(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20231128BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20231128BHJP
H01R 13/625 20060101ALI20231128BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20231128BHJP
【FI】
H02J50/10
H01F38/14
H01R13/625
H02J50/90
(21)【出願番号】P 2020055500
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 光司
(72)【発明者】
【氏名】山下 真司
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-119352(JP,U)
【文献】特開2018-201288(JP,A)
【文献】特開2020-027712(JP,A)
【文献】実開平06-050317(JP,U)
【文献】実開昭52-123682(JP,U)
【文献】特表2014-514894(JP,A)
【文献】特開平08-078256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F38/14
H01F38/18
H01R13/56-13/72
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに巻き回されることによって形成された第1コイル、及び、前記第1コイルの第1芯線を密閉状態の第1空間部で収容する第1ハウジングを有する第1コネクタと、
前記軸線周りに巻き回されることによって形成された第2コイル、及び、前記第2コイルの第2芯線を密閉状態の第2空間部で収容する第2ハウジングを有する第2コネクタと、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが軸線方向に対して相対移動することを規制し、前記第1ハウジングに対して第2ハウジングを着脱自在に係止することによって前記第1コイルと前記第2コイルとを電気的に接続状態とする係止機構と、
を備え、
前記第1ハウジングは、導電性の第1外殻部材を有し、
前記第2ハウジングは、導電性の第2外殻部材を有し、
前記第1コネクタは、電源に接続された幹線ケーブルの分岐部から分岐し、分岐アース線を有する分岐ケーブルに接続され、
前記第2コネクタは、トンネル内部の照明装置から延出し、接続アース線を有する接続ケーブルに接続され、
前記分岐アース線は、前記第1空間部において前記第1外殻部材に電気的に接続され、
前記接続アース線は、前記第2空間部において前記第2外殻部材に電気的に接続され、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、前記接続状態において、前記第1コイルの前記第1芯線と前記第2コイルの前記第2芯線とが非接触状態で対向し、前記電源から前記第1芯線に電流が流れることによって生じる磁界の変化に応じた電磁誘導によって、前記第2芯線に誘導電流が流れて前記照明装置に電力が供給されるとともに、前記第1外殻部材と前記第2外殻部材とが電気接続部を介して電気的に接続されることを特徴とする、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、前記第1空間部に絶縁性の第1充填材を充填することによって前記第1コイルと前記分岐アース線との間に前記第1充填材が介在し、
前記第2ハウジングは、前記第2空間部に絶縁性の第2充填材を充填することによって
前記第2コイルと前記接続アース線との間に前記第2充填材が介在する、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第1外殻部材、及び、前記第2外殻部材は、高透磁率の磁性体によって形成される、
請求項1又は2に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタ装置の中には、トンネルの内部において使用され、電源と照明装置との間に配置されるものがある。このコネクタ装置は、第1コネクタと、第2コネクタと、係止機構とを備える。第1コネクタは、導電性の第1芯線を有する第1電線、及び、第1電線を収容する第1ハウジングを有する。第2コネクタは、導電性の第2芯線を有する第2電線、及び、第2電線を収容する第2ハウジングを有する。係止機構は、第1ハウジングと、第2ハウジングとを係止するものである。
【0003】
このようなコネクタ装置は、第1芯線の端末に設けられた雄端子と第2芯線の端末に設けられた雌端子とを接触させることによって第1芯線と第2芯線とを電気的な接続状態とする。コネクタ装置は、この電気的な接続状態とした上で、係止機構によって第1コネクタと第2コネクタとを係止していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、トンネル照明装置には、アースを施さなければならない。この場合には、照明装置に接続される接続ケーブルに電力供給線とは別にアース線を設けるとともに、分岐ケーブルに電力供給線とは別にアース線を設け、接続ケーブルのアース線と、分岐ケーブルのアース線とを、第1コネクタ及び第2コネクタを介して電気的に接続していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このコネクタ装置は、第1ハウジングと第2ハウジングとの接続作業が、トンネルの内部において行われる。接続作業において、それぞれが露出している雄端子と雌端子とを対向させて、その後、雄端子と雌端子とを直接接触させることによって第1芯線と第2芯線とを電気的に接続する。このため、雄端子、及び、雌端子は、接続作業の途中において、それぞれのハウジングの外部に露出する。これにより、雄端子、及び、雌端子は、トンネル内部の環境に曝されることになるため、トンネル内部の環境が、第1コネクタと第2コネクタとの電気的な接続状態に影響を与えるおそれがある。その上、照明装置側の接続ケーブルのアース線と、分岐ケーブルのアース線とを何らかの方法で電気的に接続する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、第1コネクタと第2コネクタとの電気的な接続状態に対する影響を抑制することができるとともに、照明装置側の接続アース線と、電源側の分岐アース線との電気的な接続を容易に行うことができるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るコネクタ装置は、軸線周りに巻き回されることによって形成された第1コイル、及び、前記第1コイルの第1芯線を密閉状態の第1空間部で収容する第1ハウジングを有する第1コネクタと、前記軸線周りに巻き回されることによって形成された第2コイル、及び、前記第2コイルの第2芯線を密閉状態の第2空間部で収容する第2ハウジングを有する第2コネクタと、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが軸線方向に対して相対移動することを規制し、前記第1ハウジングに対して第2ハウジングを着脱自在に係止することによって前記第1コイルと前記第2コイルとを電気的に接続状態とする係止機構と、を備え、前記第1ハウジングは、導電性の第1外殻部材を有し、前記第2ハウジングは、導電性の第2外殻部材を有し、前記第1コネクタは、電源に接続された幹線ケーブルの分岐部から分岐し、分岐アース線を有する分岐ケーブルに接続され、前記第2コネクタは、トンネル内部の照明装置から延出し、接続アース線を有する接続ケーブルに接続され、前記分岐アース線は、前記第1空間部において前記第1外殻部材に電気的に接続され、前記接続アース線は、前記第2空間部において前記第2外殻部材に電気的に接続され、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、前記接続状態において、前記第1コイルの前記第1芯線と前記第2コイルの前記第2芯線とが非接触状態で対向し、前記電源から前記第1芯線に電流が流れることによって生じる磁界の変化に応じた電磁誘導によって、前記第2芯線に誘導電流が流れて前記照明装置に電力が供給されるとともに、前記第1外殻部材と前記第2外殻部材とが電気接続部を介して電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
また、上記コネクタ装置において、前記第1ハウジングは、前記第1空間部に絶縁性の第1充填材を充填することによって前記第1コイルと前記分岐アース線との間に前記第1充填材が介在し、前記第2ハウジングは、前記第2空間部に絶縁性の第2充填材を充填することによって前記第2コイルと前記接続アース線との間に前記第2充填材が介在する、
ことが好ましい。
【0010】
また、上記コネクタ装置において、前記第1外殻部材、及び、前記第2外殻部材は、高透磁率の磁性体によって形成される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコネクタ装置は、上記構成を有することによって、第1コネクタと第2コネクタとの電気的な接続状態に対する影響を抑制することができるとともに、照明装置側の接続アース線と、電源側の分岐アース線との電気的な接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るコネクタ装置を含む回路図である。
【
図2】
図2は、第1コネクタと第2コネクタとが電気的な接続状態にある場合のコネクタ装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、コネクタ装置の接続状態における縦断面図である。
【
図5】
図5は、接続状態におけるコネクタ装置において、第1ハウジングの第1溝部、カバーの第1突出部、及び、付勢部材の詳細を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2コネクタの一部を拡大した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態に係るコネクタ装置100を含む回路図である。
図2は、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが電気的な接続状態にある場合のコネクタ装置100の斜視図である。
図3は、コネクタ装置100の分解斜視図である。
図4は、コネクタ装置100の接続状態における縦断面図である。
図5は、接続状態におけるコネクタ装置100において、第1ハウジング13の第1溝部、カバー3の第1突出部、及び、付勢部材5の詳細を示す断面図である。
図6は、第2コネクタ2の一部を拡大した側面図である。なお、図面における部品の符号が煩雑となること避けるため、
図1~
図4、
図6は、付勢部材5を省略して示してあり、
図5は、付勢部材5を実線及び破線で示してある。各図における軸線方向Xは、第1コネクタ1の軸線XL、及び、第2コネクタ2の軸線XLに沿った方向である。また、各図における周方向Rは、軸線XLを中心とした周方向である。さらに、各図における直交方向Yは、軸線方向Xと直交する方向である。
【0015】
[実施形態]
図1、
図2、
図3、
図4に示す本実施形態に係るコネクタ装置100は、トンネルの内部において使用され、電源Pと照明装置Lとを電気的に接続する接続線の途中に配置されるものである。電源Pは、例えば、交流電源である。照明装置Lは、トンネルの内部に設置され、トンネル内部を光で照らす電灯等である。このような照明装置Lには、アースを施さなければならない。電源Pには、幹線ケーブルMが設けられる。幹線ケーブルMの芯線(不図示)の周面は、不図示の被覆部によって覆われ、外部に露出することが防止される。幹線ケーブルMには、複数の分岐部BPが設けられ、各分岐部BPには、幹線ケーブルMに対して電気的に接続された分岐ケーブルBが設けられる。分岐ケーブルBの芯線(不図示)の周面は、不図示の被覆部によって覆われ、外部に露出することが防止される。分岐ケーブルBは、例えば、3本の電線を含む。分岐ケーブルBに含まれる3本の電線のうち、2本の電線は電力供給線であり、1本の電線は
図4に示す分岐アース線BAである。分岐ケーブルBの各電線は、芯線と、芯線の周面を覆う被覆部とを有し、芯線が外部に露出することが防止される。分岐ケーブルBの端末にはコネクタ装置100が設けられる。照明装置Lには、接続ケーブルCが設けられる。接続ケーブルCは、例えば、3本の電線を含む。接続ケーブルCに含まれる3本の電線のうち、2本の電線は電力供給線であり、1本の電線は接続アース線CAである。接続ケーブルCの各電線は、芯線と、芯線の周面を覆う被覆部とを有し、芯線が外部に露出することが防止される。コネクタ装置100は、第1コネクタ1と、第2コネクタ2と、カバー3と、係止機構4とを備える。本実施形態のコネクタ装置100は、第1コネクタ1の第1ハウジング13とカバー3との間に位置する付勢部材5をさらに有する。
【0016】
第1コネクタ1は、第1回路部11、第1コイル12、第1ハウジング13、及び、嵌合凸部15を有し、電源Pに接続された幹線ケーブルMの分岐部BPから分岐する分岐ケーブルBに接続される。
【0017】
第1回路部11は、分岐ケーブルBに電気的に接続され、絶縁性の矩形平板の第1基板11aと、当該第1基板11aに実装された電気抵抗、コンデンサ等の種々の第1電子部品11bとを有し、電源Pからの電流が所望の波形の電流になるように整流するものである。
【0018】
本実施形態における分岐ケーブルBの3本の電線のうち、2本の電力供給用の電線における芯線が第1回路部11を介して第1コイル12に対して電気的に接続される。より具体的に説明すると、これら2本の電力供給用の電線のうち、一方の電線の芯線は、第1回路部11を介して第1コイル12の第1芯線12aの一方の端部に電気的に接続され、他方の電線の芯線は、第1回路部11を介して第1コイル12の第1芯線12aの他方の端部に、電気的に接続される。また、分岐ケーブルBにおける1本の電線である分岐アース線BAは、
図4に示すように、一方の端部が、被覆部BA2から露出した芯線BA1を第1外殻部材13aに電気的に接続される。芯線BA1と第1外殻部材13aとの電気的接続は、例えば、はんだによって接続される。なお、芯線BA1と第1外殻部材13aとの電気的接続は、導電性を有する接着材によって行ってもよいし、導電性を有するろうによって行ってもよい。分岐アース線BAは、第1空間部13sにおいて第1外殻部材13aに電気的に接続される。
【0019】
第1コイル12は、導電性の第1芯線12aを軸線周りに巻き回されることによって形成されるものである。より具体的に説明すると、本実施形態の第1コイル12は、嵌合凸部15の円柱部15aの周面に第1芯線12aを軸線周りに螺旋状に巻き回されることによって形成されるものである。また、第1コイル12は、図示省略するが、第1芯線12aの周面を被覆する絶縁性の被覆部を有する。第1コイル12は、第1電線1wを介して第1回路部11に電気的に接続される。言い換えると、第1電線1wは、第1コイル12の一方の端部と、第1回路部11の接続部とを電気的に接続する。
【0020】
第1ハウジング13は、第1外殻部材13aと、第1支持部13cと、第1離隔側蓋部13fと、第1ハウジングケース13gとを有する。第1外殻部材13aは、第1外殻部材本体13a1と、第1近接側蓋部13eとを有する。第1外殻部材本体13a1は、軸線方向Xの両端に位置する第1挿通開口部13bを有し、導電性の金属によって、内部に第1空間部13sを有する円筒状に形成される。第1外殻部材本体13a1は、例えば、フェライト、ニッケル等の高透磁率の金属によって形成される。第1挿通開口部13bは、軸線方向Xにおいて、第2コイル22に近接する第1近接開口部13b1と、軸線方向Xにおいて、第2コイル22から離隔する第1離隔開口部13b2とを有する。第1ハウジング13の第1近接開口部13b1には、径方向の内側へ向けて突出する第1近接開口突出部13b11を設けてある(
図5参照)。第1空間部13sには、上述した第1コイル12、及び、第1回路部11が配置される。第1支持部13cは、第1空間部13sに配置され、第1回路部11を支持するものである。第1支持部13cは、絶縁性の合成樹脂によって円形平板上に形成され、軸線方向Xにおいて、後述する嵌合凸部15の第1鍔部15bに対向した状態で接触する。さらに、第1空間部13sには、第1コイル12の全体、及び、第1回路部11の全体、第1支持部13cの全体を覆う絶縁性の第1充填材13dを充填する。そして、第1ハウジング13は、第1空間部13sに絶縁性の第1充填材13dを充填することによって第1コイル12と分岐アース線BAとの間に第1充填材13dが介在することになる。また、第1支持部13cは、第1コイル12と第1回路部11とを電気的に接続する第1電線1wを貫通する第1支持部貫通穴13c1が形成される。
【0021】
第1近接側蓋部13eは、第1近接開口部13b1を閉塞するものである。第1近接側蓋部13eは、導電性の金属によって形成され、第1近接円筒状部13e1と、第1近接円盤状部13e2とを有する。第1近接円筒状部13e1は、軸線方向Xに延在する円筒状に形成される。また、第1近接円筒状部13e1の軸線方向Xにおける第2外殻部材23a側の端部には、径方向の外側に突出する第1近接突出部13e11を設けてある。作業者は、第1ハウジング13において、第1離隔開口部13b2から第1近接側蓋部13eを第1空間部13sに挿入し、その後、第1外殻部材本体13a1に対して第1近接側蓋部13eを、軸線方向Xにおいて、第2コイル22に近接するように移動させる。そして、作業者は、第1近接開口突出部13b11と第1近接突出部13e11と接触させることによって、第1外殻部材本体13a1に第1近接側蓋部13eを組み付ける。また、第1近接開口突出部13b11と第1近接突出部13e11とが接触することによって、第1外殻部材本体13a1と第1近接側蓋部13eとが電気的に接続される。第1近接円盤状部13e2は、軸線方向Xにおいて第2コイル22に近接する第1近接円筒状部13e1の端部に配置され、円盤状に形成される。また、第1近接円盤状部13e2には、軸線方向Xにおいて、当該第1近接円盤状部13e2を貫通する第1円盤状部貫通穴13e3が形成される。第1円盤状部貫通穴13e3は、嵌合凸部15の円柱部15aが挿通される。
【0022】
上記のような第1近接側蓋部13eには、カバー3を周方向Rへ回転可能に支持するためのカバー用溝部19が形成される。より具体的には、第1近接側蓋部13eの第1近接円筒状部13e1の外周面に、周方向Rへ延在するカバー3溝部が形成される。
【0023】
カバー用溝部19は、例えば、第1ハウジング13の外周面に形成され、第1ハウジング13の外周面から径方向の内側へ凹み、周方向Rの幅が一定であって、かつ、周方向Rに連続する。カバー用溝部19は、
図5に示すように、軸線方向Xにおいて対向する一対の第1溝部構成壁19a及び第2溝部構成壁19bと、軸線方向Xにおいて第1溝部構成壁19aと第2溝部構成壁19bとを連結する溝底部構成壁19cとによって形成される。第1溝部構成壁19aは、軸線方向Xにおいて、第2外殻部材23aに近接する側に配置される。第2溝部構成壁19bは、軸線方向Xにおいて、第1外殻部材本体13a1に近接する側に配置される。
【0024】
第1離隔側蓋部13fは、第1離隔開口部13b2を閉塞するものである。第1離隔側蓋部13fは、絶縁性の合成樹脂によって円盤状に形成される。第1離隔側蓋部13fには、軸線方向Xにおいて、当該第1離隔側蓋部13fを貫通する第1離隔側貫通穴13f1が形成される。第1離隔側貫通穴13f1は、分岐ケーブルBが挿通される。
【0025】
本実施形態の第1ハウジング13は、第1外殻部材本体13a1と、第1近接開口部13b1を閉塞する第1近接側蓋部13eと、第1離隔開口部13b2を閉塞する第1離隔側蓋部13fとを有し、第1外殻部材13aの内部の第1空間部13sに第1コイル12を収容する。つまり、第1ハウジング13は、第1コイル12の第1芯線12aを閉塞状態で収容するものである。換言すれば、第1コイル12は、第1ハウジング13によって、第1ハウジング13の外部に露出されることが防止される。
【0026】
嵌合凸部15は、円柱状に形成される円柱部15aと、第1近接側蓋部13eの内部に位置し、円柱部15aの周面から径方向の外側へ突出する第1鍔部15bとを有する。円柱部15aの先端は、第1近接側蓋部13eの第1近接円盤状部13e2における端面から、接続状態における軸線方向Xにおいて、第2外殻部材23a側に突出する。嵌合凸部15は、フェライト等の磁性体から形成され、第1芯線12aに流れる電流に対し、後述する第2芯線22aに流れる誘導電流の効率が減少することを抑制する。
【0027】
第1ハウジングケース13gは、絶縁性の合成樹脂によって形成され、第1外殻部材本体13aaの径方向の外側を覆う。
【0028】
第2コネクタ2は、第2回路部21、第2コイル22、第2ハウジング23、及び、嵌合凹部25を有し、接続ケーブルCを介してトンネル内部の照明装置Lに接続される。第2回路部21は、接続ケーブルCに電気的に接続され、絶縁性の矩形平板の第2基板21aと、当該第2基板21aに実装された電気抵抗、コンデンサ等の種々の第2電子部品21bとを有し、第2コイル22に流れる誘導電流が所望の波形の電流になるように整流するものである。
【0029】
第2回路部21は、接続ケーブルCに電気的に接続され、絶縁性の矩形平板の第2基板21aと、当該第2基板21aに実装された電気抵抗、コンデンサ等の種々の第2電子部品21bとを有し、誘導電流が所望の波形の電流になるように整流するものである。
【0030】
本実施形態における接続ケーブルCの3本の電線のうち、2本の電力供給用の電線における芯線が第2回路部21を介して第2コイル22に対して電気的に接続される。より具体的に説明すると、これら2本の電力供給用の電線のうち、一方の電線の芯線は、第2回路部21を介して第2コイル22の第2芯線22aの一方の端部に電気的に接続され、他方の電線の芯線は、第2回路部21を介して第2コイル22の第2芯線22aの他方の端部に、電気的に接続される。また、接続ケーブルCにおける1本の電線である接続アース線CAは、
図4に示すように、一方の端部において、被覆部CA2から露出させた芯線CA1を第1外殻部材本体13a1に電気的に接続する。芯線CA1と第1外殻部材13aとの電気的接続は、例えば、はんだによって接続される。なお、芯線CA1と第1外殻部材本体13a1との電気的接続は、導電性を有する接着材によって行ってもよいし、導電性を有するろうによって行ってもよい。接続アース線CAは、第2空間部23sにおいて第2外殻部材23aに電気的に接続される。
【0031】
第2コイル22は、導電性の第2芯線22aを軸線周りに巻き回されることによって形成されるものである。より具体的に説明すると、第2コイル22は、嵌合凹部25の円筒部25aの周面に第2芯線22aを軸線周りに螺旋状に巻き回されることによって形成されるものである。また、第2コイル22は、図示省略するが、第2芯線22aの周面を被覆する絶縁性の被覆部を有する。第2コイル22は、第2電線2wを介して第2回路部21に電気的に接続される。言い換えると、第2電線2wは、第2コイル22の一方の端部と、第2回路部21の接続部とを電気的に接続する。
【0032】
第2ハウジング23は、第2外殻部材23aと、第2支持部23cと、第2離隔側蓋部23fと、第2ハウジングケース23gとを有する。第2外殻部材23aは、第2外殻部材本体23a1と、第2近接側蓋部23eとを有する。第2外殻部材本体23a1は、軸線方向Xの両端に位置する第2挿通開口部23bを有し、導電性の金属によって、内部に第2空間部23sを有する円筒状に形成される。第2外殻部材本体23a1は、例えば、フェライト、ニッケル等の高透磁率の金属によって形成される。第2挿通開口部23bは、軸線方向Xにおいて、第1コイル12に近接する第2近接開口部23b1と、軸線方向Xにおいて、第1コイル12から離隔する第2離隔開口部23b2とを有する。第2近接開口部23b1には、径方向の内側へ向けて突出する第2近接開口突出部23b11を設けてある(
図5参照)。第2空間部23sには、上述した第2コイル22、及び、第2回路部21が配置される。第2支持部23cは、第2空間部23sに配置され、第2回路部21を支持するものである。第2支持部23cは、絶縁性の合成樹脂によって円形平板上に形成され、軸線方向Xにおいて、後述する嵌合凹部25の第2鍔部25bに対向した状態でスペーサ26を介して接触する。さらに、第2空間部23sには、第2コイル22の全体、及び、第2回路部21の全体、第2支持部23cの全体を覆う絶縁性の第2充填材23dを充填する。そして、第2ハウジング23は、第2空間部23sに絶縁性の第2充填材23dを充填することによって第2コイル22と接続アース線CAとの間に第2充填材23dが介在することになる。また、第2支持部23cは、第2コイル22と第2回路部21とを電気的に接続する第2電線2wを貫通する第2支持部貫通穴23c1が形成される。
【0033】
第2近接側蓋部23eは、第2近接開口部23b1を閉塞するものである。第2近接側蓋部23eは、導電性の金属によって形成され、第2近接円筒状部23e1と、第2近接円盤状部23e2とを有する。第2近接円筒状部23e1は、軸線方向Xに延在する円筒状に形成される。また、第2近接円筒状部23e1の軸線方向Xにおける第1外殻部材本体13a1側の端部には、径方向の内側に突出する第2近接突出部23e11を設けてある。作業者は、第2ハウジング23において、第2離隔開口部23b2から第2近接側蓋部23eを第2空間部23sに挿入し、その後、第2外殻部材本体23a1に対して第2近接側蓋部23eを、軸線方向Xにおいて第1コイル12に近接するように移動させる。そして、作業者は、第2近接開口突出部23b11と第2近接突出部23e11と接触させることによって、第2外殻部材本体23a1に第2近接側蓋部23eを組み付ける。また、第2近接開口突出部23b11と第2近接突出部23e11とが接触することによって、第2外殻部材本体23a1と第2近接側蓋部23eとが電気的に接続される。第2近接円盤状部23e2は、軸線方向Xにおいて第1コイル12に近接する第2近接円筒状部23e1の端部に配置され、円盤状に形成される。また、第2近接円盤状部23e2には、軸線方向Xにおいて、当該第2近接円盤状部23e2を貫通する第2円盤状部貫通穴23e3が形成される。第2円盤状部貫通穴23e3は、嵌合凸部15の円柱部15aが挿通される。
【0034】
第2離隔側蓋部23fは、第2離隔開口部23b2を閉塞する。第2離隔側蓋部23fは、絶縁性の合成樹脂によって円盤状に形成される。第2離隔側蓋部23fには、軸線方向Xにおいて、当該第2離隔側蓋部23fを貫通する第2離隔側貫通穴23f1が形成される。第2離隔側貫通穴23f1は、接続ケーブルCが挿通される。
【0035】
本実施形態の第2ハウジング23は、第2外殻部材本体23a1と、第2近接開口部23b1を閉塞する第2近接側蓋部23eと、第2離隔開口部23b2を閉塞する第2離隔側蓋部23fとを有し、第2外殻部材23aの内部の第2空間部23sに第2コイル22を収容する。つまり、第2ハウジング23は、第2コイル22の第2芯線22aを閉塞状態で収容するものである。換言すれば、第2コイル22は、第2ハウジング23によって、第2ハウジング23の外部に露出されることが防止される。
【0036】
嵌合凹部25は、円筒状に形成される円筒部25aと、第2近接側蓋部23eの内部に位置し、円筒部25aの外周面から径方向の外側へ突出する第2鍔部25bとを有する。円筒部25aは、第2近接側蓋部23eの第2近接円盤状部23e2における端面から、軸線方向Xにおいて、第2外殻部材23a側に凹む。嵌合凹部25は、フェライト等の磁性体から形成され、第1芯線12aに流れる電流に対し、第2芯線22aに流れる誘導電流の効率が減少することを抑制する。
【0037】
第2ハウジングケース23gは、絶縁性の合成樹脂によって形成され、第2外殻部材本体23a1の径方向の外側を覆う。
【0038】
カバー3は、導電性の金属によって、
図3に示すように、円筒状に形成される。本実施形態のカバー3は、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとを電気的に接続する電気接続部である。本実施形態のカバー3は、第1ハウジング13を支持側ハウジングとし、第1ハウジング13に対して周方向Rに対して回転可能に支持される。より具体的に説明すると、
図5に示すように、第1ハウジング13における第1近接側蓋部13eの外周面には、上述したカバー用溝部19が形成され、カバー3の内周面には、カバー用溝部19に嵌るカバー突出部32が形成され(
図4参照)、カバー用溝部19に対するカバー突出部32の嵌合によって、カバー3は、支持側ハウジングである第1ハウジング13に対して周方向Rに対して回転可能に支持される。
【0039】
カバー突出部32は、例えば、軸線方向Xにおいて、カバー3の第1外殻部材13aに近接する側の端部に形成され、カバー3の内周面から径方向の内側へ突出し、周方向Rの幅が一定で周方向Rに連続する。カバー突出部32は、軸線方向Xにおいて対向する一対の第1突出側部構成壁32a及び第2突出側部構成壁32bと、軸線方向Xにおいて第1突出側部構成壁32aと第2突出側部構成壁32bとを連結する突出天部構成壁32cとによって形成される。第1突出側部構成壁32aは、軸線方向Xにおいて、カバー3の第2外殻部材23aに近接する側に配置される。第2突出側部構成壁32bは、軸線方向Xにおいて、カバー3の第1外殻部材13aに近接する側に配置される。
【0040】
係止機構4は、
図3に示すように、凸部41と、凸部41を挿入可能な凹部42とを有する。凸部41は、カバー3の内周面の周方向Rにおいて複数設けられる。各凸部41は、径方向の内側に突出する。本実施形態の凸部41は、周方向Rにおいて、カバー3の内周面に等間隔で例えば4つ配置される。つまり、本実施形態のカバー3は、周方向Rにおいて、凸部41が複数設けられる。複数の凸部41は、同一形状であって、同一の大きさである。また、複数の凸部41は、カバー3の内周面に対して、周方向Rに並べて配置してある。
【0041】
凹部42は、第2ハウジング23の外周面の周方向Rにおいて複数設けられる。各凹部42は、径方向の内側に凹む。本実施形態の凹部42は、周方向Rにおいて、第2ハウジング23の外周面に等間隔で例えば4つ配置される。つまり、本実施形態の第2ハウジング23は、周方向Rにおいて、凹部42が複数設けられる。複数の凹部42は、同一形状であって、同一の大きさである。また、複数の凹部42は、第2ハウジング23の外周面に対して、周方向Rに並べて配置してある。
【0042】
係止機構4は、
図6に示すように、凸部41を凹部42へ案内する案内部43をさらに有する。案内部43は、第1部分43aと、第2部分43bとを有し、第2ハウジング23の外周面に形成される(より、具体的に説明すると第2近接円筒状部23e1の外周面に形成される)。このような係止機構4は、第1ハウジング13及び第2ハウジング23が軸線方向Xに対して相対移動することを規制し、第1ハウジング13に対して第2ハウジング23を着脱自在に係止することによって第1コイル12と第2コイル22とを電気的に接続状態とする。つまり、係止機構4は、第1コイル12と第2コイル22とを電気的な接続状態し、かつ、第1ハウジング13に対して第2ハウジング23が軸線方向Xに対して相対移動を規制する。
【0043】
コネクタ装置100は、上述した接続状態において、所望の効率となるように、第1コイル12と第2コイル22との軸線方向Xにおける離隔距離を設定してある。本実施形態のコネクタ装置100は、嵌合凸部15における円柱部15aの先端部が、スペーサ26に接触した状態において、第1コイル12と第2コイル22との軸線方向Xにおける離隔距離を設定してある。
【0044】
第1部分43aは、第1起点43a1と第1終点43a2とを有し、第1起点43a1から第1終点43a2へ、軸線方向Xへ延在して形成される。第1起点43a1は、第2近接円筒状部23e1の軸線方向Xにおける第1外殻部材13a側の端部に位置する。第1起点43a1は、第2近接円筒状部23e1の軸線方向Xにおける第2外殻部材23a側の端部に近接した位置に配置する。
【0045】
第2部分43bは、第2起点43b1と第2終点43b2とを有し、第2起点43b1から第2終点43b2へ、周方向Rへ延在して形成される。第2起点43b1は、第2近接円筒状部23e1において、第1終点43a2に隣接して位置し、第2部分43bにおける周方向Rの一方の端部に位置する。第2終点43b2は、第2近接円筒状部23e1において、第1終点43a2から外れた部分に位置し、第2部分43bにおける周方向Rの他方の端部に位置する。
【0046】
凹部42は、軸線方向Xにおいて、第2部分43bにおける第2終点43b2に対して、軸線方向Xにおける第1外殻部材13a側に隣接し、かつ、第2近接円筒状部23e1の外周面に配置される。
【0047】
図5に示す付勢部材5は、例えば、ウェーブワッシャである。この付勢部材5は、軸線方向Xから視た場合には円環状であり、軸線方向Xに対して直交する直交方向Yから視た場合には、軸線方向Xにおける第2外殻部材23a側へ突出する部分51と、軸線方向Xにおける第1外殻部材本体13a1側へ突出する部分52とが、周方向Rにおいて、交互に位置するように配置される。また、この付勢部材5は、金属によって軸線方向Xに変形可能に形成してある。このため、付勢部材5は、軸線方向Xにおいて、幅が狭くなるように力が加えられた状態では、軸線方向Xにおいて、幅が広くなるように弾性復元力を有する。このような付勢部材5は、軸線方向Xにおいて、第1溝部構成壁19aと第1突出側部構成壁32aとの間の空間部S1に配置される。上記空間部S1に配置された付勢部材5において、第1外殻部材本体13a1に近接する方向へ突出する部分52は、第2溝部構成壁19bに接触し、かつ、付勢部材5の第2外殻部材23aに近接する方向へ突出する部分51は、第1突出側部構成壁32aに接触する。また、付勢部材5の付勢力によって、第2溝部構成壁19bと第2突出側部構成壁32bとが接触し、両者が接触することによって、第1外殻部材13aとカバー3とが電気的に接続される。さらに、付勢部材5の付勢力によって、凸部41と凹部42とが接触することによって、第2外殻部材23aとカバー3とが電気的に接続される。つまり、本実施形態のコネクタ装置100において、カバー3は、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとを電気的に接続する電気接続部材である。
【0048】
上記のように構成されるコネクタ装置100は、以下に説明するように、作業員がカバー3を介して第1コネクタ1に第2コネクタ2を組み付け、係止機構4によって、第1コイル12と第2コイル22とを電気的に接続状態とする。
【0049】
先ず、作業者は、
図4に示すように、カバー3の内周面に付勢部材5を組み付けた状態で、カバー用溝部19にカバー突出部32を嵌合することによって、第1ハウジング13にカバー3を組み付ける。次に、作業者は、第1ハウジング13の第1近接円盤状部13e2と、第2ハウジング23の第2近接円盤状部23e2とが、軸線方向Xにおいて対向するように第1ハウジング13と、第2ハウジング23とを配置する。
【0050】
次に、作業者は、例えば、軸線方向Xにおいて、第1ハウジング13を第2ハウジング23に対して近接する方向へ移動させ、第1近接円盤状部13e2に対して第2近接円盤状部23e2を接近させた後、第1近接円盤状部13e2と第2近接円盤状部23e2とを接触させる。
【0051】
次いで、作業員は、例えば、カバー3を第2ハウジング23に対して周方向Rへ移動させることによって、軸線方向Xにおいて凸部41と凹部42とを対向させる。
【0052】
次に、作業員は、例えば、第2ハウジング23を治具によって固定した状態において、第1ハウジング13及びカバー3を、第2ハウジング23に近接する方向へ移動させることによって、案内部43の第1部分43aに凸部41を挿入する。
【0053】
次いで、作業員は、さらに、付勢部材5の付勢力に抗して、第1ハウジング13及びカバー3を、軸線方向Xにおいて第2ハウジング23に近接する方向へ移動させることによって、案内部43の第1部分43aの第1起点43a1から第1終点43a2まで凸部41を移動させる。
【0054】
最後に、作業員は、第1ハウジング13及びカバー3を周方向Rへ回転させることによって、案内部43の第2部分43bの第2起点43b1から第2終点43b2まで凸部41を移動させる。
【0055】
すると、付勢部材5の弾性復元力によって、第1ハウジング13及びカバー3は、軸線方向Xにおいて、第2ハウジング23から離隔する方向へ移動し、凹部42に凸部41が挿入され、第1コネクタ1、及び、カバー3を第2コネクタ2に組み付ける。そして、カバー3を介して、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとが電気的に接続される。
【0056】
そして、コネクタ装置100において、第1コネクタ1、及び、カバー3を第2コネクタ2に組み付けると、第1コイル12と第2コイル22とが軸線方向Xにおいて対向し、第1コイル12と第2コイル22とが電気的に接続状態とされる。そのため、電源Pによって幹線ケーブルM、及び、分岐ケーブルBを介して第1コイル12の第1芯線12aに交流電圧が印加されると、電源Pから第1芯線12aに交流電流が流れ、その交流電流が第1芯線12aに流れることによって磁界の変化が生じる。また、第1コイル12と第2コイル22とが軸線方向Xにおいて非接触状態で対向し、第1芯線12aに交流電流が流れることによって生じる磁界の変化に応じた電磁誘導によって、第2芯線22aに誘導電流が流れて照明装置Lに電力が供給される。
【0057】
また、作業員は、上記動作と逆の動作を行えば、第2コネクタ2に対して、第1コネクタ1及びカバー3を取り外すことができる。より具体的には、作業員は、先ず、第1コネクタ1及びカバー3を、軸線方向Xにおいて、第2コネクタ2に近接させることによって凹部42から凸部41を退出させる。その後、作業員は、第2コネクタ2を固定し、第1コネクタ1及びカバー3を周方向Rに回転させて、凸部41を第2部分43bの第2終点43b2から第2起点43b1へ移動させる。その後、作業員は、第2コネクタ2の治具による固定を解除し、軸線方向Xにおいて、第1コネクタ1及びカバー3を第2コネクタ2から離隔することによって、第2コネクタ2から第1コネクタ1、及び、カバー3を取り外す。このようにして、第2コネクタ2から、第1コネクタ1及びカバー3を取り外すことによって、電源Pと照明装置Lとの電気的な接続を解除し、例えば、照明装置Lの点検等を行う。
【0058】
本実施形態に係るコネクタ装置100は、以下の構成を有する。コネクタ装置100は、第1コイル12と、第2コイル22と、係止機構4とを備える。第1コネクタ1は、第1コイル12の第1芯線12aを閉塞状態の第1空間部13sで収容する第1ハウジング13を有する。第2コネクタ2は、第2コイル22の第2芯線22aを閉塞状態の第2空間部23sで収容する第2ハウジング23を有する。係止機構4は、第1コイル12と第2コイル22とを電気的に接続状態とする。第1コネクタ1及び第2コネクタ2は、接続状態において、第1コイル12の第1芯線12aと第2コイル22の第2芯線22aとが非接触状態で対向し、電源Pから第1芯線12aに電流が流れることによって生じる磁界の変化に応じた電磁誘導によって、第2芯線22aに誘導電流が流れて照明装置Lに電力が供給される。これらのため、本実施形態に係るコネクタ装置100は、閉塞状態の各芯線をそれぞれのハウジングの内部に収容することによって、第1コイル12と第2コイル22とを電気的な接続状態にする際に、第1芯線12aが第1ハウジング13の外部に露出することがなく、かつ、第2芯線22aが第2ハウジング23の外部に露出することがない。つまり、本実施形態に係るコネクタ装置100は、第1芯線12a、及び、第2芯線22aをトンネル内部の環境に曝すことなく、第1コイル12と第2コイル22とを電気的な接続状態にすることができる。この結果、本実施形態に係るコネクタ装置100は、トンネル内部の環境が、第1コネクタ1と第2コネクタ2との電気的な接続状態に影響を与えることを抑制することができる。その上、本実施形態に係るコネクタ装置100は、以下の構成を有する。第1ハウジング13は、導電性の第1外殻部材13aを有する。第2ハウジング23は、導電性の第2外殻部材23aを有する。分岐ケーブルBのアース線BAは、第1空間部13sにおいて第1外殻部材13aに電気的に接続される。接続ケーブルCAのアース線CAは、第2空間部23sにおいて第2外殻部材23aに電気的に接続される。第1コネクタ1及び第2コネクタ2は、接続状態において、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとが電気接続部を介して電気的に接続される。この結果、本実施形態に係るコネクタ装置100は、照明装置L側の接続アース線CAと、電源P側の分岐アース線BAとの電気的な接続を容易に行うことができる。特に、トンネル内部は、湧水等によって湿度が100%になることもあり、凝縮が発生し易い環境である。このようなトンネル内部の環境では、第1コネクタ1の表面に水滴が発生し、かつ、第2コネクタ2の表面に水滴が発生し、これらの水滴によって異物が第1コネクタ1の表面、及び、第2コネクタ2の表面に付着し易い。しかしながら、本実施形態に係るコネクタ装置100によれば、第1コネクタ1の表面に異物が付着した状態、又は、第2コネクタ2の表面に異物が付着した状態であっても、電磁誘導によって第2コイル22に誘導電流を流して照明装置Lに電力を適正に供給することができる。この結果、本実施形態に係るコネクタ装置100は、トンネル内部の環境が、第1コネクタ1と第2コネクタ2との電気的な接続状態に影響を与えることを抑制することができる。
【0059】
本実施形態に係るコネクタ装置100は以下の構成を有する。第1ハウジング13は、第1空間部13sに絶縁性の第1充填材13dを充填することによって第1コイル12と分岐アース線BAとの間に第1充填材13dが介在する。第2ハウジング23は、第2空間部23sに絶縁性の第2充填材23dを充填することによって第2コイル22と接続アース線CAとの間に第2充填材23dが介在する。本実施形態に係るコネクタ装置100は、第1充填材13dによって、第1コイル12と分岐アース線BAとが電気的に接続されることを防止することができる。その上、本実施形態に係るコネクタ装置100は、第2充填材23dによって、第2コイル22と接続アース線CAとが電気的に接続されることを防止することができる。
【0060】
本実施形態に係るコネクタ装置100は以下の構成を有する。第1外殻部材13a、及び、第2外殻部材23aは、高透磁率の磁性体によって形成される。このため、本実施形態に係るコネクタ装置100は、第1コイル12の第1芯線12a及び第2コイル22の第2芯線22aを高透磁率の外殻部材によって閉塞状態を維持したまま、照明装置Lのアース線と分岐ケーブルBのアース線とを電気的に接続することができる。この結果、本実施形態に係るコネクタ装置100は、接続状態においても外殻部材によってそれぞれの芯線の閉塞状態を維持するため、第1芯線12aに電流が流れることによって発生する磁束が、外殻部材の外部に漏れることを抑制することができる。
【0061】
なお、上述した実施形態に係るコネクタ装置100において、凸部41を凹部42に案内する案内部43は、第1部分43aと、第2部分43bとを有するものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ装置100の案内部43は、軸線方向Xに延在する第1部分43aで構成してもよい。案内部43を第1部分43aで構成する場合には、凹部42は、周方向Rにおいて、第1部分43aに隣接するように配置される。
【0062】
さらに、上述した実施形態のコネクタ装置100は、第1コネクタ1に嵌合凸部15を設ける一方、第2コネクタ2に嵌合凹部25を設けるものを説明した。しかし、本実施形態のコネクタ装置100は、それに限られず、第1コネクタ1に嵌合凹部25を設ける一方、第2コネクタ2に嵌合凸部15を設けてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態のコネクタ装置100は、コネクタ装置100に、嵌合凸部15及び嵌合凹部25を設けるものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、コネクタ装置100に嵌合凸部15及び嵌合凹部25を必ず設ける必要はない。
【0064】
さらに、上述した実施形態のコネクタ装置100は、第1コネクタ1、及び、カバー3を第2コネクタ2に組み付けた状態において、第1コイル12と第2コイル22とが軸線方向Xにおいて対向するものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、コネクタ装置100は、第1コイル12と第2コイル22とが軸線XLの径方向に対向してもよい。
【0065】
また、上述した実施形態のコネクタ装置100において、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとが、電気接続部材であるカバー3を介して電気的に接続されるものを説明した。しかし、本実施形態のコネクタ装置100は、それに限られず、第1外殻部材13aの先端部と、第2外殻部材23aの先端部とを直接的に接触させ、第1外殻部材13aと第2外殻部材23aとを電気的に接続してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 第1コネクタ
12 第1コイル
12a 第1芯線
13 第1ハウジング
13a 第1外殻部材
13d 第1充填材
13s 第1空間部
13a第1外殻部材
2 第2コネクタ
22 第2コイル
22a 第2芯線
23 第2ハウジング
23a 第2外殻部材
23d 第2充填材
23s 第2空間部
3 カバー(電気接続部)
4 係止機構
100 コネクタ装置
B 分岐ケーブル
BA 分岐アース線
BP 分岐部
CA 接続アース線
L 照明装置
P 電源
X 軸線方向