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特許7391621二次電池の短絡推定装置、短絡推定方法、及び短絡推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】二次電池の短絡推定装置、短絡推定方法、及び短絡推定システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20231128BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231128BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231128BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/052
H01M10/0562
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019205019
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077569
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】小高 敏和
(72)【発明者】
【氏名】高市 哲
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224536(JP,A)
【文献】特開2014-206442(JP,A)
【文献】特開2016-085062(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208745(WO,A1)
【文献】特開2003-317810(JP,A)
【文献】特開2011-159559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/36-31/44
H01M4/00-5/62
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、固体電解質と、リチウム合金を含む負極とを有する二次電池における内部短絡の発生の有無を推定する短絡推定装置であって、
前記二次電池の状態を測定する測定器と、
前記二次電池における内部短絡を推定するコントローラとを備え、
前記測定器は、
前記二次電池の交流インピーダンスから、前記二次電池の内部抵抗を測定し、
前記固体電解質の機械特性を示す電解質の機械特性値と前記負極の機械特性を示す負極の機械特性値を測定し、
前記コントローラは、前記内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合に、前記内部短絡の発生の可能性が有ると推定し、
前記機械特値は、前記機械特性値が大きいほど材料が塑性したときの応力が大きいこと、又は、前記機械特性値が大きいほど、変形量、あるいは、ひずみの量が小さいことを表す短絡推定装置。
【請求項2】
請求項1記載の短絡推定装置であって、
前記測定器は、固定周波数をもつ交流信号に基づき、前記内部抵抗に含まれる電解質抵抗及び反応抵抗のうち、いずれか一方の抵抗を測定する短絡推定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の短絡推定装置であって、
前記コントローラは、前記二次電池の内部抵抗が前記抵抗閾値未満である場合、及び/又は、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値より高い場合に、前記二次電池の充電を行う短絡推定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の短絡推定装置であって、
前記コントローラは、前記二次電池の内部抵抗が前記抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合には、前記二次電池の充電電流又は前記二次電池のCレートを所定値より低くする短絡推定装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の短絡推定装置であって、
前記コントローラは、前記二次電池の内部抵抗が前記抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合には、前記二次電池の充電を停止する短絡推定装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の短絡推定装置であって、
前記二次電池の使用温度領域において、温度変化に対する機械特性値の変化量は、前記固体電解質よりも前記負極の方が大きく、
前記コントローラは、前記二次電池の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合には、前記二次電池の温度を所定値より高くする短絡推定装置。
【請求項7】
正極と、固体電解質と、リチウム合金を含む負極とを有する二次電池における内部短絡の発生の有無を推定する短絡推定方法であって、
前記二次電池の交流インピーダンスを測定し、
前記交流インピーダンスから、前記二次電池の内部抵抗を演算し、
前記固体電解質の機械特性を示す電解質の機械特性値と前記負極の機械特性を示す負極の機械特性値を測定し、
前記二次電池の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合に、前記内部短絡の発生の可能性が有ると推定し、
前記機械特値は、前記機械特性値が大きいほど材料が塑性したときの応力が大きいこと、又は、前記機械特性値が大きいほど、変形量、あるいは、ひずみの量が小さいことを表す短絡推定方法。
【請求項8】
正極と、固体電解質と、リチウム合金を含む負極とを有する二次電池と、
前記二次電池の交流インピーダンスと前記二次電池の機械特性を測定する測定器と、
前記二次電池における内部短絡の発生の有無を推定するコントローラとを備え、
前記測定器は、
前記交流インピーダンスから、前記二次電池の内部抵抗を演算し、
前記固体電解質の機械特性を示す電解質の機械特性値と前記負極の機械特性を示す負極の機械特性値を測定し、
前記コントローラは、前記二次電池の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、前記電解質の機械特性値が前記負極の機械特性値以下である場合に、前記内部短絡の発生の可能性が有ると推定し、
前記機械特値は、前記機械特性値が大きいほど材料が塑性したときの応力が大きいこと、又は、前記機械特性値が大きいほど、変形量、あるいは、ひずみの量が小さいことを表す短絡推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の短絡推定装置、短絡推定方法、及び短絡推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、PS 3-固体電解質を用いた硫化物全固体電池は、高温にしても内部抵抗が増大し難く、温度を高めた状態で充電するとLiデンドライトが生じにくくなることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1記載の充電制御装置は、Li、P、及び、Sを含み、且つ、PS 3-を主骨格とする硫化物固体電解質を用いた全固体電池を、60℃以上に加熱し、加熱された全固体電池を充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-86209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池において、全固体電池の内部抵抗が増大することで、負極と固体電解質との間の界面における接触面積が減少するため、局所的に金属のリチウムの析出が進行し、デンドライトが発生する場合がある。そして、このデンドライトが内部短絡の原因となる考えられる。特許文献1記載の技術は、電池の温度を高めることで、リチウムデンドライトを生じにくくする状態を形成しているが、リチウムデンドライトを起因とした内部短絡を、短絡発生前に予想することは困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、リチウムデンドライトを起因とした内部短絡を、短絡発生前に予想できる二次電池の短絡推定装置、短絡推定方法、及び短絡推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二次電池の交流インピーダンスから二次電池の内部抵抗を測定し、固体電解質の機械特性を示す電解質の機械特性値と負極の機械特性を示す負極の機械特性値を測定し、二次電池の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合に、内部短絡の発生の可能性が有ると推定することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リチウムデンドライトを起因とした内部短絡を、短絡発生前に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る二次電池の充電制御システムを示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る二次電池の平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った二次電池の断面図である。
図4図4は、インピーダンス測定器によって測定された交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(Z”)を、実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上にプロットして得られた、円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)のグラフである。
図5図5は、本実施形態に係る二次電池に印加される交流信号の周波数と、抵抗の位相遅れとの関係を示すグラフである。
図6図6は、本実施形態に係る二次電池において、時間に対する内部抵抗の特性を示すグラフである。
図7図7は、本実施形態に係る二次電池において、温度に対する機械特性値の特性を示すグラフである。
図8図8は、本実施形態に係る充電制御システムにおいて実行される充電制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る二次電池の短絡推定システムの構成を示す図である。本実施形態に係る二次電池の短絡推定システムは、全固体リチウムイオン二次電池において、内部短絡の発生の可能性が有るか否かを判定する。短絡推定システム1は、図1に示すように、二次電池2と、電圧センサ3と、温度センサ4と、電圧電流調整部5と、電流センサ6と、測定器7と、コントローラ8と、外部電源9とを備えている。図1に示す短絡推定システムは、外部電源9の電力で二次電池2を充電するためのシステムであり、この際に、二次電池2における内部短絡の発生の可能性の有無を判定する。
【0010】
二次電池2は、全固体リチウムイオン二次電池であり、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、正極活物質層および負極活物質層との間に介在する固体電解質層と、を有する発電要素を備える。二次電池2は、発電要素の他に、電極タブと、電極タブ及び発電要素を収容する外装部材を有している。二次電池の詳細な構造及び材料については後述する。
【0011】
電圧センサ3は、二次電池2の入出力電圧を検出するためのセンサであり、二次電池2の正極と負極との間のセル電圧(端子間電圧)を検出する。電圧センサ3を接続する位置は特に制限されず、二次電池2に接続される回路内において正極と負極との間のセル電圧を検出できる位置であればよい。
【0012】
温度センサ4は、二次電池2の外表面温度(環境温度)を測定する。温度センサ4は、例えば、二次電池2のケース(外装体、筐体)の表面などに取り付けられる。
【0013】
電圧電流調整部5は、二次電池2の充電時及び/又は放電時に、電池電流及び電池電圧を調整するための回路であって、コントローラ8からの指令に基づき、二次電池2の電流/電圧を調整する。電圧電流調整部5は、外部電源から出力される電力を二次電池の充電電圧に変換するための電圧変換回路等を有している。
【0014】
電流センサ6は、二次電池2の入出力電流を検出するためのセンサである。電流センサ6は、二次電池2の充電時には電圧電流調整部5から二次電池2へ供給される電流を検出し、放電時には二次電池2から電圧電流調整部5へ供給される電流を検出する。
【0015】
測定器7は、インピーダンス測定部71と機械特性値測定部72を有している。なお、インピーダンス測定部71及び機械特性値測定部72はそれぞれ別の測定器で構成されてもよい。
【0016】
インピーダンス測定部71は、二次電池2に接続されており、交流摂動電流を入力信号として二次電池2に流し、交流電流に応じた応答電圧を取得することにより二次電池2の交流インピーダンス(複素インピーダンス)を測定する。インピーダンス測定部71は、一般的な交流インピーダンス測定装置として通常に使用されているものから任意に選択すればよい。例えば、インピーダンス測定部71は、交流インピーダンス法により、交流摂動電流の周波数を経時的に変化させて二次電池2の交流インピーダンスを測定するものである。また、周波数の異なる複数の交流摂動電流を同時に印加可能なものであってもよい。交流インピーダンス法における交流インピーダンスの測定方法としては特に限定されない。例えば、リサージュ法、交流ブリッジ法などのアナログ方式や、デジタル・フーリエ積分法、ノイズ印加による高速フーリエ変換法などのデジタル方式が適宜採用される。本実施形態では、周波数の異なる複数の交流摂動電流が二次電池2に印加されて交流インピーダンスが測定される。複数の周波数は、例えば、インピーダンス測定部71によって測定される交流インピーダンスZを構成する実部成分Z’および虚部成分Z”を複素平面座標上にプロットしたグラフ(ナイキストプロット;コール・コールプロット)から、二次電池2の電解質抵抗成分および反応抵抗成分を算出できる範囲であればよい。一例として、複数の周波数は典型的には1MHz~0.1Hz程度であり、好ましくは1kHz~0.1Hz程度とすることができる。これにより、交流インピーダンスの測定結果から二次電池2の電解質抵抗成分および反応抵抗成分を高精度に算出できる。電池に印加する交流摂動電流の波形(例えば、正弦波)の振幅などについては特に制限はなく、任意に設定される。インピーダンス測定部71によって測定された交流インピーダンスの測定結果は、インピーダンス測定部71の出力としてコントローラ8に送られる。
【0017】
機械特性値測定部72は、二次電池2に含まれる固体電解質の機械特性値と、二次電池2に含まれる負極の機械特性値をそれぞれ測定する。機械特性値は、二次電池2に荷重を加えたときの二次電池2のひずみ(変位)の大きさ、二次電池2の変形のしにくさ、又は、材料が塑性したときの応力等を表す物性値である。具体的には、機械特性値は、降伏応力、弾性率(ヤング率)等で表される。機械特性値が降伏応力で示される場合には、機械特性値が大きいほど、材料が塑性したときの応力が大きいことを表す。また、機械特性値がヤング率で示される場合には、機械特性値が大きいほど、変形量(ひずみの量)が小さいことを表す。機械特性値測定部72は、二次電池2に荷重を加えて、荷重を加えたときの、負極と電解質のひずみを測定する。負極及び電解質のひずみの測定は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。そして、機械特性値測定部72は、測定されたひずみに基づき、負極及び電解質の機械特性値をそれぞれ測定する。機械特性値測定部72は、測定された機械特性値を含むデータをコントローラ8に出力する。
【0018】
コントローラ8は、CPU81及び記憶部82等を有している。コントローラ8は、インピーダンス測定部71により測定された二次電池2の交流インピーダンスに基づき、二次電池2における内部短絡の可能性を推定するための制御装置である。また、コントローラ8は、電圧センサ3により検出された二次電池2の端子電圧、及び、電流センサ6により検出された二次電池2の電流に基づいて、二次電池2の充電を制御する。
【0019】
外部電源9は、二次電池2を充電するための電源である。電源には、例えば三相200Vの交流電源が使用される。外部電源9は、単相100V又は単相200Vの交流電源でもよい。また外部電源9は、交流に限らず直流電源でもよい。
【0020】
次に、図2及び図3を参照して、二次電池2の構造を説明する。図2に、本実施形態に係る二次電池2の平面図、図3に、図2のIII-III線に沿った二次電池2の断面図を示す。
【0021】
二次電池2は、図2図3に示すように、3つの正極層102、7つの電解質層103、3つの負極層104を有する発電要素101と、3つの正極層102にそれぞれ接続された正極タブ105と、3つの負極層104にそれぞれ接続された負極タブ106と、これら発電要素101および正極タブ105、負極タブ106を収容して封止している上部外装部材107および下部外装部材108とから構成されている。
【0022】
なお、正極層102、電解質層103、負極層104の数は特に限定されず、1つの正極層102、3つの電解質層103、1つの負極層104で、発電要素101を構成してもよいし、また、必要に応じて正極層102、電解質層103および負極層104の枚数を適宜選択してもよい。
【0023】
発電要素101を構成する正極層102は、正極タブ105まで伸びている正極側集電体102a、および正極側集電体102aの一部の両主面にそれぞれ形成された正極活物質層を有している。正極層102を構成する正極側集電体102aとしては、たとえば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅チタン箔、または、ステンレス箔等の電気化学的に安定した金属箔で構成することができる。正極側集電体102aには、金属としては、ニッケル、鉄、銅などが用いられてもよい。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。
【0024】
正極側集電体102aには、金属の代わりに、導電性を有した樹脂を用いてもよい。導電性を有する樹脂は、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーを添加された樹脂で構成することができる。非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、優れた耐電位性を有した材料が用いられる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物が挙げられる。
【0025】
正極層102を構成する正極活物質層としては、特に制限されないが、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、Li(Ni-Mn-Co)O等の層状岩塩型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型活物質、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、LiTi12が挙げられる。リチウムとニッケルとを含有する複合酸化物が好ましく用いられ、さらに好ましくはLi(Ni-Mn-Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、単に「NMC複合酸化物」とも称する)が用いられる。NMC複合酸化物は、上述したように、遷移金属元素の一部が他の金属元素により置換されている複合酸化物も含む。その場合の他の元素としては、Ti、Zr、Nb、W、Pなどが挙げられる。
【0026】
正極活物質層には、硫黄系正極活物質が用いられてもよい。硫黄系正極活物質としては、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、硫黄変性ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。無機硫黄化合物としては、硫黄(S)、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、MoS等が挙げられる。
【0027】
なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよい。正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されない。正極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤、バインダの少なくとも1つをさらに含有してもよい。正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されない。正極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤、バインダの少なくとも1つをさらに含有してもよい。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられ、後述する電解質層103を構成可能な固体電解質として例示されたものなどを用いることができる。
【0028】
導電助剤としては、特に限定されないが、その形状が、粒子状または繊維状であるものであることが好ましい。導電助剤が粒子状である場合、粒子の形状は特に限定されず、粉末状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であっても構わない。
【0029】
導電助剤が粒子状である場合の平均粒子径(一次粒子径)は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましい。
【0030】
バインダとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子;テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂;ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム;エポキシ樹脂;等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。
【0031】
そして、これら3枚の正極層102を構成する各正極側集電体102aが、正極タブ105に接合されている。正極タブ105としては、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、または、ニッケル箔等を用いることができる。
【0032】
発電要素101を構成する負極層104は、負極タブ106まで伸びている負極側集電体104aと、当該負極側集電体104aの一部の両主面にそれぞれ形成された負極活物質層とを有している。
【0033】
負極層104の負極側集電体104aは、例えば、ニッケル箔、銅箔、ステンレス箔、または、鉄箔等の電気化学的に安定した金属箔である。
【0034】
また、負極層104を構成する負極活物質層は、リチウム合金を含有する層で形成されている。リチウム合金としては、たとえば、リチウムと、金(Au),マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、及びビスマス(Bi)から選択される少なくとも1種の金属との合金が挙げられる。また、リチウム合金としては、リチウムと、上述した金属のうち2種以上の金属との合金であってもよい。リチウム合金の具体例としては、例えば、リチウム-金合金(Li-Au)、リチウム-マグネシウム合金(Li-Mg)、リチウム-アルミニウム合金(Li-Al)、リチウム-カルシウム合金(Li-Ca)、リチウム-亜鉛合金(Li-Zn),リチウム-スズ合金(Li-Sn)、リチウム-ビスマス合金(Li-Bi)などが挙げられる。
【0035】
なお、負極活物質層としては、リチウム合金を含有するものであればよく、その構成は、特に限定されないが、たとえば、リチウム合金を構成するリチウム以外の金属を「Me」とした場合に、次の(1)~(3)のいずれかの態様とすることができる。
(1)リチウム合金のみからなる単一の層からなるもの(すなわち、Li-Me層)
(2)リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層とを備えるもの(すなわち、Li層/Li-Me層)
(3)リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層と、リチウム以外の金属からなる層とを備えるもの(すなわち、Li層/Li-Me層/Me層)
上記(2)の態様においては、リチウム合金からなる層(Li-Me層)を電解質層103側の層(電解質層103との界面を形成する層)とすることが望ましく、また、上記(3)の態様においては、リチウム以外の金属からなる層(Me層)を電解質層103側の層(電解質層103との界面を形成する層)とすることが望ましい。リチウム金属を含むリチウム金属層と、リチウム金属とは異なる金属を含む層(中間層)とする場合には、中間層は、リチウム金属層と固体電解質の間の層であり、リチウム金属のうち少なくとも一部と、中間層を形成する金属のうち少なくとも一部とが、合金化することが望ましい。
【0036】
例えば、負極を、上記(3)の態様、すなわち、リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層と、リチウム以外の金属からなる層とを備える態様(すなわち、Li層/Li-Me層/Me層)とする場合には、リチウム金属と、リチウム以外の金属とを積層することで、これらの界面部分を合金化し、これにより、これらの界面にリチウム合金からなる層を形成することができる。なお、リチウム金属と、リチウム以外の金属とを積層する方法としては、特に限定されないが、リチウム金属からなる層の上に、リチウム以外の金属を真空蒸着などにより蒸着させることにより、リチウム金属からなる層の上に、リチウム以外の金属からなる層を形成しつつ、これらの界面を合金化させる方法が挙げられる。あるいは、リチウム以外の金属からなる層上に、リチウム金属を真空蒸着などにより蒸着させ、リチウム以外の金属からなる層の上に、リチウム金属からなる層を形成しつつ、これらの界面を合金化させる方法などが挙げられる。
【0037】
なお、本実施形態の二次電池2では、3枚の負極層104は、負極層104を構成する各負極側集電体104aが、単一の負極タブ106に接合されるような構成となっている。すなわち、本実施形態の二次電池2では、各負極層104は、単一の共通の負極タブ106に接合された構成となっている。
【0038】
発電要素101の電解質層103は、上述した正極層102と負極層104との短絡を防止するものであり、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在する層である。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質、高分子固体電解質などが挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
【0039】
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPS、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiOLiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-ZmSn(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LixMOy(ただし、x、yは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
【0040】
硫化物固体電解質は、例えば、LiPS骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよい。LiPS骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPSが挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、硫化物固体電解質は、LiS-Pを主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。
【0041】
また、硫化物固体電解質がLiS-P系である場合、LiSおよびPの割合は、モル比で、LiS:P=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLiS:P=70:30~80:20であることが好ましい。また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
【0042】
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
【0043】
固体電解質層103は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。バインダとしては、特に限定されないが、例えば、上述したものを用いることができる。
【0044】
固体電解質の含有量は、例えば、10~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、90~100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0045】
そして、図3に示すように、正極層102と負極層104とは、電解質層103を介して、交互に積層され、さらに、その最上層および最下層に電解質層103がそれぞれ積層されており、これにより、発電要素101が形成されている。
【0046】
以上のように構成されている発電要素101は、上部外装部材107および下部外装部材108(封止手段)に収容されて封止されている。発電要素101を封止するための上部外装部材107および下部外装部材108は、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、アルミニウムなどの金属箔の両面をポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂でラミネートした、樹脂-金属薄膜ラミネート材など、柔軟性を有する材料で形成されており、これら上部外装部材107および下部外装部材108を熱融着することにより、正極タブ105および負極タブ106を外部に導出させた状態で、発電要素101が封止されることとなる。
【0047】
なお、正極タブ105および負極タブ106には、上部外装部材107および下部外装部材108と接触する部分に、上部外装部材107および下部外装部材108との密着性を確保するために、シールフィルム109が設けられている。シールフィルム109としては、特に限定されないが、たとえば、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、または、アイオノマー等の耐電解液性及び熱融着性に優れた合成樹脂材料から構成することができる。
【0048】
次いで、本実施形態における二次電池2の内部短絡推定方法と、二次電池2の充電制御方法について説明する。本実施形態においては、以下に説明する、二次電池2の内部短絡の推定制御は、測定器7及びコントローラ8により実行される。また、内部短絡の推定制御は、二次電池2の充電制御中に実行される。二次電池2の充電制御は、電圧電流調整部5及びコントローラ8で実行される。
【0049】
まず、二次電池2の充電制御について説明する。本実施形態においては、コントローラ8は、二次電圧2の充電電圧が所定の上限電圧に達するまで電流を徐々に高めて、二次電池2の充電電流が設定電流に達したら、電流値を一定にする(いわゆる定電流制御;CC充電)。二次電池2の充電中、コントローラ8は、電圧センサ3及び電流センサ6から検出値を取得し、二次電池2に流れる電流及び二次電池2に印加される電圧を管理している。またコントローラ8は、電圧センサ3の検出電圧に基づき、二次電池2のSOCを管理している。本実施形態では、設定電流にて二次電池2の充電を行うことにより、二次電池2のSOCが増加し、二次電池2の電圧が徐々に上昇していく。
【0050】
二次電池2の電圧が上限電圧に達すると、コントローラ8は、上限電圧にて定電圧充電(CV充電)を行う。二次電池2の電圧が上限電圧に維持された状態のまま、二次電池2のSOCの増加に伴い、充電電流が減衰していくこととなる。そして、本実施形態では、充電電流が減衰していき、カットオフ電流値まで低下すると、二次電池20の充電を終了する。本実施形態においては、このようにして二次電池20の充電制御が行われる。なお、充電方法は、上記説明のような、いわゆるCC-CV充電に限らず、他の方式の充電方法でもよい。
【0051】
次いで、二次電池2の内部短絡の推定制御について説明する。本実施形態では、二次電池2の内部短絡を推定するために、まず二次電池2の電解質抵抗と反応抵抗をそれぞれ演算する。図4は、インピーダンス測定部71によって測定された交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(Z”)を、実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上にプロットして得られた、円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)のグラフである。
【0052】
インピーダンス測定部71は、所定の周波数帯内の多数の周波数値の交流信号を印加して、各周波数値ごとに交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(Z”)を測定する。所定の周波数帯は、電解質抵抗を測定するための周波数と、反応抵抗を測定するための周波数を含んでいる。電解質抵抗を測定するための周波数は、1kHz~10MHzの間に設定されており、反応抵抗を測定する周波数は、1Hz~1kHzの間に設定されている。そして、実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上において、実軸成分値を複素平面座標の実軸成分とし、虚軸成分値を複素平面座標の虚軸成分としてプロットすると、図4に示すような周波数1kHz~1Hzの領域に円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)が得られる。そして、上記円弧軌跡の、高周波側の極小値Hminと低周波側の極小値Lminを特定し、複素平面座標の原点から高周波側の極小値Hminを示す点Hまでの距離を求めることにより電解質抵抗(R)を求めることができる。また、高周波側の極小値Hminを示す点Hと低周波側の極小値Lminを示す点Lとの距離を求めることにより反応抵抗(R)を求めることができる。
【0053】
インピーダンス測定部71は、コントローラ8からの制御指令に基づき、所定の周期で、交流信号を二次電池2に印加して、二次電池2から応答信号を受信し、交流インピーダンスを測定する。また、インピーダンス測定部71は、測定された交流インピーダンスから、上記の複素インピーダンスプロットによる演算方法により、所定の周期で、電解質抵抗及び反応抵抗をそれぞれ演算する。
【0054】
図5は、交流信号の周波数に対応する抵抗の位相遅れの特性を示すグラフである。図5において、横軸は周波数を縦軸は位相遅れを示している。なお、図5に示すグラフは、虚軸成分値(Z”)をプロットしたものに相当する。二次電池2の充電中、二次電池2の内部抵抗が、図5に示すグラフа、グラフb及びグラフcの順に変化したとする。
【0055】
図5において、低周波側の領域Aの位相遅れは反応抵抗を示しており、高周波側の領域Bは電解質抵抗を示している。そして、反応抵抗を測定する場合には、インピーダンス測定部71は、1Hz~1kHzの周波数帯の交流信号(低周波信号)を二次電池2に印可して、応答信号からインピーダンスを測定することで、内部抵抗を演算する。電解質抵抗を測定する場合には、インピーダンス測定部71は、1kHz~10MHzの周波数帯の交流信号(高周波信号)を二次電池2に印可して、応答信号からインピーダンスを測定することで、電解質抵抗を演算する。交流信号の周波数は、高周波側及び低周波側でそれぞれ固定されている。図5の例では、低周波側の領域Aにおける位相遅れの変化は小さく、高周波側の領域Bにおける位相遅れの変化は大きい。
【0056】
電解質と負極の界面での接触状態を検知するためには、二次電池2の内部抵抗の変化を検知すればよい。このとき、図5の例では、高周波側の位相遅れの変化量が低周波側の位相遅れの変化量より大きいため、二次電池2の内部抵抗のうち電解質抵抗の変化を測定することで、界面の接触状態の変化を短時間で検知できる。すなわち、本実施形態において、インピーダンス測定部71は、低周波側の固定周波数をもつ交流信号に基づき反応抵抗を測定し、高周波側の固定周波数をもつ交流信号に基づき電解質抵抗を測定している。そのため、界面の接触状態の変化を、短時間で計測できる。なお、本実施形態では、反応抵抗及び電解質抵抗をそれぞれ測定するが、反応抵抗及び電解質抵抗のいずれか一方の抵抗を測定してもよい。
【0057】
本実施形態では、二次電池2の内部短絡を推定するために、二次電池2の負極と固体電解質の機械特性値を測定する。機械特性値測定部72には、二次電池2に加わる荷重と変位(ひずみ)との相関性を示すデータが記録されている。相関性を示す記録データは、実験値から作られたデータである。記録データは、固体電解質に対する荷重と変位との相関性を示すデータと、負極に対する荷重と変位との相関性を示すデータをそれぞれ含んでいる。例えば、機械特性値として降伏応力を測定する場合には、記録データは、固体電解質の応力ひずみ曲線と負極の応力ひずみ曲線を示している。各応力ひずみ曲線は温度により変化するため、応力ひずみ曲線のデータは温度毎に記録されている。機械特性値測定部72は、負極と電解質に荷重を加えて、それぞれのひずみを計測する。そして、機械特性値測定部72は、計測時の温度及び計測値と、記録データを参照することで、固体電解質の降伏応力と負極の降伏応力を求めることができる。なお、機械特性値として弾性率を測定する場合には、機械特性値測定部72は、負極と電解質に荷重を加えた時のひずみと、固体電解質の弾性率及び負極の弾性率の記録データを参照することで、それぞれの弾性率を求めればよい。
【0058】
コントローラ8は、インピーダンス測定部71により測定された二次電池2の内部抵抗と、機械特性値測定部72により測定された負極の機械特定値と固体電解質の機械特性値とに基づき、内部短絡の発生の可能性を推定する。コントローラ8には、内部短絡を判定するための抵抗閾値(以下、判定閾値とも称する)が予め設定されている。二次電池2の充放電を繰り返し行うと、負極と電解質との間の界面における接触状態が悪化する。そして、界面の接触状態が悪化した状態で、界面におけるリチウムイオンの析出が進むと、二次電池2の内部抵抗が上昇する。二次電池2において内部短絡が発生した時、あるいは、内部短絡が発生する直前の内部抵抗は、実験的に求めることができ、内部抵抗の上限値で表される。そして、内部抵抗の上限値よりも低い抵抗値が判定閾値として設定されている。つまり、判定閾値は、内部短絡が発生する前の抵抗値に設定されている。
【0059】
コントローラ8は、インピーダンス測定部71により測定された二次電池の内部抵抗と判定閾値とを比較し、測定された内部抵抗が判定閾値以上であるか否かを判定する。測定された内部抵抗が判定閾値未満である場合には、コントローラ8は、内部短絡の発生の可能性はないと判定する。測定された内部抵抗が判定閾値以上である場合には、デンドライド成長が進んでいる可能性があるため、コントローラ8は、固体電解質と負極の機械特性の関係から、内部短絡の発生の可能性があるか否かを判定する。具体的には、コントローラ8は、機械特性値測定部72により測定された、負極の機械特性値と固体電解質の機械とを比較する。そして、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、コントローラ8は、内部短絡の発生の可能性があると判定する。一方、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値より高い場合には、コントローラ8は、内部短絡の発生の可能性はないと判定する。
【0060】
インピーダンス測定部71が電解質抵抗と反応抵抗をそれぞれ測定する場合には、コントローラ8は、測定された電解質抵抗と電解質抵抗判定閾値とを比較し、測定された反応抵抗と反応抵抗判定閾値とを比較する。電解質抵抗判定閾値及び反応抵抗判定閾値は、内部短絡を判定するための抵抗閾値であって、電解質抵抗及び反応抵抗に対してそれぞれ設定された値である。電解質抵抗判定閾値は、二次電池2に内部短絡が発生した時の電解質抵抗の上限値を実験データから求めて、上限値よりも所定値分、低い値に設定されている。反応抵抗判定閾値は、二次電池2に内部短絡が発生した時の反応抵抗の上限値を実験データから求めて、上限値よりも所定値分、低い値に設定されている。測定された電解質抵抗が電解質抵抗判定閾値以上である場合、又は、測定された反応抵抗が反応抵抗判定閾値以上である場合には、コントローラ8は、固体電解質と負極の機械特性の関係から、内部短絡の発生の可能性があるか否かを判定する。
【0061】
図6は、二次電池2の内部状態を説明するためのグラフであって、横軸は充電時間を縦軸は内部抵抗の大きさを示している。二次電池2の充放電が繰り返し行われて、二次電池2の内部において、負極と電解質との間の界面における接触状態が悪化すると、二次電池2の内部抵抗が上昇する。図6の例では、二次電池2の内部抵抗は、時間の経過に伴い上昇している。そして、二次電池2の内部短絡が発生する前に、二次電池2の内部抵抗は判定閾値(Rth)以上になる。本実施形態では、二次電池2の内部抵抗が判定閾値(Rth)以上となった場合には、二次電池2の内部抵抗が、内部短絡発生時の抵抗の上限値(Rmаx)に到達する前に、内部短絡の発生を予測している。つまり、図6の例では、二次電池2の内部抵抗が領域Cで表される範囲内で、内部短絡の発生を予測している。
【0062】
ここで、本実施形態においては、負極層104を構成する負極活物質層として、リチウム合金を含むものを用いている。二次電池2を充電する方向に電流が流れている状態では、正極層102から、電解質層103を介して、負極活物質層にリチウムイオンが取り込まれる。そして、負極活物質層に取り込まれたリチウムイオンのうち少なくとも一部は、負極活物質層中に含まれる、リチウム合金に取り込まれる。この際に、負極活物質層を構成する、リチウム合金は、リチウムイオンを取り込むことで、合金化の進行あるいは合金組成の変化が起こると考えられる。そして、このような合金化の進行あるいは合金組成の変化は、負極活物質層の反応抵抗を上昇させる要因となる。このような合金化の進行あるいは合金組成の変化よりも、成長が優先される傾向が強くなり、デンドライトの成長がより顕著となる。
【0063】
そして、本発明者等の知見によると、デンドライト成長は、固体電解質と負極との間の界面における接触状態による影響を受ける。内部抵抗が増加し、固体電解質と負極との間の界面における接触状態が悪くなると、局所的にリチウムの析出が進行する。特に、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、界面部分でリチウムイオンが析出されると、リチウムイオンのデンドライトは、界面の面方向に沿って伸びず、固体電解質側に成長するため、デンドライトの成長が促進される。一方、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値より大きい場合には、リチウムイオンのデンドライトは、機械特性値の高い固体電解質側には成長せずに、界面の面方向に沿って伸びるため、デンドライトの成長が抑制される。
【0064】
本実施形態では、上記のような現象を利用して、デンドライトを起因とした内部短絡の発生の可能性を、内部短絡発生前に予測している。具体的には、二次電池2の内部抵抗が判定閾値以上であり、かつ、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合に、内部短絡の発生の可能性があると判定する。一方、二次電池2の内部抵抗が判定閾値未満である場合、又は、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値より大きい場合に、内部短絡の発生の可能性はないと判定する。
【0065】
コントローラ8は、二次電池2の充電中に、上記方法により、内部短絡の発生の可能性があるか否かを判定する。そして、内部短絡の発生の可能性がない場合には、二次電池2の充電を継続する。すなわち、本実施形態では、二次電池2の内部抵抗を測定することで固体電解質と負極との間の界面における接触状態を検知しつつ、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値より大きいことを確認することで、リチウムイオンのデンドライトが固体電解質側に発生し難い領域内で、二次電池2の充電を行うことができる。


【0066】
内部短絡の発生の可能性があると判定した場合には、コントローラ8は、二次電池2の充電を終了する。内部短絡の発生の可能性があると判定した場合には、コントローラ8は、二次電池2の充電電流またはCレートを所定値より低くしてもよい。充電電流又はCレートを低くすることで、デンドライト成長が抑制されるため、内部短絡の可能性を低くすることができる。
【0067】
また、二次電池2に使用される固体電解質及び負極の材料の特性として、二次電池2の使用温度領域において、温度変化に対する機械特性値の変化量が、固定電解質よりも負極の方が大きい場合には、コントローラ8は、内部短絡の発生の可能性があると判定した後、二次電池2の温度を高くして、二次電池2の充電を行ってもよい。
【0068】
図7は、二次電池2の温度変化に対する機械特性値の変化を説明するためのグラフである。図7に示すように、負極では、温度が高くなると、機械特性値が温度に比例して低くなるような特性を有している。電解質では、温度変化に対して、機械特性値が一定値で推移する。負極及び電解質の材料には、図7に示すような特性を有する材料が選択される。なお、図7に示す温度に対する機械特性値の特性は一例であり、電解質の機械特性値は温度に対して一定で推移しなくてもよく、固体電解質の機械特性値は温度に対して比例関係でなくもよい。温度に対する機械特性値の特性は、二次電池2の使用温度領域の一部において、温度上昇に対する機械特性値の低下量が、固定電解質よりも負極の方が大きくなればよい。
【0069】
二次電池2の温度が、図7に示す領域D内にあり、固体電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、内部短絡の発生の可能性があると判定する。このような場合に、コントローラ8は、二次電池2の温度を所定温度(T)よりも高くする。電解質及び負極の温度が所定温度(T)よりも高くなると、負極の機械特性値が電解質の機械特性値よりも低くなる。これにより、デンドライトがリチウムイオンのデンドライトは、負極と電解質の間の界面の面方向に沿って伸びるため、デンドライトが抑制される。これにより、電解質側にリチウムイオンのデンドライトが発生しない環境下で、充電を行うことができる。
【0070】
次いで、二次電池2の内部短絡の推定制御方法及び二次電池2の充電制御方法について説明する。図8は、短絡推定システムにおける推定処理の手順及び充電処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
コントローラ8は、充電を開始すると、図8に示す制御処理を実行する。ステップS1にて、コントローラ8は、二次電池2に流れる電流が所定のプロファイルと一致するように、電圧電流調整部5を制御することで、二次電池2の充電を制御する。ステップS2において、コントローラ8は、電圧センサ3と電流センサ6から、二次電池2の検出電圧及び検出電流を取得する。コントローラ8は、ステップS1及びステップS2の制御処理を繰り返し実行することで、二次電池2の充電を行う。
【0072】
ステップS3にて、コントローラ8は、インピーダンス測定部71に制御信号を出力し、インピーダンス測定部71から二次電池2に、交流インピーダンスを測定するための交流電流を流す。ステップS4にて、インピーダンス測定部71は、交流電流に応じた応答電圧を取得することにより二次電池2の交流インピーダンスを測定する。また、インピーダンス測定部71は、測定された交流インピーダンスから、二次電池2の電解質抵抗(R)及び反応抵抗(R)を演算する。コントローラ8は、インピーダンス測定部71から、演算された電解質抵抗及び反応抵抗を取得し、取得された抵抗値のデータを記憶部82に記憶する。
【0073】
ステップS5にて、コントローラ8は、機械特性値測定部72に制御信号を出力し、機械特性値測定部72から二次電池2に荷重を加える。機械特性値測定部72は、荷重に対して、負極及び固体電解質のそれぞれのひずみを測定する。そして、機械特性値測定部72は、測定された値に対して、荷重とひずみとの相関性を示す記録データを参照して、負極の機械特性値(M)及び固体電解質の機械特性値(M)を演算する。コントローラ8は、機械特性値測定部72から、演算された、負極及び固体電解質のそれぞれの機械特性値を取得し、機械特性値のデータを記憶部82に記憶する。
【0074】
ステップS6にて、コントローラ8は、電解質抵抗(R)と電解質判定閾値(Re_th)とを比較する。また、コントローラ8は、反応抵抗(R)と反応抵抗判定閾値(Rr_th)とを比較する。電解質抵抗(R)が電解質判定閾値(Re_th)以上である場合、又は、反応抵抗(R)が反応抵抗判定閾値(Rr_th)以上である場合には、ステップS7にて、コントローラ8は、固体電解質の機械特性値(M)と負極の機械特性値(M)とを比較する。なお、ステップS6の判定処理において、電解質抵抗(R)が電解質判定閾値(Re_th)以上であり、かつ、反応抵抗(R)が反応抵抗判定閾値(Rr_th)以上である場合に、ステップS7に進み、それ以外の場合には、ステップS10進むような制御フローでもよい。
【0075】
固体電解質の機械特性値(M)が負極の機械特性値(M)以下である場合には、ステップS8にて、コントローラ8は内部短絡の発生の可能性有りと判定する。ステップS9にて、コントローラ8は充電電流を低くする(低レート充電制御)。
【0076】
ステップS6の判定で、電解質抵抗(R)が電解質判定閾値(Re_th)未満であり、かつ、反応抵抗(R)が反応抵抗判定閾値(Rr_th)未満であると判定された場合には、コントローラ8はステップS10の制御処理を実行する。また、ステップS7の判定で、固体電解質の機械特性値(M)が負極の機械特性値(M)より高いと判定された場合には、コントローラ8はステップS10の制御処理を実行する。ステップS10にて、コントローラ8は内部短絡の発生の可能性無しと判定する。
【0077】
ステップS9の制御処理の後、又は、ステップS10の制御処理の後、ステップS11にて、コントローラ8は、二次電池2のSOCを演算し、現在のSOCが目標SOCに達したか否かを判定する。現在のSOCが目標SOCに達していない場合には、ステップS1以下の制御フローを実行する。現在のSOCが目標SOCに達した場合には、図8に示す制御フローが終了する。
【0078】
なお、本実施形態では、内部短絡の可能性が有ると推定された場合には、ステップS9の制御フローを実行せずに二次電池2の充電を終えてもよい。
【0079】
以上のとおり、本実施形態では、交流インピーダンスから二次電池2の内部抵抗を演算し、固体電解質の機械特性を示す電解質の機械特性値と負極の機械特性を示す負極の機械特性値を演算し、コントローラ8は、二次電池2の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合に、内部短絡の発生の可能性が有ると推定する。これにより、リチウムデンドライトを起因とした内部短絡を、短絡発生前に予測できる。
【0080】
また本実施形態では、固定周波数をもつ交流信号に基づき、二次電池2の内部抵抗に含まれる電解質抵抗及び反応抵抗のうち、いずれか一方の抵抗を測定する。これにより、固定周波数を用いて、二次電池2の内部抵抗のうち検出したい抵抗成分を特定できる。例えば、二次電池2内でリチウムイオンのデンドライドが発生した場合に、電解質抵抗が反応抵抗よりも大きく変化するときには、電解質抵抗を測定するための周波数を設定して、交流信号を二次電池2に印加する。これにより、内部抵抗の上昇を検知するまでの時間を短縮化できる。
【0081】
また本実施形態では、二次電池2の内部抵抗が抵抗閾値未満である場合、及び/又は、電解質の機械特性値が負極の機械特性値より高い場合に、二次電池2の充電を行う。これにより、二次電池2の内部が、リチウムイオンのデンドライトが固体電解質側に発生し難い状態を確認しつつ、二次電池2の充電を行うことができる。
【0082】
また本実施形態では、二次電池2の内部抵抗が抵抗閾値以上であり、かつ、電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、二次電池2の充電電流又は二次電池2のCレートを所定値より低くする。これにより、リチウムイオンのデンドライトの成長を抑制しつつ、二次電池2の充電を行うことができる。
【0083】
また本実施形態では、二次電池2の内部抵抗が抵抗閾値以上であり、かつ、電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、二次電池の充電を停止する。これにより、内部短絡が発生する前に、充電を終え、二次電池2を保護できる。
【0084】
また本実施形態では、二次電池2の使用温度領域において、温度変化に対する機械特性値の変化量は、固定電解質よりも負極の方が大きい。そして、二次電池2の内部抵抗が所定の抵抗閾値以上であり、かつ、電解質の機械特性値が負極の機械特性値以下である場合には、二次電池2の温度を所定値より高くする。これにより、二次電池2の内部を、リチウムイオンのデンドライトが固体電解質側に発生し難い状態にして、二次電池2の充電を行うことができる。
【0085】
なお、上述の実施形態において、短絡推定装置は、少なくとも測定器7とコントローラ8と備えていればよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0087】
1…短絡推定システム
2…二次電池
3…電圧センサ
4…温度センサ
5…電圧電流調整部
6…電流センサ
7…測定器
8…コントローラ
9…外部電源
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