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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019107431
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200628
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】北田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】間下 浩之
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-289172(JP,A)
【文献】特開2000-017868(JP,A)
【文献】特開2000-240309(JP,A)
【文献】特開2016-017379(JP,A)
【文献】国際公開第2007/069873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/62 - 1/99
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースであって、
前記隔壁の一部に前記外部空間から前記内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、
前記通音領域を被覆可能に前記隔壁に設置されると共に前記通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備えており、
前記隔壁として前記内部空間を上方から閉塞する天井壁を備え、
前記通音領域が前記天井壁に形成されている
ことを特徴とするブース。
【請求項2】
外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースであって、
前記隔壁の一部に前記外部空間から前記内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、
前記通音領域を被覆可能に前記隔壁に設置されると共に前記通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備えており、
前記音を通過可能とすると共に前記内部空間から前記通音領域を覆う遮視シートを備えることを特徴とするブース。
【請求項3】
外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースであって、
前記隔壁の一部に前記外部空間から前記内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、
前記通音領域を被覆可能に前記隔壁に設置されると共に前記通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備えており、
前記隔壁及び前記遮蔽部材の少なくとも一方が磁性体によって形成され、
前記隔壁及び前記遮蔽部材の少なくとも他方が磁石を有する
ことを特徴とするブース。
【請求項4】
外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースであって、
前記隔壁の一部に前記外部空間から前記内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、
前記通音領域を被覆可能に前記隔壁に設置されると共に前記通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備えており、
前記隔壁が、
前記通音領域が設けられた通音領域形成パネルと、
前記通音領域形成パネルに対して前記外部空間側から対向配置された対向パネルと
を有し、
前記対向パネルでは、水平方向から見て前記通音領域に重ならない位置に開口が設けられている
ことを特徴とするブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス、展示場及び公共施設等において、執務や打ち合わせ等を行うためのブースが設置されることがある(例えば、特許文献1参照)。特に、近年、オフィスのフリーアドレス化や携帯端末やパソコン等のICT(情報通信技術)を活用したモバイルワークが進展している。そのため、各種の移動先で小スペースのブースを利用して1人または2人程度で執務や打ち合わせ等を行う機会が増加している。このようなブースは、スモールオフィスとしても利用が可能である。
【0003】
このようなブースを周囲音が大きな場所に設置する場合には、ブースに対して高い遮音性が求められる。例えば、特許文献2には、壁体にグラスウールを内包させることによって遮音性を高めたブースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-135722号公報
【文献】特開昭60-92564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2においては、壁体にグラスウールを内包させることによって遮音性を高めているため、壁体の遮音性能を容易に調節することができない。例えば、ブースにキャスタ等を設置することによって容易に移動可能とした可動ブースの場合には、様々な場所にブースが移動されることになり、ブースの設置場所によって、ブースに対して求められる遮音性能は異なる。例えば、ブース内部にて、外部のアナウンス音を聞き取る必要性があるような場合には、外部の騒音を遮蔽しつつアナウンス音が聞き取れるように遮音性能を微調節する必要がある。このような場合には、ブースの内部にて一定の音量でアナウンス音を聞くために、例えばアナウンス音の音源からブースの設置箇所までの距離に応じてブースの遮音性能を微調節する必要がある。しかしながら、従来のブースでは、遮音性能を微調節することは考慮されていない。なお、このようなブースに対してスピーカ等を設置することで、内部にて一定の音量でアナウンス音を流すことも可能であるが、このような場合には、設備コストが増加してしまう。特に、可動式のブースの場合には、有線接続することが難しく、オフィスや公共施設等の放送設備が無線放送に対応していない場合には、オフィスや公共施設等の放送設備に対して無線接続を可能とするための大きな設備投資が必要となってしまう。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ブースにおいて、遮音性能を容易に調節可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースであって、上記隔壁の一部に上記外部空間から上記内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、上記通音領域を被覆可能に上記隔壁に設置されると共に上記通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備えるという構成を採用する。
【0009】
このような第1の発明によれば、内部空間を形成する隔壁に対して、外部空間から内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、この通音領域の開放割合が隔壁に設けられた遮蔽部材によって調節可能とされている。このため、本発明によれば、遮蔽部材の位置を変更して通音領域の開放割合を調節することで、隔壁を通過する音量を容易に調節することができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記隔壁を貫通する複数の通音孔によって上記通音領域が形成されているという構成を採用する。
【0011】
このような第2の発明によれば、遮蔽部材によって覆う通音孔の数によって通音領域の開放割合を容易に把握することができる。したがって、例えば、複数のブースを外部空間の音源から異なる距離に配置する場合に、複数のブースにおける音量を容易に一定とすることが可能となる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記隔壁として上記内部空間を上方から閉塞する天井壁を備え、上記通音領域が上記天井壁に形成されているという構成を採用する。
【0013】
このような第3の発明によれば、天井壁に通音領域が形成されている。内部空間にて執務等を行うためのブースは、内部に利用者が入ることから、天井壁の高さは外部空間を通行する者の目線よりも高くなる。このため、天井壁に通音領域を設けることによって、通音領域が外部空間の者から視認され難くすることができ、通音領域がブースの意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記天井壁が、表裏面を上下方向に向けて配置された板状の天井パネルと、上記天井パネルを水平方向から囲って上記天井パネルの周縁に接続されると共に上端縁が上記天井パネルの上面よりも高い天井フレームとを有し、上記天井パネルに上記通音領域が形成されているという構成を採用する。
【0015】
このような第4の発明によれば、天井フレームに囲まれかつ天井フレームの上端縁よりも低い位置に配置された天井パネルに通音領域が形成されている。このため、天井フレームによって隠れた位置に通音領域が形成され、通音領域が外部空間の者から視認され難くすることができ、通音領域がブースの意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0016】
第5の発明は、上記第1~第4いずれかの発明において、上記音を通過可能とすると共に上記内部空間から上記通音領域を覆う遮視シートを備えるという構成を採用する。
【0017】
このような第5の発明によれば、音が通過可能な遮視シートによって内部空間側から通音領域が隠される。このため、通音領域を通過する音の減衰を抑止しつつ内部空間から通音領域が視認されることを防止できる。したがって、本発明によれば、通音領域が内部空間の意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0018】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記遮視シートが、布材から形成されているという構成を採用する。
【0019】
このような第6の発明によれば、形状変更が容易でかつ軽量な材料によって遮視シートが形成される。このため、遮視シートの設置する場合の作業負担を軽減することが可能となる。
【0020】
第7の発明は、上記第1~第6いずれかの発明において、上記隔壁及び上記遮蔽部材の少なくとも一方が磁性体によって形成され、上記隔壁及び上記遮蔽部材の少なくとも他方が磁石を有するという構成を採用する。
【0021】
このような第7の発明によれば、磁力によって遮蔽部材を隔壁に対して固定することができる。このため、どのような姿勢の隔壁に対しても遮蔽部材を固定することができ、また隔壁に対する遮蔽部材の位置を容易に変更することが可能となる。
【0022】
第8の発明は、上記第7の発明において、上記遮蔽部材が、上記通音領域よりも表裏面が広いベースプレートと、上記ベースプレートの裏面に固定された磁石とを有するという構成を採用する。
【0023】
このような第8の発明によれば、遮蔽部材を簡素な構成とすることができ、遮蔽部材を備えることによるブースの複雑化を最小限に抑えることが可能となる。
【0024】
第9の発明は、上記第8の発明において、上記ベースプレートの裏面に突出して設けられ、上記通音領域の全域を囲うことが可能な突出枠部を有するという構成を採用する。
【0025】
このような第9の発明によれば、ベースプレートの裏面側から磁石が突出している場合であっても、突出枠部によって通音領域の全域を囲うことができる。このため、遮蔽部材によって通音領域の開放割合を0%とする場合の遮音性を向上させることが可能となる。
【0026】
第10の発明は、上記第9の発明において、上記磁石が、上記突出枠部の少なくとも一部として設けられているという構成を採用する。
【0027】
このような第10の発明によれば、磁石と突出枠部とを別体とする必要がない。このため、遮蔽部材の構造をより単純化することが可能となる。
【0028】
第11の発明は、上記第1~第10いずれかの発明において、上記隔壁が、上記通音領域が設けられた通音領域形成パネルと、上記通音領域形成パネルに対して上記外部空間側から対向配置された対向パネルとを有し、上記対向パネルでは、水平方向から見て上記通音領域に重ならない位置に開口が設けられているという構成を採用する。
【0029】
このような第11の発明によれば、対向配置される対向パネルと通音領域形成パネルの内、対向パネルに開口が設けられ、通音領域形成パネルに通音領域が設けられている。このため、対向パネルの開口を通じて音が通音領域を介して外部空間から内部空間に容易に伝達される。一方で、対向パネルの開口と通音領域形成パネルの通音領域とが水平方向から見て重ならない位置に配置されている。このため、外部空間の光が対向パネルの開口と通音領域形成パネルの通音領域を通じて内部空間に進入することを防止することができる。したがって、本発明によれば、内部空間の利用者が外部空間の光によって眩しいと感じることを防止することができる。
【0030】
第12の発明は、上記第1~第11いずれかの発明において、上記遮蔽部材が、上記隔壁の上記内部空間側の壁面と異なる壁面に固定されているという構成を採用する。
【0031】
このような第12の発明によれば、内部空間側の面と異なる面に遮蔽部材が固定されるため、内部空間の利用者から遮蔽部材が視認されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、遮蔽部材の位置を変更して通音領域の開放割合を調節することで、隔壁を通過する音量を容易に調節することができるため、ブースの遮音性能を容易に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施形態におけるブースの概略構成を示す斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるブースが備える天井パネルの平面図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるブースが備える遮蔽カバーの全体図であり、(a)が上方側から見た斜視図であり、(b)が下方側から見た斜視図であり、(c)が(a)のB-B断面図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるブースを模式的に示した平面視であり、(a)が通音領域の開放割合が0%である状態を示す図であり、(b)が通音領域の開放割合が50%である状態を示す図であり、(c)が通音領域の開放割合が100%である状態を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態におけるブースの概略構成を示す斜視図である。
図7図6のC-C断面図である。
図8】本発明の第2実施形態におけるブースの変形例における図7に相当する断面図である。
図9】本発明のブースの変形例の斜視図である。
図10】本発明のブースの変形例が備える通音領域を含む模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明に係るブースの一実施形態について説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のブース1の概略構成を示す斜視図である。本実施形態のブース1は、オフィスや公共機関等の床面上に設置され、外部空間から離隔された執務等を行う内部空間を形成するものである。なお、以下の説明においては、図1に示すように、ブース1の内部空間で作業を行う利用者が外部空間と内部空間との間で出入りする側を「前」、ブース1に対して前側から正対する利用者の右手側を「右」、左手側を「左」、ブース1に対して前側から正対する利用者から見てブース1の裏側を「後」とする。
【0036】
本実施形態のブース1は、図1に示すように、床部2と、支柱3と、側壁4(隔壁)と、扉5(隔壁)と、天井壁6(隔壁)と、遮蔽カバー7(遮蔽部材)と、被覆布8(遮視シート)とを備えている。なお、本実施形態のブース1においては、側壁4、扉5及び天井壁6によって主として、外部空間と離隔された内部空間Kが形成されている。つまり、本実施形態において、側壁4、扉5及び天井壁6のいずれもが、外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁として機能している。
【0037】
床部2は、本実施形態のブース1が設置される床面上に直接的に載置され、支柱3、側壁4、扉5及び天井壁を直接的あるいは間接的に下方から支持している。本実施形態において、床部2は、平面視にて矩形状とされている。このような床部2は、例えばキャスタやアジャスタを備えている。なお、床部2を備えない構成を採用することも可能である。このような場合には、例えば支柱3や側壁4が直接床面上に載置される。
【0038】
支柱3は、床部2上に立設された柱部材である。支柱3は、平面視において、矩形状とされた床部2の4つの隅部の各々に配置されている。つまり、本実施形態において、支柱3は、4本設置されている。これらの4本の支柱3は、本実施形態において同一の高さ寸法とされている。なお、これらの支柱3の高さ寸法が異なっていても良い。また、支柱3の数も変更可能である。
【0039】
側壁4は、支柱3同士の間の各々に配置されている。本実施形態において支柱3同士の間は4つあるため、本実施形態において側壁4は4つ設けられている。これらの4つ側壁4のうち、ブース1の前側に配置された側壁4を前側壁9、ブース1の右側に配置された側壁4を右側壁10、ブース1の左側に配置された側壁4を左側壁11、ブース1の後側に配置された側壁4を後側壁12と称する。
【0040】
前側壁9は、ブース1の前側に配置された2つの支柱3の間に配置されており、平面視にて矩形状の床部2の前側の1辺に沿って配置されている。この前側壁9は、床部2の上面に立設され、左縁部が左側の支柱3に対して接続されている。なお、前側壁9の右縁部は、右側の支柱3に対して一定の間隔を空けて配置されている。つまり、前側壁9と右側の支柱3との間には、一定の隙間が形成されている。この前側壁9と右側の支柱3との間に形成された隙間は、ブース1の外側空間と内側空間との間で利用者が出入りを行う出入口Eとされている。
【0041】
右側壁10は、ブース1の右側に配置された2つの支柱3の間に配置されており、平面視にて矩形状の床部2の右側の1辺に沿って配置されている。この右側壁10は、床部2の上面に立設され、前縁部が前側の支柱3に対して接続され、後縁部が後側の支柱3に対して接続されている。つまり、右側壁10は、ブース1の右側に配置された2つの支柱3の間を閉塞している。
【0042】
左側壁11は、ブース1の左側に配置された2つの支柱3の間に配置されており、平面視にて矩形状の床部2の左側の1辺に沿って配置されている。この左側壁11は、床部2の上面に立設され、前縁部が前側の支柱3に対して接続され、後縁部が後側の支柱3に対して接続されている。つまり、左側壁11は、ブース1の左側に配置された2つの支柱3の間を閉塞している。
【0043】
後側壁12は、ブース1の後側に配置された2つの支柱3の間に配置されており、平面視にて矩形状の床部2の後側の1辺に沿って配置されている。この後側壁12は、床部2の上面に立設され、右縁部が右側の支柱3に対して接続され、左縁部が左側の支柱3に対して接続されている。つまり、後側壁12は、ブース1の後側に配置された2つの支柱3の間を閉塞している。
【0044】
扉5は、前側壁9に軸支されており、前側壁9と支柱3との間に形成された上述の出入口Eを開閉する。本実施形態においては、扉5はヒンジを介して回動可能に前側壁9に固定されたヒンジ扉とされている。なお、扉5としては、ヒンジ扉に換えて、スライド扉や折り畳み式扉を用いることも可能である。
【0045】
天井壁6は、支柱3及び側壁4に下方から支持されることによって、内部空間Kを上方から閉塞している。この天井壁6は、天井フレーム6aと、天井パネル6bとを備えている。天井フレーム6aは、天井パネル6bを水平方向から囲むと共に天井パネル6bの周縁に接続された枠状の部材であり、支柱3及び側壁4の上端に固定されている。本実施形態においては天井パネル6bが平面視矩形とされており、この天井パネル6bを囲む天井フレーム6aも、平面視において矩形状とされている。
【0046】
図2は、図1のA-A断面図である。この図に示すように、天井フレーム6aは、天井パネル6bよりも厚さ寸法が大きく、天井パネル6bが下端縁近くに固定されている。このため、天井フレーム6aは、上端縁が天井パネル6bの上面よりも高く配置されている。
【0047】
天井パネル6bは、天井フレーム6aによって囲われた領域を閉塞するように配置された板状の部材である。図2に示すように、天井パネル6bの周縁部は、上方に向けて屈曲されており、天井フレーム6aとの取付片とされている。図3は、天井パネル6bの平面図である。この図に示すように、天井パネル6bは、上述のように平面視が矩形状とされており、多数(複数)の通音孔6b1と、2つの通気孔6b2とを有している。
【0048】
通音孔6b1は、本実施形態においては左右方向を長手とする長円形状とされており、天井パネル6bを上下方向に貫通して設けられている。本実施形態において通音孔6b1は、6つ設けられており、前後方向に等間隔にて配列されている。つまり、本実施形態のブース1においては、左右方向に長いスリット状の通音孔6b1が前後方向に複数配列されている。例えば、通音孔6b1は、短手方向(すなわちブース1の前後方向)の寸法の2倍ピッチで配列されている。
【0049】
これらの通音孔6b1は、本実施形態のブース1の外部空間から内部空間Kに音を通過させるための開口である。本実施形態のブース1においては、これらの通音孔6b1によって、本実施形態のブース1の外部空間から内部空間Kに音を通過させる通音領域Rが形成されている。なお、この通音領域Rは、天井壁6上の領域であって通音領域Rの他の領域に対して、内部空間Kに音が通過されやすい領域であればよく、必ずしも本実施形態のように貫通孔によって形成されている必要はない。このような通音領域Rでは、開放された通音孔6b1の数に比例して、外部空間の音が内部空間Kに通過しやすくなる。つまり、外部空間での音量が一定である場合には、開放された通音孔6b1の数に応じて内部空間Kにおける音量が変化する。
【0050】
通気孔6b2は、円形状とされており、天井パネル6bを上下方向に貫通して設けられている。天井パネル6bには、例えば不図示のファンが通気孔6b2に収容されるように設置される。このようなファンが駆動されることによって、内部空間Kの内部の空気が通気孔6b2を通じて外部空間に排出される。このように、本実施形態のブース1においては、通気孔6b2と別に上述の通音孔6b1が設けられている。このため、ブース1の吸排気性能に影響を与えることなく、開放された通音孔6b1の数を調節することができる。
【0051】
なお、図3には、通音孔6b1と通気孔6b2との2つの開口が設けられた天井パネル6bを図示している。しかしながら、ブース1が照明設備等の不図示の機器を天井壁6に設置する場合には、天井パネル6bには必要に応じて他の開口が設けられる。
【0052】
このような天井フレーム6aと天井パネル6bとを備える天井壁6は、磁性体によって形成されている。つまり、本実施形態において、通音領域Rが設けられた天井パネル6bは磁石が吸着可能とされている。
【0053】
遮蔽カバー7は、天井パネル6bの上面6b3に対して固定可能とされており、通音領域Rの開放割合(すなわち開放された通音孔6b1の数)を調節する部材である。図4は、遮蔽カバー7の全体図であり、(a)が上方側から見た斜視図であり、(b)が下方側から見た斜視図であり、(c)が(a)のB-B断面図である。これらの図に示すように、遮蔽カバー7は、ベースプレート7aと、突出枠部7bとを備えている。
【0054】
ベースプレート7aは、長方形状の板部材であり、通音領域Rよりも広い表裏面を有している。ベースプレート7aの長手方向の端部は、表面側に屈曲されており、遮蔽カバー7を移動させる場合に作業者が把持する把持片として用いられる。このようなベースプレート7aは、通音領域Rを上方から覆う場合に、通音孔6b1を閉塞することにより、通音孔6b1における音の通過を妨げる。上述のようにベースプレート7aは、通音領域Rよりも表裏面が広いため、通音領域Rに設けられた複数の通音孔6b1の全てを同時に閉塞することが可能とされている。
【0055】
突出枠部7bは、ベースプレート7aの裏面側に固定され、ベースプレート7aの裏面から突出して設けられた部位であり、ベースプレート7aの裏面の法線方向から見て、矩形状の枠形状とされている。この突出枠部7bは、突出枠部7bによって囲われた領域が通音領域Rの全域を覆うことができる広さとなる形状とされている。このため、突出枠部7bは、通音領域Rに設けられた複数の通音孔6b1の全てを同時に囲うことが可能とされている。
【0056】
本実施形態において、突出枠部7bは、4つの磁石7cによって形成されている。各々の磁石7cは、矩形状の突出枠部7bの4つの辺の各々を構成している。このような磁石7cは、遮蔽カバー7が天井パネル6bに取り付けられる場合に、磁性体によって形成された天井パネル6bに吸着される。つまり、本実施形態において遮蔽カバー7は、磁力によって天井壁6に対して固着される。なお、必ずしも突出枠部7bの全ての磁石で形成する必要はない。突出枠部7bの一部のみを磁石としても良いし、突出枠部7bと別体で磁石を設けるようにしても良い。
【0057】
このような突出枠部7bは、側方から見て、天井パネル6bの上面6b3と、ベースプレート7aの裏面(下面)との間を埋設し、天井パネル6bの上面6b3と、ベースプレート7aの裏面(下面)との間から音が漏出することを防止する。例えば、1つの通音孔6b1の上方にベースプレート7aが覆うように配置された場合には、この通音孔6b1が突出枠部7bによって覆われ、この通音孔6b1から内部空間Kに音が漏れることを防止することができる。
【0058】
このような遮蔽カバー7は、上述のように本実施形態において天井パネル6bの上面6b3に固定される。本実施形態において天井パネル6bの下面は、天井壁6の内部空間K側の壁面となっている。つまり、本実施形態において遮蔽カバー7は、天井壁6の内部空間K側の壁面と異なる壁面に対して固定されている。
【0059】
被覆布8は、内部空間K側から天井パネル6bの下面を覆う布材であり、図2に示すように、天井フレーム6aと天井パネル6bの周縁部との間に挟持されることによって支持されている。なお、必要に応じて、被覆布8を接着剤等によって天井パネル6bの下面に貼付するようにしても良い。このような被覆布8は、天井パネル6bに設けられた通音孔6b1を下方から覆うことにより、内部空間Kの利用者に通音孔6b1が視認されることを防止する。また、被覆布8は、天井パネル6bと比較して非常に薄く、また微細な隙間を多数有しており、音及び空気を通過可能としている。このため、被覆布8は、通音孔6b1が視認されることを防止するが、通音孔6b1を通過した音が内部空間Kに伝達されることを妨げない。なお、被覆布8は、通気孔6b2を覆うように配置しても良いが、通音孔6b1に応じた開口を有していても良い。
【0060】
このような構成の本実施形態のブース1においては、ブース1を設置する場合に、遮蔽カバー7の位置を調節することによって、内部空間Kにおける音の聞こえ方を調節する。図5は、本実施形態のブース1を模式的に示した平面視であり、(a)が全ての通音孔6b1が遮蔽カバー7で閉塞された状態(すなわち通音領域Rの開放割合が0%である状態)を示し、(b)が半分の通音孔6b1が遮蔽カバー7で閉塞された状態(すなわち通音領域Rの開放割合が50%である状態)を示し、(c)が全ての通音孔6b1が遮蔽カバー7で閉塞されていない状態(すなわち通音領域Rの開放割合が100%である状態)を示している。
【0061】
図5(a)に示すように、通音領域Rの開放割合が0%である状態では、全ての通音孔6b1が閉鎖されているため、図5に示す3つの状態のうち最も外部空間の音が内部空間Kにて聞き取りにくくなる。一方、図5(c)に示すように、通音領域Rの開放割合が100%である場合には、全ての通音孔6b1が開放されているため、図5に示す3つの状態のうち最も外部空間の音が内部空間Kにて聞き取りやすくなる。また、図5(b)に示すように、通音領域Rの開放割合が50%である場合には、図5(a)に示す状態と図5(c)に示す状態との中間の音量にて内部空間Kで外部空間の音を聞き取ることが可能となる。
【0062】
例えば、外部空間のスピーカから遠ざかる方向に複数のブース1を配列する場合に、スピーカに対して最も近いブース1における通音領域Rの開放割合を最も小さくし、スピーカから遠ざかるに連れて通音領域Rの開放割合を徐々に大きくすることで、全てのブース1の内部空間Kにおいて略同一の音量でスピーカからの音を聞き取ることが可能となる。
【0063】
以上のような本実施形態のブース1においては、隔壁の一部に外部空間から内部空間Kに音を通過させる通音領域Rが設けられており、通音領域Rを被覆可能に隔壁に固定可能とされると共に通音領域Rの開放割合を調節する遮蔽カバー7を備えている。このような本実施形態のブース1によれば、遮蔽カバー7の固定位置を変更して通音領域Rの開放割合を調節することで、隔壁を通過する音量を容易に調節することができ、ブース1の遮音性能を容易に調節することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態のブース1においては、隔壁を貫通する複数の通音孔6b1によって通音領域Rが形成されている。このような本実施形態のブース1によれば、遮蔽カバー7によって覆う通音孔6b1の数によって通音領域Rの開放割合を容易に把握することができる。したがって、例えば、複数のブース1を外部空間の音源から異なる距離に配置する場合に、複数のブース1における音量を容易に一定とすることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態のブース1においては、隔壁として内部空間Kを上方から閉塞する天井壁6を備え、通音領域Rが天井壁6に形成されている。このような本実施形態のブース1によれば、天井壁6に通音領域Rが形成されている。内部空間Kにて執務等を行うためのブース1は、内部に利用者が入ることから、天井壁6の高さは外部空間を通行する者の目線よりも高くなる。このため、天井壁6に通音領域Rを設けることによって、通音領域Rが外部空間の者から視認され難くすることができ、通音領域Rがブース1の意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0066】
また、公共施設等では、スピーカが天井に設けられていることが多い。このため、天井壁6に通音領域Rを設けることによって、騒音がブース1の内部空間Kに進入することを防止しつつ、スピーカからの音を内部空間Kに進入させることができる。
【0067】
また、本実施形態のブース1においては、天井壁6が、表裏面を上下方向に向けて配置された板状の天井パネル6bと、天井パネル6bを水平方向から囲って天井パネル6bの周縁に接続されると共に上端縁が天井パネル6bの上面よりも高い天井フレーム6aとを有し、天井パネル6bに通音領域Rが形成されているという構成を採用する。
【0068】
このような本実施形態のブース1によれば、天井フレーム6aに囲まれかつ天井フレーム6aの上端縁よりも低い位置に配置された天井パネル6bに通音領域Rが形成されている。このため、天井フレーム6aによって隠れた位置に通音領域Rが形成され、通音領域Rが外部空間の者から視認され難くすることができ、通音領域Rがブース1の意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0069】
また、本実施形態のブース1においては、音を通過可能とすると共に内部空間Kから通音領域Rを覆う被覆布8を備えている。このような本実施形態のブース1によれば、音が通過可能な被覆布8によって内部空間K側から通音領域Rが隠される。このため、通音領域Rを通過する音の減衰を抑止しつつ内部空間Kから通音領域Rが視認されることを防止できる。したがって、本実施形態のブース1によれば、通音領域Rが内部空間Kの意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【0070】
また、本実施形態のブース1においては、被覆布8が、布材から形成されているという構成を採用する。このような本実施形態のブース1によれば、形状変更が容易でかつ軽量な材料によって被覆布8が形成されている。このため、被覆布8の設置する場合の作業負担を軽減することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のブース1においては、天井壁6が磁性体によって形成され、遮蔽カバー7が磁石7cを有している。このような本実施形態のブース1によれば、磁力によって遮蔽カバー7を天井壁6に対して固定することができる。このため、天井壁6に対する遮蔽カバー7の位置を容易に変更することが可能となる。また、本実施形態においては、天井壁6に遮蔽カバー7を固定しているが、天井壁6と異なる隔壁に遮蔽カバー7を固定する場合も考えられる。このとき、天井壁6が磁性体によって形成され、遮蔽カバー7が磁石7cを有していることによって、どのような姿勢の隔壁に対しても遮蔽カバー7を固定することができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、天井壁6が磁性体で形成され、遮蔽カバー7に磁石7cが固定された構成を採用しているが、遮蔽カバー7が磁性体によって形成され、天井壁6に磁石が設けられた構成を採用することもできる。このような場合には、遮蔽カバー7に突出枠部7bを備えない構成を採用することも可能であり、遮蔽カバー7を軽量化することができる。
【0073】
また、本実施形態のブース1においては、遮蔽カバー7が、通音領域Rよりも表裏面が広いベースプレート7aと、ベースプレート7aの裏面に固定された磁石7cとを有している。このような本実施形態のブース1によれば、遮蔽カバー7を簡素な構成とすることができ、遮蔽カバー7を備えることによるブース1の複雑化を最小限に抑えることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態のブース1においては、ベースプレート7aの裏面に突出して設けられ、通音領域Rの全域を囲うことが可能な突出枠部7bを有している。このような本実施形態のブース1によれば、ベースプレート7aの裏面側から磁石7cが突出している場合であっても、突出枠部7bによって通音領域Rの全域を囲うことができる。このため、遮蔽カバー7によって通音領域Rの開放割合を0%とする場合の遮音性を向上させることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のブース1においては、磁石7cが、突出枠部7bの少なくとも一部として設けられている。このような本実施形態のブース1によれば、磁石7cと突出枠部7bとを別体とする必要がない。このため、遮蔽カバー7の構造をより単純化することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態のブース1においては、遮蔽カバー7が、天井壁6の内部空間K側の壁面と異なる壁面(上面6b3)に固定されている。このような本実施形態のブース1によれば、内部空間K側の面と異なる面に遮蔽カバー7が固定されるため、内部空間Kの利用者から遮蔽カバー7が視認されることを防止することができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6図8を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0078】
図6は、本実施形態のブース1Aの概略構成を示す斜視図である。また、図7は、図6のC-C断面図である。図6に示すように、本実施形態のブース1Aにおいて、前側壁9は、側壁フレーム9aと、外側パネル9bと(対向パネル)、内側パネル9c(通音領域形成パネル)とを有している。
【0079】
側壁フレーム9aは、外側パネル9bと、内側パネル9cとの間に配置された枠状部材であり、床部2の上面に立設され、上端が天井フレーム6aに固定されている。この側壁フレーム9aは、前側壁9の強度を確保する強度部材であり、不図示の締結具等で固定された外側パネル9bと、内側パネル9cとを支持する。このような側壁フレーム9aは、枠状の部材であるため、中央部には外側パネル9bと内側パネル9cとを繋ぐ方向に貫通した開口が設けられている。
【0080】
外側パネル9bは、側壁フレーム9aよりもブース1Aの外側(外部空間側)に配置されており、外側から側壁フレーム9aの全体を覆うパネル部材である。この外側パネル9bは、側壁フレーム9aよりもブース1Aの内側(内部空間K側)に配置された内側パネル9cに対して対向配置されている。このような外側パネル9bには、上下方向に等間隔で配列された複数(本実施形態では3つ)の開口9dが設けられている。
【0081】
内側パネル9cは、側壁フレーム9aよりもブース1Aの内側(内部空間K側)に配置されており、内側から側壁フレーム9aの全体を覆うパネル部材である。この内側パネル9cには、上下方向に等間隔で配列された複数(本実施形態では3つ)の通音領域Rが設けられている。これらの通音領域Rは、開口9dと同一高さに形成されており、水平方向から見て、開口9dと重なる位置に各々が設けられている。なお、これらの通音領域Rは、上記第1実施形態と同様に、各々が複数の通音孔9eによって形成されている。1つの通音領域Rを形成する複数の通音孔9eは、本実施形態において、上下方向に等間隔で配列されている。
【0082】
このような内側パネル9cは、磁性体によって形成されている。また、本実施形態のブース1Aにおいては、内側パネル9cのブース1Aの外側に向けられた面に遮蔽カバー7が固定されている。なお、遮蔽カバー7は、通音領域Rの各々に対して設けられている。内側パネル9cのブース1Aの内側に向けられた面は、前側壁9の内部空間K側の壁面である。つまり、本実施形態においても、遮蔽カバー7は、隔壁の内部空間K側の壁面と異なる壁面に固定されている。
【0083】
また、本実施形態のブース1Aにおいて、被覆布8は、内側パネル9cの内面を覆っている。つまり、本実施形態においても、被覆布8は、内部空間K側から通音領域Rを覆っており、内部空間Kの利用者から通音領域Rが視認されることを防止している。このような被覆布8は、側壁フレーム9aと内側パネル9cとの間に挟持されることによって支持されている。
【0084】
また、本実施形態のブース1Aにおいては、外側パネル9bの開口9dを通音及び通気が可能なように塞ぐ網部材13が設けられている。このような網部材13によって、前側壁9の内部が外部空間の者に視認されることを防止すると共に、前側壁9の内部に異物が進入することを防止することができる。
【0085】
なお、本実施形態のブース1Aにおいて、遮蔽カバー7の位置を移動させる場合には、外側パネル9bが側壁フレーム9aから取り外された状態で行う。このため、作業者以外の者が勝手に遮蔽カバー7の位置を移動させることを防止することができる。
【0086】
このような本実施形態のブース1Aにおいても、上記第1実施形態のブース1と同様に、遮蔽カバー7の固定位置を変更して通音領域Rの開放割合を調節することで、隔壁を通過する音量を容易に調節することができ、ブース1Aの遮音性能を容易に調節することが可能となる。
【0087】
図8は、本実施形態のブース1Aの変形例を示す図であり、図7に示す断面に相当する断面図である。この図に示すように、本変形例においては、水平方向から見て、外側パネル9bの開口9dと、内側パネル9cの通音領域Rとが重ならないように配置されている。つまり、外側パネル9bでは、水平方向から見て通音領域Rに重ならない位置に開口9dが設けられている。
【0088】
このような本実施形態のブース1Aの変形例によれば、外側パネル9bの開口9dを通じて音が通音領域Rを介して外部空間から内部空間Kに容易に伝達される。一方で、外側パネル9bの開口9dと内側パネル9cの通音領域Rとが水平方向から見て重ならない位置に配置されているため、外部空間の光が開口9dと通音領域Rの通音領域を通じて内部空間Kに進入することを防止することができる。したがって、本実施形態のブース1Aの変形例によれば、内部空間Kの利用者が外部空間の光によって眩しいと感じることを防止することができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態においては、通音領域Rが天井壁6あるいは前側壁9に設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、通音領域Rを、前側壁9と異なる側壁(右側壁10、左側壁11あるいは後側壁12)に設けるようにしても良い。また、複数の隔壁に対して、通音領域Rを設けるようにしても良い。さらに、扉5も内部空間Kを形成する隔壁の1つである。このため、図9に示すように、扉5に対して通音領域Rを設ける構成を採用することも可能である。
【0091】
また、上記実施形態においては、複数の通音孔(通音孔6b1あるいは通音孔9e)によって通音領域Rが形成されている構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、単一の大きな通音孔14によって通音領域Rを形成し、遮蔽カバー7によって通音孔14の開口割合を変更することによって通音領域Rの開放割合を調節するようにしても良い。
【0092】
また、上記実施形態においては、被覆布8を遮視シートとして通音領域Rを覆う構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、紙や樹脂からなる薄いシート材を遮視シートとして用いることも可能である。つまり、隔壁よりも通音性が高いシート材であれば遮視シートとして用いることができる。
【0093】
なお、上記実施形態においては、遮蔽カバー7が隔壁に対して着脱可能とされた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。遮蔽カバー7が隔壁に移動可能に固定された構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0094】
1……ブース、1A……ブース、2……床部、3……支柱、4……側壁(隔壁)、5……扉(隔壁)、6……天井壁(隔壁)、6a……天井フレーム、6b……天井パネル、6b1……通音孔、6b2……通気孔、6b3……上面、7……遮蔽カバー(遮蔽部材)、7a……ベースプレート、7b……突出枠部、7c……磁石、8……被覆布(遮視シート)、9……前側壁(側壁)、9a……側壁フレーム、9b……外側パネル、9c……内側パネル、9d……開口、9e……通音孔、10……右側壁、11……左側壁、12……後側壁、13……網部材、14……通音孔、E……出入口、K……内部空間、R……通音領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10