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特許7391498垂れ性のあるプライを搬送してマンドレルで成形するためエンドエフェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】垂れ性のあるプライを搬送してマンドレルで成形するためエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20231128BHJP
   B65H 3/14 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B25J15/06 Z
B65H3/14
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018141204
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2019038101
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】15/672,550
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ゴース ペトロフスキー
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-249200(JP,A)
【文献】特開2001-162575(JP,A)
【文献】特開昭62-251094(JP,A)
【文献】特開2014-194991(JP,A)
【文献】特表2015-528404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65H 3/08 - 3/14
B65G 47/91
B29C 70/00 - 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットのエンドエフェクタを含む装置であって、前記エンドエフェクタは、
フレームと、
前記フレームに取り付けられているとともに、各々が第1又は第2のシャフト及びヘッド部を含むカップアセンブリと、
前記カップアセンブリの前記ヘッド部に取り付けられ、正圧が印加されるベルヌーイカップと、
前記カップアセンブリの前記ヘッド部に取り付けられ、負圧が印加されるグリッパと、
圧力レギュレータを介して印加される圧力を制御するコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記グリッパに印加された負圧を減少させることに応答して、前記ベルヌーイカップを作動させ、
前記コントローラは、前記圧力レギュレータによって印加される圧力を制御し、当該制御において、前記エンドエフェクタが材料のプライを搬送する間は、負圧を維持し、前記プライがマンドレル上方に配置された後は、負圧を緩和し、
前記ベルヌーイカップは、当該ベルヌーイカップを含む前記カップアセンブリに対して前記プライが浮動することを可能にする、装置。
【請求項2】
前記カップアセンブリは、フローティングカップアセンブリであり、
各フローティングカップアセンブリは、
前記ベルヌーイカップのうちの少なくとも1つと、
前記グリッパのうちの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップに、正圧に加圧されたガスを印加する空気圧ラインと、
前記フローティングカップアセンブリの遠位表面に、前記少なくとも1つのグリッパと流体連通して配置されたポートと、
前記少なくとも1つのグリッパに負圧を印加して、前記ポートに吸引力を発生させる前記圧力レギュレータと、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップに連結されており、前記少なくとも1つのベルヌーイカップが垂直方向に並進移動することを可能にする前記第1のシャフトと、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップが、前記第1のシャフトを中心として枢動
して表面に沿うことを可能にするベアリングと、を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加することによって、前記ベルヌーイカップを作動させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
各ベルヌーイカップは、レバーアームとして機能するエクステンダを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記エクステンダは、前記ベルヌーイカップを枢動させて新たな配向にするために必要な力を減少させる、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エクステンダが取り付けられたカップアセンブリにおける遠位表面に配置されたポートをさらに含む、
請求項4に記載の装置。
【請求項7】
各カップアセンブリにおける加熱部材と
各カップアセンブリにおいて、対応する加熱部材を制御して作動させて材料のプライに接触させる空気圧アクチュエータと、をさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記フレームに取り付けられた固定カップアセンブリをさらに含み、当該固定カップアセンブリは、
プライを保持するための吸引カップと、
前記吸引カップの内部に負圧を印加する空気圧ラインと、
前記吸引カップに連結されているとともに、前記空気圧ラインを収容する前記第2のシャフトと、を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
休止状態において、前記固定カップアセンブリの前記吸引カップは、前記ベルヌーイカップと同一平面にある、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持することと、
前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置することと、
前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させることと、
前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに、正圧を印加することと、
前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせることと、を含む方法。
【請求項11】
前記グリッパは、前記カップアセンブリに配置されており、前記プライに形をつけることなく真空圧を印加する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プライを滑らせることにより、前記プライが変形するのに伴って、前記カップアセ
ンブリの前記ベルヌーイカップを前記プライに沿って浮動させ、枢動させ、垂直方向に変位させる、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
圧力レギュレータを介して前記グリッパに印加される圧力を制御することをさらに含み、当該制御において、
前記エンドエフェクタが前記プライを搬送する間は、負圧を維持し、
前記プライが前記マンドレル上方に配置された後は、負圧を減少させる、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
負圧を減少させることに応答して、前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加し、これにより、前記プライが前記カップアセンブリの各々に対して浮動することを可能にすることをさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
負圧を減少させることは、前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加することと同時に実行される、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記カップアセンブリの前記グリッパを介して前記プライを保持することは、前記ベルヌーイカップのエクステンダにおいて前記プライに対向するポートに前記グリッパを通して負圧を印加することを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記保持すること、配置すること、及び、滑らせることは、前記エンドエフェクタの操作を指示する数値制御(NC)プログラムにしたがって実行される、
請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に沿わせることは、前記エンドエフェクタを介して、前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に押し当てることを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記プライを保持することは、さらに、前記プライの中心部に接触する吸引カップを介して実行され、前記カップアセンブリは、前記プライの前記中心部を取り囲んで配置されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されると方法を遂行させるためプログラム命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、当該方法は、
各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持することと、
前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置することと、
前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させることと、
前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに、正圧を印加することと、
前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせることと、を含むものである、媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット工学の分野に関し、より具体的には、ロボット用のエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは、様々な目的及び作業に利用することができる。製造及び組立の環境では、材料のプライをピックアップし、マンドレルに搬送して成形するために用いられるロボットもある。このようなロボットは、プライをピックアップし、また、そのプライに力を印加してプライをマンドレルに沿わせるエンドエフェクタを含む場合がある。
【0003】
例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)を製造する環境では、ロボットは、エンドエフェクタを用いてプライをピックアップし、プライの表面形状を規定するマンドレルにそのプライを配置する。この処理は、複数のプライについて複数回繰り返される場合もあり、これによってドライ炭素繊維の複合材プリフォームが生成される。次いで、この複合材プリフォームに硬化性樹脂を含浸させ、硬化させることで、CFRPが成形される。どのCFRP製品においても皺は望ましくないので、プライをマンドレルに積層するレイアップ処理の際は、各プライにおける皺の発生を防止することが望ましい。さらに、ドライ炭素繊維のプライは繊細なため、搬送や配置の際に、エンドエフェクタが、プライに不要な変形を生じさせうる力を加えないことも重要である。
【0004】
この問題は、ロボットを垂れ性のあるプライの搬送に利用する場合に特に懸念される。そのような材料の例として、一方向炭素繊維体の複数列(rows of unidirectional carbon fiber)を縫合したものがある。一方向炭素繊維の各列は、その長さ方向には高い剛性を有するが、それぞれの列を縫合しているステッチは、各列自体よりも剛性が低い。それぞれの列を繋ぎ合わせているステッチが各列そのものよりも剛性が低いので、各列を個々に支えていないと、他の列から垂れ下がった状態(hang limp)になる。これは、マンドレルに配置するプライを搬送する際に問題となる。なぜならば、プライをマンドレルに配置する時に、プライにおける垂れ下がり部分が、プライの他の部分の下に折り返される可能性があり、この結果、1層のみ配置すべきところに複数の層が重なることになりうる。このような重なりがあると、プライは、マンドレルによって規定される所望の最終形状に対して基本的に逸脱することになる。また、プライの垂れ下がり部分が折り返されると、複数の皺、屈曲及び/又は反りも発生する。これらは、いずれも望ましいものではなく、マンドレルによる成形後のプライが使用できないものになる可能性がある。
【0005】
よって、CFRPの製造者は、有用でコスト効率のよいエンドエフェクタ技術、とりわけ、垂れ性があり、自重を支えることができない材料に関する技術の追求を続けている。したがって、上述した問題のうちの少なくともいくつかと、その他の考えられる問題を考慮に入れた方法及び装置を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載の実施形態は、改良されたエンドエフェクタを提供し、前記エンドエフェクタは、複数のフローティングカップアセンブリを含み、前記フローティングカップアセンブリは、各々が、材料のプライを搬送するための真空グリッパを含み、また、各々が、前記材料プライが配置された後に前記プライを成形するためのベルヌーイカップを含む。前記グリッパは、吸引力を利用して、搬送中のプライがたるんだり、あるいは、垂れ下がったりすることを防ぐ。これに対し、前記ベルヌーイカップは、ベルヌーイの定理を利用して、前記プライが前記エンドエフェクタに保持された状態で、前記プライの一部を水平方向に浮動させることができ、また、前記プライを配置するマンドレルの表面に対して前記プライを沿わせるために、枢動及び垂直方向に変位することができる。前記ベルヌーイカップが前記プライに対して浮動することにより、前記エンドエフェクタは、前記マンドレルの前記表面に沿って前記プライを変形させる際も含め、成形中に、前記プライを損傷させたり、皺を形成したりすることはなく、前記プライを固定保持することができる。
【0007】
一実施形態は、ロボットのエンドエフェクタを含む装置に関する。前記エンドエフェクタは、フレーム、及び、当該フレームに取り付けられたカップアセンブリを含む。前記カップアセンブリは、各々がシャフト及びヘッド部を含む。前記エンドエフェクタは、さらに、前記カップアセンブリの前記ヘッド部に取り付けられたベルヌーイカップ、及び、前記カップアセンブリのヘッド部に取り付けられたグリッパを含む。
【0008】
さらに別の実施形態は、方法に関する。前記方法は、各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持することと、前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置することと、を含む。前記方法は、さらに、前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させることと、前記カップアセンブリのベルヌーイカップに正圧を印加することと、前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせることと、を含む。
【0009】
さらに別の実施形態は、プロセッサによって実行されると方法を遂行させるためプログラム命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。前記方法は、各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持することと、前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置することと、を含む。前記方法は、さらに、前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させることと、前記カップアセンブリのベルヌーイカップに、正圧を印加することと、前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせることと、を含む。
【0010】
他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関する方法及びコンピュータ可読媒体)については後述する。上述した特徴、機能及び効果は、様々な実施形態によって個別に達成可能であり、あるいは、さらに他の実施形態と組み合わせることが可能である。そのような他の実施形態の詳細は、以下の説明及び図面を参照することにより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下に、添付図面を参照して、本開示のいくつかの実施形態を説明するが、これらは、あくまでも例である。すべての図面において、同一の要素又は同一の種類の要素については、同一の参照符号を用いる。
【0012】
図1】例示的な実施形態における製造セル内で動作するロボットを示すブロック図である。
図2-3】例示的な実施形態におけるドライ炭素繊維のプライの搬送及び成形に使用されるロボットのエンドエフェクタを示す図である。
図4-5】例示的な実施形態における炭素繊維のプライをマンドレルに配置する様子を示す図である。
図6-7】例示的な実施形態におけるエンドエフェクタのフローティングカップアセンブリを示す図である。
図8-9】例示的な実施形態におけるエンドエフェクタの固定カップアセンブリを示す図である。
図10】例示的な実施形態におけるロボットのエンドエフェクタの操作方法を示すフローチャートである。
図11】例示的な実施形態におけるドライ炭素繊維のプライの搬送及び成形に使用されるロボットを示すブロック図である。
図12】例示的な実施形態における航空機の製造及び使用方法を示すフロー図である。
図13】例示的な実施形態における航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面及び下記の記載は、本開示の特定の例示的な実施形態を示す。当業者であれば、本明細書に明確な記載や図示がなくても、本開示の原理を実現する様々な変形を考案することが可能であるが、そのような変形も本開示の範囲に含まれることは理解されよう。加えて、本明細書に記載の実施例は、いずれも本開示の原理の理解を助けることを目的としており、記載した具体的な実施例や状況に限定するものではないと認識されるべきである。よって、本開示は、以下に記載する特定の実施形態又は実施例に限定されるのではなく、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ限定される。
【0014】
図1は、例示的な実施形態において、製造セル(manufacturing cell)100内で、ドライ炭素繊維のプライ170をマンドレル160上に配置するよう動作するロボット150を示す図である。製造セル100は、CFRP部品の製造、作製及び/又は組立を補助するロボット150が動作するための任意の空間102を構成する。例えば、製造セル100は、工場のフロアにおいて囲まれた空間、又は、開放された空間を有する。図1によれば、製造セル100は、空間102、ベース110、ベース110に取り付けられたロボット150、プライ170及びマンドレル160を含む。ベース110は、製造セル100内の固定位置に設置された構造部品を含んでもよく、あるいは、工場のフロアを走行して、ロボット及び/又はツールを様々な構成に配置できる移動体(例えば、カート)を含んでもよい。したがって、実施形態によっては、ベース110、プライ170及びマンドレル160は、工場のフロアを移動及び/又は走行可能な構成である。ロボット150は、ベース110に取り付けられており、また、作動機構(kinematic chain)156を構成する複数のアクチュエータ112、114、116、118及び剛性のボディ120、130を含む。ロボット150は、配索構造(dressing)140(例えば、配線)を含むとともに、プライ170を搬送し、マンドレル160でプライ170を成形するエンドエフェクタ132も含む。搬送中、エンドエフェクタ132は、プライ170に皺や反りが生じないようにプライ170を保持する。
【0015】
コントローラ152は、エンドエフェクタ132及び撮像システム134を含めたロボット150の動作を指示する。コントローラ152は、例えば、カスタム回路によって実現してもよいし、プログラムされた命令を実行するプロセッサとして実現してもよいし、その組み合わせによって実現してもよい。
【0016】
プライ170は、ドライ炭素繊維のプライとして説明する。例えば、プライ170は、四辺形に形成するように一方向炭素繊維体の複数列を縫合したものである。このような実施形態において、複数列間を縫合しているステッチは、隣接する列を互いに平坦に維持するには剛性が不十分な場合があり、プライ170の各列は、支えがないと垂れ下がった(たるんだ)状態になりうる。さらに他の実施形態において、プライ170は、任意の適当な乾燥繊維のプリフォームを構成し、これに硬化性樹脂を含浸させて、複合部品に成形される。例えば、プライ170は、ファイバーグラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、木繊維などを含み、場合によっては、「プリプレグ」よりも少ない量の粘着付与剤(例えば、熱硬化性または熱可塑性の粘着付与剤)を含む。
【0017】
図2図3は、エンドエフェクタ132を示しており、真空及び/又は空気圧の差を利用してプライ170をエンドエフェクタ132に固定している。具体的には、図2は、図1の矢印2で示す方向から見たエンドエフェクタ132の斜視図であり、図3は、図2の矢印3の方向から見たエンドエフェクタ132の底面図である。本実施形態において、エンドエフェクタ132は、ロボット150の剛性ボディに取り付けられた支持体210を含む。フレーム220は、支持体210に取り付けられているとともに、部材230及び部材240を含む。フローティングカップアセンブリ250は、連結部材252を介して部材240の軌条242に取り付けられている。また、搬送の際にプライ170を各フローティングカップアセンブリに固定するための吸引力を作用させるグリッパ270を含む。エンドエフェクタ132は、さらに、フレーム220に、フローティングカップアセンブリ250と類似の態様で固着された固定カップアセンブリ260を含む。
【0018】
図3は、部材230に固定された部材240を示す。図3は、さらに、支持体210及び部材230が取り付けられた部材320も示している。部材320には、空気圧マニホールド330が取り付けられており、またエゼクタ340も取り付けられている。空気圧マニホールド330は、フローティングカップアセンブリ250のベルヌーイカップ370には、正圧に加圧したガス(例えば、空気)を供給し、フローティングカップアセンブリ250の空気圧アクチュエータ(後述する)には空気を供給し、及び/又は、グリッパ270には、図2の圧力レギュレータ275を介して(例えば、負圧にしたガスによって)負圧を供給する。一実施形態では、エゼクタ340は、ガスを介してグリッパ270に負圧を供給する。本実施形態のエゼクタ340は、固定カップアセンブリ260が利用する負圧を発生させるベンチュリ真空発生器である。本明細書において、「負圧」なる用語は、エンドエフェクタ132の動作環境における周囲圧力より低い圧力を意味する。
【0019】
ポート390も、図3に示されている。ポート390は、グリッパ270と流体連通しており、グリッパ270から吸引力を作用させて、プライ170が水平方向に浮動できないように固定保持する。ポートは、搬送中のプライ170のすべての列を物理的に支持することができるように、遠位表面392(即ち、フレームから遠い側の面であり、搬送時にプライ170に対向する面)全体に分散して配置されている。これにより、プライ170のたるみが防止され、よって、マンドレル160でプライ170を成形する時に、望ましくない重なりや皺が発生する可能性を排除することができる。
【0020】
空気圧マニホールド330を経由して正圧の空気流がフローティングカップアセンブリ250に供給されると、フローティングカップアセンブリ250のベルヌーイカップ370から空気流350が排出される。これにより、プライ170を引き付けてフローティングカップアセンブリ250に接触させる圧力が生成されるが、マンドレル160の表面に対するプライ170のモールドの際に、プライ170が水平方向に浮動することは可能である。固定カップアセンブリ260のインレット362も図示されている。一実施形態では、このインレットを使って、固定カップアセンブリ260から空気を吸い出して、プライ170をエンドエフェクタ132に固定保持するための負圧(即ち、吸引力)を発生させる。
【0021】
各フローティングカップアセンブリは、グリッパ270、ポート390及びベルヌーイカップ370を含むので、ピックアップ及び搬送時におけるプライ170の固定と、配置時とで異なる技術を用いることができる。例えば、ピックアップ及び搬送時には、グリッパ270及びポート390を動作させ、配置時にはベルヌーイカップ370を動作させる。
【0022】
記載したエンドエフェクタ132のアーキテクチャに基づいて、プライ170の搬送時及び成形時におけるエンドエフェクタ132の動作を図4図5に示し、説明する。
【0023】
図4は、図1の矢印4で示した方向から見たマンドレル160の側面図である。具体的には、図4は、マンドレル160の上方でプライ170を平坦に保持するエンドエフェクタ132を示している。プライ170の表面172は、フローティングカップアセンブリ250及び固定カップアセンブリ260に接触している。搬送時には、各グリッパ270が、ポート390を介してプライ170の複数個所に真空圧/吸引力を印加する。これにより、搬送中のプライ170の浮動を抑制することができ、また、搬送中のプライ170を充分に支持して垂れ下がりを防止することができる。この後、プライ170を、マンドレル160上に配置し、湾曲表面162に沿った形状に成形する。プライ170の中点174を固定カップアセンブリ260と整列させるとともに、マンドレル160の表面162の中点164と整列させる。エンドエフェクタ132をマンドレル160に向かって移動させると、固定カップアセンブリ260が、プライ170をマンドレル160に接触させる最初の部材になる。
【0024】
プライ170を最初にマンドレル160に接触させた後にプライ170を成形/モールディングする間、圧力レギュレータ275を介してグリッパ270に印加される負圧を、コントローラ152によって、減少させるか、経時的に減少させるか、あるいは、停止させてもよい。グリッパ270に対する負圧を減少させると、ベルヌーイの定理によって、ベルヌーイカップ370に圧力差を発生させることができる。よって、フローティングカップアセンブリ250は、成形の際に、(グリッパ270を介した)吸引力を用いてプライ170を固定保持して浮動を許容しない状態(ただし、垂直方向の変位(vertical deflection)は許容)から、ベルヌーイの定理を(ベルヌーイカップ370により)利用してプライ170を固定保持しつつも、(例えば、横方向)の浮動を許容する状態へ移行する。このプロセスの間、固定カップアセンブリ260により生成される吸引力は、維持される。これにより、プライ170のうち、フローティングカップアセンブリ250に位置する部分については、滑り移動/スライド移動を可能にしつつ、プライ170の中心については、固定カップアセンブリ260によって所望の位置に固定することができる。
【0025】
図4に対応する図5に示すように、エンドエフェクタ132を方向510に沿ってマンドレル160に向かって降下させると、プライ170は表面162に沿った形状に成形され、湾曲形状になる。成形中にグリッパ270は無効にされ、この間、フローティングカップアセンブリ250は、プライ170の表面172に対してX及びYに沿って水平方向に摺動(即ち、浮動)する。さらに、フローティングカップアセンブリ250は、表面162の形状に沿うように、Z沿いの位置変位が可能であり、また、枢動も可能である。これにより、成形プロセスを通じて、マンドレル160の表面162によりプライ170に輪郭形状を押し付ける際も、プライ170がフローティングカップアセンブリ250に接触した状態を維持することができる。さらに、皺を発生させることなく、マンドレル160によってプライ170に湾曲形状を成形できる。仮に、成形時において、プライ170が(表面に沿って)自在に浮動できない状態でフローティングカップアセンブリ250に固定されているような場合は、プライ170に湾曲形状を押し付けると、プライ170に皺が発生することになる。固定カップアセンブリ260とフローティングカップアセンブリ250との間の距離は、プライ170がマンドレル160に配置され、フローティングカップアセンブリ250が表面162に沿うに連れて、大きくなる。この結果、プライ170は引っ張られるが、フローティングカップアセンブリ250に対しては引き続き浮動可能な状態である。したがって、プライ170の材料をエンドエフェクタ132に対して摺動させることで、この距離の増加に対応することができる。つまり、プライ170は、グリッパ270に対して摺動することで、マンドレル160の形状に適合することができる。このように、フローティングカップアセンブリ250により、皺を発生させることなくプライ170を表面162に沿わせることができるとともに、グリッパ270を用いて、マンドレル160に配置する前のプライ170の垂れ下がり、あるいは、たるみの発生を防止することができる。加えて、仮に、エンドエフェクタ132がフローティングカップアセンブリ250のみを用いるものであると、プライ170全体がエンドエフェクタ132に対して水平方向に滑る可能性がある。この結果、成形時にプライ170の位置ずれ及び角度ずれが生じうる。エンドエフェクタ132は、1つの固定カップアセンブリ260を複数のフローティングカップアセンブリ250と組み合わせて用いるので、成形時には、プライ170を適切な位置及び配向に配置することができ、マンドレル160に押し当てる際には、皺を発生させることなくプライをマンドレル160の形状に沿わせることができる。
【0026】
上述の概念をまとめると、フローティングカップアセンブリ250に対してプライ170が滑ることができる構成にすることで、大きな効果が得られる。プライ170は、持ち上げる前の初期状態では平坦である。また、プライ170は、持ち上げられた状態でも、実質的に平坦なままである。よって、フローティングカップアセンブリ250間の距離は、直線距離である。ただし、マンドレル160に配置されると、プライ170は湾曲形状に追従するので、フローティングカップアセンブリ250間の距離が直線距離よりも長くなる。つまり、皺を発生させることなく形状を適合させるには、フローティングカップアセンブリ250間のプライ170の量を増やす必要が生じるが、フローティングカップアセンブリとプライ170間の滑り移動によって、これが達成される。
【0027】
図6図7は、さらに、フローティングカップアセンブリ250の部材を示す。具体的には、図6は、図4の領域6に対応し、図7は、領域6の斜視図である。図6に示すように、フローティングカップアセンブリ250は、先端部600及び空気圧ライン695を含む。空気圧ライン695は、空気圧マニホールド330を介して加圧ガス(例えば、空気)の供給を受ける。この加圧ガスは、フローティングカップアセンブリ250のベルヌーイカップ370から噴出される。フローティングカップアセンブリ250は、さらに、開口612を有するブラケット610を含み、開口に、連結部材を挿入することで、フローティングカップアセンブリ250を図2の軌条242に固定することができる。
【0028】
図6図7は、さらに、レギュレータ275から別の空気圧ライン(図示せず)を経由して負圧が供給されるグリッパ270を示している。グリッパ270が負圧を受けている間、負圧がポート390からベンチュリエクステンダ650の領域全体に印加される。これにより、フローティングカップアセンブリ250は、プライ170の殆どの部分を把持/吸着する。プライ170の把持により、プライ170の並進/浮動が抑止され、ベルヌーイ効果は利用されない。成形時には、圧力レギュレータ275がグリッパ270に印加する負圧を減少させるので、ベルヌーイカップ370は、空気圧ライン695から空気流を受け、これにより、プライ170の垂直方向の支持は維持したまま、フローティングカップアセンブリ250に対するプライ170の横方向の浮動を許容することができる。さらに他の実施形態では、ベルヌーイカップ370は、プライ170のピックアップ時、搬送時、及び、配置時のすべてにおいてオンにしておく。
【0029】
シャフト632は、伸縮自在であり、ヘッド部670を支持する。ばね634によって、シャフト632は、プライ170が押圧されて表面162の形状に適合して変形するのに伴ってZ方向に収縮することができ、休止時は、シャフト632は、初期位置及び/又は長さに戻ることができる。本実施形態では、圧縮ばね620である付勢デバイスは、休止時には、ヘッド部670を枢動させて初期の(例えば、平坦な)配向に戻して、ヘッド部670を水平に保つ。カラー630は、圧縮ばね620を固定保持する。ピボット660(例えば、自在継手の一種)は、ヘッド部670をシャフト632に対して1つ以上の軸に沿って枢動させる。
【0030】
ヘッド部670は、ベンチュリエクステンダ650も含む。ベンチュリエクステンダ650は、レバーアーム(lever arm)として機能し、表面と接触した場合に、当該表面との接触点において、ヘッド部670(よって、ベルヌーイカップ370)を当該表面に直角な配向に枢動させるのに必要な力を減少させることができる。ベルヌーイカップ370をプライ170の表面172に対して直角に保持することにより、ベルヌーイカップ370が意図通りに動作し、プライ170に対して力を均一に印加することができる。
【0031】
本実施形態では、ヘッド部670は、さらに、加熱部材690(たとえは、熱遮蔽された加熱部材)を含む。空気圧アクチュエータ692が加熱部材690を作動させて、ベンチュリエクステンダ650に設けられた穴694を介して、加熱部材690をプライ170に接触させたり、離間させたりするように、加熱部材690を駆動する。空気圧ライン680は、空気圧マニホールド330から空気圧アクチュエータ692に空気を供給する。プライ170の成形時には、エンドエフェクタ132は、加熱部材690を作動させて、加熱部材690を表面172に接触させる。これにより、プライ170を、少なくとも華氏180度を超える粘着温度(tacking temperature)(例えば、190°F)に加熱する。この温度になると、プライ170は(例えば、先にマンドレル160に設置されたプライ170、あるいは、マンドレル160そのものに対して)粘着する。つまり、粘着することで、先に配置されたプライに対するプライの滑りの防止を助けることができる。これにより、レイアップの際に、仮にプライ170がマンドレル160に対して実質的に垂直の配向でレイアップする場合でも、エンドエフェクタ132を外した後にプライ170がマンドレル160から滑り落ちたり、離脱したりしないようにできる。よって、エンドエフェクタ132は、次のプライを取得し、マンドレル160で成形して、複数層からなる複合部品用のプリフォームを形成することができる。加熱部材690はヘッド部670に一体化されているので、プライ170の成形時に、プライ170の表面に対して直角な配向に変位することができる。また、この動作は、別個のベアリングや支持構造を必要とすることなく実現できる。
【0032】
図7は、図6に示したものと類似の特徴を示す。具体的には、図7は、フローティングカップアセンブリ250の斜視図であり、グリッパ270、圧力レギュレータ275及び加熱部材690が明確に示されている。また、この斜視図は、アクチュエータ692の動作によって、加熱部材690の位置が方向Zに沿って物理的にどのように変化するかをより明確に示している。つまり、図7は、図6と組み合わせて、上述した図6の様々な部材について、状況に応じたより詳細な理解を促すものである。
【0033】
図8図9は、さらに、固定カップアセンブリ260の部材を示す。具体的には、図8は、図4の領域6に対応し、図9は、領域8の斜視図である。固定カップアセンブリ260は、図3の部材320に固定して取り付けられたブラケット820を含む。空気圧ライン810は、固定カップアセンブリ260における圧力を制御する。よって、吸引カップ830に吸引力を作用させて、エンドエフェクタ132に接触した状態でプライ170を固定保持するための負圧を(例えば、負圧の空気を介して)印加するのに利用される。この実施形態では、固定カップアセンブリ260は、吸引カップ830を螺合により固定するフィッティング840をさらに含む。シャフト850は、ばね852と協働し、プライ170をマンドレル160で成形する間、吸引カップ830が垂直方向(即ち、Z方向)に並進移動できるようにする。
【0034】
エンドエフェクタ132の技術的な部材の詳細は十分に説明したので、以下に、エンドエフェクタ132の動作について図10を参照して説明する。この実施形態では、エンドエフェクタ132は、ドライ炭素繊維のプライをマンドレル160にレイアップして、成形用積層体(multi-layer charge)を形成し、これに硬化性樹脂を含浸させ、硬化させてCFRPを成形するものとする。
【0035】
図10は、例示的な実施形態においてエンドエフェクタ132を操作してドライ炭素繊維のプライをレイアップさせる方法1000を示すフローチャートである。方法1000のステップは、図1のエンドエフェクタ132及びロボット150を参照して説明されるが、方法1000は、他のシステムでも実行可能なことは、当業者には理解されよう。本明細書で説明するフローチャートは、必ずしもすべてのステップを網羅するものではなく、図示しない他のステップも含まれうる。また、本明細書に記載のステップは、別の順序で実行することも可能である。
【0036】
エンドエフェクタ132を、プライ170(例えば、積層された多くのプライ170のうちの1つ)の上方の位置に移動させる。エンドエフェクタ132の配置は、例えば、コントローラ152のメモリに格納された数値制御(NC)プログラムの命令にしたがって行うことができる。次いで、エンドエフェクタ132をプライ170に接触させる。プライ170をエンドエフェクタ132に接触させた状態で確実に保持するため、固定カップアセンブリ260及び複数のフローティングカップアセンブリ250を動作させて、圧力差を発生させる。具体的には、グリッパ270に印加された負圧によってプライ170が引き寄せられて、フローティングカップアセンブリ250に対して摺動しない状態で接触する。これにより、フローティングカップアセンブリ250に対するプライ170の横方向の移動が抑制され、プライ170がポート390によって固定保持され、フローティングカップアセンブリ250の領域全体にわたりプライ170のたるみが抑制される。この間、固定カップアセンブリ260は、例えば、プライ170の中心点においてプライ170に吸引力を印加して、プライ170の位置をさらに固定する。このようにして、フローティングカップアセンブリ250の複数のグリッパ270によって、垂れ性のあるドライ炭素繊維のプライ170に形をつけることなく(例えば、プライ170を平坦な形状から逸脱させることなく)、プライ170をエンドエフェクタ132に接触させて保持する(ステップ1002)。
【0037】
次いで、プライ170を保持したままのエンドエフェクタ132をマンドレル160まで移動させる。例えば、エンドエフェクタ132は、固定カップアセンブリ260をプライ170の中点174と整列するように移動させてもよい。プライ170をエンドエフェクタ132に接触させて保持したまま、エンドエフェクタ132を移動させて、プライ170の中点/中心部174を、湾曲表面162を有するマンドレル160の中点164上方に位置させる(ステップ1004)。このステップは、フローティングカップアセンブリ250の作用によって、プライ170に形をつけないように実行される。つまり、エンドエフェクタ132は、プライ170をマンドレル160に配置する前に、プライ170を平坦な形状から逸脱させることはない。つまり、プライ170は、エンドエフェクタ132によってマンドレル160に押し当てられて変形するまでは、扁平及び平坦なままであり、プライ170はその状態でマンドレル160まで移動される。
【0038】
プライ170が整列配置されると、図5に示すように、エンドエフェクタ132をマンドレル160まで降下させる。固定カップアセンブリ260がマンドレル160に接触すると、コントローラ152は、グリッパ270に印加される負圧を減少(即ち、真空を解除)させ、これとともに、ベルヌーイカップ370に正圧に加圧したガスを印加する(増加させる)(ステップ1006)。例えば、グリッパ270への負圧の減少は、ベルヌーイカップ370への正圧の増加と同時に実行してもよい。これらの遷移は、実質的に瞬時に完了してもよいし、ある期間(例えば、1~3秒)をかけて線形的に行わせてもよい。この遷移のタイミングは、NCプログラムで示される既知の位置から予め定めることもできるし、一実施形態では、マンドレル160による固定カップアセンブリ260に対する押し返しを検出するセンサ(図示せず)からのフィードバックにより定めることもできる。
【0039】
また、コントローラ152は、エンドエフェクタ132に指示して、プライ170をマンドレル160の表面162で成形するために十分な力を印加させる。この間は、ベルヌーイカップ370が有効にされ、グリッパ270が無効にされるので、力が印加されるにつれて、フローティングカップアセンブリ250は表面162に沿って変位し(即ち、表面162に対して滑り移動し)、また、表面162に対して直角な配向に向く。よって、エンドエフェクタ132は、プライ170をマンドレル160の湾曲表面162に沿わせて、プライ170をベルヌーイカップ370に対して滑らせる(ステップ1008)。このプロセスの間、ベルヌーイカップ370は、湾曲表面との接触に応じて3軸方向に沿って移動し、また、湾曲表面との接触に応じて枢動する。つまり、フローティングカップアセンブリ250は、プライ170を表面162に沿わせる下向きの圧力を印加しつつ、プライ170の表面172のX軸及びY軸方向に沿って自在に滑り移動及び/又は浮動する。さらに、圧縮ばね620はベルヌーイカップ370がZ軸に沿って変位することを可能にし、また、フローティングカップアセンブリ250のベアリング710がベルヌーイカップ370を枢動可能にしているので、表面162の傾斜部分に確実に適応することができる。つまり、プライ170を湾曲表面162に沿わせると、プライ170の変形にともなって、ベルヌーイカップ370がプライ170に沿って浮動し、枢動し、垂直方向に変位する。これにより、ベルヌーイカップ370は、マンドレル160の表面と係合し、ベルヌーイカップ370は、マンドレル160の表面との接触点において直角な配向になる(ステップ1010)。このようにフローティングカップアセンブリ250を使用することで、プライ170は、エンドエフェクタ132に確実に保持された状態で、マンドレル160により変形する。さらに、ベルヌーイカップ370がプライ170に沿って浮動及び枢動するので、プライ170は、皺を発生させることなく成形される。
【0040】
この方法は、さらに、プライ170の成形後に加熱部材690を作動させること、及び、プライ170を加熱して、プライ170の温度を、プライ170がマンドレル160に粘着する粘着温度(例えば、190°F)まで上昇させることを含みうる。さらに、方法1000を繰り返して、複数のドライ炭素繊維プライをレイアップし、ドライプリフォームを成形することができる。上記保持すること、配置すること、及び、沿わせること、滑らせること、また、その他のステップは、すべて、エンドエフェクタの操作を指示する数値制御(NC)プログラムにしたがって実行されうる。
【0041】
本明細書に記載のエンドエフェクタは、安価且つ軽量であるので、プライを搬送するための他の設計にくらべて大幅な効果が実現される。つまり、プライの搬送に、重量の大きいロボット(例えば、数トンの重量のロボット)の代わりに、軽量なロボットを利用できることを意味する。軽量なロボット(例えば、20ポンド、あるいは、200ポンドよりもずっと少ない重量のみを搬送可能なコラボレーション・ロボット)を使用すると、技術者とロボットとが同じスペースで協働して作業することが可能になる。軽量のロボットは、技術者と衝突するような事態になっても、技術者にけがを負わせる可能性を大幅に低減させるような態様で使用することができる。小型で軽量なロボットの使用により、高価で場所を取るトラックの必要性を排除することができ、工場環境における床面積をさらに節約することができる。
【実施例
【0042】
以下の実施例では、改良型のエンドエフェクタを用いてドライ炭素繊維のプライをレイアップするロボットに関連させて、追加のプロセス、システム及び方法を説明する。
【0043】
図11は、例示的な実施形態におけるドライ炭素繊維のプライの搬送及び成形に使用されるロボットを示すブロック図である。図11によれば、製造セル1100は、ベース1102に取り付けられたロボット1110を含む。ロボット1110は、プライ1170をマンドレル1160に沿わせるために使用され、この際、位置1174が位置1164と整列するように表面1172を表面1162に沿わせる。ロボット1110は、コントローラ1111を含み、このコントローラは、剛性のボディ1115及び1117を調整するアクチュエータ1113、1114及び1116の動作を制御して、エンドエフェクタ1120の位置及び/又は配向を調整する。ロボット1110は、電力及び/又は加圧ガス(例えば、空気)をエンドエフェクタ1120に供給する配索構造1112をさらに含む。
【0044】
エンドエフェクタ1120は、支持体1121及びフレーム1155を含む。フレーム1155は、固定カップアセンブリ1150と部材1123とが取り付けられた部材1122を含む。部材1123には、エゼクタ1156及び空気圧マニホールド1157も取り付けられている。フローティングカップアセンブリ1140は、部材1124の軌条1125に沿って摺動する。なお、1つのフローティングカップアセンブリ1140が図示されているが、これは明瞭性のためであり、そのようなデバイスの複数をエンドエフェクタ1120に使用することができる。
【0045】
本実施形態では、フローティングカップアセンブリ1140は、連結部材1126を介して軌条1125に取り付けられており、連結部材は、開口1127を介してブラケット1128に取りけられており、これによりフローティングカップアセンブリ1140が固定して取り付けられる。空気圧ライン1129は、空気を供給し、シャフト1130は、ベルヌーイカップ1135を物理的に支持する。カラー1131は、圧縮ばね1132を固定保持し、フィッティング1133は、必要な場合にベルヌーイカップ1135を取り外すことを可能にする。ベアリング1134は、ベルヌーイカップ1135を意図通りに枢動させることを可能にする。ベルヌーイカップ1135は、アダプタ1136及びエクステンダ1137を含む。
【0046】
把持を可能にするため、グリッパ1190、圧力レギュレータ1192及びポート1194が設けられている。具体的には、圧力レギュレータ1192は、グリッパ1190に吸引力を付与し、次いで、これがポート1194に吸引力を作用させて、プライ1170を固定保持する。
【0047】
フローティングカップアセンブリ1140は、さらに、遮蔽加熱部材1141、空気圧アクチュエータ1142及びライン1143を含む。図11は、固定カップアセンブリ1150をさらに示しており、これは、空気圧ライン1151、固定カップアセンブリ1150を部材1122に取り付けるブラケット1152、及び、カップ1154の取り外し及び交換を可能にするフィッティング1153を含む。
【0048】
より具体的に図面を参照して、本開示の実施形態は、図12に示す航空機の製造及び使用方法1200と、図13に示す航空機1202とに関連して説明する。生産開始前の工程として、例示的な方法1200は、航空機1202の仕様決定及び設計1204及び材料調達1206を含む。生産中の工程としては、航空機1202の部品及び小組立品(subassembly)の製造1208及びシステム統合1210が行われる。その後、航空機1202は、認証及び納品1212の工程を経て、就航1214に入る。顧客による就航の期間中は、航空機1202は、定例の整備及び保守1216(改良、再構成、改修、などを含みうる)のスケジュールに組み込まれる。本明細書で具体化した装置及び方法は、製造及び使用方法1200における1つ以上の任意の適当な段階(例えば、仕様決定及び設計1204、材料調達1206、部品及び小組立品の製造1208、システム統合1210、認可及び納品1212、就航1214、整備及び保守1216)、及び/又は、航空機1202の任意の適当なコンポーネント(例えば、機体1218、システム1220、内装1222、推進系1224、電気系1226、油圧系1228、環境系1230)において、採用することができる。
【0049】
方法1200の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行または実施することができる。説明のために言及すると、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体(military entity)、サービス組織(service organization)などであってもよい。
【0050】
図13に示すように、例示的な方法1200によって製造される航空機1202は、例えば、複数のシステム1220と内装1222とを備えた機体1218を含む。高水準システム1220の例には、駆動系1224、電気系1226、油圧系1228、環境系1230のうちの1つ以上が含まれる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業の例について説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0051】
上述したように、本明細書で具体化した装置及び方法は、製造及び使用方法1200における1つ以上の任意の段階において採用することができる。例えば、製造段階1208において作製される部品又は小部品は、航空機1202の就航期間中に作製される部品又は小部品と同様に作製することができる。また、装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせの1つ以上を、例えば、製造段階1208及び1210で用いてもよく、これにより航空機1202の組み立ての大幅な迅速化やコスト削減を実現することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせの1つ以上を、航空機1202の就航期間中の整備及び保守1216に用いてもよいが、これに限定されない。例えば、本明細書に記載の技術及びシステムを、ステップ1206、1208、1210、1214及び/又は1216に用いることができ、及び/又は、機体1218及び/又は内装1222に用いることができる。これらの技術及びシステムは、推進系1224、電気系1226、油圧系1228及び/又は環境系1230を含むシステム1220にも用いることができる。
【0052】
一実施形態において、プライ170は、機体1218の一部を構成するために使用され、また、部品及び小組立品の製造1208で製造される複合部品の層を構成する。複合部品は、システム統合1210において航空機に組み付けられ、その複合部品が摩耗によって使用に耐えなくなるまで、就航1214において使用される。次に、整備及び保守1216において、その複合部品は、廃棄され、新たに製造された部品と交換される。エンドエフェクタ132は、部品及び小組立品の製造1208全体を通じて、プリフォームをレイアップし、樹脂を含浸させ、硬化して複合部品を作製するために利用されうる。
【0053】
図示あるいは本明細書に記載した様々な制御要素(例えば電気又は電子部品)はいずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実現するプロセッサ、ファームウェアを実現するプロセッサ、又は、これらの何らかの組み合わせとして実現することができる。例えば、ある要素を、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は、他の同様の用語で呼ばれる場合がある。プロセッサによって実現される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は、共有可能な複数の個別プロセッサによって実現することができる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」なる用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではない。限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア格納用の読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうる。
【0054】
また、制御要素は、当該要素の機能を実行するようにプロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実現することができる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード及びファームウェアがある。これらの命令は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに命令して要素の機能を実行させるように働く。命令は、プロセッサで読み取り可能な記憶装置に格納することができる。記憶装置の例としては、デジタルメモリ若しくは固体メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0055】
本発明は、以下の付記においても言及されるが、これらの付記は請求の範囲と混同されるべきではない。
【0056】
A1. ロボット(150)のエンドエフェクタ(132)を含む装置であって、前記エンドエフェクタは、
フレーム(220)と、
前記フレームに取り付けられているとともに、各々がシャフト(632)及びヘッド部(670)を含むカップアセンブリ(250、260)と、
前記カップアセンブリの前記ヘッド部に取り付けられたベルヌーイカップ(370)と、
前記カップアセンブリの前記ヘッド部に取り付けられたグリッパ(270)と、を含む、装置。
【0057】
A2. 前記カップアセンブリは、フローティングカップアセンブリ(250)であり、
各フローティングカップアセンブリは、
前記ベルヌーイカップのうちの少なくとも1つと、
前記グリッパのうちの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップに、正圧に加圧されたガスを印加する空気圧ライン(695)と、
前記フローティングカップアセンブリの遠位表面(392)に、前記少なくとも1つのグリッパと流体連通して配置されたポート(390)と、
前記少なくとも1つのグリッパに負圧を印加して、前記ポートに吸引力を発生させる圧力レギュレータ(275)と、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップに連結されており、前記少なくとも1つのベルヌーイカップが垂直方向に並進移動することを可能にするシャフト(632)と、
前記少なくとも1つのベルヌーイカップが、前記シャフトを中心として枢動して表面(160)に沿うことを可能にするベアリング(710)と、を含む、
付記A1に記載の装置。
【0058】
A3. 圧力レギュレータ(275)を介して印加される圧力を制御するコントローラ(152)をさらに含み、
前記コントローラは、負圧を減少させることに応答して、前記ベルヌーイカップを作動させる、
付記A1に記載の装置。
【0059】
A4. 前記コントローラは、前記圧力レギュレータによって印加される圧力を制御し、当該制御において、前記エンドエフェクタが材料のプライ(170)を搬送する間は、負圧を維持し、前記プライがマンドレル上方に配置された後は、負圧を緩和し、
前記ベルヌーイカップは、当該ベルヌーイカップを含むフローティングカップアセンブリに対して前記プライが浮動することを可能にする、
付記A3に記載の装置。
【0060】
A5. 前記コントローラは、前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加することによって、前記ベルヌーイカップを作動させる、
付記A3に記載の装置。
【0061】
A6. 各ベルヌーイカップは、レバーアームとして機能するエクステンダ(650)を含む、
付記A1に記載の装置。
【0062】
A7. 前記エクステンダは、前記ベルヌーイカップを枢動させて新たな配向にするために必要な力を減少させる、
付記A6に記載の装置。
【0063】
A8. 前記エクステンダが取り付けられたフローティングカップアセンブリ(250)における遠位表面(392)に配置されたポート(390)をさらに含む、
付記A6に記載の装置。
【0064】
A9. 各フローティングカップアセンブリにおける加熱部材(690)と、
各フローティングカップアセンブリにおいて、対応する加熱部材を制御して作動させて材料のプライ(170)に接触させる空気圧アクチュエータ(692)と、をさらに含む、
付記A1に記載の装置。
【0065】
A10. 前記フレームに取り付けられた固定カップアセンブリ(260)をさらに含み、当該固定カップアセンブリは、
プライ(170)を保持するための吸引カップ(830)と、
前記吸引カップの内部に負圧を印加する空気圧ライン(810)と、
前記吸引カップに連結されているとともに、前記空気圧ラインを収容するシャフト(850)と、を含む、
付記A1に記載の装置。
【0066】
A11. 休止状態において、前記固定カップアセンブリの前記吸引カップは、前記ベルヌーイカップと同一平面にある、
付記A10に記載の装置。
【0067】
B1. 各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持すること(1002)と、
前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置すること(1004)と、
前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させること(1006)と、
前記カップアセンブリのベルヌーイカップに、正圧を印加すること(1006)と、
前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせること(1008)と、
を含む方法。
【0068】
B2. 前記グリッパは、フローティングカップアセンブリに配置されており、前記プライに形をつけることなく真空圧を印加する、
付記B1に記載の方法。
【0069】
B3. 前記プライを滑らせることにより、前記プライが変形するのに伴って、前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップを前記プライに沿って浮動させ、枢動させ、垂直方向に変位させる、
付記B1に記載の方法。
【0070】
B4. 圧力レギュレータを介して前記グリッパに印加される圧力を制御することをさらに含み、当該制御において、
前記エンドエフェクタが前記プライを搬送する間は、負圧を維持し、前記プライが前記マンドレル上方に配置された後は、負圧を減少させる、
付記B1に記載の方法。
【0071】
B5. 負圧を減少させることに応答して、前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加し、これにより、前記プライが前記カップアセンブリの各々に対して浮動することを可能にすることをさらに含む、
付記B4に記載の方法。
【0072】
B6. 負圧を減少させることは、前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加することと同時に実行される、
付記B4に記載の方法。
【0073】
B7. 前記カップアセンブリの前記グリッパを介して前記プライを保持することは、前記ベルヌーイカップのエクステンダにおいて前記プライに対向するポートに前記グリッパを通して負圧を印加することを含む、
付記B1に記載の方法。
【0074】
B8. 前記保持すること、配置すること、及び、滑らせることは、前記エンドエフェクタの操作を指示する数値制御(NC)プログラムにしたがって実行される、
付記B1に記載の方法。
【0075】
B9. 前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に沿わせることは、前記エンドエフェクタを介して、前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に押し当てることを含む、
付記B1に記載の方法。
【0076】
B10. 前記プライを保持することは、さらに、前記プライの中心部に接触する吸引カップを介して実行され、前記カップアセンブリは、前記プライの前記中心部を取り囲んで配置されている、
付記B1に記載の方法。
【0077】
C1. プロセッサによって実行されると方法を遂行させるためプログラム命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、当該方法は、
各々が少なくとも1つのグリッパ及び少なくとも1つのベルヌーイカップを有するカップアセンブリを介して、垂れ性のあるプライをロボットのエンドエフェクタに接触させて保持すること(1002)と、
前記プライに形をつけることなく、湾曲表面を有するマンドレルの上方に前記プライを配置すること(1004)と、
前記カップアセンブリの前記グリッパに印加された負圧を減少させること(1006)と、
前記カップアセンブリのベルヌーイカップに、正圧を印加すること(1006)と、
前記プライを前記マンドレルに沿わせる際に、前記プライを前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに対して滑らせること(1008)と、を含むものである、媒体。
【0078】
C2. 前記方法は、圧力レギュレータを介して前記グリッパに印加される圧力を制御することをさらに含み、
当該制御において、
前記エンドエフェクタが前記プライを搬送する間は、負圧を維持し、
前記プライが前記マンドレル上方に配置された後は、負圧を減少させる、ものである、
付記C1に記載の媒体。
【0079】
C3. 前記方法は、負圧を減少させることに応答して、前記カップアセンブリの前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加し、これにより、前記プライが前記カップアセンブリの各々に対して浮動することを可能にすることをさらに含むものである、
付記C2に記載の媒体。
【0080】
C4. 負圧を減少させることは、前記ベルヌーイカップに正圧に加圧されたガスを印加することと同時に実行される、
付記C1に記載の媒体。
【0081】
C5. 前記カップアセンブリの前記グリッパを介して前記プライを保持することは、
前記ベルヌーイカップのエクステンダにおいて前記プライに対向するポートに前記グリッパを通して負圧を印加することを含む、
付記C1に記載の媒体。
【0082】
C6. 前記保持すること、配置すること、及び、滑らせることは、前記エンドエフェクタの操作を指示する数値制御(NC)プログラムにしたがって実行される、
付記C1に記載の媒体。
【0083】
C7. 前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に沿わせることは、前記エンドエフェクタを介して、前記プライを前記マンドレルの前記湾曲表面に押し当てることを含む、
付記C1に記載の媒体。
【0084】
本明細書では、特定の実施形態について説明したが、本開示の範囲は、これら特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、下記の請求の範囲及びその均等範囲によって定義される。
図1
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図13