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特許7391531クイックカップリング用ガスケットおよび前記ガスケットを含むクイックカップリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】クイックカップリング用ガスケットおよび前記ガスケットを含むクイックカップリング
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20231128BHJP
   F16L 37/138 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
F16J15/10 L
F16L37/138
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019083624
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2019199963
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】18425035.5
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519152973
【氏名又は名称】ファステル エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】FASTER S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ロセッティ
(72)【発明者】
【氏名】イゴール ポルガティ
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-101820(JP,A)
【文献】特開2015-197176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
F16L 37/08-37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックカップリング用の、オスクイックカップリングのバルブ体の液密用のガスケット(20)であって、前記ガスケットはトロイダル本体(21)を含み、内面(20a)および外面(20b)を含み、前記外面(20)は、2つの側方肩部(21b)に隣接した中央部分(21a)を含み、前記内面(20a)は、半径方向断面において、三角形の頂点がトロイドの内方に面する三角形プロファイルを有する、クイックカップリング用ガスケットにおいて、前記外面(20b)は、前記中央部分(21a)が前記側方肩部(21b)に対して突出している三裂片形状であり、前記ガスケットは、単体で製造され、かつ中心対称面(A)に対して対称的であり前記外面(20b)は、半径方向断面において、中心対称面(A)に対して対称的な三裂片形状(21a、21b)を有しており、前記外面(20b)の前記中央部分(21a)は、前記中央部分(21a)を前記側方肩部(21b)から分離する溝(21c)によって横方向に区切られていることを特徴とする、クイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項2】
前記内面(20a)は、半径方向横断面上の断面において、前記中心対称面(A)に対して2つの傾斜した側面(20a´)を含み、前記傾斜した側面(20a´)は、前記中心対称面(A)に直交する表面の実質的に平坦な部分を画定する接続部分(20a´´)で接続されていることを特徴とする、請求項に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項3】
前記トロイダル本体(21)は、更に、外方に面する第1の側面(20c)および第2の側面(20d)を備え、前記第1の側面(20c)および前記第2の側面(20d)にはそれぞれ、使用時にオイルを排出するための複数の溝(22c、22d)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項4】
前記第1の側面(20c)は、複数の第1の溝(22c)を含み、前記第2の側面(20d)は複数の第2の溝(22d)を含み、前記第1の溝(22c)および前記第2の溝(22d)は、対応する位置にて各側面(20c、20d)に沿って配置されていることを特徴とする、請求項に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項5】
前記第1の溝(22c)および前記第2の溝(22d)は、半径方向の向きを有することを特徴とする、請求項に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項6】
前記第1の溝(22c)および前記第2の溝(22d)は、前記側面(20c、20d)のそれぞれに対して4~16の間の数であることを特徴とする、請求項4または5に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーのグループに属する材料から製造されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項8】
前記材料が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする、請求項に記載のクイックカップリング用ガスケット(20)。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット(20)を備えることを特徴とする、圧力下で油圧ラインを接続するためのクイックカップリング用ガスケット(20)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックカップリング用ガスケットおよびそのようなガスケットを含むクイックカップリングに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、油圧ラインを迅速に接続するためのオスクイックカップリングのフロントバルブを密閉するためのガスケットに関する。
【0003】
本発明の目的はまた、そのような改良された構成のガスケットを含むクイックカップリング、特にオスカップリングを提供することである。
【背景技術】
【0004】
クイックカップリング、特に、フロントバルブを備えた、対応するメスクイックカップリングに結合することを意図したオスクイックカップリングが知られている。
【0005】
前記フロントバルブは、カップリングの軸方向通路を遮断するためのバルブを構成する。
【0006】
このバルブの密閉は、一般的に円形断面のトロイダルガスケット、即ち従来のOリングを設けることによって確実にされる。
【0007】
この状況は、図1および図1aの拡大図に示されている一方で、図1bはオスクイックカップリング100およびメスクイックカップリング300の最終接続ステップを示している。
【0008】
従来技術から既知の事項によれば、オスカップリング100において、既知のタイプのOリングガスケット200は、外側円筒体110上に配置され、前記外側円筒体110とバルブ体120との間に位置付けられることで、バルブ体120が外側体110に対して長手方向に摺動する際にもこれら2つの要素の液密を確実にする。
【0009】
本明細書で考慮されるタイプのクイックカップリングの幾分面倒な典型的な用途としては、例えば、土工機械の分野におけるいわゆる高荷重用途が代表的である。
【0010】
この特定の用途、並びに他の同等の用途では、クイックカップリングのために高い機械抵抗が必要であり、これはまた、あらゆる使用位置およびあらゆる圧力条件において、カップリングの完全な締付けと組み合わされなければならない。
【0011】
メスカップリング300におけるオスカップリング100の接続ステップが示されている図2を特に参照すると、接続ステップの間、特に、バルブ体120が収容されているオスチャンバに残留圧力がある場合に、ガスケット200は、ガスケット200が「ギロチン」され得るリスクがあるまで、即ち、メスカップリング300のバルブ体320と、メスカップリング自体の内側スライダー310との間が締付けられるまで、ガスケット200を変形させる傾向がある応力を受けることに留意されたい。
【0012】
カップリングの動作中にガスケット200が押し出されるリスクを回避または少なくとも低減するために、押し出し防止リング210を設けることが知られているが、しかしながら、この方法は、Oリングの押し出しおよび押し潰しの問題を完全に排除するものではなく、Oリングは塑性領域に変形し、全ての液密性を失う。
【0013】
それ故に、密閉を確実にし、従って上述したガスケットの完全な操作を確実にしつつ、それと同時に、ガスケット自体の押し潰しおよび押し出しを回避するという課題が挙げられる。
【0014】
更に、カップリングに連結されたチューブの重量による横荷重(曲がり現象)の存在下において、および、方形波パルス圧力の存在下でカップリングが接続される際の高圧(高圧は通常、350バール以上を意味する)の存在下においても、ガスケットによる密閉を確実にしなければならない。
【0015】
更に、本明細書で考慮されるシーリングガスケットが解決しなければならない技術的問題の1つとして、カップリング自体の空間的(水平/垂直)配向に関係なく完全な密閉を確実にしなければならない点が挙げられる。
【0016】
オスカップリングのバルブ体を密閉するためにOリングガスケットを使用する、既知の解決法に影響を及ぼす上記および他の欠点を解決するために、同一出願人は、特許文献1に記載された新規のタイプのガスケットを開発した。
【0017】
とりわけ、それだけではなく、本特許出願に示される解決策は、オス100のバルブ体120がメスカップリングのスライダー310に適合する重大な移行段階において、特にガスケット自体の押し出しの問題を解決するガスケットを提供することを目的としている。
【0018】
特許文献1に記載されている改良型ガスケットは、本特許出願に添付された図3および図4に示されている。
【0019】
ガスケット1は、好ましくはポリウレタン(PUR)製であって、好ましくは成形によって得られる本体10を含む実質的にトロイダル形状を有する。
【0020】
ガスケットの外面は、参照番号13で図中に示されているOリングを収容するように適合された円周方向のシートを有する。ガスケット1の外面は、平坦ではない円錐形プロファイルを有する。円錐形プロファイルは、前記Oリング13を収容するための円周方向の溝の存在によって中央にて中断されており、これにより、ガスケットをより弾性的かつ可撓性にし、それ故に、相対的な摺動の間(接続および分離ステップの間)、オスカップリングのバルブ体120およびメスカップリングのバルブ体320および/またはメスカップリングの内側スライダー310のプロファイルにより忠実に従うことができ、従って、確実に液密することができる。
【0021】
更に、特許文献1によるそのようなガスケット1は、流体を排出する機能を有する少なくとも1つの溝またはフレア11を含む。
【0022】
ガスケット1の側面にスリット11が存在することにより、油圧によって発生する横方向の力を均衡化することができる。
【0023】
同一出願人による先行特許出願の主題である改良型ガスケットは、考慮された押し出しの問題の大部分を解決したが、前記ガスケットの大量生産および重大条件における使用により、いくつかの重大な問題が明らかになった。
【0024】
特に、ガスケットをカップリングのバルブ体に組み込むステップの間、ガスケットを定位置に適合させるのに必要な動作として、作業者はガスケットを湾曲させなければならず、それ故にOリング13の使用が好まれることが判明した。
【0025】
組立者はこの問題に注意を払うことができるが、このリスク故に、組立作業は最終製品のコストに影響する時間の損失を伴うが、しかしながら組立の良さを完全に保証するわけではない。
【0026】
既知のタイプのガスケットに影響を与える更なる欠点は、特に高温の条件下で、いくつかのタイプのカップリング、例えばFHVカップリング(建設分野に適したスクリューフラットフェイスカップリング)の使用中に遭遇する一連の問題にある。
【0027】
より具体的には、Oリングを有する成形ポリウレタンガスケットの導入により、大多数の用途での使用において重要な好ましい結果をもたらすことが判明した。
【0028】
実際に、使用中の押し出しの問題は解決され、カップリングの全体的な性能は向上したが、特に高荷重用途ではオイルの漏れが観測された。
【0029】
使用時に問題に遭遇したカップリングに対する多数の徹底的な研究と分析の後、これらの失敗の主な原因に、ガスケットの挙動によって制限される動作温度の上限として、製造者および本出願人によって示されている100℃よりも更に高温まで油温が達し得る、FHVカップリングを取り付けたシステムの油温が挙げられることが確認された。
【0030】
実際に、最大動作温度付近では、ガスケットが製造された材料の機械的特性が低下し、結果的に性能が低下する。
【0031】
それを区別する機械抵抗の特性を失うことによって、圧力下のオイルによって非常に高い力を受けたガスケットは、横方向の排出部11のネッキングゾーンにおいて永久的に変形し、それ故に、Oリング13の逃げにより、ガスケット自体の弾力性を確実とすることが好ましい。
【0032】
バルブ体120と外側体110との間のガスケットの(上部)密閉点、即ち、Oリング13からなる密閉点を失うことによって、当然の結果としてオイルが失われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【文献】欧州特許出願公開第3112728(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
上記に照らして、本発明の課題は、考慮されているタイプのうち既知のタイプのオスクイックカップリングのガスケットに影響を及ぼす上記の欠点を解決することである。
【0035】
この課題の範囲内で、本発明による改良型ガスケットの目的は、特許文献1から知られているタイプのガスケットに存在する高温アセンブリおよびOリングの漏出の問題を解決することである。
【0036】
本発明の更なる目的は、(図5に示すように)ガスケットの排出部での材料のネッキングおよび結果的に生じる材料の変形を防止することである。
【0037】
最後に言い残したが、本発明の目的は、特定の用途に使用するための、100℃超の高い油動作温度にさえも耐え得る改良型ガスケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記の課題、並びに以下においてより明白になるであろう上記および他の目的は、添付の請求項1に記載のオスクイックカップリングのフロントバルブ体用のガスケットによって達成される。
【0039】
本発明によるガスケットの更なる特徴は従属請求項に記載されており、これも本明細書の不可欠な部分を形成する。
【0040】
更なる特徴および利点は、添付の図面を用いて非限定的な例として示される、本発明による改良型ガスケットの好ましいが非排他的な実施形態の説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】先行技術から既知の事項による、Oリングからなるフロントガスケットを設けたオスカップリングを示す説明図である。図1bは、メスカップリングに結合された図1のオスカップリングを示す説明図である。
図2図1のカップリングの詳細図である。
図3】特許文献1から公知のガスケットの斜視図である。
図4】特許文献1から公知のガスケットの斜視断面図である。
図5】本発明による改良型ガスケットの全体斜視図である。
図6】本発明による改良型ガスケットの、垂直面による部分的断面を有する正面図である。
図6A】特に、半径方向断面におけるガスケットの内面および外面のプロファイルを示す、図6の詳細拡大図である。
図7】本発明による改良型ガスケットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
特に図5図7を参照して、本発明によるガスケットの好ましい実施形態を以下に説明する。この説明は非限定的な例として与えられており、従って、説明されたものと同等と見なすことができる任意の変形形態は、本発明の範囲内に含まれると見なされなければならない。
【0043】
本発明によるクイックカップリング用のガスケット20は、既知のタイプのOリングを設けたカップリングを示す図1図1bおよび図2に例として示される、本明細書で考慮されるカップリングのタイプを参照して、本明細書の冒頭部分に記載されているように、特に、オスクイックカップリングのバルブ体の液密を達成するように設計されている。
【0044】
本発明によるガスケット20は、内面20aおよび外面20bを画定するトロイダル本体21を備える。
【0045】
外面20bは、使用時に、オスカップリングの外側円筒体110に対して液密とする一方で、ガスケットの内面20aは、接続状況に応じて、バルブ体120に対して、またはメスカップリング300の内側スライダー310に対して液密とする。
【0046】
特に、ガスケットが取り付けられているオスカップリングの外側円筒体との液密を最適化するために、および、既知のタイプのガスケットに存在するOリングの押し出し現象を防止するために、本発明によるガスケット20は、Oリングを使用するよりもむしろ密閉を最適化し、ガスケット自体の外面20bの特定の構成を提供する。
【0047】
より具体的には、ガスケットの外面20bは、実質的に三裂片形状を有しており、その中には中央部分21aが2つの側方肩部21bに隣接しており、前記外面20bは中央部分21aが側方肩部21bに対して外方に突出している三裂片形状であることを特徴としている。
【0048】
従って、本発明のガスケットの目的は、Oリングの存在を無視することを可能にし、それ故に、特に高温での組み立ての問題およびOリング自体の押し出しまたは逃げの問題を同時に回避する。
【0049】
ガスケット自体の外面20bの中央部分21aの特定の「ドーム」構成により、Oリングは完全に排除される。
【0050】
ガスケットのこの新規の形状により、カップリングの接続および分離ステップの間の、構成要素の相対的な摺動の間に、ガスケットがバルブプロファイルに従うことを可能にするのに必要な可撓性を維持しつつ、確実に密閉する。
【0051】
好ましくは、外面20bは、半径方向断面において、中心対称面Aに対して対称的な三裂片形状を有し、その中には、前記外面20aの前記中央部分21aが、前記中央部分21aを前記側方肩部21bから周方向に分離する一対の平行溝21cによって横方向に区切られている。
【0052】
同時に、本発明によるガスケットの好ましい実施形態では、前記ガスケット20の内面20aは、半径方向断面上において、三角形の頂点がトロイドの内方に面する三角形プロファイルを有する。
【0053】
より詳細には、図6および図6Aを参照すると、内面20aは、半径方向横断面において、対称面Aに対して2つの傾斜した側面20a´を含み、これらは、前記垂直対称軸に直交する表面の実質的に平坦な部分を画定する接続部分20a´´で接続されている。
【0054】
再度、上記の図、特に図7を参照すると、有利には、本発明によるガスケット20は、更に、トロイダル本体21が、外方に面する第1の側面20cおよび第2の側面20dを有しており、前記第1の側面20cおよび前記第2の側面20dはそれぞれ、使用時にオイルを排出するための複数の溝22c、22dを備えていることを特徴とする。
【0055】
図面によれば、前記溝は四角形であることが好ましい。
【0056】
更に、再度、本発明の好ましい実施形態によれば、各側面20c、20dは複数の前記溝を含み、特に、第1の側面20cは複数の第1の溝22cを含み、第2の側面20dは複数の第2の溝22dを含む。
【0057】
好ましくは、前記第1の溝22cおよび前記第2の溝22dは、対応する位置において各側面20c、20dに沿って配置される。
【0058】
高い油温(100℃超)をもたらす用途分野におけるガスケットの使用後に見られるように、溝領域におけるガスケットの変形を防ぐために、本発明によるガスケットに、先行技術から既知のタイプのガスケットにおいてよりも深さが浅い、より多数の溝22c、22dを設ける。
【0059】
これらの排出部によって運搬されるオイルの容量が減少しないようにするために、カップリングの接続/分離ステップの間に、ガスケットの結果として生じる回転による圧力の再均衡における潜在的な不均衡を生じさせるため、本発明によるガスケットは、それぞれが先行技術から既知のものよりも深さが浅い、より多数の排出溝を提供する。
【0060】
組立作業を容易化するために、排出溝はガスケットの両側に存在しており、それ故に、作業者はガスケットの取り付け方向を確認する必要がなく、この取り付け方向は、中心面Aに対して完全に対称的である。本発明によれば、単体で製造されたガスケットは、特別な道具を使用せずにカップリングに取り付けることができ、中心対称面Aに対して完全に対称であるという事実により、組立中の作業者および最終顧客は、ガスケットを交換する必要がある場合に、フェイルセーフを設置することができる。有利には、前記第1の溝22cおよび前記第2の溝22dは、前記表面上にて半径方向の向きを有する。
【0061】
設けられた複数の半径方向溝22c、22dにより、加圧下のオイルがガスケットに及ぼす応力は減少するが、しかしながら、たとえ制限されているとは言え、オイルの作動温度に起因してガスケットが変形するリスクが残り、これは、当技術分野で観察されている既知のタイプのガスケットの故障の主な原因として残っている。
【0062】
現在使用されている既知のタイプのガスケットの製造に使用されるポリウレタンの限界作業温度は約100℃であり、それ故に、排出溝におけるガスケットの変形を防止するために、本発明によるガスケットは、排出溝の数および深さの修正、および異なる種類の材料の使用を同時に提供する。
【0063】
熱可塑性ポリマーの市場において、本出願人は、長い研究段階に続いて、インパルス、熱衝撃、破裂、高容量アセンブリおよび承認試験等において肯定的な結果を示した複数のサンプルに対する多数の試験の後に、その最新世代の化学組成により、特定の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を選択し、これにより、市場で提供されている基準をはるかに超える一定の作業温度を保証することができた。
【0064】
この材料により、排水溝の特定の構成と共に述べたように、120℃までの一定の使用温度でさえもガスケットを使用することを可能にする。
【0065】
このように、本発明によるガスケットは、本発明が設定した課題および目的を達成することを可能にすることが示された。
【0066】
本発明を例示的かつ非限定的な目的のために、その好ましい実施形態に従って記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されているように、相対的な保護範囲から逸脱することなく、変形および/または修正が当業者によりなされ得ることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7