(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
E02F9/00 C
(21)【出願番号】P 2017021672
(22)【出願日】2017-02-08
【審査請求日】2019-12-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】曲木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】梅田 節
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】前川 慎喜
【審判官】有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240126(JP,A)
【文献】特開2016-105693(JP,A)
【文献】特開2012-211469(JP,A)
【文献】特開2014-084643(JP,A)
【文献】特開2009-029218(JP,A)
【文献】特開2010-173581(JP,A)
【文献】特開2005-137133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F9/00
E02F9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記少なくとも一方の筐体には、
前記電動機及び前記駆動装置の前記少なくとも一方の脱着時に使用される第1の取付部が設けられ、
前記導電線の前記一端は、前記第1の取付部を用いて、前記少なくとも一方の筐体に接続される、
ショベル。
【請求項2】
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記旋回フレームは、底部から上に延びるように設けられる壁部を有し、
前記導電線の前記他端は、前記壁部に接続される、
ショベル。
【請求項3】
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記旋回フレームには
、オプション装備に関する部品の固定に使用される第2の取付部が設けられ、
前記導電線の前記他端は、前記第2の取付部を用いて、前記旋回フレームに接続される、
ショベル。
【請求項4】
前記第1の取付部は、前記電動機及び前記駆動装置の前記少なくとも一方の脱着時にアイボルトが螺着されるアイボルト取付部である、
請求項1に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型のショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプの駆動力源であるエンジンをアシストする電動機、旋回体を旋回駆動する電動機、これらの電動機を駆動するインバータやコンバータ等の電気駆動部を備えるハイブリッド型のショベルが知られている。
【0003】
電動機、インバータ、コンバータ等の電気駆動部は、他の部品が介在する態様でショベルの旋回体の旋回フレームに取り付けられる場合がある(特許文献1等参照)。
【0004】
例えば、特許文献1では、旋回体を旋回駆動する電動機が減速機の筐体を介して旋回フレームに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気駆動部と旋回フレームとの間に他の部材が介在すると、当該部品が導電性を有していても、当該部品に起因する浮遊容量や浮遊インダクタンス等の影響により、電気駆動部の筐体と旋回フレーム(即ち、グランド)との間に電位差が生じ易くなる。そのため、電気駆動部の筐体から放射される放射ノイズを抑制する対策が講じられることが望ましい。
【0007】
そこで、上記課題に鑑み、他の部品が介在する態様で旋回フレームに取り付けられる電気駆動部の筐体から放射される放射ノイズを更に抑制することが可能なショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記少なくとも一方の筐体には、前記電動機及び前記駆動装置の前記少なくとも一方の脱着時に使用される第1の取付部が設けられ、
前記導電線の前記一端は、前記第1の取付部を用いて、前記少なくとも一方の筐体に接続される、
ショベルが提供される。
また、本発明の他の実施形態では、
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記旋回フレームは、底部から上に延びるように設けられる壁部を有し、
前記導電線の前記他端は、前記壁部に接続される、
ショベルが提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
旋回体と、
電動機と、
前記電動機を駆動する駆動装置と、
導電線と、を備え、
前記電動機及び前記駆動装置の少なくとも一方は、他の部品が介在する態様で前記旋回体の旋回フレームに取り付けられ、
前記導電線は、一端が前記少なくとも一方の筐体に接続され、他端が前記旋回フレームに接続され、
前記旋回フレームには、オプション装備に関する部品の固定に使用される第2の取付部が設けられ、
前記導電線の前記他端は、前記第2の取付部を用いて、前記旋回フレームに接続される、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、電気駆動部を含む駆動ユニットが旋回フレームに取り付けられる場合に、電気駆動部の筐体から放射される放射ノイズを抑制することが可能なショベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】電気駆動部(旋回用電動機)からの放射ノイズを抑制する構造の一例を示す図である。
【
図4】旋回駆動装置と旋回フレームとの間における導電線の接続態様の一例を示す図である。
【
図5】電気駆動部(電動発電機)からの放射ノイズを抑制する構造の他の例を示す図である。
【
図6】電気駆動部(インバータ、コンバータ)からの放射ノイズを抑制する構造の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
まず、
図1、
図2を参照して、本実施形態に係るショベルの基本構成について説明をする。
【0013】
図1は、本実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【0014】
本実施形態に係るショベルは、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、作業装置としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。
【0015】
下部走行体1は、例えば、左右1対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(
図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0016】
上部旋回体3は、後述する旋回用電動機21(
図2参照)により電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0017】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
【0018】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0019】
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
尚、図中、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0021】
本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、エンジン11と、減速機13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係る油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等を含む。
【0022】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、後述するエンジンコントローラ30C(
図3参照)による制御の下、予め設定される目標回転数で定回転する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、減速機13を介してメインポンプ14、パイロットポンプ15を駆動する。また、エンジン11は、減速機13を介して電動発電機12を駆動し、電動発電機12に発電させる。
【0023】
減速機13は、上部旋回体3の後部に搭載され、エンジン11及び後述する電動発電機12が接続される2つの入力軸と、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が直列に同軸接続される1つの出力軸を有する。減速機13は、エンジン11及び電動発電機12の動力を所定の減速比でメインポンプ14及びパイロットポンプ15に伝達することができる。また、減速機13は、エンジン11の動力を所定の減速比で、電動発電機12とメインポンプ14及びパイロットポンプ15とに分配して伝達することができる。
【0024】
メインポンプ14は、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、エンジン11、或いは、エンジン11及び電動発電機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30Aによる制御の下、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
【0025】
コントロールバルブ17は、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータである走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に供給可能に構成される。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
【0026】
また、本実施形態に係る電気駆動系は、電動発電機12と、旋回用電動機21と、旋回減速機24と、電流センサ21sと、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23を含む。
【0027】
電動発電機12は、油圧駆動系に対するアシスト動力源であり、上部旋回体3の後部に搭載される。電動発電機12は、インバータ18Aを介してキャパシタ19を含む蓄電系120と接続され、インバータ18A(駆動装置の一例)を介してキャパシタ19や旋回用電動機21から供給される三相交流電力で力行運転し、減速機13を介してメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。また、電動発電機12は、エンジン11により駆動されることにより発電運転を行い、発電電力をキャパシタ19や旋回用電動機21に供給することができる。電動発電機12の力行運転と発電運転との切替制御は、後述するハイブリッドコントローラ(HBコントローラ)30Bによってインバータ18Aが駆動制御されることにより実現される。
【0028】
旋回用電動機21(電気駆動部の一例)は、下部走行体1に対して上部旋回体3を旋回自在に接続する旋回機構2を駆動する旋回駆動装置40(
図3参照)の構成要素であり、HBコントローラ30Bによる制御の下、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行う。旋回用電動機21は、インバータ18B(駆動装置の他の例)を介して蓄電系120に接続され、インバータ18Bを介してキャパシタ19や電動発電機12から供給される三相交流電力により駆動される。また、旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して、回生電力をキャパシタ19や電動発電機12に供給する。これにより、回生電力で、キャパシタ19を充電したり、電動発電機12を駆動したりすることができる。旋回用電動機21の力行運転と回生運転との切替制御は、HBコントローラ30Bによってインバータ18Bが駆動制御されることにより実現される。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続され、旋回用電動機21は、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24等と共に、一体として旋回駆動装置40(駆動ユニットの一例)を構成する。
【0029】
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aと接続され、旋回用電動機21の出力(トルク)を所定の減速比で減速させることにより、トルクを増大させて、上部旋回体3を旋回駆動する。即ち、力行運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、上部旋回体3を旋回駆動する。また、旋回減速機24は、上部旋回体3の慣性回転力を増速させて旋回用電動機21に伝達し、回生電力を発生させる。即ち、回生運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して伝達される上部旋回体3の慣性回転力により回生発電を行い、上部旋回体3を旋回制動する。
【0030】
電流センサ21sは、旋回用電動機21の3相(U相、V相、W相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ21sは、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路に設けられる。電流センサ21sは、旋回用電動機21の3相それぞれの電流に対応する検出信号をHBコントローラ30Bに送信する。
【0031】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転位置(回転角)等を検出する。レゾルバ22は、検出した回転角に対応する検出信号をコントローラ30に送信する。
【0032】
メカニカルブレーキ23は、HBコントローラ30Bによる制御の下、上部旋回体3(具体的には、旋回用電動機21の回転軸21A)に対して、機械的に制動力を発生させ、上部旋回体3を旋回制動すると共に、上部旋回体3の停止状態を維持させる。
【0033】
尚、
図2中において、旋回減速機24とメカニカルブレーキ23とは、簡単のため、別のブロック要素として記載されるが、後述の如く、本実施形態におけるメカニカルブレーキ23は、旋回減速機24に含まれる複数の減速機の間に組み込まれる。
【0034】
また、本実施形態に係るショベルの蓄電系120は、キャパシタ19と、DCバス110と、昇降圧コンバータ100を含み、例えば、電気駆動系のインバータ18A,18Bと共に、上部旋回体3の右側前部に搭載される。
【0035】
キャパシタ19は、電動発電機12、旋回用電動機21に電力を供給すると共に、電動発電機12、旋回用電動機21の発電電力を充電する蓄電装置の一例である。
【0036】
DCバス110は、インバータ18A,18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。
【0037】
昇降圧コンバータ100(駆動装置の更に他の例)は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス110の電圧検出値、キャパシタ19の電圧検出値、及びキャパシタ19の電流検出値に基づき、HBコントローラ30Bにより実現される。
【0038】
また、本実施形態に係るショベルの操作系は、パイロットポンプ15、操作装置26、圧力センサ29等を含む。
【0039】
パイロットポンプ15は、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11、或いはエンジン11及び電動発電機12により駆動される。
【0040】
操作装置26は、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、各動作要素を駆動する各油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)や電動アクチュエータ(旋回用電動機21等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26(レバー26A,26B、及びペダル26C)は、油圧ライン27を介して、コントロールバルブ17にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、各油圧アクチュエータを駆動することができる。また、操作装置26は、油圧ライン28を介して圧力センサ29に接続される。
【0041】
圧力センサ29は、上述の如く、油圧ライン28を介して操作装置26と接続され、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26における各動作要素の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、ショベルコントローラ30Aに接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号(圧力検出値)がショベルコントローラ30Aに入力される。
【0042】
また、本実施形態に係るショベルの制御系は、ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30B等を含む。ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30Bを含む各種コントローラは、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O等を含むマイクロコンピュータで構成され、ROMに格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能が実現されると共に、例えば、CAN(Controller Area Network)規格等に基づく通信ネットワークで相互に接続される。
【0043】
ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bを含む各種コントローラ(制御装置)と連携し、ショベルの駆動制御を行う。例えば、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bを中心とする各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル全体(ショベルに搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい(全体制御)。具体的には、ショベルコントローラ30Aは、圧力センサ29から入力される検出値を含む駆動指令をHBコントローラ30Bに送信することにより、操作装置26に対するオペレータの操作状態に応じた電動発電機12及び旋回用電動機21の動作を実現してよい。また、例えば、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bを中心とする各種コントローラとの双方向通信に基づき、全体制御に関する情報(各種センサの検出値、各種コントローラの制御信号等)を統合的に取得してよい。具体的には、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bから電気駆動系の各種情報(例えば、電動発電機12、インバータ18A,18B、キャパシタ19、旋回用電動機21の電流検出値、電圧検出値、異常に関する情報等)を受信してよい。
【0044】
HBコントローラ30Bは、ショベルコントローラ30Aから送信される各種情報(例えば、操作装置26に対する操作状態に対応する圧力センサ29の検出値を含む駆動指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。また、HBコントローラ30Bは、電気駆動系の各種情報を、ショベルの全体制御を司るショベルコントローラ30Aに送信してもよい。
【0045】
次に、
図3~
図6を参照して、本実施形態に係るショベルの特徴的な構造、即ち、電気駆動部(例えば、旋回用電動機21、電動発電機12、インバータ18A,18B、昇降圧コンバータ100等)からの放射ノイズを抑制する構造について説明する。
【0046】
まず、
図3は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(旋回用電動機21)からの放射ノイズを抑制する構造の一例を示す図である。具体的には、
図3は、本実施形態に係る旋回駆動装置40の配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
【0047】
尚、
図4は、旋回駆動装置40を含む上部旋回体3の部分を前方から見た正面断面図であり、旋回駆動装置40のうちの旋回用電動機21、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24は、概略的なブロック図として示される。
【0048】
図3に示すように、旋回駆動装置40は、上述の如く、駆動力源としての旋回用電動機21と、旋回用電動機21の回転位置等を検出するレゾルバ22と、旋回用電動機21の回転を減速させる旋回減速機24と、旋回駆動装置40の回転を制動するメカニカルブレーキ23を含む。また、旋回駆動装置40は、旋回駆動装置40を収容する筐体40Cを含み、筐体40Cは、旋回用電動機21等を収容する筐体21Cと、旋回減速機24等を収容する筐体24Cを含む。
【0049】
旋回用電動機21は、出力軸が略下方向になるように配置され、旋回減速機24の上部に取り付けられる。また、旋回用電動機21の出力軸の反対側(上部)には、レゾルバ22が取り付けられる。旋回用電動機21は、レゾルバ22と共に、上端が閉じられ、下端が開放される略円筒形状の筐体21Cに収容される。
【0050】
筐体21Cは、上下の端部が開放される略円筒形状の側面部21Caと、側面部21Caの上部の開放端を閉塞する略円盤形状のカバー部21Cbを含む。カバー部21Cbは、側面部21Caの上部の開放端に設けられるフランジ部に複数のボルト21Bにより締結される。
【0051】
旋回減速機24は、旋回用電動機21の下方に隣接して配置され、その上部で旋回用電動機21に取り付けられると共に、その下部で上部旋回体3の底部を構成する旋回フレーム3aに取り付けられる。旋回減速機24は、第1旋回減速機24-1、第2旋回減速機24-2、及び第3旋回減速機24-3の3段構成を有し、メカニカルブレーキ23は、第1旋回減速機24-1と第2旋回減速機24-2との間に組み込まれる。具体的には、第1段の第1旋回減速機24-1は、旋回用電動機21の下方に隣接して配置され、旋回用電動機21の出力軸と機械的に連結される。また、第1旋回減速機24-1の出力軸には、メカニカルブレーキ23(ディスクブレーキ)が設けられ、メカニカルブレーキ23は、第1旋回減速機24-1の出力軸の回転を制動することにより、旋回駆動装置40(即ち、上部旋回体3)の回転を制動する。また、第2段の第2旋回減速機24-2は、メカニカルブレーキ23を間に挟んで、第1旋回減速機24-1の下方に隣接して配置され、第1旋回減速機24-1の出力軸と機械的に連結される。また、第3段の第3旋回減速機24-3は、第2旋回減速機24-2の下方に隣接して配置され、第2旋回減速機24-2の出力軸に機械的に連結される。そして、第3旋回減速機24-3の出力軸、即ち、旋回駆動装置40の出力軸40Aは、旋回フレーム3aに設けられる孔を貫通し、旋回フレーム3aの下方に隣接して配置される旋回機構2に機械的に連結される。第1旋回減速機24-1、第2旋回減速機24-2、及び第3旋回減速機24-3は、それぞれ、遊星歯車減速機で構成されてよい。旋回減速機24は、メカニカルブレーキ23と共に、上端及び下端が開放される略円筒形状の筐体24Cに収容される。
【0052】
筐体21C及び筐体24Cは、例えば、鋳鉄、アルミダイカスト等の導電性を有し、比較的剛性が高い材質で構成される。筐体21C(側面部21Ca)は、例えば、下端にフランジ部を有し、該フランジ部を利用して、筐体24Cとボルト締結される。また、筐体24Cは、上述の如く、その上端部が筐体21Cに取り付けられると共に、下端に設けられるフランジ部を利用して、上部旋回体3の底部を構成する旋回フレーム3aのフロア部3aFに取り付けられる。即ち、筐体40Cは、旋回減速機24及びメカニカルブレーキ23を収容する筐体24Cの下端部において、上部旋回体3(旋回フレーム3a)に取り付けられる。
【0053】
また、旋回駆動装置40は、導電線35を介して、その筐体40Cが旋回フレーム3aと電気的に接続される。即ち、導電線35は、一端が筐体40Cに取り付けられると共に、他端が旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、旋回用電動機21の筐体21Cと旋回フレーム3aとの間に介在する旋回減速機24の筐体24Cに起因する浮遊容量や浮遊インダクタンス等の影響で、旋回用電動機21の筐体21Cと旋回フレーム3a(即ち、グランド)との間に電位差が生じ易くなるところ、比較的インピーダンスが低い導電線35を通じて、旋回用電動機21で発生するノイズが筐体21Cから旋回フレーム3aに流れ易くなる。そのため、筐体21Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差を抑制することができ、結果として、旋回用電動機21の動作に応じて筐体21Cから放射される放射ノイズを抑制することができる。
【0054】
導電線35の一端(即ち、筐体40Cとの接続端)は、例えば、筐体40Cの中の旋回フレーム3aとの取付部分よりも上の位置(即ち、筐体24Cにおける旋回用電動機21が収容される筐体21Cにより近い位置、或いは筐体21C)に取り付けられてよい。例えば、導電線35の一端は、
図3に示すように、筐体21Cに取り付けられる。これにより、筐体40Cにおける導電線35の接続部が筐体21Cに近づくため、筐体21Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差をより抑制することができ、結果として、旋回用電動機21の動作に応じて筐体21Cから放射される放射ノイズをより抑制することができる。
【0055】
導電線35と筐体40C及び旋回フレーム3aとの接続態様は任意である。例えば、導電線35の一端は、筐体40Cにボルトで締結されてよい。具体的には、
図3に示すように、導電線35の一端は、筐体21Cを構成する側面部21Caとカバー部21Cbとが締結される締結部に、ボルト21Baにより締結されてよい。また、導電線35の一端は、筐体40Cにおける複数の部材同士がボルト締結される他の締結部(例えば、筐体21Cの側面部21Caと筐体24Cとがボルト締結される部分)にボルト締結されてもよい。また、導電線35の一端は、旋回駆動装置40或いは旋回用電動機21単体の脱着時にアイボルトが螺着されるアイボルト取付部(不図示)が筐体21C或いは筐体24Cに設けられる場合、当該アイボルト取付部にボルト締結されてもよい。また、導電線35の一端は、旋回用電動機21に電力を供給するワイヤハーネスを保持するブラケットをボルトで締結するハーネス保持部(不図示)が筐体21C或いは筐体24Cに設けられる場合、当該ハーネス保持部にボルト締結されてもよい。これにより、筐体40Cに設けられる既存のボルト孔に導電線35の一端を締結することができるため、専用の取付座を設ける場合に比して、コスト上昇を抑制することができる。
【0056】
また、
図3に示すように、導電線35の他端(旋回フレーム3aとの接続端)は、例えば、旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト35Baで締結されてよい。この場合、導電線35は、略上下方向に延在する態様で配設される。また、導電線35の他端は、例えば、旋回駆動装置40に隣接し、上下方向に延在する旋回フレーム3aの壁部3aW(例えば、後述するブーム4が支持される構造体等)にボルト35Bbで締結されてもよい。この場合、導電線35は、筐体40Cと旋回フレーム3aの壁部3aWの側面との間に橋設されるため、導電線45の長さをより短くすることができる。そのため、導電線35のコストを抑制することができると共に、導電線35の組み付け作業や脱着作業等を容易に行うことが可能になる。
【0057】
また、導電線35の他端は、例えば、ショベルの所定の部品を取り付けるために設けられるボルト締結用の取付座に、所定の部品と共にボルト締結で取り付けられてよい。これにより、旋回フレーム3aに専用の取付座を設ける必要がないため、コストの上昇を抑制することができる。また、旋回フレーム3aは、塗装されることにより塗膜に覆われる場合があるところ、取付座に形成されるボルト孔は塗膜に覆われないため、当該取付座を利用することにより、導電線35と旋回フレーム3aとの間の電気的な接続態様を容易に実現することができる。
【0058】
例えば、
図4は、導電線35の接続態様の一例を示す図である。具体的には、
図4は、ショベルのオプション装備として選択可能なエンドアタッチメント(例えば、破砕機等)に作動油を供給する油圧ライン36(所定の部品の一例)を旋回フレーム3aに取り付けるための取付座3bに、導電線35の他端(旋回フレーム3aとの接続端)を取り付ける態様を示す図である。
【0059】
図4(a)に示すように、オプション装備として選択可能なエンドアタッチメントが設定されているショベルの場合、上部旋回体3を前後方向に縦断する態様で油圧ライン36が設けられる。油圧ライン36は、ブラケット36aを介して、旋回フレーム3aのブーム4が支持される構造体の壁部3aWに設けられる取付座3bに取り付けられる。旋回駆動装置40は、上部旋回体3の旋回中心付近、即ち、旋回フレーム3aのブーム4が支持される構造体の後方に隣接して設けられる。そのため、本例では、導電線35は、その一端が、旋回駆動装置40の筐体40Cの上端部、即ち、旋回用電動機21の筐体21Cの上端部(即ち、カバー部21Cb)に取付られ、他端が、旋回フレーム3aに設けられる油圧ライン36を取り付けるための取付座3bに取り付けられる。この際、導電線35の他端は、油圧ライン36のブラケット36bと共に、共締めされる。
【0060】
また、
図4(b)に示すように、オプション装備として選択可能なエンドアタッチメントが設定されていないショベルの場合、油圧ライン36が取り付けられないため、取付座3bに、導電線35の一端だけが取付けられる。
【0061】
このように、ショベルのオプション装備に関連する部品(オプション部品)を取り付けるために設けられる取付座3bに導電線35の他端を取り付けることにより、オプション装備が選択されない場合は、コスト上昇を抑制しつつ、ショベルの組立工程における導電線35と旋回フレーム3aとの取付作業を容易にできると共に、オプション装備が選択される場合は、共締め等により、オプション部品と導電線35とを同じ取付座に取り付けることで対応することができる。また、旋回フレーム3aのブーム4が支持される構造体の壁部3aWのように、旋回フレーム3aのフロア部3aFに対して比較的高い位置に導電線35の他端を接続することにより、上述の如く、旋回フレーム3aのフロア部3aFに対して比較的高い位置に設けられる旋回用電動機21の筐体21Cと旋回フレーム3aとの間を比較的短い経路で接続することができると共に、ショベルの組立工程における導電線35の取付作業を容易にすることができる。
【0062】
続いて、
図5は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(電動発電機12)からの放射ノイズを抑制する構造の他の例を示す図である。具体的には、
図5は、本実施形態に係るエンジン11、電動発電機12、減速機13、及びメインポンプ14を含む油圧駆動部の具体的な配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
【0063】
尚、
図5は、油圧駆動部を上部旋回体3の前方から見た正面図である。
【0064】
図5に示すように、エンジン11は、その駆動軸が略水平方向(左右方向)に沿う態様で、旋回フレーム3aに搭載される。具体的には、エンジン11の側面(具体的には、エンジンブロックの側面)には、振動等を吸収するラバー部を含む複数のエンジンマウント11Mが取り付けられ、各エンジンマウント11Mは、旋回フレーム3aのフロア部3aFで前後方向に延在する縦メンバ3aMに取り付けられることにより、エンジン11は、旋回フレーム3aに固定される。
【0065】
減速機13の筐体13Cは、減速機13の一方の入力軸(即ち、エンジン11の出力軸と連結される入力軸)が設けられる一端面において、エンジン11の右側面(即ち、エンジン11の出力軸が延出する側面)にボルトで締結される。
【0066】
電動発電機12の筐体12Cは、電動発電機12の駆動軸が略水平方向(左右方向)に沿う態様で、減速機13の筐体13Cの他端面(右側面)にボルトで締結される。
【0067】
メインポンプ14の筐体14Cは、メインポンプ14の駆動軸が略水平方向(左右方向)に沿う態様で、減速機13の筐体13Cの他端面(右側面)にボルト締結される。
【0068】
減速機13の他方の入力軸(即ち、電動発電機12の出力軸と連結される入力軸)は、出力軸(メインポンプ14の入力軸と連結される出力軸)より下方に設けられ、電動発電機12は、メインポンプ14の下方に配置される。
【0069】
エンジン11(のエンジンブロック)、筐体12C、筐体13C、及び筐体14Cは、例えば、鋳鉄、アルミダイカスト等の導電性を有し、比較的剛性が高い材質で構成される。また、エンジンマウント11Mは、ラバー部以外は、主に鋼板等の導電性を有する金属で構成される。そのため、エンジン11のエンジンブロック、筐体12C、筐体13C、及び筐体14Cと旋回フレーム3aとの間は、電気的に接続されている。
【0070】
また、本例では、油圧駆動部は、導電線45を介して、その外部に露出する筐体部(エンジン11のエンジンブロック、電動発電機12の筐体12C、減速機13の筐体13C、或いはメインポンプ14の筐体14C)が旋回フレーム3aと電気的に接続される。即ち、導電線45は、一端が油圧駆動部の筐体部に取り付けられると共に、他端が旋回フレーム3aに取付られる。これにより、電動発電機12の筐体12Cと旋回フレーム3aとの間に介在する減速機13の筐体13C、エンジン11のエンジンブロック、エンジンマウント11M等に起因する浮遊容量や浮遊インダクタンス等の影響で、電動発電機12の筐体12Cと旋回フレーム3a(即ち、グランド)との間に電位差が生じ易くなるところ、比較的インピーダンスが低い導電線45を通じて、電動発電機12で発生するノイズが筐体12Cから旋回フレーム3aに流れ易くなる。そのため、上述した
図3に示す一例と同様、筐体12Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差を抑制することができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0071】
また、導電線45の一端(即ち、油圧駆動部の筐体部との接続端)は、例えば、油圧駆動部の筐体部の中のエンジン11におけるエンジンマウント11Mとの取付部分よりも右側の位置(即ち、電動発電機12に近い側の位置)にあるエンジン11のエンジンブロック部分、減速機13の筐体13C、メインポンプ14の筐体14C、或いは電動発電機12の筐体12Cに取り付けられてよい。例えば、導電線45の一端は、
図5に示すように、筐体12Cに取り付けられる。これにより、油圧駆動部の筐体部における導電線45の接続部が筐体12Cに近づくため、上述した
図3に示す一例と同様、筐体12Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差をより抑制することができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0072】
また、上述した
図3に示す一例と同様、導電線45と油圧駆動部の筐体部及び旋回フレーム3aとの接続態様は任意である。例えば、導電線45の一端は、油圧駆動部の筐体部にボルトで締結されてよい。具体的には、
図5に示すように、導電線45の一端は、電動発電機12に電力を供給するワイヤハーネスを保持するブラケットがボルト12Baで締結されるハーネス保持部にボルト締結(共締め)されてよい。また、導電線45の一端は、電動発電機12の脱着時にアイボルト12Bbが螺着されるアイボルト取付部にボルト締結されてもよい。また、導電線45の一端は、上述した
図3に示す一例と同様、油圧駆動部の筐体部における複数の部材同士がボルト締結される締結部(例えば筐体12Cと筐体13Cとがボルト締結される部分)にボルト締結されてもよい。これにより、上述した
図3に示す一例と同様、油圧駆動部の筐体部に設けられる既存のボルト孔に導電線45の一端を締結することができるため、同様の作用・効果を得ることができる。
【0073】
また、
図5に示すように、導電線45の他端(旋回フレーム3aとの接続端)は、例えば、旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト45Baで締結されてよい。この場合、導電線45は、略上下方向に延在する態様で配置される。また、導電線45の他端は、上述した
図3に示す一例と同様、油圧駆動部(電動発電機12)に隣接する上下方向に延在する旋回フレーム3aの壁部3aWが存在する場合、当該壁部3aWにボルト締結されてもよい。これにより、上述した
図3に示す一例と同様、導電線45は、油圧駆動部の筐体部と旋回フレーム3aの壁部3aWの側面との間に橋設されるため、導電線45の一端の上下位置によっては、導電線45の長さをより短くすることができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0074】
また、導電線45の他端は、上述した
図3、
図4に示す一例と同様、例えば、ショベルの所定の部品を取り付けるために設けられるボルト締結用の取付座に、所定の部品と共にボルト締結で取り付けられてよい。これにより、同様の作用・効果を得ることができる。
【0075】
尚、本例では、電動発電機12は、減速機13を介してエンジン11に取り付けられるが、直接、エンジン11に取り付けられる態様であってもよい。
【0076】
続いて、
図6は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(インバータ18A,18B、昇降圧コンバータ100)からの放射ノイズを抑制する構造の更に他の例を示す図である。具体的には、
図6は、本実施形態に係るインバータ18A,18B、及び昇降圧コンバータ100の具体的な配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
【0077】
尚、
図6は、インバータ18A,18B、及び昇降圧コンバータ100が配置される、上部旋回体3の右側前部を右側から見た右側面図である。また、本例では、インバータ18A,18Bが同じ筐体18Cに収容されるため、以下の説明において、インバータ18A,18Bを包括的にインバータ18と称する。また、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、上部旋回体3の右側前部において、左右方向に並列に配置されるため、
図6に示す右側面図において、区別することなく説明を行う。
【0078】
図6に示すように、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、旋回フレーム3aのフロア部3aFに直接取り付けられるキャパシタ19の上方に配置される。具体的には、インバータ18及び昇降圧コンバータ100を上部に載置する載置面がキャパシタ19の上方を覆う態様で設けられ、当該載置面から下方に延出する脚部により旋回フレーム3aのフロア部3aFに取り付けられるブラケット60が設けられる。これにより、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、ブラケット60の上部の載置面にボルト18Ba及びボルト100Baによりボルト締結され、キャパシタ19の上に積層される態様で配置される。
【0079】
インバータ18、昇降圧コンバータ100の筐体18C,100Cは、例えば、アルミダイカスト等の導電性を有し、比較的剛性が高い材質で構成される。また、ブラケット60は、例えば、鋼板等の導電性を有する金属で構成される。そのため、筐体18C,100Cの各々と旋回フレーム3aとの間は、電気的に接続されている。
【0080】
また、本例では、筐体18C,100C、或いは、ブラケット60は、導電線55を介して、その旋回フレーム3aと電気的に接続される。即ち、導電線55は、筐体18C,100C、或いは、ブラケット60に取り付けられると共に、他端が旋回フレーム3aに取付られる。これにより、インバータ18、昇降圧コンバータ100
の筐体18C,100Cと旋回フレーム3aとの間に介在するブラケット60等に起因する浮遊容量や浮遊インダクタンス等の影響で、インバータ18、昇降圧コンバータ100の筐体18C,100Cと旋回フレーム3a(即ち、グランド)との間に電位差が生じ易くなるところ、比較的インピーダンスが低い導電線55を通じて、インバータ18及び昇降圧コンバータ100で発生するノイズが筐体18C,100Cから旋回フレーム3aに流れ易くなる。そのため、上述した
図3に示す一例等と同様、筐体18C,100Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差を抑制することができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0081】
また、導電線55の一端(即ち、筐体18C,100C或いはブラケット60との接続端)は、例えば、ブラケット60と旋回フレーム3aとの取付部分よりも上側の位置(即ち、インバータ18及び昇降圧コンバータ100に近い側の位置)にあるブラケット60の部分、或いは、筐体18C,100Cに取り付けられてよい。例えば、導電線55の一端は、
図5に示すように、筐体18C,100Cに取り付けられる。これにより、導電線55の接続部が筐体18C及び100Cに近づくため、上述した
図3に示す一例と同様、筐体18C,100Cと旋回フレーム3aとの間に発生する電位差をより抑制することができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0082】
また、上述した
図3に示す一例等と同様、導電線55と、筐体18C,100C或いはブラケット60、及び旋回フレーム3aとの接続態様は任意である。例えば、導電線55の一端は、筐体18C,100C或いはブラケット60にボルトで締結されてよい。具体的には、
図6に示すように、導電線55の一端は、筐体18C,100Cをボルト18Ba,100Baでブラケット60の載置面に締結する締結部にボルト締結(共締め)されてよい。また、導電線55の一端は、上述した
図3に示す一例等と同様、筐体18C,100Cにおける複数の部材同士がボルト締結される締結部(不図示)が設けられる場合、当該締結部にボルト締結されてもよい。また、導電線55の一端は、上述した
図3に示す一例等と同様、インバータ18、昇降圧コンバータ100に接続されるワイヤハーネスを保持するブラケットがボルト締結されるハーネス保持部(不図示)が筐体18C,100Cに設けられる場合、当該ハーネス保持部にボルト締結(共締め)されてもよい。また、導電線55の一端は、上述した
図3に示す一例等と同様、インバータ18、昇降圧コンバータ100の脱着時にアイボルトが螺着されるアイボルト取付部(不図示)が筐体18C,100Cに設けられる場合、当該アイボルト取付部にボルト締結されてもよい。これにより、上述した
図3に示す一例等と同様、筐体18C,100Cに設けられる既存のボルト孔に導電線55の一端を締結することができるため、同様の作用・効果を得ることができる。
【0083】
また、
図6に示すように、導電線55の他端(旋回フレーム3aとの接続端)は、例えば、旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト55Baで締結されてよい。この場合、導電線55は、略上下方向に延在する態様で配置される。また、導電線55の他端は、上述した
図3に示す一例等と同様、インバータ18、昇降圧コンバータ100に隣接する上下方向に延在する旋回フレーム3aの壁部3aWが存在する場合、当該壁部3aWにボルト締結されてもよい。これにより、上述した
図3に示す一例等と同様、導電線55は、筐体18C,100C或いはブラケット60と旋回フレーム3aの壁部3aWの側面との間に橋設されるため、導電線55の一端の上下位置によっては、導電線55の長さをより短くすることができ、同様の作用・効果を得ることができる。
【0084】
また、導電線55の他端は、上述した
図3に示す一例等と同様、例えば、ショベルの所定の部品を取り付けるために設けられるボルト締結用の取付座に、所定の部品と共にボルト締結で取り付けられてよい。これにより、同様の作用・効果を得ることができる。
【0085】
尚、本例(
図6)では、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の双方に対して、導電線55が設けられるが、例えば、放射ノイズの抑制が必要と判断される何れか一方に対してのみ、導電線55が設けられてもよい。
【0086】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
3 上部旋回体(旋回体)
3a 旋回フレーム
11 エンジン(他の部品)
11M エンジンマウント
12 電動発電機(電気駆動部)
12C 筐体
13 減速機(他の部品)
13C 筐体
18,18A,18B インバータ(電気駆動部)
18C 筐体
21 旋回用電動機(電気駆動部)
21C 筐体
24 旋回減速機(他の部品、減速機)
24C 筐体
35 導電線
40 旋回駆動装置
40C 筐体
45 導電線
55 導電線
60 ブラケット(他の部品)
100 昇降圧コンバータ(電気駆動部)
100C 筐体