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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20231128BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/08 301A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019126860
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2021010647
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】森田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0000264(US,A1)
【文献】特開2001-001550(JP,A)
【文献】特開平02-178050(JP,A)
【文献】特開2018-059671(JP,A)
【文献】特開2014-065309(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039141(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107083652(CN,A)
【文献】特開2016-120720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02,39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
前記タンクを着脱可能に収容するタンク収容部と、
を備え、
前記タンクは、当該タンクの上部の後面に対向する位置に設定される所定の基準点を中心として円弧状の軌道を描くように前記タンク収容部内に着脱されるように構成されているとともに、前記基準点が設定される部分よりも下方における当該タンクの下部の後部に、内部の衣類処理剤を流出する衣類処理剤流出部を備え、
前記タンク収容部は、前記衣類処理剤流出部が接続される接続部を備え、
前記接続部に対し前記衣類処理剤流出部が接続される方向は、前記円弧状の軌道の接線方向に一致しており、
前記タンクは、前記基準点とは反対側に、ガイド部と、使用者が手を掛ける手掛け部と、を備え、
前記手掛け部の一部が前記ガイド部として構成されており、
前記ガイド部は、前記タンクが前記タンク収容部内に取り付けられるときに、当該タンクを前記タンク収容部内側に案内する衣類処理装置。
【請求項2】
前記衣類処理剤流出部は、前記円弧状の軌道の接線方向に移動可能に設けられた逆止弁を備えている請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記タンク収容部内に収容された前記タンクをロックするロック部をさらに備え、
前記タンク収容部内に前記タンクが収容された状態において、前記ロック部および前記手掛け部は、前記基準点とは反対側に位置している請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記タンクは、前記円弧状の軌道の接線方向に沿う面取り部を有する請求項1からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記タンク収容部内に前記タンクが収容された状態において、前記基準点と同じ側における前記タンク収容部の内面と前記タンクの外面との間に隙間が形成される請求項1からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記タンク収容部内に収容された前記タンクを所定方向に付勢する付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記タンク収容部内において前記タンクを所定方向に付勢することにより、前記所定方向とは反対側に前記隙間を形成する請求項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、使用者の利便性向上の要望に応えるため、衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた構成が開発されている。そして、この種の洗濯機においては、タンクは、給水部に設けられているタンク収容部内に収容されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-42186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、タンクは、タンク収容部内から手前側に引き出し、その後、持ち上げることでタンク収容部内から取り外されるようになっている。また、タンクは、タンク収容部内に挿入し、その後、奥側に押し込むことでタンク収容部内に取り付けられるようになっている。このような従来構成では、タンクの着脱に要するスペースが大きくなってしまい、装置全体としての大型化を招いてしまう。また、従来構成では、タンクを取り出す場合には引き出して持ち上げるという2段階の操作が必要であり、一方、タンクを取り付ける場合には挿入して押し込むという2段階の操作が必要であり、タンクの着脱操作を容易に行うことができないという課題もある。
【0005】
そこで、本実施形態は、タンクの着脱に要するスペースを抑制することができ、また、タンクの着脱操作を容易に行うことができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の衣類処理装置は、外箱と、前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、前記タンクを着脱可能に収容するタンク収容部と、を備え、前記タンクは、当該タンクの上部の後面に対向する位置に設定される所定の基準点を中心として円弧状の軌道を描くように前記タンク収容部内に着脱されるように構成されているとともに、前記基準点が設定される部分よりも下方における当該タンクの下部の後部に、内部の衣類処理剤を流出する衣類処理剤流出部を備え、前記タンク収容部は、前記衣類処理剤流出部が接続される接続部を備え、前記接続部に対し前記衣類処理剤流出部が接続される方向は、前記円弧状の軌道の接線方向に一致しており、前記タンクは、前記基準点とは反対側に、ガイド部と、使用者が手を掛ける手掛け部と、を備え、前記手掛け部の一部が前記ガイド部として構成されており、前記ガイド部は、前記タンクが前記タンク収容部内に取り付けられるときに、当該タンクを前記タンク収容部内側に案内する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、タンク蓋部が閉塞位置に回動している状態例を示す縦断側面図
図4】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、タンク蓋部が開放位置に回動している状態例を示す縦断側面図
図5】本実施形態に係るタンク収容部に対しタンクを着脱する際における状態の遷移例を概略的に示す縦断側面図(その1)
図6】本実施形態に係るタンク収容部に対しタンクを着脱する際における状態の遷移例を概略的に示す縦断側面図(その2)
図7】本実施形態に係るタンク収容部に対しタンクを着脱する際における状態の遷移例を概略的に示す縦断側面図(その3)
図8】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、タンク蓋部が開放位置に回動している状態例を示す平面図
図9】本実施形態に係るロック部の構成例を概略的に示すものであって、ロック状態および非ロック状態を比較して示す図
図10】本実施形態に係る衣類処理剤流出部および接続部の構成例を概略的に示すものであって、接続状態および非接続状態を比較して示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る一実施形態について図面を参照ながら説明する。図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0009】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。洗浄槽3の前面開口部は、外箱2の前面に設けられたドア5によって開閉可能となっている。使用者は、ドア5を開くことにより、洗浄槽3の前面開口部を通して当該洗浄槽3内に衣類を出し入れすることができる。
【0010】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための排水部6を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、後述する給水弁ユニット10などを備えた構成となっている。また、排水部6は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁7などを備えた構成となっている。排水弁7が閉じられた状態で給水部4により洗浄槽3内に水が供給されることにより、洗浄槽3内に所定量の水が溜められる。また、排水弁7が開かれることにより、洗浄槽3内の水が排水経路を介して機外に排出される。
【0011】
図2に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、給水弁ユニット10、自動投入部11、注水ケース12などを備えた構成となっている。給水弁ユニット10の入口は、例えば水道などの図示しない水源に接続されている。また、給水弁ユニット10は、少なくとも2つの給水弁10a,10bを有している。給水弁10aは、手動用給水弁の一例であり、手動用供給経路13aを介して注水ケース12に接続されている。給水弁10bは、自動用給水弁の一例であり、自動用供給経路13bを介して注水ケース12に接続されている。以下、給水弁10aを手動用給水弁10aと称し、給水弁10bを自動用給水弁10bと称する。注水ケース12の出口は、給水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0012】
自動投入部11は、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16を備えている。洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、給水部4に対し着脱可能に備えられている。具体的には、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、給水部4を構成するタンク収容部100の内部に着脱可能に備えられている。このタンク収容部100およびその周辺部分の構成例については後述する。
【0013】
洗剤タンク15内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類を洗浄するための洗剤を貯留可能となっている。一方、柔軟剤タンク16内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留可能となっている。
【0014】
洗剤タンク15は、洗剤用計量ポンプ17を介して自動用供給経路13bに接続されている。洗剤用計量ポンプ17は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ17は、洗剤タンク15内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された洗剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された洗剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、洗剤タンク15内から洗浄槽3内に洗剤が自動的に投入される。なお、洗剤用計量ポンプ17は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0015】
柔軟剤タンク16は、柔軟剤用計量ポンプ18を介して自動用供給経路13bに接続されている。柔軟剤用計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ18は、柔軟剤タンク16内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された柔軟剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された柔軟剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、柔軟剤タンク16内から洗浄槽3内に柔軟剤が自動的に投入される。なお、柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0016】
また、注水ケース12内には、手動投入用ケース12aが出し入れ可能に収容されている。手動投入用ケース12a内には、使用者の手動によって洗剤が投入される図示しない手動洗剤投入部、および、使用者の手動によって柔軟剤が投入される図示しない手動柔軟剤投入部が設けられている。手動洗剤投入部に投入されている洗剤、あるいは、手動柔軟剤投入部に投入されている柔軟剤は、給水弁ユニット10から手動用供給経路13aを介して注水ケース12内に注水される水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。
【0017】
以上のように構成される給水部4において、手動用供給経路13aは、使用者が手動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。また、自動用供給経路13bは、自動投入部11が自動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。
【0018】
次に、タンク収容部100およびその周辺部分の構成例について説明する。図3に例示するように、タンク収容部100は、ほぼ矩形箱状に構成されており、この場合、給水部4を構成する注水ケース12の上部に一体的に設けられている。タンク収容部100の上部には、ほぼ矩形状に開口する開口部101が設けられている。また、タンク収容部100の底部は、注水ケース12の内部に連通されている。
【0019】
タンク収容部100の開口部101は、ほぼ矩形板状のタンク蓋部102によって開閉可能に構成されている。タンク蓋部102は、開口部101の後部に設けられている回動軸103を中心として、図3に例示する閉塞位置と、図4に例示する開放位置との間で回動可能に設けられている。閉塞位置に回動したタンク蓋部102は、開口部101を閉塞状態とする。また、開放位置に回動したタンク蓋部102は、開口部101を開放状態とする。また、タンク蓋部102の回動可能角度、つまり、閉塞位置と開放位置との間の角度は、この場合、少なくとも90度以上となっている。
【0020】
図8にも例示するように、タンク収容部100の内部には、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16が着脱可能に収容される。即ち、図4から図7に例示するように、使用者は、タンク蓋部102を開放位置に回動させて開口部101を開放状態とし、その開口部101を通して、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16をタンク収容部100内に収容したり、あるいは、タンク収容部100内から洗剤タンク15および柔軟剤タンク16を取り出したりすることが可能となっている。
【0021】
即ち、図5から図7に例示するように、本実施形態に係る洗濯機1においては、タンク15,16の着脱に関し所定の基準点Kが設定されるようになっている。この場合、基準点Kは、タンク収容部100の後面の上部にあってタンク15,16の上部の後面に対向する位置に設定されている。より具体的には、この場合、基準点Kは、タンク収容部100の後面の上端部がタンク15,16の上部の後面に当接する位置に設定されている。
【0022】
タンク収容部100内からタンク15,16を取り出す場合には、図5および図6に例示するように、使用者は、タンク15,16を、基準点Kを中心として円弧状の軌道Rを描くように上方に回動させる。このとき、使用者は、タンク15,16の前面の上部に設けられている手掛け部15d,15dに手を掛けることで、タンク15,16を回動させる操作を容易に行うことができる。そして、使用者は、図7に例示するように、タンク15,16を上方に取り出すことができる。
【0023】
一方、タンク収容部100内にタンク15,16を取り付ける場合には、図7例示するように、使用者は、タンク15,16をタンク収容部100内に上方から挿入させ、図6に例示するように、タンク15,16の上部の後面をタンク収容部100の後面の上部に当接させる。この当接点が基準点Kとなる。そして、使用者は、図6および図5に例示するように、タンク15,16を、基準点Kを中心として円弧状の軌道Rを描くように下方に回動させる。このとき、使用者は、タンク15,16の手掛け部15d,15dに手を掛けることで、タンク15,16を回動させる操作を容易に行うことができる。これにより、図3および図4に例示するように、タンク収容部100内にタンク15,16を所定の装着位置にて収容することができる。
【0024】
以上の通り、本実施形態に係る洗濯機1によれば、タンク15,16は、基準点Kを中心として円弧状の軌道Rを描くようにしてタンク収容部100内から取り出すことができ、また、基準点Kを中心として円弧状の軌道Rを描くようにしてタンク収容部100内に取り付けることができるようになっている。
【0025】
次に、タンク15,16の細部の構成例について説明する。図8に例示するように、洗剤タンク15には、洗剤補充口15aが設けられている。この場合、洗剤補充口15aは、ほぼ矩形状の開口部となっており、洗剤タンク15の上面の前部に設けられている。また、洗剤補充口15aには、当該洗剤補充口15aを開閉する洗剤補充口蓋部15bが設けられている。洗剤補充口蓋部15bは、ほぼ矩形の板状に構成されている。
【0026】
また、洗剤補充口蓋部15bの回動可能角度、つまり、閉塞位置と開放位置との間の角度は、この場合、少なくとも90度以上となっている。なお、洗剤補充口蓋部15bの回動可能角度は、タンク蓋部102の回動可能角度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、洗剤補充口蓋部15bの回動方向は、タンク蓋部102の回動方向と同じ方向、この場合、洗濯機1の前後方向となっており、前側に回動されることで閉塞位置に回動し、後側に回動されることで開放位置に回動するようになっている。
【0027】
また、図8に例示するように、柔軟剤タンク16には、柔軟剤補充口16aが設けられている。この場合、柔軟剤補充口16aは、ほぼ矩形状の開口部となっており、柔軟剤タンク16の上面の前部に設けられている。また、柔軟剤補充口16aには、当該柔軟剤補充口16aを開閉する柔軟剤補充口蓋部16bが設けられている。柔軟剤補充口蓋部16bは、ほぼ矩形の板状に構成されている。
【0028】
また、柔軟剤補充口蓋部16bの回動可能角度、つまり、閉塞位置と開放位置との間の角度は、この場合、少なくとも90度以上となっている。なお、柔軟剤補充口蓋部16bの回動可能角度は、タンク蓋部102の回動可能角度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、柔軟剤補充口蓋部16bの回動方向は、タンク蓋部102の回動方向と同じ方向、この場合、洗濯機1の前後方向となっており、前側に回動されることで閉塞位置に回動し、後側に回動されることで開放位置に回動するようになっている。
【0029】
また、洗剤補充口蓋部15bの先端部には、使用者が当該洗剤補充口蓋部15bを開閉操作する際に手を掛ける凸部15cが設けられている。この場合、凸部15cは、洗剤補充口蓋部15bの先端部のほぼ中央部に設けられており、その上面が平坦な形状となっている。図3などに例示するように、この凸部15cは、洗剤補充口蓋部15bが洗剤補充口15aを閉塞する閉塞位置に回動した状態において、洗剤タンク15の上面から上方に所定量突出する構成要素となっている。
【0030】
また、柔軟剤補充口蓋部16bの先端部には、使用者が当該柔軟剤補充口蓋部16bを開閉操作する際に手を掛ける凸部16cが設けられている。この場合、凸部16cは、柔軟剤補充口蓋部16bの先端部のほぼ中央部に設けられており、その上面が平坦な形状となっている。図3などに例示するように、この凸部16cは、柔軟剤補充口蓋部16bが柔軟剤補充口16aを閉塞する閉塞位置に回動した状態において、柔軟剤タンク16の上面から上方に所定量突出する構成要素となっている。
【0031】
そして、図3に例示するように、タンク蓋部102がタンク収容部100の開口部101を閉塞した状態において、洗剤タンク15の凸部15cの上面および柔軟剤タンク16の凸部16cの上面は、それぞれタンク蓋部102の下面に当接する。即ち、洗剤タンク15の凸部15cおよび柔軟剤タンク16の凸部16cは、何れも、タンク収容部100を閉塞したタンク蓋部102に当接する当接部の一例として機能するようになっている。
【0032】
また、洗剤タンク15には、当該洗剤タンク15を着脱するときに使用者が手を掛ける手掛け部15dが設けられている。この場合、手掛け部15dは、タンク収容部100内に洗剤タンク15が収容されている状態において、基準点Kとは反対側となる洗剤タンク15の前側に設けられている。また、手掛け部15dは、タンク収容部100内に洗剤タンク15が収容されている状態において、当該洗剤タンク15の前面の上部から前方に突出するようにして設けられている。また、手掛け部15dは、上方から見ると、上面が開放したほぼ矩形枠状をなしており、その前面および左右の両側面が平面状となっている。また、手掛け部15dの下面は、前方から後方に向かって直線状に傾斜する傾斜面部15eとなっている。なお、この傾斜面部15eの上端側には、手掛け部15dの底面を貫通する貫通孔部15fが設けられている。使用者は、この手掛け部15d内に指を入れることで、洗剤タンク15の着脱操作を容易に行えるようになっている。
【0033】
また、柔軟剤タンク16には、当該柔軟剤タンク16を着脱するときに使用者が手を掛ける手掛け部16dが設けられている。この場合、手掛け部16dは、タンク収容部100内に柔軟剤タンク16が収容されている状態において、基準点Kとは反対側となる柔軟剤タンク16の前側に設けられている。また、手掛け部16dは、タンク収容部100内に柔軟剤タンク16が収容されている状態において、当該柔軟剤タンク16の前面の上部から前方に突出するようにして設けられている。また、手掛け部16dは、上方から見ると、上面が開放したほぼ矩形枠状をなしており、その前面および左右の両側面が平面状となっている。また、手掛け部16dの下面は、前方から後方に向かって直線状に傾斜する傾斜面部16eとなっている。なお、この傾斜面部16eの上端側には、手掛け部16dの底面を貫通する貫通孔部16fが設けられている。使用者は、この手掛け部16d内に指を入れることで、柔軟剤タンク16の着脱操作を容易に行えるようになっている。
【0034】
また、タンク15,16の傾斜面部15e,16eは、ガイド部の一例として機能するようになっている。即ち、例えば、タンク収容部100内にタンク15,16が取り付けられるときにおいて、図6の状態から図5の状態に移行する過程でタンク15,16の手掛け部15d,16dがタンク収容部100の開口部101の前面の上端部に乗り上げてしまう場合が生じ得る。しかしながら、このとき、タンク収容部100の開口部101の前面の上端部には、手掛け部15d,16dのうち傾斜面部15e,16eが当接する。そのため、タンク収容部100の開口部101の前面の上端部に対し手掛け部15d,16dの傾斜面部15e,16eがスライドするように移動することで、タンク15,16をタンク収容部100の内部側に案内することができる。
【0035】
以上の通り、ガイド部の一例として機能する傾斜面部15e,16eは、この場合、手掛け部15d,16dの一部として備えられている。よって、これら傾斜面部15e,16eも、手掛け部15d,16dと同様に、タンク収容部100内にタンク15,16が収容されている状態において、基準点Kとは反対側となるタンク15,16の前側に設けられた構成となっている。
【0036】
また、図3などに例示するように、タンク15,16は、面取り部500を備えている。この場合、面取り部500は、タンク15,16の前部の下部に設けられており、直線状に傾斜する、いわゆるC面を形成している。また、面取り部500は、円弧状の軌道Rの接線方向に沿う部分となっている。なお、面取り部500は、その全体が円弧状の軌道Rの接線方向に沿っていなくてもよく、その少なくとも一部が円弧状の軌道Rの接線方向に沿うものとなっていればよい。
【0037】
また、図3などに例示するように、タンク収容部100の内部には、さらにロック部200が設けられている。ロック部200は、タンク収容部100の内部において、タンク蓋部102に洗剤タンク15の凸部15cおよび柔軟剤タンク16の凸部16cが当接する部分の下方に位置して設けられている。なお、「タンク蓋部102に洗剤タンク15の凸部15cおよび柔軟剤タンク16の凸部16cが当接する部分の下方」という概念は、タンク蓋部102に洗剤タンク15の凸部15cおよび柔軟剤タンク16の凸部16cが当接する部分の直下の領域のみを意図するものではなく、ある程度の範囲を有した領域を意図している。本実施形態では、ロック部200は、タンク蓋部102に当接する洗剤タンク15の凸部15cおよび柔軟剤タンク16の凸部16cの鉛直下方よりも所定量後側に位置して設けられている。
【0038】
また、タンク収容部100内におけるロック部200の位置は、タンク収容部100内にタンク15,16が収容された状態において、基準点Kとは反対側となる位置、この場合、前側となる位置となっている。即ち、本実施形態に係る洗濯機1によれば、ロック部200および手掛け部15d,16dは、何れも、基準点Kとは反対側である前側に位置している構成となっている。
【0039】
図9に例示するように、ロック部200は、タンク収容部100の底面から上方に突出しており、その先端部に、一対のロック片部200aを有している。一対のロック片部200aは、ある程度の弾性変形が可能に構成されている。一方、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16の下面には、被ロック部201が設けられている。この場合、被ロック部201は、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16の前側の下面から下方に突出しており、その先端部に、断面ほぼ円形状に膨出する被ロック端部201aが設けられている。また、図3などに例示するように、被ロック部201の前後方向の寸法は、ロック部200の前後方向の寸法よりも長くなっている。
【0040】
タンク収容部100の内部に収容される洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、タンク収容部100内において所定方向、この場合、下方向に押し込まれることで、ロック部200に被ロック部201が嵌め込まれる。これにより、タンク収容部100内において、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16が所定の装着位置にてロックされるようになる。
【0041】
また、図3などに例示するように、洗剤タンク15の下部の後部および柔軟剤タンク16の下部の後部には、それぞれ、内部の衣類処理剤を外部に流出させるための衣類処理剤流出部300が設けられている。一方、タンク収容部100の下部の後部には、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16に対応する2つの接続部301が設けられている。洗剤タンク15に対応する接続部301は、洗剤用計量ポンプ17に接続されている。また、柔軟剤タンク16に対応する接続部301は、柔軟剤用計量ポンプ18に接続されている。
【0042】
また、衣類処理剤流出部300および接続部301は、基準点Kが設定される部分の下方に位置して設けられている。なお「基準点Kが設定される部分の下方」という概念は、基準点Kが設定される部分の直下の領域のみを意図するものではなく、ある程度の範囲を有した領域を意図している。即ち、衣類処理剤流出部300および接続部301は、基準点Kが設定される部分の下方に定義される、ある程度の範囲を有した下方領域内に位置して設けられている。
【0043】
なお、タンク15,16の内部には、衣類処理剤流出部300よりも内側に位置してフィルタ400が設けられている。フィルタ400は、タンク15,16内に貯留されている衣類処理剤に含まれている異物を捕獲して、衣類処理剤流出部300側に異物が進入してしまうことを回避する。また、タンク15,16の内部には、フィルタ400よりも内側に位置してフロート401が設けられている。フロート401は、タンク15,16内の衣類処理剤の量に応じて上下方向に回動するものであり、その先端部内に図示しない磁石を備えている。洗濯機1の動作全般を制御する図示しない制御装置は、このフロート401の磁力を、タンク収容部100の外部に備えられている図示しないリードスイッチによって検知することにより、フロート401の位置、換言すれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を検知可能となっている。
【0044】
次に、上述した衣類処理剤流出部300および接続部301の構成例について説明する。図10に例示するように、衣類処理剤流出部300は、タンク15,16が所定の装着位置に装着された状態において上下方向に延びる第1流出口部302および水平方向に延びる第2流出口部303を備えている。第2流出口部303の一端部、この場合、タンク15,16の内部側となる端部は、第1流出口部302の上端部に接続されている。第1流出口部302の下端部は、タンク15,16の底部の上面から若干離間した状態となっている。第2流出口部303の他端部は、タンク15,16の後壁部の下部に接続されている。
【0045】
そして、第1流出口部302と第2流出口部303との接続部の内部には、逆止弁304が設けられている。逆止弁304は、例えば圧縮コイルばね305によって第2流出口部303の他端部側に付勢されている。これにより、逆止弁304は、第2流出口部303内に設けられている流出孔部306を閉塞する方向に付勢された状態となっている。
【0046】
一方、接続部301は、直線状に延びるほぼ円筒状に設けられており、その中心部に、衣類処理剤が流通可能な流通路301aを有している。タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着される過程において、接続部301は、第2流出口部303の他端部側から当該第2流出口部303の内部に挿通される。そして、タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着されると、逆止弁304が接続部301の先端部によって押し込まれる。これにより、逆止弁304は、圧縮コイルばね305の付勢力に抗して第2流出口部303内を当該第2流出口部303の一端側に向かって移動し、流出孔部306を開放状態とする。これにより、タンク15,16内の衣類処理剤は、ポンプ17,18の吸引力を受けることで、第1流出口部302および第2流出口部303を通してタンク15,16の外部に流出可能な状態となる。
【0047】
以上の構成によれば、タンク収容部100内において洗剤タンク15が所定の装着位置に装着されることで、洗剤タンク15の衣類処理剤流出部300は、対応する接続部301に適切に接続される。これにより、自動投入部11により洗剤タンク15内の洗剤を自動的に投入することが可能な状態を形成することができる。また、タンク収容部100内において柔軟剤タンク16が所定の装着位置に装着されることで、柔軟剤タンク16の衣類処理剤流出部300は、対応する接続部301に適切に接続される。これにより、自動投入部11により柔軟剤タンク16内の柔軟剤を自動的に投入することが可能な状態を形成することができる。
【0048】
そして、上述の構成例において、接続部301に対し衣類処理剤流出部300が接続される方向は、タンク収容部100に対しタンク15,16が着脱されるときに描かれる円弧状の軌道Rの接線方向に一致するようになっている。また、接続部301に対し衣類処理剤流出部300が接続される過程における逆止弁304の移動方向も、タンク収容部100に対しタンク15,16が着脱されるときに描かれる円弧状の軌道Rの接線方向に一致するようになっている。
【0049】
また、上述した圧縮コイルばね305は、付勢部材の一例として機能するようになっている。即ち、タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着された状態においては、圧縮コイルばね305は、逆止弁304によって押し込まれて圧縮された状態となり、その復帰しようとする力がタンク15,16側に作用する。そして、この圧縮コイルばね305から与えられる力を受けて、タンク15,16は、タンク収容部100内を所定方向、この場合、前側に付勢されるようになる。
【0050】
これにより、タンク15,16は、タンク収容部100内において前側に押されるような状態となり、図3および図4に例示するように、タンク15,16の前部、この場合、手掛け部15d,16dの前面部は、タンク収容部100の上部の内面に当接し、一方、タンク15,16の後部、つまり、基準点Kが設定される部分側には、タンク収容部100の内面とタンク15,16の外面との間に所定の大きさを有する隙間Gが形成されるようになる。即ち、圧縮コイルばね305は、タンク収容部100内においてタンク15,16を所定方向である前側に付勢することにより、所定方向とは反対側である後側に所定の隙間Gを形成するようになっている。なお、この隙間Gの大きさは、少なくとも数mm以上の大きさを有していればよく、その大きさは適宜変更して実施することができる。
【0051】
なお、図8などに例示するように、洗剤補充口蓋部15bは、洗剤補充口15aを閉塞した状態において、洗剤タンク15の前後方向の寸法の少なくとも半分以上の大きさを有するように構成するとよい。また、柔軟剤補充口蓋部16bは、柔軟剤補充口16aを閉塞した状態において、柔軟剤タンク16の前後方向の寸法の少なくとも半分以上の大きさを有するように構成するとよい。
【0052】
以上に説明した洗濯機1によれば、タンク15,16は、所定の基準点Kを中心として円弧状の軌道Rを描くようにタンク収容部100内に着脱される。この構成によれば、従来構成に比べ、タンク15,16の着脱に要するスペースを抑制することができ、また、タンク15,16の着脱操作を容易に行うことができる。
【0053】
また、洗濯機1によれば、接続部301に対し衣類処理剤流出部300が接続される方向は、タンク収容部100に対しタンク15,16が着脱されるときに描かれる円弧状の軌道Rの接線方向に一致する。この構成によれば、タンク15,16の着脱に伴い、接続部301に対する衣類処理剤流出部300の着脱を円滑に行うことができる。
【0054】
また、洗濯機1によれば、衣類処理剤流出部300は、タンク収容部100に対しタンク15,16が着脱されるときに描かれる円弧状の軌道Rの接線方向に移動可能に設けられた逆止弁304を備えている。この構成によれば、タンク15,16の着脱に伴い、逆止弁304の移動も円滑に行うことができる。よって、タンク15,16をタンク収容部100内に取り付けることにより、逆止弁304を円滑に移動させて衣類処理剤を流出可能な状態を形成しやすくすることができ、また、タンク15,16をタンク収容部100内から取り外すことにより、逆止弁304を円滑に移動させて衣類処理剤を流出不能な状態を形成しやすくすることができる。
【0055】
また、洗濯機1によれば、タンク15,16に設けられている傾斜面部15e、16eは、当該タンク15,16がタンク収容部100内に取り付けられるときに、仮に、手掛け部15d,15dがタンク収容部100の開口部101の前面の上端部に乗り上げたとしても、当該タンク15,16をタンク収容部100の内部側に案内する。この構成によれば、手掛け部15d,15dがタンク収容部100の開口部101の前面の上端部に乗り上げた場合であっても、タンク15,16をタンク収容部100内に円滑に取り付けやすくすることができる。
【0056】
また、洗濯機1によれば、タンク15,16は、基準点Kとは反対側に手掛け部15d,16dを備えている。この構成によれば、使用者は、手掛け部15d,16dに手を掛けることで、タンク15,16の着脱操作を円弧状の軌道Rに沿って容易に行うことができる。
【0057】
また、洗濯機1によれば、タンク収容部100内にタンク15,16が収容された状態において、ロック部200および手掛け部15d,16dは、基準点Kとは反対側に位置している。この構成によれば、使用者は、手掛け部15d,16dに手を掛けて基準点Kを中心にタンク15,16を円弧状の軌道Rに沿って下方に押し込むように操作することで、ロック部200に被ロック部201を嵌め込むことができる。即ち、使用者は、手掛け部15d,16dを持って操作することで、タンク15,16を容易にロックすることができる。また、使用者は、手掛け部15d,16dに手を掛けて基準点Kを中心にタンク15,16を円弧状の軌道Rに沿って上方に引き出すように操作することで、ロック部200から被ロック部201を取り外すことができる。即ち、使用者は、手掛け部15d,16dを持って操作することで、タンク15,16のロックを容易に解除することができる。このように、使用者は、タンク収容部100内におけるタンク15,16のロックおよびロック解除を、手掛け部15d,16dに手を掛けて操作することで容易に行うことができる。
【0058】
また、洗濯機1によれば、タンク15,16は、タンク収容部100に対しタンク15,16が着脱されるときに描かれる円弧状の軌道Rの接線方向に沿う部分を有する面取り部500を備えている。この構成によれば、タンク収容部100に対する着脱の際に円弧状の軌道Rに沿って移動するタンク15,16がタンク収容部100の内面に接触してしまうことを回避することができ、タンク15,16の着脱を一層容易に行うことができる。また、タンク15,16の着脱に要するスペースを一層抑制することができ、タンク15,16の容量を大きくすることができる。
【0059】
また、洗濯機1によれば、タンク収容部100内にタンク15,16が収容された状態において、基準点Kと同じ側におけるタンク収容部100の内面とタンク15,16の外面との間に、所定の大きさを有する隙間Gが形成されるように構成した。この構成によれば、タンク15,16を着脱する際に当該タンク15,16を円弧状の軌道Rに沿って移動させるためのスペースに余裕を持たせることができ、タンク15,16の着脱を一層容易に行うことができる。
【0060】
また、洗濯機1によれば、圧縮コイルばね305がタンク収容部100内においてタンク15,16を所定方向である前側に付勢することにより、所定方向とは反対側である後側に隙間Gを形成するように構成した。この構成によれば、圧縮コイルばね305の付勢力を利用して隙間Gを一層確実に形成することができる。また、洗濯機1の使用時において、当該洗濯機1の前側に位置することが想定される使用者に対し、後側に隙間Gが形成される。そのため、使用者は、手前側から後側に向かってタンク15,16を押し込むようにしながら円弧状に回動させることができ、タンク15,16の着脱、特に、取り外しの操作を一層行いやすくすることができる。また、タンク収容部100内においてタンク15,16が前側に付勢されることによって、当該タンク15,16の前面、この場合、手掛け部15d,16dの前面をタンク収容部100の前面に押し付けることができる。これにより、タンク収容部100内におけるタンク15,16の位置決め、特に、前後方向における位置決めを行うことができる。
【0061】
また、洗濯機1によれば、このような隙間Gを形成するための付勢部材として、逆止弁304を付勢する圧縮コイルばね305を利用している。この構成によれば、隙間Gを形成するための専用の付勢部材を設ける必要が無く、部品点数の増加を抑制して、構造の簡素化を図ることができる。
【0062】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、所定の基準点Kを設定する位置は、適宜変更して実施することができる。即ち、例えば、タンク15,16の形状や大きさ、タンク収容部100の形状や大きさなどに応じて、タンク15,16を円弧状に回動させやすい最適な位置に基準点Kを適宜設定することができる。また、タンク15,16を円弧状の軌道を描くように回動させる過程において、基準点Kの位置が変動するような場合には、変動後の基準点Kを中心とした新たな円弧状の軌道に沿ってタンク15,16を回動させる構成とするとよい。また、基準点Kに代えて、ある程度の面積を有する基準領域を設定し、タンク15,16を、その基準領域を中心として円弧状の軌道を描くようにタンク収容部100内に着脱する構成としてもよい。
【0063】
また、タンク15,16は、手掛け部15d,16dの一部をガイド部として備えるのではなく、手掛け部15d,16dとは別個にガイド部としての専用の構成要素を備える構成としてもよい。また、面取り部500は、いわゆるC面形状に限られるものではなく、円弧状の軌道Rの接線方向に沿う部分を有する形状であれば、いわゆるR面形状など種々の形状を適用することができる。
【0064】
また、ロック部200は、上述したような嵌め込み式の構成に限られるものではなく、例えばスライド式など、タンク15,16を所定の装着位置にロックできる構成であればよい。また、タンク蓋部102の大きさや形状、補充口蓋部15b,16bの大きさや形状は、適宜変更して実施することができる。
【0065】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤タンク15や柔軟剤を貯留する柔軟剤タンク16に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンクなど、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、給水部4に備えられる複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、洗濯機1は、給水部4に1つのタンクを備える構成としてもよし、3つ以上の複数のタンクを備える構成としてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0066】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、2は外箱、3は洗浄槽(衣類処理槽)、11は自動投入部、15は洗剤タンク(タンク)、15dは手掛け部、15eは傾斜面部(ガイド部)、16は柔軟剤タンク(タンク)、16dは手掛け部、16eは傾斜面部(ガイド部)、100はタンク収容部、200はロック部、300は衣類処理剤流出部、301は接続部、304は逆止弁、305は圧縮コイルばね(付勢部材)、500は面取り部(円弧状の軌道の接線方向に沿う部分)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10