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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】摩擦具及び熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/02 20060101AFI20231128BHJP
   B43K 23/08 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B43K29/02 F
B43K23/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019235530
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2020104516
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2018245212
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由明
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-051565(JP,A)
【文献】特開2011-093165(JP,A)
【文献】特開2016-203590(JP,A)
【文献】特開2013-139135(JP,A)
【文献】特開2014-177053(JP,A)
【文献】特許第5932292(JP,B2)
【文献】特開2013-028176(JP,A)
【文献】特開2015-051566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 29/02
B43K 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部を本体の端部に備えた摩擦具であって、前記本体の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部が形成され、前記凸部が前記摩擦部となり、前記凸部が前記本体の端部周縁部に周状に等間隔に複数かつ奇数個配置され、前記凸部を除く前記本体の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部が形成され、摩擦時に前記凹部を通して前記凸部が視認可能に構成されることを特徴とする摩擦具。
【請求項2】
前記凸部の頂部は、軸方向外方に向かって次第に細くなる先細形状である請求項1に記載の摩擦具
【請求項3】
熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部を本体の端部に備えた摩擦具であって、前記本体の端部周縁部の外面に非環状の摩擦部を備え、前記摩擦部が前記本体の端部周縁部に周状に等間隔に複数かつ奇数個配置され、前記各々の摩擦部の相互間に、前記摩擦部の径方向内面が透視可能な透視部が設けられることを特徴とする摩擦具
【請求項4】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記請求項1乃至3の何れかに記載の摩擦具であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項5】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップとを備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記請求項1乃至3の何れかに記載の摩擦具であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。詳細には、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部を備えた摩擦具及び熱変色性筆記具
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部として、環状に形成されたものが知られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-107237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の環状の摩擦部は、摩擦時、摩擦部と紙面との接触部分が環状の摩擦部の反対側の端面に隠され、摩擦部と紙面との接触部分を外部より視認することができないおそれがあり、その場合、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることが困難となる。
【0005】
本願発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦時、摩擦部と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる摩擦具及び熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
本発明で、「軸方向外方」とは摩擦部側(図面で上方)を指し、「軸方向内方」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の発明は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具であって、前記本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、前記凸部4が前記摩擦部3となり、前記凸部4を除く前記本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に前記凹部5を通して前記凸部4が視認可能に構成されることを要件とする。
【0007】
前記第1の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0008】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の摩擦具において、前記凸部4が、前記本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることを要件とする。
【0009】
前記第2の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0010】
本願の第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明の摩擦具において、前記凸部4が弾性材料により形成され、前記凸部4が径方向の可撓性を有することを要件とする。
【0011】
前記第3の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0012】
本願の第4の発明は、前記第1乃至第3の何れかの発明の摩擦具において、前記凸部4の頂部41の径方向外面(即ち凸部4の径方向の外方縁部)に弾性材料よりなる摩擦部3が設けられることを要件とする。
【0013】
前記第4の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、本体2を紙面に対して垂直方向から一定角度だけ傾けることで、摩擦部3を紙面に確実に接触させることができる。尚、本発明は、前記凸部4の全体を弾性材料により構成されることを含む。
【0014】
本願の第5の発明は、前記第1乃至第4の何れかの発明の摩擦具において、前記凸部4が、支持部43と、該支持部43の径方向外面に設けられ且つ該支持部43と別材料からなる弾性材料よりなる摩擦部3とからなることを要件とする。
【0015】
前記第5の発明の摩擦具1は、前記構成により、支持部43の材料を適宜選択することより、摩擦時の凸部4の径方向内方への弾性変形量を自由に調節することができ、ソフトタッチからハードタッチまで自由に設定できる。
【0016】
本願の第6の発明は、前記第1乃至第5の発明の摩擦具において、前記凸部4の径方向の反対側の前記本体2外面にガイド突起21が形成されることを要件とする。
【0017】
前記第6の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、本体2を把持する際、ガイド突起21を指で挟持したり、ガイド突起21上に指を載置したりすることにより、凸部4(摩擦部3)の周方向の向きを容易に識別し、迅速に摩擦作業を開始できる。
【0018】
本願の第7の発明は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具であって、前記本体2の端部周縁部の外面に非環状の摩擦部3を備え、前記摩擦部3を除く前記本体2の端部に、前記摩擦部3の径方向内面が透視可能な透視部7が設けられることを要件とする。
【0019】
前記第7の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0020】
本願の第8の発明は、前記第7の発明の摩擦具において、前記摩擦部3が、前記本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、設けられ、前記各々の摩擦部3の相互間に前記透視部7が形成されることを要件とする。
【0021】
前記第8の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0022】
本願の第9の発明は、前記第7の発明または第8も発明の摩擦具において、前記透視部7が透明材料により形成されることを要件とする。
【0023】
前記第9の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦部3が本体2の端部より軸方向外方に大きく突出せず、摩擦部3の周方向の側面を保護することがでる。
【0024】
本願の第10の発明は、前記第7乃至第9の発明の摩擦具において、前記摩擦部3が、前記本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する凸部4の外面に形成され、前記凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、前記凹部5が少なくとも前記透視部7の一部を構成することを要件とする。
【0025】
前記第10の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、摩擦部3の位置する凸部4の径方向内面を、凹部5を通して容易に視認できる。尚、本発明において、透視部7の構成は、例えば、凹部5のみで形成される構成、凹部5と透明材料部分とからなる構成、または透明材料部分のみで形成される構成が挙げられる。
【0026】
本願の第11の発明は、前記第7乃至第10の発明の摩擦具において、前記摩擦部3の径方向の反対側の本体2外面にガイド突起21が形成されることを要件とする。
【0027】
前記第11の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦時、本体2を把持する際、ガイド突起21を指で挟持したり、ガイド突起21上に指を載置したりすることにより、凸部4(摩擦部3)の周方向の向きを容易に識別し、迅速に摩擦作業を開始できる。
【0028】
本願の第12の発明は、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記第1乃至11の発明の何れか記載の摩擦具であることを要件とする。
【0029】
前記第12の発明の熱変色性筆記具11は、前記構成により、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。本願発明において、摩擦部3は、例えば、軸筒の反ペン先側端部に形成される。本願発明の軸筒は、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた筆記体が移動可能に収容され、該ペン先が出没可能に構成される出没式筆記具の軸筒であってもよく、その場合、摩擦部3は、軸筒のペン先出没孔の開口端部、軸筒の反ペン先側端部、または軸筒の反ペン先側端部に設けられる押圧操作部の反ペン先側端部に形成される。
【0030】
本願の第13の発明は、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップとを備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記第1乃至11の発明の何れかに記載の摩擦具であることを要件とする。
【0031】
前記第13の発明の熱変色性筆記具11は、前記構成により、摩擦時、摩擦部3の紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。本願発明において、摩擦部3は、例えば、キャップの閉塞側端部またはキャップの開口端部に形成される。
【0032】
・本体
本願発明において、本体2の形状としては、筒状体(例えば、円筒体、多角形筒状体等)、柱状体(例えば、円柱体、角柱体等)、その他任意の立体形状等が挙げられる。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。また、本体2は、凸部4を構成する弾性を有する合成樹脂により形成してもよい。即ち、凸部4と本体2とを共通の弾性を有する合成樹脂により一体に形成してもよい。
【0033】
・凸部
本願発明において、凸部4または摩擦部3を構成する弾性材料としては、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0034】
本願発明において、凸部4全体の形状としては、板状、柱状、円錐状、角錐状、球状等が挙げられる。凸部4の頂部41としては、軸線に対する垂直面、軸線に対する傾斜面、凸曲面、テーパ面等が挙げられる。特に、凸部4の頂部41は、軸方向外方に向かって次第に細くなる先細形状(凸曲面、テーパ面、傾斜面等)が好ましく、それにより、凸部41相互間に形成される凹部5の軸方向の開口端が軸方向外方に向かって拡開形状となり、凹部5を通して凸部41の頂部41(摩擦部3)が視認しやすくなる。
【0035】
本願発明において、凸部4を凹部5を通して視認する際、凸部4の頂部41の外径(周方向の幅)は、凸部4の相互間の凹部5の軸方向外端部の間隔(周方向の幅)より小さく形成されることが好ましい。それにより、凹部5を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)近傍を視認しやすくなる。
【0036】
本願発明において、凸部4は、1個でもよいが、複数個設けられる場合、その個数は、具体的には、2個~8個が挙げられ、それにより、凹部5を通した摩擦部3の適正な視認性及び摩擦部3の十分な耐久性が得られる。凸部4は、複数個が周状に等間隔に設けられる場合、奇数個(例えば、3個、5個、7個等)が好ましく、それにより、凹部5を通して、凸部4の径方向内面の視認が容易となる。
【0037】
本願発明において、凸部4は、本体2の端部周縁部の軸方向外面もしくは本体2の端部周縁部の径方向外面に設けられるか、または、本体2の端部周縁部の軸方向外面且つ本体2の端部周縁部の径方向外面に設けられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の摩擦具は、摩擦時、摩擦部と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0039】
本発明の熱変色性筆記具は、摩擦時、摩擦部と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の実施の形態の要部正面図である。
図2図1の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図3図1の斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の要部正面図である。
図5図4の平面図である。
図6図4のA-A線断面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図7図4の斜視図である。
図8】本発明の第3の実施の形態の要部正面図である。
図9図8の斜視図である。
図10図8の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図11】本発明の第4の実施の形態の要部正面図である。
図12図11の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図13図11の斜視図である。
図14】本発明の第5の実施の形態の要部正面図である。
図15図14の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図16図14の斜視図である。
図17】本発明の第6の実施の形態の要部正面図である。
図18図17の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図19図17の斜視図である。
図20】本発明の第7の実施の形態の要部斜視図である。
図21】本発明の第8の実施の形態の要部正面図である。
図22図21の平面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図23】本発明の第9の実施の形態の要部斜視図である。
図24】(A)は図23の平面図、(B)は図23の正面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図25】本発明の第10の実施の形態の要部斜視図である。
図26】(A)は図25の平面図、(B)は図25の正面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
図27】本発明の第11の実施の形態の要部斜視図である。
図28】(A)は図27の平面図、(B)は図27の正面図である。2点鎖線の矢印は視認方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図1乃至図3に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0042】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0043】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0044】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)に、軸方向外方(図面で上方)に突出する複数(例えば3個)の凸部4が形成される。各々の凸部4は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。各々の凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。各々の凸部4の軸方向内方端部が本体2の端部周縁部の軸方向外面に設けられ、各々の凸部4の軸方向外方端部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に位置される。
【0045】
各々の凸部4は、軸線に対して垂直な平面よりなる頂部41と、頂部41より軸方向内方(図面で下方)に延びる両側の側部42とを備える。各々の凸部4は、略四角柱状または板状に形成される。各々の凸部4の径方向外面は、凸曲面状である。各々の凸部4の径方向内面は、凹曲面状である。尚、各々の凸部4の頂部41は、平面以外に先細状(例えば、先細状凸曲面)であってもよい。
【0046】
各々の凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0047】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が環状に設けられる。基部6に各々凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、凸部4及び基部6は、本体2に2色成形により固定することもできる。基部6の軸方向外面は、軸線に対して垂直な面よりなる。
【0048】
・周縁凹部
隣り合う凸部4と凸部4の間(凸部4相互間)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。各々の周縁凹部51は、軸線に対して垂直な面よりなる基部6の軸方向外面と、凸部4の両側の側部42とから形成される。
【0049】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、各々の周縁凹部51と径方向に連通される。各々の周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52は各々の周縁凹部51より軸方向内方に深く形成されているが、これ以外にも、中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じである構成(中央凹部52の底面と周縁凹部51の底面が一つの連続した面である構成)でもよい。
【0050】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2端部の凹部5(凸部4相互間の周縁凹部51及び本体2の端部の中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面または凸部4の周方向側面)を視認することができる。(図2参照)
【0051】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0052】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が、本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0053】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0054】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4の径方向反対側の凹部5を通して凸部4を視認した際、凸部4の頂部41の外径(周方向の幅)が、凸部4の相互間の凹部5の軸方向外端部の間隔(周方向の幅)より小さく形成される。それにより、凹部5を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)近傍を視認しやすくなる。
【0055】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図4乃至図7に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0056】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0057】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0058】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)に、軸方向外方(図面で上方)に突出する複数(例えば3個)の凸部4が形成される。各々の凸部4は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。各々の凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。各々の凸部4は、軸方向内方端部が本体2の端部周縁部の軸方向外面に設けられ、軸方向外方端部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に位置される。
【0059】
各々の凸部4は、軸線に対して垂直な稜線よりなる頂部41と、頂部41より両側に軸方向内方に向かうに従い次第に両者の距離が広がる傾斜面よりなる側部42とを備える。各々の凸部4は、正面視で略三角状の板形状により形成される。各々の凸部4の径方向外面は、凸曲面状である。各々の凸部4の径方向内面は、凹曲面状である。尚、各々の凸部4の頂部41は、稜線以外に先細状(例えば、先細状凸曲面)であってもよい。
【0060】
各々の凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0061】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が環状に設けられる。基部6に各々凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、凸部4及び基部6は、本体2に2色成形により固定することができる。
【0062】
・周縁凹部
隣り合う凸部4と凸部4の間(凸部4相互間)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。各々の周縁凹部51は、隣り合う凸部4の各々の傾斜面よりなる側部42により正面視においてV字状に形成される。
【0063】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、各々の周縁凹部51と径方向に連通される。各々の周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52は各々の周縁凹部51より軸方向内方(図面で下方)に深く形成されている。これ以外にも、中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じである構成(中央凹部52の底部と周縁凹部51の底面が一つの連続した面である構成)でもよい。
【0064】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2の端部の凹部5(凸部4の相互間の周縁凹部51及び本体2の端部の中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面または凸部4の周方向側面)を視認することができる。(図6参照)
【0065】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0066】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が、本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0067】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0068】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4の頂部41が軸方向外方に向かって次第に細くなる先細形状(凸曲面、テーパ面、傾斜面等)に形成されており、それにより、凸部4相互間に形成される凹部5の軸方向の開口端が軸方向外方に向かって拡開形状となり、凹部5を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)が視認しやすくなる。
【0069】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4の径方向反対側の凹部5を通して凸部4を視認した際、凸部4の頂部41の外径(周方向の幅)が、凸部4の相互間の凹部5の軸方向外端部の間隔(周方向の幅)より小さく形成される。それにより、凹部5を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)近傍を視認しやすくなる。
【0070】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図8乃至図10に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0071】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0072】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0073】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)に、軸方向外方(図面で上方)に突出する複数(例えば2個)の凸部4が形成される。各々の凸部4は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。各々の凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。各々の凸部4は、軸方向内方端部が本体2の端部周縁部の軸方向外面に設けられ、軸方向外方端部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に位置される。
【0074】
各々の凸部4は、軸線に対して垂直な平面よりなる頂部41と、頂部41より軸方向内方(図面で下方)に延びる両側の側部42とを備える。各々の凸部4は、略四角柱状または板状に形成される。各々の凸部4の径方向外面は、凸曲面状である。各々の凸部4の径方向内面は、凹曲面状である。尚、各々の凸部4の頂部41は、平面以外に先細状(例えば先細状凸曲面)であってもよい。
【0075】
各々の凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0076】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が環状に設けられる。基部6の軸方向外面に各々凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、凸部4及び基部6は、本体2に2色成形により固定することもできる。基部6の軸方向外面は、軸線に対して垂直な面よりなる。
【0077】
・周縁凹部
隣り合う凸部4と凸部4の間(凸部4相互間)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。各々の周縁凹部51は、軸線に対して垂直な面よりなる基部6の軸方向外面と、各々の凸部4の側部42とから形成される。
【0078】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、各々の周縁凹部51と径方向に連通される。各々の周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52は各々の周縁凹部51より軸方向内方に深く形成されているが、これ以外にも、中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じである構成(中央凹部52の底面と周縁凹部51の底面が一つの連続した面である構成)でもよい。
【0079】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2の端部の凹部5(凸部4相互間の周縁凹部51及び本体2端部の中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面または凸部4の周方向側面)を視認することができる。(図10参照)
【0080】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0081】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が、本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0082】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0083】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図11乃至図13に示す。本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0084】
・本体
本体2は、筒状体(例えば四角筒体)または柱状体(例えば四角柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0085】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0086】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)の角部に、軸方向外方(図面で上方)に突出する複数(例えば4個)の凸部4が形成される。各々の凸部4は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。各々の凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。各々の凸部4は、軸方向内方端部が本体2の端部周縁部の軸方向外面に設けられ、軸方向外方端部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に位置される。
【0087】
各々の凸部4は、軸線に対して垂直な平面よりなる頂部41と、頂部41より軸方向内方(図面で下方)に延びる両側の側部42とを備える。各々の凸部4は、略三角柱状に形成される。各々の凸部4の径方向外面は、軸線に対して略平行な二つの平面よりなる。各々の凸部4の径方向内面は、軸線に対して略平行な一つの平面よりなる。尚、各々の凸部4の頂部41は、平面以外に先細状(例えば先細凸曲面状)であってもよい。
【0088】
各々の凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0089】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が四角平面状に設けられる。基部6の軸方向外面に各々凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、本体2に2色成形により固定してもよい。基部6の軸方向外面は、軸線に対して垂直な面よりなる。
【0090】
・周縁凹部
隣り合う凸部4と凸部4の間(凸部4相互間)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。各々の周縁凹部51は、軸線に対して垂直な面よりなる基部6の軸方向外面と、凸部4の両側の側部42により形成される。
【0091】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、各々の周縁凹部51と径方向に連通される。各々の周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じであり、中央凹部52の底部と各々の周縁凹部51の底部は連続した一つの平面を構成する。これ以外に、中央凹部52は各々の周縁凹部51より軸方向内方(図面で下方)に深く形成される構成でもよい。
【0092】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2の端部の凹部5(凸部4相互間の周縁凹部51及び本体2端部の中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面)を視認することができる。(図12参照)
【0093】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0094】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が、本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0095】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0096】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図14乃至図16に示す。本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0097】
・本体
本体2は、筒状体(例えば、円筒体)または柱状体(例えば、円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0098】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0099】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)に、軸方向外方(図面で上方)に突出する1個の凸部4が形成される。凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。凸部4は、軸方向内方端部が本体2の端部周縁部の軸方向外面に設けられ、軸方向外方端部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に位置される。
【0100】
凸部4は、軸線に対して垂直な平面よりなる頂部41と、頂部41より両側に軸方向内方(図面で下方)に向かうに従い次第に両者の距離が広がる傾斜面よりなる側部42とを備える。凸部4は、正面視で略三角状または略台形形状の板形状により形成される。凸部4の径方向外面は、凸曲面状である。凸部4の径方向内面は、凹曲面状である。尚、凸部4の頂部41は、平面以外に先細状(例えば先細状凸曲面)であってもよい。
【0101】
凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0102】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が環状に設けられる。基部6の軸方向外面に凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、凸部4及び基部6は、本体2に2色成形により固定してもよい。基部6の軸方向外面は、軸線に対して垂直な面よりなる。
【0103】
・周縁凹部
凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面(基部6の軸方向外面)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。周縁凹部51は、軸線に対して垂直な面よりなる基部6の軸方向外面と、凸部4の両側の側部42により形成される。
【0104】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、周縁凹部51と径方向に連通される。周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52は周縁凹部51より軸方向内方に深く形成されているが、これ以外にも、中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じである構成(中央凹部52の底面と周縁凹部51の底面が一つの連続した面である構成)でもよい。
【0105】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2の端部の凹部5(周縁凹部51及び中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面または凸部4の周方向側面)を視認することができる。(図15参照)
【0106】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0107】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0108】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図17乃至図19に示す。本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0109】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。
【0110】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0111】
・摩擦部(凸部)
本体2の端部周縁部(本体2の端部の径方向外周縁部近傍)に、軸方向外方(図面で上方)に突出する複数(例えば3個)の凸部4が形成される。各々の凸部4は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。各々の凸部4(即ち、各々の凸部4の頂部41の軸方向外面及び各々の凸部4の頂部41の径方向外面)が摩擦部3となる。各々の凸部4は、軸方向内方部が本体2の端部周縁部の径方向外面に突設され、軸方向外方部が本体2の端部周縁部より軸方向外方に突出される。
【0112】
各々の凸部4は、軸線に対して垂直な平面よりなる頂部41と、頂部41より軸方向内方(図面で下方)に延びる両側の側部42とを備える。各々の凸部4は、略半円柱状または板状に形成される。各々の凸部4の径方向外面は、凸曲面状である。各々の凸部4の径方向内面は、凹曲面状である。尚、各々の凸部4の頂部41は、平面以外に先細状(例えば先細状凸曲面)であってもよい。
【0113】
各々の凸部4は、弾性材料から形成され、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。凸部4が弾性材料からなることにより、凸部4が径方向の可撓性を有する。尚、本実施の形態では、凸部4全体が弾性材料によって形成されるが、摩擦部3を構成するためには少なくとも凸部4の頂部41が弾性材料であればよい。
【0114】
・基部
本体2の端部は、弾性材料によりなる基部6が円板状に設けられる。基部の径方向外面に各々凸部4が一体に形成される。凸部4及び基部6は、本体2に嵌合、螺着、熱融着、接着等により固定され、特に、本体2が合成樹脂の場合、凸部4及び基部6は、本体2に2色成形により固定してもよい。基部6の軸方向外面は、軸線に対して垂直な面よりなる。
【0115】
・周縁凹部
隣り合う凸部4と凸部4の間(凸部4相互間)には、軸方向外方に開口され且つ径方向外方に開口される周縁凹部51が形成される。各々の周縁凹部51は、軸線に対して垂直な面よりなる基部6の軸方向外面と、凸部4の両側の側部42により形成される。
【0116】
・中央凹部
凸部4は本体2の端部の軸方向外面の中央には形成されず、本体2の端部の軸方向外面の中央には軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。中央凹部52は、各々の周縁凹部51と径方向に連通される。各々の周縁凹部51と中央凹部52とにより、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に凹部5(透視部)が形成される。中央凹部52の軸方向内方の深さと周縁凹部51の軸方向内方の深さが同じであり、中央凹部52の底部と各々の周縁凹部51の底部は連続した一つの平面を構成する。これ以外に、中央凹部52は各々の周縁凹部51より軸方向内方(図面で下方)に深く形成される構成でもよい。
【0117】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3(具体的には凸部4の頂部41の径方向の外周縁部)を接触させる。摩擦時、本体2端部の凹部5(凸部4相互間の周縁凹部51及び本体2端部の中央凹部52)を介して、紙面に接触する凸部4(具体的には凸部4の径方向内面または凸部4の周方向側面)を視認することができる。(図18参照)
【0118】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具1であって、本体2の端部周縁部に軸方向外方に突出する非環状の凸部4が形成され、凸部4が摩擦部3となり、凸部4を除く本体2の端部の軸方向外面に、径方向外方に開口され且つ軸方向外方に開口される凹部5が形成され、摩擦時に凹部5を通して凸部4が視認可能に構成されることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0119】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が、本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、配置されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0120】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4が弾性材料により形成され、凸部4が径方向の可撓性を有することにより、摩擦時、凸部4が紙面との接触により径方向内方に変形し、摩擦部3と紙面との確実な接触が得られる。
【0121】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、凸部4の径方向反対側の凹部5を通して凸部4を視認した際、凸部4の頂部41の外径(周方向の幅)が、凸部4の相互間の凹部5の軸方向外端部の間隔(周方向の幅)より小さく形成される。それにより、凹部5を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)近傍を視認しやすくなる。
【0122】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図20に示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態と異なる点は、凸部4が支持部43と摩擦部3とからなる点であり、他の構成及び効果は第1の実施の実施の形態と共通であるため、説明を省略する。
【0123】
各々の凸部4が、支持部43と、該支持部43の頂部の径方向外面に設けられ、該支持部43と別材料からなる弾性材料よりなる摩擦部3とからなる。前記摩擦部3を構成する弾性材料は、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。各々の支持部43は、摩擦部3より硬質の合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリエチレン等)により形成される。各々の支持部43と摩擦部3は、嵌合、螺着、熱融着、接着、2色成形等により固定される。
【0124】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、前記凸部4が、支持部43と、該支持部43の径方向外面に設けられ且つ該支持部43と別材料からなる弾性材料よりなる摩擦部3とからなることにより、支持部43の材料を適宜選択することより、摩擦時の凸部4の径方向内方への弾性変形量を自由に調節することができ、ソフトタッチからハードタッチまで自由に設定できる。
【0125】
<第8の実施の形態>
本発明の第8の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図21乃至図22に示す。本実施の形態は第1の実施の形態の変形例であり、本体2の外面にガイド突起21を形成した点が第1の実施の形態と異なり、それ以外の構成及び作用効果は第1の実施の形態と共通であり、説明を省略する。
【0126】
ガイド突起21が、各々の凸部4の径方向の反対側の本体2外面に、複数本(例えば3本)突設される。各々のガイド突起21は、周縁凹部51の中心を通り、軸方向内方に延びる仮想延長線上に形成される。ガイド突起21の形状は、例えば、軸方向に延びるリブ、半球状突起が挙げられる。
【0127】
本発明の第8の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、摩擦時、本体2を把持する際、ガイド突起21を指で挟持したり、ガイド突起21上に指を載置したりすることにより、凸部4(摩擦部3)の周方向の向きを容易に識別し、迅速に摩擦作業を開始できる。
【0128】
<第9の実施の形態>
本発明の第9の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図23乃至図24に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の端部に設けられる摩擦部3とを備える。
【0129】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン)、金属、木材等が挙げられる。少なくとも本体2の端部は、筒状体であり、透明材料(例えば透明性の合成樹脂)により構成される。前記透明性の合成樹脂は、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0130】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。前記熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒である。前記熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキを収容し該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0131】
・摩擦部
本体2の端部の径方向外周縁部に、非環状の摩擦部3が、複数(例えば3個)、形成される。各々の摩擦部3は、本体2の端部周縁部に等間隔で配置される。本体2の端部には軸方向外方に開口し且つ径方向に貫通する取付凹部22が形成される。取付凹部22に摩擦部3が嵌合、接着、2色成形等により固定される。
【0132】
・透視部
摩擦部3を除く本体2の筒状の端部は、透明材料よりなる。本体2の筒状の端部の中央には、軸方向外方に開口する中央凹部52が形成される。摩擦部3を除く本体2の筒状の端部の透明材料部分と、中央凹部52とにより、摩擦部3の径方向内面が視認可能な透視部7が設けられる。摩擦部3の軸方向端部と、前記透明材料部分の軸方向端部は、連続した同一端面により形成される。
【0133】
摩擦部3は、弾性材料から形成される。前記弾性材料としては、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられ、特に、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0134】
・摩擦時
摩擦時、本体2を把持し、本体2を紙面に対して垂直方向から少しの角度だけ傾けて、紙面に摩擦部3を接触させる。摩擦時、本体2端部の透視部7を介して、紙面に接触する摩擦部3の径方向の内面を視認することができる。
【0135】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、熱変色性の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を熱変色させる摩擦部3を本体2の端部に備えた摩擦具であって、前記本体2の端部周縁部の外面に非環状の摩擦部3を備え、前記摩擦部3を除く前記本体2の端部に、前記摩擦部3の径方向内面が透視可能な透視部7が設けられることにより、摩擦時、摩擦部3と紙面との接触部分を外部より容易に視認することができ、熱変色性の筆跡の細かい箇所を確実に熱変色させることができる。
【0136】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、前記摩擦部3が、前記本体2の端部周縁部に間隔を置いて複数、設けられ、前記各々の摩擦部3の相互間に前記透視部7が形成されることにより、摩擦時、本体2を把持した後、本体2を大きく回転することなく、何れかの摩擦部3を紙面に接触させて迅速に摩擦作業を開始でき、さらに、摩擦部3が複数箇所存在するため、一つの摩擦部3のみが磨耗することを抑え、長期にわたり各々の摩擦部3の適正な形状を維持できる。
【0137】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、前記透視部7が透明材料により形成されることにより、摩擦部3が本体2の端部より軸方向外方に大きく突出せず、摩擦部3の周方向の側面を保護することがでる。
【0138】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第8の実施の形態と同様、前記摩擦部3の径方向の反対側の本体2外面にガイド突起21が形成される構成も可能である。それにより、摩擦時、本体2を把持する際、ガイド突起21を指で挟持したり、ガイド突起21上に指を載置したりすることにより、凸部4(摩擦部3)の周方向の向きを容易に識別し、迅速に摩擦作業を開始できる。
【0139】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、摩擦部3の径方向反対側の透明材料部分を通して摩擦部3を視認した際、摩擦部3の頂部41の外径(周方向の幅)が、摩擦部4の相互間の透明材料部分の軸方向外端部の間隔(周方向の幅)より小さく形成される。それにより、摩擦部3の相互間の透明材料部分を通して凸部4の頂部41(摩擦部3)近傍を視認しやすくなる。
【0140】
<第10の実施の形態>
本発明の第10の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図25乃至図26に示す。本実施の形態は、第9の実施の形態の変形例であり、第9の実施の形態と異なる点は、
本体2の端部の取付凹部22が径方向に貫通せず径方向外方の開口される点であり、他の構成及び効果は第10の実施の実施の形態と共通であるため、説明を省略する。
【0141】
<第11の実施の形態>
本発明の第11の実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11を図27乃至図28に示す。本実施の形態は、第9及び第10の実施の形態の変形例であり、第9及び第10の実施の形態と異なる点は、本体2の端部の中央凹部が存在せず、本体2端部が透明材料からなる中実体(円柱体)よりなり、透視部7が本体2端部の透明材料部分よりなる点、及び、摩擦部3の頂部の径方向外縁部が、本体2端部の径方向外面より径方向外方に突出される点であり、他の構成及び効果は第9及び第10の実施の実施の形態と共通であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0142】
1 摩擦具
11 熱変色性筆記具
2 本体(軸筒、キャップ)
21 ガイド突起
22 取付凹部
3 摩擦部
4 凸部
41 頂部
42 側部
43 支持部
5 凹部
51 周縁凹部
52 中央凹部
6 基部
7 透視部
図1
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