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  • 特許-電子混合水栓 図1
  • 特許-電子混合水栓 図2
  • 特許-電子混合水栓 図3
  • 特許-電子混合水栓 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】電子混合水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20231128BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20231128BHJP
【FI】
E03C1/044
F24D17/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019155234
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021032002
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北中 浩次
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-197731(JP,A)
【文献】特開2019-007183(JP,A)
【文献】特開2013-124519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水供給装置から供給される温水と上水道から供給される冷水とを混合して吐出口から吐出する電子混合水栓であって、吐出口の上流側に通電時は開弁して通電停止時には自動的に閉弁する電磁式開閉弁を吐出口の上流側に設けた電子混合水栓において、バックアップ電源によって停電時においても作動する制御部によって開閉弁制御されるラッチ式開閉弁を上記電磁式開閉弁をバイパスするように接続して、停電時においてこのラッチ式開閉弁を開弁させることによって上記吐出口から温水を継続して吐出させるようにし、かつ、外部からの電気信号によって流量を連続して可変することができ、電気信号の入力が停止した時点の流量を保持する水量サーボを、上記温水と冷水とが混合される混合点よりも上流に各々設けるとともに、これら各水量サーボの上流位置と上記電磁式開閉弁の下流とを各々バイパスするバイパス路を設け、両バイパス路の各々にラッチ式開閉弁と水量サーボとを直列に配設したことを特徴とする電子混合水栓。
【請求項2】
上記温水と冷水とが混合される混合点に混合槽を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子混合水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内のシャワーやカランなどの吐出口に温水を吐出させる電子混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
温水タンクや給湯装置などの温水供給装置から供給される温水と上水道から供給される冷水とを混合させて浴室内に上記吐出口から吐出させる混合水栓では、吐出口の開閉を手動で行うもののほか、近年では電磁式開閉弁を内蔵させて、吐出口の開閉を行う電子混合水栓が知られている。
【0003】
このような電子混合水栓では、上記電磁式開閉弁を開弁している状態で停電などが発生した場合、温水の吐出を停止しなければ停電が解消されるまで吐出口から温水または冷水が吐出され続けるという不都合が生じる。そのため上記電磁式開閉弁は通電状態では開弁状態を保持するが、通電が停止すると自動的に閉弁するタイプの、いわゆる常閉型の電磁式開閉弁が用いられる。
【0004】
なお、このような常閉型の電磁式開閉弁を用いると停電時には全く温水を吐出できなくなるという不具合が生じるので、停電時用にバッテリを用いて上記電磁式開閉弁を開弁させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-183986号公報(段落0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、上記電磁式開閉弁は電力を供給し続けなければ開弁状態を保持することができないので、上記停電時用にバッテリーを設けても、バッテリの電力消費量が大きくなり、短時間しか開弁状態を保持できないか、あるいは大型のバッテリを備えなければならないという不都合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、停電時において少ない電力で温水の吐出を継続することのできる電子混合水栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による電子混合水栓は、温水供給装置から供給される温水と上水道から供給される冷水とを混合して吐出口から吐出する電子混合水栓であって、吐出口の上流側に通電時は開弁して通電停止時には自動的に閉弁する電磁式開閉弁を吐出口の上流側に設けた電子混合水栓において、バックアップ電源によって停電時においても作動する制御部によって開閉弁制御されるラッチ式開閉弁を上記電磁式開閉弁をバイパスするように接続して、停電時においてこのラッチ式開閉弁を開弁させることによって上記吐出口から温水を継続して吐出させるようにし、かつ、外部からの電気信号によって流量を連続して可変することができ、電気信号の入力が停止した時点の流量を保持する水量サーボを、上記温水と冷水とが混合される混合点よりも上流に各々設けるとともに、これら各水量サーボの上流位置と上記電磁式開閉弁の下流とを各々バイパスするバイパス路を設け、両バイパス路の各々にラッチ式開閉弁と水量サーボとを直列に配設したことを特徴とする。
【0009】
停電時には上記電磁式開閉弁は閉弁して温水の吐出が停止する。そこで、この電磁式開閉弁をラチェット式開閉弁でバイパスすることによって少ない電力で吐出口の開閉を行うようにした。さらに、外部からの電気信号によって流量を連続して可変することができ、電気信号の入力が停止した時点の流量を保持する水量サーボを、上記温水と冷水とが混合される混合点よりも上流に各々設けるとともに、これら各水量サーボの上流位置と上記電磁式開閉弁の下流とを各々バイパスするバイパス路を設け、両バイパス路の各々にラッチ式開閉弁と水量サーボとを直列に配設した
【0011】
また、上記温水と冷水とが混合される混合点に混合槽を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、開閉時にのみ通電するだけでよいラッチ式開閉弁で上記電磁式開閉弁をバイパスするので、停電時に温水を継続して吐出させる際に電力消費量を従来のものより少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
図2】第2の変形例の構成を示す図
図3】第3の変形例の構成を示す図
図4】第4の変形例の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は冷水を供給する上水道であり、2は温水を供給する温水供給装置である。この温水供給装置2は例えばガス給湯装置であり、あるいは石油式給湯装置の給湯タンク、あるいはその他の温水を供給できるものであればよい。上水道1からの冷水は冷水管11を通って電子混合水栓3内の混合点31に到達する。一方、温水供給装置2からの温水は温水管21を通って、同じく電子混合水栓3内の混合点に到達する。
【0016】
この混合点31に到達した冷水と温水は混合されて適温の温水となり、電磁式開閉弁4に流れる。この電磁式開閉弁4は通電が停止されている状態では閉弁状態であり、従って混合された温水はこの電磁式開閉弁4で遮断されて吐出口32から吐出されない。
【0017】
一方、電子混合水栓3の外部に設けた制御部6はこの電磁式開閉弁4の開閉を行うことができ、図示しない操作パネルに設けた温水吐出スイッチが操作されると、制御部6は電磁式開閉弁4を開弁させて混合された温水を吐出口32から吐出させる。
【0018】
この制御部6は外部の商用電源61から電力の供給を受けて作動するものであり、上記温水吐出スイッチが再び操作されて温水の吐出を停止させる操作が行われるまでは電磁式開閉弁4に通電し続けて電磁式開閉弁4を開弁状態に保持する。なお、62はバックアップ電源であり、商用電源61から供給される電力の一部をこのバックアップ電源62に充電するように構成されている。
【0019】
上記の構成であるため、停電が発生すると電磁式開閉弁4を開閉することができない上に、電磁式開閉弁4は常閉であるため、停電により閉弁し、吐出口32からの温水の吐出が停電の発生と同時に停止する。
【0020】
そこで、個の電磁式開閉弁4をバイパスするバイパス路33を設け、そのバイパス路5にラッチ式開閉弁5を配設した。このラッチ式開閉弁5は電磁式開閉弁4と同じく制御部6によって開閉されるものであるが、商用電源61から電力が供給されている状態ではラッチ式開閉弁5は閉弁状態に保持されており、停電が発生すると制御部6はバックアップ電源62に充電されている電力を元にラッチ式開閉弁5を開弁させる。ラッチ式開閉弁5は開閉動作の時に電力を必要とするが、開弁あるいは閉弁状態を保持するためには電力を必要としない。従って、停電が発生した場合にラッチ式開閉弁5を開弁させるために電力を必要とするが、一旦開弁すると開弁状態を保持するために電力を必要としないので、バックアップ電源62の電力をあまり消費しない。
【0021】
停電が発生した場合に吐出口32からの温水の吐出が直ちに停止すると、浴室内で温水を使用していたものは、シャワーなどを終了するためのあと少しの温水の吐出を必要とする場合がある。そこで、上述のように、ラッチ式開閉弁5を開弁させることによって温水供給装置2内に残存している温水と上水道1の冷水とを混合して引き続いて吐出口32から吐出させることができる。なお、ラッチ式開閉弁5は停電の発生と同時に自動的に開弁してもよいが、図示しない操作パネルに対して温水の吐出操作を行うことによって開弁させてもよい。
【0022】
ところで、上記図1に示したものでは、混合点31で混合された温水を吐出口32にバイパスしたが、停電発生後に温水の吐出を継続すると、温水供給装置2から供給される温水の温度が低下する。そのような場合には途中から冷水の供給を停止することが望ましい。
【0023】
そこで、図2に示すように、混合点31よりも上流地点で温水と冷水とが混合される前の位置から電磁式開閉弁4の下流までをバイパスする2本のバイパス路33a,33bを設け、それら2本のバイパス路33a,33bの各々にラッチ式開閉弁5a,5bを配設し、温水供給装置2からの温水の温度が低下すると、一方のラッチ式開閉弁5bを閉弁させて、温水供給装置2からの温水のみをバイパス路33aを通して吐出口32から吐出させるようにしてもよい。
【0024】
なお、図1に示した構成に対して、図3に示すように、混合点31の位置に混合槽7を設けて上水道1からの冷水と温水供給装置2からの温水とが均一に混合されるようにしてもよい。
【0025】
また、図4に示すように、吐出口32から吐出される温水の温度調節を行うために、冷水管11および温水管21に各々水量サーボ8a,8bを設けている場合には、停電発生後も設定された湯温の温水が吐出口32から吐出されるように、バイパス路33a,33bに各々水量サーボ81a,81bを配設しておき、上記商用電源61から電力が供給されている状態で水量サーボ8a,8bの開度が調節される際に連動して水量サーボ81a,81bの開度も調節するように制御する。
【0026】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
3 電子混合水栓
4 電磁式開閉弁
5 バイパス路
5 ラッチ式開閉弁
5a,5b ラッチ式開閉弁
6 制御部
7 混合槽
8a,8b 水量サーボ
11 冷水管
21 温水管
31 混合点
32 吐出口
33 バイパス路
33a,33b バイパス路
61 商用電源
62 バックアップ電源
81a,81b 水量サーボ
図1
図2
図3
図4