(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】表示部形成装置、表示部形成システム、及び表示部形成方法
(51)【国際特許分類】
B65H 29/70 20060101AFI20231128BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20231128BHJP
D06B 11/00 20060101ALI20231128BHJP
D06C 3/00 20060101ALI20231128BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20231128BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B65H29/70
A61F13/514 400
D06B11/00 E
D06C3/00
A61F13/49 310
A61F13/514 500
B41J2/01 109
(21)【出願番号】P 2023075896
(22)【出願日】2023-05-01
【審査請求日】2023-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523165190
【氏名又は名称】トムビジネスコンサルティング有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】本多 秀
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-92855(JP,A)
【文献】特開2023-16486(JP,A)
【文献】特開2013-19083(JP,A)
【文献】特開2013-22858(JP,A)
【文献】特開2022-23305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
B41J 2/01
B41J 11/00-13/32
A61F 13/514
D06B 11/00
D06C 3/00
A61F 13/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成されるものである表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部を形成する表示部形成手段と、
前記表示部形成手段にて前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段と、
を備え、
前記皺伸ばし手段は、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成されることを特徴とする表示部形成装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記所望の箇所に印刷される所望の情報を示す文字、図形、又は文字と図形とを組み合わせたものであり、
前記表示部形成手段は、前記所望の箇所に前記表示部を印刷可能であることを特徴とする請求項1に記載の表示部形成装置。
【請求項3】
前記表示部形成手段は、レーザー光を照射することにより前記所望の箇所に前記表示部を印刷可能なレーザー印刷手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の表示部形成装置。
【請求項4】
前記表示部は、所望の情報を有し前記所望の箇所に貼付可能なものであり、
前記表示部形成手段は、前記所望の箇所に前記表示部を貼付可能であることを特徴とする請求項1に記載の表示部形成装置。
【請求項5】
前記表示部は、外面に前記所望の情報が表示され前記所望の箇所に貼付可能なシール材である、又は、前記所望の箇所に貼付可能なシール材と、前記シール材に設けられ前記所望の情報を有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグとを備えるものであることを特徴とする請求項4に記載の表示部形成装置。
【請求項6】
基台と、前記基台の上面をこの平面方向に往復移動可能な移動手段と、を更に備え、
前記皺伸ばし手段は、
前記移動手段上に設けられるとともに前記移動手段上に固定された前記表示部形成対象物と対向するように配置され、且つ、前記基台、前記移動手段、及び前記皺伸ばし手段の並び方向に往復移動可能に構成される押さえ板と、
前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面に設けられ、且つ、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成される皺伸ばし部と、
を備え、
前記押さえ板には、前記平面状になるように前記皺を伸ばした状態の前記所望の箇所を上方から臨むことが可能なように開口形成される開口部が設けられ、
前記表示部形成手段は、前記開口部を介して前記所望の箇所に前記表示部を形成することを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の表示部形成装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記移動手段上に配置された前記表示部形成対象物を固定可能に構成される固定手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の表示部形成装置。
【請求項8】
前記皺伸ばし部は、複数設けられ、
前記皺伸ばし部それぞれは、
前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面に設けられるアーム部と、前記アーム部の先端側に回転可能に設けられるとともに、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動可能に設けられるローラと、を備え、
前記ローラは、
前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動することにより、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成されることを特徴とする請求項6に記載の表示部形成装置。
【請求項9】
複数の前記ローラは、前記押さえ板における前記開口部の周縁部に設けられ、前記ローラが前記所望の箇所の周囲を前記厚さ方向に押圧した際に前記ローラが前記所望の箇所を取り囲むように配置されることを特徴とする請求項8に記載の表示部形成装置。
【請求項10】
当該表示部形成装置を平面視したとき、前記表示部形成手段を、前記開口部の周縁部を取り囲むように配置された複数の前記ローラの内側に配置されるように設けることを特徴とする請求項9に記載の表示部形成装置。
【請求項11】
前記ローラは、前記所望の箇所の周囲の上を転動する外周面に所定の摩擦係数が付与され、
前記所定の摩擦係数は、
前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記ローラが、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動することにより、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な摩擦係数であることを特徴とする請求項8に記載の表示部形成装置。
【請求項12】
前記アーム部は、前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面にヒンジ部を介して回動可能に設けられ、
前記押さえ板と前記アーム部との間には、前記ローラが前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押し付けるような付勢力を前記アーム部に付与する付勢部材が設けられることを特徴とする請求項8に記載の表示部形成装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、又は5に記載の表示部形成装置と、ネットワークを介して前記表示部形成装置と接続される端末とを含み、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部形成手段にて表示部を形成する表示部形成システムであって、
前記端末は、前記表示部として表示する所望の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示部形成装置に送信するものであり、
前記表示部形成装置は、
前記端末から受信した前記所望の情報を受け付けるものであるとともに、前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段にて、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすものであることを特徴とする表示部形成システム。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、又は5に記載の表示部形成装置にて、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部を形成する表示部形成方法であって、
前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段にて、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばす工程と、
前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な表示部形成手段にて、前記平面状になるように前記皺を伸ばした状態の前記所望の箇所に前記表示部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする表示部形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の外面における所望の箇所に表示部形成手段にて表示部を形成する表示部形成装置、表示部形成システム、及び表示部形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の具体例として、乳幼児や高齢者等が着用する紙おむつが挙げられる。
【0003】
保育園や介護施設等の各種施設で使用される紙おむつの外面における所望の箇所には、これを着用する乳幼児や高齢者等の氏名等、着用者を特定するための情報が表示された文字やQRコード(登録商標)等の二次元コードのような各種表示部が印刷されている。
【0004】
このような紙おむつの外面における所望の箇所に文字等の表示部を印刷する技術として、特許文献1(以下、本明細書においては「従来技術」と称する)が知られている。従来技術は、固定板に形成された開口部に、作業者が紙おむつの外面における所望の箇所を押し当て、所望の箇所に対しプリンタヘッドからインクを吐出して文字等を印刷するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような紙おむつは、所定の厚みと柔軟性とを有し、外面に多数の皺が形成されているため、従来技術では、外面の所望の箇所への文字や二次元コード等の各種表示部の印刷を正確に行うことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の外面における所望の箇所に表示部を正確且つ容易に形成することが可能な表示部形成装置、表示部形成システム、及び表示部形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成されるものである表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部を形成する表示部形成手段と、前記表示部形成手段にて前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段と、を備え、前記皺伸ばし手段は、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成されることを特徴とする。
【0009】
上記(1)のような特徴を有する本発明によれば、皺伸ばし手段にて、所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が表示部を形成可能な平面状になるように皺を伸ばすことが可能になることから、所望の箇所に表示部を正確且つ容易に形成することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明は、前記表示部は、前記所望の箇所に印刷される所望の情報を示す文字、図形、又は文字と図形とを組み合わせたものであり、前記表示部形成手段は、前記所望の箇所に前記表示部を印刷可能であることを特徴とする。
【0011】
上記(2)のような特徴を有する本発明によれば、平面状になるように皺を伸ばした所望の箇所に、所望の情報を示す文字、図形、又は文字と図形とを組み合わせを印刷可能となる。
【0012】
(3)また、本発明は、前記表示部形成手段は、レーザー光を照射することにより前記所望の箇所に前記表示部を印刷可能なレーザー印刷手段を備えることを特徴とする。
【0013】
上記(3)のような特徴を有する本発明によれば、表示部形成手段がレーザー印刷手段であることから、従来技術のようなインクを吐出することにより印刷を施す形式のものに比べ、簡易且つ迅速に表示部を印刷可能となる。
【0014】
(4)また、本発明は、前記表示部は、所望の情報を有し前記所望の箇所に貼付可能なものであり、前記表示部形成手段は、前記所望の箇所に前記表示部を貼付可能であることを特徴とする。
【0015】
上記(4)のような特徴を有する本発明によれば、平面状になるように皺を伸ばした所望の箇所に、所望の情報を有する表示部を貼付可能となる。
【0016】
(5)また、本発明は、前記表示部は、外面に前記所望の情報が表示され前記所望の箇所に貼付可能なシール材である、又は、前記所望の箇所に貼付可能なシール材と、前記シール材に設けられ前記所望の情報を有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグとを備えるものであることを特徴とする。
【0017】
上記(5)のような特徴を有する本発明によれば、所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことが可能であることから、シール材を備える表示部を貼付可能となる。
【0018】
(6)また、本発明は、基台と、前記基台の上面をこの平面方向に往復移動可能な移動手段と、を更に備え、前記皺伸ばし手段は、前記移動手段上に設けられるとともに前記移動手段上に固定された前記表示部形成対象物と対向するように配置され、且つ、前記基台、前記移動手段、及び前記皺伸ばし手段の並び方向に往復移動可能に構成される押さえ板と、前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面に設けられ、且つ、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成される皺伸ばし部と、を備え、前記押さえ板には、前記平面状になるように前記皺を伸ばした状態の前記所望の箇所を上方から臨むことが可能なように開口形成される開口部が設けられ、前記表示部形成手段は、前記開口部を介して前記所望の箇所に前記表示部を形成することを特徴とする。
【0019】
上記(6)のような特徴を有する本発明によれば、押さえ板が移動手段側へ移動した際に皺伸ばし部にて、所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことにより、表示部形成手段にて、押さえ板の開口部を介して所望の箇所に表示部を形成することが可能となる。
【0020】
(7)また、本発明は、前記移動手段は、前記移動手段上に配置された前記表示部形成対象物を固定可能に構成される固定手段を備えることを特徴とする。
【0021】
上記(7)のような特徴を有する本発明によれば、移動手段上に配置された表示部形成対象物を固定手段にて固定することが可能となることから、所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすとともに、所望の箇所に表示部を形成することが、より確実に可能となる。
【0022】
(8)また、本発明は、前記皺伸ばし部は、複数設けられ、前記皺伸ばし部それぞれは、前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面に設けられたアーム部と、前記アーム部の先端側に回転可能に設けられるとともに、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動可能に設けられるローラと、を備え、前記ローラは、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動することにより、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能に構成されることを特徴とする。
【0023】
上記(8)のような特徴を有する本発明によれば、押さえ板が移動手段側へ移動した際にローラにて、所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ、所望の箇所の周囲の上にローラを転動することにより、所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことが可能となることから、所望の箇所に表示部を形成することが可能となる。
【0024】
(9)また、本発明は、複数の前記ローラは、前記押さえ板における前記開口部の周縁部に設けられ、前記ローラが前記所望の箇所の周囲を前記厚さ方向に押圧した際に前記ローラが前記所望の箇所を取り囲むように配置されることを特徴とする。
【0025】
上記(9)このような特徴を有する本発明によれば、複数のローラが開口部の周縁部に設けられ所望の箇所を取り囲むように配置されることから、所望の箇所を万遍無く平面状になるように皺を伸ばすことが可能となる。
【0026】
(10)また、本発明は、当該表示部形成装置を平面視したとき、前記表示部形成手段を、前記開口部の周縁部を取り囲むように配置された複数の前記ローラの内側に配置されるように設けることを特徴とする。
【0027】
上記(10)のような特徴を有する本発明によれば、平面状になるように皺が伸ばされた所望の箇所に対し表示部を形成することが可能となる。
【0028】
(11)また、本発明は、前記ローラは、前記所望の箇所の周囲の上を転動する外周面に所定の摩擦係数が付与され、前記所定の摩擦係数は、前記押さえ板が前記移動手段側へ移動した際に、前記ローラが、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記所望の箇所の周囲の上を転動することにより、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な摩擦係数であることを特徴とする。
【0029】
上記(11)のような特徴を有する本発明によれば、ローラの外周面に上記摩擦係数が付与されることから、押さえ板が移動手段側へ移動した際にローラが所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ所望の箇所の周囲の上を転動することにより所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張り所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことが可能となる。
【0030】
(12)また、本発明は、前記アーム部は、前記押さえ板における前記表示部形成対象物と対向する面にヒンジ部を介して回動可能に設けられ、前記押さえ板と前記アーム部との間には、前記ローラが前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押し付けるような付勢力を前記アーム部に付与する付勢部材が設けられることを特徴とする。
【0031】
上記(12)のような特徴を有する本発明によれば、アーム部がヒンジ部を介して回動しつつアーム部が付勢部材にて付勢されることにより、ローラが回転しながら一定の圧力にて所望の箇所の周囲を紙おむつの厚さ方向に押し付けることが可能となる。
【0032】
(13)また、本発明は、上記(1)、(2)、(3)、(4)、又は(5)の発明に係る表示部形成装置と、ネットワークを介して前記表示部形成装置と接続される端末とを含み、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部形成手段にて表示部を形成する表示部形成システムであって、前記端末は、前記表示部として表示する所望の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示部形成装置に送信するものであり、前記表示部形成装置は、前記端末から受信した前記所望の情報を受け付けるものであるとともに、前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段にて、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばすものであることを特徴とする。
【0033】
(14)また、本発明は、上記(1)、(2)、(3)、(4)、又は(5)の発明に係る表示部形成装置にて、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の前記外面における所望の箇所に表示部を形成する表示部形成方法であって、前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な平面状になるように前記皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段にて、前記所望の箇所の周囲を前記表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ前記表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより前記所望の箇所が前記平面状になるように前記皺を伸ばす工程と、前記所望の箇所に前記表示部を形成可能な表示部形成手段にて、前記平面状になるように前記皺を伸ばした状態の前記所望の箇所に前記表示部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0034】
上記(13)、(14)のような特徴を有する本発明によれば、上記(1)の発明と同様、皺伸ばし手段にて、所望の箇所の周囲を表示部形成対象物の厚さ方向に押圧しつつ表示部形成対象物の平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が表示部を形成可能な平面状になるように皺を伸ばすことが可能になることから、所望の箇所に表示部を正確且つ容易に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、所定の厚みと柔軟性とを有し外面に多数の皺が形成された表示部形成対象物の外面における所望の箇所に表示部を正確且つ容易に形成することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る表示部形成装置と、ネットワークを介して表示部形成装置と接続される端末とを含む表示部形成システムの概略図を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る表示部形成装置をX軸方向から視たときの側面図である。
【
図4】
図3に示すA-A間を切断し表示部形成装置をZ軸方向から視たときの平面図である。
【
図5】
図3に示す皺伸ばし手段付近を拡大した図である。
【
図6】皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧する際の皺伸ばし部の動作について説明する図であり、(a)は皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧する前の状態を示す図、(b)は皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧した状態を示す図である。
【
図7】比較例における皺伸ばし部について説明する図である。
【
図8】表示部形成装置を用いた表示部形成作業を説明するためのフローチャートである。
【
図9】表示部形成装置の移動手段上に紙おむつを搬入した状態を示す図である。
【
図10】紙おむつを固定手段にて固定した状態を示す図である。
【
図11】複数の皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を紙おむつの厚さ方向に押圧しつつ紙おむつのX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばした状態を示す図である。
【
図12】所望の箇所に表示部が形成された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の第1の実施形態に係る表示部形成装置について、また、本発明の第2の実施形態に係る表示部形成装置について、それぞれ説明する。
【0038】
〔第1の実施形態〕
以下、
図1-
図12を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る表示部形成装置と、ネットワークを介して表示部形成装置と接続される端末とを含む表示部形成システムの概略図を示す図、
図2は紙おむつの平面図、
図3は本発明の第1の実施形態に係る表示部形成装置をX軸方向から視たときの側面図、
図4は
図3に示すA-A間を切断し表示部形成装置をZ軸方向から視たときの平面図、
図5は
図3に示す皺伸ばし手段付近を拡大した図、
図6は皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧する際の皺伸ばし部の動作について説明する図であり、(a)は皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧する前の状態を示す図、(b)は皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を押圧した状態を示す図、
図7は比較例における皺伸ばし部について説明する図、
図8は表示部形成装置を用いた表示部形成作業を説明するためのフローチャート、
図9は表示部形成装置の移動手段上に紙おむつを搬入した状態を示す図、
図10は紙おむつを固定手段にて固定した状態を示す図、
図11は複数の皺伸ばし部にて所望の箇所の周囲を紙おむつの厚さ方向に押圧しつつ紙おむつのX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばした状態を示す図、
図12は所望の箇所に表示部が形成された状態を示す図である。
【0039】
図1に図示するように、本実施形態において、表示部形成システム100は、例えば、表示部形成装置1と、ネットワーク200を介して表示部形成装置1と接続される端末300とを含んで構成されている。
【0040】
表示部形成システム100において、各端末300は、表示部形成システム100を用いた表示部形成サービスのユーザーが操作するものであり、後述する表示部3として表示する所望の情報の入力を受け付けるとともに、表示部形成装置1に送信するものである。また、表示部形成装置1は、ネットワーク200を介して各端末300から受信した上記所望の情報を受け付けるものである。
【0041】
本実施形態に係る表示部形成装置1は、
図2に図示する表示部形成対象物2に表示部3を形成する装置であり、
図3及び
図4に図示するように、基台4と、移動手段5と、皺伸ばし手段6と、表示部形成手段7とを備えている。
【0042】
ここで、本発明に係る「表示部形成装置」は、本実施形態では、所望の箇所に表示部を印刷する装置として説明するとともに、「表示部形成手段」は、本実施形態では、表示部を印刷する機器として説明し、「表示部形成装置」を「表示部印刷装置」、また、「表示部形成手段」を「表示部印刷手段」と適宜読み替えてもよいものとする。
【0043】
また、「表示部形成対象物」は、所定の厚みと柔軟性とを有し外面8に多数の皺9が形成された物品であり、本実施形態では、乳幼児や高齢者等が着用する吸収性物品(紙おむつ)であるものとする。本明細書では、以下、「表示部形成対象物」を「紙おむつ」として説明する。
【0044】
紙おむつ2は、一般的に知られているものであり、
図2に図示するように、吸収剤が封入された吸収剤部10と、着用者の身体に固定するために収縮する収縮部11とを備えている。表示部3は、吸収剤部10における外面8の所望の箇所12に形成されている。
【0045】
また、「表示部」は、紙おむつ2を着用する着用者の氏名等の情報を表示する文字、図形、または、文字と図形との組み合わせであるものとする。図形は、例えば、QRコード(登録商標)等の二次元コードが挙げられる。なお、他の実施形態において詳細に説明するが、「表示部」として、上記に限らず、その他、例えば、着用者の氏名等の情報を有するICタグ等のRFID(Radio Frequency Identifier)タグを挙げることができる。
【0046】
また、「表示部を形成する」とは、紙おむつ2の外面8における所望の箇所に、上記文字や二次元コード等を印刷することをいうものとする。なお、上記に限らず、その他、例えば、着用者の氏名等の情報を有するRFIDタグ等を貼付することを挙げることができる。
【0047】
以下、本実施形態では、本発明に係る表示部形成装置1を表示部印刷装置に適用した場合を例として、本実施形態に係る表示部形成装置1の各構成について説明する。
【0048】
まず、基台4について説明する。
図3及び
図4に図示する基台4は、平面視矩形に形成される板状の部材であり、この上面13に移動手段5が設けられるとともに、移動手段5を挟むように配置される一対の固定柱14が立設されている。
【0049】
つぎに、移動手段5について説明する。
図3及び
図4に図示する移動手段5は、最上面に紙おむつ2が載置され、基台4を平面視したときの上面13における平面方向において往復移動可能な機構である。本実施形態において、上記「平面方向」は、
図4に図示するように、基台4を平面視したときの上面13におけるX軸方向、及びY軸方向である。
【0050】
移動手段5は、
図3及び
図4に図示するように、基台4の上面13における上記X軸方向において紙おむつ2を往復移動可能とするX軸方向移動機構15と、上記Y軸方向において紙おむつ2を往復移動可能とするY軸方向移動機構16とを備えている。
【0051】
図3及び
図4に図示するX軸方向移動機構15は、基台4の上面13に設けられるものであり上側が開口形成される枠体17と、枠体17の底壁上面18にY軸方向において所定の間隔をあけて配置されるものでありX軸方向に沿って延在するように形成される一対のX軸方向移動ガイド19と、X軸方向移動ガイド19にX軸方向における往復移動自在に支持されるX軸方向移動ステージ20と、X軸方向移動ガイド19上におけるX軸方向移動ステージ20の上記往復移動を可能とするX軸方向移動アクチュエータ21とを備えている。
【0052】
図3及び
図4に図示するY軸方向移動機構16は、X軸方向移動ステージ20の上面22にX軸方向において所定の間隔をあけて配置されるものでありY軸方向に沿って延在するように形成される一対のY軸方向移動ガイド23と、Y軸方向移動ガイド23にY軸方向における往復移動自在に支持されるY軸方向移動ステージ24と、Y軸方向移動ガイド23上におけるY軸方向移動ステージ24の上記往復移動を可能とするY軸方向移動アクチュエータ25(
図4参照)とを備えている。
【0053】
Y軸方向移動ステージ24は、この上面26が移動手段5における最上面に相当するものであり、紙おむつ2に対する表示部3の形成作業の際に、この上面26に紙おむつ2が載置されることになる。Y軸方向移動ステージ24の上面26には、この上面26に配置された紙おむつ2の上端側と下端側それぞれを固定可能に構成される一対の固定手段27(
図10参照)が設けられている。
【0054】
つぎに、皺伸ばし手段6について説明する。
図3及び
図4に図示する皺伸ばし手段6は、紙おむつ2の外面8における所望の箇所12に表示部3を形成可能な平面状になるように皺9を伸ばすことが可能な機構である。なお、以下、基台4、移動手段5、及び皺伸ばし手段6の並び方向はZ軸方向である。
【0055】
図3に図示する皺伸ばし手段6は、Y軸方向移動ステージ24の上面26に立設された一対のZ軸方向ガイドポスト28と、Z軸方向ガイドポスト28にZ軸方向における往復移動自在に支持されY軸方向移動ステージ24の上面26に固定された紙おむつ2と対向するように配置される押さえ板29と、押さえ板29における紙おむつ2と対向する下面30に設けられる皺伸ばし部31と、押さえ板29の上記往復移動を可能とするZ軸方向移動アクチュエータ41とを備えている。
【0056】
押さえ板29は、Y軸方向移動ステージ24の上面26と平行に配置され、押さえ板29には、所望の箇所12に表示部3を形成可能な平面状になるように皺9を伸ばした状態の所望の箇所12を上方から臨むことが可能なように開口形成される開口部32が設けられている。
【0057】
皺伸ばし部31は、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際に、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向(Z軸方向)に押圧しつつ紙おむつ2の平面方向(X軸方向及びY軸方向)且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所12が上記平面状になるように皺9を伸ばすことが可能に構成されている。
【0058】
皺伸ばし部31は、複数(本実施形態では4つ。
図11参照)設けられ、皺伸ばし部31それぞれは、
図5に図示するように、押さえ板29の下面30に設けられたヒンジ部33を介して回動可能に設けられるアーム部34と、アーム部34の先端側に回転可能に設けられるとともに、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際に、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ所望の箇所12の周囲の上を転動可能に設けられるローラ35と、押さえ板29の下面30とアーム部34との間に配置される付勢部材36とを備えている。
【0059】
ローラ35は、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際に、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向(Z軸方向)に押圧しつつ所望の箇所12の周囲の上を転動することにより、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の平面方向(X軸方向及びY軸方向)且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張り所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばすことが可能に構成されている。
【0060】
複数のローラ35は、押さえ板29における開口部32の周縁部に開口部32を取り囲むように設けられ(
図11参照)、ローラ35が所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧した際にローラ35が所望の箇所12を取り囲むように配置されている。
【0061】
ローラ35は、所望の箇所12の周囲の上を転動する外周面37に所定の摩擦係数が付与されている。上記「所定の摩擦係数」は、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際に、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向(Z軸方向)に押圧しつつ所望の箇所12の周囲の上を転動することにより、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の平面方向(X軸方向及びY軸方向)且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張り所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばすことが可能な摩擦係数である
【0062】
付勢部材36は、ローラ35が所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧する付勢力をアーム部34に付与するものである。
【0063】
ここで、
図6及び
図7等を参照しつつ、皺伸ばし部31にて所望の箇所12の周囲を押圧する際の皺伸ばし部31の動作について、より詳細に説明する。
【0064】
図6(a)において、押さえ板29が移動手段5側へ移動すると、ローラ35は、多数の皺9を有する所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧する。すると、
図6(b)において、アーム部34がヒンジ部33を介して矢印Bが指示するように回動しつつ、アーム部34が付勢部材36にて矢印Cが指示するように付勢されることにより、ローラ35が回転しながら一定の圧力にて所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押し付ける。
【0065】
なお、ローラ35は、この外周面37に、先に説明した所定の摩擦係数が付与されていることから、所望の箇所12の周囲をローラ35にて押圧しつつ所望の箇所12の周囲の上を転動することにより、所望の箇所12の周囲が紙おむつ2の平面方向(X軸方向及びY軸方向)且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張られ、所望の箇所12が平面状になるように皺9が伸ばされる(
図6(b)参照)。
【0066】
これに対し、
図7に図示する比較例に係る表示部形成装置は、本実施形態における皺伸ばし部31に代えて皺伸ばし部401を備える構成であることから、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧し過ぎると、所望の箇所12が上側に凸となるような曲面402になってしまい(
図7(a)参照)、また、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押し付ける力が不足すると、皺9を除去することができず、所望の箇所12を平面状に形成できない(
図7(b)参照)。
【0067】
つぎに、表示部形成手段7について説明する。
図3に図示する表示部形成手段7は、撮像手段38と、所望の箇所12に表示部3を印刷可能な印刷手段39とを備えている。
【0068】
表示部形成手段7は、基台4の上面13に立設される一対の固定柱14を繋ぐ支持ガイド40に支持されている。支持ガイド40に支持される表示部形成手段7は、押さえ板29の開口部32を介して所望の箇所12を上方から臨むことが可能に配置されており、開口部32を介して所望の箇所12に表示部3を形成することが可能である。
【0069】
上記表示部形成手段7の配置は、表示部形成装置1を平面視したとき、表示部形成手段7が、開口部32の周縁部を取り囲むように配置された複数のローラ35の内側に配置されるように設けられていると言い替えることができる。
【0070】
なお、一対の固定柱14と支持ガイド40にて押さえ板29の上方に配置された表示部形成手段7は、アクチュエータ等にてZ軸方向における往復移動自在で、且つ開口部32を介して所望の箇所12に表示部3を形成可能に配置されていてもよいものとする。
【0071】
本実施形態における印刷手段39は、レーザー光を照射することにより所望の箇所12に表示部3を印刷可能なレーザー印刷手段であるものとする。なお、印刷手段39は、上記に限らず、その他、インクを吐出することにより印刷を施す形式のインクジェット印刷手段や、レーザー印刷手段とインクジェット印刷手段とを併用するものであってもよいものとする。
【0072】
つぎに、表示部形成装置1を用いた表示部3の形成方法について説明する。
まず、
図8に図示するステップS1において、表示部形成装置1が端末300(
図1参照)から表示部3として表示する所望の情報(本実施形態では紙おむつ2を着用する着用者の氏名)を受け付け、
図8に図示するステップS2へ進む。
【0073】
図8に図示するステップS2において、表示部形成装置1の移動手段5上に紙おむつ2を任意の搬入手段にて搬入し(
図9参照)、X軸方向移動機構15とY軸方向移動機構16の移動操作によって紙おむつ2の位置決めを行う。
【0074】
例えば、紙おむつ2が
図4に図示するような配置になった場合、
図8に図示するステップS3において、所望の箇所12に表示部3を印刷可能な適正な位置に位置決めが行われたか否か撮像手段38にて確認する。その結果、上記位置決めが適正だった場合(S3:YES)は
図8に図示するステップS4へ進む。一方、上記位置決めが不良だった場合(S3:NO)は
図8に図示するステップS5へ進み、紙おむつ2を不良搬出し、ステップS2に戻る。
【0075】
図8に図示するステップS4において、紙おむつ2の上端側と下端側それぞれを固定手段27にて固定し(
図10参照)、
図8に図示するステップS6へ進む。
【0076】
図8に図示するステップS6において、押さえ板29を移動手段5側へ移動させ、皺伸ばし部31のローラ35にて所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向(Z軸方向)に押圧しつつ紙おむつ2の平面方向(X軸方向及びY軸方向)且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばし(
図11参照)、
図8に図示するステップS7へ進む。
【0077】
図8に図示するステップS7において、表示部形成手段7にて、所望の箇所12に表示部3を形成(本実施形態では印刷)し(
図12参照)、
図8に図示するステップS8へ進む。
【0078】
図8に図示するステップS8において、所望の箇所12に表示部3が適正に形成されたか否か撮像手段38にて確認する。その結果、表示部3が適正に形成された場合(S8:YES)は
図8に図示するステップS9へ進む。一方、形成された表示部3が不良だった場合(S8:NO)は
図8に図示するステップS5へ進み、紙おむつ2を不良搬出し、ステップS2に戻る。
【0079】
図8に図示するステップS9において、押さえ板29を移動手段5から離間させ、皺伸ばし部31による所望の箇所12の周囲の紙おむつ2の厚さ方向への押圧を解除し、
図8に図示するステップS10へ進む。
【0080】
図8に図示するステップS10において、固定手段27による紙おむつ2の固定を解除し、
図8に図示するステップS11へ進む。
【0081】
図8に図示するステップS11において、移動手段5上から紙おむつ2を任意の搬入手段にて搬出し、
図8に図示するステップS12において、表示部3の形成作業が完了した旨を端末300に送信する。以上により、表示部形成装置1を用いた表示部3の形成が完了する。
【0082】
以上の構成を有する本実施形態によれば、皺伸ばし手段6にて、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ紙おむつ2のX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所12が表示部3を形成可能な平面状になるように皺9を伸ばすことが可能になることから、所望の箇所12に表示部3を正確且つ容易に形成することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、平面状になるように皺9を伸ばした所望の箇所12に、所望の情報を示す文字、図形、又は文字と図形とを組み合わせを印刷可能となる。
【0084】
また、本実施形態によれば、表示部形成手段7がレーザー印刷手段であることから、従来技術のようなインクを吐出することにより印刷を施す形式のものに比べ、簡易且つ迅速に表示部3を印刷可能となる。
【0085】
また、本実施形態によれば、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際に皺伸ばし部6にて、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ紙おむつ2のX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばすことにより、表示部形成手段7にて、押さえ板29の開口部32を介して所望の箇所12に表示部3を形成することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態によれば、移動手段5上に配置された紙おむつ2を固定手段27にて固定することが可能となることから、所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばすとともに、所望の箇所12に表示部3を形成することが、より確実に可能となる。
【0087】
また、本実施形態によれば、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際にローラ35にて、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ、所望の箇所12の周囲の上にローラ35を転動することにより、所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ紙おむつ2のX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張り所望の箇所12が平面状になるように皺を伸ばすことが可能となることから、所望の箇所12に表示部3を形成することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態によれば、複数のローラ35が開口部32の周縁部に設けられ所望の箇所を取り囲むように配置されることから、所望の箇所12を万遍無く平面状になるように皺9を伸ばすことが可能となる。
【0089】
また、本実施形態によれば、平面状になるように皺9が伸ばされた所望の箇所12に対し表示部3を形成することが可能となる。
【0090】
また、本実施形態によれば、ローラ35の外周面37に所定の摩擦係数が付与されることから、押さえ板29が移動手段5側へ移動した際にローラ35が所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押圧しつつ所望の箇所12の周囲の上を転動することにより所望の箇所12の周囲を紙おむつ2のX軸方向及びY軸方向、且つ紙おむつ2の外縁側へ引っ張り所望の箇所12が平面状になるように皺9を伸ばすことが可能となる。
【0091】
また、本実施形態によれば、アーム部34がヒンジ部33を介して回動しつつアーム部34が付勢部材36にて付勢されることにより、ローラ35が回転しながら一定の圧力にて所望の箇所12の周囲を紙おむつ2の厚さ方向に押し付けることが可能となる。
【0092】
つぎに、本実施形態により得られる効果について説明する。
本実施形態によれば、所定の厚みと柔軟性とを有し外面8に多数の皺9が形成された紙おむつ2の外面8における所望の箇所12に表示部3を正確且つ容易に形成することが可能となるという効果を奏する。
【0093】
〔第2の実施形態〕
本発明に係る表示部形成装置は、第1の実施形態の他、下記の第2の実施形態を採用してもよいものとする。
【0094】
本実施形態における表示部形成装置は、詳細な図示を省略するが、第1の実施形態における表示部形成装置の表示部形成手段7に代えて、撮像手段と、所望の箇所に表示部を貼付可能な貼付手段とを有する表示部形成手段を備える点以外は、構成及び構造において第1の実施形態における表示部形成装置1と基本的に同一である。
【0095】
本実施形態において「表示部」として、外面に所望の情報が表示され所望の箇所に貼付可能なシール材や、所望の箇所に貼付可能なシール材と、このシール材に設けられ所望の情報を有するICタグ等のRFIDタグとを備えるもの等を挙げることができる。
【0096】
以上の構成を有する本実施形態によれば、平面状になるように皺を伸ばした所望の箇所に、所望の情報を有する表示部を貼付可能となる。
【0097】
また、本実施形態によれば、所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことが可能であることから、シール材を備える表示部を貼付可能となる。
【0098】
つぎに、本実施形態により得られる効果について説明する。
本実施形態によれば、先に説明した第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0099】
なお、上記各実施形態に記載した構成に関しては、本発明の範囲内において適宜の変更が可能であり、上記各実施形態の構成には限定されない。
【0100】
上記各実施形態では、「表示部形成対象物」として「紙おむつ」を挙げて説明しているが、これに限らず、所定の厚みと柔軟性とを有し外面8に多数の皺9が形成されたものであれば、他の物品であってもよいものとする。
【符号の説明】
【0101】
1…表示部形成装置
2…表示部形成対象物(紙おむつ)
3…表示部
4…基台
5…移動手段
6…皺伸ばし手段
7…表示部形成手段
8…外面
9…皺
10…吸収剤部
11…収縮部
12…所望の箇所
13、22、26…上面
14…固定柱
15…X軸方向移動機構
16…Y軸方向移動機構
17…枠体
18…底壁上面
19…X軸方向移動ガイド
20…X軸方向移動ステージ
21…X軸方向移動アクチュエータ
23…Y軸方向移動ガイド
24…Y軸方向移動ステージ
25…Y軸方向移動アクチュエータ
27…固定手段
28…Z軸方向移動ガイドポスト
29…押さえ板
30…下面
31…皺伸ばし部
32…開口部
33…ヒンジ部
34…アーム部
35…ローラ
36…付勢部材
37…外周面
38…撮像手段
39…印刷手段
40…支持ガイド
41…Z軸方向移動アクチュエータ
100…表示部形成システム
200…ネットワーク
300…端末
【要約】
【課題】所望の箇所に表示部を正確且つ容易に形成することが可能な表示部形成装置、表示部形成システム、及び表示部形成方法を提供する。
【解決手段】表示部形成装置は、紙おむつの外面における所望の箇所に表示部を形成する表示部形成手段と、表示部形成手段にて所望の箇所に表示部を形成可能な平面状になるように皺を伸ばすことが可能な皺伸ばし手段とを備え、皺伸ばし手段は、所望の箇所の周囲を紙おむつの厚さ方向に押圧しつつ紙おむつの平面方向且つこの外縁側へ引っ張ることにより所望の箇所が平面状になるように皺を伸ばすことが可能に構成される。
【選択図】
図3