(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】保護カバー接続体、接続用カバー部材、及びケーブル配線構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20231128BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20231128BHJP
F16L 3/26 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H02G3/04 087
F16L57/00 A
F16L3/26
(21)【出願番号】P 2020026938
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-09-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06472596(US,B1)
【文献】特開2019-196893(JP,A)
【文献】特開2005-323432(JP,A)
【文献】特開2000-314495(JP,A)
【文献】特開平09-203536(JP,A)
【文献】特開2012-246965(JP,A)
【文献】特開2009-264402(JP,A)
【文献】特開平11-264586(JP,A)
【文献】特開2017-101814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
F16L 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の一端部に直線部保護カバーが接続される接続口が形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成され、
前記側壁の内側面における引出し口形成予定部の周縁には、当該引出し口形成予定部の輪郭を定めて、切欠き時の案内を行う切欠き案内突部が形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項2】
壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成り、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え、
前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の屈曲側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項3】
壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上でT字状に分岐する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される3つの接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成ることで、T字形状になっている保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、直線状の直線側壁と、屈曲した2つの屈曲側壁とから成り、
前記直線側壁及び2つの屈曲側壁の全ての先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部がそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項4】
前記した2つの屈曲側壁のうち少なくとも一方の屈曲側壁には、屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ前記引出し口形成予定部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の保護カバー接続体。
【請求項5】
前記一方の屈曲側壁における屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ形成された2つの前記引出し口形成予定部は、前記ケーブルの引き出し方向が異なる方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の保護カバー接続体。
【請求項6】
壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項7】
前記蓋体の各側壁には、前記引出し口形成予定部が、前記配設経路に沿って同一又は同一に近い位置において一対一組となって対向して形成されていることを特徴とする請求項1ないし
6のいずれかに記載の保護カバー接続体。
【請求項8】
建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体であって、
前記各壁面の少なくとも一方に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成り、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて対向状態で垂設される側壁とから成り、
前記側壁は、前記屈曲する配設経路に沿ったL字状を成し、当該側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接するまで延びていて、前記基台を覆い隠しており、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が、互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して各側壁に形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項9】
前記引出し口形成予定部は、前記基台と前記蓋体とが係合により組み付けられる係合構造部に対して前記接続口と反対側の前記配設経路に沿って奥方に形成されていることを特徴とする請求項1ないし
8のいずれかに記載の保護カバー接続体。
【請求項10】
前記側壁の内側面における引出し口形成予定部の周縁には、当該引出し口形成予定部の輪郭を定めて、切欠き時の案内を行う切欠き案内突部が形成されていることを特徴とする請求項2ないし
9のいずれかに記載の保護カバー接続体。
【請求項11】
同一壁面上に設置される複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される複数の外嵌部を有し、内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材であって、
前記接続用カバー部材を構成する蓋体は、天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接し、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。
【請求項12】
建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材であって、
前記各2本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される各外嵌部が、前記各壁面に対応する部分に設けられ、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、
天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、
前記一対の側壁には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、互いに直交する前記各壁面に対して開口可能となってそれぞれ独立して形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。
【請求項13】
壁面に設置された複数の直線部保護カバーの端部どうしが接続用カバーにより連結され、
前記接続用カバーの内部には、前記複数の直線部保護カバー内に配設された配線・配管材を屈曲、分岐又は直線状のままで配設する配設経路が形成され、
前記接続用カバーの側壁を切り欠いて形成された引出し口から、前記複数の直線部保護カバーのいずれかの直線部保護カバー内に配線された電熱線、信号線等のケーブルが引き出されて、外部に引き出された当該ケーブルは、前記複数の直線部保護カバーの少なくとも1つの直線部保護カバーの脇に沿って配線された後に、当該直線部保護カバーから離れた位置に配置されたコンセント又は機器に接続されていることを特徴とするケーブル配線構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線部保護カバー内に配線された電熱線、信号線等のケーブルを望みの方向に引き出すことが可能な直線部保護カバーどうしを接続するための保護カバー接続体、接続用カバー部材、及び前記直線部保護カバー内から外部に引き出されたケーブルの配線構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同一壁面において配管材を屈曲・分岐させて配管したり、建物壁の入隅部において配管材を直角に屈曲させて配管したり、更には、配管材を壁表に引き出して分岐配管させたりする場合に、配管材の直線部を覆うのに直線部保護カバーが使用されると共に、配管材の屈曲部、分岐部、壁表への屈曲引出し部を覆うのに、複数の直線部保護カバーを接続した状態で、前記屈曲部等を覆うために、その形状に対応した複数種類の保護カバー接続体が使用される。
【0003】
一方、寒冷地においては、直線部保護カバーで覆われる配管材を通る水の凍結防止のために、当該直線部保護カバーの内部に電熱線が配線されたり、或いは電話線、情報機器を接続する情報伝達線等のケーブルが配線されることがある。このケーブルは、直線部保護カバーを接続している保護カバー接続体の部分で、外部に引き出されて、コンセント又は別の情報機器に接続されるので、保護カバー接続体に一部を切除して引出し口を設ける必要がある。
【0004】
特許文献1には、エアコンの冷媒管を保護カバーで覆う配管において、ドレン管を保護カバーの外部に引き出す構造が開示されている。室外に引き出された冷媒管の直線部は、壁面に沿って配置される直線部保護カバーに収容されて保護されると共に、当該冷媒管の壁表に屈曲して引き出された屈曲引出し部は、前記直線部保護カバーに接続される屈曲部引出し部保護用の保護カバー接続体に収容され保護される。この保護カバー接続体には、前記直線部保護カバーに接続される一つの接続口を備えていて、壁表に引き出されたドレン管は、当該保護カバー接続体の周壁における前記接続口と対向する中央部の一箇所に設けられた引出し口から、当該保護カバー接続体から離れる方向に引き出される構造になっている。このため、保護カバー接続体の周壁の幅方向の中央部に設けられた引出し口自体、及び当該引出し口から引き出されたドレン管の全体が視認されて目立つために、見栄えが悪かった。
【0005】
また、特許文献1の
図5に開示の保護カバー接続体は、同一壁面において冷媒管を90°に屈曲させて配管するために、直線部保護カバー同士を、当該冷媒管の屈曲部で接続するものである。この保護カバー接続体においても、外側の側壁における壁面に当接する端面に近い部分に、ドレン管を引き出すための2つの引出し口が設けられている。このように、保護カバー接続体にドレン管の2つの引出し口が設けられていても、同一側であるので、当該ドレン管の引出し方向が限定される欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保護カバー接続体の引出し口から、直線部保護カバー内に配線されたケーブルを引き出す構造において、コンセント又は機器の配置位置との関係において、前記ケーブルを最適な方向に引出し可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の一端部に直線部保護カバーが接続される接続口が形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成され、
前記側壁の内側面における引出し口形成予定部の周縁には、当該引出し口形成予定部の輪郭を定めて、切欠き時の案内を行う切欠き案内突部が形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、保護カバー接続体は、2本の直線部保護カバーどうしを接続するためのものであって、当該保護カバー接続体には、各直線部保護カバーに連続して収容されている配線・配管材の屈曲部、及び電熱線、信号線等のケーブルの一部が収容される。そして、保護カバー接続体を構成する蓋体の一対の側壁の先端面に近い部分には、それぞれ引出し口形成予定部が形成されているので、前記電熱線のコンセント又は信号線の接続機器の配置との関係において、前記蓋体の一対の側壁のうち配線に望ましい側の引出し口形成予定部を切り欠いて、ケーブルの引出し口を形成する。これにより、引出し口から引き出されたケーブルは、保護カバー接続体又は直線部保護カバーを跨いだりすることなく、最短の配線経路が選択されて、保護カバー接続体及び直線部保護カバーの外部においてケーブルが配線される。また、蓋体の一対の側壁にそれぞれ形成された引出し口形成予定部のうち、引出し口として利用されないものは、切り欠かれることなく、そのまま内部の収容空間を閉塞しているので、当該保護カバー接続体の外観を保持できる。なお、請求項1の発明における「保護カバー接続体」は、「接続口」を有することは必要不可欠であるが、その数は、複数のものに限られず、「1」のものであってもよい。1つのみの接続口を有する保護カバー接続体としては、壁内から引き出された配管材の屈曲部を壁表で覆って、壁の内外に配設された各保護カバーを接続する「壁保護カバー(
図10参照)」と称されるものが挙げられる。
また、引出し口形成予定部の輪郭を薄肉にすると、切除が容易となるが、当該薄肉の部分は、外部から視認されて見栄えが悪くなる。請求項1の発明によれば、蓋体の側壁の内面に設ける切欠き案内突部により引出し口形成予定部の輪郭を定めているので、薄肉部の存在による外部からの視認の恐れがなくなると共に、他の部分に対して薄肉の切欠き案内突部の存在により、当該引出し口形成予定部の切除の際の割れ防止ともなる。
【0010】
請求項2の発明は、壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成り、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え、
前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の屈曲側壁にそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の屈曲部を収容する保護カバー接続体であって、その蓋体を構成する2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、引出し口形成予定部がそれぞれ形成されているので、請求項1の発明と同様にして、最も目立たない最短経路にケーブルの外部配線を行える。
【0012】
請求項3の発明は、壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上でT字状に分岐する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される3つの接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成ることで、T字形状になっている保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、直線状の直線側壁と、屈曲した2つの屈曲側壁とから成り、
前記直線側壁及び2つの屈曲側壁の全ての先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、同一壁面上でT字状に分岐する配線・配管材の当該分岐部を収容する保護カバー接続体であって、蓋体を構成する直線側壁及び2つの屈曲側壁の全ての先端面に近い部分には、引出し口形成予定部がそれぞれ形成されているので、請求項1の発明と同様にして、最も目立たない最短経路にケーブルの外部配線を行える。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記した2つの屈曲側壁のうち少なくとも一方の屈曲側壁には、屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ前記引出し口形成予定部が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、2つの屈曲側壁のうち少なくとも一方の屈曲側壁には、屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ引出し口形成予定部が設けられているので、コンセント又は接続機器との関係で、好ましい側の引出し口形成予定部を切り欠いて引出し開口を形成できる利点がある。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記一方の屈曲側壁における屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ形成された2つの前記引出し口形成予定部は、前記ケーブルの引き出し方向が異なる方向を向くように形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、コンセント又は接続機器の配置位置、及び保護カバー接続体の内部からのケーブル引出し方向との関係で、各分割屈曲側壁に形成された2つの引出し口形成予定部のいずれかを選択して、ケーブルの引出し開口を形成できる。
【0018】
請求項6の発明は、壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴としている。
請求項6の発明によれば、壁表において直線接続される2本の直線部保護カバーを保護する保護カバー接続体において、請求項1の発明と同様にして、最も目立たない最短経路にケーブルの外部配線を行える。
【0019】
【0020】
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記蓋体の各側壁には、前記引出し口形成予定部が、前記配設経路に沿って同一又は同一に近い位置において一対一組となって対向して形成されていることを特徴としている。
請求項7の発明によれば、蓋体の一対の側壁に形成される引出し口形成予定部は、配線・配管材の配設経路に沿って同一又は同一に近い位置において一対一組となって対向して形成されているため、施工者は、いちいち引出し口形成予定部を探すことなく、対向位置に配置されている一対一組の引出し口形成予定部のいずれか一方を切り欠けばよいので、引出し口の位置の探索及びその形成を迅速にできる。
【0022】
請求項8の発明は、建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体であって、
前記各壁面の少なくとも一方に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成り、
前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて対向状態で垂設される側壁とから成り、
前記側壁は、前記屈曲する配設経路に沿ったL字状を成し、当該側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接するまで延びていて、前記基台を覆い隠しており、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が、互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して各側壁に形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項8の発明によれば、建物壁の入隅部に配置される保護カバー接続体において、当該保護カバー接続体の蓋体を構成する一対の側壁の先端面に近い部分には、互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して引出し口形成予定部が形成されているので、側壁に形成される引出し口の大きさを小さくできて、外観の低下を最小限に抑えることができると共に、当該保護カバー接続体に接続される直線部保護カバーの内部に配線されているケーブルとの関係において、直交する2つの壁面のうち最適な側の壁面を選択して、ケーブルの引出し口を形成できる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明において、前記引出し口形成予定部は、前記基台と前記蓋体とが係合により組み付けられる係合構造部に対して前記接続口と反対側の前記配設経路に沿って奥方に形成されていることを特徴としている。
請求項9の発明によれば、基台と蓋体とを一体化させている係合構造部よりも奥方には、基台の外側に蓋体の側板が存在しているのみであって、ケーブルと絡まり易い部分は存在していないので、当該ケーブルを引き出し易い。
【0025】
請求項10の発明は、請求項2ないし9のいずれかの発明において、前記側壁の内側面における引出し口形成予定部の周縁には、当該引出し口形成予定部の輪郭を定めて、切欠き時の案内を行う切欠き案内突部が形成されていることを特徴としている。
ここで、引出し口形成予定部の輪郭を薄肉にすると、切除が容易となるが、当該薄肉の部分は、外部から視認されて見栄えが悪くなる。請求項10の発明によれば、蓋体の側壁の内面に設ける切欠き案内突部により引出し口形成予定部の輪郭を定めているので、薄肉部の存在による外部からの視認の恐れがなくなると共に、他の部分に対して薄肉の切欠き案内突部の存在により、当該引出し口形成予定部の切除の際の割れ防止ともなる。
【0026】
請求項11の発明は、同一壁面上に設置される複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される複数の外嵌部を有し、内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材であって、
前記接続用カバー部材を構成する蓋体は、天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、
前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接し、
前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴としている。
請求項11の発明によれば、蓋体の複数の外嵌部を複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌させることで、配線・配管材が内部に配接される複数本の直線部保護カバーの接続部を、引出し口形成予定部を備えた蓋体のみから成る接続用カバー部材で覆うことで、請求項1の発明と同様にして、最も目立たない最短経路にケーブルの外部配線を行える。
【0027】
請求項12の発明は、建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材であって、
前記各2本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される各外嵌部が、前記各壁面に対応する部分に設けられ、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、
天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、
前記一対の側壁には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、互いに直交する前記各壁面に対して開口可能となってそれぞれ独立して形成されていることを特徴としている。
請求項8の発明は、建物壁の入隅部に設置された配線・配管材の屈曲部を、基台と蓋体とから成る保護カバー接続体で覆う構成であるのに対して、請求項12の発明は、蓋体のみから成る接続用カバー部材で覆う点が異なるが、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部は、蓋体の側壁に形成されているので、請求項8の発明と同様に、最も目立たない最短経路にケーブルの外部配線を行える。
【0028】
【0029】
請求項13の発明は、壁面に設置された複数の直線部保護カバーの端部どうしが接続用カバーにより連結され、
前記接続用カバーの内部には、前記複数の直線部保護カバー内に配設された配線・配管材を屈曲、分岐又は直線状のままで配設する配設経路が形成され、
前記接続用カバーの側壁を切り欠いて形成された引出し口から、前記複数の直線部保護カバーのいずれかの直線部保護カバー内に配線された電熱線、信号線等のケーブルが引き出されて、外部に引き出された当該ケーブルは、前記複数の直線部保護カバーの少なくとも1つの直線部保護カバーの脇に沿って配線された後に、当該直線部保護カバーから離れた位置に配置されたコンセント又は機器に接続されていることを特徴としている。
請求項13の発明によれば、接続用カバーの引出し口から引き出されたケーブルは、複数の直線部保護カバーの少なくとも1つの直線部保護カバーの脇に沿って配線された後に、当該直線部保護カバーから離れた位置に配置されたコンセント又は機器に接続される構造であるため、当該ケーブルにおける直線部保護カバーに沿った部分は、視認されにくいため、ケーブルが配線されているにもかかわらず、見栄えがよくなる。なお、請求項13の発明の「接続用カバー」には、蓋体のみから成って、基台を有しない構造のものも含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、保護カバー接続体を構成する蓋体の一対の側壁の先端面に近い部分には、それぞれ引出し口形成予定部が形成されているので、前記電熱線のコンセント又は信号線の接続機器の配置との関係において、前記蓋体の一対の側壁のうち配線に望ましい側の引出し口形成予定部を切り欠いて、ケーブルの引出し口を形成する。これにより、引出し口から引き出されたケーブルは、保護カバー接続体又は直線部保護カバーを跨いだりすることなく、目立たない最短の配線経路が選択されて、保護カバー接続体及び直線部保護カバーの外部においてケーブルが配線される。また、蓋体の一対の側壁にそれぞれ形成された引出し口形成予定部のうち、引出し口として利用されないものは、切り欠かれることなく、そのまま内部の収容空間を閉塞しているので、蓋体の外観を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】配管材Pを90°に曲げて接続する保護カバー接続体C
1 を構成する基台V
1 と蓋体L
1 の分解斜視図である。
【
図3】同じく組付け状態を基台V
1 の底面の側からみた斜視図である。
【
図4】同じく引出し口G
11~G
14の部分の縦断面図である。
【
図5】同じく係合構造部E
0 の部分の横断面図である。
【
図6】(a)は、
図1のX-X線拡大断面図であり、(b)は、引出し口形成予定部14を切り欠いて引出し口G
11~G
14が形成された状態の断面図である。
【
図7】保護カバー接続体C
1 の引出し口G
13から下方に引き出された電熱線Hがコ ンセントKに接続された状態の斜視図である。
【
図8】保護カバー接続体C
1 の別の引出し口G
11から側方に引き出された電熱線HがコンセントKに接続された状態の斜視図である。
【
図9】保護カバー接続体C
1 の更に別の引出し口G
12から上方に引き出された電熱 線HがコンセントKに接続された状態の斜視図である。
【
図10】長尺状の電熱線Hの配線状態を示す模式図である。
【
図11】同一壁面W
1 において配管材Pを分岐させて接続する保護カバー接続体C
2 を構成する基台V
2 と蓋体L
2 との分解斜視図である。
【
図12】同じく組付け状態を基台V
2 の底面の側からみた斜視図である。
【
図13】同じく引出し口G
21~G
26の部分の縦断面図である。
【
図14】建物壁の入隅部Aに設置される保護カバー接続体C
3 を構成する基台V
3 と蓋体L
3 の分解斜視図である。
【
図16】保護カバー接続体C
3 の使用状態を示す斜視図である。
【
図17】壁から引き出された配管材Pを壁表で分岐させるための保護カバー接続体C
4 を構成する基台V
4 と蓋体L
4 との分解斜視図である。
【
図19】基台V
4 と蓋体L
4 とを組み付けた状態で、当該蓋体L
4 の引出し口G
41~G
44の部分で破断した縦断面図である。
【
図20】接続用カバー部材C
5 により2本の直線部保護カバーC
12が接続される前の状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0033】
実施例1の保護カバー接続体C
1 は、壁面W
1 において2本の直線部保護カバーC
11を90°曲げて(屈曲させて)接続するのに使用されるものであって、
図1~
図6に示されるように、壁面W
1 にビスを用いて固定される基台V
1 と、当該基台V
1 に対して係合構造により一体に組み付けられる蓋体L
1 とから成る。基台V
1 及び蓋体L
1 は、いずれも平面視でL字状をなしていて、樹脂の射出成形により形成される。L字形の基台V
1 は、同じくL字板状の基部1における配管材Pの配設経路Q
1 (
図2参照)に沿った両端部であって、しかも幅方向の両端部、及び外側のコーナー部の計5箇所には、それぞれ立壁2が部分的に立設され、その結果として、隣接する各立壁2の間は、立壁欠落部8となっている。各立壁2の外側の下端部には、それぞれ凹状に形成された被係合部E
11が形成されており、当該各立壁2の外側の上半部には、蓋体L
1 の後述の係合部E
12を摺動させながら、その屈曲側壁12を僅かに外方に撓み変形させる摺動傾斜面2aが形成されている。
【0034】
計5箇所の立壁2のうち、曲げ方向に沿って外側であって、しかも前記配設経路Q1 に沿って両端部の2箇所の立壁2の長さは、残りの3箇所の立壁2の長さよりも長く形成されている。各被係合部E11は、蓋体L1 の後述の係合部E12と係合される部分である。
【0035】
基部1における前記配設経路Q
1 に沿った両端部は、当該部分に形成された前記被係合部E
11の強度を高めるために、他の部分に比較して厚肉に形成されている。基部1の幅方向の中央部における前記配設経路Q
1 に沿った両端部及び中央部の計3箇所には、ビス挿通孔3が形成されている。基部1における各ビス挿通孔3を直線状に結ぶ部分には、当該保護カバー接続体C
1 の内部で曲げられた配管材Pが基台V
1 の幅方向の中央に配設されていることを確認させる配設確認ライン4が形成されている。なお、
図1~
図4において5は、基部1の配設経路Q
1 の両端部から当該配設経路Q
1 に沿って突出していて、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 に対する直線部保護カバーC
11の基台V
11の幅方向の位置決めを行う一対の位置決め片である。
【0036】
また、
図1~
図4に示されるように、基台V
1 の基部1の曲げの外側においては、配設経路Q
1 の両端部に設けられた立壁2に近接して、当該配設経路Q
1 に沿って長方形状をした切欠き6がそれぞれ形成されていると共に、当該基部1の内側コーナー部においては、配設経路Q
1 に沿って連設された各切欠き6が、曲げの内側の各立壁2との間に所定の間隔をおいてそれぞれ立壁欠落部8の部分に形成されている。なお、前記切欠き6は、基台V
1 に対して蓋体L
1 が組み付けられた状態で、当該蓋体L
1 の後述する屈曲側壁12の内側への大きな撓み変形を許容させるためのものであって、本発明に対しては直接には関係しない。
【0037】
一方、蓋体L1 は、L字平板状の天壁11と、前記基台V1 との組付け状態で前記基部1に向けて垂設された内外の各屈曲側壁12とが一体に連続した形状であって、所定間隔をおいて対向配置された各屈曲側壁12における組付け開口13の側の端縁部の内側には、基台V1 の前記被係合部E11に対して係合される直線状の係合部E12がそれぞれ内部空間に突出して形成されている。蓋体L1 の内部空間の配設経路Q1 に沿った両端には、それぞれ直線部保護カバーC11の蓋体L11の外側に部分的に覆い被せられることで、当該保護カバーC11に接続される接続口J1 がそれぞれ形成されている。
【0038】
図1及び
図4に示されるように、内外の各屈曲側壁12は、それぞれ直角に屈曲された2つの分割屈曲側壁部12aで構成され、内外方向に沿って対向する内外の各分割屈曲側壁部12aにおける斜め方向に沿って対向する各部分には、切欠き(切除)により方形状の各引出し口G
11~G
14を形成するための引出し口形成予定部14がそれぞれ形成されている。各分割屈曲側壁部12aの内面における引出し口形成予定部14の輪郭となる方形状の部分には、薄肉の切欠き案内突部15が突出して形成されており、当該切欠き案内突部15の部分で分割屈曲側壁部12aを切り取ることで、内外の各屈曲側壁12の先端面12bに開口した方形状の各引出し口G
11~G
14が形成される。板厚が(2.8)mmの屈曲側壁12に形成されている前記切欠き案内突部15の(高さ×幅)は、屈曲側壁12の板厚が(2.8)mmにおいて、(0.2×0.1)mmである。なお、
図1において、G’は、引出し口形成予定部14の切欠き片を示す。
【0039】
各引出し口G
11~G
14は、保護カバー接続体C
1 の内部の配管材Pの収容空間10からケーブルの引出しが可能なように、各引出し口G
11~G
14は、基台V
1 の立壁欠落部8の部分に形成されている。切り取りの容易性を優先させて、引出し口形成予定部14の全体又は切取り部のみを薄肉とすると、当該薄肉の部分が外部から視認されて見栄えが悪くなるので、引出し口形成予定部14の肉厚は、他の部分と同一に確保して、切欠き案内突部15を設けることで、切取り位置が分かるようにしてある。なお、
図1及び
図4では、引出し口G
11~G
14の配置位置の図示を優先させて、複数の引出し口G
11~G
14のうち引出し口G
12を除く残りの3つが形成されている状態が図示されているが、実際には、複数の引出し口形成予定部14のうち、特定の1つが切り欠かれて1つの引出し口G
11(G
12~G
14)が形成されるのみである。この図示方法は、後述の実施例2~5の各保護カバー接続体C
2 ~C
4 及び接続用カバー部材C
5 についても同様である。
【0040】
複数の直線部保護カバーC11及び保護カバー接続体C1 を用いて、壁面W1 に屈曲配管された配管材P及び当該配管材Pを保温(加温)する電熱線Hを収容保護する施工方法は、当該電熱線Hを接続するコンセントKの配置位置との関係において、保護カバー接続体C1 の蓋体L1 に設けられた複数の引出し口形成予定部14のうち、いずれか1つの引出し口形成予定部14を切り欠いて引出し口G11( G12~G14)を予め形成しておく必要がある点を除いて、従来と同一である。
【0041】
また、電熱線Hは、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 に配置された配管材Pと、当該基台V
1 の基部1との隙間に配置され、当該電熱線Hの配置の一例としては、
図10に示されるものがある。なお、
図10では、配管材Pは、図示されていない。即ち、壁内の配管材は、壁面への引出し部において90°だけ屈曲されて所定長だけ水平に配管されて、エルボを介して直角に屈曲されて、所定長だけ垂直下方に配管されて、給湯機器90に接続される配管例では、配管材の水平配管部及び垂直配管部は、それぞれ直線部保護カバーC
11に収容保護され、配管材を屈曲接続させるエルボは、実施例1の保護カバー接続体C
1 の内部に収容され、配管材における壁表への引出し屈曲部は、壁保護カバーC
21に収容される。長尺状の電熱線Hは、その一端にプラグ91が連結され、当該電熱線Hは、各直線部保護カバーC
11の内部では、基台V
11と収容された配管材Pとの間の電熱線配線空間93(
図3参照)に配線されると共に、保護カバー接続体C
1 の内部では、その基台V
1 と収容された配管材Pとの間の電熱線配線空間94に配線される。当該電熱線Hは、全長に亘って並列状態となって配線されて、両端部となるプラグ91及びエンド部Heは、いずれも保護カバー接続体C
1 の部分に配置されて、当該プラグ91の部分は、保護カバー接続体C
1 に設けられた複数の引出し口G
11~G
14のうちコンセントKに最も近い引出し口G
13から引き出される。なお、上記した電熱線Hの配線構造は、一例であって、他の配線構造であっても、当該電熱線Hは、そのプラグ91の側の端部が、保護カバー接続体C
1 に設けられた複数の引出し口G
11~G
14のうちコンセントKに最も近い引出し口G
13から引き出される構造は同一である。
【0042】
図7に示される例では、設置予定部に保護カバー接続体C
1 を設置した状態で、当該保護カバー接続体C
1 を構成する蓋体L
1 の内側の屈曲側壁12の下方に電熱線HのコンセントKが存在するため、予め蓋体L
1 に引出し口G
13が形成されるように、引出し口形成予定部14を切り欠いておく。以後は、従来と同様に、壁面W
1 における保護カバー接続体C
1 の設置予定部に、その基台V
1 をビス固定して、当該基台V
1 に対して直線部保護カバーC
11の各基台V
11を接続させて壁面W
1 にビス固定することで、配管材Pの配設経路Q
1 が形成され、各直線部保護カバーC
11の基台V
11及び保護カバー接続体C
1 の基台V
1 の上に配管材P及び電熱線Hをそれぞれ配管又は配線して、当該電熱線Hは、基台V
1 の立壁欠落部8における蓋体L
1 の引出し口G
13に対応する部分から、前記基台V
1 の外部に引き出しておく。なお、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 上に配置されるエルボUにより、互いに直交配置される2本の直線状の配管材Pが接続される。
【0043】
次に、直線部保護カバーC11の各基台V11に対して蓋体L11を覆蓋させた状態で、保護カバー接続体C1 の基台V1 に対して蓋体L1 を押し付けて覆蓋させると、端部にプラグ91を有する電熱線Hが、保護カバー接続体C1 の蓋体L1 の引出し口G13から引き出された状態となっている。保護カバー接続体C1 から引き出された電熱線Hは、当該保護カバー接続体C1 及び直線部保護カバーC11の脇に沿わせて配線し、コンセントKの横の部分で当該電熱線Hが直角に屈曲されて、先端のプラグ91がコンセントKに差し込まれている。なお、保護カバー接続体C1 から引き出されて、上記部分に配置された電熱線Hは、随所において固定具92で壁面W1 に固定しておく。なお、上記において、蓋体L1 の引出し口G13から引き出された電熱線Hは、壁面W1 に固定するのではなく、沿わせた直線部保護カバーC11に固定してもよいし、当該直線部保護カバーC11に乗せるようにして、固定してもよい。
【0044】
また、
図8に示される例では、設置予定部に保護カバー接続体C
1 を設置した状態で、当該保護カバー接続体C
1 を構成する蓋体L
1 の内側の屈曲側壁12の側方に電熱線HのコンセントKが存在するため、予め蓋体L
1 に引出し口G
11が形成されるように、引出し口形成予定部14を切り欠いておく。引出し口G
11から引き出された電熱線Hは、水平配置された直線部保護カバーC
11の下方の脇に沿って水平に配線され、コンセントKの直上において下方に直角に屈曲されて、先端のプラグ91がコンセントKに差し込まれている。更に、
図9で示される例では、設置予定部に保護カバー接続体C
1 を設置した状態で、当該保護カバー接続体C
1 の直上にコンセントKが存在するため、予め蓋体L
1 に引出し口G
12が形成されるように、引出し口形成予定部14を切り欠いておく。引出し口G
12から引き出された電熱線Hは、そのまま上方に垂直に配線されて、先端のプラグ91がコンセントKに差し込まれている。
【実施例2】
【0045】
次に、
図11~
図13を参照して、本発明の実施例2の保護カバー接続体C
2 について説明する。保護カバー接続体C
2 は、同一の壁面W
1 上において1本の配管材Pを2本に分岐させたり、その逆に、2本の配管材Pを1本に合流させるのに使用され、当該保護カバー接続体C
2 の内部にチーズ継手(T字継手、分岐継手又は三方継手とも称される)Nを配設することで、計3つの接続口J
2 が形成されて、上記分岐又は合流が行われる。
【0046】
保護カバー接続体C
2 は、1本の配管材Pを2本に分岐させたり、逆に2本の配管材Pを1本に合流させるのに使用されるため、同一壁面W
1 上において2つの直線部保護カバーC
11を直交させて配置して、その曲り部において当該2本の直線部保護カバーC
11を接続する実施例1の保護カバー接続体C
1 の平面視がL字状であるのに対してT字状である基本形状が異なるのみで、基台V
1 と蓋体L
1 との係合構造部E
0 の構造は、前記曲り保護カバーC
1 と同一であるので、それぞれ基台V
2 の被係合部E
21及び蓋体L
2 の係合部E
22の図示のみ行う。即ち、T字形の基部21における2本の配管材Pが直線状に連結される直線状連結部分の当該配管材Pの直線状の配設経路Q
2 の両端部には、幅方向に沿って対向して短尺で同一長の立壁22が立設されており、当該基台V
2 の前記直線状連結部における配設経路Q
2 の外側縁には、長尺の立壁22が形成され、更に、前記基部21における前記直線状連結部の直交していて、長さがほぼ半分の分岐部には、その配設経路Q
2 に沿った端部に、幅方向に対向して短尺の立壁22が立設されている。この結果、基部21の周縁部における隣接する各立壁22の間には、立壁欠落部28が形成され、基部21における隣接する各立壁欠落部28の間には、前記配設経路Q
2 に沿って長方形状の切欠き26がそれぞれ形成されている。なお、
図11において、23,24,25は、それそれビス挿通孔、配設確認ライン及び位置決め片を示す。
【0047】
一方、蓋体L
2 は、基台V
2 と同様に、平面視でT字状であり、T字状の天壁31の幅方向の両端部から、直線状の直線側壁32と、一対の屈曲側壁33とが、前記基台V
2 との組付け状態で当該基部21に向けて垂設されることで、計3つの接続口J
2 を備えている。各屈曲側壁33における相対向する各分割屈曲側壁部33aの先端面33bに近い部分には、各引出し口G
21,G
22を形成可能な引出し口形成予定部34がそれぞれ設けられている。また、直線側壁32と、各屈曲側壁33における当該直線側壁32と対向配置される各分割屈曲側壁33aにおける先端面32a,33bに近い部分には、それぞれ引出し口G
23,G
24と、同G
25,G
26とを形成可能な引出し口形成予定部34がそれぞれ対向して形成されている。なお、
図11において、35は、組付け開口である。
【0048】
配管材Pの配管施工に先立って、保護カバー接続体C
2 の配置位置の周囲のコンセントKの位置との関係で、その蓋体L
2 に形成されている計6つの引出し口形成予定部34のうち、特定の1つの引出し口形成予定部34を切り欠いて、最適の引出し口G
24を予め形成しておく。そして、
図12及び
図13に示されるように、壁面W
1 に固定された保護カバー接続体C
2 の基台V
2 の各位置決め片25が設けられた各接続部に対して計3つの直線部保護カバーC
11の各基台V
11を接続させた後に、保護カバー接続体C
2 の基台V
2 の上に配置されたチーズ継手Nを介して直線部保護カバーC
11の各基台V
11に載せられた計3本の配管材Pを接続すると共に、基台V
2 における蓋体L
2 の前記引出し口G
24に対応する部分から、プラグ91の側の電熱線Hの先端部を所定長だけ引き出した状態で、前記電熱線配線空間93,94に電熱線Hを並列状態で配置し、各直線部保護カバーC
11の各基台V
11に対して各蓋体L
11を覆蓋させる。最後に、分岐保護カバーC
2 の基台V
2 に対して蓋体L
2 を押し付けて覆蓋させて、蓋体L
2 の引出し口G
24から引き出されている電熱線Hの引出し部を当該保護カバー接続体C
2 及び直線部保護カバーC
11の脇に沿って配線して、先端のプラグ91をコンセントKに差し込むことで、分岐配管の施工が終了する。
【実施例3】
【0049】
次に、
図14~
図16を参照して、本発明の実施例3の保護カバー接続体C
3 について説明する。保護カバー接続体C
3 は、建物壁の入隅部Aにおいて、互いに直交する各壁面W
1 ,W
2 に配設される直線部保護カバーC
11を当該入隅部Aで接続するための2つの接続口J
3 を備えており、当該入隅部Aに固定される縦断面L字板状であって、直角で交差する各面が設置面となる基台V
3 と、当該基台V
3 に係合構造により組み付けられる蓋体L
3 とから成る。
【0050】
基台V
3 は、
図14及び
図15に示されるように、縦断面がL字板状をしていて、配設経路Q
3 (
図16参照)に沿った中央部に傾斜接続板部41bを有する基部41は、長方形の展開形状を有していて、配設経路Q
3 に沿った両端部であって、しかも当該部分の幅方向の両端部には、それぞれ立壁42が形成されて、各立壁42の外側面には、凹状の被係合部E
31がそれぞれ形成され、前記基部41の傾斜接続板部41bから各分割基部41aに至る部分には、蓋体L
3 の後述の側壁52の各分割側壁52aをそれぞれ当接させる側壁当接部47が、前記傾斜接続板部41b及び各分割基部41aに対して垂直となって内面側に突設されている。各分割基部41aの立壁42と側壁当接部47との間の立壁欠落部48には、配設経路Q
3 に沿って長方形状に切り欠かれた切欠き46が形成されている。なお、
図14及び
図15において、43,45は、それぞれビス挿通孔及び位置決め片を示す。
【0051】
一方、蓋体L
3 は、
図14及び
図15に示されるように、縦断面がわん曲L字形をした天壁51の幅方向の両端部に、前記基台V
3 との組付け状態で、その各分割基部41aに対してそれぞれ分割側壁52aが垂設されて、各分割側壁52aが合成された側壁52の側面形状は、L字形となっており、各分割側壁52aの端面52a
1 は、直交している。各分割側壁52aが合成された側壁52の内側面における組付け開口54に臨む部分の前記基台V
3 の各被係合部E
31に対応する部分には、それぞれ係合部E
32が形成されている。
【0052】
また、蓋体L
3 を構成する各側壁52は、それぞれ連続していて、端面52a
1が互いに直交している2つの分割側壁52aが合成されたもので、各側壁52の相対向する二組の各分割側壁52aには、それぞれ引出し口G
31,G
32,G
33,G
34)が、合成により側壁52を形成する各分割側壁52aの各端面52a
1の直角交差部に近い部分に相対向し、しかも同一の側壁52に形成される各引出し口G
31,G
33及び同G
32,G
34が互いに独立するようにして形成可能なように引出し口形成予定部53がそれぞれ形成されている。各側壁52を構成する各分割側壁52aの内面における接続口J
3 に近い部分には、基台V
3 の被係合部E
31に係合される係合部E
32がそれぞれ形成されている。なお、
図14において、54は、組付け開口を示す。
【0053】
本施工例では、
図16に示されるように、入隅部Aを構成する各壁面W
1 ,W
2 のうち垂直な壁面W
1 に沿って配線された電熱線Hを、同図で示される状態で手前側に引き出して、保護カバー接続体C
3 の外部において、入隅部Aに沿わせて配線するために、蓋体L
3 の一方の側壁52の引出し口形成予定部53を切り欠いて引出し口G
31を形成しておく。
【0054】
このため、
図16に示されるように、建物壁の入隅部Aに保護カバー接続体C
3 の基台V
3 を固定して、当該入隅部Aを形成する各壁面W
1 ,W
2 にそれぞれ直線部保護カバーC
11の基台V
11を接続させて設置した状態で、直線部保護カバーC
11の各基台V
11及び保護カバー接続体C
3 の基台V
3 の上に連続して電熱線Hを並列状態で配置した後に、直線部保護カバーC
11の各基台V
11に配置された各配管材PをエルボUで接続する。その後に、直線部保護カバーC
11の各基台V
11に蓋体L
11をそれぞれ覆蓋して、蓋体L
3 の引出し口G
31から電熱線Hのプラグ91の側の先端部を引き出した状態で、前記基台V
3 に対して蓋体L
3 を覆蓋させると、入隅部Aを構成する各壁面W
1 ,W
2 にそれぞれ配置された2本の直線部保護カバーC
11が保護カバー接続体C
3 により接続される。
【0055】
上記の状態では、保護カバー接続体C3 の引出し口G31から、電熱線Hのプラグ91の側の先端部が引き出されているので、電熱線Hの当該引出し部分を入隅部Aに沿って配線して、その先端のプラグ91を近くのコンセントKに差し込んで接続する。本施工例では、保護カバー接続体C3 から引き出された電熱線Hは、入隅部Aに沿って配線されているので、露出配線が目立たない利点がある。
【実施例4】
【0056】
次に、
図17~
図19を参照して、本発明の実施例4の保護カバー接続体C
4 について説明する。保護カバー接続体C
4 は、壁から引き出された配管材Pを壁表で分岐させて配管させる際に、壁表において直線状に配置された2本の直線部保護カバーC
11を接続するのに使用され、壁面に固定される基台V
4 と、当該基台V
4 に一体に組み付けられる蓋体L
4 とから成り、直線部保護カバーC
11と接続される2つの接続口J
4 を有している。
【0057】
前記基台V4 は、全体が長方形板状であって、基部61の長手方向の両端部における幅方向の両端部に立壁62が長手方向に沿って設けられることで、基部61における長手方向の両端部の各立壁62の間は、立壁欠落部68となっている。計4つの各立壁62の外面に凹状の被係合部E41がそれぞれ形成され、前記基部61の長手方向の中央部には、前記チーズ継手Nにおける壁内に挿入配置される壁内挿入配置部Naを貫通させる貫通孔63が形成され、当該基部61における前記貫通孔63の幅方向の両側には、前記チーズ継手Nの壁内挿入配置部Naを挿通させる壁孔Bを覆い隠すためのフランジ部61aがそれぞれ形成されている。なお、図中64,65は、それぞれ基部61に形成された複数のビス挿通孔及び位置決め片を示す。
【0058】
一方、前記蓋体L4 は、全長に亘って同一の断面U字状をなしていて、天壁71と、基台V4 との組付け状態で、当該天壁71の幅方向の両端部から当該基台V4 の基部61に向けて垂設された一対の側壁72とから成り、当該蓋体L4 の各側壁72の内面における前記基台V4 における計4つの被係合部E41に対応する部分には、当該被係合部E41に係合される係合部E42がそれぞれ形成されている。蓋体L4 の各側壁72における配設経路Q4 に沿った両端部の各係合部E42の間には、一対の1組となった引出し口形成予定部73が相対向して形成されている。なお、図中74は、蓋体L4 の組付け開口を示す。
【0059】
よって、
図18及び
図19に示されるように、保護カバー接続体C
4 の内部にチーズ継手Nを配置して、その壁内挿入配置部Naを壁孔Bに挿入することで、壁内の1本の配管材Pと、壁表の直線状に配置される2本の配管材Pとが分岐配管される。保護カバー接続体C
4 の基台V
4 と配管材Pとの間の電熱線配線空間94(
図5参照)に配線させた電熱線Hは、計4つの引出し口G
41~G
44のうち、望みの引出し口G
41(G
42~G
44)を選択して、外部に引き出される。なお、
図18において、W
0 は、壁孔Bが明けられた壁体を示す。
【実施例5】
【0060】
次に、
図20及び
図21を参照して、本発明の実施例5の接続用カバー部材C
5 について説明する。直線部保護カバーC
12は、基台V
12と、当該基台V
12に対して係合構造により組み付けられる蓋体L
12とから成り、当該蓋体L
12の側壁の外面における組付け開口に近い部分には、全長に亘って嵌合凹部95が形成されており、前記接続用カバー部材C
5 は、基台を使用せずに、2本の直線部保護カバーC
12を接続するための接続部材である。
【0061】
接続用カバー部材C
5 には、曲り接続用の接続部材であって、天壁81の幅方向の両端部にわん曲外側壁82a及びわん曲内側壁82bが垂設されて、各側壁82a,82bの内面における前記直線部保護カバーC
12の蓋体L
12の嵌合凹部95に外嵌状態で嵌合される嵌合凸部83が全長に亘って形成され、各側壁82a,82bの対向部には、それぞれ電熱線Hの引出し口G
51,G
52が形成されている。よって、
図21に示されるように、直線部保護カバーC
12の基台V
12と、当該直線部保護カバーC
12に収容された配管材Pとの間に配線されている電熱線Hは、接続用カバー部材C
5 の部分において、わん曲の内外のいずれかの引出し口G
51,G
52を選択して、当該電熱線Hを外部に引き出すことができる。
【0062】
なお、上記した実施例1~5では、ケーブルの一例として、電熱線Hを挙げたが、当該ケーブルには、電話線や機器を接続する信号線、電力線等が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
A:入隅部
C1 ~C4 :保護カバー接続体
C5 :接続用カバー部材
C11,C12 :直線部保護カバー
E0 :係合構造部
E11~E41:被係合部
E12~E42:係合部
G11~G14,G21~G26, G31~G34,G41~G44,G51, G52:引出し口
H:電熱線(ケーブル)
J1 ~J5 :接続口
K:コンセント
L1 ~L4 :蓋体
P:配管材(配線・配管材)
Q1 ~Q4 :配設経路
V1 ~V4 :基台
W1 ,W2 :壁面
11,31,51,71,81:天壁
12,33:屈曲側壁
12a,33a:分割屈曲側壁部
12b,32a,33b:先端面
14,34,53,73:引出し口形成予定部
52:側壁
52a:分割側壁
82a:わん曲外側壁
82b:わん曲内側壁