IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図1
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図2
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図3
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図4
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図5
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図6
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図7
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図8
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図9
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図10
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図11
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図12
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図13
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20231128BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231128BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231128BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
G03G21/00 574
G03G15/01 J
B41J2/01
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019172691
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021049669
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸民
(72)【発明者】
【氏名】日吉 唯
(72)【発明者】
【氏名】三好 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】清本 博史
(72)【発明者】
【氏名】村田 弘
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-043647(JP,A)
【文献】特開2007-015327(JP,A)
【文献】特開2016-175307(JP,A)
【文献】特開平05-048855(JP,A)
【文献】特開2001-271016(JP,A)
【文献】特開2014-132311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00 - 21/18
B41J 5/00 - 5/52
B41J 2/01 - 2/215
G03G 21/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消色可能な記録材を保持する記録材保持部と、
前記消色可能な記録材を消色して無色透明の記録材にする消色部と、
前記消色可能な記録材で画像形成媒体に第1の画像を形成し、前記画像形成媒体の前記第1の画像が形成される領域を含む領域のうち、前記第1の画像が形成される領域以外の領域に、前記無色透明の記録材で第2の画像を形成する形成部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の画像は、予め定められたパターンで塗りつぶした画像である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
消色可能な記録材で画像形成媒体に第1の画像を形成し、前記消色可能な記録材を消色して無色透明の記録材にし、前記画像形成媒体の前記第1の画像が形成される領域を含む領域のうち、前記第1の画像が形成される領域以外の領域に、前記無色透明の記録材で第2の画像を形成する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消色可能なインク又は消色可能なトナーなどの消色可能な記録材を用いて、画像形成媒体に印刷できるプリンター(画像形成装置)がある。消色可能な記録材は、所定の温度で消色して不可視の状態となる。
しかしながら、消色した記録材は、視認できてしまう場合がある。これは、光の散乱及び反射の具合などによると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-78808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、消色後の記録材を目立たないようにする画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、記録材保持部と、消色部と、形成部と、を備える。記録材保持部は、消色可能な記録材を保持する。消色部は、前記消色可能な記録材を消色して無色透明の記録材にする。形成部は、前記消色可能な記録材で画像形成媒体に第1の画像を形成し、前記画像形成媒体の前記第1の画像が形成される領域を含む領域のうち、前記第1の画像が形成される領域以外の領域に、前記無色透明の記録材で第2の画像を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るインクジェット記録装置の構成の一例を示す図。
図2図1中のインクジェット記録装置の要部回路構成を示すブロック図。
図3図2中のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
図4】実施形態に係る印刷用の画像の一例を示す図。
図5】実施形態に係る領域の一例を示す図。
図6】領域内を波状のパターンで塗りつぶした例を示す図。
図7】消え跡軽減処理を実行せずに印刷を行った場合の画像形成媒体の断面図。
図8】消え跡軽減処理を実行せずに印刷を行った場合の画像形成媒体に対して消色を行ったものの断面図。
図9】消え跡軽減処理を実行して印刷を行った場合の画像形成媒体の断面図。
図10】消え跡軽減処理を実行して印刷を行った場合の画像形成媒体に対して消色を行ったものの断面図。
図11】第2実施形態に係るインクジェット記録装置の構成の一例を示す図。
図12】第3実施形態に係るMFPの構成の一例を示す図。
図13図12中のMFPの要部回路構成を示すブロック図。
図14図13中のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、いくつかの実施形態に係る画像形成装置について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
【0008】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成の一例を示す図である。なお、インクジェット記録装置1は、画像形成装置の一例である。
インクジェット記録装置1は、消色可能なインクを用いて画像形成媒体Sなどに画像を形成する装置である。また、インクジェット記録装置1は、画像形成媒体Sに形成された画像が消色された後に、当該画像を見えにくくする消え跡軽減機能を有する。インクジェット記録装置1は、一例として、液体吐出部2、ヘッド支持機構3、媒体支持機構4及びインクカートリッジ5を備える。
【0009】
インクジェット記録装置1は、図1に示すように、一例として液体吐出部2a及び液体吐出部2bの2つの液体吐出部2を備える。
液体吐出部2は、インクカートリッジ5から供給されるインクなどの液体を吐出する吐出動作を行う。これにより、画像形成媒体Sなどに画像を形成する。液体吐出部2aは、消色可能なインクを吐出する。液体吐出部2bは、無色透明のインクを吐出する。消色可能なインクは、例えば、所定の温度に達しない状態では顕色(発色)しており、所定の温度に達すると、消色して無色透明となる。したがって、消色可能なインクで印刷された画像は、温度によって可視状態、不可視状態の何れかになる。なお、所定の温度に達して消色したインクは、所定の温度より低くなっても消色したままである。無色透明のインクは、例えば、消色可能なインクを消色した状態のインクである。あるいは、無色透明のインクは、例えば、消色可能なインクを消色した状態のインクと屈折率などの物性が近い液体である。なお、インクは、記録材の一例である。また、液体吐出部2は、画像形成媒体Sに画像を形成する形成部の一例である。
液体吐出部2は、インクジェットヘッド及びインク供給装置22を備える。
【0010】
インクジェットヘッド21は、インク供給装置22から供給される液体を吐出する。なお、液体吐出部2aが備えるインクジェットヘッド21をインクジェットヘッド21aと称する。また、液体吐出部2bが備えるインクジェットヘッド21をインクジェットヘッド21bと称する。
インク供給装置22は、インクカートリッジ5が保有する液体をインクジェットヘッド21に供給する。
【0011】
ヘッド支持機構3は、複数の液体吐出部2を、所定の方向に並列に配置した状態で指示する。ヘッド支持機構3は、液体吐出部2を移動可能に支持する。
媒体支持機構4は、画像形成媒体Sを移動可能に支持する。画像形成媒体Sは、例えば、シート状の紙などである。
【0012】
インクジェット記録装置1は、一例としてインクカートリッジ5a及びインクカートリッジ5bの2つのインクカートリッジ5を備える。
インクカートリッジ5は、液体を保有可能なタンクを備える。インクカートリッジ5が保有する液体は、液体吐出部2に供給される。インクカートリッジ5aは、消色可能なインクをタンクに保有する。インクカートリッジ5bは、無色透明のインクをタンクに保有する。インクカートリッジ5aが保有する液体は、液体吐出部2aに供給される。インクカートリッジ5bが保有する液体は、液体吐出部2bに供給される。インクカートリッジ5aは、消色可能なインクを保持する。第1の記録材保持部の一例である。インクカートリッジ5bは、無色透明のインクを保持する第2の記録材保持部の一例である。
【0013】
図1に示すインクジェット記録装置1は、一例として、ヘッド支持機構3を主走査方向Aに往復移動させながら吐出動作を行うことで、対向して配置される画像形成媒体Sに所望の画像を形成するスキャン方式である。しかしながら、インクジェット記録装置1は、ヘッド支持機構3を移動させずに吐出動作を行うシングルパス方式であっても良い。この場合、ローラー3a及びベルト3bを設けるには及ばない。またこの場合、ヘッド支持機構3は、例えばインクジェット記録装置1の筐体などに固定される。
【0014】
図2は、インクジェット記録装置1の要部回路構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、一例として、プロセッサー101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶デバイス104、操作パネル105、通信インターフェース106、ヘッド駆動回路107、ポンプ駆動回路108及びモーター駆動回路109を含む。そして、バス110などが、これら各部を接続する。
【0015】
プロセッサー101は、インクジェット記録装置1の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー101は、ROM102又は補助記憶デバイス104などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、インクジェット記録装置1の各種の機能を実現するべく各部を制御する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー101の回路内に組み込まれていても良い。プロセッサー101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0016】
ROM102は、プロセッサー101を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
【0017】
RAM103は、プロセッサー101を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM103は、典型的には揮発性メモリである。
【0018】
補助記憶デバイス104は、プロセッサー101を中枢とするコンピューターの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス104は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶デバイス104は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶デバイス104は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー101での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを保存する。
なお、インクジェット記録装置1は、補助記憶デバイス104として、メモリカード又はUSB(universal serial bus)メモリなどの記憶媒体を挿入可能なインターフェースを備えていてもよい。当該インターフェースは、当該記憶媒体に対して情報の読み書きを行う。
【0019】
ROM102又は補助記憶デバイス104に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するためのプログラムを含む。一例として、インクジェット記録装置1は、当該プログラムがROM102又は補助記憶デバイス104に記憶された状態でインクジェット記録装置1の管理者などへと譲渡される。しかしながら、インクジェット記録装置1は、当該プログラムがROM102又は補助記憶デバイス104に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、インクジェット記録装置1は、当該プログラムとは別のプログラムがROM102又は補助記憶デバイス104に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、後述する処理を実行するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM102又は補助記憶デバイス104へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、ディスクメディア又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークNWなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0020】
操作パネル105は、インクジェット記録装置1とインクジェット記録装置1の操作者との間で入出力を行うマンマシンインターフェースなどを備える。操作パネル105は、例えば、当該操作者が操作するためのボタン及びタッチパネルなどを備える。当該タッチパネルは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどのディスプレイとタッチ入力によるポインティングデバイスとが積層されたものである。したがって当該ボタン及びタッチパネルは、当該操作者による操作を受け付ける入力デバイスとして機能する。また、当該タッチパネルが備えるディスプレイは、当該操作者に各種情報を通知する表示デバイスとして機能する。
【0021】
通信インターフェース106は、インクジェット記録装置1がネットワークNW又は通信ケーブルなどを介してホストコンピューターなどと通信するためのインターフェースである。
【0022】
ヘッド駆動回路107は、各インクジェットヘッド21に搭載される。ヘッド駆動回路107は、プリントデータに基づきインクジェットヘッド21を駆動させるための回路である。ヘッド駆動回路107は、プリントデータに基づく駆動信号をインクジェットヘッド21に印加することで、インクジェットヘッド21から液体を吐出させる。
【0023】
ポンプ駆動回路108は、ポンプ1081を駆動させるための回路である。ポンプ1081は、インクカートリッジ5内のインクをインク供給装置に送る。
【0024】
モーター駆動回路109は、モーター1091及びモーター1092を駆動させるための回路である。モーター1091は、画像形成媒体Sを搬送する搬送機構を駆動させる駆動源である。モーター1092は、ローラー3aを駆動させる駆動源である。
【0025】
バス110は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、インクジェット記録装置1の各部で授受される信号を伝送する。
【0026】
以下、第1実施形態に係るインクジェット記録装置1の動作を図3などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。図3は、インクジェット記録装置1のプロセッサー101による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー101は、例えば、ROM102又は補助記憶デバイス104などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
【0027】
図3のACT11においてインクジェット記録装置1のプロセッサー101は、印刷を実行するか否かを判定する。プロセッサー101は、例えば、印刷を実行するように指示する指示情報を通信インターフェース106が受信したならば、印刷を実行すると判定する。あるいは、プロセッサー101は、操作パネル105に対して、印刷を実行するように指示する操作が行われたことに応じて、印刷を実行すると判定する。プロセッサー101は、印刷を実行すると判定しないならば、ACT11においてNoと判定してACT11を繰り返す。対して、プロセッサー101は、印刷を実行すると判定するならば、ACT11においてYesと判定してACT12へと進む。
【0028】
ACT12においてプロセッサー101は、印刷対象の画像を取得する。例えば、当該画像は、例えば、指示情報に含まれる。プロセッサー101は、指示情報に含まれる当該画像を取得する。あるいは、プロセッサー101は、当該画像を補助記憶デバイス104などから読み込む。あるいは、プロセッサー101は、当該画像を、スキャナーなどを用いて読み込む。
【0029】
ACT13においてプロセッサー101は、ACT12で取得した画像を画像処理することで、印刷用の画像に変換する。印刷用の画像は、画像形成媒体Sのどこにインクを吐出する必要があるかが分かるような画像である。
【0030】
図4は、印刷用の画像200の一例を示す図である。画像200の大きさは、画像形成媒体S上に形成可能な最大の画像の範囲と一致する。画像200は、少なくとも1つの領域201及び領域202を含む。領域201は、消色可能なインクによる画像が形成される領域である。領域201は、図4では、「a」、「b」及び「c」の各文字部分である。これに対し、領域202は、画像200から、「a」、「b」及び「c」の3文字全てを除いた背景部分である。また、図4には領域203も示す。領域203は、後でも説明するが、無色透明のインクによる画像が形成される領域である。
【0031】
ACT14においてプロセッサー101は、消え跡軽減処理を実行するか否かを判定する。例えば、プロセッサー101は、インクジェット記録装置1の設定が、消え跡軽減機能を有効にするような設定になっている場合に、消え跡軽減処理を実行すると判定する。また、プロセッサー101は、指示情報に、消え跡軽減処理を実行するように指示する情報が含まれる場合に、消え跡軽減処理を実行すると判定する。プロセッサー101は、消え跡軽減機能を実行すると判定しないならば、ACT14においてNoと判定してACT15へと進む。
【0032】
ACT15においてプロセッサー101は、インクジェットヘッド21aに領域201にあたる画像を印刷させる。このために、プロセッサー101は、領域201部分の印刷用データをインクジェットヘッド21aに送信する。当該印刷用データを受信したインクジェットヘッド21aは、消色可能なインクを画像形成媒体Sに吐出することで、画像200のうちの領域201を画像形成媒体Sに形成する。プロセッサー101は、ACT15の処理の後、ACT11へと戻る。
【0033】
対して、プロセッサー101は、消え跡軽減処理を実行すると判定するならば、ACT14においてYesと判定してACT16へと進む。
ACT16においてプロセッサー101は、領域201の反転画像を生成する。当該反転画像は、無色透明のインクによる画像が形成される部分を示す。図4に示す領域203が領域201の反転画像にあたる。領域203は、少なくとも1つの領域201を包含する領域(以下「包含領域」という。)から領域201を除いた領域である。包含領域の形状は、例えば長方形であるが、他の形状であっても良い。また、領域203は、領域202と一致していても良いし一致していなくても良い。図4に示す領域203は、領域202より狭い領域である。
図5に領域203を抜き出して示す。図5は、領域203の一例を示す図である。領域203は、図5に示すように、長方形から「a」、「b」及び「c」の3文字を除いた部分である。
【0034】
また、プロセッサー101は、画像処理により、領域203内を、べた塗りで塗りつぶす。ここで塗りつぶされる部分は、無色透明のインクの吐出が必要な部分であることを示す。これにより、領域203内は全て無色透明のインクの吐出が必要な部分となる。あるいは、プロセッサー101は、画像処理により、領域203内をモザイク状のパターン、波状のパターン、又は文字のような形状を重ねて並べたようなパターンなどの特定のパターンで塗りつぶしても良い。これにより、領域203内は、無色透明のインクの吐出が必要な部分と吐出が不要な部分を含む状態となる。インクジェット記録装置1は、このように、領域203内を特定のパターンで塗りつぶすことにより、べた塗りの場合よりも無色透明のインクの使用量を減らすことができる。
図6は、領域203内を波状のパターンで塗りつぶした例を示す図である。領域203のうちの黒い部分203aが無色透明のインクの吐出が必要な部分で、白い部分203bが無色透明のインクの吐出が不要な部分である。
【0035】
ACT17においてプロセッサー101は、インクジェットヘッド21aに領域201にあたる画像を印刷させる。このために、プロセッサー101は、領域201部分の印刷用データをインクジェットヘッド21aに送信する。
【0036】
ACT18においてプロセッサー101は、インクジェットヘッド21bに領域203にあたる画像を印刷させる。このために、プロセッサー101は、領域203部分の印刷用データをインクジェットヘッド21bに送信する。プロセッサー101は、ACT18の処理の後、ACT11へと戻る。
ACT16~ACT18の処理により、画像形成媒体Sには、消色可能なインクによって領域201にあたる画像が形成され、無色透明なインクによって領域203にあたる画像が形成される。消色可能なインクによって画像形成媒体Sに形成された画像は、第1の画像の一例である。無色透明なインクによって画像形成媒体Sに形成された画像は、第2の画像の一例である。
【0037】
上記の印刷用データを受信したインクジェットヘッド21aは、消色可能なインクを画像形成媒体Sに吐出することで、画像200のうちの領域201を画像形成媒体Sに形成する。そして、上記の印刷用データを受信したインクジェットヘッド21bは、無色透明のインクを画像形成媒体Sに吐出することで、画像200のうちの領域203を画像形成媒体Sに形成する。なお、領域203が特定のパターンで塗りつぶされている場合には、画像形成媒体S上に形成された領域203は、無色透明のインクが吐出された部分と吐出されない部分とにより、当該特定のパターンが形成される。
【0038】
図7図10を用いて消え跡軽減処理の効果について説明する。
図7は、消え跡軽減処理を実行せずに印刷を行った場合の画像形成媒体Sの断面図である。すなわち、図7は、ACT15の処理によって印刷された画像形成媒体Sの断面図である。図7の画像形成媒体S上には、消色可能なインクによって画像211aが形成されている。画像211aは、図4の画像200では、領域201にあたる。図7の画像211aは、光Lが当たると、画像形成媒体S表面に光Lが当たった場合よりも多くの光を吸収する。これにより、画像211aは、はっきりと視認可能である。
【0039】
図8は、消え跡軽減処理を実行せずに印刷を行った場合の画像形成媒体Sに対して消色を行ったものの断面図である。すなわち、図8は、図7に示す画像形成媒体Sに対して消色を行ったものを示す。図8の画像211bは、図7の画像211aが加熱されて消色されたものである。画像211bは、透明であるので、画像211bを透過した光Lは、画像形成媒体Sの表面と同じような反射及び散乱をすると考えられる。したがって、画像211bは、視認しにくくなっている。しかしながら、画像211b表面に当たった光Lは、画像形成媒体Sと異なる反射及び散乱をすると考えられるので、光の当たり具合などによって画像211bの視認が可能となる。また、画像211bが視認可能となる要因として、屈折も考えられる。
なお、上述の、画像211bが視認可能となる理由には推測が含まれており、不正確な説明を含む可能性がある。
【0040】
図9は、消え跡軽減処理を実行して印刷を行った場合の画像形成媒体Sの断面図である。すなわち、図9は、ACT17及びACT18の処理によって印刷された画像形成媒体Sの断面図である。図9の画像形成媒体S上には、図7と同様に消色可能なインクによって画像211aが形成されている。また、図9の画像形成媒体S上には、画像211aに隣接するように無色透明のインクによって画像212が形成されている。画像212は、図4の画像200では、領域203にあたる。図9の画像211aは、はっきりと視認可能である。画像212に光Lが当たった場合よりも多くの光を吸収する。これにより、図9の画像211aも図7と同様にはっきりと視認可能である。
【0041】
図10は、消え跡軽減処理を実行して印刷を行った場合の画像形成媒体Sに対して消色を行ったものの断面図である。すなわち、図10は、図9に示す画像形成媒体Sに対して消色を行ったものを示す。図10の画像211bは、図9の画像211aが加熱されて消色されたものである。画像211bを形成する液体と画像212を形成する液体は同一の液体、あるいは似た物性の液体である。したがって、画像211b表面に当たった光Lは、画像212表面に当たった光Lと同じように反射及び散乱をする。また、画像211bを透過する光Lも、画像212を透過する光を同じように反射及び散乱をする。以上より、画像211bと画像212の境界が分かりにくくなっており、画像211bを視認することができない。あるいは、画像211bを視認することが図8の場合よりも困難である。
【0042】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、無色透明のインクを消色可能なインクとは別に用意する必要がないインクジェット記録装置1bについての実施形態である。
図11は、第2実施形態に係るインクジェット記録装置1bの構成の一例を示す図である。インクジェット記録装置1bは、第1実施形態のインクジェット記録装置1のインクカートリッジ5bに代えてインク加熱部6を備える。
【0043】
インク加熱部6は、インクカートリッジ5aが保有する液体が供給される。インク加熱部6は、供給された液体を加熱する。すなわち、インク加熱部6は、インクカートリッジ5aから供給される消色可能なインクを消色する。また、インク加熱部6によって加熱された液体は、液体吐出部2bに供給される。
なお、第2実施形態では、液体吐出部2bのインク供給装置22は、インクカートリッジ5bに代えて、インク加熱部6が保有する液体をインクジェットヘッド21に供給する。
以上より、インク加熱部6は、消色可能なインクを消色して無色透明のインクにする消色部の一例である。
【0044】
第2実施形態のインクジェット記録装置1bは、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2実施形態のインクジェット記録装置1bは、消色可能なインクを消色して無色透明な液体として用いる。したがって、第2実施形態のインクジェット記録装置1bは、消色可能なインクを保有するインクカートリッジ5aとは別に、無色透明な液体を保有するインクカートリッジ5bを用いる必要が無い。
【0045】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、インクではなくトナーを用いる実施形態である。
図12は、第3実施形態に係るMFP(multifunction peripheral)300の構成の一例を示す図である。
【0046】
MFP300は、例えば、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、消色機能、消え跡軽減機能及びファクシミリ機能などを備える。印刷機能は、画像形成媒体Sなどに対してトナーを用いて画像を形成する機能である。すなわち、MFP300は、電子写真方式のプリンター(レーザープリンター)を備える。スキャン機能は、画像が形成された原稿などから画像を読み取る機能である。コピー機能は、スキャン機能を用いて原稿などから読み取った画像を、印刷機能を用いて画像形成媒体Sに印刷する機能である。消色機能は、画像形成媒体S上に消色可能なトナーで形成された画像を消色する機能である。MFP300は、一例として、給紙トレイ301、手差しトレイ302、給紙ローラー303、トナーカートリッジ304、画像形成部305、転写ベルト306、2次転写ローラー307、定着部308、加熱部309、加圧ローラー310、両面ユニット311、スキャナー312、原稿送り装置313、操作パネル314、タッチパネル315及び入力デバイス316を含む。
【0047】
給紙トレイ301は、印刷に用いる画像形成媒体Sを収容する。
手差しトレイ302は、画像形成媒体Sを手差しするための台である。
給紙ローラー303は、モーター1091の働きにより回転することで、給紙トレイ301又は手差しトレイ302に収容された画像形成媒体Sを給紙トレイ301又は手差しトレイ302から搬出する。
【0048】
トナーカートリッジ304は、画像形成部305に供給するためのトナーを蓄える。トナーカートリッジ304は、消色可能なトナーを蓄える。消色可能なトナーは、例えば、所定の温度よりも高い温度になると、消色して無色透明となり、不可視の状態となるトナーである。なお、トナーは、記録材の一例である。また、トナーカートリッジ304は、消色可能なトナーを保持する記録材保持分の一例である。
【0049】
画像形成部305は、感光体ドラム及び現像器などを備える。現像器は、トナーカートリッジ304から供給されるトナーを用いて、感光体ドラム上の静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム上にトナー画像が形成される。感光体ドラム上に形成された画像は、転写ベルト306上に転写(1次転写)される。
【0050】
転写ベルト306は、例えば無端状のベルトであり、ローラーの働きにより回転可能である。転写ベルト306は、回転することで、画像形成部305から転写された画像を転写ローラーの位置に搬送する。
【0051】
2次転写ローラー307は、互いに対向する2つのローラーを備える。2次転写ローラー307は、転写ベルト306上に形成された画像を、2次転写ローラー307間を通過する画像形成媒体S上に(2次転写)転写させる。
【0052】
定着部308は、画像が転写された画像形成媒体Sに対して加熱及び加圧を行う。これにより、画像形成媒体S上に転写された画像が定着する。また、定着部308は、消色可能なトナーによって画像が形成された画像形成媒体Sに対して加熱を行う。これにより、当該画像は消色する。したがって、定着部308は、消色可能なトナーを消色して無色透明のトナーにする消色部の一例である。
また、定着部308は、互いに対向する加熱部309と加圧ローラー310とを備える。
【0053】
加熱部309は、例えば、加熱部309を加熱するための熱源を備えるローラーである。当該熱源は、例えばヒーターである。熱源によって加熱されたローラーは、画像形成媒体Sを加熱する。
あるいは、加熱部309は、複数のローラーに懸架された無端ベルトを備えるものであっても良い。例えば、加熱部309は、板状熱源、無端ベルト、ベルト搬送ローラー、テンションローラー及びプレスローラーを備える。無端ベルトは、例えば、フィルム状の部材である。ベルト搬送ローラーは、無端ベルトを駆動する。テンションローラーは、無端ベルトに張力を与える。プレスローラーは、表面に弾性層が形成されている。板状熱源は、発熱部側が無端ベルトの内側に接触し、プレスローラー方向に押圧されることで、プレスローラーとの間に所定幅の定着ニップを形成する。このような加熱部309は、板状熱源がニップ領域を形成しつつ加熱する構成のため、通電時における応答性はハロゲンランプによる加熱方式の場合よりも高い。
【0054】
加圧ローラー310は、加圧ローラー310と加熱部309との間を通過する画像形成媒体Sを加圧する。
【0055】
両面ユニット311は、画像形成媒体Sを、裏面への印刷が可能な状態にする。例えば、両面ユニット311は、ローラーなどを用いて画像形成媒体Sをスイッチバックさせることで画像形成媒体Sの表裏を反転させる。
【0056】
スキャナー312は、原稿から画像を読み取る。スキャナー312は、例えば、CCD(charge-coupled device)イメージセンサーなどの撮像素子を備える光学縮小方式である。あるいは、スキャナー312は、CMOS(complementary metal-oxide-semiconductor)イメージセンサーなどの撮像素子を備える密着センサー(CIS(contact image sensor))方式である。
【0057】
原稿送り装置313は、例えば、ADF(auto document feeder)などとも呼ばれる。原稿送り装置313は、原稿用のトレイに載せられた原稿を次々と搬送する。搬送された原稿は、スキャナーによって画像が読み取られる。
【0058】
操作パネル314は、MFP300とMFP300の操作者との間で入出力を行うマンマシンインターフェースなどを備える。操作パネル314は、例えば、タッチパネル315及び入力デバイス316などを備える。
【0059】
タッチパネル315は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどのディスプレイとタッチ入力によるポインティングデバイスとが積層されたものである。タッチパネル315が備えるディスプレイは、MFP300の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する表示デバイスとして機能する。また、タッチパネル315は、当該操作者によるタッチ操作を受け付ける入力デバイスとして機能する。
【0060】
入力デバイス316は、MFP300の操作者による操作を受け付ける。入力デバイス316は、例えば、キーパッドなどである。
【0061】
図13は、MFP300の要部回路構成を示すブロック図である。MFP300は、一例として、プロセッサー321、ROM322、RAM323、補助記憶デバイス324、通信インターフェース325、プリンター326、スキャナー312及び操作パネル314を含む。そして、バス327などが、これら各部を接続する。
【0062】
プロセッサー321は、MFP300の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー321は、ROM322又は補助記憶デバイス324などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、MFP300の各種の機能を実現するべく各部を制御する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー321の回路内に組み込まれていても良い。プロセッサー321は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー321は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0063】
ROM322は、プロセッサー321を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM322は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM322は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM322は、プロセッサー321が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
【0064】
RAM323は、プロセッサー321を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM323は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM323は、プロセッサー321が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM323は、典型的には揮発性メモリである。
【0065】
補助記憶デバイス324は、プロセッサー321を中枢とするコンピューターの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス324は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶デバイス324は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶デバイス324は、プロセッサー321が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー321での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを保存する。なお、MFP300は、補助記憶デバイス324として、メモリカード又はUSBメモリなどの記憶媒体を挿入可能なインターフェースを備えていてもよい。当該インターフェースは、当該記憶媒体に対して情報の読み書きを行う。
【0066】
ROM322又は補助記憶デバイス324に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するためのプログラムを含む。一例として、MFP300は、当該プログラムがROM322又は補助記憶デバイス324に記憶された状態でMFP300の管理者などへと譲渡される。しかしながら、MFP300は、当該プログラムがROM322又は補助記憶デバイス324に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、MFP300は、当該プログラムとは別のプログラムがROM322又は補助記憶デバイス324に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、後述する処理を実行するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM322又は補助記憶デバイス324へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、ディスクメディア又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークNWなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0067】
通信インターフェース325は、MFP300がネットワークNWなどを介して通信するためのインターフェースである。
【0068】
プリンター326は、画像形成媒体Sに対して印刷を行う。プリンター326は、給紙トレイ301、手差しトレイ302、給紙ローラー303、トナーカートリッジ304、画像形成部305、転写ベルト306、2次転写ローラー307、定着部308及び両面ユニット311などを含む。また、プリンター326は、画像形成媒体Sに画像を形成する形成部の一例である。
【0069】
スキャナー312は、原稿から画像を読み取る。スキャナー312は、例えば、CCDイメージセンサーなどの撮像素子を備える光学縮小方式である。あるいは、スキャナー312は、CMOSイメージセンサーなどの撮像素子を備える密着センサー(CIS)方式である。あるいは、スキャナー312は、その他の公知の方式であっても良い。
【0070】
操作パネル314は、MFP300とMFP300の操作者との間で入出力を行うマンマシンインターフェースなどを備える。操作パネル314は、例えば、入力デバイス316及びタッチパネル315などを備える。
【0071】
バス327は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、MFP300の各部で授受される信号を伝送する。
【0072】
以下、第3実施形態に係るMFP300の動作を図14などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。図14は、MFP300のプロセッサー321による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー321は、例えば、ROM322又は補助記憶デバイス324などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
【0073】
図14のACT21においてMFP300のプロセッサー321は、印刷を実行するか否かを判定する。プロセッサー321は、例えば、印刷を実行するように指示する指示情報を通信インターフェース325が受信したならば、印刷を実行すると判定する。あるいは、プロセッサー321は、操作パネル314に対して、印刷を実行するように指示する操作が行われたことに応じて、印刷を実行すると判定する。プロセッサー321は、印刷を実行すると判定しないならば、ACT21においてNoと判定してACT21を繰り返す。対して、プロセッサー321は、印刷を実行すると判定するならば、ACT21においてYesと判定してACT22へと進む。
【0074】
ACT22においてプロセッサー321は、印刷対象の画像を取得する。例えば、当該画像は、例えば、指示情報に含まれる。プロセッサー321は、指示情報に含まれる当該画像を取得する。あるいは、プロセッサー321は、当該画像を補助記憶デバイス324などから読み込む。あるいは、プロセッサー321は、当該画像を、スキャナー312を用いて読み込む。
【0075】
ACT23においてプロセッサー321は、ACT22で取得した画像を画像処理することで、印刷用の画像に変換する。印刷用の画像は、画像形成媒体Sのどこにトナーを付着させる必要があるかが分かるような画像である。当該印刷用の画像は、第1実施形態の図4と同様である。ただし、第3実施形態では、図4の領域201は、消色可能なトナーによる画像が形成される領域である。
【0076】
ACT24においてプロセッサー321は、消え跡軽減処理を実行するか否かを判定する。プロセッサー321は、消え跡軽減処理を実行しないならば、ACT24においてNoと判定してACT25へと進む。
【0077】
ACT25においてプロセッサー321は、画像形成部305、転写ベルト306及び2次転写ローラー307などを制御して、画像形成媒体Sに領域201にあたる画像を形成させる。
【0078】
ACT26においてプロセッサー321は、領域201にあたる画像が形成された画像形成媒体Sを定着部308に搬送する。そして、プロセッサー321は、定着部308を制御して当該画像を定着させる。プロセッサー321は、ACT26の処理の後、ACT21へと戻る。
【0079】
対して、プロセッサー321は、消え跡軽減処理を実行するならば、ACT24においてYesと判定してACT27へと進む。
ACT27においてプロセッサー321は、第1実施形態と同様に図4の領域201の反転画像として領域203を生成する。そして、プロセッサー321は、画像処理により、領域203内をべた塗りで塗りつぶす。これにより、領域203内は全て消色可能なトナーの付着が必要な部分となる。あるいは、プロセッサー321は、領域203内を特定のパターンで塗りつぶしても良い。これにより、領域203内は、消色可能なトナーの付着が必要な部分と不要な部分を含む状態となる。また、領域203内は、定着部308での消色を必要とする部分でもある。
【0080】
ACT28においてプロセッサー321は、画像形成部305、転写ベルト306及び2次転写ローラー307などを制御して、画像形成媒体Sに領域203にあたる画像を形成させる。
【0081】
ACT29においてプロセッサー321は、領域203にあたる画像が形成された画像形成媒体Sを定着部308に搬送する。そして、プロセッサー321は、定着部308を制御して当該画像を定着させる。
【0082】
ACT30においてプロセッサー321は、ACT29の処理によって画像が定着された画像形成媒体Sを搬送して、再度定着部308に搬送する。そして、プロセッサー321は、定着部308を制御して、定着された当該画像を消色する。
【0083】
ACT31においてプロセッサー321は、画像形成媒体Sを2次転写ローラー307に位置に搬送する。そして、プロセッサー321は、画像形成部305、転写ベルト306及び2次転写ローラー307などを制御して、画像形成媒体Sに領域201にあたる画像を形成させる。
【0084】
ACT32においてプロセッサー321は、領域201にあたる画像が形成された画像形成媒体Sを定着部308に搬送する。そして、プロセッサー321は、定着部308を制御して当該画像を定着させる。プロセッサー321は、ACT32の処理の後、ACT21へと戻る。
ACT27~ACT32の処理により、画像形成媒体Sには、消色可能なトナーによって領域201及び領域203にあたる画像が形成される。また、このうち、領域201にあたる画像部分は、消色済みでない。そして、領域203にあたる画像部分は、消色済みである。消色可能なトナーによって画像形成媒体Sに形成された画像のうち、消色済みでない部分は、第1の画像の一例である。無色透明なインクによって画像形成媒体Sに形成された画像のうち、消色済みである部分は、第2の画像の一例である。
【0085】
第3実施形態のMFP300は、画像200のうち領域203を先に印刷してから消色し、その後に領域201を印刷する。これにより、MFP300は、1つのトナーカートリッジ304及び1つの画像形成部305によって、消色された部分と消色されていない部分を含む画像を印刷可能である。
【0086】
上記の第1実施形態~第3実施形態は以下のような変形も可能である。
実施形態のインクジェット装置は、第3実施形態におけるMFP300の定着部308のような、消色を行う装置を備えていても良い。この場合のインクジェット装置は、第3実施形態と同様に、領域203を先に印刷してから消色し、その後に領域201を印刷することができる。
【0087】
実施形態のMFPは、第1実施形態のインクジェット記録装置1のように、消色可能なトナーを蓄えるトナーカートリッジ304と、無色透明なトナーを蓄えるトナーカートリッジ304の2つのトナーカートリッジ304を備えていても良い。この場合のMFPは、第1実施形態と同様に、2種類のトナーを使い分けて領域201及び領域203にあたる画像を形成する。
【0088】
実施形態のMFPは、第2実施形態のインクジェット記録装置1bのインク加熱部6のように、トナーを加熱するトナー加熱部を備えていてもよい。
【0089】
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、インクジェット記録装置1は、消色可能なインクを1色のみ用いる。しかしながら、実施形態のインクジェット記録装置は、複数の色の消色可能なインクを用いるものであっても良い。この場合でも、実施形態のインクジェット記録装置が用いる無色透明のインクは、1種類で良い。あるいは、実施形態のインクジェット記録装置は、複数種類の無色透明のインクを使い分けても良い。
上記の第3実施形態では、MFP300は、消色可能なトナーを1色のみ用いる。しかしながら、実施形態のMFPは、複数の色の消色可能ナトナーを用いるものであっても良い。この場合でも、実施形態のMFPが用いる無色透明のトナーは、1種類で良い。あるいは、実施形態のMFPは、複数種類の無色透明のトナーを使い分けても良い。
【0090】
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、インクジェット記録装置1は、消色可能なインクを用いて画像を形成する。しかしながら、実施形態のインクジェット記録装置は、消色可能なインクだけでなく、それ以外のインクなども用いることが出来るものであっても良い。
上記の第3実施形態では、MFP300は、消色可能なトナーを用いて画像を形成する。しかしながら、実施形態のMFPは、消色可能なトナーだけでなく、それ以外のトナーも用いることが出来るものであっても良い。
【0091】
プロセッサー101及びプロセッサー321は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
消色可能な記録材で画像形成媒体に第1の画像を形成し、前記画像形成媒体の前記第1の画像が形成される領域を含む領域のうち、前記第1の画像が形成される領域以外の領域に、無色透明の記録材で第2の画像を形成する形成部を備える画像形成装置。
[C2]
前記第2の画像は、予め定められたパターンで塗りつぶした画像である、請求項1に記載の画像形成装置。
[C3]
前記消色可能な記録材を保持する第1の記録材保持部と、
前記無色透明の記録材を保持する第2の記録材保持部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
[C4]
前記消色可能な記録材を保持する記録材保持部と、
前記消色可能な記録材を消色して前記無色透明の記録材にする消色部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
[C5]
消色可能な記録材で画像形成媒体に第1の画像を形成し、前記画像形成媒体の前記第1の画像が形成される領域を含む領域のうち、前記第1の画像が形成される領域以外の領域に、無色透明の記録材で第2の画像を形成する画像形成方法。
【符号の説明】
【0093】
1,1b……インクジェット記録装置、2……液体吐出部、3……ヘッド支持機構、4……媒体支持機構、5a,5b……インクカートリッジ、6……インク加熱部、21……インクジェットヘッド、22……インク供給装置、101,321……プロセッサー、102,322……ROM、103,323……RAM、104,324……補助記憶デバイス、105,314……操作パネル、106,325……通信インターフェース、107……ヘッド駆動回路、108……ポンプ駆動回路、109……モーター駆動回路、110,327……バス、300……MFP、301……給紙トレイ、302……手差しトレイ、303……給紙ローラー、304……トナーカートリッジ、305……画像形成部、306……転写ベルト、307……2次転写ローラー、308……定着部、309……加熱部、310……加圧ローラー、311……両面ユニット、312……スキャナー、313……原稿送り装置、315……タッチパネル、316……入力デバイス、326……プリンター、1081……ポンプ、1091,1092……モーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14