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特許7391469紫外線硬化性シリコーン組成物およびそれを用いた物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】紫外線硬化性シリコーン組成物およびそれを用いた物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/08 20060101AFI20231128BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20231128BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231128BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
C08F299/08
C09J183/04
C09J11/04
C09J11/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019214400
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021084955
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000221111
【氏名又は名称】モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】小野 和久
(72)【発明者】
【氏名】飯田 勲
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・リー
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058946(JP,A)
【文献】特開2011-236442(JP,A)
【文献】特開2007-119695(JP,A)
【文献】特開2019-112509(JP,A)
【文献】特開2017-110137(JP,A)
【文献】特表2003-509527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290/00-290/14
C08F299/00-299/08
C09J 1/00-201/10
G03F 7/00- 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン、
(B)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカ、及び
(C)光反応開始剤、
を含む、紫外線硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
(A)が、下記式(1):
【化8】

〔式(1)中、
は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C12アリール基、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されたC1~C9アルキル基、又はC1~9アルコキシ基であり、
少なくとも1個のRは、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、
L1は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sとする値である〕
で示されるオルガノポリシロキサンである、請求項1記載の紫外線硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
(B)が、下記式(2):
【化9】

〔式中、
L3は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sの範囲とする数であり、
は、独立して、C1~C6アルキル基又はC6~C12アリール基であり、
は、独立して、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されているC1~C9アルキル基であるか、又はC1~9アルコキシ基であり、
は、独立して、C1~C6アルキル基又はC6~C12アリール基であり、
tは、1、2又は3である〕
で示されるポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカである、請求項1又は2記載の紫外線硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
成分(A)が湿気反応性基を有し、組成物が更に(D)硬化触媒を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の紫外線硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
更に、(E)架橋剤を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の紫外線硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項記載の紫外線硬化性シリコーン組成物からなる、画像表示装置用接着剤。
【請求項7】
請求項6記載の画像表示装置用接着剤を用いて、画像表示部と保護部とが封止された、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化性シリコーン組成物およびその組成物を用いた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶、プラズマ、有機EL等のフラットパネル型の画像表示装置が着目されている。また、一般的な電気部品をはじめとするあらゆる産業分野において生産性の向上およびストックヤードの削減等が懸案となっている。その状況は国内のみならず、海外生産拠点においての同様であり、その対策が急務である。
【0003】
そのような中で、現在までに生産性の観点から電子線、紫外線で硬化しうる組成物が提供されている。紫外線で硬化する組成物は短時間で表面から光が透過しうる中まで硬化が可能であり非常に有効である一方、表面が酸素による硬化阻害を受けやすく、表面が十分に硬化しないなどの問題がある。また、光が照射されない部分は硬化しない、不十分などの問題もある。そのため、種々の生産設備および環境等への配慮が必要である。
【0004】
一方で、このような用途で加熱硬化型組成物も用いられている。所定の温度条件下において硬化しうるため、加熱可能な部品等へは広く用いられている。また、加熱によりすべての範囲において硬化が可能である。ただし、加熱設備、冷却設備やそのための時間が必要とされ、紫外線硬化のような時間短縮には及ばない。
【0005】
さらには、空気中の湿気(水分)にて硬化しうる組成物も提供されている。空気中の湿気による硬化のため、内部までの硬化にかなりの時間を要する。また、他成分系を用いた場合には、その計量や混合などの製造における煩雑さが懸念される。
【0006】
そのような中で、紫外線硬化型組成物における懸念を改善すべく、いくつかの組成物が提案されている。特許文献1には、得られる硬化物に強度を付与するために、シリカ微粉末を用いた、紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が開示されている。更に、特許文献2には、フィラーの充填性を向上させるために、紫外線反応性基を有する化合物により表面が処理されたフィラーを用いた、紫外線硬化性組成物が開示されている。特許文献3には、シリコーン組成物を硬化させたときのモジュラス(ヤング率)が高くなり、使用中に剥離、歪が発生してしまうような、低モジュラスである組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-3194号公報
【文献】特開2005-89672号公報
【文献】特開2017-110137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1~3の紫外線硬化型組成物では、保存中に粘度が大幅に増加してしまい、長期保存安定性に問題があった。
【0009】
本発明は、長期保存安定性に優れる紫外線硬化性シリコーン組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカを用いることにより、前記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1](A)光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン、
(B)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカ、及び
(C)光反応開始剤
を含む、紫外線硬化性シリコーン組成物。
[2]成分(A)が、下記式(1):
【化1】

〔式(1)中、
は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C12アリール基、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されたC1~C9アルキル基、又はC1~9アルコキシ基であり、
少なくとも1個のRは、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、
L1は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sとする値である〕
で示されるオルガノポリシロキサンである、[1]の紫外線硬化性シリコーン樹脂組成物。
[3]成分(B)が、下記式(2):
【化2】

〔式中、
L3は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sの範囲とする数であり、
は、独立して、C1~C6アルキル基又はC6~C12アリール基であり、
は、独立して、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されているC1~C9アルキル基であるか、又はC1~9アルコキシ基であり、
は、独立して、C1~C6アルキル基又はC6~C12アリール基であり、
tは、1、2又は3である〕
で示されるポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカである、[1]又は[2]の紫外線硬化性シリコーン樹脂組成物。
[4]成分(A)が湿気反応性基を有し、組成物が更に(D)硬化触媒を含む、[1]~[3]のいずれかの紫外線硬化性シリコーン組成物。
[5]更に、(E)架橋剤を含む、[1]~[4]のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
[6][1]~[5]のいずれかの紫外線硬化性シリコーン組成物からなる、画像表示装置用接着剤。
[7][6]の画像表示装置用接着剤を用いて、画像表示部と保護部とが封止された、画像表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期保存安定性に優れる紫外線硬化性シリコーン組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[用語の定義]
本明細書において、基の具体例及び好ましい範囲は以下のとおりである。
1価の炭化水素基としては、C1~C9アルキル基、C3~C20シクロアルキル基、C6~C20アリール基、アラルキル基及びC2~C9アルケニル基が挙げられる。脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基としては、アルケニル基以外の前記1価の炭化水素基が挙げられる。ここで、C1~C9アルキル基は、炭素原子数1~9のアルキル基を意味する。他の基についても同様である。
C1~C9アルキル基は、直鎖又は分岐状の基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及びノニル基等が挙げられる。また、C1~C9アルキル基は、C1~C6アルキル基であることが好ましく、C1~C4アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
C3~C20シクロアルキル基は、単環又は多環の基であり、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
C6~C20アリール基は、単環又は多環の基を含む芳香族基であり、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、C6~C20アリール基は、C6~C12アリール基であることが好ましく、フェニル基又はナフチル基であることが特に好ましい。
アラルキル基は、C6~C20アリール基で置換されたC1~C9アルキル基であり、2-フェニルエチル基、2-フェニルプロピル基等が挙げられる。
C2~C9アルケニル基は、直鎖又は分岐状の基であり、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基及び5-ヘキセニル基等が挙げられる。C2~C9アルケニル基は、C2~C6アルケニル基であることが好ましく、ビニル基又はアリル基であることが特に好ましい。
アルキレン基は、炭素原子数1~18の直鎖又は分岐状の基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2-メチルエチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。また、C1~C9アルキレン基は、C1~C6アルキレン基であることが好ましく、C1~C5アルキレン基であることがより好ましく、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基であることが特に好ましい。
アルケニル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルキレン基は、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子;又はシアノ基等で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された基としては、クロロメチル基、クロロフェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。シアノ基で置換された基としては、2-シアノエチル基等が挙げられる。
C1~C9アルコキシ基は、直鎖又は分岐状の基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等が挙げられる。また、C1~C9アルコキシ基は、C1~C4アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
【0014】
本明細書において、「(A)光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン」を「成分(A)」ともいう。「(C)光反応開始剤」等についても同様である。
【0015】
[紫外線硬化性シリコーン組成物]
紫外線硬化性シリコーン組成物は、(A)光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン、(B)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカ、及び(C)光反応開始剤を含む。
【0016】
紫外線硬化性シリコーン組成物は、長期保存安定性に優れるため、例えば、3日~30日の保存期間における増粘(粘度の増加)が抑えられる。
【0017】
<(A)光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン>
成分(A)は、光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンである。紫外線硬化性シリコーン組成物が成分(A)を含むため、シリコーン組成物を紫外線硬化型組成物とすることができる。
【0018】
(分子構造)
成分(A)は、シロキサン構造(-Si-O-Si-)を主骨格に有するシリコーンである。成分(A)の分子構造は、直鎖状又は分岐鎖状であることができる。硬化物の物性を制御することがより容易であることから、成分(A)は直鎖状であることが好ましい。
【0019】
(光反応性基)
本明細書において、「光反応性基」とは、光、例えば紫外線によりシリコーンの硬化反応を進行させる官能基をいう。光反応性基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又はエポキシ基等が挙げられる。光反応性基は、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
【0020】
なお、光反応性基は、成分(A)のケイ素原子と直接結合していてもよく、光反応性基を有する基(但し、ケイ素原子を含まない)として成分(A)のケイ素原子と結合していてもよい。以下、光反応性基を有する基及び光反応性基を、まとめて「光反応性基等」という場合がある。
【0021】
光反応性基を有する基としては、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基が挙げられる。ここで、「1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されている」とは、置換基として存在する(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基の合計が1~3個であることを意味する。また、光反応性基を有する基が、2個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基である場合、前記アルキル基に基づく光反応性基の数は2個である。
【0022】
光反応性基を有する基は、以下の式(a)で示される基であることが好ましい。
【化3】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Qは、C1~C9アルキレン基である)
【0023】
は、合成上の容易さ、貯蔵安定性の点から、メチル基であることが好ましい。
【0024】
(光反応性基の個数)
成分(A)における光反応性基の数は、分子中に2個以上である。紫外線硬化性シリコーン組成物の硬化反応の効率、及び、得られる硬化物の硬度の点から、成分(A)における光反応性基の数は、分子中に2~100個であることが好ましく、分子中に2~50個であることがより好ましく、分子中に2~20個であることが特に好ましい。成分(A)は、同一分子内に、同じ又は異なる種類の光反応性基を有することができるが、同じ種類の光反応性基を有することが好ましい。
【0025】
(光反応性基の場所)
光反応性基等は、成分(A)のシロキサン構造の末端又は途中のケイ素原子に結合していてもよく、その両方に結合していてもよい。また、光反応性基等は、成分(A)中の同じケイ素原子に結合していてもよく、異なるケイ素原子に結合していてもよいが、異なるケイ素原子に光反応性基等が結合していることが好ましい。ここで、シロキサン構造の末端のケイ素原子とは、トリオルガノシロキサン単位のケイ素原子を意味する。また、シロキサン構造の途中のケイ素原子とは、ジオルガノシロキサン単位又はモノオルガノシロキサン単位のケイ素原子を意味する。
【0026】
(更なる基)
成分(A)が有する光反応性基以外の更なる基としては、湿気反応性基、並びに光反応性基及び湿気反応性基以外の1価の有機基が挙げられる。
【0027】
≪湿気反応性基≫
本明細書において、「湿気反応性基」とは、湿気、即ち水分によりシリコーンの硬化反応を進行させる官能基をいう。また、成分(A)が湿気反応性基を有する場合、組成物が湿気硬化性を有し、これにより硬化物の表面硬化性が高まる。
【0028】
湿気反応性基としては、アルコキシ基が挙げられる。湿気反応性基は、C1~9アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。成分(A)は、同一分子内に異なる種類の湿気反応性基を有していてもよいが、調製が容易になることから、同じ種類の湿気反応性基を有することが好ましい。
【0029】
なお、湿気反応性基は、成分(A)中のケイ素原子と直接結合していてもよく、湿気反応性基を有する基(但し、ケイ素原子を含まない)として成分(A)中のケイ素原子と結合していてもよい。ここで、湿気反応性基を有する基としては、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されたC1~C9アルキル基が挙げられる。
【0030】
≪光反応性基及び湿気反応性基以外の1価の有機基≫
光反応性基及び湿気反応性基以外の1価の有機基としては、アルケニル基以外の1価の炭化水素基が挙げられる。光反応性基及び湿気反応性基以外の1価の有機基としては、硬化反応を効率よく進行させる点、及び、合成の容易さの点から、アルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、光学的観点、高屈折率を達成する観点からは、シロキサン構造のケイ素原子が有する官能基の少なくとも一部に、アリール基、特にフェニル基を導入してもよい。
【0031】
成分(A)の粘度は、作業性の観点から、0.01~100Pa・sの範囲であることが好ましく、0.1~50Pa・sの範囲であることがより好ましく、0.3~30Pa・sの範囲であることが更に好ましく、0.5~20Pa・sの範囲であることが特に好ましい。また、2種以上の成分(A)を組み合わせて用いることにより、成分(A)全体としての粘度を調整してもよい。
【0032】
本明細書において、「粘度」は、回転粘度計(ビスメトロン VDA-L)(芝浦システム株式会社製)を使用して、No.2~4ローターを用いて、30rpm又は60rpmで、23℃で測定した値とする。
【0033】
(好ましい態様)
直鎖状の(A)は、(A1)式(1):
【化4】

〔式(1)中、
は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C20アリール基、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、1~3個のC1~C9アルコキシ基で置換されたC1~C9アルキル基、又はC1~9アルコキシ基であり、
少なくとも2個のRは、1~3個の(メタ)アクリロイル基及び/若しくは(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されているC1~C9アルキル基、(メタ)アクリロイル基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、
L1は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sとする値である〕
で示されるポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0034】
式(1)において、光反応性基等の合計の個数は、その合成の容易さ、反応性及び得られる特性の観点から、2~10個であることが好ましく、2~5個であることが特に好ましい。
【0035】
光反応性基等であるRは、式(1)中のいずれのケイ素原子に結合していてもよい。光反応性基等であるRは、末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。得られる硬化物の柔軟性の点から、両末端のケイ素原子に結合していることがより好ましく、両末端のケイ素原子にのみ結合していることが更に好ましく、両末端のケイ素原子にのみ、それぞれ1個ずつ、光反応性基等であるRが結合していることが特に好ましい。
【0036】
また、良好な硬化性が得られる点から、成分(A)は、(A1’)式(1’):
【化5】

〔式中、
は、独立して、水素原子又はメチル基であり、
は、独立して、C1~C9アルキレン基であり、
は、独立して、C1~C9アルキル基又はC1~C9アルコキシ基であり、
は、独立して、C1~C9アルキル基又はC6~C20アリール基であり、
L2は、23℃での粘度を0.01~100Pa・sとする値である)
で示されるポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
【0037】
は、合成上の容易さ、貯蔵安定性の点から、メチル基であることが好ましい。また、全てのRが、メチル基であることが特に好ましい。
全てQが、C1~C4アルキレン基であることが好ましく、全てQが、エチレン基又はトリメチレン基であることが特に好ましい。
【0038】
紫外線硬化性シリコーン組成物が湿気硬化性を有し、これにより硬化物の表面硬化性が高まる点から、少なくとも1個のRは、C1~C9アルコキシ基であることが好ましく、全てのRが、C1~C9アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0039】
は、合成の容易さ、経済的観点から、メチル基であることが好ましく、光学的観点、高屈折率を得る点から、フェニル基であることが好ましい。また、全てのRが、C1~C9アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0040】
分岐状の(A)としては、(A2)下記平均式:
【化6】

(式中、
は、独立して、水素原子又はメチル基であり、
は、独立して、C1~C9アルキレン基であり、
11は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C20アリール基又はC1~C9アルコキシ基であり、
12は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C20アリール基又はC1~C9アルコキシ基であり、
13は、独立して、C1~C9アルキル基、C6~C20アリール基又はC1~C9アルコキシ基であり、
pは、1~10であり、
qは、0~10であり、
rは、0~100であり、
sは、0~10であり、
p/(p+q+r+s)≧0.02である)
で示される、分岐状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0041】
は、合成上の容易さ、貯蔵安定性の点から、メチル基であることが好ましい。
【0042】
紫外線硬化性シリコーン組成物が湿気硬化性を有し、これにより硬化物の表面硬化性が高まる点から、少なくとも1個のR11、R12及びR13は、C1~C9アルコキシ基であることが好ましく、少なくとも2個のR11、R12及びR13は、C1~C9アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0043】
C1~C9アルコキシ基以外のR11は、合成の容易さ、経済的観点から、メチル基であることが好ましく、光学的観点、高屈折率を得る点から、フェニル基であることが好ましい。また、C1~C9アルコキシ基以外のR12及びR13は、好ましい範囲を含めR11において前記したとおりである。
【0044】
pは、1~8であることが好ましく、1~5であることが特に好ましい。
qは、0~8であることが好ましく、0~5であることが特に好ましい。
rは、1~80であることが好ましく、2~70であることが特に好ましい。
sは、0~8であることが好ましく、0~6であることが特に好ましい。
良好な硬化性を得る点から、p/(p+q+r+s)≧0.06であることが好ましく、p/(p+q+r+s)≧0.10であることが特に好ましい。
【0045】
(A2)としては、次のような平均式で示される分岐状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。ただし、平均式中に存在する場合、q、r、sは0ではないものとする。また、「Ph」は、フェニル基を表す。
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{(CH3)2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{(CH3)2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{(CH3)2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{(CH3)2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph3SiO3/2}q{(CH3)2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph3SiO3/2}q{(CH3)2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph3SiO3/2}q{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph3SiO3/2}q
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{Ph2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{Ph2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{(CH3)2SiO}r{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{CH3SiO3/2}q{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{(CH3)2SiO}r{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{PhSiO3/2}q{Ph2SiO}r{(CH3)3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{PhSiO3/2}q{Ph2SiO}r
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{PhSiO3/2}q{(CH3)2SiO}r{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{PhSiO3/2}q{Ph3SiO1/2}s
{CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)3SiO3/2}p{PhSiO3/2}q{Ph2SiO}r{Ph3SiO1/2}s
【0046】
成分(A2)の重量平均分子量は、500~100,000であることが好ましく、1,000~80,000であることがより好ましく、1,000~60,000であることが特に好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により、ポリスチレンを検量線とした値とする。
【0047】
成分(A)は、1種又は2種以上の組み合せであってもよい。組成物は、成分(A)が成分(A1)のみからなるのが好ましく、成分(A1’)のみからなるのが特に好ましい。また、硬化性が高まる点から、成分(A)は、直鎖状のポリオルガノシロキサン及び分岐状のポリオルガノシロキサンの組合せであってもよい。
【0048】
<(B)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカ>
成分(B)は、アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカである。組成物が成分(B)を含むことにより、組成物の長期保存安定性に優れる。成分(B)は、具体的には、(b1)未表面処理シリカを、(b2)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理した、表面処理シリカである。成分(b1)が、成分(b2)で表面処理されていると、成分(b1)の表面に存在するシラノール基の量が少なくなる。これにより、組成物の長期保存性が高まる。また、成分(B)により処理することにより、一般的にシラン、シラザン等で処理したものと比較し、チキソ性の低い組成物を得ることが可能である。
【0049】
((b1)未表面処理シリカ)
成分(b1)は、未表面処理シリカである。成分(b1)は、後述する成分(b2)によって、表面処理される。
【0050】
成分(b1)である未表面処理シリカは、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカ等の湿式法シリカ;及び、煙霧質シリカ等の乾式法シリカが挙げられる。含水分量が少ない観点から、又は貯蔵安定性及び表面処理の観点から、シリカは煙霧質シリカであることが好ましい。
【0051】
紫外線硬化性シリコーン組成物の深部硬化性に優れる点から、成分(b1)のBET比表面積は、50~500m/gであることが好ましく、80~400m/gであることがより好ましく、100~300m/gであることが特に好ましい。
【0052】
成分(b1)の市販品としては、アエロジル300(日本アエロジル株式会社製)、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)、アエロジル130(日本アエロジル株式会社製)、レオロシールQS-10(株式会社トクヤマ製)等が挙げられる。
成分(b1)は、1種又は2種以上の組み合せであってもよい。
【0053】
((b2)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン)
成分(b2)は、アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンである。成分(b2)は、成分(b1)の表面処理剤である。即ち、成分(b2)が有するアルコキシシリル基は、加水分解性基であり、成分(b1)の表面に存在するシラノール基と反応することにより、成分(b1)の表面が処理される。
【0054】
≪分子構造≫
成分(b2)の分子構造は、直鎖状又は分岐鎖状であることができる。硬化物の物性を制御することがより容易であることから、成分(b2)は直鎖状であることが好ましい。
【0055】
≪アルコキシシリル基≫
アルコキシシリル基は、加水分解性基であるアルコキシ基を1個以上有するトリオルガノシリル基である。このようなアルコキシシリル基としては、ケイ素原子に1個のC1~C9アルコキシ基と2個の1価の炭化水素基が結合したモノアルコキシジオルガノシリル基、ケイ素原子に2個のC1~C9アルコキシ基と1個の1価の炭化水素基が結合したジアルコキシモノオルガノシリル基、又はケイ素原子に3個のC1~C9アルコキシ基が結合したトリアルコキシシリル基が挙げられる。
【0056】
アルコキシシリル基は、ケイ素原子に1個のC1~C9アルコキシ基と2個のC1~C9アルキル基が結合したモノアルコキシジアルキルシリル基、ケイ素原子に2個のC1~C9アルコキシ基と1個の1価のC1~C9アルキル基が結合したジアルコキシモノアルキルシリル基、又はケイ素原子に3個のC1~C9アルコキシ基が結合したトリアルコキシシリル基であることが好ましく、ジアルコキシモノアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基であることが特に好ましい。
【0057】
ジアルコキシモノアルキルシリル基は、ジメトキシメチルシリル基又はジエトキシエチルシリル基であることが好ましい。また、トリアルコキシシリル基は、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基であることが好ましい。
【0058】
成分(b2)において、アルコキシシリル基のケイ素原子は、ポリオルガノシロキサンのシロキサン鎖に直接結合していてもよく、エステル結合等の連結基を介してポリオルガノシロキサンのシロキサン鎖に結合していてもよい。また、アルコキシシリル基のケイ素原子が、ポリオルガノシロキサンのシロキサン鎖に直接結合する場合は、当該シロキサン鎖の酸素原子を介してポリオルガノシロキサン鎖に結合する。
【0059】
≪アルコキシシリル基の個数≫
成分(b2)におけるアルコキシシリル基の数は、分子中に2個以上である。紫外線硬化性シリコーン組成物の硬化反応の効率、及び、得られる硬化物の硬度の点から、成分(b2)におけるアルコキシシリル基の数は、分子中に2~100個であることが好ましく、分子中に2~50個であることがより好ましく、2~5個であることが特に好ましい。成分(b2)は、同一分子内に、同じ又は異なる種類のアルコキシシリル基を有することができるが、同じ種類のアルコキシシリル基を有することが好ましい。また、成分(b2)におけるアルコキシシリル基の場所は任意である。
【0060】
≪更なる基≫
成分(b2)において、ポリオルガノシロキサンのシロキサン鎖に結合するアルコキシシリル基以外の更なる基としては、1価の有機基が挙げられ、1価の炭化水素基であることが好ましく、C1~C9アルキル基であることが特に好ましい。また、成分(b2)は、光反応性基を有している又は有していないことができるが、成分(b2)は、光反応性基を有していないことが好ましい。
【0061】
≪粘度≫
成分(b2)の粘度は、その処理効果、貯蔵安定性及び流動性の観点から、0.01~10Pa・sの範囲であることが好ましく、0.05~5Pa・sの範囲であることがより好ましく、0.1~1Pa・sの範囲であることが特に好ましい。
【0062】
よって、成分(b2)は、下記式(2)で示される直鎖状のポリオルガノシロキサンであることが特に好ましい。
【0063】
【化7】

〔式中、
L3は、23℃での粘度を0.01~10Pa・sの範囲とする数であり、
は、独立して、C1~C9アルキル基又はC6~C20アリール基であり、
は、独立して、C1~9アルコキシ基であり、
は、独立して、C1~C9アルキル基であり、
tは、1、2又は3である〕
【0064】
tは、2又は3であることが好ましく、3であることが特に好ましい。また、tが2以上である場合、全てのRが、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。よって、成分(b2)は、両末端がトリアルコキシシリル基で封止されたポリジメチルシロキサンであることが特に好ましい。
【0065】
≪表面処理≫
表面処理は、シリカの表面処理のための公知の方法によって行うことができる。このような方法として、(b1)未表面処理のシリカを、乾式で(例えば、成分(A)の非存在下で)又は湿式で(例えば、成分(A)の存在下で)、成分(b2)で表面処理する方法が挙げられる。具体的には、成分(b1)と、成分(b2)とを密閉容器内に入れ、室温(例えば、23℃)~400℃の温度で化学反応又は物理吸着させた後、分解生成物等を揮発させる方法が挙げられる。また、成分(A)と、成分(b1)と、成分(b2)とをニーダー、バンバリーミキサー、二本ロール、ゲートミキサー、プラネタリーミキサー等で混合、混練し、次いで必要により常圧あるいは減圧下で、50℃~200℃で1時間~20時間ほど上記混練機、乾燥機等を用いて加熱処理を行う方法が挙げられる。表面処理工程中においては、処理度合が進むにつれ、流動性および透明性が向上するなどの傾向を示し、可塑化戻りが低くなる。なお、シリカ表面のシラノール基の処理量は、通常の表面処理工程によって達成される量であれば、特に限定されない。
【0066】
≪好ましい態様≫
成分(B)は、前記式(2)で示される直鎖状のポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカであることが好ましく、BET表面積が50~500m/gである未表面処理の煙霧質シリカを、両末端がトリアルコキシシリル基で封止されたポリジメチルシロキサンで表面処理されたシリカであることが特に好ましい。
成分(B)は、1種類又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0067】
<(C)光反応開始剤>
成分(C)は、光反応開始剤である。光反応開始剤は、光を受けて励起し、光反応性基を有するシロキサンに励起エネルギーを与えて紫外線照射による硬化反応を開始させるものである。
【0068】
光反応開始剤としては、芳香族炭化水素、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体、ジスフィルド化合物、キノン化合物、ハロゲン化炭化水素、アミン類、及び有機過酸化物等が挙げられる。
【0069】
シリコーンとの相溶性、安定性の観点から、置換又は非置換のベンゾイル基を含有する化合物又は有機過酸化物がより好ましい。光反応開始剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0070】
光反応開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE 2959:BASF社製)、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(IRGACURE 127:BASF社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(IRGACURE 369:BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE 379:BASF社製);2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819:BASF社製);1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01:BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02:BASF社製);オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754:BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(DAROCUR MBF:BASF社製)、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EDB:BASF社製)、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EHA:BASF社製)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシド(CGI 403:BASF社製)、ベンゾイルペルオキシド、クメンペルオキシド等が挙げられる。
【0071】
相溶性、光反応性の点から、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(IRGACURE 369:BASF社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819:BASF社製)が好ましい。
成分(C)は、1種類又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0072】
<その他の成分>
紫外線硬化性シリコーン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更なる成分を含むことができる。このような成分として、(D)硬化触媒、(E)架橋剤、(F)反応希釈剤、光反応性基を有さず湿気反応性基を有するシリコーン、重合禁止剤、酸化防止剤、耐光性安定剤である紫外線吸収剤、光安定化剤等が挙げられる。更なる成分は、いずれも、成分(A)、成分(B)及び成分(C)に該当する成分ではない。
【0073】
更なる成分は、それぞれ、1種類又は2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、
更なる成分は、1種以上の(D)硬化触媒と、1種以上の(E)架橋剤と、1種以上の(F)反応希釈剤との組み合わせであってもよい。
【0074】
((D)硬化触媒)
成分(D)は、硬化触媒である。成分(D)は、湿気による硬化反応を進行させるための縮合触媒として作用する成分であり、湿気反応性基の縮合反応のための硬化触媒となる成分であることが好ましい。また、紫外線硬化性シリコーン組成物において、成分(A)が湿気反応性基を有し、紫外線硬化性シリコーン組成物は、更に、成分(D)を含むことが好ましい。成分(D)としては、ルイス酸、アミン触媒、有機金属化合物(例えば、錫、ジルコニウム、チタン、亜鉛、カルシウムを含有する有機金属化合物)が挙げられる。
【0075】
有機金属化合物としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジメチル錫ジオレエート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナートの等の有機錫化合物;トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム化合物;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラオクチルチタネート等の有機チタン化合物が挙げられる。市販されている硬化触媒の例としては、Fomrezr(登録商標)UL-28、Neostann(登録商標)U-220H等が挙げられる。
【0076】
成分(D)は、有機金属化合物であることが好ましく、有機錫化合物、有機ジルコニウム化合物及び有機チタン化合物からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。また、表面硬化性が優れる点から、成分(D)は、有機錫化合物であることが特に好ましい。
成分(D)は、1種類又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0077】
((E)架橋剤)
架橋剤は、反応性官能基を2個以上有するシラン化合物である。成分(E)は、接着付与剤として機能する成分である。組成物が、成分(E)を含むことにより、基材との接着性がより向上する。ただし、成分(E)は、成分(A)ではない。
【0078】
本明細書において、「反応性官能基」とは、光反応性官能基及び湿気反応性官能基を含む官能基群を意味する。成分(E)が有する反応性官能基としては、C2~C6アルケニル基、エポキシ基、C1~C9アルコキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。成分(E)が有する反応性官能基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0079】
このような成分(E)としては、以下の成分(E1)~成分(E4)からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0080】
(E1)(R4-vSi(ORで示されるアルコキシシラン化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物
(E2)Si(OR基と、エポキシ基含有基及び脂肪族不飽和炭化水素基の少なくとも一方の基とを有するシラン化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物、
(E3)Si(OR基を有するイソシアヌレート化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物、並びに
(E4)成分(E1)~成分(E3)以外のシラン化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物、
(上記各式中、Rは、C1~C9アルキル基、又はC1~C9アルコキシ基で置換されたC1~C9アルキル基(例えば、2-メトキシエチル基)を表し;Rは、C1~C9アルキル基を表し;uは、1~3の整数であり;vは、1~4の整数であり、2~4の整数であることが好ましい)
【0081】
(E1)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジ、トリ、テトラアルコキシシラン類、及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0082】
(E2)としては、Si(OR基とエポキシ基含有基とを有するシラン化合物及びSi(OR基と脂肪族不飽和炭化水素基とを有するシラン化合物、Si(OR基とエポキシ基含有基と脂肪族不飽和炭化水素基とを有するシラン化合物が挙げられる。
【0083】
Si(OR基とエポキシ基含有基とを有するシラン化合物としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシランのような3-グリシドキシプロピル基含有アルコキシシラン類;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランのような2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基含有アルコキシシラン類等、及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0084】
Si(OR基と脂肪族不飽和炭化水素基とを有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルアリルジメトキシシランのようなアルケニルアルコキシシラン類;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシプロピルアルコキシシラン類;1,1,3,5,7-ペンタメチルシクロテトラシロキサンと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物などの有機ケイ素化合物等、及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。
なお、成分(E2)は、(E3)ではないことが好ましい。即ち、成分(E2)は、イソシアヌレート化合物ではないことが好ましい。
【0085】
(E3)としては、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートのようなトリス(トリアルコキシリルアルキル)イソシアヌレート類;トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレートのようなアルケニル基及びアルコキシシリル基を有するイソシアヌレート類、及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0086】
(E4)としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。この他に、(E)成分として、シランカップリング剤として公知の成分を用いることができる。
【0087】
成分(E)は、1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0088】
((F)反応希釈剤)
成分(F)は、反応希釈剤である。紫外線硬化性シリコーン組成物が成分(F)を含むことにより、組成物の粘性の調整が可能であり、表面の紫外線硬化性がより向上する。成分(F)としては、(メタ)アクリロイル基を分子中に1個以上有する(メタ)アクリレート化合物、光反応性基を分子中に1個有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。ここで、光反応性基を分子中に1個有するポリオルガノシロキサンとしては、光反応性基を分子中に1個有すること以外は、成分(A)において前記したとおりである。なお、(メタ)アクリレート化合物は、分子中にケイ素原子を含まないものが好ましい。
【0089】
(メタ)アクリレート化合物としては、脂肪族(メタ)アクリレート化合物、脂環式(メタ)アクリレート化合物、芳香族(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
【0090】
脂肪族(メタ)アクリレート化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレート化合物としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。(メタ)アクリレート樹脂の市販品としては、紫光UV-1700B、紫光UV-6300B、紫光UV-7640B(JSR(株)製)、Ebecryl 1290(ダイセル・サイテック社製)、UA-306H(共栄社化学製)等が挙げられる。
【0091】
成分(F)は、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。
成分(F)は、1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0092】
(その他の更なる成分)
成分(A)が湿気反応性基を有さない場合、紫外線硬化性シリコーン組成物は、光反応性基を有さず湿気反応性基を有するシリコーンを含むことが好ましい。紫外線硬化性シリコーン組成物が、光反応性基を有さず湿気反応性基を有するシリコーンを含む場合、紫外線硬化性シリコーンを、光及び湿気硬化型の組成物とすることができる。光反応性基を有さず湿気反応性基を有するシリコーンとしては、光反応性基を有さないこと以外は、成分(A)について前記したとおりである。
【0093】
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0094】
酸化防止剤は、組成物の硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N′-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N′-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記酸化防止剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0095】
光安定剤は、硬化物の光酸化劣化を防止するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。耐光性安定剤である紫外線吸収剤は、光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖及び側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記紫外線吸収剤は単独でも、2種以上を併用してもよい。光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましい。中でも、第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いることが、組成物の保存安定性改良のために好ましい。第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としては、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASF社製);MARK LA-57,LA-62,LA-67,LA-63(以上いずれも旭電化工業株式会社製);サノールLS-765,LS-292,LS-2626,LS-1114,LS-744(以上いずれも三共株式会社製)等の光安定剤が挙げられる。
【0096】
(成分の含有量)
成分(A)の含有量は、成分(A)~成分(C)の合計を100質量部としたときに、30~98質量部であることが好ましく、40~80質量部であることが特に好ましい。
成分(B)の含有量は、引っ張り強さ等の機械的特性により優れる点から、成分(A)~成分(C)の合計を100質量部としたときに、1~30質量部であることが好ましく、3~20質量部であることがより好ましく、3~15重量部であることが特に好ましい。
成分(b1)及び成分(b2)の量は、所望の表面処理の程度に応じて適宜設定できるが、成分(b1)の100質量部に対して、100~500質量部であることが好ましく、200~400質量部であることが特に好ましい。
成分(C)の含有量は、光反応開始剤による硬化物の着色の観点から、成分(A)~(C)の合計を100質量部としたときに、0.01~5質量部であることが好ましく、0.02~2質量部であることが特に好ましい。
成分(D)の含有量は、成分(A)~(C)の合計を100質量部としたときに、0.01~2質量部であることが好ましく、0.03~1質量部であることが特に好ましい。
成分(E)の含有量は、成分(A)~(C)の合計を100質量部としたときに、0.01~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることが特に好ましい。成分(E)の含有量が、成分(A)~(C)の合計を100質量部としたときに、0.01重量部以上であると、貯蔵安定性がより高まることにより、組成物の保存安定性がより高まり、10重量部を超えると、保存中にその一部が系より分離せず、硬化の際に著しい収縮を生じさせず、得られたゴム状弾性体の物性の低下が抑えられる。また、成分(E)がアルコキシ基のような架橋性がより高い反応性基を有する場合には、成分(E)の配合量を少なくできる。
成分(F)の含有量は、成分(A)~(C)の合計を100質量部としたときに、0~30質量部であることが好ましく、0~20質量部であることが特に好ましい。成分(F)の含有量が前記範囲であると、組成物の硬化収縮が大きくなりすぎず、また、耐熱性が向上する。
成分(D)~成分(F)以外のその他の成分の含有量の合計は、組成物の20質量%以下であることが好ましく、0.01~10質量%であることが特に好ましい。
また、紫外線硬化性シリコーン組成物中の成分(A)の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%~98質量%であることが特に好ましい。
【0097】
(特性)
紫外線硬化性シリコーン組成物は、塗工される際の作業性の観点から、23℃における粘度が、0.01~1,000Pa・sであることが好ましく、0.05~700Pa・sであることがより好ましく、0.10~500Pa・sであることが特に好ましい。
【0098】
[紫外線硬化性シリコーン組成物の製造方法]
紫外線硬化性シリコーン組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)並びに必要に応じて添加剤を配合することにより、得ることができる。具体的には、例えば、クリーンルームのような空気中の異物管理をされた室内にて、減圧脱泡装置を装備した5Lの万能混合攪拌機に成分(A)、成分(B)及び(C)成分を入れ、室温で、30分間で均一に混合し、その後、イエロールームのような紫外線を除去した室内にて、必要に応じて重合禁止剤等の添加剤を加え、氷水冷却下(10℃以下)、30分間、冷却減圧にて均一に混合し、脱泡した後、200メシュの細かさの金網フィルター等を用いて濾過することにより調製することができる。ここで、室温は、10~30℃であることが好ましく、23℃であることが特に好ましい。
【0099】
[紫外線硬化性シリコーン組成物の硬化方法]
紫外線硬化性シリコーン組成物は、光反応性基を有する成分(A)を含むため、光(紫外線)硬化性の組成物である。紫外線硬化性シリコーン組成物は、紫外線を照射することによって、硬化させることができる。光反応性基を有する成分(A)の反応可能な範囲の波長領域のランプとしては、例えば、ウシオ電機株式会社製の高圧水銀ランプ(UV-7000)、メタルハライドランプ(MHL-250、MHL-450、MHL-150、MHL-70)、韓国:JM tech社製のメタルハライドランプ(JM-MTL 2KW)、三菱電機株式会社製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池株式会社製の紫外線照射機(UD-20-2)、株式会社東芝の製蛍光ランプ(FL-20BLB))、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。紫外線の照射量は、100~12,000mJ/cmであることが好ましく、300~8,000mJ/cmであることがより好ましく、500~6,000mJ/cmであることが特に好ましい。
【0100】
成分(A)が湿気反応性基を有する場合、紫外線硬化性シリコーン組成物を、光及び湿気硬化型の組成物とすることができる。また、成分(A)が湿気反応性基を有し、紫外線硬化性シリコーン組成物は、更に、成分(D)を含むことが好ましい。紫外線硬化性シリコーン組成物が光及び湿気硬化型の組成物である場合は、組成物を周囲の湿気を含む空気に接触させることにより、硬化させることができる。湿気による硬化反応によって、光を照射することができない陰影部も硬化させることができ、十分な接着力を確保することができる。湿気による硬化における温度は、特に限定されないが、室温(23℃)で行われることが好ましい。また、温度に応じて反応時間を適宜設定することができる。湿気反応性基により、必要以上の熱をかけることなく硬化反応を進行させることができ、基材の変形等を防止することができる。紫外線硬化性シリコーン組成物は、防湿性容器に保存されることがさらに好ましい。
【0101】
紫外線硬化性シリコーン組成物は、更に、上記の硬化工程に加えて、必要に応じて50~80℃の温度で加熱を行って硬化をより促進させ、接着力をより高めることもできる。加熱時間は、適宜設定することができるが、0.1~3時間とすることが好ましい。
【0102】
紫外線硬化性シリコーン組成物の塗布厚みは、特に限定されないが、10~10,000μmであることが好ましく、仮固定時間の速さの点から、10~5,000μmであることがより好ましい。
【0103】
[用途]
紫外線硬化性シリコーン組成物は、画像表示装置用接着剤として用いることができる。紫外線硬化性シリコーン組成物は、画像表示装置において好適に使用することができ、特に、フラットパネル型の画像表示装置の保護部と画像表示部との間に介在させる樹脂として好ましい。具体的には、光学用プラスチック等で形成される透明な保護部を構成する保護パネル上に、紫外線硬化性シリコーン組成物を塗布した後、画像表示部を構成する画像表示パネルを貼り合わせ、紫外線照射することができる。保護パネルには、外周縁部に、本発明の組成物の流出を妨げるための段差を設けておいてもよい。これにより、画像表示装置用接着剤を用いて、画像表示部と保護部とが封止された、画像表示装置が得られる。
【0104】
紫外線硬化性シリコーン組成物は、液状で塗工性に優れ、視認性を低下させず、高輝度及び高コントラストな表示を可能とし、さらに高い耐久性を備えた硬化性樹脂を提供することができる。紫外線硬化性シリコーン組成物は、大画面画像表示装置の製造に好適であるか、又は、超薄型の画像表示装置の製造に好適である。ここで、大型画像表示装置における画像表示パネルは、5~100インチであることが好ましく、7~80インチであることがより好ましく、10~60インチであることが特に好ましい。また、超薄型の画像表示装置の厚みは、10~500μmであることが好ましく、20~450μmであることがより好ましく、50~400μmであることが特に好ましい。
【実施例
【0105】
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。部、%は、他に断りのない限り、質量部、質量%を表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。各組成物への光照射は、ウシオ電機株式会社製:UVL-4001Mを用い、120w/cmの紫外線エネルギー照射量にて、下記の光照射条件(積算光量)で行った。
【0106】
〔物性の評価条件〕
(1)粘度
回転粘度計(ビスメトロン VDA-L)(芝浦システム株式会社製)を使用して、No.2~4ローターを用いて、60rpmで、23℃で測定した。
(2)深部硬化性
組成物を側面と底を光から遮断したポリスチレンカップに充填し、光照射条件:3,000mJ/cmで光照射後の硬化厚みを測定した。
(3)引張り強さ
組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、照射条件 3,000mJ/cmで照射後、光を遮断した状態で23℃50%RHにて7日間放置し、空気中の湿気により硬化させて、JIS K 6301に準拠して測定した。
【0107】
(4)伸び
組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、照射条件 3,000mJ/cmで照射後、光を遮断した状態で23℃50%RHにて7日間放置し、空気中の湿気により硬化させて、JIS K 6301に準拠して測定した。
(5)硬さ
組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、照射条件 3,000mJ/cmで照射後、光を遮断した状態で23℃50%RHにて7日間放置し、空気中の湿気により硬化させて、JIS K 6301に準拠して測定した。
【0108】
(6)表面状態
紫外線を照射した後の組成物の表面を観察し、以下の基準で、表面状態を評価した。なお、◎~〇は、◎と〇の間である。
◎:良い(タック性が無く、良好な硬化状態)
〇:少しタック性がある(若干タック性が感じられる。)
△:タック性がある(タック性が有り、指触後に表面状態を維持しかねる。)
×:液状物があり、未硬化が確認される。
(7)接着強度
接着条件 FR4:エポキシガラスのテストピース(2×25×80mm)、スライドガラスのテストピース(1×26×76mm)、接着面(10×20mm)、膜厚1mmで組成物を塗布し、スライドガラス側から光を照射、光照射条件 3,000mJ/cmで照射後、23℃50%RHで7日放置後に測定した。
【0109】
(8)凝集破壊
上記接着強度測定時の材料の破断状態を目視で観察し、その凝集破壊(材料破断)の面積比率を表した。
(9)UV硬化後のタックフリータイム
組成物を光照射条件:3,000mJ/cmで光照射後、23℃、50%RHの雰囲気中に放置し、指で表面に接触して乾燥状態にあることを確認するに至る時間を測定した。
(10)湿気硬化のみのタックフリータイム
紫外線遮断下、組成物を23℃、50%RHの雰囲気中に押し出して、指で表面に接触して乾燥状態にあることを確認するに至る時間を測定した。
【0110】
〔使用した成分〕
実施例及び比較例で用いた成分は、以下である。
(1)成分(A):光反応性基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン
(A1)α,ω-(3-アクリロキシプロピル)ジメトキシシリルポリジメチルシロキサン(1) 粘度0.980Pa・s
(A2)α,ω-(3-アクリロキシプロピル)ジメトキシシリルポリジメチルシロキサン(2) 粘度6.800Pa・s
(2)成分(B):アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカ
(b1)未表面処理シリカ
b1-1:比表面積300m/gの煙霧質シリカ(アエロジル300、日本アエロジル株式会社製)
b1-2:比表面積200m/gの煙霧質シリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)
b1-2:比表面積140m/gの煙霧質シリカ(レオロシールQS-10、株式会社トクヤマ製)
(b2)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン
b2-1:α,ω-トリメトキシシリルポリジメチルシロキサン 粘度0.660Pa・s
(3)成分(C):光反応開始剤
C-1:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651:BASF社製)
C-2:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、
C-3:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819:BASF社製)
(4)その他の成分
(4-1)成分(B’):ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ
B’-1:比表面積300m/gの煙霧質シリカ(未表面処理)を、ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカ(レオロシールHM-30S、比表面積200m/g、炭素量3.5重量%、株式会社トクヤマ製)
B’-2:BET比表面積200m/gの煙霧質シリカ(未表面処理)を、ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカ(シリカ1、炭素量3.8重量%)
B’-3:BET比表面積130m/gの煙霧質シリカ(未表面処理)を、ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカ(シリカ2、炭素量2.0重量%)
(4-2)成分(D):硬化触媒
d-1:ジブチル錫ビス(アセチルアセテート)
d-2:ジブチル錫ビス(トリエトキシシロキシ)
d-3:ジブチル錫ジラウレート
d-4:ジルコニウム化合物:(n-CO)Zr(C) トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル株式会社製、ZC-540)、有効成分45重量%、金属含有量10.2重量%
(4-3)成分(E):架橋剤
e-1:メチルトリメトキシシラン
e-2:1,3,5-トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
e-3:3-グリシドキプロピルトリメトキシシラン
(4-4):成分(F):反応希釈剤
f-1:イソボルニルアクリレート
【0111】
〔組成物の製造条件〕
(実施例1)
(1)シリカの表面処理
5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)に、(b1)未表面処理シリカ及び(b2)アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンを入れ、室温(20~30℃)℃にて30分間で均一に混合し、その後、100℃にて2時間、減圧下で加熱混合をすることにより、成分(B)を含む混合物(即ち、アルコキシシリル基を分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンで表面処理されたシリカを含む混合物)成分を得た。
(2)組成物の調製
5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)に、前記(1)で得られた成分(B)と、成分(B)以外の成分とを投入して、室温(23℃)にて30分間で均一に混合した。得られた混合物を200メシュ金網フィルターにて濾過して異物等を除去して、紫外線硬化性シリコーン組成物を得た。
【0112】
(実施例2~9)
実施例1と同様にして、実施例2~9の組成物を製造した。
【0113】
(比較例1)
5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)に、成分(A)と成分(B)を、室温(20~30℃)にて30分間で均一に混合し、その後、100℃にて2時間、減圧下で加熱混合した後、表に示す残りの成分を入れ、得られた混合物を200メシュ金網フィルターにて濾過して異物等を除去して、紫外線硬化性シリコーン組成物を得た。
【0114】
(比較例2~10)
比較例1と同様にして、比較例2~10の組成物を製造した。
【0115】
得られた組成物について、先に説明した特性を測定した。各実施例及び比較例の配合と、各特性の測定結果を表1~表3に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
表1より、実施例1の組成物は、対応する比較例1の組成物に対して、粘度変化率が小さいことが示された。
実施例1と実施例2~9との比較により、組成物が更に(D)硬化触媒を含む場合、室温硬化後のタックフリータイムがより短くなり、かつ、表面状態が良くなった。
実施例2~4と実施例5との比較により、(D)硬化触媒が錫系触媒である場合、表面硬化性により優れており、かつ、タックフリーが短くなった。
実施例2、6及び7の比較により、(B)表面処理シリカの量が増加する場合、引っ張り強さ、硬さ、接着強度等がより優れていた。
実施例2、8及び9の比較により、(B)表面処理シリカの原料となる(b1)未表面処理シリカの表面積が増加する場合、深部硬化性により優れていた。
比較例1~7は、成分(b2)により表面処理されたシリカを含まないため、初期(直後)の粘度も高く、粘度の増加が著しく、長期保存安定性に劣っていた。
比較例8~10は、(B’)を含む組成物より粘度が低いものの、(b1)未表面処理シリカを含むため、粘度の増加が著しく、長期保存安定性に劣っていた。