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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】出力装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/06 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
H05B6/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019209441
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021082494
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390026088
【氏名又は名称】富士電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】中井 靖文
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】服部 弘
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026603(JP,A)
【文献】特開2010-130381(JP,A)
【文献】特開2007-012480(JP,A)
【文献】特開平07-128345(JP,A)
【文献】特開平10-202717(JP,A)
【文献】特開昭59-114916(JP,A)
【文献】実開昭57-079773(JP,U)
【文献】実開昭51-020710(JP,U)
【文献】特開2015-207856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00-11/00
C21D 1/00-11/00
G01R 1/00-35/06
G09G 5/00
H03K 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電気量を出力する出力部と、
前記所定の電気量の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて、当該周波数の検出値を表示部に表示させるためのクロック信号を生成する検出部と、
前記検出部からの前記クロック信号を異なる複数の分周比でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する分周器と、
前記表示部における前記検出値の表示のフルスケール値を異なる複数のフルスケール値にそれぞれ設定するための複数の周波数モード設定信号のうち、特定の周波数モード設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、
前記分周器からの前記複数の分周信号及び前記入力部からの前記特定の周波数モード設定信号が入力され、前記複数の分周信号のうち前記特定の周波数モード設定信号に対応する特定の分周信号を選択し、選択した前記特定の分周信号を出力するセレクタと、
前記セレクタからの前記特定の分周信号をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を前記表示部に出力する変換部と、を備える
出力装置。
【請求項2】
前記周波数モード設定信号により設定される前記フルスケール値は、所定の周波数fを2(nは1以上の整数)逓倍した周波数2×fであり、
前記分周器は、前記クロック信号を分周比1/2で分周することにより前記分周信号を生成し、
前記セレクタは、前記複数の分周信号のうち、周波数2×f(kは1以上の整数)を前記フルスケール値として設定するための前記特定の周波数モード設定信号に対応する、前記クロック信号を分周比1/2で分周した前記特定の分周信号を選択する
請求項1に記載の出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の電気量を出力するための出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加熱物を誘導加熱するための誘導加熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。誘導加熱装置は、電源回路と、整合回路と、誘導コイルと、入力部と、制御部と、検出部と、表示部とを備えている。
【0003】
電源回路は、複数のスイッチング素子を有するインバータ電源であり、複数のスイッチング素子を高速でオン・オフさせることにより高周波電流を生成する。整合回路は、電源回路と誘導コイルとの間に電気的に接続された並列共振回路である。誘導コイルは、被加熱物の周囲を覆うように配置されている。
【0004】
電源回路からの高周波電流は、整合回路を介して誘導コイルに供給される。この高周波電流により生成された交番磁束が被加熱物の内部を貫通することにより、被加熱物の内部に渦電流が流れるようになる。この渦電流によるジュール熱によって、被加熱物が誘導加熱される。
【0005】
上述した誘導加熱装置では、被加熱物の寸法等に応じて、電源回路から出力される高周波電流の周波数を、異なる複数の周波数(例えば10kHz、50kHz、100kHz)の中から適宜選択する必要がある。そのため、入力部は、高周波電流の周波数を設定するための周波数設定信号を受け付ける。制御部は、入力部からの周波数設定信号に基づいて、電源回路から出力される高周波電流の周波数を所定の周波数(例えば100kHz)に制御する。
【0006】
検出部は、電源回路から出力される高周波電流の周波数を検出し、検出した周波数の大きさに応じたアナログ電圧信号(例えば0~10V)を出力する。表示部は、検出部からのアナログ電圧信号に基づいて、高周波電流の周波数を表示する。表示部は、例えば100kHzをフルスケール値として、アナログ電圧信号0~10Vが周波数0~100kHzに対応するように、高周波電流の周波数を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-208240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
周波数設定信号により高周波電流の周波数が例えば100kHzから10kHzに設定変更された場合には、表示部は、100kHzをフルスケール値として、アナログ電圧信号0~1Vが周波数0~10kHzに対応するように、高周波電流の周波数を表示する。
【0009】
しかしながら、このように電源回路から出力される高周波電流の周波数が表示部のフルスケール値に対して低過ぎる場合には、表示部がノイズ等の影響を受けやすくなるため、表示部における周波数の表示精度が低下するという課題が生じる。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、表示部における周波数の検出値の表示精度を高めることができる出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る出力装置は、所定の電気量を出力する出力部と、前記所定の電気量の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて、当該周波数の検出値を表示部に表示させるためのクロック信号を生成する検出部と、前記検出部からの前記クロック信号を異なる複数の分周比でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する分周器と、前記表示部における前記検出値の表示のフルスケール値を異なる複数のフルスケール値にそれぞれ設定するための複数の周波数モード設定信号のうち、特定の周波数モード設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、前記分周器からの前記複数の分周信号及び前記入力部からの前記特定の周波数モード設定信号が入力され、前記複数の分周信号のうち前記特定の周波数モード設定信号に対応する特定の分周信号を選択し、選択した前記特定の分周信号を出力するセレクタと、前記セレクタからの前記特定の分周信号をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を前記表示部に出力する変換部と、を備える。
【0012】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る出力装置によれば、表示部における周波数の検出値の表示精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る誘導加熱装置の回路構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る信号変換部の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る信号変換部の分周器の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4】実施の形態に係る信号変換部のセレクタの動作の一例を示す真理値表である。
図5】実施の形態に係る信号変換部の動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様に係る出力装置は、所定の電気量を出力する出力部と、前記所定の電気量の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて、当該周波数の検出値を表示部に表示させるためのクロック信号を生成する検出部と、前記検出部からの前記クロック信号を異なる複数の分周比でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する分周器と、前記表示部における前記検出値の表示のフルスケール値を異なる複数のフルスケール値にそれぞれ設定するための複数の周波数モード設定信号のうち、特定の周波数モード設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、前記分周器からの前記複数の分周信号及び前記入力部からの前記特定の周波数モード設定信号が入力され、前記複数の分周信号のうち前記特定の周波数モード設定信号に対応する特定の分周信号を選択し、選択した前記特定の分周信号を出力するセレクタと、前記セレクタからの前記特定の分周信号をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を前記表示部に出力する変換部と、を備える。
【0016】
本態様によれば、分周器は、検出部からのクロック信号を異なる複数の分周比でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する。セレクタは、分周器からの複数の分周信号のうち、特定の周波数モード設定信号に対応する特定の分周信号を選択し、選択した特定の分周信号を変換部に出力する。これにより、出力部から出力される所定の電気量の周波数に応じて、表示部における検出値の表示のフルスケール値を適切に切り替えることができる。その結果、表示部における周波数の検出値の表示精度を高めることができる。
【0017】
例えば、前記周波数モード設定信号により設定される前記フルスケール値は、所定の周波数fを2(nは1以上の整数)逓倍した周波数2×fであり、前記分周器は、前記クロック信号を分周比1/2で分周することにより前記分周信号を生成し、前記セレクタは、前記複数の分周信号のうち、周波数2×f(kは1以上の整数)を前記フルスケール値として設定するための前記特定の周波数モード設定信号に対応する、前記クロック信号を分周比1/2で分周した前記特定の分周信号を選択するように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、例えば出力部から出力される所定の電気量の周波数が設定変更された場合であっても、セレクタから出力される特定の分周信号の周波数の最大値を、一定値(所定の周波数f)に保持することができる。これにより、変換部において、セレクタから出力される特定の分周信号の周波数の範囲と、アナログ電圧信号の範囲との対応関係を一定に保持することができる。その結果、変換部から出力されるアナログ電圧信号の最大値が、出力部から出力される所定の電気量の周波数に応じたフルスケール値に対応するように、表示部において周波数の検出値を表示させることができる。
【0019】
例えば、前記出力装置は、さらに、前記出力部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記特定の周波数モード設定信号が選択されたことが前記入力部により受け付けられた場合に、前記出力部から出力される前記所定の電気量の周波数が、前記特定の周波数モード設定信号により設定される前記フルスケール値よりも小さくなるように前記出力部を制御するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、表示部において、周波数の検出値を、フルスケール値を超えない範囲で表示させることができる。なお、特定の周波数モード設定信号の選択と、出力部から出力される所定の電気量の周波数の設定の前後は問わない。すなわち、特定の周波数モード設定信号を選択した後に、出力部から出力される所定の電気量の周波数を設定してもよいし、あるいは、出力部から出力される所定の電気量の周波数を設定した後に、特定の周波数モード設定信号を選択してもよい。
【0021】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
[1.誘導加熱装置の回路構成]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る誘導加熱装置2(出力装置の一例)の回路構成について説明する。図1は、実施の形態に係る誘導加熱装置2の回路構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、誘導加熱装置2は、被加熱物4a,4b,4cを誘導加熱するための主回路6と、主回路6を制御するための制御回路8とを備えている。誘導加熱装置2は、例えば、寸法又は種類等の異なる被加熱物4a,4b,4cをそれぞれ2kHz、30kHz及び70kHzの高周波で誘導加熱(いわゆる、高周波焼き入れ)するための装置である。なお、高周波焼き入れとは、高周波の電磁誘導を起こすことにより、被加熱物4a,4b,4cの各表面を加熱させて焼き入れを行う熱処理である。被加熱物4a,4b,4cの各々は、例えば車両又は工作機械等に用いられる金属部品等である。
【0026】
図1に示すように、主回路6は、電源回路10(出力部の一例)と、整合回路12a,12b,12cとを含んでいる。
【0027】
電源回路10は、2kHz、30kHz及び70kHzの各周波数の高周波電流(所定の電気量の一例)を出力するための発振器である。電源回路10は、整流回路16と、チョークコイル18,20と、インバータ回路22とを有している。整流回路16は、例えば6個のサイリスタ24を用いて、商用電源等からの3相60Hz(又は50Hz)の交流電力を直流電力に変換する。チョークコイル18,20は、整流回路16の出力側(直流側)に電気的に接続されており、整流回路16からの直流電力を平滑化する。インバータ回路22は、チョークコイル18,20を介して整流回路16の出力側に電気的に接続されている。インバータ回路22は、例えば4個のスイッチング素子26を高速でオン・オフさせることにより、平滑化された直流電力を単相の高周波電力に変換する。これにより、電源回路10は、例えば2kHz、30kHz及び70kHzの各周波数の高周波電流を生成する。なお、各スイッチング素子26は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。
【0028】
整合回路12a,12b,12cは、電源回路10のインバータ回路22の出力側(交流側)に電気的に並列接続されている。整合回路12a,12b,12cは、電源回路10により生成された有効電力を高効率で誘導コイル14a,14b,14cにそれぞれ供給するためのものである。整合回路12aは、コンデンサ28a及び整合トランス30aで構成された2kHz用の並列共振回路である。整合回路12bは、コンデンサ28b及び整合トランス30bで構成された30kHz用の並列共振回路である。整合回路12cは、コンデンサ28c及び整合トランス30cで構成された70kHz用の並列共振回路である。
【0029】
整合回路12a,12b,12cの各入力側にはそれぞれ、切替スイッチ32a,32b,32cが電気的に接続されている。図1に示すように、切替スイッチ32aがオン、且つ、切替スイッチ32b,32cがオフした際には、整合回路12aが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12b,12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。
【0030】
図示しないが、切替スイッチ32bがオン、且つ、切替スイッチ32a,32cがオフした際には、整合回路12bが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12a,12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。
【0031】
また、図示しないが、切替スイッチ32cがオン、且つ、切替スイッチ32a,32bがオフした際には、整合回路12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12a,12bが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。
【0032】
整合回路12a,12b,12cの各出力側にはそれぞれ、誘導コイル14a,14b,14cが電気的に接続されている。誘導コイル14a,14b,14cはそれぞれ、被加熱物4a,4b,4cを誘導加熱するためのものであり、被加熱物4a,4b,4cの各周囲を覆うように配置される。
【0033】
整合回路12aが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続された状態で、電源回路10により生成された2kHzの高周波電流が整合回路12aを介して誘導コイル14aに供給された際には、被加熱物4aが誘導コイル14aにより誘導加熱される。
【0034】
同様に、整合回路12bが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続された状態で、電源回路10により生成された30kHzの高周波電流が整合回路12bを介して誘導コイル14bに供給された際には、被加熱物4bが誘導コイル14bにより誘導加熱される。
【0035】
また、整合回路12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続された状態で、電源回路10により生成された70kHzの高周波電流が整合回路12cを介して誘導コイル14cに供給された際には、被加熱物4cが誘導コイル14cにより誘導加熱される。
【0036】
図1に示すように、制御回路8は、検出部34と、操作パネル36と、入力部38と、制御部40と、信号変換部42とを含んでいる。
【0037】
検出部34は、電源回路10から出力される高周波電圧のレベル及び高周波電流の周波数(周期)を検出する。検出部34は、検出した高周波電圧のレベルを制御部40に出力する。また、検出部34は、高周波電流の波形から算出した高周波電流の周波数に基づいてクロック信号を生成し、生成したクロック信号を制御部40及び信号変換部42の各々に出力する。なお、後述する図3の(a)に示すように、クロック信号は、算出した周波数でハイレベルとローレベルとを交互に繰り返すパルス信号(デジタル信号)である。
【0038】
操作パネル36は、誘導加熱装置2を操作するための制御盤である。操作パネル36は、電源回路10から出力された高周波電流の周波数の検出値を表示するための表示部43を有している。表示部43には、信号変換部42からのアナログ電圧信号(後述する)が入力される。なお、表示部43は、周波数の検出値を数字によりデジタル表示してもよいし、指針によりアナログ表示してもよい。
【0039】
また、ユーザが操作パネル36を操作することにより、表示部43における周波数の検出値の表示のフルスケール値を設定するための周波数表示モードが切り替えられる。具体的には、周波数表示モードとして、1.25kHzモード、2.5kHzモード、5kHzモード、10kHzモード、20kHzモード、40kHzモード、80kHzモード及び160kHzモードのいずれかに切り替えられる。ここで、フルスケール値とは、表示部43において表示可能な周波数の検出値の上限を意味する。
【0040】
上述した各周波数表示モードで設定されるフルスケール値は、所定の周波数f=625Hzを2(nは1以上の整数)逓倍した周波数2×625Hzである。具体的には、1.25kHzモード、2.5kHzモード、5kHzモード、10kHzモード、20kHzモード、40kHzモード、80kHzモード及び160kHzモードの各周波数表示モードで設定されるフルスケール値はそれぞれ、1.25kHz(=2×625Hz)、2.5kHz(=2×625Hz)、5kHz(=2×625Hz)、10kHz(=2×625Hz)、20kHz(=2×625Hz)、40kHz(=2×625Hz)、80kHz(=2×625Hz)及び160kHz(=2×625Hz)である。
【0041】
操作パネル36は、上述した複数の周波数表示モードにそれぞれ切り替えるための複数の周波数モード設定信号のうちいずれか一つの周波数モード設定信号を選択し、選択した周波数モード設定信号を入力部38に出力する。すなわち、複数の周波数モード設定信号はそれぞれ、表示部43における周波数の検出値の表示のフルスケール値を、異なる複数のフルスケール値に設定するための信号である。
【0042】
また、ユーザが操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数が2kHz、30kHz及び70kHzのいずれかに設定される。操作パネル36は、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を2kHz、30kHz及び70kHzにそれぞれ設定するための第1の周波数出力設定信号、第2の周波数出力設定信号及び第3の周波数出力設定信号のうち、いずれか一つの周波数出力設定信号を選択する。操作パネル36は、選択した周波数出力設定信号を入力部38に出力する。
【0043】
被加熱物4aを誘導コイル14aにより誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を2kHzに設定する。これにより、操作パネル36は、第1の周波数出力設定信号を入力部38に出力する。この時、操作パネル36は、例えば高周波電流の周波数を2kHzに設定するのに連動して、周波数表示モードを2.5kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号(以下、「第1の周波数モード設定信号」という)を入力部38に出力する。
【0044】
被加熱物16bを誘導コイル8bにより誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を30kHzに設定する。これにより、操作パネル36は、第2の周波数出力設定信号を入力部38に出力する。この時、操作パネル36は、例えば高周波電流の周波数を30kHzに設定するのに連動して、周波数表示モードを40kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号(以下、「第2の周波数モード設定信号」という)を入力部38に出力する。
【0045】
被加熱物16cを誘導コイル8cにより誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を70kHzに設定する。これにより、操作パネル36は、第3の周波数出力設定信号を入力部38に出力する。この時、操作パネル36は、例えば高周波電流の周波数を70kHzに設定するのに連動して、周波数表示モードを80kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号(以下、「第3の周波数モード設定信号」という)を入力部38に出力する。
【0046】
また、ユーザが操作パネル36を操作することにより、被加熱物4a,4b,4cの誘導加熱の開始が指示される。この時、操作パネル36は、被加熱物4a,4b,4cの誘導加熱を指示するための加熱指令信号を入力部38に出力する。
【0047】
なお、操作パネル36は、ユーザにより設定された高周波電流の周波数(2kHz、30kHz及び70kHzのいずれか)に基づいて、切替スイッチ32a,32b,32cのオン・オフを制御する。具体的には、高周波電流の周波数が2kHzに設定された際には、操作パネル36は、切替スイッチ32aをオン、且つ、切替スイッチ32b,32cをオフさせる。高周波電流の周波数が30kHzに設定された際には、操作パネル36は、切替スイッチ32bをオン、且つ、切替スイッチ32a,32cをオフさせる。高周波電流の周波数が70kHzに設定された際には、操作パネル36は、切替スイッチ32cをオン、且つ、切替スイッチ32a,32bをオフさせる。
【0048】
入力部38は、操作パネル36において複数の周波数モード設定信号のうちいずれか一つの周波数モード設定信号(特定の周波数モード設定信号)が選択されたことを受け付け、受け付けた周波数モード設定信号を信号変換部42に出力する。また、入力部38は、操作パネル36において第1の周波数出力設定信号、第2の周波数出力設定信号及び第3の周波数出力設定信号のうちいずれか一つの周波数出力設定信号が選択されたことを受け付け、受け付けた周波数出力設定信号を制御部40に出力する。また、入力部38は、操作パネル36からの加熱指令信号を受け付け、受け付けた加熱指令信号を制御部40に出力する。
【0049】
制御部40は、入力部38により受け付けられた周波数出力設定信号に基づいて、電源回路10のインバータ回路22における高周波電流の周波数を制御する。具体的には、入力部38により第1の周波数出力設定信号が受け付けられた際には、制御部40は、第1の周波数出力設定信号に基づいて、2kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。この場合、制御部40は、電源回路10により生成される高周波電流の周波数が、第1の周波数モード設定信号により設定されるフルスケール値2.5kHzよりも小さい周波数(2kHz)となるように電源回路10を制御する。
【0050】
また、入力部38により第2の周波数出力設定信号が受け付けられた際には、制御部40は、第2の周波数出力設定信号に基づいて、30kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。この場合、制御部40は、電源回路10により生成される高周波電流の周波数が、第2の周波数モード設定信号により設定されるフルスケール値40kHzよりも小さい周波数(30kHz)となるように電源回路10を制御する。
【0051】
また、入力部38により第3の周波数出力設定信号が受け付けられた際には、制御部40は、第3の周波数出力設定信号に基づいて、70kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。この場合、制御部40は、電源回路10により生成される高周波電流の周波数が、第3の周波数モード設定信号により設定されるフルスケール値80kHzよりも小さい周波数(70kHz)となるように電源回路10を制御する。
【0052】
さらに、制御部40は、入力部38からの加熱指令信号に基づいて、電源回路10の整流回路16及びインバータ回路22の制御を開始することにより、被加熱物4a,4b,4cの誘導加熱を開始する。また、制御部40は、入力部38からの加熱指令信号が入力されなくなった際には、電源回路10の整流回路16及びインバータ回路22の制御を停止することにより、被加熱物4a,4b,4cの誘導加熱を終了する。なお、制御部40は、検出部34により検出された高周波電圧のレベル及び高周波電流の周波数に基づいて、インバータ回路22の出力電圧のレベル及び出力電流の周波数等をフィードバック制御する。
【0053】
信号変換部42は、検出部34からのクロック信号をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力する。信号変換部42の構成については後で詳述する。
【0054】
ここで、上述した誘導加熱装置2の動作について説明する。被加熱物4aを誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を2kHzに設定するとともに、被加熱物4aの誘導加熱の開始を指示する。また、これに連動して、周波数表示モードが2.5kHzモードに切り替えられる。これにより、入力部38は、操作パネル36からの第1の周波数出力設定信号、第1の周波数モード設定信号及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、操作パネル36が切替スイッチ32aをオン、且つ、切替スイッチ32b,32cをオフすることにより、整合回路12aが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12b,12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。また、制御部40は、入力部38により受け付けられた第1の周波数出力設定信号及び加熱指令信号に基づいて、2kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。これにより、電源回路10からの2kHzの高周波電流が整合回路12aを介して誘導コイル14aに供給され、被加熱物4aが誘導加熱される。また、操作パネル36の表示部43は、入力部38により受け付けられた第1の周波数モード設定信号に基づいて、フルスケール値を2.5kHzとして高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0055】
また、被加熱物4bを誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を30kHzに設定するとともに、被加熱物4bの誘導加熱の開始を指示する。また、これに連動して、周波数表示モードが40kHzモードに切り替えられる。これにより、入力部38は、操作パネル36からの第2の周波数出力設定信号、第2の周波数モード設定信号及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、操作パネル36が切替スイッチ32bをオン、且つ、切替スイッチ32a,32cをオフすることにより、整合回路12bが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12a,12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。また、制御部40は、入力部38により受け付けられた第2の周波数出力設定信号及び加熱指令信号に基づいて、30kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。これにより、電源回路10からの30kHzの高周波電流が整合回路12bを介して誘導コイル14bに供給され、被加熱物4bが誘導加熱される。また、操作パネル36の表示部43は、入力部38により受け付けられた第2の周波数モード設定信号に基づいて、フルスケール値を40kHzとして高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0056】
また、被加熱物4cを誘導加熱する際には、ユーザは、操作パネル36を操作することにより、電源回路10から出力される高周波電流の周波数を70kHzに設定するとともに、被加熱物4cの誘導加熱の開始を指示する。また、これに連動して、周波数表示モードが80kHzモードに切り替えられる。これにより、入力部38は、操作パネル36からの第3の周波数出力設定信号、第3の周波数モード設定信号及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、操作パネル36が切替スイッチ32cをオン、且つ、切替スイッチ32a,32bをオフすることにより、整合回路12cが電源回路10のインバータ回路22の出力側に電気的に接続され、且つ、整合回路12a,12bが電源回路10のインバータ回路22の出力側から電気的に遮断される。また、制御部40は、入力部38により受け付けられた第3の周波数出力設定信号及び加熱指令信号に基づいて、70kHzの高周波電流が生成されるように電源回路10を制御する。これにより、電源回路10からの70kHzの高周波電流が整合回路12cを介して誘導コイル14cに供給され、被加熱物4cが誘導加熱される。また、操作パネル36の表示部43は、入力部38により受け付けられた第3の周波数モード設定信号に基づいて、フルスケール値を80kHzとして高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0057】
[2.信号変換部の構成]
次に、図2図4を参照しながら、信号変換部42の構成について説明する。図2は、実施の形態に係る信号変換部42の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態に係る信号変換部42の分周器44の動作の一例を示すタイミングチャートである。図4は、実施の形態に係る信号変換部42のセレクタ46の動作の一例を示す真理値表である。
【0058】
図2に示すように、信号変換部42は、分周器44と、セレクタ46と、DA変換部48(変換部の一例)とを有している。
【0059】
分周器44は、検出部34からのクロック信号を異なる複数の分周比1/2(nは1以上の整数)でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する。分周器44は、入力端子φと、出力端子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8(Q1~Q8)とを有している。
【0060】
入力端子φは、検出部34に電気的に接続されている。図3の(a)に示すように、入力端子φには、検出部34からのクロック信号が入力される。入力端子φに入力されたクロック信号は、異なる複数の分周比1/2でそれぞれ分周される。これにより、クロック信号を異なる複数の分周比1/2でそれぞれ分周した複数の分周信号が生成される。
【0061】
出力端子Q1~Q8の各々は、セレクタ46に電気的に接続されている。出力端子Q1~Q8はそれぞれ、生成された複数の分周信号をセレクタ46に出力する。
【0062】
図3の(b)に示すように、出力端子Q1は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/2(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D0(後述する)に出力する。
【0063】
図3の(c)に示すように、出力端子Q2は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/4(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D1(後述する)に出力する。
【0064】
図3の(d)に示すように、出力端子Q3は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/8(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D2(後述する)に出力する。
【0065】
図3の(e)に示すように、出力端子Q4は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/16(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D3(後述する)に出力する。
【0066】
図3の(f)に示すように、出力端子Q5は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/32(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D4(後述する)に出力する。
【0067】
図3の(g)に示すように、出力端子Q6は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/64(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D5(後述する)に出力する。
【0068】
図3の(h)に示すように、出力端子Q7は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/128(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D6(後述する)に出力する。
【0069】
図3の(i)に示すように、出力端子Q8は、入力端子φに入力されたクロック信号を分周比1/256(=1/2)で分周した分周信号を、セレクタ46の分周信号入力端子D7(後述する)に出力する。
【0070】
図2に戻り、セレクタ46は、分周器44からの複数の分周信号のうち、入力部38からの周波数モード設定信号(特定の周波数モード設定信号)に対応する分周信号(特定の分周信号)を選択する。セレクタ46は、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cと、分周信号入力端子D0,D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7(D0~D7)と、出力端子OUTとを有している。
【0071】
周波数モード設定信号入力端子A,B,Cの各々は、入力部38に電気的に接続されている。周波数モード設定信号入力端子A,B,Cには、入力部38からの周波数モード設定信号が入力される。
【0072】
分周信号入力端子D0~D7はそれぞれ、分周器44の出力端子Q1~Q8に電気的に接続されている。分周信号入力端子D0~D7にはそれぞれ、分周器44の出力端子Q1~Q8からそれぞれ出力された複数の分周信号が入力される。分周信号入力端子D0~D7に入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する分周信号が選択される。
【0073】
出力端子OUTは、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、上述のように選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0074】
ここで、図4を参照しながら、セレクタ46の動作について説明する。図4に示すように、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cには、入力部38からの例えば3ビットの周波数モード設定信号が入力される。
【0075】
図4の真理値表の2行目に示すように、周波数表示モードを1.25kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「0」、「0」、「0」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D0に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/2で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0076】
なお、1.25kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は1.25kHzであるので、分周器44の出力端子Q1から出力される分周信号の周波数の最大値は、1.25kHz×1/2=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D0に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の範囲は、0~625Hzとなる。
【0077】
図4の真理値表の3行目に示すように、周波数表示モードを2.5kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「1」、「0」、「0」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D1に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/4で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0078】
なお、2.5kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は2.5kHzであるので、分周器44の出力端子Q2から出力される分周信号の周波数の最大値は、2.5kHz×1/4=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D1に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0079】
図4の真理値表の4行目に示すように、周波数表示モードを5kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「0」、「1」、「0」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D2に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/8で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0080】
なお、5kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は5kHzであるので、分周器44の出力端子Q3から出力される分周信号の周波数の最大値は、5kHz×1/8=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D2に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0081】
図4の真理値表の5行目に示すように、周波数表示モードを10kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「1」、「1」、「0」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D3に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/16で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0082】
なお、10kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は10kHzであるので、分周器44の出力端子Q4から出力される分周信号の周波数の最大値は、10kHz×1/16=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D3に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0083】
図4の真理値表の6行目に示すように、周波数表示モードを20kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「0」、「0」、「1」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D4に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/32で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0084】
なお、20kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は20kHzであるので、分周器44の出力端子Q5から出力される分周信号の周波数の最大値は、20kHz×1/32=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D4に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0085】
図4の真理値表の7行目に示すように、周波数表示モードを40kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「1」、「0」、「1」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D5に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/64で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0086】
なお、40kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は40kHzであるので、分周器44の出力端子Q6から出力される分周信号の周波数の最大値は、40kHz×1/64=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D5に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0087】
図4の真理値表の8行目に示すように、周波数表示モードを80kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「0」、「1」、「1」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D6に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/128で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0088】
なお、80kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は80kHzであるので、分周器44の出力端子Q7から出力される分周信号の周波数の最大値は、80kHz×1/128=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D6に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0089】
図4の真理値表の9行目に示すように、周波数表示モードを160kHzモードに切り替えるための周波数モード設定信号が入力部38から出力された場合には、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cにはそれぞれ、「1」、「1」、「1」の各値が入力される。この場合、分周信号入力端子D0~D7にそれぞれ入力された複数の分周信号のうち、周波数モード設定信号入力端子A,B,Cに入力された周波数モード設定信号に対応する、分周信号入力端子D7に入力された分周信号(クロック信号を分周比1/256で分周した分周信号)が選択される。出力端子OUTは、当該選択された分周信号をDA変換部48に出力する。
【0090】
なお、160kHzモードでは、クロック信号の周波数の最大値は160kHzであるので、分周器44の出力端子Q8から出力される分周信号の周波数の最大値は、160kHz×1/256=625Hzとなる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D7に入力される分周信号の周波数の最大値は625Hzとなるので、出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hzとなる。
【0091】
図2に戻り、DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUT及び操作パネル36の表示部43の各々に電気的に接続されている。DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUTからの分周信号(デジタル信号)をアナログ電圧信号にDA変換(Digital to Analog変換)する。具体的には、DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUTからの分周信号の周波数0~625Hzをアナログ電圧信号0~10Vに変換し、当該アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力する。
【0092】
[3.信号変換部の動作]
図5を参照しながら、信号変換部42の動作について説明する。図5は、実施の形態に係る信号変換部42の動作の一例を説明するための図である。
【0093】
まず、図5の(a)を参照しながら、周波数表示モードが2.5kHzモードに切り替えられた場合における信号変換部42の動作について説明する。図5の(a)に示すように、2.5kHzモードでは、クロック信号の周波数の範囲は0~2.5kHzであるので、分周器44の出力端子Q2から出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hz(=2.5kHz×1/4)となる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D1に入力される分周信号の周波数の範囲は0~625Hzとなるので、セレクタ46の出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲も0~625Hzとなる。
【0094】
これにより、DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUTからの分周信号の周波数0~625Hzをアナログ電圧信号0~10Vに変換し、当該アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力する。その結果、表示部43は、2.5kHzをフルスケール値として、アナログ電圧信号0~10Vが周波数0~2.5kHzに対応するように、高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0095】
次に、図5の(b)を参照しながら、周波数表示モードが40kHzモードに切り替えられた場合における信号変換部42の動作について説明する。図5の(b)に示すように、40kHzモードでは、クロック信号の周波数の範囲は0~40kHzであるので、分周器44の出力端子Q6から出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hz(=40kHz×1/64)となる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D5に入力される分周信号の周波数の範囲は0~625Hzとなるので、セレクタ46の出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲も0~625Hzとなる。
【0096】
これにより、DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUTからの分周信号の周波数0~625Hzをアナログ電圧信号0~10Vに変換し、当該アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力する。その結果、表示部43は、40kHzをフルスケール値として、アナログ電圧信号0~10Vが周波数0~40kHzに対応するように、高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0097】
次に、図5の(c)を参照しながら、周波数表示モードが80kHzモードに切り替えられた場合における信号変換部42の動作について説明する。図5の(c)に示すように、80kHzモードでは、クロック信号の周波数の範囲は0~80kHzであるので、分周器44の出力端子Q7から出力される分周信号の周波数の範囲は、0~625Hz(=80kHz×1/128)となる。これにより、セレクタ46の分周信号入力端子D6に入力される分周信号の周波数の範囲は0~625Hzとなるので、セレクタ46の出力端子OUTから出力される分周信号の周波数の範囲も0~625Hzとなる。
【0098】
これにより、DA変換部48は、セレクタ46の出力端子OUTからの分周信号の周波数0~625Hzをアナログ電圧信号0~10Vに変換し、当該アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力する。その結果、表示部43は、80kHzをフルスケール値として、アナログ電圧信号0~10Vが周波数0~80kHzに対応するように、高周波電流の周波数の検出値を表示する。
【0099】
[4.効果]
本実施の形態では、分周器44は、検出部34からのクロック信号を異なる複数の分周比でそれぞれ分周することにより、複数の分周信号を生成する。セレクタ46は、分周器44からの複数の分周信号のうち、入力部38からの周波数モード設定信号に対応する分周信号を選択し、選択した分周信号をDA変換部48に出力する。DA変換部48は、セレクタ46からの分周信号をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を表示部43に出力する。
【0100】
例えば電源回路10から出力される高周波電流の周波数が設定変更された場合であっても、セレクタ46から出力される分周信号の周波数の最大値を一定値(例えば所定の周波数f=625Hz)に保持することができる。これにより、DA変換部48において、セレクタ46から出力される分周信号の周波数の範囲と、アナログ電圧信号の範囲との対応関係を一定に保持することができる。その結果、DA変換部48から出力されるアナログ電圧信号の最大値が、電源回路10から出力される高周波電流の周波数に応じたフルスケール値に対応するように、表示部43において周波数の検出値を表示させることができる。
【0101】
したがって、電源回路10から出力される高周波電流の周波数に応じて、表示部43における周波数の検出値のフルスケール値を適切に切り替えることができ、表示部43における周波数の検出値の表示精度を高めることができる。
【0102】
(変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る出力装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0103】
上記実施の形態では、DA変換部48は、アナログ電圧信号を操作パネル36の表示部43に出力したが、これに限定されず、例えば制御部40にも出力してもよい。この場合、制御部40は、DA変換部48からのアナログ電圧信号に基づいて、高周波電流の周波数をフィードバック制御することができる。
【0104】
また、上記実施の形態では、出力装置を誘導加熱装置2に適用したが、これに限定されず、例えば電圧等の任意の電気量を出力するための各種装置に適用してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態では、まず高周波電流の周波数を設定し、これに連動して周波数表示モードを切り替えたが、これに限定されない。例えば、まず周波数表示モードを切り替え、これに連動して高周波電流の周波数を設定してもよい。
【0106】
上記実施の形態における制御回路8は、専用の電子回路によって実現されてもよい。専用の電子回路は、1個のチップ上に集積されてもよいし、複数のチップ上に形成されてもよい。また、制御回路8は、汎用プロセッサと、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが格納されたメモリとによって実現されてもよい。この場合、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが実行されたときに、プロセッサは、制御回路8として機能する。
【0107】
また、本発明の一態様は、このような誘導加熱装置2だけではなく、誘導加熱装置2に含まれる特徴的な構成要素をステップとする方法であってもよい。また、本発明の一態様は、上記方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る出力装置は、例えば金属部品の高周波焼き入れを行うための誘導加熱装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
2 誘導加熱装置
4a,4b,4c 被加熱物
6 主回路
8 制御回路
10 電源回路
12a,12b,12c 整合回路
14a,14b,14c 誘導コイル
16 整流回路
18,20 チョークコイル
22 インバータ回路
24 サイリスタ
26 スイッチング素子
28a,28b,28c コンデンサ
30a,30b,30c 整合トランス
32a,32b,32c 切替スイッチ
34 検出部
36 操作パネル
38 入力部
40 制御部
42 信号変換部
43 表示部
44 分周器
46 セレクタ
48 DA変換部
図1
図2
図3
図4
図5