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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】機器システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019185582
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021061557
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 永馬
(72)【発明者】
【氏名】神谷 保徳
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026253(JP,A)
【文献】特開2005-033236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器と、該機器の運転操作用のリモコンと、該リモコンに搭載されたスピーカとを備えており、該リモコンが、音楽信号を外部に出力する機能を有する情報端末と通信接続し得るように構成されると共に、該情報端末との通信接続状態で該情報端末から入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力し得るように構成された機器システムであって、
前記スピーカから出力される音の音量レベルであるリモコン側音量レベルの増減操作を行い得るように前記リモコンに設けられた音量増減操作部と、
前記リモコンに入力された音楽信号から前記スピーカの駆動信号を生成し、該駆動信号により該スピーカを駆動するように構成されると共に、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルに応じて該駆動信号の強弱を調整し得るように構成されたスピーカ駆動部と、
前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルを記憶保持する第1記憶部と、
前記スピーカから出力される音の音量制御を行う機能を有する音量制御部とを備えており、
前記音量制御部は、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、該情報端末から出力される音楽信号の音量レベルである端末側音量レベルを所定の目標レベルにするように前記リモコンから前記情報端末に指令信号を送信させる第1処理と、前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で、前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定したリモコン側音量レベルである第1リモコン側音量レベルを、前記スピーカ駆動部が前記駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルとして設定する第2処理とを実行し、
前記音量制御部は、前記第2処理後に前記端末側音量レベルの変更を所定時間にわたり禁止し、
前記第1記憶部は、前記所定時間経過後に前記リモコン側音量レベルの現在値を記憶保持するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項2】
請求項1記載の機器システムにおいて、
前記リモコンは、前記音量制御部による前記第1処理の実行後に、前記端末側音量レベルを増減させるための所定の操作入力が該リモコンに対して行われたとき、該端末側音量レベルを増減させるように前記情報端末に指令信号を送信する機能をさらに有するように構成されており、
前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記情報端末から出力される音楽信号の端末側音量レベルを記憶保持する第2記憶部をさらに備えており、
前記音量制御部は、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で、前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定する第3処理を実行する機能をさらに有するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項3】
請求項1記載の機器システムにおいて、
前記リモコンは、複数の前記情報端末と選択的に通信接続を行い得ると共に、通信接続された情報端末の識別情報を取得し得るように構成されており、
前記第1記憶部は、前記リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、
前記音量制御部は、前記第1リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項4】
請求項2記載の機器システムにおいて、
前記リモコンは、複数の前記情報端末と選択的に通信接続を行い得ると共に、通信接続された情報端末の識別情報を取得し得るように構成されており、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部は、前記リモコン側音量レベル及び前記端末側音量レベルのそれぞれを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、
前記音量制御部は、前記第1リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定するように構成されていると共に、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項5】
機器と、該機器の運転操作用のリモコンと、該リモコンに搭載されたスピーカとを備えており、該リモコンが、音楽信号を外部に出力する機能を有する情報端末と通信接続し得るように構成されると共に、該情報端末との通信接続状態で該情報端末から入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力し得るように構成された機器システムであって、
前記スピーカから出力される音の音量レベルであるリモコン側音量レベルの増減操作を行い得るように前記リモコンに設けられた音量増減操作部と、
前記リモコンに入力された音楽信号から前記スピーカの駆動信号を生成し、該駆動信号により該スピーカを駆動するように構成されると共に、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルに応じて該駆動信号の強弱を調整し得るように構成されたスピーカ駆動部と、
前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記情報端末から出力される音楽信号の音量レベルである端末側音量レベルを記憶保持する第2記憶部と、
前記スピーカから出力される音の音量制御を行う機能を有する音量制御部とを備えており、
前記音量制御部は、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、前記スピーカ駆動部が前記駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルを所定レベルに設定する第4処理と、前記端末側音量レベルを、前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定した目標レベルにするように前記リモコンから前記情報端末に指令信号を送信させる第5処理とを実行し、
前記音量制御部は、前記第5処理後に前記リモコン側音量レベルの変更を所定時間、禁止し、
前記第2記憶部は、前記所定時間経過後に前記端末側音量レベルの現在値を記憶保持するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項6】
請求項5記載の機器システムにおいて、
前記リモコンは、複数の前記情報端末と選択的に通信接続を行い得ると共に、通信接続された情報端末の識別情報を取得し得るように構成されており、
前記第2記憶部は、前記端末側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、
前記音量制御部は、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作用のリモコンと通信接続された情報端末から、リモコンに音楽信号を送信して、該リモコンで音楽再生を行うことができる機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機器システムとしては、例えば、特許文献1に見られるものが知られている。このシステムでは、スマートフォン等の情報端末と、給湯器の操作用のリモコン(浴室リモコン又は台所リモコン)とがBluetooth(登録商標)等の無線通信により通信接続される。リモコンには、スピーカとマイクロフォンとが備えられている。そして、情報端末から音楽信号をリモコンに送信し、この音楽信号の音楽をリモコンに備えられたスピーカから出力させる。さらに、スピーカから出力された後にマイクロフォンに入力された音楽の音量をリモコンで検出し、この音量が所定の閾値を超えている場合に、該音量が閾値以下になるように、リモコンから情報端末に音量調整信号を送信する。これに応じて、情報端末は、リモコンに送信する音楽信号の音量レベルを低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-26253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、ユーザが音楽を聴く場合の音量の好みは千差万別である。そして、特許文献1に見られるシステムでは、大きな音量での音楽再生がユーザの好みであっても、リモコンのスピーカから閾値を超える音量の音楽が出力される場合には、強制的に音量が低下されてしまう。このため、リモコンと情報端末との通信接続を行って音楽再生を行う都度、ユーザが音量調整を行わなければならないという不都合を生じやすい。
【0005】
また、特許文献1には、リモコンのマイクロフォンに入力された音楽の音量が閾値未満である場合に、音量を増加させる技術についても記載されている。この場合、小さな音量での音楽再生がユーザの好みである場合には、上記と同様に、リモコンと情報端末との通信接続を行って音楽再生を行う都度、ユーザが音量調整を行わなければならないという不都合を生じやすい。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、情報端末からリモコンに入力される音楽信号の音楽をリモコンのスピーカから出力させる際に、ユーザの音量の好みを適切に反映させた態様でスピーカから出力される音楽の音量を制御することができる機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の機器システムの第1の態様は、上記の目的を達成するために、機器と、該機器の運転操作用のリモコンと、該リモコンに搭載されたスピーカとを備えており、該リモコンが、音楽信号を外部に出力する機能を有する情報端末と通信接続し得るように構成されると共に、該情報端末との通信接続状態で該情報端末から入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力し得るように構成された機器システムであって、
前記スピーカから出力される音の音量レベルであるリモコン側音量レベルの増減操作を行い得るように前記リモコンに設けられた音量増減操作部と、
前記リモコンに入力された音楽信号から前記スピーカの駆動信号を生成し、該駆動信号により該スピーカを駆動するように構成されると共に、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルに応じて該駆動信号の強弱を調整し得るように構成されたスピーカ駆動部と、
前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルを記憶保持する第1記憶部と、
前記スピーカから出力される音の音量制御を行う機能を有する音量制御部とを備えており、
前記音量制御部は、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、該情報端末から出力される音楽信号の音量レベルである端末側音量レベルを所定の目標レベルにするように前記リモコンから前記情報端末に指令信号を送信させる第1処理と、前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で、前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定したリモコン側音量レベルである第1リモコン側音量レベルを、前記スピーカ駆動部が前記駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルとして設定する第2処理とを実行し、
前記音量制御部は、前記第2処理後に前記端末側音量レベルの変更を所定時間、禁止し、
前記第1記憶部は、前記所定時間経過後に前記リモコン側音量レベルの現在値を記憶保持するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0008】
なお、本発明(後述の第2~第6発明を含む)において、前記第1記憶部に記憶保持するリモコン側音量レベルは、該音量レベルの値そのものでもよいが、該音量レベルを規定するパラメータ値であってよい。このことは、後述する第2記憶部に記憶保持する端末側音量レベルについても同様である。
【0009】
上記第1発明によれば、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、情報端末において、端末側音量レベルが所定の目標レベルになるように調整されると共に、スピーカ駆動部がスピーカの駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルとして、情報端末とリモコンとの前回以前の通信接続状態で第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定される第1リモコン側音量レベルが設定される。
【0010】
ここで、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、ユーザは、前記音量増減操作部の操作によってリモコン側音量レベルを増減操作することで、スピーカから出力される音量を好みの音量に調整することができる。このため、第1記憶部に記憶保持されるリモコン側音量レベルは、スピーカから出力される音楽の音量に関するユーザの好みを反映させたものになる。
【0011】
従って、情報端末とリモコンとの前回以前の通信接続状態で第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて第1リモコン側音量レベルを決定することで、該第1リモコン側音量レベルを、ユーザの好みに適合したレベルに決定することができる。その結果、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、音楽信号の音楽をスピーカから出力させる初期段階において、スピーカから出力される音楽の音量を、ユーザの好みの音量にすることを高い確度で実現することが可能となる。ひいては、ユーザによる音量調整が必要となる状況が発生するのを極力抑制することが可能となる。
【0012】
よって、第1発明によれば、情報端末からリモコンに入力される音楽信号の音楽をリモコンのスピーカから出力させる際に、ユーザの音量の好みを適切に反映させた態様でスピーカから出力される音楽の音量を制御することができる。
【0013】
上記第1発明では、前記リモコンは、前記音量制御部による前記第1処理の実行後に、前記端末側音量レベルを増減させるための所定の操作入力が該リモコンに対して行われたとき、該端末側音量レベルを増減させるように前記情報端末に指令信号を送信する機能をさらに有するように構成され得る。
【0014】
この場合、本発明の機器システムは、さらに、前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記情報端末から出力される音楽信号の端末側音量レベルを記憶保持する第2記憶部をさらに備えており、前記音量制御部は、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で、前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定する第3処理を実行する機能をさらに有するように構成されているという態様を採用し得る(第2発明)。
【0015】
これによれば、情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、スピーカ駆動部がスピーカの駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルとして、前記の如く決定される第1リモコン側音量レベルが設定されることに加えて、情報端末において、端末側音量レベルが、情報端末とリモコンとの前回以前の通信接続状態で、第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定される目標レベルになるように調整される。
【0016】
ここで、第2発明では、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、ユーザは、前記音量増減操作部の操作によってリモコン側音量レベルを増減操作するか、あるいは、端末側音量レベルを増減操作するための操作入力をリモコンに対して行うことで、スピーカから出力される音量を好みの音量に調整することができる。このため、第1記憶部に記憶保持されるリモコン側音量レベルと第2記憶部に記憶保持される端末側音量レベルとの組は、スピーカから出力される音楽の音量に関するユーザの好みを反映させたものになる。
【0017】
従って、情報端末とリモコンとの前回以前の通信接続状態で第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて第1リモコン側音量レベルを決定すると共に、第2記憶部に記憶された端末側音量レベルとに基づいて該端末側音量レベルに関する目標レベルを決定することで、該第1リモコン側音量レベル及び目標レベルの組を、ユーザの好みに適合したレベルに決定することができる。その結果、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、音楽信号の音楽をスピーカから出力させる初期段階において、スピーカから出力される音楽の音量を、ユーザの好みの音量にすることを高い確度で実現することが可能となる。ひいては、ユーザによる音量調整が必要となる状況が発生するのを極力抑制することが可能となる。
【0018】
上記第1発明又は第2発明では、前記リモコンは、複数の前記情報端末と選択的に通信接続を行い得ると共に、通信接続された情報端末の識別情報を取得し得るように構成され得る。この場合、第1発明では、前記第1記憶部は、前記リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、前記音量制御部は、前記第1リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0019】
また、第2発明では、前記第1記憶部及び前記第2記憶部は、前記リモコン側音量レベル及び前記端末側音量レベルのそれぞれを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、前記音量制御部は、前記第1リモコン側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第1記憶部に記憶されたリモコン側音量レベルに基づいて決定するように構成されていると共に、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることが好ましい(第4発明)。
【0020】
これらの第3発明及び第4発明によれば、複数の情報端末のそれぞれに対応する各ユーザ毎に、各ユーザの情報端末とリモコンとの通信接続時に、該ユーザの音量の好みを適切に反映せた音量の音楽をスピーカから出力させることが可能となる。
【0021】
また、本発明の機器システムの第2の態様は、機器と、該機器の運転操作用のリモコンと、該リモコンに搭載されたスピーカとを備えており、該リモコンが、音楽信号を外部に出力する機能を有する情報端末と通信接続し得るように構成されると共に、該情報端末との通信接続状態で該情報端末から入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力し得るように構成された機器システムであって、
前記スピーカから出力される音の音量レベルであるリモコン側音量レベルの増減操作を行い得るように前記リモコンに設けられた音量増減操作部と、
前記リモコンに入力された音楽信号から前記スピーカの駆動信号を生成し、該駆動信号により該スピーカを駆動するように構成されると共に、前記音量増減操作部の操作に応じて設定されたリモコン側音量レベルに応じて該駆動信号の強弱を調整し得るように構成されたスピーカ駆動部と、
前記情報端末と前記リモコンとの通信接続状態で、前記情報端末から出力される音楽信号の音量レベルである端末側音量レベルを記憶保持する第2記憶部と、
前記スピーカから出力される音の音量制御を行う機能を有する音量制御部とを備えており、
前記音量制御部は、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、前記スピーカ駆動部が前記駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルを所定レベルに設定する第4処理と、前記端末側音量レベルを、
前記情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定した目標レベルにするように前記リモコンから前記情報端末に指令信号を送信させる第5処理とを実行し、
前記音量制御部は、前記第5処理後に前記リモコン側音量レベルの変更を所定時間、禁止し、
前記第2記憶部は、前記所定時間経過後に前記端末側音量レベルの現在値を記憶保持するように構成されていることを特徴とする(第5発明)。
【0022】
これによれば、前記情報端末から前記リモコンに入力される音楽信号の音楽を前記スピーカから出力させるとき、スピーカ駆動部がスピーカの駆動信号の強弱を調整するためのリモコン側音量レベルが所定レベルに設定されると共に、情報端末において、端末側音量レベルが、情報端末と前記リモコンとの前回以前の通信接続状態で前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定した目標レベルになるように調整される。
【0023】
ここで、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、ユーザは、端末側音量レベルを増減操作するための操作入力をリモコンに対して行うことで、スピーカから出力される音量を好みの音量に調整することができる。このため、第2記憶部に記憶保持される端末側音量レベルは、スピーカから出力される音楽の音量に関するユーザの好みを反映させたものになる。
【0024】
従って、情報端末とリモコンとの前回以前の通信接続状態で第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて前記目標レベルを決定することで、該目標レベルを、ユーザの好みに適合したレベルに決定することができる。その結果、情報端末とリモコンとの各回の通信接続状態において、音楽信号の音楽をスピーカから出力させる初期段階において、スピーカから出力される音楽の音量を、ユーザの好みの音量にすることを高い確度で実現することが可能となる。ひいては、ユーザによる音量調整が必要となる状況が発生するのを極力抑制することが可能となる。
【0025】
よって、第5発明によれば、情報端末からリモコンに入力される音楽信号の音楽をリモコンのスピーカから出力させる際に、ユーザの音量の好みを適切に反映させた態様でスピーカから出力される音楽の音量を制御することができる。
【0026】
上記第5発明では、前記リモコンは、複数の前記情報端末と選択的に通信接続を行い得ると共に、通信接続された情報端末の識別情報を取得し得るように構成され得る。この場合、前記第2記憶部は、前記端末側音量レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて記憶保持するように構成され、前記音量制御部は、前記端末側音量レベルに関する前記目標レベルを、前記リモコンと通信接続されている情報端末の識別情報に対応付けて前記第2記憶部に記憶された端末側音量レベルに基づいて決定するように構成されていることが好ましい(第6発明)。
【0027】
これによれば、複数の情報端末のそれぞれに対応する各ユーザ毎に、各ユーザの情報端末とリモコンとの通信接続時に、該ユーザの音量の好みを適切に反映させた音量の音楽をスピーカから出力させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の機器システムの全体構成を示すブロック図。
図2図1に示す音量制御部の第1実施形態での処理を示すフローチャート。
図3図1に示す音量制御部の第2実施形態での処理を示すフローチャート。
図4図1に示す音量制御部の第3実施形態での処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1及び図2を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の機器システムは、例えば給湯器システム1である。この給湯器システム1は、機器としての給湯器2と、給湯器2の運転操作用の1つ以上のリモコン10(本実施形態では例えば2つのリモコン10a,10b)とを備える。そして、各リモコン10は、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャフォン、音楽再生器等の情報端末30と無線通信を行うことが可能である。
【0030】
給湯器2は、公知の構造の給湯器である。このため、詳細な図示及び説明は省略するが、該給湯器2は、バーナ等の熱源により給湯用水を加熱し、その加熱した給湯用水を台所や浴室の給湯栓、あるいは、浴槽等に供給(給湯)し得るように構成されている。そして、給湯器2は、その運転制御を行う機能を有する制御部3と、各リモコン10との通信(本実施形態では有線通信)を行うリモコン用通信部4とを備える。
【0031】
リモコン用通信部4は、通信モジュール等により構成され、制御部3から入力される送信データを通信信号に変換して各リモコン10に送信すると共に、各リモコン10から受信した通信信号を制御部3の処理用の受信データに変換して該制御部3に出力する機能を有する。
【0032】
制御部3は、マイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、各リモコン10とリモコン用通信部4を介して通信を行うことが可能である。そして、制御部3は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソウフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、給湯器2の運転制御を行うことが可能である。
【0033】
給湯器システム1に備えられた2つのリモコン10a,10bのうちのリモコン10aは、例えば浴室に配置されるリモコン10a(以降、浴室リモコン10aということがある)、リモコン10bは、例えば台所に配置されるリモコン10b(以降、台所リモコン10bということがある)である。
【0034】
これらのリモコン10a,10bの基本構成は同じであり、以降、リモコン10a(浴室リモコン10a)の構成を代表的に説明する。リモコン10aは、該リモコン10aの作動に関する制御処理を実行する機能を有する制御部11と、ユーザが発する音声を入力するマイク12と、音声や音楽、警報音等の音を出力するスピーカ13と、様々な情報表示を行う表示部14(例えば液晶表示器)と、給湯器2の制御部3もしくは他のリモコン10bとの通信を行うリモコン用通信部15と、情報端末30との無線通信を行う無線通信部16と、情報端末30との通信に関するデータを記憶保持する記憶部17と、ユーザが給湯器2の運転操作やリモコン10aの様々な機能に関する操作を行うための操作部18とを備える。
【0035】
リモコン用通信部15は、通信モジュール等により構成され、制御部11から入力される送信データを通信信号に変換して給湯器2もしくは他のリモコン10に送信したり、給湯器2もしくは他のリモコン10から受信した通信信号を制御部11の処理用の受信データに変換して、該制御部11に入力する機能を有する。
【0036】
無線通信部16は、例えばBluetooth(登録商標)を使用した無線通信用の通信モジュール等により構成され、制御部11から入力される送信データを無線通信信号に変換して情報端末30に送信すると共に、情報端末30から受信した無線通信信号を制御部11の処理用の受信データに変換して、該制御部11に入力する機能を有する。
【0037】
記憶部17は、本実施形態では、例えばEEPROM(登録商標)の不揮発性メモリにより構成され、制御部11によりデータの読み書きを行い得る。操作部18は、図示しない複数の操作スイッチ等により構成される。例えば、操作部18には、給湯器2の運転のON・OFF操作(起動・停止操作)を行うためのスイッチ、給湯温度の目標値を設定するためのスイッチ等が含まれる。また、本願実施形態では、操作部18には、スピーカ13から出力される音の音量レベル(音の強弱度合い)であるリモコン側音量レベルをユーザが増減操作するためのリモコン側音量増減操作部18aと、情報端末30から出力される音楽信号の音量レベル(詳しくは、該音楽信号により示される音楽の音量レベル)をユーザが増減操作するための端末側音量増減操作部18bとを含む。これらの音量増減操作部18a,18bは、例えばアップダウンスイッチ等により構成され得る。
【0038】
補足すると、本実施形態では、記憶部17は、本発明における第1記憶部に相当し、リモコン側音量増減操作部18aは、本発明における音量増減操作部に相当する。また、端末側音量増減操作部18bの操作が本発明における所定の操作入力に相当する。
【0039】
制御部11は、マイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、リモコン用通信部15を介して給湯器2もしくは他のリモコン10と通信することが可能であると共に、無線通信部16を介して情報端末30と通信することが可能である。また、制御部11には、操作部18の操作信号が入力される。また、浴室リモコン10aと台所リモコン10bとの間での音声通話を行う通話モードでは、マイク12から音声信号が入力される。
【0040】
そして、制御部11は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソウフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、スピーカ13の作動制御や表示部14の表示制御を行うことが可能である。この場合、制御部11は、スピーカ13の作動制御に係る機能として、スピーカ13を駆動信号により駆動するスピーカ駆動部11aと、スピーカ13から出力される音の音量制御を行う音量制御部11bとを備える。
【0041】
スピーカ駆動部11aは、スピーカ13を駆動する駆動信号(アナログ信号)を生成し、この駆動信号を図示しない増幅器を介してスピーカ13に入力するように構成されている。該スピーカ駆動部11aは、リモコン10aと情報端末30との後述の通信接続状態では、情報端末30からリモコン10aに入力される音楽信号から、スピーカ13の駆動信号(該音楽信号により示される音楽をスピーカ13から出力させるための駆動信号)を生成することが可能である。このとき、スピーカ駆動部11aが生成する駆動信号の強弱度合いは、リモコン10aに入力される音楽信号により示される端末側音量レベルに応じて決定される。
【0042】
また、スピーカ駆動部11aは、音量制御部11bにより設定されるリモコン側音量レベルに応じて上記増幅器の増幅率(ゲイン)は可変的に制御し得るように構成されている。この場合、上記増幅器の増幅率を制御することで、スピーカ13に入力される駆動信号の強弱を調整し、ひいては、該駆動信号に応じてスピーカ13から出力される音の音量(これはスピーカ13に入力される駆動信号の強弱度合いに応じたものとなる)を増減調整することが可能である。
【0043】
従って、リモコン10aと情報端末30との後述の通信接続状態で、情報端末30からリモコン10aに入力される音楽信号の音楽をスピーカ13から出力させるときには、該音楽の音量は、リモコン10aに入力される音楽信号により示される音量の強弱度合に相当する端末側音量レベルと、音量制御部11bにより設定されるリモコン側音量レベルとに応じたものとなる。
【0044】
なお、スピーカ駆動部11aは、警報音や案内音声をスピーカ13から出力させるための駆動信号を生成することも可能である。また、スピーカ駆動部11aは、リモコン10a,10b間で通話を行う通話モードでは、台所リモコン10bから浴室リモコン10aに入力される音声信号に応じてスピーカ13の駆動信号を生成することも可能である。
【0045】
音量制御部11bは、リモコン側音量レベルを可変的に設定可能である。この場合、音量制御部11bは、基本的には、前記音量増減操作部18aの操作に応じてリモコン側音量レベルを増減させるように設定する。ただし、音量制御部11bは、リモコン側音量レベルを、音量増減操作部18aの操作によらずに、適宜自動的に設定することも可能である。
【0046】
さらに、音量制御部11bは、リモコン10aと情報端末30との後述の通信接続状態では、端末側音量レベルの増減を指令する指令信号を情報端末30に無線通信部16を介して送信することも可能である。
【0047】
以上説明した浴室リモコン10aの構成は、台所リモコン10bについても同様である。なお、給湯器2及び各リモコン10の間の通信方式は、本実施形態では、有線方式であるが、有線方式に限らず無線方式であってもよい。
【0048】
情報端末30は、その作動に関する制御処理を実行する機能を有する制御部31と、音楽データを記憶保持するRAM等により構成される音楽データ記憶部32と、給湯器システム1の各リモコン10と無線通信を行う無線通信部33とを備える。なお、音楽データ記憶部32は、情報端末30に適宜接続される外部機器の記憶部であってもよい。
【0049】
無線通信部33は、各リモコン10の無線通信部16と同様に、例えばBluetooth(登録商標)を使用した無線通信用の通信モジュール等により構成され、制御部31から入力される音楽データ等の送信データを無線通信信号に変換してリモコン10(情報端末30と通信接続されたリモコン10)に送信すると共に、該リモコン10から受信した通信信号(情報端末30に対する指令信号等)を制御部31の処理用の受信データに変換して、該制御部31に入力する機能を有する。
【0050】
制御部31は、マイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、情報端末30にリモコン10が通信接続された状態では、無線通信部33を介して該リモコン10と通信することが可能である。そして、制御部31は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソウフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、音楽データ記憶部32に記憶された音楽データを送信データとして無線通信部33に入力し、該無線通信部33からリモコン10に送信させることが可能である。
【0051】
次に、リモコン10a,10bのうちのいずれか、例えば浴室リモコン10aで、情報端末30の音楽データ記憶部32に記憶保持された音楽データの音楽を再生する場合の作動を図2を参照して以下に説明する。
【0052】
この場合、入浴中にリモコン10aを介して所望の音楽を聴こうとするユーザは、所望の音楽の音楽データが音楽データ記憶部32に記憶保持されている情報端末30を、脱衣室等、浴室の近くに配置すると共に、該情報端末30とリモコン10aとの通信接続を行わせる。
【0053】
ここで、情報端末30とリモコン10aとの無線通信を例えばBluetooth(登録商標)を使用して行う場合、情報端末30とリモコン10aとのペアリング(通信接続の初期設定)があらかじめ行われ、このペアリングにより、情報端末30とリモコン10aとのそれぞれには、ペアリング相手のMACアドレス等の識別情報が登録される。なお、各リモコン10には、複数の情報端末30(例えば、給湯器システム1を利用する各人の情報端末30)の識別情報を、通信接続を行い得るペアリング相手の候補として登録することが可能である。
【0054】
そして、ユーザは、上記のようにペアリングがなされた状態で、自身の情報端末30とリモコン10a(ここでは浴室リモコン10a)との通信接続を行う。この通信接続がなされると、情報端末30とリモコン10aと実際に無線通信を行い得る状態になる。そして、この状態で、ユーザは情報端末30からリモコン10aに音楽信号を出力させるように該情報端末30を操作する。このとき、リモコン10aの制御部11は、音量制御部11bにより図2のフローチャートに示す処理を実行する。
【0055】
まず、STEP1において、音量制御部11bは、端末側音量レベルを所定の目標レベル、例えば最大の音量レベルにするように、情報端末30の指令信号を送信する。具体的には、音量制御部11bは、端末側音量レベルを増加させることを指令する指令信号を、例えば所定回数、情報端末30に送信する。該所定回数は、端末側音量レベルを最大の音量レベルまで増加させ得るようにあらかじめ定められた回数である。
【0056】
このとき、情報端末30の制御部31は、上記指令信号を受信する都度、所定量ずつ、端末側音量レベルを増加させる。ひいては、端末側音量レベルが最終的に最大の音量レベルに達する。
【0057】
補足すると、本実施形態では、STEP1の処理が本発明における第1処理に相当する。なお、STEP1において、端末側音量レベルを、最大の音量レベルよりも小さい目標レベルに制御することも可能である。この場合には、例えば、端末側音量レベルを上記の如く最大の音量レベルまで増加させた後、該端末側音量レベルを低下させることを指令する指令信号を、あらかじめ定めた所定の回数だけリモコン10aから通信接続された情報端末30(以降、接続状態情報端末30という)に送信させる。これにより、最大の音量レベルよりも所定量だけ低下したレベル(詳しくは、端末側音量レベルを低下させることを指令する指令信号の送信回数に応じた所定量だけ低下したレベル)を目標レベルとして、実際の端末側音量レベルを該目標レベルに制御することが可能である。
【0058】
次いで、STEP2において、音量制御部11bは、接続状態情報端末30に対応する記憶データが、記憶部17に記憶されているか否かを判断する。ここで、本実施形態では、リモコン10aとのペアリングがなされた各情報端末30とリモコン10aとの通信接続(音楽信号を情報端末30からリモコン10aに送信することを行う通信接続)が行われる都度、後述のSTEP7の処理によりリモコン側音量レベルの設定値が、接続状態情報端末30の識別情報に対応付けて記憶部17に記憶保持される。
【0059】
そして、STEP2において、音量制御部11bが参照する記憶データ(接続状態情報端末30に対応する記憶データ)は、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP7において、記憶部17に記憶保持されたリモコン側音量レベルの値である。
【0060】
従って、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP7が処理が実行された場合には、STEP2の判断結果が肯定的になる。この場合には、音量制御部11bは、次にSTEP4において、接続状態情報端末30との今回の通信接続状態の初期におけるリモコン側音量レベルとして、該接続状態情報端末30に対応して記憶部17に記憶保持されている記憶値を設定する。補足すると、本実施形態では、このSTEP4の処理が、本発明における第2処理に相当し、記憶部17に記憶保持されている記憶値が本発明における第1リモコン側音量レベルに相当する。
【0061】
一方、接続状態情報端末30がペアリング後に初めてリモコン10aと通信接続された場合、あるいは、記憶部17の初期化処理がなされた後に、接続状態情報端末30がリモコン10aと通信接続された場合には、記憶部17には、接続状態情報端末30に対応する記憶データ(リモコン側音量レベルの値)はまだ、記憶保持されていない。この場合には、STEP2の判断結果が否定的になり、音量制御部11bは、次にSTEP3において、リモコン側音量レベルとして、あらかじめ定められた所定のデフォルト値を設定する。
【0062】
上記のように端末側音量レベルが最大レベルになると共に、リモコン側音量レベルが記憶値又はデフォルト値に設定された状態で、接続状態情報端末30の音楽データ記憶部32に記憶された音楽データにより規定される音楽信号が、接続状態情報端末30からリモコン10aに入力される。このとき、リモコン10aの制御部11は、スピーカ駆動部11aにより前記した如く音楽信号からスピーカ13の駆動信号(詳しくは、端末側音量レベル(ここでは、最大の音量レベル)に応じた強弱度合いの駆動信号)を生成し、さらに、該駆動信号を、リモコン側音量レベルに応じた増幅率で増幅してなる駆動信号によりスピーカ13を駆動する。これにより、リモコン10aに入力された音楽信号の音楽が、端末側音量レベル及びリモコン側音量レベルに応じた音量でスピーカ13から出力される。
【0063】
上記STEP3又は4の処理に続いて、音量制御部11bは、STEP5において、端末側音量レベルの変更(リモコン10aの端末側音量増減操作部18bの操作に応じた端末側音量レベルの変更)を所定時間Ta(例えば3~5分)の期間、禁止するためにタイマーを起動する。
【0064】
そして、音量制御部11bは、STEP6~14のループ処理を繰り返す。STEP6では、音量制御部11bは、タイマーの起動後の経過時間が所定時間Taに達したか否か(経過時間=Taであるか否か)を判断する。このSTEP6の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP7において、リモコン側音量レベルの現在値、すなわち、STEP6の判断結果が肯定的になった時点でのリモコン側音量レベルの設定値を、接続状態情報端末30に対応付けて記憶部17に記憶保持する。
【0065】
そして、STEP7の処理を実行した場合、あるいは、STEP6の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、次にSTEP8において、リモコン側音量増減操作部18aの操作によって、リモコン側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。
【0066】
このSTEP8の判断結果が肯定的である場合には。音量制御部11bは、STEP9において、リモコン側音量レベル(設定値)を、リモコン側音量増減操作部18aの操作に従って変更する。これに応じて、スピーカ駆動部11aが駆動信号の増幅率を変化させることで、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0067】
STEP8の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP9の処理を実行した場合には、次に、STEP10において、音量制御部11bは、端末側音量増減操作部18bの操作によって、端末側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。このSTEP10の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP11において、前記タイマーの起動後の経過時間が、所定時間Taを超えているか否かを判断する。
【0068】
そして、STEP11の判断結果が肯定的である場合には、STEP12において、音量制御部11bは、端末側音量レベルの増減操作に応じて端末側音量レベルの変更(増加又は減少)を指令する指令信号を接続状態情報端末30に送信する。これに応じて、接続状態情報端末30では、制御部31が、リモコン10aに出力する音楽信号に係る音量レベルを増加又は減少させる。その結果、スピーカ駆動部11aが、リモコン10aに入力された音楽信号から生成するスピーカ13の駆動信号の強弱度合いが増加又は減少され、ひいては、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0069】
STEP11の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、STEP13において、端末側音量レベルの変更(増加又は減少)を指令する指令信号を接続状態情報端末30に送信することなく、端末側音量レベルの増減操作を受け付けることができない旨の報知を、スピーカ駆動部11aを介してスピーカ13から音声により出力させ、あるいは、当該報知を表示部14に表示させる。これにより、タイマーの起動後、所定時間Taが経過するまでの期間は、端末側音量増減操作部18bの操作による端末側音量レベルの増減操作が禁止される。
【0070】
なお、当該報知を示す音声をスピーカ13から出力させる場合、音楽の出力を一時的に停止させ、あるいは、音楽の音量を一時的に下げるようにすることが好ましい。また、当該報知には、リモコン側音量増減操作部18aの操作によって、リモコン側音量レベルの増減操作を行い得る旨の報知が含まれていてもよい。
【0071】
STEP12又は13の処理を実行した場合、あるいは、前記STEP10の判断結果が否定的である場合には、次にSTEP14において、音量制御部11bは、リモコン10aと接続状態情報端末30との通信接続が、リモコン10aでの所定の操作、あるいは、接続状態情報端末30での所定の操作に応じて、解除されたか否かを判断する。
【0072】
このSTEP14の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、STEP6からの処理を繰り返し、肯定的である場合には、音量制御部11bは、図2のフローチャートの処理を終了する。
浴室リモコン10aと、情報端末30との通信接続状態での音量制御部11bの制御処理は以上の如く実行される。台所リモコン10bと、情報端末30との通信接続状態でも同様である。
【0073】
以上の如く本実施形態によれば、接続状態情報端末30からリモコン10に音楽信号を送信しながら、該音楽信号により示される音楽をリモコン10のスピーカ13から出力させる場合に、該接続状態情報端末30に対応するユーザは、多くの場合、該音楽の出力の開始後の初期において、該音楽の音量を自身の好みの音量に調整しようとする。
【0074】
この場合、本実施形態では、前記タイマの起動後、所定時間Taが経過するまでの期間で、ユーザは、リモコン側音量レベルの増減操作を行うことで、スピーカ13から出力される音楽の音量を自身の好みの音量に調整することができる。そして、当該期間では、端末側音量レベルが所定の目標レベル(本実施形態では最大の音量レベル)に維持される。
【0075】
従って、所定時間Taの経過時点で、前記STEP7の処理により記憶部17に記憶保持されるリモコン側音量レベルの設定値は、端末側音量レベルが所定の目標レベルで一定に維持されているときに、スピーカ13から出力される音量をユーザの好みの音量にする上で好適なリモコン側音量レベルに相当するものとみなすことができる。
【0076】
そして、上記の如く記憶部17に記憶保持された好適なリモコン側音量レベルに対応する情報端末30とリモコン10との次回の通信接続時には、その初期において、端末側音量レベルが所定の目標レベルに設定されると共に、リモコン側音量レベルが、記憶部17に記憶保持されている記憶値に設定されるので、スピーカ13から出力される音楽の音量は、ユーザの好みの音量になる可能性が高い。従って、ユーザは多くの場合、音楽の音量を調整することを必要とせずに、該音楽を聴くことができる。
【0077】
さらに、ユーザは、必要に応じて随時、リモコン側音量増減操作部18aでリモコン側音量レベルの増減操作を行うことで、音楽の音量を適宜調整することもできる。また、前記タイマーの起動後、所定時間Taが経過した後は、端末側音量増減操作部18bで端末側音量レベルの増減操作を行うことで、音楽の音量を適宜調整することもできる。そして、所定時間Taが経過するまでの期間で、リモコン側音量レベルの増減操作を行うことで、それにより設定されたリモコン側音量レベルの値を、次回の通信接続時の音楽の音量に反映させることができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図3を参照して説明する。なお、本実施形態は、音量制御部11bの処理だけが、第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0079】
本実施形態では、リモコン10(10a又は10b)と情報端末30との通信接続状態で、情報端末30から例えば浴室リモコン10aに送信する音楽信号により示される音楽を該リモコン10aのスピーカ13から出力させる場合に、リモコン10aの制御部11は、音量制御部11bにより図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0080】
まず、STEP21において、音量制御部11bは、リモコン側音量レベルをあらかじめ定められた所定のデフォルト値に設定する。このSTEP21の処理は、本発明における第4処理に相当する。次いで、STEP22において、音量制御部11bは、通信接続された情報端末30(接続状態情報端末30)に対応する記憶データが、記憶部17に記憶されているか否かを判断する。
【0081】
ここで、本実施形態では、リモコン10aとのペアリングがなされた各情報端末30とリモコン10aとの通信接続(音楽信号を情報端末30からリモコン10aに送信することを行う通信接続)が行われる都度、後述のSTEP27の処理により端末側音量レベルを規定する指標値が、接続状態情報端末30の識別情報に対応付けて記憶部17に記憶保持される。本実施形態では、該記憶部17は、本発明における第2記憶部に相当する。
【0082】
この場合、記憶部17に記憶保持される指標値(以降、端末側音量レベル指標値ということがある)は、本実施形態では、例えば、端末側音量レベルの最大の音量レベルからの減少量を示す指標値である。例えば、端末側音量レベルが最大のレベルになった状態から、該端末側音量レベルを低下させるために、リモコン10aから接続状態情報端末30に送信すべき指令信号(端末側音量レベルを低下させるための指令信号)の必要送信回数が上記端末側音量レベル指標値として用いられる。
【0083】
STEP22において、音量制御部11bが参照する記憶データ(接続状態情報端末30に対応する記憶データ)は、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP27において、記憶部17に記憶保持された端末側音量レベル指標値である。
【0084】
従って、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP27が処理が実行された場合には、STEP22の判断結果が肯定的になる。この場合には、音量制御部11bは、次にSTEP24において、接続状態情報端末30との今回の通信接続状態の初期における端末側音量レベルを、該接続状態情報端末30に対応して記憶部17に記憶保持されている記憶値(端末側音量レベル指標値)により規定される目標レベルにするように、接続状態情報端末30に指令信号を送信する。
【0085】
具体的には、音量制御部11bは、まず、前記STEP1の処理と同様に、端末側音量レベルを増加させることを指令する指令信号を所定回数、情報端末30に送信することで、該端末側音量レベルを最大のレベルまで増加させる。さらに、音量制御部11bは、端末側音量レベルを低下させることを指令する指令信号を、記憶部17に記憶保持されている端末側音量レベル指標値により示される回数だけ、接続状態情報端末30に送信する。
【0086】
このとき、接続状態情報端末30の制御部11は、端末側音量レベルを最大の音量レベルまで増加させた後、端末側音量レベル指標値に対応する所定量だけ端末側音量レベルを低下させる。これにより、端末側音量レベルが、端末側音量レベル指標値により規定される目標レベルになるように調整される。なお、本実施形態では、STEP24の処理が本発明における第5処理に相当する。
【0087】
一方、接続状態情報端末30がペアリング後に初めてリモコン10aと通信接続された場合、あるいは、記憶部17の初期化処理がなされた後に、接続状態情報端末30がリモコン10aと通信接続された場合には、記憶部17には、接続状態情報端末30に対応する記憶データ(端末側音量レベル指標値)はまだ、記憶保持されていない。この場合には、STEP22の判断結果が否定的になり、音量制御部11bは、次にSTEP23において、端末側音量レベルをあらかじめ定められたデフォルトレベル、例えば最大の音量レベルにするように、情報端末30の指令信号を送信する。このSTEP23の処理は、前記STEP1と同様に行われる。なお、端末側音量レベルのデフォルトレベルは、最大の音量レベルよりも小さいレベルであってもよい。
【0088】
上記のようにリモコン側音量レベルが所定のデフォルト値に設定されると共に、端末側音量レベルが、記憶部17に記憶保持された記憶値(端末側音量レベル指標値)により規定される目標レベル、又は所定のデフォルトレベルに調整された状態で、接続状態情報端末30からリモコン10aに音楽信号が入力される。このとき、リモコン10aの制御部11は、スピーカ駆動部11aにより前記した如く音楽信号からスピーカ13の駆動信号(詳しくは、端末側音量レベル指標値により規定される端末側音量レベル、又はデフォルトレベルの端末側音量レベルに応じた強弱度合いの駆動信号)を生成し、さらに、該駆動信号を、リモコン側音量レベル(ここではデフォルト値)に応じた増幅率で増幅してなる駆動信号によりスピーカ13を駆動する。これにより、リモコン10aに入力された音楽信号の音楽が、端末側音量レベル及びリモコン側音量レベルに応じた音量でスピーカ13から出力される。
【0089】
上記STEP23又は24の処理に続いて、音量制御部11bは、STEP25において、リモコン側音量レベルの変更(リモコン10aのリモコン側音量増減操作部18aの操作に応じたリモコン側音量レベルの変更)を所定時間Ta(例えば3~5分)の期間、禁止するためにタイマーを起動する。
【0090】
そして、音量制御部11bは、STEP26~34のループ処理を繰り返す。STEP26では、音量制御部11bは、タイマーの起動後の経過時間が所定時間Taに達したか否か(経過時間=Taであるか否か)を判断する。このSTEP26の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP27において、端末側音量レベルの現在値に対応する端末側音量レベル指標値、すなわち、STEP26の判断結果が肯定的になった時点での端末側音量レベル指標値を、接続状態情報端末30に対応付けて記憶部17に記憶保持する。
【0091】
そして、STEP27の処理を実行した場合、あるいは、STEP26の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、次にSTEP28において、端末側音量増減操作部18bの操作によって、端末側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。
【0092】
このSTEP28の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP29において、端末側音量増減操作部18bの操作に従って端末側音量レベルを増加又は減少させる指令信号を接続状態情報端末30に送信する。これに応じて、接続状態情報端末30の制御部31が、リモコン10aに送信する音楽信号に係る端末側音量レベルを増加又は減少させる。その結果、スピーカ駆動部11aが、リモコン10aに入力された音楽信号から生成するスピーカ13の駆動信号の強弱度合いが増加又は減少され、ひいては、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0093】
STEP28の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP29の処理を実行した場合には、次に、STEP30において、音量制御部11bは、リモコン側音量増減操作部18aの操作によって、リモコン側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。このSTEP30の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP31において、前記タイマーの起動後の経過時間が、所定時間Taを超えているか否かを判断する。
【0094】
そして、STEP31の判断結果が肯定的である場合には、STEP32において、音量制御部11bは、リモコン側音量レベル(設定値)を、リモコン側音量増減操作部18aの操作に従って変更する。これに応じて、スピーカ駆動部11aが駆動信号の増幅率を変化させることで、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0095】
STEP31の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、STEP33において、リモコン側音量レベルの設定値を変更することなく、リモコン側音量レベルの増減操作を受け付けることができない旨の報知を、スピーカ駆動部11aを介してスピーカ13から音声により出力させ、あるいは、当該報知を表示部14に表示させる。これにより、タイマーの起動後、所定時間Taが経過するまでの期間は、リモコン側音量増減操作部18aの操作によるリモコン側音量レベルの増減操作が禁止される。
【0096】
なお、当該報知を示す音声をスピーカ13から出力させる場合、音楽の出力を一時的に停止させ、あるいは、音楽の音量を一時的に下げるようにすることが好ましい。また、当該報知には、端末側音量増減操作部18bの操作によって、端末側音量レベルの増減操作を行い得る旨の報知が含まれていてもよい。
【0097】
STEP32又は33の処理を実行した場合、あるいは、前記STEP30の判断結果が否定的である場合には、次にSTEP34において、音量制御部11bは、リモコン10aと接続状態情報端末30との通信接続が、リモコン10aでの所定の操作、あるいは、接続状態情報端末30での所定の操作に応じて、解除されたか否かを判断する。
【0098】
このSTEP34の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、STEP26からの処理を繰り返し、肯定的である場合には、音量制御部11bは、図3のフローチャートの処理を終了する。
【0099】
本実施形態では、リモコン10(10a又は10b)と、情報端末30との通信接続状態での音量制御部11bの制御処理は以上の如く実行される。本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。補足すると、本実施形態では、記憶部17は、本発明における第2記憶部に相当し、リモコン側音量増減操作部18aは、本発明における音量増減操作部に相当する。また、端末側音量増減操作部18bの操作が本発明における所定の操作入力に相当する。
【0100】
かかる本実施形態によれば、接続状態情報端末30からリモコン10に音楽信号を送信しながら、該音楽信号により示される音楽をリモコン10のスピーカ13から出力させる場合に、前記タイマの起動後、所定時間Taが経過するまでの期間で、ユーザは、端末側音量レベルの増減操作を行うことで、スピーカ13から出力される音楽の音量を自身の好みの音量に調整することができる。そして、当該期間では、リモコン側音量レベルが所定レベル(デフォルト値)に維持される。
【0101】
従って、所定時間Taの経過時点で、前記STEP27の処理により記憶部17に記憶保持される端末側音量レベル指標値は、リモコン側音量レベルが所定レベル(デフォルト値)で一定に維持されているときに、スピーカ13から出力される音量をユーザの好みの音量にする上で好適な端末側音量レベルを規定するものとみなすことができる。
【0102】
そして、上記の如く記憶部17に記憶保持された端末側音量レベル指標値に対応する情報端末30とリモコン10との次回の通信接続時には、その初期において、リモコン側音量レベルが所定レベルに設定されると共に、端末側音量レベルが、記憶部17に記憶保持されている端末側音量レベル指標値により規定されるレベルに設定されるので、スピーカ13から出力される音楽の音量は、ユーザの好みの音量になる可能性が高い。従って、ユーザは多くの場合、音楽の音量を調整することを必要とせずに、該音楽を聴くことができる。
【0103】
さらに、ユーザは、必要に応じて随時、端末側音量増減操作部18bで端末側音量レベルの増減操作を行うことで、音楽の音量を適宜調整することもできる。また、前記タイマーの起動後、所定時間Taか経過した後は、リモコン側音量増減操作部18aでリモコン側音量レベルの増減操作を行うことで、音楽の音量を適宜調整することもできる。そして、所定時間Taか経過するまでの期間で、端末側音量レベルの増減操作を行うことで、それにより設定される端末側音量レベルを、次回の通信接続時の音楽の音量に反映させることができる。
【0104】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、音量制御部11bの処理だけが、第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0105】
本実施形態では、リモコン10(10a又は10b)と情報端末30との通信接続状態で、情報端末30から例えば浴室リモコン10aに送信する音楽信号により示される音楽を該リモコン10aのスピーカ13から出力させる場合に、リモコン10aの制御部11は、音量制御部11bにより図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0106】
まず、STEP41において、音量制御部11bは、通信接続された情報端末30(接続状態情報端末30)に対応する記憶データが、記憶部17に記憶されているか否かを判断する。
【0107】
ここで、本実施形態では、リモコン10aとのペアリングがなされた各情報端末30と該リモコン10aとの通信接続(音楽信号を情報端末30からリモコン10aに送信することを行う通信接続)が行われる都度、後述のSTEP49の処理により端末側音量レベルを規定する指標値と、リモコン側音量レベルの設定値が、接続状態情報端末30の識別情報に対応付けて記憶部17に記憶保持される。
【0108】
この場合、端末側音量レベルを規定する上記指標値は、前記第2実施形態で説明した端末側音量レベル指標値と同じである。また、STEP41において、音量制御部11bが参照する記憶データ(接続状態情報端末30に対応する記憶データ)は、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP49において、記憶部17に記憶保持された端末側音量レベル指標値とリモコン側音量レベルの設定値との組である。
【0109】
従って、接続状態情報端末30との前回の通信接続時にSTEP49が処理が実行された場合には、STEP41の判断結果が肯定的になる。この場合には、音量制御部11bは、次にSTEP43おいて、接続状態情報端末30との今回の通信接続状態の初期における端末側音量レベルを、該接続状態情報端末30に対応して記憶部17に記憶保持されている記憶値(端末側音量レベル指標値)により規定される目標レベルにするように、接続状態情報端末30に指令信号を送信する。その処理は、前記第2実施形態で説明したSTEP24の処理と同様に行われる。
【0110】
さらに、STEP43においては、音量制御部11bは、接続状態情報端末30との今回の通信接続状態の初期におけるリモコン側音量レベルとして、該接続状態情報端末30に対応して記憶部17に記憶保持されている記憶値(リモコン側音量レベルの記憶値)を設定する。補足すると、本実施形態では、STEP43の処理が、本発明における第1~第3処理に相当し、記憶部17に記憶保持されているリモコン側音量レベルの設定値が本発明における第2処理での第1リモコン側音量レベルに相当し、記憶部17に記憶保持されている端末側音量レベル指標値により規定される端末側音量レベルが本発明における第3処理での目標レベルに相当する。
【0111】
一方、接続状態情報端末30がペアリング後に初めてリモコン10aと通信接続された場合、あるいは、記憶部17の初期化処理がなされた後に、接続状態情報端末30がリモコン10aと通信接続された場合には、記憶部17には、接続状態情報端末30に対応する記憶データ(端末側音量レベル指標値及びリモコン側音量レベルの設定値)はまだ、記憶保持されていない。
【0112】
この場合には、STEP41の判断結果が否定的になり、音量制御部11bは、次にSTEP42において、端末側音量レベルをあらかじめ定められた所定のデフォルトレベル、例えば最大の音量レベルにするように、情報端末30の指令信号を送信する。この処理は、前記STEP1と同様に行われる。なお、端末側音量レベルのデフォルトレベルは、最大の音量レベルよりも小さいレベルであってもよい。
【0113】
さらに、STEP42では、音量制御部11bは、リモコン側音量レベルをあらかじめ定められた所定のデフォルト値に設定する。
【0114】
上記のようにリモコン側音量レベルが設定されると端末側音量レベルが目標レベルに制御された状態で、接続状態情報端末30からリモコン10aに音楽信号が入力される。このとき、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、リモコン10aに入力された音楽信号の音楽が、端末側音量レベル及びリモコン側音量レベルに応じた音量でスピーカ13から出力される。
【0115】
上記STEP42又は43の処理に続いて、音量制御部11bは、STEP44~48のループ処理を繰り返す。STEP44では、音量制御部11bは、リモコン側音量増減操作部18aの操作によって、リモコン側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。
【0116】
このSTEP44の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP45において、リモコン側音量レベル(設定値)を、リモコン側音量増減操作部18aの操作に従って変更する。これに応じて、スピーカ駆動部11aが駆動信号の増幅率を変化させることで、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0117】
STEP44の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP45の処理を実行した場合には、次に、STEP46において、音量制御部11bは、端末側音量増減操作部18bの操作によって、端末側音量レベルの増減操作がなされたか否かを判断する。このSTEP46の判断結果が肯定的である場合には、音量制御部11bは、STEP47において、端末側音量レベルの増減操作に応じて端末側音量レベルの変更(増加又は減少)を指令する指令信号を接続状態情報端末30に送信する。これに応じて、接続状態情報端末30では、制御部31が、リモコン10aに出力する音楽信号に係る音量レベルを増加又は減少させる。その結果、スピーカ駆動部11aが、リモコン10aに入力された音楽信号から生成するスピーカ13の駆動信号の強弱度合いが増加又は減少され、ひいては、スピーカ13から出力される音楽の音量が変化する。
【0118】
STEP46の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP47の処理を実行した場合には、音量制御部11bは、次にSTEP48において、リモコン10aと接続状態情報端末30との通信接続が、リモコン10aでの所定の操作、あるいは、接続状態情報端末30での所定の操作に応じて、解除されたか否かを判断する。
【0119】
このSTEP48の判断結果が否定的である場合には、音量制御部11bは、STE44からの処理を繰り返す。また、STEP48の判断結果が肯定的になると、音量制御部11bは、次に、STEP49において、リモコン側音量レベル及び端末側音量レベルの現在値、すなわち、STEP48の判断結果が肯定的になった時点でのリモコン側音量レベルの設定値と、端末側音量レベルの設定値に対応する端末側音量レベル指標値とを接続状態情報端末30に対応付けて記憶部17に記憶保持する。そして、音量制御部11bは、図4のフローチャートの処理を終了する。
【0120】
本実施形態では、リモコン10(10a又は10b)と、情報端末30との通信接続状態での音量制御部11bの制御処理は以上の如く実行される。かかる本実施形態によれば、接続状態情報端末30からリモコン10に音楽信号を送信しながら、該音楽信号により示される音楽をリモコン10のスピーカ13から出力させる場合に、ユーザは、リモコン側音量レベルの増減操作、あるいは、端末側音量レベルの増減操作を行うことで、スピーカ13から出力される音楽の音量を自身の好みの音量に調整することができる。この場合、接続状態情報端末30とリモコン10との通信接続の解除時までには、スピーカ13から出力される音楽の音量は、ユーザの好みの音量に調整済であるとみなすことができる。
【0121】
従って、接続状態情報端末30とリモコン10との通信接続の解除時に、前記STEP49の処理により記憶部17に記憶保持される端末側音量レベル指標値と、リモコン側音量レベルの設定値との組は、スピーカ13から出力される音量をユーザの好みの音量にする上で好適な端末側音量レベル及びリモコン側音量レベルの組を規定するものとみなすことができる。
【0122】
そして、上記の如く記憶部17に記憶保持された端末側音量レベル指標値とリモコン音量レベルの設定値との組に対応する情報端末30とリモコン10との次回の通信接続時には、その初期において、リモコン側音量レベルが所定レベルに設定されると共に、端末側音量レベルが、記憶部17に記憶保持されている記憶値に設定されると共に、端末側音量レベルが端末側音量レベル指標値により規定されるレベルに制御されるので、スピーカ13から出力される音楽の音量は、ユーザの好みの音量になる可能性が高い。従って、ユーザは多くの場合、音楽の音量を調整することを必要とせずに、該音楽を聴くことができる。
【0123】
さらに、ユーザは、必要に応じて随時、端末側音量増減操作部18bで端末側音量レベルの増減操作を行うか、あるいは、リモコン側音量増減操作部18aでリモコン側音量レベルの増減操作を行うことで、音楽の音量を適宜調整することもできる。そして、これらの増減操作により設定される端末側音量レベル及びリモコン側音量レベルを、次回の通信接続時の音楽の音量に反映させることができる。
【0124】
[他の実施形態]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか説明する。前記第1実施形態又は第2実施形態では、記憶部17に、リモコン側音量レベルの設定値を記憶するようにしたが、リモコン側音量レベルを規定するパラメータとして、例えばスピーカ駆動部11aの増幅率を、リモコン側音量レベルの設定値の代わりに記憶部17に記憶保持してもよい。
【0125】
また、第2実施形態又は第3実施形態において、リモコン10の制御部11か、接続状態情報端末30で設定されている端末側音量レベルを示す情報を該接続状態情報端末30から取得し得る場合には、該情報により示される端末側音量レベルの値を、前記端末側音量レベル指標値の代わりに記憶部17に記憶保持してもよい。
【0126】
また、前記各実施形態では、端末側音量レベルの増減操作を行うために、リモコン10に端末側音量増減操作部18bを備えた。ただし、情報端末30が音声認識機能を有する場合には、例えば、端末側音量レベルの増減操作を行うためにユーザがリモコン10のマイク12に入力する音声に応じた音声信号を、リモコン10から情報端末30に送信することで、該音声信号により、情報端末30における端末側音量レベルを増減させるようにしてもよい。この場合、第1実施形態において、音声に応じた端末側音量レベルの増減操作を禁止する場合には、端末側音量レベルの増減操作を行うための音声信号を、情報端末30に送信することを遮断すればよい。
【0127】
また、前記第1実施形態又は第3実施形態では、情報端末30とリモコン10との通信接続時に、STEP4又は43において、スピーカ13の駆動信号の強弱度合いを規定するリモコン側音量レベルとして、前回の通信接続時の所定のタイミング(所定時間Taの経過時点又は通信接続の解除時)で記憶部17に記憶保持された記憶値を設定したが、該リモコン側音量レベルの設定の仕方は他の態様を採用してもよい。
【0128】
例えば、情報端末30のそれぞれ毎に、過去複数回の通信接続時の所定のタイミングで記憶したリモコン側音量レベルの平均値を、STEP4又は43において、リモコン側音量レベルとして設定してもよい。
【0129】
また、例えば、情報端末30のそれぞれ毎に、各回の通信接続時にリモコン側音量レベルの設定値を時系列的に記憶保持し、前回又は過去複数回の通信接続時のリモコン側音量レベルの設定値の平均値、あるいは、最頻値を、STEP4又は43において、リモコン側音量レベルとして設定してもよい。
【0130】
また、前記第2実施形態又は第3実施形態では、情報端末30とリモコン10との通信接続時に、STEP24又は43において、端末側音量レベルの目標レベルとして、前回の通信接続時の所定のタイミング(所定時間Taの経過時点又は通信接続の解除時)で記憶部17に記憶保持された端末側音量レベル指標値により規定されるレベルに設定したが、該目標レベルの設定の仕方は他の態様を採用してもよい。
【0131】
例えば、情報端末30のそれぞれ毎に、過去複数回の通信接続時の所定のタイミングで記憶した端末側音量レベル指標値の平均値により規定されレベルを、STEP24又は43において、端末側音量レベルの目標レベルとして設定してもよい。
【0132】
また、例えば、情報端末30のそれぞれ毎に、各回の通信接続時に端末側音量レベル指標値を時系列的に記憶保持し、前回又は過去複数回の通信接続時の端末側音量レベル指標値の平均値、あるいは、最頻値により規定されるレベルを、STEP24又は43において、端末側音量レベルの目標レベルとして設定してもよい。
【0133】
また、前記各実施形態では、浴室リモコン10a及び台所リモコン10bの両方を、情報端末30と通信接続を行い得るように構成したが、いずれか一方のリモコン(例えば浴室リモコン10a)だけが、情報端末30と通信接続を行い得るように構成されていてもよい。また、例えば前記第1実施形態では、ユーザが端末側音量レベルを、端末側音量増減操作部18bや、音声入力により増減操作するための機能をリモコン10から省略してもよい。
【0134】
また、前記各実施形態では、機器システムとして、給湯器システムを例示したが、本発明の機器システムは、給湯器システムに限られない。例えば、機器システムは、給湯器に限らず、浴室暖房装置を備えるシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…給湯器システム(機器システム)、2…給湯器(機器)、10(10a,10b)…リモコン、11a…スピーカ駆動部、11b…音量制御部、13…スピーカ、17…記憶部(第1記憶部、第2記憶部)、18a…リモコン側音量増減操作部(音量増減操作部)、30…情報端末。
図1
図2
図3
図4