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特許7391595タングステン用のケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】タングステン用のケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231128BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20231128BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20231128BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
B24B37/24 C
B24B37/24 E
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184410
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2020077860
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】16/166,087
(32)【優先日】2018-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジア・デ・ペン
(72)【発明者】
【氏名】リン-チェン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン・ポ-シアン・チー
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-82336(JP,A)
【文献】特開2016-216703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/24
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期成分として:水;
酸化剤;
一般式(I):
【化11】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24の範囲である]を有する化合物;
コロイダルシリカ砥粒;
ジカルボン酸;
鉄(III)イオン源;
場合によりpH調整剤;及び、
場合により殺生物剤
を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項2】
式(I)を有する化合物が、少なくとも50ppmの量である、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項3】
m+nの合計が3~15の範囲である、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項4】
獣脂アミン含有基が、式(II):
【化12】

[式中、R’は、獣脂由来の直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルキル、又は直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルケニル基であり、rは、2~5の整数であり、そしてzは、1~24の整数である]を有する、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項5】
タングステンのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって:
タングステン及び絶縁体を含む基板を提供すること;
初期成分として:
水;
酸化剤;
式(I):
【化13】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24の範囲である]を有する化合物;
コロイダルシリカ砥粒;
ジカルボン酸;
鉄(III)イオン源;及び
場合によりpH調整剤;
場合により殺生物剤
を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面で動的接触を作り出すこと;そして、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面又はその付近のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去すること
を含む方法。
【請求項6】
m+nの合計が、3~15の範囲である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
獣脂アミン含有基が、式(II):
【化14】

[式中、R’は、獣脂由来の直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルキル、又は直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルケニル基であり、rは、2~5の整数であり、そしてzは、1~24の整数である]を有する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaにより、タングステン除去速度≧1000Å/分を有しており;そしてケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、請求項5記載の方法。
【請求項9】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として:
水;
0.01~10重量%の酸化剤;
50~500ppmの式(I)の化合物;
0.01~15重量%のコロイダルシリカ砥粒;
1~2,600ppmのジカルボン酸;
100~1,100ppmの鉄(III)イオン源であって、硝酸第二鉄である鉄(III)イオン源;及び、
場合によりpH調整剤;
場合により殺生物剤
を含み、そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHが1~7である、請求項5記載の方法。
【請求項10】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaにより、タングステン除去速度≧1500Å/分を有しており;そしてケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するためのタングステンのケミカルメカニカルポリッシングの分野に関する。更に具体的には、本発明は、タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するためのタングステンのケミカルメカニカルポリッシング用の組成物及び方法であって、タングステンを含有する基板を提供すること;初期成分として、水;酸化剤;タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するのに十分な量の選択されたポリエトキシル化獣脂アミン;ジカルボン酸;鉄イオン源;コロイダルシリカ砥粒;及び場合によりpH調整剤;及び場合により殺生物剤を含有する研磨組成物を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;研磨パッドと基板の界面で動的接触を作り出すこと;そして、研磨パッドと基板の界面又はその付近の研磨表面上に研磨組成物を分注して、一部のタングステンが研磨されて基板から除かれることにより、タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電性材料、半導体材料及び絶縁材料
の複数の層が半導体ウェーハの表面上に堆積されるか、又はそこから除去される。導電性材料、半導体材料、及び絶縁材料の薄層は、幾つかの堆積手法によって堆積され得る。最新の加工における一般的な堆積手法は、スパッタリングとしても知られている物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、及び電気化学的めっき法(ECP)を含む。
【0003】
材料の層が順次堆積され除去されるにつれ、ウェーハの最上面は平坦でなくなる。後続の半導体加工(例えば、メタライゼーション)はウェーハが平らな表面を有することを要求するため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、望ましくない表面トポグラフィー及び表面欠陥(粗面、凝集物質、結晶格子損傷、スクラッチ、及び混入層又は物質など)を除去するのに有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション、又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基板を平坦化するために使用される一般的な手法である。従来のCMPにおいて、ウェーハはキャリアアセンブリに取り付けられ、CMP装置内に研磨パッドと接触して配置される。キャリアアセンブリは、ウェーハに調節可能な圧力を提供し、ウェーハを研磨パッドに押し付ける。パッドを、外部駆動力によってウェーハに対して移動(例えば、回転)させる。それと同時に、研磨組成物(「スラリー」)又は他の研磨溶液がウェーハと研磨パッドとの間に提供される。よって、パッド表面及びスラリーの化学的及び機械的作用によって、ウェーハ表面が研磨されて、平坦化される。しかしながら、CMPにはかなりの複雑さを伴う。各タイプの材料には、固有の研磨組成物、適切に設計された研磨パッド、研磨とCMP後洗浄の両方に最適化されたプロセス設定、及び特定の材料の研磨用途に個別に合わせる必要があるその他の因子が必要とされる。
【0005】
ケミカルメカニカルポリッシングは、集積回路設計におけるタングステン配線及びコンタクトプラグの形成中にタングステンを研磨するための好ましい方法となっている。タングステンは、コンタクト/ビアプラグの集積回路設計において頻繁に使用されている。典型的には、基板上の絶縁体層を貫通してコンタクト又はビアホールが形成され、下層の構成要素(例えば、第1レベルのメタライゼーション又は配線)の領域が露出される。タングステンは硬質金属であり、タングステンCMPは比較的苛酷な設定で動作し、そしてこのことが、タングステンCMPに特有の課題をもたらす。残念ながら、タングステンの研磨に使用される多くのCMPスラリーは、その苛酷な性質のため、タングステンのコロージョンを引き起こす。タングステンのコロージョンは、CMPの一般的な副作用である。CMPプロセス中、基板の表面に残っている金属研磨スラリーは、CMPの効果を超えてタングステンを腐食し続ける。時にはコロージョンが望まれるが、ほとんどの半導体プロセスでは、コロージョンを減少させるか、又は好ましくは完全に抑制する必要がある。
【0006】
CMPタングステンに関連する別の問題は、残念ながら、タングステンの研磨に使用される多くのCMPスラリーが過剰研磨及びディッシングの問題を引き起こし、その結果、不均一又は平坦でない表面が生じることである。「ディッシング」という用語は、CMP中の半導体上の金属配線前駆体及び他のフィーチャーからの、タングステンのような金属の過剰な(望ましくない)除去のことをいい、それによってタングステンに望ましくない窪みが生じることをいう。ディッシングは、平坦でない表面をもたらすことに加えて、半導体の電気的性能に悪影響を及ぼすため、望ましくない。ディッシングの深刻度は様々であるが、典型的には、二酸化ケイ素(TEOS)のような下層の絶縁材料のエロージョンを引き起こすほどに深刻である。
【0007】
このようなディッシングから生じ得るトポグラフィー欠陥は更に、導電性材料又は絶縁材料の下に配置されたバリア層材料のような、追加の材料の基板表面からの不均一な除去をもたらして、望ましい品質に達しない基板表面を生成し、そのため半導体の集積回路の性能に悪影響を与える可能性がある。更に、半導体の表面上のフィーチャーがますます小型化されるにつれて、半導体の表面をうまく研磨することが次第に困難になっている。
【0008】
したがって、タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するが、好ましくは更にディッシングを抑制する、タングステンのためのCMP方法及び組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、タングステンのケミカルメカニカルポリッシング用組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0010】
【化1】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、場合によりpH調整剤;及び、場合により殺生物剤
を含む組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、タングステンのケミカルメカニカルポリッシング用組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;少なくとも50ppmの一般式(I):
【0012】
【化2】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、場合によりpH調整剤;及び、場合により殺生物剤
を含む組成物であって、pHが1~7である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物に関する。
【0013】
本発明は更に、タングステンのケミカルメカニカルポリッシング用組成物であって、初期成分として:水;0.01~10重量%の酸化剤;50~500ppmの一般式(I):
【0014】
【化3】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;0.01~15重量%のコロイダルシリカ砥粒;1~2,600ppmのジカルボン酸又はその塩;175~700ppmの鉄(III)イオン源;及び、場合によりpH調整剤;及び、場合により殺生物剤
を含む組成物であって、pHが1.5~4.5である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物に関する。
【0015】
本発明は、タングステンのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって:
タングステン及び絶縁体を含む基板を提供すること;
初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0016】
【化4】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;
コロイダルシリカ砥粒;
ジカルボン酸又はその塩;
鉄(III)イオン源;場合によりpH調整剤;及び
場合により殺生物剤
を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面で動的接触を作り出すこと;そして、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面又はその付近のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去すること
を含む方法に関する。
【0017】
本発明はまた、タングステンのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって:
タングステン及び絶縁体を含む基板を提供すること;
初期成分として:水;酸化剤;少なくとも50ppmの一般式(I):
【0018】
【化5】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;
コロイダルシリカ砥粒;
ジカルボン酸又はその塩;
鉄(III)イオン源;場合によりpH調整剤;及び
場合により殺生物剤
を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、pHが1~7である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面で動的接触を作り出すこと;そして、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面又はその付近のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去すること
を含む方法であって、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaにより、タングステン除去速度≧1000Å/分を有しており;そしてケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、方法に関する。
【0019】
本発明は更に、タングステンのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって:
タングステン及び絶縁体を含む基板を提供すること;
初期成分として:水;0.01~10重量%の酸化剤;50~500ppmの一般式(I):
【0020】
【化6】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、そしてm及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24である]を有する化合物;
0.01~15重量%のコロイダルシリカ砥粒;
1~2,600ppmのジカルボン酸又はその塩;
100~1100ppmの鉄(III)イオン源;場合によりpH調整剤;及び
場合により殺生物剤
を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、pHが1.5~4.5である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面で動的接触を作り出すこと;そして、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面又はその付近のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去すること
を含む方法であって、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaにより、タングステン除去速度≧1000Å/分を有しており;そしてケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、方法に関する。
【0021】
本発明の前記のケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法は、タングステンを研磨し、そして望ましくないタングステンのコロージョンを少なくとも抑制するが、本発明の前記のケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法は更に、ディッシングを抑制することができる。
【0022】
発明の詳細な説明
本明細書の至るところで使用されるとき、以下の略語は、文脈上、特に明記されない限り、以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;μ=μm=ミクロン;kPa=キロパスカル;Å=オングストローム;mV=ミリボルト;DI=脱イオン;ppm=百万分率=mg/L;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;min=分;rpm=毎分回転数;lb=ポンド;kg=キログラム;W=タングステン;PO=プロピレンオキシド;EO=エチレンオキシド;C=四価元素の炭素;ICP-OES=誘導結合プラズマ発光分析法;DLS=動的光散乱;重量%=重量パーセント;RR=除去速度;
【0023】
【化7】

=化学結合。
【0024】
「ケミカルメカニカルポリッシング」又は「CMP」という用語は、化学的力及び機械的力のみによって基板を研磨するプロセスのことをいい、電気バイアスが基板に印加されるエレクトロケミカルメカニカルポリッシング(ECMP)とは区別される。「TEOS」という用語は、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)の分解により形成される二酸化ケイ素を意味する。「平坦な」という用語は、長さと幅の2つの寸法を有する実質的に平らな表面又は平らなトポグラフィーを意味する。「寸法」という用語は、線幅のことをいう。「アルキル」という用語は、置換基を有するものとして本明細書中に特に断りない限り、炭素と水素のみからなり(ヒドロカルビル)、そして一般式:C2n+1(式中、変数「n」は整数である)を有する有機化学基を意味する。「アルケニル」という用語は、水素がアルキレン基(アルカンジイル)から脱離された有機化学基、例えば、HC=CH-又はHRC=CH-(ここで、Rは有機炭化水素(ヒドロカルビル)基である)を意味する。「部分構造」という用語は、分子の一部又は分子の官能基を意味する。「獣脂」という用語は、例えば、37~43%オレイン酸、24~32%パルミチン酸、24~32%ステアリン酸、3~6%ミリスチン酸及び2~3%リノール酸を含む遊離脂肪酸の混合物を提供する、加水分解動物脂肪であって、エチレンオキシドでエトキシル化される前に、ニトリルプロセスを介して脂肪アミンに変換される加水分解動物脂肪を意味する。「a」及び「an」という用語は、単数形及び複数形の両方を指す。特に断りない限り、全ての百分率は重量による。全ての数値範囲は全体を含み、任意の順序で組合せることができるが、そのような数値範囲が合計して最大100%になるよう制約されていることが論理的である場合を除く。
【0025】
本発明のタングステンを含有する基板の研磨方法は、ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;式(I):
【0026】
【化8】

[式中、Rは、獣脂又は獣脂アミン含有基であり、ここで獣脂は、好ましくは、獣脂由来の直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルキル、又は直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルケニル基から選択され、そして獣脂アミン含有基は、式(II):
【0027】
【化9】

{式中、R’は、獣脂由来の直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルキル、又は直鎖若しくは分岐鎖(C-C24)アルケニル基である}で示される部分構造であり、m及びnは、整数であって、m+nの合計は2~24の範囲であり、そしてrは2~5の整数であり、そしてzは1~24の整数である]を有するポリエトキシル化獣脂アミン化合物;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、場合によりpH調整剤;及び、場合により殺生物剤を含む(好ましくは、これらからなる)ケミカルメカニカルポリッシング組成物を含むことによって、タングステンを基板表面から除去し、一方、タングステンのコロージョンを少なくとも抑制するが、更にディッシングを抑制することができる。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2種以上の前記のポリエトキシル化獣脂アミンの混合物を含むことができる。本発明の前記のポリエトキシル化獣脂アミンは、電荷に関して中性である。
【0028】
更に好ましくは、Rは、獣脂直鎖(C12-C20)アルキル又は獣脂直鎖分岐鎖(C12-C20)アルケニルであり、そしてm+nの合計は3~15であり、なお好ましくは、Rは、獣脂直鎖(C13-C18)アルキル又は獣脂直鎖分岐鎖(C13-C18)アルケニルであり、そしてm+nの合計は3~5であり;更になお好ましくは、Rは、飽和若しくは不飽和ヘキサデシル(C16)、飽和若しくは不飽和ヘプタデシル(C17)、又は飽和若しくは不飽和オクタデシル(C18)であり、そしてm+nの合計は3~5であり、そして最も好ましくは、Rは、上記式(II)を有する部分構造である。
【0029】
好ましくは、R’は、直鎖(C12-C20)アルキル又は直鎖(C12-C20)アルケニルであり、そしてrは2~4の整数であり、そしてzは3~15の整数であり、更に好ましくは、R’は、直鎖(C13-C18)アルキル又は直鎖(C13-C18)アルケニルであり、そしてm+nの合計は3~5であり、そしてrは2~3の整数であり、そしてzは3~5の整数であり、最も好ましくは、R’は、飽和若しくは不飽和ヘキサデシル(C16)、飽和若しくは不飽和ヘプタデシル(C17)、又は飽和若しくは不飽和オクタデシル(C18)であり、そしてm+nの合計は3~5であり、rは2~3の整数であり、そしてzは3~5の整数である。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、式(II)の部分構造を有する2種以上の前記のポリエトキシル化獣脂アミン化合物の混合物を含むことができる。本発明の前記のポリエトキシル化獣脂アミンは、電荷に関して中性である。
【0030】
本発明の好ましいポリエトキシル化獣脂アミンの例は、一般式(III):
【0031】
【化10】

[式中、R’、m、n、及びzは上記と同義である]を有するポリエトキシル化獣脂ジアミンである。好ましくは、R’は、飽和若しくは不飽和ヘキサデシル(C16)、飽和若しくは不飽和ヘプタデシル(C17)、又は飽和若しくは不飽和オクタデシル(C18)であり、そしてm+nは3~5であり、そしてzは3~5の整数であり、最も好ましくは、m+n=5であり、そしてz=5である。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2種以上の前記の式(III)のポリエトキシル化獣脂ジアミンの混合物を含むことができる。一般式(III)を有する本発明の特に好ましいポリエトキシル化獣脂ジアミンは、SIGMA-ALDRICH(登録商標)Chemicals Company(Milwaukee, WI, USA)から市販されているN,N’,N’-ポリオキシエチレン(10)-N-1,3-ジアミノプロパンである。
【0032】
好ましくは、本発明のタングステンをケミカルメカニカルポリッシングする方法において、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、少なくとも50ppm、好ましくは50~500ppm、更に好ましくは50ppm~300ppm、更になお好ましくは50ppm~200ppm、最も好ましくは50~100ppmの本発明のポリエトキシル化獣脂アミンを含有む。
【0033】
好ましくは、本発明のタングステンを含む基板をケミカルメカニカルポリッシングする方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に、初期成分として含有される水は、偶発的不純物を制限するために、脱イオン化及び蒸留の少なくとも一方が行われている。
【0034】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、酸化剤であって、過酸化水素(H)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硫酸塩、過酢酸、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩及びこれらの混合物からなる群より選択される酸化剤を含有する。更に好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩及び過酢酸からなる群より選択される。最も好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。
【0035】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.01~10重量%、更に好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは1~3重量%の酸化剤を含有する。
【0036】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。更に好ましくは、本発明の方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源であって、鉄(III)塩からなる群より選択される鉄(III)イオン源を含有する。最も好ましくは、本発明の方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源であって、硝酸第二鉄(Fe(NO)である鉄(III)イオン源を含有する。
【0037】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ケミカルメカニカルポリッシング組成物に1~250ppm、好ましくは5~200ppm、更に好ましくは7.5~150ppm、最も好ましくは10~100ppmの鉄(III)イオンを導入するのに十分な鉄(III)イオン源を含有する。
【0038】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100~1,100ppm、好ましくは125~1000ppm、更に好ましくは150~850ppm、そして最も好ましくは175~700ppmの鉄(III)イオン源を含有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100~1,100ppm、好ましくは150~1000ppm、更に好ましくは150~850ppm、最も好ましくは175~700ppmの鉄(III)イオン源であって、硝酸第二鉄(Fe(NO)である鉄(III)イオン源を含有する。
【0039】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、負の永久ゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、そしてここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1~7、好ましくは1.5~4.5;更に好ましくは1.5~3.5;更により好ましくは2~3;最も好ましくは2~2.5のpHを有する。更により好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、負の永久ゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、そしてここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、-0.1mV~-20mVのゼータ電位により示されるとき、1~7、好ましくは1.5~4.5;更に好ましくは1.5~3.5;更により好ましくは2~3;最も好ましくは2~2.5のpHを有する。
【0040】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、コロイダルシリカ砥粒であって、動的光散乱法(DLS)により測定されるとき、≦100nm;好ましくは5~100nm;更に好ましくは10~90nm;最も好ましくは20~80nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒を含有する。
【0041】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、0.01~15重量%、好ましくは0.05~10重量%、更に好ましくは0.1~7.5重量%、更により好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.2~2重量%のコロイダルシリカ砥粒を含有する。好ましくは、コロイダルシリカ砥粒は負のゼータ電位を有する。
【0042】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であって、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、これらの塩又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されないジカルボン酸を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であって、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、これらの塩及びこれらの混合物からなる群より選択されるジカルボン酸を含有する。更により好ましくは、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であって、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、これらの塩及びこれらの混合物からなる群より選択されるジカルボン酸を含有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0043】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、1~2,600ppm、好ましくは100~1,400ppm、更に好ましくは120~1,350ppm、更になお好ましくは130~1,100ppmのジカルボン酸であって、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、これらの塩又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されないジカルボン酸を含有する。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、1~2,600ppmのマロン酸、その塩又はその混合物を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100~1,400ppm、更により好ましくは120~1,350ppm、更になお好ましくは130~1,350ppmのジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0044】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1~7のpHを有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1.5~4.5のpHを有する。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1.5~3.5のpHを有する。更になお一層好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2~3のpH;そして最も好ましくは2~2.5のpHを有する。
【0045】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により、pH調整剤を含有する。好ましくは、pH調整剤は、無機及び有機pH調整剤からなる群より選択される。好ましくは、pH調整剤は、無機酸及び無機塩基からなる群より選択される。更に好ましくは、pH調整剤は、硝酸及び水酸化カリウムからなる群より選択される。最も好ましくは、pH調整剤は、水酸化カリウムである。
【0046】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、第4級化合物を除外する。このような第4級化合物は、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物及び第4級アンチモニウム化合物を含むが、これらに限定されない。
【0047】
場合により、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、界面活性剤を含有する。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、PO又はEO又はPO/EO含有界面活性剤である。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、アニオン性官能基を含有するPO又はEO又はPO/EO界面活性剤である。更により好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、式(IV):
2a+1O-PO-EO-SO
[式中、aは、12、15、18、20、22、25、28、30、35、38、40、42又は44であってよく;bは、0、2、5、8、10、12、14、16、18、20、30、40又は50であってよく;そしてdは、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90又は100であってよいが、ただし、b及びdは、同じ場合で0ではあり得ず、そして対イオンは、好ましくはナトリウムカチオン若しくはカリウムカチオンのようなアルカリ金属イオン;又はアンモニウムカチオンであってよい]を有するアニオン性エーテル硫酸塩である。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、アニオン性エーテル硫酸塩は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0048】
本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、50ppm~1000ppm、好ましくは100ppm~900ppm、更に好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは140ppm~250ppmのアニオン性エーテル硫酸塩を含有することができる。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、50~1000ppm、更に好ましくは100ppm~900ppm、更により好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは、140ppm~250ppmのアニオン性エーテル硫酸のアルカリ金属塩界面活性剤を含有する。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、50ppm~1000ppm、好ましくは100ppm~900ppm、更に好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは、140ppm~250ppmのラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する。
【0049】
場合により、研磨組成物は、それぞれThe Dow Chemical Companyによって製造される、KORDEX(商標)MLX(9.5~9.9% メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、89.1~89.5%水及び≦1.0%関連反応生成物)又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンという活性成分を含有するKATHON(商標)ICP IIIのような殺生物剤を含有することができる(KATHON(商標)及びKORDEX(商標)はThe Dow Chemical Companyの商標である)。このような殺生物剤は、当業者には公知のとおり、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物に従来量で含まれ得る。
【0050】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、アゾール化合物を除外する。このようなアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、トリルトリアゾール及びイミダゾールを含むが、これらに限定されない。
【0051】
好ましくは、提供される基板は、タングステン及びTEOSのような絶縁体を含む、半導体基板である。
【0052】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、当技術分野において公知の任意の適切な研磨パッドであってよい。当業者であれば、本発明の方法において使用するための適切なケミカルメカニカルポリッシングパッドを選択することが分かる。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、織物及び不織研磨パッドから選択される。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタン研磨層を含む。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む。好ましくは、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、研磨表面上に少なくとも1つの溝を有する。
【0053】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面又はその付近の提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上に分注される。
【0054】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、動的接触は、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の界面で、研磨される基板の表面に垂直な0.69~34.5kPaのダウンフォースにより作り出される。
【0055】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、タングステン除去速度≧1,000Å/分;好ましくは≧1,500Å/分;更に好ましくは≧1,700Å/分を有するが、このとき200mm研磨機上で、プラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kgであり;そしてここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む。
【0056】
以下の実施例は、タングステンにおける本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物のコロージョン抑制性能、及びタングステンディッシングの抑制を説明することを目的としているが、以下の実施例は、発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0057】
研磨スラリー配合物
本実施例のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、表1に記載された量の成分をDI水である残りと合わせ、そして45重量%水酸化カリウムを用いて組成物のpHを表1に記載された最終pHに調整することによって調製された。
【0058】
【表1】
【実施例2】
【0059】
ポリエトキシル化獣脂ジアミンCMPスラリーのコロージョン速度抑制性能
コロージョン試験は、Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)を15gのスラリー試料に浸漬することによって実施された。Wウェーハは、10分後に試験スラリーから取り出された。続いて、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP-OESで分析して、重量によるタングステンの量を決定した。コロージョン速度(Å/分)は、エッチングウェーハの表面積が4cmであると仮定して、W質量から変換された。コロージョン試験の結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【実施例3】
【0061】
ケミカルメカニカルポリッシング-ポリエトキシル化獣脂ジアミンCMPスラリーのディッシング性能
研磨実験は、Applied Materialsの200mm MIRRA(登録商標)研磨機に取り付けられた200mmブランケットウェーハで行われた。研磨除去速度実験は、Novellusからの200mmブランケット15kÅ厚さのTEOSシートウェーハ、並びにWaferNet Inc.、Silicon Valley Microelectronics又はSKW Associates, Inc.から入手可能なW、Ti、及びTiNブランケットウェーハで行われた。全ての研磨実験は、SP2310サブパッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販されている)と対になったIC1010(商標)ポリウレタン研磨パッドを、特に断りない限り、典型的なダウン圧力21.4kPa(3.1psi)、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流量125mL/分、テーブル回転速度80rpm及びキャリア回転速度81rpmで使用して行われた。Kinik PDA33A-3ダイヤモンドパッドコンディショナー(Kinik Companyから市販されている)を使用して研磨パッドをドレッシングした。80rpm(プラテン)/36rpm(コンディショナー)で9.0lb(4.1kg)で15分間及び7.0lb(3.2kg)で15分間のダウンフォースを用いて、コンディショナーで研磨パッドをブレークインした。7lb(3.2kg)で24秒間のダウンフォースを用いて、研磨する前に研磨パッドを実験室内で更にコンディショニングした。Wディッシング速度は、KLA-Tencor RS100C計測ツールを用いて決定された。ウェーハには、表3に示されるとおり様々な標準線幅フィーチャーがあった。
【0062】
【表3】
【0063】
本発明のポリエトキシル化獣脂ジアミンを含有するスラリーは、ポリエトキシル化獣脂ジアミンを除外した対照と比較して、有意なディッシング抑制を示した。
【実施例4】
【0064】
スラリー配合物
【0065】
【表4】
【実施例5】
【0066】
ポリエトキシル化獣脂ジアミンCMPスラリーのコロージョン速度抑制性能
コロージョン試験は、Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)を15gのスラリー試料に浸漬することによって実施された。Wウェーハは、10分後に試験スラリーから取り出された。続いて、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP-OESで分析して、重量によるタングステンの量を決定した。コロージョン速度(Å/分)は、エッチングウェーハの表面積が4cmであると仮定して、W質量から変換された。コロージョン試験の結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
コロージョン速度試験の結果は、5のエトキシル化数(m+n)を有するポリエトキシル化獣脂ジアミンを含有するケミカルメカニカルポリッシングスラリーが、エトキシラートを除外した対照とは異なって、ウェーハ上のWのコロージョンを有意に減少させることを示した。
【実施例6】
【0069】
ケミカルメカニカルポリッシング-ポリエトキシル化獣脂ジアミンCMPスラリーのディッシング性能
本実施例のケミカルメカニカル設定は以下のとおりとした:
ツール:Titan SP Headを有するAMAT Mirra。
スラリー:PS-4。
パッド:SP2310サブパッドを有するIC1000、1010溝。
ディスク:Kinik PDA33A-3(AD3CI-171040-3)。
レシピ:
パッドブレークイン:80rpm/36rpm、9.0lbf CDF-15分+7.0lbf CDF-15分。
研磨:80rpm/81rpm、3.1psi、60秒間、125ml/分。
コンディショニング:実験室内:80rpm/36rpm、7.5lbf CDF、24秒間。
方法/研磨手順:
パッドブレークイン 30分間。
【0070】
【表6】
【0071】
ポリエトキシル化獣脂ジアミン(5 EO)を含む本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリーは、全てのフィーチャーサイズについて対照よりもディッシング性能が有意に改善された。