(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】状態評価プログラム及び腕時計用バンド
(51)【国際特許分類】
G04D 7/00 20060101AFI20231128BHJP
G04B 47/06 20060101ALI20231128BHJP
G04D 7/12 20060101ALI20231128BHJP
G04G 17/00 20130101ALI20231128BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G04D7/00 Z
G04B47/06 F
G04D7/12 H
G04D7/12 Z
G04G17/00 E
A44C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2019236797
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2019064797
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】神山 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】重城 幸一郎
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096979(JP,A)
【文献】特公昭52-034952(JP,B1)
【文献】特開昭50-099373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 7/00-7/12
G04B 37/16,47/06
G04G 3/00-99/00
A44C 5/00-5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能
であって、前記センサにより所定時間に収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する状態評価機能
であって、前記刻音データに基づいて前記腕時計が表示している時刻の精度を評価する精度評価処理を実行する精度評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項2】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音が収集されていた時間を累計して累計刻音発生時間を算出し、前記累計刻音発生時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計刻音発生時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項3】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値を超えていた時間を累計して前記腕時計が駆動していた時間である累計駆動時間を算出し、前記累計駆動時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計駆動時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項4】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値以下であったか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記振り角が所定の閾値以下であったと判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項5】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値を超えていたか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記振り角が所定の閾値を超えていたと判定された場合、振り当たりしていることを示す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項6】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の期間の間に所定の変動幅以下で変動していた時間であり、前記腕時計が携帯されていなかった時間を示す非携帯時間を累計した累計非携帯時間を算出し、前記累計非携帯時間が前記腕時計の持続時間を超えているか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計非携帯時間が前記腕時計の持続時間を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻きあげるように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項7】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の期間の間に所定の変動幅を超えて変動していた時間である携帯時間を累計した累計携帯時間を算出し、前記累計携帯時間に前記腕時計を携帯しているユーザの体温を考慮した所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えているか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計携帯時間に前記所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項8】
前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から所定の期間における前記腕時計の歩度を算出し、前記歩度の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、
前記通知データ出力機能は、前記歩度の変化量が所定の閾値を超えたと判定された場合、前記腕時計を脱磁又は修理するように促す前記通知データを出力する機能である、
請求項
1に記載の状態評価プログラム。
【請求項9】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する
機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の姿勢を示す姿勢データを取得する姿勢データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記腕時計の姿勢の傾向を前記姿勢データに基づいて評価し、かつ、前記腕時計の歩度を前記刻音データにより示される刻音に基づいて算出し、前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する機能である状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計の姿勢の傾向に応じて前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項10】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する
機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の加速度を示す加速度データを取得する加速度データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えており、かつ、前記刻音データから算出した前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えていると判定され、かつ、前記刻音データから算出した前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項11】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する
機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示す角速度頻度データを取得する状態データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられていることを示す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項12】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能
であって、前記状態データ取得機能は、前記センサにより収集され、前記腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示す角速度頻度データを取得する角速度頻度データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定されなかった場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項13】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する
機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の温度を示す温度データを取得する温度データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記温度データにより示される温度において、前記刻音データから算出された前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記温度データにより示される温度において、前記刻音データから算出された前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項14】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能
であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の温度の時間変化を示す温度データを取得する温度データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記温度データにより示される温度が所定の閾値を下回っている時間を累計して前記腕時計がユーザに携帯されていない時間の累計である累計非携帯時間を算出し、前記累計非携帯時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記累計非携帯時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項15】
腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する
機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計に印加された磁気の強さの時間変化を示す磁気データを取得する磁気データ取得機能と、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能とを含む状態データ取得機能と、
前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する
機能であって、前記磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えているか否かを判定する機能と、前記刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する機能とを含む状態評価機能と、
前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する
機能であって、前記磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計を脱磁するように促す前記通知データを出力する機能と、前記刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能とを含む通知データ出力機能と、
をコンピュータに実現させるための状態評価プログラム。
【請求項16】
請求項1から請求項
15のいずれか一つに記載の状態評価プログラムを実行するコンピュータが取り付けられた腕時計用バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態評価プログラム及び腕時計用バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式腕時計は、精巧に組み上げられたムーブメントを備えた工芸品としての魅力を有する等の理由から多くのユーザを惹きつけている。ところが、機械式腕時計の状態は、使用状況や使用環境によって変化することがあり、オーバーホール等の修理点検が必要になることがある。このため、機械式腕時計の状態は、機械式腕時計のユーザにとって大きな関心事の一つとなっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、機械式腕時計の精度を評価してユーザに通知する技術の一例として、機械式ムーブメントと、歩度等を計測する機能を有するスマートウォッチ機能を実現するための回路基板とを備える腕時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、上述した腕時計は、回路基板と共に時計ケースに内蔵されている機械式ムーブメントにより表示されている時刻の精度しか評価することができない。このため、当該腕時計は、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計の状態を評価し、適切な修理点検の内容及び時期を通知することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、どのような腕時計であっても状態を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる状態評価プログラム及び腕時計用バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能であって、前記センサにより所定時間に収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する状態評価機能であって、前記刻音データに基づいて前記腕時計が表示している時刻の精度を評価する精度評価処理を実行する精度評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0009】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音が収集されていた時間を累計して累計刻音発生時間を算出し、前記累計刻音発生時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計刻音発生時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である。
【0010】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値を超えていた時間を累計して前記腕時計が駆動していた時間である累計駆動時間を算出し、前記累計駆動時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計駆動時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値以下であったか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記振り角が所定の閾値以下であったと判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である。
【0012】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の閾値を超えていたか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記振り角が所定の閾値を超えていたと判定された場合、振り当たりしていることを示す前記通知データを出力する機能である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の期間の間に所定の変動幅以下で変動していた時間であり、前記腕時計が携帯されていなかった時間を示す非携帯時間を累計した累計非携帯時間を算出し、前記累計非携帯時間が前記腕時計の持続時間を超えているか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計非携帯時間が前記腕時計の持続時間を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻きあげるように促す前記通知データを出力する機能である。
【0014】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から前記腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、前記振り角が所定の期間の間に所定の変動幅を超えて変動していた時間である携帯時間を累計した累計携帯時間を算出し、前記累計携帯時間に前記腕時計を携帯しているユーザの体温を考慮した所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えているか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記精度評価処理において前記累計携帯時間に前記所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能である。
【0015】
また、本発明の一態様に係る状態評価プログラムにおいて、前記精度評価機能は、前記精度評価処理において、前記腕時計の刻音から所定の期間における前記腕時計の歩度を算出し、前記歩度の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する機能であり、前記通知データ出力機能は、前記歩度の変化量が所定の閾値を超えたと判定された場合、前記腕時計を脱磁又は修理するように促す前記通知データを出力する機能である。
【0016】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の姿勢を示す姿勢データを取得する姿勢データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記腕時計の姿勢の傾向を前記姿勢データに基づいて評価し、かつ、前記腕時計の歩度を前記刻音データにより示される刻音に基づいて算出し、前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する機能である状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計の姿勢の傾向に応じて前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0017】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の加速度を示す加速度データを取得する加速度データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えており、かつ、前記刻音データから算出した前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えていると判定され、かつ、前記刻音データから算出した前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0018】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示す角速度頻度データを取得する状態データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられていることを示す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0019】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能であって、前記状態データ取得機能は、前記センサにより収集され、前記腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示す角速度頻度データを取得する角速度頻度データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定されなかった場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0020】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の温度を示す温度データを取得する温度データ取得機能及び前記センサにより収集され、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能を含む状態データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記温度データにより示される温度において、前記刻音データから算出された前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記温度データにより示される温度において、前記刻音データから算出された前記腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0021】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する状態データ取得機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計の温度の時間変化を示す温度データを取得する温度データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記温度データにより示される温度が所定の閾値を下回っている時間を累計して前記腕時計がユーザに携帯されていない時間の累計である累計非携帯時間を算出し、前記累計非携帯時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記累計非携帯時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す前記通知データを出力する通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0022】
また、本発明の一態様は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサにより収集され、前記腕時計の状態を示す状態データを取得する機能であって、前記センサにより収集され、前記腕時計に印加された磁気の強さの時間変化を示す磁気データを取得する磁気データ取得機能と、前記腕時計の刻音を示す刻音データを取得する刻音データ取得機能とを含む状態データ取得機能と、前記状態データに基づいて前記腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する機能であって、前記磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えているか否かを判定する機能と、前記刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する機能とを含む状態評価機能と、前記状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、前記状態評価処理の結果及び前記結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する機能であって、前記磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えていると判定された場合、前記腕時計を脱磁するように促す前記通知データを出力する機能と、前記刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、前記腕時計をオーバーホールするように促す前記通知データを出力する機能とを含む通知データ出力機能と、をコンピュータに実現させるための状態評価プログラムである。
【0024】
また、本発明の一態様は、上述した状態評価プログラムのいずれか一つを実行するコンピュータが取り付けられた腕時計用バンドである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、どのような腕時計であっても状態を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第一実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る腕時計用バンドに搭載されたコンピュータの一例を示す図である。
【
図3】第一実施形態に係るCPUが実行する精度評価プログラムの一例を示す図である。
【
図4】第一実施形態に係る腕時計用バンドが検出した刻音の波形の一例を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る腕時計用バンドが算出した累計刻音発生時間の一例を示す図である。
【
図6】第一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第二実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。
【
図8】第二実施形態に係る腕時計用バンドが算出した累計駆動時間の一例を示す図である。
【
図9】第二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第三実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。
【
図11】第三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第四実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。
【
図13】第四実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第五実施形態に係る腕時計用バンドが算出した平姿勢の場合における振り角と立姿勢の場合における振り角の一例を示す図である。
【
図15】第五実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第六実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第七実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。
【
図18】第七実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】第八実施形態に係るCPUが実行する状態評価プログラムの一例を示す図である。
【
図20】第八実施形態に係る腕時計用バンドが姿勢データに基づいて評価した腕時計の姿勢の傾向の一例を示す図である。
【
図21】第八実施形態に係る姿勢データにより示される腕時計の姿勢と、刻音データに基づいて算出された歩度と、オーバーホールの際に調整すべき歩度との関係の一例を示す図である。
【
図22】第八実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図23】第九実施形態に係る加速度データにより示される腕時計の加速度の一例を示す図である。
【
図24】第九実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図25】第十実施形態に係る角速度頻度データにより示される角速度の頻度の一例を示す図である。
【
図26】第十実施形態に係る角速度頻度データにより示される腕時計に加わる角速度の頻度の一例を示す図である。
【
図27】第十実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図28】第十一実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度の頻度の一例を示す図である。
【
図29】第十一実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度と、刻音データに基づいて算出された腕時計の歩度との関係の一例を示す図である。
【
図30】第十一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図31】第十二実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度の時間変化の一例を示す図である。
【
図32】第十二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図33】第十三実施形態に係る刻音データにより示される磁気の強さの時間変化の一例を示す図である。
【
図34】第十三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第一実施形態]
図1から
図5を参照しながら、第一実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。
図1は、第一実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
図2は、第一実施形態に係る腕時計用バンドに搭載されたコンピュータの一例を示す図である。
図1に示すように、腕時計100は、時計ケース10と、バネ棒20と、腕時計用バンド30とを備える。
【0028】
時計ケース10は、機械式ムーブメント、時針、分針、秒針等が収納されている筐体であり、バネ棒20により腕時計用バンド30と接続されている。
【0029】
腕時計用バンド30は、センサ31と、アンプ32と、フィルタ33と、発振回路34と、分周回路35と、ROM(Read Only Memory)36と、RAM(Random Access Memory)37と、CPU(Central Processing Unit)38と、通信部39とを備える。
【0030】
センサ31は、腕時計100の状態を示す物理量を計測し、腕時計100の状態を示す状態データを生成する装置であり、互いに異なる物理量を計測する複数のセンサを含んでいてもよい。例えば、センサ31は、腕時計100の内部で発生する刻音を検出し、刻音を示す刻音データを生成する装置である。ここで言う刻音は、例えば、腕時計100が備える脱進機が動作することにより発生する音である。すなわち、ここで言う刻音は、例えば、腕時計100が備えるがんぎ車とアンクルとが接触することにより発生する音である。また、センサ31は、例えば、圧電素子、マイクロフォンである。さらに、センサ31は、腕時計100に取り付けられているバネ棒20に接触しており、バネ等によりバネ棒20に押圧されていてもよい。
【0031】
センサ31は、腕時計100が備える時計ケース10及びバネ棒20を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出する。或いは、腕時計100が備える時計ケース10及び空気中を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出する。そして、センサ31は、検出した刻音をアナログ形式又はデジタル形式のデータである刻音データに変換してアンプ32に送信する。アンプ32は、刻音データが示す刻音の波形の振幅を増幅する。フィルタ33は、アンプ32により増幅された刻音の波形に含まれるノイズを除去して刻音データをCPU38に送信する。
【0032】
発振回路34は、所定の周波数、例えば、32768Hzの周波数を有する信号を発生させて分周回路35に送信する。分周回路35は、発振回路34から受信した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生させてCPU38に送信する。
【0033】
ROM36は、CPU38が読み出して実行するプログラム、例えば、
図3に示した精度評価プログラム360を記憶している。
図3は、第一実施形態に係るCPUが実行する精度評価プログラムの一例を示す図である。
図3に示すように、精度評価プログラム360は、刻音データ取得機能361と、精度評価機能362と、通知データ出力機能363とを備える。精度評価プログラム360は、状態評価プログラムの一例である。また、刻音データ取得機能361及び精度評価機能362は、それぞれ状態データ取得機能及び状態評価機能の一例である。状態データ取得機能は、腕時計100に取り付けられた腕時計用バンド30に搭載されたセンサ31により収集され、腕時計100の状態を示す状態データを取得する。状態評価機能は、状態データに基づいて腕時計100の状態を評価する状態評価処理を実行する。
【0034】
刻音データ取得機能361は、腕時計100に取り付けられた腕時計用バンド30に搭載されたセンサ31により所定時間に収集され、腕時計100の刻音を示す刻音データを取得する機能である。ここで言う所定時間は、所定の期間において任意のタイミングで設定されている時間であり、周期的なタイミングでも非周期的なタイミングであってもよい。ただし、センサ31が腕時計100の刻音を収集する回数は、腕時計100の電池が早期に消耗しない程度が好ましい。
【0035】
精度評価機能362は、刻音データに基づいて腕時計100が表示している時刻の精度を評価する精度評価処理を実行する機能である。具体的には、精度評価機能362は、精度評価処理において、腕時計100の刻音が収集されていた時間を累計して累計刻音発生時間を算出する。
【0036】
図4は、第一実施形態に係る腕時計用バンドが検出した刻音の波形の一例を示す図である。
図4に示した期間T11及び期間T12は、刻音が発生している期間、すなわち腕時計100が駆動している期間の一例である。
図4に示した期間T10は、刻音が発生していない期間、すなわち腕時計100が駆動していない期間の一例である。
【0037】
精度評価機能362は、期間T11が終了したら、期間T11を腕時計100の刻音が収集されていた時間とし、期間T11の長さを累計刻音発生時間として算出する。その後、精度評価機能362は、期間T10が終了しても、期間T10を腕時計100の刻音が収集されていた時間として累計しない。更にその後、精度評価機能362は、期間T12が終了したら、期間T11及び期間T12を腕時計100の刻音が収集されていた時間とし、期間T11及び期間T12の長さの合計を累計刻音発生時間として算出する。
図5は、第一実施形態に係る腕時計用バンドが算出した累計刻音発生時間の一例を示す図である。例えば、
図5に示すように、精度評価機能362は、同様の処理を繰り返すことにより、刻音が発生する度に累計刻音発生時間を更新する。
【0038】
そして、精度評価機能362は、累計刻音発生時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。例えば、精度評価機能362は、累計刻音発生時間が
図5に示した破線Th1で示される閾値を超えているか否かを判定する。
【0039】
通知データ出力機能363は、状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、状態評価処理の結果及び結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する。例えば、通知データ出力機能363は、精度評価処理において所定の条件が満たされた場合、精度評価処理の結果及び当該結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する。例えば、通知データ出力機能363は、精度評価処理において累計刻音発生時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。また、通知データは、他の機器、例えば、スマートフォン、タブレットへ出力され、当該他の機器が備えているディスプレイやスピーカにより出力される。
【0040】
RAM37は、センサ31、アンプ32及びフィルタ33を使用して収集された各種、例えば、刻音データを記憶する。CPU38は、ROM36が記憶しているプログラムを読み出して実行する。通信部39は、腕時計100以外の機器、例えば、スマートフォン、タブレットと通信を実行する。また、通信部39が実行する通信は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信である。
【0041】
次に、
図6を参照しながら、第一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。
図6は、第一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS11において、腕時計用バンド30は、刻音データ取得機能361により、腕時計100の刻音を示す刻音データを取得する。
【0043】
ステップS12において、腕時計用バンド30は、精度評価機能362により、腕時計100の刻音が収集されていた時間を累計して累計刻音発生時間を算出する。
【0044】
ステップS13において、腕時計用バンド30は、精度評価機能362により、ステップS12で算出された累計刻音発生時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。腕時計用バンド30は、ステップS12で算出された累計刻音発生時間が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS13:YES)、処理をステップS14に進め、ステップS12で算出された累計刻音発生時間が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS13:NO)、処理をステップS11に戻す。
【0045】
ステップS14において、腕時計用バンド30は、通知データ出力機能363により、腕時計100をオーバーホールするように促す通知データを出力する。具体的には、腕時計用バンド30は、通信部39を使用し当該通知データを腕時計100以外の機器に送信する。
【0046】
以上、第一実施形態に係る精度評価プログラム360について説明した。精度評価プログラム360は、腕時計用バンド30に搭載されたセンサ31により所定時間に収集され、腕時計100の刻音を示す刻音データに基づいて腕時計100が表示している時刻の精度を評価する精度評価処理を実行する。そして、精度評価プログラム360は、精度評価処理において所定の条件が満たされた場合、精度評価処理の結果及び当該結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する。
【0047】
したがって、精度評価プログラム360は、腕時計100が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計100自身が有していなくても、腕時計100が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラム360は、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計100を使用し続け、かつ、腕時計100が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0048】
また、精度評価プログラム360は、腕時計100の刻音が収集されていた時間を累計した累計刻音発生時間が所定の閾値を超えている場合、腕時計100をオーバーホールするように促す通知データを出力する。つまり、精度評価プログラム360は、腕時計100の刻音に基づいて、通知データを出力するか否かを判定する。
【0049】
したがって、精度評価プログラム360は、刻音データを別のデータに変換しないため、CPU38への負荷を軽減しつつ、上述した効果を奏することができる。
【0050】
[第二実施形態]
図7を参照しながら、第二実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第二実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が第一実施形態に係る精度評価プログラムと異なる。そこで、第二実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した第一実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0051】
精度評価機能は、精度評価処理において、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。具体的には、精度評価機能は、所定時間におけるテンプの振り角を算出する。ここで言う所定時間は、所定の期間において任意のタイミングで設定されている時間であり、周期的なタイミングでも非周期的なタイミングであってもよい。また、所定時間が周期的なタイミングで設定されている時間である場合、周期は、例えば、24時間である。
【0052】
図7は、第二実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。
図7は、精度評価機能により24時間ごとに算出されたテンプの振り角の一例を示している。
図7に示した期間T21及び期間T22は、振り角が所定の閾値を超えていた期間、すなわち腕時計が駆動していた期間の一例である。
図7に示した期間T20は、振り角が所定の閾値以下であった期間、すなわち腕時計が駆動していなかった期間の一例である。
【0053】
精度評価機能は、期間T21が終了したら、期間T21の間、腕時計が駆動していたと推定し、期間T21の長さを累計駆動時間として算出する。その後、精度評価機能362は、期間T20が終了しても、期間T20の間、腕時計が駆動していなかったと推定し、期間T20の長さを腕時計が駆動していた時間として累計しない。更にその後、精度評価機能362は、期間T22の間、腕時計が駆動していたと推定し、期間T21及び期間T22の長さの合計を累計駆動時間として算出する。また、精度評価機能は、同様の処理を繰り返すことにより、設定されているタイミングで累計駆動時間を更新する。
【0054】
そして、精度評価機能は、累計駆動時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。
図8は、第二実施形態に係る腕時計用バンドが算出した累計駆動時間の一例を示す図である。
図8に示した破線Th21は、当該所定の閾値を示している。例えば、精度評価機能は、累計駆動時間が
図8に示した破線Th21で示される閾値を超えているか否かを判定する。
【0055】
通知データ出力機能は、精度評価処理において累計駆動時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0056】
次に、図9を参照しながら、第二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図9は、第二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS21において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0058】
ステップS22において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、振り角が所定の閾値を超えていた時間を累計して腕時計が駆動していた時間である累計駆動時間を算出する。
【0059】
ステップS23において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS22で算出された累計駆動時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS22で算出された累計駆動時間が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS23:YES)、処理をステップS24に進め、ステップS22で算出された累計駆動時間が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS23:NO)、処理をステップS21に戻す。
【0060】
ステップS24において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0061】
以上、第二実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第二実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計用バンドに搭載されたセンサにより所定時間に収集された刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、当該振り角が所定の閾値を超えていた時間を累計して腕時計が駆動していた時間である累計駆動時間を算出する。そして、第二実施形態に係る精度評価プログラムは、累計駆動時間が所定の閾値を超えていると判定した場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0062】
したがって、第二実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0063】
第二実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、当該振り角に基づいて、通知データを出力するか否かを判定する。また、振り角は、刻音よりもノイズが少ない。したがって、第二実施形態に係る精度評価プログラムは、累計駆動時間が所定の閾値を超えているか否かの判定を正確に実行した上で通知データを出力することができる。
【0064】
[第三実施形態]
図10を参照しながら、第三実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第三実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が上述した二つの精度評価プログラムと異なる。そこで、第三実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した二つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0065】
精度評価機能は、精度評価処理において、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。具体的には、精度評価機能は、所定時間におけるテンプの振り角を算出する。ここで言う所定時間は、所定の期間において任意のタイミングで設定されている時間であり、周期的なタイミングでも非周期的なタイミングであってもよい。また、所定時間が周期的なタイミングで設定されている時間である場合、周期は、例えば、24時間である。
【0066】
図10は、第三実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。図10は、精度評価機能により24時間ごとに算出されたテンプの振り角の一例を示している。精度評価機能により算出される振り角は、時間の経過と共に減少することがある。なぜなら、腕時計が備えるムーブメントを構成している部品に付着している潤滑油の量が減少したり、腕時計が備える動力ぜんまいが劣化したりすることにより、ムーブメントが動作する際の抵抗が大きくなることや動力ぜんまいのトルク不足になることがあるからである。なお、動力ぜんまいは、香箱車に組み込まれており、腕時計100を駆動する動力源となる。また、動力ぜんまいは、腕時計100の持続時間及びトルクに影響を及ぼす。
【0067】
そして、精度評価機能は、振り角が所定の閾値以下であったか否かを判定する。例えば、精度評価機能は、振り角が図10に示した破線Th3で示される閾値以下であったか否かを判定する。
【0068】
通知データ出力機能は、精度評価処理において振り角が所定の閾値以下であったと判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0069】
次に、図11を参照しながら、第三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図11は、第三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS31において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0071】
ステップS32において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。
【0072】
ステップS33において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS32で算出された振り角が所定の閾値以下であるか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS32で算出された振り角が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS33:YES)、処理をステップS34に進め、ステップS32で算出された振り角が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS33:NO)、処理をステップS31に戻す。
【0073】
ステップS34において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0074】
以上、第三実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第三実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計用バンドに搭載されたセンサにより所定時間に収集された刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。そして、第三実施形態に係る精度評価プログラムは、当該振り角が所定の閾値以下であったと判定した場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0075】
したがって、第三実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0076】
なお、第三実施形態では、精度評価機能がテンプの振り角を算出し、当該振り角に基づいて、通知データを出力するか否かを判定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、精度評価機能が異なるタイミングにおける振り角を算出し、これら複数の振り角の統計値、例えば、平均値、最大値、最小値に基づいて、通知データを出力するか否かを判定してもよい。
【0077】
[第四実施形態]
図12を参照しながら、第四実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第四実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が上述した三つの精度評価プログラムと異なる。そこで、第四実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した三つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0078】
精度評価機能は、精度評価処理において、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。具体的には、精度評価機能は、所定時間におけるテンプの振り角を算出する。ここで言う所定時間は、所定の期間において任意のタイミングで設定されている時間であり、周期的なタイミングでも非周期的なタイミングであってもよい。また、所定時間が周期的なタイミングで設定されている時間である場合、周期は、例えば、24時間である。
【0079】
図12は、第四実施形態に係る腕時計用バンドが算出した振り角の一例を示す図である。図12は、精度評価機能により24時間ごとに算出されたテンプの振り角の一例を示している。図12に示した期間T41及び期間T42は、腕時計が備えるテンプの振り角が正常範囲内にある期間の一例である。図12に示した期間T40は、腕時計が備えるテンプの振り角が大きくなり過ぎるために歩度が所定の範囲から逸脱している期間の一例である。テンプの振り角が大きくなり過ぎている現象は、振り当たりとも呼ばれる。例えば、図12に示すように、精度評価機能は、設定されたタイミングごとに発生した刻音を示す刻音データから当該タイミングごとに振り角を算出する。
【0080】
そして、精度評価機能は、振り角が所定の閾値を超えていたか否かを判定する。例えば、精度評価機能は、振り角が図12に示した破線Th4で示される閾値、例えば、360度を超えていたか否かを判定する。この場合、振り角は、図12に示した期間T41及び期間T42では360度を超えていないが、図12に示した期間T40では360度を超えている。したがって、この場合、精度評価機能は、振り角が所定の閾値を超えていたと判定する。
【0081】
通知データ出力機能は、精度評価処理において振り角が所定の閾値を超えていたと判定された場合、振り当たりしていることを示す通知データを出力する。
【0082】
次に、図13を参照しながら、第四実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図13は、第四実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS41において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0084】
ステップS42において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。
【0085】
ステップS43において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS42で算出された振り角が所定の閾値を超えていたか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS42で算出された振り角が所定の閾値を超えていたと判定された場合(ステップS43:YES)、処理をステップS44に進め、ステップS42で算出された振り角が所定の閾値以下であったと判定された場合(ステップS43:NO)、処理をステップS41に戻す。
【0086】
ステップS44において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、算出された振り角が所定の閾値を超えていたと判定された場合、振り当たりしていることを示す通知データを出力する。
【0087】
以上、第四実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第四実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計用バンドに搭載されたセンサにより所定時間に収集された刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。そして、第四実施形態に係る精度評価プログラムは、当該振り角が所定の閾値を超えていたと判定した場合、腕時計の刻音から腕時計の歩度を算出し、歩度が所定の範囲から逸脱していることを示す通知データを出力する。
【0088】
したがって、第四実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0089】
なお、第四実施形態では、精度評価機能がテンプの振り角を算出し、当該振り角に基づいて、通知データを出力するか否かを判定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、精度評価機能が異なるタイミングにおける振り角を算出し、これら複数の振り角の統計値、例えば、平均値、最大値に基づいて、通知データを出力するか否かを判定してもよい。
【0090】
[第五実施形態]
図14を参照しながら、第五実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第五実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が上述した四つの精度評価プログラムと異なる。そこで、第五実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した四つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0091】
精度評価機能は、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。次に、精度評価機能は、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅以下で変動していた時間であり、腕時計が携帯されていなかった時間を示す非携帯時間を累計した累計非携帯時間を算出する。ここで言う所定の期間は、例えば、数秒から数分である。また、ここで言う所定の変動幅は、例えば、20度から30度である。
【0092】
図14は、第五実施形態に係る腕時計用バンドが算出した平姿勢の場合における振り角と立姿勢の場合における振り角の一例を示す図である。テンプの振り角は、腕時計が平姿勢と立姿勢では変動する。平姿勢は、腕時計の文字板に平行な平面が重力方向に対して垂直となる姿勢である。腕時計が平姿勢である場合、ひげぜんまいに加わる重力が小さくなるため、振り角が比較的大きくなり易い。一方、立姿勢は、腕時計の文字板に平行な平面が重力方向に対して平行となる姿勢である。腕時計が立姿勢である場合、ひげぜんまいに加わる重力が大きくなるため、振り角が比較的小さくなり易い。また、上述した所定の変動幅は、図14に示した所定の時間Th5、例えば、20度から30度である。なお、ひげぜんまいは、テンプに組み込まれており、腕時計100が示す時刻の精度に影響を及ぼす。
【0093】
腕時計がユーザに携帯されている場合、数秒から数分で腕時計が平姿勢と立姿勢とを交互にとり、振り角の変動幅が大きくなるため、腕時計が携帯されていると判定される。一方、腕時計がユーザに携帯されていない場合、長期間、腕時計が平姿勢又は立姿勢をとり、振り角の変動幅が小さくなるため、腕時計が携帯されていないと判定される。
【0094】
そして、精度評価機能は、累計非携帯時間が腕時計の持続時間を超えているか否かを判定する。ここで言う持続時間は、動力ぜんまいを完全に巻き上げてから動力ぜんまいが完全に巻きほどけるまでの時間である。
【0095】
通知データ出力機能は、精度評価処理において累計非携帯時間が腕時計の持続時間を超えていると判定された場合、腕時計の動力ぜんまいを巻きあげるように促す通知データを出力する。
【0096】
次に、図15を参照しながら、第五実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図15は、第五実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0097】
ステップS51において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0098】
ステップS52において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅以下で変動していた時間であり、腕時計が携帯されていなかった時間を示す非携帯時間を累計した累計非携帯時間を算出する。
【0099】
ステップS53において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS52で算出された累計非携帯時間が腕時計の持続時間を超えているか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS52で算出された累計非携帯時間が腕時計の持続時間を超えていると判定した場合(ステップS53:YES)、処理をステップS54に進め、ステップS52で算出された累計非携帯時間が腕時計の持続時間以下であると判定した場合(ステップS53:NO)、処理をステップS51に戻す。
【0100】
ステップS54において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、腕時計の動力ぜんまいを巻きあげるように促す通知データを出力する。
【0101】
以上、第五実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第五実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅以下で変動していた時間であり、腕時計が携帯されていなかった時間を示す非携帯時間を累計した累計非携帯時間を算出する。そして、精度評価プログラムは、累計非携帯時間が腕時計の持続時間を超えていると判定した場合、腕時計の動力ぜんまいを巻きあげるように促す通知データを出力する。
【0102】
したがって、第五実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0103】
[第六実施形態]
第六実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第六実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が上述した五つの精度評価プログラムと異なる。そこで、第六実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した五つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0104】
精度評価機能は、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出する。次に、精度評価機能は、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅を超えて変動していた時間である携帯時間を累計した累計携帯時間を算出する。ここで言う所定の期間は、例えば、数秒から数分である。また、ここで言う所定の変動幅は、例えば、20度から30度である。
【0105】
そして、精度評価機能は、累計携帯時間に腕時計を携帯しているユーザの体温を考慮した所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えているか否かを判定する。ここで言う係数は、腕時計を携帯しているユーザの体温により腕時計のムーブメントの部品に塗布されている潤滑油が加熱されて劣化する現象を考慮して定められた係数である。この潤滑油が劣化している場合、ムーブメントが動作する際の抵抗が大きくなるため、腕時計が表示している時刻の精度が低下することがある。
【0106】
通知データ出力機能は、精度評価処理において累計携帯時間に所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0107】
次に、図16を参照しながら、第六実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図16は、第六実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0108】
ステップS61において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0109】
ステップS62において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅を超えて変動していた時間である携帯時間を累計した累計携帯時間を算出する。
【0110】
ステップS63において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS62で算出された累計携帯時間に腕時計を携帯しているユーザの体温を考慮した所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えているか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS62で算出された累計携帯時間に所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えていると判定した場合(ステップS63:YES)、処理をステップS64に進め、ステップS62で算出された累計携帯時間に所定の係数を掛けた時間が所定の時間以下であると判定した場合(ステップS63:NO)、処理をステップS61に戻す。
【0111】
ステップS64において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0112】
以上、第六実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第六実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価処理において、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの振り角を算出し、振り角が所定の期間の間に所定の変動幅を超えて変動していた時間である携帯時間を累計した累計携帯時間を算出する。そして、精度評価プログラムは、累計携帯時間に所定の係数を掛けた時間が所定の時間を超えていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0113】
したがって、第六実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0114】
[第七実施形態]
図17を参照しながら、第七実施形態に係る精度評価プログラムについて説明する。第七実施形態に係る精度評価プログラムは、精度評価機能及び通知データ出力機能が上述した六つの精度評価プログラムと異なる。そこで、第七実施形態では、精度評価機能及び通知データを中心に説明し、上述した六つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0115】
精度評価機能は、腕時計の刻音から腕時計が備えるテンプの歩度を算出する。具体的には、精度評価機能は、所定時間における腕時計の歩度を算出する。ここで言う所定時間は、所定の期間において任意のタイミングで設定されている時間であり、周期的なタイミングでも非周期的なタイミングであってもよい。また、所定時間が周期的なタイミングで設定されている時間である場合、周期は、例えば、24時間である。
【0116】
図17は、第七実施形態に係る腕時計用バンドが算出した歩度の一例を示す図である。図17は、精度評価機能により24時間ごとに算出された腕時計の歩度の一例を示している。
【0117】
精度評価機能は、歩度の変化量が所定の閾値を超えたか否かを判定する。例えば、図17に示すように、精度評価機能は、破線D71で示される歩度を算出した後に破線D72で示される歩度を算出し、これら二つの歩度の差V7が所定の閾値を超えたか否かを判定する。
【0118】
通知データ出力機能は、歩度の変化量が所定の閾値を超えたと判定された場合、腕時計を脱磁又は修理するように促す通知データを出力する。なぜなら、腕時計の歩度が大きく増加又は減少し、増加又は減少した後の歩度が維持されている場合、腕時計のムーブメントを構成している部品が破損している場合又は外部磁場により磁化されている場合が多いからである。
【0119】
次に、図18を参照しながら、第七実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図18は、第七実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
ステップS71において、腕時計用バンドは、刻音データ取得機能により、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0121】
ステップS72において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、腕時計の刻音から腕時計の歩度を算出する。
【0122】
ステップS73において、腕時計用バンドは、精度評価機能により、ステップS72で算出された歩度の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する。腕時計用バンドは、ステップS72で算出された歩度の変化量が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS73:YES)、処理をステップS74に進め、ステップS72で算出された歩度の変化量が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS73:NO)、処理をステップS71に戻す。
【0123】
ステップS74において、腕時計用バンドは、通知データ出力機能により、腕時計を脱磁又は修理するように促す通知データを出力する。
【0124】
以上、第七実施形態に係る精度評価プログラムについて説明した。第七実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計の刻音から所定の期間における腕時計の歩度を算出する。そして、精度評価プログラムは、歩度の変化量が所定の閾値を超えたと判定した場合、腕時計を脱磁又は修理するように促す通知データを出力する。
【0125】
したがって、第七実施形態に係る精度評価プログラムは、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知する機能を腕時計自身が有していなくても、腕時計が表示している時刻の精度を評価し、適切な修理点検の内容や時期を通知することを可能にすることができる。このため、精度評価プログラムは、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計を使用し続け、かつ、腕時計が表示している時刻の精度を評価して通知することを可能にすることができる。
【0126】
[第八実施形態]
図19から図21を参照しながら、第八実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第八実施形態では、上述した七つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。
【0127】
図19は、第八実施形態に係るCPUが実行する状態評価プログラムの一例を示す図である。図19に示すように、状態評価プログラム365は、状態データ取得機能366と、状態評価機能367と、通知データ出力機能368とを備える。
【0128】
状態データ取得機能366は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサより収集され、腕時計の状態を示す状態データを取得する。具体的には、状態データ取得機能366は、姿勢データ取得機能及び刻音データ取得機能を含んでいる。
【0129】
姿勢データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の姿勢を示す姿勢データを取得する。この場合、センサは、加速度センサを含んでいる。姿勢データは、所定の期間、加速度センサにより計測されていた腕時計の加速度に基づいて特定された腕時計の姿勢を示すデータである。また、姿勢データは、所定の期間、加速度センサにより計測されていた腕時計の加速度の統計値に基づいて特定された腕時計の姿勢を示すデータであってもよい。ここで言う統計値は、例えば、最大値、最小値、平均値、中央値である。
【0130】
図20は、第八実施形態に係る腕時計用バンドが姿勢データに基づいて評価した腕時計の姿勢の傾向の一例を示す図である。図20は、横軸が腕時計の姿勢を示しており、縦軸が腕時計の姿勢各々の頻度を示している。
【0131】
図20に示した「文字板上」は、腕時計の文字板が重力の方向と反対の方向を向いている姿勢を表している。図20に示した「文字板下」は、腕時計の文字板が重力の方向を向いている姿勢を表している。図20に示した「3時上」、「6時上」、「9時上」及び「12時上」は、それぞれ時針等を支持している点から文字板のうち3時、6時、9時及び12時各々の時字に向かう方向が重力の方向と反対の方向を向いている姿勢を表している。また、図20に示した頻度は、姿勢データを対応する腕時計の姿勢ごとに集計することにより得られる値である。
【0132】
刻音データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0133】
状態評価機能367は、状態データに基づいて腕時計の状態を評価する状態評価処理を実行する。具体的には、状態評価機能367は、腕時計の姿勢の傾向を姿勢データに基づいて評価し、かつ、腕時計の歩度を刻音データにより示される刻音に基づいて算出する。
【0134】
通知データ出力機能368は、状態評価処理において所定の条件が満たされた場合、状態評価処理の結果及び結果を踏まえた修理点検の内容の少なくとも一方を示す通知データを出力する。具体的には、通知データ出力機能368は、腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、図20に示した腕時計の姿勢の傾向に応じて腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0135】
図21は、第八実施形態に係る姿勢データにより示される腕時計の姿勢と、刻音データに基づいて算出された歩度と、オーバーホールの際に調整すべき歩度との関係の一例を示す図である。図21の一列目、二列目及び三列目は、それぞれ姿勢データにより示される腕時計の姿勢、刻音データに基づいて算出された腕時計の歩度及びオーバーホールの際に調整すべき歩度を示している。
【0136】
例えば、通知データ出力機能368は、図20に示すように「6時上」の姿勢となる頻度が他の姿勢となる頻度よりも大きく、図21の五行二列目に示すように刻音データに基づいて算出された歩度が「-4」である場合、オーバーホールの際に歩度が「+5」になるように調整するように促す通知データを出力する。これにより、姿勢の傾向による負の歩度と、オーバーホールによる正の歩度とが相殺されるため、腕時計は、より正確な時刻を表示することができるようになる。
【0137】
次に、図22を参照しながら、第八実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図22は、第八実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0138】
ステップS81において、状態データ取得機能366は、腕時計の姿勢を示す姿勢データを取得する。
【0139】
ステップS82において、状態評価機能367は、姿勢データにより示される腕時計の姿勢の傾向を評価する。
【0140】
ステップS83において、状態データ取得機能366は、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0141】
ステップS84において、状態評価機能367は、腕時計の歩度を刻音データにより示される腕時計の刻音に基づいて算出する。
【0142】
ステップS85において、状態評価機能367は、ステップS84で算出された歩度が
所定の範囲から外れているか否かを判定する。状態評価機能367は、ステップS84で算出された歩度が所定の範囲から外れていると判定した場合(ステップS85:YES)、処理をステップS86に進める。一方、状態評価機能367は、ステップS84で算出された歩度が所定の範囲に収まっていると判定した場合(ステップS85:NO)、処理をステップS81に戻す。
【0143】
ステップS86において、通知データ出力機能368は、ステップS82で評価された腕時計の姿勢の傾向に応じて腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0144】
以上、第八実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、腕時計の姿勢の傾向を姿勢データに基づいて評価し、かつ、腕時計の歩度を刻音データにより示される刻音に基づいて算出し、腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する。そして、状態評価プログラムは、腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計の姿勢の傾向に応じて腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計の姿勢及び歩度を評価し、当該歩度に基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0145】
[第九実施形態]
図23を参照しながら、第九実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第九実施形態では、上述した八つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。状態評価プログラムは、状態データ取得機能と、状態評価機能と、通知データ出力機能とを備える。
【0146】
状態データ取得機能は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサより収集され、腕時計の状態を示す状態データを取得する。具体的には、状態データ取得機能は、加速度データ取得機能及び刻音データ取得機能を含んでいる。
【0147】
加速度データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の加速度を示す加速度データを取得する。この場合、センサは、加速度センサを含んでいる。図23は、第九実施形態に係る加速度データにより示される腕時計の加速度の一例を示す図である。加速度データは、例えば、図23に示すように、腕時計の加速度の時間変化を示すデータである。なお、加速度データは、腕時計の加速度の時間変化ではなく、所定の期間に計測された腕時計の加速度又はその統計値を示すデータであってもよい。また、ここで言う統計値は、例えば、最大値、最小値、平均値、中央値である。
【0148】
刻音データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0149】
状態評価機能は、加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えており、かつ、刻音データから算出した腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する。また、加速度に関する所定の閾値は、例えば、図23に示した点線Th9により示される閾値であり、落下等により腕時計の加速度が大きくなったか否かを判定するために使用される。腕時計の加速度は、腕時計が通常通りに使用されている場合、数Gから数十G程度であり、腕時計が落下等した場合、数千Gから数万Gとなる。したがって、上述した判定に使用される所定の閾値は、比較的容易に設定され得る。
【0150】
通知データ出力機能は、加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えていると判定され、かつ、刻音データから算出した腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0151】
次に、図24を参照しながら、第九実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図24は、第九実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0152】
ステップS91において、状態データ取得機能は、腕時計の加速度を示す加速度データを取得する。
【0153】
ステップS92において、状態データ取得機能は、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0154】
。
ステップS93において、状態評価機能は、腕時計の歩度をステップS92で取得された刻音データにより示される腕時計の刻音に基づいて算出する。
【0155】
ステップS94において、状態評価機能は、ステップS91で取得された加速度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS91で取得された加速度が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS94:YES)、処理をステップS95に進める。一方、状態評価機能は、ステップS91で取得された加速度が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS94:NO)、処理をステップS91に戻す。
【0156】
ステップS95において、状態評価機能は、ステップS93で算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れているかを判定する。状態評価機能は、ステップS93で算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定した場合(ステップS95:YES)、処理をステップS96に進める。一方、状態評価機能は、ステップS93で算出された腕時計の歩度が所定の範囲に収まっていると判定した場合(ステップS95:NO)、処理をステップS91に戻す。
【0157】
ステップS96において、通知データ出力機能は、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0158】
以上、第九実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、加速度データにより示される加速度が所定の閾値を超えていると判定され、かつ、刻音データから算出した腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計の加速度及び歩度を評価し、当該加速度及び歩度に基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0159】
[第十実施形態]
図25及び図26を参照しながら、第十実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第十実施形態では、上述した九つの実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。さらに、第十実施形態に係る腕時計は、自動的に動力ぜんまいを巻き上げるための回転錘を備える。状態評価プログラムは、状態データ取得機能と、状態評価機能と、通知データ出力機能とを備える。
【0160】
状態データ取得機能は、センサにより収集され、角速度頻度データを取得する。この場合、センサは、ジャイロセンサを含んでいる。
【0161】
角速度頻度データは、腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示すデータである。腕時計に加わる角速度は、例えば、所定の期間、ジャイロセンサにより計測される。また、角速度頻度データにより示される角速度は、ジャイロセンサにより計測された角速度であってもよいし、当該角速度の統計値であってもよい。ここで言う統計値は、例えば、最大値、最小値、平均値、中央値である。
【0162】
図25及び図26は、いずれも第十実施形態に係る角速度頻度データにより示される角速度の頻度の一例を示す図である。図25は、腕の振りが比較的小さなユーザに携帯されている腕時計に加わる角速度の頻度の一例を示している。一方、図26は、腕の振りが比較的大きなユーザに携帯されている腕時計に加わる角速度の頻度の一例を示している。図25及び図26は、いずれも0~25、26~50、…、226~250の範囲ごとの腕時計に加わる角速度の頻度を棒グラフで示している。
【0163】
腕の振りが比較的小さなユーザに携帯されている場合、腕時計に加わる角速度は、例えば、図25に示すように、100以下の値を示す頻度が高く、100を超える値を示す頻度が低くなる。また、腕時計に加わる角速度が小さい場合、回転錘の回転が促進され難くなるため、腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられ難くなる。
【0164】
一方、腕の振りが比較的大きなユーザに携帯されている場合、腕時計に加わる角速度は、例えば、図26に示すように、100以下の値を示す頻度が図25に示した場合と同程度に高く、100を超える値を示す頻度も100以下の値を示す頻度と同程度となる。また、腕時計に加わる角速度が大きい場合、回転錘の回転が促進され易くなるため、腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられ易くなる。
【0165】
状態評価機能は、角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。具体的には、状態評価機能は、角速度頻度データにより示されている角速度の少なくとも一部が所定の閾値を超えているか否かを判定する。当該所定の閾値は、例えば、図25及び図26に示した点線Th101で示される閾値である。そして、状態評価機能は、角速度頻度データにより示されている頻度の少なくとも一部が所定の閾値を超えているか否かを判定する。当該所定の閾値は、例えば、図25及び図26に示した点線Th102で示される閾値である。
【0166】
通知データ出力機能は、角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられていることを示す通知データを出力する。また、通知データ出力機能は、角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定されなかった場合、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。
【0167】
次に、図27を参照しながら、第十実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図27は、第十実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0168】
ステップS101において、状態データ取得機能は、腕時計に加わる角速度の頻度を少なくとも二つの角速度の範囲ごとに示す角速度頻度データを取得する。
【0169】
ステップS102において、状態評価機能は、ステップS101で取得された角速度頻度データにより示されている角速度の少なくとも一部が所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS101で取得された角速度頻度データにより示されている角速度の少なくとも一部が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS102:YES)、処理をステップS103に進める。一方、状態評価機能は、ステップS101で取得された角速度頻度データにより示されている角速度の少なくとも一部が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS102:NO)、処理をステップS105に進める。
【0170】
ステップS103において、状態評価機能は、ステップS102で取得された角速度頻度データにより示されている頻度の少なくとも一部が所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS102で取得された角速度頻度データにより示されている頻度の少なくとも一部が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS103:YES)、処理をステップS104に進める。一方、状態評価機能は、ステップS102で取得された角速度頻度データにより示されている頻度の少なくとも一部が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS103:NO)、処理をステップS105に進める。
【0171】
ステップS104において、通知データ出力機能は、腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられていることを示す通知データを出力する。
【0172】
ステップS105において、通知データ出力機能は、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。
【0173】
以上、第十実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計の動力ぜんまいが巻き上げられていることを示す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計に加わる角速度及び歩度に基づいて、回転錘が十分に回転し、動力ぜんまいが十分に巻き上げられていると評価できる場合、動力ぜんまいが十分に巻き上げられている旨を通知することができる。
【0174】
一方、状態評価プログラムは、角速度頻度データにより示されている角速度が所定の閾値を超えている範囲における頻度が所定の閾値を超えていると判定されなかった場合、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計に加わる角速度及び歩度に基づいて、回転錘が十分に回転し、動力ぜんまいが十分に巻き上げられていないと評価できる場合、動力ぜんまいを巻き上げるよう通知することができる。
【0175】
[第十一実施形態]
図28及び図29を参照しながら、第十一実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第十一実施形態では、上述した十の実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。状態評価プログラムは、状態データ取得機能と、状態評価機能と、通知データ出力機能とを備える。
【0176】
状態データ取得機能は、腕時計に取り付けられた腕時計用バンドに搭載されたセンサより収集され、腕時計の状態を示す状態データを取得する。具体的には、状態データ取得機能は、温度データ取得機能及び刻音データ取得機能を含んでいる。
【0177】
温度データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の温度を示す温度データを取得する。この場合、センサは、温度センサを含む。温度データは、所定の期間、温度センサにより計測されていた腕時計の温度又はその統計値を示すデータである。ここで言う統計値は、例えば、最大値、最小値、平均値、中央値である。
【0178】
図28は、第十一実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度の頻度の一例を示す図である。図28は、0~9度、10~19度、20~29度、30~39度、40~49度の範囲ごとの腕時計の温度の頻度を棒グラフで示している。また、図28は、腕時計の温度が30~39度である頻度が他の温度である頻度よりも高いことを示している。
【0179】
刻音データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0180】
状態評価機能は、温度データにより示される温度において、刻音データから算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する。図29は、第十一実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度と、刻音データに基づいて算出された腕時計の歩度との関係の一例を示す図である。図29は、横軸が温度データにより示される腕時計の温度を示しており、縦軸が刻音データに基づいて算出された腕時計の歩度を示している。例えば、温度データにより示される温度が図29に示した直線L111上の矢印A111の示される範囲の温度であり、刻音データに基づいて算出された腕時計の歩度が図29に示した矢印A112の範囲から外れているか否かを判定する。
【0181】
通知データ出力機能は、温度データにより示される温度において、刻音データから算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。例えば、通知データ出力機能は、温度が図29に示した直線上の矢印A111の示される範囲の温度であり、歩度が図29に示した矢印A112の範囲から外れていると判定された場合、図29に示した矢印A111で示される範囲の歩度を出来る限りゼロに近づけるように促す通知データを出力する。すなわち、通知データ出力機能は、このような場合、温度データにより示される温度と刻音データに基づいて算出される歩度との関係が図29に示した直線L112に出来る限り近づけるように促す通知データを出力する。
【0182】
次に、図30を参照しながら、第十一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図30は、第十一実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0183】
ステップS111において、状態データ取得機能は、腕時計の温度を示す温度データを取得する。
【0184】
ステップS112において、状態データ取得機能は、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0185】
ステップS113において、状態評価機能は、腕時計の歩度をステップS112で取得された刻音データにより示される腕時計の刻音に基づいて算出する。
【0186】
ステップS114において、状態評価機能は、ステップS111で取得された温度データにより示される温度において、ステップS113で算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS111で取得された温度データにより示される温度において、ステップS113で算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定した場合(ステップS114:YES)、処理をステップS115に進める。一方、状態評価機能は、ステップS111で取得された温度データにより示される温度において、ステップS113で算出された腕時計の歩度が所定の範囲に収まっていると判定した場合(ステップS114:NO)、処理をステップS111に戻す。
【0187】
ステップS115において、通知データ出力機能は、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0188】
以上、第十一実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、温度データにより示される温度において、刻音データから算出された腕時計の歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計の温度及び歩度を評価し、当該温度及び歩度に基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0189】
[第十二実施形態]
図31を参照しながら、第十二実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第十二実施形態では、上述した十一の実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。状態評価プログラムは、状態データ取得機能と、状態評価機能と、通知データ出力機能とを備える。
【0190】
状態データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の温度の時間変化を示す温度データを取得する温度データ取得機能である。この場合、センサは、温度センサを含む。図31は、第十二実施形態に係る温度データにより示される腕時計の温度の時間変化の一例を示す図である。図31は、横軸が時間を示しており、縦軸が腕時計の温度を示している。
【0191】
状態評価機能は、温度データにより示される温度が所定の閾値を下回っている時間を累計して腕時計がユーザに携帯されていない時間の累計である累計非携帯時間を算出する。そして、状態評価機能は、累計非携帯時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。例えば、状態評価機能は、温度データにより示される温度が図31に示した点線Th121で示される閾値を下回っている時間を累計非携帯時間に加算する。
【0192】
通知データ出力機能は、累計非携帯時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。
【0193】
次に、図32を参照しながら、第十二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図32は、第十二実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0194】
ステップS121において、状態データ取得機能は、腕時計の温度の時間変化を示す温度データを取得する。
【0195】
ステップS122において、状態評価機能は、温度データにより示される温度が所定の閾値を下回っている時間を累計して腕時計がユーザに携帯されていない時間の累計である累計非携帯時間を算出する。
【0196】
ステップS123において、状態評価機能は、ステップS122で算出された累計非携帯時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS122で算出された累計非携帯時間が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS123:YES)、処理をステップS124に進める。一方、状態評価機能は、ステップS122で算出された累計非携帯時間が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS123:NO)、処理をステップS121に戻す。
【0197】
ステップS124において、通知データ出力機能は、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。
【0198】
以上、第十二実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、累計非携帯時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計の動力ぜんまいを巻き上げることを促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計の温度に基づいて腕時計の累計非携帯時間を評価し、当該累計非携帯時間に基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0199】
[第十三実施形態]
図33を参照しながら、第十三実施形態に係る状態評価プログラムについて説明する。また、第十三実施形態では、上述した十二の実施形態と同様の内容についての説明を適宜省略する。状態評価プログラムは、状態データ取得機能と、状態評価機能と、通知データ出力機能とを備える。
【0200】
状態データ取得機能は、磁気データ取得機能及び刻音データ取得機能を含んでいる。磁気データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計に印加された磁気の強さの時間変化を示す磁気データを取得する。刻音データ取得機能は、センサにより収集され、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。したがって、この場合、センサは、磁気センサと、マイクロフォン又は圧電素子を含んでいる。
【0201】
図33は、第十三実施形態に係る刻音データにより示される磁気の強さの時間変化の一例を示す図である。図33は、横軸が時間を示しており、縦軸が磁気センサにより計測された磁気の強さを示している。
【0202】
状態評価機能は、磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えているか否かを判定する。当該所定の閾値は、図33に示した点線Th131で示される閾値である。また、状態評価機能は、刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れているか否かを判定する。
【0203】
通知データ出力機能は、磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計を脱磁するように促す通知データを出力する。また、通知データ出力機能は、刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0204】
次に、図34を参照しながら、第十三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を説明する。図34は、第十三実施形態に係る腕時計用バンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0205】
ステップS131において、状態データ取得機能は、腕時計に印加された磁気の強さの時間変化を示す磁気データを取得する。
【0206】
ステップS132において、状態評価機能は、ステップS131で取得された磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS131で取得された磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS132:YES)、処理をステップS133に進める。一方、状態評価機能は、ステップS131で取得された磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS132:NO)、処理をステップS131に戻す。
【0207】
ステップS133において、通知データ出力機能は、腕時計を脱磁するように促す通知データを出力する。
【0208】
ステップS134において、状態データ取得機能は、腕時計の刻音を示す刻音データを取得する。
【0209】
ステップS135において、状態評価機能は、腕時計の歩度をステップS134で取得された刻音データにより示される腕時計の刻音に基づいて算出する。
【0210】
ステップS136において、状態評価機能は、ステップS135で算出された腕時計の歩度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。状態評価機能は、ステップS135で算出された腕時計の歩度が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS136:YES)、処理をステップS137に進める。一方、状態評価機能は、ステップS135で算出された腕時計の歩度が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS136:NO)、処理をステップS131に戻す。
【0211】
ステップS137において、通知データ出力機能は、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。
【0212】
以上、第十三実施形態に係る状態評価プログラムについて説明した。状態評価プログラムは、磁気データにより示される磁気の強さが所定の閾値を超えていると判定された場合、腕時計を脱磁するように促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計に印加された磁気の大きさを評価し、当該磁気の大きさに基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0213】
また、状態評価プログラムは、刻音データにより示される刻音から算出された歩度が所定の範囲から外れていると判定された場合、腕時計をオーバーホールするように促す通知データを出力する。これにより、状態評価プログラムは、腕時計の歩度を評価し、当該歩度に基づいた適切な修理点検の内容を通知することができる。
【0214】
なお、上述した状態評価プログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0215】
また、上述した状態評価プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0216】
以上、本発明を実施するための形態について第一実施形態から第十三実施形態を例に挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0217】
100…腕時計、10…時計ケース、20…バネ棒、30…腕時計用バンド、31…センサ、32…アンプ、33…フィルタ、34…発振回路、35…分周回路、36…ROM、37…RAM、38…CPU、39…通信部、360…精度評価プログラム、361…刻音データ取得機能、362…精度評価機能、363…通知データ出力機能、365…状態評価プログラム、366…状態データ取得機能、367…状態評価機能、368…通知データ出力機能