(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
F16J15/10 T
(21)【出願番号】P 2020008944
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】緒方 千代太
(72)【発明者】
【氏名】牛島 慎二
(72)【発明者】
【氏名】三木 陽平
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-371913(JP,A)
【文献】特開2016-080167(JP,A)
【文献】特開2018-194113(JP,A)
【文献】特開平10-009395(JP,A)
【文献】特開2018-204780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝部が形成された一方の部材と、前記溝部の底面に対向する対向面を有する他方の部材と、の間に形成される環状の空間の密封を図るための環状の密封装置であって、
前記底面に接触する底面側密封部と、
前記対向面に接触する対向面側密封部と、
内周側及び外周側から背向するように突出して前記溝部の側面に接触可能である周方向に並んだ複数の突出部対と、を備え、
周方向に隣り合う2つの前記突出部対の間には、
密封対象側とは反対側に位置する、内周側又は外周側のいずれか一方から突出して前記側面に接触可能な少なくとも1つの中間突出部が設けられていることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
周方向に隣り合う2つの前記突出部対が45°間隔で配置され、該2つの前記突出部対の間に1つの前記中間突出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
前記中間突出部は、密封対象側とは反対側に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置に関し、特に、静的な密封を行う密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハウジングとカバーや管と管等の相対移動不能に互いに対向する複数の部材間に形成される環状の溝等の環状の空間に取り付けられ、この部材間の隙間の密封を図る密封装置としてのガスケットが知られている。このような従来のガスケットとして、一方のハウジングの取付溝に装着され、取付溝の底面に接触するシール面と、この底面に対向する他方のハウジングの部分に接触するシール面と、を互いに背向して有したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたガスケットには、溝側面に接触又は近接する倒防止凸部が形成されている。このようなガスケットでは、倒防止凸部が取付溝の溝側面に接触して収縮するようになっており、ガスケットの本体の傾斜を抑制し、密封能力低下の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環状の空間を密封するガスケットは、使用される製品の種類や製品の使用環境等に応じて様々な性能が要求され得る。例えば、自動車において使用されるガスケットの場合、低温での密閉性を向上させつつ、低荷重(低反発力)のものとすることが要求されることがある。低温の環境下では、流体の圧力の作用によりガスケットが変形しやすく、ガスケットの変形の態様によっては密閉性能が低下する場合がある。さらに、低荷重のガスケットに対しては、圧縮率を高くしたりゴム硬度を高くしたりすることによってガスケットの変形を抑制することができない。このように、従来のガスケットに対しては、低温環境において低荷重の使用状態であっても、密封性能の低下を抑制することができる構造が求められていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温環境において低荷重の使用状態であっても密閉性能の低下を抑制することができる密封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、溝部が形成された一方の部材と、前記溝部の底面に対向する対向面を有する他方の部材と、の間に形成される環状の空間の密封を図るための環状の密封装置であって、前記底面に接触する底面側密封部と、前記対向面に接触する対向面側密封部と、内周側及び外周側から背向するように突出して前記溝部の側面に接触可能である周方向に並んだ複数の突出部対と、を備え、周方向に隣り合う2つの前記突出部対の間には、内周側又は外周側のいずれか一方から突出して前記側面に接触可能な少なくとも1つの中間突出部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る密封装置において、周方向に隣り合う2つの前記突出部対が45°間隔で配置され、該2つの前記突出部対の間に1つの前記中間突出部が設けられている。
【0009】
本発明の一態様に係る密封装置において、前記中間突出部は、密封対象側とは反対側に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る密封装置によれば、低温環境において低荷重の使用状態であっても密閉性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る密封装置が設けられた密封構造の平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る密封装置が設けられた密封構造の断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る密封装置が設けられた密封構造の断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る密封装置が設けられた密封構造の断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る密封装置が設けられた密封構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が設けられた密封構造10の平面図であり、
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が設けられた密封構造10のA-A線に沿う断面における断面図であり、
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が設けられた密封構造10のB-B線に沿う断面における断面図であり、
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が設けられた密封構造10のC-C線に沿う断面における断面図である。
【0014】
以下、説明の便宜上、軸線X方向において矢印a(
図2~4参照)方向(軸線方向において一方の側)を上側とし、軸線X方向において矢印b(
図2~4参照)方向(軸線方向において他方の側)を下側とする。また、軸線Xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線Xから離れる方向(
図1~4の矢印c方向)を外周側とし、軸線Xに近づく方向(
図1~4の矢印d方向)を内周側とする。
【0015】
図1~4に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1は、密封構造10を形成し、環状の溝部101が形成された一方の部材と、溝部101の底面102に対向する対向面201を有する他方の部材と、の間に形成される環状の空間の密封を図るための環状の密封装置である。密封装置1は、底面102に接触する底面側密封部2と、対向面201に接触する対向面側密封部3と、内周側及び外周側から突出して溝部101の側面103、104に接触可能であり周方向に並んだ複数の突出部対4と、を備える。密封装置1において、周方向に隣り合う2つの突出部対4の間には、内周側又は外周側のいずれか一方から突出して側面103、104に接触可能な少なくとも1つの中間突出部5が設けられている。以下、密封装置1について具体的に説明する。
【0016】
図1に示すように、密封装置1は軸線X周りに円環状に形成されている。
図2~4に示すように、密封装置1は、一方の部材としてのハウジング100の溝部101に装着され、軸線X方向の下側において溝部101の底面102に接触し、外周側において溝部101の側面103に対向し、内周側において溝部101の側面104に対向するように形成されている。他方の部材としてのハウジング200が、対向面201において溝部101の底面102に対向し、密封装置1は、軸線X方向の上側において対向面201に接触するように形成されている。
【0017】
密封装置1は、円環状であり断面長方形状の本体部1Aと、本体部1Aから軸線X方向の下側に突出して底面102に弾性接触するように形成されたシールリップである底面側密封部2と、本体部1Aから軸線X方向の上側に突出して対向面201に弾性接触するように形成されたシールリップである対向面側密封部3と、を有する。尚、図示の例では、密封部2、3が、先端側に向かうにしたがって幅が狭くなる断面略台形状となっているが、密封部2、3の形状は、密封装置1の圧縮率や硬度等に応じて適宜に設定されればよい。
【0018】
密封装置1は、8つの突出部対4を有する。突出部対4は、本体部1Aから外周側に突出した外側突出部41と、本体部1Aから内周側に突出した内側突出部42と、により構成される。外側突出部41と内側突出部42とは、周方向位置が一致し、互いに背向するように本体部1Aから突出している。8つの突出部対4は、例えば等間隔(45°間隔)で配置されている。外側突出部41は、溝部101において外周側に位置する側面(内周側を向いた側面)103に接触可能に形成されており、内側突出部42は、溝部101において内周側に位置する側面(外周側を向いた側面)104に接触可能に形成されている。
【0019】
密封装置1が溝部101に装着されて流体の圧力が作用せず温度変化が生じていない場合、外側突出部41は、側面103に接触してもよいし、側面103に接触せずに側面103との間に隙間を開けてもよい。同様に、内側突出部42は、側面104に接触してもよいし、側面104に接触せずに側面104との間に隙間を開けてもよい。密封装置1が温度変化によって膨張又は収縮したり、流体の圧力が作用したりした際に、突出部41、42が側面103、104に対して接触するようになったり、側面103、104との間に隙間を開けるようになったりしてもよい。また、図示の例では、突出部41、42が、先端側に向かうにしたがって幅が狭くなる断面略台形状となっているが、突出部41、42は、側面103、104に接触することで密封装置1の倒れを防止することができるものであればよく、他の形状を有していてもよい。
【0020】
本発明の第1の実施の形態の密封装置1は、後述するように装着空間20に組み付けられた際に、内周側において流体を密封し、外周側よりも内周側の方が高圧となる。即ち、密封装置1は、内周側を、流体による圧力を受ける作用圧側(密封対象側)とし、その反対側である外周側を非作用圧側として使用される。本体部1Aの外周側には、周方向に隣り合う2つの突出部対4の間(外側突出部41の間)に、側面103に接触可能に突出した1つの中間突出部5が形成されている。密封装置1には、合計で8つの中間突出部5が形成されている。中間突出部5は、例えば外側突出部41と同様の形状及び寸法を有するものであればよい。中間突出部5は、例えば2つの突出部対4の中間に位置し、周方向両側の突出部対4に対してそれぞれ22.5°の間隔で配置されている。
【0021】
本体部1Aの内周側には、隣り合う2つの内側突出部42の間に、突起が形成されていない。即ち、中間突出部5は、非作用圧側となる外周側にのみ設けられており、密封装置1の本体部1Aの内周面のうち、内側突出部42が形成されていない部分は滑らかな曲面状となっている。
【0022】
次いで、上述の密封装置1の使用状態について説明する。密封装置1は、密封構造10を形成し、密封構造10の有する装着空間20に組み付けられて使用状態となる。
図1~4は、密封装置1が装着空間20に取り付けられた使用状態における、密封構造10を示す平面図又は断面図である。
【0023】
密封構造10は、環状の溝部101が形成された一方の部材としてのハウジング100と、溝部101の底面102に対向する対向面201を有する他方の部材としてのハウジング200と、の間に形成された環状の空間である装着空間20と、装着空間20の密封を図るための密封装置1とを備える密封構造である。装着空間20に装着された密封装置1は、内周側と外周側とのうち一方側を、流体による圧力を受ける作用圧側とするとともに、他方側を非作用圧側とし、中間突出部5は非作用圧側に設けられる。底面側密封部2が底面102に接触し、対向面側密封部3が対向面201に接触することで、装着空間20が密閉される。以下、密封構造10及び密封装置1の使用状態について具体的に説明する。
【0024】
装着空間20は、開口部を囲むように円環状の溝部101が形成されたハウジング100と、ハウジング100の開口部と連通する開口部を有するハウジング200と、によって形成された軸線X1周りに円環状又は略円環状の空間である。この環状の装着空間20は、例えば、インレットマニホールドやフィルターブラケット等における相対移動不能に互いに対向する部材間に形成されるものであればよい。ハウジング100及びハウジング200の開口部はいずれも平面視円状に形成され、開口部の軸線方向同士が一致又は略一致するようにハウジング100とハウジング200とが固定され、これらの軸線方向を軸線X1方向と呼ぶ。
【0025】
溝部101は、軸線X1周りに円筒状又は略円筒状に延びる一対の側面103、104と、軸線X1に直交又は略直交する平面に沿って円環状又は略円環状に延びることで一対の側面103、104の軸線X1方向の他方側の端縁同士を接続する底面102と、を備え、軸線X1方向の一方側に開口した形状を有している。ハウジング200は、底面102と所定の間隔をあけて対向する対向面201を有している。尚、ハウジング100においてハウジング200と対向する端面のうち溝部101を除く部分と、ハウジング200の対向面201と、は多少の隙間を開けて対向している。
【0026】
密封構造10の使用状態において、密封装置1は、装着空間20と同軸又は略同軸に装着空間20に取り付けられる。装着空間20の軸線X1方向寸法(即ち底面102と対向面201との間隔)は、自然状態における密封装置1の軸線X方向寸法よりも若干小さく形成されている。従って、使用状態における密封装置1は、ハウジング100の底面102とハウジング200の対向面201との間に挟まれて圧縮される。具体的には、底面側密封部が底面102に接触するとともに押圧され、対向面側密封部が対向面201に接触するとともに押圧される。このとき、装着空間20の軸線X1方向寸法と、自然状態における密封装置1の軸線X方向寸法と、の差がつぶし代となる。このように密封装置1は低荷重を受ける使用状態において用いられる。
【0027】
上述のように密封装置1が装着空間に取り付けられることにより、溝部101を挟んでcd方向における両側の空間同士で流体が移動することが妨げられる。本発明の第1の実施の形態では、溝部101よりも内周側の空間が密封対象空間S1であり、密封装置1が設けられることで、密封対象空間S1は、外周側の空間S2に対して密封される。即ち、密封装置1は、使用状態において内周側が密封対象側となり、密封対象側とは反対側の外周側に中間突出部5が形成されている。
【0028】
2つの空間S1、S2同士の圧力差によって、密封装置1にcd方向の力が作用し、密封装置1が変形しようとすることがある。即ち、密封対象空間S1が空間S2よりも高圧となり、流体による圧力が密封装置1に対して内周側から作用する(内周側が作用圧側となる)ことにより、密封装置1のうち特に本体部1Aが、底面102から対向面201に向かうにしたがって外周側に向かって傾斜するように変形しようとする。このとき、外側突出部41及び中間突出部5が側面103に接触することにより、密封装置1の変形が抑制される。また、内側突出部42が側面104に接触することによっても、密封装置1の変形が補助的に抑制されてもよい。
【0029】
上述のように密封装置1に流体による圧力が作用した際、外側突出部41だけでなく中間突出部5も側面103に接触して密封装置1の変形が抑制されることで、突出部対4の間においても変形を抑制することができ、突出部対4のみによって変形を抑制する構成と比較して密封装置1全体を変形しにくくすることができる。従って、低温環境において低荷重の使用状態においても、底面側密封部2及び対向面側密封部3がそれぞれ底面102及び対向面201から離れたり接触力が低下したりすることを抑制し、密封性能の低下を抑制することができる。
【0030】
さらに、突出部対4の間において非作用圧側となる外周側に中間突出部5が設けられ、作用圧側となる内周側には中間突出部5が設けられていないことで、外周側及び内周側の両方に中間突出部を形成する構成と比較して、装着空間20の容積に対する密封装置1の体積の充填率が高くなりにくいことから、密封装置1に作用する荷重が高くなることを抑制し、低荷重の使用状態としやすい。また、内周側に中間突出部5が設けられていないことで、外周側及び内周側の両方に中間突出部を形成する構成と比較して、使用材料を削減し、低コスト化することができる。また、密封装置1の製造時に、内周側部分を成形するための金型と外周側部分を成形するための金型とを用いる場合、中間突出部5が設けられない側の金型を従来の密封装置(中間突出部が内周側及び外周側のいずれにも設けられない密封装置)と共通化することができるとともに、中間突出部5が設けられない側の金型の複雑化を抑制し、低コスト化することができる。
【0031】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1によれば、低温環境において低荷重の使用状態であっても密閉性能の低下を抑制することができる。
【0032】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置6について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置6が設けられた密封構造10Bの軸線X方向に沿う断面における断面図である。
【0033】
上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1は、内周側を作用圧側とする密封構造10に設けられるのに対し、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置6は、外周側を作用圧側(密封対象側)とする密封構造10Bに設けられる。以下、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1と同じ又は類似する機能を有する構成については同一の符号を用いてその説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0034】
図5に示すように、密封装置6は、8つの突出部対4と、8つの中間突出部7とを備える。密封装置1の本体部1Aの内周側には、周方向に隣り合う2つの突出部対4の間(内側突出部42の間)に、側面103に接触可能に突出した1つの中間突出部7が形成されている。密封装置1には、合計で8つの中間突出部7が形成されている。中間突出部7は、例えば内側突出部42と同様の形状及び寸法を有するものであればよい。中間突出部7は、例えば2つの突出部対4の中間に位置し、突出部対4に対して22.5°の間隔で配置されている。本体部1Aの内周側には、隣り合う2つの外側突出部41の間に、突起が形成されていない。即ち、中間突出部7は、非作用圧側となる内周側(密封対象側とは反対側)にのみ設けられている。密封装置6の本体部1Aの外周面のうち、外側突出部41が形成されていない部分は滑らかな曲面状となっている。
【0035】
密封装置6は外周側を作用圧側とし、内周側を非作用圧側とするように用いられることから、密封構造10Bの使用状態において、密封装置6には流体による圧力が外周側から作用し、密封装置6のうち特に本体部1Aが、底面102から対向面201に向かうにしたがって内周側に向かって傾斜するように変形しようとする。このとき、内側突出部42及び中間突出部7が側面104に接触することにより、密封装置6の変形が抑制される。また、外側突出部41が側面103に接触することによっても、密封装置6の変形が補助的に抑制されてもよい。
【0036】
上述のように密封装置6に流体による圧力が作用した際、内側突出部42だけでなく中間突出部7も側面104に接触して密封装置6の変形が抑制されることで、突出部対4の間においても変形を抑制することができ、突出部対4のみによって変形を抑制する構成と比較して密封装置6全体を変形しにくくすることができる。従って、低温環境において低荷重の使用状態においても密封装置6の変形を抑制することができ、底面側密封部2及び対向面側密封部3がそれぞれ底面102及び対向面201から離れたり接触力が低下したりすることを抑制し、密封性能の低下を抑制することができる。
【0037】
さらに、突出部対4の間において非作用圧側となる内周側に中間突出部7が設けられ、作用圧側となる外周側には中間突出部5が設けられていないことで、本発明の第1の実施の形態と同様に、低荷重の使用状態としやすく且つ低コスト化することができる。このように、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置6によれば、低温環境において低荷重の使用状態であっても密閉性能の低下を抑制することができる。
【0038】
尚、本発明は上記の第1、第2の実施の形態の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の実施の形態1、2では、周方向に隣り合う2つの突出部対4が45°間隔で配置され、2つの突出部対4の間に1つの中間突出部5、7が設けられているものとしたが、突出部対の個数及び間隔は適宜に設定されていればよい。また、周方向に隣り合う2つの突出部対の間に複数の中間突出部を設けてもよい。
【0039】
また、上記の本発明の第1、第2の実施の形態では、密封装置1、6が円環状であるものとしたが、密封装置は、装着空間の形状に対応した形状を有し、環状に形成されていればよい。例えば、装着空間が四角形環状に形成されていれば、密封装置も同様に四角形環状に形成されればよい。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0041】
1,6…密封装置、1A…本体部、2…底面側密封部、3…対向面側密封部、4…突出部対、41…外側突出部、42…内側突出部、5,7…中間突出部、10,10B…密封構造、20…装着空間、100…ハウジング(一方の部材)、101…溝部、102…底面、103,104…側面、200…ハウジング(他方の部材)、201…対向面