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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20231128BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/18 601A
E04H6/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020042586
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021143514
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】寺田 晃
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-145714(JP,A)
【文献】特開2001-055838(JP,A)
【文献】特開2015-117470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車車両が入出庫する出入口扉が設けられた出入口を有する乗降室と、前記乗降室内に前記駐車車両を入出庫させる前に前記駐車車両の利用者が登録者であるかどうかを判定処理する登録利用者判定処理部と、前記登録利用者判定処理部による判定処理後に前記出入口扉を開閉する出入口扉処理部と、前記出入口近傍に配置され、少なくとも、利用者判別装置と、出入口扉閉ボタンを有する操作盤と、有する機械式駐車装置において、
前記利用者を特定するために前記登録利用者判定処理部と紐づけられ、前記利用者の前記出入口扉の閉操作忘れを検出する閉操作忘れ発生検出部
前記利用者の閉操作忘れの回数を記録する忘れ利用者記憶処理部と、
前記閉操作忘れの回数に対応して前記利用者に対するメッセージを出力する忘れ出力処理部と、を含んで構成される出入口扉閉操作監視処理部を備え、
前記忘れ出力処理部は、
前記閉操作忘れの回数が所定の注意閾値以内と判定されると注意喚起を前記操作盤に表示する注意喚起出力処理部と、
前記閉操作忘れの回数が前記注意閾値を越え、かつ、警告閾値以内と判定されると警告を与える警告出力処理部と、
前記警告閾値を越えると判定されると、前記駐車装置の利用を停止処分とする利用停止出力処理部と、を含んで構成され、
前記出入口扉閉操作監視処理部は、一定期間経過後に閉操作忘れが改善された場合、前記利用者の前記出入口扉の閉操作忘れが無いと判定され、前記注意喚起を表示しないよう、前記閉操作忘れの発生回数をリセットする構成とされる、
機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作盤を備えた機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特開2015-117470号公報(特許文献1)特開2018-188832号公報(特許文献2)特開2019-94775号公報(特許文献3)、特開2019-183645号公報(特許文献4)が知られている。
【0003】
特許文献1には、車両が載置されるパレットが格納部と乗入部との間で移動し、前記乗入部へ前記車両が出入りするための扉が閉め忘れられた場合に利用者によって該扉の閉操作が可能な機械式駐車装置であって、前記扉の閉め忘れを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記扉の閉め忘れが発生した場合に、前記機械式駐車装置に対する操作が利用者によって入力される操作盤に、前記扉の閉操作を促す情報を表示させる表示指示手段と、を備える機械式駐車装置の制御装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、乗降室扉の閉め忘れを検出する扉閉め忘れ検出手段と、前記扉閉め忘れ検出手段によって前記乗降室扉の閉め忘れが検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる扉閉め忘れモードを設定するモード設定手段とを具備する機械式駐車装置が記載されている。
【0005】
また特許文献3には、車両が載置されるパレットが格納部と乗入部との間で移動し、前記乗入部へ前記車両が出入りするための扉が閉め忘れられた場合に利用者によって該扉の閉操作が可能な機械式駐車装置であって、前記扉の閉め忘れを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記扉の閉め忘れが発生した場合に、前記機械式駐車装置に対する操作が利用者によって入力される操作盤に、前記扉の閉操作を促す情報を表示させる表示指示手段とを備える機械式駐車装置の制御装置が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、乗降室扉の閉め忘れを検出する扉閉め忘れ検出手段と、前記扉閉め忘れ検出手段によって前記乗降室扉の閉め忘れが検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる扉閉め忘れモードを設定するモード設定手段とを具備する機械式駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-117470号公報
【文献】特開2018-188832号公報
【文献】特開2019-94775号公報
【文献】特開2019-183645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、出入口扉の閉め忘れを検出したとき、利用者に閉め忘れの発生を通知するようにしているが、利用者が既に操作盤から離れている可能性が高く、効果的な通知となっていない。このため、次に来た利用者が操作できずに管理者などに連絡しなければならなくなってしまう。特に、マンションに併設された機械式駐車装置では、管理者が操作しない方式のものや常駐してない方式があり、操作可能となるまでかなりの時間を要してしまう。
【0009】
本発明の目的は、出入口扉の閉操作忘れの出力処理通知を同じ利用者が操作盤を使用している状態という確実なタイミングを捕らえて確実な通知を行うことができるようにした機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様に係る機械式駐車装置は、出入口から駐車車両を乗り込ませることになる乗降室と、前記乗降室内に前記駐車車両を乗り込ませる前に利用者が登録者であるかどうかを判定処理する登録利用者判定処理部と、前記登録利用者判定処理部による判定処理後に前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉を開放する出入口扉処理部と、前記乗降室の前記出入口近傍に配置された操作盤を備えた機械式駐車装置において、利用者による前記操作盤からの前記出入口扉の閉操作忘れを検出する閉操作忘れ発生検出部と、前記閉操作忘れ発生検出部により閉操作忘れを検出したとき前記登録利用者判定処理部の登録情報に関連して閉操作忘れを記憶する忘れ利用者記憶処理部と、次回以降の同じ利用者による前記登録利用者判定処理部の登録情報使用時に、前記忘れ利用者記憶処理部に記憶された閉操作忘れに対応する出力処理を現在の同じ利用者に与える忘れ出力処理部を設けたことを特徴とする。
【0011】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、出入口扉を閉めずに立ち去ってしまった利用者の情報は、機械式駐車装置の操作に使用している利用者判別登録情報を付加して一旦記録し、次回以降の操作盤の操作時に与えられことになる。この点で、一般的な機械式駐車装置において利用者が入庫または出庫する際に乗降室の出入口扉を閉めずに立ち去ってしまうと、次に来た利用者が操作できずに管理者などに連絡しなければならなくなってしまうが、このような面倒な作業を行う必要がなくなる。従って、望まない停滞を防ぎながら、利用者が次回以降の利用時に、操作盤の前に立っている状態で、しかも、その同じ利用者の過去の事象に基づいて与えられるため、確実なタイミングで確実に与えられることになる。
【0012】
第2態様に係る機械式駐車装置は、前記忘れ利用者記憶処理部には、閉操作忘れの発生と累積された閉操作忘れ回数を記憶させ、前記忘れ出力処理部は、その後の同じ利用者による前記登録利用者判定処理部の登録情報使用時に、前記忘れ利用者記憶処理部に既に記憶されている閉操作忘れ回数に応じてそれに対応する段階的情報を現在の同じ利用者に出力することを特徴とする。
【0013】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、閉操作忘れ回数に応じてその利用者に注意・警告などを忘れ出力処理部によって与えることができるようになり、利用者に意識的に入庫または出庫後は必ず出入口扉を閉めるように教育して、悪質な利用者に対しても効果的に改めさせることができる。
【0014】
第3態様に係る機械式駐車装置は、前記忘れ出力処理部は、現在の利用者の前記閉操作忘れ回数が所定の閾値以下のときに出力する注意喚起出力処理部と、現在の利用者の前記閉操作忘れ回数が所定の閾値を越えたときに出力する利用停止出力処理部を備えたことを特徴とする。
【0015】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、現在の利用者の閉操作忘れ回数によって単純な閉操作忘れと故意の閉操作忘れを区別することができ、単純な閉操作忘れでは簡単な出力によって注意を喚起して今後の発生を抑止し、一方、故意の閉操作忘れに対しては利用停止処分もあることが抑止効果となる。このため、故意の閉操作無視を抑止して、他の利用者が悪影響を受けないようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による多階式駐車装置によれば、出入口扉を閉めずに立ち去ってしまった利用者の情報は、機械式駐車装置の操作に使用している利用者判別登録情報を付加して一旦記録し、次回以降の操作盤の操作時に与えられことになる。このため、望まない停滞を防ぎながら、利用者がその後の利用時に、操作盤の前に立っている状態で、しかも、その同じ利用者の過去の事象に基づいて与えられるため、確実なタイミングで確実に与えられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
図2図1に示した操作盤の拡大正面図である。
図3】機械式駐車装置の出入口扉を開閉制御する構成を中心とする制御装置を示すブロック構成図である。
図4図3に示した機械式駐車装置の主要な処理動作を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の他の実施例による機械式駐車装置の乗降室を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明を適用する機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
【0020】
マンションなどに隣接して構成された機械式駐車装置は、その出入口に、上下方向に移動して開閉される出入口扉1が付設されており、その近傍の外壁面には出入口扉1の開閉操作するための操作盤2が配置されている。
【0021】
入庫の場合、利用者は、例えば駐車車両から降りてきて操作盤2の前に立ち、詳細を後述する入庫操作を行う。この入庫操作によって自動で出入口扉1が開状態にされた後、利用者は、駐車車両を運転して出入口扉1の向こう側に形成されている乗降室に入って駐車車両を所定の位置に停車させる。その後、利用者は乗降室から出てきて操作盤2の前に再び立ち詳細を後述する入庫完了操作を行うと、出入口扉1が自動で閉状態にされるように構成されている。
【0022】
出庫の場合も同様であって、利用者は操作盤2の前に立ち、出庫操作を行う。自動で出入口扉1が開状態にされた後、利用者は、開放された出入口から乗降室に入って駐車車両に乗り込み、出入口扉1を出た位置で車両を一旦停止させる。その後、利用者は車両から降りて操作盤2の前に再び立ち詳細を後述する出庫完了操作を行うと、出入口扉1が自動で再び閉状態にされるように構成されている。
【0023】
図2は、上述した操作盤2の拡大正面図である。
【0024】
操作盤2には、利用者に対して表示画像などによって操作を促すタッチパネル式の液晶画面3と、その操作を補足する音声案内を行うためのスピーカ4と、主に管理員などによって出入口扉1を開動作させるときに操作される出入口扉開ボタン5と、出入口扉1を閉動作させるために利用者によって操作される出入口扉閉ボタン6と、緊急時に操作される緊急停止ボタン7と、利用者を判別するために使用される利用者判別装置8などが設けられている。
【0025】
利用者判別装置8は、利用者情報読み取り装置9や、利用者画像情報取得カメラ10などによって構成されている。利用者情報読み取り装置9としては、例えば、利用者が所持しているICカードやICタグなどから登録者情報を取得することになるICリーダー、利用者が所持しているスマートフォンなどのスマートデバイスからQRコード(登録商標)やバーコードなどの二次元コードから登録者情報を抽出する二次元コード読取り装置、利用者が所持している操作リモコンからの情報を受信する受信機、暗証番号入力装置などによって構成される。
【0026】
図3は、機械式駐車装置の出入口扉1を開閉制御する構成を中心とする制御装置を示すブロック構成図である。
【0027】
この制御装置は、予め登録された登録情報リストの情報に基づいて現在の利用者との照合処理を行う登録利用者判定処理部11と、特に現在の利用者によって行われている操作が出入口扉1の閉操作によって完了するまで同一利用者か否かを判定する同一利用者判定処理部12と、入庫または出庫に伴う駐車車両の搬送処理を行う搬送処理部13と、操作盤2の液晶画面3の表示処理やスピーカ4からの音声出力処理などを行う補足情報処理部14と、出入口扉1の開閉処理を行う出入口扉処理部15と、現時点での利用者によって行われる入庫操作または出庫操作の最後に操作盤2から行うことになる出入口扉1の閉操作を監視する出入口扉閉操作監視処理部16と、図2に示した操作盤2に組み込まれた利用者情報読取り装置9および利用者画像情報取得カメラ10からの現在の利用者情報を読み込む読取り制御部17と、操作盤2から行われたその他の操作信号を取り込んで対応する処理を開始させることになる信号送受信処理部18などを有している。
【0028】
上述した出入口扉閉操作監視処理部16は、現在の利用者によって行われている操作が出入口扉1の閉操作によって完了されなかったことを検出する閉操作忘れ発生検出部19と、この閉操作忘れ発生検出部19によって出入口扉1の閉操作忘れが検出されたとき、登録データ照合処理部11から現在の利用者情報を抽出して閉操作忘れ回数と共に閉操作忘れ利用者リストに記憶する忘れ利用者記憶処理部20と、読み取り制御部17に基づいて登録利用者判定処理部11が抽出した現在の利用者が閉操作忘れ利用者リスト中にあるか否かを判定して、閉操作忘れ回数の程度に応じた段階的処置を行う忘れ出力処理部21を有している。
【0029】
この忘れ出力処理部21は、閉操作忘れ利用者リストに登録されている閉操作忘れ回数が所定の注意閾値以内の場合に液晶画面3の表示処理などを行う補足情報処理部14を通して注意情報を与える注意喚起出力処理部22と、閉操作忘れ回数が所定の注意喚起閾値を越えているが警告閾値内の場合に液晶画面3の表示処理などを行う補足情報処理部14を通して警告を与える警告出力処理部23と、閉操作忘れ回数が所定の警告閾値を越えた場合に液晶画面3の表示処理などを行う補足情報処理部14を通して駐車装置の利用を停止処分とする出力を行う利用停止出力処理部24などを有している。
【0030】
上述した忘れ利用者記憶処理部20は、閉操作忘れ利用者リストに一度記憶された利用者に対して、その後の利用履歴情報、例えば、利用日、閉操作忘れの発生の有無などの追跡履歴情報を利用者の登録情報リストに関連付けて保管するのが望ましい。このような追跡履歴情報を使用すると、閉操作忘れがたまたま発生したものか、常習的な発生かを区別判定することもでき、注意喚起出力処理部22、警告出力処理部23、利用停止出力処理部24に該当するかの判定に裕度を持たせることもできる。
【0031】
上述した各処理部11~24は、全体処理部25に格納された一連の処理プログラムなどに従って、予め関連付けられた処理が行われる。
【0032】
図4は、機械式駐車装置の主要な処理動作を示すフローチャートである。
【0033】
信号送受信部18は、機械式駐車装置の利用者が操作盤2を操作するのを監視している。ここで、出入口扉1の前に駐車車両を出庫させるために操作盤2の前に立ったとする。利用者によってステップS1で、出庫のための呼出操作が行われると、読み取り制御部17はステップS2で、利用者判別装置8の利用者情報読み取り装置9や利用者画像情報取得カメラ10からの情報を取り込み、登録利用者判定処理部11はステップS3で登録情報リストの情報と照合する。
【0034】
その結果、今回の利用者と登録者が一致すると、出入口扉閉操作監視処理部16はステップS4で、閉操作忘れ利用者リストから今回の利用者の情報を読み出す。その後、忘れ出力処理部21はステップS5で、閉操作忘れ利用者リストに記載がないかどうかを判定する。
【0035】
この判定の結果、閉操作忘れ回数が記載されていない場合、駐車装置制御部の搬送処理部13はステップS6で、出庫のための搬送処理運転を開始する。乗降室内に出庫されることになる駐車車両が準備されると、この信号を受けた出入口扉処理部15はステップS7で、出入口扉1を開く。
【0036】
そこで、利用者は乗降室内に入り、自分の車両に乗り込んで運転して乗降室から出て、図示を省略しているが、乗降室を出た後に車両を停止させて再び操作盤2の前に立ち、出入口扉1の閉操作を行う。
【0037】
一方、ステップS5の判定で、閉操作忘れ利用者リストに閉操作忘れ回数が記載されていた場合、忘れ出力処理部21はステップS8で過去の閉操作忘れ回数を閾値と比較する。その結果、所定の注意閾値以内のとき注意喚起出力処理部22はステップS9で、液晶画面3の表示処理などを行う補足情報処理部14を通して、現在操作中の同じ利用者に注意情報を与える。閉操作忘れ回数が所定の注意喚起閾値を越えているが警告閾値以内の場合には、注意喚起出力処理部22による出力よりも多少厳しい出力の警告を警告出力処理部23から与える。
【0038】
上述した注意喚起であろうと警告であろうと、利用者が現在、操作盤2の前に立っている状態で、しかも、その同じ利用者の過去の事象に基づいて与えられるため、確実なタイミングで適切な情報を与えられることになる。
【0039】
一般的な機械式駐車装置において、利用者が車を入庫または出庫する際に、乗降室の出入口扉1を閉めずに立ち去ってしまうと、次に来た利用者が操作できずに管理者などに連絡しなければならなくなってしまう。特に、マンションに併設された機械式駐車装置では、管理者が操作しない方式のものや常駐してない方式があり、操作可能となるまでかなりの時間を要してしまう。
【0040】
しかし、出入口扉1を閉めずに立ち去ってしまった利用者の情報は、機械式駐車装置の操作に使用している利用者判別登録情報を付加して記録し、次回以降の操作盤2の操作時に与えるため、ふさわしいタイミングで確実に与えることができる。しかも、閉操作忘れ回数に応じてその利用者に注意・警告などを段階的に与える忘れ出力処理部21によって与えるようにしているので、利用者に意識的に入庫または出庫後は必ず出入口扉1を閉めるように教育し、悪質な利用者に対しても効果的に改めさせることができる。
【0041】
他の実施例では注意喚起閾値だけを使用し、この注意喚起閾値以内であればステップS9の出力処理とし、この注意喚起閾値を越えている場合にはステップS10の出力処理とすることもできる。また、上述した追跡履歴情報を考慮に入れた判定に基づいて、その閉操作忘れ発生回数だけでなく、発生頻度によって異なる出力処理を行うこともできる。さらに、予め定めた一定期間経過後に閉操作忘れが改善されている場合に同じ利用者による閉操作忘れ発生回数をリセットしたり、利用停止を解除したりすることもできる。また利用者の過去履歴や閉忘れ発生状況などから、閾値を利用者ごとに設定することもできる。
【0042】
しかし、本実施例においてはステップS8の判定で、閉操作忘れ発生回数が所定の警告閾値を越えている場合、利用停止出力処理部24はステップS10で、液晶画面3の表示処理などを行う補足情報処理部14を通して駐車装置の利用を停止処分とする出力を行う。
【0043】
尚、図示を省略しているが、利用者は乗降室内に入り、自分の車両に乗り込んで運転して乗降室から出た後、乗降室を出てから車両を停止させて再び操作盤2の前に立ち、出入口扉1の閉操作を行う。このとき、所定時間経過後に操作盤2から出入口扉1の閉操作が行われたか否かを検出し、その結果を閉操作忘れ利用者リストに反映させる場合は次のように行われる。
【0044】
所定時間が経過すると、出入口扉閉操作監視処理部16の閉操作忘れ発生検出部19によって、出入口扉処理部15の閉信号などから出入口扉1の閉操作の検出が行われたか否かを検出することができる。その結果、出入口扉1の閉操作忘れがあった場合、忘れ利用者記憶処理部20によって閉操作忘れ利用者リストに初回回数が書き込まれたり、既存の閉操作忘れ発生回数に今回分が加算されたりする。この場合も、実際に注意喚起が行われるのは、閉操作忘れが発生したときではなく、その後に同じ利用者が操作盤2を使用しているときである。
【0045】
上述した説明は出庫時について行ったが、入庫時についても同様に行うことができる。また、図4におけるステップS9またはステップS10の出力は、入庫時および出庫時にそれぞれ行っても良いし、いずれか一方で行うこともできる。
【0046】
また、いきなりステップS9あるいはステップS10の出力処理を行うのではなく、予め設定された事前の閾値に達していた場合、ステップS9あるいはステップS10の出力処理がとられる前の段階で、次回に閉操作忘れが発生するならより厳しい処置がとられる事前の出力処理を行うこともできる。例えば、「次の利用時に閉操作忘れが発生すると利用できなくなります」などの出力処理を行って事前通知を行うこともできる。
【実施例2】
【0047】
図5は、本発明の他の実施例による機械式駐車装置の乗降室を示す斜視図である。
【0048】
先の実施例では、既存の操作盤2に利用者情報読み取り装置9や利用者画像情報取得カメラ10を一体的に構成した利用者判別装置8として示したが、本実施例では、既存構成の操作盤2の近傍に、新たに利用者情報読み取り装置9と、図3に示した忘れ出力処理部21による出力結果を表示する表示装置26を設けている。
【0049】
また出入口扉1の奥側に形成された乗降室27内には、駐車車両を乗り込ませる前に準備されているトレー28上に駐車車両を円滑に乗り込ませるために使用される種々の誘導機器を配置されている。これらの誘導機器に加えて、乗降室27内を撮影する二台の庫内カメラ29A,29Bを配置し、また乗降室27外に出入口扉1近傍を撮影する庫外カメラ30を配置している。
【0050】
このような構成の乗降室27を備えた機械式駐車装置に、先の実施例で説明した出入口扉閉操作監視処理部16や忘れ出力処理部21を設けると、より簡単な構成で確実な検出を行うことができる。つまり、庫内カメラ29A,29Bおよび庫外カメラ30の画像データから今回の利用者を追跡して検出することができるので、庫内カメラ29A,29Bに利用者が映し出されていれば、出入口扉1が開いたままであったとしても、出入口扉1の閉操作忘れではないことが分かり、より正確な判定となる。また、庫外カメラ3による映像から消えた状態から所定時間経過後に出入口扉1の閉操作忘れと判定すると、より正確な判定となる。
【0051】
さらに、庫内カメラ29A,29Bおよび庫外カメラ30の画像データから入庫時および出庫時の顔認証を行うことができるようになるため、利用同一性判定処理部12に変えることができる。従って、その都度、利用者が所持しているものを利用者情報読み取り装置9にかざす必要はなくなり、利用者判別装置8をより簡単な構成にすることができる。
【0052】
尚、本発明は、上述した機械式駐車装置に限らず他の構成の機械式駐車装置にも適用することができる。
例えば、マンションに隣接したものとして説明したが、これに限定されない。また出入口扉1も上下方向に開閉される構成を例示したが、開閉方向は限定されない。
さらに、駐車車両から降りてきた利用者が操作盤2の前に立って操作する方式について例示したが、駐車車両の中にとどまっている利用者が操作リモコンを使用して出入口扉1の操作を行う方式にも本発明を同様に適用することができる。この操作リモコンを使用する方式においては、図5に示す機械式駐車装置の乗降室27内に、忘れ出力処理部21を通して閉操作忘れに関する情報を表示や音声など様々な方法によって出力する出力装置を設け、乗降室27に駐車車両を運転しながら入ってきた利用者に出力装置を通して忘れ利用者記憶処理部20に記憶された過去の閉操作忘れに対応する所定の出力情報を与えるように構成することができる。
【0053】
以上説明したように本発明は、出入口から駐車車両を乗り込ませることになる乗降室と、乗降室内に駐車車両を乗り込ませる前に利用者が登録者であるかどうかを判定処理する登録利用者判定処理部11と、登録利用者判定処理部11による判定処理後に乗降室の出入口に設けられた出入口扉1を開放する出入口扉処理部15と、乗降室の出入口近傍に配置された操作盤2を備えた機械式駐車装置において、利用者による操作盤2からの出入口扉1の閉操作忘れを検出する閉操作忘れ発生検出部19と、閉操作忘れ発生検出部19により閉操作忘れを検出したとき登録利用者判定処理部11の登録情報に関連して閉操作忘れを記憶する忘れ利用者記憶処理部20と、次回以降の同じ利用者による登録利用者判定処理部11の登録情報使用時に、忘れ利用者記憶処理部20に記憶された閉操作忘れに対応する出力処理を現在の同じ利用者に与える忘れ出力処理部21を設けたことを特徴とする。
【0054】
このような構成によれば、出入口扉1を閉めずに立ち去ってしまった利用者の情報は、機械式駐車装置の操作に使用している利用者判別登録情報を付加して一旦記録し、次回以降の操作盤2の操作時に与えられことになる。この点で、一般的な機械式駐車装置において利用者が入庫または出庫する際に乗降室の出入口扉1を閉めずに立ち去ってしまうと、次に来た利用者が操作できずに管理者などに連絡しなければならなくなってしまうが、このような面倒な作業を行う必要がなくなる。従って、望まない停滞を防ぎながら、利用者がその後の利用時に、操作盤2の前に立っている状態で、しかも、その同じ利用者の過去の事象に基づいて与えられるため、確実なタイミングで確実に与えられることになる。
【0055】
また本発明は上述の構成に加えて、忘れ利用者記憶処理部20には、閉操作忘れの発生と累積された閉操作忘れ回数を記憶させ、忘れ出力処理部21は、次回以降の同じ利用者による登録利用者判定処理部11の登録情報使用時に、忘れ利用者記憶処理部20に既に記憶されている閉操作忘れ回数に応じてそれに対応する段階的情報を現在の同じ利用者に出力することを特徴とする。
【0056】
このような構成によれば、閉操作忘れ回数に応じてその利用者に注意・警告などを忘れ出力処理部21によって与えることができるようになり、利用者に意識的に入庫または出庫後は必ず出入口扉1を閉めるように教育して、悪質な利用者に対しても効果的に改めさせることができる。
【0057】
本発明は上述した構成に加えて、忘れ出力処理部21は、現在の利用者の閉操作忘れ回数が所定の閾値以下のときに出力する注意喚起出力処理部22と、現在の利用者の閉操作忘れ回数が所定の閾値を越えたときに出力する利用停止出力処理部24を備えたことを特徴とする。
【0058】
このような構成によれば、現在の利用者の閉操作忘れ回数によって単純な閉操作忘れと故意の閉操作忘れを区別することができ、単純な閉操作忘れでは簡単な出力によって注意を喚起して今後の発生を抑止し、一方、故意の閉操作忘れに対しては利用停止処分もあることが抑止効果となる。このため、故意の閉操作無視を抑止して、他の利用者が悪影響を受けないようにすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 出入口扉
2 操作盤
11 登録利用者判定処理部
15 出入口扉処理部
19 閉操作忘れ発生検出部
20 忘れ利用者記憶処理部
21 忘れ出力処理部
22 注意喚起出力処理部
24 利用停止出力処理部
図1
図2
図3
図4
図5