(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】3D印刷された基材を有する可撓性薄膜印刷バッテリ
(51)【国際特許分類】
H01M 6/40 20060101AFI20231128BHJP
B29C 64/10 20170101ALI20231128BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231128BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231128BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/06 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/08 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/12 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/42 20060101ALI20231128BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20231128BHJP
H01M 6/06 20060101ALI20231128BHJP
H01M 6/12 20060101ALI20231128BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231128BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20231128BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20231128BHJP
【FI】
H01M6/40
B29C64/10
B33Y10/00
B33Y80/00
H01M4/02 Z
H01M4/04 Z
H01M4/06 C
H01M4/06 R
H01M4/08 D
H01M4/12 C
H01M4/42
H01M4/48
H01M6/06 A
H01M6/12 Z
H01M10/04 Z
H01M50/429
H01M50/44
(21)【出願番号】P 2020074635
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィーン・チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・マクガイア
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジー・ザルツ
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0248524(US,A1)
【文献】特表2018-510474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/10
B33Y 10/00
B33Y 80/00
H01M 6/06
H01M 6/12
H01M 6/40
H01M 4/00-4/62
H01M 50/409
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性薄膜印刷バッテリを印刷するための方法であって、
3次元(three-dimensional、3D)プリンタを介して、前記可撓性薄膜印刷バッテリのカソード基材を印刷することと、
前記カソード基材上にカソード集電体を印刷することと、
前記カソード集電体上にカソード層を印刷することと、
前記3Dプリンタを介してアノード基材を印刷することと、
前記アノード基材上にアノード集電体を印刷することと、
前記アノード集電体上にアノード層を印刷することと、
前記カソード層及び前記アノード層と接触している電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜の周囲で、前記カソード基材及び前記アノード基材を結合することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記カソード基材又は前記アノード基材のうちの少なくとも1つが、印刷される物体の表面の形状に適合するように印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カソード基材又は前記アノード基材が、前記印刷される物体の一体部分として印刷される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面の形状が、湾曲している、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記表面の形状が、凸状である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ペーパセパレータ膜の周囲で、前記カソード基材及び前記アノード基材を結合することが、
縁部を加熱して、前記カソード層と前記アノード層との間に前記ペーパセパレータ膜を封止することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カソード集電体の端部及び前記アノード集電体の端部に銅テープを取り付けることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カソード層が、酸化マンガンを含み、前記アノード層が、亜鉛を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電解質が、塩化アンモニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記結合することが、熱接合プロセスを実行することを介して、前記ペーパセパレータ膜を封入することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、バッテリに関し、より具体的には、3D印刷された基材を有する可撓性薄膜印刷バッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル電子デバイスのサイズ、形状、及びフォームファクタの継続的な発展により、新しいバッテリ設計及び能力がもたらされている。人々は、携帯電話からの様々な異なる活動のためにポータブル電子デバイスを使用して、電子技術を、テキスタイル、ポータブルコンピューティングデバイスなどに追加している。技術が進歩するにつれて、デバイスのサイズは、これらの電子デバイスに電力を供給するバッテリのサイズと共に縮小し続ける。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に例解される態様によれば、可撓性印刷バッテリを印刷するための方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及び装置が提供される。本実施形態の開示された特徴の1つは、3次元(three-dimensional、3D)プリンタを介して、可撓性薄膜印刷バッテリの第1の基材を印刷することと、第1の基材上に第1の集電体を印刷することと、第1の集電体上に第1の層を印刷することと、3Dプリンタを介して第2の基材を印刷することと、第2の基材上に第2の集電体を印刷することと、第2の集電体上に第2の層を印刷することと、第1の層及び第2の層と接触している電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜の周囲で、第1の基材と第2の基材を結合することと、を含む、方法である。
【0004】
実施形態の別の開示された特徴は、可撓性印刷バッテリである。可撓性印刷バッテリは、3次元(3D)印刷された第1の基材と、第1の基材上の第1の集電体と、第1の集電体上の第1の層と、3D印刷された第2の基材と、第2の基材上の第2の集電体と、第2の集電体上の第2の層と、電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜と、を含み、第1の基材及び第2の基材は、セパレータ膜が第1の層及び第2の層と接触しているように、ペーパセパレータ膜の周囲で結合されている。
【0005】
実施形態の別の開示された特徴は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに動作を実行させる複数の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体である。動作は、可撓性印刷バッテリの第1の基材を印刷することと、第1の基材上に第1の集電体を印刷することと、第1の集電体上に第1の層を印刷することと、第2の基材を印刷することと、第2の基材上に第2の集電体を印刷することと、第2の集電体上に第2の層を印刷することと、を含み、第1の基材及び第2の基材は、第1の層及び第2の層と接触している電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜の周囲で結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の教示は、添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を考慮することによって容易に理解することができる。
【0007】
【
図1】本開示の3次元(3D)印刷された基材を有する例示的な可撓性印刷バッテリの断面ブロック図を例解する。
【
図2】本開示の3D印刷された基材を有する可撓性印刷バッテリのアセンブリのプロセスフロー図を例解する。
【
図3】本開示の3D印刷された可撓性印刷バッテリの統合された3D印刷された基材を有する3D印刷された物体の例を例解する。
【
図4】本開示の3D印刷された基材を有する可撓性印刷バッテリを印刷するための例示的な方法のフローチャートを例解する。
【
図5】本開示の3D印刷された可撓性バッテリ及び基材を有する3D印刷された物体を印刷するための例示的な方法のフローチャートを例解する。
【
図6】本明細書で説明する機能を実行する際の使用に好適なコンピュータの高レベルブロック図を例解する。
【0008】
理解を容易にするために、同一の参照番号が使用され、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、3D印刷された基材を有する可撓性印刷バッテリを印刷するための方法に関する。上で考察されるように、ポータブル電子デバイスのサイズ、形状、及びフォームファクタの継続的な発展により、新しいバッテリ設計及び能力をもたらされている。電子デバイスの設計の更なる進歩により、可撓性バッテリ給電式電子デバイスがもたらされている。
【0010】
現在入手可能な可撓性バッテリは、プラスチック基材上に印刷される。しかしながら、平坦なプラスチック基材が特定の表面に適用されると、可撓性バッテリが表面に滑らかに又は十分に接着しないことがある。例えば、印刷物体は、湾曲した又は不規則な表面を有してもよい。プラスチック基材上の既存の可撓性バッテリは、気泡、しわを有することがあるか、又は一般的に、湾曲した若しくは不規則な表面にわたって滑らかに接着しないことがある。
【0011】
加えて、プラスチック基材は、可撓性バッテリを形成するために一緒に結合される接着剤又は封止材の使用を必要とすることがある。接着剤は、コストを上げ、おそらくはバッテリ内に漏れて、故障などを引き起こすことがある。
【0012】
本開示の実施形態は、3D印刷された基材を有する可撓性印刷バッテリを提供する。換言すれば、3D印刷された基材を含めてバッテリ全体を印刷することができる。その結果、基材は、湾曲した又は不規則な表面に滑らかに接着するように印刷され得る。例えば、基材は、物体の表面に一致するように、任意の形状、形態、サイズ、寸法、テクスチャなどで印刷することができる。いくつかの実施例では、基材は、印刷されている3D物体の一体部分として印刷され得る。
【0013】
加えて、3D印刷された基材は、接着剤又は封入材の必要性を排除し得る。むしろ、バッテリの各半分の基材は、熱接合プロセスを介して結合され得る。熱接合は、基材の縁部を加熱してバッテリを封止し得る。
【0014】
図1は、例示的な3D印刷された基材100を有する可撓性印刷バッテリ(本明細書ではバッテリ100とも称される)の断面ブロック図を例解する。いくつかの実施形態では、可撓性印刷バッテリは、薄膜バッテリであり得る。
【0015】
一実施形態では、「可撓性」は、バッテリの形状が破壊することなく変更することができることを意味するように定義され得る。例えば、バッテリは、屈曲する、ねじれる、折り畳まれる、ロールすることなどが可能であり得る。一実施形態では、バッテリは、操作された形状を維持することなく、屈曲する、ねじれる、折り畳まれる、ロールすることなどが可能であり得るように、可撓性であり得る。一実施形態では、バッテリは、操作された形状を維持するように、屈曲する、ねじれる、折り畳まれる、ロールすることなどが可能であり得るように、可撓性であり得る。
【0016】
バッテリ100及びバッテリ100の各層は、
図1において縮尺どおりに描画されていないことに留意されたい。例えば、各層は、説明を容易にするために各層を容易に見ることができるように、より厚めに描画されていることがある。
【0017】
一実施形態では、バッテリ100は、カソード基材102、カソード集電体104、カソード層106、ペーパセパレータ膜108、アノード層110、アノード集電体112、及びアノード基材114を含み得る。一実施形態では、カソード基材102及びアノード基材114は、3Dプリンタを介して製造され得る。平坦なプラスチック基材を使用する他の印刷又は可撓性バッテリとは異なり、本開示は、カソード基材102及びアノード基材114を、薄膜可撓性バッテリの残りの部分と共に印刷する。
【0018】
カソード基材102及びアノード基材114を印刷することにより、バッテリ100は、3D印刷された物体の外面と一致する任意の形状、表面、輪郭、テクスチャなどを有することを可能にし得る。したがって、カソード基材102及びアノード基材114は、電子デバイスに使用される任意のタイプの3D印刷された物体又は形状についてオンデマンドでデジタル的に作製され得る。例えば、3D印刷された物体は、湾曲した又は凸状の外面を有し得る。以前の平坦なプラスチック基材を使用する可撓性バッテリの設計は、平坦なプラスチック基材が3D印刷された物体の湾曲した外面に結合されるときに、気泡又はしわを生成することがある。
【0019】
対照的に、本開示は、3D印刷された物体の湾曲した又は凸状の外面の形状と一致するように印刷することができる3D印刷されたカソード基材102及びアノード基材114を提供する。3D印刷された物体が、バンプ、不規則な形状、テクスチャ表面などを含む場合、カソード基材102及び/又はアノード基材114は、バンプ、不規則な形状、テクスチャ表面などに対応する完全に一致する表面を有するように印刷することができる。
【0020】
一実施例では、カソード基材102及び/又はアノード基材114は、以下に更に詳細に考察され述べるように、3D印刷された物体一部として印刷され得る。換言すれば、カソード基材102及び/又はアノード基材114は、3D印刷された物体の一体部分として印刷され得る。別の言い方をすれば、カソード基材102及び/又はアノード基材114及び3D印刷された物体は、単一の部品として印刷され得る。
【0021】
加えて、カソード基材102及びアノード基材114を印刷することによって、基材は、接着剤又は封入剤を使用せずに熱接合することができる。例えば、カソード基材102及びアノード基材114の縁部に熱を加えて、いかなる接着剤又は封止材も使用せずに、バッテリ100の縁部を溶融及び封止することができる。
【0022】
一実施形態では、カソード基材102及びアノード基材114は、薄膜可撓性バッテリと適合性がある任意のタイプの材料を使用して、3Dプリンタにおいて印刷され得る。例えば、カソード基材102及びアノード基材114は、Ninjaflexなどの材料を使用して印刷され得る。Ninjaflexは、非常に可撓性があり、NinjaTekから市販されている丈夫なグレードの熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)である。一般的なクラスの熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer、TPE)又はTPUからの他の可撓性のある3D印刷されたポリマーも使用され得る。材料の例としては、ポリエステル共重合ポリアミド熱可塑性エラストマー(polyester copolyamide thermoplastic elastomer、PCTPE)、ソフトポリ乳酸(polylactic acid、PLA)(例えば、軟化させる特定のケミカルにおいて飽和したPLA)などが含まれ得る。
【0023】
一実施形態では、カソード集電体104は、カソード基材102上に印刷され得る。アノード集電体112は、アノード基材114上に印刷され得る。カソード集電体104及びアノード集電体112は、銀(silver、Ag)を使用して印刷され得る。
【0024】
一実施形態では、カソード層106は、カソード集電体104上に印刷され得る。アノード層110はアノード集電体112上に印刷され得る。一実施形態では、カソード層106は、酸化マンガン(manganese oxide、MnO2)を使用して印刷されてもよく、アノード層110は亜鉛(zinc、Zn)を使用して印刷されてもよい。
【0025】
一実施形態では、カソード集電体104、カソード層106、アノード層110、及びアノード集電体112は、任意の利用可能な印刷方法を使用して印刷されてもよい。一実施形態では、カソード集電体104、カソード層106、アノード層110、及びアノード集電体112は、スクリーン印刷され得る。別の実施形態では、カソード集電体104、カソード層106、アノード層110、及びアノード集電体112は、金属が3D印刷可能な形態で提供されるときに3D印刷され得る。
【0026】
一実施形態では、カソード部分(例えば、カソード基材102、カソード集電体104、及びカソード層106)は、ペーパセパレータ膜108の周囲で、アノード部分(例えば、アノード基材114、アノード集電体112、及びアノード層110)に結合され得る。換言すれば、ペーパセパレータ膜108は、カソード層106とアノード層110との間に配置され得る。ペーパセパレータ膜108は、電解質で湿潤されたペーパ材料であり得る。一実施形態では、電解質は、塩化アンモニウム(ammonium chloride、NH4Cl)であり得る。
【0027】
図2は、バッテリ100を製造するためのプロセスフロー200の一例を例解する。一実施形態では、ブロック202において、カソード基材102及びアノード基材114が印刷され得る。上記のように、以下で更に詳細に考察されるように、カソード基材102及び/又はアノード基材114は、3D印刷された物体の一部として印刷され得る。カソード基材102及びアノード基材114は、
図2では平坦であるものとして例解されているが、上記のように、カソード基材102及びアノード基材114は、3D印刷された物体の外面(例えば、湾曲した又は凸状の表面)と実質的に同様である任意の形状を有するように3D印刷され得ることに留意されたい。
【0028】
カソード基材102及びアノード基材114は、実質的に同様の形状を有するように印刷され得る。例えば、カソード基材102が凸状の湾曲部として印刷される場合、アノード基材114も、カソード基材102と等しい量の曲率を有する凸状の湾曲部として印刷され得る。
【0029】
ブロック204において、カソード集電体104はカソード基材102上に印刷されてもよく、アノード集電体112はアノード基材114上に印刷されてもよい。一実施形態では、カソード集電体104及びアノード集電体は、接続を行うことができるタブ部分150及び152をそれぞれ含むように印刷され得る。一実施形態では、カソード集電体104及びアノード集電体112は、銀で印刷され得る。
【0030】
ブロック206において、カソード層106はカソード集電体104上に印刷されてもよく、アノード層110はアノード集電体112上に印刷されてもよい。集電体104のタブ150及びアノード集電体112のタブ152は、視認可能であり得る。カソード層106は、MnO2を使用して印刷されてもよく、アノード層110は、Znを使用して印刷されてもよい。
【0031】
ブロック208において、ペーパセパレータ膜108は、カソード層106上に適用され得る。一実施形態では、ペーパセパレータ膜108は、カソード層106の代わりにアノード層110に適用され得る。ペーパセパレータ膜108は、電解質で湿潤されてもよい。一実施形態では、電解質は、NH4Clであり得る。
【0032】
ブロック210において、カソード部分(例えば、カソード基材102、カソード集電体104、カソード層106、及びペーパセパレータ膜108)は、アノード部分(例えば、アノード基材114、アノード集電体112、及びアノード層110)に結合され得る。ブロック210は、依然として視認可能であるアノード集電体112のタブ部分152を例解する。カソード集電体104のタブ部分150も露出され得るが、下を向いている(例えば、ブロック210に例解されるように上から見たときには隠れている)。
【0033】
一実施形態では、カソード基材102は、バッテリ100を封止するためにアノード基材114に熱接合され得る。例えば、カソード基材102及びアノード基材114の縁部又は周辺部に熱を加える熱接合プロセスが実行されて、バッテリ100を封止し得る。特に、カソード基材102をアノード基材114に結合するために、接着剤又は封止材は不要である。
【0034】
ブロック212において、導電性材料116及び118が使用されて、カソード集電体104のタブ部分150及びアノード集電体112のタブ部分152をそれぞれ覆い得る。導電性材料116及び118は、金属箔であり得る。一実施形態では、導電性材料116及び118は銅箔であり得る。カソード集電体104のタブ部分150のための導電性材料116は、ブロック212において隠れて見えない場合があるが、ブロック212において破線として示されている。
【0035】
図3は、3D印刷された物体302の例を例解する。一実施例では、3D印刷された物体302は、付加印刷プロセスにおいて層ごとに印刷され得る。例えば、溶融堆積モデリング(fused deposition modeling、FDM)、選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)、選択的レーザ溶融(selective laser melting、SLM)、結合剤噴射などの任意のタイプの3D印刷プロセスを使用することができる。
【0036】
一実施形態では、カソード基材102は、3D物体302の一体部分として印刷され得る。換言すれば、カソード基材102は、3D物体302を印刷するために使用される3Dプリンタと同じコード又は命令の一部であり得る。別の言い方をすれば、カソード基材102及び3D印刷された物体302は、単一の印刷プロセス又は3Dプリンタに供給される印刷命令から形成又は印刷された単一の一体型部品として印刷され得る。カソード基材102が3D物体302の一体部分として印刷されているものとして示されているが、カソード基材102ではなくアノード基材114が3D物体302の一体部分として印刷される場合もあることに留意されたい。
【0037】
アノード基材114は、カソード基材102と同様の形状を有するように印刷され得る。バッテリ100は、上述のようにバッテリ100の層を印刷し、アノード基材114をカソード基材102に結合することによって完成され得る。上記のように、アノード基材114が、熱接合プロセスを使用し、接着剤なしでカソード基材102に結合され得る。
【0038】
図3は、球体としての3D印刷された物体302を例解しているが、3D印刷された物体302は、任意のタイプの形状、湾曲部、一連の凸状及び凹状の湾曲部、表面上のテクスチャ、不規則な形状などを有し得ることに留意されたい。カソード基材102及び/又はアノード基材114は、任意のタイプの形状、湾曲部、一連の凸状及び凹状の湾曲部、表面上のテクスチャ、不規則な形状などを含む3D印刷された物体302の外面と実質的に同様の形状を有するように印刷され得る。
【0039】
図4は、3D印刷された基材を有する可撓性印刷バッテリを印刷する例示的な方法400のフローチャートを例解する。一実施形態では、方法400の1つ以上のステップ又は動作は、3Dプリンタ、スクリーン印刷などの他の印刷方法、又は
図6に例解され、下記で説明する、印刷動作(例えば、3Dプリンタ、スクリーン印刷装置など)を実行する1つ以上の異なるデバイスの動作を制御し得るコンピュータ600によって実行され得る。
【0040】
ブロック402において、方法400は開始する。ブロック404において、方法400は、可撓性印刷バッテリの第1の基材を印刷する。一実施形態では、第1の基材は、バッテリのための基材として好適であるか、又はこれと適合性がある、任意のタイプの材料を使用して3D印刷され得る。第1の基材は、印刷される3D物体の外面と実質的に同様の形状を有するように印刷され得る。3D物体は、3D印刷された基材を有する可撓性薄膜印刷バッテリを使用し得る電子デバイスの一部であり得る。第1の基材の形状は、湾曲した、凸状、凹状、不規則、テクスチャを施した、一連の凹状及び凸状の湾曲部又は不規則な形状などであり得る。
【0041】
ブロック406において、方法400は、第1の基材上に第1の集電体を印刷する。第1の集電体は、バッテリへの回路を完成させるための接続領域を提供するタブ部分を有して印刷され得る。
【0042】
ブロック408において、方法400は、第1の集電体上に第1の層を印刷する。第1の層は、第1の集電体を実質的に覆うように印刷され得る。一実施形態では、第1の集電体及び第1の層は、第1の基材とは異なる印刷方法を介して印刷され得る。例えば、第1の集電体及び第1の層は、スクリーン印刷動作を介して印刷され得る。別の実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層は、同じ印刷方法(例えば、3D印刷)を使用して印刷され得る。
【0043】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層は、カソードであり得る。第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がカソードであるときに、第1の集電体は、銀を使用して印刷されてもよく、第1の層は、MnO2を使用して印刷されてもよい。
【0044】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層は、アノードであり得る。第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がアノードであるときに、第1の集電体は、銀を使用して印刷されてもよく、第1の層は、Znを使用して印刷されてもよい。換言すれば、カソード又はアノードのいずれかが最初に印刷され得る。
【0045】
ブロック410において、方法400は、第2の基材を印刷する。第2の基材は、印刷される第1の基材と同じ材料を使用して印刷され得る。第2の基材及び第1の基材は、3Dプリンタにおいて同時に印刷され得る。第2の基材は、第1の基材と実質的に同様の形状を有するように印刷され得る。
【0046】
ブロック412において、方法400は、第2の基材上に第2の集電体を印刷する。第2の集電体は、バッテリへの回路を完成させるための接続領域を提供するタブ部分を有して印刷され得る。
【0047】
ブロック414において、方法400は、第2の集電体上に第2の層を印刷する。第2の層は、第2の集電体を実質的に覆うように印刷され得る。一実施形態では、第2の集電体及び第2の層は、第2の基材とは異なる印刷方法を介して印刷され得る。例えば、第2の集電体及び第2の層は、スクリーン印刷動作によって印刷され得る。別の実施形態では、第2の基材、第2の集電体及び第2の層は、同じ印刷方法(例えば、3D印刷)を使用して印刷され得る。
【0048】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がカソードである場合、第2の基材、第2の集電体、及び第2の層は、アノードであり得る。一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がアノードである場合、第2の基材、第2の集電体、及び第2の層は、カソードであり得る。
【0049】
ブロック416において、方法400は、第1の層及び第2の層と接触している電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜の周囲で、第1の基材及び第2の基材を結合する。例えば、ペーパセパレータ膜は、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられ、第1の層及び第2の層と接触し得る。ペーパセパレータ膜は、NH4Clなどの電解質で湿潤され得る。しかしながら、バッテリに使用され得る任意の電解質が使用され得ることに留意されたい。
【0050】
一実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、接着剤又は封止材を使用せずに一緒に結合され得る。例えば、第1の基材及び第2の基材は、熱接合プロセスによって結合され得る。第1の基材及び第2の基材の縁部周りに熱が加えられて、基材材料を一緒に熱接合し、第1の基材及び第2の基材の周囲又は縁部周りに封止を形成し得る。
【0051】
一実施形態では、導電層又は材料が、依然として露出し得る第1の集電体及び第2の集電体のタブ部分を覆うために使用され得る。導電層は、銅箔などの任意のタイプの金属材料であり得る。ブロック418において、方法400は、終了する。
【0052】
図5は、3D印刷された可撓性バッテリ及び基材を有する3D印刷された物体を印刷するための例示的な方法500のフローチャートを例解する。一実施形態では、方法500の1つ以上のステップ又は動作は、3Dプリンタ、スクリーン印刷などの他の印刷方法、又は
図6に例解され、下記で説明する、印刷動作(例えば、3Dプリンタ、スクリーン印刷装置など)を実行する1つ以上の異なるデバイスの動作を制御し得るコンピュータ600によって実行され得る。
【0053】
ブロック502において、方法500は開始する。ブロック504において、方法500はオブジェクトを印刷する。例えば、物体は、可撓性薄膜バッテリを使用する電子デバイスの一部であり得る。物体は、湾曲した外面又はいくつかの他の不規則な形状を有し得る。
【0054】
ブロック506において、方法500は、物体の外面上に可撓性印刷バッテリの第1の基材を印刷する。第1の基材は、物体を印刷するために使用されるものと同じ材料を使用して印刷され得る。第1の基材は、物体の一体部分として印刷され得る。換言すれば、第1の基材及び物体は、単一の一体型部品として印刷され得る。別の言い方をすれば、オブジェクト及び第1の基材は、単一の3D印刷プロセス又は3Dプリンタによって実行される3D印刷命令の一部として印刷され得る。第1の基材は、物体の外面の形状と一致する形状を有するように印刷され得る。その結果、可撓性印刷バッテリの第1の基材及び後続の層は、より滑らかで物体に対するより良好な接着性を有し得る。
【0055】
ブロック508において、方法500は、第1の基材上に第1の集電体を印刷する。第1の集電体は、バッテリへの回路を完成させるための接続領域を提供するタブ部分を有して印刷され得る。
【0056】
ブロック510において、方法500は、第1の集電体上に第1の層を印刷する。第1の層は、第1の集電体を実質的に覆うように印刷され得る。一実施形態では、第1の集電体及び第1の層は、第1の基材とは異なる印刷方法を介して印刷され得る。例えば、第1の集電体及び第1の層は、スクリーン印刷動作を介して印刷され得る。別の実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層は、同じ印刷方法(例えば、3D印刷)を使用して印刷され得る。
【0057】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層は、カソードであり得る。第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がカソードであるときに、第1の集電体は銀を使用して印刷されてもよく、第1の層はMnO2を使用して印刷されてもよい。
【0058】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層はアノードであり得る。第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がアノードであるときに、第1の集電体は銀を使用して印刷されてもよく、第1の層はZnを使用して印刷されてもよい。換言すれば、カソード又はアノードのいずれかが最初に印刷され得る。
【0059】
ブロック512において、方法500は、第2の基材を印刷する。第2の基材は、印刷される第1の基材と同じ材料を使用して印刷され得る。第2の基材は、第1の基材と実質的に同様の形状を有するように印刷され得る。
【0060】
ブロック514において、方法500は、第2の基材上に第2の集電体を印刷する。第2の集電体は、バッテリへの回路を完成させるための接続領域を提供するタブ部分を有して印刷され得る。
【0061】
ブロック516において、方法500は、第2の集電体上に第2の層を印刷する。第2の層は、第2の集電体を実質的に覆うように印刷され得る。一実施形態では、第2の集電体及び第2の層は、第2の基材とは異なる印刷方法を介して印刷され得る。例えば、第2の集電体及び第2の層は、スクリーン印刷動作によって印刷され得る。別の実施形態では、第2の基材、第2の集電体及び第2の層は、同じ印刷方法(例えば、3D印刷)を使用して印刷され得る。
【0062】
一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がカソードである場合、第2の基材、第2の集電体、及び第2の層はアノードであり得る。一実施形態では、第1の基材、第1の集電体、及び第1の層がアノードである場合、第2の基材、第2の集電体、及び第2の層はカソードであり得る。
【0063】
ブロック518において、方法500は、熱接合プロセスを介して第2の基材を第1の基材に結合して、第1の層及び第2の層と接触している電解質で湿潤されたペーパセパレータ膜を封入する。例えば、ペーパセパレータ膜は、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられ、第1の層及び第2の層と接触し得る。ペーパセパレータ膜は、NH4Clなどの電解質で湿潤され得る。しかしながら、バッテリに使用され得る任意の電解質が使用され得ることに留意されたい。
【0064】
一実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、接着剤又は封止材を使用せずに一緒に結合され得る。例えば、第1の基材及び第2の基材は、熱接合プロセスによって結合され得る。第1の基材及び第2の基材の縁部周りに熱が加えられて、基材材料を一緒に熱接合し、第1の基材及び第2の基材の周囲又は縁部周りに封止を形成し得る。
【0065】
一実施形態では、導電層又は材料が、依然として露出し得る第1の集電体及び第2の集電体のタブ部分を覆うために使用され得る。導電層は、銅箔などの任意のタイプの金属材料であり得る。ブロック520において、方法500は、終了する。
【0066】
決定動作を規定するか、又は決定を伴う
図4及び
図5のブロックは、決定動作の両方の分岐が実施されることを必ずしも必要としないことに留意されたい。言い換えると、決定動作の分岐のうちの1つを、任意のステップとみなすことができる。加えて、上述の方法400及び方法500の1つ以上のステップ、ブロック、機能、若しくは動作は、本開示の例示的な実施形態から逸脱することなく、任意のステップを含んでもよいか、又は組み合わせ、分離し、及び/若しくは上述のものとは異なる順序で実行することができる。
【0067】
図6は、本明細書で説明される機能の実行専用であるコンピュータの高レベルブロック図を描写する。
図6に描写されるように、コンピュータ600は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素602(例えば、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ)、メモリ604、例えばランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)及び/又は読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、可撓性薄膜印刷バッテリを印刷するためのモジュール605、様々な入出力デバイス606(例えば、テープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ、又はコンパクトディスクドライブを含むが、これらに限定されない、記憶デバイス、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、音声合成器、出力ポート、入力ポート、及びユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロフォンなど))を含む。1つのプロセッサ要素のみが示されているが、コンピュータは、複数のプロセッサ要素を採用してもよいことに留意されたい。更に、1つのコンピュータのみが図に示されているが、上で考察される方法(単数又は複数)が、特定の例解的な例のために分散又は並列方式で実装される場合、すなわち、上記方法(単数又は複数)又は方法全体のステップが複数のコンピュータ又は並列コンピュータにわたって実装される場合、この図のコンピュータは、それら複数のコンピュータのそれぞれを表すことが意図される。更に、仮想化又は共有コンピューティング環境をサポートするために、1つ以上のハードウェアプロセッサを利用することができる。仮想化コンピューティング環境は、コンピュータ、サーバ、又は他のコンピューティングデバイスを表す1つ以上の仮想マシンをサポートし得る。このような仮想化された仮想マシンでは、ハードウェアプロセッサなどのハードウェア構成要素及びコンピュータ可読記憶デバイスが、仮想化又は論理的に表されてもよい。
【0068】
本開示は、例えば、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)、若しくはハードウェアデバイス上に展開されたステートマシン、コンピュータ、又は任意の他のハードウェア等価物、例えば、上で考察される方法(複数可)に関連し、上記に開示した方法のステップ、機能、及び/又は動作を実行するハードウェアプロセッサを構成するために使用することができるコンピュータ可読命令を使用して、ソフトウェア及び/又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装することができることに留意されたい。一実施形態では、可撓性薄膜印刷バッテリを印刷するための本モジュール又はプロセス605のための命令及びデータ(例えば、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアプログラム)は、メモリ604にロードされ、ハードウェアプロセッサ要素602によって実行されて、例示的な方法400及び方法500に関連する上で考察されるようなステップ、機能、又は動作を実装することができる。更に、ハードウェアプロセッサが命令を実行して「動作」を行うときに、これはハードウェアプロセッサが直接的に動作を実行するかつ/あるいは動作を行う別のハードウェアデバイス又は構成要素(例えば、コプロセッサなど)を容易にする、それに指向する、あるいはそれと協働することを含むことができる。
【0069】
上記に説明した方法に関するコンピュータ読み取り可能又はソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラムされたプロセッサ又は専門プロセッサとして認識されることができる。したがって、本開示の可撓性薄膜印刷バッテリを印刷するための本モジュール605(関連するデータ構造を含む)は、有形又は物理的(広義的には非一時的)コンピュータ可読記憶デバイス又は媒体、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気又は光学ドライブ、デバイス又はディスケットなどに記憶することができる。より具体的には、コンピュータ読み取り可能記憶デバイスが、プロセッサ又はコンピュータ、アプリケーションサーバなどの計算デバイスによってアクセスされるデータ、命令などの情報を記憶する能力を提供する任意の物理的デバイスを含んでもよい。
【0070】
様々な上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。