(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A01C11/02 301E
A01C11/02 302C
(21)【出願番号】P 2019112937
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2021-06-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安松 守
(72)【発明者】
【氏名】若林 暁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正夫
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074835(JP,A)
【文献】特開2000-139141(JP,A)
【文献】特開平08-298823(JP,A)
【文献】特開2002-300805(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170612(WO,A1)
【文献】特開平08-289623(JP,A)
【文献】特開2018-130118(JP,A)
【文献】特開2002-335711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に苗を植え付ける植付作業機と、
前記植付作業機を装着して走行する走行体と、
前記走行体に搭載され、オペレータが着座する部位である座部を有する運転席と、
を備え、
前記植付作業機は、
苗トレイを下方に傾斜させた状態で載置する載置板と、
前記載置板に沿って前記苗トレイを下方に縦送りする縦送り機構と、
前記載置板上の苗トレイから苗を取り出す苗取出装置と、
前記苗取出装置によって苗が取り出された後の苗トレイを反転させて前記載置板の背面側に案内する反転ガイドと、
前記反転ガイドによって反転された苗トレイを前記載置板の背面上部へ案内するガイド本体部を含む空トレイガイドとを有し、
前記走行体は、前記運転席と該運転席の後方に間隔をあけて配置された前記空トレイガイドとの間に配置されて前記空トレイガイドから送り出される前記空の苗トレイを受ける空トレイ受け部を有し、
前記ガイド本体部の上部は、前記運転席の下端よりも上方且つ前記空トレイ受け部の後端よりも後方に位置し、
前記空トレイ受け部は、前記運転席の下端よりも下方に配置され、前記運転席側から前記空トレイガイドに向けて後方に延伸しており、
前記空トレイガイドは、上部に前記空の苗トレイが送り出される上部ガイド部を有し、
前記上部ガイド部は、当該上部ガイド部の前端部が前記座部の上下方向中途部の位置に対応する高さ位置に配置されるように前記ガイド本体部の上部から前記運転席側に向けて前方に且つ前記空トレイ受け部の後端部の上方の位置まで延びて
おり、
前記上部ガイド部の前端部と前記空トレイ受け部の後端部との上下方向の距離は、前記上部ガイド部の前端部と前記空トレイ受け部の後端部との間に前記苗トレイを複数枚重ねて配置可能な距離である移植機。
【請求項2】
前記走行体は、前記運転席の前方且つ下方に、オペレータの足を載せるフロントステップを有し、
前記空トレイ受け部は、前記フロントステップより上方に配置されている請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記上部ガイド部は、前記ガイド本体部の上部から前記運転席の後部下端の下方近傍に向かう方向に前下がり傾斜状に延出している請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項4】
前記走行体は、前記運転席の下方に配置され且つ前記フロントステップを含むフロアシートを有し、
前記フロアシートは、当該フロアシートの後部且つ前記フロントステップよりも高い位置に設けられた延出部を有し、
前記空トレイ受け部は、前記延出部を含む請求項2に記載の移植機。
【請求項5】
前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける少なくとも一つのリヤステップであって、前記延出部の後方で且つ前記延出部と略同じ高さ位置に配置されたリヤステップを有している請求項4に記載の移植機。
【請求項6】
前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける少なくとも一つのリヤステップを有する請求項1~4のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項7】
前記植付作業機は、前記載置板、前記縦送り機構、前記反転ガイド及び前記空トレイガイドを含む苗載せ台を複数有し、
前記複数の苗載せ台は、機体幅方向で並べて配置された第1苗載せ台及び第2苗載せ台を含み、
前記空トレイ受け部は、前記第1苗載せ台及び前記第2苗載せ台の前方に対応して設けられている請求項1~6のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項8】
前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける複数のリヤステップを有し、
複数のリヤステップは、前記第1苗載せ台の前方に配置された第1リヤステップと、前記第2苗載せ台の前方に配置された第2リヤステップとを含む請求項7に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、圃場に苗を植え付ける移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された移植機が知られている。
特許文献1に開示された移植機は、走行体の後部に植付作業機を装着している。植付作業機は、苗トレイを下方に傾斜させた状態で載置する載置板を有する。載置板上の苗トレイは、苗取出装置によって苗が取り出されると共に縦送り機構によって載置板に沿って下方に縦送りされる。苗が取り出された後の苗トレイは、反転ガイドによって反転されて載置板の背面側に案内される。載置板の背面側に案内された空の苗トレイは、載置板の背面側に配置された空トレイガイドで載置板の背面上部へ案内され、載置板の背面上部で取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の移植機にあっては、苗トレイは容易に湾曲するので、空トレイガイドから排出される際に、空トレイガイドの上部先端側から下方に向けて湾曲し、落下する虞がある。このため、空の苗トレイの回収が困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、空の苗トレイの回収を容易に行える移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る移植機は、圃場に苗を植え付ける植付作業機と、前記植付作業機を装着して走行する走行体と、前記走行体に搭載され、オペレータが着座する部位である座部を有する運転席と、を備え、前記植付作業機は、苗トレイを下方に傾斜させた状態で載置する載置板と、前記載置板に沿って前記苗トレイを下方に縦送りする縦送り機構と、前記載置板上の苗トレイから苗を取り出す苗取出装置と、前記苗取出装置によって苗が取り出された後の苗トレイを反転させて前記載置板の背面側に案内する反転ガイドと、前記反転ガイドによって反転された苗トレイを前記載置板の背面上部へ案内するガイド本体部を含む空トレイガイドとを有し、前記走行体は、前記運転席と該運転席の後方に間隔をあけて配置された前記空トレイガイドとの間に配置されて前記空トレイガイドから送り出される前記空の苗トレイを受ける空トレイ受け部を有し、前記ガイド本体部の上部は、前記運転席の下端よりも上方且つ前記空トレイ受け部の後端よりも後方に位置し、前記空トレイ受け部は、前記運転席の下端よりも下方に配置され、前記運転席側から前記空トレイガイドに向けて後方に延伸しており、前記空トレイガイドは、上部に前記空の苗トレイが送り出される上部ガイド部を有し、前記上部ガイド部は、当該上部ガイド部の前端部が前記座部の上下方向中途部の位置に対応する高さ位置に配置されるように前記ガイド本体部の
上部から前記運転席側に向けて前方に且つ前記空トレイ受け部の後端部の上方の位置まで延びており、前記上部ガイド部の前端部と前記空トレイ受け部の後端部との上下方向の距離は、前記上部ガイド部の前端部と前記空トレイ受け部の後端部との間に前記苗トレイを複数枚重ねて配置可能な距離である。
【0006】
また、前記走行体は、前記運転席の前方且つ下方に、オペレータの足を載せるフロントステップを有し、前記空トレイ受け部は、前記フロントステップより上方に配置されている。
また、前記上部ガイド部は、前記ガイド本体部の上部から前記運転席の後部下端の下方近傍に向かう方向に前下がり傾斜状に延出している。
【0007】
また、前記走行体は、前記運転席の下方に配置され且つ前記フロントステップを含むフロアシートを有し、前記フロアシートは、当該フロアシートの後部且つ前記フロントステップよりも高い位置に設けられた延出部を有し、前記空トレイ受け部は、前記延出部を含む。
また、前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける少なくとも一つのリヤステップであって、前記延出部の後方で且つ前記延出部と略同じ高さ位置に配置されたリヤステップを有している。
また、前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける少なくとも一つのリヤステップを有する。
【0008】
また、前記植付作業機は、前記載置板、前記縦送り機構、前記反転ガイド及び前記空トレイガイドを含む苗載せ台を複数有し、前記複数の苗載せ台は、機体幅方向で並べて配置された第1苗載せ台及び第2苗載せ台を含み、前記空トレイ受け部は、前記第1苗載せ台及び前記第2苗載せ台の前方に対応して設けられている。
また、前記空トレイ受け部は、オペレータが足を掛ける複数のリヤステップを有し、複数のリヤステップは、前記第1苗載せ台の前方に配置された第1リヤステップと、前記第2苗載せ台の前方に配置された第2リヤステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、空トレイガイドから送り出される空の苗トレイは、運転席と空トレイガイドとの間に設けられた空トレイ受け部で受けることができるので、空の苗トレイの回収を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】苗トレイの移動経路と空トレイ受け部を示す側面図である。
【
図12】ユニットフレームの前側支持を示す背面図である。
【
図13】ユニットフレームの後側支持を示す平面図である。
【
図14】ユニットフレームの後側支持を示す側面図である。
【
図15】駆動主軸に動力を入力する動力入力部の側面図である。
【
図17】灌水ポンプ及び灌水伝動機構の側面図である。
【
図18】灌水ポンプ及び灌水伝動機構の平面図である。
【
図19】灌水ポンプ及び灌水伝動機構の背面図である。
【
図20】灌水ポンプからの吐出経路を示す概略背面図である。
【
図22】メインフレームの支持構造の背面図である。
【
図28】第1移植ユニット及び第2移植ユニットの平面図である。
【
図29】植付深さ調節機構及び植付昇降機構を示す側面図である。
【
図35】灌水パイプの取付部分を示す側面図である。
【
図36】灌水パイプの取付部分を示す一部を断面した背面図である。
【
図37】メインフレーム及び苗載せ台を示す平面図である。
【
図39】第1苗載せ台及び第2苗載せ台の連結構造を示す背面図である。
【
図42】トレイ送り機構及び苗取出装置を示す側面図である。
【
図44】縦送り駆動機構の右側を示す背面断面図である。
【
図52】均し板を取り付けた状態のメインフレームの側面図である。
【
図53】均し板を取り付けた状態のメインフレームの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る移植機1の全体構成を示す概略側面図である。
図2は、移植機1の概略平面図である。
図1に示すように、移植機1は、オペレータ(運転者)2が着座する運転席3を有する乗用型の移植機(乗用移植機)である。
【0012】
図1、
図2に示すように、移植機1は、圃場6に苗7を植え付ける植付作業機4と、植付作業機4を装着して走行する走行体5とを有している。したがって、移植機1は、走行体5によって圃場6を走行しながら植付作業機4によって苗7を圃場6に植え付ける機械である。
本発明の実施形態においては、移植機1の運転席3に着座したオペレータ2の前側の方向(
図1、
図2の矢印A1方向)を前方、オペレータ2の後側の方向(
図1、
図2の矢印A2方向)を後方として説明する。また、
図1、
図2の矢印K1方向を機体前後方向という。さらに、オペレータ2の右側(
図2の矢印B1方向)を右方、オペレータ2の左側(
図2の矢印B2方向)を左方として説明する。
【0013】
また、
図2に示すように、機体前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2として説明する。機体の幅方向の中央部から右方、或いは、左方へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向K2であって機体の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向K2であって機体の幅方向の中心に近づく方向である。
【0014】
先ず、植付作業機4について概要を説明する。
図1に示すように、植付作業機4は、多数の苗7を有する複数の苗トレイ(セルトレイ)8を載置する苗載せ台9を有している。
図6、
図7に示すように、苗トレイ8は、プラスチック製で、薄肉に形成されていて可撓性を有し、平面視長方形状に形成されている。苗トレイ8は、縦横に所定ピッチで碁盤目状に配列されて形成された多数のポット部8aを有する。ポット部8aの開口縁部は、平板状の上面壁8bによって接続されている。ポット部8aは、上面壁8bから背面側に突出している。苗トレイ8には、ポット部8aに床土を供給し、該床土に播種し、育苗することで、苗7(ソイルブロック苗)が育成されている。
【0015】
図3に示すように、苗載せ台9は、苗トレイ8を下方に傾斜(下方に向かうにつれて後方に移行する方向に傾斜)させた状態で載置する載置板10を有する。
図1に示すように、苗トレイ8の苗7は、苗載せ台9の下部後方に配置された苗取出装置11によって一つずつ取り出されて下方の植付体12に供給される。植付体12は、上下に往復移動し且つ上死点位置で苗7を受け取る。また、植付体12は、下降時に圃場6に突入して苗7を植え付ける。詳しくは、植付体12は、前後に開閉可能な開口器で形成されており、閉じた状態で内部に苗7を保持して下方し、圃場6に突入した際に、前後に開いて圃場6に植穴を形成すると共に該植穴に苗7を落下させて植え付ける。植付作業機4は、苗トレイ8から苗7を取り出して圃場6に所定間隔をおいて自動的に植え付ける。
【0016】
図3に示すように、載置板10は、複数の苗トレイ8を傾斜方向に沿って上下に並べて載置可能である。苗トレイ8は、長手方向を傾斜方向に合わせて配置される。苗取出装置11は、載置板10に載置された複数の苗トレイ8のうちの最下位の苗トレイ8(8A)から苗7を取り出す。また、苗取出装置11は、苗載せ台9を機体幅方向K2にポット部8aの一ピッチ分間欠的に横送りする間に苗トレイ8から苗7を一つずつ取り出す。苗トレイ8から横一列の苗7が取り出されると、苗トレイ8が傾斜方向に沿って下方にポット部8aの一ピッチ分縦送りされる。これにより、次の横一列の苗7が取出し可能となる。その後、苗載せ台9を先ほどとは逆の方向に横送りして苗7を取出し、横一列の苗7が取り出されると、苗トレイ8を縦送りする。これを順次繰り返すことにより、苗トレイ8から全部の苗7が取り出される。
【0017】
図3に示すように、苗載せ台9は、下部に反転ガイド13を有し、苗取出装置11によって苗7が取り出された後の苗トレイ8は、縦送りされることにより反転ガイド13へ送られる。反転ガイド13へ送られた苗トレイ8は、反転ガイド13によって案内されて載置板10の背面側(下面側)10Aに案内される。また、苗載せ台9は、載置板10の背面側に空トレイガイド14を有する。空トレイガイド14は、下部に湾曲部14aを有する。湾曲部14aは、反転ガイド13から苗トレイ8を受け継いで、載置板10の背面側に配置されたガイド本体部14bへ案内する。空の苗トレイ8は、ガイド本体部14bによって、載置板10の背面上部へ案内される。空トレイガイド14は、上部に、上部ガイド部14cを有する。上部ガイド部14cは、ガイド本体部14bの上端から運転席3側に向けて前方に延びている。また、上部ガイド部14cは、若干、前下がり傾斜状(前方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状)に形成されている。空の苗トレイ8は、上部ガイド部14cから取出し可能である。
【0018】
次に、走行体5について詳細に説明する。
図1に示すように、走行体5は、植付作業機4の前方に配置されている。
図4に示すように、走行体5は、運転席3が搭載された機体16と、機体16を走行可能に支持する走行装置17とを備えている。機体16は、原動機18と、原動機フレーム19と、ミッションケース20と、機体フレーム21とを有する。原動機18は、例えば、ディーゼルエンジンである。原動機18は、走行体5の前部に配置されている。原動機フレーム19は、原動機18の下方に配置されて原動機18を支持している。ミッションケース20は、原動機18の後方に配置されており、原動機18から出力される動力を変速する変速機構を収容している。ミッションケース20の前部に原動機フレーム19が連結されている。機体フレーム21は、ミッションケース20の後方に配置されている。言い換えると、機体フレーム21は、走行体5の後部に配置されている。機体フレーム21の前部にミッションケース20が連結されている。機体フレーム21は、後部に、支持体22を有している。支持体22に、シート取付部材31を介して運転席3が取り付けられている。
【0019】
運転席3は、機体16の後部に配置されている。運転席3は、座部3Aと背もたれ部3Bとを有する。座部3Aは、オペレータ2が着座する(臀部及び太股部を載せる)部位である。背もたれ部3Bは、着座したオペレータ2が背中をもたれかける部位であって、座部3Aの後部に上方に延びるように設けられている。
図1、
図2に示すように、走行装置17は、本実施形態では、左及び右の前輪23と、左及び右の後輪24とを有する車輪型の走行装置である。前輪23及び後輪24は、ミッションケース20から出力される動力が伝達されて回転する。
【0020】
図1、
図2に示すように、運転席3の前方には、走行体5(前輪23)を操向するステアリングハンドル25とボンネット26及びステアリングコラム27が設けられている。ボンネット26内には、燃料タンク等が収容されている。ボンネット26の下方には、原動機18が配置されている。ステアリングコラム27は、ステアリングハンドル25を支持するハンドルポスト等を覆っている。
【0021】
図1に示すように、ボンネット26の側方には、苗7を有する苗トレイ8を載せておく予備苗台28が配置されている。予備苗台28は、複数段の苗置き部28Aを有し、ボンネット26の左側方と右側方とに設けられている。オペレータ2は、予備苗台28から苗トレイ8を取り出して植付作業機4(苗載せ台9)に供給することができる。
図1、
図2に示すように、走行体5は、運転席3の下方に配置されたフロアシート29を有する。フロアシート29は、前部に、運転席3に着座したオペレータ2が足を載せるフロントステップ29aを有する。フロントステップ29aは、運転席3の前方且つ下方に配置されている。フロントステップ29aの下方に、ミッションケース20が配置されている。フロントステップ29aの後方で且つ運転席3の下方には、支持体22における運転席3が支持される部分22A(
図4参照)を覆うシート台カバー30が設けられている。
【0022】
図1~
図5に示すように、シート台カバー30の後方には、空トレイガイド14から送り出された空の苗トレイ8を受けることが可能な空トレイ受け部15が設けられている。上部ガイド部14cは、空トレイ受け部15より上方に位置し且つ空トレイ受け部15側に延びている。空トレイ受け部15は、運転席3の後方側で且つ苗載せ台9の前方側に設けられている。言い換えると、空トレイ受け部15は、運転席3と空トレイガイド14(苗載せ台9)との間に設けられている。これにより、空トレイガイド14から送り出された空の苗トレイ8が、運転席3と空トレイガイド14(苗載せ台9)との間から下方に落ちるのを防止することができる。また、空トレイ受け部15は、フロントステップ29aより上方で且つ運転席3より下方に設けられている。したがって、空トレイ受け部15は、空トレイガイド14から送り出された空の苗トレイ8を良好に受けることができる高さに設けられている。また、上部ガイド部14cは、前下がり傾斜状に形成されて空トレイ受け部15側に延びているので、空の苗トレイ8を空トレイ受け部15に良好に送り出すことができる。また、空トレイ受け部15の後端部は、空トレイガイド14の上部後端部の下方に位置している。詳しくは、空トレイ受け部15の後端部と空トレイガイド14の後端部とは、平面視でオーバーラップしている。これにより、空トレイガイド14から送り出された空の苗トレイ8が、空トレイガイド14と空トレイ受け部15との間から下方に落ちるのを防止することができ、空の苗トレイ8を空トレイ受け部15で受けることができる。
【0023】
図3、
図5に示すように、空トレイ受け部15は、フロアシート29の後部の延出部(第1受け部)32と、延出部32の後方に配置された複数のリヤステップ(第2受け部)33とを有する。延出部32は、フロントステップ29aよりも高い位置に設けられ、シート台カバー30の後方に設けられている。詳しくは、シート台カバー30の後部下端から後方に突出している。また、延出部32の左部は、シート台カバー30よりも左方に突出しており、右部は、シート台カバー30よりも右方に突出している。延出部32の左部及び右部は、傾斜部29bによってフロントステップ29aに接続されている。傾斜部29bは、フロントステップ29aの後部から後方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に延出されている。複数のリヤステップ33は、延出部32の後方で且つ延出部32と略同じ高さ位置に配置されている。
【0024】
複数のリヤステップ33は、第1リヤステップ33Rと第2リヤステップ33Lとを含む。第1リヤステップ33Rは、延出部32の右部の後方に配置され、第2リヤステップ33Lは、延出部32の左部の後方に配置されている。第1リヤステップ33R及び第2リヤステップ33Lは、フレーム部材(ステップフレームという)34を介して機体16(機体フレーム21)に支持されている。
【0025】
図3に示すように、ステップフレーム34は、第1フレーム材34A~第3フレーム材34Cを有する。第1フレーム材34Aは、リヤステップ33と延出部32との間に機体幅方向K2に延伸して配置されている。第2フレーム材34Bは、下部が機体フレーム21に固定され上部に第1フレーム材34Aが固定されている。第3フレーム材34Cは、第1フレーム材34Aから後方に突出している。第3フレーム材34Cは、リヤステップ33の下面側に配置されていてリヤステップ33を下支えしている。また、第3フレーム材34Cは、複数設けられており、第1リヤステップ33R及び第2リヤステップ33Lの左部と右部とにそれぞれ設けられている。
【0026】
リヤステップ33は、苗載せ台9の前方に配置されている。したがって、オペレータ2は、苗トレイ8を苗載せ台9に供給(補給)する際に、リヤステップ33に足を掛けることができ、リヤステップ33に足を掛けることによって苗トレイ8の補給を容易に行える。
図2、
図5に示すように、本実施形態の植付作業機4は、2台(複数)の苗載せ台9を有しており、一方の苗載せ台9(第1苗載せ台9R)の前方に第1リヤステップ33Rが配置され、他方の苗載せ台9(第2苗載せ台9L)の前方に第2リヤステップ33Lが配置されている。
【0027】
なお、第1リヤステップ33R及び第2リヤステップ33Lは連続状に形成されていてもよい。また、リヤステップ33は、1つの部材によって構成されていてもよい。また、苗載せ台9が1台の場合は、リヤステップ33は1つ設けられる。また、苗載せ台9が3台以上の場合は、リヤステップ33は、苗載せ台9の台数に応じた数、設けられてもよいし、各苗載せ台9に共通のリヤステップ33を1つ設けてもよい。
【0028】
次に、植付作業機4について詳細に説明する。
図1、
図2に示すように、植付作業機4は、移植フレーム36を有する。
図2に示すように、移植フレーム36は、メインフレーム37と、複数のユニットフレーム38とを有する。複数のユニットフレーム38は、第1ユニットフレーム38Rと第2ユニットフレーム38Lとを含む。
【0029】
図8~
図10に示すように、メインフレーム37は、第1フレーム39~第12フレーム50を有する。第1フレーム39は、メインフレーム37の前部に配置されている。第1フレーム39は、右部の第1支柱部39aと、左部の第2支柱部39bと、第1支柱部39aと第2支柱部39bの上部同士を連結する連結部39cとを有する。第1支柱部39a及び第2支柱部39bは、上下方向中途部で前側に屈曲されている。詳しくは、第1支柱部39a及び第2支柱部39bは、下部が上下方向に直線状で、上部が上方に向かうにつれて前方に移行する傾斜状に形成されている。第2支柱部39bの下部は、第1支柱部39aの下端よりも下方に突出している。
【0030】
第2フレーム40は、第1支柱部39a及び第2支柱部39bの下方に機体幅方向K2に延伸して配置されている。第2支柱部39bの下端は第2フレーム40に連結されている。第2フレーム40の右部は第1支柱部39aよりも右方に突出し、左部は第2支柱部39bよりも左方に突出している。第3フレーム41は、第1支柱部39aの下部と第2フレーム40とを連結している。
【0031】
第4フレーム42は、第1フレーム39の上下方向中途部から後方に突出している。詳しくは、第4フレーム42は、第1部位42a~第3部位42cを有する。第1部位42aの前部は、第1支柱部39aの上下方向中途部に接続され且つ第1支柱部39aから右方に突出している。第1部位42aの中途部から後部は、第1部位42aの前部の外端から後方に向けて延出されている。第2部位42bの前部は、第2支柱部39bの下部に接続され且つ第2支柱部39bから左方に突出している。第2部位42bの中途部から後部は、第2部位42bの前部外端から後方に向けて延出されている。第3部位42cは、第1部位42aと第2部位42bの後端部同士を連結している。
【0032】
第5フレーム43は、前部が水平状に形成されて第2フレーム40の右部に接続されている。第5フレーム43は、中途部から後部にかけて後方に向かうにつれて上方に移行する傾斜状に形成され、後端部が、第4フレーム42の第3部位42cに接続されている。
第6フレーム44は、前部が水平状に形成されて第2フレーム40の左部に接続されている。第6フレーム44は、中途部から後部にかけて後方に向かうにつれて上方に移行する傾斜状に形成され、後端部が、第4フレーム42の第3部位42cに接続されている。
【0033】
第7フレーム45は、第4フレーム42の第1部位42aと第2部位42bとを連結している。詳しくは、第1部位42aの前部の機体内方側の部位(左部)と第2部位42bの前部の機体内方側の部位(右部)とを連結している。
第8フレーム46は、第4フレーム42の第1部位42aと第2部位42bとを連結している。詳しくは、第8フレーム46は、第1部位42aの機体前後方向中途部に固定された連結片51Rと、第2部位42bの機体前後方向中途部に固定された連結片51Lとを連結している。
【0034】
第9フレーム47は、第2支柱部39bの下部と第3フレーム41とを連結している。
第10フレーム48は、メインフレーム37の機体幅方向K2の略中央部に配置され、第9フレーム47と第4フレーム42の第3部位42cとを連結している。
第11フレーム49及び第12フレーム50は、メインフレーム37の前部の機体幅方向K2の中央部に機体幅方向K2に間隔をあけて配置されている。第11フレーム49及び第12フレーム50は、第7フレーム45と第2フレーム40とを連結している。
【0035】
第1支柱部39aの上部には、第1バネ掛けステー52Rが設けられ、第2支柱部39bの上部には、第2バネ掛けステー52Lが設けられている。
第11フレーム49及び第12フレーム50の間の上部には、固定プレート53が設けられている。固定プレート53には、ローリング軸54が前方突出状に取り付けられている。ローリング軸54は、機体前後方向K1に延伸するローリング軸心X1を有している。ローリング軸54は、メインフレーム37の機体幅方向K2の略中央部に配置されている。
【0036】
第7フレーム45の後方側には、機体幅方向K2に延伸するレール部材(第1レールという)56が配置されている。第1レール56は、溝型鋼状の部材によって形成され、後方に向けて開口している。第1レール56の上面には、複数のステー部材55が機体幅方向K2に所定間隔をおいて固定されている。各ステー部材55は、第7フレーム45にボルト固定されている。
【0037】
第8フレーム46の前方側には、機体幅方向K2に延伸するレール部材(第2レールという)58が配置されている。第2レール58は、溝型鋼状の部材によって形成され、前方に向けて開口している。第2レール58には、複数のステー部材57が固定されている。各ステー部材57は、第8フレーム46にボルト固定されている。
第6フレーム44の前部には、支持ブラケット(第1支持ブラケットという)59が固定されている。第1支持ブラケット59は、第6フレーム44上に立設されている。第5フレーム43の前部には、支持ブラケット(第2支持ブラケットという)60が固定されている。第2支持ブラケット60は、第5フレーム43上に立設されている。
【0038】
メインフレーム37の後部には、複数の連結プレート61が設けられている。複数の連結プレート61は、第1連結プレート61Rと第2連結プレート61Lとを含む。第1連結プレート61Rは、第4フレーム42の第3部位42cの右部に固定されており、第2連結プレート61は、第3部位42cの左部に固定されている。
図2に示すように、第1ユニットフレーム38Rは、メインフレーム37の右部に配置され、第2ユニットフレーム38Lは、メインフレーム37の左部に配置されている。詳しくは、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lは、第4フレーム42の第1部位42aと第2部位42bとの間に配置されており、第1ユニットフレーム38Rは、第1部位42aと第2部位42bとの間の右側に配置され、第2ユニットフレーム38Lは、第1部位42aと第2部位42bとの間の左側に配置されている。第1ユニットフレーム38Rの後方に第1連結プレート61Rが配置され、第2ユニットフレーム38Lの後方に第2連結プレート61Lが配置されている。
【0039】
図1に示すように、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lには、それぞれ苗取出装置11と、植付体12と、覆土輪(接地ローラ)62とが設けられている。
苗取出装置11は、複数設けられ、複数の苗取出装置11は、第1ユニットフレーム38Rに設けられた第1苗取出装置11Rと、第2ユニットフレーム38Lに設けられた第2苗取出装置11Lとを含む。
【0040】
植付体12は、複数設けられ、複数の植付体12は、第1ユニットフレーム38Rに設けられた第1植付体12Rと、第2ユニットフレーム38Lに設けられた第2植付体12Lとを含む。第1植付体12Rは、第1苗取出装置11Rで取り出された苗7を圃場6に植え付ける第1植付装置35R(
図28参照)の一部を構成している。第2植付体12Lは、第2苗取出装置11Lで取り出された苗7を圃場6に植え付ける第2植付装置35L(
図28参照)の一部を構成している。
【0041】
覆土輪62は、第1ユニットフレーム38Rに設けられた第1覆土輪62Rと、第2ユニットフレーム38Lに設けられた第2覆土輪62Lとを含む。第1覆土輪62R及び第2覆土輪62Lは、それぞれ2つずつ設けられている。2つの第1覆土輪62Rは、機体幅方向K2に並べて配置されている。2つの第2覆土輪62Lも、機体幅方向K2に並べて配置されている。第1覆土輪62Rは、第1植付体12Rの後方に配置され、第1植付体12Rで植え付けた苗7の左側及び右側を転動して該苗7の株際に土寄せすると共に該株際を鎮圧する。第2覆土輪62Lは、第2植付体12Lの後方に配置され、第2植付体12Lで植え付けた苗7の左側及び右側を転動して該苗7の株際に土寄せすると共に該株際を鎮圧する。
【0042】
図1に示すように、第1ユニットフレーム38R、第1苗取出装置11R、第1植付体12R(第1植付装置35R)及び第1覆土輪62Rは、第1移植ユニット63Rを構成している。第2ユニットフレーム38L、第2苗取出装置11L、第2植付体12L(第2植付装置35L)及び第2覆土輪62Lは、第2移植ユニット63Lを構成している。
移植ユニットは、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、移植ユニットの数に応じて苗載せ台の台数も決定される。
【0043】
図11、
図12に示すように、第1ユニットフレーム38Rは、平面視矩形状のフレーム本体64を有する。フレーム本体64は、機体幅方向で間隔をあけて対向状に配置された第1サイドフレーム65A及び第2サイドフレーム65Bと、第1サイドフレーム65Aと第2サイドフレーム65Bの前部同士を連結するフロントフレーム66(第1フロントフレームという)と、第1サイドフレーム65Aと第2サイドフレーム65Bの前部同士を連結するリヤフレーム67と、第1フロントフレーム66の後方に配置されて第1サイドフレーム65Aと第2サイドフレーム65Bと連結する第2フロントフレーム68とを有する。第1サイドフレーム65Aは、第2サイドフレーム65Bの機体外方に配置されている。
【0044】
第2ユニットフレーム38Lも、第1ユニットフレーム38Rと同様の構成のフレーム本体64を有する。
各フレーム本体64の前部には、機体幅方向K2で間隔をあけて配置された第1ユニットブラケット69及び第2ユニットブラケット70が設けられている。第1ユニットブラケット69及び第2ユニットブラケット70は、上部が第1フロントフレーム66及び第2フロントフレーム68に固定されていて、フレーム本体64から下方に突出している。第1ユニットブラケット69は、フレーム本体64の機体外方側に配置され、第2ユニットブラケット70は、フレーム本体64の機体内方側に配置されている。
【0045】
図11に示すように、第1ユニットフレーム38R(第1移植ユニット63R)及び第2ユニットフレーム38L(第2移植ユニット63L)の前部に、駆動主軸71が機体幅方向K2に延伸して配置されている。また、駆動主軸71は、メインフレーム37の前部に機体幅方向に延伸して設けられている。
駆動主軸71に第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lの前部が機体幅方向K2に移動可能に支持されている。詳しくは、駆動主軸71は、機体幅方向K2に延伸する軸心を有し、第5フレーム43の前部から第6フレーム44の前部にわたって設けられている。駆動主軸71は、左側が第1支持ブラケット59に軸受72を介して回転可能に支持され、右側が第2支持ブラケット60に軸受73を介して回転可能に支持されている。第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lは、駆動主軸71の上方に配置されている。駆動主軸71は、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lの第1ユニットブラケット69及び第2ユニットブラケット70の下部を挿通しており、且つ第1ユニットブラケット69及び第2ユニットブラケット70に設けられた軸受74に回転可能に支持されている。これにより、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lの前部が、駆動主軸71に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。
【0046】
図11、
図13に示すように、第1ユニットフレーム38Rは、第1連結プレート61Rに取り付けられる第1取付プレート76Rを有し、第2ユニットフレーム38Lは、第2連結プレート61Lに取り付けられる第2取付プレート76Lを有する。
図13、
図14に示すように、第1取付プレート76Rは、第1ユニットフレーム38Rのリヤフレーム67にボルト77A及びナット77Bによって機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられている。第2取付プレート76Lは、第2ユニットフレーム38Lのリヤフレーム67にボルト77A及びナット77Bによって機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられている。第1取付プレート76Rは、第1連結プレート61Rにボルト78A及びナット78Bによって機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられている。第2取付プレート76Lは、第2連結プレート61Lにボルト78A及びナット78Bによって機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられている。第1連結プレート61Rに対する第1取付プレート76Rの機体幅方向K2の取付位置を変更することにより、第1ユニットフレーム38Rがメインフレーム37に対して機体幅方向K2に位置調節可能である。第2連結プレート61Lに対する第2取付プレート76Lの機体幅方向K2の取付位置を変更することにより、第2ユニットフレーム38Lがメインフレーム37に対して機体幅方向K2に位置調節可能である。即ち、第1移植ユニット63Rと第2移植ユニット63Lは、メインフレーム37にそれぞれ独立して機体幅方向K2に位置調節可能に支持されている。
【0047】
第1ユニットフレーム38Rと第2ユニットフレーム38Lの機体幅方向K2の位置を調節することにより、第1植付体12Rと第2植付体12Lとの機体幅方向K2の間隔(第1植付体12Rで植え付けられる苗7と第2植付体12Lで植え付けられる苗7との機体幅方向K2の間隔)である条間W1(
図11参照)を調節することができる。
図13に示すように、第1取付プレート76R及び第2取付プレート76Lには、指標78が設けられている。第1連結プレート61R及び第2連結プレート61Lには、条間表示部79が設けられている。条間表示部79には、条間W1を表す数字が記されている。指標78を条間表示部79の数字に合わせることにより、条間W1の調節を容易に行うことができる。
【0048】
図11、
図12に示すように、駆動主軸71は、機体幅方向K2の端部側に、動力を取り出すための動力取出部(第1動力取出部という)80を有する。第1動力取出部80は、駆動主軸71に左側の端部側に設けられている。この第1動力取出部80から伝達される動力によって、該第1動力取出部80の前方に配置された灌水ポンプ82を駆動することができる。また、駆動主軸71は、第1動力取出部80とは反対側の端部側(右端部側)に、第1動力取出部80とは異なる他の動力取出部(第2動力取出部という)81を有している。第2動力取出部81は、例えば、植付作業機4にオプションで取り付けられる各種機器類に動力を伝達して該各種機器類を駆動することができる。第1動力取出部80及び第2動力取出部81には、例えば、スプライン(又はキー溝等)が形成されていて、伝動部材をスプライン結合(又はキー結合等)することにより、駆動主軸71の動力を第1動力取出部80及び第2動力取出部81から取り出すことができる。
【0049】
図12に示すように、駆動主軸71の中央側には、駆動主軸71に回転動力を入力する入力部材である入力スプロケット83が一体回転可能に設けられている。入力スプロケット83は、軸受84に支持され、軸受84は第10フレーム48に固定されたステー部材85に取り付けられている。
図15は、駆動主軸71に動力を入力する動力入力部86の側面図を示し、
図16は、動力入力部86の一部を展開した平面図を示している。
【0050】
図15、
図16に示すように、動力入力部86は、入力軸87と、ギヤ伝動機構88と、入力スプロケット83を含む巻掛け伝動機構89とを有する。
図1に示すように、入力軸87には、ミッションケース20から後方に突出したPTO軸(動力取出し軸)から動力が伝達される。詳しくは、PTO軸90には、植付クラッチ(株間クラッチ)91を介して第1ジョイント軸92が連動連結され、第1ジョイント軸92には、第2ジョイント軸93が連動連結されている。第2ジョイント軸93は、入力軸87に連動連結されている。植付クラッチ91は、PTO軸90から出力される動力を入力軸87に断続可能に伝達する。植付クラッチ91を切断すると、植付体12、苗取出装置11等の動作が停止し、接続すると、植付体12、苗取出装置11等の動作が再開する。したがって、植付クラッチ91の切断時間を調節することにより、苗7を所定の株間に植付けることができる。
【0051】
図15、
図16に示すように、ギヤ伝動機構88は、入力軸87に一体回転可能に嵌められた第1ベベルギヤ88Aと、第1ベベルギヤ88Aに噛み合う第2ベベルギヤ88Bとを有する。巻掛け伝動機構89は、第2ベベルギヤ88Bと一体回転可能な第1伝動スプロケット94と、第1伝動スプロケット94から動力が伝達される第2伝動スプロケット95と、第2伝動スプロケット95から動力が伝達される第3伝動スプロケット96とを有する。第3伝動スプロケット96から入力スプロケット83に動力が伝達される。
【0052】
図17~
図19に示すように、灌水ポンプ82は、植付体12の数に応じて複数設けられる。したがって、植付体12が一つの場合は、灌水ポンプ82も一つ設けられる。複数の灌水ポンプ82は、第1動力取出部(動力取出部)80の前方で且つメインフレーム37の機体幅方向K2の端部よりも機体内方に縦向きに配置されている。本実施形態では、複数の灌水ポンプ82は、第1植付体12Rに水を供給する第1灌水ポンプ82Rと、第2植付体12Lに水を供給する第2灌水ポンプ82Lとを含む。灌水ポンプ82は、シリンダ97及びシリンダ97内を往復移動するピストン98を有する往復ポンプによって形成されている。シリンダ97は、上下方向の軸心を有する。したがって、ピストン98は上下方向に往復移動する。
【0053】
灌水ポンプ82には、第1動力取出部80から灌水伝動機構99によって動力が伝達される。灌水伝動機構99は、第1灌水スプロケット100と、第2灌水スプロケット101と、回転部材102と、連結リンク103とを有する。第1灌水スプロケット100は、第1動力取出部80に一体回転可能に取り付けられている。第2灌水スプロケット101は、第1灌水スプロケット100の前方に配置されていて、チェーン104を介して第1灌水スプロケット100から動力が伝達される。
【0054】
回転部材102は、灌水ポンプ82の数に応じて複数設けられている。複数の回転部材102は、第1灌水ポンプ82Rに対応する第1回転部材102Rと、第2灌水ポンプ82Lに対応する第2回転部材102Lとを含む。第1回転部材102R及び第2回転部材102Lは、第2灌水スプロケット101と一体回転する。
連結リンク103は、灌水ポンプ82の数に応じて複数設けられている。複数の連結リンク103は、第1回転部材102Rと第1灌水ポンプ82Rのピストン98Rとを連結する第1連結リンク103Rと、第2回転部材102Lと第2灌水ポンプ82Lのピストン98Lとを連結する第2連結リンク103Lとを含む。
【0055】
第1連結リンク103Rは、一端が第1回転部材102Rに回転軸心X2から偏倚した位置に連結されると共に他端が第1灌水ポンプ82Rのピストン98Rに連結される。詳しくは、第1回転部材102Rに取り付けられた取付プレート105Rに第1回転部材102Rの回転軸心X2から偏倚した位置に第1連結ピン106Rが固定され、この第1連結ピン106Rに第1連結リンク103Rの一端に設けられた軸受107Rが回転可能に嵌められている。第1連結リンク103Rの他端には、二股状の第1接続具108Rが設けられ、この第1接続具108Rは、第1灌水ポンプ82Rのピストン98Rの下部に設けられた連結ステー109Rに枢支連結されている。第1回転部材102Rが回転することにより、第1連結リンク103Rを介してピストン98Rが引き下げ及び押し上げられて第1灌水ポンプ82Rが駆動される。
【0056】
第2連結リンク103Lは、一端が第2回転部材102Lに回転軸心X2から偏倚した位置に連結されると共に他端が第2灌水ポンプ82Lのピストン98Lに連結される。詳しくは、第2回転部材102Lに取り付けられた取付プレート105Lに第2回転部材102Lの回転軸心X2から偏倚した位置に第2連結ピン106Lが固定され、この第2連結ピン106Lに第2連結リンク103Lの一端に設けられた軸受107Lが回転可能に嵌められている。第2連結リンク103Lの他端には、二股状の第2接続具108Lが設けられ、この第2接続具108Lは、第2灌水ポンプ82Lのピストン98Lの下部に設けられた連結ステー109Lに枢支連結されている。第2回転部材102Lが回転することにより、第2連結リンク103Lを介してピストン98Lが引き下げ及び押し上げられて第2灌水ポンプ82Lが駆動される。
【0057】
灌水ポンプ82及び灌水伝動機構99は、メインフレーム37に設けられたポンプブラケット110に取り付けられている。ポンプブラケット110は、第1部材110A~第5部材110Eを有する。第1部材110Aは、第1支持ブラケット(支持ブラケット)59に取り付けられている。第2部材110Bは、第1部材110Aの上部に固定されている。第3部材110Cは、下部が第2部材110Bの前部に固定されていて第2部材110Bから上方に突出している。第4部材110Dは、第3部材110Cの上部に固定されている。第4部材110Dは、第3部材110Cより機体幅方向K2の一側方及び他側方に突出している。第5部材110Eは、第3部材110Cの下部に固定されている。第5部材110Eは、機体幅方向K2に延伸する軸心を有する筒状に形成されている。
【0058】
灌水ポンプ82は、第3部材110Cの側方に配置されて上部が第4部材110Dに取り付けられている。詳しくは、第1灌水ポンプ82Rは、第3部材110Cの右側方に配置され、第2灌水ポンプ82Lは、第3部材110Cの左側方に配置されている。第1灌水ポンプ82Rの上部のポンプヘッド111Rが第4部材110Dにボルト固定され、第2灌水ポンプ82Lの上部のポンプヘッド111Lも第4部材110Dにボルト固定されている。
【0059】
灌水伝動機構99は、第5部材110Eに機体幅方向K2に延伸する軸心回りに回転可能に支持された灌水駆動軸112を有している。灌水駆動軸112に、第2灌水スプロケット101L及び回転部材102が一体回転可能に取り付けられている。詳しくは、灌水駆動軸112は、第5部材110Eから一側方及び他側方に突出しており、灌水駆動軸112の一側方の突出部分に第1筒部材113Rがスプライン結合等によって一体回転可能に結合され、灌水駆動軸112の他側方の突出部分に第2筒部材113Lがスプライン結合等によって一体回転可能に結合されている。第1筒部材113Rに第1回転部材102Rが固定され、第2筒部材113Lに第2灌水スプロケット101及び第2回転部材102Lが固定されている。
【0060】
第1灌水ポンプ82Rのポンプヘッド111R及び第2灌水ポンプ82Lのポンプヘッド111Lには、吸込部114と、吐出部115とが設けられている。ピストン98が上下に往復移動することにより、吸込部114から水を吸い込み、吸い込んだ水を吐出部115から吐出する。吸込部114は、ポンプヘッド111R及びポンプヘッド111Lの前部に設けられている。吐出部115は、ポンプヘッド111R及びポンプヘッド111Lの後部に設けられている。
【0061】
図1、
図2に示すように、走行体5の前部に、苗7に灌水するための水を貯留する灌水タンクTが配置されている。灌水タンクTは、複数設けられている。複数の灌水タンクTは、ボンネット26の右側方に配置された第1灌水タンクT1及び第2灌水タンクT2と、ボンネット26の左側方に配置された第3灌水タンクT3及び第4灌水タンクT4とを含む。第2灌水タンクT2は、第1灌水タンクT1の機体外方で且つ第1灌水タンクT1より下方に配置されている。第1灌水タンクT1及び第2灌水タンクT2は、第1タンクブラケット116を介して機体16に支持されている。第4灌水タンクT4は、第3灌水タンクT3の機体外方で且つ第3灌水タンクT3より下方に配置されている。また、第3灌水タンクT3及び第4灌水タンクT4は、第2タンクブラケット117を介して機体16に支持されている。
【0062】
図2に示すように、第1灌水タンクT1及び第2灌水タンクT2は、吸引ホース119Rを介して第1灌水ポンプ82Rの吸込部114に接続されている。第3灌水タンクT3及び第4灌水タンクT4は、吸引ホース119Lを介して第2灌水ポンプ82Lの吸込部114に接続されている。
図20に示すように、第1植付体12Rの上部側に第1灌水パイプ120R(灌水パイプ120)が配置されている。第2植付体12Lの上部側に第2灌水パイプ120L(灌水パイプ120)が配置されている。第1灌水ポンプ82Rの吐出部115は、吐出ホース122Rを介して第1灌水パイプ120Rに接続され、第2灌水ポンプ82Lの吐出部115は、吐出ホース122Lを介して第2灌水パイプ120Lに接続されている。したがって、第1灌水ポンプ82Rから吐出する水は第1植付体12Rに供給され、第2灌水ポンプ82Lから吐出する水は第2植付体12Lに供給される。
【0063】
第1灌水パイプ120Rは、第1植付体12Rを支持する支持板121R(支持板121)に取り付けられ、第2灌水パイプ120Lは、第2植付体12Lを支持する支持板121L(支持板121)に取り付けられている。
図1、
図21に示すように、メインフレーム37(植付作業機4)は、作業機装着装置123を介して走行体5に装着されている。作業機装着装置123は、メインフレーム37(植付作業機4)を着脱可能に装着する装着フレーム124と、メインフレーム37(植付作業機4)を昇降する作業機昇降機構125とを有する。
【0064】
図21に示すように、装着フレーム124は、ローリング軸54をローリング軸心X1回りに回転可能に支持する軸受体128を有している。メインフレーム37は、装着フレーム124に対してローリング軸心X1回りに揺動可能である。第1植付体12R及び第2植付体12Lは、ローリング軸心X1を挟んで機体幅方向K2に並べて配置される。
作業機昇降機構125は、走行体5と装着フレーム124とを連結する連結リンク機構129と、植付作業機4を昇降駆動する昇降駆動体130とを有する。
【0065】
連結リンク機構129は、平行リンクによって構成され、上部リンク129Aと、上部リンク129Aの下方側に配置された下部リンク129Bとを有する。上部リンク129Aは、前部が機体16(機体フレーム21)の後部に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。上部リンク129Aの後部は、装着フレーム124に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。下部リンク129Bは、前部が、機体16(機体フレーム21)の後部に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。下部リンク129Bの後部は、装着フレーム124に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。連結リンク機構129によって植付作業機4を平行状に上下動することが可能である。
【0066】
昇降駆動体130は、例えば、油圧シリンダによって構成される昇降シリンダである。昇降シリンダ130の一端側(シリンダ本体130Aのボトム側)は、機体16(機体フレーム21)の後部に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。昇降シリンダ130の他端側(ピストンロッド130Bの先端側に取り付けられた連結体130C)は、装着フレーム124に機体幅方向K2の軸心回りに回転可能に連結されている。昇降シリンダ130の一端側は、上部リンク129Aの前部と同心状に枢支され、他端側は、下部リンク129Bの後部と同心状に枢支される。
【0067】
図21に示すように、移植機1は、昇降シリンダ130を制御する制御弁132を備えている。制御弁132は、制御装置131によって制御される。制御弁132は、電磁弁によって形成され、例えば、中立位置と、上昇位置と、下降位置とに切り替え可能な3位置方向切替弁で構成される。制御弁132は、制御装置131に電気配線等によって接続されると共に、昇降シリンダ130のシリンダ本体130A、油圧ポンプ133及び作動油タンク134に油圧管路を介して接続される。制御装置131から制御弁132に上昇指令信号が発信されると、制御弁132が上昇位置に切り替えられ、油圧ポンプ133からの作動油がシリンダ本体130Aのボトム側に供給され、昇降シリンダ130が伸長してメインフレーム(植付作業機4)が上昇する。また、制御装置131から制御弁132に下降指令信号が発信されると、制御弁132が下降位置に切り替えられ、作動油がシリンダ本体130Aのロッド側に供給され、昇降シリンダ130が収縮してメインフレーム37が下降する。
【0068】
なお、昇降駆動体130は、電動シリンダ(電動アクチュエータ)又は電動油圧シリンダ(電動油圧アクチュエータ)で構成されていてもよい。電動シリンダは、電気駆動のシリンダであって、例えば、電動モータによってボールネジを軸心回りに回転させてボールねじナットを移動させ、このボールねじナットの移動によってロッドを進退させるアクチュエータである。電動油圧シリンダは、例えば、電動モータ、オイルタンク、油圧ポンプ、バルブ、油圧シリンダ等を一体化したアクチュエータであり、電動モータの回転によって油圧ポンプが回転すると共にバルブが切り替えられて油圧シリンダが作動するアクチュエータである。
【0069】
図22に示すように、移植機1は、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング機構135を有している。ローリング機構135は、ローリングモータ136と、ローリングローラ137と、索体138とを有している。ローリングモータ136及びローリングローラ137は、装着フレーム124(作業機装着装置123)に設けられている。ローリングモータ136及びローリングローラ137は、ローリング軸54よりも上方で且つメインフレーム37の機体幅方向K2の中央部に対応する位置に配置されている。ローリングローラ137は、ローリングモータ136よりも上方に配置されている。ローリングモータ136は、正逆転可能な電動モータで構成される。また、ローリングモータ136は、制御装置131に接続されている。制御装置131は、ローリング機構135を制御する。
【0070】
図23、
図24に示すように、ローリングモータ136の動力は、伝動機構(ギヤ伝動機構)139を介してローリングローラ137に伝達される。伝動機構139は、ローリングモータ136の動力によって回転駆動される第1ギヤ139Aと、第1ギヤ139Aに噛み合う第2ギヤ139Bとを有する。第2ギヤ139Bは第1ギヤ139Aよりも大径で且つローリングローラ137と一体回転する。したがって、ローリングモータ136の動力によってローリングローラ137が正逆に回転する。
【0071】
索体138は、例えば、ワイヤ又はケーブル等によって形成され、ローリングローラ137に巻掛けられている。索体138の一側(右側)138Rは、ローリングローラ137から一側方(右側方)に延出され、他側(左側)138Lは、ローリングローラ137から他側方(左側方)に延出されている。索体138の一側138Rは、植付作業機4の機体幅方向K2の一側に連結され、他側138Lは、植付作業機4の機体幅方向K2の他側に連結される。詳しくは、
図22に示すように、索体138の一側138Rは、第1緩衝バネ140Rの一端側に連結され、他側138Lは、第2緩衝バネ140Lの一端側に連結されている。第1緩衝バネ140Rの他端側は、メインフレーム37の第1バネ掛けステー52Rに引っ掛けられ、第2緩衝バネ140Lの他端側は、第2バネ掛けステー52Lに引っ掛けられている。つまり、索体138の一端側は、第1緩衝バネ140Rを介してメインフレーム37の機体幅方向K2の一側に連結され、他端側は、第2緩衝バネ140Lを介してメインフレーム37の機体幅方向K2の他側に連結されている。
【0072】
ローリングモータ136によってローリングローラ137を正逆一方向へ回転させると、例えば、
図22の時計回りの方向に回転させると、索体138の左側が引っ張られる。これにより、メインフレーム37(植付作業機4)が、ローリング軸心X1回りに
図22の時計回りの方向に揺動する。また、ローリングモータ136によってローリングローラ137を正逆他方向(
図22の反時計回りの方向)へ回転させると、索体138の右側が引っ張られる。これにより、メインフレーム37(植付作業機4)が、ローリング軸心X1回りに
図22の反時計回りの方向に揺動する。
【0073】
また、メインフレーム37(植付作業機4)は、ローリング軸心X1回りに自由揺動可能である。
図23に示すように、装着フレーム124には、植付作業機4のローリング軸心X1回りの大きな揺動を検出する検出センサ141が設けられている。検出センサ141は、植付作業機4の時計回り方向の揺動を検出する第1リミットスイッチ141Rと、植付作業機4の反時計回り方向の揺動を検出する第2リミットスイッチ141Lとを含む。第2ギヤ139Bの多数の歯のうちの一つは、他の歯よりギヤの径方向外方に突出する検出歯142とされており、この検出歯142が第1リミットスイッチ141R又は第2リミットスイッチ141Lの接触子に接触することにより、植付作業機4のローリング軸心X1回りの大きな揺動が検出される。第1リミットスイッチ141R又は第2リミットスイッチ141Lが、検出歯142を検出すると、例えば、ローリングモータ136の駆動を停止する。
【0074】
図2に示すように、植付作業機4は、第1植付体12Rの前方側に配置された第1感知ローラ126R(感知ローラ126)と、第2植付体12Lの前方に配置された第2感知ローラ126L(感知ローラ126)とを有する。第1感知ローラ126Rは、第1ユニットフレーム38Rに設けられている。即ち、第1移植ユニット63Rは、第1感知ローラ126Rを含む。第2感知ローラ126Lは、第2ユニットフレーム38Lに設けられている。即ち、第2移植ユニット63Lは、第2感知ローラ126Lを含む。
【0075】
図22に示すように、第1感知ローラ126Rは、第1植付体12Rに対応する圃場6の植付面である第1植付面144Rの高さを検出するための部材である。言い換えると、第1感知ローラ126Rは、第1植付体12Rで苗7を植え付ける第1畝143Rの高さを検出するための部材である。
第2感知ローラ126Lは、第2植付体12Lに対応する圃場6の植付面である第2植付面144Lの高さを検出するための部材である。言い換えると、第2感知ローラ126Lは、第2植付体12Lで苗7を植え付ける第2畝143Lの高さを検出するための部材である。
【0076】
第1感知ローラ126Rは、第1植付面144R上を転動し、第1植付面144Rの高さ変化に追従して上下動する。第2感知ローラ126Lは、第2植付面144L上を転動し、第2植付面144Lの高さ変化に追従して上下動する。
図25に示すように、第1感知ローラ126Rは、第1ユニットフレーム38Rに第1ローラ支持機構145Rによって上下揺動可能に支持される。第2感知ローラ126Lは、第2ユニットフレーム38Lに第2ローラ支持機構145Lによって上下揺動可能に支持される。
【0077】
第1ローラ支持機構145Rは、第1感知ローラ126Rを上下揺動可能に支持する第1ローラブラケット146Rと、第1ローラブラケット146Rを下方に付勢して第1感知ローラ126Rを圃場面(地面)に押し付ける第1付勢バネ(バネ)147Rとを有する。第1ローラブラケット146Rは、第1アーム148Aと、第2アーム148Bと、連結部材148Cとを有している。第1アーム148Aは、第1感知ローラ126Rの機体外方側に配置され、第2アーム148Bは、第1感知ローラ126Rの機体内方側に配置されている。第1アーム148A及び第2アーム148Bは、第1感知ローラ126Rから前方に突出している。連結部材148Cは、第1感知ローラ126Rの前方側で、第1アーム148Aと第2アーム148Bとを連結している。
【0078】
図25、
図27に示すように、第1ユニットフレーム38Rには、支持ブラケット149が設けられている。支持ブラケット149は、第1ユニットブラケット69と第2ユニットブラケット70とにわたって設けられた固定板149Aと、固定板149Aに固定された取付プレート149Bとを有する。取付プレート149Bは、第1感知ローラ126Rの前方に配置されている。取付プレート149Bは、第1感知ローラ126Rの機体幅方向K2の幅に対応する幅に形成されている。また、取付プレート149Bは、機体幅方向K2の外端側の第1側板部149aと機体幅方向K2の内端側の第2側板部149bとを有する。第1アーム148A及び第2アーム148Bの前部は、枢軸150によって第1側板部149a及び第2側板部149bに枢支されている。第1アーム148A及び第2アーム148Bの後部に第1感知ローラ126Rが機体幅方向K2に延伸する軸心を有するローラ軸151によって回転可能に支持されている。
【0079】
図25、
図26に示すように、第1付勢バネ147Rは、圧縮コイルバネで形成され、ロッド部材152の外側に嵌められている。ロッド部材152の下部は、第2アーム148Bに固定されたロッド支軸153に枢支されている。ロッド部材152の上部は、第1ユニットフレーム38Rの第2サイドフレーム65Bに固定された支持ステー154にロッド部材152の軸心方向に沿って上下動可能に支持されている。第1付勢バネ147Rは、ロッド部材152に取り付けられたバネ受け板155と支持ステー154との間に圧縮状に介在されている。
【0080】
第2ローラ支持機構145Lは、第2感知ローラ126Lを上下揺動可能に支持する第2ローラブラケット146Lと、第2ローラブラケット146Lを下方に付勢して第2感知ローラ126Lを圃場面(地面)に押し付ける第2付勢バネ(バネ)147Lとを有する。第2ローラブラケット146Lは、第1ローラブラケット146Rと同様に構成されている。第2ローラブラケット146Lは、支持ブラケット149によって第2ユニットフレーム38Lに支持され、ローラ軸151によって第2感知ローラ126Lを回転可能に支持する。第2付勢バネ147Lは、圧縮コイルバネによって形成され、第2ユニットフレーム38L側のロッド部材152に嵌められている。該ロッド部材152は、第2ローラブラケット146Lに枢支されると共に、第2ユニットフレーム38Lの第2サイドフレーム65Bに固定された支持ステー154に支持されている。
【0081】
第1植付面144Rの高さ(高さ変化)は、第1ローラブラケット146Rの揺動量(第1感知ローラ126Rの上下方向の位置の変化量)を第1センサ機構156Rによって検出する。第2植付面144Lの高さ(高さ変化)は、第2ローラブラケット146Lの揺動量(第2感知ローラ126Lの上下方向の位置の変化量)を第2センサ機構156Lによって検出する。
【0082】
図25、
図27に示すように、第1センサ機構156Rは、第1高さ検出センサ157Rと、第1検出アーム159Rとを有している。第1高さ検出センサ157Rは、ポテンショメータで形成されている。第1高さ検出センサ157Rは、第1ユニットフレーム38R側の第2側板部149bに固定されたセンサブラケット158に取り付けられている。第1検出アーム159Rは、アーム本体160と当接子161とを有する。アーム本体160は、前部が第1高さ検出センサ157Rの回転検出子に連結されており、該回転検出子と共に回転可能である。当接子161は、アーム本体160の後部に固定されている。当接子161は、ピンによって形成され、第1ローラブラケット146Rの第2アーム148B上に当接している。アーム本体160は、第1ローラブラケット146Rと同心状に上下揺動可能であり、第1検出アーム159Rが第1ローラブラケット146Rと共に上下揺動することにより、第1高さ検出センサ157Rが第1ローラブラケット146Rの揺動量を検出する。これにより、第1植付面144Rの高さ(高さ変化)を検出することができる。
【0083】
第2センサ機構156Lは、第2高さ検出センサ157Lと、第2検出アーム159Lとを有している。第2高さ検出センサ157Lも、ポテンショメータで形成されている。第2高さ検出センサ157Lは、第2ユニットフレーム38L側の第2側板部149bに固定されたセンサブラケット158に取り付けられている。第2検出アーム159Lは、アーム本体160と当接子161とを有する。アーム本体160は、前部が第2高さ検出センサ157Lの回転検出子に連結されており、該回転検出子と共に回転可能である。当接子161は、アーム本体160の後部に固定されている。当接子161は、ピンによって形成され、第2ローラブラケット146Lの第2アーム148B上に当接している。アーム本体160は、第2ローラブラケット146Lと同心状に上下揺動可能であり、第2検出アーム159Lが第2ローラブラケット146Lと共に上下揺動することにより、第2高さ検出センサ157Lが第2ローラブラケット146Lの揺動量を検出する。これにより、第2植付面144Lの高さ(高さ変化)を検出することができる。
【0084】
図25、
図26に示すように、第1ローラ支持機構145Rには、第1感知ローラ126Rの泥落としをするスクレーパ162が設けられている。スクレーパ162は、スクレーパブラケット163に取り付けられている。スクレーパブラケット163は、第1感知ローラ126Rを跨ぐように設けられて第1ローラブラケット146Rに固定されている。第2ローラ支持機構145Lにも、同様に第2感知ローラ126Lの泥落としをするスクレーパ162が設けられている。
【0085】
図22に示すように、第1高さ検出センサ157R及び第2高さ検出センサ157Lは、制御装置131に接続され、検出値を制御装置131に送信する。制御装置131は、第1高さ検出センサ157R及び第2高さ検出センサ157Lで検出した検出値を取得する。
第1植付面144Rと第2植付面144Lとに高さの差があると、第1植付体12Rで植え付ける苗7の植付け深さと、第2植付体12Lで植え付ける苗7の植付け深さとが異なることとなる。そこで、第1植付面144Rと第2植付面144Lとに高さの差が生じると、第1植付面144R(植付面)に対する第1植付体12Rの高さである第1高さH1と第2植付面144L(植付面)に対する第2植付体12Lの高さである第2高さH2とを所定の高さにすべく、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。詳しくは、制御装置131は、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lによって検出される検出値に基づいて、第1高さH1と第2高さH2との高さの差を算出し、この高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。言い換えると、制御装置131は、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lによって検出される検出値に基づいて、第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差を算出し、この第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
【0086】
より具体的には、第1植付面144Rに対して第2植付面144Lが高いと、第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとに高さの差が生じる。この場合、制御装置131は、植付作業機4をローリング軸心X1回りに左側が上がり右側が下がるように揺動させる。これにより、基本的には、第1植付体12Rで植え付ける苗7の植付け深さと、第2植付体12Lで植え付ける苗7の植付け深さとを同じ深さにする。なお、後述する角度調節部194によって、予め、第1高さH1と第2高さH2とに、高さの差を設けている場合は、この設定した高さにもどるように、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
【0087】
また、制御装置131は、第1感知ローラ126R又は第2感知ローラ126Lうちの一方の感知ローラによって検出される植付面(圃場6)の凹凸に基づいて植付作業機4を昇降させ、前記一方の感知ローラを基準として第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差を算出する。
本実施形態では、第1感知ローラ126Rで第1植付面144Rの凹凸を検出し、この第1植付面144Rの凹凸に応じて植付作業機4を昇降することで、機体前後方向K1(畝の長手方向)における苗7の植付深さを同じ深さにする。具体的には、植付面が高くなると、植付作業機4を上昇し、植付面が低くなると、植付作業機4を下降させる。また、第1感知ローラ126Rを基準として第1感知ローラ126Rに対する第2感知ローラ126Lの高さによって高さの差を算出する。第1感知ローラ126R又は第2感知ローラ126Lうちの一方の感知ローラを基準に第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差を算出することにより、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング制御を安定的に行うことができる。
【0088】
なお、第2感知ローラ126Lで第2植付面144Lの凹凸を検出して、植付作業機4を昇降し、第2感知ローラ126Lを基準として第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差を算出してもよい。
また、本実施形態では、第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの高さの差が所定未満である場合は、制御装置131によるローリング制御は行われず、植付作業機4のローリング軸心X1回りの自由揺動で高さの差が吸収される。制御装置131は、第1植付面144Rと第2植付面144Lとの高さの差が所定以上になるとローリング機構135を作動させて、ローリング制御を行う。
【0089】
図28に示すように、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lには、それぞれ揺動フレーム164が上下揺動可能に設けられている。第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lは、メインフレーム37に対して固定であるので、揺動フレーム164は、メインフレーム37(移植フレーム36)に対して上下揺動可能である。
【0090】
第1ユニットフレーム38Rに設けられた揺動フレーム164を第1揺動フレーム164Rといい、第2ユニットフレーム38Lに設けられた揺動フレーム164を第2揺動フレーム164Lという。第1揺動フレーム164Rと第2揺動フレーム164Lとは、左右対称で同様の構造で形成されているので、第1揺動フレーム164Rと第2揺動フレーム164Lとを纏めて説明する。
【0091】
図28、
図29に示すように、揺動フレーム164は、機体外方側の第1側枠部164Aと、機体内方側の第2側枠部164Bと、第1側枠部164Aと第2側枠部164Bの前後中途部同士を連結する中間枠部164Cと、第1側枠部164Aと第2側枠部164Bの後部同士を連結する後枠部164Dと、第1側枠部164Aの前部にボルト又は溶接等によって固定された第1支持部164Eと、第2側枠部164Bの前部にボルト又は溶接等によって固定された第2支持部164Fとを有する。
【0092】
第1支持部164Eは、第1ユニットブラケット69に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回転可能に支持され、第2支持部164Fは、第2ユニットブラケット70に横軸回りに回動可能に支持されている。したがって、揺動フレーム164は、後部が上下に揺動可能である。詳しくは、第1ユニットブラケット69と第2ユニットブラケット70とにわたって植付駆動軸165が横軸回りに回転可能に支持され、この植付駆動軸165に第1支持部164E及び第2支持部164Fが回転可能に支持されている。植付駆動軸165には、伝動ギヤ166が一体回転可能に設けられており、この伝動ギヤ166に駆動主軸71から回転動力が伝達されて植付駆動軸165が回転する。
【0093】
図28、
図29に示すように、第1揺動フレーム164Rには、第1植付昇降機構167R(植付昇降機構167)が設けられ、この第1植付昇降機構167Rに第1植付体12Rが上下に往復移動可能に設けられている。第2揺動フレーム164Lには、第2植付昇降機構167L(植付昇降機構167)が設けられ、この第2植付昇降機構167Lに第2植付体12Lが上下に往復移動可能に設けられている。第1植付体12R及び第1植付昇降機構167Rは、第1植付装置35R(植付装置35)を構成し、第2植付体12L及び第2植付昇降機構167Lは、第2植付装置35L(植付装置35)を構成している。
【0094】
第1覆土輪62Rは、第1揺動フレーム164Rに第1ローラフレーム(ローラフレーム168)168Rによって上下揺動可能に支持されている。第2覆土輪62Lは、揺動フレーム164に第2ローラフレーム168L(ローラフレーム168)に上下揺動可能に支持されている。
第1ローラフレーム168Rと第2ローラフレーム168Lとは、同様の構造で形成されているので、第1ローラフレーム168Rと第2ローラフレーム168Lとを纏めて説明する。
【0095】
図29、
図30に示すように、ローラフレーム168は、パイプ材等によって形成され、機体外方側の第1側杆部168Aと、機体内方側の第2側杆部168Bと、後部の後杆部168Cとを有する。第1側杆部168Aは、機体前後方向に延伸する第1部位168aと、第1部位168aの後端から上方に延出する第2部位168bとを有する。第1部位168aの前部は、第1サイドフレーム65Aから下方に突出するブラケット部材169に横軸回りに回転可能に連結されている。第2側杆部168Bは、機体前後方向に延伸する第1部位168cと、第1部位168cの後端から上方に延出する第2部位168dとを有する。第1部位168cの前部は、第2サイドフレーム65Bから下方に突出するブラケット部材170に横軸回りに回転可能に連結されている。後杆部168Cは、第1側杆部168Aと第2側杆部168Bとの後部同士を連結している。詳しくは、第2部位168bと第2部位168dの上端部同士を連結している。覆土輪62は、第1部位168aの後部と第1部位168cの後部とにステー部材171を介して取り付けられている。
【0096】
第1揺動フレーム164Rと第1ローラフレーム168Rとにわたって第1植付深さ調節機構172R(植付深さ調節機構172)が設けられ、第2揺動フレーム164Lと第2ローラフレーム168Lとにわたって第2植付深さ調節機構172L(植付深さ調節機構172)が設けられている。第1植付深さ調節機構172Rと第2植付深さ調節機構172Lとは、同様の構造で形成されているので、第1植付深さ調節機構172Rと第2植付深さ調節機構172Lとを纏めて説明する。
【0097】
植付深さ調節機構172は、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔を変更可能に固定し且つ間隔を変更することで苗7の植付深さを調節する機構である。
図29、
図30に示すように、植付深さ調節機構172は、機構フレーム173と、アジャストモータ174と、駆動機構175と、リンク部材176とを有している。機構フレーム173は、揺動フレーム164の後枠部164Dに立設されている。アジャストモータ174は、電動モータによって形成され、制御装置131に接続されている。アジャストモータ174は、機構フレーム173に取り付けられている。詳しくは、アジャストモータ174は、機構フレーム173の上部に取り付けられている。駆動機構175は、アジャストモータ174によって駆動される。詳しくは、駆動機構175は、アジャストモータ174によって駆動される第1ギヤ177と、第1ギヤ177に噛合して回転する第2ギヤ178とを有する。リンク部材176は、駆動機構175とローラフレーム168とを連結し且つ駆動機構175の駆動に連動して上下動する。
【0098】
第1ギヤ177は、ピニオンギヤによって形成され、第2ギヤ178は、セクタギヤによって形成されている。第1ギヤ(ピニオンギヤ)177は、機構フレーム173の上部に回転可能に取り付けられている。第2ギヤ(セクタギヤ)178は、下部が機構フレーム173に枢支され、上部に第1ギヤ(ピニオンギヤ)177に噛み合うギヤ部178aを有している。第2ギヤ178(セクタギヤ)は、リンク部材176を連結する連結部178bを有している。リンク部材176は、上部176aが連結部178bに球継ぎ手を介して連結されている。リンク部材176の下部176bは、球継ぎ手を介して、後杆部168Cに固定されたブラケット部材179に連結されている。
【0099】
上記の植付深さ調節機構172にあっては、アジャストモータ174によって第1ギヤ177を回転させることにより、第2ギヤ178が枢支部180回りに揺動する。第2ギヤ178が揺動すると、連結部178bが上下動してリンク部材176を上下動させる。リンク部材176が上下動すると、ローラフレーム168に対して揺動フレーム164が上下に揺動する。これにより、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔が変わると共に、覆土輪62に対する植付体12の高さが変わる。覆土輪62に対する植付体12の高さを変えると、植付面に対する植付体12の高さが変わるので、植付深さを変更することができる。また、アジャストモータ174の駆動を止めることにより、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔が固定され、設定した植付深さを維持することができる。
【0100】
揺動フレーム164は、覆土輪62が圃場6の凹凸に追従することで上下に揺動する。揺動フレーム164は、揺動許容範囲の中央に位置するように設定されている。植付深さを変更すると、揺動フレーム164は、移植フレーム36に対して上下揺動するので、移植フレーム36に対する上下方向の相対位置が変わる。そこで、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔を変更すると、制御装置131は、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更に応じて移植フレーム36に対する揺動フレーム164の相対位置を戻す方向にメインフレーム37(移植フレーム36)を昇降させる。
【0101】
植付深さ調節機構172は、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更量を検出する検出部182を有している。検出部182は、制御装置131に接続されていて、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更量を制御装置131にフィードバックする。検出部182は、例えば、ポテンショメータで構成される。検出部182の回転検出子は、第2ギヤ178を枢支する枢軸181に連結されている。枢軸181は、第2ギヤ178と一体回転する。したがって、検出部182は、第2ギヤ178の回転量を検出する。
【0102】
図31は、覆土輪62の覆土圧(覆土輪62が地面を押圧する力)の調節を行う覆土圧調節機構183を示している。覆土圧調節機構183は、支持板185と、操作レバー184と、バネ掛けアーム186と、第1固定ブラケット187A、と第2固定ブラケット187Bと、連動リンク188と、調節バネ189とを有する。
支持板185は、ユニットフレーム38の後部に固定されている。操作レバー184は、支持板185に枢軸185Aによって揺動操作可能に取り付けられている。バネ掛けアーム186は、操作レバー184にボルトによって固定されていて操作レバー184と一体揺動する。第1固定ブラケット187Aは、揺動フレーム164に固定されている。第2固定ブラケット187Bは、ユニットフレーム38に固定されている。連動リンク188は、第1固定ブラケット187Aに枢支された第1リンク188Aと、第2固定ブラケット187Bに枢支された第2リンク188Bとを有している。第1リンク188Aと第2リンク188Bとは、枢支連結されている。調節バネ189は、引張りコイルバネによって形成され、一端がバネ掛けアーム186の端部に形成された係止穴186aに引っ掛けられ、他端が第1リンク188Aに形成された係止穴188aに引っ掛けられている。
【0103】
覆土圧調節機構183にあっては、操作レバー184を枢軸185A回りに揺動させることにより、調節バネ189のバネ力を変化させることにより、覆土圧を調節することができる。支持板185の上部には、複数の係止部185aが設けられていて、操作レバー184の係止片184aを係止部185aに係止することで、操作レバー184を複数の位置に固定することができる。
【0104】
図32に示すように、植付深さ調節機構172は、操作部127によって操作される。
図1、
図2に示すように、操作部127は、運転席3の近傍に設けられている。詳しくは、操作部127は、運転席3の前方のステアリングコラム27の上部に、前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜状に設けられている。また、操作部127は、ステアリングハンドル25の下方に配置されている。また、操作部127は、運転席3に着座したオペレータが操作可能である。
図21、
図30に示すように、操作部127は、制御装置131に接続されている。
【0105】
図32に示すように、操作部127は、制御装置131に植付深さ調節機構172を操作する操作信号を送る。また、操作部127は、植付深さ調節機構172を操作する植付深さ調節部190を有する。植付深さ調節部190は、操作部127の後部(下部)に設けられている。植付深さ調節部190は、操作ダイヤル(回転操作部材)191と、操作ダイヤル191の回転位置を示す指標192と有している。指標192は、操作ダイヤル191の上面に設けられている。植付深さ調節機構172(アジャストモータ174)は、操作ダイヤル191を左又は右に回転操作することで操作される。植付深さ調節部190は、操作ダイヤル191の操作方向を示す深さ表示部193を有する。深さ表示部193は、操作ダイヤル191の右側に設けられた「深い」の文字と、操作ダイヤル191の左側に設けられた「浅い」の文字とを有する。
【0106】
上記の植付深さ調節部190にあっては、操作ダイヤル191を右に回すと、操作部127から制御装置131に第1操作信号S1が送られる。制御装置131は、第1操作信号S1を取得すると、植付深さを深くする方向に植付深さ調節部190を作動させる。指標192が
図32に示す前方(上方)を向く状態で基準の植付け深さに設定されており、操作ダイヤル191を指標192が前方を向く状態から右に回せば回すほど植付け深さが基準の深さから深くなる。また、操作ダイヤル191を左に回すと操作部127から制御装置131に第2操作信号S2が送られる。制御装置131は、第2操作信号S2を取得すると、植付深さを浅くする方向に植付深さ調節部190を作動させる。操作ダイヤル191を指標192が前方を向く状態から左に回せば回すほど植付け深さが基準の深さから浅くなる。なお、操作ダイヤル191を右に回すと植付深さを深くし、左に回すと植付深さを浅くするようにしてもよい。
【0107】
操作ダイヤル191は、段階的に操作可能であって、植付け深さは、段階的に調節可能である。操作ダイヤル191を連続的に操作可能にして、植付け深さを連続的に調節可能としてもよい。
オペレータ2は、植付深さ調節部190によって運転席3に着座した状態で植付深さ調節機構172を操作することができるので、苗7の植付深さの調節を容易に行える。
【0108】
操作部127は、角度調節部194を有している。角度調節部194は、植付作業機4の機体幅方向K2の一側をローリング軸心X1回りに下げるか又は他側を下げるかの操作を行う。植付作業機4の機体幅方向K2の一側を下げることにより、該一側の植付体12が下がり、植付作業機4の機体幅方向K2の他側を下げることにより、該他側の植付体12が下がる。これにより、植付け深さの微調節を行うことができる。
【0109】
例えば、第1植付面144Rと第2植付面144Lとが同じ高さであっても、第1植付体12Rで植え付ける苗7の植付け深さと、第2植付体12Lで植え付ける苗7の植付け深さとが若干異なる場合がある。このようなときに、例えば、植付け深さの浅めの方の植付体12を下げることにより、植付け深さの微調節を行う。ローリング制御は、この調節を行った状態で行われる。
【0110】
図32に示すように、角度調節部194は、操作部127の前部(上部)に設けられ、機体幅方向K2で横並びに配置された第1スイッチ195及び第2スイッチ196を有している。第1スイッチ195は、植付作業機4の一側(第1植付体配置側)をローリング軸心X1回りに下げる第1下げ信号を制御装置131に送る。言い換えると、第1スイッチ195は、ローリング軸心X1回りに植付作業機4の第1植付体配置側を下げる第1下げ信号S3を制御装置131に送る。制御装置131は、第1下げ信号S3を取得すると、植付作業機4の右側を下げる。
【0111】
第2スイッチ196は、植付作業機4の機体幅方向K2の他側(第2植付体配置側)をローリング軸心X1回りに下げる第2下げ信号S4を制御装置131に送る。制御装置131は、第2下げ信号S4を取得すると、植付作業機4の左側を下げる。
例えば、第1スイッチ195又は第2スイッチ196を押すごとに、植付作業機4がローリング軸心X1回りに所定角度回転し、植付け深さを所定の寸法単位(数ミリ単位又は数センチ単位)で微調節することができる。なお、これに限定されることはない。
【0112】
また、操作部127は、移植部高さ調節部197を有する。移植部高さ調節部197は、操作部127の中途部(角度調節部194と植付深さ調節部190との間)に配置されており、上げスイッチ198と、下げスイッチ199とを有する。下げスイッチ199は、上げスイッチ198の右方で且つ後方(下方)に配置されている。
移植部高さ調節部197は、感知ローラ126と覆土輪62の沈み込み量の差を補正する。また、機械的・電気的な初期値のずれの補正にも使用する。狙いは揺動フレーム164が揺動範囲の上または下に大きくずれないようにするためである。
【0113】
これについて、以下に詳しく説明する。また、以下の説明で記載する数値は、例示的なものであって限定的なものではない。
前部(植付駆動軸165)を支点に上下揺動する揺動フレーム164に植付体12及び覆土輪62が付けられており、揺動フレーム164に対して(接地している)覆土輪62を、例えば、1cm上げると、揺動フレーム164が下がって植付体12が地中に約1cm深く入り、植付深さが約1cm深くなる。
【0114】
揺動フレーム164は覆土輪62部分で約4cmの揺動範囲があり、覆土輪62が揺動範囲の中央にあれば畝の凹凸が±2cmあっても植付深さを一定に保つことができる。
しかし移植フレーム36の高さ(揺動フレーム164の回動支点(植付駆動軸165)の高さ)が同じであれば、覆土輪62を1cm上げると、揺動フレーム164が揺動範囲の下側にずれて畝凹凸適応範囲は-1cm~+3cmになる。よって、植付深さを1cm深くする場合は、覆土輪62を1cm上げると共に移植フレーム36を1cm下げて揺動フレーム164が揺動範囲の中央になるようにしている。
【0115】
なお、植付深さ調節範囲は-2cm~+5cmであり、0は根鉢(苗7の床土)上面と畝上面が同面としている。必ず0が同面になる訳ではなく、深植え側の調節代を多くとっているということである。
ところで、感知ローラ126の接地高さと覆土輪62の接地高さは同じではない。即ち、感知ローラ126より覆土輪62の方が鎮圧荷重が高いため覆土輪62が沈み、覆土輪62が感知ローラ126より低くなる。設計上、覆土輪62の方が1cm低くなるとみているが、覆土輪62の鎮圧荷重調節、畝上面の硬さ、マルチフィルムの有無等により沈み込み量の差が変わる。この沈み込み量の差を補正するため、移植部高さ調節部197を設けている。
【0116】
下げスイッチ198を押すと、移植部高さ調節部197は、補正値(第1補正値S5)を制御装置131に送り、制御装置131は、それに基づいて移植フレーム36を下げる。具体的には、通常では、感知ローラ126と覆土輪62との接地面の差が1cmであるところ、畝が柔らかく覆土輪62の沈み込みが大きく(揺動フレーム164が揺動範囲の下方にずれており)、接地面の差が大きい、例えば、接地面の差が1.5cmであるとすると、下げスイッチ199(「低く」)を押して移植フレーム36を0.5cm下げて(感知ローラを0.5cm上げ)、揺動フレーム164が揺動範囲の中央になるように修正する。
【0117】
また、上げスイッチ198を押すと、移植部高さ調節部197は、補正値(第2補正値S6)を制御装置131に送り、制御装置131は、それに基づいて移植フレーム36を上げる。具体的には、畝が硬い場合やマルチフィルムがある場合は感知ローラ126と覆土輪62の接地面高さの差が少なく、揺動フレーム164が揺動範囲の上側にずれるため、上げスイッチ198(「高く」)を押して移植フレーム36を上げる。
【0118】
なお、上げスイッチ198及び下げスイッチ199は、例えば、押すごとに、所定の寸法単位で数値を変更することができるようにしてもよい。また、植付深さ調節で覆土輪62が2cm狙いなら、感知ローラ126は覆土輪62より1cm高い3cmを狙う。即ち、感知ローラ126の検出値が+1cm(4cm)になると移植フレーム36を上げ、-1cm(2cm)になると移植フレーム36を下げる。また、上げスイッチ198を押して移植フレーム高さを0.5cm「高く」すると感知ローラ126は覆土輪62より(1-0.5=)0.5cm高い2.5cmを目標に制御する(感知ローラ高さ目標値は低くなるが逆に移植フレーム高さは高くなる。)。 即ち、感知ローラ126の検出値が+1cm(3.5cm)になると移植フレーム36を上げ、-1cm(1.5cm)になると移植フレーム36を下げる。また、下げスイッチ198を押して移植フレーム高さを0.5cm「低く」すると感知ローラ126は覆土輪62より(1+0.5=)1.5cm高い3.5cmを目標に制御する。即ち、感知ローラ126の検出値が+1cm(4.5cm)になると移植フレーム36を上げ、-1cm(2.5cm)になると移植フレーム36を下げる。
【0119】
ここで、
図33、
図34を参照して、第1植付昇降機構167R及び第2植付昇降機構167Lを説明する。第1植付昇降機構167Rと第2植付昇降機構167Lとは、左右対称で同様の構造で形成されているので、第1植付昇降機構167Rと第2植付昇降機構167Lとを纏めて説明する。
図33、
図34に示すように、植付昇降機構167は、第1回転ケース201と、第2回転ケース202と、支持板121とを有する。第1回転ケース201は、第1側枠部164Aに第1支軸205を介して回転自在に支持されている。詳しくは、第1側枠部164Aに設けられたブラケット部材169に軸受部材204を設け、この軸受部材204に第1支軸205を回転可能に支持し、第1支軸205に第1回転ケース201が支持されている。支軸205には、スプロケット203が一体回転可能に取り付けられている。
図28に示すように、スプロケット203には、植付駆動軸165に一体回転可能に取り付けられたスプロケット207から動力が伝達される。
【0120】
図33、
図34に示すように、第2回転ケース202は、第1回転ケース201の遊端側に第2支軸206回りに回転自在に支持されている。支持板121は、第2回転ケース202に支持されている。詳しくは、支持板121の上部に枢支軸208を介して軸受部材209を設け、この軸受部材209から下方に突出するプレート部材210の下端側に軸受部材211を固定し、この軸受部材211に第2回転ケース202に設けられた第3支軸215が支持されている。支持板121に植付体12が支持されている。詳しくは、植付体12は、前構成体12Aと後構成体12Bとを有し、前構成体12Aの上部前側が支持板121に設けられた枢軸212A回りに回転可能に支持され、後構成体12B上部後側が支持板121に設けられた枢軸212B回りに回転可能に支持されている。
【0121】
植付昇降機構167は、第1支軸205に伝達される動力によって駆動されて植付体12を昇降させる。詳しくは、
図34に示すように、第1回転ケース201及び第2回転ケース202内には、第1回転ケース201が第1支軸204回りに矢印Y1方向に回転すると、第1回転ケース201の回転に連動して第2回転ケース202が第1回転ケース201とは逆方向(矢印Y2方向)に回転するように動力伝達装置が設けられている。第1回転ケース201及び第2回転ケース202が回転することにより、支持板121が前後に移動しながら上下に平行移動して、植付体12が楕円状の軌跡を描いて上下運動(昇降)する。
【0122】
図34に示すように、植付体12は、植付昇降機構167(第2回転ケース202)の側方に設けられている。詳しくは、植付体12は、側面視で第2回転ケース202とオーバーラップする位置に設けられている。これにより、植付装置(植付体12及び植付昇降機構167)をコンパクトに構成することができ、
図33に示すように、植付体12を苗載せ台9との干渉を防止しながら苗載せ台9に近づけることができる。
【0123】
植付体12を植付昇降機構167の側方にオーバーラップして配置すると、苗7を植付体12に投入する際に、植付昇降機構167に苗7の根鉢から土がかかる場合がある。そこで、
図35、
図36に示すように、支持板121の上部には、カバー部材213が設けられている。カバー部材213は、軸受部材209、軸受部材211、枢軸212Aを支持する軸受部材216A及び枢軸212Bを支持する軸受部材216Bを覆う第1カバー部213Aと、支持板121と植付体12との間を上方から覆う第2カバー部213Bとを有する。
【0124】
図35、
図36に示すように、第1カバー部214Aの植付体12側の側面214aに、灌水パイプ120が設けられている。詳しくは、側面にパイプステー214が取り付けられ、パイプステー214に灌水パイプ120が固定されている。したがって、灌水パイプ120は、カバー部材213及びパイプステー214を介して支持板121に設けられている。
【0125】
図37に示すように、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとは、機体幅方向K2で並べて配置されてメインフレーム37に搭載されている。第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとは、メインフレーム37のレール部材(第1レール56、第2レール58)に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。
図38に示すように、反転ガイド13は、苗載せ台9の下部の機体幅方向K2中央部、右側及び左側に設けられ、苗載せ台9の下部に設けられた支持杆217に取り付けられている。空トレイガイド14は、苗載せ台9の機体外方側に配置された第1杆部14Aと、苗載せ台9の機体内方側に配置された第2杆部14Bと、第1杆部14Aと第2杆部14Bの上部同士を連結する連結杆部14Cとを有する。苗載せ台9の下部には、右側に設けられた第1収容部218と、左側に設けられた第2収容部219とを有する。
【0126】
図39、
図40に示すように、第1苗載せ台9Rは、第1ホルダ部材221Rを有する。第1ホルダ部材221Rは、上ホルダ222Rと、上ホルダ222Rの下方側に設けられた下ホルダ223Rとを有する。上ホルダ222Rは、第1収容部218に取り付けられる第1ステー224Rと、第2収容部219に取り付けられる第2ステー225Rと、第1ステー224Rと第2ステー225Rとを連結する連結ステー226Rとを有する。連結ステー226Rの機体内方側(左側)には、第1ステー板227Rが固定されている。連結ステー226Rには、連結ブラケット228が固定されている(
図46参照)。連結ブラケット228は、第1ステー板227Rの機体外方側に配置されていて第1ステー板227Rにも固定されている。第1苗載せ台9Rの下部には、機体幅方向K2に延伸する作動軸229が機体幅方向K2にわたって且つ回転可能に設けられている。作動軸229の機体外方側は、第1収容部218よりも外方に大きく突出している。作動軸229には、機体幅方向K2で間隔をあけて配置された2つのホロワ230が取り付けられている。
【0127】
下ホルダ223Rは、第1収容部218に取り付けられる第1ステー231Rと、第2収容部219に取り付けられる第2ステー232Rと、第1ステー231Rと第2ステー232Rとを連結する連結ステー233Rとを有する。
連結ステー226R及び連結ステー233Rには、複数の第1ローラ234Rが回転可能に取り付けられている。連結ステー226Rに取り付けられた第1ローラ234Rは、第1レール56に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。連結ステー233Rに取り付けられた第1ローラ234Rは、第2レール58に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。
【0128】
図39、
図40に示すように、第2苗載せ台9Lは、第2ホルダ部材221Lを有する。第2ホルダ部材221Lは、上ホルダ222Lと、上ホルダ222Lの下方側に設けられた下ホルダ223Lとを有する。上ホルダ222Lは、第1収容部218に取り付けられる第1ステー224Lと、第2収容部219に取り付けられる第2ステー225Lと、第1ステー224Lと第2ステー225Lとを連結する連結ステー226Lとを有する。連結ステー226Lの機体内方側(右側)には、第2ステー板227Lが固定されている。下ホルダ223Lは、第1収容部218に取り付けられる第1ステー231Lと、第2収容部219に取り付けられる第2ステー232Lと、第1ステー231Lと第2ステー232Lとを連結する連結ステー233Lとを有する。
【0129】
連結ステー226L及び連結ステー233Lには、複数の第2ローラ234Lが回転可能に取り付けられている。連結ステー226Lに取り付けられた複数の第2ローラ234Lは、第1レール56に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。連結ステー233Lに取り付けられた複数の第2ローラ234Lは、第2レール58に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。
【0130】
図39に示すように、第1苗載せ台9Rの左部から第2苗載せ台9Lにわたって機体幅方向K2に延伸する連結部材235が設けられている。第1ステー板227は、連結部材235の右部にボルト固定されている。第2ステー板227Lは、連結部材235に機体幅方向K2に位置調節可能にボルト固定されている。
第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとが連結部材235を介して連結されているので、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lは、第1レール56及び第2レール58に沿って機体幅方向K2に一体的に移動する。
【0131】
図39は、条間W1が、一番狭い間隔の場合の第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lの状態を示している。この状態から、第2ステー板227Lの取付位置を変更することで、条間W1の調節に合わせて、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとの機体幅方向K2の間隔の調節を行うことができる。
図41は、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lを機体幅方向K2にポット部8aの一ピッチ分間欠的に横送りする横送り機構236を示している。横送り機構236は、第1苗載せ台9Rの下方に配置された横送り軸237を有する。横送り軸237は、機体幅方向K2に延伸して配置され、第1ユニットフレーム38Rに固定された支持体238に支持されている。支持体238は、第1ユニットフレーム38Rのフレーム本体64に設けられている。支持体238は、フレーム本体64に取り付けられた第1ブラケット238Aと、第1ブラケット238Aに固定された第2ブラケット238Bと、第2ブラケット238Bの右端側に固定された第3ブラケット238Cと、第2ブラケット238B及び第3ブラケット238Cに固定されたギヤボックス238Dと、第2ブラケット238Bのギヤボックス238Dとは反対側に設けられた第4ブラケット238Eとを有する。横送り軸237は、ギヤボックス238Dと第4ブラケット238Eとにわたって設けられている。第3ブラケット238Cの下部には、駆動主軸71と一体回転可能で且つ軸心方向に移動可能な第1伝動スプロケット239が設けられている。第1伝動スプロケット239は、第2ブラケット238Bに設けられた第2伝動スプロケット240に動力を伝達可能である。第2伝動スプロケット240に伝達された動力は、該第2伝動スプロケット240に一体回転可能に設けられた入力軸からギヤボックス238D内の伝動機構を介して横送り軸237に伝達される。
【0132】
横送り軸237には、軸方向に往復する螺旋溝(いわゆるトラバース溝)237aを外周面に形成したナピヤねじが用いられている。横送り軸237には、トラバース溝237aに係合する係合部241aを備えた摺動体241が嵌められている。摺動体241には、連結軸242が設けられ、該連結軸242は、第1苗載せ台9Rの第1ホルダ部材221Rに設けられた連結ブラケット228に連結されている。横送り軸237には、一端側及び他端側に、縦送りカム(操作体)243が固定されている。
【0133】
横送り軸237が回転すると、トラバース溝237aに沿って係合部241aが案内されて摺動体241を機体幅方向K2に往復移動する。これにより、第1苗載せ台9Rを機体幅方向K2に往復移動可能とされている。また、第1苗載せ台9Rに連結部材235を介して第2苗載せ台9Lが連結されていることから第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとが一体的に機体幅方向K2に往復移動可能である。
【0134】
条間W1の調節をする場合、第1苗載せ台9Rと第1ユニットフレーム38R(第1移植ユニット63R)とは、横送り機構236を介して連結され且つ第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとは、連結部材235で連結されていることから、第1苗載せ台9R、第2苗載せ台9L及び第1移植ユニット63Rは、機体幅方向K2に一体的に位置調節される。第2移植ユニット63Lは、第1移植ユニット63Rとは別に、位置調節される。第1移植ユニット63Rと第2移植ユニット63Lとを機体幅方向K2に調整した後に、第2苗載せ台9Lを、調節した条間W1に合わせて位置調節する。
【0135】
図42は、苗トレイ8を傾斜方向に沿って下方にポット部8aの一ピッチ分縦送りする縦送り機構244と苗取出装置11とを示している。縦送り機構244は、各苗載せ台9の第1収容部218及び第2収容部219の各々に設けられたトレイ送り機構245を有する。トレイ送り機構245は、駆動スプロケット246と、従動スプロケット247と、駆動スプロケット246と従動スプロケット247とにわたって巻掛けられたエンドレスの搬送チェーン248とを有する。搬送チェーン248には、ポット部8a間に嵌る搬送ピン249が長手方向に間隔をあけて設けられている。駆動スプロケット246を、
図42の矢印Y3方向に回転させることにより、搬送チェーン248及び搬送ピン249を介して苗トレイ8が載置板10に沿って下方に(
図42の矢印Y4方向に)縦送りされる。
【0136】
図42に示すように、苗取出装置11は、苗載せ台9の下部後方に配置され、苗取爪250を有している。苗取爪250は、後方からポット部8a内に突入して苗7の根鉢を突き刺し、根鉢を突き刺した状態でポット部8aから後退することで、ポット部8aから苗7を取り出す。苗取爪250は、苗7を取り出した後、苗7の床土(根鉢)が下方の植付体12に向くように姿勢変更し、その後、苗7を放出して植付体12へ投入する。
【0137】
図43~
図45に示すように、縦送り機構244は、トレイ送り機構245を駆動する縦送り駆動機構251を有している。縦送り駆動機構251は、縦送り主軸252を有する。縦送り主軸252は、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとにわたって設けられている。縦送り主軸252には、苗トレイ8を縦送りの方向Y4(縦送り方向という)に送る縦送り動力が伝達される。また、縦送り駆動機構251は、第1苗載せ台9Rに設けられていて第1苗載せ台9Rに載置された苗トレイ8を縦送り方向(縦方向)Y4に送る第1縦送り作動軸253Rと、第2苗載せ台9Lに設けられていて第2苗載せ台9Lに載置された苗トレイ8を縦送り方向(縦方向)Y4に送る第2縦送り作動軸253Lとを有する。第1縦送り作動軸253R及び第2縦送り作動軸253Lは、筒状に形成されていて、縦送り主軸252の外側に、軸心回りに相対回転可能に嵌められている。
【0138】
図44に示すように、縦送り主軸252は、縦送り動力が伝達される回転体255と、回転体255に固定され且つ第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとにわたって設けられる軸体256とを有する。軸体256(縦送り主軸252)は、第2苗載せ台9Lから第1苗載せ台9Rとは反対側に突出する延長軸部256aを有する。軸体256は、第1苗載せ台9R側の第1軸256Aと、第2苗載せ台9L側の第2軸256Bとを有する。第2軸256Bに延長軸部256aが設けられている。第1軸256Aと第2軸256Bとは、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとの間で結合体257によって結合されている。結合体257は、第1軸256Aに一体回転可能に設けられた第1結合257Aと、第2軸256Bに一体回転可能に設けられた第2結合部257Bとを有する。第1結合257Aと第2結合部257Bとは、フランジ結合等によって結合される。
【0139】
図44に示すように、第1縦送り作動軸253Rは、第1軸256A(軸体256)に相対回転可能に嵌められている。第1縦送り作動軸253Rは、回転体255に隣接する第1入力部258Rを有する第1回転筒259Rと、第1回転筒259Rとは反対側に配置された第2回転筒260Rと、第1回転筒259Rと第2回転筒260Rとを連結する連結筒261Rとを有する。第1回転筒259Rに、第1苗載せ台9Rの第1収容部218内の駆動スプロケット246が一体回転可能に取り付けられている。第2回転筒260Rに、第1苗載せ台9Rの第2収容部219内の駆動スプロケット246が一体回転可能に取り付けられている。したがって、第1苗載せ台9Rの駆動スプロケット246は、第1縦送り作動軸253Rと一体回転する。
【0140】
図44に示すように、第1苗載せ台9Rの機体外方(右方)には、縦送り主軸252から第1縦送り作動軸253Rに動力を断続可能に伝達する第1縦送りクラッチ262Rが配置されている。第1縦送りクラッチ262Rは、第1苗載せ台9Rの第2苗載せ台9Lとは反対側に設けられている。これにより、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとを近接させることができる。第1縦送りクラッチ262Rは、回転体255に設けられた駆動噛合部263と、第1入力部258Rに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められるクラッチ本体264と、クラッチ本体264に設けられていてクラッチ本体264が軸心方向に移動することで駆動噛合部263に係脱する従動噛合部265とを有する。クラッチ本体264を回転体255に近接する方向に移動させて従動噛合部265を駆動噛合部263に噛合することで、第1縦送りクラッチ262Rが接続状態となり、駆動主軸71から第1縦送り作動軸253Rに動力が伝達されて、第1苗載せ台9Rの苗トレイ8が縦送り可能となる。また、クラッチ本体264を回転体255から離反する方向に移動させて従動噛合部265を駆動噛合部263から離反させることで、駆動主軸71から第1縦送り作動軸253Rに動力が伝達されず、第1苗載せ台9Rの苗トレイ8が縦送りできない状態(第1縦送りクラッチ262Rが切断状態)となる。
【0141】
第1苗載せ台9Rの右方には、第1縦送りクラッチ262Rを操作する第1クラッチ操作機構266Rが設けられている。第1クラッチ操作機構266Rは、操作レバー267と、クラッチフォーク268と、戻しバネ269とを有する。操作レバー267は、第1苗載せ台9Rに上下揺動可能に枢支されている。クラッチフォーク268は、クラッチ本体264に係合し且つ操作レバー267に連結されている。戻しバネ269は、操作レバー267を上方に引き上げる方向に付勢している。操作レバー267が引き上げられた状態で、第1縦送りクラッチ262Rが接続状態となる。操作レバー267を戻しバネ269のバネ力に抗して引き下げると、従動噛合部265が駆動噛合部263から離反する方向にクラッチ本体264が移動し、第1縦送りクラッチ262Rが切断状態となる。なお、操作レバー267は引き下げた状態で保持可能である。
【0142】
図45に示すように、第2縦送り作動軸253Lは、第2軸256B(軸体256)に相対回転可能に嵌められている。第2縦送り作動軸253Lは、第1苗載せ台9R側(右側)の第1回転筒259Lと、第1回転筒259Lとは反対側に配置された第2回転筒260Lと、第1回転筒259Lと第2回転筒260Lとを連結する連結筒261Lとを有する。第2回転筒260Lは、延長軸部256aに相対回転可能に嵌められた第2入力部258Lを有する。第1回転筒259Lに、第2苗載せ台9Lの第1収容部218内の駆動スプロケット246が一体回転可能に取り付けられている。第2回転筒260Lに、第2苗載せ台9Lの第2収容部219内の駆動スプロケット246が一体回転可能に取り付けられている。したがって、第2苗載せ台9Lの駆動スプロケット246は、第2縦送り作動軸253Lと一体回転する。
【0143】
図45に示すように、第2苗載せ台9Lの機体外方(左方)には、縦送り主軸252から第2縦送り作動軸253Lに動力を断続可能に伝達する第2縦送りクラッチ262Lが配置されている。第2縦送りクラッチ262Lは、回転部271と、回転部271に係脱するクラッチシフタ272とを有する。回転部271は、延長軸部256aに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められる。また、回転部271は、第2苗載せ台9Lに取り付けられていて、第2苗載せ台9Lと一体的に移動する。クラッチシフタ272は、第2入力部258Lに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められる。クラッチシフタ272は、軸心方向に移動することで回転部271に係脱する。
【0144】
回転部271は、駆動噛合部271aを有し、クラッチシフタ272は、駆動噛合部271aに噛合する従動噛合部272aを有する。クラッチシフタ272の従動噛合部272aを駆動噛合部271aに噛合することで、第2縦送りクラッチ262Lが接続状態となり、駆動主軸71から第2縦送り作動軸253Lに動力が伝達されて、第2苗載せ台9Lの苗トレイ8が縦送り可能となる。また、クラッチシフタ272の従動噛合部272aを駆動噛合部271aから離反させることで、駆動主軸71から第2縦送り作動軸253Lに動力が伝達されず、第2苗載せ台9Lの苗トレイ8が縦送りできない状態(第2縦送りクラッチ262Lが切断状態)となる。
【0145】
第2苗載せ台9Lの左方には、第2縦送りクラッチ262Lを操作する第2クラッチ操作機構266Lが設けられている。第2クラッチ操作機構266Lは、操作レバー267と、クラッチフォーク268と、戻しバネ269を有する。操作レバー267は、第2苗載せ台9Lに上下揺動可能に枢支されている。クラッチフォーク268は、クラッチシフタ272に係合すると共に操作レバー267に連結されている。戻しバネ269は、操作レバー267を上方に引き上げる方向に付勢している。操作レバー267が引き上げられた状態で、第2縦送りクラッチ262Lが接続状態となる。操作レバー267を戻しバネ269のバネ力に抗して引き下げると、従動噛合部272aが駆動噛合部271aから離反する方向にクラッチシフタ272が移動し、第2縦送りクラッチ262Lが切断状態となる。なお、操作レバー267は引き下げた状態で保持可能である。
【0146】
以上のように、第1縦送りクラッチ262R及び第2縦送りクラッチ262Lを接続すると、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lに載置した苗トレイ8を縦送りすることができる。これにより、2条植えをすることができる。また、第1縦送りクラッチ262Rを切断すると、第2苗載せ台9Lに載置した苗トレイ8のみを縦送りすることができる。また、第2縦送りクラッチ262Lを切断すると、第1苗載せ台9Rに載置した苗トレイ8のみを縦送りすることができる。これにより、1条植えをすることができる。
【0147】
図44、
図46に示すように、縦送り機構244は、横送り機構236から縦送り駆動機構251に動力を伝達する縦送り作動機構273を有している。縦送り作動機構273は、軸体256の右部に設けられた軸支部274に回転可能に支持された回転筒275と、回転筒275にワンウェイクラッチ276を介して結合された揺動レバー277とを有する。揺動レバー277は、縦送り動力を伝達する方向(
図46の矢印Y5方向)に回転する際にワンウェイクラッチ276を介して回転筒275と同行回転する。また、揺動レバー277は、矢印Y5方向とは逆方向に回転する際には、ワンウェイクラッチ276が空回りして、回転筒275とは同行回転しない。
【0148】
図44、
図46に示すように、縦送り作動機構273は、回転筒275に固定された縦送りギヤ278と、ラチェットアーム279とを有する。
図44に示すように、縦送りギヤ278は、回転体255にボルト固定されていて回転体255と一体回転する。ラチェットアーム279は、第1苗載せ台9Rに揺動可能に枢支されていると共に、縦送りギヤ278の係合歯278aに係合する係合部279aを有している。揺動レバー277は、ラチェットアーム279に係合する係合ピン277aを有している。揺動レバー277が、矢印Y5方向に回転すると、回転筒275と縦送りギヤ278とが一体回転して回転体255を回転させる。これにより、苗トレイ8をポット部8aの縦1ピッチ分だけ縦送りする。このとき、係合ピン277aがラチェットアーム279を押し上げる。すると、係合部279aが縦送りギヤ278の係合歯278aから外れる。苗トレイ8をポット部8aの縦1ピッチ分だけ縦送りした後、揺動レバー277は、矢印Y5方向とは逆の方向に回転して復帰する。揺動レバー277が復帰する際に、ラチェットアーム279に対して係合ピン277aがラチェットアーム279を下げる方向に移動し、係合部279aが縦送りギヤ278の次の係合歯278aに係合する。
【0149】
なお、縦送りギヤ278及びラチェットアーム279は、ポット部8aの数及びポット部8aのピッチの異なる2種類の苗トレイ8に対応して縦送り量を設定できるように2種類設けられている。また、2種類のラチェットアーム279のいずれかを選択して縦送りギヤ278に係合させる選択部材が設けられている。
図46に示すように、揺動レバー277は、連動機構280を介して作動軸229に連動連結されている。第1苗載せ台9Rが横送り軸237の回転によって横送りされて横送り方向の移動域の端部までくると、横送り軸237と一体回転する縦送りカム243がホロワ230に当接し、作動軸229が回転する。作動軸229が回転すると、連動機構280が揺動レバー277を引動し、揺動レバー277を矢印Y5方向に回転させる。縦送りカム243が機体幅方向K2に移動してホロワ230から外れると、揺動レバー277が図示省略の復帰バネによって、矢印Y5方向とは逆の方向に回転して復帰する。
【0150】
図38に示すように、苗載せ台9の下部には、苗トレイ8の補給時期を検出する苗切れセンサ281が設けられている。苗切れセンサ281が作動した状態で、載置板10には、2枚の苗トレイ8が補給可能である。
最下位の苗トレイ8(苗7が取り出される苗トレイ8)には、その上方側の苗トレイ8のポット部8a内の土及び土に含まれる水分等の荷重がかかる。そして、最下位の苗トレイ8の上方の苗トレイ8の荷重によって、最下位の苗トレイ8が湾曲する虞がある。そこで、本実施形態においては、苗載せ台9に、苗トレイ8が縦送り方向Y4に移動するのを抑制するトレイ押さえ機構282が設けられている。トレイ押さえ機構282によって苗トレイ8の縦送り方向Y4の移動を抑制することで、最下位の苗トレイ8に荷重がかかるのを抑制でき、最下位の苗トレイ8の湾曲を防止することができる。したがって、トレイ押さえ機構282は、最下位の苗トレイ8の上方側に位置する苗トレイ8が縦送り方向Y4に移動するのを抑制する。また、トレイ押さえ機構282は、縦送り機構244に対して縦送り方向Y4の後方側に配置されている。これにより、トレイ押さえ機構282を、縦送り機構244とオーバーラップすることなく、良好に組み付けることができる。
【0151】
本実施形態では、トレイ押さえ機構282は、複数設けられている。複数のトレイ押さえ機構282は、最下位の苗トレイ8の上方の苗トレイ8の縦送り方向の移動を抑制する第1トレイ押さえ機構282Aと、最上位の苗トレイ8の縦送り方向Y4の移動を抑制する第2トレイ押さえ機構282Bとを含む。また、各トレイ押さえ機構282は、苗トレイ8の一方の側面の側に配置された第1押さえ機構283と、苗トレイ8の他方の側面の側に配置された第2押さえ機構284とを含む。
【0152】
第1トレイ押さえ機構282Aと第2トレイ押さえ機構282Bとは、同様の構成で形成されているので、纏めて説明する。また、第1押さえ機構283と第2押さえ機構284とは、一部の構成を除いて同じ構成で形成されているので、共通の部分は、第1押さえ機構283と第2押さえ機構284とを纏めて説明する。
図47は、第2押さえ機構284の平面図を示している。
図48は、第2押さえ機構284の側面図を示している。縦送り方向Y4の前方(前部)とは、
図47の矢印Y4方向であり、縦送り方向Y4の後方(後部)とは、矢印Y4方向とは逆の方向である。
【0153】
図47、
図48に示すように、第2押さえ機構284(第1押さえ機構283)は、ベース部材286と、枢軸287と、回動筒288と、付勢部材289と、押圧部材290と、規制杆291とを有する。
ベース部材286は、苗載せ台9(載置板10)に取り付けられている。詳しくは、ベース部材286は、板材から形成され、載置板10の機体幅方向K2の端部側にボルト等によって取り付けられた取付壁286aと、取付壁286aの端部(苗トレイ8側の端部)から載置板10の法線方向に延出する立上り壁286bとを有する。枢軸287は、ベース部材286の縦送り方向Y4の後部(上部)に配置されていて、取付壁286aに、該取付壁286aの法線方向に突出状に固定されている。回動筒288は、枢軸287の外側に軸心回りに回転可能に嵌められている(支持されている)。
【0154】
付勢部材289は、引張りコイルバネによって形成されている。付勢部材289の一端は、回動筒288に固定されたバネ掛け部材292に係止されている。バネ掛け部材292は、回動筒288から苗トレイ8とは反対側に突出している。言い換えると、バネ掛け部材292は、苗載せ台9の機体幅方向K2の中央から機体幅方向K2に離れる方向に回動筒288から突出している。バネ掛け部材292には、付勢部材289の一端を引っ掛けるバネ掛け穴293が複数設けられており、付勢部材289の一端の係止位置を変更することができる。これにより、付勢力を変更することができる。バネ掛け部材292の他端側は、ベース部材286に立設された支持プレート294に係止されている。支持プレート294は、ベース部材286の縦送り方向Y4の前部(下部)に設けられている。
【0155】
図49、
図50に示すように、第1押さえ機構283のバネ掛け部材292Aは、枢軸287の基部側で回動筒288に固定されている。
図49、
図51に示すように、第2押さえ機構284のバネ掛け部材292Bは、枢軸287の先端側で回動筒288に固定されている。したがって、バネ掛け部材292Aは、バネ掛け部材292Bの下方側に配置されている。これにより、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとを近づけることができる。
【0156】
図48~
図51に示すように、支持プレート294は、上下に2つのバネ掛け穴(係止部)295A、295Bを有している。付勢部材289の一端側を第1押さえ機構283のバネ掛け部材292Aに引っ掛ける場合は、付勢部材289の他端側を下側のバネ掛け穴295Aに引っ掛ける。また、付勢部材289の一端側を第2押さえ機構284のバネ掛け部材292Bに引っ掛ける場合は、付勢部材289の他端側を上側のバネ掛け穴295Bに引っ掛ける。
【0157】
図47、
図48に示すように、押圧部材290は、基端側の固定部290aと、中途部の当接部290b及び連結部290cと、先端側の先端側部位290dとを有する。固定部290aは、回動筒288に固定されている。当接部290bは、固定部290aに対して縦送り方向Y4の前方側に離れて形成されている。当接部290bは、直線状に形成されていて苗トレイ8に当接する。詳しくは、当接部290bは、複数のポット部8aの側面に当接する。つまり、押圧部材290は、苗トレイ8の側面に当接する。押圧部材290を苗トレイ8の正面(上面壁8b)に当接させてもよいが、そうすると、押圧部材290で苗7の葉を挟む虞がある。押圧部材290を苗トレイ8の側面に当接させることで、押圧部材290で苗7の葉を挟むのを防止することができる。
【0158】
図47に示すように、連結部290cは、固定部290aと当接部290bとを連結している。連結部290cは、固定部290aから縦送り方向Y4に向かうにつれて苗トレイ8に近づく方向(苗載せ台9の機体幅方向K2の中央に向かう方向)に移行する傾斜状に形成されている。これにより、苗トレイ8を当接部290bへ良好に案内することができる。
【0159】
先端側部位290dは、当接部290bに対して傾斜状に形成されている。詳しくは、先端側部位290dは、当接部290bの先端側の端部から縦送り方向Y4に向かうにつれて苗トレイ8から離れる方向(苗載せ台9の機体幅方向K2の中央から機体幅方向K2に離れる方向)に移行する傾斜状に形成されている。
付勢部材289の付勢力は、押圧部材290を枢軸287回りに苗トレイ8に近づく方向に付勢している。これにより、押圧部材290は、付勢部材289に付勢されて苗トレイ8を押圧する。押圧部材290が苗トレイ8を押圧することで、苗トレイ8が縦送り方向Y4に移動するのを抑制することができる。苗トレイ8は、押圧部材290と苗トレイ8の側面との間の摩擦力によって縦送り方向Y4の移動が抑制されるが、この摩擦力(付勢部材289の付勢力)は、苗トレイ8の縦送り方向Y4の移動は抑制するが、水分を含んだ床土を有する苗トレイ8の自重による縦送り方向Y4の移動は停止させない力に設定される。
【0160】
図47、
図48に示すように、規制杆291は、ベース部材286に固定されている。規制杆291は、第1規制部296を有する。第1規制部296は、規制杆291の縦送り方向Y4の中途部に位置している。第1規制部296は、直線状に形成され、苗トレイ8の側縁部の上面側に位置して苗トレイ8の上方移動を規制する。第1規制部296は、支持プレート294の上部に固定されている。
【0161】
規制杆291の後部297は、第1規制部296の縦送り方向Y4後端から縦送り方向Y4の後方に向かうにつれて苗トレイ8から離れる方向に移行する傾斜方向に延出する第1部位297aと、第1部位297aの縦送り方向Y4の後端から下方に延出されていてベース部材286の取付壁286aに固定された第2部位297bとを有する。
規制杆291は、押圧部材290が苗トレイ8を押圧しないときに押圧部材290の枢軸287回りの回動を規制する第2規制部298を有する。第2規制部298は、規制杆291の前部で構成されている。第2規制部298は、第1規制部296の縦送り方向Y4前端から縦送り方向Y4に向かうにつれて苗トレイ8から離れる方向に移行する傾斜方向に延出する第1部位298aと、第1部位298aから下方に延出されていて押圧部材290の先端側部位290dが当接可能な第2部位298bとを有する。
【0162】
苗トレイ8が押圧部材290を通り過ぎると、押圧部材290は、枢軸287回りに載置板10の機体幅方向K2の中央側に回動するが、このとき、第2規制部298に押圧部材290の先端側部位290dが当接することで、押圧部材290の回動を規制することができる。これにより、押圧部材290が載置板10の中央側に入り込んで、苗トレイ8の補給の妨げになるのを抑制することができる。また、苗トレイ8を補給する際に、機体幅方向K2で対向する押圧部材290の間隔を広げる手間もいらない。
【0163】
図52に示すように、本実施形態の移植機1は、メインフレーム37の前下部に均し板299が取り付け可能である。均し板299は、植付体12の前方に配置されていて圃場6の植付面300を均す。第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lは、均し板299の後方に配置される。
例えば、ロータリ耕耘機等で耕耘したままの平畝にあっては、隣接する耕耘跡と耕耘跡との間(合わせ目)が盛り上がっている。この合わせ目に苗7を植え付けると苗7が埋まる。そこで、移植機1に、均し板299が取り付け可能とされている。均し板299で植付け前の植付面300を均すことで、隣接する耕耘跡と耕耘跡との間を均すことができ、苗7を良好に植え付けることができる。
【0164】
図53に示すように、均し板299は、均し板本体301と、取付部302とを有する。均し板本体301は、第1板303と、第2板304とを有する。第1板303は、均し板本体301の主板を構成し、弾性を有する樹脂製の板材によって形成されている。第1板303は、本実施形態では、右側の第1樹脂板303Rと、左側の第2樹脂板303Lとで形成されている。なお、第1板303は、一枚の板材によって形成されていてもよい。
【0165】
第2板304は、均し板本体301の補強板を構成し、金属の板材によって形成されている。第2板304は、本実施形態では、一枚の板材によって形成されている。なお、第2板304は、分割状に形成されていてもよい。第2板304は、本体板部304aと、延出板部304bとを有している。本体板部304aは、機体幅方向K2に長い長方形状の平板状に形成されている。延出板部304bは、本体板部304aの下端から延出している。詳しくは、延出板部304bは、本体板部304aの下端から本体板部304aの法線方向で且つ下向きに延出している。
【0166】
第1板303は、第2板304の本体板部304aの下面に重ね合わされて取り付けられた取付板部303aと、本体板部304aと延出板部304bとのコーナ部の下面側に位置する湾曲部303bと、湾曲部303bの下端から延出された下端側部位(接地部位)303cとを有する。取付板部303aは、本体板部304aの上部にボルト306A及びナット306Bによって取り付けられている。詳しくは、取付板部303aの下面側に機体幅方向K2にわたって帯板材305が設けられ、ボルト306Aを下方から帯板材305、第1板303及び第2板304に挿通し、該ボルト306Aの上部にナット306Bをねじ込むことにより、第1板303が第2板304に取り付けられている。
【0167】
湾曲部303bは、本体板部304aの下端部から延出板部304bの下端にかけて設けられており、後方に向けて凸となる湾曲状に形成されている。下端側部位303cは、延出板部304bの下端から突出している。詳しくは、下端側部位303cは、本体板部304aに対して傾斜状であって、先端部303dは、本体板部304aの下面の延長線r1上に位置している。
【0168】
図54に示すように、取付部302は、第2板304の上部であって、第1板303の取付部分(ボルト306A、ナット306B)よりも上方に設けられている。
図53に示すように、取付部302は、複数設けられている。複数の取付部302は、第2板304の右側に設けられた第1取付部302Rと、第2板304の左側に設けられた第2取付部302Lとを含む。
【0169】
図54、
図55に示すように、取付部302は、第2フレーム40に固定されたブラケット部材307に取り付けられている。ブラケット部材307は、第2フレーム40の前面に固定された固定壁部307aと、固定壁部307aの機体外方側端部から前方側に突出する第1壁部307bと、固定壁部307aの機体内方側端部から前方側に突出する第2壁部307cとを有している。第2壁部307cは、上部に延設部307dを有する。延設部307dに第1ピン308が取り付けられている。ブラケット部材307の前側に均し板299の上部が配置され、均し板299の上部に設けられた取付部302がブラケット部材307に取り付けられる。
【0170】
取付部302は、第2板304に固定された基壁302aと、基壁302aの機体外方側端部からブラケット部材307に向けて延出された第1側壁302bと、基壁302aの機体内方側端部からブラケット部材307に向けて延出された第2側壁302cとを有している。第1側壁302bは、上部に延長部302dを有する。延長部302dに第2ピン309が取り付けられている。第1側壁302bは、第1壁部307bの機体外方に配置されている。第2側壁302cは、第2壁部307cの機体内方に配置されている。
【0171】
図55に示すように、取付部302は、第1側壁302b、第1壁部307b、第2壁部307c及び第2側壁302cを貫通する取付ピン310によってブラケット部材307に機体幅方向K2に延伸する軸心回りに回転可能に取り付けられている。これにより、ブラケット部材307に均し板299が上下揺動可能に支持されている。
取付部302は、均し板本体301を下方(接地側)に付勢する付勢バネ311を有する。付勢バネ311は、捩りコイルバネによって形成され、コイル部311aは、第1壁部307bと第2壁部307cとの間で取付ピン310の外側に嵌められている。付勢バネ311の一端側311bは、第1ピン308に引っ掛けられている。付勢バネ311の他端側311cは、第2ピン309に引っ掛けられている。
【0172】
図53において、符号W1aは、最小条間を示し、符号W1bは、最大条間を示している。符号W2は、均し板299(均し板本体301)の機体幅方向K2の幅を示している。符号W3は、条間W1を最大条W1b間にしたときにおける、第1植付体12Rと第2植付体12Lとの機体幅方向K2の外端間の距離を示している。符号W4は、条間W1を最大条間W1aにしたときにおける、第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの機体幅方向K2の外端間の距離を示している。
【0173】
図53に示すように、幅W2は、距離W3よりも広い幅に形成されている。また、幅W2は、距離W4よりも広い幅に形成されている。
以上のように、均し板299は、条間調節に対応した幅W2に形成され、条間調節をしても均し板299の位置を変更する必要はない。
上記した本実施形態の移植機1は、少なくとも一つの苗トレイ8を下方に傾斜させた状態で載置する載置板10と、載置板10に沿って苗トレイ8を下方に縦送りする縦送り機構244と、苗トレイ8が縦送りの方向Y4に移動するのを抑制するトレイ押さえ機構282と、を備え、トレイ押さえ機構282は、付勢部材289と、付勢部材289に付勢されて苗トレイ8を押圧する押圧部材290とを有する。
【0174】
この構成によれば、付勢部材289に付勢されて苗トレイ8を押圧する押圧部材290によって苗トレイ8が縦送りの方向Y4に移動するのを抑制することができる。これにより、苗トレイ8の湾曲を抑制することができる。
また、押圧部材290は、苗トレイ8の側面を押圧する。
この構成によれば、苗トレイ8の側面を押圧することで、押圧部材290で苗7が挟まれるのを防止できる。
【0175】
また、トレイ押さえ機構282は、縦送り機構244に対して縦送りの方向Y4の後方側に配置されている。
この構成によれば、トレイ押さえ機構282が縦送り機構244とオーバーラップすることがなく、トレイ押さえ機構282を良好に取り付けることができる。
また、トレイ押さえ機構282は、載置板10に取り付けられるベース部材286と、ベース部材286に固定された枢軸287と、枢軸287に回動可能に支持された回動筒288とを有し、押圧部材290は、回動筒288に固定された固定部290aと、苗トレイ8に当接する当接部290bと、固定部290aと当接部290bとを連結する連結部290cとを有する。
【0176】
この構成によれば、ベース部材286に押圧部材290を組み付けた状態で載置板10に取り付けることができ、組付けの容易化を図ることができる。
また、枢軸287及び回動筒288は、押圧部材290の縦送りの方向Y4の後部側に配置され、連結部290cは、固定部290aから縦送りの方向Y4に向かうにつれて苗トレイ8に近づく方向に移行する傾斜状に形成されている。
【0177】
この構成によれば、苗トレイ8を当接部290bにスムーズに案内することができる。
また、トレイ押さえ機構282は、ベース部材286に固定された規制杆291を有し、規制杆291は、苗トレイ8の側縁部の上面側に位置して苗トレイ8の上方移動を規制する第1規制部296と、押圧部材290が苗トレイ8を押圧しないときに押圧部材290の枢軸287回りの回動を規制する第2規制部298とを有する。
【0178】
この構成によれば、第1規制部296によって苗トレイ8の浮き上がりを防止することができる。また、苗トレイ8が押圧部材290を通り過ぎた際に、押圧部材290が載置板10の機体幅方向K2の中央部側に揺動するのを第2規制部298によって規制することができる。これにより、押圧部材290が苗トレイ8の補給の妨げになるのを抑制することができる。
【0179】
また、トレイ押さえ機構282は、ベース部材286に立設されていて規制杆291を支持する支持プレート294と、回動筒288に固定されたバネ掛け部材292とを有し、付勢部材289は、一端部がバネ掛け部材292に係止される引張りコイルバネによって形成され、支持プレート294は、引張りコイルバネの他端部を係止する係止部295A、295Bを有する。
【0180】
この構成によれば、ベース部材286に、規制杆291及び付勢部材289を組み付けた状態で載置板10に取り付けることができ、組付けの容易化を図ることができる。
また、苗トレイ8から苗7を取り出す苗取出装置11を備え、載置板10は、複数の苗トレイ8を傾斜方向に沿って上下に並べて載置可能であり、苗取出装置11は、載置板10に載置された複数の苗トレイ8のうちの最下位の苗トレイ8から苗7を取り出し可能であり、トレイ押さえ機構282は、最下位の苗トレイ8の上方側に位置する苗トレイ8が縦送りの方向Y4に移動するのを抑制する。
【0181】
この構成によれば、苗7が取り出される苗トレイ8に、該苗トレイ8の上方側の苗トレイ8からの荷重がかかるのを抑制することができ、苗7が取り出される苗トレイ8の湾曲を抑制することができる。
また、トレイ押さえ機構282は、付勢部材289と押圧部材290とを含む第1押さえ機構283及び第2押さえ機構284を有し、第1押さえ機構283は、苗トレイ8の一方の側面の側に配置され、第2押さえ機構284は、苗トレイ8の他方の側面の側に配置されている。
【0182】
この構成によれば、苗トレイ8を機体幅方向K2の両側から押さえることにより、苗トレイ8の縦送りの方向Y4の移動を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の移植機1は、上下に往復移動し且つ下降時に圃場6に突入して苗7を植え付ける複数の植付体12を有する植付作業機4と、植付作業機4の前方に配置された走行体5と、走行体5に植付作業機4を機体前後方向K1に延伸するローリング軸心X1回りに揺動可能に装着する作業機装着装置123と、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング機構135と、を備え、複数の植付体12は、機体幅方向K2で並べて配置される第1植付体12R及び第2植付体12Lを含み、ローリング機構135は、圃場6の植付面に対する第1植付体12Rの第1高さH1と、植付面に対する第2植付体12Lの第2高さH2を所定の高さにすべく、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
【0183】
この構成によれば、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させることにより、植付面に対する第1植付体12Rの高さと、植付面に対する第2植付体12Lの高さを所定の高さにすることができる。これにより、第1植付体12Rで植え付けられる苗7の植付け深さと、第2植付体12Lで植え付けられる苗7の植付け深さとを一致させることができる。
【0184】
また、ローリング機構135を制御する制御装置131を備え、制御装置131は、苗7の植え付け時に第1高さH1と第2高さH2との高さの差が所定以上である場合に、高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
この構成によれば、植付作業機4が敏感に動作するのを抑制することができ、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング制御を安定的に行うことができる。
【0185】
また、植付作業機4は、第1植付体12Rの前方に配置されていて第1植付体12Rに対応する植付面(第1植付面144R)の高さを検出するための第1感知ローラ126Rと、第1植付体12Rの前方に配置されていて第2植付体12Lに対応する植付面(第2植付面144L)の高さを検出するための第2感知ローラ126Lとを有し、制御装置131は、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lによって検出される検出値に基づいて、高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
【0186】
この構成によれば、第1感知ローラ126Rによって第1植付体12Rに対応する植付面の高さを検出し、第2感知ローラ126Lによって第2植付体12Lに対応する植付面の高さを検出することで、第1高さH1と第2高さH2とを容易に検出することができる。
また、作業機装着装置123は、植付作業機4を昇降する作業機昇降機構125を有し、制御装置131は、第1感知ローラ126R又は第2感知ローラ126Lうちの一方の感知ローラによって検出される圃場6の凹凸に基づいて植付作業機4を昇降させ、一方の感知ローラに対する他方の感知ローラの高さによって高さの差を算出する。
【0187】
この構成によれば、一方の感知ローラによって検出される圃場6の凹凸に基づいて植付作業機4を昇降させることにより、植付作業機4の昇降制御を安定的に行うことができる。また、一方の感知ローラを基準にして第1高さH1と第2高さH2との高さの差を算出することにより、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング制御を安定的に行うことができる。
【0188】
また、高さの差が所定未満である場合は、植付作業機4のローリング軸心X1回りの自由揺動で高さの差が吸収され、制御装置131は、高さの差が所定以上になるとローリング機構135を作動させる。
この構成によれば、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング制御を安定的に行うことができる。
【0189】
また、植付作業機4は、第1感知ローラ126Rを上下揺動可能に支持する第1ローラブラケット146Rと、第1ローラブラケット146Rを下方に付勢する第1付勢バネ147Rと、第1ローラブラケット146Rの揺動量を検出する第1センサ機構156Rと、第2感知ローラ126Lを上下揺動可能に支持する第2ローラブラケット146Lと、第2ローラブラケット146Lを下方に付勢する第2付勢バネ147Lと、第2ローラブラケット146Lの揺動量を検出する第2センサ機構156Lとを備え、第1センサ機構156Rは、第1高さ検出センサ157Rと、一端側が第1高さ検出センサ157Rの検出子に連結され他端側に第1ローラブラケット146R上に当接する当接子161を有し且つ第1ローラブラケット146Rと連動して揺動する第1検出アーム159Rとを有し、第2センサ機構156Lは、第2高さ検出センサ157Lと、一端側が第2高さ検出センサ157Lの検出子に連結され他端側に第2ローラブラケット146L上に当接する当接子161を有し且つ第2ローラブラケット146Lと連動して揺動する第2検出アーム159Lとを有する。
【0190】
この構成によれば、植付面の高さを検出する機構を簡単に構築することができる。
また、ローリング機構135は、作業機装着装置123に取り付けられたローリングモータ136及びローリングモータ136によって回転駆動されるローリングローラ137と、ローリングローラ137に巻掛けられ且つ一端側が植付作業機4の機体幅方向K2の一側に連結されると共に他端側が植付作業機4の機体幅方向K2の他側に連結される索体138とを有する。
【0191】
この構成によれば、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング機構135を簡単に構築することができる。
また、本実施形態の移植機1は、移植フレーム36と、移植フレーム36に対して上下揺動可能に支持される揺動フレーム164と、揺動フレーム164に設けられ且つ圃場6に苗7を植え付ける植付体12と、揺動フレーム164に上下揺動可能に支持されるローラフレーム168と、ローラフレーム168に取り付けられ且つ圃場6に接地する接地ローラ(覆土輪62)と、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔を変更可能に固定し且つ間隔を変更することで苗7の植付深さを調節する植付深さ調節機構172と、を備え、植付深さ調節機構172は、揺動フレーム164に設けられた機構フレーム173と、機構フレーム173に取り付けられたアジャストモータ174及びアジャストモータ174によって駆動される駆動機構175と、駆動機構175とローラフレーム168とを連結し且つ駆動機構175の駆動に連動して上下動するリンク部材176とを有する。
【0192】
この構成によれば、アジャストモータ174によって駆動機構175を駆動してリンク部材176を上下動することで、苗7の植付深さを調節することができる。これにより、苗7の植付深さの調節を容易に行うことができる。
また、駆動機構175は、アジャストモータ174によって駆動される第1ギヤ177と、第1ギヤ177に噛合して回転し且つ回転することでリンク部材176を上下動させる第2ギヤ178とを有している。
【0193】
この構成によれば、駆動機構175を簡単な構造で構成することができる。
また、第1ギヤ177は、ピニオンギヤによって形成され、第2ギヤ178は、セクタギヤによって形成され、セクタギヤは、リンク部材176を連結する連結部178bを有している。
この構成によれば、駆動機構175をさらに簡単に構成することができる。
【0194】
また、移植フレーム36を昇降する作業機昇降機構125と、作業機昇降機構125を制御する制御装置131を備え、制御装置131は、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更に応じて移植フレーム36に対する揺動フレーム164の相対位置を戻す方向に移植フレーム36を昇降する。
この構成によれば、植付け深さの調整に伴って、揺動フレーム164を揺動範囲の中央に戻すことができる。
【0195】
また、植付深さ調節機構172は、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更量を検出して制御装置131にフィードバックする検出部182を有する。
この構成によれば、検出部182によって、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更量を検出して制御装置131にフィードバックすることにより、揺動フレーム164を揺動範囲の中央に正確に戻すことができる。
【0196】
また、駆動機構175は、アジャストモータ174によって駆動される第1ギヤ177と、第1ギヤ177に噛合して回転し且つ回転することでリンク部材176を上下動させる第2ギヤ178とを有し、検出部182は、第2ギヤ178の回転量を検出するポテンショメータである。
この構成によれば、ローラフレーム168と揺動フレーム164との間隔の変更量を検出する機構を容易に構築することができる。
【0197】
また、機構フレーム173は、揺動フレーム164に立設され、アジャストモータ174は、機構フレーム173の上部に取り付けられ、ピニオンギヤは、機構フレーム173の上部に回転可能に取り付けられ、セクタギヤは、下部が機構フレーム173に枢支され、上部にピニオンギヤに噛み合うギヤ部178aを有している。
この構成によれば、駆動機構175の構成を簡素化して構築することができる。
【0198】
また、本実施形態の移植機1は、圃場6に苗7を植え付ける少なくとも一つの植付体12と、植付体12によって植え付けられる苗7の植付深さを調節する植付深さ調節機構172とを有する植付作業機4と、植付作業機4を装着して走行する走行体5と、走行体5に搭載された運転席3と、植付深さ調節機構172を制御する制御装置131と、運転席3の近傍に設けられ、且つ制御装置131に植付深さ調節機構172を操作する操作信号を送る操作部127と、を備えている。
【0199】
この構成によれば、植付深さ調節機構172の操作を運転席3の近傍に設けた操作部127によって行えるので、植付深さの調節を容易に行うことができる。
また、操作部127は、植付深さ調節機構172を操作する植付深さ調節部190を有する。
また、植付深さ調節部190は、回転させることで制御装置131に操作信号を送る回転操作部(操作ダイヤル191)と、回転操作部(操作ダイヤル191)の回転位置を示す指標192とを有する。
【0200】
この構成によれば、植付け深さの調節を回転操作部(操作ダイヤル191)の回転で容易に行える。また、回転操作部(操作ダイヤル191)の回転位置を示す指標192を有しているので、回転操作部(操作ダイヤル191)の操作を容易に行える。
また、回転操作部(操作ダイヤル191)は、一方に回転させることで苗7の植付深さを深くする方向に植付深さ調節機構172を作動させる第1操作信号を制御装置131に送り、他方に回転させることで苗7の植付深さを浅くする方向に植付深さ調節機構172を作動させる第2操作信号を制御装置131に送り、植付深さ調節部190は、回転操作部(操作ダイヤル191)の操作方向を示す深さ表示部193を有する。
【0201】
この構成によれば、回転操作部(操作ダイヤル191)の操作をさらに容易に行える。
また、走行体5に植付作業機4を機体前後方向K1に延伸するローリング軸心X1回りに揺動可能に装着する作業機装着装置123と、制御装置131によって制御されて植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング機構135と、を備え、植付体12は複数設けられ、複数の植付体12は、ローリング軸心X1を挟んで機体幅方向K2に並べて配置される第1植付体12R及び第2植付体12Lを含み、操作部127は、ローリング機構135を操作する角度調節部194を有し、角度調節部194は、ローリング軸心X1回りに植付作業機4の第1植付体12R配置側を下げる第1下げ信号又は第2植付体12L配置側を下げる第2下げ信号を制御装置131に送る。
【0202】
この構成によれば、第1植付体12R及び第2植付体12Lの植付け深さを微調整することができる。詳しくは、同じ高さの畝に対して、第1植付体12Rで植え付けられる苗7と第2植付体12Lで植え付けられる苗7の植付け深さが異なる場合に、角度調節部194によってローリング軸心X1回りに植付作業機4を揺動調節することで、植付け深さを微調整することができる。
【0203】
また、角度調節部194は、第1下げ信号を制御装置131に送る第1スイッチ195と、第2下げ信号を制御装置131に送る第2スイッチ196とを有する。
この構成によれば、植付作業機4の第1植付体12R配置側を下げる操作と第2植付体12L配置側を下げる操作を明確にすることができる。
また、制御装置131によって制御される作業機昇降機構125を備え、植付作業機4は、作業機昇降機構125によって昇降される移植フレーム36と、移植フレーム36に支持されていて圃場6の植付面に追従して上下動して植付面の高さを検出する感知ローラ126と、植付体12が取り付けられ且つ移植フレーム36に上下揺動可能に支持された揺動フレーム164と、接地して揺動フレーム164を支持する覆土輪62とを有し、操作部127は、感知ローラ126と覆土輪62との沈み込み量の差を補正する移植部高さ調整部197を有する。
【0204】
この構成によれば、感知ローラ126と覆土輪62との沈み込み量の差を補正することができる。
また、移植部高さ調整部197は、移植フレーム36を上げる補正値を制御装置131に送るための上げスイッチ198と、移植フレーム36を下げる補正値を制御装置131に送るための下げスイッチ199とを有する。
【0205】
この構成によれば、移植フレーム36を上げる又は下げることにより、感知ローラ126と覆土輪62との沈み込み量を補正することができる。
また、本実施形態の移植機1は、メインフレーム37と、機体幅方向K2で並べて配置されてメインフレーム37に機体幅方向K2に移動可能に支持される第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lと、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとを連結する連結部材235と、第1苗載せ台9Rに載置される苗トレイ8から苗7を取り出す第1苗取出装置11R及び第1苗取出装置11Rで取り出された苗7を圃場6に植え付ける第1植付装置35Rを有する第1移植ユニット63Rと、第2苗載せ台9Lに載置される苗トレイ8から苗7を取り出す第2苗取出装置11L及び第2苗取出装置11Lで取り出された苗7を圃場6に植え付ける第2植付装置35Lを有する第2移植ユニット63Lと、第1移植ユニット63Rに取り付けられていて第1苗載せ台9Rを機体幅方向K2に横送りする横送り機構236と、を備え、第1移植ユニット63Rと第2移植ユニット63Lは、メインフレーム37にそれぞれ独立して機体幅方向K2に位置調節可能に支持され、第1苗載せ台9Rと第1移植ユニット63Rとは、横送り機構236を介して連結されていて機体幅方向K2に一体的に位置調節可能であり、第2苗載せ台9Lは、連結部材235に機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられている。
【0206】
この構成によれば、第1移植ユニット63Rと第2移植ユニット63Lとは、独立して機体幅方向K2に位置調節され、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとは、第1移植ユニット63Rの位置調節に伴って移動する。第2苗載せ台9Lは、第1移植ユニット63Rを位置調節した後に、連結部材235に対して機体幅方向K2に位置調節する。これにより、複雑な連動機構を使わなくても、第1移植ユニット63R及び第1苗載せ台9Rと、第2移植ユニット63L及び第2苗載せ台9Lとの間隔調節を行うことができる。
【0207】
また、第1移植ユニット63R及び第2移植ユニット63Lの前部に機体幅方向K2に延伸して配置されると共にメインフレーム37に支持されていて横送り機構236に動力を伝達する駆動主軸71を備え、第1移植ユニット63Rは、第1苗取出装置11R及び第1植付装置35Rが取り付けられる第1ユニットフレーム38Rを有し、第2移植ユニット63Lは、第2苗取出装置11L及び第2植付装置35Lが取り付けられる第2ユニットフレーム38Lを有し、第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lは、駆動主軸71に機体幅方向K2に移動可能に支持されている。
【0208】
この構成によれば、駆動主軸71を第1ユニットフレーム38R及び第2ユニットフレーム38Lの支持部材として利用することにより、構造の簡素化を図ることができる。
また、メインフレーム37は、第1ユニットフレーム38Rの後方に配置された第1連結プレート61Rと第2ユニットフレーム38Lの後方に配置された第2連結プレート61Lとを有し、第1ユニットフレーム38Rは、第1連結プレート61Rに機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられる第1取付プレート76Rを有し、第2ユニットフレーム38Lは、第2連結プレート61Lに機体幅方向K2に位置調節可能に取り付けられる第2取付プレート76Lを有する。
【0209】
この構成によれば、第1移植ユニット63R及び第1苗載せ台9Rと、第2移植ユニット63L及び第2苗載せ台9Lとの間隔調節構造を簡素化することができる。
また、メインフレーム37は、機体幅方向K2に延伸するレール部材(第1レール56,第2レール58)を有し、第1苗載せ台9Rは、レール部材に機体幅方向K2に移動可能に支持される第1ローラ234Rと、第1ローラ234Rが取り付けられる第1ホルダ部材221Rとを有し、第2苗載せ台9Lは、レール部材に機体幅方向K2に移動可能に支持される第2ローラ234Lと、第2ローラ234Lが取り付けられる第2ホルダ部材221Lとを有し、第1ホルダ部材221Rは、連結部材235に取り付けられる第1ステー板227Rを有し、第2ホルダ部材221Lは、連結部材235に取り付けられる第2ステー板227Lを有する。
【0210】
この構成によれば、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとの間隔調節構造を簡素化することができる。
また、本実施形態の移植機1は、植付作業機4と、植付作業機4を装着して走行する走行体5と、を備え、植付作業機4は、圃場6に苗7を植え付ける少なくとも一つの植付体12と、走行体5に装着されるメインフレーム37と、メインフレーム37の前部に機体幅方向K2に延伸して設けられた回転駆動する駆動主軸71と、駆動主軸71からの動力によって駆動されて苗7に灌水する少なくとも一つの灌水ポンプ82とを有し、駆動主軸71は、機体幅方向K2の端部側に、動力を取り出すための動力取出部80を有し、灌水ポンプ82は、動力取出部80の前方で且つメインフレーム37の機体幅方向K2の端部よりも機体内方に縦向きに配置されている。
【0211】
この構成によれば、灌水ポンプ82を動力取出部80の前方で且つメインフレーム37の機体幅方向K2の端部よりも機体内方に縦向きに配置することにより、灌水ポンプ82が障害物にあたるのを抑制することができる。
また、動力取出部80から灌水ポンプ82に動力を伝達する灌水伝動機構99を備え、灌水ポンプ82は、シリンダ97及びシリンダ97内を往復移動するピストン98を有する往復ポンプによって形成され、灌水伝動機構99は、動力取出部80に取り付けられた第1灌水スプロケット100と、第1灌水スプロケット100の前方に配置されて第1灌水スプロケット100から動力が伝達される第2灌水スプロケット101と、第2灌水スプロケット101と一体回転する少なくとも一つの回転部材102と、一端が回転部材102に回転軸心X2から偏倚した位置に連結されると共に他端がピストン98に連結される少なくとも一つの連結リンク103とを有する。
【0212】
この構成によれば、動力取出部80から灌水ポンプ82に動力を伝達する灌水伝動機構99の構造を簡素化することができる。
また、メインフレーム37は、動力取出部80を支持する支持ブラケット59と、灌水ポンプ82を取り付けるポンプブラケット110とを有し、ポンプブラケット110は、支持ブラケット59に取り付けられる第1部材110Aと、第1部材110Aの上部に固定された第2部材110Bと、第2部材110Bの前部に上方突出状に固定された第3部材110Cと、第3部材110Cの上部に固定された第4部材110Dと、第3部材110Cの下部に固定された第5部材110Eとを有し、灌水ポンプ82は、第3部材110Cの側方に配置されて上部が第4部材110Dに取り付けられ、灌水伝動機構99は、第5部材110Eに機体幅方向K2に延伸する軸心回りに回転可能に支持された灌水駆動軸112を有し、第2灌水スプロケット101及び回転部材102は、灌水駆動軸112に一体回転可能に取り付けられている。
【0213】
この構成によれば、灌水ポンプ82及びポンプブラケット110を、動力取出部80の前方でコンパクトに組み付けることができる。
また、植付体12、灌水ポンプ82、回転部材102及び連結リンク103は、複数設けられ、複数の植付体12は、第1植付体12R及び第2植付体12Lを含み、複数の灌水ポンプ82は、第1植付体12Rに水を供給する第1灌水ポンプ82Rと、第2植付体12Lに水を供給する第2灌水ポンプ82Lとを含み、複数の回転部材102は、第1灌水ポンプ82Rに対応する第1回転部材102Rと、第2灌水ポンプ82Lに対応する第2回転部材102Lとを含み、複数の連結リンク103は、第1回転部材102Rと第1灌水ポンプ82Rのピストン98とを連結する第1連結リンク103Rと、第2回転部材102Lと第2灌水ポンプ82Lのピストン98とを連結する第2連結リンク103Lとを含み、灌水駆動軸112は、第5部材110Eから機体幅方向K2の一側と他側とに突出しており、第1灌水ポンプ82R、第1回転部材102R及び第1連結リンク103Rは、第5部材110Eの一側及び他側の一方に配置され、第2灌水ポンプ82L、第2回転部材102L及び第2連結リンク103Lは、第5部材110Eの第1灌水ポンプ82Rが配置された側とは反対側に配置されている。
【0214】
第1灌水ポンプ82Rと第2灌水ポンプ82Lとをポンプブラケット110にコンパクトに組み付けることができる。
また、駆動主軸71は、動力取出部80とは反対側の端部側に、動力取出部80とは異なる他の動力取出部81を有する。
この構成によれば、例えば、移植機1に別途取り付けられる各種機器類に動力を伝達して該各種機器類を駆動することができる。
【0215】
また、植付体12を昇降する植付昇降機構167を備え、植付昇降機構167は、回転可能な第1回転ケース201と、第1回転ケース201の遊端側に回転可能に支持された第2回転ケース202と、第2回転ケース202の遊端側に取り付けられていて植付体12を支持する支持板121とを有し、且つ第1回転ケース201の回転に連動して第2回転ケース202を第1回転ケース201とは逆方向に回転させることで植付体12を昇降可能とし、植付体12は、側面視で第2回転ケース202とオーバーラップする位置に設けられている。
【0216】
この構成によれば、植付昇降機構167及び植付体12をコンパクトに構成することができる。
また、灌水ポンプ82から送られる水を植付体12に供給するための灌水パイプ120を備え、灌水パイプ120は、支持板121に取り付けられている。
この構成によれば、支持板121を利用して灌水パイプ120を取り付けることにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0217】
また、本実施形態の移植機1は、植付作業機4と、植付作業機4を装着して走行する走行体5と、を備え、植付作業機4は、圃場6に苗7を植え付ける少なくとも一つの植付体12と、植付体12の前方に配置されていて圃場6の植付面を均す均し板299と、を備えている。
この構成によれば、植付体12の前方に配置された均し板299によって圃場6の植付面を均すことで、圃場6に苗7を良好に植え付けることができる。
【0218】
また、植付体12は、複数設けられ、複数の植付体12は、機体幅方向K2で並べて配置され且つ機体幅方向K2の間隔が調節可能な第1植付体12R及び第2植付体12Lを含み、均し板299の機体幅方向K2の幅W2は、第1植付体12Rと第2植付体12Lとで植え付けられる苗7の条間W1を最大条間W1bにしたときにおける、第1植付体12Rと第2植付体12Lとの機体幅方向K2の外端間の距離W3よりも広い幅に形成されている。
【0219】
この構成によれば、苗7の条間W1を調節しても、第1植付体12R及び第2植付体12Lに対応して均し板299の位置を変更しなくてもよい。
また、走行体5に植付作業機4を機体前後方向K1に延伸するローリング軸心X1回りに揺動可能に装着する作業機装着装置123と、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させるローリング機構135と、を備え、ローリング機構135は、圃場6の植付面に対する第1植付体12Rの第1高さH1と、植付面に対する第2植付体12Lの第2高さH2を所定の高さにすべく、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
【0220】
この構成によれば、植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させることにより、植付面に対する第1植付体12Rの高さと、植付面に対する第2植付体12Lの高さを所定の高さにすることができる。これにより、第1植付体12Rで植え付けられる苗7の植付け深さと、第2植付体12Lで植え付けられる苗7の植付け深さとを一致させることができる。
【0221】
また、ローリング機構135を制御する制御装置131を備え、制御装置131は、苗7の植え付け時に、第1高さH1と第2高さH2との高さの差が所定以上である場合に、高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させる。
また、圃場6の植付面の高さを検出する複数の感知ローラ126を備え、複数の感知ローラ126は、第1植付体12Rの前方に配置されていて第1植付体12Rに対応する植付面の高さを検出する第1感知ローラ126Rと、第2植付体12Lの前方に配置されていて第2植付体12Lに対応する植付面の高さを検出する第2感知ローラ126Lとを含み、制御装置131は、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lによって検出される検出値に基づいて、高さの差を減少させる方向に植付作業機4をローリング軸心X1回りに揺動させ、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lは、均し板299の後方に配置されている。
【0222】
この構成によれば、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lによる高さ検出の精度を高めることができる。
また、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lは、第1植付体12R及び第2植付体12Lの間隔調節に伴って機体幅方向K2に間隔調節可能であり、均し板299の機体幅方向K2の幅W2は、条間W1を最大条間W1bにしたときにおける、第1感知ローラ126Rと第2感知ローラ126Lとの機体幅方向K2の外端間の距離W4よりも広い幅に形成されている。
【0223】
この構成によれば、苗7の条間W1を調節しても、第1感知ローラ126R及び第2感知ローラ126Lに対応して均し板299の位置を変更しなくてもよい。
また、本実施形態の移植機1は、苗トレイ8を載置する第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lと、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lに載置された苗トレイ8を縦方向に送る縦送り機構244と、を備え、縦送り機構244は、第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとにわたって設けられ且つ苗トレイ8を縦方向に送る縦送り動力が伝達される縦送り主軸252と、第1苗載せ台9Rに設けられていて第1苗載せ台9Rに載置された苗トレイ8を縦方向に送る第1縦送り作動軸253Rと、第2苗載せ台9Lに設けられていて第2苗載せ台9Lに載置された苗トレイ8を縦方向に送る第2縦送り作動軸253Lと、縦送り主軸252から第1縦送り作動軸253Rに動力を断続可能に伝達する第1縦送りクラッチ262Rと、縦送り主軸252から第2縦送り作動軸253Lに動力を断続可能に伝達する第2縦送りクラッチ262Lと、を備えている。
【0224】
この構成によれば、縦送り主軸252から第1縦送り作動軸253Rに動力を断続可能に伝達する第1縦送りクラッチ262Rと、縦送り主軸252から第2縦送り作動軸253Lに動力を断続可能に伝達する第2縦送りクラッチ262Lとを備えているので、第1苗載せ台9Rに載置した苗トレイ8と第2苗載せ台9Lに載置した苗トレイ8とのうちの任意の苗トレイ8のみを縦送り駆動することができる。
【0225】
また、縦送り主軸252は、縦送り動力が伝達される回転体255と、回転体255に固定され且つ第1苗載せ台9Rと第2苗載せ台9Lとにわたって設けられる軸体256とを有し、第1縦送り作動軸253Rは、軸体256に相対回転可能に嵌められ且つ回転体255に隣接する第1入力部258Rを有し、第1縦送りクラッチ262Rは、回転体255に設けられた駆動噛合部263と、第1入力部258Rに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められるクラッチ本体264と、クラッチ本体264に設けられていてクラッチ本体264が軸心方向に移動することで駆動噛合部263に係脱する従動噛合部265とを有する。
【0226】
この構成によれば、第1苗載せ台9Rに載置される苗トレイ8を縦送りする縦送り動力を断続することができると共に、第2苗載せ台9Lに動力を伝達することができる構造に形成することができる。
また、軸体256は、第1苗載せ台9R側の第1軸256Aと、第2苗載せ台9L側の第2軸256Bと、第1軸256Aと第2軸256Bとを結合する結合体257とを有する。
【0227】
この構成によれば、縦送り主軸252の組付けを容易化を図ることができる。
また、第2苗載せ台9Lは、第1苗載せ台9Rと機体幅方向K2で並べて配置され且つ第1苗載せ台9Rに対して機体幅方向K2に間隔調節可能であり、縦送り主軸252は、第2苗載せ台9Lから第1苗載せ台9Rとは反対側に突出する延長軸部256aを有し、第2縦送り作動軸253Lは、延長軸部256aに相対回転可能に嵌められた第2入力部258Lを有し、第2縦送りクラッチ262Lは、延長軸部256aに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められると共に第2苗載せ台9Lに取り付けられた回転部271と、第2入力部258Lに軸心方向移動可能で且つ一体回転可能に嵌められると共に軸心方向に移動することで回転部271に係脱するクラッチシフタ272とを有する。
【0228】
この構成によれば、第2縦送りクラッチ262Lを、第2苗載せ台9Lに載置される苗トレイ8を縦送りする縦送り動力を断続することができ且つ第1苗載せ台9Rに対する第2苗載せ台9Lの間隔調節を許容する構造に形成することができる。
また、第1縦送りクラッチ262Rは、第1苗載せ台9Rの第2苗載せ台9Lとは反対側に設けられている。
【0229】
この構成によれば、第1苗載せ台9Rの第2苗載せ台9Lとを近接させることができる。
また、本実施形態の移植機1は、圃場6に苗7を植え付ける植付作業機4と、植付作業機4を装着して走行する走行体5と、走行体5に搭載された運転席3と、を備え、植付作業機4は、苗トレイ8を下方に傾斜させた状態で載置する載置板10と、載置板10に沿って苗トレイ8を下方に縦送りする縦送り機構244と、載置板10上の苗トレイ8から苗7を取り出す苗取出装置11と、苗取出装置11によって苗7が取り出された後の苗トレイ8を反転させて載置板10の背面側に案内する反転ガイド13と、反転ガイド13によって反転された苗トレイ8を載置板10の背面上部へ案内する空トレイガイド14とを有し、走行体5は、運転席3と空トレイガイド14との間に配置されて空トレイガイド14から送り出される空の苗トレイ8を受ける空トレイ受け部15を有する。
【0230】
この構成によれば、空トレイガイド14から送り出される空の苗トレイ8は、運転席3と空トレイガイド14との間に設けられた空トレイ受け部15で受けることができるので、空の苗トレイ8の回収を容易に行える。
また、走行体5は、運転席3の前方且つ下方に、オペレータの足を載せるフロントステップ29aを有し、空トレイ受け部15は、フロントステップ29aより上方で且つ運転席3より下方に配置されている。
【0231】
この構成によれば、空トレイ受け部15を運転席3側からオペレータが容易に回収することができる位置に配置することができる。
また、空トレイガイド14は、上部に、空トレイ受け部15より上方に位置し且つ運転席3側に延びる上部ガイド部14cを有する。
この構成によれば、空トレイガイド14から送り出される空の苗トレイ8を上部ガイド部14cによって空トレイ受け部15へ案内することができる。
【0232】
また、上部ガイド部14cは、前方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状である。
この構成によれば、空の苗トレイ8を上部ガイド部14cによって空トレイ受け部15へ良好に案内することができる。
また、空トレイ受け部15の後端部は、上部ガイド部14cの前端部の下方に位置している。
【0233】
この構成によれば、空の苗トレイ8が、空トレイ受け部15と空トレイガイド14との間から落下するのを抑制することができる。
また、空トレイ受け部15は、オペレータが足を掛ける少なくとも一つのリヤステップ33を有する。
この構成によれば、リヤステップ33に足を掛けることにより、載置板10に苗トレイ8を容易に補給することができる。また、リヤステップ33を空トレイ受け部15に利用することにより、部材の兼用化を図ることができる。
【0234】
また、植付作業機4は、載置板10、縦送り機構244、反転ガイド13及び空トレイガイド14を含む苗載せ台9を複数有し、複数の苗載せ台9は、機体幅方向K2で並べて配置された第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lを含み、空トレイ受け部15は、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lの前方に対応して設けられている。
この構成によれば、複数の苗載せ台9から排出される空の苗トレイ8の回収を容易に行える。
【0235】
また、空トレイ受け部15は、オペレータが足を掛ける複数のリヤステップ33を有し、複数のリヤステップ33は、第1苗載せ台9Rの前方に配置された第1リヤステップ33Rと、第2苗載せ台9Lの前方に配置された第2リヤステップ33Lとを含む。
この構成によれば、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lに対応してリヤステップ33を設けることにより、第1苗載せ台9R及び第2苗載せ台9Lのそれぞれに対する苗トレイ8の補給が容易に行える。
【0236】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0237】
3 運転席
4 植付作業機
5 走行体
6 圃場
7 苗
9 苗載せ台
9R 第1苗載せ台
9L 第2苗載せ台
10 載置板
11 苗取出装置
13 反転ガイド
14 空トレイガイド
14c 上部ガイド部
15 空トレイ受け部
29a フロントステップ
33 リヤステップ
33R 第1リヤステップ
33L 第2リヤステップ
244 縦送り機構
K2 機体幅方向