(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20231128BHJP
B65D 5/4805 20060101ALI20231128BHJP
B65D 71/58 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B65D5/44 E
B65D5/4805
B65D71/58
(21)【出願番号】P 2020083570
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2023-02-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月31日に株式会社博報堂プロダクツに販売 令和1年12月20日に株式会社博報堂プロダクツに販売 令和2年4月10日に株式会社博報堂プロダクツに販売 令和2年4月20日に株式会社博報堂プロダクツに販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】鯉沼 尚久
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-91851(JP,A)
【文献】実開昭49-51633(JP,U)
【文献】特開平11-236033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/4805
B65D 71/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(23)を有すると共に上面に開口を有する包装箱(1)であって、
背面壁(10)と、
前記背面壁の下側に空間を挟んで対向配置される正面壁(12)と、
前記背面壁と前記正面壁との間において前記背面壁の上側に対向配置され、前記正面壁との間に被包装物(M)を収容する収容空間(S1)を形成する中間壁(14)と、
前記背面壁と前記正面壁と前記中間壁との左右方向の一端を連結する第1側壁(11)と、
前記背面壁と前記正面壁との左右方向の他端を連結する第2側壁(13)と、
前記第2側壁の前端と前記中間壁の左右方向の他端とを連結し、前記第2側壁の内面に重なる連結壁(15)と、
前記第2側壁の上端部に連設され、または、前記第2側壁の一部を切断することで形成され、内側に折り返されて前記連結壁の少なくとも一部に覆設された状態において前記正面壁と前記中間壁と前記第2側壁のうち少なくとも1つに係止される補強片(20)と、を備えたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記正面壁と前記中間壁との間に架設され、複数の前記収容空間を形成する仕切壁(16)を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記中間壁は、前記背面壁との間に第2の収容空間(S2)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記中間壁の上端から上方に延設され、正面把持穴(41)を有する正面把持壁(40)と、
前記正面把持壁の上端に連設され、背面把持穴(44)を有し、前記正面把持壁との境界で折り返されることで前記背面把持穴が前記正面把持穴に対向するように前記正面把持壁の背面に重なり、その先端側が前記第2の収容空間に配置される背面把持壁(43)と、
前記背面壁の上端に連設され、前記第2の収容空間に配置された前記背面把持壁の先端側を押さえながら前記第2の収容空間の上面開口を閉塞する蓋部(22)と、を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を入れ、運搬するためのバスケット型のキャリヤが知られている(特許文献1)。バスケット型のキャリヤは、互いに対向する第1・第2端パネルと、第1・第2端パネルに接続されて互いに対向する第1・第2側パネルと、端パネルおよび側パネルに接続された自動式底部と、を備えていた。また、バスケット型のキャリヤは、第1端パネルに接続された第2ハンドルパネルと、第2端パネルに接続された第3ハンドルパネルと、第2ハンドルパネルに接続された第1ハンドルパネルと、を備えていた。第1ハンドルパネルは第2ハンドルパネルに接着され、第3ハンドルパネルは第1ハンドルパネルに接着され、3層の中央ハンドルが構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したバスケット型のキャリヤでは第1~第3ハンドルパネルが重ねられて接着されるため、キャリヤとして十分な強度が確保されていた。しかしながら、上記したバスケット型のキャリヤでは、第1~第3ハンドルパネルを所定の順序で重ねて接着しなければならず、組み立てに多くの手間と時間がかかるという問題があった。仮に、第1~第3ハンドルパネルを接着しない場合、組み立てにかかる手間や時間を軽減することができるが、キャリヤとして必要な強度を確保することができず、キャリヤが変形し易くなる等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、必要な強度を維持しながら簡単に組み立てることができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、底部を有すると共に上面に開口を有する包装箱であって、背面壁と、前記背面壁の下側に空間を挟んで対向配置される正面壁と、前記背面壁と前記正面壁との間において前記背面壁の上側に対向配置され、前記正面壁との間に被包装物を収容する収容空間を形成する中間壁と、前記背面壁と前記正面壁と前記中間壁との左右方向の一端を連結する第1側壁と、前記背面壁と前記正面壁との左右方向の他端を連結する第2側壁と、前記第2側壁の前端と前記中間壁の左右方向の他端とを連結し、前記第2側壁の内面に重なる連結壁と、前記第2側壁の上端部に連設され、または、前記第2側壁の一部を切断することで形成され、内側に折り返されて前記連結壁の少なくとも一部に覆設された状態において前記正面壁と前記中間壁と前記第2側壁のうち少なくとも1つに係止される補強片と、を備えた。
【0007】
この場合、前記正面壁と前記中間壁との間に架設され、複数の前記収容空間を形成する仕切壁を更に備えてもよい。
【0008】
この場合、前記中間壁は、前記背面壁との間に第2の収容空間を形成してもよい。
【0009】
この場合、前記中間壁の上端から上方に延設され、正面把持穴を有する正面把持壁と、前記正面把持壁の上端に連設され、背面把持穴を有し、前記正面把持壁との境界で折り返されることで前記背面把持穴が前記正面把持穴に対向するように前記正面把持壁の背面に重なり、その先端側が前記第2の収容空間に配置される背面把持壁と、前記背面壁の上端に連設され、前記第2の収容空間に配置された前記背面把持壁の先端側を押さえながら前記第2の収容空間の上面開口を閉塞する蓋部と、を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、包装箱に必要な強度を維持しながら包装箱を簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱を組み立てる過程を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱であって、補強片を内側に折り返した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の後方を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る包装箱の一部を示す側断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の変形例に係る包装箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向は左右方向に直交し、上下方向は前後方向と左右方向とに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てて使用する状態における方向や位置を基準にしている。
【0013】
図1および
図2を参照して、一実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、包装箱1は、底部23(
図2参照)を有すると共に上面に開口を有するバスケット型の容器である。包装箱1は、例えば、3つの飲料缶M(被包装物の一例)を収容する収容空間S1を有し、運搬時にユーザに把持される把持部21を備えている。なお、包装箱1に収容される被包装物は、飲料缶Mに限らず、瓶やペットボトル等でもよいし、その他、収容空間S1に収容可能な物であれば如何なる物でもよい。
【0015】
包装箱1は、
図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。ブランク5は、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図3参照)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートから形成されている。ブランク5は、例えば、一枚の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、
図2は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向(中しん9A)に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0016】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、背面壁10と、第1側壁11と、正面壁12と、第2側壁13と、中間壁14と、連結壁15と、2つの仕切壁16と、補強片20と、把持部21と、蓋部22と、底部23と、を備えている。
【0017】
背面壁10、第1側壁11、正面壁12および第2側壁13は、この順番で段方向の一方から他方に向かって並設され、且つ第1折曲線L1を介して連設されている。
【0018】
<背面壁、第1側壁>
背面壁10は、段方向に長い略長方形状に形成されている。背面壁10の段方向の一端には、第1折曲線L1を介して継代片17が連設されている。第1側壁11は、正面壁12側が一段下がった略L字状に形成されている。第1側壁11の下端の段方向の寸法(前後幅)は、背面壁10の段方向の寸法(左右幅)の半分程度である。詳細は後述するが、第1側壁11の一段下がった部分には、中間壁14が配置されている。第1側壁11は、段方向(水平方向)に延びた第1水平切目線31によって中間壁14と区画されている。なお、第1側壁11の後側の上端には、第2折曲線L2を介して上内フラップ18が連設されている。
【0019】
<正面壁>
正面壁12は、第1側壁11のL字の段方向の先端に連設され、概ね長方形状に形成されている。正面壁12の段方向の寸法(左右幅)は背面壁10の段方向の寸法(左右幅)と略同一で、正面壁12の流れ方向の寸法(高さ)は背面壁10の流れ方向の寸法(高さ)の半分程度である。詳細は後述するが、正面壁12の上側には、2つの仕切壁16と連結壁15とが配置されている。正面壁12は、段方向一方から他方に向けて湾曲しながら下方に延びた2つの下湾曲切目線33と、2つの下湾曲切目線33の下端から上方に延びた2つの第1仕切折線L11とによって2つの仕切壁16と区画されている。また、正面壁12は、段方向(水平方向)に延びた第2水平切目線32によって連結壁15と区画されている。第1側壁11側に位置する下湾曲切目線33は、第1水平切目線31に連続して形成されている。
【0020】
<第2側壁>
第2側壁13は、略長方形状に形成されている。第2側壁13の段方向の寸法(前後幅)は第1側壁11の前後幅と略同一で、第2側壁13の流れ方向の寸法(高さ)は背面壁10の高さと略同一である。
【0021】
<中間壁>
中間壁14は、正面壁12よりも上方において第1側壁11と正面壁12とに跨るように設けられている。中間壁14は、第1側壁11の一段下がった部分に配置され、流れ方向(鉛直方向)に延びた第1中間折線L13を介して第1側壁11に連設されている。中間壁14は概ね長方形状に形成されており、中間壁14の段方向の寸法(左右幅)は正面壁12の左右幅と略同一である。既に説明したように、中間壁14と第1側壁11との境界には第1水平切目線31が形成されている。
【0022】
中間壁14と正面壁12との間には、2つの仕切壁16が配置されている。中間壁14は、2つの下湾曲切目線33と略平行に形成された2つの上湾曲切目線34と、2つの上湾曲切目線34の上端から下方に延びた2つの第2仕切折線L12とによって2つの仕切壁16と区画されている。第2側壁13側に位置する上湾曲切目線34は、第2水平切目線32に連続して形成されている。第1側壁11側に位置する第2仕切折線L12は、第1側壁11と正面壁12との境界となる第1折曲線L1に連続して形成されている。また、2つの上湾曲切目線34の間に位置する第2仕切折線L12は、2つの下湾曲切目線33の間に位置する第1仕切折線L11に連続して形成されている。
【0023】
<連結壁>
連結壁15は、第2側壁13と中間壁14との間に配置されている。既に説明したように、連結壁15と正面壁12との境界には第2水平切目線32が形成されている。連結壁15は、第1側壁11の一段下がった部分に配置された中間壁14の一部と略同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。
【0024】
連結壁15は、連結折線L15を介して第2側壁13の段方向の一端(前端)に連設され、第2中間折線L14を介して中間壁14の段方向の他端(右端)に連設されている。連結折線L15は、正面壁12と第2側壁13との境界となる第1折曲線L1に連続して形成されている。第2中間折線L14は、第2側壁13側に位置する第1仕切折線L11に連続して形成されている。第2中間折線L14は連結壁15の下端まで延設されておらず、中間壁14の下部には略矩形状の係止穴36を開口させるための係止切目線35が形成されている。係止切目線35は、第2中間折線L14から中間壁14側に向かって突き出すように倒立した略L字状に形成されている。
【0025】
<仕切壁>
2つの仕切壁16は、それぞれ、下湾曲切目線33、上湾曲切目線34、第1仕切折線L11および第2仕切折線L12とで囲まれた範囲に形成されている。各仕切壁16は、段方向一方から他方に向けて下方に曲がった略扇状に形成されている。各仕切壁16は、第1仕切折線L11を介して正面壁12に連設され、第2仕切折線L12を介して中間壁14に連設されている。つまり、各仕切壁16は、正面壁12と中間壁14との間に架設されている。
【0026】
<補強片>
補強片20は、一対の補強折線L16を介して第2側壁13の上端部に連設されている。正確には、補強片20は、第2側壁13の上端部の連結壁15側(前側)に連設されている。一対の補強折線L16は僅かな間隔をあけて略平行に形成されている。なお、第2側壁13の上端部の後側には、第2折曲線L2を介して上内フラップ18が連設されている。
【0027】
補強片20は、略長方形状に形成されている。補強片20の段方向の寸法(前後幅)は連結壁15の段方向の寸法(前後幅)よりも若干短く、補強片20の流れ方向の寸法(高さ)は連結壁15の流れ方向の寸法(高さ)よりも若干長く設定されている。補強片20の先端側の後端には、略矩形状の係止凸部37が後方に突設されている。
【0028】
<把持部>
把持部21は、正面把持壁40と、背面把持壁43と、を有している。
【0029】
(正面把持壁)
正面把持壁40は、第2折曲線L2を介して中間壁14の上端に連設されている。正面把持壁40は、先端側の角部を円弧状に面取りされた略長方形状に形成されている。正面把持壁40の略中央付近には、段方向に長い略楕円形状の正面把持穴41が開口している。正面把持穴41の上縁には、正面把持折線L17を介して扇状の正面凸部42が連設されている。
【0030】
(背面把持壁)
背面把持壁43は、背面把持本体43Aと、把持差込片43Bと、を有している。背面把持本体43Aは、第3折曲線L3を介して正面把持壁40の先端に連設されている。背面把持本体43Aは、第3折曲線L3を軸に正面把持壁40と略線対称となる形状に形成されている。背面把持本体43Aには、正面把持穴41と略線対称となる位置に背面把持穴44、背面凸部45および背面把持折線L18が形成されている。把持差込片43Bは、第4折曲線L4を介して背面把持壁43の先端に連設されている。把持差込片43Bは、背面把持本体43Aよりも段方向に幅狭い略長方形状に形成されている。
【0031】
<蓋部>
蓋部22は、蓋本体22Aと、蓋差込片22Bと、を有している。蓋本体22Aは、略長方形状に形成され、第2折曲線L2を介して背面壁10の上端に連設されている。蓋本体22Aの流れ方向の寸法(延出寸法(前後幅))は、第1側壁11の最上端の段方向の寸法(前後幅)と略同一である。蓋差込片22Bは、第5折曲線L5を介して蓋本体22Aの先端に連設されている。蓋差込片22Bは、先端側の角部を円弧状に面取りされた略長方形状に形成されている。蓋差込片22Bの段方向の両側には、第5折曲線L5に沿って一対の切込み22Cが形成されている。
【0032】
<底部>
底部23は、一対の第1底壁46と、一対の第2底壁47と、を有している。なお、一対の第1底壁46は略同一形状であるため、以下、特に明記した場合を除き、1つの第1底壁46について説明する。これと同様に、以下、主に1つの第2底壁47について説明する。
【0033】
(第1底壁)
一対の第1底壁46は、第6折曲線L6を介して背面壁10と正面壁12との下端に連設されている。第1底壁46は概ね長方形状に形成され、第1底壁46の流れ方向の寸法(延出寸法)は第2側壁13の前後幅の半分よりも若干長く設定されている。第1底壁46の先端側には、噛合凹部46Aが略台形状に切り欠かれている。第1底壁46の段方向の他方(第2底壁47側)には、噛合凹部46Aの角部から第2底壁47の基端に向かって斜めに傾斜折線L19が形成されている。傾斜折線L19によって第1底壁46の角部領域に略三角形状の底接着部46Bが区画される。
【0034】
(第2底壁)
一対の第2底壁47は、第6折曲線L6を介して第1側壁11と第2側壁13との下端に連設されている。第2底壁47は基端から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。第2底壁47の流れ方向の寸法(延出寸法)は、第2側壁13の前後幅の半分程度である。
【0035】
なお、第1~第6折曲線L1~L6、第1仕切折線L11、第2仕切折線L12、第1中間折線L13、第2中間折線L14、連結折線L15、補強折線L16、正面把持折線L17、背面把持折線L18および傾斜折線L19は、段ボールシートを裏ライナ9Cの側から厚み方向に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能と、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能と、を有している。なお、上記した複数の折曲線L1~L6、L11~L19は、それぞれ、汎用罫線に限らず、複数の切目を所定間隔に形成したミシン刃線、汎用罫線上にミシン刃線を形成したリード罫線等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0036】
[包装箱の組立]
次に、
図1、
図3ないし
図7を参照して、包装箱1の組立手順について説明する。
図3は包装箱1を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図4は包装箱1を組み立てる過程を示す斜視図である。
図5は補強片20を内側に折り返した状を示す斜視図である。
図6は包装箱1の後方を示す斜視図である。
図7は包装箱1の一部を示す側断面図である。
【0037】
まず、組立前の包装箱1の初期状態について説明する。
図3に示すように、初期状態の包装箱1では、背面壁10が第1折曲線L1に沿って正面壁12と中間壁14との裏側に折り返され、第2側壁13が第1折曲線L1と連結折線L15とに沿って正面壁12と連結壁15との裏側に折り返されている。そして、継代片17が第2側壁13の内面(裏ライナ9C)に接着され、初期状態の包装箱1は二重に折り畳まれている。また、
図3からは明らかでないが、第1底壁46および第2底壁47は、第6折曲線L6に沿って内側に折り返されている。さらに、第1底壁46の底接着部46Bは、傾斜折線L19で逆折りされ、第2底壁47の表ライナ9Bに接着されている。
【0038】
作業者は折り畳まれた包装箱1を組み立てる。具体的には、
図4に示すように、作業者は、背面壁10、第1側壁11、正面壁12および第2側壁13を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げる(正折りする)。すると、中間壁14は、第1中間折線L13に沿って正折りされ、第2中間折線L14に沿って逆折りされる。また、各々の仕切壁16は、第1仕切折線L11に沿って正折りされ、第2仕切折線L12に沿って逆折りされる。また、折り返された第1底壁46と第2底壁47とは、逆折りされた底接着部46Bを平らに戻しながら、互いに略平行になるまで押し出される。さらに、一対の第1底壁46は、互いに噛合凹部46Aに入り込んで噛み合わされる。包装箱1の底部23は、第1および第2側壁13を背面壁10等に対して略直角に折り曲げることで、自動的に形成される所謂ワンタッチ底である。
【0039】
以上によって、正面壁12は、背面壁10の下側に空間を挟んで対向配置される(
図7も参照)。中間壁14は、背面壁10と正面壁12との間において背面壁10の上側に対向配置され、正面壁12との間に飲料缶Mを収容する収容空間S1を形成する(
図7も参照)。正確には、正面壁12と中間壁14との間には、2つの仕切壁16によって3つの収容空間S1が形成されている。また、中間壁14は、背面壁10との間に第2の収容空間S2を形成する(
図7参照)。第2の収容空間S2は、例えば、景品等の他の被包装物(図示せず)を収容するための空間である。
【0040】
この状態で、
図4に示すように、第1側壁11は背面壁10と正面壁12と中間壁14との左端(左右方向の一端)を連結し、第2側壁13は背面壁10と正面壁12との右端(左右方向の他端)を連結する。連結壁15は、第2側壁13の前端と中間壁14の右端とを連結し、第2側壁13の内面(裏ライナ9C)に重なる。また、連結壁15の折り曲げに伴って中間壁14の一部が係止切目線35に沿って切断され、係止穴36が開口する。
【0041】
次に、
図5に示すように、作業者は、一対の補強折線L16に沿って補強片20を内側に折り返す。補強片20は、内側に折り返されて連結壁15の略全部を覆い、連結壁15の表面(表ライナ9B)に重なる。補強片20の係止凸部37は、中間壁14に開口した係止穴36に引っ掛かる。すなわち、補強片20は、連結壁15に覆設された状態において中間壁14に係止される。連結壁15は、補強片20によって第2側壁13に押え付けられるため、第2側壁13に重ねられた状態に維持される。
【0042】
また、正面把持壁40は中間壁14の上端から上方に延設され、背面把持壁43は正面把持壁40の上端に連設されている(
図4参照)。作業者は、背面把持壁43(背面把持本体43A)を第3折曲線L3(正面把持壁40との境界)で折り返し、背面把持壁43を正面把持壁40の背面(裏ライナ9C)に重ねる。背面把持壁43の背面把持穴44は正面把持壁40の正面把持穴41に対向(略一致)し、1つの把持穴21Aを構成する。また、第4折曲線L4は第2折曲線L2に略一致している(
図7参照)。また、把持差込片43B(背面把持壁43の先端側)は、第2の収容空間S2に配置されている(
図7参照)。この状態で、正面把持壁40と背面把持壁43とは二重壁となる把持部21を構成する。
【0043】
作業者は、各々の収容空間S1に飲料缶Mを収容し(
図1参照)、第2の収容空間S2に景品等の他の被包装物を収容する。なお、
図5では、包装箱1の構造を明示するため、飲料缶Mの図示を省略している。
【0044】
作業者は、上内フラップ18を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げ(
図5参照)、蓋本体22Aを第2折曲線L2に沿って前方に折り曲げ、第5折曲線L5で折り曲げた蓋差込片22Bを把持差込片43Bに接触させながら第2の収容空間S2に差し込む(
図6および
図7参照)。
図7に示すように、蓋部22(蓋本体22A)は、第2の収容空間S2に配置された把持差込片43B(背面把持壁43の先端側)を押さえながら第2の収容空間S2の上面開口を閉塞する。蓋部22は、第2の収容空間S2の上面開口を閉塞する機能と、背面把持壁43を正面把持壁40に押し付ける機能とを有している。
【0045】
以上によって、飲料缶Mや景品等を収容した包装箱1が組み立てられる(
図1参照)。なお、把持部21(正面把持壁40、背面把持壁43)は、第2折曲線L2と第4折曲線L4とに沿って前方または後方に略直角に折れ曲がり、飲料缶Mの上面または蓋部22の上面に重なる(図示せず)。これにより、輸送時や店頭での陳列時において、複数の包装箱1を積み重ねることが可能になる。また、飲料(飲料缶M)の購入者(ユーザ)は、把持穴21Aに手を入れ、把持部21を把持し、飲料缶M等を収容した包装箱1を持ち運ぶことができる。この際、把持穴21Aの内側に形成された正面凸部42および背面凸部45は、正面把持折線L17および背面把持折線L18に沿って前方または後方に折れて購入者の手を保護する。
【0046】
以上説明した本実施形態に係る包装箱1では、補強片20が連結壁15に覆設された状態で中間壁14に係止され、第2側壁13、連結壁15および補強片20が三重壁を構成していた(
図5参照)。この構成によれば、連結壁15が第2側壁13と補強片20との間に挟み込まれるため、連結壁15を第2側壁13に接着せずとも、連結壁15が第2側壁13から離間することが防止される。また、補強片20は中間壁14に係止されるため、補強片20を連結壁15等に接着する手間を省略することができる。これにより、包装箱1として必要な強度(剛性)を維持しながら包装箱1を簡単に組み立てることができる。また、接着剤等を使用せずに、作業者による手作業で簡単に包装箱1を組み立てることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、仕切壁16によって正面壁12と中間壁14との間に複数の収容空間S1を形成することができる。これにより、複数の飲料缶M(被包装物)は仕切壁16を挟んで隣接するため、隣接する飲料缶M同士が直接接触して損傷することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、背面壁10と中間壁14との間に形成された第2の収容空間S2に、景品等の他の被包装物を収容することができる。なお、第2の収容空間S2には、飲料缶Mとは異なる他の被包装物が収容されていたが、これに限らず、飲料缶Mが収容されてもよい。
【0049】
また、本実施形態に係る包装箱1では、背面把持壁43を折り返して正面把持壁40に重ねることで二重壁となる把持部21が構成されていた(
図1および
図7等参照)。この構成によれば、ユーザは把持穴21Aに手を入れて把持部21を把持し、飲料缶M等を収容した包装箱1を容易に運搬することができる。また、折り返された背面把持壁43の先端側(把持差込片43B)は第2の収容空間S2に進入しており、第2の収容空間S2を閉塞した蓋部22によって正面把持壁40に押し付けられていた(
図7参照)。この構成によれば、背面把持壁43を正面把持壁40に接着せずとも、背面把持壁43を正面把持壁40に重ねた状態に維持することができる。
【0050】
なお、本実施形態に係る包装箱1では、補強片20が連結壁15の略全部を覆うように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補強片20が、連結壁15よりも小さく形成され、連結壁15の一部のみに覆設されてもよい(図示せず)。また、補強片20は第2側壁13の上端から下端まで延設され、補強片20の先端が底部23に接していてもよい(図示せず)。
【0051】
また、本実施形態に係る包装箱1では、補強片20(係止凸部37)が中間壁14に開口した係止穴36に係止されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、正面壁12または第2側壁13に係止穴36を形成し、補強片20は、正面壁12または第2側壁13に形成された係止穴36に係止されてもよい(図示せず)。また、正面壁12と中間壁14と第2側壁13のうち少なくとも1つに係止穴36や係止凸部37を2つ以上設けて、補強片20を2箇所以上で係止する構成としてもよい(図示せず)。さらに、係止穴36や係止凸部37を省略し、補強片20は正面壁12と中間壁14との間に圧入されることで固定されてもよい。すなわち、補強片20は、連結壁15に覆設された状態において正面壁12と中間壁14と第2側壁13のうち少なくとも1つに係止されればよい。
【0052】
また、本実施形態に係る包装箱1では、補強片20が一対の補強折線L16を介して第2側壁13に連設されていたが、これに限らず、1本の補強折線L16を介して第2側壁13に連設されてもよい(図示せず)。
【0053】
また、本実施形態に係る包装箱1では、補強片20が第2側壁13の上端に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、変形例に係る補強片50は、第2側壁13の一部を切断することで形成され、1つまたは一対の補強折線L16で下方から上方に向かって折り返されてもよい。この場合、係止穴36や係止凸部37の形成位置は適宜変更されることが好ましい。
【0054】
また、本実施形態に係る包装箱1では、中間壁14が背面壁10から離間していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の収容空間S2が不要なのであれば、中間壁14は背面壁10に接触していてもよい(図示せず)。この場合、蓋部22や上内フラップ18は省略される。
【0055】
また、本実施形態に係る包装箱1では、2つの仕切壁16が設けられ、3つの収容空間S1が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。仕切壁16(収容空間S1)の数は自由に設定することができる。また、仕切壁16は省略(削除)され、1つの収容空間S1が形成されてもよい。
【0056】
また、本実施形態に係る包装箱1では、第1側壁11が背面壁10等の左端を連結し、第2側壁13が背面壁10等の右端を連結していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1側壁11と第2側壁13との配置を逆にして、第1側壁11が背面壁10等の右端を連結し、第2側壁13が背面壁10等の左端を連結してもよい。
【0057】
また、本実施形態に係る包装箱1では、把持部21(正面把持壁40、背面把持壁43)が、第2折曲線L2および第4折曲線L4で折れ曲がるように構成されていたが、これに限らず、第2折曲線L2および第4折曲線L4を省略して把持部21が折れ曲がらない構成としてもよい(図示せず)。また、把持部21(正面把持壁40、背面把持壁43)には、正面凸部42および背面凸部45が設けられていたが、これらは省略されてもよい(図示せず)。さらに、本実施形態に係る包装箱1では、把持部21(正面把持壁40、背面把持壁43)が設けられていたが、把持部21は省略されてもよい(図示せず)。
【0058】
また、本実施形態に係る包装箱1では、第2の収容空間S2の上面開口を閉塞する蓋部22や上内フラップ18が設けられていたが、蓋部22や上内フラップ18を省略し、第2の収容空間S2の上面開口を開放したままにしてもよい(図示せず)。
【0059】
また、本実施形態に係る包装箱1では、底部23が所謂ワンタッチ底であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の例の底部は、第1および第2側壁11,13の下端に連設された一対の下内フラップと、背面壁10と正面壁12との下端に連設された一対の下外フラップと、で構成されてもよい(図示せず)。一対の下外フラップが一対の内フラップ上に固定される、または、一対の下外フラップの突き合せ部に粘着テープが貼付されることで、底面が構成されてもよい。
【0060】
また、本実施形態に係る包装箱1は、背面壁10、第1側壁11、正面壁12および第2側壁13(連結壁15)によって平面から見て略長方形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、包装箱1は、平面から見て五角~八角形状となるように、背面壁10、第1側壁11、正面壁12および第2側壁13(連結壁15)の少なくとも何れか1つが面取り壁を含んでいてもよい(図示せず)。
【0061】
また、本実施形態に係る包装箱1は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートでもよいし、片面段ボールシートと両面段ボールシートを積層した複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。また、ブランク5において、中しん9Aの延在方向は一例であり、段方向と流れ方向とが逆になっていてもよい。
【0062】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0063】
1 包装箱
10 背面壁
11 第1側壁
12 正面壁
13 第2側壁
14 中間壁
15 連結壁
16 仕切壁
20,50 補強片
22 蓋部
23 底部
40 正面把持壁
41 正面把持穴
43 背面把持壁
44 背面把持穴
M 飲料缶(被包装物)
S1 収容空間
S2 第2の収容空間