(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】通知装置、通知方法および通知プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231128BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G08G1/09 P
G08B25/00 510M
(21)【出願番号】P 2019133019
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 努
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視領域への人の侵入を通知する通知装置であって、
カメラから前記被監視領域を撮影した撮像データを取得する取得部と、
前記撮像データ中に人を検知すると前記被監視領域への人の侵入を通知する通知部と、を備え、
前記通知部は、
車両を人とともに前記撮像データ中に検知
し、かつ、前記車両が停止していることを検知すると、前記通知を抑止する、
通知装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記撮像データ中において前記
車両とともに検知した被検知人については、前記
車両と前記被検知人とを含む撮像データの後に前記取得部が取得した第2撮像データにおいて前記
車両が検知されない場合でも、前記通知を抑止する、
請求項
1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記第2撮像データにおいて、前記被検知人とともに前記被検知人とは異なる人が検知された場合、前記通知を抑止する、
請求項
2に記載の通知装置。
【請求項4】
被監視領域への人の侵入を通知する通知方法であって、
コンピュータが、
カメラから前記被監視領域を撮影した撮像データを取得する処理と、
前記撮像データ中に人を検知すると前記被監視領域への人の侵入を通知する処理と、を実行し、
前記通知する処理では、
車両を前記人とともに前記撮像データ中に検知
し、かつ、前記車両が停止していることを検知すると、前記通知を抑止する、
通知方法。
【請求項5】
被監視領域への人の侵入を通知する通知プログラムであって、
コンピュータに、
カメラから前記被監視領域を撮影した撮像データを取得する処理と、
前記撮像データ中に人を検知すると前記被監視領域への人の侵入を通知する処理と、を実行させ、
前記通知する処理では、
車両を前記人とともに前記撮像データ中に検知
し、かつ、前記車両が停止していることを検知すると、前記通知を抑止する、
通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知装置、通知方法および通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラが撮影した画像を解析することで道路への人の立ち入り(侵入)を検知して通知するシステムが利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-022333号公報
【文献】国際公開第2018/179202号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視カメラで撮影された映像に人が含まれていることを契機として人の侵入を通知してしまうと、あらかじめ道路等での作業が許可されている人が検知された場合にも通知が行われることになる。そのため、通知を受けた監視員等が、道路等に侵入した人が許可された人であるか否かを映像で確認したり、現地で目視確認したりする手間が生じる。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、不要な侵入通知を抑制できる通知装置、通知方法および通知プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような通知装置によって例示される。本通知装置は、被監視領域への人の侵入を通知する通知装置であって、カメラから前記被監視領域を撮影した撮像データを取得する取得部と、前記撮像データ中に人を検知すると前記被監視領域への人の侵入を通知する通知部と、を備え、前記通知部は、あらかじめ記憶部に記憶した所定の標識を人とともに前記撮像データ中に検知した場合に前記通知を抑止する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、不要な侵入通知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る侵入検知システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検知装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る検知装置の処理ブロックの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態において、通知部による侵入通知の送信を判定部が抑止する状況の一例を示す第1の図である。
【
図5】
図5は、実施形態において、通知部による侵入通知の送信を判定部が抑止する状況の一例を示す第2の図である。
【
図6】
図6は、実施形態において、判定部が侵入通知の送信を抑止しない状況の一例を示す第1の図である。
【
図7】
図7は、実施形態において、判定部が侵入通知の送信を抑止しない状況の一例を示す第2の図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る侵入検知システムの処理フローの一例である。
【
図9】
図9は、第1変形例に係る検知装置の処理ブロックの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1変形例において侵入通知の送信を抑止する状況の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1変形例に係る侵入検知システムの処理フローの一例である。
【
図12】
図12は、第1変形例において、人検知部による追跡対象となる保守員とともに一般人が監視カメラの映像中に現れる状況の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2変形例における、画像の中に進入通知の送信を抑止する標識の存在範囲を限定した例を示す図である。
【
図14】
図14は、第3変形例における、判定テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る通知装置は、例えば、以下の構成を有する。
被監視領域への人の侵入を通知する通知装置であって、
カメラから前記被監視領域を撮影した撮像データを取得する取得部と、
前記撮像データ中に人を検知すると前記被監視領域への人の侵入を通知する通知部と、を備え、
前記通知部は、あらかじめ記憶部に記憶した所定の標識を人とともに前記撮像データ中に検知すると前記通知を抑止する。
【0010】
本通知装置において、被監視領域は、一般人の立ち入りが制限(または、禁止)される領域であり、例えば、自動車専用道路、線路、滑走路等を挙げることができる。カメラは、光学カメラであっても赤外線カメラであってもよい。また、カメラは、360度半天球カメラであってもよい。カメラは、被監視領域を撮影可能な位置に設けられる。
【0011】
所定の標識は、例えば、被監視領域において許可された作業を行う作業場所を示す案内板、看板、ロードコーン、電光掲示板等や、許可された作業に用いる工具等を挙げることができる。本通知装置では、このような所定の標識とともに人を検知すると、当該人は許可された作業を行う作業者であるとして、侵入の通知を抑止する。このような処理を行うことで、被監視領域に許可を受けて侵入する人について、侵入通知を送信することが抑制される。すなわち、本通知装置によれば、不要な侵入通知を抑制することができる。
【0012】
本通知装置は、次の特徴を有してもよい。前記所定の標識は車両を含み、前記通知部は、さらに、前記車両が停止していることを検知すると、前記通知を抑止する。車両は、例えば、道路や線路、滑走路等における保守等で用いられる保守車両を挙げることができる。車両が停止しているか否かは、例えば、撮像データが映像データである場合には、当該映像データの連続する数フレームにおいて、各フレームにおける車両の座標に変動が無い場合に車両が移動していないと判定することができる。また、車両が移動しているか否かは、例えば、撮像データが静止画である場合には、所定間隔でカメラが撮影した複数の撮像データにおいて、各撮像データにおける車両の座標に変動が無い場合に車両が移動していないと判定することができる。保守車両は、保守作業の作業者を保守作業現場に運搬するとともに、運搬後には保守作業現場の付近に停止することで保守作業現場を示す標識ともなる。通知装置がこのような特徴を有することで、保守車両を所定の標識として、通知の抑止を行うことができる。
【0013】
本通知装置は、次の特徴を有してもよい。前記通知部は、前記撮像データ中において前記所定の標識とともに検知した被検知人については、前記所定の標識と前記被検知人とを含む撮像データの後に前記取得部が取得した第2撮像データにおいて前記所定の標識が検知されない場合でも、前記通知を抑止する。所定の標識は、被検知人が作業等を行っている途中で、カメラの撮影範囲外に移動することがある。本通知装置は、所定の標識が移動してしまっても、被検知人については侵入通知の送信を抑止することができる。
【0014】
本通知装置は、次の特徴を有してもよい。前記通知部は、前記第2撮像データにおいて、前記被検知人とともに前記被検知人とは異なる人が検知された場合、前記通知を抑止する。被検知人とともに検知される人は、被検知人と同様に許可を受けて被監視領域に侵入している人である可能性が高い。また、仮に、被監視領域への侵入が許可されていない一般人が被検知人とともに検知された場合でも、被検知人が当該一般人の侵入に気づくと考えられる。そのため、このような状況における侵入通知の送信を抑止することで、不要な侵入通知を抑制することができる。
【0015】
開示の技術は、通知方法および通知プログラムとして把握することも可能である。
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態についてさらに説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る侵入検知システムの一例を示す図である。
図1に例示される侵入検知システム500は、検知装置1、監視カメラ2および監視センター300に設置された監視サーバ301を含む。侵入検知システム500は、監視カメラ2が撮影した道路600の映像を基に道路600への人の侵入を検知する。本実施形態において、道路600は、例えば、歩行者の立ち入りが禁止されている自動車専用道路である。道路600は、「被監視領域」の一例である。
【0018】
監視カメラ2は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)センサーやComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)センサーを有するデジタルカメラである。監視カメラ2は、可視光によって撮影するカメラに限定されず、赤外線によって撮影する赤外線カメラであってもよい。監視カメラ2は、動画および静止画の少なくとも一方を撮影可能である。監視カメラ2は、道路600を撮影可能な位置に設けられる。監視カメラ2は、例えば、道路600のうち、特定の領域(自動車専用道路の出入り口、サービスエリアの出入り口、路肩等)を撮影可能な位置に設けられてもよい。また、道路600の全体を監視できるように、複数の監視カメラ2が道路600に沿って配置されてもよい。本実施形態では、監視カメラ2として、360度半天球カメラを採用する。
図1の領域R1は、360度半天球カメラである監視カメラ2が撮影可能な範囲を例示するものとする。監視カメラ2は「カメラ」の一例である。
【0019】
検知装置1は、監視カメラ2から映像を取得し、取得した映像を解析して道路600への人の侵入を検知する情報処理装置である。検知装置1は、人の侵入を検知すると、監視センター300に設置された監視サーバ301へと侵入通知を送信する。なお、
図1では、検知装置1と監視カメラ2はそれぞれ別の装置となっているが、監視カメラ2と検知装置1とがひとつの装置となっていてもよい。検知装置1は、「通知装置」および「コンピュータ」の一例である。
【0020】
監視センター300は、監視員が常駐し、道路600への人の侵入等を監視する。監視サーバ301は、監視センター300に常駐する監視員によって操作される情報処理装置である。監視サーバ300は、検知装置1から侵入通知を受信すると、道路600への人の侵入を監視員に通知する。監視員への通知は、スピーカーから警告音を出力してもよいし、ディスプレイに警告メッセージを出力してもよい。
【0021】
ネットワークN1は、情報処理装置を相互に通信可能に接続するコンピュータネットワークである。ネットワークN1は、例えば、インターネット、専用線、Local Ar
ea Network(LAN)であり、有線、無線を問わない。
【0022】
<検知装置1のハードウェア構成>
図2は、実施形態に係る検知装置のハードウェア構成の一例を示す図である。検知装置1は、Central Processing Unit(CPU)101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、接続端子105および接続バスB1を含む情報処理装置である。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104および接続端子105は、接続バスB1によって相互に接続されている。
【0023】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していても良い。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。検知装置1では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、検知装置1は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102および補助記憶部103は、検知装置1が読み取り可能な記録媒体である。
【0024】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)およびRead
Only Memory(ROM)を含む。
【0025】
補助記憶部103は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置および外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0026】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等であってもよい。
【0027】
通信部104は、例えば、ネットワークN1とのインターフェースである。通信部104は、ネットワークN1を介して外部の装置と通信を行う。
【0028】
接続端子105は、監視カメラ2等の外部機器を接続する端子である。接続端子105としては、例えば、Universal Serial Bus(USB)端子、High-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))端子等を挙げることができる。
【0029】
検知装置1は、例えば、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。このような入力部として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、加速度センサーあるいは音声入力装置といった入力デバイスを例示できる。
【0030】
検知装置1は、例えば、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを出力する出力部を備えるものとしてもよい。このような、出力部として、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal
Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルあるいはプリンタといった出力デバイスを例示できる。
【0031】
<検知装置1の処理ブロック>
図3は、実施形態に係る検知装置の処理ブロックの一例を示す図である。検知装置1は、取得部11、人検知部12、標識検知部13、判定部14、通知部15、人特徴量記憶部16および標識特徴量記憶部17を備える。検知装置1は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記検知装置1の、取得部11、人検知部12、標識検知部13、判定部14、通知部15、人特徴量記憶部16および標識特徴量記憶部17等の各部としての処理を実行する。
【0032】
人特徴量記憶部16は、監視カメラ2が撮影する映像における「人」を示す特徴量を記憶する。人特徴量記憶部16には、人であるか否かを判別できる程度の特徴量が記憶されていればよく、個々人を識別可能な程度までの特徴量が記憶されていなくともよい。標識特徴量記憶部17は、所定の標識を示す特徴量を記憶する。所定の標識は、例えば、道路600において実施される保守作業場所を示す標識を挙げることができる。本実施形態では、所定の標識として、「車両」を採用する。すなわち、本実施形態においては、標識特徴量記憶部17には、監視カメラ2が撮影する映像における「車両」を示す特徴量が記憶される。標識特徴量記憶部17には、車両であるか否かを判別できる程度の特徴量が記憶されていればよく、車両の車種やメーカー等を識別可能な程度までの特徴量が記憶されていなくともよい。人特徴量記憶部16および標識特徴量記憶部17は、例えば、補助記憶部103に構築される。
【0033】
取得部11は、監視カメラ2が撮影した道路600の映像を取得する。取得部11は、取得した道路600の映像を補助記憶部103に記憶させる。取得部11は、「取得部」の一例である。映像は、「撮像データ」の一例である。
【0034】
人検知部12は、取得部11が取得した映像を解析して、人を検知する。人検知部12は、例えば、取得部11が取得した映像から被写体の特徴点を抽出する。人検知部12は、抽出した特徴量と、人特徴量記憶部16が記憶する特徴量とを基に、映像に含まれる人の検知を行う。なお、人検知部12は、個々人を識別するような高精度の検知は行わなくともよく、人であるか否かの検知が行えればよい。
【0035】
標識検知部13は、取得部11が取得した映像を解析して、所定の標識を検知する。上
記の通り、本実施形態では標識として車両を採用するため、標識検知部13は車両を検知することとなる。標識検知部13は、例えば、取得部11が取得した映像から被写体の特徴点を抽出する。標識検知部13は、抽出した特徴量と、標識特徴量記憶部17が記憶する特徴量とを基に、映像に含まれる車両の検知を行う。なお、標識検知部13は、検知した車両がどのような車両であるかを特定するような高精度の検知は行わなくともよく、車両であるか否かの検知が行えればよい。
【0036】
判定部14は、標識検知部13が検知した車両が停止しているか否かを判定する。判定部14は、例えば、取得部11が取得した映像中の連続した複数フレームにおいて標識検知部13が検知した車両の位置(座標)が同じである場合に、車両が停止していると判定する。なお、判定部14は、標識検知部13が複数台の車両を検知した場合には、停止している車両が少なくとも一台存在しているか否かを判定すればよい。判定部14は、停止している車両が少なくとも一台存在している場合には、後述する通知部15による侵入通知の送信を抑止する。
【0037】
通知部15は、人検知部12が人を検知する場合に監視サーバ301へ侵入通知を送信する。なお、車両検知部13が検知した車両が停止している(移動していない)と判定部14が判定した場合、人検知部12が人を検知しても通知部15による侵入通知の送信は判定部14によって抑止される。通知部15は、「通知部」の一例である。
【0038】
ここで、本実施形態において、侵入通知の送信を抑止する状況と、侵入通知の送信を行う状況について、図面を参照してさらに説明する。
【0039】
(侵入通知の送信を抑止する場合)
図4は、実施形態において、通知部による侵入通知の送信を判定部が抑止する状況の一例を示す第1の図である。
図4では、道路600に対する保守作業を行う保守員P1、保守車両V1、ロードコーンC1、C1および一般車両V2が例示される。保守員P1は、道路600の保守作業の対象となる作業場所において、保守作業を実施する保守員である。保守車両V1は、保守員P1を作業場所に運搬する車両である。保守車両V1は、「保守作業中」である旨が記載された案内板V1aを備える。保守員P1を保守作業場所に運搬した保守車両V1は、作業場所に停止する。作業場所に停止した保守車両V1は、道路600を走行する周囲の車両(例えば、一般車両V2)に対して保守作業中である旨を案内板V1aによって通知する。また、作業場所には、作業対象場所の境界を示すロードコーンC1、C1が設置される。
【0040】
取得部11は、
図4に例示する状況を撮影した映像を監視カメラ2から取得する。取得した映像を基に、人検知部12が保守員P1を検知し、標識検知部13が保守車両V1および一般車両V2を検知する。この状況において、判定部14は、標識検知部13が検知した車両のうち保守車両V1が停止していることから、通知部15による侵入通知の送信を抑止する。
【0041】
図4に例示されるように、保守員P1が道路600の保守作業を行う場合、保守員P1の周囲(近傍)には、保守車両V1が停止する。自動車専用道路である道路600では、信号機が無い、または、信号機が極めて少ないため、道路600上で車両が停止することは少ない。このような道路600で停止している車両は保守車両V1に例示される保守作業に関連する車両である蓋然性が高い。また、停止している車両の近くに存在する人は保守員である蓋然性が高い。そこで、本実施形態では、取得部11が取得した映像中に停止した車両が検知されている場合には、人検知部12が人を検知していても、判定部14は通知部15による侵入通知の送信を抑止する。すなわち、本実施形態では、停止した車両とともに検知された人は道路600への立ち入りを許可された保守員に該当するものとし
て、侵入通知の対象から除外する。
【0042】
図5は、実施形態において、通知部による侵入通知の送信を判定部が抑止する状況の一例を示す第2の図である。
図5の例では、監視カメラ2が撮影した映像中に、
図4に例示される状況に加えて一般人P2が存在する。すなわち、
図5に例示される状況では、人検知部12は、取得部11が監視カメラ2から取得した映像を基に、保守員P1と一般人P2とを検知する。同様に、標識検知部13は、保守車両V1と一般車両V2とを検知する。本実施形態では、停止した車両を検知すると、人検知部12が検知した人の中に一般人が含まれる場合でも、判定部14は通知部15による侵入通知の送信を抑止する。
【0043】
上記の通り、道路600で停止している車両は保守作業に関連する車両である蓋然性が高い。このような車両の近傍には、保守員P1が少なくとも一名は存在すると考えられる。そのため、人検知部12が検知した複数の人の中に一般人P2が含まれていても、保守員P1が一般人P2の存在に気づくことが想定される。そのため、標識検知部13が検知した車両が停止している場合には、人検知部12が検知した人の中に一般人P2が含まれている状況を、侵入通知の対象から除外しても問題は少ないと考えられる。本実施形態では、人検知部12が検知した人が保守員P1であるか一般人P2であるかを条件とするのではなく、人とともに停止した車両が検知されたか否かによって、侵入通知を送信するか否かが判定される。そのため、上記の通り、検知した人が誰であるかを特定するような高精度の検知を人検知部12に実行させなくともよい。
【0044】
(侵入通知の送信を抑止しない場合)
図6は、実施形態において、判定部が侵入通知の送信を抑止しない状況の一例を示す第1の図である。すなわち、
図6が例示する状況は、通知部15が侵入通知を送信する状況の一例である。
図6の例では、監視カメラ2が撮影した映像中に、道路600に侵入した一般人P2および道路600を走行する一般車両V2が存在する。すなわち、
図6の場合、人検知部12は一般人P2を検知し、標識検知部13は一般車両V2を検知する。判定部14は、標識検知部13が検知した一般車両V2が走行している(停止していない)ため、通知部15による侵入通知の送信を抑止しない。その結果、通知部15は、一般人P2の道路600への侵入を通知する侵入通知を監視サーバ301に送信する。
【0045】
図7は、実施形態において、判定部が侵入通知の送信を抑止しない状況の一例を示す第2の図である。すなわち、
図7が例示する状況も、通知部15が侵入通知を送信する状況の一例である。
図7の例では、監視カメラ2が撮影した映像中に、保守車両V1と、道路600に侵入した一般人P2が存在する。
図7の状況では、保守車両V1は作業場所に向かってロードコーンC1、C1を積載した状態で道路600を走行中である。すなわち、
図7に例示される状況の場合、人検知部12は一般人P2を検知し、標識検知部13は保守車両V1を検知する。
【0046】
判定部14は、標識検知部13が検知した保守車両V1が走行している(停止していない)ため、通知部15による侵入通知の送信を抑止しない。その結果、通知部15は、一般人P2の道路600への侵入を通知する侵入通知を監視サーバ301に送信する。本実施形態では、標識検知部13が検知した車両が保守車両V1であるか一般車両V2であるかを条件とするのではなく、人とともに検知された車両が停止しているか否かによって、侵入通知を送信するか否かが判定される。そのため、上記の通り、検知した車両がどのような車両であるかを特定するような高精度の検知を標識検知部13に実行させなくともよい。
【0047】
<処理フロー>
図8は、実施形態に係る侵入検知システムの処理フローの一例である。以下、
図8を参
照して、実施形態に係る侵入検知システム500の処理フローの一例について説明する。
【0048】
T1では、取得部11は、監視カメラ2が撮影した映像を取得する。取得部11は、取得した映像を補助記憶部103に記憶させる。
【0049】
T2では、人検知部12は、T1で取得した映像から被写体の特徴量を抽出する。人検知部12は、抽出した特徴量と、人特徴量記憶部16が記憶する特徴量とを基に、T1で取得した映像から人の検知を行う。T1で取得した映像から人が検知される場合(T2でYES)、処理はT3に進められる。T1で取得した映像から人が検知されない場合(T2でNO)、処理は終了する。なお、人の検知は、精度を高めるため、複数フレーム連続してT2でYESとなった場合、T3に処理を進めるようにしてもよい。
【0050】
T3では、標識検知部13は、T1で取得した映像から被写体の特徴量を抽出する。標識検知部13は、抽出した特徴量と、標識特徴量記憶部17が記憶する特徴量とを基に、T1で取得した映像から車両の検知を行う。T1で取得した映像から車両が検知される場合(T3でYES)、処理はT4に進められる。T1で取得した映像から車両が検知されない場合(T3でNO)、侵入者があったと判定して処理はT5に進む。
【0051】
T4では、判定部14は、T3で検知した車両が停止しているか否かを判定する。なお、T3において複数台の車両が検知されている場合、判定部14は、停止している車両が少なくとも一台存在するか否かを判定すればよい。T3で検知した車両のうち停止している車両が存在する場合(T4でYES)、処理は終了される。T3で検知した車両がいずれも停止していない場合(T4でNO)、処理はT5に進められる。
【0052】
T5では、通知部15は、侵入通知を監視サーバ301に送信する。侵入通知を受信した監視サーバ301は、道路600への人の侵入を監視員に通知する。
【0053】
T6では、取得部11は、次の検知を行うか判定する。周期的に検知を行う場合には(T6で周期的)、取得部11は処理をT7に進める。連続的に検知を行う場合には(T6で連続)、取得部11は処理をT1に進める。次の検知を行わない場合には(T6でNO)、処理は終了される。なお、T6における判定に用いる情報(周期的に検知を行うか、連続的に検知を行うか否か、次の検知を行わないかを示す情報)は、例えば、監視員によって決定され、補助記憶部103に記憶される。
【0054】
T7では、取得部11は、次の検知周期まで待機した後、処理をT1に進める。なお、検知周期を示す情報は、例えば、監視員によって決定され、補助記憶部103に記憶されればよい。
【0055】
<実施形態の作用効果>
上記の通り、自動車専用道路である道路600で停止する車両は保守車両V1に例示される保守作業に関連する車両である蓋然性が高い。また、このような停止している車両の近くに存在する人は保守員P1に例示されるような、道路600で保守作業を行う保守員である蓋然性が高い。本実施形態では、保守員である蓋然性が高い人か否かを停止した車両の有無で判定し、保守員である蓋然性が高い場合には監視サーバ301への侵入通知を抑止する。このよう構成を採用することで、実施形態に係る侵入検知システム500は、道路600への立ち入りを許可された人についてまで侵入通知を送信することが抑止される。
【0056】
本実施形態によれば、道路600への立ち入りを許可された人についてまで侵入通知を送信することが抑止されるため、侵入通知が誤報である場合に監視センター300に常駐
する監視員が道路600への侵入の有無を確認する手間を低減できる。
【0057】
実施形態では、人検知部12は、検知した人が誰であるかを特定するような高精度の検知は行わなくともよく、人であるか否かの検知が行えればよい。また、標識検知部13は、検知した車両がどのような車両であるかを特定するような高精度の検知は行わなくともよく、車両であるか否かの検知が行えればよい。そのため、人検知部12および標識検知部13がより高精度な検知を行う場合と比較して、検知装置1の処理負荷を低減できる。また、人検知部12および標識検知部13が高精度の検知を行わないことで、監視カメラ2としてより低解像度のカメラ(すなわち、より安価なカメラ)を採用することができる。そのため、実施形態によれば、侵入検知システム500の構築費を低減することができる。
【0058】
<第1変形例>
実施形態では、同じ映像内に人と停止した車両とが含まれる場合に、侵入通知の送信が抑止される。第1変形例では、侵入通知の送信を抑止した後に、停止していた車両が監視カメラ2の撮影範囲外に移動しても、侵入通知の送信を抑止する構成について説明する。実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して、第1変形例について説明する。
【0059】
図9は、第1変形例に係る検知装置の処理ブロックの一例を示す図である。
図9に例示される検知装置1aは、人検知部12に代えて人検知部12aを備える点で、実施形態に係る検知装置1とは異なる。
【0060】
人検知部12aは、映像中の人の検知を行うことに加えて、停止している車両とともに検知された人の追跡を行う。人検知部12aが人を追跡する方法には特に限定はなく、様々な公知技術を適用可能である。人検知部12aは、例えば、映像中において検知した人を矩形で囲み、当該矩形の映像中における移動を追跡してもよい。
【0061】
図10は、第1変形例において侵入通知の送信を抑止する状況の一例を示す図である。
図10(A)では、保守員P1とともに、停止している保守車両V1が例示される。判定部14aは、
図10(A)の状況では、停止している保守車両V1とともに映像内に存在する保守員P1を矩形R2で囲み、追跡対象とする。
図10(B)では、
図10(A)の後に保守車両V1が監視カメラ2の撮影範囲外に移動した状況を例示する。人検知部12aは、保守員P1を矩形R2で囲んで追跡しているため、通知部15による侵入通知の送信を抑止する。
【0062】
図11は、第1変形例に係る侵入検知システムの処理フローの一例である。以下、
図11を参照して、第1変形例に係る侵入検知システムの処理フローの一例について説明する。
【0063】
T21では、人検知部12aは、T2で検知した人が追跡対象の人であるか否かを判定する。追跡対象の人である場合(T21でYES)、処理は終了される。追跡対象の人ではない場合(T21でNO)、処理はT3に進められる。
【0064】
第1変形例では、T4において肯定判定(T4でYES)の場合、処理はT22に進められる。T4において否定判定(T4でNO)の場合、処理はT5に進められる。
【0065】
T22では、人検知部12aは、T2で検知した人の追跡を開始する。人検知部12aは、例えば、T2で検知した人の周囲を矩形R2で囲み、矩形R2の映像中における移動を追跡する。
【0066】
第1変形例によれば、停止した車両とともに検知された人であれば、その後に車両が監視カメラ2の撮影範囲外に移動した後でも、侵入通知の送信対象外とすることができる。
【0067】
第1変形例において、保守員P1が人検知部12aによる追跡対象となっている状況において、新たに一般人P2が監視カメラ2の映像中に現れる状況を
図12に例示する。このような場合においても、第1変形例では、人検知部12aが保守員P1を追跡対象としていることから、侵入通知が抑止される。保守員P1が一般人P2の存在に気づくことが想定されるため、このような場合に侵入通知の送信を抑止しても問題は少ないと考えられる。
【0068】
<第2変形例>
実施形態では、同じ映像内に人と停止した車両とが含まれる場合に、侵入通知の送信が抑止される例を示したが、半天球カメラ等の広い範囲を撮影できる広角カメラを使用する場合は、停止した車両と人が離れていても車両に関連づいた保守員と判定されてしまい、侵入通知の送信が抑止される可能性がある。第2変形例では、カメラ画像から人を検出した場合に、検出した人の座標の周囲に、車両の有無で侵入通知の送信を抑止するか否かを判定する領域を定義し、その領域内に車両が存在する、あるいはその車両が停止していた場合に送信を抑止する方法について説明する。
【0069】
図13は、第2変形例における、画像の中に進入通知の送信を抑止する標識の存在範囲を限定した例を示す図である。
図13はその様子を示したもので、画像から保守員P1を検出すると保守員P1の周囲に抑止領域101を設定し、一般人P2を検出することで一般人P2の周囲に抑止領域102を設定する。
図13の例では、抑止領域101の中に車両V3が含まれるため、保守員P1については侵入通知の送信を抑止する。一方、抑止領域102の中に車両が含まれないため、一般人P2については侵入通知を送信することになる。このように、検出した人毎に抑止領域を設定することで、侵入通知の通知漏れを防ぐことが可能になる。この効果は半天球カメラなど一台のカメラで広い領域を監視するカメラにおいて特に有効となる。
【0070】
<第3変形例>
実施形態では、フローチャートを使って説明を行ったので標識として車両だけを対象として判定している。しかし所定の標識となるものは、車両だけでなく、ロードコーンや工事を示す案内板であってもよく、さらにこれらを組み合わせて判定してもよい。これらの組合せを判定の分岐で表現すると複雑になって実装が難しい。このような場合は、判定材料となる所定の標識の検出状態を判定テーブルに記憶させ、判定テーブルを参照して判定することで、様々な状況に対応できるようになる。また判定テーブルには検出時刻の異なる情報を格納することで、時間的な変化に対応した判定も可能となる。第3変形例では、このような判定テーブルを用いた判定について説明する。
【0071】
図14は、第3変形例に係る判定テーブルの一例を示す図である。
図14に例示される判定テーブル14aは、例えば、補助記憶部103に記憶される。第3変形例では、判定部14は、判定テーブル14aを参照して、侵入通知の有無を判定する。
【0072】
図14に例示される判定テーブル14aは、人の検知結果と車両の検知結果とロードコーンの検知結果、およびそれぞれの検知結果について前回と今回の検知結果から侵入通知の有無の判定に用いるテーブルの例である。判定テーブル14aは、例えば、補助記憶部103に記憶れる。判定テーブル14aは、「No.」、「前回検知結果」、「今回検知結果」および「侵入通知」の各項目を含む。
【0073】
「前回検知結果」および「今回検知結果」のそれぞれは、「人」、「車両」、「ロードコーン」の各項目を含む。「人」、「車両」および「ロードコーン」の各項目において、「‐(ハイフン)」は検知していない状態を示し、「検知」は検知した状態を示す。「*」は検知していてもいなくてもよいことを示す。また、「人」、「車両」および「ロードコーン」の各項目において、「移動」「停止」は前回検知結果に対して、今回検知結果の検知座標の変化が所定範囲内で停止と見なせる場合は「停止」とし、所定以上の座標変化が検出された場合は「移動」とする。
【0074】
A1からA4は、車両やロードコーンなど所定の標識の有無にかかわらない場合の判定を例示する。判定部14は、前回検知結果と今回検知結果の2回続けて人を検知した場合のみ侵入通知の抑止を行わない(すなわち、通知部15が侵入通知を送信する)ことで、画像のノイズに起因する一過性の誤検知で侵入通知が送信されることを防ぐことができる。
【0075】
B1およびB2は、車両の検知と人の検知の組合せの判定に関するもので、B2では人を検知して車両が移動しているので判定部14は侵入通知の送信を抑止しないが、B1は車両が停止しているので保守車両と保守員を検知したと判定して判定部14は侵入通知の送信を抑止する。この判定により不要な侵入通知を抑止するという効果を得ることができる。
【0076】
C1およびC2は、ロードコーンの検知と人の検知の組合せの判定に関するものである。C1では設置されたロードコーンと人が同時に検知されたので、判定部14は、人は作業員と判定して侵入通知の送信を抑止する。C2ではロードコーンが移動しており、人がロードコーンを持って工事エリアの設営を行っていると判定できるので、この場合も判定部14は侵入通知の送信を抑止する。判定テーブル14aを用いることで、このように標識の違いによって判定を変えることも容易にできる。
【0077】
D1からD5は、車両とロードコーンと人の検知の組合せの判定に関するものである。D1からD3は車両かロードコーンのいずれかが停止しているので、判定部14は、検知された人は工事に関係する人と判定して侵入通知の送信を抑止する。D4では、車両とロードコーンが移動していることから、工事が終了して作業員がロードコーンを片付けていると考えられるため、判定部14は侵入通知の送信を抑止する。D5で車両とロードコーンが移動した後も人だけが長時間居続ける場合は何等かの異変があったと判定して警報を出すようにしてもよい。経過時間で判定を変える場合は経過時間に相当する前の検出結果も取り込んで判定テーブル14aを構成することで、様々な状況を判定して侵入通知の有無を適切に設定することが可能となる。
【0078】
<その他の変形例>
実施形態に係る侵入検知システム500は道路600への人の侵入を検知したが、侵入検知システムが人の侵入を検知する対象は道路600に限定されない。侵入検知システムは、例えば、鉄道の線路への人の侵入や空港の滑走路への人の侵入を検知してもよい。線路への人の侵入を検知する場合、所定の標識として線路の保守作業等に用いられるレール削正車、電気検測車、排雪列車等の保守車両を採用し、当該保守車両の特徴量を標識特徴量記憶部17に記憶させればよい。その上で、標識検知部13が映像中の保守車両を検知し、判定部14が当該保守車両の停止または移動を判定すればよい。また、空港の滑走路への人の侵入を検知する場合も同様に、所定の標識として滑走路の保守作業等に用いるトーイングカー、カーゴトラクター、ハイリフトローダー等の保守車両を所定の標識として採用すればよい。
【0079】
実施形態では、所定の標識として「車両」が採用されたが、所定の標識が車両に限定さ
れるわけではない。所定の標識は、例えば、ロードコーンや工事を示す案内板であってもよい。例えば、
図4に例示する状況において、標識検知部13がロードコーンC1を検知し、人とともにロードコーンC1が検知された場合に侵入通知の送信が抑止されてもよい。標識検知部13がロードコーンを検知する場合、標識特徴量記憶部17には、ロードコーンを示す特徴量が記憶されればよい。
【0080】
なお、ロードコーンC1そのものは道路600を走行するものではないため、判定部14によるロードコーンC1が停止しているか否かの判定は省略してもよい。ただし、
図7に例示するように、保守車両V1がロードコーンC1を積載して作業場所に向かう状況も考えられる。このような状況も考慮すると、所定の標識としてロードコーンC1を採用する場合でも、ロードコーンC1が停止しているか否かを判定部14が判定する方がより好ましい。
【0081】
実施形態では、監視カメラ2として360度半天球カメラを採用したが、監視カメラ2が360度半天球カメラに限定されるわけではない。監視カメラ2は、道路600を撮影可能であれば、360度半天球カメラ以外の通常のカメラをであってもよい。なお、監視カメラ2を360度半天球カメラとすることで、監視カメラ2による撮影範囲を可及的に拡大することができるため、道路600への監視カメラ2の設置台数を削減することができ、侵入検知システム500の設置費用を低減できる。
【0082】
実施形態では、検知装置1は、侵入通知を監視サーバ301に送信し、侵入通知を受信した監視サーバ301は道路600への人の侵入を監視員に通知するが、監視サーバ301は、例えば、道路600に設置された電光掲示板やスピーカー等を介して、道路600に侵入した一般人P2に対して道路600からの立ち退きを促すメッセージを出力してもよい。なお、立ち退きを促すメッセージは、検知装置1が道路600に設置された電光掲示板やスピーカー等を介して出力してもよい。
【0083】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0084】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0085】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0086】
1、1a・・・検知装置
101・・・CPU
102・・・主記憶部
103・・・補助記憶部
104・・・通信部
105・・・接続端子
11・・・取得部
12・・・人検知部
13・・・標識検知部
14・・・判定部
15・・・通知部
16・・・人特徴量記憶部
17・・・標識特徴量記憶部
101、102・・・抑止領域
300・・・監視センター
301・・・監視サーバ
500・・・侵入検知システム
600・・・道路
B1・・・接続バス
V1・・・保守車両
V1a・・・案内板
V2・・・一般車両
P1・・・保守員
P2・・・一般人
C1・・・ロードコーン
R1・・・領域
R2・・・矩形