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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置および電流検出回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20231128BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/687 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020037780
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021141443
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 智宏
(72)【発明者】
【氏名】田口 量寛
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0158654(US,A1)
【文献】特開平09-049858(JP,A)
【文献】特開平02-171904(JP,A)
【文献】特開平09-093912(JP,A)
【文献】特開平01-313783(JP,A)
【文献】特開2017-188983(JP,A)
【文献】特開2019-169873(JP,A)
【文献】特開平10-332751(JP,A)
【文献】特開2004-364280(JP,A)
【文献】特開平08-334534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノードと第2のノードとの間に主電流路が接続され、第1の出力電流を出力する第1のスイッチング素子と、
前記第1のノードと第3のノードとの間に主電流路が接続され、前記第1の出力電流に対してK分の1倍(Kは1より大きい任意の正数)の第2の出力電流を出力する第2のスイッチング素子と、
第4のノードと第5のノードとの間に主電流路が接続される第3のスイッチング素子と、
前記第3のノードと前記第4のノードとの間に生じる電圧差を増幅した信号を出力して前記第3のスイッチング素子の導通状態を制御する差動増幅器と、
前記第5のノードの電圧に応答して前記第1及び第2のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、
を具備し、
前記第2のノード及び前記第3のノードには、一端に第1の電圧が印加されるとともに、要求される任意の検出精度に対応する所定の精度を有する外付けの第1の抵抗の他端が接続可能であり、
前記第4のノードには、一端に前記第1の電圧が印加されるとともに、前記検出精度を有し、前記第1の抵抗のK倍の抵抗値に設定された外付けの第2の抵抗の他端が接続可能とされている、
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
第1のノードと第2のノードとの間に主電流路が接続され、第1の出力電流を出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のノードと第3のノードとの間に主電流路が接続され、前記第1の出力電流に対してK分の1倍(Kは1より大きい任意の正数)の第2の出力電流を出力する第2のスイッチング素子と、第4のノードと第5のノードとの間に主電流路が接続される第3のスイッチング素子と、前記第3のノードと前記第4のノードとの間に生じる電圧差を増幅した信号を出力して前記第3のスイッチング素子の導通状態を制御する差動増幅器と、前記第5のノードの電圧に応答して前記第1及び第2のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、を有する半導体集積回路装置と、
前記半導体集積回路装置の前記第2のノード及び前記第3のノードには、一端に第1の電圧が印加され、要求される任意の検出精度に対応する所定の精度を有する外付けの第1の抵抗の他端が接続され、
前記第4のノードには、一端に前記第1の電圧が印加され、前記検出精度を有し、前記第1の抵抗のK倍の抵抗値に設定された外付けの第2の抵抗の他端が接続されている、
ことを特徴とする電流検出回路。
【請求項3】
第1のノードと第2のノードとの間に主電流路が接続され、第1の出力電流を出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のノードと第3のノードとの間に主電流路が接続され、前記第1の出力電流に対してK分の1倍(Kは1より大きい任意の正数)の第2の出力電流を出力する第2のスイッチング素子と、第4のノードと第5のノードとの間に主電流路が接続される第3のスイッチング素子と、前記第3のノードと前記第4のノードとの間に生じる電圧差を増幅した信号を出力して前記第3のスイッチング素子の導通状態を制御する差動増幅器と、前記第5のノードの電圧に応答して前記第1及び第2のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、
を有する半導体集積回路装置と、
前記半導体集積回路装置の前記第2のノードを第1の電源端子に接続する接続手段と、
前記半導体集積回路装置の前記第3のノードに一端が接続され、他端に前記第1の電源端子の電圧が印加され、要求される任意の検出精度に対応する所定の精度を有する外付けの第3の抵抗と、
前記半導体集積回路装置の前記第4のノードに一端が接続され、他端に前記第1の電源端子の電圧が印加され、前記検出精度を有する外付けの第4の抵抗と、
を備え、
前記第3の抵抗と前記第4の抵抗は、同じ抵抗値に設定されることを特徴とする電流検出回路。
【請求項4】
前記第3の抵抗と前記第4の抵抗は、前記接続手段のK倍の抵抗値に設定されることを特徴とする請求項3に記載の電流検出回路。
【請求項5】
一端に前記第5のノードが接続され、他端に第2の電圧が印加される第5の抵抗と
を具備することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体集積回路装置および電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷に流れる電流によって生じた電圧降下と、負荷電流の所定比率の微小電流によって生じた電圧降下を差動アンプで比較し、差動アンプと協働して負帰還回路を構成するスイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出回路が開示されている。電圧降下は、例えば、差動アンプが形成された半導体集積回路装置の外付けの抵抗素子で生じさせる。外付け抵抗素子の抵抗値を高精度にすることで電流検出の精度を高めることが可能である。しかしながら、高精度で抵抗値の小さい抵抗素子は高価である。要求される電流検出の精度は、電流検出回路が用いられる適用分野において異なる。高精度、低精度のいずれの要求に対しても適用可能で、コストが抑制できる半導体集積回路装置および電流検出回路が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-295360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、コストが抑制される半導体集積回路装置および電流検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、半導体集積回路装置は、第1のノードと第2のノードとの間に主電流路が接続され、第1の出力電流を出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のノードと第3のノードとの間に主電流路が接続され、前記第1の出力電流に対してK分の1倍(Kは1より大きい任意の正数)の第2の出力電流を出力する第2のスイッチング素子と、第4のノードと第5のノードとの間に主電流路が接続される第3のスイッチング素子と、前記第3のノードと前記第4のノードとの間に生じる電圧差を増幅した信号を出力して前記第3のスイッチング素子の導通状態を制御する差動増幅器と、前記第5のノードの電圧に応答して前記第1及び第2のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、を具備し、前記第2のノード及び前記第3のノードには、一端に第1の電圧が印加されるとともに、要求される任意の検出精度に対応する所定の精度を有する外付けの第1の抵抗の他端が接続可能であり、前記第4のノードには、一端に前記第1の電圧が印加されるとともに、前記検出精度を有し、前記第1の抵抗のK倍の抵抗値に設定された外付けの第2の抵抗の他端が接続可能とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態の電流検出回路の構成を示す図。
図2図2は、第2の実施形態の電流検出回路の構成を示す図。
図3図3は、第3の実施形態の電流検出回路の構成を示す図。
図4図4は、第4の実施形態の電流検出回路の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体集積回路装置および電流検出回路を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電流検出回路の構成を示す図である。本実施形態の電流検出回路は、電源と接地間に接続された負荷に流れる電流を検出する。図1の電流検出回路は、半導体集積回路装置10を備える。半導体集積回路装置10は、例えば、プリント配線基板(図示せず)に一体的に集積される。半導体集積回路装置10は、外部の素子等と接続されるノードN1からノードN5を有する。各ノードN1~N5は、接続端子、例えばボンディングパッド(図示せず)である。あるいは、各ノードN1~N5は、配線の接続点を示す。ノードN1には、負荷30の一端が接続される。負荷30の他端は接地される。図1は、負荷30が半導体集積回路装置10に対して低電位側に接続される場合の構成を示す。
【0009】
半導体集積回路装置10は、PMOSトランジスタMP1及びMP2を有する。トランジスタMP1は、ノードN1とN2の間に主電流路であるソース・ドレイン路が接続される。トランジスタMP2は、ノードN1とノードN3との間にソース・ドレイン路が接続される。トランジスタMP1とMP2が出力する出力電流の比、すなわちドレイン電流の比は、K:1に設定される。出力電流の比は、トランジスタMP1とMP2のサイズ比をK:1とすることで、設定できる。例えば、Kの値は、10000に設定される。
【0010】
半導体集積回路装置10は、差動増幅器A1とPMOSトランジスタSP1を有する。差動増幅器A1は、非反転入力端(+)がノードN3に接続され、反転入力端(-)はノードN4に接続される。PMOSトランジスタSP1の主電流路であるソース・ドレイン路がノードN4とN5の間に接続される。差動増幅器A1は、ノードN3とN4の間の電圧差を増幅し、トランジスタSP1のゲートに供給する。差動増幅器A1の出力は、トランジスタSP1の導通状態を制御する。差動増幅器A1とトランジスタSP1は、ノードN3とノードN4の電圧が等しくなる様に動作する負帰還回路を構成する。
【0011】
ノードN2とN3は検知抵抗Rs1の一端に接続される。検知抵抗Rs1の他端は電源電圧VBが印加される電源端子20に接続される。検知抵抗Rs1は、例えば数mΩ~数百mΩの抵抗値に設定される。ノードN4は、検知抵抗Rs2の一端に接続される。検知抵抗Rs2の他端は電源端子20に接続される。検知抵抗Rs2は、検知抵抗Rs1のK倍の抵抗値に設定される。
【0012】
すなわち、検知抵抗Rs1に生じる電圧降下と検知抵抗Rs2に生じる電圧降下が等しくなる様に、差動増幅器A1とトランジスタSP1によって構成される負帰還回路は動作する。従って、検知抵抗Rs1の抵抗値に対して検知抵抗Rs2の抵抗値をK倍にした場合には、検知抵抗Rs1には負荷電流ILが流れ、検知抵抗Rs2には電流IL/Kが流れる。
【0013】
検知抵抗Rs2を流れる電流は、トランジスタSP1を介してノードN5から出力され、モニタ抵抗Rm1の一端に供給される。モニタ抵抗Rm1の他端は接地される。モニタ抵抗Rm1を流れる電流は、検知抵抗Rs2を流れる電流にほぼ等しい。従って、ノードN5の電圧を検出することによりモニタ抵抗Rm1に生じた電圧降下を検出することが出来る為、負荷電流ILを検出することが出来る。
【0014】
ノードN5の電圧は、制御回路11に供給される。制御回路11は、トランジスタMP1、MP2のオン/オフを制御する。トランジスタMP1、MP2をオンすることで、負荷30に負荷電流ILが供給される。例えば、ノードN5の電圧が所定のしきい値を越えて上昇した場合に、制御回路11は、トランジスタMP1、MP2をオフする制御を行う。係る制御により、負荷30を過電流状態から保護することが出来る。
【0015】
第1の実施形態によれば、半導体集積回路装置10のノードN2と電源端子20、及び、ノードN4と電源端子20との間に夫々、検知抵抗Rs1とRs2を接続する。検知抵抗Rs2を検知抵抗Rs1のK倍の抵抗値に設定することで、負荷電流ILの1/K倍の電流を検出する電流検出回路を構成することが出来る。差動増幅器A1とトランジスタSP1は、ノードN3とノードN4との電圧が等しくなる様に負帰還動作を行う。ノードN3、N4の電圧は、検知抵抗Rs1とRs2に依存する。従って、公差が±数%の高精度の検知抵抗Rs1を接続することで、高精度の電流検出回路を提供することが出来る。尚、半導体集積回路装置10のユーザに対して、推奨する抵抗素子(検知抵抗Rs1,Rs2)を標準仕様として提供することで、ユーザが半導体集積回路装置10を用いて高精度の電流検出回路を構成する際に使用する抵抗素子の選択が容易になる為、ユーザの便宜を図ることが出来る。また、検知抵抗Rs2には、電流IL/Kが流れる。従って、検知抵抗Rs2の抵抗値が高くなっても、検知抵抗Rs2における消費電力は電流値の抑制が2乗で寄与する為、消費電力の増加を大幅に抑制することが出来る。
【0016】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の電流検出回路の構成を示す図である。既述した実施形態に対応する構成には、同一符号を付し、重複した記載は必要な場合にのみ行う。以降、同様である。図2の電流検出回路は、ノードN2を電源端子20に接続する接続手段Rp1を有する。接続手段Rp1は、例えば、プリント配線基板(図示せず)において、トランジスタMP1のソースを電源端子20に接続する配線やボンディングワイヤである。接続手段Rp1は、例えば配線による抵抗値を有し、本実施形態においては便宜的に、抵抗値Rp1を有する抵抗として示す。尚、接続手段Rp1は、所定の抵抗値を有する抵抗素子を含めて構成しても良い。
【0017】
ノードN3は、検知抵抗Rs3の一端に接続される。検知抵抗Rs3の他端は、電源端子20に接続される。検知抵抗Rs3は、接続手段Rp1のK倍の抵抗値に設定される。ノードN4は、検知抵抗Rs4の一端に接続される。検知抵抗Rs4の他端は電源端子20に接続される。検知抵抗Rs4は、同様に、接続手段Rp1のK倍の抵抗値に設定される。
【0018】
トランジスタMP1とMP2の電流比は、K:1に設定される。従って、接続手段Rp1には、電流IL・K/(K+1)が流れ、検知抵抗Rs3には、電流IL/(K+1)が流れる。これにより、接続手段Rp1と検知抵抗Rs3における電圧降下が等しくなる為、トランジスタMP1、MP2のソース・ドレイン間電圧とゲート・ソース間電圧が夫々等しくなる。その為、負荷電流ILをトランジスタMP1とMP2に精度良く分流することが出来る。
【0019】
差動増幅器A1とトランジスタSP1により負帰還回路が構成される。負帰還回路は、ノードN3とノードN4の電圧が等しくなる様に動作する。従って、検知抵抗Rs3と検知抵抗Rs4の抵抗値を同じにした場合には、検知抵抗Rs4には検知抵抗Rs3に流れる電流と同じ値の電流、すなわち、電流IL/(K+1)が流れる。モニタ抵抗Rm1を流れる電流は、検知抵抗Rs4を流れる電流にほぼ等しい。この為、ノードN5の電圧を検出することにより、負荷電流ILの1/(K+1)倍の電流を検知することが出来る。
【0020】
本実施形態によれば、検知抵抗Rs3に流れる電流は、負荷電流ILの1/(K+1)倍に抑制される。例えばKの値を10000に設定すると、負荷電流ILの約1/10000倍の電流が検知抵抗Rs3に流れる。接続手段Rp1は、例えば配線の抵抗であり、数mΩ~数十mΩである。従って、Kの値を10000とした場合には、検知抵抗Rs3としては、数十Ω~数百Ω程度の抵抗素子を用いることが出来る。検知抵抗Rs4についても同様である。抵抗値が高く精度の低い抵抗素子は、比較的に低廉である。従って、検知抵抗Rs3、Rs4として比較的に低廉な抵抗素子を用いることができる為、コストを抑制することが出来る。
【0021】
検知抵抗Rs3、Rs4の抵抗値が高くなっても、検知抵抗Rs3、Rs4における消費電力は電流値の抑制が2乗で寄与する為、消費電力の増加を大幅に抑制することが出来る。また、半導体集積回路装置10は、図1の半導体集積回路装置10と同じ構成である。従って、半導体集積回路装置10は、抵抗素子等の接続を替えることにより所望の電流検出回路を構成できるため、量産によるボリュームディスカウントが可能となる。
【0022】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態の電流検出回路の構成を示す図である。図3の電流検出回路は、負荷30が半導体集積回路装置10に対して高電位側に接続される場合の構成を示す。
【0023】
半導体集積回路装置10は、NMOSトランジスタMN1及びMN2を有する。トランジスタMN1は、ノードN1とN2の間にソース・ドレイン路が接続される。トランジスタMN2は、ノードN1とノードN3との間にソース・ドレイン路が接続される。トランジスタMN1とMN2が出力する出力電流の比(ドレイン電流の比)は、K:1に設定される。出力電流の比は、トランジスタMN1とMN2のサイズ比をK:1とすることで設定できる。例えば、Kの値は、10000に設定される。
【0024】
半導体集積回路装置10は、差動増幅器A1とNMOSトランジスタSN1を有する。差動増幅器A1は、非反転入力端(+)がノードN3に接続され、反転入力端(-)がノードN4に接続される。トランジスタSN1のソース・ドレイン路は、ノードN4とN5の間に接続される。差動増幅器A1は、ノードN3とN4の間の電圧差を増幅し、トランジスタSN1に供給する。差動増幅器A1の出力は、トランジスタSN1の導通状態を制御する。差動増幅器A1とトランジスタSN1は、ノードN3とノードN4の電圧が等しくなる様に動作する負帰還回路を構成する。
【0025】
ノードN2は検知抵抗Rs1の一端に接続される。検知抵抗Rs1の他端は接地される。検知抵抗Rs1の抵抗値は、例えば数mΩ~数百mΩに設定される。ノードN4は検知抵抗Rs2の一端に接続される。検知抵抗Rs2の他端は接地される。検知抵抗Rs2は、検知抵抗Rs1のK倍の抵抗値に設定される。
【0026】
検知抵抗Rs1と検知抵抗Rs2とに生じる電圧降下が等しくなる様に、差動増幅器A1とトランジスタSN1によって構成される負帰還回路は動作する。従って、検知抵抗Rs1に対して検知抵抗Rs2をK倍の抵抗値にした場合には、検知抵抗Rs1には負荷電流ILが流れ、検知抵抗Rs2には電流IL/Kが流れる。
【0027】
ノードN5はモニタ抵抗Rm1の一端に接続される。モニタ抵抗Rm1の他端は、電圧VRが印加される電源端子22に接続される。電圧VRは、例えば、電源電圧VBより低い電圧値に設定される。電源電圧VBは、負荷30が例えばモータの場合、40V程度の高電圧に設定される。電圧VRは、差動増幅器A1を動作させるのに必要な5V程度の低電圧とし、消費電力を抑制する構成とすることが出来る。
【0028】
トランジスタSN1がオンすると、検知抵抗Rs2を流れる電流にほぼ等しい電流がモニタ抵抗Rm1に供給される。検知抵抗Rs2に流れる電流は負荷電流ILに比例している為、ノードN5の電圧を検出することによりモニタ抵抗Rm1に生じた電圧降下を検出することが出来る。すなわち、ノードN5の電圧をモニタすることで、負荷電流ILを検出することが出来る。
【0029】
ノードN5の電圧は、制御回路11に供給される。制御回路11は、トランジスタMN1、MN2のオン/オフを制御する。トランジスタMN1、MN2をオンすることで、負荷30に負荷電流ILが供給される。例えば、ノードN5の電圧が所定のしきい値を越えて下降した場合に、制御回路11は、トランジスタMN1、MN2をオフする制御を行う。係る制御により、負荷30を過電流状態から保護することが出来る。
【0030】
第3の実施形態によれば、半導体集積回路装置10のノードN2と接地端子、及びノードN4と接地端子との間に夫々、検知抵抗Rs1とRs2を接続する。検知抵抗Rs2の抵抗値を検知抵抗Rs1のK倍の抵抗値に設定することで、負荷電流ILの1/K倍の電流を検出する電流検出回路を構成することが出来る。半導体集積回路装置10に集積される差動増幅器A1とトランジスタSN1は、ノードN3の電圧とノードN4の電圧が等しくなる様に負帰還動作を行う。ノードN3の電圧とノードN4の電圧は、検知抵抗Rs1とRs2に依存する。従って、高精度の電流検知が必要な場合に、公差が±数%の高精度の検知抵抗Rs1を接続することで高精度の電流検出回路を提供することが出来る。尚、半導体集積回路装置10のユーザに対して、推奨する抵抗素子(検知抵抗Rs1,Rs2)を標準仕様として提供することで、ユーザが半導体集積回路装置10を用いて高精度の電流検出回路を構成する際に使用する抵抗素子の選択が容易になる為、ユーザの便宜を図ることが出来る。また、検知抵抗Rs2には、電流IL/Kが流れる。従って、検知抵抗Rs2の抵抗値が高くなっても、検知抵抗Rs2における消費電力は電流値の抑制が2乗で寄与する為、消費電力の増加を大幅に抑制することが出来る。
【0031】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態の電流検出回路の構成を示す図である。図4の電流検出回路は、ノードN2を接地端子に接続する接続手段Rp1を有する。接続手段Rp1は、例えば、プリント配線基板(図示せず)において、トランジスタMN1のソースを接地する配線である。接続手段Rp1は便宜的に、抵抗値Rp1を有する抵抗として示す。
【0032】
ノードN3は、検知抵抗Rs3の一端に接続され、検知抵抗Rs3の他端は接地される。検知抵抗Rs3の抵抗値は、接続手段Rp1のK倍の抵抗値に設定される。ノードN4は、検知抵抗Rs4の一端に接続され、検知抵抗Rs4の他端は接地される。検知抵抗Rs4の抵抗値は、接続手段Rp1のK倍の抵抗値に設定される。
【0033】
トランジスタMN1とMN2の電流比は、K:1に設定される。従って、接続手段Rp1には、電流IL・K/(K+1)が流れ、検知抵抗Rs3には、電流IL/(K+1)が流れる。これにより、接続手段Rp1と検知抵抗Rs3における電圧降下が等しくなる為、トランジスタMN1、MN2のソース・ドレイン間電圧とゲート・ソース間電圧が夫々等しくなる。その為、負荷電流ILをトランジスタMN1とMN2に精度良く分流することが出来る。
【0034】
差動増幅器A1とトランジスタSN1により負帰還回路が構成される。負帰還回路は、ノードN3とノードN4の電圧が等しくなる様に動作する。従って、検知抵抗Rs3の抵抗値と検知抵抗Rs4の抵抗値を同じにした場合には、検知抵抗Rs4には検知抵抗Rs3に流れる電流と同じ値の電流、すなわち、電流IL/(K+1)が流れる。モニタ抵抗Rm1を流れる電流は、検知抵抗Rs4を流れる電流にほぼ等しい。この為、ノードN5の電圧を検出することにより、負荷電流ILの1/(K+1)倍の電流を検知することが出来る。
【0035】
本実施形態によれば、ノードN3に接続される検知抵抗Rs3に流れる電流は、負荷電流ILの1/(K+1)倍の値に抑制される。例えばKの値を10000に設定すると、負荷電流ILの約1/10000倍の電流が検知抵抗Rs3に流れる。接続手段Rp1は、例えば配線の抵抗であり、数mΩ~数十mΩである。従って、Kの値を10000とした場合には、検知抵抗Rs3としては、数十Ω~数百Ω程度の抵抗素子を用いることが出来る。検知抵抗Rs4についても同様である。抵抗値が高く精度の低い抵抗素子は、比較的に低廉である。従って、検知抵抗Rs3、Rs4として比較的に低廉な抵抗素子を用いることができる為、コストを抑制することが出来る。
【0036】
検知抵抗Rs3、Rs4の抵抗値が高くなっても、検知抵抗Rs3、Rs4における消費電力は電流値の抑制が2乗の係数で寄与する為、消費電力の増加を抑制することが出来る。また、半導体集積回路装置10は、図3の半導体集積回路装置10と同じ構成である。従って、半導体集積回路装置10は、抵抗素子等の接続を替えることにより所望の電流検出回路を構成できるため、量産によるボリュームディスカウントが可能となる。
【0037】
トランジスタMP1、MP2、MN1、MN2として、高耐圧のスイッチング素子であるGaNトランジスタ、SiCトランジスタ、あるいはIGBTを用いることが出来る。GaNトランジスタ、SiCトランジスタを用いた場合には、主電流路であるソース・ドレイン路がGaN、あるいは、SiCで構成される。また、IGBTを用いた場合には、エミッタ・コレクタ路が主電流路を構成する。高耐圧のスイッチング素子は、負荷30を駆動する為に高電圧の電源が用いられる場合に好適する。尚、高耐圧のスイッチング素子は、例えば、個別の半導体チップとして形成され、差動増幅器A1が形成された半導体チップ(図示せず)と所定の配線で接続して、共通のプリント配線基板に半導体集積回路装置10として一体的に形成することが出来る。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10 半導体集積回路装置、11 制御回路、N1~N5 ノード、A1 差動増幅器、Rs1~Rs4 検知抵抗、Rm1 モニタ抵抗、MP1及びMP2 PMOSトランジスタ、MN1及びMN2 NMOSトランジスタ。
図1
図2
図3
図4