(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】測量装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
G01C15/00 103D
G01C15/00 103A
(21)【出願番号】P 2019225077
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019144165
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-370783(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221048(WO,A1)
【文献】特開2018-146299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部を具備し、該距離測定部は前記測距光を射出する投光光学系と、前記反射測距光を受光する受光光学系とを有し、該受光光学系は4角形のプリズム及び受光素子を有し、前記プリズムは第1面と第2面と第3面と第4面とを有し、前記反射測距光は前記第1面より入射し、前記プリズム内でケラレが生じない入射角で少なくとも3回内部反射され、前記第1面と前記第2面と前記第4面の内のいずれかの透過面を透過して射出する様構成され、前記プリズムから射出された前記反射測距光が前記受光素子に受光される様構成された測量装置。
【請求項2】
前記反射測距光は、3度目の内部反射の際に前記プリズム内に入射した前記反射測距光の光軸及び1度目に内部反射された前記反射測距光の光軸と交差する様構成された請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記プリズムは、前記反射測距光の前記第1面に対する主光線入射角θ1 と、前記反射測距光の前記透過面に対する主光線入射角とがそれぞれ0°となる様構成された請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項4】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項5】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第4面で順次反射され、前記第2面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となり、前記第4面に対する主光線入射角θ4 が1.5θ2 +θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項6】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第4面で順次反射され、前記第1面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となり、前記第4面に対する主光線入射角θ4 が90°-θ2 -θ3 となる様に構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項7】
前記プリズムの前記第4面には前記反射測距光を任意の方向に偏向する三角プリズムが接着された請求項4に記載の測量装置。
【請求項8】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°の範囲内となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となる様に構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項9】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面で順次反射され、前記第2面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が90°-2.5θ2 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項10】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°の範囲内となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項11】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面、前記第2面で順次反射され、前記第1面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が90°-3θ2 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となり、前記第2面に対する3度目の主光線入射角θ2 ′′が90°-2θ2 -θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項12】
前記プリズムは
、四角プリズムの稜線部分に面取り部を形成した五角形のプリズムと三角プリズムとを、該三角プリズムの一面が前記面取り部と面一となる様に組合わせて一体化させた四角形のプリズムであり、前記四角プリズムと前記三角プリズムとの境界面にはロングパスフィルタが蒸着され、前記反射測距光は前記境界面、前記第1面、前記第3面で順次反射され、前記境界面及び前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記境界面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°となり、前記境界面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項13】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第1面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が2θ2 +2θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項14】
前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第1面、前記第2面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が2θ2 +2θ3 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′がθ2 +2θ3 となる様構成された請求項3に記載の測量装置。
【請求項15】
前記受光光学系は、前記反射測距光を集光する受光レンズを有し、該受光レンズのNAが0.05~0.55の範囲内となる様構成された請求項1~請求項14のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項16】
前記プリズムの前記第1面にショートパスフィルタが蒸着された
請求項1~請求項15のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元座標を取得可能な測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナやトータルステーション等の測量装置は、測定対象物として反射プリズムを用いたプリズム測距、反射プリズムを用いないノンプリズム測距により測定対象物迄の距離を検出する光波距離測定装置を有している。
【0003】
光波距離測定装置の受光部はレンズを含む光学系を有し、入射光がレンズの屈折作用によって受光面上に結像される様になっている。該光学系の対物レンズは焦点距離fを有し、この焦点距離fは光波距離測定装置が求められる性能によって決定される。
【0004】
この為、光波距離測定装置の受光部は、光学系を収納可能な大きさと、焦点距離fを確保可能な光軸方向の長さを必要とする。従って、光学系の大きさ、焦点距離の制約により、受光部の小型化が困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光学系を小型化し、装置全体の小型化を図る測量装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部を具備し、該距離測定部は前記測距光を射出する投光光学系と、前記反射測距光を受光する受光光学系とを有し、該受光光学系は4角形のプリズム及び受光素子を有し、前記プリズムは第1面と第2面と第3面と第4面とを有し、前記反射測距光は前記第1面より入射し、前記プリズム内で少なくとも3回内部反射され、前記第1面と前記第2面と前記第4面の内のいずれかの透過面を透過して射出する様構成され、前記プリズムから射出された前記反射測距光が前記受光素子に受光される様構成された測量装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光の前記第1面に対する主光線入射角θ1 と、前記反射測距光の前記透過面に対する主光線入射角とがそれぞれ0°となる様構成された測量装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となる様構成された測量装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第4面で順次反射され、前記第2面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となり、前記第4面に対する主光線入射角θ4 が1.5θ2 +θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第4面で順次反射され、前記第1面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~30°の範囲内となり、前記第4面に対する主光線入射角θ4 が90°-θ2 -θ3 となる様に構成された測量装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記プリズムの前記第4面には前記反射測距光を任意の方向に偏向する三角プリズムが接着された測量装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°の範囲内となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となる様に構成された測量装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面で順次反射され、前記第2面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が90°-2.5θ2 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°の範囲内となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第2面、前記第1面、前記第2面で順次反射され、前記第1面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が90°-3θ2 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が180°-4θ2 -2θ3 となり、前記第2面に対する3度目の主光線入射角θ2 ′′が90°-2θ2 -θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記プリズムは、構造面取りされた四角プリズムと三角プリズムとを組合わせて一体化させた四角形のプリズムであり、前記四角プリズムと前記三角プリズムとの境界面にはロングパスフィルタが蒸着され、前記反射測距光は前記境界面、前記第1面、前記第3面で順次反射され、前記境界面及び前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記境界面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~35°となり、前記境界面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′が180°-3θ2 -2θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第1面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が2θ2 +2θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0019】
又本発明は、前記プリズムは、前記反射測距光が前記第2面、前記第1面、前記第3面、前記第1面、前記第2面で順次反射され、前記第4面を透過する様に構成され、前記反射測距光の前記第2面に対する主光線入射角θ2 が15°~30°の範囲内となり、前記第1面に対する主光線入射角θ1 ′が2θ2 となり、前記第3面に対する主光線入射角θ3 が10°~28°の範囲内となり、前記第1面に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′が2θ2 +2θ3 となり、前記第2面に対する2度目の主光線入射角θ2 ′がθ2 +2θ3 となる様構成された測量装置に係るものである。
【0020】
又本発明は、前記受光光学系は、前記反射測距光を集光する受光レンズを有し、該受光レンズのNAが0.05~0.55の範囲内となる様構成された測量装置に係るものである。
【0021】
又本発明は、前記第2面と前記第3面とで形成される稜線部分に対して、構造面取り処理を施す様構成された測量装置に係るものである。
【0022】
更に又本発明は、前記プリズムの前記第1面にショートパスフィルタが蒸着された測量装置に係るものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部を具備し、該距離測定部は前記測距光を射出する投光光学系と、前記反射測距光を受光する受光光学系とを有し、該受光光学系は4角形のプリズム及び受光素子を有し、前記プリズムは第1面と第2面と第3面と第4面とを有し、前記反射測距光は前記第1面より入射し、前記プリズム内で少なくとも3回内部反射され、前記第1面と前記第2面と前記第4面の内のいずれかの透過面を透過して射出する様構成され、前記プリズムから射出された前記反射測距光が前記受光素子に受光される様構成されたので、光軸方向の長さを短くすることができ、光学系の小型化及び装置全体の小型化を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る測量装置を示す正断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図3】第1の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図4】(A)(B)は、第1の実施例に係る受光光学系を適用した距離測定部の一例を示す構成図である。
【
図5】本発明の第2の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図6】第2の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図7】(A)は本発明の第1の実施例に係る受光光学系の変形例を示す構成図であり、(B)は本発明の第2の実施例に係る受光光学系の変形例を示す構成図である。
【
図8】(A)~(D)は、本発明の第1の実施例に係る受光光学系の変形例に於ける光軸方向の長さと、他の構成に於ける光軸方向の長さとの比較を示す説明図である。
【
図9】本発明の第3の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図10】第3の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図11】本発明の第4の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図12】本発明の第5の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図13】第5の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図14】本発明の第6の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図15】第6の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図16】本発明の第7の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図17】第7の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図18】本発明の第8の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図19】第8の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図20】本発明の第9の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図21】第9の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図22】本発明の第10の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図23】第10の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【
図24】本発明の第11の実施例に係る測量装置の受光光学系を示す構成図である。
【
図25】第11の実施例に係る受光プリズムの屈折率、受光レンズのNA、受光プリズムの各面に対する主光線入射角の関係の具体例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0026】
先ず、
図1に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。測量装置1は、例えばレーザスキャナであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。尚、測定はノンプリズム測定が行われる。
【0027】
前記整準部2は整準ネジ10を有し、該整準ネジ10により前記測量装置本体3の整準を行う。
【0028】
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、鉛直回転部である走査鏡15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18と、距離測定部19等を具備している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。
【0029】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0030】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0031】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0032】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
【0033】
前記托架部5には、凹部21が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部21内に延出し、前記一端部に前記走査鏡15が固着され、該走査鏡15は前記凹部21に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0034】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査鏡15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0035】
前記走査鏡15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記走査鏡15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0036】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのメモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0037】
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算するプログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
【0038】
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔の変更等を行う操作部と、測距結果等を表示する表示部とを兼用している。
【0039】
次に、前記距離測定部19について説明する。
【0040】
発光素子22からパルス光の測距光が射出される。測距光は、投光光学系23、反射プリズム24を介して射出される。該反射プリズム24から射出される測距光の光軸は、前記軸心11aと合致しており、測距光は前記走査鏡15によって直角に偏向される。該走査鏡15が前記軸心11aを中心に回転することで、測距光は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0041】
測定対象物で反射された測距光(以下反射測距光)は、前記走査鏡15に入射し、該走査鏡15で偏向される。該走査鏡15で偏向された反射測距光は、受光光学系25を経て受光素子26で受光される。
【0042】
前記距離測定部19は、前記発光素子22の発光タイミングと、前記受光素子26の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)と光速に基づき、測距光の1パルス毎に測距を実行する(Time Of Flight)。前記発光素子22は、発光のタイミング、即ちパルス間隔が変更可能となっている。
【0043】
尚、前記距離測定部19には内部参照光光学系(後述)が設けられ、該内部参照光光学系から受光した内部参照光(後述)と反射測距光の受光タイミングの時間差と光速に基づき測距を行うことで、より高精度な測距が可能となる。
【0044】
前記托架部5と前記走査鏡15とがそれぞれ定速で回転し、該走査鏡15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回転との協働により、測距光が2次元に走査される。又、パルス光毎の測距により測距データ(斜距離)が得られ、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより、測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0045】
次に、
図2に於いて、前記受光光学系25の詳細について説明する。尚、
図2中では、反射測距光(入射光)のうち、主光線(光軸)27のみを記載している。
【0046】
前記受光光学系25は、受光レンズ28と受光プリズム29とを有している。前記受光レンズ28は、所定のNA(Numerical Aperture)を有するレンズである。該受光レンズ28としては、例えばNA=0.05~0.55の範囲のレンズが用いられる。
【0047】
前記受光プリズム29は所定の屈折率を有する4角形のプリズムである。該受光プリズム29は、前記受光レンズ28を透過した前記主光線27が入射する第1面31、該第1面31の表面を透過した前記主光線27が反射する第2面32、該第2面32と前記第1面31で反射された前記主光線27が入射する第3面33、該第3面33で反射された前記主光線27が透過する透過面としての第4面34とを有している。該第4面34を透過した前記主光線27は、前記受光素子26に入射する。
【0048】
前記第1面31の表面(入射面)は反射防止膜が設けられた全透過面であり、前記第1面31で内部反射する様、該第1面31への主光線入射角が設定されている。又、前記主光線27の光軸は前記第1面31と直交しており、前記第1面31の表面に対する主光線入射角θ1 は0°となる。
【0049】
前記第2面32は、反射膜が設けられ、前記第1面31を透過した前記主光線27を反射する様に構成されている。又、前記第2面32は、前記主光線27が所定の主光線入射角θ2 、例えば15°~30°の範囲で入射する様、前記主光線27に対して傾斜している。
【0050】
尚、前記第2面32で反射された前記主光線27は、主光線入射角θ1 ′で前記第1面31に入射し、内部反射される。この時、主光線入射角θ1 ′=2θ2 となる。
【0051】
この時、θ1 ′は、前記第1面31に対して臨界角より大きくなる様設定され、前記主光線27は前記第1面31に全反射される様に構成されている。又、前記第3面33は、前記主光線27が所定の主光線入射角θ3 、例えば10°~30°の範囲で入射する様、前記主光線27に対して傾斜している。
【0052】
前記第4面34の表面には反射防止膜が設けられ、全透過面となっている。又、該第4面34は透過する前記主光線27の光軸に対して直交しており、前記第4面34に対する主光線入射角θ4 は0°となる。
【0053】
ここで、前記受光プリズム29の各面に対する主光線入射角を、ケラレ等が生じない角度とする為には、前記受光プリズム29の屈折率と、前記受光レンズ28のNAとを所定の範囲内とする必要がある。
図3に示される表は、前記受光プリズム29の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム29に対する主光線入射角の関係の具体例を表している。
【0054】
図3に示される様に、第1の実施例では、前記受光プリズム29の屈折率が1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAが0.05~0.55の範囲内としている。これにより、θ2 が15°~30°の範囲内となり、θ3 が10°~30°の範囲内となるので、充分な受光量を確保でき、又反射の際に生じるケラレ等を抑制できる。
【0055】
図4(A)、
図4(B)は、第1の実施例の前記受光光学系25が適用された前記距離測定部19及びその周辺部の一例を示している。
【0056】
図4(A)、
図4(B)中、37は前記托架部5に設けられた窓部を示しており、該窓部37は透明材料で形成されている。前記距離測定部19は、前記窓部37より測距光35を射出し、反射測距光36は前記窓部37を透して受光される。前記反射プリズム24は前記窓部37に貼付けられている。尚、前記反射プリズム24は、前記受光レンズ28に貼付けられていてもよい。
【0057】
又、前記走査鏡15の下方には、再帰反射性を有するリファレンスプリズム38が設けられ、前記走査鏡15を介して前記測距光35を回転照射する過程で、該測距光35が前記リファレンスプリズム38に入射する。該リファレンスプリズム38により再帰反射された前記測距光35は、前記走査鏡15を介して前記受光光学系25に入射し、前記受光素子26に受光される。
【0058】
ここで、前記発光素子22から前記リファレンスプリズム38迄の光路長、該リファレンスプリズム38から前記受光素子26迄の光路長は既知である。従って、前記リファレンスプリズム38で反射された前記測距光35を、内部参照光39として利用することができる。前記走査鏡15と前記リファレンスプリズム38とにより内部参照光光学系41が構成される。
【0059】
前記発光素子22から発せられた前記測距光35は、前記投光光学系23、前記走査鏡15を介して測定対象物に照射される。測定対象物で反射され、前記走査鏡15を介して前記受光光学系25に入射した前記反射測距光36は、前記受光レンズ28及び前記第1面31を透過する過程で屈折される。又、前記反射測距光36は、前記受光プリズム29の内部で前記第2面32、前記第1面31、前記第3面33に順次反射され、前記第4面34を透過し射出される。
【0060】
上述の様に、第1の実施例では、内部に反射面を有する前記受光プリズム29を用い、該受光プリズム29の内部で前記反射測距光36を3回反射させ、該反射測距光36の光路を屈曲させることで、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。
【0061】
従って、前記距離測定部19の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0062】
又、第1の実施例では、前記反射測距光36の光路を屈曲させる為の光学部材として、平面板のミラーではなくプリズムを使用している。従って、前記測量装置本体3に対する温度変化に基づく光軸のズレ(偏角誤差)が抑制され、測定精度の向上を図ることができる。
【0063】
尚、前記第1面31にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタは、入射角が小さい場合(例えばおよそ0°)に透過率が高くなり、入射角が大きい場合(例えばおよそ30°~60°以上)に反射率が高くなる光学特性を有している。ショートパスフィルタを蒸着することで、前記第1面31の全反射条件を緩和でき、θ1 ′を小さくすることができる。従って、前記主光線27に対する前記第2面32の傾斜を小さくすることができるので、前記受光プリズム29の光軸方向の長さを小さくでき、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0064】
次に、
図5に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図5中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図5中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0065】
第2の実施例に於ける受光プリズム45は、第1の実施例の受光プリズム29と同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム45は、受光レンズ28を透過した前記主光線27が入射する第1面46と、該第1面46の表面を透過した前記主光線27が入射する第2面47の反射面47aと、該反射面47aと前記第1面46で反射された前記主光線27が入射する第3面48と、該第3面48で反射された前記主光線27が入射する第4面49と、該第4面49で反射された前記主光線27が入射する前記第2面47の透過面47bとを有している。該透過面47bを透過した前記主光線27は、受光素子26に入射する。
【0066】
尚、上記した様に、前記第2面47は、前記主光線27を反射する前記反射面47aと、前記主光線27を全透過する前記透過面47bとから構成されている。前記反射面47aは前記第1面46の透過光路上に位置し、前記透過面47bは前記第4面49の反射光路上に位置している。
【0067】
即ち、前記第1面46に対する主光線入射角θ1 は0°であり、前記反射面47aに対する主光線入射角θ2 は15°~30°であり、前記第3面48に対する主光線入射角θ3 は10°~30°となる。更に、前記反射面47aで反射された前記主光線27の前記第1面46に対する主光線入射角θ1 ′は2θ2 となる。
【0068】
前記第4面49は、反射膜が設けられ、前記第3面48で反射された前記主光線27を反射する様に構成されている。又、前記第4面49は、主光線入射角θ4 =1.5θ2 +θ3 となる様前記主光線27に対して傾斜している。尚、主光線入射角θ4 が臨界角よりも大きい場合には、前記第4面49の反射膜は省略できる。
【0069】
前記透過面47bには反射防止膜が設けられ、全透過となっている。又、該透過面47bは前記主光線27に対して直交しており、前記透過面47bに対する主光線入射角θ2 ′は0°となる。
【0070】
図6に示される表は、前記受光プリズム45の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム45に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0071】
図6に示される様に、第2の実施例でも、前記受光プリズム45の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、θ2 が15°~30°の範囲内となり、θ3 が10°~30°の範囲内となるので、充分な受光量を確保でき、又反射の際に生じるケラレ等を抑制できる。
【0072】
又、第2の実施例では、前記受光プリズム45の内部で前記反射測距光36を4回反射させ、該反射測距光36の光路を屈曲させることで、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。
【0073】
従って、距離測定部19(
図1参照)の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0074】
又、前記反射測距光36の光路を屈曲させる為の光学部材として平面板のミラーではなくプリズムを使用しているので、温度変化に基づく光軸のズレ(偏角誤差)が抑制され、測定精度の向上を図ることができる。
【0075】
尚、第第2の実施例に於いても、前記第1面46にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタを蒸着することで、前記受光プリズム45を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0076】
図7(A)は、第1の実施例の変形例を示している。該変形例では、前記反射測距光36の光路から外れた部分、即ち前記第2面32と前記第3面33とで形成される稜線部分に対して構造面取り処理を行い、面取り部42を形成している。
【0077】
前記第2面32と前記第3面33との稜線部分に前記面取り部42を形成することで、前記距離測定部19の光軸方向の長さを更に短くすることができ、前記距離測定部19の光学系を更に小型化することができる。
【0078】
又、上記した様に、前記面取り部42が形成される部分は、前記反射測距光36の光路から外れた部分である。従って、前記面取り部42を形成したとしても、前記受光プリズム29の作用に影響を及ぼすことがない。
【0079】
図7(B)は、第2の実施例の変形例を示している。該変形例では、第1の実施例と同様、前記第2面47(前記反射面47a)と前記第3面48とで形成される稜線部分に対して構造面取り処理を行い、面取り部51を形成している。
【0080】
該面取り部51を形成することで、前記距離測定部19の光軸方向の長さを更に短くすることができ、前記受光プリズム45の作用に影響を与えることなく前記距離測定部19の光学系を更に小型化することができる。
【0081】
尚、
図8(A)~
図8(D)は第1の実施例の変形例に於ける前記受光光学系25の光軸方向の長さL0 と、他の構成の受光光学系の光軸方向の長さとを比較したものである。
【0082】
図8(A)は、第1の実施例の変形例の前記受光光学系25を示している。又、
図8(B)は前記反射測距光36を屈曲させない場合の受光光学系25′を示している。又、
図8(C)は、前記反射測距光36を屈曲させる光学部材として、ペンタプリズム43を用いた場合の受光光学系25′′を示している。更に、
図8(D)は、前記反射測距光36を屈曲させる光学部材として、ミラー44を用いた場合の受光光学系25′′′を示している。
【0083】
図8(A)~
図8(D)に示される様に、前記受光光学系25の光軸方向の長さL0 は、
図8(B)~
図8(D)のいずれの場合と比べても、光軸方向の長さが短くなっているのがわかる。特に、前記受光光学系25は、
図8(C)の前記ペンタプリズム43を用いた場合の受光光学系25′′と比べて、3割程度光軸方向の長さを短くすることができる。
【0084】
次に、
図9に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図9中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図9中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線のみを図示している。
【0085】
第3の実施例に於ける受光プリズム52は、第1の実施例及び第2の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム52は、受光レンズ28を介して前記主光線27が入射する透過面としての第1面53と、該第1面53の表面を透過した前記主光線27が入射する第2面54と、該第2面54と前記第1面53で反射された前記主光線27が入射する第3面55と、該第3面55で反射された前記主光線27を更に反射する第4面56とを有している。該第4面56で反射された前記主光線27は、前記第1面53を透過し、受光素子26に入射する。
【0086】
尚、該受光素子26に入射する際の前記第1面53に対する前記主光線27の透過位置は、前記受光レンズ28よりも外側である。即ち、前記受光素子26に入射する前記主光線27と前記受光レンズ28を介して入射する前記主光線27とが干渉しない様になっている。
【0087】
本実施例では、受光レンズ28を介して前記第1面53に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°であり、前記第4面56で反射された前記主光線27の前記第1面53に対する主光線入射角θ1 ′′も0°となる様構成されている。更に、前記第2面54で反射された前記主光線27の前記第1面43に対する主光線入射角θ1 ′は2θ2 となり、臨界角よりも大きくなる。
【0088】
前記第2面54と前記第3面55は、第1の実施例に於ける第2面32と第3面33と同様の構成である。即ち、前記第2面54と前記第3面55にはそれぞれ反射膜が設けられ、前記第2面54に対する主光線入射角θ2 は15°~30°であり、前記第3面55に対する主光線入射角θ3 は10°~30°となる。
【0089】
前記第4面56は、前記第3面55で反射された前記主光線27を全反射する様に構成されている。前記第4面56は、主光線入射角θ4 =90°-θ2 -θ3 となる様前記主光線27に対して傾斜している。尚、主光線入射角θ4 が臨界角よりも小さい場合には、前記第4面56に反射膜が蒸着される。
【0090】
図10に示される表は、前記受光プリズム52の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム52に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0091】
図10に示される様に、第3の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム52の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、θ2 が15°~30°の範囲内となり、θ3 が10°~30°の範囲内となるので、充分な受光量を確保できる。
【0092】
又、第3の実施例では、前記受光プリズム52の内部で前記反射測距光36を4回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、距離測定部19(
図1参照)の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0093】
更に、第3の実施例では、前記第4面56により前記主光線27を前記第1面53に向って反射し、該第1面53を透過した位置に前記受光素子26を設けている。従って、該受光素子26を前記距離測定部19の光学系のデッドスペースに配置することができるので、前記距離測定部19の更なる小型化を図ることができる。
【0094】
尚、第3の実施例に於いても、前記第1面53にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、前記受光プリズム52を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0095】
次に、
図11に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、
図11中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図11中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線のみを図示している。
【0096】
第4の実施例に於ける受光プリズム57は、第1の実施例に於ける受光プリズム29と同等のものとなっている。即ち、第1面58に対する主光線入射角θ1 =0°であり、第2面59に対する主光線入射角θ2 =15°~30°であり、前記第1面58に対する主光線入射角θ1 ′=2θ2 であり、第3面61に対する主光線入射角θ3 =10°~30°であり、透過面としての第4面62に対する主光線入射角θ4 =0°となっている。
【0097】
又、第4の実施例では、前記第4面62に三角プリズム63が接着されている。該三角プリズム63は、前記第4面62を透過した前記主光線27を反射する第5面64と、該第5面64で反射された前記主光線27を全透過させる透過面としての第6面65を有している。
【0098】
前記第5面64は、前記第6面65に対する主光線入射角θ6 が0°となる様、前記主光線27に対して傾斜している。主光線入射角θ6 が0°となるならば、前記第5面64に対する主光線入射角θ5 は任意でよい。又、主光線入射角θ5 が臨界角よりも小さい場合には、前記第5面64に前記主光線27を反射させる為の反射膜が蒸着されている。
【0099】
第4の実施例では、前記受光プリズム57及び前記三角プリズム63の内部で前記反射測距光36を4回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、距離測定部19(
図1参照)の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0100】
又、第4の実施例では、前記三角プリズム63により、前記第4面62を透過した前記主光線27を任意の方向に反射できる。従って、前記距離測定部19の光学系のデッドスペースに前記受光素子26を配置することができるので、前記距離測定部19の更なる小型化を図ることができる。
【0101】
尚、第4の実施例に於いても、前記第1面58にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、前記受光プリズム57を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0102】
次に、
図12に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、
図12中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図12中では、反射測距光(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0103】
第5の実施例に於ける受光プリズム66は、第1の実施例~第4の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム66は、受光レンズ28を透過した前記主光線27が入射する第1面67、該第1面67の表面を透過した前記主光線27が反射する第2面68、該第2面68と前記第1面67の内面で反射された前記主光線27が入射する第3面69、該第3面69と前記第2面68の内面で反射された前記主光線27が透過する透過面としての第4面71を有している。該第4面71を透過した前記主光線27は、受光素子26に入射する。
【0104】
前記第1面67の表面(入射面)は反射防止膜が設けられた全透過面である。又、前記主光線27の光軸は前記第1面67と直交しており、該第1面67の表面に対する主光線入射角θ1 は0°となる。
【0105】
前記第2面68には反射膜が設けられ、前記第1面67を透過した前記主光線27及び前記第3面69で反射された前記主光線27を反射する様に構成されている。又、前記第2面68は、前記主光線27が所定の主光線入射角θ2 、例えば15°~30°の範囲で入射する様、前記主光線27に対して傾斜している。尚、前記第2面68で反射された前記主光線27は、主光線入射角θ1 ′で前記第1面67に入射し、内部反射される。この時、主光線入射角θ1 ′=2θ2 となる。この時、θ1 ′は、前記第1面67に対して臨界角より大きくなる様設定され、前記主光線27は前記第1面67に全反射される様に構成されている。
【0106】
前記第3面69には反射膜が設けられ、前記主光線27が所定の主光線入射角θ3 、例えば10°~35°の範囲で入射する様、前記主光線27に対して傾斜している。尚、前記第3面69で反射された前記主光線27は、主光線入射角θ2 ′で前記第2面68に入射し、内部反射される。この時、2度目の主光線入射角θ2 ′=180°-3θ2 -2θ3 となる。この時、θ2 ′は、前記第2面68に対して臨界角より大きくなる様に構成されている。
【0107】
前記第4面71の表面には反射防止膜が設けられ、全透過面となっている。又、該第4面71は透過する前記主光線27の光軸に対して直交しており、前記第4面71に対する主光線入射角θ4 は0°となる。
【0108】
図13に示される表は、前記受光プリズム66の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム66に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0109】
図13に示される様に、第5の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム66の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、θ2 が15°~30°の範囲内となり、θ3 が10°~30°の範囲内となるので、充分な受光量を確保できる。
【0110】
又、第5の実施例では、前記受光プリズム66の内部で前記反射測距光36を4回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さをみじかくすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0111】
尚、第5の実施例に於いても、前記第1面67にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′、主光線入射角θ2 ′を臨界角よりも小さくできるので、前記受光プリズム66を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0112】
次に、
図14に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、
図14中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図14中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0113】
第6の実施例に於ける受光プリズム72は、第1の実施例~第5の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム72は、受光レンズ28に対向する第1面73と、該第1面73に対向する第2面74と、
図14中紙面に対して下側に位置する第3面75と、
図14中紙面に対して上側に位置する第4面76とを有している。
【0114】
尚、前記第2面74は、一部が前記主光線27が全透過する透過面74aであり、残部が反射膜が設けられた反射面74bとなっている。又、前記第3面75には反射膜が設けられ前記主光線27を反射する様構成されている。
【0115】
受光レンズ28を介して前記第1面73を透過した前記主光線27は、前記反射面74b、前記第1面73、前記第3面75、前記反射面74b、前記第1面73に順次反射され、前記透過面74aを透過して受光素子26に入射する。
【0116】
第6の実施例では、前記受光レンズ28を介して前記第1面73に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面73を透過した前記主光線27の前記反射面74bに対する主光線入射角θ2 は15°~30°である。又、前記反射面74bで反射された前記主光線27の前記第1面73に対する主光線入射角θ1 ′は2θ2 である。又、前記第1面73で全反射された前記主光線27の前記第3面75に対する主光線入射角θ3 は90°-2.5θ2 である。又、前記第3面75で反射された前記主光線27の前記反射面74bに対する2度目の主光線入射角θ2 ′は180°-3θ2 -2θ3 である。又、再度前記反射面74bで反射された前記主光線27の前記第1面73に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′は180°-4θ2 -2θ3 である。更に、前記第1面73で反射された前記主光線27の前記透過面74aに対する主光線入射角θ2 ′′は0°となっている。
【0117】
尚、主光線入射角θ1 ′は臨界角よりも大きくなっている。
【0118】
図15に示される表は、前記受光プリズム72の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム72に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0119】
図15に示される様に、第6の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム72の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~30°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を15°~53°の範囲内とできる。
【0120】
又、第6の実施例では、前記受光プリズム72の内部で前記反射測距光36を5回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さを短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0121】
尚、第6の実施例に於いては前記第1面73にショートパスフィルタを蒸着する必要がある。
【0122】
次に、
図16に於いて、本発明の第7の実施例について説明する。尚、
図16中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図16中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0123】
第7の実施例に於ける受光プリズム77は、第1の実施例~第6の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム77は、受光レンズ28に対向する第1面78と、該第1面78に対向する第2面79と、
図16中紙面に対して下側に位置する第3面81と、
図16中紙面に対して上側に位置する透過面としての第4面82とを有している。
【0124】
前記第2面79及び前記第3面81には反射膜が設けられ、前記主光線27を反射する様構成されている。前記受光レンズ28を介して前記第1面78を透過した前記主光線27は、前記第2面79、前記第1面78、前記第3面81、前記第2面79、前記第1面78で順次反射され、前記第4面82を透過して受光素子26に入射する。
【0125】
第7の実施例では、前記受光レンズ28を介して前記第1面78に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面78を透過した前記主光線27の前記第2面79に対する主光線入射角θ2 は15°~30°である。又、前記第2面79で反射された前記主光線27の前記第1面78に対する主光線入射角θ1 ′は臨界角以上であり、2θ2 である。又、前記第1面78で全反射された前記主光線27の前記第3面81に対する主光線入射角θ3 は10°~35°である。又、前記第3面81で反射された前記主光線27の前記第2面79に対する2度目の主光線入射角θ2 ′は臨界角以上であり、180°-3θ2 -2θ3 である。又、再度前記第2面79で反射された前記主光線27の前記第1面78に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′臨界角以上であり、は180°-4θ2 -2θ3 である。更に、前記第1面78で全反射された前記主光線27の前記第4面82に対する主光線入射角θ4 は0°となっている。
【0126】
図17に示される表は、前記受光プリズム77の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム77に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0127】
図17に示される様に、第7の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム72の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~30°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を10°~35°の範囲内とできる。
【0128】
又、第7の実施例では、前記受光プリズム77の内部で前記反射測距光36を5回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さを短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0129】
尚、第7の実施例に於いても、前記第1面78にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′、主光線入射角θ2 ′、主光線入射角θ1 ′′を臨界角よりも小さくすることができるので、前記受光プリズム77を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0130】
次に、
図18に於いて、本発明の第8の実施例について説明する。尚、
図18中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図18中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0131】
第8の実施例に於ける受光プリズム83は、第1の実施例~第7の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム83は、受光レンズ28に対向する透過面としての第1面84と、該第1面84に対向する第2面85と、
図18中紙面に対して下側に位置する第3面86と、
図18中紙面に対して上側に位置する第4面87とを有している。
【0132】
前記第2面85及び前記第3面86には反射膜が設けられ、前記主光線27を反射する様構成されている。前記受光レンズ28を介して前記第1面84を透過した前記主光線27は、前記第2面85、前記第1面84、前記第3面86、前記第2面85、前記第1面84、前記第2面85で順次反射され、前記第1面84を透過して受光素子26に入射する。
【0133】
尚、該受光素子26に入射する際の前記第1面84に対する前記主光線27の透過位置は、前記受光レンズ28よりも外側である。即ち、前記受光素子26に入射する前記主光線27と前記受光レンズ28を介して入射する前記主光線27とが干渉しない様になっている。
【0134】
第8の実施例では、受光レンズ28を介して前記第1面84に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面84を透過した前記主光線27の前記第2面85に対する主光線入射角θ2 は15°~28°である。又、前記第2面85で反射された前記主光線27の前記第1面84に対する主光線入射角θ1 ′は臨界角以上であり、2θ2 である。又、前記第1面84で全反射された前記主光線27の前記第3面86に対する主光線入射角θ3 は90°-3θ2 である。又、前記第3面86で反射された前記主光線27の前記第2面85に対する2度目の主光線入射角θ2 ′は臨界角以上であり、180°-3θ2 -2θ3 である。又、再度前記第2面85で反射された前記主光線27の前記第1面84に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′臨界角以上であり、は180°-4θ2 -2θ3 である。又、再度前記第1面84で反射された前記主光線27の前記第2面85に対する3度目の主光線入射角θ2 ′′は90°-2θ2 -θ3 である。更に、前記第2面85で三度反射された前記主光線27の前記第1面84に対する主光線入射角θ1 ′′′は0°となる。
【0135】
図19に示される表は、前記受光プリズム83の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム83に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0136】
図19に示される様に、第8の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム83の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~28°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を6°~45°の範囲内とできる。
【0137】
第8の実施例では、前記受光プリズム83の内部で前記反射測距光36を6回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さをより短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0138】
更に、第8の実施例では、前記第2面85によって前記主光線27を前記第1面84に向って反射し、該第1面84を透過した位置に前記受光素子26を設けている。従って、該受光素子26を前記距離測定部19の光学系のデッドスペースに配置することができるので、前記距離測定部19の更なる小型化を図ることができる。
【0139】
尚、第8の実施例に於いても。前記第1面84にショートパスフィルタを設けてもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′、主光線入射角θ2 ′、主光線入射角θ1 ′′を臨界角よりも小さくすることができるので、前記受光プリズム83を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0140】
次に、
図20に於いて、本発明の第9の実施例について説明する。尚、
図20中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図20中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0141】
第9の実施例に於ける受光プリズム88は、第1の実施例~第8の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する四角プリズム88aと三角プリズム88bとを組合わせ、一体化させたプリズムとなっている。
【0142】
前記四角プリズム88aは、受光レンズ28に対向する第1面89と、該第1面89に対向する透過面としての第2面91と、
図20中紙面に対して下側に位置する第3面92と、
図20中紙面に対して上側に位置する第4面93とを有している。又、前記第2面91と前記第3面92とで形成される稜線部分に対して構造面取り処理を行い、面取り部90を形成している。
【0143】
前記第2面91にはロングパスフィルタが蒸着されている。ロングパスフィルタは、入射角が小さい場合(例えばおよそ10°~30°)に反射率が高くなり、入射角が大きい場合(例えばおよそ65°~81°)に透過率が高くなる光学特性を有している。更に、前記第3面92には反射膜が設けられ、前記主光線27を反射する様に構成されている。
【0144】
前記三角プリズム88bは、前記四角プリズム88aとの接触面である第1面94と、
図20中紙面に対して右側に位置する第2面95と、
図20中紙面に対して上側に位置する透過面としての第3面96とを有している。
【0145】
前記四角プリズム88aと前記三角プリズム88bとを組合わせ、一体化させた際には、前記第2面91と前記第1面94とが一体化されると共に、前記面取り部90と前記第2面95とが面一となり、前記第4面93と前記第3面96とが面一となる。而して、前記受光プリズム88は四角形のプリズムを構成する。
【0146】
この時、該受光プリズム88の第1面は前記第1面89であり、第2面は前記第2面91及び前記面取り部90であり、第3面は前記第3面92であり、第4面は前記第4面93及び前記第3面96となる。又、前記第2面91と前記第1面91は前記受光プリズム88の境界面となる。
【0147】
前記受光レンズ28を介して前記第1面89を透過した前記主光線27は、前記第2面91、前記第1面89、前記第3面92で順次反射された後、前記第2面91、前記第3面96を透過して受光素子26に入射する。
【0148】
第9の実施例では、前記受光レンズ28を介して前記第1面89に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面89を透過した前記主光線27の前記第2面94に対する主光線入射角θ2 は15°~30°である。又、前記第2面94で反射された前記主光線27の前記第1面89に対する主光線入射角θ1 ′は臨界角以上であり、2θ2 である。又、前記第1面89で全反射された前記主光線27の前記第3面92に対する主光線入射角θ3 は10°~35°である。又、前記第3面92で反射された前記主光線27の前記第2面92に対する2度目の主光線入射角θ2 ′は180°-3θ2 -2θ3 である。更に、前記第2面92を透過した前記主光線27の前記第3面96に対する主光線入射角θ4 は0°となる。
【0149】
図21に示される表は、前記受光プリズム88の屈折率、前記受光レンズ28のNA、該受光プリズム88に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0150】
図21に示される様に、第9の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム88の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~30°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を10°~30°の範囲内とできる。
【0151】
第9の実施例では、前記受光プリズム88の内部で前記反射測距光36を3回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さをより短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0152】
尚、第9の実施例に於いても。前記第1面89にショートパスフィルタを設けてもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′を臨界角よりも小さくすることができるので、前記受光プリズム83を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0153】
次に、
図22に於いて、本発明の第10の実施例について説明する。尚、
図22中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図22中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0154】
第10の実施例に於ける受光プリズム97は、第1の実施例~第9の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム97は、受光レンズ28に対向する第1面98と、該第1面98に対向する第2面99と、
図22中紙面に対して下側に位置する第3面101と、
図22中紙面に対して上側に位置する透過面としての第4面102とを有している。
【0155】
前記第2面99及び前記第3面101には反射膜が設けられ、前記主光線27を反射する様構成されている。前記受光レンズ28を介して前記第1面98を透過した前記主光線27は、前記第2面99、前記第1面98、前記第3面101、前記第1面98で順次反射され、前記第4面102を透過して受光素子26に入射する。
【0156】
第10の実施例では、受光レンズ28を介して前記第1面98に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面98を透過した前記主光線27の前記第2面99に対する主光線入射角θ2 は15°~30°である。又、前記第2面99で反射された前記主光線27の前記第1面98に対する主光線入射角θ1 ′は臨界角以上であり、2θ2 である。又、前記第1面98で全反射された前記主光線27の前記第3面101に対する主光線入射角θ3 は10°~28°である。又、前記第3面101で反射された前記主光線27の前記第1面98に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′臨界角以上であり、は2θ2 +2θ3 である。更に、再度前記第1面98で全反射された前記主光線27の前記第4面102に対する主光線入射角θ4 は0°となる。
【0157】
図23に示される表は、前記受光プリズム97の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム97に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0158】
図23に示される様に、第10の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム97の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~30°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を10°~28°の範囲内とできる。
【0159】
第10の実施例では、前記受光プリズム97の内部で前記反射測距光36を4回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さをより短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0160】
尚、第10の実施例に於いても。前記第1面98にショートパスフィルタを設けてもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′、主光線入射角θ1 ′′を臨界角よりも小さくすることができるので、前記受光プリズム97を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0161】
次に、
図24に於いて、本発明の第11の実施例について説明する。尚、
図24中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図24中では、反射測距光36(
図4参照)の主光線27のみを図示している。
【0162】
第11の実施例に於ける受光プリズム103は、第1の実施例~第10の実施例の受光プリズムと同等の屈折率を有する4角形のプリズムである。前記受光プリズム103は、受光レンズ28に対向する第1面104と、該第1面104に対向する第2面105と、
図22中紙面に対して下側に位置する第3面106と、
図22中紙面に対して上側に位置する透過面としての第4面107とを有している。
【0163】
前記第2面105及び前記第3面106には反射膜が設けられ、前記主光線27を反射する様構成されている。受光レンズ28を介して前記第1面104を透過した前記主光線27は、前記第2面105、前記第1面104、前記第3面106、前記第1面104、前記第2面105で順次反射され、前記第4面107を透過する。該第4面107を透過した前記主光線27は、前記受光レンズ28側に配置された受光素子26に入射する。
【0164】
尚、該受光素子26に入射する際の前記第1面104に対する前記主光線27の透過位置は、前記受光レンズ28よりも外側である。即ち、前記受光素子26に入射する前記主光線27と前記受光レンズ28を介して入射する前記主光線27とが干渉しない様になっている。
【0165】
第11の実施例では、前記受光レンズ28を介して前記第1面104に入射する前記主光線27の主光線入射角θ1 は0°である。又、前記第1面104を透過した前記主光線27の前記第2面105に対する主光線入射角θ2 は15°~30°である。又、前記第2面105で反射された前記主光線27の前記第1面104に対する主光線入射角θ1 ′は臨界角以上であり、2θ2 である。又、前記第1面104で全反射された前記主光線27の前記第3面106に対する主光線入射角θ3 は10°~28°である。又、前記第3面106で反射された前記主光線27の前記第1面104に対する2度目の主光線入射角θ1 ′′は臨界角以上であり、2θ2 -2θ3 である。又、再度前記第1面104で反射された前記主光線27の前記第2面105に対する2度目の主光線入射角θ2 ′は臨界角以上であり、θ2 +2θ3 である。更に、前記第2面105に再度反射された前記主光線27の前記第4面107に対する主光線入射角θ4 は0°となる。
【0166】
図25に示される表は、前記受光プリズム103の屈折率、前記受光レンズ28のNA、前記受光プリズム83に対する主光線入射角の関係の具体例を示している。
【0167】
図25に示される様に、第11の実施例でも、ケラレを生じない様前記受光プリズム83の屈折率を1.42~2.11、前記受光レンズ28のNAを0.05~0.55の範囲内としている。これにより、主光線入射角θ2 を15°~30°の範囲内とし、主光線入射角θ3 を10°~28°の範囲内とできる。
【0168】
第11の実施例では、前記受光プリズム103の内部で前記反射測距光36を5回反射させ、前記受光レンズ28の焦点距離分の光路長を確保している。従って、受光光学系25の光軸方向の長さをより短くすることができるので、距離測定部19(
図1参照)の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0169】
更に、第11の実施例では、前記受光レンズ28側に前記受光素子26を設けている。従って、該受光素子26を前記距離測定部19の光学系のデッドスペースに配置することができるので、前記距離測定部19の更なる小型化を図ることができる。
【0170】
尚、第11の実施例に於いても。前記第1面104にショートパスフィルタを設けてもよい。ショートパスフィルタの蒸着により、主光線入射角θ1 ′、主光線入射角θ2 ′、主光線入射角θ1 ′′を臨界角よりも小さくすることができるので、前記受光プリズム103を小型化することができ、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
【0171】
尚、第1の実施例~第11の実施例では、集光光学系である前記受光光学系25の光路長を短くする為、前記受光レンズ28で集光される前記反射測距光36の光路上に受光プリズムを設けている。一方で、受光プリズムを発散光学系である投光光学系23(
図1参照)に設け、受光プリズムにより発光素子22(
図1参照)から発せられた測距光35(
図4参照)が略平行光束となる様偏向させてもよい。或は、前記投光光学系23と前記受光光学系25の両方に、受光プリズムを設けてもよい。
【0172】
又、第1の実施例~第11の実施例では、単独の受光プリズムにより前記距離測定部19の光軸方向の長さを短縮しているが、複数のプリズムやミラーを組合わせて前記距離測定部19の光軸方向の長さの短縮を図ってもよい。
【符号の説明】
【0173】
1 測量装置
3 測量装置本体
19 距離測定部
23 投光光学系
25 受光光学系
26 受光素子
27 主光線
28 受光レンズ
29 受光プリズム
31 第1面
32 第2面
33 第3面
34 第4面
35 測距光
36 反射測距光
42 面取り部
45 受光プリズム
46 第1面
47 第2面
48 第3面
49 第4面
51 面取り部
52 受光プリズム
57 受光プリズム
63 三角プリズム
66 受光プリズム
72 受光プリズム
77 受光プリズム
83 受光プリズム
88 受光プリズム
97 受光プリズム
103 受光プリズム