(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231128BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2019176111
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明良
(72)【発明者】
【氏名】木戸 広太
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-102590(JP,A)
【文献】特開2017-120517(JP,A)
【文献】特開2018-005276(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088335(WO,A1)
【文献】特許第6555768(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 30/10
G06F 30/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webカタログを格納するWebカタログサーバと通信を行い、建築物のBIMモデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
ネットワークを介して前記Webカタログサーバに接続し、該Webカタログサーバに対して、前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、第一通信部と、
前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルが前記第一通信部を介して受信され、受信された該第二中間ファイルを格納する、第一格納部と、
建築物のBIMモデルを設計し、その際に、前記第一格納部に格納されている前記第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込む、設計部と、を有することを特徴とする、設計ユーザ端末。
【請求項2】
前記第二中間ファイルに入力される前記オブジェクトデータリストが、同種類のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストであることを特徴とする、請求項1に記載の設計ユーザ端末。
【請求項3】
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末と通信を行い、Webカタログを前記設計ユーザ端末に提供する、Webカタログサーバであって、
前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納する、第二格納部と、
ネットワークを介して前記設計ユーザ端末に接続し、該設計ユーザ端末より、前記オブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを受信する、第二通信部と、
前記第一中間ファイルに対して前記オブジェクトデータリストを入力することにより、第二中間ファイルを作成する入力作成部と、を有することを特徴とする、Webカタログサーバ。
【請求項4】
前記入力作成部では、前記オブジェクトデータリストを、前記設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトにおいて読み込み可能に変換することにより、前記第二中間ファイルを作成することを特徴とする、請求項3に記載のWebカタログサーバ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の設計ユーザ端末と、
請求項3又は4に記載のWebカタログサーバと、
前記ネットワークを介して、前記設計ユーザ端末より、設計された前記BIMモデルを受信し、二以上の該設計ユーザ端末が前記BIMモデルを共有可能とする共有サーバと、を有することを特徴とする、設計支援システム。
【請求項6】
建築物のBIMモデルを設計する
コンピュータである設計ユーザ端末
が、Webカタログを格納する
コンピュータであるWebカタログサーバに対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、ファイル送信工程と、
前記Webカタログサーバ
が、前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルを作成する、入力作成工程と、
前記設計ユーザ端末
が、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、前記第二中間ファイルを受信し、該第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込んで設計する、設計工程と、を有することを特徴とする、設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築設計においては、敷地の条件や周辺環境を勘案しながら建築物の配置を決定し、内外観や間取り構成、装飾等を設計する意匠設計がまず行われる。この意匠設計では、一般に普及しているCAD(Computer-aided design)を用いることにより、二次元図面は勿論のこと、パースを含む三次元図面が作成される。この意匠設計により設計された建築物に対して、積雪や地震等に対する安全性能を満たすように、土台や骨組みを設定し、柱や梁、壁等の仕様や形状、配置を設定する構造設計が意匠設計に次いで行われる。また、この構造設計と並行して、もしくは構造設計の後で、快適な室内環境のための空調設備、上下水道に通じる衛生設備、コンセントや照明を配置する電気設備等を設定する設備設計が行われる。これらの意匠設計、構造設計、及び設備設計は、各設計担当者が相互に情報共有しながら、複数回に亘って設計変更がなされた後、建築物の設計が完了する。
【0003】
ところで、上記する建築物の設計において、BIM(Building Information Modeling)モデルを用いて、デザイナーや設計者、施工監理者、工事施行業者などの間で建築物に関する情報を共有化することが行われている。ここで、BIMモデルとは、建築物を構成する構成要素(オブジェクトとも言い、梁や柱、壁等を含む)に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報(これらをまとめて、「仕様情報」とする)を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た平面図(伏図を含む)や立面図(軸組図を含む)といった二次元図面を作成できる。すなわち、三次元モデルを構成する各構成要素は、種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能となり、変更や追加等の履歴も残すことができる。
【0004】
ここで、上記するBIMを用いた情報管理システムが提案されている。具体的には、ユーザが利用する情報処理端末と、情報処理端末とネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置とを有する情報管理システムである。ここで、サーバ装置は、オブジェクトの形状情報と仕様情報をオブジェクトに関連付けて記憶し、オブジェクトとこれに関する作業項目とを関連付けた作業情報と、作業項目とこれに関する資源項目とを関連付けた資源情報とを記憶する記憶部と、形状情報、仕様情報、作業情報、資源情報に基づいて情報処理端末を利用するユーザの要求する情報を取得する制御部と、取得したユーザの要求する情報を要求元の情報処理端末に送信する通信部とを備えている。また、情報処理端末は、ネットワークを介してサーバ装置から受信した、情報処理端末を利用するユーザの要求する情報に基づいて、情報処理端末を利用するユーザに対して所定画面を表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の情報管理システムによれば、建築物に関する情報を適切に管理し、ユーザに必要な情報を簡単に取得させることができる。ところで、BIMモデルの設計において、例えば設計担当者(構造設計担当者)は、構造計算によりBIMモデルを設計した後、壁や床、柱、ドア、窓、サッシ、シンク等の各オブジェクトに対して実際に適用可能な市販品(製品)を適用し、適用された製品は、オブジェクトの仕様情報として当該オブジェクトに紐付られ、設計図書に入力される。この製品の適用に際しては、例えば、同一のオブジェクトに対して複数のメーカーが固有の製品を販売していることから、設計者は、各社の製品カタログを紙ベースで取り寄せて比較検討したり、各社のWeb(World wide web)サイトにアクセスし、製品に関するWebカタログをダウンロード等することによって入手し、比較検討している。
【0007】
Webカタログをダウンロード等することにより、カタログのペーパーレス化は図れるものの、設計者は、各メーカーの製品を比較検討した後、選定した製品を手入力によって設計図書のデータベースに打ち込んでいることから、BIMモデルの設計に手間と時間を要している。
【0008】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことのできる、設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による設計ユーザ端末の一態様は、
Webカタログを格納するWebカタログサーバと通信を行い、建築物のBIMモデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
ネットワークを介して前記Webカタログサーバに接続し、該Webカタログサーバに対して、前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、第一通信部と、
前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルが前記第一通信部を介して受信され、受信された該第二中間ファイルを格納する、第一格納部と、
建築物のBIMモデルを設計し、その際に、前記第一格納部に格納されている前記第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込む、設計部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、設計ユーザ端末からWebカタログサーバに対して第一中間ファイルが送信され、複数のメーカーのオブジェクトデータ(製品データ)をまとめたオブジェクトデータリスト(製品データリスト)が入力された第二中間ファイルが設計ユーザ端末に受信されて格納されることにより、設計ユーザは、第二中間ファイルにおけるオブジェクトデータリストを用いてBIMモデルの設計を行うことができる。すなわち、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する製品がデータリスト化されていることから、データリストから実際のBIMモデルに適用する製品を選択した際に、自動的に設計図書のデータベースへの入力が実行されるため、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことができる。
【0011】
ここで、設計ユーザ端末には、意匠設計担当者の有するユーザ端末、構造設計担当者の有するユーザ端末、設備設計担当者の有するユーザ端末等、様々な設計ユーザ端末が含まれ、いずれもパーソナルコンピュータにより形成される。
【0012】
Webカタログサーバは、例えば、様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。そのため、例えば設計ユーザがWebカタログサーバにアクセスして、一度に全てのWebカタログをダウンロード等しようとすると、データ量が多すぎてダウンロード等に長時間を要し、効率的にBIMモデルを設計することができない。そこで、本態様の設計ユーザ端末では、第一通信部からWebカタログサーバに対して第一中間ファイルを送信する。この第一中間ファイルは、例えば、現在設定しようとする一つのオブジェクトに関し、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するファイルである。一つのオブジェクトに関する製品を扱うメーカーが一つであっても、当該一つのメーカーが二以上の製品を販売している場合があり、この場合は、Webカタログサーバにおいて、要求対象のオブジェクトに関して二以上の製品に関するオブジェクトデータがオブジェクトデータリストに入力され、第二中間ファイルが作成される。一方、一つのオブジェクトに関する製品を扱うメーカーが二以上ある場合も、要求対象のオブジェクトに関して二以上の製品が存在することから、Webカタログサーバにおいて、これらのデータがオブジェクトデータリストに入力され、第二中間ファイルが作成される。
【0013】
設計ユーザ端末では、オブジェクトデータリストが入力された第二中間ファイルが第一通信部にて受信され、第一格納部に格納される。設計ユーザが、第一格納部に格納された第二中間ファイル中のオブジェクトデータリストから好適な製品を選択すると、第一格納部において、オブジェクトデータリストから選択された製品に関するオブジェクトデータが、対象オブジェクトの仕様情報として認識され、設計図書のデータベースにおける対象オブジェクトに対して、選択された製品データ(オブジェクトデータ)が自動的に入力される。
【0014】
第一格納部には、市販の構造計算用ソフトウェアがダウンロード等によりインストールされており、設計部において構造計算用ソフトウェアが読み出され、意匠設計された建築物を構造計算用ソフトウェア内においてモデル化する。このモデル化においては、各構成要素の材質(剛性等)、寸法、配設位置等の仕様情報が入力される。そして、構造計算用ソフトウェアにより、パーソナルコンピュータ内において構造計算が実行され、構造計算データが例えば第一格納部に格納される。設計ユーザ端末には、例えば変換用ソフトウェアが同様にインストールされており、この変換用ソフトウェアにより、構造計算用ソフトウェア内にてモデル化されている計算モデル(非BIM計算モデル)からBIM計算モデルが作成される。そして、このBIM計算モデルの有する対象オブジェクトに対して、選択されたオブジェクトデータ(選択された製品データで、設計図書のデータベースに入力済)が仕様情報として紐付けられることになる。
【0015】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、前記第二中間ファイルに入力される前記オブジェクトデータリストが、同種類のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストであることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、オブジェクトデータリストが、同種類のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたデータリストであることにより、設計ユーザは、当該オブジェクトデータリストを用いて効率的に好適な製品を選択することができ、選択と同時に設計図書のデータベースに製品データを入力することができる。
【0017】
また、本発明によるWebカタログサーバの一態様は、
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末と通信を行い、Webカタログを前記設計ユーザ端末に提供する、Webカタログサーバであって、
前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納する、第二格納部と、
ネットワークを介して前記設計ユーザ端末に接続し、該設計ユーザ端末より、前記オブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを受信する、第二通信部と、
前記第一中間ファイルに対して前記オブジェクトデータリストを入力することにより、第二中間ファイルを作成する入力作成部と、を有することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第二格納部において、様々なオブジェクトに対する様々なメーカーの製品に関するデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納し、入力作成部において、設計ユーザ端末から送信された要求対象のオブジェクトに関するオブジェクトデータリストを入力した第二中間ファイルを作成することにより、設計ユーザ端末に対して、設計ユーザが比較検証を容易とし、かつ設計図書に自動的に入力できるデータリストを送信することができる。
【0019】
また、本発明によるWebカタログサーバの他の態様において、前記入力作成部では、前記オブジェクトデータリストを、前記設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトにおいて読み込み可能に変換することにより、前記第二中間ファイルを作成することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、入力作成部において、オブジェクトデータリストが、設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトに読み込み可能に変換されて第二中間ファイルが作成されることにより、設計ユーザ端末において、受信した第二中間ファイルを用いて選択された製品データを速やかにBIMモデルの対象オブジェクトに紐付けすることができる。一例として、設計ユーザ端末の設計部において、BIMソフトウェアとしてAutodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)が適用される場合に、第一中間ファイルをCSV(Comma Separated Value)形式のテキストファイルやTXT(Text)形式のテキストファイルとしてWebカタログサーバに送信し、Webカタログサーバでは、格納されているオブジェクトデータリストに関する、例えばHTML(HyperText Markup Language)データやPDF(Portable Document Format)データをCSV形式やTXT形式のテキストデータに変換して第二中間ファイルを作成することができる。設計ユーザ端末の設計部では、CSVのテキストデータからなる第二中間ファイルをBIMソフトウェアに取り込むことにより、対象オブジェクトに関する製品データを仕様情報として設計図書のデータベースに自動入力することができる。
【0021】
また、本発明による設計支援システムの一態様は、
前記設計ユーザ端末と、
前記Webカタログサーバと、
前記ネットワークを介して、前記設計ユーザ端末より、設計された前記BIMモデルを受信し、二以上の該設計ユーザ端末が前記BIMモデルを共有可能とする共有サーバと、を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、上記する設計ユーザ端末と上記するWebカタログサーバとを有することにより、メーカーによる製品データをBIMモデルにおける設計図書のデータベースに対して効率的に取り込むことができ、効率的にBIMモデルの設計を行うことができる。
【0023】
また、本発明による設計支援方法の一態様は、
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末より、Webカタログを格納するWebカタログサーバに対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、ファイル送信工程と、
前記Webカタログサーバにおいて、前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルを作成する、入力作成工程と、
前記設計ユーザ端末において、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、前記第二中間ファイルを受信し、該第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込んで設計する、設計工程と、を有することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、ファイル送信工程と入力作成工程により、設計ユーザにより要求されたオブジェクトに対してオブジェクトデータリストが作成され、設計ユーザは、作成されたオブジェクトデータリストを用いて効率的にBIMモデルを設計できるとともに、設計図書のデータベースに対して、当該オブジェクトに関して選定された製品データを速やかに入力することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法によれば、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るWebカタログサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図6】Webカタログサーバに格納されているオブジェクトデータリストの一例を示す図である。
【
図8】設計ユーザ端末に格納される設計図書の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る設計支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係る設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0028】
[実施形態に係る設計支援システム]
はじめに、
図1を参照して、実施形態に係る設計支援システムの一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【0029】
設計支援システム50は、設計ユーザ端末10とWebカタログサーバ20とがネットワーク40を介して接続され、設計ユーザ端末10と共有サーバ30とが同様にネットワーク40を介して接続されることにより形成される。設計ユーザ端末10は、意匠設計ユーザ端末10A、構造設計ユーザ端末10B、設備設計ユーザ端末10C等を有し、さらに、積算ユーザ端末、施工計画ユーザ端末、実施工ユーザ端末(いずれも図示せず)等、様々なユーザ端末を含み得る。
【0030】
ネットワーク40には、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。
【0031】
ここで、設計ユーザ端末10と共有サーバ30とは、設計支援システム50に含まれる共有システム50Aを形成しており、共有システム50Aは、一つのハウスメーカー等の会社内部のみで情報共有がなされるクローズドネットワークを有する形態の他、外部機関との間においても情報共有が可能なオープンネットワークを有する形態である。
【0032】
いずれの形態であっても、共有サーバ30へのアクセスにはアクセス権限を要し、アクセス権限が付与されているユーザ端末のみが共有サーバ30にアクセスでき、共有サーバ30との間で共有システム50Aを形成し、共有サーバ30に格納されている各種データを共有することができる。例えば、以下で説明するBIMモデルが各設計段階の都度共有サーバ30に格納され、アクセス権限が付与されている設計ユーザ端末や外部機関は共有サーバ30にアクセスして、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを自身の端末に取り込んだり、自身の端末にて作成されたBIMモデルを共有サーバ30にアップすることができる。
【0033】
ここで、共有サーバ30は、データ保管の他にも、各種のアプリケーションソフトウェアを複数のユーザが共有できるクラウドサーバであってもよい。例えば、設計ユーザ端末10と外部機関端末(図示せず)が共通のアプリケーションソフトウェアを使用して、BIMデータの送受信を行ったり、異なる時期に送受信される複数のBIMデータに関して、任意の二つの時期のBIMデータを相互に比較することを可能にしてもよい。尚、「外部機関端末」には、確認申請機関端末の他、設備設計や施工計画等の段階で協同して作業を行う資機材供給メーカー等の有する資機材供給メーカー端末等を含み得る。
【0034】
一方、Webカタログサーバ20へは、例えば権限なくいずれのユーザ端末とも自由にアクセスすることができ、Webカタログサーバ20内に格納されている所望のデータもアクセス権限なく自由に取得できるが、Webカタログサーバ20内に格納されているデータの取得に際してアクセス権限が付与されていてもよい。
【0035】
意匠設計ユーザ端末10A、構造設計ユーザ端末10B、及び設備設計ユーザ端末10Cはそれぞれ、意匠設計担当者、構造設計担当者、及び設備設計担当者が使用する端末であり、パーソナルコンピュータやタブレット等により形成される。
【0036】
BIMモデルには、建築物の企画段階等で意匠設計担当者が意匠設計ユーザ端末10Aにおいて設計するBIM意匠モデル、構造設計担当者が構造設計ユーザ端末10Bにおいて設計するBIM構造モデル等が含まれる。企画段階では、三次元モデリングされた建築物の画像データ(BIM意匠モデル)を見ることにより、当該建築物の外観やレイアウトデザイン等について直接イメージすることができる。また、設備設計段階においては、建築物の内部における熱流(風・気流等の流れ)のシミュレーションを行なったり、照明の配置と光環境との関係について検討することにより、居住空間の快適性を考慮した設計を行うことができる。さらに、構造設計段階や施工計画段階においては、三次元画像を確認することにより、設備機器や鉄骨、配管等の干渉チェックを行うことができ、二次元図面では見え難い状態を細部に亘り明りょうに把握することができる。
【0037】
Webカタログサーバ20は、BIMモデルを構成する様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。
【0038】
同種のオブジェクトに対しては、一つのメーカーから一種の製品のみが市販されている場合(設計担当者による製品の選択の余地はない)の他、一つのメーカーから複数の製品が市販されている場合や、複数のメーカーから複数の製品が市販されている場合(設計担当者による製品の選択の余地がある)がある。
【0039】
Webカタログサーバ20では、これら各種のオブジェクトごとに、市販される製品がリストアップされたオブジェクトデータリストが作成され、格納されている。設計ユーザは、例えば構造計算がなされたBIMモデルの各オブジェクトに対して具体的な製品を設定するに当たり、Webカタログサーバ20にアクセスし、Webカタログサーバ20に格納されているオブジェクトデータリストから好適な製品を選択し、BIMモデルの各オブジェクトに対して、選択した製品データを仕様情報として設定する。
【0040】
設計支援システム50においては、例えば、構造設計段階において、構造設計担当者が、構造計算を経て設計されたBIMモデル(BIM構造モデル)を構成する各種のオブジェクトに対して、実際にメーカーから市販されている製品を設定し、その際に、オブジェクトの仕様情報が設計図書に自動入力されるようになっている。以後の説明では、設計ユーザ端末10として構造設計ユーザ端末10Bを念頭に置きつつ、設計ユーザ端末10とWebカタログサーバ20とのデータの送受信について説明する。
【0041】
[実施形態に係る設計ユーザ端末]
次に、
図2乃至
図4を参照して、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について説明する。ここで、
図2は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図であり、
図3は、実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【0042】
図2に示すように、設計ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)等の情報処理装置からなり、Webカタログサーバ20と共有サーバ30はいずれもサーバからなる情報処理装置であり、いずれも
図2に示すコンピュータにより構成される。
【0043】
設計ユーザ端末10等のコンピュータは、接続バス112により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)102、主記憶装置104、補助記憶装置106、通信IF(interface)108、及び入出力IF110を備えている。主記憶装置104と補助記憶装置106は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0044】
CPU102は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU102は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU102は、コンピュータからなる設計ユーザ端末10等の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU102は、例えば、補助記憶装置106に記憶されたプログラムを主記憶装置104の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0045】
主記憶装置104は、CPU102が実行するコンピュータプログラムや、CPU102が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置104は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置106は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置106には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF108を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、サーバ、携帯端末等の情報処理装置や外部記憶装置等が含まれる。
【0046】
補助記憶装置106は、例えば、主記憶装置104を補助する記憶領域として使用され、CPU102が実行するコンピュータプログラムや、CPU102が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置106は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置106として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0047】
通信IF108は、設計ユーザ端末10等が接続するネットワーク40とのインターフェイスである。通信IF108は、ネットワーク40を介して、Webカタログサーバ20に対して第一中間ファイルを送信し、Webカタログサーバ20から第二中間ファイルを受信する。また、通信IF108は、ネットワーク40を介して、設計ユーザ端末10にて設計されたBIMモデルを共有サーバ30に格納し、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを受信する。
【0048】
入出力IF110は、設計ユーザ端末10等に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF110には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。設計ユーザ端末10等は、入出力IF110を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0049】
また、入出力IF110には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続する。設計ユーザ端末10等は、入出力IF110を介し、CPU102により処理されるデータや情報、主記憶装置104、補助記憶装置106に記憶されるデータや情報を出力する。
【0050】
図3に示すように、設計ユーザ端末10は、CPU102によるプログラムの実行により、少なくとも、第一通信部120、第一入出力部122、設計部124、及び第一格納部126の各種機能を提供する。尚、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0051】
第一通信部120は、設計ユーザ端末10にて作成された第一中間ファイルをWebカタログサーバ20に送信したり、Webカタログサーバ20にて作成された第二中間ファイルを受信し、第一格納部126に格納する。また、第一通信部120は、設計ユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ30に送信し、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを受信する。
【0052】
ここで、
図4を参照して、第一中間ファイルの一例について説明する。第一中間ファイル60は、例えば構造設計担当者が、構造計算がなされたBIMモデルの各オブジェクトに対して具体的な製品を設定するに当たり、Webカタログサーバ20に対して対象のオブジェクトに関する情報を要求するファイルである。
【0053】
図4に一例として示す第一中間ファイル60は、例えばCSV形式やTXT形式のファイルとしてWebカタログサーバ20に送信される。第一中間ファイル60には、上段から、要求対象オブジェクト61、部位62、設置階63、設置位置64、メーカー名65、製品名66等がテキストデータとして入力されている。尚、ファイル内容には様々な項目や順番があってよく、図示例はあくまでも一例に過ぎない。
【0054】
図4に示す例では、第一中間ファイル60において、要求対象オブジェクト61として壁が設定され、壁の部位62として下地材が設定され、設置階63として1FLが設定され、設置位置としてX1通りとY1通りの交点もしくは交点近傍であるX1Y1が設定されている。このオブジェクトに対して設定するメーカー名65や製品名66は、第一中間ファイル60においては未定である。
【0055】
Webカタログサーバ20は、例えば、様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。そのため、例えば設計ユーザがWebカタログサーバ20にアクセスして、一度に全てのWebカタログをダウンロード等しようとすると、データ量が多すぎてダウンロード等に長時間を要し、効率的にBIMモデルを設計することができない。図示例のように、設計ユーザ端末10からWebカタログサーバ20に対して第一中間ファイル60を送信し、この第一中間ファイル60において、現在設定しようとする一つのオブジェクトに関する各メーカーの製品データリスト(オブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリスト)を要求し、これに対応した第二中間ファイルを設計ユーザ端末10が受信することにより、効率的にBIMモデルを設計することが可能になる。
【0056】
図3に戻り、第一入出力部122は、第一通信部120にて送受信されたデータを受け付け、設計ユーザ端末10の有する液晶ディスプレイ等の表示デバイスに出力表示したり、設計ユーザによるコマンドに基づいてBIMモデルを表示デバイスに出力表示する。
【0057】
第一格納部126には、RC/SRC/S造建物の高機能一貫構造計算ソフトウェアである、BUS-6(株式会社構造システム社製)等がインストールされている。ここで、RC造は鉄筋コンクリート造を示し、SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造を示し、S造は鉄骨造を示す。設計部124により高機能一貫構造計算ソフトウェアが読み出され、意匠設計担当者が設計しているBIM意匠モデルに基づいて、計算ソフトウェア内において計算モデルを作成し、計算モデルを構成する各種の構成要素の仕様情報を入力し、構造計算を実行する。このように計算ソフトウェア内において作成された計算モデルはBIMモデルでないことから、非BIM計算モデルとなる。
【0058】
第一格納部126には、構造計算ソフトウェアとBIMソフトウェアを繋ぐ、ST-Bridge(一般社団法人building SMART Japan社製)と、BIMソフトウェアとして、Autodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)がインストールされており、設計部124にてこれらのソフトウェアを起動することにより、非BIM計算モデルをBIM計算モデルに変換する。
【0059】
構造設計担当者は、構造計算により所定の構造安全性をクリアしたBIM計算モデルに対して、構造計算には不要であった様々な構成要素をBIM計算モデルに付加することにより、BIM構造モデルを設計する。BIMモデル(BIM構造モデル)は、設計対象の建築物における、構造計算上必要となる梁や柱等の構造部材に加えて、階段、壁、天井、床、ドア、窓、各種配管といった非構造部材を含んでいる。
【0060】
[実施形態に係るWebカタログサーバ]
次に、
図5乃至
図7を参照して、実施形態に係るWebカタログサーバの一例について説明する。ここで、
図5は、実施形態に係るWebカタログサーバの機能構成の一例を示す図である。
【0061】
第二通信部210は、設計ユーザ端末10から第一中間ファイル60を受信して第二格納部216に格納したり、入力作成部214にて作成された第二中間ファイルを設計ユーザ端末10に送信する。また、各オブジェクトに関する製品を製造及び販売するメーカーのメーカー端末から送信される、各製品に関するWebカタログを受信して第二格納部216に格納する。尚、各メーカーのWebカタログの受信は、Webカタログサーバ20に対して各メーカー端末から自動的に送信されたWebカタログを受信することと、Webカタログサーバ20の管理者等が各メーカーのWebサイトにアクセスし、Webカタログをダウンロード等することの双方により実行される。
【0062】
第二入出力部212は、第二通信部210にて送受信されたデータを受け付け、Webカタログサーバ20の有する液晶ディスプレイ等の表示デバイスに出力表示したり、Webカタログサーバ20の管理者等によるコマンドに基づいて、オブジェクトデータリスト等を表示デバイスに出力表示する。
【0063】
ここで、
図6を参照して、オブジェクトデータリストの一例について説明する。オブジェクトデータリスト70は、複数のメーカーのオブジェクトデータ(製品データ)をまとめた、BIMモデルを構成する各オブジェクトに対応した製品データのリストである。
【0064】
図6に一例として示すオブジェクトデータリスト70は、例えばHTML形式のデータやPDF形式のデータとして第二格納部216に格納されている。そして、Webカタログサーバ20のディスプレイには、オブジェクトデータリスト70を表示するためのリストボタンがあり、Webカタログサーバ20にユーザ端末がアクセスし、マウス等のポインティングデバイスを介してリストボタンをクリックすることにより、オブジェクトデータリスト70を表示することができる。
【0065】
オブジェクトデータリスト70には、上段から、ある一種のオブジェクトの仕様情報である、オブジェクト71、部位72、メーカー名及び製品名73が入力されており、その下段に、他の一種のオブジェクトの仕様情報である、オブジェクト74、部位75、メーカー名及び製品名76が入力されている。そして、様々なオブジェクトに関する同様の仕様情報がさらに下段に続いている。尚、データリスト内容には様々な項目や順番があってよく、図示例はあくまでも一例に過ぎない。
【0066】
図6に示す例では、オブジェクトデータリスト70において、オブジェクト71が壁であり、壁の部位72が下地材である場合の製品データが表示されており、当該下地材を製造するメーカー名とメーカーにより製造される製品名73には、P1社により製品名Q1,Q2の二製品が市販され、P2社により製品名Q3の一製品が市販され、P3社により製品名Q4,Q5の二製品が市販されている旨が表示される。そして、各製品名の横には詳細情報を示すアイコン73aがあり、アイコン73aをクリックすると、各製品の色や柄、特性、価格等の詳細情報が表示されるようになっている。
【0067】
その下段には、オブジェクト74が壁であり、壁の部位75が仕上げ材である場合の製品データが表示されており、当該仕上げ材を製造するメーカー名とメーカーにより製造される製品名76には、P4社により製品名Q6の一製品が市販され、P5社により製品名Q7の一製品が市販されている旨が表示される。そして、各製品名の横には同様に詳細情報を示すアイコン76aがある。
【0068】
図5に戻り、入力作成部214は、第二格納部216に第二通信部210に第一中間ファイル60が受信されたことを受け付け、第一中間ファイル60におけるオブジェクト71,74等や部位72,75等を読み込む。次いで、入力作成部214は、第二格納部216に格納されているオブジェクトデータリスト70を読み込み、オブジェクトデータリスト70内において、第一中間ファイル60にて要求対象であるオブジェクト:柱で、部位:下地材に対応したデータリストのみを抽出する。
【0069】
入力作成部214は、抽出したデータリストを第二中間ファイルに入力し、第二中間ファイルを作成する。ここで、
図7は、第二中間ファイルの一例を示した図である。
【0070】
図7に示す例では、第二中間ファイル80において、
図4に示す第一中間ファイル60の要求に対する返信内容として、要求対象オブジェクト81として壁が入力され、壁の部位82として下地材が入力され、設置階83として1FLが入力され、設置位置としてX1通りとY1通りの交点もしくは交点近傍であるX1Y1が入力されている。さらに、オブジェクトデータリスト70から抽出されたメーカー名及び製品名85として、P1社による製品名Q1,Q2とP2社による製品名Q3等が入力される。また、各製品名の横には詳細情報86が入力され、例えば、製品Q1に関する詳細情報として、色は青、柄は波柄、特性は耐火、価格は○○円である旨が入力される。尚、詳細情報には、その他の様々な情報が含まれてよい。
【0071】
入力作成部214では、オブジェクトデータリスト70を、設計ユーザ端末10の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトにおいて読み込み可能に変換する。
図7に一例として示す第二中間ファイル80は、例えばCSV形式やTXT形式のファイルに変換されたものであり、第二通信部210を介して設計ユーザ端末10に送信される。
【0072】
図1に示す設計支援システム50において、設計ユーザ端末10からWebカタログサーバ20に対して、BIMモデルの設計に際して設計対象のオブジェクトに関する製品データリスト(オブジェクトデータリスト70)を要求する第一中間ファイル60が送信される。Webカタログサーバ20において、第一中間ファイル60にて要求されたオブジェクトに関する製品データリストをオブジェクトデータリスト70から抽出し、第一中間ファイル60の要求に返信する内容で要求オブジェクトに関する製品データリストが入力された第二中間ファイル80が作成され、設計ユーザ端末10に送信される。
【0073】
設計ユーザ端末10を操作する設計担当者は、受信した第二中間ファイル80に入力されている製品データリスト中の各製品の詳細情報を比較検討し、BIMモデルに適用する製品データを選択する。設計ユーザ端末10において、設計部124を起動することにより、ディスプレイの例えば上段には各種のアドインツールが設定されており、その中のアドインツール「製品データリスト」を選択すると、第二中間ファイル80中の製品データリストが表示される。そして、設計担当者が一つの製品データを選択すると、選択された製品データが設計対象のオブジェクトの仕様情報として第一格納部126に格納され、オブジェクトに紐付けられる。
【0074】
そして、オブジェクトに対してその製品データが紐付けられると、BIMモデルの設計の際に作成される設計図書に対して、オブジェクトとその製品データが自動的に入力される。ここで、
図8は、設計ユーザ端末に格納される設計図書の一例を示す図である。
【0075】
図8は、オブジェクト壁に対して、下地材や仕上げ材に対して設定された製品データ情報が設計図書として入力されている。
【0076】
BIMモデルを構成する全てのオブジェクトに対して、上記と同様の操作を繰り返すことにより、各オブジェクトと、対応する製品データとが入力された設計図書が作成され、かつBIMモデルが設計される。このように、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する製品がデータリスト化されていて、データリストから実際のBIMモデルに適用する製品を選択した際に、自動的に設計図書のデータベースへの入力が実行されることから、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことが可能になる。
【0077】
[実施形態に係る設計支援方法]
次に、
図9を参照して、実施形態に係る設計支援方法の一例について説明する。ここで、
図9は、実施形態に係る設計支援方法の一例のフローチャートである。
【0078】
まず、建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末10より、Webカタログを格納するWebカタログサーバ20に対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリスト70を要求するための第一中間ファイル60を送信する、ファイル送信工程を実行する(ステップS300)。
【0079】
図4等を用いて既に説明したように、第一中間ファイル60では、要求対象のオブジェクトを明確にし、当該要求対象のオブジェクトに関する製品データをWebカタログサーバ20に対して要求する。
【0080】
次に、Webカタログサーバ20では、受信した第一中間ファイル60に対して、オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイル80を作成する、入力作成工程を実行する(ステップS310)。
【0081】
Webカタログサーバ20には、様々なオブジェクトに対する様々なメーカーの製品に関するデータをまとめたオブジェクトデータリスト70が格納されており、Webカタログサーバ20では、第一中間ファイル60にて製品データが要求されたオブジェクトに関する製品データを抽出し、第一中間ファイル60の要求に対する返信内容として、抽出された製品データリストが入力された第二中間ファイル80を作成し、設計ユーザ端末10に第二中間ファイル80を送信する。尚、設計ユーザ端末10への第二中間ファイル80の送信は、設計ユーザ端末10から送信を要求するコマンドをWebカタログサーバ20が受信した際に送信する形態や、第二中間ファイル80が作成された際に設計ユーザ端末10へ自動送信される形態などがある。
【0082】
次に、設計ユーザ端末10において、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、第二中間ファイル80を受信し、第二中間ファイル80に入力されているオブジェクトデータリスト70(の一部)を読み込み、オブジェクトデータリスト70(の一部)から選定されたオブジェクトデータ(製品データ)をBIMモデルに取り込んで設計する、設計工程を実行する(ステップS320)。
【0083】
設計対象のBIMモデルを構成する全てのオブジェクトに対して、上記するステップS300乃至ステップS320を実行することにより、各オブジェクトに製品データ等の仕様情報が紐付けられたBIMモデルを効率的に設計することができる。また、BIMモデルが設計された際に、各オブジェクトとその仕様情報が纏められた設計図書が自動的に作成される。そして、このBIMモデルの設計過程において、設計図書への仕様情報の設計担当者による直接入力は一切不要となり、設計図書の作成を含めたBIMモデル設計の効率化を図ることが可能になる。
【0084】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0085】
10:設計ユーザ端末
20:Webカタログサーバ
30:共有サーバ
40:ネットワーク
50:設計支援システム
50A:共有システム
60:第一中間ファイル
70:オブジェクトデータリスト
80:第二中間ファイル
90:設計図書
120:第一通信部
122:第一入出力部
124:設計部
126:第一格納部
210:第二通信部
212:第二入出力部
214:入力作成部
216:第二格納部