向)に、2枚の接続導体214をスライド移動できる構成を採用している。この構成により、接続導体214が、
図9(a)に示す「第1位置」と、
図9(b)に示す「第2位置」とに切り替え可能に配置される。
【0066】
具体的には、図示する母線導体205、207は、第1実施形態の母線導体5、7と同様、バスダクトW(
図9には示さず)の中央付近で各々の端部を突き合わせて所定距離離間して配置されている(図示しないが、母線導体205、207は、第1実施形態と同様、4線で合計8本の構成になっている)。
また、母線導体205は、母線導体207と相対向している端部に、凹状に切り欠かれた凹部205aが形成され、母線導体207は、母線導体205と相対向している端部に、凹状に切り欠かれた凹部207aが形成されている。
【0067】
また、接続導体214は、母線導体205、207を電気的に接続するための接続用の導体であり、母線導体205、207の各相に対して、1対(2枚)の接続導体214が設けられている。また、接続導体214は、第1実施形態の接続導体14と同様、ボルト10を挿通させるための貫通孔214aが形成されていると共に、母線導体205と向かい合う端部に、凹状に切り欠かれた凹部214bが形成されている。
【0068】
また、2枚の接続導体214のうちの一方の接続導体214が母線導体205、207の一方面側(表面側)に配置され、他方の接続導体214が母線導体205、207の他方面側(裏面側)に配置され、一対の接続導体214の貫通孔214aと、母線導体207の凹部207aにボルト10が挿通さている。また、第2変形例では、母線導体205の凹部205aに補助ボルト110が挿通されている。
【0069】
そして、第2変形例によれば、
図9(a)に示す「第1位置」に接続導体214が配置されている状態のときには、接続導体214が母線導体207の表裏面だけを挟んだ位置に配置され且つ母線導体205とは離間している状態になる(接続導体214は、母線導体207にだけ接触可能な状態になっている)。この「第1位置」でボルト10を締めても、接続導体214が母線導体205に接触できないため、母線導体207と母線導体205を電気的に接続できない。
また、
図9(a)に示す「第1位置」に配置されている接続導体214に対して、操作部材S(補助金具12、24またはボルト10等の操作部材S)を掴んで、母線導体205、207の長尺方向(図中のX2方向)にスライド移動させることで、
図9(b)に示す「第2位置」に接続導体214を配置させることができる。「第2位置」では、2枚の接続導体214が、母線導体205、207の両者を挟んで、架設できるようになっている。
また、「第2位置」に接続導体214を移動させた後、ボルト10及び補助ボルト110を締めると、一対の接続導体214により2つの母線導体205、207が挟持され(すなわち、一対の接続導体214が、母線導体205、207の両者に接触して)、接続導体214を介して母線導体205が母線導体207と電気的に接続される状態になる。
【0070】
次に、本実施形態の第3変形例について、
図10を参照しながら説明する。
ここで、
図10は、本実施形態の第3変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体および締着部材の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)が2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)が2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
【0071】
図10に示す第3変形例は、接続導体314が母線導体305、307を挟み込まずに母線導体305、307と接触させる構成になっている。また、第3変形例では、母線導体305の端部に切欠き(凹部305c1)を設け、接続導体314をスライド移動できる構成を採用している。この構成により、接続導体314が、
図10(a)に示す「第1位置」と、
図10(b)に示す「第2位置」とに切り替え可能に配置される。
【0072】
具体的には、図示する母線導体305、307は、上述した第1実施形態と同様、バスダクトW(
図10には示さず)の中央付近で各々の端部を突き合わせて所定距離離間して配置されている(図示しないが、母線導体305、307は、第1実施形態と同様、4線で合計8本の構成になっている)。
【0073】
また、母線導体305は、板状の基部305aと、基部305aの端部から図中のZ1方向に向けて略直角に屈曲し延設された垂直片305bと、垂直片305bの端部から略直角に屈曲し一方(図中のX1方向)に向け且つ基部305aと平行に延設された接続片305cとを備えており、基部305aと接続片305cにより段差が形成されている。また、母線導体305は、接続片305cの自由端が母線導体307と相対向しており、この自由端に、凹状に切り欠かれた凹部305c1が形成されている。
また、母線導体307は、平板状に形成されており、母線導体305と相対向している端部の近傍に補助ボルト110を挿通させるための貫通孔307aが形成されている。
【0074】
また、接続導体314は、板状の第1接触片314aと、第1接触片314aの端部から図中のZ2方向に向けて略直角に屈曲し延設された垂直片314bと、垂直片314bの端部から略直角に屈曲し他方(図中のX2方向)に向け且つ第1接触片314aと平行に延設された板状の第2接触片314cとを備えおり、第1接触片314aと第2接触片とにより段差が形成されている。
この接続導体314は、母線導体305、307を電気的に接続するための接続用の導体であり、母線導体305、307の各相に対して、1枚の接続導体314が設けられている。
また、接続導体314は、第1接触片314aが母線導体307側に配置され、第2接触片314cが母線導体305側に配置されるようになっている。また、第2接触片314cには、ボルト10を挿通させるための貫通孔314c1が形成されている。また、第1接触片314aは、その自由端に、凹状に切り欠かれた凹部(切欠き)314a1が形成されている。
【0075】
また、第3変形例では、母線導体307の一方面(図中ではZ1方向の面)側に、接続導体314の第1接触片314aが配置されて、第1接触片314aの凹部314a1と、母線導体307の貫通孔307aに補助ボルト110が挿通される。また、接続導体314の第2接触片314cの貫通孔314c1には、ボルト10が挿通される。
【0076】
そして、
図10(a)に示す「第1位置」に接続導体314が配置されている状態のときには、接続導体314が母線導体307の一方面側(図中のZ1方向側)とだけ相対向し、且つ母線導体305とは所定距離離間している。この「第1位置」でボルト10を締めても、接続導体314が母線導体305に接触できず、母線導体307と母線導体305とは電気的に接続できない。
【0077】
また、
図10(a)に示す「第1位置」に配置されている接続導体314に対して、操作部材S(補助金具12、24またはボルト10等の操作部材S)を掴んで、母線導体305、307の長尺方向(図中のX2方向)にスライド移動させることで、接続導体314が長尺方向(図中のX2方向)にスライド移動し、接続導体314の第2接触片314cが、母線導体305の接続片314cの他方面(図中のZ2方向側)と相対向する位置に移動していき、
図10(b)に示す「第2位置」に接続導体314が配置される。
【0078】
この「第2位置」では、接続導体314は、第1接触片314aが母線導体307の一方面側(図中のZ1方向側)に配置され、第2接触片314cが母線導体305の他方面側(図中のZ2方向側)に配置される。すなわち、接続導体314は、母線導体307の一方面側と、母線導体305の他方面側とを跨るように配置される。そして、「第2位置」に接続導体314を移動させた後、ボルト10及び補助ボルト110を締めると、接続導体314が、母線導体307の一方面と、母線導体307の他方面とに架設されて当接し、接続導体314を介して母線導体305が母線導体307と電気的に接続される状態になる。
【0079】
このように、本実施形態の変形例(第1~第3変形例)においても、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、上述した実施形態及びその変形例(第1~第3変形例)は、あくまでも一例である。接続導体を移動させて「第1位置」と、「第2位置」とに切り替え可能に配置でき、離間している2つの母線導体及び接続導体間の電気的な接続及び非接続を切り替えできるものであれば、接続導体及び母線導体の形状、接触面積、断面形状等々は適宜設計されるものである。
【0080】
次に、本実施形態の第4変形例について、
図11を参照しながら説明する。
ここで、
図11は、本実施形態の第4変形例のバスダクトにおける接続導体、2つの母線導体、締着部材、および接続導体を保持する絶縁体の位置関係を説明するための斜視説明図であり、(a)が2つの母線導体が電気的に接続されていない状態を示す斜視説明図であり、(b)が2つの母線導体が電気的に接続された状態を示す斜視説明図である。
なお、本実施形態の第4変形例の説明では、上述した実施形態及び第1~3変形例と同じ構成、或いは相当する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0081】
図11に示す第4変形例では、図中のZ軸方向両側から母線導体7、105を挟み込むように2枚の接続導体414を配置し、2枚の接続導体414を図中のY軸方向両側から一対の絶縁体444を装着し、絶縁体444に複数(4本)のボルト10を挿通して接続導体414をスライド移動できる構成を採用している。この構成により、接続導体414が、
図11(a)に示す「第1位置」と、
図11(b)に示す「第2位置」とに切り替え可能に配置される。
【0082】
具体的には、図示する母線導体7、105は、上述した第1変形例と同様、バスダクトW(
図11には示さず)の中央付近で各々の端部を突き合わせて所定距離離間して配置されている(図示しないが、母線導体7、105は、第1変形例と同様、4線で合計8本の構成になっている)。
また、接続導体414は、母線導体7、105を電気的に接続するための接続用の導体であり、母線導体7、105の各相に対して、2枚の接続導体414が母線導体7、105を図中のZ軸方向から挟みこむように設けられている。また、2枚の接続導体414は、図中Y軸方向両側に、1対の絶縁体444が装着されている。
また、1対の絶縁体444は、平板状に形成されている。また、一対(2枚)の絶縁導体444のうち、接続導体414の図中のY1方向側に装着される絶縁体444は、図中のY2方向側の面に凹状のガイド溝部444aが形成されている。また、一対(2枚)の絶縁導体444のうち、接続導体414の図中のY2方向側に装着される絶縁体444は、図中のY1方向側の面に凹状のガイド溝部444aが形成されている。また、各絶縁体444には、いずれも、図中Z軸方向の面を貫通する2本のボルト10が設けられている。
【0083】
また、2つの絶縁体444が装着された2枚の接続導体414の間には空間が形成され、当該空間の図中のY軸方向両端にガイド溝444aが連続して一体の空間を形成している。
母線導体7は、母線導体105と向かい合う端部が、当該一体の空間に挿通されており、母線導体105は、母線導体7と向かい合う端部が、当該一体の空間に出し入れ自在に挿通されるようになっている。
また、図示しないが、ボルト10の締着力を受けて接続導体414及び母線導体7、105を挟着する2つの板状部材が設けられる。2つの板状部材は、図中のY軸方向両側の最も外側から図示しない各相の接続導体間の絶縁部材、各相の2枚の接続導体414及び母線導体7、105を挟みこむように配置され、また、各々ボルト10が挿通される孔を4つ有し、当該孔にボルト10が挿通されて配置される。4本のボルト10を締めることで2つの板状部材がその締着力を各相の接続導体414、母線導体7及び105に伝達し、一括して電気的に接続することができるようになっている。
板状部材はバネ性をもつものを採用するとより好適である。
【0084】
そして、第4変形例によれば、
図11(a)に示す「第1位置」に接続導体414が配置されている状態のときには、2枚の接続導体414は、母線導体7の図中のZ軸方向両側にだけ配置され、母線導体105と離間した位置に配置される(接続導体414は、母線導体7にだけ接触可能な状態になっている)。この「第1位置」でボルト10を締めても、接続導体414が母線導体105に接触できないため、母線導体7と母線導体105とを電気的に接続することができない。
また、
図11(a)に示す「第1位置」に配置されている接続導体414に対して、操作部材S(補助金具12、24、ボルト10等の接続部材)を掴んで、母線導体7、105の長尺方向(図中のX2方向)にスライド移動させることで、
図11(b)に示す「第2位置」に接続導体414を配置させることができる。「第2位置」では、母線導体105が、接続導体414の両側に設けられた絶縁体444の他端部からガイド溝444aに挿通されている。また、「第2位置」では、接続導体414は、母線導体7及び母線導体105の両者の上方面を跨る位置に配置される。そして、「第2位置」に接続導体314を移動させた後、4本のボルト10を締めると、接続導体414が、2つの母線導体7、105の上面に架設されて当接し、接続導体414を介して母線導体105が母線導体7と電気的に接続された状態になる。
【0085】
このように、本実施形態の第4変形例では、接続導体414とボルト10とが絶縁体444を介して連動する構成になっており、この構成により、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、第4変形例は、あくまでも一例である。作業者が通電している母線導体に触れることなく接続導体の位置を切り替え可能になっていればどの様な構成としてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態及び第1~4変形例では、バスダクトWを設置する際に、端部2側の母線導体7を活線側としているが、端部3の母線導体5を活線側としてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、バスダクトWをバスダクトシステムの末端に設ける構造、及びバスダクトWを利用したバスダクトシステムの幹線増設の方法を例示しているが、バスダクトシステムの任意の位置において、バスダクト、或いは接続部として本発明の構成を適用してもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、接続導体(14、214、314、414)を第1位置から第2位置に切り替えた後、ボルト10のボルト頭10hをねじ切る構造を例示しているが、締着具をボルト10の様なトルクボルトに限定するものではなく、ボルト頭をねじ切らないタイプのボルトやボルト以外の締着手段としてもよく、また、接続導体14と母線導体5、7との電気的な接続を確立できれば、スナップ錠の様な構造やクランプ等どの様な構造を締着具として採用してもよい。
加えて、上述した実施例では、接続導体(14、214、314、414)を第1位置から第2位置に切り替えて母線導体間の電気的接続を完了する構造、方法のみを例示しているが、当該電気的接続の完了後に締着具による締着を緩め、接続導体(14、214、314、414)を第2位置から第1位置に切り替える構成を排除するものではなく、その様に構成しても良い。
【0089】
また、上述した実施形態では、カバー材9はボルト10のボルト頭10h側のみに設けているが、ワッシャー8のナットをトルクナットとして、ワッシャー8側にカバー材9を設けてもよい。また、ボルト10のボルト頭10h、またはボルト10の先端部に樹脂製キャップを施して安全性を高めてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、上板17に孔33~36を設けビス28、29を対応させているが、いずれか一方のビスのみとしてもよく、また、下板18に同様に孔を設けてビスを取り付ける構造としてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、バスダクトシステムとして4線式のものを例示しているが、3線式その他の線数のバスダクトにおいても同様に効果を奏する。
【0092】
また、上述した実施形態では、バスダクトシステムとして空気絶縁型のものを例示しているが密着絶縁型のバスダクトとしてもよい。
【0093】
また、本実施形態のバスダクトシステムは、データセンター等以外においても当然に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
W…バスダクト
2…端部
3…端部
4a…プラグインホール
4b…シャッター部
5…母線導体
5a…凹部
7…母線導体
14…接続導体
14a…貫通孔
S…操作部材
8…ワッシャー(操作部材)
10…ボルト(操作部材)
10h…ボルト頭(ボルト(操作部材))
11…ワッシャー(操作部材)
12、24…補助金具(操作部材)
25…絶縁体
26…絶縁体
27…ホルダー
28、29…ビス
31…孔
32…孔
39…接続部
H…ハウジング
15、16…側板(ハウジング)
15a、16a…長孔(ハウジング)
17…上板(ハウジング)
18…下板(ハウジング)
20…第1筒部(ハウジング)
21…第2筒部(ハウジング)
33、34、35、36…孔(上板(ハウジング))
9…カバー材
40a、40b、40c…バスダクト
41…エンドキャップ
105…母線導体
110…補助ボルト
205…母線導体
205a…凹部
207…母線導体
207a…凹部
214…接続導体
214a…貫通孔
214b…凹部
305…母線導体
305a…基部
305b…垂直片
305c…接続片
305c1…凹部
307…母線導体
307a…貫通孔
314…接続導体
314a…第1接触片
314a1…凹部
314b…垂直片
314c…第2接触片
314c1…貫通孔
414…接続導体
444…絶縁体
444a…ガイド溝部