IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリアモーション アクイジション 1 エルエルシーの特許一覧

特許7391509車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御
<>
  • 特許-車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御 図1
  • 特許-車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御 図2
  • 特許-車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御 図3A
  • 特許-車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御 図3B
  • 特許-車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御 図3C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】車両位置に基づく車両プラントのアクティブサスペンション制御
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/50 20060101AFI20231128BHJP
   B60G 17/015 20060101ALI20231128BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20231128BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B60N2/50
B60G17/015 B
F16F15/02 B
G05B11/36 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018545844
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2017020120
(87)【国際公開番号】W WO2017151720
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】15/059,010
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518158318
【氏名又は名称】クリアモーション アクイジション 1 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ノックス,ローレンス,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サンジェルマーノ,アントニオ
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】藤井 昇
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-49862(JP,A)
【文献】特開2007-62429(JP,A)
【文献】特開平7-186803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - 2/90
B60G17/00 -17/08
F16F15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御可能なサスペンションシステムを動作させる方法であって、
道路に関する情報を取得することと、
車両のおおよその位置を特定することと、
前記特定された車両位置に関連付けられた信頼度レベルを計算することと、
前記情報と、前記特定された位置に関する前記計算された信頼度レベルとに少なくとも部分的に基づいて、前記制御可能なサスペンションシステムを制御することと、
を含み、
前記信頼度レベルを計算することは、前記取得された道路に関する情報である、前記道路の経路に沿った位置に対応して測定された隆起高さデータ列と、記憶された道路に関する情報である、前記道路の経路に沿った位置に対応して記憶された隆起高さデータ列との相関に基づいており、
前記測定された隆起高さデータ列と前記記憶された隆起高さデータ列との相関が高いことは、前記信頼度レベルが高いことに関連する、方法。
【請求項2】
前記制御可能なサスペンションシステムにコマンドを出力するマイクロプロセッサをさらに含み、前記制御可能なサスペンションシステムを制御することは、
前記マイクロプロセッサにより、前記車両の前記特定された位置と前記計算された信頼度レベルとに少なくとも部分的に基づいて、制御信号を特定することと、
前記制御可能なサスペンションシステムにおいて、前記制御信号を受信することと、
前記受信に応答して、前記制御可能なサスペンションシステムの挙動を調整することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御可能なサスペンションシステムはアクティブサスペンションシステムであり、
前記制御可能なサスペンションシステムがさらに、プラントの動作を制御するように構成されたアクチュエータを含み、
前記アクチュエータを制御することは、前記アクチュエータの動作を変えることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロプロセッサは、第1の動作状況において、フィードフォワードアーキテクチャを使用して前記制御信号を特定する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサは、第2の動作状況において、フィードバックアーキテクチャを使用して前記制御信号を特定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロプロセッサは、
前記フィードフォワードアーキテクチャを使用して、第1の潜在的な制御信号を特定することと、
前記フィードバックアーキテクチャを使用して、第2の潜在的な制御信号を特定することと、
前記第1の潜在的な制御信号および前記第2の潜在的な制御信号の加重和を計算することによって前記制御信号を特定することと、によって、前記制御信号を特定し、
前記第2の潜在的な制御信号を基準として前記第1の潜在的な制御信号に割り当てられる相対的な重みが、前記計算された信頼度レベルに基づいて特定される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記相対的な重みは、前記信頼度レベルに比例する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御可能なサスペンションシステムは、車両の一部であるかまたは車両に担持されたプラントに用いられるサスペンションシステムであり、
前記マイクロプロセッサは、
前記信頼度レベルに基づいてフィードフォワードアーキテクチャ制御信号及びフィードバックアーキテクチャ制御信号に重み付けすることにより、前記プラントの動作が前記道路の所望の軌跡に追従するように前記制御信号を特定する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記信頼度レベルを計算することは、
全地球測位システム(GPS)を使用して、初期車両位置推定値を特定することと、
前記車両に取り付けられた1つまたは複数のセンサからの、前記車両の位置に関連付けられた隆起高さに関するセンサデータ列を記録することと、
前記記録されたセンサデータ列を、隆起高さに関する参照データの既知の列と相互相関させることと、を含み、
前記参照データの既知の列は、前記道路の所与の位置と関連付けられ、
前記信頼度レベルは、前記相互相関に少なくとも部分的に基づいて計算される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
車両のアクチュエータを動作させる方法であって、
道路上の前記車両のおおよその位置を特定することと、
前記特定された車両位置に関連付けられた信頼度レベルを計算することと、
前記計算された信頼度レベルと前記特定された位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータにより、前記車両の一部の所望の動作を制御することと、
を含み、
前記信頼度レベルを計算することは、取得された道路に関する情報である、前記道路の経路に沿った位置に対応して測定された隆起高さデータ列と、記憶された道路に関する情報である、前記道路の経路に沿った位置に対応して記憶された隆起高さデータ列との相関に基づいており、
前記測定された隆起高さデータ列と前記記憶された隆起高さデータ列との相関が高いことは、前記信頼度レベルが高いことに関連する、方法。
【請求項11】
前記車両は、前記アクチュエータにコマンドを出力するコントローラを含み、前記アクチュエータを制御することは、
前記所望の動作を特定することと、
前記アクチュエータにより、前記所望の動作を生成することと、を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラは、第1の動作状況において、フィードフォワードアーキテクチャを使用して前記所望の動作を特定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コントローラは、第2の動作状況において、フィードバックアーキテクチャを使用して前記所望の動作を特定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コントローラは、
前記フィードフォワードアーキテクチャを使用して、第1の動作を特定することと、
前記フィードバックアーキテクチャを使用して、第2の動作を特定することと、
前記第1の動作および前記第2の動作の加重和を計算することによって前記所望の動作を特定することと、によって前記所望の動作を特定し、
前記第2の動作を基準として前記第1の動作に割り当てられる相対的な重みが、前記信頼度レベルに基づいて特定される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラは、
前記信頼度レベルに基づいてフィードフォワードアーキテクチャ制御信号及びフィードバックアーキテクチャ制御信号に重み付けすることにより、前記車両の一部の動作が前記道路の所望の軌跡に追従するように前記所望の動作を特定する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記信頼度レベルを計算することは、
全地球測位システム(GPS)を使用して、初期車両位置推定値を特定することと、
前記車両に取り付けられた1つまたは複数のセンサからの、前記車両の位置に関連付けられた隆起高さに関するセンサデータ列を記録することと、
前記記録されたセンサデータ列を、隆起高さに関する参照データの既知の列と相互相関させることと、を含み、
前記参照データの既知の列は、前記道路の所与の位置と関連付けられ、
前記信頼度レベルは、前記相互相関に少なくとも部分的に基づいて計算される、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
アクチュエータと、
前記アクチュエータと通信するコントローラと、を含む車両であって、
前記コントローラはマイクロプロセッサを含み、前記コントローラは、
前記車両のおおよその位置を特定し、
前記特定された車両位置に関連付けられた信頼度レベルを計算し、
前記計算された信頼度レベルおよび前記特定された位置に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータを制御するように構成され、
前記信頼度レベルを計算することは、取得された道路に関する情報である、道路の経路に沿った位置に対応して測定された隆起高さデータ列と、記憶された道路に関する情報である、前記道路の経路に沿った位置に対応して記憶された隆起高さデータ列との相関に基づいており、
前記測定された隆起高さデータ列と前記記憶された隆起高さデータ列との相関が高いことは、前記信頼度レベルが高いことに関連する、車両。
【請求項18】
前記アクチュエータは、前記車両の一部に動作を施すように設定され、
前記コントローラは、制御信号を用いて前記アクチュエータを制御するように構成され、
前記コントローラは、
前記信頼度レベルに基づいてフィードフォワードアーキテクチャ制御信号及びフィードバックアーキテクチャ制御信号に重み付けすることにより、前記車両の一部の動作が前記道路の所望の軌跡に追従するように前記制御信号を特定するように構成される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、移動車両のプラントのアクティブサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
能動的に懸架される車両シートにおいて、あらゆる周波数で加速度を持たないように、制御システムがシート上面を制御することは通常不可能である。通常、制御システムは、きわめて低い周波数でゼロ加速が維持されないように制御される低周波帯域幅を制限するように動作する。もっと正確に言えば、低周波数において、シート上面は、トラックの床に追従することを許される。しかし、シート上面が床に追従すると、振動絶縁されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
下記に説明するすべての例および特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0004】
一態様では、方法は、車両位置特定システムによって特定した車両位置の信頼度を確立することと、車両のプラントのアクティブサスペンションシステムの挙動を変えるために、確立した信頼度を使用することとを含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴の1つ、または特徴の任意の組み合わせを含むことができる。アクティブサスペンションシステムは、プラントの動作を制御するためにアクチュエータにコマンドを出力するコントローラを有することができる。プラントの動作を重み付けするために、確立した信頼度を使用して、コントローラコマンドに重みを付けることができる。コントローラは、フィードフォワードアーキテクチャを含むことができる。コントローラは、フィードバックアーキテクチャをさらに含むことができる。確立した信頼度を使用して、フィードフォワードおよびフィードバックアーキテクチャによるコントローラコマンドへの相対寄与に重みを付けることができる。1つの非限定的な例では、信頼度が高い場合に、コントローラへのフィードフォワード寄与の重みは、信頼度が低い場合よりも高い。
【0006】
実施形態は、以下の特徴の1つ、または特徴の任意の組み合わせを含むことができる。車両位置特定システムは、GPSデータに基づいて、初期車両位置推定値を特定することができ、車両に配置されたセンサからのセンサデータ列を記録することができ、記録したセンサデータ列の中に、測定したデータから取得した既知のデータ列があるかどうかを検索するパターン照合を実施することで、初期車両位置推定値をさらに正確にすることができる。パターン照合は、既知のデータ列から得られた、n個からなる列を、記録したセンサデータ列から得られた対応するn個の列で乗じ、n個の乗算の結果を合計し、n個の乗算の合計がいつピークに達するかを識別して列がいつ合致するかを特定することで実施することができる。コントローラコマンドは、GPSデータと、記録したセンサデータとに基づくことができる。コントローラは、フィードフォワードアーキテクチャおよびフィードバックアーキテクチャの両方を含むことができ、それら両方は、コントローラコマンドの生成に関与し、信頼度が高い場合に、コントローラへのフィードフォワード入力の重みは、信頼度が低い場合よりも高い。プラントには、車両シートがあり得る。
【0007】
別の態様では、方法は、車両位置特定システムによって特定された、経路に沿った車両位置の信頼度を確立することと、車両のシートのアクティブサスペンションシステムの挙動を変えるために、確立した信頼度を使用することとを含む。アクティブサスペンションシステムは、プラントの動作を制御するためにアクチュエータにコマンドを出力するコントローラを含む。コントローラは、フィードフォワードアーキテクチャおよびフィードバックアーキテクチャの両方を含み、それら両方は、コントローラコマンドの生成に関与する。
【0008】
別の態様では、道路に沿って移動するように構成された車両の床に対してプラントを懸架するシステムは、アクティブサスペンションと、床に対するプラントの動作または位置の少なくとも1つを検出し、出力を有するセンサと、道路軌跡情報を保持するメモリと、車両位置特定システムと、センサの出力、メモリからの道路軌跡情報、および車両位置特定システムからの車両位置情報を入力されるコントローラとを含む。コントローラは、第1および第2のフィードフォワード可変重み特定部ならびにフィードバック可変重み特定部を有する。道路軌跡情報は、第1および第2のフィードフォワード可変重み特定部に供給され、車両位置情報は、第1および第2のフィードフォワード可変重み特定部、ならびにフィードバック可変重み特定部に供給される。道路軌跡情報が正確であるという高い信頼度がある場合に、フィードフォワード入力およびフィードバック入力に対する重みは、信頼度が低い場合よりも高くなる。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の1つ、または特徴の任意の組み合わせを含むことができる。第1のフィードフォワード特定部およびフィードバック特定部の出力は合計して、アクティブサスペンションに供給することができる。第2のフィードフォワード特定部の出力とセンサの出力とは、差分をとってフィードバック特定部に入力することができる。道路軌跡情報は、道路の輪郭の低周波数成分を含むことができる。道路軌跡情報は、軌跡を道路と同位相に維持するゼロ位相フィルタを使用して、測定した道路信号をフィルタ処理することで得ることができる。システムは、応答型アクティブサスペンションシステムおよびフィードフォワードに基づくアクティブサスペンションシステムの両方として動作することができ、システムの挙動は、車両位置特定システムによって特定された車両位置の信頼度に基づいて変えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の方法を行うために使用できる車両プラントアクティブサスペンション制御システムの概略図である。
図2】コントローラの例の構成要素を示す、より詳細な概略図である。
図3】信頼度を導出するための測定データおよび保存データの例示的なアライメントを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
車両は、車両の一部である、または車両に担持されたプラント用のアクティブサスペンションシステムを含むことができる。様々なタイプの車両およびプラントと、プラントアクティブサスペンションシステム(例えば、能動的に懸架された自動車両シート)とは、例えば、米国特許第7,195,250号、同第8,095,268号、および同第8,725,351号に開示されているように、当分野において公知であり、これらの特許の開示は、参照により本明細書に援用される。参考特許はまた、車両位置の特定と車両軌跡プランの保存および使用とを開示している。
【0012】
能動的に懸架された車両シートにおいて、あらゆる周波数で加速度がゼロであるように、制御システムがシート上面(すなわち、シートの使用者が着座する部分)を制御することは通常不可能である。例えば、シート上面で直流分の加速度がゼロの場合に、車両が坂道を上り始めると、シート上面は慣性移動しない。ある時点で、シート上面は、許容移動範囲の奥まで移動し、終端ストッパに当たって止まる。この問題は、制御される低周波数帯域幅を制限することで改善することができる。すなわち、きわめて低い周波数においてゼロ加速度とする指令が出されない。もっと正確に言えば、低周波数において、シート上面は、トラックの床に追従することを許される。しかし、シート上面が床に追従すると、振動絶縁されない。
【0013】
別の問題は、シート上面が絶縁されるほど、シート上面は「浮遊する」ように感じさせることである。例えば、非常に低い周波数において、ゼロ加速度とするよう指令が出された場合に、シートと床との間の距離は、不自然な形で変わる、または「浮遊する」。さらに、低周波数帯域幅を制限した結果として、絶縁しないようにコマンドが変わる周波数で、トラック床とシート上面との間の位相ずれが起こる。この位相ずれは、「浮遊する」感じを受ける一因となる。位相ずれは、振動絶縁を犠牲にして、低周波数帯域幅を拡大することで小さくすることができる。
【0014】
図1は、センサ20からデータを入力されるコントローラ18の制御下で、アクティブサスペンション12を使用して、車両の床/プラットフォーム16に対してプラント14(例えば、トラックなどの自動車両のシート上面)を能動的に懸架するシステム10を概略的に示している。センサ20は、2つの非限定的な例として、自動車両のシートの上面の加速度を検出する加速度計であり得るし、またはサスペンションベース部に対するシート上面の相対位置を検出する位置センサであり得る。システム10は、トラックの床の振動および他の動作から生じる、シートに着座した人への影響を取り除く、または小さくするために使用することができる。例えば、参照により本明細書に援用される特許に記載されているような車両プラントのアクティブサスペンション制御は、当技術分野において公知である。
【0015】
上記のシート上面の不自然な浮遊動作は、本開示において、この浮遊を低減するか、またはなくし、それでもなお絶縁を維持する態様で対処することができる。本開示では、道路輪郭情報が、メモリ24に保持された軌跡プランからコントローラ18に供給される。道路軌跡は、道路の輪郭の低周波数成分で構成することができる。道路軌跡情報は、軌跡を道路と同位相に維持するゼロ位相フィルタを使用して、測定した道路信号をフィルタ処理することで得ることができる。車両が移動する経路に沿った道路輪郭の軌跡情報は、車両がその輪郭に入る前に、コントローラ18に供給される。この場合に、シート上面は、コントローラが受け取った道路軌跡に追従するように、コントローラ18から指令される。制御ループは、低周波数において、単に受動シートサスペンションにシートを支持させるのではなくて、道路に追従するようにシート上面の動作を制御する。その結果として振動絶縁が維持され、一方で、シート上面の浮遊問題が低減されるか、またはなくなる。
【0016】
道路輪郭についての事前情報は、アクティブシートコントローラ18に送られる。アクティブサスペンションシステムは、このように、応答型アクティブサスペンションシステムおよびフィードフォワードに基づくアクティブサスペンションシステムの両方として動作することができる。システムの挙動は、車両位置特定システム22によって特定された車両位置の信頼度に基づいて変えられる。軌跡プラン24からの事前の道路データが正確であるという高い信頼度がある場合に、コントローラ18からのフィードフォワード入力に対する重みは、信頼度が低い場合よりも高くなる。同様に、フィードバック入力に対する重みは、信頼度が低い場合に、より低くすることができる。重み付けは、ゼロゲインを含む、フィードフォワード入力およびフィードバック入力の両方のゲインおよび周波数成分に個別に影響を及ぼすことができる。これは、車両が経路に沿って移動するときに動的に変わる。
【0017】
図2は、プラント14を床16に対して懸架するシステム10aのさらに詳細な概略図である。システム10aは、コントローラ18aの細部に関してのみ図1のシステム10と異なっており、コントローラ18aは、対象のシステムで使用できるコントローラの非限定的な例である。軌跡プラン24および車両位置22は、フィードフォワード可変重み特定部41、42に供給されている。車両位置22はまた、フィードバック可変重み特定部43に供給されている。特定部41、43の出力は合計されてアクティブサスペンション12に供給されている。特定部42およびセンサ20の出力は差分をとられて特定部43に入力されている。軌跡プラン24からの事前の道路データが正確であるという高い信頼度がある場合に、フィードフォワード入力41、42に対する重みは、信頼度が低い場合よりも高くなる。同様に、フィードバック入力43に対する重みは、信頼度が低い場合に、より高くすることができる。重み付け40は、ゼロゲインを含む、フィードフォワード入力41、42およびフィードバック入力43の両方のゲインおよび周波数成分に個別に影響を及ぼすことができる。これは、車両が経路に沿って移動するときに動的に変わる。
【0018】
経路上の車両の位置は、例えば、参照により本明細書に援用される先行技術に記載されているように、位置特定部22によって、所望する公知の方法で(例えば、GPSデータを使用して)特定することができる。信頼度は、1つの非限定的な例において、位置特定モジュール22によってリアルタイムに測定された位置データと、道路輪郭を表す保存データとの間の相互相関関係をとることで求められる。ここで留意すべきは、実際の道路輪郭を逆算することさえなしに、道路データと相関があり得る何らかの他のデータを使用することも可能である。例えば、床に連結された加速度計(図示せず)によって測定できる車両の床の加速度を使用することができる。いずれにしても、タグ付き位置(例えば、軌跡プラン)である保存データがあり、測定データは、保存データと比較される。測定データストリームは、相関測定を行うことで保存データストリームと合わせられ、相関関係がスパイク状に突出すると、データセットが合致する。この場合に、位置は、保存データセットに基づいて特定される。相関関係が高く判定されるほど、位置の特定において信頼度を高くすることができ、この相関関係は、信頼度の尺度として使用することができる。
【0019】
信頼度特定の例として、図3の上部サブプロットに示す単一の隆起を検討することとし、この上部サブプロットは、移動しながら記録した、隆起高さと経路に沿った位置との関係を示し、「測定」と名付けた符号は、測定した隆起を表す。中央のサブブロットは、3つの異なるアライメントオフセットでの、隆起高さと経路に沿った位置との関係の保存した記録を示している。底部のサブプロットは、アライメントの信頼度と経路に沿った位置との間の関係を示している。アライメントオフセット1の場合、保存データおよび測定データがずれており、したがって、底部サブプロットに四角マークによって示す低い信頼度となっている。この状態の場合、隆起の位置は基本的に分からず、フィードフォワードコマンド信号41、42は低く重み付けされ、一方、フィードバック信号43は、システムが隆起に応答するために高く重み付けされる。アライメントオフセット3の場合、保存データおよび測定データは、完全に合致しており、したがって、底部サブプロットに円マークによって示す最も高い信頼度になっている。この状態の場合、隆起の位置が正確に分かり、フィードフォワードコマンドは、所望の軌跡に追従して高く重み付けされ、フィードバックコマンドは、低く重み付けすることができる。アライメントオフセット2の場合、保存データおよび測定データは、部分的に合致しており、底部サブプロットに三角マークによって示す中位の信頼度になっている。この状態の場合に、隆起の位置は、ある程度の不確実性を持ったまま分かり、フィードフォワードコマンドは、所望の軌跡に影響を及ぼして中間レベルで重み付けされるが、予測される隆起と、測定した隆起との差に応答するフィードバックコマンドにも依存する。また、完全を期すために、保存した隆起と、測定した隆起との間のすべてのアライメントオフセットに対する一連のアライメント信頼度(信頼度連続線と名付けている)が、底部サブプロットに示されている。
【0020】
コマンド重み付けの目的は、フィードバックコントローラの性能を補強するために、軌跡プランの利用可能な情報を活用することである。この方策は、保存した情報の影響力を最大限にするのを可能にする。重み付けのない部分的な合致を検討すると、フィードフォワード入力が支配的なコマンドを生成する場合に、アライメント誤差の量に応じて、シート上面へのトラック床からの道路入力を増幅することが起こり得る。重み付けがある場合、同じ状況で、誤差に瞬間的に応答するフィードバックコントローラへの強い依存を維持しながら、シート上面の動作に影響を及ぼす何らかの軌跡が使用される。
【0021】
上記のシステムおよび方法の実施形態は、当業者には明らかなコンピュータ構成要素およびコンピュータ実行ステップを含む。例えば、コンピュータ実行ステップは、コンピュータ実行可能命令として、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM、およびRAMなどのコンピュータ可読媒体に保存することができると当業者には分かるであろう。さらに、コンピュータ実行可能命令は、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイなどの様々なプロセッサで実行できると当業者には分かるであろう。説明を簡単にするために、上記のシステムおよび方法のすべてのステップまたは要素が、コンピュータシステムの一部として本明細書で説明されたわけではないが、当業者には、各ステップまたは要素が、対応するコンピュータシステムまたはソフトウェア構成要素を有することができると分かるであろう。したがって、そのようなコンピュータシステムおよび/またはソフトウェア構成要素は、それらの対応するステップまたは要素(すなわち、それらの機能)を記述することで使用可能になり、本開示の範囲内である。
【0022】
複数の実装を説明した。それにもかかわらず、本明細書で説明した発明概念の範囲から逸脱することなく、さらなる修正を行うことができ、したがって、他の実施形態は、以下の請求項の範囲内であることが理解できよう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C