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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20231128BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20231128BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20231128BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D23/02 304Z
F25D23/06 H
F25D23/00 305G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020020615
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021127836
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 航也
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242121(JP,A)
【文献】特開2017-146039(JP,A)
【文献】特開2014-199173(JP,A)
【文献】特開2007-046829(JP,A)
【文献】特開2013-170758(JP,A)
【文献】特開2014-070740(JP,A)
【文献】特開2015-010780(JP,A)
【文献】特開2011-038712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0107679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記貯蔵室内を冷却する冷却運転に要する電力を供給する主電源装置と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記主電源装置とは別構成であって前記主電源装置の電力供給の対象とは異なる対象に電力を供給する別電源装置と、
前記冷蔵庫本体又は前記扉に設けられ外部機器を着脱可能でかつ給電可能に接続する外部接続端子と、
前記扉に設けられて前記主電源装置からの電力供給を受けて動作する特別装置と、を備え、
前記外部接続端子は、前記特別装置が設けられた前記扉に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記外部接続端子は、前記冷蔵庫本体又は前記扉から外部に露出した状態又は外部に露出可能な状態で設けられているとともに、前記別電源装置に接続されており、当該外部接続端子に接続された前記外部機器に前記別電源装置からの電力を供給可能に構成されている、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記外部接続端子及び前記特別装置は、前記扉内に交換可能でかつ前記扉に対して異なる方向から挿入されて設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記特別装置は、前記冷却運転の設定を変更するための操作装置である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記主電源装置及び前記別電源装置は、同一空間内に設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記主電源装置及び前記別電源装置は、前記冷蔵庫本体の天井壁部の奥側に設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記別電源装置に接続された電気配線の少なくとも一部は、前記主電源装置に接続された電気配線とは別の経路で前記冷蔵庫本体内又は前記扉内に配置されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の普及に伴い、例えば携帯情報端末で動画や音楽を視聴しながらキッチンで家事を行うといった使い方がなされるようになってきている。しかしながら、動画や音楽の視聴に伴うバッテリー消費が比較的大きいため、ユーザは、携帯情報端末のバッテリーの残量を気にしながら視聴する必要がある。そこで、例えば携帯情報端末を接続可能な接続端子を冷蔵庫に設け、冷蔵庫と携帯情報端末とを電気的に接続して冷蔵庫から携帯情報端末に給電を行うことができる構成が提案されている。
【0003】
しかしながら、例えば冷蔵庫に接続された携帯情報端末から冷蔵庫の電源装置に外乱が入ると、冷蔵庫の電源装置に悪影響を及ぼし、その結果、冷蔵庫の冷却運転の運転性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-188760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、冷蔵庫の冷却運転に要する電力以外の電力を供給する場合においても、冷蔵庫の冷却運転の運転性能に悪影響を及ぼし難い冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、前記冷蔵庫本体に設けられ、前記貯蔵室内を冷却する冷却運転に要する電力を供給する主電源装置と、前記冷蔵庫本体に設けられ、前記主電源装置とは別構成であって前記主電源装置の電力供給の対象とは異なる対象に電力を供給する別電源装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による冷蔵庫の一例について前方斜め上方から見た状態を示す斜視図
図2】第1実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例について示すブロック図
図3】第1実施形態による冷蔵庫の一例について電源収容部の内部構成を後方斜め上方から見た状態を示す斜視図
図4】第1実施形態による冷蔵庫について特別装置及び外部接続端子の設置態様の一例を示す図
図5】第1実施形態による冷蔵庫について特別装置及び外部接続端子を右側冷蔵室扉に取り付ける際の挿入方向の一例を示す図
図6】第2実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例について示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
まず、図1を参照して、冷蔵庫1の概略構成について説明する。図1に示すように、冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体10内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、冷蔵庫本体10の開口側を、冷蔵庫1の前側とし、開口とは反対側を、冷蔵庫1の後ろ側とする。また、冷蔵庫1を図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫1の上下方向とする。また、図1の冷蔵庫1を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫1の左右方向とする
【0010】
図1に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体10を主体として構成されている。冷蔵庫本体10は、前面が開口した断熱性を有する矩形の箱体で構成されている。この場合、詳細は図示しないが、冷蔵庫本体10は、例えば樹脂製の内箱と金属製の外箱との間に断熱材を設けて構成されている。本実施形態において、冷蔵庫本体10の上面つまり天井面を構成する壁を天井壁部101と称し、冷蔵庫本体10の背面を構成する壁を背壁部102と称する。
【0011】
冷蔵庫本体10は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を備えている。冷蔵室11、野菜室12は、冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15は、冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0012】
冷蔵室11は、冷蔵庫本体10の最上部に設けられている。野菜室12は、冷蔵室11の下方に設けられている。製氷室13及び小冷凍室14は、野菜室12の下方にあって、左右に並べて設けられている。冷凍室15は、製氷室13及び小冷凍室14の下方、つまり冷蔵庫本体10の最下部に設けられている。
【0013】
冷蔵庫1は、右側冷蔵室扉21、左側冷蔵室扉22、野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26を備えている。右側冷蔵室扉21及び左側冷蔵室扉22は、例えば観音開きのヒンジ開閉式の扉であって、冷蔵室11の前側の開口を開閉する。右側冷蔵室扉21の幅と左側冷蔵室扉22の幅とは同一でも良いし、異なっていても良い。本実施形態の場合、右側冷蔵室扉21は、左側冷蔵室扉22よりも幅広に構成されている。
【0014】
また、右側冷蔵室扉21は右側ヒンジ211を有し、左側冷蔵室扉22は左側ヒンジ221を有している。各ヒンジ211、221は、それぞれ冷蔵室扉21、22の外側端部の上下部分に設けられており、各冷蔵室扉21、22を回転可能に支持する。野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26は、いずれも引き出し式であって、それぞれ野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15の前側の開口を開閉する。
【0015】
冷蔵庫1は、主電源装置30及び別電源装置40を更に備えている。また、冷蔵庫1は、電源収容部16及びカバー部材17を更に備えている。電源収容部16は、冷蔵庫本体10内において、主電源装置30及び別電源装置40を収容するための空間を構成する。本実施形態の場合、電源収容部16は、上側が開口した矩形の容器状に構成されており、冷蔵庫本体10の天井壁部101の奥寄り部分に埋め込まれるようにして設けられている。カバー部材17は、電源収容部16の上側に着脱可能に設けられており、電源収容部16の上側の開口を閉塞する。
【0016】
電源収容部16及びカバー部材17は、例えば金属の板材や難燃性樹脂のように防水性及び難燃性を有する材料で構成されている。したがって、電源収容部16の内部空間は、水漏れや延焼が防止される領域となっている。このため、仮に電源収容部16内に水が流入したとしても、その水が冷蔵庫本体10の内部に漏れ出ることが抑制される。また、仮に電源収容部16内で発火等が生じたとしても、その火が冷蔵庫本体10に延焼することが抑制される。
【0017】
本実施形態の場合、主電源装置30及び別電源装置40は、いずれも電源収容部16内に設けられている。つまり、主電源装置30及び別電源装置40は、冷蔵庫本体10の天井壁部101内部において同一空間内に設けられている。この場合、同一の空間内とは、例えば同一の電源収容部16内の空間のように水漏れや延焼が防止される領域が共通している空間内のことを意味する。換言すれば、主電源装置30と別電源装置40が同一空間内に設けられているとは、主電源装置30が設けられる空間と別電源装置40と設けられている空間とが何らかの部材によって完全に隔離されていない空間のことを意味する。
【0018】
また、本実施形態において、主電源装置30及び別電源装置40は、図1及び図3に示すように、電源収容部16内において前後方向に並べて配置されている。この場合、主電源装置30は、電源収容部16内において別電源装置40の前方に配置されている。換言すれば、別電源装置40は、電源収容部16内において主電源装置30の後方つまり奥方に配置されている。
【0019】
主電源装置30は、AC-DCコンバータやスイッチング回路等を含んで構成されており、例えば図3に示すように回路基板31に電気部品32等を実装して構成されている。主電源装置30は、図2に示すように、電源コード2を介して商用電源に接続され、商用電源から供給された電力を各機器に適した形式に変換して、主電源装置30の電力供給の対象となる各機器に対して電力を供給する機能を有する。
【0020】
図2に示すように、主電源装置30は、1次側301及び2次側302を有している。主電源装置30の1次側301には商用電源の電圧が入力される。そして、主電源装置30は、1次側301に入力された商用電源の電圧を、1次側301においてそのまま又は高圧して出力するとともに、2次側302において降圧して出力する。この場合、主電源装置30の1次側301と2次側302との間は、回路基板31内において例えば二重絶縁や強化絶縁が施されて絶縁強度が高められている。
【0021】
本実施形態の場合、冷蔵庫1は、図2に示すように、圧縮機51及びヒータ52を備えている。圧縮機51は、図示しない蒸発器や凝縮器とともに各貯蔵室11、12、13、14、15に供給する冷気を生成するための冷凍サイクルを構成する。ヒータ52は、例えば各扉21、22、23、24、25、26の外周部に設けられた結露防止用のヒータや、図示しない蒸発器の除霜のためのヒータ等である。
【0022】
圧縮機51及びヒータ52は、冷却運転を行うために駆動が必要な装置であって、他の装置に比べて特に消費電力が大きい装置である。主電源装置30は、少なくともこれら圧縮機51及びヒータ52のように、冷却運転に必要な機器に対して駆動電力を供給する。本実施形態の場合、圧縮機51は、商用電源の電圧よりも低いDC15Vで駆動する。そのため、圧縮機51は、電気配線511を介して主電源装置30の2次側302に接続されている。また、本実施形態の場合、ヒータ52は、商用電源の電圧と同じAC100Vで駆動する。そのため、ヒータ52は、電気配線521を介して主電源装置30の1次側301に接続されている。
【0023】
また、本実施形態の場合、冷蔵庫1は、制御装置53及び操作装置54を備えている。制御装置53は、例えばCPUやメモリを有するマイコンで構成されており、冷蔵庫1が備える各機器の制御を行う。本実施形態の場合、制御装置53は、商用電源の電圧よりも低いDC5Vで駆動する。この場合、制御装置53は、電気配線531を介して主電源装置30の2次側302に接続されている。
【0024】
操作装置54は、ユーザからの操作を受け付けて、冷蔵庫1の運転内容等の各種の設定の変更や表示等を行うためのものである。本実施形態の場合、操作装置54は、商用電源の電圧よりも低いDC5Vで駆動する。この場合、操作装置54は、電気配線541を介して主電源装置30の2次側302に接続されている。
【0025】
なお、本実施形態の場合、操作装置54は、例えば静電タッチ式の操作装置で構成されている。そして、操作装置54は、例えば冷蔵室扉21、22のいずれいか一方又は両方に内蔵されている。本実施形態の場合、操作装置54は、右側冷蔵室扉21に内蔵されている。この場合、ユーザは、右側冷蔵室扉21の表面のうち操作装置54が設けられている領域をタッチすることで、操作装置54に対して入力操作を行うことができる。なお、操作装置54は、静電タッチ式に限られず、ボタン式であっても良い。またこの場合、操作装置54は、主電源装置30からの電力供給を受けて動作する特別装置として機能する。
【0026】
本実施形態の場合、操作装置54は、右側冷蔵室扉21において、ヒンジ211とは反対側寄りつまり冷蔵庫1の中央側寄りに設けられている。この場合、右側冷蔵室扉21は、操作装置収容部212を有している。操作装置収容部212は、右側冷蔵室扉21の周縁部、この場合、ヒンジ211とは反対側の縁部に設けられている。
【0027】
操作装置収容部212は、右側冷蔵室扉21の内部に形成された空間であり、操作装置54を収容するためのものである。本実施形態の場合、操作装置収容部212は、右側冷蔵室扉21に対して水平方向でかつヒンジ211とは反対側方向へ向かって開放されている。そのため、操作装置54を右側冷蔵室扉21に取り付ける際、操作装置54は、図5の矢印Aで示しように、右側冷蔵室扉21に対して水平方向でかつヒンジ211とは反対側からヒンジ211側へ向かって操作装置収容部212内に収容される。これにより、操作装置54は、右側冷蔵室扉21の操作装置収容部212内に着脱可能つまり交換可能に設けられている。
【0028】
また、冷蔵庫1は、扉補助装置55を備える場合もある。扉補助装置55は、ヒンジ開閉式の冷蔵室扉21、22の開放を補助する機能を有している。扉補助装置55は、冷蔵庫本体10の天井壁部101の上面前側にあって冷蔵室扉21、22に対応して設けられている。扉補助装置55は、詳細は図示しないが、例えばソレノイドやモータ等のアクチュエータと、そのアクチュエータによって押し引きされるシャフトと、を有している。そして、扉補助装置55は、アクチュエータの駆動によってシャフトを押し出し、これにより冷蔵室扉21、22を押し開けることができる。
【0029】
扉補助装置55は、冷蔵室扉21、22を押し開けるため、アクチュエータの駆動に比較的大きな電力を要する。このため、主電源装置30は、1次側301に昇圧回路33を有している。昇圧回路33は、1次側301に入力された商用電源を、扉補助装置55の駆動に必要な電圧、例えばDC280Vに昇圧する。そして、扉補助装置55は、電気配線551を介して主電源装置30の1次側301に設けられた昇圧回路33に接続されている。
【0030】
別電源装置40は、主電源装置30とは別体に構成されている。別電源装置40は、AC-DCコンバータやスイッチング回路等を含んで構成されている。別電源装置40は、例えば図3に示すように主電源装置30の回路基板31とは別の回路基板41に電気部品42等を実装して構成されている。別電源装置40は、図2に示すように、1次側401と2次側402とを有している。本実施形態の場合、別電源装置40の1次側401は、主電源装置30の1次側301を介して商用電源に接続されている。
【0031】
すなわち、別電源装置40は、主電源装置30を介して商用電源に接続されている。つまり、別電源装置40の1次側401には、商用電源の電圧が入力される。そして別電源装置40は、1次側401に入力された商用電源の電圧を、2次側402において降圧して出力する。この場合、別電源装置40の1次側401と2次側402との間は、回路基板31内において例えば二重絶縁や強化絶縁が施されて絶縁強度が高められている。なお、別電源装置40の1次側401は、主電源装置30の1次側301を介さずに直接商用電源に接続される構成でも良い。
【0032】
別電源装置40は、主電源装置30とは別構成であって主電源装置30の電力供給の対象とは異なる対象に電力を供給するものである。すなわち、本実施形態の場合、別電源装置40は、主電源装置30の電力供給の対象である圧縮機51、ヒータ52、制御装置53、操作装置54、及び扉補助装置55以外の対象に電力を供給する。本実施形態において、別電源装置40の電力供給の対象は、冷蔵庫1とは別の外部機器であり例えばスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末90を想定しているが、これらに限られない。
【0033】
また、冷蔵庫1は、外部接続端子60を備えている。外部接続端子60は、電気配線61を介して別電源装置40の2次側402に接続されている。外部接続端子60は、図4に示すように、スマートフォンやタブレット等の外部機器90を直接又はケーブル91を介して着脱可能でかつ給電可能に接続する。そして、別電源装置40は、外部接続端子60を介して接続された外部機器90に給電する。
【0034】
本実施形態の場合、外部接続端子60は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格に基づくコネクタであり、例えばUSBメスコネクタで構成されている。なお、外部接続端子60は、外部機器90と給電可能に接続できる規格に基づくものであれば、USBコネクタに限られない。
【0035】
外部接続端子60は、各扉21、22、23、25、26、又は冷蔵庫本体10に設けられている。本実施形態の場合、外部接続端子60は、特別装置である操作装置54が設けられている扉と同一の扉、この場合、右側冷蔵室扉21に設けられている。外部接続端子60は、右側冷蔵室扉21の下端部付近に設けられている。この場合、右側冷蔵室扉21は、図1及び図4に示すように、窪み部213及び外部接続端子収容部214を有している。
【0036】
窪み部213は、右側冷蔵室扉21の周縁部、この場合、下端部に設けられている。窪み部213は、右側冷蔵室扉21の表面部分を扉21の厚み方向に窪ませて形成されている。つまり、窪み部213は、右側冷蔵室扉21において、ユーザ側へ向かって開放されている。
【0037】
外部接続端子収容部214は、右側冷蔵室扉21の内部に形成された空間であり、窪み部213の周囲に隣接して設けられている。本実施形態の場合、外部接続端子収容部214は、右側冷蔵室扉21に対して下方へ向かって開放されている。そのため、外部接続端子60を右側冷蔵室扉21に取り付ける際、外部接続端子60は、図5の矢印Bで示すように、右側冷蔵室扉21の下方から上方へ向かって外部接続端子収容部214内に挿入される。この場合、外部接続端子60は、特別装置である操作装置54とは扉21に対して異なる方向から挿入されて扉21に着脱可能つまり交換可能に設けられている。
【0038】
この場合、操作装置54及び外部接続端子60は、いずれも同一の扉内この場合右側冷蔵室扉21内に交換可能に設けられている。また、操作装置54及び外部接続端子60は、それぞれ右側冷蔵室扉21内において異なる収容部に配置されている。具体的には、操作装置54は操作装置収容部212に収容され、外部接続端子60は外部接続端子収容部214に収容されている。
【0039】
外部接続端子60は、外部接続端子60の差し込み口が窪み部213内において右側冷蔵室扉21の外部に露出した状態で、外部接続端子収容部214に収容されている。これにより、ユーザは、図4に示すように、例えば外部機器90に接続されたケーブル91の一端に設けられたオスコネクタ92を窪み部213から外部接続端子60の差し込み口に差し込むことで、外部接続端子60を介して外部機器90を別電源装置40に接続することができる。
【0040】
なお、外部接続端子60は、常に外部に露出している必要はなく、外部機器90が接続される場合にのみ外部に露出する構成でも良い。すなわち、例えば窪み部213に外部接続端子60の差し込み口を覆うカバー等を設ける構成でも良い。この場合、外部接続端子60に外部機器90が接続されていないときは、外部接続端子60はカバーによって覆われており外部に露出していない。一方、外部機器90を外部接続端子60に接続するときにユーザがカバーを開くことで、外部接続端子60を露出させる構成でも良い。
【0041】
次に、主電源装置30及び別電源装置40に接続された各電気配線511、521、531、541、551、61の引き回しの態様について説明する。本実施形態の場合、主電源装置30に接続された各電気配線511、521、531、541、551は、図3に示すように、束ねられた状態で電源収容部16から冷蔵庫本体10の背壁部102内に引き出されている。そして、束ねられた各電気配線511、521、531、541、551のうち、圧縮機51に接続される電気配線511と、ヒータ52に接続される電気配線521と、制御装置53に接続される電気配線531とは、背壁部102内を通って下方に延び、その後、それぞれ圧縮機51、ヒータ52、及び制御装置53に接続される。
【0042】
また、主電源装置30に接続された各電気配線511、521、531、541、551のうち、操作装置54に接続される電気配線541は、図3及び図1に示すように、背壁部102内に引き出された後、各電気配線511、521、531、541、551の束から分岐して天井壁部101内を通り、ヒンジ211から扉21内に引き込まれて、扉21内に設けられた操作装置54に接続されている。
【0043】
また、主電源装置30に接続された各電気配線511、521、531、541、551のうち、扉補助装置55に接続される電気配線551は、図3及び図1に示すように、背壁部102内に引き出された後、各電気配線511、521、531、541、551の束から分岐して天井壁部101内を通り、左右の扉補助装置55に接続されている。
【0044】
そして、別電源装置40に接続される電気配線61は、図3に示すように、主電源装置30に接続された各電気配線511、521、531、541、551の束の近傍でかつ平行な状態で電源収容部16から冷蔵庫本体10の背壁部102内に引き出される。そして、別電源装置40に接続される電気配線61は、図3及び図1に示すように、背壁部102内に引き出された後、天井壁部101内において操作装置54に接続される電気配線541に沿って配置される。そして、電気配線61は、ヒンジ211から扉21内に引き込まれて、扉21内に設けられた外部接続端子60に接続されている。
【0045】
ここで、冷蔵庫本体10内又は各扉21、22、23、24、25、26内に設けられた電気配線のうちある電気配線を第1電気配線とした場合において、その第1電気配線に印加される電圧よりも低い電圧が印加され又は第1電気配線を流れる電流よりも小さい電流が流れる電気配線を第2電気配線とする。本実施形態の場合、主電源装置30の1次側301からは、主電源装置30に入力される商用電源の電力がそのまま出力又は昇圧して出力される。そのため、例えば別電源装置40の2次側402に接続された電気配線と比較して、主電源装置30の1次側301に接続された電気配線には大きな電圧が印加され又は大きな電流が流れる。
【0046】
すなわち、本実施形態の場合、別電源装置40の2次側402と外部接続端子60とを接続する電気配線61に比べて、主電源装置30の1次側301とヒータ52とを接続する電気配線521、及び主電源装置30の1次側301と扉補助装置55とを接続する電気配線551にはより大きな電圧が印加され又はより大きな電流が流れる。したがって、主電源装置30の1次側301とヒータ52とを接続する電気配線521及び主電源装置30の1次側301と扉補助装置55とを接続する電気配線551を第1電気配線とした場合、別電源装置40の2次側402と外部接続端子60とを接続する電気配線61は第2電気配線となる。
【0047】
この場合、図1及び図3に示すように、別電源装置40に接続された第2電気配線61の少なくとも一部又は全部は、主電源装置30に接続されて第2電気配線61よりも大きい電圧が印加又は大きい電流が流れる第1電気配線521、551とは別の経路で冷蔵庫本体10又は扉21、22、23、24、25、26内に配置されている。
【0048】
具体的には、ヒータ52に接続される第1電気配線521は、電源収容部16から冷蔵庫本体10の背壁部102内に引き出され、その後、背壁部102内を通って下方に延びた後、ヒータ52に接続されている。一方、外部接続端子60に接続される第2電気配線61は、第1電気配線521と同様に電源収容部16から冷蔵庫本体10の背壁部102内に引き出される。その後、第2電気配線61は、天井壁部101内を通り、ヒンジ211から扉21内に引き込まれて、扉21内に設けられた外部接続端子60に接続される。
【0049】
この場合、ヒータ52に接続される第1電気配線521と外部接続端子60に接続される第2電気配線61とは、少なくとも一部に相互に接近した部位を有している。この場合、第1電気配線521と第2電気配線61とにおける「相互に接近した部位」とは、第1電気配線521と第2電気配線61との両方に二重絶縁又は強化絶縁が施されていない場合に、第1電気配線521と第2電気配線61との間で絶縁破壊が生じる可能性がある程度に接近していることを意味する。なお、この場合、「接近」には接触していることも含む。更にこの場合、「相互に接近した部位」は、第1電気配線521と第2電気配線61と並行に配置されている部位であっても良いし、交差している部位であっても良い。
【0050】
本実施形態の場合、ヒータ52に接続される第1電気配線521と外部接続端子60に接続される第2電気配線61とのうち、図2及び図3の二点鎖線Cで示す部分、具体的には電源収容部16から冷蔵庫本体10の背壁部102内に引き出された部分及び背壁部102内を通る一部分が、相互に接近した部位すなわち近接部位Cとなる。本実施形態の場合、第1電気配線521と第2電気配線61のうち相互に近接した近接部位Cは、冷蔵庫本体10の壁部101、102内に設けられている。この場合、詳細は図示しないが、近接部位Cは、壁部101、102内に設けられたウレタン等の断熱材の内部に埋設されている。
【0051】
ヒータ52に接続される第1電気配線521と外部接続端子60に接続される第2電気配線61とにおいて相互に接近した部位には、具体的には図2及び図3の二点鎖線で示す近接部位Cには、第1電気配線521又は第2電気配線61のいずれか一方又は両方に、絶縁強度を高める処理が施されている。
【0052】
すなわち、本実施形態において、第1電気配線521及び第2電気配線61は、第1電気配線521と第2電気配線61とが相互に離れている離間部位と、第1電気配線521と第2電気配線61とが離間部位よりも近接している近接部位Cとを有している。この場合、近接部位Cは、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち二点鎖線で示す部位である。また、離間部位は、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち二点鎖線で示す近接部位C以外の部位である。そして、第1電気配線521及び第2電気配線61の少なくとも一方又は両方は、二点鎖線で示す近接部位Cについて絶縁強度を高める処理を行っている。
【0053】
本実施形態の場合、絶縁強度を高める処理とは、二重絶縁又は強化絶縁を施すことを含む。この場合、二重絶縁とは、感電に対する基礎的な保護を担保する基礎絶縁に、更に基礎絶縁が破壊された場合に感電から保護するための独立した付加絶縁を追加的に施したものを意味する。また、強化絶縁とは、感電からの危険に対して、二重絶縁によるものと同等以上の保護を与える単一の絶縁を意味する。
【0054】
本実施形態の場合、図3に示すように、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち近接部位Cつまり絶縁強度を高める処理が施された部位は、主電源装置30と冷蔵庫本体10における幅方向で重なっており、かつ、主電源装置30の後方に設けられている。また、この場合、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち近接部位Cつまり絶縁強度を高める処理が施された部位は、別電源装置40の側方を通っている。すなわち、別電源装置40の側方を、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち近接部位Cが通っている。
【0055】
本実施形態の場合、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち図2及び図3の二点鎖線で示す近接部位Cにおいて、第1電気配線521及び第2電気配線61のうち少なくとも一方に絶縁チューブ又は絶縁テープを設けることで絶縁強度を高める処理が施されている。絶縁チューブは、例えば電気絶縁性を有する熱収縮チューブである。絶縁テープは、例えば電気絶縁性を有するビニルテープである。これら絶縁チューブ又は絶縁テープは、第1電気配線521及び第2電気配線61の一方又は両方の外周部分を覆うことで、第1電気配線521又は第2電気配線61の被覆を厚くして絶縁強度を高めるものである。
【0056】
本実施形態の場合、外部接続端子60は、窪み部213内において右側冷蔵室扉21の外部に露出している。この場合、外部接続端子60には別電源装置40の2次側402が接続されており、その出力電圧はDC5Vである。そのため、例えばユーザ等が外部接続端子60の露出部分に触れてしまったとしても、別電源装置40の出力電圧自体は特に問題にはならない。
【0057】
しかし、外部接続端子60と別電源装置40とを接続する第2電気配線61は、図2及び図3の二点鎖線Cで示す部分において、第1電気配線521に接近して配置されており、第1電気配線521は、主電源装置30の1次側301に接続されている。そしてこの場合、第1電気配線521に印加される電圧は、AC100Vであり第2電気配線61に印加される電圧よりも大きい。また、第1電気配線521を流れる電流は、第2電気配線61を流れる電流よりも大きい。
【0058】
ここで、第1電気配線521と第2電気配線61とは、図2及び図3の二点鎖線で示す近接部位Cにおいて相互に接近して配置されているため、その接近した部分において相互に接触してしまう可能性がある。そして、図2及び図3の二点鎖線で示す近接部位Cにおいて第1電気配線521と第2電気配線61とが接触して絶縁破壊が生じると、短絡して主電源装置30の1次側301の高電圧が外部接続端子60に印加されてしまう。するとこの場合、外部接続端子60の露出部分にユーザ等が触れると、外部接続端子60の露出部分を介してユーザ等に主電源装置30の1次側301の高電圧が印加されてしまい、そのユーザ等が感電してしまう危険がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、第1電気配線521と第2電気配線61とが相互に接近した近接部位Cにおいて、第1電気配線521と第2電気配線61とのうち少なくとも人が触れる危険がある第2電気配線61には、絶縁強度を高める処理が施されている。この場合、第2電気配線61を例えば電気絶縁性及び熱収縮性を有する絶縁チューブ62で被覆することで二重絶縁を行い、これにより絶縁強度を高める処理が施されている。なお、絶縁チューブ62に換えて、絶縁性を有する絶縁テープを第1電気配線521及び第2電気配線61の一方又は両方に巻く構成でも良い。また、絶縁強度を高める処理は、電気絶縁性を有する絶縁チューブ62や絶縁テープによる二重絶縁に限られず、例えば電気配線の被覆の厚みを厚くしても良い。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体10と、扉21、22、23、24、25、26と、主電源装置30と、別電源装置40と、を備える。冷蔵庫本体10は、貯蔵室11、12、13、14、15を有している。各扉21、22、23、24、25、26は、冷蔵庫本体10に設けられており、それぞれ対応する貯蔵室11、12、13、14、15を開閉する。主電源装置30は、冷蔵庫本体10に設けられており、貯蔵室11、12、13、14、15内を冷却する冷却運転に要する電力を供給する。そして、別電源装置40は、冷蔵庫本体10に設けられており、主電源装置30とは別構成であって主電源装置30の電力供給の対象とは異なる対象に電力を供給する。
【0061】
すなわち、主電源装置30は、少なくとも冷蔵庫1の主たる機能を発揮させるための機器に電力を供給する。本実施形態の場合、主電源装置30は、圧縮機51、ヒータ52、制御装置53、及び操作装置54に電力を供給する。また、本実施形態の場合、主電源装置30は、比較的大きな電力を要する扉補助装置55にも電力を供給する。これに対し、別電源装置40は、主電源装置30の電力供給の対象である圧縮機51、ヒータ52、制御装置53、操作装置54及び扉補助装置55とは異なる機器に電力を供給する。本実施形態の場合、別電源装置40は、外部接続端子60を介して外部接続端子60に接続された外部機器90に電力を供給する。
【0062】
これによれば、冷蔵庫1において、冷蔵庫1の冷却運転に要する電力は主電源装置30から供給し、例えばスマートフォンやタブレット等の外部機器90のように冷蔵庫1の冷却運転に要する電力以外の電力は、別電源装置40から供給することができる。そして、別電源装置40は、主電源装置30とは別構成で構成されている。このため、例えば外部機器90等から別電源装置40に外乱等が入ったとしても、その外乱等の影響が主電源装置30を介して主電源装置30から電力供給を受ける圧縮機51、ヒータ52、制御装置53、操作装置54及び扉補助装置55等に及び難くすることができる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、外部機器90に対する給電のように冷蔵庫1の冷却運転に要する電力以外の電力を供給する構成においても、冷蔵庫1の冷却運転の運転性能に悪影響を及ぼし難くすることができる。
【0064】
また、冷蔵庫1は、外部接続端子60を更に備えている。外部接続端子60は、冷蔵庫本体10に設けられており、例えばスマートフォンやタブレット等の外部機器90を着脱可能に接続する。これによれば、例えばスマートフォンやタブレット等の外部機器90を冷蔵庫1に接続することで冷蔵庫1から外部機器90に給電され、その結果、ユーザの利便性の向上が図られる。
【0065】
また、外部接続端子60は、冷蔵庫本体10又は扉21、22、23、24、25、26から外部に露出した状態又は外部に露出可能な状態で設けられている。本実施形態の場合、外部接続端子60は、右側冷蔵室扉21から差し込み口が外部に露出した状態で設けられている。
【0066】
これによれば、外部接続端子60が外部に露出又は露出可能な状態で設けられているため、ユーザは、外部接続端子60に容易に外部機器90を接続することができる。この場合、例えばユーザは、台所で調理中に外部機器90を操作する可能性があり、この場合、例えば濡れた手で外部接続端子60に触れると、ショート等の故障を引き起こす可能性がある。そこで、本実施形態では、外部接続端子60は、別電源装置40に接続されている。そして、外部接続端子60は、外部接続端子60に接続された外部機器90に別電源装置40からの電力を供給可能に構成されている。
【0067】
これによれば、例えばユーザが濡れた手で外部接続端子60に触れてしまったとしても、その影響を、別電源装置40までに止めることができ、冷蔵庫1の冷却運転を行うための電力を供給する主電源装置30に悪影響が及ぶことを抑制できる。
【0068】
また、冷蔵庫1は、特別装置として操作装置54を更に備えている。本実施形態において、操作装置54は、右側冷蔵室扉21に設けられており、主電源装置30からの電力供給を受けて動作する。そして、外部接続端子60は、特別装置である操作装置54が設けられた扉と同一の扉、この場合、右側冷蔵室扉21に設けられている。
【0069】
この場合、操作装置54と外部接続端子60とを同一の扉21に設けることにより、ユーザの操作性を向上させることができる。また、操作装置54の電気回路部分及び電気配線541は通常の使用態様においては外部に露出しておらず、ユーザに直接触れられる可能性は極めて低い。このため、操作装置54は、主電源装置30からの給電を受けて動作する構成にすることにより、別電源装置40に外乱の影響が生じた場合であっても、その影響を受け難く安定して動作することができる。
【0070】
特別装置である操作装置54と、外部接続端子60とは、同一の扉21内に交換可能で、かつ、扉21に対して異なる方向から挿入されて設けられている。これによれば、操作装置54と外部接続端子60とを交換可能にすることで、故障した場合に修理し易くすることができる。そして、操作装置54と外部接続端子60とを、扉21に対して異なる方向から挿入して設ける構成にすることで、操作装置54又は外部接続端子60のいずれか一方のみを交換する場合に、他方を合わせて取り外す必要がないため、交換作業をよりし易くすることができる。
【0071】
また、主電源装置30及び別電源装置40は、同一空間内に設けられている。これによれば、同一空間内つまり水漏れや延焼が防止される領域が共通している空間内に主電源装置30及び別電源装置40を設けることで、水漏れ防止や延焼防止のための構造を共用することができる。その結果、水漏れ防止や延焼防止のための構造に要する部品点数を削減できるとともに、主電源装置30及び別電源装置40の設置スペースを低減することができる。
【0072】
ここで、冷蔵庫本体10内の貯蔵空間において、上部の奥側はユーザの手が届き難くデッドスペースになりがちである。そこで、本実施形態において、主電源装置30及び別電源装置40は、冷蔵庫本体10の天井壁部101の奥側に設けられている。これによれば、デッドスペースになりがちな空間を主電源装置30及び別電源装置40を収容するスペースとして有効活用することができる。これにより、冷蔵庫1の実質的な貯蔵容積に影響を極力小さくしつつ、主電源装置30及び別電源装置40を配置することができる。
【0073】
また、別電源装置40に接続された電気配線61の少なくとも一部は、主電源装置30に接続された電気配線、この場合、主電源装置30と操作装置54とを接続する電気配線511、521、531、541、551とは別の経路で冷蔵庫本体10内又は扉21内に配置されている。これによれば、別電源装置40に接続された電気配線61と、主電源装置30に接続された電気配線511、521、531、541、551との接触を極力低減させることができる。その結果、別電源装置40に接続された電気配線61と、主電源装置30に接続された電気配線511、521、531、541、551との間で短絡が生じてしまうことを極力抑制することができる。
【0074】
ここで、冷蔵庫本体10や例えば右側冷蔵室扉21内には複数の電気配線511、521、531、541、551、61が配置されている。これらの電気配線511、521、531、541、551、61は、設置スペースや引き回しの問題などから、複数本を束ねる等して接近させて配置することがある。この場合、束ねる等して接近させて配置された電気配線同士が接触し短絡すると、冷蔵庫1の各機器に影響を及ぼす可能性があり、また、人が触れた場合には感電してしまう可能性もある。
【0075】
そこで、本実施形態では、冷蔵庫本体10や扉21、22、23、24、25、26内に印加電圧の異なる複数の電気配線を束ねる等して接近させて配置した場合においても、短絡が生じ難いようにしている。
【0076】
すなわち、本実施形態によれば、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体10と、扉21、22、23、24、25、26と、第1電気配線521、551と、第2電気配線61と、を備える。冷蔵庫本体10は、貯蔵室11、12、13、14、15を有している。各扉21、22、23、24、25、26は、冷蔵庫本体10に設けられており、それぞれ対応する貯蔵室11、12、13、14、15を開閉する。第1電気配線521、551は、冷蔵庫本体10内又は扉21、22、23、24、25、26内に設けられている。第2電気配線61は、冷蔵庫本体10内又は扉21、22、23、24、25、26内に設けられており、第1電気配線521、551に印加される電圧よりも低い電圧が印加され又は第1電気配線521、551に流れる電流よりも小さい電流が流れる。そして、図1及び図3の二点鎖線Cで示すように、第1電気配線521、551と第2電気配線61との少なくとも一部は相互に接近した近接部位Cを有し、当該接近して配置された近接部位Cに、二重絶縁や絶縁強化等の絶縁強度を高める処理が施されている。
【0077】
これによれば、第1電気配線521、551と第2電気配線61との少なくとも一部は相互に接近した部位において絶縁強度を高めることで、第1電気配線521、551と第2電気配線61とが短絡することを抑制できる。その結果、冷蔵庫本体10や扉21、22、23、24、25、26内に電圧の異なる複数の電気配線521、551を束ねる等して接近させて配置した場合においても、短絡が生じ難くすることができる。
【0078】
また、冷蔵庫1は、外部接続端子60を更に備えている。外部接続端子60は、冷蔵庫本体10又は扉21、22、23、24、25、26から露出して設けられている。また、外部接続端子60は、外部機器90を着脱可能に接続して外部機器90に給電可能である。これによれば、ユーザは、例えばスマートフォンやタブレット等の外部機器90を冷蔵庫1に設けられた外部接続端子60に接続して充電することが可能になるため、利便性が向上する。
【0079】
更に、この構成によれば、第1電気配線521、551と第2電気配線61とが接近している部位に絶縁強度を高める処理が施されているため、第1電気配線521、551と第2電気配線61の間で短絡が生じ難くなっている。このため、外部に露出している外部接続端子60にユーザが触れてしまった場合でも、第1電気配線521、551の電流が第2電気配線61から外部接続端子60を介してユーザに流れることを防ぐことができる。その結果、感電に対する安全性を向上させることができる。
【0080】
また、第1電気配線521、551又は第2電気配線61のうち少なくとも一方に絶縁チューブを設けことで絶縁強度を高める処理が施されている。これよれば、第1電気配線521、551又は第2電気配線61のうち少なくとも一方に絶縁チューブを設けるだけで絶縁強度を高めることができるため、絶縁強度を高める処理を、簡単により確実に行うことができる。
【0081】
また、冷蔵庫1は、第1電気配線521が接続される主電源装置30を更に備えている。そして、第1電気配線521と第2電気配線61とが相互に接近した近接部位Cは、主電源装置30に対して冷蔵庫本体10の幅方向で重なっており、かつ、主電源装置30の後方に設けられている。
【0082】
これによれば、近接部位Cは、ユーザの手が届きにくい冷蔵庫本体10において背壁部102側に設けられているため、ユーザが近接部位Cにおける第1電気配線521及び第2電気配線61に触れてしまうことを抑制することができる。これにより、ユーザが第1電気配線521及び第2電気配線61に触れて損傷させてしまい絶縁性能が低下することを抑制でき、その結果、安全性を更に向上させることができる。
【0083】
また、近接部位Cは、冷蔵庫本体10の天井壁部101や背壁部102等の壁部内に設けられている。本実施形態の場合、近接部位Cは、天井壁部101や背壁部102内において断熱材であるウレタンに埋設されている。これによれば、ユーザが第1電気配線521及び第2電気配線61に触れて損傷させてしまい絶縁性能が低下することを更に効果的に抑制でき、その結果、安全性を更に向上させることができる。
【0084】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6を参照して説明する。
本実施形態において、冷蔵庫1は、壁部材70を備えている。すなわち、上記第1実施形態では、例えば第1電気配線521又は第2電気配線61のいずれか一方又は両方を絶縁チューブで覆うことで、第1電気配線521又は第2電気配線61の絶縁強度を高める処理を行っていた。これに対し、本実施形態では、例えば第1電気配線521と第2電気配線61との間に壁部材70を設けることで、第1電気配線521と第2電気配線61との間の沿面距離を稼いで絶縁強度を高める処理を行う。壁部材70は、例えば電気絶縁性を有する樹脂材等で構成されている。これによっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0085】
なお、上記実施形態において、外部接続端子60の一例としてUSB規格による端子を開示したが、外部接続端子60は給電可能な規格のものであればUSB規格による端子に限られない。
また、別電源装置40は、例えば蓄電池やキャパシタ等を備えており、例えば停電等の非常時には冷蔵庫本体10から取り外して非常用バッテリーとして使用できるものでも良い。
【0086】
また、冷蔵庫1は、扉補助装置55を必ずしも備えていなくても良い。
また、外部接続端子60に接続される外部機器90は、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の他、例えばパソコン等も考えられる。また、外部接続端子60に接続される外部機器90は、別電源装置40からの給電で動作可能なもの、例えばDC5Vで動作する機器であれば、上述したものに限られない。
【0087】
上記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1…冷蔵庫、10…冷蔵庫本体、101…天井壁部、11…冷蔵室(貯蔵室)、12…野菜室(貯蔵室)、13…製氷室(貯蔵室)、14…小冷凍室(貯蔵室)、15…冷凍室(貯蔵室)、21…右側冷蔵室扉(扉)、30…主電源装置、40…別電源装置、511…電気配線(第1電気配線)、521…電気配線、531…電気配線、541…電気配線、551…電気配線(第1電気配線)、54…操作装置(特別装置)、60…外部接続端子、61…電気配線、90…外部機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6