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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20231128BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231128BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20231128BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231128BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231128BHJP
   G03B 15/00 20210101ALN20231128BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/50
G03B17/55
G03B17/02
H05K7/20 F
H05K7/20 D
G03B15/00 V
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019221958
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021093584
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 盛一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 秀則
(72)【発明者】
【氏名】増田 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 武志
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014564(JP,A)
【文献】特開2010-130571(JP,A)
【文献】特開2019-087775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/52
H04N 23/50
G03B 17/55
G03B 17/02
H05K 7/20
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容される撮像素子と、
前記筐体に収容される回路素子と、
前記撮像素子と前記筐体との間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材と、
前記回路素子と前記筐体との間を接続して熱を伝搬させる第二伝熱部材と
を有し、
前記第一伝熱部材は、前記筐体の第一接続部において前記筐体に接続され、
前記第二伝熱部材は、前記筐体の第二接続部において前記筐体に接続されており、
前記回路素子は、前記撮像素子に被写体像を結像させる撮像光学系の光軸方向から視て、前記撮像素子とずれた位置にあり、
前記第一接続部は、前記光軸方向から視て、前記回路素子から前記撮像素子へ向かう方向に位置する前記筐体の端部に設けられており、
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記撮像素子は、前記素子搭載面に沿って間隔を空けて配置される一対の撮像素子から構成され、
前記回路素子は、前記光軸方向から視て、前記一対の撮像素子の間に配置され、
前記第一伝熱部材は、前記一対の撮像素子の一方および他方のそれぞれに対して設けられ、
前記第一接続部は、前記光軸方向から視て、前記回路素子から前記一対の撮像素子の一方へ向かう方向に位置する第一端部と、前記回路素子から前記一対の撮像素子の他方へ向かう方向に位置する第二端部とに設けられ、
前記一対の撮像素子の一方に対して設けられた前記第一伝熱部材は、前記第一端部において接続され、
前記一対の撮像素子の他方に対して設けられた前記第一伝熱部材は、前記第二端部において接続される
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記回路基板は、第一支持部材を用いて前記筐体に支持され、
前記第一支持部材は、前記光軸方向から視て、前記撮像素子と前記回路素子との間において前記回路基板を支持する
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子は、前記光軸方向から視て、前記筐体の上下方向における中間位置よりも下側に配置され、
前記第一接続部は、前記筐体の前記端部の前記中間位置より上側に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記筐体の外表面には、放熱フィンが設けられ、
前記放熱フィンは、前記筐体の上下方向に延びる放熱板が、前記回路素子から前記撮像素子へ向かう方向に沿って間隔を空けて複数配置されており、
前記第一接続部は、前記筐体の前記端部の前記撮像素子より下側に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記第一接続部は、前記筐体の前記端部の前記撮像素子より下側に設けられ、
前記回路基板は、第一支持部材を用いて前記筐体に支持され、
前記第一支持部材は、前記回路基板の前記撮像素子より下側において前記回路基板を支持する下側の前記第一支持部材と、前記回路基板の前記撮像素子より上側において前記回路基板を支持する上側の前記第一支持部材とを含み、
前記下側の前記第一支持部材は、前記上側の前記第一支持部材よりも、前記撮像素子から前記回路素子へ向かう方向において前記第一接続部から離隔して配置される
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第一接続部は、前記筐体の前記端部の前記撮像素子より上側と下側とに設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第一接続部は、前記回路素子から前記撮像素子へ向かう方向に位置する前記筐体の側面部と当該撮像素子との間に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記第一伝熱部材は、前記撮像素子基板の前記背面に接続されるとともに、前記光軸方向において前記回路基板との間で空隙を形成して配置される
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記第一伝熱部材は、第二支持部材を用いて前記筐体に支持され、
前記第一伝熱部材は、前記撮像素子基板の前記背面に対向する第一領域と、前記第一領域の一部から前記第二支持部材へ向かって突出するとともに前記第二支持部材によって前記筐体に支持される第領域とを含み、
前記第二領域の突出方向に交差する方向において、前記第二領域の長さは前記第一領域の長さよりも短い
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記回路基板の長手方向における端部から、前記回路基板の中央までの長さをLとし、
前記回路基板の長手方向における前記端部から、前記回路基板の前記筐体への支持位置であって前記端部に最も近い前記支持位置までの長さをL1とすると、
前記回路基板は、Lに対するL1の比が0.5以下となる前記支持位置にて支持される
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記撮像素子基板は、前記撮像光学系を保持するホルダに接続され、
前記第一伝熱部材は、前記ホルダに当接されている
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像素子は、撮像素子基板の素子搭載面に搭載され、
前記回路素子は、前記素子搭載面とは反対側の面である前記撮像素子基板の背面に対向して配置された回路基板に搭載され、
前記第一伝熱部材は、前記回路基板および前記撮像素子基板が収容された前記筐体を封止するカバーの一部として構成される
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両等に搭載される撮像装置に関する発明が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、撮像光学系と、撮像素子と、少なくとも2つの回路基板と、筐体と、第1の伝熱部材と、第2の伝熱部材とを備える撮像装置が記載されている。特許文献1に記載の撮像素子は、撮像光学系を介して結像される被写体像を撮像する。少なくとも2つの回路基板は、撮像素子を少なくとも実装する第1の回路基板および電子部品を少なくとも実装する第2の回路基板を含む。筐体は、撮像光学系が被写体に対して露出する開口を有し、撮像光学系、撮像素子および回路基板を保持する。
【0004】
また、特許文献1に記載の撮像装置は、第1の伝熱部材が、回路基板のいずれかから、撮像光学系から離れる方向に向かって延在するように、筐体の内壁に一体的に成型されている。第2の伝熱部材は、撮像素子および電子部品の両方から発生する熱を第1の伝熱部材に伝搬させる。特許文献1には、このような構成を備える撮像装置は筐体内部から外部への放熱効果を高めることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-50311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の撮像装置は、撮像素子および電子部品の両方から発生する熱を、第2の伝熱部材を介して筐体の内壁に一体的に成型された第1の伝熱部材に伝えることで、筐体内部から外部へ放熱している。しかしながら、電子部品が主な発熱源である場合、特許文献1に記載の撮像装置では、電子部品から第2の伝熱部材への伝熱によって、撮像素子から第2の伝熱部材への伝熱が阻害され、撮像素子の温度上昇を低減することが困難となる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、撮像素子の温度上昇を低減することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮像装置は、筐体と、前記筐体に収容される撮像素子と、前記筐体に収容される回路素子と、前記撮像素子と前記筐体との間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材と、前記回路素子と前記筐体との間を接続して熱を伝搬させる第二伝熱部材とを有し、前記第一伝熱部材は、前記筐体の第一接続部において前記筐体に接続され、前記第二伝熱部材は、前記筐体の第二接続部において前記筐体に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像素子の温度上昇を低減することが可能な撮像装置を提供することができる。
上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係る撮像装置の外観を示す図。
図2図1に示す撮像装置の主な内部構成を前方の右斜め上方から透視した斜視図。
図3図1に示す撮像装置を後方の右斜め上方から視た分解斜視図。
図4図4(a)は、図1に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図4(b)は、図4(a)に示すA-A線で撮像装置を切断した断面図。
図5】筐体の温度分布を示す図。
図6】一般的な撮像装置を後方から視た図であって、回路基板と撮像素子と撮像素子基板と第一支持部材との位置関係を示す図。
図7図1に示す撮像装置を後方から視た図であって、回路基板と撮像素子と撮像素子基板と第一支持部材との位置関係を示す図。
図8】回路基板の左右方向の中央からの回路基板の左端部までの長さLと、回路基板の第一支持部材による支持位置から回路基板の左端部までの長さL1との比が、振動変位Dに与える影響を示した図。
図9】第二実施形態に係る撮像装置を後方の右斜め上方から視た分解斜視図。
図10図9に示す撮像装置を後方から視た図であって、回路基板と撮像素子と撮像素子基板と第一支持部材との位置関係を示す図。
図11図11(a)は、図9に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図11(b)は、図11(a)に示すE-E線で撮像装置を切断した断面図。
図12】第三実施形態に係る撮像装置を後方の右斜め上方から視た分解斜視図。
図13図13(a)は、図12に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図13(b)は、図13(a)に示すF-F線で撮像装置を切断した断面図。
図14図14(a)は、第四実施形態に係る撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図14(b)は、図14(a)に示すG-G線で撮像装置を切断した断面図。
図15】第五実施形態に係る第一カメラモジュールを後方の左斜め下方から視た分解斜視図であって、第一撮像素子基板と、第一レンズを保持するホルダとの関係を説明するための図。
図16図16(a)は、第五実施形態に係る撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図16(b)は、図16(a)に示すH-H線で撮像装置を切断した断面図。
図17】第六実施形態に係る撮像装置を後方の右斜め上方から視た分解斜視図。
図18図18(a)は、図17に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図18(b)は、図18(a)に示すI-I線で撮像装置を切断した断面図。
図19】第七実施形態に係る撮像装置を後方の右斜め上方から視た分解斜視図。
図20図20(a)は、図19に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図20(b)は、図20(a)に示すJ-J線で撮像装置を切断した断面図。
図21】第八実施形態に係る撮像装置の外観を示す図。
図22図22(a)は、図21に示す撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図22(b)は、図22(a)に示すK-K線で撮像装置を切断した断面図。
図23図23(a)は、第九実施形態に係る撮像装置を後方から視た図の要部拡大図、図23(b)は、図23(a)に示すP-P線で撮像装置を切断した断面図。
図24】第十実施形態に係る撮像装置の主な内部構成を前方の右斜め上方から透視した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、同一の符号を付された構成は、同一の機能を有するので、特に言及しない限りは、既に説明されている場合それらの説明は省略する。また、必要な図面には、各部の位置の説明を明確にするために、x軸、y軸およびz軸からなる直交座標軸を記載している。
【0012】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1図8を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、第一実施形態に係る撮像装置201の外観を示す図である。図2は、図1に示す撮像装置201の主な内部構成を前方の右斜め上方から透視した斜視図である。図3は、図1に示す撮像装置201を後方の右斜め上方から視た分解斜視図である。図4(a)は、図1に示す撮像装置201を後方から視た図の要部拡大図である。図4(b)は、図4(a)に示すA-A線で撮像装置201を切断した断面図である。図3では、回路基板9を筐体1aに支持する第一支持部材18a~18dと、回路基板9が支持される筐体1aの支持部との図示を省略している。図3図4(b)では、伝搬部材12a,12bを筐体1aに支持する第二支持部材と、伝搬部材12a,12bが支持される筐体1aの支持部との図示を省略している。図4(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図4(a)および図4(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19aを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0014】
図5は、筐体1aの温度分布を示す図である。図5中の太線は、筐体1aの表面温度の等高線15を示している。図6は、一般的な撮像装置201を後方から視た図であって、回路基板9と撮像素子2a,2bと撮像素子基板3a,3aと第一支持部材17a~17dとの位置関係を示す図である。図7は、図1に示す撮像装置201を後方から視た図であって、回路基板9と撮像素子2a,2bと撮像素子基板3a,3aと第一支持部材18a~18dとの位置関係を示す図である。図6、7では、カバー14の図を省略している。図8は、回路基板9の左右方向の中央からの回路基板9の左端部までの長さLと、回路基板9の第一支持部材18b,18dによる支持位置から回路基板9の左端部までの長さL1との比が、振動変位Dに与える影響を示した図である。
【0015】
撮像装置201は、例えば、自動車等の車両のウィンドシールドガラスの内側に進行方向の前方に向けて設置され、道路、先行車両、対向車両、歩行者、障害物などの被写体像を撮像するステレオカメラである。撮像装置201は、一対のカメラモジュール5a、5bにて被写体像を同時に撮像し、取得された一対の画像からの視差を求めて、被写体までの距離や相対速度などを測定することができる。撮像装置201は、筐体1aの後側に設けられた不図示の開口部を介して、車両内部の電気コネクタに配線されることによって、電気コネクタに接続された車両の制御装置と電気的に接続される。
【0016】
本実施形態においては、撮像装置201の前後方向(すなわち、カメラモジュール5a,5bの光軸方向)は、車両の進行方向であり、各図中のx軸方向に対応する。x軸方向の正は、車両の進行方向の前方向である。撮像装置201の上下方向(すなわち、重力方向に沿った方向)は、車両の高さ方向であり、各図中のy軸方向に対応する。y軸方向の正は、地面とは反対側の方向である。撮像装置201の左右方向(すなわち、一対のカメラモジュール5a,5bを結ぶ方向)は、車両の幅方向であり、各図中のz軸方向に対応する。z軸方向の正は、車両を後方から前方に視た場合の右側の方向である。
【0017】
図1図3に示すように、撮像装置201は、第一撮像素子2aと、第二撮像素子2bと、第一撮像素子2aを搭載する第一撮像素子基板3aと、第二撮像素子2bを搭載する第二撮像素子基板3bとを備えている。さらに、撮像装置201は、第一回路素子6と、第二回路素子7と、第三回路素子8と、第一回路素子6、第二回路素子7および第三回路素子8を搭載する回路基板9とを備えている。さらに、撮像装置201は、第一撮像素子基板3a、第二撮像素子基板3bおよび回路基板9を内部に収容する筐体1aを備えている。
【0018】
第一撮像素子2aおよび第二撮像素子2bは、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)やCCD(charge coupled device)などのイメージセンサによって構成される。
【0019】
第一撮像素子2aは、第一撮像素子基板3aと第一レンズ4aを備えた第一カメラモジュール5aを一組にして筐体1aに取り付けられている。第一レンズ4aは、第一カメラモジュール5aの撮像光学系であり、被写体像を第一撮像素子2aの受光面に結像させる。同様に、第二撮像素子2bは、第二撮像素子基板3bと第二レンズ4bを備えた第二カメラモジュール5bを一組にして筐体1aに取り付けられている。第二レンズ4bは、第二カメラモジュール5bの撮像光学系であり、被写体像を第二撮像素子2bの受光面に結像させる。
【0020】
第一撮像素子基板3aは、第一撮像素子2aが搭載される素子搭載面と、この素子搭載面と略直交する方向において素子搭載面の反対側に配置される背面とを含む。第二撮像素子基板3bは、第二撮像素子2bが搭載される素子搭載面と、この素子搭載面と略直交する方向において素子搭載面の反対側に配置される背面とを含む。
【0021】
第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとは、それぞれの素子搭載面が、第一レンズ4aおよび第二レンズ4bなどの撮像光学系の光軸方向(前後方向)と略直交するように配置される。第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとは、それぞれの素子搭載面を前方に向けて配置される。第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとは、それぞれの素子搭載面が重力方向に沿うように配置される。これらの素子搭載面は、各図中のyz平面に対応する。
【0022】
第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとは、第一撮像素子基板3aの素子搭載面および第二撮像素子基板3bの素子搭載面に沿って間隔を空けて配置される。例えば、第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとは、撮像装置201の左右方向の両端部にそれぞれ配置される。すなわち、第一撮像素子2aと第二撮像素子2bとによって構成される一対の撮像素子2a,2bは、これらの素子搭載面に沿って間隔を空けて配置される。
【0023】
第一回路素子6は、画像信号を処理するマイコンや信号処理素子、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの回路素子である。第二回路素子7は、データの一時保管に用いられるメモリなどの回路素子である。第三回路素子8は、MPU(Micro Processing Unit)など各種の信号処理を行う回路素子である。第一回路素子6は、筐体1aやカバー14などにおいて放熱を必要とするような発熱量が大きい回路素子であり、第一撮像素子2a、第二撮像素子2b、第二回路素子7または第三回路素子8より発熱量(消費電力)が大きい。なお、第一回路素子6、第二回路素子7および第三回路素子8は、上記の素子に限定するものではない。
【0024】
回路基板9は、第一回路素子6と第二回路素子7と第三回路素子8とが搭載される素子搭載面と、この素子搭載面と略直交する方向において素子搭載面の反対側に配置される背面とを含む。
【0025】
回路基板9は、第一撮像素子基板3aおよび第二撮像素子基板3bの後方において、第一撮像素子基板3aおよび第二撮像素子基板3bと略平行に配置される。回路基板9は、その素子搭載面が、前方を向き、かつ、重力方向に沿うように配置される。すなわち、回路基板9は、その素子搭載面が、第一撮像素子基板3aおよび第二撮像素子基板3bのそれぞれの背面に対向して配置される。なお、第一撮像素子基板3aおよび第二撮像素子基板3bのそれぞれの背面は、第一撮像素子基板3aおよび第二撮像素子基板3bのそれぞれの後側の面である。
【0026】
回路基板9に搭載される第一回路素子6、第二回路素子7および第三回路素子8は、上記の光軸方向から視て、一対の撮像素子2a,2bの間に配置される。第一回路素子6、第二回路素子7および第三回路素子8のそれぞれは、上記の光軸方向から視て、一対の撮像素子2a,2bのそれぞれとずれた位置にある。具体的には、上記の光軸方向から視た場合、第一回路素子6、第二回路素子7および第三回路素子8のそれぞれは、その中心位置が一対の撮像素子2a,2bのそれぞれの中心位置とずれており、筐体1aの左右方向の中央側に偏位している。
【0027】
本実施形態では、第一撮像素子2aと第二撮像素子2bとをまとめて、撮像素子2a,2bとも称する。第一撮像素子基板3aと第二撮像素子基板3bとをまとめて、撮像素子基板3a,3bとも称する。第一回路素子6と第二回路素子7と第三回路素子8とをまとめて、回路素子6~8とも称する。同様に、第一レンズ4aと第二レンズ4bとをまとめて、レンズ4a,4bとも称する。第一カメラモジュール5aと第二カメラモジュール5bとをまとめて、カメラモジュール5a,5bとも称する。
【0028】
筐体1aの外表面には、放熱フィン10が設けられている。放熱フィン10は、第一方向に延びる放熱板10aが第二方向に沿って間隔を空けて複数配置される。第一方向とは、撮像素子基板3a,3bの素子搭載面に沿った方向のうちの1つであり、例えば、図1では上下方向である。第二方向とは、撮像素子基板3a,3bの素子搭載面に沿った方向のうちの他の1つであり、例えば、図1では左右方向である。図1に示す放熱フィン10は、第一撮像素子基板3a、第二撮像素子基板3bおよび回路基板9のそれぞれの素子搭載面に対して垂直で、上下方向に空気が通過できるように形成されている。筐体1aは、放熱フィン10が第一方向(上下方向)に延びる板状に形成されることにより、対流の効果で空気の流速が速くなるとともに筐体1aの下方から新鮮な空気を取り込み筐体1aの上方へ排出し易い構造となる。このため、筐体1aは、放熱性能が向上し得る。筐体1aは、アルミダイカストなどの金属で形成するとともに、各基板が収容された筐体1aを後方から封止するカバー14をアルミ板などの金属で形成することで、防塵性と電磁ノイズの遮蔽効果と放熱効果とを向上させることができる。
【0029】
また、撮像装置201は、撮像素子2a,2bと筐体1aとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材110a,110bと、回路素子6~8と筐体1aとの間を接続して熱を伝搬させる第二伝熱部材190とを備える。
【0030】
第一伝熱部材110a,110bは、一対の撮像素子2a,2bの一方及び他方のそれぞれに対して設けられる。第一伝熱部材110aは、一対の撮像素子2a,2bの一方である第一撮像素子2aに対して設けられる第一伝熱部材である。第一伝熱部材110bは、一対の撮像素子2a,2bの他方である第二撮像素子2bに対して設けられる第一伝熱部材である。
【0031】
第一伝熱部材110aは、第一撮像素子2aが搭載された第一撮像素子基板3aに接続される熱伝導部材11aと、第一撮像素子2aおよび第一撮像素子基板3aから熱伝導部材11aを介して伝搬した熱を筐体1aに伝搬させる伝搬部材12aとを含む。第一伝熱部材110bは、第二撮像素子2bが搭載された第二撮像素子基板3bに接続される熱伝導部材11bと、第二撮像素子2bおよび第二撮像素子基板3bから熱伝導部材11bを介して伝搬した熱を筐体1aに伝搬させる伝搬部材12bとを含む。
【0032】
熱伝導部材11a,11bは、熱伝導性の高いグリスやゲルやシート、あるいは、板ばねなどの、熱伝導性が高く弾力のある部材によって構成される。熱伝導部材11a,11bは、撮像素子基板3a,3bの背面に接続される。
【0033】
伝搬部材12a,12bは、板状に形成され、熱伝導性が高い金属プレートなどによって構成される。伝搬部材12a,12bは、撮像素子基板3a,3bの背面に対向して配置される。伝搬部材12a,12bは、撮像素子基板3a,3bの背面に接続された熱伝導部材11a,11bの後側の面に接続される。伝搬部材12a,12bは、上記の光軸方向すなわち前後方向において回路基板9との間で空隙を形成するように、回路基板9の前方に配置される。それにより、伝搬部材12a,12bでは、回路素子6~8から回路基板9に伝搬した熱が、伝搬部材12a,12bへ直接的に伝搬することを抑制することができる。このため、伝搬部材12a,12bを含む第一伝熱部材110a,110bでは、第一伝熱部材110a,110bから筐体1aへの放熱が、回路素子6~8から回路基板9に伝搬した熱によって阻害されることを抑制することができる。伝搬部材12a,12bは、撮像素子基板3a,3bとの間で熱伝導部材11a、11bを挟んで熱伝導部材11a、11bの位置を拘束する。
【0034】
伝搬部材12aは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から第一撮像素子2aに向かう方向に位置する筐体1aの端部に接続される。伝搬部材12bは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から第二撮像素子2bに向かう方向に位置する筐体1aの端部に接続される。回路素子6~8から第一撮像素子2aに向かう方向とは、本実施形態では右方向であり、回路素子6~8から第二撮像素子2bに向かう方向とは、本実施形態では左方向である。
【0035】
具体的には、伝搬部材12aは、その下端部が、筐体1aの右方向に位置する端部13aに接続される。伝搬部材12bは、その下端部が、筐体1aの左方向に位置する端部13bに接続される。筐体1aの端部13a,13bは、撮像素子2a,2bより下側、好ましくは撮像素子基板3a,3bより下側に位置する端部である。伝搬部材12a,12bは、撮像素子2a,2bおよび撮像素子基板3a,3bから熱伝導部材11a,11bを介して伝搬した熱を、筐体1aの端部13a,13bに伝搬させる。
【0036】
本実施形態では、第一伝熱部材110a,110bが接続される筐体1aの部位を、第一接続部111a,111bとも称する。この場合、第一接続部111aは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの一方(第一撮像素子2a)へ向かう方向(右方向)に位置する端部13aに相当する。同様に、第一接続部111bは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの他方(第二撮像素子2b)へ向かう方向(左方向)に位置する端部13bに相当する。
【0037】
すなわち、第一接続部111aは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの一方(第一撮像素子2a)へ向かう方向(右方向)に位置する筐体1aの端部(第一端部)である端部13aに設けられると言える。第一接続部111bは、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの他方(第二撮像素子2b)へ向かう方向(左方向)に位置する筐体1aの端部(第二端部)である端部13bに設けられると言える。そして、一対の撮像素子2a,2bの一方(第一撮像素子2a)に対して設けられた第一伝熱部材110aは、第一端部である端部13aにおいて筐体1aに接続されると言える。一対の撮像素子2a,2bの他方(第二撮像素子2b)に対して設けられた第一伝熱部材110bは、第二端部である端部13bにおいて筐体1aに接続されると言える。
【0038】
第二伝熱部材190は、回路素子6~8と筐体1aとの間を接続して熱を伝搬させる部材であれば、特に限定されない。第二伝熱部材190は、熱伝導性のあるグリスやゲルやシートなどによって構成されてよい。本実施形態では、第二伝熱部材190が接続される筐体1aの部位を、第二接続部191とも称する。第二接続部191は、例えば図3に示すように、端部13aと端部13bとの間に位置する筐体1aの中央部であってよい。すなわち、第二接続部191は、第一接続部111a,111bとは離れた部位に位置する。このため、回路素子6~8から第二伝熱部材190を介して筐体1aに伝搬した熱が、撮像素子2a,2bの放熱経路となる第一接続部111a,111bおよび第一伝熱部材110a,110bに伝搬し難くなり、撮像素子2a,2bから筐体1aへの放熱が阻害されることを抑制することができる。
【0039】
ここで、従来の撮像装置201のように、撮像素子2a,2bの画素数などが小さい場合には、撮像素子2a,2bの発熱量が小さく温度上昇も小さかった。しかしながら、高画角化や高精度や高速対応などの撮像装置201の高性能化にともなって撮像素子2a,2bの画素数が増すと、発熱量(消費電力)が大幅に増加する。また、撮像装置201の小型化にともない筐体1aの表面積が減少することによって、撮像素子2a,2bの温度上昇が大きくなる可能性がある。
【0040】
特に、撮像装置201で重要な撮像素子2a,2bは、動作保証の上限温度が他の部品と比較して低いことが多く、撮像素子2a,2bの温度上昇の低減がより重要である。撮像素子2a,2bの温度が高くなると、信号のノイズ成分が大きくなり、測定精度の低下が生じる。
【0041】
このような課題に対して、本実施形態に係る撮像装置201では、撮像素子2a,2bと筐体1aとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材110a,110bを有する。そして、第一伝熱部材110a,110bは、筐体1aの第一接続部111a,111bにおいて筐体1aに接続される。このため、撮像装置201では、撮像素子2a,2bの熱が筐体1aに伝搬して外部に放熱されるため、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減できる。撮像装置201は、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することによって、温度によるノイズ成分を低減することができ、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0042】
一方、回路基板9の発熱量の大きな主な回路素子6~8は、第二伝熱部材190によって熱的に筐体1aに接続し、筐体1aの表面で放熱されている。そのため、撮像装置201では、図5に示すように、回路素子6~8の近傍が高温となり、上下方向および左右方向において回路素子6~8から離れる方向に向かうほど温度が低温となる。ここでの回路素子6~8の近傍とは、例えば、回路素子6~8のそれぞれの中心から各方向への長さの範囲であって、回路素子6~8のそれぞれの各方向の長さの2~5倍の長さの範囲を指す。その上で、撮像装置201では、筐体1aの放熱フィン10を上下方向に伸ばした板状に形成することによって、空気の流れ16が上下方向に向き、空気の流速が速くなるとともに、筐体1aの下方から新鮮な空気を取り込み筐体1aの上方へ排出し易い構造となっている。
【0043】
この放熱フィン10の構造により、筐体1aとしては、上側の温度が高く、下側の温度が低くなり得る。撮像素子2a,2bの近傍では、筐体1aの上側と下側との温度差が大きく、その温度が低い部分が筐体1aの下側の端部13a,13bである。このため、撮像装置201では、筐体1aの下側の端部13a,13bを第一接続部111a,111bとし、第一伝熱部材110a,110bを接続させる。ここでの撮像素子2a,2bの近傍とは、例えば、撮像素子2a,2bを搭載したカメラモジュール5a,5bを取り付ける筐体1aの部位を指す。
【0044】
一般的に、回路基板9は、図6に示すように、その左右方向の両端部を、ねじなどの締結部材で構成される第一支持部材17a~17dを用いて、筐体1aに支持される。そのため、回路基板9に搭載された回路素子6~8の熱は、回路基板9から第一支持部材17a~17dを介して筐体1aにも伝搬することになる。このため、撮像素子2a,2bの近傍は、回路素子6~8から第二伝熱部材190によって筐体1aへ直接的に伝搬する熱と、回路素子6~8から回路基板9および第一支持部材17a~17dを介して筐体1aへ伝搬する熱とによって挟まれ、撮像素子2a,2bの温度も上昇する。
【0045】
この回路基板9からの熱の影響を低減するため、本実施形態では、図7に示すように、回路基板9を筐体1aに支持する第一支持部材18a~18dを、撮像素子2a,2bより筐体1aの左右方向の中央側に設ける。すなわち、本実施形態の第一支持部材18a~18dは、光軸方向から視て、撮像素子2a,2bと回路素子6~8との間にて回路基板9を支持する。第一支持部材18a~18dは、第一支持部材17a~17dと同様に、ねじなどの締結部材で構成される。
【0046】
それにより、回路基板9に伝搬した熱は、撮像素子2a,2bの近傍に到達する前に第一支持部材18a~18dを介して筐体1aに伝搬し易い。このため、撮像素子2a,2bの近傍は、回路素子6~8から第二伝熱部材190によって筐体1aへ直接的に伝搬する熱と、回路素子6~8から回路基板9および第一支持部材18a~18dを介して筐体1aへ伝搬する熱とによって、挟まれることを防ぐことができる。回路基板9が第一支持部材18a~18dにより支持されることによって、撮像素子2a,2bの近傍の温度や撮像素子2a,2bの近傍の筐体1aの温度を低減することができ、第一伝熱部材110a,110bによる撮像素子2a,2bの温度低減効果を大きくすることができる。
【0047】
さらに、回路基板9の後方からカバー14へ接続される熱伝導部材などを設けて、放熱経路を追加することができる。これにより、回路素子6~8から回路基板9を介してカバー14へ熱が伝搬するため、回路素子6~8や回路基板9から筐体1aへ伝わる熱量が減少し、筐体1aの温度が低下する。結果として、撮像素子2a,2bの温度低減効果を大きくすることができる。第一支持部材18a~18dは、発熱量の大きな回路素子6~8からの熱が撮像素子2a,2bに伝搬することを抑制する効果があるため、特に、発熱量の大きな第一回路素子6と、第一回路素子6との距離が短い第二撮像素子2bとの間に、回路基板9を支持する第一支持部材18b,18dが配置されることで、第二撮像素子2bの温度を低減することができる。
【0048】
一方で、図8に示すように、第一支持部材18a~18dが筐体1aの左右方向の中央側に寄りすぎると、回路基板9の左右方向の端部が自由端となり易い。この場合、回路基板9には、例えば、第一支持部材18b,18dを支点として、回路基板9の左端部が曲げ変形する振動モードが励起され、この端部の振動変位Dが大きくなる。振動変位Dが大きくなると、回路基板9に搭載された回路素子6~8の近傍のはんだ部のひずみも大きくなり、はんだのクラックやはく離が生じる可能性がある。そのため、振動変位Dを、はんだの信頼性を確保できる振動変位Db以下とするには、例えば、回路基板9の左右方向の中央から左端部までの長さLと、回路基板9の第一支持部材18b,18dによる支持位置から回路基板9の左端部までの長さL1との比を、0.5以下とする必要がある。言い換えると、Lは、回路基板9の長手方向における端部から、回路基板9の中央までの長さである。L1は、回路基板9の長手方向における端部から、回路基板9の筐体1aへの支持位置であってこの端部に最も近い支持位置までの長さである。そして、回路基板9は、Lに対するL1の値が0.5以下となる支持位置にて筐体1aに支持される。
【0049】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置201は、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置201は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0050】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、図9図11(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図9は、第二実施形態に係る撮像装置202を後方の右斜め上方から視た分解斜視図である。図10は、図9に示す撮像装置202を後方から視た図であって、回路基板9と撮像素子2a,2bと撮像素子基板3a,3bと第一支持部材28a~28dとの位置関係を示す図である。図11(a)は、図9に示す撮像装置202を後方から視た図の要部拡大図である。図10および図11(a)では、カバー14の図示を省略している。図11(a)では、回路基板9を二点鎖線で示している。図11(b)は、図11(a)に示すE-E線で撮像装置202を切断した断面図である。図11(a)および図11(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19bを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0052】
第二実施形態の特徴は、撮像素子2a,2bの熱を筐体1bに伝搬させる伝搬部材21a,21bが支持される筐体1bの支持部22a,22bを、筐体1bの温度が低い位置に設ける点である。さらに、第二実施形態の特徴は、熱伝導部材11a,11bの少量化および塗布作業の作業性の向上を図った点である。
【0053】
すなわち、第二実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1bとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材120aが接続される筐体1bの第一接続部121aが、筐体1bの温度が低い位置に設けられる。同様に、第二実施形態の特徴は、第二撮像素子2bと筐体1bとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材120bが接続される筐体1bの第一接続部121bが、筐体1bの温度が低い位置に設けられる。
【0054】
具体的には、図9図11(b)において、第一実施形態と同様に、筐体1bの下側で左右方向の両端部は、回路素子6~8から離れた部位であり、一番温度が低い。したがって、第一伝熱部材120aに含まれる伝搬部材21aが支持される筐体1bの支持部22aは、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの一方(第一撮像素子2a)へ向かう方向(右方向)に位置する筐体1bの端部(第一端部)であって第一撮像素子2aより下側に設けられる。第一伝熱部材120bに含まれる伝搬部材21bが支持される筐体1bの支持部22bは、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの他方(第二撮像素子2b)へ向かう方向(左方向)に位置する筐体1bの端部(第二端部)であって第二撮像素子2bより下側に設けられる。支持部22a,22bが筐体1bの左右方向の両端部であって撮像素子2a,2bより下側に設けられると、撮像素子2a,2bの温度が低減され得る。この支持部22a,22bは、本実施形態における第一接続部121a,121bである。伝搬部材21a,21bは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材27a、27bを用いて、筐体1bに支持される。
【0055】
また、第二実施形態に係る撮像装置202では、図9に示すように、伝搬部材21a,21bが支持される支持部22a,22bの温度を下げるため、回路基板9が支持される下側の支持部23a,23bを、上側の支持部23c,23dよりも、左右方向の中央側に配置する。回路基板9は、ねじなどの締結部材で構成される第一支持部材28a~28dを用いて、筐体1bに支持される。
【0056】
すなわち、撮像装置202では、第一接続部121a,121bが、筐体1bの左右方向の両端部であって撮像素子2a,2bより下側に設けられる。この場合、撮像装置202では、回路基板9の撮像素子2a,2bより下側において回路基板9を筐体1bに支持する第一支持部材28a,28bは、回路基板9の撮像素子2a,2bより上側において回路基板9を筐体1bに支持する第一支持部材28c,28dよりも、撮像素子2a,2bから回路素子6~8へ向かう方向(左方向または右方向)において、第一接続部121a,121bから離隔して配置される。
【0057】
これによって、撮像装置202では、伝搬部材21a,21bが支持される支持部22a,22b、すなわち、第一接続部121a,121bの温度を低減でき、第一伝熱部材120a,120bによる撮像素子2a,2bの温度低減効果を大きくすることができる。
【0058】
また、撮像装置202では、図9図11(a)および図11(b)に示すように、伝搬部材21a,21bの上部に対して切り欠き25a,25bや穴を設ける。これによって、撮像装置202では、伝搬部材21a,21bの取り付け後に、切り欠き25a,25bなどから撮像素子基板3a,3bと伝搬部材21a,21bとの間へ熱伝導部材11a,11bを塗布できるようになる。その結果、撮像装置202では、組み立ての作業性を向上させることができる
【0059】
さらに、撮像装置202では、伝搬部材21a,21bの下部に対して、絞りや板曲げなどの加工を施して前方側へ窪んだ凹部26a,26bを設けたり、リブ加工などを施して前方側へ突出させた突起部を設けたりすることができる。これによって、撮像装置202では、熱伝導部材11a,11bの位置を拘束することができ、熱伝導部材11a,11bが下方や左右にはみ出して意図しない位置に付着しないような形状とすることができる。その結果、撮像装置202では、熱伝導部材11a,11bの使用量が過度に多くなることがなく、コスト増加の抑制を図ることができる。
【0060】
また、一般的に、撮像素子2a,2bは外力(ひずみ)に対して弱く、ひずみが生じると出力信号が劣化する課題があった。この課題に対して、伝搬部材21a,21bでは、撮像素子2a,2bの近傍の幅W1に対して支持部22a,22bの近傍の幅W2を短くして、支持部22a,22bの近傍においてばね性を弱くする(ばね定数を小さくする)構造とすることができる。それにより、撮像装置202では、撮像素子2a,2bへの外力(ひずみ)を小さくすることができ、出力信号の劣化を抑制することができる。
【0061】
伝搬部材21aにおいて、第一撮像素子2aの近傍の幅W1は、例えば、第一撮像素子基板3aの背面に対向する第一領域24aの左右方向の長さを指す。伝搬部材21aにおいて、支持部22aの近傍の幅W2は、例えば、第一領域24aの一部から第二支持部材27a(支持部22a)へ向かって突出するとともに第二支持部材27aによって筐体1bに支持される第二領域29aの左右方向の長さを指す。第一領域24aに対する第二領域29aの突出方向は、図11aの例では、下方向であり、左右方向と交差する方向である。すなわち、幅W1は、第二領域29aの突出方向と交差する方向における第一領域24aの長さであり、幅W2は、第二領域29aの突出方向と交差する方向における第二領域29aの長さである。言い換えると、伝搬部材21aを含む第一伝熱部材120aでは、第二領域29aの突出方向に交差する方向において、第二領域29aの長さW2は、第一領域24aの長さW1よりも短いと言える。
【0062】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置202は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置202は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0063】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について、図12図13(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図12は、第三実施形態に係る撮像装置203を後方の右斜め上方から視た分解斜視図である。図13(a)は、図12に示す撮像装置203を後方から視た図の要部拡大図である。図13(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図13(b)は、図13(a)に示すF-F線で撮像装置203を切断した断面図である。図13(a)および図13(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19cを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0065】
第三実施形態の特徴は、第一撮像素子2aの熱を筐体1cに伝搬させる伝搬部材31aが支持される筐体1cの支持部を、支持部32a,32bの2か所に設け、第二撮像素子2bの熱を筐体1cに伝搬させる伝搬部材31bが支持される筐体1cの支持部を、支持部32c,32dの2か所に設けることで、伝搬部材31a,31bの取り付け安定性の増加と、放熱経路19cの増加とを図った点である。
【0066】
すなわち、第三実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1cとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材130aが接続される筐体1cの第一接続部が、第一接続部131a,131bの2か所に設けられる。同様に、第三実施形態では、第二撮像素子2bと筐体1cとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材130bが接続される筐体1cの第一接続部が、第一接続部131c,131dの2か所に設けられる。その際、第一接続部131a,131bは、筐体1cの右端部であって第一撮像素子2aより下側と上側とに設けられる。第一接続部131c,131dは、筐体1cの左端部であって第二撮像素子2bより下側と上側とに設けられる。それにより、第三実施形態では、第一伝熱部材130a,130bの取り付け安定性が増加し得るとともに、放熱経路19cが増加し得る。
【0067】
具体的には、図12図13(b)において、第一実施形態と同様に、筐体1cの左右方向の両端部の下側は、回路素子6~8から離れた部位であり、温度が低い。さらに、筐体1cの左右方向の両端部の上側も、撮像素子2a,2bより温度が低い。したがって、第一伝熱部材130aに含まれる伝搬部材31aが支持される筐体1cの支持部32a,32bは、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの一方(第一撮像素子2a)へ向かう方向(右方向)に位置する筐体1cの端部(第一端部)の下側および上側に設けられる。第一伝熱部材130bに含まれる伝搬部材31bが支持される筐体1cの支持部32c,32dは、回路素子6~8から一対の撮像素子2a,2bの他方(第二撮像素子2b)へ向かう方向(左方向)に位置する筐体1cの端部(第二端部)の下側および上側に設けられる。支持部32a,32bが筐体1cの右方向の端部の下側および上側に設けられると、伝搬部材31aの取り付け安定性が増加し得るとともに、第一撮像素子2aの温度が低減され得る。支持部32c,32dが筐体1cの左方向の端部の下側および上側に設けられると、伝搬部材31bの取り付け安定性が増加し得るとともに、第二撮像素子2bの温度が低減され得る。この支持部32a~32dは、本実施形態における第一接続部131a~131dである。伝搬部材31a,31bは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材37a~37dを用いて、筐体1cに支持される。
【0068】
また、撮像装置203では、図12図13(b)に示すように、伝搬部材31aにおける支持部32a,32bの近傍に対して切り欠き34a,34bを設け、伝搬部材31bにおける支持部32c,32dの近傍に対して切り欠き34c,34dを設ける。切り欠き34a~34dは、伝搬部材31a,31bにおける支持部32a~32dの近傍であって、回路素子6~8に近い側、すなわち左右方向の中央側にそれぞれ設けられる。それにより、伝搬部材31a,31bは、回路基板9から伝わる熱を低減でき、撮像素子基板3a,3bの熱を筐体1cに効率よく伝え、撮像素子2a、2bの温度低減効果を大きくすることができる。ここでの伝搬部材31aにおける支持部32a,32bの近傍とは、例えば、伝搬部材31aにおける支持部32aから第一撮像素子2aまでの範囲と、伝搬部材31aにおける支持部32bから第一撮像素子2aまでの範囲とを指す。ここでの伝搬部材31bにおける支持部32c,32dの近傍とは、例えば、伝搬部材31bにおける支持部32cから第二撮像素子2bまでの範囲と、伝搬部材31bにおける支持部32dから第二撮像素子2bまでの範囲とを指す。なお、伝搬部材31aと伝搬部材31bとを対称形状とすることによって部品の共用化を図ることができるため、部品点数を低減することができるとともに、部品の誤使用を防ぐことができる。
【0069】
ここで、伝搬部材31aが支持される筐体1cの支持部32a,32bは、回路素子6~8から第一撮像素子2aへ向かう方向(右方向)に位置する筐体1bの端部の上側および下側に設けられる。そして、伝搬部材31aにおける第一撮像素子2aの近傍は、伝搬部材31aにおける支持部32a,32bの近傍よりも、左右方向の幅が中央側へ長くなっている。それにより、伝搬部材31aは、支持部32a,32bから第一撮像素子2aまでの範囲においてばね性を有し、ばね定数を小さくすることができる。ここでの第一撮像素子2aの近傍とは、例えば、第一撮像素子2aを搭載した第一撮像素子基板3aの範囲を指す。すなわち、伝搬部材31aから熱伝導部材11aと第一撮像素子基板3aとを介して、第一撮像素子2aへ加わる力を小さくすることが可能となる。伝搬部材31bについても同様である。
【0070】
一般的に、撮像素子2a,2bは、外力(ひずみ)に対して弱く、ひずみが生じると出力信号が劣化する課題があった。この課題に対して、伝搬部材31a,31bの撮像素子2a,2bの近傍を、筐体1cの左右方向の中央側に伸ばし、伝搬部材31a,31bのばね性を弱くする(ばね定数を小さくする)構造とすることができる。それにより、撮像装置203では、撮像素子2a,2bへの外力(ひずみ)を小さくすることができ、出力信号の劣化を抑制することができる。
【0071】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置203は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置203は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。さらに、撮像装置203は、伝搬部材31a,31bの安定した取り付けによる性能ばらつきの低減が可能となるため、より測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。また、撮像装置203は、部品の共用化による部品点数の低減や誤使用を防ぐことができるため、コスト低減が可能な信頼性の高い装置となり得る。
【0072】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態について、図14(a)および図14(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
図14(a)は、第四実施形態に係る撮像装置204を後方から視た図の要部拡大図である。図14(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図14(b)は、図14(a)に示すG-G線で撮像装置204を切断した断面図である。図14(a)および図14(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19dを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0074】
第四実施形態の特徴は、例えば、第一撮像素子2aの熱を筐体1dに伝搬させる伝搬部材41aが支持される筐体1dの支持部を、支持部42a,42bの2か所に設けることで、伝搬部材41aの取り付け安定性の増加と、放熱経路19dの増加とを図った点である。さらに、伝搬部材41aの2か所の支持部のうちの1つである支持部42bを、筐体1dの第一撮像素子基板3aより右側の端部に設け、筐体1dの右側の側面部からも積極的に放熱させることで、放熱面積の増加を図った点である。図14(a)および図14(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材および筐体1dの支持部についても同様である。
【0075】
すなわち、第四実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1dとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材140aが接続される筐体1dの第一接続部が、第一接続部141a,141bの2か所に設けられる。さらに、2か所の第一接続部141a,141bのうちの1つである第一接続部141bは、筐体1dの第一撮像素子基板3aより右側の端部に設けられる。言い換えると、第一接続部141aは、筐体1cの端部であって第一撮像素子2aより下側に設けられる。第一接続部141bは、回路素子6~8から第一撮像素子2aへ向かう方向(右方向)に位置する筐体1dの側面部と、第一撮像素子2aとの間に設けられる。それにより、第四実施形態では、第一伝熱部材140aの取り付け安定性が増加し得るとともに、放熱経路19dが増加し、さらに放熱面積も増加し得る。第二撮像素子2b側の第一伝熱部材および第一接続部についても同様である。
【0076】
具体的には、図14(a)および図14(b)において、第一実施形態と同様に、筐体1dの左右方向の両端部の下側は、回路素子6~8から離れた部位であり、温度が低い。さらに、筐体1dの左右方向の両側面部も、撮像素子2a,2bより温度が低い。したがって、第一伝熱部材140aに含まれる伝搬部材41aが支持される筐体1dの支持部42a,42bは、回路素子6~8から一対の撮像素子の一方(第一撮像素子2a)へ向かう方向(右方向)に位置する筐体1dの端部(第一端部)であって、第一撮像素子基板3aより下側および右側に設けられる。それにより、伝搬部材41aの取り付け安定性が増加し得るとともに、筐体1dの側面部が第一撮像素子2a側の放熱面として利用され、第一撮像素子2aの温度低減効果が大きくなり、第一撮像素子2aの温度が大きく低減され得る。この支持部42a,42bは、本実施形態における第一接続部141a,141bである。伝搬部材41aは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材47a,47bを用いて、筐体1dに支持される。
【0077】
同様に、第二撮像素子2b側の第一伝熱部材に含まれる伝搬部材が支持される筐体1dの2か所の支持部は、回路素子6~8から一対の撮像素子の他方(第二撮像素子2b)へ向かう方向(左方向)に位置する筐体1dの端部(第二端部)であって、第二撮像素子基板3bより下側および左側に設けられる。それにより、第二撮像素子2b側の伝搬部材の取り付け安定性が増加し得るとともに、筐体1dの側面部が第二撮像素子2b側の放熱面として利用され、第二撮像素子2bの温度低減効果が大きくなり、第二撮像素子2bの温度が大きく低減され得る。この第二撮像素子2b側の2か所の支持部も、本実施形態における第一接続部である。第二撮像素子2b側の伝搬部材も、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材を用いて、筐体1dに支持される。
【0078】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置204は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置204は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。さらに、撮像装置204は、伝搬部材の安定した取り付けによる性能ばらつきの低減が可能となるため、より測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。また、撮像装置204は、部品の共用化による部品点数を低減や誤使用を防ぐことができるため、コスト低減が可能な信頼性の高い装置となり得る。
【0079】
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態について、図15図16(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0080】
図15は、第五実施形態に係る第一カメラモジュール5aを後方の左斜め下方から視た分解斜視図であって、第一撮像素子基板3aと、第一レンズ4aを保持するホルダ57aとの関係を説明するための図である。図16(a)は、第五実施形態に係る撮像装置205を後方から視た図の要部拡大図である。図16(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図16(b)は、図16(a)に示すH-H線で撮像装置205を切断した断面図である。図16(a)および図16(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19eを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0081】
第五実施形態の特徴は、例えば、第一撮像素子2aの熱を筐体1eに伝搬させる伝搬部材51aを、第一レンズ4aを保持するホルダ57aに当接させる構造となっている点である。図15図16(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材および第二カメラモジュール5bについても同様である。
【0082】
すなわち、第五実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1eとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材150aが、第一カメラモジュール5aのホルダ57aに当接されている。同様に、第五実施形態では、第二撮像素子2bと筐体1eとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材が、第二カメラモジュール5bのホルダに当接されている。
【0083】
具体的には、第一カメラモジュール5aにおいて、第一撮像素子基板3aは、第一レンズ4aを保持するホルダ57aの突起58a~58cを、第一撮像素子基板3aの穴59a~59cに挿入し接着などして接続されている。ホルダ57aの突起58a~58cは、第一撮像素子基板3aのホルダ57a側とは逆方向に向かって、第一撮像素子基板3aよりも突出するような凸形状となっている。
【0084】
一般的に、撮像素子2a,2bは外力(ひずみ)に対して弱く、ひずみが生じると出力信号が劣化する課題があった。この課題に対して、例えば、第一撮像素子2a側では、ホルダ57aの突起58a~58cを、第一撮像素子基板3aの後方に突出させ、伝搬部材51aの特定の部位54a~54cに当接させた状態で、第一カメラモジュール5aが筐体1eに取り付けられている。伝搬部材51aの特定の部位54a~54cは、ばね性が弱くなる(ばね定数が小さくなる)ように形成された部位であり、例えば板ばね形状を有する。撮像装置205では、伝搬部材51aとホルダ57aとを当接させることにより、第一撮像素子2aのより多くの熱を、伝搬部材51aを介して筐体1eに伝搬させることができ、第一撮像素子2aの温度上昇を効果的に低減することができる。その際、ホルダ57aの材料を熱伝導性が高い樹脂や、アルミダイカストなどの金属部品とすると、より効果的に第一撮像素子2aの温度上昇を低減することができる。
【0085】
また、第一カメラモジュール5aや伝搬部材51aの取り付け位置の調整やばらつきに対応するように、ホルダ57aの突起58a~58cの断面形状または第一撮像素子基板3aの穴59a~59cの形状を長円とし、ばらつきなどが生じてもホルダ57aと伝搬部材51aが確実に当接する形状としてもよい。また、図15に示すように、ホルダ57aの突起58a~58cを上下方向において上側を2点と下側を1点とに配置し、熱伝導部材11aが下方や左右にはみだして意図しない位置に付着しないような形状とすることができる。その結果、撮像装置205では、熱伝導部材11aの使用量が過度に多くなることがなく、コスト増加の抑制を図ることができる。また、伝搬部材51aを第一カメラモジュール5aのホルダ57aに当接させることは、第一カメラモジュール5aの位置決め後に第一カメラモジュール5aを筐体1eに接着剤などで取りつける際の仮押さえとして利用できる点や、第一カメラモジュール5aを筐体1eにより強く固定できる点でも有効である。
【0086】
第二撮像素子2b側の伝搬部材についても、第一撮像素子2a側の伝搬部材51aと同様に、第二カメラモジュール5bのホルダに当接される構造となっており、第二撮像素子2bのより多くの熱を、伝搬部材を介して筐体1eに伝搬させることができ、第二撮像素子2bの温度上昇を効果的に低減することができる。
【0087】
なお、第五実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1eとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材150aが接続される筐体1eの第一接続部151aは、伝搬部材51aが支持される筐体1eの支持部52aである。伝搬部材51aは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材55aを用いて、筐体1eに支持される。第二撮像素子2b側の第一接続部についても同様である。
【0088】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置205は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。また、撮像装置205は、撮像素子2a,2bへの外力(ひずみ)を小さくすることができるため、出力信号の劣化を抑制することができる。よって、撮像装置205は、より測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0089】
(第六実施形態)
本発明の第六実施形態について、図17図18(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図17は、第六実施形態に係る撮像装置206を後方の右斜め上方から視た分解斜視図である。図17では、回路基板65を筐体1fに支持する第一支持部材28a~28dと、回路基板65が支持される筐体1fの支持部23a~23dとの図示を省略している。図18(a)は、図17に示す撮像装置206を後方から視た図の要部拡大図である。図18(b)は、図18(a)に示すI-I線で撮像装置206を切断した断面図である。図18(a)および図18(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19fを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0091】
第六実施形態の特徴は、撮像素子2a,2bの熱を筐体1fに伝搬させる伝搬部材63a,63bがカバー61の一部として構成される構造となっている点である。
【0092】
すなわち、第六実施形態では、撮像素子2a,2bと筐体1fとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材160a,160bが、筐体1fを封止するカバー61の一部として構成される。そして、第六実施形態では、第一伝熱部材160a,160bが接続される筐体1eの第一接続部161は、筐体1fのカバー61の接続面である。
【0093】
具体的には、カバー61は、その本体部62の左右方向の両端部の下側から前方に折れ曲げられた曲げ部64a,64bを有する。曲げ部64a,64bは、本体部62の下端面より上方に配置され、後方から視て段状を成すように形成される。曲げ部64a,64bには、それらの前側の端部から上方に延びる板状の伝搬部材63a,63bが立設されている。曲げ部64a,64bと伝搬部材63a,63bとは、カバー61の本体部62と一体的に形成されており、カバー61の一部として形成される。
【0094】
伝搬部材63a,63bは、撮像素子基板3a,3bの背面に対向して配置され、この背面に接続された熱伝導部材11a,11bに接続されて熱伝導部材11a,11bの位置を拘束する。伝搬部材63a,63bは、撮像素子2a,2bおよび撮像素子基板3a,3bから熱伝導部材11a,11bを介して伝搬した熱を、曲げ部64a,64bに伝搬させる。
【0095】
回路基板65は、カバー61の本体部62との間および伝搬部材63a,63bとの間のそれぞれにおいて前後方向で空隙を形成するように、本体部62と伝搬部材63a,63bとの間に配置される。なお、回路基板65は、第二実施形態と同様の第一支持部材28a~28dを用いて、筐体1fに支持されてよい。回路基板65が支持される筐体1fの支持部も、第二実施形態と同様の支持部23a~23dであってよい。
【0096】
伝搬部材63a,63bから曲げ部64a,64bに伝搬した熱は、筐体1fの撮像素子基板3a,3bの下側に伝搬して、筐体1fの下側から放熱されるとともに、本体部62へも多く伝搬して、本体部62から後方に放熱される。さらに、本体部62に伝搬した熱は、本体部62の上部から筐体1fの撮像素子基板3a,3bの上側に伝搬して、筐体1fの上側からも放熱される。それにより、撮像装置206では、撮像素子2a,2bの温度上昇を効果的に低減することができる。また、伝搬部材63a,63bをカバー61の一部として形成することによって、部品点数の低減によるコスト低減も可能となる。
【0097】
ここで、カバー61の曲げ部64a,64bおよび伝搬部材63a,63bの位置決めとカバー61の取り付け作業性を向上させるため、筐体1fの撮像素子基板3a,3bの下側には、リブ66a~66dが設けられてもよい。図17では、リブ66a~66dは、筐体1fの左右方向の両端部のそれぞれに対して2本ずつ設けられているが、2本以上ずつ設けられてもよい。それにより、撮像装置206では、カバー61を筐体1fの下方から上方に挿入しただけで、曲げ部64a,64bおよび伝搬部材63a,63bを位置決めできる形状となり得る。また、回路基板65は、カバー61の曲げ部64a,64bおよび伝搬部材63a,63bの挿入距離を短くし作業性を向上させるため、撮像素子2a,2bの下側に切り欠き67a,67bが設けられた形状としてもよい。
【0098】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置206は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を効率よく低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分が低減できる。よって、撮像装置206は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0099】
(第七実施形態)
本発明の第七実施形態について、図19図20(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第六実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第六実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図19は、第七実施形態に係る撮像装置207を後方の右斜め上方から視た分解斜視図である。図19では、回路基板75を筐体1gに支持する第一支持部材28a~28dと、回路基板75が支持される筐体1gの支持部23a~23dとの図示を省略している。図20(a)は、図19に示す撮像装置207を後方から視た図の要部拡大図である。図20(b)は、図20(a)に示すJ-J線で撮像装置207を切断した断面図である。図20(a)および図20(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19gを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0101】
第七実施形態の特徴は、第六実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの熱を筐体1gに伝搬させる伝搬部材73a,73bがカバー71の一部として構成される構造となっており、第六実施形態よりカバー71の面積が大きく、放熱性能が向上した構造となっている点である。
【0102】
すなわち、第七実施形態では、第六実施形態と同様に、撮像素子2a,2bと筐体1gとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材170a,170bが、筐体1gを封止するカバー71の一部として構成される。そして、第七実施形態では、第一伝熱部材170a,170bが接続される筐体1gの第一接続部171は、筐体1gのカバー71の接続面である。
【0103】
具体的には、カバー71は、その本体部72の左右方向の両端部の下端から前方に折れ曲がった曲げ部74a,74bを有する。曲げ部74a,74bは、本体部72の下端面と上下方向において同じ位置に配置されている。曲げ部74a,74bには、それらの前側の端部から上方に延びる板状の伝搬部材73a,73bが立設されている。曲げ部74a,74bと伝搬部材73a,73bとは、カバー71の本体部72と一体的に形成されており、カバー71の一部として形成される。カバー71は、第六実施形態の曲げ部64a,64bを本体部72の下端面まで下方へ引き延ばしたような形状となっており、第六実施形態のカバー61よりも本体部72の放熱面積が増加している。
【0104】
伝搬部材73a,73bは、撮像素子基板3a,3bの背面に対向して配置され、この背面に接続された熱伝導部材11a,11bに接続されて熱伝導部材11a,11bの位置を拘束する。伝搬部材73a,73bは、撮像素子2a,2bおよび撮像素子基板3a,3bから熱伝導部材11a,11bを介して伝搬した熱を、曲げ部74a,74bに伝搬させる。
【0105】
回路基板75は、カバー71の本体部72との間および伝搬部材73a,73bとの間のそれぞれにおいて前後方向で空隙を形成するように、本体部72と伝搬部材73a,73bとの間に配置される。なお、回路基板75は、第二実施形態と同様の第一支持部材28a~28dを用いて、筐体1gに支持されてよい。回路基板75が支持される筐体1gの支持部も、第二実施形態と同様の支持部23a~23dであってよい。
【0106】
伝搬部材73a,73bから曲げ部74a,74bに伝搬した熱は、第六実施形態と同様な放熱経路19gで放熱されるが、カバー71の放熱面積が増加しているため、本体部72から後方への放熱が促進される。それにより、撮像装置207では、撮像素子2a,2bの温度上昇をより効果的に低減することができる。また、伝搬部材73a,73bをカバー71の一部として形成することによって、部品点数の低減によるコスト低減も可能となる。
【0107】
ここで、カバー71の曲げ部74a,74bおよび伝搬部材63a,63bの位置決めとカバー71の取り付け作業性を向上させるため、筐体1gの撮像素子基板3a,3bの下側には、延部77a,77bが設けられてもよい。それにより、撮像装置207では、カバー71を筐体1gの下方から上方に挿入しただけで、曲げ部74a,74bおよび伝搬部材73a,73bを位置決めできる形状となり得る。また、回路基板75は、カバー71の曲げ部74a,74bおよび伝搬部材73a,73bの挿入距離を短くし作業性を向上させるため、撮像素子2a,2bの下側に切り欠き76a,76bが設けられた形状としてもよい。
【0108】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置207は、第六実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を効率よく低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分が低減できる。よって、撮像装置207は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0109】
(第八実施形態)
本発明の第八実施形態について、図21図22(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0110】
図21は、第八実施形態に係る撮像装置208の外観を示す図である。図22(a)は、図21に示す撮像装置208を後方から視た図の要部拡大図である。図22(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図22(b)は、図22(a)に示すK-K線で撮像装置208を切断した断面図である。図22(a)および図22(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19hを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0111】
第八実施形態の特徴は、筐体1hの上下方向における中間位置よりも下側に撮像素子2a,2bを配置して、撮像素子2a,2bより上側における筐体1hの放熱性能を向上させた点である。第八実施形態の特徴は、撮像素子2a,2bを筐体1hの上下方向における中間位置よりも下側に配置することによって、車両のウィンドシールドガラスに沿った部品の配置が可能となり、スペースが有効利用され、撮像装置208の小型化が可能となった点である。
【0112】
すなわち、第八実施形態では、撮像素子2a,2bは、上記の光軸方向から視て、放熱板10aの延びる第一方向(上下方向)における筐体1hの中間位置よりも、第一方向の一方側(下側)に配置される。
【0113】
具体的には、撮像素子2a,2bを搭載するカメラモジュール5a,5bが、上下方向における中間位置よりも下側に配置される。放熱板10aのうちの撮像素子2a,2bの近傍にある放熱板83a,83bは、上下方向において放熱板83a,83b以外の放熱板10aと同じ位置まで延ばされており、第一実施形態よりも上方に延びている。それにより、筐体1hの撮像素子2a,2bより上側では、放熱面積ができる限り拡大され、放熱性能の向上が図られている。ここでの撮像素子2a,2bの近傍とは、例えば、撮像素子2a,2bを搭載したカメラモジュール5a,5bが取り付けられる筐体1hの部位を指す。
【0114】
また、第一撮像素子2aの熱を筐体1hに伝搬させる伝搬部材81aは、少なくとも、筐体1hの第一撮像素子2aよりも上側に支持される。すなわち、伝搬部材81aが支持される筐体1hの支持部82aは、放熱板83aが設けられた、第一撮像素子2aよりも上側に設けられている。このため、撮像装置208では、伝搬部材81aから筐体1hへの伝熱性能を向上させた構造となっている。この支持部82aは、本実施形態における第一接続部181aである。伝搬部材81aは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材84aを用いて、筐体1hに支持される。図22(a)および図22(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材、筐体1hの支持部および第二支持部材についても同様である。
【0115】
すなわち、第八実施形態では、例えば、第一撮像素子2aと筐体1hとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材180aが接続される筐体1hの第一接続部181aが、第一撮像素子2aよりも第一方向の他方側(上側)に位置する端部に設けられる。この第一接続部181aが設けられる端部は、回路素子6~8から第一撮像素子2aへ向かう方向(右方向)に位置する筐体1hの端部(第一端部)である。第二撮像素子2b側の第一伝熱部材および第一接続部についても同様である。
【0116】
このような構造によって、撮像装置208では、撮像素子2a,2bより上側での放熱性能が向上し、例えば、第一撮像素子2aおよび第一撮像素子基板3aから伝搬部材81aに伝搬した熱が、筐体1hの第一撮像素子2aの上側にある放熱性能の高い放熱板83aに伝搬して放熱される。第二撮像素子2b側の伝搬部材および放熱板83bについても同様である。それにより、撮像装置208では、撮像素子2a,2bの温度上昇を効果的に低減することができる。
【0117】
ここで、筐体1hの左右方向の両側面部も、撮像素子2a,2bより温度が低い。したがって、撮像装置208では、第四実施形態と同様に、例えば、伝搬部材81aが支持される筐体1hの支持部を、第一撮像素子2aの上側に設けられる支持部82aだけでなく、第一撮像素子2aの右側にも支持部82bとして設けてもよい。それにより、伝搬部材81aの取り付け安定性が増加し得るとともに、筐体1hの側面部が第一撮像素子2a側の放熱面として利用され、第一撮像素子2aの温度低減効果が大きくなり、第一撮像素子2aの温度が大きく低減され得る。この支持部82bは、本実施形態における第一接続部181bである。すなわち、本実施形態では、第一接続部181bが、回路素子6~8から第一撮像素子2aへ向かう方向(右方向)に位置する筐体1hの側面部と、第一撮像素子2aとの間に設けられてもよい。伝搬部材81aは、第二支持部材84aだけでなく、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材84bをも用いて、筐体1hに支持されてもよい。図22(a)および図22(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材、筐体1hの支持部および第二支持部材ならびに第一伝熱部材および第一接続部についても同様である。
【0118】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置208は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減することができるため、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置208は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。また、撮像装置208は、伝搬部材の安定した取り付けによる性能ばらつきの低減が可能となるため、より測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。また、撮像装置208は、車両のウィンドシールドガラスに沿った部品の配置が可能となるため、小型化された装置となり得る。
【0119】
(第九実施形態)
本発明の第九実施形態について、図23(a)および図23(b)を参照しつつ説明する。本実施形態では、第八実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第八実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0120】
図23(a)は、第九実施形態に係る撮像装置209を後方から視た図の要部拡大図である。図23(a)では、カバー14の図示を省略するとともに、回路基板9を二点鎖線で示している。図23(b)は、図23(a)に示すP-P線で撮像装置209を切断した断面図である。図23(a)および図23(b)の矢印は、第一撮像素子2aで発生した熱の主な放熱経路19iを示す。第二撮像素子2b側の放熱経路も同様である。
【0121】
第九実施形態の特徴は、例えば、第一撮像素子2aの熱を筐体1iに伝搬させる伝搬部材85aが筐体1iに支持される支持部を、第一撮像素子2aの上側に設けられる支持部86aの1か所だけに設けることで、撮像装置209の小型化を図った点である。図23(a)および図23(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材および筐体1iの支持部についても同様である。
【0122】
すなわち、第九実施形態では、第一撮像素子2aと筐体1iとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材185aが接続される筐体1iの第一接続部が、第一撮像素子2aの上側に設けられる第一接続部186aの1か所だけに設けられる。第二撮像素子2b側の第一伝熱部材および第一接続部についても同様である。
【0123】
具体的には、撮像装置209では、第八実施形態と同様に、例えば、第一撮像素子2aを搭載する第一カメラモジュール5aが上下方向における中間位置よりも下側に配置され、筐体1iの第一撮像素子2aより上側には、放熱性能が向上された放熱板83aが設けられる。そして、伝搬部材85aが支持される筐体1iの支持部86aが、放熱板83aが設けられた、第一撮像素子2aよりも上側に設けられている。このため、撮像装置209では、伝搬部材85aの伝熱効果を向上させた構造となっている。この支持部86aは、本実施形態における第一接続部186aである。伝搬部材85aは、ねじなどの締結部材で構成される第二支持部材87aを用いて、筐体1iに支持される。図23(a)および図23(b)では図示を省略しているが、第二撮像素子2b側の伝搬部材、筐体1iの支持部および第二支持部材についても同様である。
【0124】
よって、撮像装置209では、第八実施形態のように、例えば、伝搬部材85aが支持される筐体1iの支持部が第一撮像素子2aの右側には無く、筐体1iの側面部を第一撮像素子2a側の放熱面として利用しなくても、第一撮像素子2aの温度上昇を十分に低減することができる。このため、撮像装置209では、伝搬部材85aが支持される筐体1iの支持部を第一撮像素子2aの右側に設けるために必要なスペースを削減することができる。第二撮像素子2b側についても、同様であり、伝搬部材が支持される筐体1iの支持部を第二撮像素子2bの左側に設けるために必要なスペースを削減することができる。よって、撮像装置209では、第八実施形態と比べて、筐体1iの左右方向の寸法を短くすることができるため、小型化を図ることが可能となる。
【0125】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置209は、第八実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇の低減によってノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置209は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。また、撮像装置209は、筐体1iの左右方向の寸法を短くすることができるため、より小型化された装置となり得る。
【0126】
(第十実施形態)
本発明の第十実施形態について、図24を参照しつつ説明する。本実施形態では、第一実施形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第一実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0127】
図24は、第十実施形態に係る撮像装置210の主な内部構成を前方の右斜め上方から透視した斜視図である。
【0128】
第十実施形態の特徴は、撮像装置210が、いわゆる単眼カメラである点である。例えば、撮像装置210は、第一実施形態の第二カメラモジュール5bを取り除き、カメラモジュールが第一カメラモジュール5aだけで構成された撮像装置であってよい。
【0129】
具体的には、第一撮像素子2aが搭載される第一撮像素子基板3aは、第一実施形態と同様に、上記の光軸方向から視て、筐体1jの左右方向の一方(右方向)の端部に設けられる。第一撮像素子基板3aは、回路素子6~8が搭載された回路基板9の素子搭載面の前方において、第一撮像素子基板3aの背面が回路基板9の素子搭載面と対向するように配置される。すなわち、撮像装置210では、上記の光軸方向から視て、第一撮像素子2aと回路素子6~8とは、ずれた位置にある。図24では図示を省略したが、撮像装置210では、回路基板9を筐体1jに支持する第一支持部材が、第一実施形態と同様に、上記の光軸方向から視て、第一撮像素子2aと回路素子6~8との間にて回路基板9を筐体1jに支持してもよい。
【0130】
また、第一撮像素子2aの熱を筐体1jに伝搬させる伝搬部材12aは、第一実施形態と同様に、筐体1jの左右方向の一方(右方向)の端部であり、第一撮像素子2aより下側、好ましくは第一撮像素子基板3aより下側に位置する端部13aに接続される。
【0131】
すなわち、第十実施形態では、第一実施形態と同様に、第一撮像素子2aと筐体1jとの間を接続して熱を伝搬させる第一伝熱部材110aが接続される筐体1jの第一接続部111aは、端部13aに設けられる。端部13aは、上記の光軸方向から視て、回路素子6~8から第一撮像素子2aへ向かう方向(右方向)に位置する筐体1jの端部である。なお、図24では図示を省略したが、第十実施形態において、第一実施形態と同様に、第二伝熱部材190および第二接続部191が設けられる。
【0132】
以上のように構成した本実施形態によれば、撮像装置210は、第一実施形態と同様に、撮像素子2a,2bの温度上昇を低減し、温度上昇によるノイズ成分を低減することができる。よって、撮像装置210は、測定精度が高く信頼性の高い装置となり得る。
【0133】
(他の変形例など)
第十実施形態に係る撮像装置210では、上記の光軸方向から視て、第一撮像素子2aと回路素子6~8とは、ずれた位置にあった。これに限定されず、撮像装置210は、上記の光軸方向から視て、第一撮像素子2aと回路素子6~8とは、ずれた位置になくてもよい。
【0134】
また、撮像装置201~210は、車両のウィンドシールドガラスの内側に前方に向けて設置されるステレオカメラだけではなく、車両の後方や左右方向などの前方以外の方向に向けて設置されるカメラにも適用可能である。さらに、撮像装置201~210は、車両に設置されるカメラに限定されず、監視カメラなどの他の用途のカメラにも適用可能である。
【0135】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0136】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テープ、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、ICカード、SDカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。
【0137】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1a~1j…筐体
2a…第一撮像素子 2b…第二撮像素子
3a…第一撮像素子基板 3b…第二撮像素子基板
6~8…回路素子 9,65,75…回路基板
10…放熱フィン 10a,83a,83b…放熱板
13a,13b…端部 14,61,71…カバー
18a~18d,28a~28d…第一支持部材
24a…第一領域 29a…第二領域
27a,27b,37a~37d,47a,47b,55a,84a,84b,87a…第二支持部材
110a,110b,120a,120b,130a,130b,140a,150a,160a,160b,170a,170b,180a,185a…第一伝熱部材
111a,111b,121a,121b,131a,131b,131c,131d,141a,141b,151a,161,171,181a,181b,186a…第一接続部
190…第二伝熱部材 191…第二接続部
201~210…撮像装置
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