(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネル
(51)【国際特許分類】
B29C 43/58 20060101AFI20231128BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20231128BHJP
B64F 5/10 20170101ALI20231128BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20231128BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20231128BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20231128BHJP
B32B 3/26 20060101ALI20231128BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20231128BHJP
B29L 9/00 20060101ALN20231128BHJP
【FI】
B29C43/58
B64C1/00 B
B64F5/10
B29C43/34
B29C70/16
B29C70/68
B32B3/26 A
B29K105:08
B29L9:00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019005906
(22)【出願日】2019-01-17
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ターナー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ザカリー コトリク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ロバート シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ビー.ブラック
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0132532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147622(US,A1)
【文献】米国特許第04824714(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03037256(EP,A1)
【文献】米国特許第04474840(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176153(US,A1)
【文献】特開昭55-106644(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015111537(DE,A1)
【文献】米国特許第03879245(US,A)
【文献】特開平01-026413(JP,A)
【文献】特開平07-214716(JP,A)
【文献】特開平05-131576(JP,A)
【文献】特開2019-189203(JP,A)
【文献】米国特許第04327049(US,A)
【文献】国際公開第2016/067048(WO,A1)
【文献】米国特許第6050630(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0180959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1複合材外板、第2複合材外板、及び、中空セルコア材を、対向する金型を含むツール内に配置し、
前記対向する金型を用いて、前記第1複合材外板、前記第2複合材外板、及び、前記中空セルコア材を圧縮することにより、第1圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを圧縮成形し、前記第1圧潰エッジ領域は、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第1の厚みを含む、方法であって、
前記ツールを閉じることにより、前記金型間に内部形状を形成することをさらに含み、前記内部形状は、前記第1圧潰エッジ領域を形成し、前記内部形状は、さらに、前記第1圧潰エッジ領域を囲むとともに、前記公称厚さより厚みの大きい周囲領域を含む、方法。
【請求項2】
前記対向する金型のうちの一方における圧潰形成部を用いて、遷移領域内で第1圧潰エッジ領域における前記複合サンドイッチパネルの厚みを減らすことをさらに含み、前記遷移領域の長さは、少なくとも0.25インチである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧潰形成部は、突出部を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
数値制御機械を用いて前記第1圧潰エッジ領域を切断することにより、可視のコア材セルの無いフラットな外観を有する切断エッジを形成することをさらに含み、前記第1圧潰エッジ領域は、前記第1の厚みを有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記第1圧潰エッジ領域を切断することにより、前記複合サンドイッチパネルにおける前記第1の厚みを含む部分を除去する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部分は、前記第1の厚みの二倍の厚みをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1複合材外板、前記第2複合材外板、及び、前記中空セルコア材を圧縮する際に、第2圧潰エッジ領域及び第3圧潰エッジ領域を形成することと、
前記複合サンドイッチパネルの前記第2圧潰エッジ領域及び前記第3圧潰エッジ領域を形成しつつ、前記複合サンドイッチパネルの第4エッジから揮発性物質を逃がすことと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記複合サンドイッチパネルは、航空機のライト・ヴァランスを形成
するとともに、前記航空機の乗客に見える
第1エッジを有する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記複合サンドイッチパネルは、可視のコア材セルを有する開放エッジをさらに含み、前記複合サンドイッチパネルの前記公称厚さを有しており、
前記開放エッジに対してエッジ処理を施すことをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合サンドイッチパネルに関し、より具体的には、追加のエッジ処理を行う必要のない複合サンドイッチパネルのエッジを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
輪郭付けされた複合パネルを製造すると、未仕上げ状態のパネルエッジができる。パネルを最終形状(net shape)に切断すると、硬化プリプレグと中空セルコア材によるサンドイッチ構造が、切断されたパネルのエッジ部分に見える状態となる。
【0003】
複合サンドイッチパネルにおける、このような可視エッジには、好ましい外観のエッジにするためのエッジ処理が施される。エッジ処理は、キャビンの内部に見えるパネルのエッジを隠すための、二次的な化粧処理又は組付けプロセスである。エッジ処理によって、輪郭付け切断された複合サンドイッチパネルエッジにおける可視のコアセルを、隠すことができる。可視のパネルエッジに用いるパネルエッジ処理法の選択肢としては、複合材のトリミング、化粧板によるエッジ被覆、エッジ樹脂盛り(edge potting)又はエッジ充填(edge filling)及びその後の塗装、又は発泡処理(foam)がある。エッジ処理プロセスを行うと、コスト、航空機の重量、フロータイム、又は、オペレータの作業時間のうちの少なくとも1つが、増えることになる。
【0004】
従って、上述の事項の少なくともいくつかを、また、その他の潜在的な事項を考慮にいれた方法および装置の提供が望まれる。コスト、重量、フロータイム、又はオペレータの作業時間のうちの少なくとも1つを低減することができる、可視エッジを有する複合サンドイッチパネルの製造プロセスの提供が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示的な実施形態は、方法を提供する。第1複合材外板、第2複合材外板、及び、中空セルコア材を、対向する金型を含むツール内に配置する。前記対向する金型を用いて、前記第1複合材外板、前記第2複合材外板、及び、前記中空セルコア材を圧縮することにより、第1圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを圧縮成形し、第1圧潰エッジ領域は、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第1の厚みを含む。
【0006】
本開示の別の例示的な実施形態は、複合サンドイッチパネルを提供する。複合サンドイッチパネルは、第1複合材外板と、第2複合材外板と、前記第1複合材外板と前記第2複合材外板との間の中空セルコア材と、第1エッジを有する第1圧潰エッジ領域とを含む。前記第1エッジは、複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%小さい第1の厚みを有する。前記第1圧潰エッジ領域では、少なくとも0.25インチの長さにわたって、前記複合サンドイッチパネルの厚みが減少している。
【0007】
本開示のさらに別の例示的な実施形態は、圧縮成形ツールを提供する。圧縮成形ツールは、相対移動可能な対向する金型と、前記対向する金型によって形成される内部形状とを含む。前記対向する金型は、複合サンドイッチパネルの第1圧潰エッジ領域を形成するように構成された第1圧潰形成部を含む。前記内部形状は、公称厚さ、前記第1圧潰形成部によって形成された領域における第1の厚み、前記公称厚さと前記第1の厚みとの間に位置する遷移領域、ならびに、前記公称厚さ及び前記第1の厚みを囲む周囲領域を含む。前記第1の厚みは、前記公称厚さより少なくとも40%小さい。前記遷移領域の長さは、少なくとも0.25インチである。前記周囲領域における厚みは、前記公称厚さより大きい。
【0008】
これらの特徴および機能は、本開示の様々な実施形態において個々に達成可能であり、また、他の実施形態と組み合わせることも可能である。この詳細については、以下の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示的な実施形態に特有であると考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。なお、例示的な実施形態ならびに好ましい使用形態、さらにその目的および特徴は、本開示の例示的な実施形態について後述する詳細な説明を、下記の添付図面と併せて参照することにより、最もよく理解されるであろう。
【0010】
【
図1】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルが形成される製造環境のブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルによって形成されたライト・ヴァランスの斜視図である。
【
図3】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルによって形成されたライト・ヴァランスの側面図である。
【
図4A-4B】例示的な実施形態による、圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを成形するためのツールの断面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルの断面図である。
【
図6】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルの第1圧潰エッジ領域の断面図である。
【
図7】例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルを形成する方法のフローチャートである。
【
図8】例示的な実施形態による、航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
【
図9】例示的な実施形態を実施可能な航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態においては、1つ又は複数の異なる事項が認識及び考慮されている。例えば、例示的な実施形態において、複合サンドイッチパネルは、強度重量比が大きいということが認識及び考慮されている。例示的な実施形態において、複合サンドイッチパネルを形成するためには、複合材外板を中空セルコア材に押圧するということが認識及び考慮されている。例示的な実施形態において、かねてより、中空セルコア材の圧潰の防止が望まれているということが認識及び考慮されている。
【0012】
図面を参照し、具体的には
図1を参照すると、例示的な実施形態における、複合サンドイッチパネルを形成する製造環境のブロック図が示されている。製造環境102内の複合サンドイッチパネル100は、第1複合材外板104、第2複合材外板106、第1複合材外板104と第2複合材外板106との間の中空セルコア材108、及び、第1エッジ112を有する第1圧潰エッジ領域110を含む。第1エッジ112は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116より少なくとも40%小さい第1の厚み114を有する。
【0013】
第1圧潰エッジ領域110では、少なくとも0.25インチの長さ118にわたって、複合サンドイッチパネル100の厚み120が減少している。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、長さ118を有する遷移領域121において、減少している。いくつかの例示的な実施例において、長さ118は、0.25インチ~1インチの範囲内である。いくつかの例示的な実施例において、長さ118は、1インチより大きい。遷移領域121の長さ118は、第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び、中空セルコア材108の圧縮に起因する、複合サンドイッチパネル100内の欠陥を、低減するように選択される。遷移領域121の長さ118は、複合サンドイッチパネル100の形状及び厚み120に基づいて、選択される。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、第1圧潰エッジ領域110内において、第1エッジ112に向かう方向に減少する。
【0014】
公称厚さ116は、第1複合材外板104、中空セルコア材108、及び、第2複合材外板106を一体化して複合サンドイッチパネル100を形成した後の、複合サンドイッチパネル100の厚み120である。いくつかの例示的な実施例において、一体化の結果、厚みが約5%~10%減少し、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116となる。このような例示的な実施例において、第1複合材外板104、中空セルコア材108、及び、第2複合材外板106を含む、一体化前のアセンブリの厚みが、約5%~10%低減することにより、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116となる。
【0015】
いくつかの例示的な実施例において、中空セルコア材108は、ハニカムコアの形態を取る。第1の厚み114は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116の20%~60%の範囲内である。第1の厚み114は、40%圧潰~80%圧潰の範囲内としてもよい。
【0016】
第1エッジ112は、切断122が施されている。第1エッジ112では、第1複合材外板104、中空セルコア材108、及び、第2複合材外板106の一部が見える。第1エッジ112は、可視のコア材セル126が無いフラットな外観124を有する。
【0017】
いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100は、第2圧潰エッジ領域128をさらに含む。第2圧潰エッジ領域128は、第2の厚み132を有する第2エッジ130を含む。第2エッジ130は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116より少なくとも40%小さい第2の厚み132を有する。第2圧潰エッジ領域128では、少なくとも0.25インチの長さ134にわたって、複合サンドイッチパネル100の厚み120が減少している。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、長さ134を有する遷移領域136において、減少している。いくつかの例示的な実施例において、長さ134は、0.25インチ~1インチの範囲内である。いくつかの例示的な実施例において、長さ134は、1インチより大きい。遷移領域136の長さ134は、第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び、中空セルコア材108の圧縮に起因する、複合サンドイッチパネル100内の欠陥を、低減するように選択される。遷移領域136の長さ134は、複合サンドイッチパネル100の形状及び厚み120に基づいて、選択される。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、第2圧潰エッジ領域128内において、第2エッジ130に向かう方向に減少する。
【0018】
第2の厚み132は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116の20%~60%の範囲内である。第2の厚み132は、40%圧潰~80%圧潰の範囲内としてもよい。
【0019】
第2エッジ130は、切断138が施されている。第2エッジ130では、第1複合材外板104、中空セルコア材108、及び、第2複合材外板106の一部が見える。第2エッジ130は、可視のコア材セル126が無いフラットな外観124を有する。
【0020】
いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100は、第3圧潰エッジ領域140をさらに含む。第3圧潰エッジ領域140は、第3の厚み144を有する第3エッジ142を含む。第3エッジ142は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116より少なくとも40%小さい第3の厚み144を有する。第3圧潰エッジ領域140では、少なくとも0.25インチの長さ146にわたって、複合サンドイッチパネル100の厚み120が減少している。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、長さ146を有する遷移領域148において、減少している。いくつかの例示的な実施例において、長さ146は、0.25インチ~1インチの範囲内である。いくつかの例示的な実施例において、長さ146は、1インチより大きい。遷移領域148の長さ146は、第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び、中空セルコア材108の圧縮に起因する、複合サンドイッチパネル100内の欠陥を、低減するように選択される。遷移領域148の長さ146は、複合サンドイッチパネル100の形状及び厚み120に基づいて、選択される。複合サンドイッチパネル100の厚み120は、第3圧潰エッジ領域140内において、第3エッジ142に向かう方向に減少する。
【0021】
第3の厚み144は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116の20%~60%の範囲内である。第3の厚み144は、40%圧潰~80%圧潰の範囲内としてもよい。
【0022】
第3エッジ142は、切断150が施されている。第3エッジ142では、第1複合材外板104、中空セルコア材108、及び、第2複合材外板106の一部が見える。第2エッジ142は、可視のコア材セル126が無いフラットな外観124を有する。
【0023】
複合サンドイッチパネル100は、第4エッジ152を含む。第4エッジ152は、第4の厚み154を有する。第4の厚み154は、公称厚さ116と実質的に同じである。いくつかの例示的な実施例において、第4エッジ152は、開放エッジ155と称される。第4エッジ152は、可視のコアセル126を有する。いくつかの例示的な実施例において、第4エッジ152には、可視のコアセル126を隠すためのエッジ処理156が施されている。エッジ処理は、可視のコア材セル126を隠すための任意の所望の処理を含む。いくつかの例示的な実施例において、エッジ処理156は、複合材のトリム、化粧板によるエッジ被覆、エッジ樹脂盛り又はエッジ充填及びその後の塗装、又は発泡処理(foam)のうちの少なくとも1つである。
【0024】
本明細書において、「~のうちの少なくとも1つ」という語句がアイテムのリストについて用いられる場合、リストアップされたアイテムのうちの1つ又はそれ以上を様々な組み合わせで用いてもよいことを意味し、また、リストの各アイテムの1つだけが必要な場合もあることを意味する。換言すれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、リストから任意の数のアイテムを任意の組み合わせで使用することが可能であり、必ずしもリストアップされたアイテムのすべてを必要としないことを意味する。アイテムは、ある特定の対象、物、又はカテゴリーであってよい。
【0025】
また、この例には、アイテムA、アイテムB、およびアイテムCである場合、アイテムBおよびアイテムCである場合も含まれる。もちろん、これらのアイテムをどのように組み合わせてもよい。他の例において、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定するものではないが、2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC;4個のアイテムBと7個のアイテムC;又は、他の適当な組み合わせであってもよい。
【0026】
いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100の一部に、塗装157が施される。いくつかの例示的な実施例において、第1面158、第1エッジ112、第2エッジ130、又は第3エッジ142のうちの少なくとも1つに、塗装157が施される。第1面158は、第1複合材外板104によって形成されている。第1エッジ112が塗装される場合、第1エッジ112のエッジ処理は、可視のコア材セルに対する従来のエッジ処理よりも、所要時間を短くできる。
【0027】
複合サンドイッチパネル100を圧潰コアプレス(crush core press)で成形することによって、少なくとも1つのエッジが、固体ガラス繊維積層体のような挙動を示す程度にまで「圧潰される(over-crushed)」。本実施例では、第1エッジ112、第2エッジ130、及び、第3エッジ142の各々が「圧潰」プロセスによって形成される。「圧潰」プロセスは、熱及び圧力を用いて、複合サンドイッチパネル100の第1エッジ112、第2エッジ130、第3エッジ142の各々に沿って、中空セルコア材108、第1複合材外板104、及び、第2複合材外板106を圧縮し、中実板状にする。
【0028】
第1エッジ112、第2エッジ130、及び、第3エッジ142にこのような「圧潰」プロセスを用いることによって、エッジトリミングを用いずに、耐久性のあるエッジが形成される。複合サンドイッチパネル100の第4エッジ152は、圧潰されないため、成形プロセス中に、当該第4エッジから揮発性物質を逃がすことができる。
【0029】
第1エッジ112を圧潰することにより、追加の別個のエッジ処理は、任意の処理とすることができる。第1エッジ112を圧潰することにより、第1エッジ112のエッジ処理の少なくとも一部は、複合サンドイッチパネル100の一体形成中に行われる。
【0030】
複合サンドイッチパネル100を形成するためには、中空セルコア材108、第1複合材外板104、及び、第2複合材外板106が、対向する金型162を有するツール160内に配置される。ツール160の金型162を閉じると、これらの金型によって内部形状(interior shape)164が形成される。内部形状164は、複合サンドイッチパネル100の一部に「圧潰」圧力を付与することにより、第1圧潰エッジ領域110、第2圧潰エッジ領域128、及び、第3圧潰エッジ領域140を形成する。
【0031】
「圧潰」プロセスを行うことによって複合サンドイッチパネル100を形成した後、数値制御機械166を用いて、複合サンドイッチパネル100を切断する。数値制御機械166を用いることにより、切断処理122された第1エッジ112、切断処理138された第2エッジ130、及び、切断処理150された第3エッジ112が形成される。
【0032】
複合サンドイッチパネル100は、所望の用途に応じた任意の所望の形状を有しうる。複合サンドイッチパネル100は、ツール160及び数値制御機械166を用いて、形成及び成形される。いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100は、航空機168のコンポーネントの少なくとも一部を形成する。複合サンドイッチパネル100は、航空機168における任意の所望の内装複合サンドイッチパネルを形成しうる。いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100は、ライト・ヴァランス(light valence)170を形成する。いくつかの例示的な実施例において、複合サンドイッチパネル100は、天井パネル172を形成する。
【0033】
ツール160は、第1圧潰エッジ領域110などの圧潰領域を有する複合サンドイッチパネル100を形成するように構成されている。ツール160を閉じることにより、対向する金型162の間に内部形状164が形成される。内部形状164が、第1圧潰エッジ領域110を形成する。また、内部形状は、公称厚さ116より大きい厚み176を有する周囲領域174を含む。
【0034】
周囲領域174は、複合サンドイッチパネル100がツール160内にある際に、第1圧潰エッジ領域110、第2圧潰エッジ領域128、第3圧潰エッジ領域140、及び、第4エッジ152を囲む。周囲領域174は、圧縮中において、複合サンドイッチパネル100から揮発性物質が放出するのを可能にする。周囲領域174は、揮発性物質の放出速度を高めることにより、複合サンドイッチパネル100における欠陥の発生を抑制する。周囲領域174は、圧潰形成部178が、第1圧潰エッジ領域110、第2圧潰エッジ領域128、及び、第3圧潰エッジ領域140を形成すべく、内部形状164の各領域における厚みを選択的に減らしている箇所の後方で、厚みが広がっている。
【0035】
いくつかの例示的な実施例において、パネルの最終切断位置に後続する圧潰領域の長さは、最小限に設定される。パネルの最終切断位置の後続部分は、複合サンドイッチパネル100を作製するために切断される部分である。例えば、ツール160における、第1圧潰エッジ領域110、第2圧潰エッジ領域128及び第3圧潰エッジ領域140を形成する部分に後続する圧潰領域の長さは短い。パネルの最終切断位置に後続する圧潰領域の長さを短く設定することにより、所望の範囲以外での引き伸ばし又は圧潰などの不具合の発生を、抑制又は防止することができる。パネルの最終切断位置近傍の圧潰領域が短い場合、プレス工程中に、余分のガラス繊維及びコア材が、設計上の圧潰領域を超えて引き伸ばされたり、圧潰状態に成形されてしまうことが防止される。最終切断位置近傍の圧潰領域の長さを短くすると、パネルの生産性が向上する。すなわち、余分且つ不要な原材料がツール160で引き伸ばされて成形されることが無いために、パネルの生産性が向上する。周囲領域174は、最終切断位置近傍の圧潰領域を囲んでいる。周囲領域174は、公称厚さ116よりも大きい厚みである厚み176まで“広がる(opens back up)”ツール
の部分である。
【0036】
いくつかの例示的な実施例において、第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び中空セルコア材108の其々の一部が、複合サンドイッチパネル100の圧縮成形中に、周囲領域174内に存在する。このような例示的な実施例では、周囲領域174内に存在する第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び中空セルコア材108の一部を、数値制御機械166を用いて除去することにより、複合サンドイッチパネル100が形成される。
【0037】
いくつかの例示的な実施例において、圧潰形成部178によって圧潰された第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び中空セルコア材108のうちの少なくとも1つの一部を、数値制御機械166を用いて除去することにより、複合サンドイッチパネル100が形成される。例えば、第1圧潰形成部によって形成された第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び中空セルコア材108の第1圧潰部を、数値制御機械166によって切断することにより、切断処理122された第1エッジ112を形成することができる。この例では、第1の厚み114が、第1エッジ112の最終切断位置まで続く。
【0038】
別の例として、第2圧潰形成部によって形成された第1複合材外板104、第2複合材外板106、及び中空セルコア材108の第2圧潰部を、数値制御機械166によって切断することにより、切断処理138された第2エッジ130を形成することができる。この例では、第2の厚み132が、第2エッジ130の最終切断位置まで続く。
【0039】
図示のように、対向する金型162は、第1金型180及び第2金型182を含む。いくつかの例示的な実施例において、対向する金型162は、第1金型180及び第2金型182に加えて、追加の金型を含みうる。いくつかの例示的な実施例において、圧潰形成部178は、第1金型180又は第2金型182の一方のみに設けられる。いくつかの例示的な実施例において、圧潰形成部178は、第1金型180と第2金型182の両方にある。
【0040】
いくつかの例示的な実施例において、第1金型180を雄型184と称する一方、第2金型182を雌型186と称する場合がある。このような例示的な実施例では、圧潰形成部178は、雄型184に設けられた、突出部188などの突出部を含む。
【0041】
いくつかの例示的な実施例において、ツール160は、圧縮成形ツール(compression molding tool)と称されうる。例示的な一実施例において、圧縮成形ツール、すなわちツール160は、相対移動可能な対向する金型162と、対向する金型162によって形成される内部形状164とを含む。対向する金型162は、複合サンドイッチパネル100の第1圧潰エッジ領域110を形成するように構成された第1圧潰形成部189を含む。
【0042】
内部形状164は、対向する金型162によって形成される。内部形状164は、公称厚さ190、第1圧潰形成部189によって形成された領域194の第1の厚み191、公称厚さ190と第1の厚み191との間に位置する遷移領域192、ならびに、公称厚さ190及び第1の厚み191を囲む周囲領域174を含む。公称厚さ190は、複合サンドイッチパネル100の公称厚さ116と等しい。公称厚さ190は、複合サンドイッチパネル100などの複合サンドイッチパネルを圧縮成形するように構成されている。第1の厚み191は、複合サンドイッチパネル100の第1の厚み114と等しい。第1の厚み191は、複合サンドイッチパネル100などの複合サンドイッチパネルの一部を圧潰するように設定されている。
【0043】
第1の厚み191は、公称厚さ190より少なくとも40%小さい。いくつかの例示的な実施例において、遷移領域192の長さ193は、少なくとも0.25インチである。
【0044】
周囲領域174における厚み176は、公称厚さ190より大きい。いくつかの例示的な実施例において、周囲領域174における厚み176は、公称厚さ190の少なくとも2倍である。いくつかの例示的な実施例において、第1の厚み191は、0.050インチ~0.10インチの範囲内である。いくつかの例示的な実施例において、周囲領域174は、対向する金型162が相対移動可能な方向に対して実質的に垂直に、領域194からツール160の外側に向かって離間するように延びている。
【0045】
図1における製造環境102の図示は、例示的な実施形態が実現される態様について、物理的または構造的な限定を示唆するものではない。図示されたコンポーネントに加えて、又はこれらのコンポーネントに代えて、他のコンポーネントを用いることもできる。いくつかのコンポーネントが不要とされる場合もある。また、図に示したブロックは、いくつかの機能的なコンポーネントを表している。例示的な実施形態においてこれらのブロック実施する際は、1つ又は複数を組み合わせたり、分割したり、組み合わせてから異なるブロックに分割したりすることができる。
【0046】
次に
図2を参照すると、例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルによって形成されたライト・ヴァランスの斜視図が示されている。ライト・ヴァランス200は、複合サンドイッチパネル202を含む。複合サンドイッチパネル202は、
図1の複合サンドイッチパネル100を物理的に実現した例である。複合サンドイッチパネル202は、可視エッジ204を有する。可視エッジ204は、
図1の第1エッジ112を物理的に実現した例である。
【0047】
図示のように、可視エッジ204は、切断圧潰エッジである。可視エッジ204は、複合サンドイッチパネル202の公称厚さより少なくとも40%小さい厚みを有する。いくつかの例示的な実施例において、可視エッジ204には、エッジ処理が施されていない。いくつかの例示的な実施例において、可視エッジ204は、塗装されている。
【0048】
次に
図3を参照すると、例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルによって形成されたライト・ヴァランスの側面図が示されている。ヴュー(View)300は、可視エッジ204側からのライト・ヴァランス200の側面図である。
【0049】
ヴュー300では、第2エッジ302が見えている。第2エッジ302は、
図1の第2エッジ130を物理的に実現した例である。第2エッジ302は、厚み304を有する。厚み304は、複合サンドイッチパネル202の公称厚さより少なくとも40%小さい。いくつかの例示的な実施例において、第2エッジ302には、エッジ処理が施されていない。いくつかの例示的な実施例において、第2エッジ302は、塗装されている。
【0050】
次に
図4A及び
図4Bを参照すると、例示的な実施形態による、圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを成形するためのツールの断面図が示されている。ヴュー400は、ツール404内の複合サンドイッチパネル402を示している。複合サンドイッチパネル402は、
図1の複合サンドイッチパネル100を物理的に実現した例である。いくつかの例示的な実施例において、ツール404内で複合サンドイッチパネル402を圧縮した後は、複合サンドイッチパネル402は、ライト・ヴァランス200を構成する。ツール404は、
図1のツール160を物理的に実現した例である。
【0051】
図示のように、ツール404は、相対移動可能な対向する金型406と、対向する金型406によって形成された内部形状408とを含む。対向する金型406は、複合サンドイッチパネル402の第1圧潰エッジ領域412を形成するように構成された第1圧潰形成部410を含む。
【0052】
内部形状408は、対向する金型406によって形成されている。内部形状408は、公称厚さ414、第1圧潰形成部410によって形成された領域418の第1の厚み416、公称厚さ414と第1の厚み416との間に位置する遷移領域420、ならびに、公称厚さ414及び第1の厚み416を囲む周囲領域422を含む。
【0053】
第1の厚み416は、公称厚さより少なくとも40%小さい。いくつかの例示的な実施例において、第1の厚み416は、0.050インチ~0.10インチの範囲内である。
【0054】
遷移領域420の長さ424は、少なくとも0.25インチである。周囲領域422における厚み426は、公称厚さ414より大きい。図示のように、周囲領域422における厚み426は、公称厚さの少なくとも2倍である。
【0055】
ツール404は、複合サンドイッチパネル402を圧縮して、第1圧潰エッジ領域430を有する部品428を形成するように構成されている。ツール404は、所望の品質を有するとともに欠陥が低減された部品428を形成するように構成されている。
【0056】
例えば、パネルの最終切断位置434の近傍の第1圧潰エッジ領域430の長さ432は、プレス工程中に、ガラス繊維及びコア材が、圧潰領域を超えて引き伸ばされて、圧潰状態に成形されてしまうことを抑制するように設定されている。これにより、余分且つ不要な原材料がツール内で引き伸ばされないため、パネルの生産性が向上する。これは、パネルの公称厚みより大きい厚みに広がるツールの部分である。
【0057】
図示のように、周囲領域422は、対向する金型406が相対移動可能な方向に対して実質的に垂直に、領域418からツール404の外側436に向かって離間するように延びている。対向する金型406は、方向435に相対移動可能な第1金型438及び第2金型440を含む。第1金型438及び第2金型440によって形成される周囲領域422は、ヴュー400において、方向435に対して実質的に垂直である。ヴュー400は、第1金型438及び第2金型440を通る断面図である。
【0058】
次に
図5を参照すると、例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルの断面図が示されている。複合サンドイッチパネル500は、
図1の複合サンドイッチパネル100の物理的に実現した例である。
【0059】
複合サンドイッチパネル500は、第1エッジ502及び第2エッジ504を有する。前述のように、第1エッジ502及び第2エッジ504は、いずれも、圧潰プロセス及び数値制御機械による切断によって形成されている。
【0060】
図示のように、第1圧潰エッジ領域506は、第1エッジ502を含む。図示のように、第1エッジ502は、圧延されたエッジである。
【0061】
第1圧潰エッジ領域506は、長さ510を有する遷移領域508を含む。長さ510は、少なくとも0.25インチである。遷移領域508は、公称厚さ512から第1エッジ502の第1の厚み514まで、遷移領域508にわたって変化する。
【0062】
次に
図6を参照すると、例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルの第1圧潰エッジ領域の断面図が示されている。ヴュー600は、
図1のツール160などのツールで圧縮された後であるとともに最終形状に切断される前の、複合サンドイッチパネル601の図である。複合サンドイッチパネル601は、切断前の複合サンドイッチパネル100を物理的に実現した例である。
【0063】
複合サンドイッチパネル601は、遷移領域604を有する第1圧潰エッジ領域602を有している。遷移領域604は、少なくとも0.25インチの長さ605を有する。第1圧潰エッジ領域602のセクション606は、第1の厚み607を有する。第1の厚み607は、公称厚さ608の少なくとも40%が圧潰されたものである。セクション606は、複合サンドイッチパネル601のセクション610に実質的に垂直である。いくつかの例示的な実施例において、セクション606は、切断された圧延エッジを形成しうる。
【0064】
セクション606の長さ612は、複合サンドイッチパネル601における欠陥を低減するために、最小限に設定されている。セクション606の長さ612を制限することにより、プレス工程中に、圧潰領域を超えた位置のガラス繊維及びコア材が引き伸ばされて成形されることを抑制することができる。セクション606の長さ612を最小限にすることにより、不要な原材料がツール内で引き伸ばされないため、パネルの生産性が向上する。
【0065】
次に
図7を参照すると、例示的な実施形態による、複合サンドイッチパネルを形成する方法のフローチャートが示されている。方法700を用いて、
図1の複合サンドイッチパネル100を形成することができる。方法700は、
図1のツール160を用いて実行することができる。方法700を用いて、
図2の複合サンドイッチパネル202、
図5の複合サンドイッチパネル500、又は
図6の複合サンドイッチパネル601のうちの任意のものを形成することができる。
【0066】
方法700は、第1複合材外板、第2複合材外板、及び、中空セルコア材を、対向する金型を含むツール内に配置する(工程702)。方法700は、対向する金型を用いて、第1複合材外板、第2複合材外板、及び、中空セルコア材を圧縮することにより、第1圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを圧縮成形し、第1圧潰エッジ領域は、複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第1の厚みを含むものである(工程704)。
【0067】
いくつかの例示的な実施例において、方法700は、ツールを閉じることにより、金型間に内部形状を形成し、内部形状は、第1圧潰エッジ領域を形成し、内部形状は、さらに、公称厚さより厚みの大きい周囲領域を含む(工程706)。いくつかの例示的な実施例において、方法700は、対向する金型のうちの一方における圧潰形成部を用いて、遷移領域内で第1圧潰エッジ領域における複合サンドイッチパネルの厚みを減らすことをさらに含み、遷移領域の長さは、少なくとも0.25インチである(工程708)。いくつかの例示的な実施例において、圧潰形成部は、突出部を含む。
【0068】
いくつかの例示的な実施例において、方法700は、数値制御機械を用いて第1圧潰エッジ領域を切断することにより、可視のコア材セルの無いフラットな外観を有する切断エッジを形成し、第1圧潰エッジ領域は、第1の厚みを有する(工程710)。いくつかの例示的な実施形態において、方法700は、第1圧潰エッジ領域を切断することにより、複合サンドイッチパネルにおける1の厚みを含む部分を除去する(工程712)。いくつかの例示的な実施例において、前記除去される部分は、第1の厚みの二倍の厚みを有する部分をさらに含む。
【0069】
いくつかの例示的な実施形態において、方法700は、第1複合材外板、第2複合材外板、及び中空セルコア材を圧縮する際に、第2圧潰エッジ領域及び第3圧潰エッジ領域を形成する(工程714)。いくつかの例示的な実施例において、方法700は、複合サンドイッチパネルの第2圧潰エッジ領域及び第3圧潰エッジ領域を形成しつつ、複合サンドイッチパネルの第4エッジから揮発性物質を逃がす(工程716)。
【0070】
フローチャートやブロック図に示した異なる実施形態は、例示的な実施形態による装置や方法について、可能ないくつかの実施態様の構造、機能、処理を示している。この点に関し、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能及び/又は操作や工程の一部を表す場合もある。
【0071】
例示的な実施形態のいくつかの代替の実施態様では、ブロックで示した1つ又は複数の機能を、図に示した順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックを、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。また、フローチャートまたはブロック図に示したブロックに対して、他のブロックを追加してもよい。
【0072】
いくつかの例示的な実施例において、方法700のすべてのブロックを行わなくともよい。例えば、工程706~716は任意である。
【0073】
本開示の例示的な実施形態は、
図8に示す航空機の製造及び保守方法800に関連させて、また、
図9に示す航空機900に関連させて、説明することができる。まず
図8を参照すると、同図には、例示的な実施形態による、航空機の製造及び保守方法が示されている。生産開始前の工程として、航空機の製造及び保守方法800は、
図9の航空機900の仕様決定及び設計802及び材料調達804を含みうる。
【0074】
生産中は、航空機900の部品及び小組立品の製造806及びシステム統合808が行われる。その後、航空機900は、例えば認可及び納品810を経て、就航812に入る。顧客による就航812の間、航空機900は、定例の整備及び保守814のスケジュールに組み込まれ、これは、改良、再構成、改修、及び他の保守又はサービスを含みうる。
【0075】
航空機の製造及び保守方法800の各工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又は、オペレータによって実行又は実施することができる。これらの例において、オペレータは顧客であってもよい。なお、システムインテグレーターは、限定するものではないが、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0076】
次に
図9を参照すると、例示的な実施形態を実施可能な航空機が示されている。本例において、航空機900は、
図8の航空機の製造及び保守方法800によって製造され、複数のシステム904及び内装906を備えた機体902を含みうる。システム904は、例えば、推進系908、電気系910、油圧系912、及び、環境系914のうちの1つ以上を含む。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として示しているが、種々の例示的な実施形態を、例えば自動車産業等の他の産業に適用してもよい。
【0077】
本明細書において実施される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法800の段階のうちの少なくとも1つにおいて、採用することができる。1つ又はそれ以上の例示的な実施形態を、
図8における部品及び小組立品製造806、システム統合808、又は整備及び保守814の段階で用いることができる。例えば、複合サンドイッチパネル100を、部品及び小組立品の製造工程806において形成することができる。別の例として、複合サンドイッチパネル100は、
図8の整備及び保守814で用いられる交換部品であってもよい。
【0078】
本明細書において実施される装置及び方法は、航空機900の少なくとも1つのコンポーネントの製造に用いることができる。例えば、
図1の複合サンドイッチパネル100を製造することにより、内装906の一部を形成することができる。
【0079】
例示的な実施例は、エッジ処理時間、コスト、又は重量が低減された複合サンドイッチパネルを形成するための方法及び装置を提供する。例示的な実施例は、航空機に用いられる圧潰コアガラス繊維パネルを提供するものである。いくつかの例示的な実施例において、圧潰コアガラス繊維パネルは、航空機の客室のライト・ヴァランスであってもよい。いくつかの例示的な実施例において、圧潰コアガラス繊維パネルは、航空機の客室の天井パネルであってもよい。2つの具体例を提示したが、例示的な実施例に示した圧潰コアガラス繊維パネルは、航空機の任意の所望位置で、露出エッジを有する任意の所望のコンポーネントに用いることができる。
【0080】
例示的な実施例は、航空機の客室内の乗客に見える可視のパネルエッジのエッジ処理を、パネル圧潰設計を用いて行うことを提示している。例示的な実施例は、圧潰及び一体化されたパネルエッジを有する複合パネルを含む。複合サンドイッチパネルを圧潰することにより、最終形状まで5軸トリミング加工した後には、一体化したきれいなエッジが得られる。可視のコア材セルを有する複合サンドイッチパネルを切断すると、コアフラギング(core flagging)とも称される、エッジが毛羽立ったあるいは粗い状態になる場合がある。例示的な実施例における圧潰エッジでは、そのような目に見えるコア材剥がれが存在しない。圧潰エッジを切断した後は、パネルは、塗装あるいは化粧仕上げを行える状態である。
【0081】
例示的な実施例は、嵌合させた金型ダイ内で複合パネルを形成するプロセスに、エッジ処理を組み込んでいる。可視エッジの処理が望まれるパネルのエッジにおいて、パネルの厚みが大幅に低減される。例示的な実施例は、コスト、重量、部品数、部品の複雑さ、流量のうちの少なくとも1つを、低減することができる。例示的な実施例は、塗装された内装パネルにエッジ処理を施す方法を提供する。塗装されたパネルは、化粧フィルムによるエッジ被覆プロセスを受けないことになる。
【0082】
また、本開示は以下の付記による実施形態を含む。
【0083】
付記1. 第1複合材外板、第2複合材外板、及び、中空セルコア材を、対向する金型を含むツール内に配置し、
前記対向する金型を用いて、前記第1複合材外板、前記第2複合材外板、及び、前記中空セルコア材を圧縮することにより、第1圧潰エッジ領域を有する複合サンドイッチパネルを圧縮成形し、前記第1圧潰エッジ領域は、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第1の厚みを含む、方法。
【0084】
付記2. 前記ツールを閉じることにより、前記金型間に内部形状を形成することをさらに含み、前記内部形状は、前記第1圧潰エッジ領域を形成し、前記内部形状は、さらに、前記公称厚さより厚みの大きい周囲領域を含む、付記1に記載の方法。
【0085】
付記3. 前記対向する金型のうちの一方における圧潰形成部を用いて、遷移領域内で第1圧潰エッジ領域における前記複合サンドイッチパネルの厚みを減らすことをさらに含み、前記遷移領域の長さは、少なくとも0.25インチである、先行するいずれかの付記に記載の方法。
【0086】
付記4. 前記圧潰形成部は、突出部を含む、付記3に記載の方法。
【0087】
付記5. 数値制御機械を用いて前記第1圧潰エッジ領域を切断することにより、可視のコア材セルの無いフラットな外観を有する切断エッジを形成することをさらに含み、前記第1圧潰エッジ領域は、前記第1の厚みを有する、先行するいずれかの付記に記載の方法。
【0088】
付記6. 前記第1圧潰エッジ領域を切断することにより、前記複合サンドイッチパネルにおける前記第1の厚みを含む部分を除去する、付記5に記載の方法。
【0089】
付記7. 前記部分は、前記第1の厚みの二倍の厚みをさらに含む、付記6に記載の方法。
【0090】
付記8. 前記第1複合材外板、前記第2複合材外板、及び、前記中空セルコア材を圧縮する際に、第2圧潰エッジ領域及び第3圧潰エッジ領域を形成することと、
前記複合サンドイッチパネルの前記第2圧潰エッジ領域及び前記第3圧潰エッジ領域を形成しつつ、前記複合サンドイッチパネルの第4エッジから揮発性物質を逃がすことと、をさらに含む、先行するいずれかの付記に記載の方法。
【0091】
付記9. 第1複合材外板と、
第2複合材外板と、
前記第1複合材外板と前記第2複合材外板との間の中空セルコア材と、
第1エッジを有する第1圧潰エッジ領域と、を含む複合サンドイッチパネルであって、前記第1エッジは、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第1の厚みを有し、前記第1圧潰エッジ領域では、少なくとも0.25インチの長さにわたって、前記複合サンドイッチパネルの厚みが減少している、複合サンドイッチパネル。
【0092】
付記10. 前記第1エッジは、可視のコアセルが無いフラットな外観を有する、付記9に記載の複合サンドイッチパネル。
【0093】
付記11. 前記第1エッジは、圧延エッジである、先行するいずれかの付記に記載の複合サンドイッチパネル。
【0094】
付記12. 前記第1エッジを被覆する塗料をさらに含む、先行するいずれかの付記に記載の複合サンドイッチパネル。
【0095】
付記13. 前記複合サンドイッチパネルは、航空機のライト・ヴァランスを形成し、前記第1エッジは、前記航空機の乗客に見えるものである、先行するいずれかの付記に記載の複合サンドイッチパネル。
【0096】
付記14. 第2エッジを有する第2圧潰エッジ領域であって、前記第2エッジは、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第2の厚みを有し、前記第2圧潰エッジ領域では、少なくとも0.25インチの長さにわたって前記複合サンドイッチパネルの厚みが減少している、第2圧潰エッジ領域と、
第3エッジを有する第3圧潰エッジ領域であって、前記第3エッジは、前記複合サンドイッチパネルの公称厚さより少なくとも40%少ない第3の厚みを有し、前記第3圧潰エッジ領域では、少なくとも0.25インチの長さにわたって前記複合サンドイッチパネルの厚みが減少している、第3圧潰エッジ領域と、をさらに含む、先行するいずれかの付記に記載の複合サンドイッチパネル。
【0097】
付記15. 可視のコア材セルを有する開放エッジをさらに含み、前記開放エッジは、前記複合サンドイッチパネルの前記公称厚さである、先行するいずれかの付記に記載の複合サンドイッチパネル。
【0098】
付記16. 前記開放エッジに施されたエッジ処理をさらに含む、付記15に記載の複合サンドイッチパネル。
【0099】
付記17. 相対移動可能であるとともに、複合サンドイッチパネルの第1圧潰エッジ領域を形成するように構成された第1圧潰形成部を含む、対向する金型と、
前記対向する金型によって形成される内部形状と、を含む圧縮成形ツールであって、前記内部形状は、公称厚さ、前記第1圧潰形成部によって形成された領域における第1の厚み、前記公称厚さと前記第1の厚みとの間に位置する遷移領域、ならびに、前記公称厚さ及び前記第1の厚みを囲む周囲領域を含み、前記第1の厚みは、前記公称厚さより少なくとも40%小さく、前記遷移領域の長さは、少なくとも0.25インチであり、前記周囲領域における厚みは、前記公称厚さより大きい、圧縮成形ツール。
【0100】
付記18. 前記周囲領域における前記厚みは、前記公称厚さの少なくとも二倍である、付記17に記載の圧縮成形ツール。
【0101】
付記19. 前記第1厚みは、0.050インチ~0.10インチの範囲内である、先行する付記のいずれかに記載の圧縮成形ツール。
【0102】
付記20. 前記周囲領域は、前記対向する金型が相対移動可能な方向に対して実質的に垂直に、前記領域からツールの外側に向かって離間するように延びている、先行する付記のいずれかに記載の圧縮成形ツール。
【0103】
様々な例示的な実施形態の説明は、例示および説明のために提示したものであり、すべてを網羅することや、開示した形態での実施に限定することを意図するものではない。当業者には、多くの改変や変更が明らかであろう。また、例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態とは異なる特徴を含みうる。上述した1つ又は複数の実施形態は、実施形態の原理および実際の用途を最も的確に説明するとともに、当業者が、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態のための開示を理解できるようにするために、選択および記載したものである。