(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ニードルパンチベロアカーペットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 3/04 20060101AFI20231128BHJP
D04H 11/08 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B60N3/04 C
B60N3/04 A
D04H11/08
(21)【出願番号】P 2019563062
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2018062579
(87)【国際公開番号】W WO2018210852
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102017208200.3
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513044337
【氏名又は名称】アドラー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Adler Pelzer Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】グラス,ヨッヘン エアハルト
(72)【発明者】
【氏名】ディッカート,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,フォルクマル
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-101362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0287020(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
D04H 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベロア化されさらに耐摩耗性表面を有するニードルパンチカーペットの製造方法であって
カーディングベルトからの嵩張った不安定なシートが、針ユニット中で針刺され
る工程と、
a)2~13mmの貫通深さを有しており、
b)ノッチが異なる高さと数となるように配置された針が用いられる針設計となっており、
c)針密度が少なくとも9000/m
2であり、
d)繊維加工重量が240~600g/m
2であり、
e)1つの針ユニットのみが使用されており、
f)ステッチ密度が200~750ステッチ/cm
2
となるように、
前記針ユニットから針刺してベロア化
する工程と、
それのパイル
にワックス
とポリマー
との分散液でコーティング
してから、乾燥及び/又は架橋する工程と
を有するものであって、
前記コーティングが、変性脂肪酸エステルを含んでおり、べロア化されさらに耐摩耗性表面を有し;又は、
前記コーティングが、パディング法又はスプレー法によって行われ;又は、
前記コーティングが、タフティングカーペットに付され;又は、
前記コーティングが、ディロアカーペットに付される
ことを特徴とするニードルパンチカーペットの製造方法。
【請求項2】
前記コーティングが、ワックス
及びシリコーンオイル
のエマルジョンであることを特徴とする、べロア化されさらに耐摩耗性表面を有する請求項1に記載のニードルパンチカーペットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の空間及びトランクの内装用のもので、従来のカーペットよりも有利な特性を有する、より耐摩耗性の表面を有するニードルパンチベロアカーペットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、このような防音材の摩耗面は、糸又は繊維と、任意的に支持体とから構成され、乗客の方を向いている。この繊維は、通常、天然繊維(動物性のもの:新しい羊毛。植物性のもの:綿又は黄麻)若しくは合成繊維(ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン)の何れかであるが、ポリアミドと新しいウールとのような混紡糸でも、よい。
【0003】
市販の自動車には、異なる形態のカーペット、特にタフティングカーペット、ディロアカーペット、フラットニードルパンチカーペットが見受けられる。タフティングカーペットには、PA6.6(ナイロン66)、PA6(ナイロン6)、PP(ポリプロピレン)、rPA(リサイクルポリアミド)、及びrPET(リサイクルポリエチレンテレフタレート)が主に使用され、ディロアカーペットおよびフラットニードルパンチカーペットには、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET/PP(ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン)、PP(ポリプロピレン)、PA/PET(ポリアミド/ポリエチレンテレフタレート)、及びrPET(リサイクルポリエチレンテレフタレート)が主に使用される。
【0004】
「タフティング」という用語は、三次元繊維シートを製造するための技術である縫編法を指す。この方法は、カーペットや立派な自動車内装乃至トランクトリムを調製するために、世界中で最も頻繁に採用されている工法である。この方法は、ループ生地とベロア生地との双方の生産に適している。タフティングは、ミシンの仕組みで、行われる。針群は、所謂パイル糸を基材(織布、又は不織布)所謂一次裏地乃至支持体に挿入する。針群は、幅全体に渡って同時移動する。
【0005】
針は基材を貫通して縫い付ける。針が再び戻る前に、挿入されたパイル糸はルーパーで保持される。これにより、タフティング繊維のおもて側にループ(パイルノット)が産生される。
【0006】
このようにして、所謂ループパイルカーペットが得られる。ループをナイフで切り開くと、ベロアカーペット(カットパイルカーペット)が形成される。パイルの保持と切断とが1回の操作で行われるように、しばしばナイフはルーパーに予め取り付けられる。
【0007】
縫い付けたパイル糸を確りと保持するために、二次裏地またはラテックス層を付す必要がある。この工程は、ラミネート加工又は一体化加工と呼ばれている。
【0008】
タフティング形態でのタフティング支持体は大抵、PET/PP(ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン)、PET/coPET(ポリエチレンテレフタレート/共ポリエチレンテレフタレート)、又はPET/PA(ポリエチレンテレフタレート/ポリアミド)で形成されている。糸/繊維の一体化には、タフティングカーペットに主にEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)が用いられ、ディロアカーペット及びフラットニードルパンチカーペットには、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)ラテックス又はアクリレートが用いられる。コーティングは、主に裏地のためのみならず強化のための接着層として、主にPE(ポリエチレン)又はPP(ポリプロピレン)を含有し、任意的にEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴムによる厚手層をも有するものである。また、現在では、PE/PA/PE(ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン)シートが用いられている。
【0009】
さらに、従来技術として、パイル糸が外部から一次裏地に挿入されることなく同様のカーペットを製造するという「より簡単な」方法が知られている。
【0010】
連続フィラメントが繊維原材料として使用される前述のタフティング工程とは対照的に、所謂ステープル繊維、すなわち長さ30~70mmの裁断繊維が、ニードルパンチ工程で用いられる。最初の操作では、このようなステープル繊維からフラットニードルパンチ生地を調製する。上述のように、ステープル繊維は、事前に開かれ、混紡され、カーディング機(梳綿機)へと供給される。カーディング機のスウィフトから取り出されたカーディングウェブは、単位面積あたりの所望の重量になるまでクロスラッパーを用いて、数回二重折りされ、単数又は複数のニードル織機上で、接合される。一つ以上の所謂ニードル台が、ニードル織機に取り付けられており、針が特定の配列で、生地の幅全体(CD)に渡って且つ生地の仕掛け方向(MD)に、搭載されている。針群は二重折りのカーディングウェブを貫通し、それまでは平行だった繊維が、平面方向から偏向する。ステープル繊維は、多数の偏向点・交叉点が形成される。機械的もつれ、交叉、相互ループ、各繊維のこれら接触点での摩擦は、ステープル繊維間での機械的接合を惹き起こすが、このことは、ニードルパンチ生地の機械的特性を決定する主要な要因である。この針刺工程中、針はウェブの厚さ全体を貫通し、反対側に再出現する。生地に突き刺す際の針の損傷を避けるため、対向側に対応する凹部がある所謂穴あきプレートに針が入れられている。所望の製品に応じ、ニードル織機の数、その上にピン留めされた針の数、それらの相互配列、針の種類、針刺方向(上から又は下から)、及びその他のパラメーターを、様々に変え、組み合わせるようにする。工程が完了すると、ベロア化されたニードルパンチ生地が得られる。
【0011】
ベロア化のために、針はフラットニードルパンチ生地の片側を突き刺し、繊維ウェブの下にあるブラシベルトの剛毛の間に繊維ループを引き込む。この工程では、針がブラシベルト内に飛び出し、針が戻るときに刺された繊維を引き止める。このようにして、所期のベロア外観がブラシ側に形成される。使用される針は、それらの側面に小さな棘を有する針、所謂クラウン針であってもよく、又はフォーク状の端部を有する針、所謂フォーク針であってもよい。
【0012】
針刺工程後、ベロアは、ローラー対によって駆動ブラシベルトから、分離される。人目に付く側の繊維密度は、単位面積あたりのステッチ数、繊維ウェブへの針の侵入深さ、及び繊維繊度によって、その程度が決まる。
【0013】
引き続いて、異なる塗工方法により、合成ゴム、又はアクリレートによるバインダーを用い、突刺し側から繊維を接合する。さらに、所謂熱接着(Klieverik; 特許文献1)と同様にして、プラスチックシート、不織布、接着剤(ホットメルト接着剤)、熱可塑性プラスチック(主にPE(ポリエチレン))が用いられる。
【0014】
ラテックスを用いない接合には、繊維の結合、又は熱可塑性物質の分散が行われる。繊維の幅は、通常3.3~17dtexである。
【0015】
前述のように、最早、パイル糸が、調製された不織布、所謂一次裏地に、外部から挿入されることはない。この方法では、針が繊維ウェブからブラシベルトに個々の繊維を突き刺すことにより、ベロアカーペットの形状が、得られるというものである。
【0016】
この方法では、原料生地がフラットニードルパンチ生地であるベロアカーペットが得られる。前述のように、フラットニードルパンチ生地は、第二操作でブラシベルトへ針刺することによって、ベロア(ディロア)特性が得られる。
【0017】
先行技術として、ベロアカーペットを調製する方法は知られている(特許文献2~4参照)。
【0018】
このようなカーペットが、特に乗車区画でのフロアトリムに用いられる場合、注目されるのは、摩耗性能、この場合は「テーバー試験」での耐摩耗性(耐摩損性)である。表面(灰色基準による色調変化、繊維フリースの品質)及び重量損失が、様々な場面で評価される。
【0019】
テーバー摩耗機を使用すれば、様々な材料の耐摩耗性を、測定できる。国際的に認められた試験方法として、テーバー摩耗試験は、幾つかの国内規格及び国際規格(国際標準化機構ISO9352、アメリカ材料試験協会ASTM D 1044、ドイツ工業規格DIN EN-Norm 438-6)で触れられている。摩耗荷重は、回転する試験片に所定の力で押し付ける二つの摩擦ローラーによって掛けられる。通常、試験片の評価には、摩耗比を測定するために、示差計量が通常用いられる。減量法の代替として摩耗深さを測定することも可能である。
【0020】
この耐摩耗性は、基本的に、生産の3段階(繊維生産時、ニードルパンチベロアの調製時、部材生産時)に用いられる工程と、そこでのパラメーターとによって、影響される。そのような工程パラメーターにより、それぞれの中間製品、又は最終製品の摩耗特性が、決まる。
【0021】
これらは、次のように、
a)繊維(表面特性、機械的・幾何学的・物理化学的特性)
b)ニードルパンチベロア/本体(接合、繊維混紡、パイル高、パイル密度)
c)成形カーペット部材(層構造、掃引程度、パイル高、パイル密度)
に、分類される。
【0022】
しかし、現実には、この摩耗性能は、自動車製造業者が、今日要求している目標を満足しないというより、殆ど充足すらしていないことが、分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】欧州特許第1598476B1号明細書
【文献】独国特許出願公開第4409771A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0013902A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102008026968A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、従来技術の工程を改善すること、特に、従来の公知技術では成し得なかった上述のベロアカーペットの調製工程、言い換えるとニードルパンチベロアカーペットを調製する工程、とりわけ「フラットニードルパンチ」生地を調製する際の一操作で行うことができるように改善することを、目的とする。耐摩耗性を向上させたコーティングが、所謂「パイル層」、すなわち露出した繊維に、同時に付されれば、成し得るはずである。
【0025】
特に、本発明は、カーディングベルトから嵩張る不安定なシートの針刺に単一のニードルユニットを用いるだけで、ニードルパンチカーペットの製造工程を簡素化し、より効率的かつ安価にすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成するためになされた本発明は、ベロア化されさらに耐摩耗性表面を有するニードルパンチカーペットの製造方法により達成され、次のステップを含んでいる:
前記フラットニードルウェブの製造の最終工程で、突き刺しが次のような方法で達成されるものであって、
カーディングベルトからの嵩張った不安定なシートが、針ユニット中で針刺される工程と、
a)2~13mmの貫通深さを有しており、
b)ノッチが異なる高さと数となるように配置された針が用いられる針設計となっており、
c)針密度が少なくとも9000/m2であり、
d)繊維加工重量が240~600g/m2であり、
e)1つの針ユニットのみが使用されており、
f)ステッチ密度が200~750ステッチ/cm2
となるように、
前記針ユニットからプレニードルフェルトを針刺してベロア化する工程と、
それのパイルにワックスとポリマーとの分散液でコーティングしてから、乾燥及び/又は架橋する工程とを有するというものである。
このニードルパンチカーペットの製造方法は、例えば、前記コーティングが、ワックス及びシリコーンオイルのエマルジョンであるというものである。
このニードルパンチカーペットの製造方法は、例えば、前記コーティングが、変性脂肪酸エステルを含んでいるというものである。
このニードルパンチカーペットの製造方法は、例えば、前記コーティングが、パディング法又はスプレー法によって行われるというものである。
このニードルパンチカーペットの製造方法は、例えば、前記コーティングが、タフティングカーペットに付されるというものである。
このニードルパンチカーペットの製造方法は、例えば、前記コーティングが、ディロアカーペットに付されるというものである。
【0027】
針刺は、各種タイプの針で達成されるが、針はそのノッチが横方向に異なる高さと数とに配列され(クラウンニードル)、又は針の先端でノッチを有する(フォークニードル)というものである。
【0028】
繊維密度は、結合繊維(BiCo繊維)を用いることによって、さらに向上することができる。
【0029】
さらに、ウェブの裏側には、水及び/又は市販の分散液を噴霧し、又は結合繊維を使用するだけで特に張力を掛けることなく乾燥させることが好ましい。これにより、繊維の起毛状態が固定され、繊維密度が増加する。それと同時に、繊維は、一体化される。
【0030】
本発明によれば、針刺後、合成ゴム又はアクリレートによるバインダーを用いた接合の際、コーティング剤は、好ましくはパディングによってパイル/カーペット側で発泡される。コーティング剤の塗工は、例えば噴霧により達成される。
【0031】
繊維結合の種類に関係なく、コーティング剤の塗工は、カーペットが乾燥/架橋工程に掛けられる前に、必ず行う必要がある。
【0032】
さらに、ウェブのパイル側が、布目に対してブラシで擦って繊維を毛羽立てられ、突き出た繊維を刈り取ることが好ましい。これにより、さらに繊維の起毛状態が再固定され、ニードルパンチベロアカーペットの表面が明らかに滑らかとなる。この場合、パイル側がニードルパンチベロアカーペットの人目に付く側となるように使用されることが、特に重要である。
【0033】
好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリアミド(PA)、又はそれらの混紡からなる繊維を含むパイル糸の混合物が、用いられる。これらは、リサイクル部位を有していてもよい。特にPET繊維の場合、100%ものリサイクル率のものであってもよい。
【発明の効果】
【0034】
繊維及び/又は混紡繊維のそれぞれの利点は、用途に応じ、価格、耐光性、又は摩耗性能及びクリーニング性能である。
【0035】
さらに、異なる繊維力価の繊維、特に繊度3.3~17dtexの範囲内にある繊維が、用いられる。混紡の選択は、ニードルパンチウェブにした後の用途に依る。繊維加工重量が低い場合(300~400g/m2)、十分な密度のウェブにするため、6.7dtexの繊維を用いる必要がある。
【0036】
それぞれの利点は、軽量の繊維加工重量のための高密度(ディロアとして、約10%高い繊維密度が必要。このことは、フラットニードルパンチウェブ調製時に、最終重量500 g/m2とするディロアが、繊維作業重量が550g/m2を有することを意味する)において、クリーニング能力が向上し、及び摩耗性能が向上するというものである。
【0037】
繊維の混紡が均一でさえあれば、クロスラッパーによる編組が精密であって針刺機の掃引が製品に適し、それによってフラットニードルパンチ生地は良質となり、又はニードルパンチウェブは優れていると言える。
【0038】
等方性硬度特性を得るために、縦対横の強度比が1:1.2又は1:1.4となるように、カーディング後にウェブは僅かに詰め込んでおき、引っ張って針刺前後に繊維を再配向する。
【0039】
このことは、針刺中でのより高い繊維移動と、成形工程での優れた伸張特性とに寄与している。
【実施例】
【0040】
本発明による方法を例として説明する。
【0041】
(実施例)
80g/m2の通常のアクリレートバインダーを有し、ベロア化された表面とコーティングとを備えた、通常の370g/m2のポリエチレンテレフタレート(PET)繊維カーペットが、上記のプロセスにより得られた。
【0042】
カーペットを乾燥機に入れる前に、パイル側にパディング機を用いることによって、ワックスとポリマー分散液との混合物をコーティングとして塗工したところ、湿潤塗工重量は110g/m2であった。
【0043】
このコーティングのために、以下の成分を含む混合物を調製した:
79.44重量%の水
19.86重量%ワックス/ポリマー分散液*
0.70重量%の石鹸
*ツビコートTAB(商品名Tubicoat TAB)(ザ シーエイチティ アー.バイトリッヒ ゲーエムベーハー(the CHT R. Beitlich GmbH)製、ドイツ国テュービンゲン(Tubingen))
【0044】
製造機速度は6m/分で、乾燥炉の温度は150°Cであった。
【0045】
以下の表1において、ベロア化されコーティングされた表面を有するように得られたカーペットを、先行技術のフラットニードルパンチウェブと比較する。
【0046】
矢印は、本発明による生地材と従来技術の生地材との比較を表すためのものである。記号の意味(それぞれ、同様のパイル重量を基準とする):
→:同等に良 +:良
↑:向上 -:同等
↓:悪化 --:不可
【0047】
この表から分かるように、本発明の方法により調製されたニードルパンチベロアカーペット生地材は、従来技術の生地材の場合よりも全体的に一層好適な特性を有している。
【0048】
【0049】
テーバー試験による表面評価は、フラットニードルパンチウェブと比較して、ベロア化されたコーティング表面を備えたニードルパンチカーペットの程度が一段と優れており、重量損失は0.14gである。
【0050】
【0051】
成分の放出性については、今日益々注目されるようになったため、その点についても測定した。
【0052】
曇り(PV 3015)、臭気C2及びC3(PV 3900)、並びにホルムアルデヒド放出(PV 3929)の各試験結果は、本発明によるカーペットは、明らかに限界を下回っていた。
【0053】
さらに、このカーペットについて所謂ヒールテストで試験を行った。このテストでは、ヒール(スチールヒール)の所定の往復運動について、摩耗挙動を試験するというものである。
【0054】
乾式および湿式試験の結果は、自動車製造業者での試験プロトコルで決められている目標の要件を、充足していた。
【0055】
また、本発明によるワックス/ポリマー分散液コーティングを用いた工程を、80g/m2のアクリレート接合を有する560g/m2のPET繊維カーペットに塗工した場合、このカーペットは、標準的な重量損失0.18gのディロアカーペットと比較して、摩耗性について、有意差があり、表面評価でより良いスコアを示した。
【0056】
実施例では、ドイツ工業規格DIN ISO 3415に準拠した圧痕性能の顕著な改善が認められた。