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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
B65D47/08 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185386
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2019151402
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018035337
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】西堀 宏之
【審判官】久保 克彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-994号公報(JP,A)
【文献】特開2010-173721号公報(JP,A)
【文献】特開2011-16568号公報(JP,A)
【文献】米国特許第6766926号明細書(US,B1)
【文献】特開2006-315706号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/44-35/54, B65D39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部に装着され、上蓋と係合する蓋係合部を有する装着部と、装着部から内方に延設され、注出口が開口された基壁と、基壁から立設された注出筒とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁部から垂設される側周壁と、頂壁の内面から垂設され、キャップ本体の注出筒を密封するシール筒とを備え、
キャップ本体は、ヒンジ側の蓋係合部の一部を切り欠いて形成された切欠部と、切欠部の内側に基壁の上面から立設された内壁を有し、閉蓋時に切欠部と内壁との間に、シール筒と注出筒とのシール部の密閉検査のための空気通路を形成し、
切欠部は、ヒンジの範囲内とし、内壁の高さは、蓋係合部の高さと同等か、それよりも高いことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
切欠部は、ヒンジの中央部を避けて形成されることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
切欠部の長さより、内壁の長さを長くし、内壁の端部と蓋係合部の端部をオーバーラップさせて空気通路を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
内壁は、蓋係合部を切欠部の両端側から内方に引き込み、中間に欠落部が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
ヒンジ側の上蓋側周壁の下端部には、ヒンジの範囲内で、左右に2つの切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるヒンジキャップに関し、とくにシャワー水の侵入を抑制するヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の口部に装着されるキャップ本体に、ヒンジ部を介してキャップ本体の開口部を閉塞する上蓋が連設されたヒンジキャップにおいて、キャップ本体に設けられたノズル状の注出部を上蓋の下面から垂設された密封部材で密閉するヒンジキャップがよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のような密封部材とノズル状の注出部を有するヒンジキャップにおいては、成形後に閉蓋し、密封部材と注出部との間のシール部が密閉されているかを確認するために密閉検査(リーク検査)が行われており、その場合、上蓋とキャップ本体との間の外周気密部分に空気通路となる隙間が設けられる必要があるが、該隙間からキャップの洗浄などのためのシャワー水が、キャップ内に侵入してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平3-53182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、密閉検査のための空気通路が確保されるとともに、キャップ内へのシャワー水の侵入を抑制することができるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器の口部に装着され、上蓋と係合する蓋係合部を有する装着部と、装着部から内方に延設され、注出口が開口された基壁と、基壁から立設された注出筒とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁部から垂設される側周壁と、頂壁の内面から垂設され、キャップ本体の注出筒を密封するシール筒とを備え、キャップ本体は、ヒンジ側の蓋係合部の一部を切り欠いて形成された切欠部と、切欠部の内側に基壁の上面から立設された内壁を有し、閉蓋時に切欠部と内壁との間に、シール筒と注出筒とのシール部の密閉検査のための空気通路を形成し、切欠部は、ヒンジの範囲内とし、内壁の高さは、蓋係合部の高さと同等か、それよりも高いことを特徴とする構成を採用する。
【0007】
ヒンジキャップの具体的実施形態として、切欠部は、ヒンジの中央部を避けて形成されることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
さらなるヒンジキャップの具体的実施形態として、切欠部の長さより、内壁の長さを長くし、内壁の端部と蓋係合部の端部をオーバーラップさせて空気通路を形成することを特徴とする構成、また、内壁は、蓋係合部を切欠部の両端側から内方に引き込み、中間に欠落部が形成されることを特徴とする構成、また、ヒンジ側の上蓋側周壁の下端部には、ヒンジの範囲内で、左右に2つの切欠きが形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、キャップ本体の注出筒が上蓋のシール筒によって密封された閉蓋状態において、シール筒と注出筒とのシール部の密閉検査(リーク検査)のための空気通路が確保されるとともに、シャワー水によるキャップ内への侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例のヒンジキャップを容器に装着した状態を示す側面断面図である。
図2】本発明の第1実施例のヒンジキャップの開蓋状態を示す説明図で、(a)は上面図であり、(b)は側面断面図である。
図3】本発明の第1実施例のヒンジキャップのキャップ本体の斜視図である。
図4】本発明の第2実施例のヒンジキャップの開蓋状態を示す説明図で、(a)は上面図であり、(b)は側面断面図である。
図5】本発明の第3実施例のヒンジキャップの開蓋状態を示す説明図で、(a)は上面図であり、(b)は側面断面図である。
図6】本発明の変形実施例のヒンジキャップを容器に装着した状態を示す説明図で、(a)は閉蓋状態の側面断面図であり、(b)は開蓋状態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のヒンジキャップとして、流量調整機構を有する具体化されたヒンジキャップの実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1図3において、Aは容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Cはヒンジ、DはヒンジCを介してキャップ本体Bに開閉可能に取り付けられた上蓋である。
容器Aは、上部に口部1を有し、口部1の外周面には、嵌合突条2が設けられている。
【0013】
キャップ本体Bは、図1図3に示すように、容器Aの口部1に装着される装着部3と、装着部3の内縁上端から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する基壁4と、基壁4を貫通する注出口の周囲から立設される注出筒5と、注出筒5の下端部5aに連設される流量調整機構Eとを備えている。
【0014】
基壁4は、装着部3の内周上端から延びる壁部4aと、壁部4aの内側端から内方に向かって上方に傾斜して延びる傾斜部4bとから構成され、傾斜部4bの内側端に注出筒5が連設されている。
注出筒5の内周は、下部が縮径され、段部5bが設けられ、段部5bの断面形状は、内方に向けて緩やかな下り勾配の傾斜面に形成されている。
また、注出筒5は、内容液を注ぎ易くするために、本実施例では、ヒンジCと反対側(注出側)は、ヒンジC側よりも高く形成され、リップ部5cは、ラッパ状に広がっている。
本実施例では、注出筒5は、ヒンジCの反対側に少し寄せた位置に設けられているが、中央の位置にあっても構わない。
【0015】
装着部3は、周縁に係止突条6が設けられ上蓋Dと係合する環状の蓋係合部7と、蓋係合部7の内周縁から垂設される内筒8と、蓋係合部7の外周縁から垂設される外周壁部9とから構成されている。
外周壁部9は、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部10が設けられている。
また、ヒンジCの外側の外周壁部9の上端部に左右に第1突部19が突設され、第1突部19は、後述する上蓋Dの左右の第2突部38と相対する位置に設けられている。
【0016】
本実施例では、図3に示すように、ヒンジC側の蓋係合部7の一部を切り欠いた切欠部11が形成されており、切欠部11の内側には、内壁12が基壁4の壁部4aの上面から立設され、閉蓋時において、切欠部11と内壁12との間に空気通路aが形成される。
切欠部11は、ヒンジCの範囲を越えると、空気通路aにシャワー水が入りやすくなるので、ヒンジCの範囲内とするのが望ましい。
内壁12は、高さを蓋係合部7の高さと同等かそれよりも少し高く形成し、長さを切欠部11より少し長くし、内壁12の端部と蓋係合部7の端部がオーバーラップして空気通路aを形成することによって、シャワー水の侵入をより抑えることができる。
また、本実施例では、切欠部11と内壁12は、それぞれ一箇所であるが、第2実施例で示すように、内壁12一箇所に対し、切欠部11のみを複数箇所としてもよく、また、切欠部11の数に合わせて、内壁12を同数設けてもよい。
【0017】
外周壁部9のヒンジCの左右いずれかの近傍には、図2に示すように、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部13が下端部に薄肉底壁14を残して上方から切り込まれている。
係合突部10の外周切り込み部13に対応する位置には、図示しないが、内周切り込み部が縦方向に刻設され、縦方向引き裂きラインが形成される。
【0018】
外周切り込み部13のヒンジC側では、端面13aの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びるように、スリット溝15が上方から凹設され、本実施例では、端面13aを始点として、約350°にわたって延び、その先にはスリット溝15が存在しない外周壁部9と蓋係合部7が一体に連結した終端連結部18が設けられている。
また、縦方向引き裂きラインに隣接するスリット溝15の起点を引き裂き開始点として、スリット溝15の底面16の内周側には、外周壁部9と蓋係合部7を連結する薄肉の連結部17が設けられ、周方向引き裂きラインが円弧状に延びるように形成されている。
【0019】
流量調整機構Eは、図1および図2(b)に示すように、注出筒5の下端部5aから内方にわずかに傾斜して垂設される周壁20と、周壁20の下端部内方に延設される底壁21とを備えている。
周壁20には、間隔をおいて、縦方向にスリット状に形成される複数の周壁開孔22が配設されている。
【0020】
上蓋Dは、図1および図2に示すように、ヒンジCを介してキャップ本体Bの外周壁部9の外周上端に、回動自在に取着されており、頂壁30と、頂壁30の周縁部から垂設された側周壁31とを備えている。
頂壁30は、内面から、閉蓋時に注出筒5の内周面に挿入されて密封状態とするシール筒32が垂設されており、閉蓋時において、シール筒32の下部外周が注出筒5の内周に密着し、シール筒32と注出筒5とのシール部bが形成される。
【0021】
側周壁31の下端部は、内周側に、キャップ本体Bの蓋係合部7の内周側と係合する係止凸部34が垂設され、中央部に、蓋係合部7の係止突条6と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部35が周設されている。係止凸部34と係合凹部35とで蓋係合部7を包み込んで嵌合し、上蓋Dとキャップ本体Bとの密閉性が向上する。
側周壁31のヒンジCと反対側の外周には、周方向に円弧状の把手部36が延設され、把手部36のある側周壁31の肉厚は薄肉とし、側周壁31の下端部近傍に凹部36aが形成されている。
【0022】
ヒンジC側の上蓋Dの側周壁31の下端部には、ヒンジCの範囲内で、左右に2つの切欠き37が形成され、ヒンジCの外側の側周壁31の下端部には、左右に第2突部38が突設されている。
閉蓋時においては、左右の切欠き37は、キャップ本体Bの切欠部11と連通し、さらにヒンジCの隙間等を介して外界と連通している。
また、上蓋Dの第2突部38は、キャップ本体Bの第1突部19と相対する位置にあり、閉蓋時において、第1突部19と第2突部38が合わさって、ヒンジCの隙間等へのシャワー水の侵入を抑制するとともに、ヒンジCを指で触ったときにも痛くないようにしている。
【0023】
なお、本実施例のヒンジキャップは、使用前の不正開封を防止するために、図示していないが、キャップ本体Bと上蓋Dとの間にシュリンクラベルや封緘部材等が設けられている。
【0024】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、最初に、図2に示す状態から、上蓋DをヒンジCを介して回動し、キャップ本体Bに被せ、閉蓋する。
その際、上蓋Dのシール筒32の外周下部がキャップ本体Bの注出筒5内周に密着し、シール筒32と注出筒5とのシール部bが形成され、上蓋Dの係止凸部34および係合凹部35は、切欠部11を除き、キャップ本体Bの蓋係合部7に係合し、切欠部11と内壁12との間に空気通路aが形成される。
【0025】
閉蓋状態で、シール筒32と注出筒5とのシール部bの密閉検査(リーク検査)が行われる際には、切欠部11と内壁12との間に空気通路aが形成されているので、密閉検査を容易に行うことができる。
密閉検査は、キャップ本体Bの下方から空気(気体)を送り込み、キャップ内に空気(気体)が漏れているか検査してもよいし、キャップ本体Bの下方から空気(気体)をバキュームする方法でもよい。
また、閉蓋したヒンジキャップをシャワー水で洗浄する場合にも、第1突部19と第2突部38によって、ヒンジCの隙間等へのシャワー水の侵入が抑制されるとともに、さらに、切欠部11の内側に内壁12が設けられているので、キャップ内へのシャワー水の侵入が抑制される。
【0026】
次に、図1に示すように、閉蓋したヒンジキャップは、内容液が充填された容器Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、装着部3の内筒8と外周壁部9との間に形成された環状溝に容器Aの口部1を当てがい、上蓋Dの上から押圧力が加えられ、外周壁部9の係合突部10が口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合し、容器Aの口部1が内筒8の外周と外周壁部9の内周、および蓋係合部7とによって挟持されることで装着される。
【0027】
打栓工程後に、シャワー水によって容器Aとともにヒンジキャップに対して洗浄等が行われる場合にも、同様に、キャップ内へのシャワー水の侵入が抑制される。
【0028】
なお、本実施例では、装着部3は、内筒8の外周と外周壁部9の内周、および基壁4とによって容器Aの口部1を狭持するものとしたが、容器Aの口部1の外周に雄ネジを形成するとともに、外周壁部9の内周に雌ネジを形成することによって螺着するものであっても構わない。
【0029】
容器A内の内容液を初めて使用するために、ヒンジキャップを最初に開蓋する際には、図示しないが、キャップ本体Bと上蓋Dとの間に設けられたシュリンクラベルや封緘部材を取り外す必要がある。
【0030】
次に、上蓋Dの把手部36を持ち上げると、ヒンジCと反対側の側周壁31の下端部近傍に凹部36aが形成されているので、係合凹部35が変形して、蓋係合部7の係止突条6に対する抵抗がなくなって、上蓋Dが容易に開蓋され、上蓋Dのシール筒32がキャップ本体Bの注出筒5から外され、容器Aを傾けただけで、容易に注出筒5から容器A内の内容液を注出することができる。
【0031】
本実施例では、キャップ本体Bの注出筒5の下端部5aに流量調整機構Eが設けられているので、容器A内の内容液は、流量が調整されて注出筒5から注出される。
なお、流量調整機構Eは、必ずしも設ける必要がない。
【0032】
内容液の注出が終わると、注出筒5内の内容液は、段部5bから流量調整機構Eのスリット状の周壁開孔22を通して容器A内に戻され、注出筒5および流量調整機構Eの中に内容液はほとんど残らない。
【0033】
上蓋Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、上蓋Dのシール筒32の外周下部がキャップ本体Bの注出筒5の内周に密着し、再度シール部bが形成され、ヒンジキャップは、繰り返し上蓋Dを開閉して使用することができる。
【0034】
本実施例のヒンジキャップは、容器A内の内容液を全部使用した後、容器Aの口部1から分別して廃棄することができる。
その際には、ヒンジキャップを開蓋し、上蓋Dを指で把持して外方に引っ張ると、外周壁部9のヒンジCとの連設部位が引っ張られて変形し、縦方向引き裂きラインが破断され、さらに上蓋Dを引っ張ると、周方向引き裂きラインを形成する連結部17が破断を始める。連結部17の破断が進行すると、上蓋Dがキャップ本体Bから離れていく。
スリット溝15の終端部まで連結部17の切断が完了し、さらに上蓋Dを引っ張ると、蓋係合部7と外周壁部9とに一体に連結した終端連結部18が外側に引っ張られ、キャップ本体Bと容器Aの口部1との嵌合が外され、ヒンジキャップと容器Aとを分別廃棄することができる。
また、ヒンジキャップに分別機構を設けた場合、ヒンジC付近の装着部3にスリットや隙間等が形成されていれば、そのスリットや隙間等を空気通路として外界と連通させてもよい。
【実施例2】
【0035】
次に、第1実施例のキャップ本体Bの構成を変更した第2実施例について、図4を参照して説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、キャップ本体Bにおける変更部分に新たな符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0036】
図4において、Aは容器、Baは容器Aに装着されるキャップ本体、Cはヒンジ、DはヒンジCを介してキャップ本体Baに開閉可能に取り付けられた上蓋である。
【0037】
キャップ本体Baの基壁4の壁部4aの上面のヒンジC側には、蓋係合部7の内側に、中央部から所定の距離両側に円弧状に延びる内壁12が立設されている。
また、ヒンジC側の蓋係合部7には、内壁12の範囲内で、ヒンジCの中央部を避けて両側を切り欠いた切欠部40が形成され、このため、蓋係合部7は、ヒンジC側の中央部に、両側が切欠部40に挟まれたヒンジ側蓋係合部7aが残されている。
本実施例では、閉蓋時において、両側の切欠部40が切欠空気通路cとなり、これに連なる内壁12と蓋係合部7との間に空気通路dが形成される。
両切欠部40の形成範囲は、ヒンジCの範囲を越えると、切欠空気通路cにシャワー水が入りやすくなるので、ヒンジCの範囲内とするのが望ましい。
【0038】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋した際に、上蓋Dの係止凸部34および係合凹部35は、キャップ本体Baの蓋係合部7に係合し、両側の切欠部40が切欠空気通路cとなる。
【0039】
閉蓋状態で、シール筒32と注出筒5とのシール部(図示せず)の密閉検査(リーク検査)が行われる際には、蓋係合部7の切欠部40が切欠空気通路cとなるとともに、これに連なる内壁12と蓋係合部7との間に空気通路dが形成されているので、密閉検査を容易に行うことができる。
また、閉蓋時に、上蓋DのヒンジC側の係止凸部34および係合凹部35と、キャップ本体Baのヒンジ側蓋係合部7aとが嵌合するので、より強く閉蓋状態を維持することができる。
その他の作用効果は、実施例1と同じである。
【実施例3】
【0040】
次に、第1実施例のキャップ本体Bの構成を変更した第3実施例について、図5を参照して説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、キャップ本体Bにおける変更部分に新たな符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0041】
図5において、Aは容器、Bbは容器Aに装着されるキャップ本体、Cはヒンジ、DはヒンジCを介してキャップ本体Bbに開閉可能に取り付けられた上蓋である。
【0042】
キャップ本体BbのヒンジC側の蓋係合部7には、ヒンジCの中央部を避けて両側を切り欠いた切欠部45が形成され、このため、蓋係合部7は、ヒンジC側の中央部に、両側が切欠部45に挟まれたヒンジ側蓋係合部7aが残されている。
さらに、基壁4の壁部4aには、ヒンジ側蓋係合部7aを挟む切欠部45の両端側の蓋係合部7の切欠き端部7bから基壁4の内方に引き込まれる一対の傾斜内壁46aと、それぞれの傾斜内壁46aからヒンジ側蓋係合部7aと平行するように、円弧状に延び、中間に欠落部47が形成される円弧内壁46bとから構成される一対の内壁46が立設されている。
本実施例では、閉蓋時において、両側の切欠部45が切欠空気通路cとなり、これに連なる両方の内壁46とヒンジ側蓋係合部7aとの間に空気通路eが形成され、欠落部47には、空気通路fが形成される。
両切欠部45の形成範囲は、ヒンジCの範囲を越えると、切欠空気通路cにシャワー水が入りやすくなるので、ヒンジCの範囲内とするのが望ましい。
【0043】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋した際に、上蓋Dの係止凸部34および係合凹部35は、キャップ本体Bbの蓋係合部7に係合し、両側の切欠部45が切欠空気通路cとなる。
【0044】
閉蓋状態で、シール筒32と注出筒5とのシール部bの密閉検査(リーク検査)が行われる際には、蓋係合部7の切欠部45が切欠空気通路cとなるとともに、これに連なる空気通路eおよび空気通路fが形成されているので、密閉検査を容易に行うことができる。
また、閉蓋時に、上蓋DのヒンジC側の係止凸部34および係合凹部35と、キャップ本体Bbのヒンジ側蓋係合部7aとが嵌合するので、より強く閉蓋状態を維持することができる。
その他の作用効果は、実施例1と同じである。
【0045】
第1~3実施例では、ヒンジキャップを閉蓋した際に、上蓋Dのシール筒32の外周下部がキャップ本体B(第2実施例ではBa、第3実施例ではBb)の注出筒5内周に密着し、シール筒32と注出筒5とのシール部bが形成されているが、図6に示すように、キャップ本体Bcの注出筒50は、上方に延びる略円筒状であり、上蓋Dcの頂壁51の内面に、閉蓋時に注出筒50の内周面に挿入される内周筒52と、内周筒52の外側に、内周下部が注出筒50の外周上部に嵌合して密封状態とする外周筒53とが垂設されており、閉蓋時において、外周筒53内周と注出筒50外周が密着し、外周筒53と注出筒50とのシール部gが形成されるようにしてもよい。
キャップ本体の注出筒内を密封し、容器内を密閉することができれば、注出筒およびシール筒の構成は、どの様な構成でも構わない。
また、本発明のヒンジキャップでは、内壁12、46は、ヒンジC側で、一部を切り欠かれた蓋係合部7の内側位置に設けてあればよく、構造は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のヒンジキャップは、キャップ本体の注出筒が上蓋のシール筒によって密閉される閉蓋状態において、シール筒と注出筒とのシール部の密閉状態を検査するリーク検査のための空気通路が確保されるとともに、シャワー水によるキャップ内への侵入を抑制することができる。
【符号の説明】
【0047】
A 容器
B、Ba、Bb、Bc キャップ本体
C ヒンジ
D、Dc 上蓋
E 流量調整機構
a、d、e、f 空気通路
b、g シール部
c 切欠空気通路
1 口部
2 嵌合突条
3 装着部
4 基壁
4a 壁部
4b 傾斜部
5、50 注出筒
5a 下端部
5b 段部
5c リップ部
6 係止突条
7 蓋係合部
7a ヒンジ側蓋係合部
7b 切欠き端部
8 内筒
9 外周壁部
10 係合突部
11、40、45 切欠部
12、46 内壁
13 外周切り込み部
13a 端面
14 薄肉底壁
15 スリット溝
16 底面
17 連結部
18 終端連結部
19 第1突部
20 周壁
21 底壁
22 周壁開孔
30、51 頂壁
31 側周壁
32 シール筒
34 係止凸部
35 係合凹部
36 把手部
36a 凹部
37 切欠き
38 第2突部
46a 傾斜内壁
46b 円弧内壁
47 欠落部
52 内周筒
53 外周筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6