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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】基台及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/18 20060101AFI20231128BHJP
   B66C 23/74 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
E02F9/18
B66C23/74 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020067558
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021161835
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】可児 聖児
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-127188(JP,A)
【文献】特開2020-041369(JP,A)
【文献】特開2005-343459(JP,A)
【文献】特開2010-270586(JP,A)
【文献】特開2020-007700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0303224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/18
9/24-9/28
B62D 49/08
B66C 23/72
23/74
B66F 9/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の上部旋回体においてカウンタウエイトに取付けられる基台であって、
前記上部旋回体の後方側へ向かって凹む前記カウンタウエイトの凹部の鉛直上側の端に取付けられ、前記凹部において前記鉛直上側に向かって開口する開口を塞ぐ基板と、
前記基板の前記鉛直上側を向く表面に形成され、前記鉛直上側から第1のアンテナユニットが設置される台座と、
前記基板から鉛直下側に突出するとともに、前記カウンタウエイトにおいて前記凹部の底部から前記上部旋回体の前方側へ突出するブラケットに対して拘束された状態で、前記ブラケットに接続される支持板と、
を具備する基台。
【請求項2】
請求項1の基台と、前記基台の前記台座に前記鉛直上側から設置される前記第1のアンテナユニットと、前記凹部において前記基板が前記開口を塞ぎ、かつ、前記支持板が前記ブラケットに対して拘束された状態で前記基台が取付けられる前記カウンタウエイトと、を備える前記上部旋回体と、
前記上部旋回体が前記鉛直上側から旋回可能に連結される下部走行体と、
を具備する建設機械。
【請求項3】
前記上部旋回体は、
第1のカバーフレームと、
前記上部旋回体の前記後方側へ前記第1のカバーフレームから離れて設けられる第2のカバーフレームと、
前記第1のカバーフレームの前記鉛直上側の端部から前記第2のカバーフレームの前記鉛直上側の端部まで前記上部旋回体の前記後方側へ向かって延設され、前記第1のカバーフレーム及び前記第2のカバーフレームに前記鉛直上側から取付けられる上部カバーと、
前記鉛直上側から視てはしご形状になるはしご板部を備える基台フレームであって、前記上部カバーに前記鉛直上側から当接するとともに、前記第1のカバーフレーム及び前記第2のカバーフレームに対して拘束された状態で前記上部カバーと一緒に前記第1のカバーフレーム及び前記第2のカバーフレームに取付けられる基台フレームと、
前記基台フレームの前記はしご板部に前記鉛直上側から設置される第2のアンテナユニットと、
をさらに備える、請求項2の建設機械。
【請求項4】
前記第1のアンテナユニットと前記第2のアンテナユニットとの間の離間距離は、前記上部旋回体の幅方向についての前記上部旋回体の寸法の2分の1倍より大きい、請求項3の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の旋回体においてカウンタウエイトに取付けられる基台、及び、その基台を備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧ショベル等の建設機械において上部旋回体に設けられるカウンタウエイトが、開示されている。このカウンタウエイトは、鋼板等を製缶加工することにより、形成される。また、カウンタウエイトには、上板部において鉛直上側を向く表面に、基台が溶接等によって、取付けられる。そして、基台に、アンテナユニットが鉛直上側から設置されることにより、アンテナユニットがカウンタウエイトに取付けられる。また、アンテナユニットは、アンテナ、及び、アンテナを鉛直下側から支持する支柱を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-127188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のように建設機械のカウンタウエイトに取付けられるアンテナユニットとして、GNSSアンテナユニットがある。GNSSアンテナユニットは、重量が大きい。また、GNSSアンテナを高い位置に配置する必要があるため、GNSSアンテナユニットでは、支柱が長くなる。このため、GNSSアンテナユニット等をアンテナユニットとしてカウンタウエイトに取付ける場合、アンテナユニットの設置箇所の剛性を高く確保し、アンテナユニットをカウンタウエイトに強固に取付けることが、求められている。また、容易にアンテナユニットをカウンタウエイトに取付けることが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アンテナユニットをカウンタウエイトに容易かつ強固に取付け可能にする基台を提供することにある。また、その基台を備える建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、建設機械の上部旋回体においてカウンタウエイトに取付けられる基台であって、前記上部旋回体の後方側へ向かって凹む前記カウンタウエイトの凹部の鉛直上側の端に取付けられ、前記凹部において前記鉛直上側に向かって開口する開口を塞ぐ基板と、前記基板の前記鉛直上側を向く表面に形成され、前記鉛直上側からアンテナユニットが設置される台座と、前記基板から鉛直下側に突出するとともに、前記カウンタウエイトにおいて前記凹部の底部から前記上部旋回体の前方側へ突出するブラケットに対して拘束された状態で、前記ブラケットに接続される支持板と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンテナユニットをカウンタウエイトに容易かつ強固に取付け可能にする基台を提供することができる。また、その基台を備える建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る油圧ショベルを示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの上部旋回体の構成を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの上部旋回体の構成を、図2とは異なる方向から視た状態で示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、カウンタウエイト、2つのアンテナユニット及びこれらに関連する部分の構成を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る油圧ショベルのカウンタウエイトの構成を示す斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、基台(第1の基台)のカウンタウエイトへの取付け構造を示す斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、カバーフレーム、上部カバー、シュラウド、基台フレーム及びこれらに関連する構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、建設機械の一例として、第1の実施形態に係る油圧ショベル1を示す。図1に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2及び上部旋回体3を備える。上部旋回体3は、下部走行体2に鉛直上側から連結される。上部旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2に示す方向)に平行又は略平行な旋回軸を中心として、下部走行体2に対して旋回可能である。
【0011】
上部旋回体3では、鉛直方向に交差する(垂直又は略垂直な)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)が規定される。また、下部走行体2でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。図1では、下部走行体2の前後方向が上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致する状態、すなわち、下部走行体2の前方側が上部旋回体3の前方側(矢印X1側)と一致又は略一致する状態で、油圧ショベル1を示す。
【0012】
上部旋回体3には、作業装置5が連結される。作業装置5は、下部走行体2に対して、上部旋回体3と一緒に旋回する。作業装置5は、ブーム6、アーム7及びバケット8を備える。ブーム6の基端部は、上部旋回体3に回動可能に取付けられる。ブーム6が上部旋回体3に対して回動することにより、ブーム6は、上部旋回体3に対して起状動作又は伏状動作する。アーム7の基端部は、ブーム6の先端部に回動可能に取付けられる。アーム7がブーム6に対して回動することにより、アーム7は、ブーム6に対して起状動作又は伏状動作する。バケット8は、アタッチメントの1種であり、アーム7の先端部に取外し可能に取付けられる。ブーム6、アーム7及びバケット8を作動することにより、油圧ショベル1では、バケット8によって土砂等が掘削される。
【0013】
上部旋回体3は、旋回テーブル11及び運転室12を備える。運転室12は、旋回テーブル11上に設置される。運転室12は、上部旋回体3の幅方向について、作業装置5に対して並んで配置される。図1の一例では、運転室12は、作業装置5に対して上部旋回体3の左方側(矢印Y1側)に並んで配置される。運転室12では、作業者によって油圧ショベル1の操作等が行われる。
【0014】
図2及び図3は、上部旋回体3の構成を示す。図2及び図3では、運転室12等の一部の設置物を省略して示すとともに、互いに対して異なる方向から視た状態で示す。図2及び図3に示すように、上部旋回体3では、運転室12に対して後方側に、エンジンルーム13が形成される。エンジンルーム13では、上部旋回体3の幅方向について中央部に、エンジン(図示しない)が配置される。エンジンルーム13では、旋回テーブル11にエンジンフレーム15が取付けられ、エンジンは、エンジンフレーム15を間に介して、旋回テーブル11上に設置される。
【0015】
また、旋回テーブル11上には、カウンタウエイト16が設置される。カウンタウエイト16は、例えば、鋳造によって形成される。カウンタウエイト16は、エンジンルーム13に対して、上部旋回体3の後方側に隣接して配置される。そして、カウンタウエイト16は、エンジンルーム13の後方壁を形成する。
【0016】
また、上部旋回体3には、2つのアンテナユニット20A,20Bが設けられる。アンテナユニット20A,20Bのそれぞれは、アンテナ21及び支柱22を備える。アンテナユニット20A,20Bのそれぞれでは、支柱22は、鉛直下側からアンテナ21を支持する。ある一例では、アンテナユニット20A,20Bのそれぞれは、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナユニットであり、GNSSアンテナをアンテナ21として備える。この場合、GNSSアンテナがGNSS衛星からの信号を受信することにより、位置情報の測定等が行われる。
【0017】
図4は、カウンタウエイト16、2つのアンテナユニット20A,20B及びこれらに関連する部分の構成を示す。また、図5は、カウンタウエイト16の構成を示す。図2乃至図5に示すように、カウンタウエイト16は、ウエイト内表面23、ウエイト外表面25及びウエイト上端面26を備える。ウエイト内表面23は、エンジンルーム13が位置する側、すなわち、上部旋回体3の前方側を向く。そして、カウンタウエイト16では、ウエイト内表面23がエンジンルーム13との隣接面となる。ウエイト外表面25は、ウエイト内表面23とは反対側、すなわち、上部旋回体3の後方側を向く。また、ウエイト内表面23及びウエイト外表面25のそれぞれは、カウンタウエイト16の鉛直下側の端からウエイト上端面26まで、鉛直上側へ向かって延設される。ウエイト上端面26は、カウンタウエイト16の鉛直上側の端を形成する。カウンタウエイト16において鉛直上側の端部では、ウエイト上端面26によって、ウエイト内表面23とウエイト外表面25との間が中継される。
【0018】
カウンタウエイト16のウエイト内表面23には、2つの設置突起27が形成される。設置突起27のそれぞれは、ウエイト内表面23において、上部旋回体3の前方側へ突出する。設置突起27は、カウンタウエイト16において鉛直下側の端部に形成され、上部旋回体3の幅方向について互いに対して離れて配置される。設置突起27のそれぞれは、2つの固定ボルトを介して、旋回テーブル11に接続される。カウンタウエイト16は、設置突起27のそれぞれが旋回テーブル11に接続された状態で、旋回テーブル11の鉛直上側に設置される。
【0019】
また、カウンタウエイト16のウエイト内表面23には、上部旋回体3の後方側へ向かって凹む凹部28が形成される。凹部28は、カウンタウエイト16において鉛直上側の端部に形成され、上部旋回体3の幅方向についてカウンタウエイト16の中央部に形成される。凹部28は、ウエイト上端面26から鉛直下側へ向かって、延設される。また、凹部28によって形成される空間は、開口31において、鉛直上側に向かって開口する。そして、凹部28によって形成される空間は、開口31において、エンジンルーム13の外部に対して開口する。
【0020】
凹部28は、底部(底面)32を備える。カウンタウエイト16のウエイト内表面23では、2つのブラケット33A,33Bが、凹部28の底部32から突出する。ブラケット33A,33Bのそれぞれは、上部旋回体3の前方側へ突出する。また、ブラケット33A,33Bは、上部旋回体3の幅方向について互いに対して離れて配置される。ブラケット33A,33Bのそれぞれには、上部旋回体3の幅方向に沿って貫通孔35が形成される。カウンタウエイト16を旋回テーブル11に設置する作業等では、ワイヤロープ(図示しない)がシャックル(図示しない)等を介して、ブラケット33A,33Bのそれぞれに貫通孔35で引掛けられる。これにより、クレーン(図示しない)等を用いて、カウンタウエイト16を吊上げ可能になる。したがって、ブラケット33A,33Bは、カウンタウエイト16の吊上げ時等においてワイヤロープが引掛けられる吊環として機能する。
【0021】
また、カウンタウエイト16のウエイト上端面26には、鉛直下側へ凹む窪み部36が形成される。窪み部36は、上部旋回体3の幅方向についてカウンタウエイト16の中央部に形成される。また、窪み部36は、凹部28の鉛直上側の端に接続される。そして、窪み部36は、凹部28によって形成される空間の開口31の開口縁を形成する。
【0022】
上部旋回体3では、アンテナユニット(第1のアンテナユニット)20Aは、カウンタウエイト16に取付けられる。アンテナユニット20Aは、基台(第1の基台)40を間に介して、カウンタウエイト16に取付けられる。そして、基台40は、カウンタウエイト16に取付けられる。図6は、基台(第1の基台)40のカウンタウエイト16への取付け構造を示す。図2図3図4及び図6等に示すように、基台40は、基板41、台座(第1の台座)42、補強板43及び支持板45を備える。
【0023】
基板41は、ウエイト上端面26の窪み部36に、鉛直上側から取付けられる。このため、基板41は、カウンタウエイト16において、凹部28の鉛直上側の端に取付けられる。基板41は、基板41の厚さ方向が鉛直方向と一致又は略一致する状態で、配置される。また、凹部28によって形成される空間の開口31は、基板41によって、塞がれる。すなわち、基板41は、凹部28において鉛直上側に向かって開口する開口31を、塞ぐ。基板41は、4つの固定ボルト46を介して、ウエイト上端面26の窪み部36に接続される。そして、基板41は、鉛直方向について、固定ボルト46のそれぞれの頭部と窪み部36との間で挟まれる。また、固定ボルト46のそれぞれの頭部と基板41との間では、ワッシャー47が挟まれる。なお、図6では、4つの固定ボルト46の1つのみを示し、4つのワッシャー47の1つのみを示す。
【0024】
台座42は、基板41の鉛直上側を向く表面に形成される。台座42は、溶接等によって基板41の鉛直上側を向く表面に接合され、基板41と一体に形成される。また、基板41では、上部旋回体3の幅方向について一端部に、台座42が形成される。そして、本実施形態の上部旋回体3では、基板41の右方端部に、台座42が形成される。アンテナユニット20Aは、台座42に鉛直上側から設置される。したがって、台座42は、鉛直下側からアンテナユニット20Aを支持する。アンテナユニット20Aの支柱22は、4つの固定ボルト48を介して、台座42に接続される。
【0025】
補強板43は、基板41から鉛直下側へ突出し、基板41と一体に形成される。補強板43は、補強板43の厚さ方向が鉛直方向に対して垂直又は略垂直になる状態で、配置される。支持板45は、補強板43に上部旋回体3の前方側から取付けられる。また、支持板45は、鉛直下側から基板41に当接し、基板41から鉛直下側へ突出する。支持板45は、支持板45の厚さ方向が鉛直方向に対して垂直又は略垂直になる状態で、配置される。また、支持板45は、鉛直下側から視てL字状又は略L字状なる状態に、延設される。
【0026】
支持板45は、板状部51,52を備える。板状部51は、上部旋回体3の幅方向に沿って延設される。また、板状部51の厚さ方向は、上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致する。板状部(第1の板状部)51は、2つの固定ボルト53を介して、上部旋回体3の前方側から補強板43に接続される。なお、図6では、2つの固定ボルト53の1つのみを示す。
【0027】
上部旋回体3では、板状部(第2の板状部)52は、板状部51の左方端から前方側に向かって延設される。板状部52の厚さ方向は、上部旋回体3の幅方向と一致又は略一致する。板状部52は、固定ボルト55、ナット56及びカラー57,58等を介して、上部旋回体3の幅方向の一方側から、カウンタウエイト16のブラケット33Aに接続される。本実施形態では、板状部52は、上部旋回体3の右方側からブラケット33Aに当接する。カラー57は、支持板45の板状部52に取付けられ、ブラケット33Aの貫通孔35において、カラー58と係合する。そして、固定ボルト55は、カラー57,58に挿通され、ナット56と螺合等によって係合する。このため、支持板45の板状部52、カウンタウエイト16のブラケット33A及びカラー57,58は、上部旋回体3の幅方向について、固定ボルト55の頭部とナット56との間で挟まれる。
【0028】
また、支持板45の板状部52は、上部旋回体3の幅方向について、固定ボルト55の頭部とカウンタウエイト16のブラケット33Aとの間で挟まれる。そして、固定ボルト55の頭部と支持板45の板状部52との間では、ワッシャー61が挟まれる。また、カウンタウエイト16のブラケット33Aは、上部旋回体3の幅方向について、支持板45の板状部52とカラー58との間で挟まれる。そして、カラー58とナット56との間では、ワッシャー62が挟まれる。前述のような構成であるため、基台40の支持板45は、カウンタウエイト16のブラケット33Aに対して拘束された状態で、ブラケット33Aに接続される。
【0029】
また、上部旋回体3は、2つのカバーフレーム63A,63B、上部カバー65、シュラウド66及び基台フレーム67を備える。図7は、カバーフレーム63A,63B、上部カバー65、シュラウド66、基台フレーム67及びこれらに関連する構成を示す。図2図3図4図7等に示すように、カバーフレーム63A,63B及びシュラウド66は、旋回テーブル11に鉛直上側から設置される。そして、エンジンルーム13では、カバーフレーム63A,63B及びシュラウド66は、エンジンに対して、上部旋回体3の幅方向の一方側に配置される。本実施形態の上部旋回体3では、カバーフレーム63A,63B及びシュラウド66は、エンジンに対して左方側に配置される。なお、エンジンルーム13では、エンジンからの排気ガスの後処理装置(図示しない)等が、上部旋回体3の幅方向について、エンジンに対してカバーフレーム63A,63Bが位置する側とは反対側(右方側)に配置される。
【0030】
カバーフレーム(第1のカバーフレーム)63Aは、2つの固定ボルト71Aを介して、旋回テーブル11に接続される。また、カバーフレーム(第2のカバーフレーム)63Bは、2つの固定ボルト71Bを介して、旋回テーブル11に接続される。カバーフレーム63A,63Bのそれぞれは、旋回テーブル11への接続位置から鉛直上側へ向かって延設される。なお、図7では、2つの固定ボルト71Aの1つのみを示し、2つの固定ボルト71Bの1つのみを示す。また、カバーフレーム63A,63Bのそれぞれは、天板部72を備える。カバーフレーム63A,63Bのそれぞれでは、天板部72によって、鉛直上側の端が形成される。また、カバーフレーム(第2のカバーフレーム)63Bは、上部旋回体3の後方側へ、カバーフレーム(第1のカバーフレーム)63Aから離れて配置される。
【0031】
カバーフレーム63A,63Bは、上部旋回体3の幅方向についてエンジンが位置する側とは反対側から、シュラウド66に取付けられる。本実施形態では、上部旋回体3の左方側から、カバーフレーム63A,63Bがシュラウド66に取付けられる。このため、カバーフレーム63A,63Bは、シュラウド66に対して、エンジンから遠い位置に配置される。カバーフレーム63Aは、中継板73を間に介して、シュラウド66に取付けられる。そして、中継板73は、固定ボルト75等を介してカバーフレーム63Aに接続され、固定ボルト76等を介してシュラウド66に接続される。シュラウド66には、熱交換器(図示しない)が設置される。シュラウド66に設置される熱交換器としては、オイルクーラ及びラジエータ等が挙げられる。
【0032】
上部カバー65は、鉛直上側からカバーフレーム63A,63Bに取付けられる。カバーフレーム63Aでは、2つの固定ボルト77Aを介して、上部カバー65が天板部72に接続される。また、カバーフレーム63Bでは、2つの固定ボルト77Bを介して、上部カバー65が天板部72に接続される。そして、上部カバー65は、カバーフレーム63Aの天板部72からカバーフレーム63Bの天板部72まで、すなわち、カバーフレーム63Aの鉛直上側の端部からカバーフレーム63Bの鉛直上側の端部まで、上部旋回体3の後方側へ向かって延設される。また、上部カバー65は、エンジンルーム13の上方壁(天壁)の一部を形成する。なお、図7では、2つの固定ボルト77Aの1つのみを示し、2つの固定ボルト77Bの1つのみを示す。
【0033】
基台フレーム(第2の基台)67は、上部カバー65と一緒に、カバーフレーム63A,63Bに取付けられる。基台フレーム67は、前述した2つの固定ボルト77Aを介して、上部カバー65と一緒にカバーフレーム63Aに接続される。また、基台フレーム67は、前述した2つの固定ボルト77Bを介して、上部カバー65と一緒にカバーフレーム63Bに接続される。基台フレーム67は、カバーフレーム63Aの天板部72からカバーフレーム63Bの天板部72まで、上部旋回体3の後方側へ向かって延設される。また、基台フレーム67は、鉛直上側から上部カバー65に当接する。このため、基台フレーム67は、上部カバー65において鉛直上側を向く表面に、設置される。
【0034】
基台フレーム67及び上部カバー65は、固定ボルト77Aのそれぞれの頭部とカバーフレーム63Aの天板部72との間で挟まれる。また、基台フレーム67及び上部カバー65は、固定ボルト77Bのそれぞれの頭部とカバーフレーム63Bの天板部72との間で挟まれる。前述のようにして基台フレーム67がカバーフレーム63A,63Bに取付けられるため、基台フレーム67は、カバーフレーム63A,63Bに対して拘束される。また、上部カバー65及び基台フレーム67は、上部旋回体3の幅方向について、エンジンに対してカバーフレーム63A,63Bが位置する側(左方側)に配置される。
【0035】
基台フレーム67は、はしご板部81及び台座(第2の台座)82を備える。はしご板部81は、鉛直上側から視てはしご形状になる。はしご板部81は、カバーフレーム63A,63Bの天板部72の間において、上部旋回体3の前後方向に沿って延設される。はしご板部81は、2つの柱状部85及び4つの柱状部86を備える。柱状部85は、上部旋回体3の幅方向について、互いに対して離れて配置される。そして、柱状部85のそれぞれは、上部旋回体3の前後方向に沿って延設される。また、柱状部86のそれぞれは、2つの柱状部85の間に、上部旋回体3の幅方向に沿って延設される。そして、柱状部86は、上部旋回体3の前後方向について、互いに対して離れて配置される。
【0036】
台座82は、はしご板部81の鉛直上側を向く表面に形成される。台座82は、溶接等によってはしご板部81の鉛直上側を向く表面に接合される。本実施形態の上部旋回体3では、はしご板部81の後方端部に、台座82が形成される。
【0037】
上部旋回体3では、アンテナユニット(第2のアンテナユニット)20Bは、基台フレーム67を間に介して、上部カバー65に取付けられる。アンテナユニット20Bは、台座82に鉛直上側から設置される。すなわち、アンテナユニット20Bは、台座82を間に介して、基台フレーム67のはしご板部81に鉛直上側から設置される。したがって、はしご板部81及び台座82は、鉛直下側からアンテナユニット20Bを支持する。アンテナユニット20Bの支柱22は、4つの固定ボルト87を介して、台座82に接続される。
【0038】
ここで、アンテナユニット20A,20Bの間の離間距離Dを規定する。また、上部旋回体3の幅方向についての上部旋回体3の寸法(幅)Wを規定する。離間距離Dは、寸法Wの2分の1倍より大きい。なお、図1では、離間距離D、及び、寸法Wの2分の1倍値(W/2)が示される。
【0039】
前述のように本実施形態では、基台40の基板41は、カウンタウエイト16において上部旋回体3の後方側へ向かって凹む凹部28の鉛直上側の端に取付けられ、基板41は、凹部28において鉛直上側に向かって開口する開口31を塞ぐ。そして、基台40では、支持板45は、基板41から鉛直下側へ突出する。そして、支持板45は、カウンタウエイト16において凹部28の底部32から上部旋回体3の前方側へ突出するブラケット33Aに対して拘束された状態で、ブラケット33Aに接続される。基台40に支持板45を設け、支持板45がカウンタウエイト16のブラケット33Aに対して拘束されるため、アンテナユニット20Aの設置箇所である基台40の剛性が高く確保される。これにより、アンテナユニット20Aが、カウンタウエイト16に強固に取付けられる。したがって、重量が大きく、かつ、支柱22が長いGNSSアンテナユニット等がアンテナユニット20Aとして用いられても、アンテナユニット20Aがカウンタウエイト16に強固かつ適切に取付けられる。
【0040】
また、本実施形態では、前述のように支持板45をカウンタウエイト16のブラケット33Aに接続等することにより、基台40がカウンタウエイト16に取付けられる。そして、基板41の鉛直上側を向く表面に形成された台座42に、アンテナユニット20Aが鉛直上側から設置される。このため、アンテナユニット20Aは、基台40を間に介して、カウンタウエイト16に容易に取付けられる。
【0041】
また、本実施形態では、基台40の基板41は、固定ボルト46を介して、カウンタウエイト16の凹部28の鉛直上側の端に、接続される。そして、基台40の支持板45は、固定ボルト55、ナット56及びカラー57,58等を介して、カウンタウエイト16のブラケット33Aに接続される。このため、溶接を行うことなく基台40がカウンタウエイト16に取付けられ、溶接を行うことなくアンテナユニット20Aが基台40を間に介してカウンタウエイト16に取付けられる。これにより、アンテナユニット20Aのカウンタウエイト16への取付け作業が、さらに容易になる。
【0042】
また、溶接を行うことなくアンテナユニット20Aがカウンタウエイト16に取付けられるため、既存の油圧ショベル1のカウンタウエイト16に後付けでアンテナユニット20Aを取付け可能になり、既存の油圧ショベル1に容易にアンテナユニット20Aを追加可能となる。また、溶接を行うことなくアンテナユニット20Aがカウンタウエイト16に取付けられるため、鋳造によって形成されたカウンタウエイト16にも、すなわち、金属製の板等を溶接できないカウンタウエイト16にも、アンテナユニット20Aを容易に取付け可能になる。また、前述のようにカウンタウエイト16に基台40が取付けられるため、カウンタウエイト16の製造において、基台40を鋳型内に配置した状態でカウンタウエイト16を形成する材料を鋳型内に流し込む必要はない。これにより、鋳造において発生する熱の基台40への影響が、抑制される。
【0043】
また、基台40の支持板45が接続されるブラケット33Aは、カウンタウエイト16の吊上げ時等においてワイヤロープが引掛けられる吊環とし機能する。したがって、カウンタウエイト16において、支持板45の接続箇所を新たに追加する必要がない。すなわち、カウンタウエイト16において新たな構造を追加することなく、アンテナユニット20Aの設置箇所である基台40の剛性が高く確保される。
【0044】
また、本実施形態では、基台フレーム67は、上部カバー65に鉛直上側から当接する。そして、基台フレーム67は、カバーフレーム63A,63Bに対して拘束された状態で、上部カバー65と一緒にカバーフレーム63A,63Bに取付けられる。前述のように基台フレーム67がカバーフレーム63A,63Bに取付けられるため、アンテナユニット20Bの設置箇所である基台フレーム67の剛性が高く確保される。これにより、アンテナユニット20Bが、カバーフレーム63A,63Bに強固に取付けられる。したがって、重量が大きく、かつ、支柱22が長いGNSSアンテナユニット等がアンテナユニット20Bとして用いられても、アンテナユニット20Bがカバーフレーム63A,63Bに強固かつ適切に取付けられる。
【0045】
また、基台フレーム67は、鉛直上側から視てはしご形状になるはしご板部81を備える。そして、アンテナユニット20Aは、台座82を間に介して、鉛直上側からはしご板部81に設置される。はしご板部81にアンテナユニット20Bが設置されるため、アンテナユニット20Bがより強固に設置される。
【0046】
また、アンテナユニット20A,20Bの間の離間距離Dは、上部旋回体3の幅方向についての上部旋回体3の寸法(幅)Wの2分の1倍より大きい。すなわち、アンテナユニット20A,20Bの間の離間距離Dは、ある程度の大きさに確保される。これにより、アンテナユニット20A,20BがGNSSアンテナユニットである場合等において、アンテナユニット20A,20Bのそれぞれのアンテナ(GNSSアンテナ)21は、GNSS衛星からの信号を適切に受信し、アンテナユニット20A,20Bによって位置情報等が適切に測定される。
【0047】
(変形例)
なお、前述の実施形態等では、アンテナユニット20Aが取付けられるカウンタウエイト16は、鋳造によって形成されるが、これに限るものではない。例えば、カウンタウエイト16が製缶加工によって形成される場合でも、前述の実施形態等と同様にして、アンテナユニット20Aがカウンタウエイト16に取付けられる。
【0048】
また、前述の実施形態等では、油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、前述したアンテナユニット20A,20Bの取付け構造は、下部走行体2及び上部旋回体3を備える建設機械であれば、適用可能である。前述の実施形態等の構成が適用される油圧ショベル1以外の建設機械としては、例えば、クレーンが挙げられる。
【0049】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0050】
1…油圧ショベル、2…下部走行体、3…上部旋回体、11…旋回テーブル、16…カウンタウエイト、20A…アンテナユニット(第1のアンテナユニット)、20B…アンテナユニット(第2のアンテナユニット)、28…凹部、31…開口、32…底部、33A,33B…ブラケット、40…基台(第1の基台)、41…基板、42…台座(第1の台座)、45…支持板、63A…カバーフレーム(第1のカバーフレーム)、63B…カバーフレーム(第2のカバーフレーム)、65…上部カバー、67…基台フレーム(第2の基台)、81…はしご板部、82…台座(第2の台座)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7