(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】チャネル受付案件管理方法、チャネル受付案件管理装置、及びチャネル受付案件管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20231128BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2020014471
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】澤村 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 文人
(72)【発明者】
【氏名】木下 哲志
(72)【発明者】
【氏名】椛田 健史
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048394(JP,A)
【文献】特開2005-339192(JP,A)
【文献】特開2003-150795(JP,A)
【文献】特開2016-057832(JP,A)
【文献】特開2012-027615(JP,A)
【文献】特開2013-030039(JP,A)
【文献】特開2003-016279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
記憶装置において、案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持し、
ロビー端末から得た
、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、
前記記憶装置にて案件登録を行い、
前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、
前記本人確認処理に成功した場合、
前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、
前記振分結果がATMの場合、
前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATM
から受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、
前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する、
ことを特徴とするチャネル受付案件管理方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
前記振分結果がATMの場合、前記通知に先立ち、前記ATMからの本情報処理装置に対する問合せを許容する旨と、取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、前記案件に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャネル受付案件管理方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
前記振分結果が窓口の場合、前記ロビー端末に所定帳票を出力させ、
前記窓口の端末での処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャネル受付案件管理方法。
【請求項4】
前記情報処理装置が、
前記取引情報を前記ロビー端末から受け付けるに際し、前記ロビー端末で得ている口座情報をキーにした、勘定系への照会処理を実行し、当該照会処理の結果に応じて、当該取引情報の受付または前記案件登録の可否を判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャネル受付案件管理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記口座情報をキーにした前記勘定系への照会処理に際し、前記勘定系で管理するブラックリストへの照会依頼を行い、当該の照会処理の結果を前記ロビー端末の本人確認画面に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のチャネル受付案件管理方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
各ATMにおける各金種の在高情報を、所定のATM管理システムから取得し、
前記振分結果がATMであった場合、前記案件における取引金額及び金種に対応可能な在高を有するATMを、前記在高情報に基づき特定し、
前記特定したATMを、前記顧客に推奨すべきとのメッセージを、前記ロビー端末に配信し表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャネル受付案件管理方法。
【請求項7】
案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持する記憶装置と、
ロビー端末から得た
、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、
前記記憶装置にて案件登録を行い、前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、前記本人確認処理に成功した場合、
前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、前記振分結果がATMの場合、
前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における制取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATM
から受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する演算装置と、
を備えることを特徴とするチャネル受付案件管理装置。
【請求項8】
金融機関のロビーに設置され、取引を所望する顧客から取引情報の入力を受け付けるロビー端末と、
案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持する記憶装置と、前記ロビー端末から得た
、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、
前記記憶装置にて案件登録を行い、前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、前記本人確認処理に成功した場合、
前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、前記振分結果がATMの場合、
前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における制取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATM
から受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する演算装置と、を備える情報処理装置と、
を含むことを特徴とするチャネル受付案件管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル受付案件管理方法、チャネル受付案件管理装置、及びチャネル受付案件管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
営業店での顧客対応業務は、その取引内容(例:種別や金額、顧客属性)が事案により様々であり、それら全てに対応する営業店側で大きな負担となっている。そこで、取引内容応じた伝票データの生成や、本人確認の要否判定を支援する技術が提案されている。
【0003】
このような技術としては、例えば、伝票を生成する伝票生成システムであって、依頼する取引の内容の入力を受け付ける取引内容受付手段と、前記取引内容受付手段によって受け付けた取引の内容の情報を含む伝票データを生成する伝票データ生成手段と、前記取引内容受付手段によって受け付けた取引の内容に基づいて本人確認が必要か否かの判定を行う判定手段と、前記判定手段によって本人確認が必要と判定された場合に本人確認の記録に含めるデータの入力を受け付けて受け付けたデータを含む本人確認記録データを生成する本人確認記録データ生成手段とを備えたことを特徴とする伝票生成システム(特許文献1参照)などが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、いわゆる「印鑑レス」、「伝票レス」等の業務効率化を図るサービスは提案されはじめている。ところが、その導入コストが比較的高い一方で、本人確認処理が必要な事案であれば、結局のところ、従来の手順が必要となる。
【0006】
また、事案の内容や顧客の属性により、当該業務をATM/窓口に振り分ける手順が必要になるが、ロビー行員が膨大な種類の取引条件等を全て踏まえて振分判断を行うことは困難な現実もある。しかも、上記振り分けを行った結果、顧客の誘導先としたATMの状況が、当該事案に効率的に対応できるものとは限らず、かえって顧客満足度や業務効率を低下させてしまう恐れもある。
【0007】
そこで本発明の目的は、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のチャネル受付案件管理方法は、情報処理装置が、記憶装置において、案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持し、ロビー端末から得た、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、前記記憶装置にて案件登録を行い、前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、前記本人確認処理に成功した場合、前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、前記振分結果がATMの場合、前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATMから受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のチャネル受付案件管理装置は、案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持する記憶装置と、ロビー端末から得た、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、前記記憶装置にて案件登録を行い、前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、前記本人確認処理に成功した場合、前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、前記振分結果がATMの場合、前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における制取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATMから受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する演算装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のチャネル受付案件管理システムは、金融機関のロビーに設置され、取引を所望する顧客から取引情報の入力を受け付けるロビー端末と、案件における取引内容に応じて当該案件の顧客の振分先を規定した振分条件の情報と、ATMでの取引における取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に関する情報を保持する記憶装置と、前記ロビー端末から得た、取引の種別及び金額を示す取引内容に関する情報を含む取引情報に基づき、前記記憶装置にて案件登録を行い、前記ロビー端末に、前記取引情報が示す取引内容に応じた本人確認処理を実行させ、前記本人確認処理に成功した場合、前記振分条件に前記取引情報を照合して、当該案件の顧客をATMと窓口のいずれに振り分けるべきか判定し、当該判定の結果を前記ロビー端末に表示させ、前記振分結果がATMの場合、前記取引情報を前記取引限度額制限の解除ないし緩和の条件に照合し、前記案件におけるATMでの取引における制取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を判定し、前記ATMを訪れた前記顧客から当該ATMが得た識別情報を含む取引情報の問合せを、前記ATMから受信し、当該問合せに応じて、前記取引情報および取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、当該ATMに通知し、前記通知を受けた前記ATMでの処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する演算装置と、を備える情報処理装置と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態のチャネル受付案件管理システムを含むネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態におけるチャネル受付案件管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態の案件管理DBのデータ構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の振分条件DBのデータ構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態の制限管理DBのデータ構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態の本人確認DBのデータ構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態のBLリストのデータ構成例を示す図である。
【
図8】本実施形態におけるチャネル受付案件管理方法のフロー例を示す図である。
【
図10】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図12】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図13】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図14】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図15】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図16】本実施形態のャネル受付案件管理方法のフロー例を示す図である。
【
図17】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図18】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図19】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図20】本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<ネットワーク構成>>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態のチャネル受付案件管理システム10を含むネットワーク構成図である。
図1に示すチャネル受付案件管理システム10は、チャネル受付案件管理装置100及びロビー端末150で構成されたコンピュータシステムである。
【0014】
ただし、この構成は一例であって、
図1で示す、ATM200、勘定系300、窓口端末400、及びATMクラウドシステム50などが適宜含まれる構成も想定しうる。
【0015】
本実施形態では、金融機関の営業店において、上述の各装置らが運用されており、セキュアなネットワーク1により互いに通信可能に接続されている。こうしたネットワーク構成に含まれる装置のうち、ロビー端末150は、営業店に来店した顧客による操作を受け付け、その取引内容に関する情報を取得する端末である。
【0016】
ロビー端末150を操作する行員や顧客は、印鑑、伝票、(筆記具等での)記入は不要、すなわち印鑑レス、伝票レス、記入レスで手続を行えるものとする。そのため、顧客の通帳やカード券面などを読み取るBLS(スタンド型のイメージスキャナ)151や、二次元バーコード等を帳票印字するプリンタ152を備える。
【0017】
また、ATM200は、営業店に複数配置され、顧客との金融取引に際して現金を入出金する装置である。そのため、現金を金種ごとに格納する現金スタッカ225を備え、所定の搬送機構で当該現金の出し入れが可能となっている。
【0018】
また、勘定系300は、上述の金融機関における勘定系システムである。勘定系300は、各顧客の保有口座における預金残高やその明細等を管理する元帳325や、問題ある顧客のブラックリストであるBLリスト326を保有、管理している。
【0019】
また、窓口端末400は、営業店の窓口に設置されている端末である。この窓口端末400は、窓口担当のテラーが操作し、顧客所望の金融取引の手続を遂行するための端末となる。こうした窓口端末400は、ロビー端末150と同様に、顧客の通帳やカード券面などを読み取るBLS(スタンド型のイメージスキャナ)401や、取引結果に応じた所定の書面等を印字するプリンタ402を備える。
【0020】
なおATMクラウドシステム50は、営業店に備わる各ATM200における各金種の在高情報を監視し、ネットワーク1を介してチャネル受付案件管理装置100に配信可能なシステムである。
<<ハードウェア構成>>
続いて、本実施形態におけるチャネル受付案件管理装置100のハードウェア構成を、
図2に例示する。この場合のチャネル受付案件管理装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および通信装置105を備えている。
【0021】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0022】
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0023】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制
御処理を行なうCPUである。
【0024】
また、通信装置105は、ネットワーク1と接続して他装置との通信処理を担うネットワークインターフェイスカードである。
【0025】
なお、記憶装置101内には、本実施形態のチャネル受付案件管理装置100として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、案件管理DB125、振分条件DB126、制限管理DB127、及び本人確認DB128が少なくとも記憶されている。ただし、これらのデータベースの詳細については後述する。
【0026】
また、チャネル受付案件管理装置100は、上述の構成の他に、入力装置及び出力装置を備えるとしてもよい。このうち入力装置は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける、キーボードやマウス、マイクなどの適宜な装置である。また、出力装置は、演算装置104での処理データの表示を行うディスプレイ、スピーカー等の適宜な装置である。<<データ構造例>>
続いて、本実施形態のチャネル受付案件管理システム10を構成する各装置らが適宜用いるデータについて説明する。
図3に、本実施形態における案件管理DB125の一例を示す。
【0027】
本実施形態の案件管理DB125は、ロビー受付端末150で顧客から受けた取引内容の情報に基づき、チャネル受付案件管理装置100が案件レコードを生成し、これを蓄積したデータベースである。
【0028】
そのデータ構造は、案件ナンバーをキーとして、顧客を一意に特定する顧客ID、取引種別、取引金額、BLリスト該当、振分結果、ステータス、及び制限解除/緩和、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0029】
このうち、振分結果は、当該案件がATMと窓口のどちらに振分判定されたかを示す値である。また、制限解除/緩和は、ATM200での取引に通常では課されている制限を解除ないし緩和することに関して判定した結果である。また、BLリスト該当は、該当案件の関係者が、勘定系300で管理するBLリスト326に該当する不適切な者であったかを示す値である。
【0030】
また、
図4に本実施形態の振分条件DB126のデータ構成例を示す。この振分条件DB126は、上述の案件管理DB125で案件化された取引が、営業店の窓口に振り分けられるべきか、或いは、ATM200に振り分けられるべきかを判断する条件を規定したデータベースである。
【0031】
そのデータ構造は、条件を一意に特定する条件IDをキーとして、当該条件を適用する取引、さらに当該取引の詳細条件のID、金額、本人確認の要否、及び振分先といったデータから成るレコードの集合体である。
図4の例では、例えば、取引「出金」について、取引金額が「10万円以上、100万円以下」の場合、本人確認は「否」であり、振分先は「ATM」、取引金額が「100万円以上、300万円以下」の場合、本人確認は「要」であり、振分先は「ATM」、取引金額が「300万円以上」の場合、本人確認は「要」であり、振分先は「窓口」、などと規定されている。
【0032】
また、
図5に本実施形態の制限管理DB127のデータ構成例を示す。この制限管理DB127は、上述の取引のうちATM200で処理されうるものに関して、従来のATM運用形態では制限されていた制御内容を解除ないし緩和する条件について既定したデータベースである。
【0033】
そのデータ構造は、制御事象を一意に特定する管理IDをキーとして、対象取引、さらに当該取引の詳細条件のID、条件、及び制御内容といったデータから成るレコードの集合体である。
図5の例では、例えば、取引「現金振込」について、条件が「金額:10万円以上、50万円以下」の場合、通常の制限内容を「解除」し、条件が「金額:50万円以上」の場合、通常の制限内容を「解除」、などと規定されている。また、例えば、取引「出金」について、条件が「金額:100万円以上、300万円以下」の場合、通常の制限内容を「緩和」し、「100万円/回に分ける」、などと規定されている。
【0034】
また、
図6に本実施形態の本人確認DB128のデータ構成例を示す。この本人確認DB128は、金融取引の種別ごとに必要となる本人確認手続のルールを網羅的に規定したデータベースである。
【0035】
そのデータ構造は、取引種別をキーとして、取引の金額、顧客が提示する本人確認書類、及び本人確認ルールといったデータから成るレコードの集合体である。こうした本人確認DB128が保持するデータ自体は、金融取引において従前より管理する本人確認ルールの規定と同様である。
【0036】
また、
図7に本実施形態のBLリスト326のデータ構成例を示す。このBLリスト326は、勘定系300が管理するデータベースであり、当該金融機関にとって好ましからぬ顧客の情報を蓄積したデータベースである。
【0037】
そのデータ構造は、当該顧客を一意に特定する顧客IDをキーとして、当該顧客の口座番号等から成るレコードの集合体である。
<<チャネル受付案件管理方法のフロー例>>
以下、本実施形態におけるチャネル受付案件管理方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するチャネル受付案件管理方法に対応する各種動作は、チャネル受付案件管理システム10を構成する各装置らが、それぞれのメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0038】
図8は、本実施形態におけるチャネル受付案件管理方法のフロー例を示す図である。ここではまず、営業店を訪れた顧客(の案件)に関して、当該営業店におけるATMか窓口のいずれかへの振分判断の制御について説明する。
【0039】
この場合、上述の顧客は営業店のロビーにてロビー端末150にたどり着き、必要に応じてロビー行員と協働し、或いは単独で、所望の取引内容等について入力する。そのため、ロビー端末150は、例えば、
図9に示す取引選択の画面1000を表示し、顧客による通帳またはカードのセットと、取引選択を受け付けることとする。
図9の例では、「出金」が選択された状態である。また、他の例として、
図11の画面1000において、「現金振込」が選択された状態も例示する。
【0040】
なお、上述のロビー端末150は、顧客によりセットされた通帳またはカードに関して、BLS151での券面の読取り、ないし予め別途備えるリーダー手段によるICチップや磁気ストライプの読取り処理を実行し、当該顧客の識別情報や口座情報を取得するものとする。
【0041】
また、ロビー端末150は、上述の取引選択の受け付けに続いて、
図10に例示する取引金額の入力画面1100を表示し、顧客による取引金額のための情報入力を受け付けることとする。
図10の例では、総額「1,500,000」円、1万円「115」枚、5千
円「60」枚、1千円「50」枚、が入力された状態である。
【0042】
なお、取引が「現金振込」である場合の取引金額の入力画面は、
図12に示すように、振込額と、振込先の店番、科目、口座番号といった振込先情報の入力欄を含むものとなる。
図12の例では、振込額「2,600,000」円、店番「123」、科目「普通」、口座番号「1234567」が指定された状態である。
【0043】
こうした画面1100で「OK」がクリックされた場合、ロビー端末150は、画面1000、1100で受け付けた入力内容、すなわち取引の種類と金額等に関する各情報を取得し、これを取引情報としてチャネル受付案件管理装置100に配信する。
【0044】
そこで、チャネル受付案件管理装置100は、ロビー端末150から上述の取引情報を取得し(s1)、この取引情報が含む顧客や振込先の口座番号など当該取引の関係者の識別情報をキーに、勘定系300に対し、ブラックリスト照会を行う(s2)。
【0045】
この時、勘定系300は、チャネル受付案件管理装置100から得た口座番号等を、BLリスト326に照合して、該当者がいるか判定し、その判定結果をチャネル受付案件管理装置100に返すものとする。
【0046】
一方、チャネル受付案件管理装置100は、勘定系300における上述の判定結果を受信し、当該顧客ないし振込先がBLリスト326に登録された者であった場合(s3:N)、取引不可として以後の処理を終了する。
【0047】
この場合、チャネル受付案件管理装置100は、
図13の画面1200に示すように、取引不可の旨を示すメッセージを、ロビー端末150に送信し、当該顧客に閲覧させることとする。
【0048】
こうした運用を行うことで、例えば振込先が反社組織でないかチェックし、その結果をロビー端末150にて表示させることで、不適切な振込事案の事前阻止が可能となる。
【0049】
他方、チャネル受付案件管理装置100は、勘定系300における上述の判定結果を受信し、当該取引の関係者がBLリスト326に登録されていない場合(s3:Y)、s1で得ている取引情報を含むレコードを生成し、これを案件管理DB125に格納する(s4)。この時、チャネル受付案件管理装置100は、案件管理DB125の該当レコードにおいて、BLリスト該当欄に「OK」の値を設定し、レコードを更新する。
【0050】
続いて、チャネル受付案件管理装置100は、上記のs4で案件化された取引すなわち案件について、取引種別や取引金額といった取引内容に応じた本人確認処理を本人確認DB128で特定し、これをロビー端末150に通知し、ロビー行員や顧客による本人確認処理を実行させる(s5)。この時、チャネル受付案件管理装置100は、
図14に例示する画面1300をロビー端末150で表示させ、当該顧客が持参した本人確認物の種類について回答を取得し、これを本人確認の特定に利用するものとする。
【0051】
一方、ロビー端末150は、こうした本人確認処理の成否について、チャネル受付案件管理装置100に応答する。チャネル受付案件管理装置100は、この応答が本人確認失敗を示すものであった場合(s6:N)、以後の処理を終了する。他方、上述の応答が本人確認成功を示すものであった場合(s6:Y)、チャネル受付案件管理装置100は、振分判定を行い(s7)、その結果(例:
図15の画面1400参照)をロビー端末150に表示させる。この時、チャネル受付案件管理装置100は、案件管理DB125の該当レコードにおいて、振分結果欄に、振分判定の結果を設定する。
【0052】
この振分判定に際し、チャネル受付案件管理装置100は、当該案件の取引情報が示す、取引種別及び金額の各値を振分条件DB126(
図4)に照合することで、ATMと窓口のいずれに振り分けるべき案件が判定するものとする。なお、上述のロビー端末150を操作するロビー行員は、上述の振分結果に応じて当該顧客の誘導等を行うことになる。
【0053】
ここで、上述の振分判定の結果が「窓口」の場合(s8:窓口)、チャネル受付案件管理装置100は、ロビー端末150に対して帳票印字を指示する(s9)。ロビー端末150は、この指示を受けて、例えば取引情報を二次元バーコード化し、これをプリンタ152にて所定の帳票用紙に印字することとする。また、こうして生成される帳票は、顧客が取得する。顧客は、この帳票を持参して営業店の窓口に赴く。
【0054】
この窓口の行員は、上述の顧客が提示する帳票を、窓口端末400のBLS401でスキャンし、二次元バーコードが含んでいる該当案件の取引情報(顧客情報含む)を取得し、当該取引の手続を進める。
【0055】
なお、上述のように帳票印字を行わない形態も想定しうる。その場合、チャネル受付案件管理装置100は、上述の窓口の窓口端末400と接続し、窓口端末400から案件管理DB125に案件照会をさせるとしてもよい。その場合、顧客は、キャッシュカードまたは通帳を行員に提示し、当該行員がそのキャッシュカードまたは通帳の口座情報により窓口端末400から案件管理DB125を照会する。行員は、取引情報を参照して所定の手続を進めることになる。
【0056】
また、窓口端末400は、上述の案件に関する手続き結果(例:行員が入力)を、チャネル受付案件管理装置100に応答する。
【0057】
チャネル受付案件管理装置100は、上述の応答を取得し、案件管理DB125で該当事案のレコードにおいてステータス欄の値(例:窓口手続き中、完了、ATMから読取り可、など)を更新する(s10)。このステータス欄の値は、上述の各ステップの実行経過に伴って、適宜設定するとしてもよい。
【0058】
一方、上記振分判定の結果が「ATM」の場合(s8:ATM)、チャネル受付案件管理装置100は、ここまで該当案件に関して得ている取引情報を、制限管理DB127に照合し、ATM200での処理の制限解除/緩和の内容について判定する(s11)。
【0059】
また、チャネル受付案件管理装置100は、案件管理DB125における該当案件のレコードの制限解除/緩和欄に、上述のs11の判定結果に応じた、限度額制限の解除/緩和の内容を設定する(s12)。なお、この時、チャネル受付案件管理装置100は、該当レコードにおけるステータス欄に、「ATMからの読取り可」の値を設定し、ATM200からの情報読取りに備えることとする。
【0060】
これに引き続き、チャネル受付案件管理装置100は、
図16に示すフローを実行すると好適である。この場合のチャネル受付案件管理装置100は、各ATM200における各金種の在高情報を、ATMクラウドサービス50を経由して取得する(s20)。
【0061】
そこで、チャネル受付案件管理装置100は、上述の該当案件における取引情報が示す、取引金額、金種に対応可能な在高を有するATMを、上記在高情報に基づき判定する(s21、s22)。
【0062】
また、チャネル受付案件管理装置100は、上記判定により特定したATM200の情
報を、上記顧客に推奨すべきとのメッセージを、ロビー端末150に配信し表示させる(s23)。顧客は、このメッセージ(
図17の画面1500参照)を閲覧し、該当ATM200に移動して取引を実行する。
【0063】
一方、顧客は、キャッシュカードまたは通帳を持参して、上述のように推奨されたATM200に赴き、所望の取引に応じた操作を行う。この時、ATM200は、
図18の画面1700を表示し、顧客が提示したキャッシュカード等から顧客ID等の識別情報を取得し、これをキーに、チャネル受付案件管理装置100に対する、取引情報の問い合わせを実行する。
【0064】
他方、チャネル受付案件管理装置100は、上述の問い合わせを受信し(s13)、案件管理DB125の該当レコードから取引情報と制限解除/緩和の各情報を得て、ATM200に応答する(s14)。
【0065】
ATM200は、
図19の画面1800のように該当案件に関して、案件管理DBで登録済みの情報を表示すると共に、ATM200での現金取扱の処理を、限度額制限が解除/緩和された状態で実行する旨(
図20の画面1900参照)を表示する。
【0066】
こうした状況下で、ATM200は、制限解除/緩和に対応した顧客の操作に応じ、所定の金融取引を必要に応じて勘定系300と連携して実行し、その処理結果をチャネル受付案件管理装置100に応答する。
【0067】
チャネル受付案件管理装置100は、上記ATM200での処理状況を取得し(s15)、案件管理DB125で該当案件のレコードにおいてステータスを更新し(s16)、処理を終了する。
【0068】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0069】
こうした本実施形態によれば、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【0070】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のチャネル受付案件管理方法において、前記情報処理装置が、前記振分結果がATMの場合、前記通知に先立ち、前記ATMからの本情報処理装置に対する問い合わせを許容する旨と、取引限度額制限の解除ないし緩和の内容を、前記案件に設定する、としてもよい。
【0071】
これによれば、当該案件に関するATMからの問い合わせ(取引情報に関するもの)や、取引限度額の解除等の制御を効率的に実施可能となる。ひいては、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、さらなる業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【0072】
また、本実施形態のチャネル受付案件管理方法において、前記情報処理装置が、前記振分結果が窓口の場合、前記ロビー端末に所定帳票を出力させ、前記窓口の端末での処理状況に応じて、前記案件のステータスを更新する、としてもよい。
【0073】
これによれば、例えば、顧客が上記帳票を持参して窓口を訪れた際、窓口行員は、当該顧客が提示する帳票を、窓口端末でスキャンし取引案件の情報(顧客情報含む)を取得し、該当取引の手続をスムーズに進めることが可能となる。ひいては、営業店での顧客対応
業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、さらなる業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【0074】
また、本実施形態のチャネル受付案件管理方法において、前記情報処理装置が、前記取引情報を前記ロビー端末から受け付けるに際し、前記ロビー端末で得ている口座情報をキーにした、勘定系への照会処理を実行し、当該照会処理の結果に応じて、当該取引情報の受付または前記案件登録の可否を判断する、としてもよい。
【0075】
これによれば、当該顧客に関して勘定系で管理している情報に基づき、その取引を許容出来るか精度良好に判定可能となる。ひいては、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、さらなる業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【0076】
また、本実施形態のチャネル受付案件管理方法において、前記情報処理装置が、前記口座情報をキーにした前記勘定系への照会処理に際し、前記勘定系で管理するブラックリストへの照会依頼を行い、当該の照会処理の結果を前記ロビー端末の本人確認画面に表示させる、としてもよい。
【0077】
これによれば、当該顧客に関して勘定系で管理しているブラックリストに基づき、その取引ひいては顧客を許容出来るか的確に判定可能となる。ひいては、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、さらなる業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【0078】
また、本実施形態のチャネル受付案件管理方法において、前記情報処理装置が、各ATMにおける各金種の在高情報を、所定のATM管理システムから取得し、前記振分結果がATMであった場合、前記案件における取引金額及び金種に対応可能な在高を有するATMを、前記在高情報に基づき特定し、前記特定したATMを、前記顧客に推奨すべきとのメッセージを、前記ロビー端末に配信し表示させる、としてもよい。
【0079】
これによれば、金融機関の営業店に設置されている各ATMのうち、上述の顧客の取引案件に関して対応可能なものを特定し、これを当該顧客に利用させる状況を創出しる。ひいては、営業店での顧客対応業務を適宜に自動化し、更にはATMの状況も踏まえた対応とすることで、さらなる業務効率の改善と、顧客満足度の向上を図ることが可能になる。
【符号の説明】
【0080】
1 ネットワーク
10 チャネル受付案件管理システム
50 ATMクラウドシステム
100 チャネル受付案件管理装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
125 案件管理DB
126 振分条件DB
127 制限管理DB
128 本人確認DB
150 ロビー端末
151 BLS
152 プリンタ
200 ATM
225 現金スタッカ
300 勘定系
325 元帳
326 BLリスト
400 窓口端末
401 BLS
402 プリンタ