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特許7391769水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法
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  • 特許-水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20231128BHJP
   C02F 3/12 20230101ALI20231128BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F3/12 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020095650
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021186769
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(72)【発明者】
【氏名】矢次 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】永江 信也
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-257412(JP,A)
【文献】特開2016-198742(JP,A)
【文献】特開平09-075936(JP,A)
【文献】特開2014-011060(JP,A)
【文献】特開2017-085724(JP,A)
【文献】特開2000-271409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C02F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水処理部材が装着された複数の水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、
随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、
前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命が所定範囲内となる他の水処理部材が同一の水処理機器に装着されるように、所定時期に複数の水処理機器の間で対応する水処理部材を入れ替える外的余命均一化処理と、
を実行する水処理機器の管理方法。
【請求項2】
複数の水処理部材が装着された水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、
随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、
前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命に基づいて、所定時期に相対的に余命の長い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理と、
を実行する水処理設備の管理方法。
【請求項3】
前記履歴情報は、前記水処理部材毎に管理される製造履歴と使用履歴を含み、
前記余命推定処理は、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定する請求項1または2記載の水処理設備の管理方法。
【請求項4】
前記水処理部材は膜モジュールであり、前記水処理機器は前記膜モジュールを装着する膜ユニットである請求項1から3の何れかに記載の水処理設備の管理方法。
【請求項5】
複数の水処理機器の其々に装着された水処理部材の交換方法であって、
随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、
第1の水処理機器で交換が必要な水処理部材の発生時に、前記交換が必要な水処理部材の余命と所定範囲内の余命の他の水処理部材を前記第1の水処理機器とは異なる第2の水処理機器から取り外して前記第1の水処理機器に装着し、前記第2の水処理機器に新たな水処理部材を装着する水処理部材交換処理と、
を実行する水処理部材の交換方法。
【請求項6】
前記履歴情報は、前記水処理部材毎に管理される製造履歴と使用履歴を含み、
前記余命推定処理は、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定する請求項5記載の水処理部材の交換方法。
【請求項7】
前記水処理部材は膜モジュールであり、前記水処理機器は前記膜モジュールを装着する膜ユニットである請求項5または6記載の水処理部材の交換方法。
【請求項8】
水処理機器に装着される水処理部材の余命推定方法であって、
各水処理部材の製造ロット管理番号を含む製造履歴と、各水処理部材が装着された水処理機器および装着位置における使用履歴を含む履歴情報を、各水処理部材を個別に識別する水処理部材識別情報と関連付けて管理し、
過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの前記履歴情報を学習処理することにより、前記履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の前記履歴情報を前記余命推定モデルに適用して前記余命を推定する水処理部材の余命推定方法。
【請求項9】
前記学習処理は統計処理を含む請求項8記載の水処理部材の余命推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理機器には交換可能な複数の水処理部材が装着されている。各水処理部材は性能が劣化すると洗浄し、破損し或いは寿命に近づくと新しい水処理部材と交換するといった様々なメンテナンスが必要となる。
【0003】
このような水処理機器として、例えば有機性排水の浄化処理などの水処理分野では、生物処理した排水から処理水を取り出すために固液分離用の複数の膜モジュールを装着した膜ユニットがあり、膜ユニットによって取り出された処理水を高度処理するために複数の活性炭カートリッジを装着した活性炭ユニットなどがある。膜ユニットや活性炭ユニットが水処理機器となり、膜モジュールや活性炭カートリッジが水処理部材となる。
【0004】
特許文献1には、膜ユニットの例として、複数の膜エレメントを備えた膜モジュールと、前記膜モジュールを複数段に積層して収容する枠体と、前記枠体に収容された前記膜モジュールが離脱しないように前記枠体端部を閉塞する閉塞部材と、前記枠体端部が閉塞された状態で前記枠体内に上下方向の弾性変形状態で配置される弾性部材と、を備えている膜分離装置が開示されている。
【0005】
膜モジュールなどの水処理部材の寿命は、製造ロットによって一定のばらつきがあり、同じ製造ロットであっても使用状態や使用環境によって差が生じる。そのため、膜ユニットなどの水処理機器に装着された複数の水処理部材の一つに破損などの故障が生じた場合には、水処理機器全体の稼働を停止して故障した水処理部材を交換していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-148229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、故障が発生する度に個別の水処理部材を新品に交換すると同一の水処理機器に相対的に古い水処理部材と新しい水処理部材が混在する状態となり、次第に故障発生による水処理機器の稼働率が低下する虞があり、それに伴って水処理部材の交換作業の頻度が上昇して、作業者の負担も増大する虞があった。
【0008】
一般的に水処理部材の寿命は製造ロットにより多少の差があり、同一の製造ロットであってもその後の使用状態や使用環境によっても差が生じる。
【0009】
そこで、作業者が個々の水処理部材の履歴を把握して、使用状態や環境状態を調整することにより各水処理部材の寿命を延ばし、水処理機器の稼働率の低下を抑制することが望まれていた。
【0010】
しかし、多数の水処理機器を用いる大規模な水処理設備では、個々の水処理機器の其々に装着された複数の水処理部材の履歴を、作業者が個々に管理して使用状態や環境状態を調整するのは甚だ困難であった。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑み、水処理部材の履歴情報に基づいて個々の水処理部材の寿命を延ばすように管理する水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明による水処理機器の管理方法の第一の特徴構成は、複数の水処理部材が装着された複数の水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命が所定範囲内となる他の水処理部材が同一の水処理機器に装着されるように、所定時期に複数の水処理機器の間で対応する水処理部材を入れ替える外的余命均一化処理と、を実行する点にある。
【0013】
水処理機器の稼働に伴って水処理機器に装着された水処理部材の履歴情報が更新され、当該履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理が実行される。推定した各水処理部材の余命に基づいて、或る水処理機器に装着された水処理部材の余命と所定範囲に収まる余命の水処理部材を他の水処理機器つまり外部の水処理機器から取り出して、同一の水処理機器に余命が近い水処理部材を装着する外的余命推定処理を所定時期に行うことで、相対的に余命の短い複数の水処理部材を装着した水処理機器と、余命の長い複数の水処理部材を装着した水処理機器などに再構成することができる。その結果、相対的に余命の短い複数の水処理部材を装着した水処理機器で故障が発生しても、その他の複数の水処理機器で故障発生頻度を低下させ、全体として水処理機器の稼働率を向上させることができる。
【0014】
同第二の特徴構成は、複数の水処理部材が装着された水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命に基づいて、所定時期に相対的に余命の長い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理と、を実行する点にある。
【0015】
水処理機器の稼働に伴って水処理機器に装着された水処理部材の履歴情報が更新され、当該履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理が実行される。推定した各水処理部材の余命に基づいて、相対的に余命の長い水処理部材を処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理を所定時期に行うことで、余命の短い水処理部材の余命を長らえさせることができ、極力故障の発生を回避して水処理機器の稼働率を向上させることができる。
【0016】
同第三の特徴構成は、前記履歴情報は、前記水処理部材毎に管理される製造履歴と使用履歴を含み、前記余命推定処理は、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定する点にある。
【0017】
故障に到った複数の水処理部材の履歴情報を学習処理することで、製造時期から故障に到るまでの寿命と履歴情報との間に存在する関係を求めることができ、当該関係から任意の履歴情報に対してどの程度の余命があるかを示す余命推定モデルが生成される。履歴情報として製造履歴を含めることで製造時期に依存する余命を余命推定モデルに組み込むことができ、使用履歴を含めることで使用状態、例えば累積稼働時間や洗浄回数などに依存する余命を余命推定モデルに組み込むことができる。生成した余命推定モデルに推定対象の水処理部材の履歴情報を適用することにより、推定対象の水処理部材の余命が推定される。
【0018】
同第四の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記水処理部材は膜モジュールであり、前記水処理機器は前記膜モジュールを装着する膜ユニットである点にある。
【0019】
水処理部材が膜モジュールであり、水処理機器が膜モジュールを装着する膜ユニットであると、膜モジュールが故障するまでの余命を適切に推定することができる。
【0020】
本発明による水処理部材の交換方法の第一の特徴構成は、複数の水処理機器の其々に装着された水処理部材の交換方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、第1の水処理機器で交換が必要な水処理部材の発生時に、前記交換が必要な水処理部材の余命と所定範囲内の余命の他の水処理部材を前記第1の水処理機器とは異なる第2の水処理機器から取り外して前記第1の水処理機器に装着し、前記第2の水処理機器に新たな水処理部材を装着する水処理部材交換処理と、を実行する点にある。
【0021】
水処理機器の稼働に伴って水処理機器に装着された水処理部材の履歴情報が更新され、当該履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理が実行される。第1の水処理機器で或る水処理部材の交換が必要になった場合に、当該水処理部材の余命に対して所定範囲内の余命となる他の水処理部材を第1の水処理機器とは異なる第2の水処理機器から取り外して第1の水処理機器に装着し、第2の水処理機器に新たな水処理部材を装着する水処理部材交換処理を実行することにより、第1の水処理機器に余命の短い似通った水処理部材を集めることができ、新たな水処理部材が装着される第2の水処理機器での故障発生頻度を低減させることができる。
【0022】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記履歴情報は、前記水処理部材毎に管理される製造履歴と使用履歴を含み、前記余命推定処理は、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定する点にある。
【0023】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記水処理部材は膜モジュールであり、前記水処理機器は前記膜モジュールを装着する膜ユニットである点にある。
【0024】
本発明による水処理部材の余命推定方法の第一の特徴構成は、水処理機器に装着される水処理部材の余命推定方法であって、各水処理部材の製造ロット管理番号を含む製造履歴と、各水処理部材が装着された水処理機器および装着位置における使用履歴を含む履歴情報を、各水処理部材を個別に識別する水処理部材識別情報と関連付けて管理し、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの前記履歴情報を学習処理することにより、前記履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の前記履歴情報を前記余命推定モデルに適用して前記余命を推定する点にある。
【0025】
各水処理部材を個別に識別する水処理部材識別情報と関連付けて各水処理部材の履歴情報を管理することにより、各水処理部材の製造履歴と使用履歴を含む履歴情報を個別に把握することができる。そして、故障に到った複数の水処理部材の履歴情報を学習処理することで、製造時期から故障に到るまでの寿命と履歴情報との間に存在する関係を求めることができ、当該関係から任意の履歴情報に対してどの程度の余命があるかを示す余命推定モデルが生成される。履歴情報として製造ロット管理番号を含む製造履歴を含めることで水処理部材の製造ばらつきなど製造時期に依存する余命への影響を余命推定モデルに組み込むことができ、水処理部材が装着された水処理機器および装着位置における使用履歴を含めることで処理負荷の違いなど使用状態に依存する余命への影響を余命推定モデルに組み込むことができる。生成した余命推定モデルに推定対象の水処理部材の履歴情報を適用することにより、推定対象の水処理部材の余命が推定される。
【0026】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記学習処理は統計処理を含む点にある。
【0027】
学習処理として統計処理を好適に用いることができる。例えば製造履歴と使用履歴を説明変数、余命を目的変数として重回帰分析などの多変量解析手法を採用することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、水処理部材の履歴情報に基づいて個々の水処理部材の寿命を延ばすように管理する水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1(a)は膜ユニットの説明図、図1(b)は膜モジュールの説明図である。
図2図2は、膜ユニットの側面視説明図である。
図3図3(a)は吊り治具の説明図、図3(b)は吊り治具の係合部の説明図である。
図4図4(a),図4(b)は吊り治具の使用方法の説明図である。
図5図5は膜モジュールの履歴管理システムの機能ブロックの説明図である。
図6図6は、外的均一化処理の説明図である。
図7図7は、内的均一化処理の説明図である。
図8図8は、水処理部材交換処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、水処理機器の一例である膜ユニットを例に、本発明による水処理機器の管理方法、水処理部材の交換方法及び水処理部材の余命推定方法を説明する。膜ユニットには、水処理部材としての膜モジュールが交換可能な態様で装着されている。膜ユニットは、生物処理処理槽に浸漬され、生物処理された処理水を活性汚泥から分離して取り出すために用いる装置である。
【0031】
[膜ユニットの構成]
図1(a),(b)には、膜ユニット10及び膜ユニット10に装着される膜モジュール20の外観が例示されている。膜ユニット10は、膜モジュール20が縦に8段積層設置された膜モジュール群が、横に5列並設されるように枠体11内に収容されている。膜ユニット10を生物反応槽に浸漬設置することで、生物反応槽の被処理液を膜モジュール20で膜ろ過して処理水を取り出す装置である。
【0032】
膜モジュール20は、本体フレーム11の奥行き方向両端部に前後一対の集水ケース22を備え、一対の集水ケース22の間に配設された一対のサイドプレート23で区画される空間内に、複数の膜エレメント21が縦姿勢で水平方向に並設されて構成されている。
【0033】
膜エレメント21は、平板状のろ板の両面に濾過膜が配置されており、濾過膜を透過した処理水がろ板に形成された集水路を通じて各集水ケース22内に導かれるように構成されている。ろ板はABS樹脂等で形成され、濾過膜は基材となる不織布に多孔性樹脂が含浸されている。集水ケース22はポリプロピレン等で、集水ケース22の内部を確認し易いように、透光性を有するように形成されている。
【0034】
各集水ケース22は、内部に集水空間を有する中空状に形成され、上下の夫々の面に集水空間に連通する連結部25,26が形成されている。上部の連結部25には、直上に積層される膜モジュール20の集水ケース22に形成された下部連結部26に嵌入される連結部材30が取り付けられるように構成されている。
【0035】
集水ケース22の上面と下面には夫々左右一対の被係合部としての係合孔24が形成されている。係合孔24は、各膜モジュール20を積層配置した際に上下に隣接する膜モジュール20の係合孔24と当接するように上下に夫々形成され、上下に隣接する膜モジュール20の係合孔24を当接させた状態で後述する吊り治具40の各係合部42を貫通させて係合可能に構成されている。該係合孔24の縁部は、作業員が膜モジュールを把持するための取手27として機能する。
【0036】
最下段の膜モジュール20の下方に散気用給気管12が設置され、当該散気用給気管12から給気された散気エアにより、各膜モジュール20に縦姿勢で水平方向に並設された複数の膜エレメント21間に生物処理槽内の被処理液のクロスフロー流が発生し、各膜エレメント21の膜面を透過した透過水が集水管13を通じて槽外へ導出される。
【0037】
集水管13には、生物処理槽の外部に設置された処理水槽に到る透過水導出管(図示されていない)が連通され、その管路途中にポンプ装置が介装されている。散気用給気管12にはブロワやコンプレッサなどの給気源が連通されている。
【0038】
図2に示すように、左側の最上段の膜モジュール20の上部連結部25(図1(b)参照)、及び、右側の最下段の膜モジュール20の下部連結部26(図1(b)参照)には、夫々集水管13が接続され、左側の最上段の膜モジュール20の下部連結部26、及び、右側の最下段の膜モジュール20の上部連結部25は、封止部材で封止されている。尚、図2では、上部連結部25及び下部連結部26の記載は省略し、透過水の通流方向を破線矢印で示している。
【0039】
なお、この例では、膜モジュール20が縦に8段積層され、横に5列並設されているが、段数及び列数は適宜設定可能であり、例えば膜モジュール20を縦に12段積層し、横に5列並設した膜ユニット10や、膜モジュール20が縦に16段積層し、横に5列並設した膜ユニット10を構成することができ、このような膜ユニット10を複数設置することにより大規模な水処理設備を構築することができる。
【0040】
図3(a),(b)には上下に積層配置された膜モジュール20を吊り上げる吊り治具40が例示されている。吊り治具40は、長尺のベース部材41と、複数段に積層設置された各膜モジュール20に備えた係合孔24に対して係脱自在な複数の係合部42とを備えている。本実施形態では、ベース部材41に8個の係合部42が備えられている。膜モジュール20の膜分離装置10の本体フレーム11内での積層段数と同じ数量となっている。ベース部材41の上端には、環状部47が形成され、吊り治具40は、フック等に環状部47を係合させた状態で使用される。
【0041】
係合部42は、係合リング43と、一端に係合リング43に嵌入するリング部44が形成され他端がベース部材41に縫着されたスリング片45とを備えて構成され、係合リング43はスリング片45のベース部材41への縫着部46に固定されている。
【0042】
図4(a),(b)には、上述の吊り治具40を用いて特定段の膜モジュールを交換する手順の一部が示されている。8段に積層された膜モジュール(20a~20h)群の上から5段目に積層された膜モジュール20eを交換する場合、まず、膜モジュール群の左右両側に、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eまでの各膜モジュールの係合孔24に吊り治具40の各係合部42を係合させる。
【0043】
クレーンに懸架された吊りビーム48には、膜モジュール20を四角から吊り上げできるように、4つのフック49が備えられ、夫々のフック49に吊り治具40が係合されている。
【0044】
4本の吊り治具40が係合された吊りビーム48を吊り上げることにより、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eまでが、残りの膜モジュール20f,20g,20hから分離される。
【0045】
その後、膜モジュール20aから膜モジュール20eまでを基台に載置して、膜モジュール20eを新たな膜モジュールと交換した後に、吊りビーム48を吊り上げて、膜モジュール20f,20g,20hの上部に移動し、降下させることにより膜モジュール20eの交換作業が終了する。なお、吊り治具40の具体的構成は作業者が膜モジュール20に巻き付け操作する必要がある上述した態様に限らず、作業者が操作することなくロボットのような機械が自動的に膜モジュール20を引っ掛けることが可能な係止部を備えた吊り治具40を構成し、自動で交換処理できるような機械装置を用いてもよい。
【0046】
[膜モジュールの履歴管理]
生物処理槽に浸漬配置された膜ユニット10により透過水を取り出す運転状態では、ポンプを駆動して透過水を取り出す膜ろ過状態と透過水の取り出しを停止して散気のみ行ない膜面を浄化するリフレッシュ状態が所定のインタバルで繰り返される。また長時間の運転により膜モジュール20の膜詰まりの程度が高くなると、集水管13から洗浄液を供給して逆洗浄を行なうことにより膜性能を回復させる。
【0047】
膜モジュール20の寿命は略10年と非常に長いのであるが、累積運転時間が長くなるに連れてろ過性能が低下し、或いは破損する虞があり、また膜ユニット10の枠体11のどの位置に装着されているかによっても劣化の程度が異なる。例えば、枠体11の下方に装着された膜モジュール20に掛る負荷は、槽内を浮遊する夾雑物の影響を大きく受けるために、上方に装着された膜モジュール20に掛る負荷より大きい傾向がある。
【0048】
そのため、各膜モジュール20の製造時点から直近の使用時点までの履歴を管理することにより、各膜モジュール20の余命を把握することが重要となる。また、複数の膜ユニット10の其々で膜モジュール20の交換作業が頻発すると、メンテナンス作業が非常に煩雑となるばかりか安定した稼働が妨げられる虞もある。そのため、膜モジュール20の履歴管理システムが構築されている。
【0049】
[膜モジュールの履歴管理システム]
図5に示すように、膜モジュールの履歴管理システム100は、履歴管理サーバ120と、インターネットを介して履歴管理サーバ120と通信可能な複数の端末装置130を備えている。端末装置130は、複数または単一の膜ユニット10が設置された水処理施設の其々に備えるとともに、膜モジュール20の製造工場に設置されている。
【0050】
履歴管理サーバ120は、端末装置130から送信される各膜モジュール20の履歴情報を管理する履歴管理処理部120Aと、各膜モジュール20の余命を推定する余命推定処理部120Bを備えている。履歴管理処理部120Aで処理された各膜モジュール20の履歴情報、及び、余命推定処理部120Bで推定された各膜モジュール20の余命は、履歴管理サーバ120に接続されたデータベースシステムである情報記録部140に出力されて一元管理される。
【0051】
製造工場に設置された端末装置130は製造履歴管理部130Aを備え、水処理施設に設置された端末装置130は使用履歴更新処理部130B及び均一化処理部130Cを備えている。
【0052】
履歴管理システム100で管理される膜モジュール20の履歴情報には、製造履歴管理部130Aで生成される製造履歴と、使用履歴更新処理部130Bで生成される使用履歴が含まれる。
【0053】
製造履歴には製造ロット管理番号、製造管理番号が含まれ、製造ロット管理番号により製造工場、製造時期が特定され、製造管理番号により個々の膜モジュールが固有に識別されるとともに詳細な製造年月日が管理される。製造管理番号が各膜モジュール20を個別に識別可能な膜モジュール識別情報となる。
【0054】
使用履歴は膜モジュール識別情報と関連付けて管理される履歴で、膜ユニット識別情報、膜ユニットアドレス情報、使用開始時期、累積使用時間、薬液洗浄履歴、故障履歴が含まれる。
【0055】
膜ユニット識別情報は膜モジュール20が装着された膜ユニット10を個別に識別する情報であり、膜ユニットアドレス情報は膜ユニット10内で膜モジュール20が装着された位置を示す情報である。
【0056】
使用開始時期は膜モジュール10の使用開始時期を示す情報であり、累積使用時間は膜ろ過に使用された累積時間、薬液洗浄履歴は薬液洗浄時期及び薬液濃度を示す情報であり、故障履歴は膜詰まり、膜破断などの発生時期を示す情報である。
【0057】
使用開始時期、累積使用時間、薬液洗浄履歴、故障履歴は、膜ユニット識別情報及び膜ユニットアドレス情報の対の情報に関連付けて管理される。つまり、膜ユニットの装着位置毎に使用開始時期、累積使用時間、薬液洗浄履歴、故障履歴が管理される。
【0058】
製造履歴管理部130Aで生成される製造履歴が履歴管理サーバ120の履歴管理処理部120Aに送られて個別の膜モジュール20に対する履歴管理レコードが生成されて情報記録部140に格納される。
【0059】
使用履歴更新処理部130Bで生成される使用履歴が、例えば1日に1回の頻度で履歴管理処理部120Aに送られて、情報記録部140に格納された個別の膜モジュール20に対する履歴管理レコードに設定された履歴情報フィールドが更新される。
【0060】
使用履歴の送信頻度は1日に1回に限定されるものではなく、例えば数時間毎であってもよいし、12時間毎であってもよいし、膜ユニット10に何らかのイベントが発生したタイミングであってもよい。何らかのイベントとは例えば膜ユニット10の停止時期、稼働開始時期、膜モジュール20の洗浄時期、膜モジュール20の故障発生時期であってもよい。それまでに使用履歴更新処理部130Bで蓄積された履歴がその時点で履歴管理処理部120Aに送られるように構成しておけばよい。
【0061】
使用履歴更新処理部130Bで蓄積される使用履歴は、水処理施設を制御する制御装置から自動入力されるように構成してもよいし、水処理施設を管理する作業者が手動操作で入力してもよい。
【0062】
履歴管理サーバ120に備えた余命推定処理120Bは、情報記録部140に格納され、随時更新可能な各膜モジュール20の履歴情報に基づいて各膜モジュール20の余命を推定する。具体的に、余命推定処理120Bは、過去に取得した複数の膜モジュール20の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を余命推定モデルに適用して余命を推定する。
【0063】
学習処理として多変量解析手法などの統計処理を好適に用いることができる。例えば製造履歴と使用履歴の各フィールド情報を説明変数とし、余命を目的変数として重回帰分析を行なうことで、製造履歴と使用履歴に基づいて余命を算出するモデル式を生成することができる。フィールド情報として、製造時期、膜ユニットの装着位置、累積使用時間、薬液洗浄回数を主に用いることができる。
【0064】
使用履歴として管理されるフィールド情報は上述した項目に限るものではなく、他に洗浄薬品との接触時間、汚泥のCSS(目開き1mm程度のふるい上に残る物質)やMLSS、散気装置を介して供給される散気量などを含めることができ、それらを説明変数に採用することも可能である。
【0065】
また、情報記録部140に格納された履歴情報に基づいてAIを用いて学習することにより余命を算出するモデル式を生成するように構成してもよい。
例えば、大多数の処理場のデータで得られる重回帰分析の結果から導かれる余命と異なる結果が多発する処理施設においては、余命に影響を及ぼす別の要素があるものとAIが判断し、その処理場独自の新たなモデル式を生成することも可能である。
【0066】
余命推定処理120Bによる余命推定処理は、梅雨前や積雪前の気候が穏やかで被処理水の処理量が安定している所定時期に実行され、その結果が情報記録部140に記録されるとともに各水処理施設の端末装置130に送信される。梅雨前を所定時期とするのは降雨による水処理量が上昇する前に適切に対処するためであり、積雪前を所定時期とするのは冬場に活性汚泥による水処理能力の低下により水処理負荷が上昇する前に適切に対処するためである。なお、所定時期とするのはこれらの時期に限るものではないとの意図で必要に応じて適宜設定することができる。
【0067】
余命推定処理で推定された各膜モジュール20の余命を入手した各水処理施設の端末装置130は、均一化処理部130Cによって水処理施設内の各膜モジュール20の寿命均一化処理を実行する。
【0068】
[均一化処理の第1の態様]
均一化処理部130Cは、余命推定処理で推定した各膜モジュール20の余命が所定範囲内となる他の膜モジュール20が同一の膜ユニット10に装着されるように、所定時期に複数の水処理機器の間で対応する水処理部材を入れ替える外的余命均一化処理を実行する。
【0069】
推定した各膜モジュール20の余命と所定範囲内の長さの余命となる膜モジュール20が同一の膜ユニット10に装着されるように、他の膜ユニット10つまり外部の膜ユニット10から取り外して、当該同一の膜ユニット10に装着する外的余命推定処理を所定時期に行うことで、相対的に余命の短い複数の膜モジュール20を装着した膜ユニット10と、余命の長い複数の膜モジュール20を装着した膜ユニット10などに再構成することができる。その結果、相対的に余命の短い複数の水処理部材を装着した膜ユニット10で故障が発生しても、その他の複数の膜ユニット10で故障発生頻度を低下させ、全体として膜ユニット10の稼働率を向上させることができる。
【0070】
図6に示すように、例えば、膜ユニット10Aに装着されている膜モジュール20Aの余命が膜ユニット10Aに装着されている他の膜モジュールの余命と大きく異なる場合に、膜ユニット10Bから膜ユニット10Aに装着されている他の膜モジュールの余命と所定範囲内の長さの余命の膜モジュール20Bを取り外して膜ユニット10Aに装着する。膜モジュール20Aは、その余命と所定範囲内の長さの余命の多くの膜モジュールが装着されている他の膜ユニット10Bに装着するのである。
【0071】
この例は極端な例であり、通常は各膜ユニットに装着された全ての膜モジュールの余命の長さに基づいてグルーピングし、グルーピングした膜モジュールを同一の膜ユニットに装着することになる。所定範囲とは余命がほぼ同一として取り扱える範囲の数値であれば、特に限定されるものではない。
【0072】
[均一化処理の第2の態様]
均一化処理部130Cは、余命推定処理で推定した各膜モジュール20の余命に基づいて、所定時期に相対的に余命の長い膜モジュール20を同一の膜ユニット10で処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い膜モジュール20を同一の膜ユニット10内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理を実行する。
【0073】
推定した各膜モジュール20の余命に基づいて、相対的に余命の長い膜モジュール20を同一の膜ユニット10内で処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い膜モジュール20を同一の膜ユニット10内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理を所定時期に行うことで、余命の短い水処理部材の余命を長らえさせることができ、極力故障の発生を回避して水処理機器の稼働率を向上させることができる。
【0074】
図7に示すように、例えば、膜ユニット10のうち処理負荷の高い位置に装着されている膜モジュール20Aの余命と、同一の膜ユニット10のうち処理負荷の低い位置に装着されている膜モジュール20Bの余命を比較して、膜モジュール20Bの余命が膜モジュール20Aの余命よりも十分に長い場合に、両者の装着位置を入れ替えるのである。
【0075】
例えば、膜ユニット10に装着された全ての膜モジュール20の余命に基づいて余命の長い順に10個単位で8グループにグルーピングして、余命の最長のグループを膜ユニット10の最下段に装着し、以降は余命の長い順に膜ユニット10の下段から上段に向けて装着することができる。
【0076】
膜ユニット10の同一段でも配列位置によって処理負荷が異なる場合には、処理負荷が大きい位置から順に余命の長い膜モジュール20を装着することができる。
【0077】
[別実施形態]
上述した外的均一化処理を実行する際に併せて内的均一化処理を実行してもよい。
【0078】
図8に示すように、一つの膜ユニット10Aで故障が発生した膜モジュール20Aの交換が必要になった場合に、余命推定処理で推定された当該要交換膜モジュール20Aの余命の長さと所定範囲内の余命の長さの他の膜モジュール20Bを当該膜ユニット10Aとは異なる膜ユニット10Bから取り外して当該膜ユニット10Aに装着し、他の膜ユニット10Bに新たな膜モジュール20Cを装着する膜モジュール交換処理を実行するように均一化処理部130Cを構成してもよい。
【0079】
このような膜モジュール交換処理により、一つの膜ユニット10Aに膜モジュール20Aの余命と同等の余命の膜モジュール20Bを集めることができ、新たな膜モジュールが装着される他の膜ユニット10Bでの故障発生頻度を低減させることができる。なお、この場合も所定範囲とは余命がほぼ同一として取り扱える範囲の数値であれば、特に限定されるものではない。
【0080】
以上説明したように、本発明による余命推定方法は、各膜モジュールの製造履歴と使用履歴を含む履歴情報を、各膜モジュールを個別に識別するモジュール識別情報と関連付けて管理し、過去に取得した複数のモジュールの故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別のモジュールの履歴情報を余命推定モデルに適用して余命を推定するものである。
【0081】
以上、水処理機器の一例である膜ユニットを例に、水処理部材である膜モジュールの履歴管理方法及び履歴管理システムを説明したが、水処理部材は膜モジュールに限るものではなく、活性炭ユニットに装着される複数の活性炭カートリッジなどの水処理部材にも適用できる。
【0082】
即ち、本発明による水処理部材の履歴管理方法は、複数の水処理部材が装着された複数の水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命が所定範囲内となる他の水処理部材が同一の水処理機器に装着されるように、所定時期に複数の水処理機器の間で対応する水処理部材を入れ替える外的余命均一化処理と、を実行するように構成されている。
【0083】
また、複数の水処理部材が装着された水処理機器を備えた水処理設備の管理方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、前記余命推定処理で推定した各水処理部材の余命に基づいて、所定時期に相対的に余命の長い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の高い位置に装着し、相対的に余命の短い水処理部材を同一の水処理機器内で処理負荷の低い位置に装着する内的余命均一化処理と、を実行するように構成されている。
【0084】
本発明による水処理部材の交換方法は、複数の水処理機器の其々に装着された水処理部材の交換方法であって、随時更新可能な各水処理部材の履歴情報に基づいて各水処理部材の余命を推定する余命推定処理と、第1の水処理機器で交換が必要な水処理部材の発生時に、前記交換が必要な水処理部材の余命と所定範囲内の余命の他の水処理部材を前記第1の水処理機器とは異なる第2の水処理機器から取り外して前記第1の水処理機器に装着し、前記第2の水処理機器に新たな水処理部材を装着する水処理部材交換処理と、を実行するように構成されている。
【0085】
そして、前記履歴情報は、前記水処理部材毎に管理される製造履歴と使用履歴を含み、前記余命推定処理は、過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの履歴情報を学習処理することにより、個別の履歴情報と余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定するように構成されている。
【0086】
本発明による水処理部材の余命推定方法は、水処理機器に装着される水処理部材の余命推定方法であって、各水処理部材の製造履歴と使用履歴を含む履歴情報を、各水処理部材を個別に識別する水処理部材識別情報と関連付けて管理し、
過去に取得した複数の水処理部材の故障に到るまでの前記履歴情報を学習処理することにより、前記履歴情報と前記余命の関係を表す余命推定モデルを生成し、個別の水処理部材の前記履歴情報を前記余命推定モデルに適用して余命を推定するように構成されている。
【0087】
上述した実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的な構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0088】
10:水処理機器(膜ユニット)
:水処理部材(膜モジュール)
100:履歴管理システム
120:履歴管理サーバ
120A:履歴管理処理部
120B:余命推定処理部
130:端末装置
130A:製造履歴管理部
130B:使用履歴更新処理
130C:均一化処理部
140:情報記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8