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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】固形粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20231128BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 8/895 20060101ALI20231128BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/87
A61K8/895
A61Q1/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019206464
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021080182
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野 真由
(72)【発明者】
【氏名】蔵之上 和博
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-100112(JP,A)
【文献】特開平08-012961(JP,A)
【文献】特開平08-040829(JP,A)
【文献】特表2017-531615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/25
A61K 8/19
A61K 8/29
A61K 8/31
A61K 8/37
A61K 8/87
A61K 8/895
A61Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)球状シリカと酸化チタンを含む、体積平均粒径2~10μmの複合粉体 0.1~15質量%
(B)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマーから選ばれる有機球状弾性粉体 0.1~15質量%
(C)板状粉体、
(D)油剤 0.1~15質量%
を含有する固形粉末化粧料。
【請求項2】
成分(A)が、球状シリカを母体とし、微粒子酸化チタンを含む複合粉体である請求項1記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
成分(C)を、1~90質量%含有する請求項1又は2記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
成分(D)を、1~10質量%含有する請求項1~のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線防御効果や使用感に優れた化粧料を得るため、種々の複合粉体を配合した化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、紫外線遮蔽能を有する微粒子(子粒子)と子粒子を分散含有させる母体としての微粒子凝集体(母粒子)を複合化した紫外線遮蔽性複合微粒子を含有する化粧料が、肌上での伸展性に優れ、むらづきせず、透明性に優れ、不自然な白浮きがなく、高い紫外線遮蔽効果を有することが記載されている。
特許文献2には、マトリクス及び無機UVフィルターを含む球形複合粒子、有機UVフィルター、窒化ホウ素、球状多孔質シリカ粒子を含有する化粧用組成物が、光防護に効果的であり、高いSPF値及びPPD値を提供し、肌上に白色の沈降物を発生せず、脂っぽさや粘着性の感触がないことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-12961公報
【文献】特表2016-503006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料は、スポンジなどで化粧料を取って使用する際に、適量を取りにくく、肌に塗布したときの付着性が悪いという課題があった。また、凹凸カバー効果や、使用感においても、十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の複合粉体と、有機球状弾性粉体、板状粉体及び特定量の油剤を組合わせて用いることにより、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌に塗布したときの抵抗感が低減され、また、凹凸カバー力に優れながらも、白浮きせずに自然な仕上がりの固形粉末化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)球状シリカと酸化チタンを含む複合粉体、
(B)有機球状弾性粉体、
(C)板状粉体、
(D)油剤 0.1~15質量%
を含有する固形粉末化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固形粉末化粧料は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌に塗布したときの抵抗感が低減され、また、凹凸カバー力に優れながらも、白浮きせずに自然な仕上がりが得られるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、球状シリカと酸化チタンを含む複合粉体である。
本発明において、球状とは、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。
母体となる球状シリカ(A1)は、固形粉末化粧料をスポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感が低減され、凹凸カバー力を向上させる観点から、体積平均粒径1~50μmであるのが好ましく、1~40μmがより好ましく、1~30μmがさらに好ましく、2~10μmがよりさらに好ましい。
ここで、体積平均粒径は、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(セイシン企業社製、LMS-350)で測定された値である。なお、体積平均粒径は、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
複合粉体中の球状シリカの含有量は、1~95質量%であるのが好ましく、40~92質量%がより好ましく、60~90質量%がさらに好ましい。
【0009】
また、酸化チタン(A2)は、顔料級酸化チタンでも、微粒子酸化チタンでもよく、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、微粒子酸化チタンが好ましく、少なくとも微粒子酸化チタンを含有することが好ましい。
酸化チタン(A2)は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、数平均粒径が、1~1000nmであるのが好ましく、3~500nmがより好ましく、5~100nmがさらに好ましく、8~50nmがよりさらに好ましい。
ここで、数平均粒径は、透過電子顕微鏡写真から、粒子の長軸と短軸の相加平均として求められる値である。
また、酸化チタン(A2)は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きの抑制させる観点から、比表面積が、15~100m2/gであるのが好ましく、18~95m2/gがより好ましい。
ここで、比表面積は、単位質量当たりの表面積のことをいい、本発明では、BET法(N2)により得られた比表面積を意味する。
複合粉体中の酸化チタンの含有量は、5~99質量%であるのが好ましく、8~60質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましい。
【0010】
成分(A)の複合粉体において、酸化チタン(A2)に対する、母体となる球状シリカ(A1)の質量割合(A1)/(A2)は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、0.01~19であるのが好ましく、0.67~11.5がより好ましく、1.5~9がさらに好ましく、2~6がよりさらに好ましい。
【0011】
成分(A)の複合粉体は、球状シリカを母体とし、少なくとも微粒子酸化チタンを含有するのが好ましく、球状シリカ粒子内に微粒子酸化チタンが内包及び/又は表面に微粒子酸化チタンが点在するもので、微粒子酸化チタンは、球状シリカ粒子中に分散して存在していても、粒子表面に存在していても、いずれでも良い。
成分(A)の複合粉体は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、球状シリカ粒子内に微粒子酸化チタンが、内包されているものが好ましい。
また、成分(A)の複合粉体は、球状シリカ、微粒子酸化チタン以外の成分を含有していても良く、例えば、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄等を含有していても良い。
また、成分(A)の複合粉体は、凹凸カバー力を向上させ、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、球状であることが好ましい。
【0012】
成分(A)の複合粉体は、酸化チタン等と水の分散体に、母体となる球状シリカを含むシリカゾルを加え、焼成及び/又は混合・造粒することにより、製造することができる。
成分(A)の複合粉体は、焼成して得られるものが好ましい。
複合粉体の体積平均粒径は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、1~50μmであるのが好ましく、1~40μmがより好ましく、1~30μmがさらに好ましく、2~10μmがよりさらに好ましい。
なお、複合粉体の体積平均粒径は、成分(A1)と同様の方法で測定される。
【0013】
また、成分(A)の複合粉体としては、例えば、アイナフレックス IWS22S13(日本板硝子社製、体積平均粒径:4μm、複合粉体中のシリカ(体積平均粒径4μm)78質量%、酸化チタン22質量%)、SUNSIL TIN 50(SUNJIN CHEMICAL社製、体積平均粒径:5μm、複合粉体中のシリカ(体積平均粒径5μm)58質量%、酸化チタン(数平均粒径12nm)42質量%)、SUNSIL TIN 40(SUNJIN CHEMICAL社製、体積平均粒径:5μm、複合粉体中のシリカ(体積平均粒径5μm)70質量%、酸化チタン(数平均粒径12nm)30質量%)、SH219(SUNJIN CHEMICAL社製、体積平均粒径:5μm、複合粉体中のシリカ(体積平均粒径5μm)、酸化チタン(数平均粒径12nm))、PCボール WT-35H(鈴木油脂工業社製、体積平均粒径:3μm、複合粉体中のシリカ(体積平均粒径3μm)65質量%、微粒子酸化チタン35質量%)等の市販品を用いることができる。
【0014】
成分(A)の複合粉体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制し、自然な仕上がりを得る観点から、全組成中に0.1~15質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましく、3~7質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明で用いる成分(B)の有機球状弾性粉体は、JIS K6253に規定されている、デュロメータによって測定される硬度(以下、JIS硬度と記す)が5~80である有機球状弾性粉体である。また、球状とは、成分(A)と同様である。
成分(B)の有機球状弾性粉体は、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制し、固形粉末化粧料をスポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、JIS硬度は、15~75が好ましく、25~60がより好ましい。
成分(B)の有機球状弾性粉体は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、体積平均粒径は、1~50μmであるのが好ましく、2~40μmがより好ましく、3~30μmがさらに好ましく、5~20μmがよりさらに好ましい。
ここで、体積平均粒径は、成分(A1)と同様の方法で測定される。
【0016】
成分(B)の有機球状弾性粉体としては、例えば、シリコーンエラストマー、ポリウレタン等が挙げられる。
シリコーンエラストマーとしては、例えば、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリシリコーン-1クロスポリマー等が挙げられ、ポリウレタンとしては、例えば、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー等が挙げられる。
成分(B)としては、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制し、固形粉末化粧料をスポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、シリコーンエラストマーが好ましく、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーがより好ましい。
また、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーと、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーを併用することが好ましい。
【0017】
また、成分(B)としては、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーとして、例えば、KSP-100(信越化学工業社製、JIS硬度30、体積平均粒径5μm)、KSP-101(信越化学工業社製、JIS硬度30、体積平均粒径12μm)、KSP-102(信越化学工業社製、JIS硬度30、体積平均粒径30μm)、KSP-105(信越化学工業社製、JIS硬度75、体積平均粒径2μm)等;(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーとして、例えば、KSP-300(信越化学工業社製、JIS硬度40、体積平均粒径5μm)等;ポリシリコーン-1クロスポリマーとして、例えば、KSP-411(信越化学工業社製、JIS硬度22、体積平均粒径12μm)等;(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマーとして、例えば、CS-400(東色ピグメント社製、体積平均粒径14μm)等;(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマーとして、例えば、D-400(東色ピグメント社製、体積平均粒径13μm)、D-800(東色ピグメント社製、体積平均粒径7μm)等の市販品を用いることができる。
【0018】
成分(B)の有機球状弾性粉体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させ、白浮きを抑制させる観点から、全組成中に0.1~15質量%であるのが好ましく、1~10質量%がより好ましく、4~6質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明で用いる成分(C)の板状粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、窒化ホウ素、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、セリサイト、タルク、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、合成金雲母、雲母チタン、酸化チタン被覆ホウケイ酸、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらのうち、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させ、白浮きを抑制させる観点から、窒化ホウ素、タルク、合成金雲母が好ましい。
【0020】
成分(C)の板状粉体は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させ、白浮きを抑制させる観点から、体積平均粒径1~50μmであるのが好ましく、2~40μmがより好ましく、3~30μmがさらに好ましく、5~20μmがよりさらに好ましい。
ここで、体積平均粒径は、成分(A1)と同様の方法で測定される。
また、アスペクト比は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させ、白浮きを抑制させる観点から、10~80が好ましく、15~70がより好ましい。
アスペクト比は、体積平均粒径と粒子の平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(体積平均粒径/平均厚さ)で定義される。
なお、粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定した10~50個の母粒子の厚さを数平均して求められる。
【0021】
成分(C)としては、窒化ホウ素として、例えば、SHP-3(水島合金鉄社製、体積平均粒径6μm、アスペクト比40)等;タルクとして、例えば、タルクJA-13R(浅田製粉社製、体積平均粒径7μm、アスペクト比18)、タルクJA-46R(浅田製粉社製、体積平均粒径9μm、アスペクト比50)、タルクJA-68R(浅田製粉社製、体積平均粒径11μm、アスペクト比50)等;合成金雲母として、例えば、PDM-NFE(トピー工業社製、体積平均粒径5μm、アスペクト比40)、PDM-1000(トピー工業社製、平均粒子径12μm、アスペクト比20)、PDM-5L(トピー工業社製、平均粒子径6μm、アスペクト比40)、PDM-10L(トピー工業社製、平均粒子径12μm、アスペクト比60)、PDM-20L(トピー工業社製、平均粒子径20μm、アスペクト比70)、PDM-40L(トピー工業社製、平均粒子径40μm、アスペクト比80)等の市販品を用いることができる。
【0022】
成分(C)の板状粉体は、そのまま用いられるほか、化粧もちを向上させる観点から、疎水処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸処理、N-アシルアミノ酸処理等が挙げられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、フッ素処理としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、脂肪酸処理としては、ステアリン酸処理、ミリスチン酸処理等が挙げられ、N-アシルアミノ酸処理としては、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理が好ましい。
疎水化処理は、通常の方法により、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
【0023】
成分(C)の板状粉体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布した時の抵抗感を低減させ、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、全組成中に1~90質量%であるのが好ましく、10~80質量%がより好ましく、30~70質量%がさらに好ましい。
【0024】
本発明で用いる成分(D)の油剤は、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、25℃において液状、ペースト状のものを好適に用いることができる。
成分(D)としては、例えば、エステル油、高級アルコール、炭化水素、シリコーン油等が挙げられる。
【0025】
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油などが挙げられ、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、炭酸プロピレン、ホホバ油、部分水素添加ホホバ油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、トリエチルヘキサノインから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルがさらに好ましい。
【0026】
高級アルコールとしては、分岐構造を有する炭素数16~24の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、例えば、デシルテトラデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール等が挙げられ、オクチルドデカノールが好ましい。
炭化水素油としては、揮発性、不揮発性のいずれでもよく、不揮発性のものが好ましい。また、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油が挙げられ、スクワラン、流動パラフィンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、スクワランがより好ましい。
【0027】
シリコーン油としては、揮発性、不揮発性のいずれでもよく、不揮発性のものが好ましい。また、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0028】
成分(D)としては、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パラメトキシケイ皮酸2-オクチル、スクワラン、ホホバ油、部分水素添加ホホバ油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、スクワランから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、スクワランから選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
【0029】
成分(D)の油剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させる観点から、全組成中に0.1~15質量%であるのが好ましく、1~10質量%がより好ましく、3~8質量%がさらに好ましく、6~8質量%がよりさらに好ましい。
【0030】
本発明において、成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布した時の抵抗感を低減させ、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、0.01~3であるのが好ましく、0.1~2.5がより好ましく、0.15~2がさらに好ましく、0.5~1.2がよりさらに好ましく、0.6~0.8がことさら好ましい。
【0031】
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感を低減させ、凹凸カバー力を向上させ、白浮きを抑制させる観点から、0.05~2であるのが好ましく、0.1~1.5がより好ましく、0.2~1.05がさらに好ましく、0.5~0.9がよりさらに好ましい。
【0032】
本発明の固形粉末化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体、成分(D)以外の油成分、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0033】
本発明の固形粉末化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、成分(A)、(B)及び(C)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、成分(D)の油剤を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕し、粉砕物を、容器に充填して、成型圧1000~2500kgfで成型することにより、固形粉末化粧料を得ることができる。
【0034】
本発明の固形粉末化粧料は、例えば、パウダーファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料などとして好適である。
【実施例
【0035】
実施例1~6、比較例1~2
表1に示す組成の固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造し、凹凸カバー力、白浮きのなさ、固形粉末化粧料をスポンジで肌へ塗布したときの抵抗感のなさ及び取れ量を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0036】
(製造方法)
成分(A)、(B)及び(C)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、成分(D)の油剤を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。粉砕物を、容器に充填して、成型圧1000~2500kgfで成型することにより、固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を得た。
【0037】
(評価方法)
(1)凹凸カバー力、白浮きのなさ、固形粉末化粧料をスポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感のなさ:
専門評価者5人が、各固形粉末化粧料をスポンジで塗布した後の凹凸カバー力、白浮きのなさ、固形粉末化粧料をスポンジで肌へ塗布した時の抵抗感のなさについて、以下の基準で官能評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者5人が下記の5段階で官能評価し、5人の平均点で示した。
【0038】
(1-1)凹凸カバー力:
5;非常にカバー力がある。
4;カバー力がある。
3;ややカバー力がある。
2;カバー力があまりない。
1:カバー力がない。
【0039】
(1-2)白浮きのなさ:
5;明らかに白浮きがない。
4;白浮きがない。
3;白浮きがほとんどない。
2;やや白浮きがある。
1;白浮きがかなりある。
【0040】
(1-3)固形粉末化粧料をスポンジで肌へ塗布したときの抵抗感のなさ:
5;明らかに抵抗感が感じられない。
4;抵抗感が感じられない。
3;わずかに抵抗感が感じられる。
2;やや抵抗感が感じられる。
1;抵抗感がかなり感じられる。
【0041】
(2)取れ量:
専門評価者1名が各固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)をスポンジ(雪ヶ谷化学工業社製、ファインフィット パウダーファンデーション用パフ)を用いて、一定の力で2回擦り、ファンデーションが取れた量(mg)を測定した。結果は、3回の平均値とした。この取れ量が、25~45mgであるのが好ましい。
【0042】
【表1】
【0043】
※1:酸化チタン含有球状シリカ:アイナフレックス IWS22S13(日本板硝子社製、体積平均粒径:4μm)、
※2:球状シリカ:SATINIER M5(日揮触媒化成社製、体積平均粒子径5μm)、
※3:ジメチルポリシロキサン処理酸化チタン:チタンCR-50(石原産業社製)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※4:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理酸化チタン:微粒子酸化チタン MT-600B(テイカ社製、数平均粒子径:50nm)をメチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの、
※5:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー:KSP-100(信越化学工業社製、体積平均粒径5μm)、
※6:(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー:KSP-300(信越化学工業社製、体積平均粒径5μm)、
※7:ジメチルポリシロキサン処理窒化ホウ素:SHP-3(水島合金鉄社製、体積平均粒径6μm、アスペクト比40)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※8:ジメチルポリシロキサン処理タルク:タルクJA-13R(浅田製粉社製、体積平均粒径7μm、アスペクト比18)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※9:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理合成金雲母:PDM-NFE(トピー工業社製、体積平均粒径6μm、アスペクト比40)をメチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの
【0044】
処方例1
実施例と同様にして、表2に示す組成の固形粉末化粧料を製造した。
得られた固形粉末化粧料は、スポンジなどで最適な量の固形粉末化粧料を取ることができ、スポンジなどで肌へ塗布したときの抵抗感が低減され、凹凸カバー力に優れながらも、白浮きせずに自然な仕上がりが得られる。
【0045】
【表2】
【0046】
※1:酸化チタン含有球状シリカ:アイナフレックス IWS22S13(日本板硝子社製、体積平均粒径:4μm)、
※3:ジメチルポリシロキサン処理酸化チタン:チタンCR-50(石原産業社製)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※4:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理酸化チタン:微粒子酸化チタン MT-600B(テイカ社製、数平均粒子径:50nm)をメチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの、
※7:ジメチルポリシロキサン処理窒化ホウ素:SHP-3(水島合金鉄社製、体積平均粒径6μm、アスペクト比40)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※8:ジメチルポリシロキサン処理タルク:タルクJA-13R(浅田製粉社製、体積平均粒径7μm、アスペクト比18)をジメチルポリシロキサン処理したもの、
※9:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理合成金雲母:PDM-NFE(トピー工業社製、体積平均粒径5μm、アスペクト比40)をメチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの
※10:(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー:D-800(東色ピグメント社製、体積平均粒径7μm)