(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】薄型ヒートパイプ
(51)【国際特許分類】
F28D 15/04 20060101AFI20231128BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
F28D15/04 A
F28D15/02 101H
F28D15/02 106G
F28D15/02 106B
F28D15/02 102A
(21)【出願番号】P 2022071621
(22)【出願日】2022-04-25
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2022018184
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514306364
【氏名又は名称】大沢 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】大沢 健治
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212962964(CN,U)
【文献】米国特許第03909118(US,A)
【文献】特開2019-108578(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195254(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133297(US,A1)
【文献】特開2017-106672(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105241288(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/04
F28D 15/02
H01L 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において交差枠によって囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項2】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項3】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板及び下板の交差枠によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板及び上板の交差枠における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項4】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板から突設された突起は、下板から突設された交差枠における交差位置に当接又は近接し、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項5】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項6】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側端
における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における一方側方向枠とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項7】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において交差枠によって囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項8】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項9】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板及び下板の交差枠によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板及び上板の交差枠における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項10】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板から突設された突起は、下板から突設された交差枠における交差位置に当接又は近接し、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項11】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項12】
上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、下記
の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成すると共
に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内側
端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒートパ
イプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における一方側方向枠とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【請求項15】
交差枠の何れか一方の方向又は一方側方向枠の方向が冷媒液の流動方向に沿っている
薄
型ウイックを採用していることを特徴とする請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、11、12の何れか一項に記載の
薄型ヒートパイプ。
【請求項16】
交差枠の双方の方向又は一方側方向枠の方向が冷媒液の流動方向と斜交している
薄型ウ
イックを採用していることを特徴とする請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12の何れか一項に記載の
薄型ヒートパイプ。
【請求項17】
複数個のウイックを、冷媒液の流動方向である長手方向に沿って平行に配設していることを特徴とする請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の何れか
一項に記載の薄型ヒートパイプ。
【請求項18】
複数個のウイックを、所定位置から周囲壁に向かっており、かつ冷媒液の流動方向にて順次広幅状態を形成することによって、放射状に配設していることを特徴とする請求項
1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の何れか一項に記載の薄型ヒートパイプ。
【請求項19】
複数個のウイックが両側の周囲壁と離れた状態にあることを特徴とする請求項
1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の何れか一項に記載の薄型ヒートパイプ。
【請求項20】
複数個のウイックが両側の周囲壁と接続していることを特徴とする請求項
1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12の何れか一項に記載の薄型ヒートパイプ。
【請求項21】
流動パイプを周囲壁の平面方向に沿って設定した上で、以下の工程によって冷媒液を、ヒートパイプ中に注入し、かつ封止することを特徴とする請求項
1、2、3、4、5、6
の何れか一項に記載のヒートパイプ。
1 ヒートパイプの真空チャンバー内への投入。
2 真空ポンプによる真空チャンバーに対する真空脱気の開始。
3 上下可動体の作動に基づく冷媒液注入口に対する加圧シリンダーからの冷媒液の加圧注入。
4 上下可動体の作動に基づく流動パイプの中途部位に対する熱融着を伴う加圧バーからの加圧による閉鎖。
5 加圧シリンダー及び加圧バーのヒートパイプからの取り外し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛細管現象によって、冷媒液が流動する薄型ウイックと冷媒蒸気が流動する空洞とを不可欠の構成要素としている薄型ヒートパイプを対象としている。
【背景技術】
【0002】
多孔質状の金属板であるウイックを固定しているヒートパイプの構成が提唱されているが、当該ヒートパイプにおいては、当該パイプの一方側の面を発熱素子と接続した場合には、当該ヒートパイプ中のウイックに保持されている冷媒液を毛細管現象を介して速やかに気化することができる。
但し、前記ヒートパイプにおいては、薄型化が要請されている。
【0003】
本願と発明者及び出願人が同一である特許文献1においては、枠体21及び突起22の結合によって構成され、かつ所定の厚みを有する立体構成によるウイック2を採用する一方(
図1(a)の斜視図)、ウイック2の上側及び下側の両側に対し金属板4を重畳しており、しかも凸部41を介して、ウイック2と接合している(
図6(a)、(b))。
【0004】
然るに、上記立体構成によるウイック2を採用した場合には、薄型のヒートパイプを実現することができない。
因みに、特許文献1におけるウイックの厚みが0.1mmであり、上下の金属板4の厚みが0.1mmの場合(但し、凸部41の高さ幅をも含む)には、一枚のウイック2の両側を金属板4によって支持した場合であっても、0.3mmの厚みによるヒートパイプが形成され、二枚のウイック2の両側を金属板4によって支持した場合には、0.4mmの厚みによるヒートパイプが形成されることにならざるを得ない。
【0005】
このように、特許文献1を始めとする従来技術においては、薄型のウイックを採用する
ことによる薄型のヒートパイプを形成するために必要な技術的工夫が行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シンプルな構成による薄型ウイックを採用した薄型ヒートパイプの構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、以下の基本構成を採用している。
(1)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内
側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において交差枠によって囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(2)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内
側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(3) 上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて
、下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に
、当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成す
ると共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の
内側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒ
ートパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板及び下板の交差枠によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板及び上板の交差枠における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。(4)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内
側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板から突設された突起は、下板から突設された交差枠における交差位置に当接又は近接し、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(5)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内
側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(6)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の内
側端における冷媒液流出口とを連通する流動パイプを設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における一方側方向枠とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(7) 上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて
、下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に
、当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成す
ると共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁
の内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒ
ートパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において交差枠によって囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(8)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の
内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された交差枠における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(9)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて、
下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、
当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成する
と共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁の
内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒー
トパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板における交差枠と下板における交差枠とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板及び下板の交差枠によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板及び上板の交差枠における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。(10)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて
、下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に
、当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成す
ると共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁
の内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒ
ートパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板から突設された突起は、下板から突設された交差枠における交差位置に当接又は近接し、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(11)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて
、下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に
、当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成す
ると共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁
の内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒ
ートパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板のうち、上板において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板において交差枠に囲まれた各位置に突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における交差枠とが一方側方向枠の方向と交差枠の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板から突設された突起は、上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
(12)上板及び下板の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁の内側にて
、下記の複数個のウイックを配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に
、当該複数個のウイックと隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞の領域を形成す
ると共に、上板の周囲壁の表面内側端における冷媒液注入口、及び冷媒液注入口と周囲壁
の内側端における冷媒液流出口とを連通する落下領域を設置することを特徴とする薄型ヒ
ートパイプ。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板及び下板において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板及び下板において一方側方向枠によって囲まれた複数個の位置に、突起が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板における一方側方向枠と下板における一方側方向枠とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板及び下板から突設された突起は、それぞれ下板及び上板から突設された一方側方向枠に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック。
【発明の効果】
【0009】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)の何れのヒートパイプにおいても、各ウイックにおける上板及び下板にて突設された交差枠の合計突設幅を、0.025×2~0.5×2=0.05~1.0mmと設定することができ、ヒートパイプ全体の厚みを0.05+0.025×2~1.0+0.5×2=0.1~2.0mmと設定することができる。
【0010】
これに対し、特許文献1記載のウイックにおいて、厚み0.05~1.0mmの両側の金属板、及び厚み0.05~1.0mmの厚み及び高さによって作成された二枚のウイックを採用してヒートパイプを構成した場合には、両側の金属板の厚みは、0.05mm×2~1.0mm×2=0.10~2.0mmであり、しかも二枚のウイックの厚みもまた、0.05mm×2~1.0mm×2=0.10~2.0mmであって、合計の厚みは、0.2~4mmの厚みであって、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)による厚みの2倍の厚みを必要とせざるを得ない。
【0011】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)のヒートパイプにおいて、このような薄型構成を実現できる根拠は、特許文献1の両側に固有の金属板を必要とせず、上板及び下板が両側の金属板とウイックとの双方の機能を兼有していることにある。
【0012】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)における各ウイックは、以下の通り、冷媒液が通過する毛細管の構成を形成すると共に、当該毛細管は、上板及び下板の平面方向並びに上板及び下板間の当該平面方向に直交する方向における三次元構造を実現している。
基本構成(1)、(7):上板並びに下板から突設されている交差枠、及び上板並びに下板から突設されている突起
基本構成(2)、(8):上板並びに下板から突設されている交差枠、及び下板から突設されている突起
基本構成(3)、(9):上板並びに下板から突設されている交差枠
基本構成(4)、(10):上板から突設されている一方側方向枠並びに下板から突設されている交差枠、及び上板並びに下板から突設されている突起
基本構成(5)、(11):上板から突設されている一方側方向枠並びに下板から突設されている交差枠、及び下板から突設されている突起
基本構成(6)、(12):上板並びに下板から突設されている一方側方向枠、及び上板並びに下板から突設されている突起
このように、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(
8)、(9)、(10)、(11)、(12)におけるウイックは、前記のような薄型のシンプルな構成によって、毛細管の構成を実現することができる。
【0013】
しかも、後述するように、ウイックを形成するために必要なエッチングの工程もまた、従来技術の場合に比し、極めてシンプルである。
【0014】
その結果、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8
)、(9)、(10)、(11)、(12)のヒートパイプのエッチングもまた、従来技術によるヒートパイプのエッチングに比しシンプルである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1(a)】基本構成(1)
、(7)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されており、かつ下板の交差枠の交差領域に当接している突起は、上板から突設された突起を指している。
【
図1(b)】基本構成(2)
、(8)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されている。
【
図1(c)】基本構成(3)
、(9)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されている。
【
図1(d)】基本構成(4)
、(10)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されており、かつ下板の交差枠の交差領域に当接している突起は、上板から突設された突起を指している。
【
図1(e)】基本構成(5)
、(11)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されている。
【
図1(f)】基本構成(6)
、(12)の各ウイックにおける上板並びに下板の斜視図及び双方が積層によって結合した状態の斜視図を示す。但し、結合による斜視図のうちの上板部分の図示は省略されており、かつ下板の一方側方向枠の長手方向領域に当接している突起は、上板から突設された突起を指している。
【
図2】交差枠と冷媒液の流動方向との関係を示す平面図であって、(a)は、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)
、(7)、(8)、(9)、(10)
、(11)の各ウイックにおける交差枠の何れか一方の方向、及び基本構成(4)、(5)、(6)
、(10)、(11)、(12)の各ウイックにおける一方側方向枠の方向が冷媒液の流動方向に沿っていることを特徴とする実施形態の場合を示し、(b)は、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)
、(7)、(8)、(9
)、(10)、(11)の各ウイックにおける交差枠の双方の方向、及び基本構成(4)、(5)、(6)
、(10)、(11)、(12)の各ウイックにおける一方側方向枠の方向が冷媒液の流動方向と斜交していることを特徴とする実施形態の場合を示す。
【
図3】各ウイックの平面方向に沿った各突起の断面形状を示す実施形態の側断面図であって、(a)は、正方形断面の場合を示し、(b)は、長方形断面の場合を示し、(c)は、十文字形状断面の場合を示す。各右側の図面は、上板が基本構成(1)、(2)、(3)
、(7)、(8)、(9)の場合を示し、左側は、上板が基本構成(4)、(5)、(6)
、(10)、(11)、(12)の場合を示す。
【
図4(a)】エッチングによって、基本構成(1)
、(7)及び基本構成(4)
、
(10)及び基本構成(6)
、(12)の
各ウイックを製造する工程を示す側断面図である。但し、断面の方向は、交差枠と交差する方向を基準としている。尚、上側3段においては、上板及び下板のエッチング工程を示し、下側の2段は、上板及び下板とが熱溶着による接合に至る工程を示す。
【
図4(b)】エッチングによって、基本構成(2)
、(8)及び基本構成(5)
、
(11)の
各ウイックを製造する工程を示す側断面図である。但し、断面の方向は、交差枠と交差する方向を基準としている。尚、上側3段においては、上板及び下板のエッチング工程を示し、下側の2段は、上板及び下板とが熱溶着による接合に至る工程を示す。
【
図4(c)】エッチングによって、基本構成(3)
、(9)の
各ウイックを製造する工程を示す側断面図である。但し、断面の方向は、交差枠と交差する方向を基準としている。尚、上側3段においては、上板及び下板のエッチング工程を示し、下側の2段は、上板及び下板とが熱溶着による接合に至る工程を示す。
【
図5】基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8
)、(9)、(10)、(11)、(12)の薄型ヒートパイプの構成を示す平面図であって、(a)、(c)は、基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、
(6)の場合を示し、(b)、(d)は、基本構成
(7)、(8)、(9)、(10
)、(11)、(12)の場合を示す一方、(a)、(b)は、複数個のウイックを平行状態に配置している実施形態を示し、(c)、(d)は、複数個のウイックを放射状に配設している実施形態を示す。尚、(a)、(c)における斑点は、流動パイプのうち、周囲壁の平面方向に沿った向きが周囲壁の上側によってカバーされていることを示す。尚、
図5(a)、(b)、(c)、(d)においては、基本構成(4)、(5)、(6)
、(10)、(11)、(12)の一方側方向枠によるウイックを採用した場合の図示を省略している。
【
図6(a)】基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)のヒートパイプの周囲壁をエッチングによって成型する際に使用する立体形状の周囲壁用レジストの上側平面図、下側平面図、及び側面図を示す。尚、側面図における点線は、流動パイプの位置に対応する空洞の領域を示す。
【
図6(b)】
図6(a)の周囲壁用レジストを使用した上で、
図5(a)のA方向に沿って、エッチングによって、基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)
、(6)の薄型ヒートパイプを製造する工程を示す側断面図である。但し、ウイックとしては、基本構成(1)及び基本構成(4)の場合を示す。尚、上側3段においては、上板及び下板のエッチング工程を示し、下側の2段は、上板及び下板とが熱溶着による接合に至る工程を示す。
【
図6(c)】平板状の周囲壁用レジストを使用した上で、
図5(b)のA方向に沿って、エッチングによって、基本構成
(7)、(8)、(9)、(10)、(11)
、(12)の薄型ヒートパイプを製造する工程を示す側断面図である。但し、ウイックとしては、基本構成
(7)及び基本構成
(10)の場合を示す。尚、上側3段においては、上板及び下板のエッチング工程を示し、下側の2段は、上板及び下板とが熱溶着による接合に至る工程を示す。
【
図7】実施例における冷媒液注入口の形成過程を示す断面図であって、(a)は、真空脱気を開始し、かつ冷媒液を注入する前の段階を示し、(b)は、注入段階を示し、(c)は、冷媒液を封止するために閉鎖部を形成する段階を示しており、(d)は、冷媒液注入が完了した段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
基本構成(1)は、
図1(a)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11及び下板12において交差枠21によって囲まれた各位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板11及び下板12から突設された突起22は、それぞれ下板12及び上板11から突設された交差枠21における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10
。
基本構成(2)は、
図1(b)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された交差枠21における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10
。
基本構成(3)は、
図1(c)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板11及び下板12の交差枠21によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板12及び上板11の交差枠21における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10
。
基本構成(4)は、
図1(d)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板12において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11において一方側方向枠21によって囲まれた複数個の位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向枠21の方向と交差枠21の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板11から突設された突起22は、下板12から突設された交差枠21における交差位置に当接又は近接し、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10
。
基本構成(5)は、
図1(e)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板12において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向枠21の方向と交差枠21の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10
。
基本構成(6)は、
図1(f)
及び図5(a)、(c)に示すように、
上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入
口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11及び下板12において一方側方向枠21によって囲まれた複数個の位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における一方側方向枠21とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板11及び下板12から突設された突起22は、それぞれ下板12及び上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(7)は、図1(a)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液注
入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11及び下板12において交差枠21によって囲まれた各位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、上板11及び下板12から突設された突起22は、それぞれ下板12及び上板11から突設された交差枠21における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(8)は、図1(b)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液注
入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合しており、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された交差枠21における各交差位置に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(9)は、図1(c)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び下
板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複数
個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複
数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成
すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液注
入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設置
することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11における交差枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向及び他方側方向をそれぞれ平行状態とした上で接合し、かつ上板11及び下板12の交差枠21によって囲まれた平面方向の各中心位置と、下板12及び上板11の交差枠21における交差位置の各中心位置とがそれぞれ一致していることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(10)は、図1(d)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び
下板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複
数個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形
成すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液
注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設
置することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板12において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11において一方側方向枠21によって囲まれた複数個の位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向枠21の方向と交差枠21の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、上板11から突設された突起22は、下板12から突設された交差枠21における交差位置に当接又は近接し、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(11)は、図1(e)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び
下板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複
数個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形
成すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液
注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設
置することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11において二次元方向の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が、0.025~0.5mmの幅にて突設され、下板12において二次元方向の平面方向にて一方側及び他方側の2方向に交差し合っている交差枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、下板12において交差枠21に囲まれた各位置に突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における交差枠21とが一方側方向枠21の方向と交差枠21の一方側方向とを平行状態とした上で接合しており、下板12から突設された突起22は、上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
基本構成(12)は、図1(f)及び図5(b)、(d)に示すように、上板11及び
下板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、下記の複
数個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該
複数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形
成すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液
注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設
置することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
記
同一形状であって、0.025~0.5mmの厚みを有する上板11及び下板12において、二次元の平面方向にて複数本の一方側方向に平行状態を呈している一方側方向枠21が0.025~0.5mmの幅にて突設されると共に、上板11及び下板12において一方側方向枠21によって囲まれた複数個の位置に、突起22が0.025~0.5mmの幅にて突設されており、上板11における一方側方向枠21と下板12における一方側方向枠21とを相互に平行状態とした上で接合しており、上板11及び下板12から突設された突起22は、それぞれ下板12及び上板11から突設された一方側方向枠21に当接又は近接する状態にあることを特徴とする二枚を単位とする薄型ウイック10。
【0017】
前記各基本構成は、交差枠21及び突起22の突設において、以下のように相違している。
基本構成(1)、(7):上板11並びに下板12の双方に交差枠21、及び突起22の突設。
基本構成(2)、(8):上板11並びに下板12の双方に交差枠21の突設、及び下板12のみに突起22の突設。
基本構成(3)、(9):上板11並びに下板12の双方に、交差枠21のみを突設し、突起22を突設しない。
基本構成(4)、(10):上板11に一方側方向枠21の突設、並びに下板12に交差枠21、及び上板11並びに下板12の双方に突起22の突設。
基本構成(5)、(11):上板11に一方側方向枠21の突設、並びに下板12に交差枠21の突設、及び下板12のみに突起22の突設。
基本構成(6)、(12):上板11並びに下板12の双方に一方側方向枠21、及び突起22の突設。
【0018】
基本構成(1)、(2)、(3)
、(7)、(8)、(9)の各ウイック10における交差枠21の一方側方向及び他方側方向と冷媒液の流動方向とは、特に特定されている訳ではなく、基本構成(4)、(5)、(6)
、(10)、(11)、(12)の各ウイッ
ク10において、一方側方向枠21の方向及び交差枠21の一方側方向及び他方側方向と冷媒液の流動方向とは特に特定されている訳ではない。
但し、
図2(a)に示すように、基本構成(1)、(2)、(3)
、(7)、(8)、
(9)の各ウイック10における交差枠21の一方側方向が冷媒液の流動方向に沿っていることを特徴とする実施形態、並びに基本構成(4)、(5)
、(10)、(11)の各
ウイック10における一方側方向枠21の方向及び/又は交差枠21の一方側方向が冷媒液の流動方向に沿っていることを特徴とする実施形態、並びに基本構成(6)
、(12)
の各ウイック10における一方側方向枠21の方向が冷媒液の流動方向に沿っていることを特徴とする実施形態、及び
図2(b)に示すように、基本構成(1)、(2)、(3)
、(7)、(8)、(9)の各ウイック10における交差枠21の双方の方向が冷媒液の流動方向と斜交していることを特徴とする実施形態、並びに基本構成(4)、(5)
、(
10)、(11)の各ウイック10における一方側方向枠21の方向及び交差枠21の双方の方向が冷媒液の流動方向と斜交していることを特徴とする実施形態、並びに基本構成(6)
、(12)の各ウイック10における一方側方向枠21の方向が冷媒液の流動方向と斜交していることを特徴とする実施形態を採用する場合が多い。
【0019】
ウイック10における交差枠21
につき、
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び
図2(a)、(b)
は、相互に直交している場合を示すが、交差角度は必ずしも直角に限定される訳ではなく、鋭角又は鈍角による交差角度も採用することができる。
尚、
図1(a)、(b)、(d)、(e)においては、円形断面の突起22を図示しているが、ウイック10の断面形状は、このような円形に限定される訳ではない。
【0020】
即ち、
図3(a)に示すような正方形、
図3(b)に示すような長方形、
図3(c)に示すような十文字形の断面形状を採用することは、当然可能である。
【0021】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)の技術的特徴点については、発明の効果の項において説明した通りであり、特に毛細管構成についても、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)における具体的構成に即して、既に発明の効果の項において説明した通りである。
【0022】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)における各ウイック10は、何れもエッチングによって製造されている。
【0023】
具体的には、基本構成(1)
、(7)の
各ウイック10は、
図4(a)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12の各表面における交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、交差枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う交差枠21及び突起22の各領域の形成、更には交差枠21及び突起22の各突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。
3 各レジストの除去。
4 上板11における交差枠21と下板12における交差枠21との熱溶着による接合。
【0024】
基本構成(2)
、(8)の
各ウイック10は、
図4(b)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12の各表面における交差枠用レジスト41の貼着、並びに下板12の表面における突起用レジスト42の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、交差枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う交差枠21及び突起22の各領域の形成、更には交差枠21及び突起22の突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。3 各レジストの除去。
4 上板11における交差枠21と下板12における交差枠21との熱溶着による接合。
【0025】
基本構成(3)
、(9)の
各ウイック10は、
図4(c)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12の各表面における交差枠用レジスト41の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、交差枠21の周囲における空間の形成に伴う交差枠21の領域の形成、更には交差枠21の突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。
3 各レジストの除去。
4 上板11における交差枠21と下板12における交差枠21との熱溶着による接合。
【0026】
基本構成(4)
、(10)の
各ウイック10は、
図4(a)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11の表面における一方側方向枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、並びに下板12の表面における交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着。2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、上板11の一方側方向枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う一方側方向枠21及び突起22の各領域の形成、並びに下板12における交差枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う交差枠21及び突起22の各領域の形成、更には一方側方向枠21、交差枠21、突起22の各突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。
3 各レジストの除去。
4 上板11における交差枠21と下板12における交差枠21との熱溶着による接合。
【0027】
基本構成(5)
、(11)の
各ウイック10は、
図4(b)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12のうち、上板11の表面における一方側方向枠レジスト41の貼着、並びに下板12の表面における交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、上板11の一方側方向枠21の周囲における空間の形成に伴う一方側方向枠21の領域の形成、並びに下板12における交差枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う交差枠21及び突起22の各領域の形成、更には一方側方向枠21、交差枠21、突起22の各突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。
3 各レジストの除去。
4 上板における交差枠21と下板12における交差枠21との熱溶着による接合。
【0028】
基本構成(6)
、(12)の
各ウイック10は、
図4(a)に示すように、以下の工程によって製造されている。
1 同一形状であって、0.05~1.0mmの厚みを有する上板11及び下板12の各表面における一方側方向枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、上板11及び下板12の一方側方向枠21及び突起22の周囲における空間の形成に伴う一方側方向枠21及び突起22の各領域の形成、更には一方側方向枠21及び突起22の各突設幅が0.025~0.5mmに至った段階にて当該エッチングの終了。
3 各レジストの除去。
4 上板11における一方側方向枠21と下板12における一方側方向枠21との熱溶着による接合。
【0029】
従来技術のウイックの場合には、特許文献1の
図5に示すように、一枚のウイックを製造する際、一枚の板の両側に突起及び突起用のレジストを貼着した上で順次エッチングを行っているが、
図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に示すように、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)
、(7)、(8)、(9)、(
10)、(11)、(12)における各ウイック10の製造の場合には、上板11及び下板12の片側面のみのレジストの貼着によってエッチングを実現することができ、最後の段階では、各プロセス4のような交差枠21相互間の熱溶着による接合によって、二枚の薄型ウイック10を成型することができ、従来技術の場合に比し、エッチング工程も極めてシンプルである。
【0030】
基本構成(1)、(2)、(4)、(5)、(7)、(8)、(10)、(11)においては、交差枠21又は一方側方向枠21、及び突起22によって毛細管構成を実現することができ、基本構成(3)、(9)においては、交差枠21のみによって毛細管構成を実現することができ、基本構成(6)、(12)においては、一方側方向枠21及び突起22によって毛細管構成を実現することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0031】
基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)は、
図5(a)、(c)に示すように、上板11及び下板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、基本構成(1)、又は基本構成(2)、又は基本構成(3)、又は基本構成(4)、又は基本構成(5)、又は基本構成(6)の何れかによる複数個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
尚、
図5(a)では、後述する実施例にしたがって、流動パイプ61を周囲壁3の平面方向に沿って設定する構成を示すが、流動パイプ61については、
図5(c)に示すように、冷媒液注入口51から平面方向と直交する方向、即ち冷媒液が落下する方向に設定した上で、更に、僅かな距離にて当該平面方向に沿って冷媒液流出口52に至るような従来技術の構成も当然採用可能である。
【0032】
基本構成
(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)は、
図5(b)、(d)に示すように、上板11及び下板12の周囲に突設され、かつ相互に接合し合っている周囲壁3の内側にて、基本構成
(7)、又は基本構成
(8)、又は基本構成
(9)、又は基本構成
(10)、又は基本構成
(11)、又は基本構成
(12)の何れかによる複数個のウイック10を配設することによって、冷媒液の流動領域を形成すると共に、当該複数個のウイック10と隣接している位置に、冷媒蒸気が流動する空洞100の領域を形成すると共に、上板11の周囲壁3の表面内側端における冷媒液注入口51、及び冷媒液注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設置することを特徴とする薄型ヒートパイプ1である。
尚、
図5(b)、(d)に示すように、冷媒液注入口51及び落下領域62は、周囲壁3の内側端部に至るまでに、平面方向に沿って順次狭幅領域を形成しているが、その根拠は、基本構成
(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)の場合には、冷媒液を注入した後に、封止部材による加圧封止によって冷媒液を封止する必要があるが、封止部材を安定した状態にて固着し当該封止を実現するためには、前記のような平面方向に沿って順次狭小化するような形状が極めて好ましいことにある。
【0033】
基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)の各ヒートパイプ1は、周囲壁3の内側にて複数個のウイック10を配設し、かつ当該ウイック10に隣接している空洞100を形成している点において共通している。
但し、基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)においては、
図5(a)、(c)に示すように、上板11における周囲壁3の表面内側に冷媒液注入口51及び冷媒液注入口51と周囲壁3の内側端における冷媒液流出口52とを連通する流動パイプ61を設置しているのに対し、基本構成
(7)、(8)、(9)、(10)、(11)
、(12)のヒートパイプ1においては、
図5(b)、(d)に示すように、上板11の周囲壁3の表面内側端に冷媒液注入口51、及び冷媒液注入口51と周囲壁3の内側端に冷媒液流出口52とを連通する落下領域62を設置する点において、双方は相違している。
尚、
図5(a)、(c)と
図5(b)、(d)との対比からも明らかなように、落下領域62の方が流動パイプ61よりも短距離である点において構成上シンプルである。
但し、落下領域62を採用する構成の場合には、後述する実施例の場合のような効率的な冷媒液の注入及び封止を実現することができない。
【0034】
基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)
、(10)、(11)、(12)において、複数個のウイック10の配設の典型例は、
図5(a)、(b)に示すように、複数個のウイック10が冷媒液の流動方向に沿って長手方向を形成し、かつ相互に平行状態に配設されていることを特徴とする実施形態、
図5(c)、(d)に示すように、複数個のウイック10が所定位置から周囲壁3に向かう方向にて順次広幅状態を形成することによって、放射状に配設されていることを特徴とする実施形態を典型例として採用することができる。
【0035】
図5(a)、(b)に示す平行状態による実施形態は、細長い長手方向を有する加熱源を、平行方向と直交する方向に配置する構成に好都合である。
尚、このような実施形態の場合には、
図2(a)に示すような交差枠21の交差方向の一方方向又は一方側方向枠21の方向が冷媒液の流動方向に沿っている実施形態、及び
図2(b)に示すような交差枠21の双方の方向、又は一方側方向枠21の方向が冷媒液の流動方向と斜交している実施形態の何れをも採用することができる。
【0036】
これに対し、
図5(c)、(d)に示すような放射状の実施形態は、円形または正多角形のような長手方向を有しない加熱源を、ヒートパイプ1の平面方向の中央位置に配置する構成に好都合である。
尚、このような実施形態の場合には、
図2(b)に示すような交差枠21の双方の方向、又は一方側方向枠21の方向が冷媒液の流動方向と斜交している実施形態を採用することができる。
【0037】
前記のような平行状態による実施形態は、ヒートパイプ1の平面形状が、
図5(a)、(b)に示すように、長方形の場合に適合するが、当該平面形状が正方形の場合であっても適合することができる。
【0038】
前記の放射状の実施形態は、ヒートパイプ1の平面形状が、
図5(c)に示すような正方形又は
図5(d)に示すような円形の場合に適合している。
【0039】
複数個のウイック10と周囲壁3との関係としては、
図5(a)、(b)に示すように、双方が離れており、接続していない実施形態、及び
図5(c)、(d)に示すように、双方が接続している実施形態の何れをも採用することができる。
【0040】
何れの実施形態においても、外気と接している上板11及び下板12と突設されている交差枠21及び突起22(但し、基本構成(3)のウイック10の場合には突設されていない。)による毛細管構成を介してウイック10内を冷媒液から流動し、かつウイック10に隣接している空洞100を加熱源による加熱によって蒸発した冷媒蒸気が流動することに変わりはない。
【0041】
基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)のヒートパイプ1は、
図6(a)に示す周囲壁用レジスト43を採用した上で、
図6(b)に示すように、以下のような工程によって成型することができる。
1 上板11及び下板12において、基本構成(1)若しくは基本構成(2)のウイック10を形成する交差枠21及び突起22に対応する位置における交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、又は基本構成(3)のウイック10を形成する交差枠21に対応する位置における交差枠用レジスト41の貼着、又は基本構成(4)若しくは基本構成(5)のウイック10を形成する一方側方向枠21及び交差枠21及び突起22に対応する位置における一方側方向枠用レジスト41及び交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、又は基本構成(6)のウイック10を形成する一方側方向枠21及び突起22に対応する位置における一方側方向枠レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、及び周囲壁3に対応する位置のうち、冷媒液注入口51並びに冷媒液流出口52を連通する流動パイプ61に対応する位置を除く領域における立体形状の周囲壁用レジスト43の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、各ウイック10を形成する位置において、必要な突設幅が、0.025~0.5mmに至った段階におけるウイック10の形成領域におけるエッチングの終了、及び周囲壁3の形成領域において、前記1の冷媒液注入口51及び冷媒液流出口52が連通するに至った段階におけるエッチングの終了。3 レジストの除去。
4 上板11及び下板12における交差枠21相互間及び周囲壁3相互間の熱溶着による接合。
【0042】
基本構成
(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)のヒートパイプ1は、平板状の周囲壁用レジスト43を採用した上で、
図6(b)に示すように、以下のような工程によって成型することができる。
1 上板11及び下板12において、基本構成
(7)若しくは基本構成
(8)のウイック10を形成する交差枠21及び突起22に対応する位置における交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、又は基本構成
(9)のウイック10を形成する交差枠21に対応する位置における交差枠用レジスト41の貼着、又は基本構成
(10)若しくは基本構成
(11)のウイック10を形成する一方側方向枠21及び交差枠21及び突起22に対応する位置における一方側方向枠用レジスト41及び交差枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、又は基本構成
(12)のウイック10を形成する一方側方向枠21及び突起22に対応する位置における一方側方向枠用レジスト41及び突起用レジスト42の貼着、及び周囲壁3に対応する位置のうち、冷媒液注入口51並びに冷媒液流出口52を連通する落下領域62に対応する位置を除く領域における周囲壁用レジスト43の貼着。
2 上板11及び下板12に対するエッチングによって、各ウイック10を形成する位置において、必要な突設幅が、0.025~0.5mmに至った段階におけるウイック10の形成領域におけるエッチングの終了、及び周囲壁3の形成領域において、前記1の冷媒液注入口51及び冷媒液流出口52が連通するに至った段階におけるエッチングの終了。3 レジストの除去。
4 上板11及び下板12における交差枠21相互間及び周囲壁3相互間の熱溶着による接合。
【0043】
このように、前記1、2、3、4のレジストの貼着及びエッチングによるヒートパイプ1の製造工程は、上板11、下板12、及び交差枠21、突起22(尚、基本構成(3)、(9)の場合を除く。)を同時に成型しており、従来技術のように、下板、上板、周囲壁をそれぞれ成型し、かつウイックをエッチングによって成型した上で、上板、下板、ウイック、及び周囲壁を熱溶着による接合によって接合するヒートパイプ1の製造工程よりも明らかにシンプルである。
尚、突設幅が、0.025~0.5mmの段階におけるウイック10のエッチングの終了時期と、冷媒液注入口51の入口及び出口が連通するに至った周囲壁3のエッチングの終了時期とは厳密には相違するが、実際の製造工程においては、大きな相違が生じないことから、双方のエッチングは同時に終了する場合が多い。
【0044】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例】
【0045】
実施例は、
図7に示すように、基本構成
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(
6)において、流動パイプ61を周囲壁3の平面方向に沿って設定した上で、以下の工程によって、冷媒液をヒートパイプ1中に注入し、かつ封止することを特徴としている。
1 ヒートパイプ1の真空チャンバー7内への投入。
2 真空ポンプによる真空チャンバー7に対する真空脱気の開始(
図7(a))。
3 上下可動体70の作動に基づく冷媒液注入口51に対する加圧シリンダー8からの冷媒液の加圧注入(
図7(b))。
4 上下可動体70の作動に基づく流動パイプ61の中途部位に対する熱融着を伴う加圧バー9からの加圧による閉鎖(
図7(c))。
5 加圧シリンダー8及び加圧バー9のヒートパイプ1からの取り外し(
図7(d))。
【0046】
実施例においては、前記4のように、流動パイプ61に対する加圧バー9からの加圧によって閉鎖し、冷媒液の封止を実現しており、極めて効率的な封止を可能としている。
尚、上記閉鎖の結果、
図7(c)の右側に示すような冷媒液注入口51及びその近傍における冷媒液が残留し、かつ
図7(d)に示すように、排出され無駄となるが、このような無駄となる冷媒液は然したる量ではなく、前記効率的な封止に基づく実施例の技術的意義を否定する要因ではない。
【0047】
従来技術における冷媒液の注入及び封止の場合には、冷媒液の加圧注入に至るまでの前記1、2、3の工程は共通である。
【0048】
しかしながら、工程3の加圧注入の後においては、以下の工程を必要不可欠としている。
(1)真空チャンバー内の圧力を調整しながら、加圧シリンダーのヒートパイプからの取り外し
↓
(2)ヒートパイプの封止部材搭載装置の設置場所への移動
↓
(3)封止部材搭載装置による封止部材のヒートパイプの冷媒液注入口に対する搭載
↓
(4)ヒートパイプの封止部材加圧装置設置場所への移動
↓
(5)封止部材加圧装置によるヒートパイプの冷媒液注入口に対する封止部材の加圧封止
↓
(6)封止部材加圧装置のヒートパイプからの取り外し
【0049】
いうまでもなく前記工程は、実施例の4、5の工程よりも明らかに煩雑であると共に、前記(5)のように、加圧封止された封止部材の存在は、ヒートパイプの薄型構成における支障に該当する。
【0050】
しかも、従来技術のチャンバーの場合には、加圧シリンダー、封止部材搭載装置、封止部材加圧装置の3個の装置の存在に対応するスペースを必要とすることから、実施例における真空チャンバー7よりも明らかに大きな容量を必要とし、その結果、前記2の真空脱気の効率も、実施例の場合よりも明らかに低いという状況にある。
【0051】
更には、加圧注入が行われた冷媒液がヒートパイプから真空状態において噴出することを防止するために、前記(1)のような圧力調整を行うために、真空チャンバー7内に窒素ガス又は空気のような気体の封入を必要不可欠とするが、実施例の場合には、このような封入工程は不要である。
【0052】
しかも封入された気体は、必然的にヒートパイプ内にも侵入し、その結果、ヒートパイプに加圧注入された冷媒液は、必然的に当該気体と混入状態にならざるを得ない。
【0053】
しかしながら、このような混入によって、ヒートパイプにおいては冷媒液の蒸発及び冷媒蒸気の凝縮に伴う熱交換による冷却の効率を低下させる原因とならざるを得ない。
【0054】
これに対し、実施例の場合には、冷媒液のみの蒸発による冷却を実現しており、冷却の効率において従来技術の場合よりも明らかに優れている。
【0055】
これに対し、実施例の場合には、従来技術のように、ヒートパイプ1を装置毎に移動することが不要であることから、加圧バー9を加圧シリンダー8の近隣の位置に設置することが可能であって、真空チャンバー7のスペースは従来技術の場合よりも圧倒的に少ないスペースを採用した上で、冷媒液の注入及び封止を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願は、薄型のウイックを採用している薄型のヒートパイプをシンプルなエッチング工程によって成型することができる点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0057】
1 ヒートパイプ
10 ウイック
100 空洞
11 上板
12 下板
21 交差枠,一方側方向枠
22 突起
3 周囲壁
41 交差枠用レジスト,一方側方向枠用レジスト
42 突起用レジスト
43 周囲壁用レジスト
51 冷媒液注入口
52 冷媒液流出口
61 流動パイプ
62 落下領域
7 真空チャンバー
70 上下可動体
8 加圧シリンダー
9 加圧バー