(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像濃度補正方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231128BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231128BHJP
G03G 15/043 20060101ALI20231128BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 384
G03G15/043
B41J2/47 101M
(21)【出願番号】P 2020040006
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 和剛
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-008817(JP,A)
【文献】特開2010-072628(JP,A)
【文献】特開平08-046795(JP,A)
【文献】特開2013-037225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/04-15/043
G03G 21/14
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記感光体に露光レーザを照射して静電
潜像を形成する光走査部と、前記静電潜像を現像する現像部と、制御部とを備え、印字モ
ードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測部と、
前記露光レーザの前記感光体に照射する出力を補正する露光レーザ出力補正部と、
を備え、
前記帯電電位変動予測部は、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づ
き予測し、
前記露光レーザ出力補正部は、前記帯電電位の変動量に応じて前記感光体に照射すべき
前記露光レーザの出力を補正
するものであって、
前記制御部は、
前記露光レーザの補正処理を開始後のジョブの有無の判定において前記ジョブがあると判定し、レーザ出力補正時期において印字モードが階調性を有し、かつ、前記補正処理が中断されている場合は前記補正処理を再開し、
前記印字モードが階調性が無く、かつ、前記補正処理が実行中の場合は前記補正処理を中断し、前記印字モードにおけるレーザ出力量を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印字モードがテキスト文書を印刷するモードの場合は、前記露光レ
ーザ出力補正部による前記露光レーザの出力の補正処理を実行しないことを特徴とする請
求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印字モードがFAXモードの場合は、前記露光レーザ出力補正部に
よる前記露光レーザの出力の補正処理を実行しないことを特徴とする請求項1に記載の画
像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、印字モードに応じて前記露光レーザ出力補正部による前記露光レーザの
出力の補正処理を実行する/実行しないを選択可能とすることを特徴とする請求項1に記
載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記露光レーザ出力補正部による前記露光レーザの出力の補正処理によ
る補正データの更新を、前記光走査
部による主走査時における走査無効期間に行うこと
を特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体と、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記感光体に露光レーザを照射して静電
潜像を形成する光走査部と、前記静電潜像を現像する現像部と、制御部とを備え、印字モ
ードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置の画像濃度補正方法であっ
て、
前記感光体の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測ステップと、
前記露光レーザの前記感光体に照射する出力を補正する露光レーザ出力補正ステップと
、
を備え、
前記帯電電位変動予測ステップにおいて、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停
止時間から予測し、
前記露光レーザ出力補正ステップにおいて、前記帯電電位の変動量に応じて前記感光体
に照射すべき前記露光レーザの出力を補正し、
前記
露光レーザの補正処理を開始後のジョブの有無の判定において前記ジョブがあると判定し、レーザ出力補正時期において前記印字モードが階調性を有し、かつ、前記補正処理が中断されている場合は前記補正処理を再開し、
前記印字モードが階調性が無く、かつ、前記補正処理が実行中の場合は前記補正処理を中断し、前記印字モードにおけるレーザ出力量を決定することを特徴とする画像濃度補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等に係り、特に、印字モードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成装置においては、感光体ドラムへの帯電印加直後の帯電電位は時間的経過により減少することがあり、この現象が原因となってトナーの静電付着力が変化し、画像濃度変化が発生しやすくなることが知られている。
【0003】
そこで、従来技術として、例えば、画像形成装置において、印刷停止後の帯電停止時間を検出し、当該帯電停止時間に応じて感光体を露光するレーザ光量を補正することで、感光体への帯電印加直後の帯電電位の減少に起因する画像濃度変化を効果的に低減するものが提案されている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、画像形成装置において、感光体を露光するレーザ光量を補正する場合に、デジタル方式によるレーザドライバを用いてレーザ光量の補正処理(例えば、副走査方向の補正処理)を行うと、頻繁にレーザ光量設定値を書き換える必要があり、このとき、リーク等のノイズにより、レーザ光量設定値に係る補正情報が意図しない値になる場合があるという問題があった。
【0006】
例えば、レーザ光量に関する補正情報のアドレスが意図しない値になってしまった場合、レーザ光量設定値を書き換えたとしてもアドレスが違っているため、レーザ光量が元に戻らないという問題が生じる。
【0007】
特に、FAX送信においては、請求書や見積書が出力される場合があるため、例えば、レーザ光量に係る情報のアドレスが意図しない値になって、所定のレーザ光量に係る補正情報が記録されずに白紙が出力されると、請求書や見積書に関する重要な情報が出力されないとう問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、読取原稿に基づき静電潜像を形成する露光レーザ出力の補正を行う場合に、リーク等のノイズによりレーザ光量設定値に係る補正情報が意図しない値になることを防止することができる画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記感光体に露光レーザを照射して静電潜像を形成する光走査部と、前記静電潜像を現像する現像部と、制御部とを備え、印字モードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置であって、前記感光体の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測部と、前記露光レーザの前記感光体に照射する出力(レーザ出力)を補正する露光レーザ出力補正部と、を備え、前記帯電電位変動予測部により、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づき予測し、前記露光レーザ出力補正部により、前記帯電電位の変動量に応じて前記感光体に照射すべき前記露光レーザの出力を補正し、前記印字モードが階調性を有する印字モードの場合は、前記露光レーザの補正処理を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る画像濃度補正方法は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記感光体に露光レーザを照射して静電潜像を形成する光走査部と、前記静電潜像を現像する現像部と、制御部とを備え、印字モードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置の画像濃度補正方法であって、前記感光体の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測ステップと、前記露光レーザの前記感光体に照射する出力を補正する露光レーザ出力補正ステップと、を備え、前記帯電電位変動予測ステップにおいて、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間から予測し、前記露光レーザ出力補正ステップにおいて、前記帯電電位の変動量に応じて前記感光体に照射すべき前記露光レーザの出力を補正し、前記印字モードが諧調性を有する印字モードの場合は、前記露光レーザの補正処理を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成装置等によれば、感光体の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測部と、露光レーザの感光体に照射する出力(レーザ光量)を補正する露光レーザ出力補正部とを備えて、画像形成装置における印字モードが階調性を有する印字モードの場合は、前記露光レーザの補正処理を行うようにしたことで、リーク等のノイズによりレーザ光量設定値に係る補正情報が意図しない値になることを防止することができる画像形成装置等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】画像形成装置における感光体を露光するレーザ光量の補正処理が正常に実行される状態を示す説明図である。
【
図4】レーザ光量の補正処理がノイズにより正常に行われなかった状態を示す説明図である。
【
図5】画像形成装置においてレーザ光量の補正処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る画像形成装置における印字モードに対応した副走査シェーディングの設定の一例を示す表である。
【
図7】画像形成装置の表示部に表示される副走査シェーディングの設定画面の一例を示す説明図である。
【
図8】第3実施形態に係る画像形成部における露光レーザによる主走査方向の走査領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図、
図2は画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【0014】
第1実施形態は、
図1に示すように、感光体ドラム(感光体)3と、感光体ドラム3を帯電させる帯電器(帯電部)5と、感光体ドラム3に露光レーザを照射して静電潜像を形成する露光ユニット(光走査部)1と、前記静電潜像を現像する現像部2とを具備する画像形成部130と、制御部100とを備え、印字モードに応じて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置10であって、制御部100には、感光体ドラム3の帯電電位の変動量を予測する帯電電位変動予測部170と、露光レーザの感光体ドラム3に照射する出力を補正する露光レーザ出力補正部180と、を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、画像形成装置10は、帯電電位変動予測部170により、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づき予測し、露光レーザ出力補正部180により、前記帯電電位の変動量に応じて感光体ドラム3に照射すべき露光レーザの出力を補正することを特徴とする。
【0016】
さらに、制御部100により、印字モードが階調性を有する印字モードの場合は、露光レーザ出力補正部180による露光レーザの補正処理を実行することを特徴とする。
【0017】
特に、画像形成装置10において、露光ユニット1がデジタル方式によるレーザドライバを用いて露光レーザの照射制御を行う場合に、露光レーザ出力補正部180による露光レーザの補正処理は有効である。
【0018】
(画像形成装置の全体構成)
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の基本的な構成について説明する。
画像形成装置10は、
図2に示すように、装置本体10aの上部に画像読取装置110を備えて原稿の画像を読取り、電子写真方式により画像を出力する情報処理装置である。
【0019】
画像形成装置10は、
図1に示すように、主に、制御部100と、画像読取装置110と、画像処理部120と、画像形成部130と、操作部140と、表示部150と、記憶部160とを備えて構成されている。
【0020】
制御部100は、画像形成装置10の全体を制御するための機能部である。
そして、制御部100は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))等により構成されている。
【0021】
画像読取装置110は、主に、自動原稿搬送部111、画像読取部112と、原稿台113とを備えている。
【0022】
自動原稿搬送部111は、複数の原稿を自動的に搬送する機能部である。
【0023】
画像読取部112は、原稿から画像形成装置10に入力される画像データを読み取るための機能部である。
【0024】
画像処理部120は、画像データに各種画像処理を施す機能部である。そして、画像処理が施された画像データに基づき出力画像を形成する。
【0025】
画像形成部130は、画像データに基づく出力データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、
図2に示すように、給紙カセット81から記録用紙を給紙し、画像形成部130において記録用紙の表面に画像が形成された後に排紙トレイ91に排紙される。
【0026】
操作部140は、ユーザによる操作指示を受け付けるための機能部であり、各種キースイッチや、接触による入力を検出する装置等により構成されている。ユーザは、操作部140を介して、使用する機能や出力条件を入力する。また、表示部150は、ユーザに各種情報を表示するための機能部であり、例えばLCD(Liquid crystal display)等により構成されている。
【0027】
なお、画像形成装置10は、操作部140と、表示部150とが一体に形成されているタッチパネルを備えてもよい。この場合において、タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。
【0028】
記憶部160は、画像形成装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部160は、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0029】
(装置本体の各部構成)
次に、画像形成装置10の装置本体10aの構成について、図面を参照して説明する。
装置本体10aは、
図2に示すように、主に、露光ユニット1、現像部2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、転写部6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
【0030】
装置本体10aの上部に設けられた画像読取部112の上側には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿台113が設けられ、その原稿台113の上側には自動原稿搬送部111が取り付けられている。
【0031】
自動原稿搬送部111は、原稿台113の上に自動で原稿を搬送する。
また、自動原稿搬送部111は、矢印M方向に回動自在に構成され、原稿台113の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0032】
画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像部2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0033】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。
【0034】
露光ユニット1は、外部から入力した画像データまたは原稿から読み取って得られた画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成する画像書込み装置である。
【0035】
現像部2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像をブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーにより顕像化するものである。
【0036】
ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーは、それぞれのトナーが収容されるトナーカートリッジ500(BK),500(C),500(M),500(Y)から現像部2に供給される。
【0037】
トナーカートリッジ500(BK),500(C),500(M),500(Y)は、装置本体10aの画像形成部130の上方に収納されている。
【0038】
感光体ドラム3は、円筒状を呈し、露光ユニット1の上方に配設され、その表面がクリーナユニット4によりクリーニングされ、クリーニングされた表面が帯電器5により均一に帯電される。
【0039】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0040】
感光体ドラム3の上方に配置されている転写部6は、無端状の中間転写ベルト(無端ベルト)61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,BKの各色に対応して4本設けられている。
【0041】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動するように構成されている。
【0042】
各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上に積層される。積層された画像情報としてのトナー像は、中間転写ベルト61とともに搬送されて、搬送される用紙と中間転写ベルト61との接触位置(2次転写位置,所定位置)に移動し、この接触位置に配置されている転写ローラ9によって用紙上に転写される。
【0043】
中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ9によって用紙上に転写が行われずに中間転写ベルト61に残存したトナーは、次工程で形成されるトナー像に対してトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように構成されている。
【0044】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体10aの露光ユニット1の下側に設けられている。
装置本体10aの上方には、印刷済みの用紙をフェイスダウンで集積するための排紙トレイ91が設けられている。
【0045】
また、装置本体10aには、給紙カセット81の用紙を転写ローラ9や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81から排紙トレイ91に到る用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、複数の搬送ローラ12a~12d、レジストローラ13、転写ローラ9、定着ユニット7等が配されている。
【0046】
搬送ローラ12a~12dは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って設けられている。尚、搬送ローラ12bは、用紙を排紙トレイ91に排出する排紙ローラとして機能するため、排紙ローラと称する。
【0047】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0048】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を転写ローラ9に搬送する機能を有している。
【0049】
定着ユニット7は、定着ローラ70として1対のヒートローラ71と加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転搬送するようになっている。
【0050】
ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、対向して配置されて、ヒートローラ71と加圧ローラ72との圧接箇所には、定着ニップ部が形成されている。
【0051】
ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーを用紙に熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる。
また、ヒートローラ71には、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0052】
(感光体ドラムを露光するレーザ光量の補正処理について)
次に、第1実施形態に係る画像形成装置10における感光体ドラム3を露光するレーザ光量の補正処理について説明する。
【0053】
図3は第1実施形態の画像形成装置における感光体を露光するレーザ光量の補正処理が正常に実行される状態を示す説明図、
図4はレーザ光量の補正処理がノイズにより正常に行われなかった状態を示す説明図である。
【0054】
第1実施形態に係る画像形成装置10において、露光ユニット1により感光体ドラム3を露光する際のレーザ光量の補正処理は、帯電電位変動予測部170により、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づき予測し、露光レーザ出力補正部180により、前記予測された帯電電位の変動量に応じて補正する。
【0055】
第1実施形態では、感光体ドラム3を露光する際のレーザ光量の補正処理は、正常時では、
図3に示すように、感光体ドラム3の回転方向に沿った副走査方向に沿ってセグメント毎に行われる。
【0056】
具体的には、図中の符号「Pref」を露光レーザの「基準光量」とし、「P_SEG」を「セグメント毎の補正量」として、露光レーザの「基準光量」から「セグメント毎の補正量」を差し引いた値を補正後のレーザ光量設定値として、副走査方向に沿ってセグメントN(0,1,2,3,4,5・・・)毎に露光レーザによるレーザ光量を設定する。
【0057】
一方、露光するレーザ光量の補正処理において、通常のレーザ光量設定値を補正後のレーザ光量設定値に更新する際に、ノイズ等の影響により更新が正常に行われなかったときは、
図4に示すように、エラーが発生した時点P1から補正後のレーザ光量設定値は「0」となり、情報が出力されない状態となる。
【0058】
したがって、第1実施形態では、上記のような問題を回避するために、画像形成装置10がデジタル方式により露光レーザの照射制御を行う構成の場合は、送信不良が許されないFAXモードの場合や、画像濃度の影響が少ないテキスト文書を印刷するモードの場合には、露光レーザ出力補正部180による露光レーザの出力の補正処理を実行しないように構成されている。
【0059】
(画像形成装置におけるレーザ光量の補正処理)
次に、第1実施形態に係る画像形成装置10において、印字モードに対応したレーザ光量の補正処理についてフローチャートに沿って説明する。
図5は画像形成装置においてレーザ光量の補正処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
画像形成装置10において、露光処理が実行されると、
図5に示すように、まず、画像形成装置10における初期化用のレーザ基準光量の設定される(ステップS101)。そして、感光体ドラム3に対して帯電が開始される(ステップS103)。そして、露光レーザのレーザ光量の補正処理が開始される(ステップS105)。
【0061】
(レーザ光量の補正処理について)
ここで、露光レーザのレーザ光量の補正処理について説明する。
感光体ドラム3が帯電されて、露光レーザにより静電潜像が形成されると、帯電電位変動予測部170により、印刷停止後の前記帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づき予測する。
【0062】
感光体ドラム3の帯電電位の変化が発生すると、帯電電位は時間の経過に伴い小さくなる。この帯電電位の変動により、印刷領域の画像濃度の変化が発生する。そこで、当該帯電電位の変動分に応じて、感光体ドラム3の露光レーザ出力値(レーザ光量基準値)を補正することにより、帯電電位の変動に起因する印刷領域の画像濃度の変化を低減する。
【0063】
露光レーザ出力補正部180は、前記帯電電位の変動量に応じて感光体ドラム3に照射すべき露光レーザのレーザ光量を補正する。ここでは、露光レーザによる副走査方向の変位量毎に帯電電位の変動量を予測して、レーザ光量を補正してレーザ光量設定値とする。このレーザ光量の補正処理を「副走査シェーディング」と称する。
【0064】
ステップS105において、副走査シェーディングが開始されると、ジョブがあるか否かが判定される(ステップS107)。
【0065】
ステップS107において、ジョブがないと判定された場合は、副走査シェーディングは終了する。
【0066】
一方、ステップS107において、ジョブがあると判定された場合は、レーザ光量設定を行う時期か否かが判定される(ステップS109)。
【0067】
ステップS109において、レーザ光量設定を行う時期であると判定された場合は、ジョブの印字モードに階調性があるか否か(例えば、印刷データが2値データではないか否か)が判定される(ステップS111)。
【0068】
ステップS109において、ジョブの印字モードに階調性が無いと判定された場合は、副走査シェーディングが実行中か否かが判定される(ステップS113)。
【0069】
ステップS113において、副走査シェーディングが実行中であると判定された場合は、その副走査シェーディングは中断される(ステップS115)。そして、レーザ光量は各印字モード用のレーザ光量基準値に設定される(ステップS117)。そして、ステップS107に戻り、さらにジョブがあるかが判定されて、ジョブに対応した印字モードに応じて副走査シェーディングが続行される。
【0070】
一方、ステップS113において、副走査シェーディングが実行中ではないと判定された場合は、そのまま、ステップS117に進み、レーザ光量は各印字モード用のレーザ光量基準値に設定される。
【0071】
また、ステップS111において、ジョブの印字モードに階調性があると判定された場合は、副走査シェーディングが中断中(中断が保持されている)か否かが判定される(ステップS121)。
【0072】
ステップS121において、副走査シェーディングが中断中であると判定された場合は、副走査シェーディングを再開する(ステップS123)。そして、各印字モード用のレーザ光量基準値に基づき、補正されたレーザ光量(レーザ光量設定値)が設定される(ステップS125)。そして、ステップS107に戻り、さらにジョブがあるかが判定されて、ジョブに対応した印字モードに応じて副走査シェーディングが続行される。
【0073】
このようにして、感光体ドラム3を露光する際の、露光レーザのレーザ光量は、印字モードに応じて印刷データが階調性のない2値データである場合は、副走査シェーディングを行うことなく、各印字モード用のレーザ光量基準値に設定される。
【0074】
これにより、印字モードが、例えば、FAXモードであった場合に、副走査シェーディングによる補正処理を行うことなくジョブを実行するので、副走査シェーディングにおけるエラーが生じる問題を回避して、確実にジョブを実行することができる。
【0075】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、画像形成装置10において、帯電電位変動予測部170と露光レーザ出力補正部180とを備え、帯電電位変動予測部170により、印刷停止後の帯電電位の変動量を帯電停止時間に基づき予測し、露光レーザ出力補正部180により、帯電電位の変動量に応じて感光体ドラム3に照射すべき露光レーザの出力を補正し、ジョブの印字モードが階調性を有する印字モードの場合は、副走査シェーディングによる露光レーザの補正処理を実行して、適切なレーザ光量設定値により露光を行うことができる。また、ジョブの印字モードが階調性を有しないFAX送信等の2値画像を出力するモードの場合は、副走査シェーディングによる露光レーザの補正処理を実行しないようにすることで、リーク等のノイズによりレーザ光量設定値に係る補正情報が意図しない値になることを防止して、画像情報が出力されない事態を回避することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態は、画像形成装置10において、露光レーザ出力補正部180による補正処理は、ジョブの印字モードに応じて副走査シェーディングによる補正処理を実行する/実行しないを選択可能とすることを特徴とするものである。
【0077】
図6は第2実施形態に係る画像形成装置における印字モードに対応した副走査シェーディングの設定の一例を示す表、
図7は画像形成装置の表示部に表示される副走査シェーディングの設定画面の一例を示す説明図である。
【0078】
第2実施形態では、画像形成装置10において、
図6に示すように、例えば、副走査シェーディング設定用のテーブルに基づいて、印字モードに対応して副走査シェーディングを選択的に設定することを可能としている。
【0079】
画像形成装置10の表示部150には、
図7に示すように、副走査シェーディング設定画面1510を表示するようにしてもよい。
【0080】
副走査シェーディング設定画面1510には、表示項目として、印字モード1511と、原稿種類1513と、設定選択部1515とが設けられている。
【0081】
印字モード1511として、「プリントモード」と「コピーモード」が表示されている。原稿種類1513として、コピーモードにおいて「文字」、「文字/印刷写真」、「文字/印画紙写真」、「印刷写真」、「印画紙写真」、「地図」、「淡い原稿」が表示されている。
【0082】
設定選択部1515には、印字モード1511と原稿種類1513とに対応して、副走査シェーディングの設定がそれぞれON/OFFの選択可能な設定キーが表示されている。
【0083】
ここでは、プリントモードは、副走査シェーディングの設定キーが「ON」に設定されている。
【0084】
コピーモードは、原稿種類が「文字」、「文字/印刷写真」、「文字/印刷紙写真」では、副走査シェーディングの設定キーが「OFF」に設定されている。また、原稿の種類が「印刷写真」、「印画紙写真」、「地図」、「淡い原稿」では、副走査シェーディングの設定キーが「ON」に設定されている。
【0085】
なお、第2実施形態では、FAXモードにおいては、副走査シェーディングが「無効」に設定されているため、設定表にはFAXモードが表示されていない。
【0086】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、画像形成装置10において、露光レーザ出力補正部180による補正処理は、ジョブの印字モードに応じて副走査シェーディングによる補正処理を実行する/実行しないを選択可能に構成したので、印字モードや印字モードにおける原稿種類に応じて最適な露光レーザのレーザ光量を設定することができる。
【0087】
また、第2実施形態では、表示部150に副走査シェーディング設定画面1510を表示するようにしたので、副走査シェーディングの設定状態を確認するとともに、直接設定することができる。
【0088】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。
第3実施形態は、画像形成装置10において、露光レーザ出力補正部180による副走査シェーディングによる補正データの更新は、露光ユニット1の露光レーザによる主走査時における走査無効期間に実行することを特徴とするものである。
【0089】
図8は第3実施形態に係る画像形成部における露光レーザによる主走査方向の走査領域を示す説明図である。
【0090】
第3実施形態では、画像形成装置10の露光ユニット1において、
図8に示すように、ポリゴンミラー101により主走査方向に沿ってレーザ光を照射することで図示しない感光体ドラム3に静電潜像を形成するときに、感光体ドラム幅方向領域103Sにおいて、露光レーザにより走査されるレーザ照射有効領域は、感光体ドラム幅方向中央付近の101S1となり、露光レーザによるレーザ照射無効領域は、感光体ドラム幅方向両端部付近の101S2、101S3となる。
【0091】
そして、第3実施形態では、露光レーザにより、感光体ドラム3の副走査方向(外周方向)に沿ったセグメント毎に、感光体ドラム3の主走査方向(幅方向)に沿って露光する際に、露光レーザより露光が行われないレーザ照射無効領域101S2,101S3の走査無効期間の間に、次のセグメントのレーザ光量設定値を更新する。
【0092】
レーザ照射無効領域101S2,101S3では、露光レーザより露光が行われないため、レーザ光量設定値を更新する際に、主走査方向のレーザ光量の補正処理である主走査シェーディングに影響を及ぼすことがない。
【0093】
このように構成したので、第3実施形態によれば、画像形成装置10において、副走査シェーディングによる補正データの更新を、露光レーザより露光が行われないレーザ照射無効領域101S2,101S3の走査無効期間の間に実行することで、主走査方向の濃度段差となって画質に影響を及ぼすことがない。
【0094】
以上のように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1 露光ユニット(光走査部)
2 現像部
3 感光体ドラム(感光体)
5 帯電器(帯電部)
10 画像形成装置
100 制御部
101 ポリゴンミラー
101S1 レーザ照射有効領域
101S2,101S3 レーザ照射無効領域
103S 感光体ドラム幅方向領域
130 画像形成部
150 表示部
170 帯電電位変動予測部
180 露光レーザ出力補正部
1510 副走査シェーディング設定画面
1511 印字モード
1513 原稿種類
1515 設定選択部