(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】縁石ブロック及びブロックセット
(51)【国際特許分類】
E01C 11/22 20060101AFI20231128BHJP
H02G 9/04 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
E01C11/22 B
H02G9/04
(21)【出願番号】P 2022166574
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2018114675の分割
【原出願日】2018-06-15
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】392027900
【氏名又は名称】株式会社イトーヨーギョー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 浩
(72)【発明者】
【氏名】森 亮太
(72)【発明者】
【氏名】畑中 浩太郎
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-191195(JP,A)
【文献】特開2000-008310(JP,A)
【文献】特開2006-207276(JP,A)
【文献】特開2001-295229(JP,A)
【文献】特開2002-275842(JP,A)
【文献】特開2005-098025(JP,A)
【文献】特開平11-178186(JP,A)
【文献】特開平07-220506(JP,A)
【文献】特表2003-511591(JP,A)
【文献】実開平04-134524(JP,U)
【文献】登録実用新案第3035345(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1301058(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/22-11/26
E03F 5/046-9/541
E01F 13/00-15/14
E01F 1/00
H02G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の境界部に設けられる縁石ブロックであって、
電線が接続されるデバイスを収容するための収容凹部と、
前記電線を収容するための電線収容部と、を備えており、
前記収容凹部は、
前記縁石ブロックの上面及び長さ方向の端面に開口する、前記電線収容部よりも幅が広い凹部であり、
前記電線収容部は、
前記縁石ブロックの長さ方向における前記収容凹部が形成されていない範囲に延びる、前記縁石ブロックの上面において開放しかつ前記収容凹部に通じる溝、又は、前記縁石ブロックの内部に埋設されかつ前記収容凹部に通じる電線挿通管であり、
前記溝又は前記電線挿通管は、
前記縁石ブロックの幅方向に複数箇所に離れて配置されており、複数の前記溝又は複数の前記電線挿通管のすべてが前記収容凹部に通じる、縁石ブロック。
【請求項2】
前記収容凹部が、
前記縁石ブロックにおける長さ方向の片側の端部のみに形成されている、請求項1に記載の縁石ブロック。
【請求項3】
前記収容凹部が、
前記縁石ブロックにおける長さ方向の両端部に形成されている、請求項1に記載の縁石ブロック。
【請求項4】
請求項1に記載の複数の縁石ブロックを含むブロックセットであって、
前記複数の縁石ブロックには、
前記収容凹部が存在する方の長手方向の端面同士が接続される第1縁石ブロックと第2縁石ブロックが含まれ、
前記第1縁石ブロックと前記第2縁石ブロックとが、互いに前記収容凹部を連通させた状態で隣接して配置される、ブロックセット。
【請求項5】
前記第1縁石ブロックと前記第2縁石ブロックとの間に設けられかつ前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部とを連通させるための切欠を有する目地部材をさらに備える、請求項4に記載のブロックセット。
【請求項6】
前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部との上面開口を、両収容凹部に跨って塞ぐ蓋体をさらに備える、請求項4又は5に記載のブロックセット。
【請求項7】
前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部とにわたって配置される収容箱をさらに備える、請求項4~6のいずれか1項に記載のブロックセット。
【請求項8】
前記収容凹部が形成されていない前記第1又は第2縁石ブロックの端部に隣接して配置され、かつ、長さ方向の全体にわたって電線又は電線挿通管を収容するための電線収容部が形成された第3縁石ブロックをさらに備えている、請求項
4~7のいずれか1項に記載のブロックセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁石ブロック、及びこの縁石ブロックを含むブロックセットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身近な交通手段である自転車の活用により環境への負荷低減や災害時における交通機能の維持等を図るため、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することを目的とした「自転車活用推進法」が施行され、今後ますます自転車の利用が活性化されると考えられる。しかし、自転車の利用が増大するに伴って道路の安全対策がより重要となる。特に、自転車による事故の多くは安全不確認や信号無視の交通ルールの不遵守、逆走や右側通行などの不適切通行が原因となっているため、例えば、道路上を走行する自転車の動きをセンサ等によって検出し、自転車の搭乗者や周囲の人に対する注意喚起や交通ルールを遵守するための誘導等を行うことが必要になると考えられる。
【0003】
自転車は、通常、車道の端に沿って走行するため、車道の端に設置された縁石ブロックにセンサ等を設けることができれば、車両等の通行の邪魔になることなく自転車を容易に検知することができると考えられる。自転車検知用のセンサではないが縁石ブロック自体にセンサを設ける技術は、例えば下記特許文献1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、縁石ブロックの製造段階で予め形成しておいた空洞にセンサを取り付けるものであるが、このセンサに伴って設けられる回路部品等の設置やケーブルの取り回し等については特に考慮されていない。
【0006】
本発明は、縁石ブロックに対するセンサや回路部品等のデバイスの収容やデバイスへの電気配線作業を容易に行うことができる縁石ブロック及びブロックセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、道路の境界部に設けられる縁石ブロックであって、
当該縁石ブロックの長さ方向の端部に、上面及び長さ方向の端面において開口する収容凹部が形成され、
前記収容凹部を除く長さ方向の全体にわたって電線又は電線挿通管を収容するための電線収容部が形成されている。
【0008】
この構成によれば、縁石ブロックの長さ方向の端部には、上面において開口する収容凹部が形成されるので、縁石ブロックの上方から収容凹部内に容易にセンサや回路部品等のデバイスを収容することができる。また、デバイスに接続される電線やこの電線を通すための電線挿通管は、電線収容部を使用することによって縁石ブロック内でその長さ方向に沿って配置することができる。
【0009】
また、縁石ブロックは、収容凹部が縁石ブロックの長さ方向の端面において開口しているので、同様の収容凹部を有する他の縁石ブロックと隣接させることによってそれぞれの収容凹部を互いに連通させることができ、収容凹部の容積を拡大してデバイスの収容能力を高めることができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記収容凹部が、長さ方向の片側の端部に形成されている。
この場合、縁石ブロックの長さ方向の一端部における収容凹部内にセンサ等のデバイスを収容し、このデバイスに接続される電線を電線収容部に収容して縁石ブロックの長さ方向他端部から引き出すことができる。
【0011】
(3)また、好ましくは、前記収容凹部が、長さ方向の両端部に形成されている。
この場合、例えば一方の収容凹部にセンサを収容し、他方の収容凹部に回路部品等を収容し、両収容凹部の間の電線収容部にセンサと回路部品等とを接続する電線を収容することができる。
【0012】
(4)好ましくは、前記電線収容部が、前記収容凹部を除く長さ方向の全体にわたって形成され当該縁石ブロックの上面において開放した溝を含む。
このような構成によって、例えば施工現場において縁石ブロックを地面に設置した後に、縁石ブロックの上方から溝内に電線又は電線挿通管を収容することが可能となる。
【0013】
(5)好ましくは、前記電線収容部が、前記収容凹部を除く長さ方向の全体にわたって内部に埋設された電線挿通管を含む。
この構成によれば、縁石ブロックに埋設された電線挿通管内に電線を通すことによって、縁石ブロックに電線を収容することができる。
【0014】
(6)本発明は、道路の境界部に設置される複数の縁石ブロックを含むブロックセットであって、
長さ方向の少なくとも一端部に上面及び長さ方向の端面において開口する収容凹部が形成され、前記収容凹部を除く長さ方向の全体にわたって電線又は電線挿通管を収容するための電線収容部が形成されている第1縁石ブロックと、
長さ方向の少なくとも他端部に上面及び長さ方向の端面において開口する収容凹部が形成され、前記収容凹部を除く長さ方向の全体にわたって電線又は電線挿通管を収容するための電線収容部が形成されている第2縁石ブロックと、を備え、
前記第1縁石ブロックと前記第2縁石ブロックとが、互いに前記収容凹部を連通させた状態で隣接して配置される。
【0015】
以上の構成を有するブロックセットは、第1縁石ブロックと第2縁石ブロックとが互いに収容凹部を連通させた状態で隣接して配置されるので、収容凹部の容積を拡大してデバイスの収容能力を高めることができる。また、収納凹部は、第1及び第2縁石ブロックの上面において開口しているので、第1及び第2縁石ブロックの上方から収容凹部内に容易にセンサや回路部品等のデバイスを収容することができる。デバイスに接続される電線やこの電線を通すための電線挿通管は、第1及び第2縁石ブロックの電線収容部を使用することによって当該縁石ブロック内にその長さ方向に沿って配置することができる。
【0016】
(7)好ましくは、前記ブロックセットが、前記第1縁石ブロックと前記第2縁石ブロックとの間に設けられかつ前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部とを連通させるための切欠を有する目地部材をさらに備える。
このような構成によって、目地部材によって収容凹部が区画されることが無く、第1縁石ブロックと前記第2縁石ブロックとの間に容積が拡大された1つの収容凹部を形成することができる。
【0017】
(8)好ましくは、前記ブロックセットが、前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部との上面開口を、両収容凹部に跨って塞ぐ蓋体をさらに備える。
このような構成によって、容積が拡大された収容凹部を1枚の蓋体によって塞ぐことができ、収容凹部内への異物の侵入を抑制することができる。
【0018】
(9)好ましくは、前記ブロックセットが、前記第1縁石ブロックの収容凹部と前記第2縁石ブロックの収容凹部とにわたって配置される収容箱をさらに備える。
このような構成によって、収容凹部に配置された収容箱内にデバイスを収め、当該デバイスを保護することができる。
【0019】
(10)好ましくは、前記ブロックセットが、前記収容凹部が形成されていない前記第1又は第2縁石ブロックの端部に隣接して配置され、かつ、長さ方向の全体にわたって電線又は電線挿通管を収容するための電線収容部が形成された第3縁石ブロックをさらに備えている。
このような構成によって、第3縁石ブロックの電線収容部を利用することで、電線をさらに延長して配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、縁石ブロックに対するデバイスの収容やデバイスへの電気配線作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態に係る縁石ブロックセットの斜視図である。
【
図4】第1及び第2の縁石ブロックの斜視図である。
【
図5】第1及び第2の縁石ブロックの斜視図である。
【
図6】互いに隣接する縁石ブロックの境界部分を示す分解斜視図である。
【
図7】第2の実施形態に係る縁石ブロックの
図3に相当する断面図である。
【
図8】第5及び第6の縁石ブロックの斜視図である。
【
図9】第7及び第8の縁石ブロックの斜視図である。
【
図10】互いに隣接する縁石ブロックの境界部分を示す分解斜視図である。
【
図11】第3の実施形態に係る縁石ブロックの
図3に相当する断面図である。
【
図13】目地部材及び収容箱の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る縁石ブロックセットの斜視図、
図2は、
図1におけるA-A線断面図、
図3は、
図1におけるB-B線断面図である。
図1~
図3において、例えば車道と歩道との境界部分には、道路縦断方向(以下、単に「縦断方向」ともいう)に沿って複数種類(第1~第4)の縁石ブロック11~14が並べて配置されている。本実施形態では、道路縦断方向に直交する水平方向を道路横断方向又は幅方向ともいう。
【0023】
各縁石ブロック11~14は、道路縦断方向に細長い6面体からなるプレキャストコンクリート製のブロックである。各縁石ブロック11~14は、長さ方向(縦断方向)に直交する断面が略台形状に形成されている。全ての縁石ブロック11~14には、長さ方向に沿って電線収容部21が形成されている。また、第1~第3の縁石ブロック11~13には、収容凹部22が形成されている。各縁石ブロック11~14の間には、発泡ゴム等からなる目地部材31が設けられている。収容凹部22内には、収容箱32が配置され、収容凹部22の上方には蓋体33が設けられている。
【0024】
収容凹部22には、交通安全対策として自転車検知用のセンサをはじめこれに付随して設けられる回路部品などの各種デバイスD(
図3参照)が収容される。自転車検知用のセンサは、例えば、自転車の台数の計測、自転車の逆走検知、交差点における衝突事故対策のための位置検出等に利用される。また、収容凹部22に収容されるセンサは、自転車検知用に限らずあらゆる用途に用いられるものとすることができ、光センサ、電波センサ、磁気センサ等のあらゆる種類のセンサとすることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、第1~第3の縁石ブロック11~13のいずれかが、特許請求の範囲に記載された第1縁石ブロック又は第2縁石ブロックに相当し、第4の縁石ブロック14が、特許請求の範囲に記載された第3縁石ブロックに相当する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、電線収容部21は、縁石ブロック11~14の上面において開口する溝21aにより構成されている。溝21aは、縁石ブロック11~14の長さ方向に沿って細長く形成され、縁石ブロック11~14の高さの1/2~1/3程度の深さを有している。
【0027】
溝21aは、縁石ブロック11~14の幅方向(道路横断方向)に間隔をあけて2箇所に形成されている。2つの溝21aは、互いに平行である。各溝21aには、電線を通すための電線挿通管23が収容されている。本実施形態では、各溝21aにそれぞれ2本の電線挿通管23が上下に並べて収容されている。
【0028】
各電線挿通管23は、例えばCD管と呼ばれる合成樹脂製の可撓管が採用され、溝21aと同一の長さに形成される。電線挿通管23は、例えば縁石ブロック11~14の施工現場において溝21a内に収容される。また、電線挿通管23が収容された後の溝21aは、例えば施工現場においてモルタル等の充填材24で埋められる。
【0029】
図4は、第1及び第2の縁石ブロック11,12の斜視図である。
図5は、第3及び第4の縁石ブロック13,14の斜視図である。
図1及び
図3~
図5に示すように、収容凹部22は、底面22aと、底面22aの幅方向の両側に設けられた側面22bとを有し、各縁石ブロック11~13の上面と長さ方向の端面において開口する略直方体形状の凹部である。収容凹部22の幅は、2箇所の溝21a全体の幅とほぼ一致している。収容凹部22の高さ(深さ)は、溝21aの深さとほぼ一致している。溝21aに収容された電線挿通管23の端面は、収容凹部22において開口している。
【0030】
図4(a)に示す第1の縁石ブロック11は、長さ方向の一端部(図示例では右側)に収容凹部22を有している。
図4(b)に示す第2の縁石ブロック12は、長さ方向の両端部に収容凹部22を有している。
図5(a)に示す第3の縁石ブロック13は、長さ方向の他端部(図示例では左側)に収容凹部22を有している。
【0031】
図6は、互いに隣接する縁石ブロックの境界部分を示す分解斜視図である。
図6(a)に示すように、隣接して配置される第1の縁石ブロック11と第2の縁石ブロック12とは、互いに収容凹部22が連通するように配置される。第1の縁石ブロック11と第2の縁石ブロック12の間に設けられる目地部材31は、両縁石ブロック11,12の対向する端面と同一形状に形成されている。つまり、目地部材31には、第1及び第2の縁石ブロック11,12の収容凹部22同士を連通させることができる切欠31aが形成されている。この切欠31aは、収容凹部22の幅及び深さと略同一の幅及び深さを有している。
【0032】
第1の縁石ブロック11の収容凹部22と第2の縁石ブロック12の収容凹部22とには、これらに跨って収容箱32が配置されている。この収容箱32は、例えば合成樹脂材により、底壁32aと、この底壁32aの幅方向両側から立ち上がる側壁32bとを有し、上方及び長さ方向両側に開口する断面略コの字状に形成されている。収容箱32は、底壁32aが、収容凹部22の底面22a上に配置され、側壁32bが、収容凹部22内の側面22bに沿って配置される。収容箱32は、互いに連通する収容凹部22の全体にわたる道路縦断方向の長さを有している。
【0033】
蓋体33は、第1の縁石ブロック11と第2の縁石ブロック12との双方に跨って配置され、これらの上面にねじ等の固定具35(
図1参照)によって固定されている。蓋体33は、互いに連通する双方の収容凹部22を上方から塞いでいる。
なお、第2の縁石ブロック12と第3の縁石ブロック13との境界部分も、
図6(a)に示す形態と実質的に同一であるため、これらの符号を括弧書きで併記している。
【0034】
図6(b)に示すように、第3の縁石ブロック13と、第4の縁石ブロック14とは、互いに電線収容部21内の電線挿通管23の端面同士が対向するように配置される。第3の縁石ブロック13と第4の縁石ブロック14との間に設けられる目地部材31は、両縁石ブロック13,14の端面と略同一形状に形成されている。つまり、目地部材31には、溝21aの形状に倣った切欠31bが形成されている。
【0035】
また、第3の縁石ブロック13と第4の縁石ブロック14との間には、ジョイント管34が設けられる。このジョイント管34は、第3の縁石ブロック13の電線挿通管23の端部内に嵌合される嵌合部34aと、第3の縁石ブロック14の電線挿通管23の端部内に嵌合される嵌合部34bと、両嵌合部34a、34bの間に設けられた中間板34cとを有している。そして、各嵌合部34a,34bをそれぞれ電線挿通管23に嵌合することによって、第3の縁石ブロック13の電線挿通管23と第4の縁石ブロック14の電線挿通管23とが互いに接続される。中間板34cは、目地部材31の切欠31b内に配置される。
【0036】
[本実施形態の作用効果]
以上の構成を有する第1~第3の縁石ブロック11~13は、長さ方向の片側の端部又は両端部に、上面及び端面において開口する収容凹部22が形成されている。また、第1~第3の縁石ブロック11~13は、収容凹部22を除く長さ方向の全体にわたって電線挿通管23を収容するための溝21a(電線収容部21)が形成されている。したがって、収容凹部22に対してセンサや回路部品等のデバイスを収容することができ、当該デバイスに接続される電線を溝21a内の電線挿通管23に通すことで、縁石ブロック11~13内にその長さ方向に沿って電線を配置することができる。
【0037】
収容凹部22は、各縁石ブロック11~13の上面において開口しているので、各縁石ブロック11~13の上方から収容凹部22内に容易にデバイスを収容することができる。また、収容凹部22は、各縁石ブロック11~13の長さ方向の端面において開口しているので、収容凹部22を有する他の縁石ブロック11~13と隣接させて収容凹部22同士を連通させることによって、全体として容積の大きい収容凹部22,22を形成することができる。そのため、収容凹部22,22の収容能力を高め、収容凹部22,22内に収容するデバイスの種類、大きさ、数量等の自由度を高めることができる。
【0038】
電線収容部21は、各縁石ブロック11~14の上面において開口する溝21aにより構成されているので、縁石ブロック11~14の施工現場において縁石ブロック11~14の上方から溝21a内に容易に電線挿通管23を収容することができる。また、現場に応じて溝21a内に収容する電線挿通管23の本数を調整することができる。電線挿通管23を収容したあとは、モルタル等の充填材24で溝21aを埋めることによって、製造段階で電線挿通管23が埋設された縁石ブロック11~14と同様の形態とすることができる。
【0039】
長さ方向の両端部に収容凹部22が形成された第2の縁石ブロック12は、例えば一方の収容凹部22にセンサを収容し、他方の収容凹部22に回路部品等を収容し、両収容凹部22の間の電線収容部21にセンサと回路部品とを接続する電線を収容することができる。また、第2の縁石ブロック12は、収容凹部22が形成された他の縁石ブロック11,13を長さ方向の両側に隣接させることで、長さ方向の両側に容積が拡大された収容凹部22,22を形成することができ、デバイスの収容能力をより高めることができる。
【0040】
互いに連通する収容凹部22,22内には、両者に跨って収容箱32が配置され、この収容箱32内にデバイスを収めることができるので、例えば縁石ブロック11~13の境界部分等がデバイスに接触してデバイスを傷つけてしまうことがなく、収容箱32によってデバイスを保護することができる。
【0041】
第1の縁石ブロック11と第2の縁石ブロック12との間、及び、第2の縁石ブロック12と第3の縁石ブロック13との間に設けられた目地部材31には、その両側に配置される収容凹部22,22を連通させるための切欠31aを有しているので、目地部材31によって2つの収容凹部22,22が区画されることがなく、1つの広い収容凹部22,22を形成することができる。
【0042】
互いに連通する収容凹部22,22の上面側の開口は、両者に跨って配置された蓋体33によって塞がれるので、広く形成された収容凹部22,22を1枚の蓋体によって塞ぎ、収容凹部22,22内への異物の侵入を抑制することができる。
【0043】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る縁石ブロックの
図3に相当する断面図である。
図8は、第5及び第6の縁石ブロックの斜視図である。
図9は、第7及び第8の縁石ブロックの斜視図である。
第2の実施形態に係る縁石ブロック(第5~第8の縁石ブロック)15~18は、第1の実施形態のような溝21aによって構成された電線収容部21を備えておらず、電線挿通管23によって構成された電線収容部21を備えている。そして、上述の第1の実施形態では、縁石ブロック11~14の施工現場において電線挿通管23が溝21a内に収容されていたが、本実施形態の電線挿通管23は、縁石ブロック15~18の製造段階で縁石ブロック15~18の内部に埋設される。
【0044】
なお、本実施形態では、第5~第7の縁石ブロック15~17のいずれかが、特許請求の範囲に記載された第1縁石ブロック又は第2縁石ブロックに相当し、第8の縁石ブロック18が、第3縁石ブロックに相当する。
【0045】
図8(a)に示すように、第5の縁石ブロック15は、第1の縁石ブロック11と同様に長さ方向の一端部に収容凹部22を有している。第5の縁石ブロック15は、収容凹部22を除く長さ方向の全体にわたって埋設された電線収容部21としての電線挿通管23を有している。第5の縁石ブロック15は、
図1に示す第1の縁石ブロック11と同様の形態で使用される。
【0046】
図8(b)に示すように、第6の縁石ブロック16は、第2の縁石ブロック12と同様に長さ方向の両端部に収容凹部22を有している。第6の縁石ブロック16は、収容凹部22を除く長さ方向の全体にわたって埋設された電線収容部21としての電線挿通管23を有している。第6の縁石ブロック16は、
図1に示す第2の縁石ブロック12と同様の形態で使用される。
【0047】
図9(a)に示すように、第7の縁石ブロック17は、第3の縁石ブロック13と同様に長さ方向の他端部に収容凹部22を有している。第7の縁石ブロック17は、収容凹部22を除く長さ方向の全体にわたって埋設された電線収容部21としての電線挿通管23を有している。第7の縁石ブロック17は、
図1に示す第3の縁石ブロック13と同様の形態で使用される。
【0048】
図9(b)に示すように、第8の縁石ブロック18は、第4の縁石ブロック14と同様に長さ方向の全体にわたって埋設された電線収容部21としての電線挿通管23を有している。第8の縁石ブロック18は、
図1に示す第4の縁石ブロック14と同様の形態で使用される。
【0049】
図10は、互いに隣接する第7の縁石ブロック17と第8の縁石ブロック18の境界部分を示す分解斜視図である。
第7の縁石ブロック17の長さ方向の一端部と、第8の縁石ブロック18の長さ方向の他端部との間には目地部材31が設けられている。この目地部材31には、第7の縁石ブロック17の電線挿通管23と第8の縁石ブロック18の電線挿通管23とを接続するジョイント管36が一体に設けられている。このジョイント管36は、目地部材31の一方側の面から突出する部分が第7の縁石ブロック17の電線挿通管23の端部内に嵌合され、目地部材31の他方側の面から突出する部分が第8の縁石ブロック18の電線挿通管23の端部内に嵌合される。
【0050】
本実施形態では、各縁石ブロック17,18の電線挿通管23にジョイント管36を接続すれば、同時に第7の縁石ブロック17と第8の縁石ブロック18との間に目地部材31を設けることができるので、縁石ブロック17,18の施工作業性を高めることができる。
【0051】
[第3の実施形態]
図11は、第3の実施形態に係る縁石ブロックの
図3に相当する断面図である。
本実施形態の縁石ブロック19は、地上に突出する縁石部19Aを上部に備え、地中に埋設されかつ内部に排水通路19B1を有する基礎部19Bを下部に備えたものである。そして、縁石ブロック19の縁石部19Aには、上記第1又は第2の実施形態で説明したような収容凹部22と電線収容部21とが形成されている。したがって、本実施形態においても上記各実施形態と略同様の作用効果を奏する。
【0052】
[その他の変形例]
図12は、収容箱32の変形例を示す斜視図である。
図12(a)示す収容箱32は、長さ方向の一端部と他端部とが開口する角筒形状に形成されている。
図12(b)に示す収容箱32は、底壁32aと両側壁32bとを有し、両側壁32bの長さ方向の一端同士及び他端同士が、上部側において帯板状の連接板32cで連結されている。したがって、収容箱32の下部側で、長さ方向の一端側と他端側とが開口している。
【0053】
図13は、目地部材31及び収容箱32の変形例を示す斜視図である。
図13に示す目地部材31と収容箱32とは、互いに接着されることによって一体化されている。具体的に、収容箱32の底壁32a及び側壁32bが、目地部材31の切欠31aに嵌合された状態で両者が接着されている。したがって、互いに連通する収容凹部22,22に収容箱32を配置することによって、隣接する縁石ブロックの間に目地部材31を設けることができ、縁石ブロックの施工作業性を高めることができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、縁石ブロックの収容凹部に収容されるデバイスは、交通安全対策等のためのセンサや回路部品等に限定されるものではなく、あらゆるデバイスを収容することができる。例えば、収容凹部には、蓄電器やソーラーパネル等の電源部品、液晶パネル等の表示部品等を収容することができる。また、収容凹部は、自動運転支援のために活用することもできる。例えば、インテリジェント基準点となるICタグを収容凹部内に収容することによって縁石ブロックに標情報を発信するマーカーとしての機能を持たせ、道路を走行する自動運転車両との通信や、マップデータのマッチング補完等のために活用することができる。
【0055】
上記第1の実施形態では、電線収容部としての溝が幅方向の2箇所に形成されていたが、1箇所又は3箇所以上に形成されていてもよい。この溝の内部には、複数本の電線挿通管が幅方向に並べて収容されてもよい。
収容凹部の形状は、底面と側面とによって略直方体形状とされていたが、例えば、底面が半円筒形状に形成されこの底面に側面が滑らかに連なる形状であってもよい。
【0056】
縁石ブロックは、歩道と車道との境界に設置されるものに限定されない。例えば、縁石ブロックは、道路(車道又は歩道)と駐車場との境界、道路(車道又は歩道)と植栽との境界等に設置されるものであってもよい。
また、縁石ブロックは、直線状のものに限らず、交差点等に設置される曲線状のもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
11:第1の縁石ブロック
12:第2の縁石ブロック
13:第3の縁石ブロック
14:第4の縁石ブロック
15:第5の縁石ブロック
16:第6の縁石ブロック
17:第7の縁石ブロック
18:第8の縁石ブロック
19:縁石ブロック
21:電線収容部
21a:溝
22:収容凹部
23:電線挿通管
31:目地部材
31a:切欠
32:収容箱
33:蓋体