(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20231128BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20231128BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20231128BHJP
G01N 27/407 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G01N27/416 371G
G01N27/12 B
G01N27/12 M
G01N27/00 K
G01N27/407
(21)【出願番号】P 2020011385
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】有住 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大昌
(72)【発明者】
【氏名】上木 正聡
(72)【発明者】
【氏名】灘浪 紀彦
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実公昭35-013199(JP,Y1)
【文献】米国特許第05055270(US,A)
【文献】実開平03-002254(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガス中の特定ガスを検知する反応部と、該反応部を加熱するヒータと、を有するガス検知素子と、
前記被測定ガスを導入するガス導入口と、前記被測定ガスを排出するガス排出口と、前記ガス導入口及び前記ガス排出口に連通して前記ガス検知素子を格納する内部空間と、を有するハウジングと、
を備える素子ユニットと
、
前記被測定ガスの流量および移動方向を測定する流量センサと、
を備えてなるガスセンサであって、
前記素子ユニットはさらに、前記内部空間に配置される筒状をなし、軸方向の一端側が前記ガス導入口に臨み
、他端側が前記ガス検知素子の少なくとも一部を囲むと共に前記反応部に臨むガス誘導通路であって、前記他端側が前記内部空間に連通してなり、前記一端側から導入された前記被測定ガスを前記他端側に向けて誘導するガス誘導通路と、
前記ガス誘導通路と非接触に、かつ前記反応部が前記ガス導入口に対向するように前記ガス検知素子を前記ハウジングに支持する支持部材と、
を備えてなることを特徴とする
ガスセンサ。
【請求項2】
前記ハウジングが樹脂からなり、前記ガス誘導通路が金属からなり、
前記ガス誘導通路の前記他端側が前記ヒータを囲んでいる請求項1に記載の
ガスセンサ。
【請求項3】
前記支持部材は、第1端部から第2端部にかけて延びる長尺状に形成されると共に、前記第1端部が前記ガス検知素子に接続され、前記第2端部が前記ハウジングに直接又は他部材を介して間接的に接続されて、前記ガス検知素子での検知結果を表す検知信号の信号経路を構成する複数のリードピンからなる請求項1又は2に記載の
ガスセンサ。
【請求項4】
前記素子ユニットに電気的に接続される回路部
をさらに備えてなる
請求項1~3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガスに含まれる特定ガスを検知するガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被測定ガスに含まれる特定ガス成分の濃度を検知するガスセンサとして、ヒータを備えると共に特定ガスを検知する反応部を備えたガス検知素子と、ガス検知素子を格納する筒状の金属キャップと、を備えるガスセンサが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガス検知素子を筒状のキャップで囲み、キャップの天面の穴からガスをキャップ内に導入した場合、反応部に向かうガスの流速が大幅に低下するという問題がある。ガス流速が低下すると、反応部近傍のガス置換に時間がかかり、応答が遅くなる。
一方、キャップを細径化すると、ガス流速は上昇するが、ヒータの伝熱によりキャップが高温になり、安全性確保のためにガスセンサ周りの筐体の寸法を大きくする必要がある。
そこで、本発明は、特定ガスを検知する際の応答性を向上させると共に、ガス検知素子を格納するハウジングの温度上昇を抑制したガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、被測定ガス中の特定ガスを検知する反応部と、該反応部を加熱するヒータと、を有するガス検知素子と、前記被測定ガスを導入するガス導入口と、前記被測定ガスを排出するガス排出口と、前記ガス導入口及び前記ガス排出口に連通して前記ガス検知素子を格納する内部空間と、を有するハウジングと、を備える素子ユニットと、前記被測定ガスの流量および移動方向を測定する流量センサと、を備えてなるガスセンサであって、前記素子ユニットはさらに、前記内部空間に配置される筒状をなし、軸方向の一端側が前記ガス導入口に臨み、他端側が前記ガス検知素子の少なくとも一部を囲むと共に前記反応部に臨むガス誘導通路であって、前記他端側が前記内部空間に連通してなり、前記一端側から導入された前記被測定ガスを前記他端側に向けて誘導するガス誘導通路と、前記ガス誘導通路と非接触に、かつ前記反応部が前記ガス導入口に対向するように前記ガス検知素子を前記ハウジングに支持する支持部材と、を備えてなることを特徴とする。
【0006】
このガスセンサによれば、ハウジングの内部空間に筒状のガス誘導通路を配置している。ガス誘導通路の一端側はガス導入口に臨み、他端側はガス検知素子の少なくとも一部を囲んで前記反応部に臨んでいる。そして、ガス誘導通路は、ハウジングの内部空間に連通しており、ガス導入口から導入された被測定ガスは、ガス誘導通路内に誘導されて反応部に向かって流れ、ガス排出口から排出される。
これにより、ガス導入口から導入された被測定ガスがハウジングの内部空間全体に広がってガス流速が低下することが抑制され、ガス検知素子の応答性を向上させることができる。
又、ガス流速の低下を抑制するためにハウジングの内部空間全体を狭める必要がないので、ヒータの伝熱によるハウジングの温度上昇を抑制できる。
【0007】
本発明のガスセンサにおいて、前記ハウジングが樹脂からなり、前記ガス誘導通路が金属からなり、前記ガス誘導通路の前記他端側が前記ヒータを囲んでいてもよい。
この素子ユニットによれば、ヒータを囲むガス誘導通路がヒータの輻射熱を反射してハウジングの温度上昇をさらに抑制できる。又、ガス誘導通路を金属製とすることで、輻射熱の反射効果がさらに大きくなる。
【0008】
本発明のガスセンサにおいて、前記支持部材は、第1端部から第2端部にかけて延びる長尺状に形成されると共に、前記第1端部が前記ガス検知素子に接続され、前記第2端部が前記ハウジングに直接又は他部材を介して間接的に接続されて、前記ガス検知素子での検知結果を表す検知信号の信号経路を構成する複数のリードピンからなっていてもよい。
この素子ユニットによれば、ガス検知素子をハウジングに支持するリードピンを、ガス検知素子の検知信号の信号経路とするので、検知信号用の配線をリードピンで兼用でき、部品点数ひいては製造コストが低減する。
【0009】
本発明のガスセンサにおいて、前記素子ユニットに電気的に接続される回路部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、特定ガスを検知する際の応答性を向上させると共に、ガス検知素子を格納するハウジングの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る呼気ガス検知装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図2】ガス検知部をハウジングの軸方向に沿って切断した断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に係るガス検知部をハウジングの軸方向に沿って切断した断面図である。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態に係るガス検知部をハウジングの軸方向に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る呼気ガス検知装置(ガスセンサ)1の内部構成を示す斜視図、
図2はガス検知部23をハウジング49の軸方向に沿って切断した断面図、
図3は
図2のIII-III線に沿う断面図である。
図1に示す本実施形態の呼気ガス検知装置1は、被験者の呼気に含まれる特定ガス(特定成分)を検知するための装置である。呼気ガス検知装置1の検知対象となる特定ガスとしては、窒素酸化物(NO、NO
2といったNOx)が挙げられる。
【0013】
呼気ガス検知装置1は、医療等の分野に使用してもよい。呼気ガス検知装置1は、特に数ppbから数百ppbレベルの極低濃度のNOxを含むガスの測定、具体的には喘息診断(呼気に含まれるNOの検出)に好適に使用できる。
【0014】
呼気ガス検知装置1は、
図1に示すように、マウスピース11と、本体部13と、キャップ15と、流量センサ21と、ガス検知部23と、異物除去部25と、第1制御部31と、第2制御部33と、を備え、全体として細長い円筒状に形成されている。
呼気ガス検知装置1、ガス検知部23が、それぞれ特許請求の範囲の「ガスセンサ」、「素子ユニット」に相当する。
【0015】
なお、
図1では、呼気ガス検知装置1の内部構造を表すために、マウスピース11および本体部13を半分に切断した状態での内部構造を表している。本明細書などでは、呼気ガス検知装置1の長手方向における両端部のうち、マウスピース11が設けられる端部を先端とし、キャップ15が設けられる端部を後端とする。
【0016】
マウスピース11は、被験者による呼気の吹き込み動作および被験者による吸気動作が可能となるように、被験者が口をあてること可能な形状に構成されている。マウスピース11は、開口部11aと、内部空間11bと、連結部11cと、を備える。マウスピース11は、開口部11aから内部空間11bを介して連結部11cに至るガス経路を内部に備えている。連結部11cは、本体部13の先端側端部に対して着脱自在に嵌合できるように構成されている。
【0017】
本体部13は、先端から後端にかけて延びる長尺形状である。本体部13は、呼気の流路となるガス流路13aを内部に備える。ガス流路13aは、本体部13の先端に設けられた第1開口部13bと、本体部13の後端に設けられた第2開口部13cと、を備えたガス流路である。ガス流路13aは、第1開口部13bから第2開口部13cまで繋がる1本のガス流路として形成されている。
【0018】
本体部13は、流量センサ21、ガス検知部23、異物除去部25、第1制御部31、第2制御部33を収容している。
マウスピース11の連結部11cが本体部13の先端側端部と嵌合することで、マウスピース11は、ガス流路13aの第1開口部13bに繋がるように設けられる。
【0019】
流量センサ21は、流体の流量および流体の移動方向を測定可能に構成されたセンサである。流量センサ21は、ガス流路13aに流れるガス(呼気、大気)の流量および移動方向を測定できる。
【0020】
このため、流量センサ21によるガス流量の測定結果に基づいて、被験者により吹き込まれた呼気の流量を判定できる。また、流量センサ21によるガス流量の測定結果に基づいて、被験者による呼気吹き込み開始時期や、呼気吹き込みの継続時間を判定できる。さらに、流量センサ21によるガス移動方向の測定結果に基づいて、被験者による呼気の吹き込み動作中であるか、被験者による吸気動作中であるかを、判定できる。
【0021】
流量センサ21を備えることで、呼気の吹き込み動作および吸気動作のそれぞれが、適正な流速で適正な時間にわたり実施されたか否かを判定可能となる。
ガス検知部23は、一酸化窒素(NO)を検知するガス検知素子41(
図2)を内部に備えている。被験者による呼気吹き込み動作時には、呼気がマウスピース11を介して第1開口部13bからガス流路13aに導入されてガス検知部23に到達するため、このときのガス検知部23による検知結果は、呼気における特定ガス(NO)の含有状態に対応したものとなる。つまり、このときの検知結果に対応する状態量(検知結果信号)は、被験者の呼気における特定ガスの含有状態に応じた検知ガス値として利用できる。
【0022】
異物除去部25は、少なくとも過マンガン酸カリウムを含む吸着剤を内蔵して構成されている。これにより、被験者による吸気動作時に、第2開口部13cからガス流路13aに導入された大気は、異物除去部25を通過する際に、大気に含まれるNOx成分が異物除去部25で除去された上で、ガス検知部23に到達する。このときのガス検知部23での検知結果は、NOxを含まないガスに対する検知結果であり、この検知結果に対応した状態量(検知結果信号)は、一酸化窒素の検知に際して基準ガス値として利用できる。
【0023】
キャップ15は、本体部13の後端側端部と嵌合可能に構成されている。キャップ15は、ガス(呼気、大気など)が通過可能な通気穴15aを備えている。キャップ15は、本体部13の後端側端部と嵌合することで、通気穴15aがガス流路13aの第2開口部13cに繋がるように設けられる。
【0024】
次に、第1制御部31、第2制御部33は、それぞれ、電気回路部、および、各種演算処理を行うマイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう。図示省略。)を備えて構成されている。
マイコンは、CPU、ROM、RAMなどを備える。マイコンの各種機能は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、第1制御部31、第2制御部33は、それぞれ、備えるマイコンの数は1つでも複数でもよい。また、マイコンが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0025】
第1制御部31は、流量センサ21から測定結果信号を受信するように構成されている。第1制御部31は、測定結果信号に基づいて各種判定処理を実行するように構成されている。各種判定処理としては、例えば、ガス移動判定処理、呼気・吸気動作判定処理、呼気流量判定処理、呼気時間判定処理などが挙げられる。
【0026】
ガス移動判定処理は、測定結果信号に基づいて、ガス流路13aにおいてガス移動が発生しているか否かを判定する処理である。呼気・吸気動作判定処理は、測定結果信号に基づいて、被験者による呼気の吹き込み動作中であるか、被験者による吸気動作中であるかを判定する処理である。呼気流量判定処理は、測定結果信号に基づいて、被験者により吹き込まれた呼気の流量を判定する処理である。呼気時間判定処理は、測定結果信号に基づいて、被験者による呼気吹き込み開始時期や、呼気吹き込みの継続時間を判定する処理である。
【0027】
第2制御部33は、ガス検知部23から検知結果信号を受信するように構成されている。第2制御部33は、第1制御部31との間で各種情報を送受信するように構成されている。第2制御部33は、第1制御部31から各種判定処理の判定結果を受信するように構成されている。第2制御部33は、検知結果信号および各種判定処理の判定結果に基づいて、ガス検知処理を実行するように構成されている。
【0028】
ガス検知処理は、検知結果信号および各種判定処理の判定結果に基づいて、被験者の呼気から特定ガス(本実施形態では、一酸化窒素)を検知したか否かを判定する処理である。第2制御部33は、呼気ガス検知装置1が起動するとガス検知処理を開始する。
【0029】
ガス検知部23は、
図2に示すように、ガス検知素子41と、複数のリードピン43と、台座45と、ハウジング49と、を備える。
【0030】
ガス検知素子41は、反応部41aと、ヒータ41bと、を備える。反応部41aは、特定ガスに反応して電気的特性が変化すると共に、特定ガスの検知結果を表す検知信号Saを出力するように構成されている。ヒータ41bは、反応部41aを活性化状態とするために反応部41aを加熱するように構成されている。つまり、ガス検知素子41は、ヒータ41bを備えると共に、特定ガスを検知するように構成されている。ガス検知素子41は、例えば、公知の混成電位式センサを用いて構成することができる。
なお、本例では、ガス検知素子41は略矩形の板状であり、ガス検知素子41の先端側の表面に反応部41aが配置され、後端側の表面にヒータ41bが埋設して配置されている。
【0031】
リードピン43は、第1端部43aから第2端部43bにかけて延びる長尺状に形成された導電性金属材料(例えば、KOVAR)で構成されている。複数のリードピン43は、それぞれ、第1端部43aがガス検知素子41に接続されて、ガス検知素子41での検知結果を表す検知信号Saの信号経路を構成する。
【0032】
台座45は、板状に形成された材料(例えば、42Ni-Fe)で構成されている。台座45は、外径寸法が異なる二段の円柱状に形成されている。台座45は、複数のリードピン43を挿通するとともに支持するための複数の貫通穴(図示省略)を備えている。つまり、台座45は、複数のリードピン43をガラスにより相互に電気的に絶縁した状態で、複数のリードピン43をそれぞれ支持するように構成されている。
【0033】
ハウジング49は、樹脂(例えば、HDPE)で構成された有底円筒状部材である。ハウジング49は、ガス検知素子41を格納する内部空間49aを有している。ハウジング49は、被測定ガスGを取り込むガス導入口49cと、被測定ガスを排出するガス排出口49dとを備える。
ここで、
図2のハウジング49の上側(後端側)は縮径段部49pとなっていて、この段部49pの周方向に離間して、軸方向に延びるスリット状のガス導入口49cが複数個開口している。又、ハウジング49の下側(先端側)の端部は底面を有さない開放端となっており、この開放端を閉塞するように素子側基板47がハウジング49に固定されている。
さらに、ハウジング49の下側(先端側)の開放端の一部が上側に向かって切り欠かれて、素子側基板47で閉塞されずにガス排出口49dを形成している。
【0034】
ハウジング49は、樹脂製であることで電気的絶縁が良好となるため、複数のリードピン43どうしの電気的絶縁や、ハウジング49と複数のリードピン43との電気的絶縁を確実に図ることができる。
【0035】
素子側基板47は、リードピン43を保持可能な複数の挿通穴47bを有している。そして、素子側基板47は、リードピン43のうち台座45との当接部分43cから第2端部43bまでの領域における少なくとも一部と、挿通穴47bで直接的に結合されている。つまり、複数のリードピン43は、素子側基板47を介してガス検知素子41をハウジング49に支持する。
なお、素子側基板47に挿通されたリードピン43は、詳細は図示しないが、第1制御部31及び第2制御部33に電気的に接続されている。
第1制御部31及び第2制御部33が、特許請求の範囲の「回路部」に相当する。
【0036】
さらに、ハウジング49の内部空間49aには、金属製筒状のガス誘導通路50が配置されている。
ガス誘導通路50の軸方向の一端50aから径方向外側に向かって円形のフランジ部50fが延びている。フランジ部50fの外径は、ハウジング49の内径よりわずかに大きく、フランジ部50fをハウジング49の内側に圧入することで、フランジ部50f(ガス誘導通路50)がハウジング49にしっかりと固定される。
又、ガス誘導通路50の内径は、ハウジング49の縮径段部49pの内径とほぼ同一である。
【0037】
そして、ガス誘導通路50の一端50a側が縮径段部49p側に向き、ガス誘導通路50の軸方向をハウジング49の軸方向に揃った状態で、フランジ部50fをハウジング49に圧入する。これにより、ガス誘導通路50の軸方向の一端50a側がガス導入口49cに臨み、ガス導入口49cから導入された被測定ガスGは、ガス誘導通路50の一端50a側から、ガス誘導通路50内に導入される。
一方、ガス誘導通路50の他端50b側は、反応部41aの表面(後端向き面)41sよりも先端側にまで延びており、
図3に示すように、他端50b側がガス検知素子41の少なくとも一部を径方向外側から囲んで反応部41aに臨んでいる。
又、ガス誘導通路50の他端50b側の内周面は、ガス検知素子41の側周面との間に環状の隙間を有しており、ガス誘導通路50はハウジング49の内部空間49aに連通している。また、ガス誘導通路50の他端50b側は、ガス排出口49dと非接触になっている。
なお、支持部材43はガス誘導通路50と非接触であり、支持部材43はガス検知素子41の反応部41aがガス導入口49cに対向するようにガス検知素子41をハウジング49に支持する。
【0038】
このような形態のガス誘導通路50をハウジング49の内部空間49aに配置したことにより、ガス導入口49cから導入された被測定ガスGは、ガス誘導通路50内に誘導されて反応部41aに向かって流れ、ガス排出口49dから排出される。
これにより、被測定ガスGが内部空間49a全体に広がってガス流速が低下することが抑制され、ガス検知素子41の応答性を向上させることができる。
又、ガス流速の低下を抑制するためにハウジング49の内部空間49a全体を狭める必要がないので、ヒータ41bの伝熱によるハウジング49の温度上昇を抑制できる。
【0039】
さらに、
図4に示すように、ガス誘導通路50の他端50bがヒータ41bを囲むようにすれば、ガス誘導通路50がヒータ41bの輻射熱を反射してハウジング49の温度上昇をさらに抑制できる。
特に、ガス誘導通路50を金属製とすれば、輻射熱の反射効果がさらに大きくなる。ガス誘導通路50の材質としては、例えばアルミ材料が例示できる。
又、複数のリードピン43にてガス検知素子41をハウジング49に支持し、ガス検知素子41での検知結果を表す検知信号の信号経路とすれば、検知信号用の配線をリードピン43で兼用でき、部品点数ひいては製造コストが低減する。
【0040】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、
図4に示すように、台座45を省略し、リードピン43のみでガス検知素子41を支持してもよい。又、ハウジング49の縮径段部49p側の底面の厚みを厚くし、この底面の内壁50rを縮径段部49pの内壁よりも径大の段部に形成し、この内壁50rの内側にガス誘導通路50の一端50aを直接圧入してもよい。この場合、ガス誘導通路50にフランジ部50fを形成する必要がない。
【0041】
又、ガス検知素子41を支持する支持部材はリードピン43に限らず、
図5に示すように、メッシュや多孔質性の通気部材143を、ハウジング49の内部空間49aを先後に横断する(ハウジング49の軸方向と交差する)方向に延びるように配置してハウジング49の内壁に接続させてもよい。
そして、通気部材143の後端向き面(縮径段部49p側)にガス検知素子41を固定すれば、ガス誘導通路50内を反応部41aに向かって流れた被測定ガスGが通気部材143を通ってガス排出口49dから排出される。
【0042】
又、支持部材として、通気部材143に代え、例えばガス検知素子41を側方(
図2の左右方向)からリードピンで支持することも可能である。この場合、
図2と同様、ガス検知素子41の後端側にリードピンの一端を接続し、リードピンがこの一端から側方に曲がった後、その他端がハウジング49の側壁の図示しない挿通孔に挿通固定されることになる。
【0043】
ハウジングの形状も筒状に限定されない。又、ハウジングが筒状の場合に、ハウジングの軸方向とガス誘導通路の軸方向が完全に平行でなくてもよく、両者の方向が角度を持っていてもよい。
ガス検知素子の種類も限定されず、NOx以外の他のガス成分を検知する素子でもよい。
【0044】
さらに、呼気ガス検知装置1の形態は、上記実施形態に限らず、例えば、本体部のうちでガス検知部の上流側に、呼気(被測定ガスG)の吹き込み通路と大気の取り込み通路とを分岐する分岐機構を設けると共に、上記分岐機構とガス検知部との間にガスの流れを阻害しない形態でポンプを設置する形態を採ってもよい。このような形態では、呼気の吹き込み以外の期間に、ポンプを駆動させて大気をガス検知部に向けて取り込むようにする一方、呼気の吹き込み期間には、分岐機構を作動させて大気の取り込み通路を閉じ、呼気の吹き込み通路を通じてガス検知部に呼気を導くようにすればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 呼気ガス検知装置(ガスセンサ)
23 ガス検知部(素子ユニット)
14、140 濃度調整部
31、33、47 回路部
41 ガス検知素子
41a 反応部
41b ヒータ
43、143 リードピン、通気部材(支持部材)
49 ハウジング
49a 内部空間
49c ガス導入口
49d ガス排出口
50 ガス誘導通路
50a ガス誘導通路での一端
50b ガス誘導通路での他端
G 被測定ガス