(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】コイルケースを備えたリアクトルおよびコイルケース
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20231128BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20231128BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01F37/00 G
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F27/32 140
H01F27/24 F
H01F27/24 K
(21)【出願番号】P 2020019502
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚平
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-130126(JP,A)
【文献】実公昭51-024514(JP,Y1)
【文献】特開2015-201580(JP,A)
【文献】特開2019-004126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00- 5/06
H01F 17/00-27/06
H01F 27/08
H01F 27/23-27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
H01F 38/42-41/04
H01F 41/08
H01F 41/10-41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部鉄心と、
前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合された少なくとも三つの鉄心コイルと、を具備し、
前記少なくとも三つの鉄心コイルのそれぞれは、鉄心と該鉄心に装着されたコイルとから構成されており、
前記少なくとも三つの鉄心のそれぞれの半径方向内側端部は前記外周部鉄心の中心に向かって収斂しており、
前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、前記少なくとも三つの鉄心の前記半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップを介して互いに離間しており、
さらに、
前記少なくとも三つのコイルのそれぞれを収容するコイル収容部を備えた少なくとも三つのコイルケースを具備し、
該少なくとも三つのコイルケースのそれぞれは、前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部を含む、リアクトル。
【請求項2】
前記溝部は、前記コイルケースの外壁の厚さ部分に形成されている、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記溝部は、前記コイルケースの外壁が前記コイルケースに収容されるべきコイルの中心軸線を含む鉛直面に向かって延びる二つの傾斜部分から形成されている、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記少なくとも三つの鉄心の数は3の倍数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記少なくとも三つの鉄心の数は4以上の偶数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記二つの傾斜部分は、前記コイルケースのハウジングの後方部から、開放した前方部に向かって下方に傾斜している、
請求項3に記載のリアクトル。
【請求項7】
コイルケースにおいて、
コイルが収容されるべきコイル収容部と、
前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部とを含んでおり、
前記溝部は、前記コイルケースの外壁が前記コイルケースに収容されるべきコイルの中心軸線を含む鉛直面に向かって延びる二つの傾斜部分から形成されている、コイルケース。
【請求項8】
前記溝部は、前記コイルケースの外壁の厚さ部分に形成されている、請求項7に記載のコイルケース。
【請求項9】
前記二つの傾斜部分は、前記コイルケースのハウジングの後方部から、開放した前方部に向かって下方に傾斜している、請求項7に記載のコイルケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルケースを備えたリアクトルおよびコイルケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、外周部鉄心と該外周部鉄心の内部に配置された複数の鉄心とを含むコア本体を備えたリアクトルが開発されている。複数の鉄心のそれぞれには、コイルが巻回されている。また、コイルはコイルケースに収納された状態でリアクトルに組付けられている。
【0003】
一般にリアクトルは、組立後に含浸剤に含浸される。このため、コイルがコイルケースに収納されている場合には、余剰の含浸剤がコイルケース下部に溜まり、その結果、リアクトルの重量が増すという問題があった。
【0004】
この点に関し、特許文献1には、コイルケースの底面部に複数のスリットを形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数のスリットをコイルケースの底面部に形成するのは手間がかかり煩雑でもある。
【0007】
また、コイルに対する絶縁性を確保するために、コイルの下端とコイルケースの底面部との間の距離を大きくする必要があるが、コイルケースが大型化するという問題がある。
【0008】
このため、大型化させることなしに、余剰含浸剤がコイルケース下部に溜まるのを簡単な構成で防止することのできるコイルケース、およびそのようなコイルケースを備えたリアクトルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一つの態様によれば、外周部鉄心と、前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合された少なくとも三つの鉄心コイルと、を具備し、前記少なくとも三つの鉄心コイルのそれぞれは、鉄心と該鉄心に装着されたコイルとから構成されており、前記少なくとも三つの鉄心のそれぞれの半径方向内側端部は前記外周部鉄心の中心に向かって収斂しており、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、前記少なくとも三つの鉄心の前記半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップを介して互いに離間しており、さらに、前記少なくとも三つのコイルのそれぞれを収容するコイル収容部を備えた少なくとも三つのコイルケースを具備し、該少なくとも三つのコイルケースのそれぞれは、前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部を含む、リアクトルが提供される。
【0010】
本開示の他の態様によれば、コイルケースにおいて、コイルが収容されるべきコイル収容部と、前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部とを含んでおり、前記溝部は、前記コイルケースの外壁が前記コイルケースに収容されるべきコイルの中心軸線を含む鉛直面に向かって延びる二つの傾斜部分から形成されている、コイルケースが提供される。
【発明の効果】
【0011】
これら態様においては、リアクトルまたはコイルケースを含浸剤から引き上げたときに、余剰含浸剤が溝部を通って排出されるので、余剰含浸剤がコイルケース下部に溜まるのを単純な構成で防止できる。
【0012】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連した以下の実施形態の説明により一層明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】第一の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。
【
図1B】第一の実施形態に基づくリアクトルの斜視図である。
【
図2A】リアクトルの半径方向内側からみたコイルケースの斜視図である。
【
図2B】リアクトルの半径方向外側からみたコイルケースの斜視図である。
【
図4A】第一の実施形態におけるコイルケースの部分斜視図である。
【
図5A】第二の実施形態におけるコイルケースの部分斜視図である。
【
図6A】第三の実施形態におけるコイルケースの斜視図である。
【
図7】他の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0015】
以下の記載では、三相リアクトルを例として主に説明するが、本開示の適用は、三相リアクトルに限定されず、各相で一定のインダクタンスが求められる多相リアクトルに対して幅広く適用可能である。また、本開示に係るリアクトルは、産業用ロボットや工作機械におけるインバータの一次側および二次側に設けるものに限定されず、様々な機器に対して適用することができる。
【0016】
図1Aは第一の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。
図1Bは
図1Aに示されるリアクトルの斜視図である。
図1Aおよび
図1Bに示されるように、リアクトル6のコア本体5は、外周部鉄心20と、外周部鉄心20の内側に配置された三つの鉄心コイル31~33とを含んでいる。
図1においては、略六角形の外周部鉄心20の内側に鉄心コイル31~33が配置されている。これら鉄心コイル31~33はコア本体5の周方向に等間隔で配置されている。
【0017】
なお、外周部鉄心20が他の回転対称形状、例えば円形であってもよい。また、鉄心コイルの数は3の倍数であればよく、その場合には、リアクトル6を三相リアクトルとして使用できる。
【0018】
図面から分かるように、それぞれの鉄心コイル31~33は、外周部鉄心20の半径方向にのみ延びる鉄心41~43と、該鉄心に装着されたコイル51~53とを含んでいる。少なくとも三つのコイル51~53のそれぞれがコイルケース61~63に収納されている。コイルケース61~63は非磁性材料、例えば樹脂から形成されるのが好ましい。なお、一部の図面においては、簡潔にする目的で、コイル51~53の図示を省略する場合がある。
【0019】
外周部鉄心20は周方向に分割された複数、例えば三つの外周部鉄心部分24~26より構成されている。外周部鉄心部分24~26は、それぞれ鉄心41~43に一体的に構成されている。外周部鉄心部分24~26および鉄心41~43は、複数の磁性板、例えば鉄板、炭素鋼板、電磁鋼板を積層するか、または圧粉鉄心から形成される。このように外周部鉄心20が複数の外周部鉄心部分24~26から構成される場合には、外周部鉄心20が大型である場合であっても、そのような外周部鉄心20を容易に製造できる。なお、鉄心41~43の数と、外周部鉄心部分24~26の数とが必ずしも一致していなくてもよい。
【0020】
さらに、鉄心41~43のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心近傍に位置している。図面においては鉄心41~43のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約120度である。そして、鉄心41~43の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101~103を介して互いに離間している。
【0021】
言い換えれば、鉄心41の半径方向内側端部は、隣接する二つの鉄心42、43のそれぞれの半径方向内側端部とギャップ101、103を介して互いに離間している。他の鉄心42、43についても同様である。なお、ギャップ101~103の寸法は互いに等しいものとする。
【0022】
このように、
図1Aに示される構成では、コア本体5の中心部に位置する中心部鉄心が不要であるので、コア本体5を軽量かつ簡易に構成することができる。さらに、三つの鉄心コイル31~33が外周部鉄心20により取囲まれているので、コイル51~53から発生した磁場が外周部鉄心20の外部に漏洩することもない。また、ギャップ101~103を任意の厚さで低コストで設けることができるので、従来構造のリアクトルと比べて設計上有利である。
【0023】
さらに、本開示のコア本体5においては、従来構造のリアクトルに比較して、相間の磁路長の差が少なくなる。このため、本開示においては、磁路長の差に起因するインダクタンスのアンバランスを軽減することもできる。
【0024】
図1Bを参照して分かるように、鉄心41~43に装着されるコイル51~53のそれぞれは、断面が矩形である単一の導電性線材、つまり平角線を少なくとも一回巻回することにより形成される平角線コイルである。平角線の断面が矩形であるので、平角線は互いに平行な一組の幅広面と互いに平行な一組の幅狭面とを含み、一組の幅広面と一組の幅狭面とは互いに垂直である。従って、コイル51~53のそれぞれの端面には、平角線の幅広面が露出していることになる。なお、コイル51~53(54)が平角線コイル以外のコイルであってもよい。
【0025】
図2Aはリアクトルの半径方向内側からみたコイルケースの斜視図であり、
図2Bは、リアクトルの半径方向外側からみたコイルケースの斜視図である。これら図面および後述する他の図面においては、代表として、コイルケース61のみを表示するが他のコイルケース62、63、(64)も同様の構成であるものとする。コイルケース61は上面および半径方向内側の面(前方部61e)が開放したハウジング61bと、該ハウジング61bの半径方向外側の端面から半径方向内側に突出する中空突出部61cとを有している。
【0026】
ハウジング61bと中空突出部61cとの間の空間は、コイル51を収納するのに適した形状のコイル収容部61aである。また、後述するように、中空突出部61cの中空部分は鉄心41を受容するのに適した形状である。
【0027】
図3はリアクトルの部分斜視図である。
図3に示されるように、コイル51が収容されたコイルケース61を外周部鉄心部分24に向かって移動させる。これにより、外周部鉄心部分24と一体的な鉄心41がコイルケース61の中空突出部61cに挿入される。これにより、コイル51を鉄心41に装着することができる。他のコイル52、53も対応するコイルケース62、63に収容された後で、同様に外周部鉄心部分25、26の鉄心42、43にそれぞれ装着される。その後、外周部鉄心部分24~26を互いに組付け、それにより、
図1Bに示されるリアクトル6が形成される。
【0028】
このようにして組み立てられたリアクトル6は含浸剤に含浸される。従来技術の欄で説明したのと同様に、コイル51~53を収容するコイルケース61~63が特別に加工されていない場合には、リアクトル6を含浸剤から引き上げるときに、余剰含浸剤がコイルケース下部に溜まる可能性があった。
【0029】
図4Aは第一の実施形態におけるコイルケースの部分斜視図であり、
図4Bは
図4Aに示されるコイルケースの側面図である。第一の実施形態においては、コイル収容部61aの下方部分における内周面には、溝部80が形成されている。なお、簡潔にする目的で、
図2A~
図3においては溝部80の図示を省略している。
図4Aに示される溝部80はハウジング61bの後方部61dから、開放した前方部61eに向かって下方に傾斜している。溝部80は、余剰含浸剤を排出する排出路としての役目を果たす。これにより、リアクトル6を含浸剤から引き上げたときに、余剰含浸剤が溝部80を通って排出されるので、余剰含浸剤がコイルケース61下部に溜まるのを防止できる。また、この場合には、コイルケースの下方部分に複数のスリットを形成する必要がないので、単純な構成で足りる。
【0030】
そして、
図4A、
図4Bにおいては、溝部80はコイルケース61の外壁の厚さ部分に形成されている。言い換えれば、第一の実施形態における溝部80の底面がコイルケース61の対応する外壁に対して傾斜している。この場合には、コイルケース61が大型化するのを簡単な構成で避けることができる。
【0031】
さらに、
図5Aは第二の実施形態におけるコイルケースの部分斜視図であり、
図5Bは
図5Aに示されるコイルケースの側面図である。第二の実施形態においては、溝部80に対応するコイルケース61の外壁が後方部61dから前方部61eに向かって下方に傾斜している。言い換えれば、溝部80の底面はコイルケース61の対応する外壁に対して平行である。この場合には、第一の実施形態よりも溝部80の傾斜角度を大きくできるので、余剰含浸剤をコイルケース61下部から排出する効果を高められる。
【0032】
さらに、
図6Aは第三の実施形態におけるコイルケースの斜視図であり、
図6Bは
図6Aに示されるコイルケースの部分斜視図であり、
図6Cは
図6Bに示されるコイルケースの側面図である。第三の実施形態においては、コイルケース61の下方部分の外壁は、二つの傾斜部分83、84より構成されている。これら傾斜部分83、84は、コイルケース61に収容されるべきコイル51(図示しない)の中心軸線を含む鉛直面に向かって延びている。このため、傾斜部分83、84が互いに接触する稜線部分85が延びる方向は、リアクトル6の半径方向に対して平行な成分を含む。
【0033】
さらに、
図6Bおよび
図6Cから分かるように、傾斜部分83、84の内面は後方部61dから前方部61eに向かって下方に傾斜している。このため、傾斜部分83、84の内面より構成される溝部80も後方部61dから前方部61eに向かって下方に傾斜することとなる。この場合には、急峻な溝部80を形成することができるので、余剰含浸剤を確実にリアクトルから排出することができる。
【0034】
図7は他の実施形態におけるリアクトルのコア本体の頂面図である。
図7に示されるコア本体5は、略八角形状の外周部鉄心20と、外周部鉄心20の内方に配置された、前述したのと同様な四つの鉄心コイル31~34とを含んでいる。これら鉄心コイル31~34はコア本体5の周方向に等間隔で配置されている。また、鉄心の数は4以上の偶数であるのが好ましく、それにより、コア本体5を備えたリアクトルを単相リアクトルとして使用できる。
【0035】
図面から分かるように、外周部鉄心20は周方向に分割された四つの外周部鉄心部分24~27より構成されている。それぞれの鉄心コイル31~34は、半径方向に延びる鉄心41~44と該鉄心に装着されたコイル51~54とを含んでいる。そして、鉄心41~44のそれぞれの半径方向外側端部は、外周部鉄心部分21~24のそれぞれと一体的に形成されている。なお、鉄心41~44の数と、外周部鉄心部分24~27の数とが必ずしも一致していなくてもよい。
【0036】
さらに、鉄心41~44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心近傍に位置している。
図7においては鉄心41~44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約90度である。そして、鉄心41~44の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101~104を介して互いに離間している。
【0037】
図7においても、少なくとも三つのコイル51~54のそれぞれは、前述したのと同様なコイルケース61~64に収納されている。従って、
図7に示される場合であっても、前述したのと同様な溝部80をコイルケース61~64に形成することにより、前述したのと同様な効果を得ることができる。なお、溝部80が形成されたコイルケース61~64自体も本発明の範囲に含まれるものとする。
【0038】
本開示の態様
1番目の態様によれば、外周部鉄心と、前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合された少なくとも三つの鉄心コイルと、を具備し、前記少なくとも三つの鉄心コイルのそれぞれは、鉄心と該鉄心に装着されたコイルとから構成されており、前記少なくとも三つの鉄心のそれぞれの半径方向内側端部は前記外周部鉄心の中心に向かって収斂しており、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、前記少なくとも三つの鉄心の前記半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップを介して互いに離間しており、さらに、前記少なくとも三つのコイルのそれぞれを収容するコイル収容部を備えた少なくとも三つのコイルケースを具備し、該少なくとも三つのコイルケースのそれぞれは、前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部を含む、リアクトルが提供される。
2番目の態様によれば、1番目の態様において、前記溝部は、前記コイルケースの外壁の厚さ部分に形成されている。
3番目の態様によれば、1番目の態様において、前記溝部は、前記コイルケースの外壁が前記コイルケースに収容されるべきコイルの中心軸線を含む鉛直面に向かって延びる二つの傾斜部分から形成されている。
4番目の態様によれば、1番目から3番目のいずれかの態様において、前記少なくとも三つの鉄心の数は3の倍数である。
5番目の態様によれば、1番目から3番目のいずれかの態様において、前記少なくとも三つの鉄心の数は4以上の偶数である。
6番目の態様によれば、コイルケースにおいて、コイルが収容されるべきコイル収容部と、前記コイル収容部の下方部分に形成された溝部とを含む、コイルケースが提供される。
7番目の態様によれば、6番目の態様において、前記溝部は、前記コイルケースの外壁の厚さ部分に形成されている。
8番目の態様によれば、6番目の態様において、前記溝部は、前記コイルケースの外壁が前記コイルケースに収容されるべきコイルの中心軸線を含む鉛直面に向かって延びる二つの傾斜部分から形成されている。
【0039】
態様の効果
1番目の態様においては、リアクトルまたはコイルケースを含浸剤から引き上げたときに、余剰含浸剤が溝部を通って排出されるので、余剰含浸剤がコイルケース下部に溜まるのを単純な構成で防止できる。
2番目および7番目の態様においては、コイルケースが大型化するのを簡単な構成で避けられる。
3番目および8番目の態様においては、急峻な溝部を形成することができるので、余剰含浸剤を確実にリアクトルから排出できる。
4番目の態様においては、リアクトルを三相リアクトルとして使用できる。
5番目の態様においては、リアクトルを単相リアクトルとして使用できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、後述する請求の範囲の開示範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を為し得ることは、当業者に理解されよう。
【符号の説明】
【0041】
5 コア本体
6 リアクトル
20 外周部鉄心
24~27 外周部鉄心部分
31~34 鉄心コイル
41~44 鉄心
51~54 コイル
61~64 コイルケース
61a コイル収容部
61b ハウジング
61c 中空突出部
61d 後方部
61e 前方部
80 溝部
83、84 傾斜部分
85 稜線部分
101~104 ギャップ