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特許7391771診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法および実験室システム
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  • 特許-診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法および実験室システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法および実験室システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231128BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
G01N35/02 G
G01N1/00 102C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020099970
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2020204610
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】19180180
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・グラウザー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・フォーレンバイダー
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-339732(JP,A)
【文献】特開2008-209338(JP,A)
【文献】特開2011-149747(JP,A)
【文献】特表2010-501859(JP,A)
【文献】特開2000-227433(JP,A)
【文献】特開2001-208757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室システム(38)内において診断検査の有効性を判断するために対照試料(36)を供給する方法であって、前記実験室システム(38)が、対照試料全量(44)から対照試料アリコート(42)を生成するように構成された分取デバイス(40)と、対照試料アリコート(42)を保管するように構成された保管庫(46)と、対照試料アリコート(42)を輸送するように構成された輸送システム(48)と、前記診断検査を実行し、1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するように構成された少なくとも2つのアナライザ(50,52)と、制御ユニット(54)とを備え、前記分取デバイス(40)、前記保管庫(46)、および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が前記輸送システム(48)に動作可能に接続され、前記分取デバイス(40)、前記保管庫(46)、前記輸送システム(48)、および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が前記制御ユニット(54)に通信可能に接続され、前記方法が、次のステップ(12,14,16,18)、
a) 前記制御ユニット(54)によって、有効性判断時間スケジュール(58)に基づいて、対照試料アリコート(42)の総数、および対照試料アリコート(42)毎の等分量(56)を決定するステップであって、各等分量(56)が、デッド・ボリューム(60)と、決定された数の対照試料(36)を構成する分量とを含み、各対照試料が、前記診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する、ステップと、
b) 前記対照試料全量(44)を収容する1つ以上のベッセル(62)を前記分取デバイス(40)に供給するステップであって、前記対照試料全量(44)が、少なくとも、前記総数の対照試料アリコート(42)の等分量(56)の和である、ステップと、
c) 前記分取デバイス(40)によって、前記決定された等分量(56)を有する対照試料アリコート(42)を、前記決定された総数だけ生成するステップと、
d) 前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を前記保管庫(46)に輸送するように、または前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記有効性判断時間スケジュール(58)が、規定時間期間(63)と、少なくとも1つの時間セグメント(64)とを含み、前記有効性判断時間スケジュール(58)が、前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の各々および前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の各々に対して、前記対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために、前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上に、対照試料アリコート(42)を輸送することが予定される有効性判断時点(66)の数を定める、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記時間セグメント(64)が、対照試料アリコート搭載安定時間(68)または前記対照試料搭載安定時間の端数である、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、ステップa)(12)において、前記対照試料アリコート(42)の総数が、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の数と、時間セグメント(64)当たりの対照試料アリコート(42)の数に基づいて決定され、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける対照試料アリコート(42)の等分量(56)が、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける有効性判断時点(66)の数に基づいて決定される、方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、時間セグメント(64)当たりの対照試料アリコート(42)の数が、更に、少なくとも1つの同じ有効性判断時点(66)が時間セグメント(64)毎に定められた前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の最大数によって決定され、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける対照試料アリコート(42)の等分量(56)が、更に、少なくとも1つの同じ有効性判断時点(66)が前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つに対して定められた前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の最大数によって決定される、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける各対照試料アリコート(42)の等分量(56)の差が、対照試料(36)の1つの分量以下となるように、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける前記有効性判断時点(66)の数に必要される前記決定された数の対照試料(36)が、前記少なくとも1つの時間セグメント(64)の中の1つにおける前記決定された数の対照試料アリコート(42)に分配される、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の方法において、前記方法が、更に、次のステップ(20)、
e) 前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために、前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を、前記保管庫(46)と前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)との間で輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップ、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の方法において、前記実験室システムが、別設保管庫(70)を備え、前記別設保管庫(70)が、前記輸送システム(48)に動作可能に接続され、更に前記制御ユニット(54)に通信可能に接続され、前記保管庫(46)が対照試料アリコート(42)の一時的保管のために構成され、前記別設保管庫(70)が対照試料アリコート(42)の長期保管のために構成され、前記方法のステップd)(18)が、更に、
- 前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を、一時的保管のために保管庫(46)に、または少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに、更に他の対照試料アリコート(42)を長期保管のために別設保管庫(70)に輸送するように、更に、前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を、一時的保管のために保管庫(46)に、または少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送する前に、前記少なくとも1つの対照試料アリコート(42)および前記他の対照試料アリコート(42)を長期保管のために前記別設保管庫(70)に輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップ
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記方法が、更に、次のステップ(22,24)、
f) 前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)を前記別設保管庫(70)から、一時的保管のために前記保管庫(46)に、または前記少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップと、
g) 前記有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、前記少なくとも1つの他のアリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するために、前記少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)を、一時的保管のための前記保管庫(46)と前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)との間で輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項記載の方法において、生成された各対照試料アリコート(42)が、少なくとも1つの対照試料アリコート搭載安定時間(68)に関連付けられた一意の対照試料アリコート識別情報(72)を含み、前記実験室システム(38)が、更に、前記輸送システム(48)に動作可能性に接続された廃棄ユニット(74)を備え、前記保管庫(46)、前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)、および前記輸送システム(48)が規定温度を有し、前記保管庫(46)および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が、前記一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取るように構成された読み取り手段(76)を含み、前記方法が、更に、次のステップ(26,28,30,32,34)、
h) 対照試料アリコート(42)が前記保管庫(46)および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上に到達する毎、またはこれらから離れる毎に、前記読み取り手段(76)によって前記一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取るステップと、
i) 前記一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取ったときに、前記読み取り手段(76)によってタイム・スタンプを生成するステップと、
j) 前記制御ユニット(54)によって、前記対照試料アリコート(42)が1つ以上の規定温度において保持された期間、前記対照試料アリコート(42)がある回数の温度変化を受けた期間、または前記対照試料アリコート(42)が前記生成されたタイム・スタンプに基づいて、前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上にある回数輸送された期間を計算するステップと、
k) 前記制御ユニット(54)によって、前記計算した期間を前記対照試料アリコート搭載安定時間(68)と比較するステップと、
l) 前記計算した時間期間が前記対照試料アリコート搭載安定時間(68)を超過する場合、前記対照試料アリコート(42)を前記廃棄ユニット(74)に輸送するように、前記制御ユニット(54)によって前記輸送システム(48)を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
実験室システム(38)内において診断検査の有効性を判断するために対照試料(36)を供給する実験室システム(38)であって、対照試料全量(44)から対照試料アリコート(42)を生成するように構成された分取デバイス(40)と、対照試料アリコート(42)を保管するように構成された保管庫(46)と、対照試料アリコート(42)を輸送するように構成された輸送システム(48)と、前記診断検査を実行し、1つの対照試料(36)を測定することによって前記診断検査の有効性を判断するように構成された少なくとも2つのアナライザ(50,52)と、制御ユニット(54)とを備え、前記分取デバイス(40)、前記保管庫(46)、および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が前記輸送システム(48)に動作可能に接続され、前記分取デバイス(40)、前記保管庫(46)、前記輸送システム(48)、および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が前記制御ユニット(54)に通信可能に接続され、前記実験室システム(38)が、請求項1から7のいずれか1項記載の方法(10)のステップ(12,14,16,18,20)を実行するように構成される、実験室システム(38)。
【請求項12】
請求項11記載の実験室システム(38)において、前記実験室システム(38)が、別設保管庫(70)を備えており、前記別設保管庫(70)が、前記輸送システム(48)に動作可能に接続され、更に前記制御ユニット(54)に通信可能に接続され、前記保管庫(46)が対照試料アリコート(42)の一時的保管のために構成され、前記別設保管庫(70)が対照試料アリコート(42)の長期保管のために構成され、前記実験室システム(10)が、請求項1から9のいずれか1項記載の方法(10)のステップ(12,14,16,18,20,22,24)を実行するように構成される、実験室システム(38)。
【請求項13】
請求項11記載の実験室システム(38)において、前記実験室システム(38)が、更に、前記輸送システム(48)に動作可能性に接続された廃棄ユニット(74)を備え、前記保管庫(46)、前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)、および前記輸送システム(48)が規定温度を有し、前記保管庫(46)および前記少なくとも2つのアナライザ(50,52)が、一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取るように構成された読み取り手段(76)を含み、前記実験室システム(38)が、請求項10記載の方法(10)のステップ(12,14,16,18,20,26,28,30,32,34)を実行するように構成される、実験室システム(38)。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載の実験室システム(38)に、請求項1から7および請求項10のいずれか1項記載の方法(10)のステップ(12,14,16,18,20,26,28,30,32,34)を実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項15】
請求項14記載のコンピュータ・プログラム製品が格納されているコンピュータ読み取り可能記憶媒体(78)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動体外診断実験室検査の分野に属する。この分野内では、これは、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法、実験室システム、コンピュータ・プログラム製品、およびコンピュータ読み取り可能記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動診断実験室環境では、医者にとって中枢となる情報を表す、高精度で信頼性の高い検査結果を生成するために、慎重にそして効率的な方法で、診断検査を使用して多数の検査試料を分析する。診断検査の精度が低いと、不正確な検査結果が生じるおそれがあり、あるいは最悪の場合には有病誤診または誤検出という検査結果が生じるおそれがあり、検査結果の誤解釈、不適切な追加検査、および患者にとって潜在的に有害な結果が生ずるおそれがある処置を開始する原因となる。通例、自動診断実験室環境は、スループットおよび/またはターンアラウンド時間を改善するために、既定の実験室ワークフローにしたがって同じ診断検査を検査試料上で実行するために複数のアナライザを有する実験室システムを備える。
【0003】
診断検査の間、アナライザ上で検体関連信号またはパラメータを測定し、次いで処理して、検査試料における対象検体の存在および/または濃度を示す検査結果を得る。検査結果の品質、信頼性、および比較可能性は、診断検査中に使用される検査試薬のおよび/またはアナライザ動作に依存する。したがって、診断検査の性能および有効性を監視するために、有効性判断時間スケジュールにしたがって、アナライザの動作中に定期的に診断検査の有効性を判断する必要性がある。診断検査の有効性を判断するために、検体が分かっており検体濃度が分かっているまたは決められている対照試料をアナライザ上で測定し、結果的に得られた有効性判断結果を、既定の許容結果範囲と比較する。有効性判断結果が既定の許容結果範囲内に収まった場合にのみ、診断検査の検査結果を、その後の診断のために放出する(release)ことができる。有効性判断結果が範囲外であった場合、アナライザを要求仕様に戻すために、対応する措置を開始しなければならない。複数のアナライザを備える実験室システムのための対照試料の管理および調製は、操作者にとって非常に時間がかかる。有効性時間スケジュールを実行するためには、多くの手作業の工程が実行されるが、不必要な誤りを招くおそれがあり、不正確な検査結果、検査結果の遅れ、または動作中断時間の原因となる。EP1747470、US6984527、およびWO2018017768は、アナライザ上で診断検査の有効性を判断するために、自動で対照試料を供給する解決策について開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実験室システムのスループットおよび/またはターンアラウンド時間を改善するためには、有効性判断のために供給しなければならない対照試料の数、および対応する保管空間の要求が増大する。しかしながら、対照試料および保管空間は費用がかかり、したがって効率的に使用しなければならない。更に、次の診断のために、検査結果を時間通りに、そして要求品質で供給することができるように、対照試料の利用可能性、および診断検査の有効性判断のために対照試料をアナライザに輸送する時間が、実験室ワークフローにおいて限定要因になってはならない。加えて、異なるアナライザが同じ診断検査を実行することによって生成される有効性判断結果は、実験室システム内における診断検査の有効性判断を信頼性高くそして一貫性をもって監視するために、互いに比較可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、簡単で、信頼性高く、更にコスト効率的な方法で、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給し、これによって自動体外診断検査の要望をより良く満たす方法、実験室システム、コンピュータ・プログラム製品、およびコンピュータ読み取り可能記憶媒体について言及する。
【0006】
本開示は、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法に関する。実験室システムは、対照試料全量(volume)から対照試料アリコートを生成するように構成された、分取デバイス(aliquoting device)と、対照試料アリコートを保管するように構成された保管庫と、対照試料アリコートを輸送するように構成された輸送システムと、診断検査を実行し、1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するように構成された少なくとも2つのアナライザと、制御ユニットとを備える。分取デバイス、保管庫、および少なくとも2つのアナライザは、動作可能に輸送システムに接続される。更に、分取デバイス、保管庫、輸送システム、および少なくとも2つのアナライザは、通信可能に制御ユニットに接続される。この方法は、次のステップを含む。
【0007】
a) 制御ユニットによって、有効性判断時間スケジュールに基づいて、対照試料アリコートの総数および対照試料アリコート毎の等分量を決定するステップであって、各等分量が、デッド・ボリューム(dead volume)と、各々診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する対照試料を、決定した数だけ、構成する(comprising)分量とを含む、ステップと、
【0008】
b) 対照試料全量を収容した1つ以上のベッセルを分取デバイスに供給するステップであって、対照試料全量が、少なくとも、対照試料アリコートの総数の等分量の和である、ステップと、
【0009】
c) 分取デバイスによって、決定した等分量を有する対照試料アリコートを、決定した総数だけ生成するステップと、
【0010】
d) 有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートを保管庫に輸送するか、または少なくとも1つの対照試料アリコートの中の1つにおける対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップである。
【0011】
本明細書において使用する場合、「対照試料」(control sample)という用語は、分量が分かっており、検体がわかっており、検体濃度が分かっているかまたは決められている試料に関する。つまり、対照試料は、検体濃度が分かるように製造業者によって既に分析されている検定済み(assayed)対照試料、または対照試料を購入した実験室が検体濃度を判定しなければならない未検定対照試料のいずれであってもよい。対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を含む。対照試料の検体は、アナライザ上で検体特定診断検査を実行することによって検査試料が分析されるときの対象検体に対応する。対照試料は、アナライザによって実行された診断検査が有効であり、精度が高く信頼性のある検査結果を生成することを監視するために、検査試料と同様にアナライザによって測定される。対照試料は、既知の濃度または確定濃度を有する1つ以上の異なる検体を含んでもよく、1つ以上の異なる診断検査の有効性を判断するために使用することができる。
【0012】
本明細書において使用する場合、「診断検査の有効性を判断する」(validating a diagnostic test)という表現は、診断検査の有効性を監視するプロセスに関する。診断検査の有効性判断の間、診断検査の対象検体に対応する検体を含む対照試料をアナライザによって測定する。アナライザは、検査試料を分析するときに診断検査を実行するように構成され、測定された検体関連信号を処理して有効性判断結果を求め、この有効性判断結果を、既定の許容結果範囲と比較する。有効性判断結果が既定の許容結果範囲内に収まる場合にのみ、アナライザ上で実行された診断検査は有効となり、精度高く信頼性のある検査結果を生成し、次の診断のために放出することができる。
【0013】
本明細書において使用する場合、「診断検査」(diagnostic test)という用語は、対象検体の存在、および望ましければ濃度を判定するための、検査試料の分析または調査に関する。つまり、診断検査は、検査試料においてどの検体またはパラメータを分析する必要があるかを定める。判定された検体の存在および/または濃度に基づいて、定性的または定量的検査結果を生成する。これは、診断を行うため、治療または療法を計画するため、治療または療法が有効に作用しているか否か確認するため、あるいは経時的に疾病を監視するために役立つことができる。診断検査は、検体に関連付けられた信号または物理パラメータの定性的および/または定量的検出もしくは測定に特定的な技法または技術を使用する、特定分析方法に基づくことができる。分析方法は、どのように、そしてどのような手段によって、検査試料または対照試料において検体を検出するかを定める。分析方法は、検体に関連付けられた信号または物理パラメータが直接検出可能である場合には、検出方法のみを含むのでもよい。あるいは、分析方法は、検体に関連付けられた検出可能な信号を発生する(develop)ための先行試験反応、および発生した信号を検出する検出方法を含んでもよい。次いで、検体に関連付けられた検出信号または測定信号もしくは物理パラメータを処理して、検査試料における対象検体の存在および/または濃度を示す、診断検査の検査結果を求める。
【0014】
本明細書において使用する場合、「検査試料」(test sample)という用語は、診断検査を使用して検体またはパラメータの存在、そして望ましければ濃度を判定することができる、患者の標本(例えば、血清、血漿、全血、尿、便、痰、脳脊髄液、骨髄等)に関する。検査試料は、個々の患者から特定の時点において取り込まれるので、対応する検査試料属性は、検査試料毎に一意となる。
【0015】
本明細書において使用する場合、「分取デバイス」(aliquoting device)という用語は、対照試料全量を、決定された等分量を有する対照試料アリコートに分割するように構成されたピペッティング・デバイス(pipetting device)を含むデバイスに関する。分取デバイスは、対照試料全量を、等しいまたは等しくない等分量の対照試料アリコートに分割することができる。分取デバイスは、対照試料全量を含む1つ以上のベッセルを保持するように構成された1つ以上の保持位置と、1つ以上の対照試料アリコート管を保持するように構成された1つ以上の保持位置とを含んでもよい。次いで、ピペッティング・デバイスが、決定された等分量を有する対照試料アリコートを、1つ以上のベッセルの対照試料全量から、1つ以上の対照試料アリコート管に移す。
【0016】
本明細書において使用する場合、「対照試料アリコート」(control sample aliquot)という用語は、管(対照試料アリコート管)に収容された対照試料全量の内、決定された分量(等分量)を有する一部(fraction)に関する。各対照試料アリコートの決定された等分量は、各々、デッド・ボリューム(dead volume)と、各々診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する、確定数の対照試料を構成する(comprising)分量とを含む。つまり、1つの対照試料の分量は、1つの有効性判断結果を得るために必要とされる。診断検査の有効性判断毎に、対照試料アリコートが、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送され、対照試料アリコートの1つの対照試料が、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上による後続の1つの対照試料の測定のために、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上によって、吸引される。「デッド・ボリューム」(deat volume)という用語は、本明細書において使用する場合、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上のアナライザによって、決定された数の対照試料が吸引された後における、対照試料アリコート管内における対照試料の残留量に関する。つまり、デッド・ボリュームは、有効性判断結果を得るため、または診断検査の有効性を判断するためには使用されない(unusable)。デッド・ボリュームは、部分的な空気吸引という内在的な危険性、あるいは対照試料アリコート管とピペッティング・デバイスとの間における物理的接触による対照試料アリコート管またはアナライザのピペッティング・デバイスの損傷を生ずることなく、決定された数の対照試料を、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上のアナライザによって吸引できることを確保する。
【0017】
一実施形態では、1つ以上のベッセル内にある対照試料は、液体対照試料である。つまり、分取デバイスのピペッティング・デバイスは、決定された等分量を有する対照試料アリコートを、1つ以上のベッセルの対照試料全量から1つ以上の対照試料アリコート管に、対照試料全量の暫定的処理を更に行うことなく、直接転送することができる。
【0018】
他の実施形態では、1つ以上のベッセル内にある対照試料は、凍結乾燥対照試料である。この場合、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルは、凍結乾燥対照試料を収容する1つ以上のベッセルと、対照試料を再現する(reconstitute)ことができる液体を収容する1つ以上のベッセルとを含む。そして、分取デバイスは、更に、凍結乾燥対照試料を再現するように構成され、この方法のステップb)は、更に、次のステップを含む。
【0019】
- 分取デバイスによって、1つ以上のベッセル内にある凍結乾燥対照試料を対照試料全量に再現するステップである。
【0020】
代替の実施形態では、実験室システムは、更に、凍結乾燥対照試料を再現するように構成された再現デバイスを備え、この方法のステップb)は、更に、次のステップを含む。
【0021】
- 対照試料全量を収容した1つ以上のベッセルを分取デバイスに供給する前に、再現デバイスによって、1つ以上のベッセル内にある凍結乾燥対照試料を対照試料全量に再現するステップである。
【0022】
対照試料は、分取デバイスのピペッティング・デバイスまたは再現デバイスを使用して、対照試料を再現できる液体を収容する1つ以上のベッセルから、この液体を、凍結乾燥対照試料を収容する1つ以上のベッセルに移すことによって再現される。特定の実施形態では、対照試料を再現できる液体を収容する1つ以上のベッセルは、純水供給デバイスに接続されたデバイスによって構成されてもよい。対照試料の再現は、更に、混合デバイス、攪拌デバイス、および/または分取デバイスもしくは再現デバイスの加熱デバイスを使用して、凍結乾燥対照試料と液体との混合物を収容する1つ以上のベッセルの混合、攪拌(shaking)、および/または過熱を含んでもよい。
【0023】
本明細書において使用する場合、「保管庫」(storage)という用語は、保管ラックまたは搬送システム内に複数の対照試料アリコートを保管することができる種々の大きさのキャビネットに関する。保管ラックまたは搬送システムは、ゲートを通って、保管庫内にそして保管庫から輸送することができる。本明細書において使用する場合、「搬送システム」(carrier system)という用語は、対照試料アリコートを受け取り、保持し、輸送し、および/または放出するように構成されたデバイスに関する。このような搬送システムは、当技術分野では周知であり、EP3093071に記載されるように、またはEP3070479に記載されるように設計されてもよい。一実施形態では、保管庫は、例えば、対照試料アリコートを保管ラックと搬送システムとの間で転送するために、対照試料アリコートを保管ラックまたは搬送システムに位置付けるまたは挿入するように構成された対照試料アリコート・ハンドラを含む。一実施形態では、保管庫は、保管庫内にある対照試料アリコートのために、周囲温度を、規定温度範囲(例えば、22℃±1℃)以内に、または室温未満に、あるいは18℃未満、あるいは10℃未満、そしてあるいは0℃未満に保持する恒温ユニット(tempering unit)を有してもよい。特定の実施形態では、保管庫は、保管庫内にある対照試料アリコートのために、周囲温度を4℃と室温との間に保持する恒温ユニットを有してもよい。更なる実施形態では、保管庫は、蓋をされていない対照試料アリコートの蒸発を低減するために、湿度計および空気加湿器を含んでもよい。保管庫は、その内部において、既定の保存位置に複数の保管ラックまたは搬送システムを保管するために、複数の棚を備えてもよい。更に、保管庫は、棚に加えてまたはその代わりに、保管ラックまたは搬送システムのために、区分けトレイまたはインサートを有してもよい。更に、異なる高さの対照試料アリコートを保管するときに、利用可能な空間を最適化できるようにするために、高さが異なる棚または区分室を設けてもよい。特定の実施形態では、保管庫は、輸送システムまたは少なくとも2つのアナライザの内1つ以上の保管ユニットに動作可能に接続された冷蔵庫である。更なる特定の実施形態では、保管庫は、輸送システムに動作可能に接続された冷凍庫である。あるいは、保管庫は、複数の対照試料アリコートを搬送システムに保管するためのキャビネットを定めるまたは形成する輸送システムの専用有蓋エリアであってもよい。
【0024】
本明細書において使用する場合、「輸送システム」(transport system)という用語は、対照試料全量を収容するベッセル、対照試料アリコート管、検査試料管、検査試薬コンテナ、または検査用消耗品コンテナを、接続された分析前ステーション、アナライザ、または分析後ステーションに輸送または配布(distribute)するように設計されたシステムに関する。輸送システムは、対照試料全量を収容するベッセル、対照試料アリコート管、検査試料管、検査試薬コンテナ、または検査用消耗品コンテナを搭載された搬送システムを輸送することができる輸送平面を構成する(comprise)ことができる。輸送システムは、搬送システムを移動させるコンベア・ベルトを含んでもよい。あるいは、輸送システムは、輸送平面の下に静止配列され、搬送システムを移動させるために磁場を生成するように構成された多数の電磁アクチュエータを含んでもよい。あるいは、輸送システムは、自己推進搬送システムが移動することができる安定な輸送平面を構成してもよい。あるいは、輸送システムは、搬送システムを輸送することができる1本以上のレールを含んでもよい。
【0025】
分析前ステーションは、通常では、対照試料または検査試料の暫定処理のために使用することができる。一実施形態では、分析前ステーションは分取デバイスである。他の実施形態では、分析前ステーションは再現デバイスである。
【0026】
本明細書において使用する場合、「アナライザ」(analyzer)という用語は、測定可能な検体関連信号を生成するために、検査試料またはこの検査試料の一部を分析するための診断検査を実行するように構成されたデバイスに関し、測定可能な検体関連信号に基づいて、検体またはパラメータが存在するか否か、そして望ましければその濃度を示す検査結果を生成することができる。更に、アナライザは、測定可能な検体関連信号を生成するために、対照試料について診断検査を実行するように構成され、この測定可能な検体関連信号の生成に基づいて、有効性判断結果を生成することができる。有効性判断結果は、アナライザ上で実行された診断検査が有効で信頼性のある検査結果を生成したか否か、更に次の診断のためにこの検査結果を放出することができるか否かについて示す。
【0027】
一実施形態では、少なくとも2つのアナライザの各々は、少なくとも2つの別個のモジュール型アナライザ・システムの内、1つのモジュール型アナライザ・システムのアナライザ・モジュールである。少なくとも2つの別個のモジュール型アナライザ・システムは、輸送システムに動作可能に接続され、制御ユニットに通信可能に接続される。一実施形態では、異なる診断検査を実行するように構成された複数のアナライザ・モジュールを組み合わせて1つのモジュール型アナライザ・システムにして、異なる分析方法の診断検査を同じモジュール型アナライザ・システム上で実行できるようにしてもよい。例えば、モジュール型アナライザ・システムは、異なる分析方法を実行して、総合的な診断のために異なる検体またはパラメータを検査する実験室検査ポートフォリオを提供するために、免疫化学アナライザ、臨床化学アナライザ、核酸アナライザ、凝固アナライザ、血液アナライザ、尿アナライザ、血液ガス・アナライザ、またはこれらの組み合わせを含む一群から選択された、2つ以上のアナライザ・モジュールを含んでもよい。他の例では、同じ診断検査を実行するように構成された複数のアナライザ・モジュールを組み合わせて1つのモジュール型アナライザ・システムとして、診断検査のスループットおよびターンアラウンド時間を改善できるようにしてもよい。更に、このようなモジュール型システムは、同じ診断検査を実行するように構成されたアナライザ・モジュールの冗長性により、故障に対して一層安全にすることもできる。
【0028】
分析後ステーションは、通常では、対照試料または検査試料の保管あるいは廃棄のような、対照試料または検査試料の後処理のために使用することができる。一実施形態では、分析後ステーションは保管庫である。他の実施形態では、分析後ステーションは、別設保管庫(further storage)である。更なる実施形態では、分析後ステーションは廃棄ユニットである。
【0029】
更に、分析前ステーション、アナライザ、および分析後ステーションは、例えば、次のデバイスの一群からの少なくとも1つのデバイスを含んでもよい。検査試料管または対照試料アリコート管を仕分ける仕分けデバイス、検査試料管または対照試料アリコート管上のキャップまたは栓を取り除くキャップ除去デバイス、検査試料管または対照試料アリコート管上でキャップまたは栓を嵌めるキャップ嵌入デバイス、検査試料管または対照試料アリコート管上のキャップまたは栓を取り除く/嵌めるキャップ除去/嵌入デバイス、検査試料または対照試料を分注するピペッティング・デバイス、検査試料または対照試料を分取する分取デバイス、検査試料または対照試料を遠心分離する遠心分離デバイス、検査試料または対照試料を分析する分析デバイス、検査試料または対照試料を加熱する加熱デバイス、検査試料または対照試料を冷却する冷却デバイス、検査試料または対照試料を混合する混合デバイス、検査試料または対照試料の検体を分離する(isolating)分離デバイス(separation device)、検査試料または対照試料を保管する保管デバイス、検査試料または対照試料を保存する(archiving)保存デバイス、検査試料のベッセル型または対照試料アリコート管の型を判定する検査試料ベッセル型または対照試料アリコート管型判定デバイス、検査試料品質または対照試料品質を判定する試料品質判定デバイス、検査試料管または対照試料アリコート管を識別する管識別デバイス、検査試料管または対照試料アリコート管における液面を検出する液面検出デバイス。このような分析前ステーション、アナライザ、分析後ステーション、およびデバイスは、当技術分野では周知である。
【0030】
「制御ユニット」(control unit)という用語は、本明細書において使用する場合、プロセッサを備えた任意の物理または仮想処理デバイスを包含し、実験室システム内において対照試料を供給して診断検査の有効性を判断するために、実験室システムを制御するように構成される。制御ユニットは、有効性判断時間スケジュールにしたがって実験室システムの少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送しなければならない対照試料に関する情報を、管理ユニットから受け取ることができる。制御ユニットのプロセッサは、少なくとも、分取デバイス、再現デバイス、保管庫、別設保管庫、輸送システム、制御ユニットに通信可能に接続された少なくとも2つのアナライザを制御することができる。実例をあげると、制御ユニットのプロセッサは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に格納されたコンピュータ読み取り可能プログラムを実行するように構成されたプログラマブル・ロジック・コントローラとして具体化されてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、以下で説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップを、本明細書において説明するような実験室システムに実行させる命令が設けられる。更に、制御ユニットは、実験室機器上で処理されなければならない検査試料または対照試料に関する情報あるいは命令を入力するためにユーザ・インターフェースを含んでもよい。更に、操作員は、有効性判断時間スケジュールを表示および/または構成するために、あるいはこの有効性判断時間スケジュールにしたがって、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために供給される対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルについての情報を表示および/または構成するために、ユーザ・インターフェースを使用することができる。
【0031】
本明細書において使用する場合、「有効性判断時間スケジュール」(validation time schedule)という用語は、特定のアナライザが有効で信頼性のある検査結果を生成し続けているか否か監視するために、少なくとも2つのアナライザの内特定のアナライザ上で、特定の診断検査の有効性を判断しなければならない時点を示す計画に関する。したがって、有効性判断時間スケジュールは、対照試料アリコートをどの時点に、どのアナライザに輸送するかについての計画を定める。一実施形態では、有効性判断時間スケジュールは、規定時間期間と、少なくとも1つの時間セグメントとを含む。有効性判断時間スケジュールは、少なくとも2つのアナライザの各々、および少なくとも1つの時間セグメントの各々について、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することにより、診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送することを計画する複数の有効性判断時点を定める。一実施形態では、有効性判断時間スケジュールは、1つよりも多い時間セグメントを含み、時間セグメントは同じ長さを有しても、異なる長さを有してもよい。
【0032】
特定の実施形態では、時間セグメントは、対照試料アリコート搭載安定時間(onboard stability time)または対照試料搭載安定時間の端数である。有効性判断時間スケジュールの時間セグメントの数および各時間セグメントの長さは、有効性判断時間スケジュールの規定時間期間、および対照試料搭載安定時間に基づいて決定することができる。「対照試料アリコート搭載安定時間」(control sample aliquot onboard stabilitytime)という用語は、本明細書において使用する場合、対照試料アリコートが1つ以上の規定条件で保持される場合、または複数の許容対照試料アリコート処理ステップを受ける場合に、診断検査の有効性を判断するために対照試料アリコートの対照試料が使用可能な期間(time duration)に関する。この期間が経過した場合、対照試料を収容する対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0033】
一実施形態では、対照試料アリコート搭載安定時間は、対照試料アリコートを1つ以上の規定条件で保持できる最大期間、または複数の許容対照試料アリコート処理ステップを実行することができる期間である。対照試料アリコート搭載安定時間は、既定の最大期間であってもよい。あるいは、対照試料アリコート搭載安定時間は、有効性判断時点に依存してもよい。何故なら、特定の対照試料アリコートを1つ以上の規定条件で保持する期間、または複数の許容対照試料アリコート処理ステップを実行する期間は、予定された有効性判断時点に左右される可能性があるからである。
【0034】
特定の実施形態では、規定条件は、対照試料アリコートの規定温度または開放(opened status)である。例えば、次のとおりである。
【0035】
- 対照試料アリコート搭載安定時間が2日の最大期間であり、対照試料アリコートを室温で2日間保持することができ、室温において2日が経過した場合、対照試料を収容するこの対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0036】
- 対照試料アリコート搭載安定時間が、対照試料アリコートを室温で保持できる最長期間である30分、および対照試料アリコートを4℃で保持できる最長時間である23.5時間であり、室温において30分または4℃において23.5時間が経過した場合、対照試料を収容するこの対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0037】
- 対照試料アリコート搭載安定時間が、対照試料を開放で保持できる最長時間である1時間であり、1時間が経過した場合、対照試料を収容するこの対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0038】
更なる特定の実施形態では、許容対照試料アリコート処理ステップの数は、アリコートが受けることができる最大温度変化回数、または少なくとも2つのアナライザの内1つ以上への最大輸送回数である。アナライザにおいて、対照試料アリコートの内少なくとも1つの対照試料が、少なくとも1つの対照試料のその後の測定のために少なくとも2つのアナライザの内1つ以上によって吸引される。例えば、次のとおりである。
【0039】
- 対照試料アリコート搭載安定時間が、対照試料アリコートが最大5回の温度変化を受けることができる期間であり(例えば、4℃から室温へ、室温から4℃へ、4℃から室温へ、室温から4℃へ、4℃から室温へ)、対照試料が5回の温度変化を受けた場合、対照試料を収容するこの対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0040】
- 対照試料アリコート搭載安定時間が、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に5回輸送することができる期間であり、1回毎にアナライザにおいて、対照試料アリコートの1つの対照試料が、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上によって吸引され、5つの対照試料が対照試料アリコートから吸引された場合、対照試料を収容するこの対照試料アリコートは、もはや対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に輸送してはならない。
【0041】
一実施形態では、少なくとも2つのアナライザの各々に対する有効性判断時点は、既定の時間間隔、既定の時間、既定の日にち、既定の診断検査実行回数、および/または既定のイベントによって決定される。例えば、次のとおりである。
【0042】
- 12時間または24時間毎に、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。
【0043】
- 毎週月曜日および木曜日の午後4時に、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。
【0044】
- 検査試料に対して30回診断検査を実行した後、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。検査試料に対してある回数の診断検査を実行した正確な期間は変動し、到来する検査命令および/または実験室システムの作業負荷に依存するので、有効性判断時点は、過去の動作情報に基づく予想によって定めることができる。例えば、過去5か月の間、毎週月曜日の午前8時と午前11時との間に30回の診断検査が実行された場合、次の月曜日の午前8時と午前11時との間に、30回の診断検査の実行を予測することができる。
【0045】
一実施形態では、既定のイベントは保守点検活動および/または較正測定である。例えば、次のとおりである。
【0046】
- 毎日午前8時に、特定の保守点検活動を予定し、この保守点検活動の後、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。
【0047】
- 8時間毎に、分析方法を較正、漸変(graduate)または調節するために較正測定を実行し、この較正測定の後、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。
【0048】
- 毎週月曜日の午前8時に、特定の保守点検活動およびその後に較正測定を予定し、この保守点検活動およびその後の較正測定の後、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートを少なくとも2つのアナライザの内の1つに輸送するように計画する。
【0049】
一実施形態では、ステップa)において、少なくとも1つの時間セグメントの数と、時間セグメント当たりの対照試料アリコートの数とに基づいて、対照試料アリコートの総数を決定する。少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける対照試料アリコートの等分量を、少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける有効性判断時点の数に基づいて決定する。つまり、ステップa)において、実験室システムの設定、および所与のまたは所定の有効性判断要件を使用して、対照試料アリコート毎に可能な限り最も大きな等分量を有する、可能な限り最も小さい数の対照試料アリコートを決定する。これには、全てのデッド・ボリュームおよび関連コストの和を最小限に減らせるという利点がある。
【0050】
更なる実施形態では、時間セグメント当たりの対照試料アリコートの数は、更に、少なくとも1つの同じ有効性判断時点が時間セグメント毎に定められる少なくとも2つのアナライザの最大数によって決定される。そして、少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける対照試料アリコートの等分量は、更に、少なくとも1つの同じ有効性判断時点が少なくとも1つの時間セグメントの中の1つに対して定められる少なくとも2つのアナライザの最大数によって決定される。例えば、次のとおりである。
【0051】
- N台のアナライザが1つの時間セグメントにおいて少なくとも1つの同じ有効性判断時点を有する場合、この時間セグメントに対する対照試料アリコートの数にNを乗算する。ここで、Nは正の整数である。
【0052】
- N+X台のアナライザの第1グループが、1つの時間セグメントにおいて、少なくとも1つの第1の同じ有効性判断時点を有し、N台のアナライザの第2グループが少なくとも1つの第2の同じ有効性判断時点を有する場合、この時間セグメントに対する対照試料アリコートの数にN+Xを乗算する。ここで、NおよびXは正の整数である。
【0053】
本明細書において使用する場合、「同じ有効性判断時点」(same validation time point)という用語は、第1アナライザに対して定められた第1有効性判断時点と第2アナライザに対して定められた第2有効性判断時点との間の期間が、対照試料アリコートを第1アナライザから第2アナライザに、または第2アナライザから第1アナライザに輸送するためには短すぎる場合、第1アナライザに対して定められた第1有効性判断時点および第2アナライザに対して定められた第2有効性判断を意味する。
【0054】
特定の実施形態では、少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける各対照試料アリコートの等分量の差が対照試料の1つの分量以下となるように、少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける有効性判断時点の数に対して必要とされると判定された数の対照試料が、少なくとも1つの時間セグメントの中の1つにおける決定された数の対照試料アリコートに分配される。したがって、試料等分量の差が可能な限り最も小さい対照試料アリコートを生成するために、前述した数の対照試料が、できるだけ均等に、前述した数の対照試料アリコートに分配される。これには、生成されたアリコートが比較可能なまたは同様の物理および/または化学特性を有するという利点がある。これは、対照試料の比較可能な扱いまたは処理にとって重要であり、比較可能な有効性判断結果が得られるに至る。
【0055】
一実施形態では、有効性判断時間スケジュールは、規定時間期間と、少なくとも1つの有効性判断サイクルとを含む。有効性判断時間スケジュールは、1つの有効性判断サイクルに対して、時間シーケンスと、1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に対照試料アリコートが輸送されることが予定される複数の有効性判断時点とを定める。有効性判断サイクルは、有効性判断時間スケジュールの規定時間期間の間、ある回数(例えば、X回、ここでXは整数である)繰り返される。
【0056】
特定の実施形態では、この方法のステップa)において、有効性判断時間スケジュールの規定時間期間、有効性判断サイクル毎の有効性判断時点、および対照試料アリコート安定時間に基づいて、対照試料アリコートの総数を決定する。そして、有効性判断サイクル毎の有効性判断時点、および対照試料アリコート安定時間に基づいて、対照試料アリコート毎に等分量を決定する。対照試料アリコート安定時間は、1つの有効性判断サイクルに等しいか、またはその倍数である。したがって、対照試料アリコートの数は、規定時間期間を延長することによって、または対照試料アリコート安定時間を短縮することによって増大する。そして、対照試料アリコート毎の等分量は、有効性判断サイクルの全ての有効性判断時点を増やすことによって、増大する。つまり、ステップa)において、実験室システムの設定、および所与のまたは所定の有効性判断要件を使用して、対照試料アリコート毎に可能な限り最も大きな等分量を有する対照試料アリコートの可能な限り最も小さい数を決定する。これには、全てのデッド・ボリュームおよび関連コストの和を最小限に減らせるという利点がある。
【0057】
更なる特定の実施形態では、この方法のステップa)において、対照試料アリコートの総数、および対照試料アリコート毎の等分量は、更に、少なくとも1つの同じ有効性判断時点が有効性判断サイクル毎に定められる少なくとも2つのアナライザの最大数によって決定される。したがって、少なくとも1つの同じ有効性判断時点が有効性判断サイクル毎に定められるアナライザの最大数を増やすことによって、対照試料アリコートの数が増大し、各対照試料アリコートの等分量は減少する。
【0058】
更に特定的な実施形態では、対照試料全量は、第1等分量を有する複数の第1対照試料アリコートの総量を含む。第1対照試料アリコートの数および第1等分量は、次のように計算する。
【0059】
第1対照試料アリコートの数 = ROUNDDOWN(((C*D)-(B*((ROUNDUP((C*D)/B;0))-1)))*((A-(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/D);0)
【0060】
第1等分量 = ((ROUNDUP((C*D)/B;0))*E)+F
【0061】
A:有効性判断時間スケジュールの規定時間期間(日単位)
B:有効性判断サイクル毎に少なくとも1つの同じ有効性判断時点が定められるアナライザの最大数
C:有効性判断サイクル当たりの有効性判断時点の数
D:対照試料アリコート搭載安定時間(日単位)
E:診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる1つの対照試料の分量
F:対照試料アリコート当たりのデッド・ボリューム
【0062】
更に一層特定的な実施形態では、対照試料全量は、更に、第2等分量を有する複数の第2対照試料アリコートの総量を含む。第2対照試料アリコートの数および第2等分量は、次のように計算する。
【0063】
第2対照試料アリコートの数 = ROUNDDOWN(((B*(ROUNDUP((C*D)/B;0)))-(C*D))*((A-(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/D);0)
【0064】
第2等分量 = (((ROUNDUP((C*D)/B;0))-1)*E)+F
【0065】
A:有効性判断時間スケジュールの規定時間期間(日単位)
B:有効性判断サイクル毎に少なくとも1つの同じ有効性判断時点が定められるアナライザの最大数
C:有効性判断サイクル当たりの有効性判断時点の数
D:対照試料アリコート搭載安定時間(日単位)
E:診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる1つの対照試料の分量
F:対照試料アリコート当たりのデッド・ボリューム
【0066】
更に一層特定的な実施形態では、対照試料全量は、更に、第3等分量を有する複数の第3対照試料アリコートの総量と、第4等分量を有する複数の第4対照試料アリコートの総量とを含む。第3対照試料アリコートの数、第3等分量、第4対照試料アリコートの数、および第4等分量は、次のように計算する。
【0067】
第3対照試料アリコートの数 = ROUNDDOWN(((C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))-(B*((ROUNDUP((C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/B;0))-1)))*((A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D))/((IF(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)=0;1; A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))));0)
【0068】
第3等分量=((ROUNDUP((C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/B;0))*E)+F
【0069】
第4対照試料アリコートの数=ROUNDDOWN(((B*(ROUNDUP((C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/B;0)))-(C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D))))*((A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D))/((IF(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)=0;1; A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))));0)
【0070】
第4等分量=((((ROUNDUP((C*(A-((ROUNDDOWN(A/D;0))*D)))/B;0))-1))*E)+F
【0071】
A:有効性判断時間スケジュールの規定時間期間(日単位)
B:有効性判断サイクル毎に少なくとも1つの同じ有効性判断時点が定められるアナライザの最大数
C:有効性判断サイクル当たりの有効性判断時点の数
D:対照試料アリコート搭載安定時間(日単位)
E:診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる1つの対照試料の分量
F:対照試料アリコート当たりのデッド・ボリューム
【0072】
一実施形態では、この方法は、更に、この方法のステップa)の前に、次のステップを含む。
【0073】
- 制御ユニットによって、この制御ユニットのユーザ・インターフェース上に有効性判断時間スケジュールを表示するステップと、
【0074】
- ユーザ・インターフェースを使用する操作員によって、表示された有効性判断時間スケジュールを、この方法のステップa)に対する有効性判断時間スケジュールとして使用することを確認または拒否するステップと、
【0075】
- 表示された有効性判断時間スケジュールが拒否された場合、ユーザ・インターフェースを使用する操作員によって、表示された有効性判断時間スケジュールを設定し(configure)、ユーザ・インターフェースを使用する操作員によって、設定された有効性判断時間スケジュールを、この方法のステップa)に対する有効性判断時間スケジュールとして使用することを確認するステップである。
【0076】
一実施形態では、表示された有効性判断時間スケジュールは、規定時間期間、既定数の既定長の時間セグメント、ならびに少なくとも2つのアナライザの各々、および既定数の時間セグメントの各々に対する既定の有効性判断時点を含む。あるいは、表示された時間スケジュールは、設定変更可能な(configurable)有効性判断時間スケジュール・テンプレートである。
【0077】
一実施形態では、表示された有効性判断時間スケジュールを設定するステップが、次のステップの内少なくとも1つを含む。
【0078】
- 有効性判断時間スケジュールが設定される診断検査を指定するステップと、
【0079】
- 診断検査の有効性を判断するために対照試料を指定するステップ(例えば、対照試料搭載安定時間)と、
【0080】
- 有効性判断時間スケジュールの時間期間を規定するステップと、
【0081】
- 有効性判断要件(例えば、有効性判断時間間隔、既定の時間、既定の日、既定数の実行診断検査、および/または既定のイベント)にしたがって、少なくとも2つのアナライザの各々に対して有効性判断時点を指定するステップと、
【0082】
- 時間セグメントの数を指定するステップと、
【0083】
- 各時間セグメントの長さを指定するステップである。
【0084】
例えば、操作員が、対照試料搭載安定時間が16時間の対照試料を使用する5つのアナライザに対して、時間期間が3日の有効性判断時間スケジュールを設定するのでもよい。規定時間期間、および所与の対照試料搭載安定時間に基づいて、結果的に得られた有効性判断時間スケジュールは、16時間の時間セグメントを4つ、および8時間の時間セグメントを1つ含む。5つのアナライザの有効性判断要件に基づいて、各時間セグメントに対して有効性判断時点を決定することができる。最後に、時間セグメントの数、および各時間セグメント内における5つのアナライザに対する有効性判断時点に基づいて、対照試料アリコートの総数、および各対照試料アリコートの等分量を決定することができ、操作員は、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給することができる。このように、有効性判断時間スケジュールの時間期間を規定することによって、操作員は、彼の作業スケジュールおよび/または作業負荷にしたがって、有効性判断時間スケジュールを設定できるという利点がある。
【0085】
一実施形態では、この方法は、この方法のステップa)の後でステップb)の前に次のステップを含む。
【0086】
- 制御ユニットによって、決定された対照試料アリコートの総数、および各対照試料アリコートの等分量に基づいて、対照試料全量を計算するステップと、
【0087】
- 制御ユニットによって、対照試料全量と、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給するための命令とを、制御ユニットのユーザ・インターフェース上に表示するステップである。
【0088】
一実施形態では、実験室システムは、更に、装填ステーションを備え、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給するステップは次のステップを含む。
【0089】
- 操作員によって、装填ステーション上で対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを装填するステップである。
【0090】
一実施形態では、装填ステーションは分取デバイスによって構成されてもよい。
【0091】
代替の実施形態では、装填ステーションは分取デバイスまたは再現デバイスとは別個でもよく、輸送システムに動作可能に接続されてもよく、制御ユニットに通信可能に接続されてもよい。そして、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを装填ステーション上に装填した後、制御ユニットは、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを装填ステーションから分取デバイスまたは再現デバイスに輸送するように、輸送システムを制御する。
【0092】
他の実施形態では、この方法は、更に、次のステップを含む。
【0093】
e) 制御ユニットによって、有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって、診断検査の有効性を判断するために、保管庫と少なくとも2つのアナライザとの間で少なくとも1つの対照試料アリコートを輸送するように、輸送システムを制御するステップである。
【0094】
特定の実施形態では、この方法のステップe)は、更に、次のステップを含む。
【0095】
- ステップc)と第1有効性判断時点との間の期間、または2回の連続する有効性判断時点の間の期間が、規定時間閾値を超過するとき、制御ユニットによって、少なくとも1つの対照試料アリコートを保管庫に輸送するように、輸送システムを制御するステップである。
【0096】
したがって、対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコートは常に利用可能であり、同時に、最適な対照試料保管条件(例えば、4℃および/または最適な湿度における保管)を提供することによって、対照試料アリコートを実験室システム上にもっと長く保持することができる。したがって、不正確な検査結果、検査結果の遅延、または動作中断時間の危険性、ならびに必要な対照試料アリコートの数および対応するデッド・ボリュームを低減することができる。
【0097】
生成された対照試料アリコートの総数が少なくとも1つの対照試料アリコートと更に他の対照試料アリコートとを含む場合であって、更に、有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートが、ステップc)の直後に少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される予定である場合、例えば、有効性判断時間スケジュールが開始する直前に操作員が対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給していることから、少なくとも1つの対照試料アリコートは、少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送され、他の対照試料アリコートは保管庫に輸送される。
【0098】
生成された対照試料アリコートの総数が少なくとも1つの対照試料アリコートと、更に他の対照試料アリコートとを含む場合であって、更に、有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートが、ステップc)の直後に少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される予定でない場合、例えば、有効性判断時間スケジュールが開始する少し前に操作員が対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給していることから、有効性判断時間スケジュールが開始するとき、少なくとも1つの対照試料アリコートが少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される前に、少なくとも1つの対照試料アリコートおよび他の対照試料アリコートは保管庫に輸送される。つまり、操作員は、次の有効性判断時間スケジュールのためだけでなく、今後の有効性判断時間スケジュールのためにも、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給することができる。これは、次の有効性判断時間スケジュールまたは今後の有効性判断スケジュールが、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給するための操作員が不在である(not available)ときに開始する場合に、有利であろう。したがって、実験室システムの立ち去り時間(walk-away time)を改善することができる。
【0099】
更に他の実施形態では、この方法は、更に、この方法のステップe)の後に次のステップを含む。
【0100】
- 少なくとも1つの他の対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも1つの他の対照試料アリコートを保管庫から少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップと、
【0101】
- 有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの他のアリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも1つの他の対照試料アリコートを保管庫と少なくとも2つのアナライザとの間で輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップである。
【0102】
対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために対照試料アリコートが要求されると直ちに、保管庫に保管されている他の対照試料アリコートを、それらを利用可能にするために、保管庫から搬出することができるので、不正確な検査結果、検査結果の遅延、または動作中断時間の危険性を更に低減することができる。
【0103】
一実施形態では、実験室システムは別設保管庫(further storage)も含む。別設保管庫は、輸送システムに動作可能に接続され、制御ユニットに通信可能に接続される。前述の保管庫は対照試料アリコートの一時的な保管のために構成され、別設保管庫は対照試料アリコートの長期保管のために構成される。そして、この方法のステップd)は、更に、次のステップを含む。
【0104】
- 有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートを一時的保管のために保管庫に、または少なくとも1つの対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送し、他の対照試料アリコートを長期保管のために別設保管庫に輸送するように、そして有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートを一時的保管のために保管庫に、または少なくとも1つの対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送する前に、少なくとも1つの対照試料アリコートおよび他の対照試料アリコートを、長期保管のために別設保管庫に輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップである。
【0105】
本明細書において使用する場合、「別設保管庫」(further storage)という用語は、保管ラックまたは搬送システム内に複数の対照試料アリコートを長期間保管するように構成された種々の大きさのキャビネットに関する。保管ラックまたは搬送システムは、ゲートを通って保管庫内に、そして保管庫から輸送することができる。別設保管庫は、この別設保管庫内にある対照試料アリコートのために、周囲温度を、0℃未満に、あるいは-20℃未満に保持する恒温ユニット(tempering unit)を含む。本明細書において使用する場合、「長期保管」(long-term-storage)という用語は、1つの時間セグメントまたは対照試料アリコート搭載安定時間以上の期間に関する。例えば、別設保管庫内にある対照試料アリコートは、-20℃で保管することができ、したがって、対照試料アリコート搭載安定時間よりも長く、実験室システム上で保持することができる。対照試料アリコートを実験室システム上により長く保持することができるので、より多くの対照試料アリコートを、より長い規定時間期間のために生成することができ、したがって、操作員が対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給する頻度を減らすことができ、これによって立ち去り時間を改善する。実験室システムが保管庫と別設保管庫とを備える場合、前者の保管庫は、保管庫内にある対照試料アリコートのために、周囲温度を4℃と室温との間に保持する恒温ユニットを含む。本明細書において使用する場合、「一時的保管」(temporary storage)という用語は、1つの時間セグメントまたは対照試料アリコート搭載安定時間よりも短い期間に関する。例えば、保管庫内にある対照試料アリコートは、1つの時間セグメントの間4℃に保持することができ、したがって解凍時間が不要なので、有効性判断のために素早く利用することができる。一実施形態では、別設保管庫は、例えば、対照試料アリコートを保管ラックと搬送システムとの間で転送するために、対照試料アリコートを保管ラックまたは搬送システムに位置付けるまたは挿入するように構成された対照試料アリコート・ハンドラを含む。保管庫は、その内部に、既定の保存位置に複数の保管ラックまたは搬送システムを保管するために、複数の棚を備えてもよい。更に、保管庫は、棚に加えてまたはその代わりに、ラックまたは搬送システムのために、区分けトレイまたはインサートを有してもよい。更に、異なる高さの対照試料アリコートを保管するときに、利用可能な空間を最適化できるようにするために、高さが異なる棚または区分室を設けてもよい。特定の実施形態では、長期保管庫は、輸送システムに動作可能に接続された冷凍庫である。
【0106】
生成された対照試料アリコートの総数が少なくとも1つの対照試料アリコートと更に他の対照試料アリコートを含む場合、更に、有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートが、ステップc)の直後に一時的保管のために保管庫にまたは少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される予定である場合、少なくとも1つの対照試料アリコートは、一時的保管のために保管庫にまたは少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送され、他の対照試料アリコートは長期保管のために別設保管庫に輸送される。
【0107】
生成された対照試料アリコートの総数が少なくとも1つの対照試料アリコートと更に他の対照試料アリコートを含む場合、更に、有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコートが、ステップc)の直後に一時的保管のために保管庫にまたは少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される予定でない場合、有効性判断時間スケジュールが開始するとき、少なくとも1つの対照試料アリコートが一時的保管のために保管庫にまたは少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送される前に、少なくとも1つの対照試料アリコートおよび他の対照試料アリコートを長期保管のために別設保管庫に輸送する。つまり、操作員は、次の有効性判断時間スケジュールのためだけでなく、今後の有効性判断時間スケジュールのためにも、対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給することができる。これは、操作員が対照試料全量を収容する1つ以上のベッセルを供給することができないときに、次の有効性判断時間スケジュールまたは今後の有効性判断スケジュールが開始する場合に、有利であろう。したがって、実験室システムの立ち去り時間(walk-away time)を改善することができる。
【0108】
更に他の実施形態では、この方法は更に次のステップを含む。
【0109】
f) 少なくとも1つの他の対照試料アリコートを別設保管庫から一時的保管のための保管庫に、または少なくとも1つの他の対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザの内1つに輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップと、
【0110】
g) 有効性判断時間スケジュールにしたがって、少なくとも1つの他のアリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料の少なくとも1つの他のアリコートを、一時的保管のための保管庫と、少なくとも2つのアナライザとの間で輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップである。
【0111】
対照試料アリコートの1つの対照試料を測定することによって診断検査の有効性を判断するために対照試料アリコートが要求されると直ちに、別設保管庫に保管されている他の対照試料アリコートを、それらを利用可能にするために、別設保管庫から搬出することができるので、不正確な検査結果、検査結果の遅延、または動作中断時間の危険性を更に低減することができる。
【0112】
一実施形態では、生成された対照試料アリコートは各々、少なくとも対照試料アリコート搭載安定時間に関連付けられた一意の対照試料アリコート識別情報(identity)を含む。実験室システムは、更に、輸送システムに動作可能に接続された廃棄ユニットを備える。保管庫、少なくとも2つのアナライザ、および輸送システムは、規定温度を有し、保管庫および少なくとも2つのアナライザは、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るように構成された読み取り手段を含む。この方法は、更に、次のステップを含む。
【0113】
h) 対照試料アリコートが保管庫および少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に到達するまたは離れる毎に、読み取り手段によって一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るステップと、
【0114】
i) 一意の対照試料アリコート識別情報を読み取ったときに、読み取り手段によってタイム・スタンプを生成するステップと、
【0115】
j)対照試料アリコートが1つ以上の規定温度で保持された期間、対照試料アリコートがある回数の温度変化を受けた期間、または生成されたタイム・スタンプに基づいて、対照試料アリコートが少なくとも2つのアナライザの内1つ以上にある回数輸送された期間を、制御ユニットによって計算するステップと、
【0116】
k) 制御ユニットによって、計算した時間期間を対照試料アリコート搭載安定時間と比較するステップと、
【0117】
l) 計算した時間期間が対照試料アリコート搭載安定時間を超過する場合、対照試料アリコートを廃棄ユニットに輸送するように、制御ユニットによって輸送システムを制御するステップである。
【0118】
本明細書において使用する場合、「一意の対照試料アリコート識別情報」(unique control sample aliquot identity)という用語は、各対照試料アリコートの異なる識別についての識別子に関する。一意の対照試料アリコート識別情報は、少なくとも対照試料アリコート搭載安定時間に関連付けられる。一意の対照試料アリコート識別情報は、製造情報(例えば、ロット情報)または組成情報(例えば、検体(1つまたは複数)、濃度(1つまたは複数)、添加物等)のような、更に他の対照試料属性または情報に関連付けられてもよい。一意の対照試料アリコート識別情報は、対照試料アリコート管に添付されたタグでもよい。例えば、一意の対照試料アリコート識別情報は、対照試料アリコート管に添付されたバーコードまたは無線識別タグ(RFIDタグ)であってもよい。一意の対照試料アリコート識別情報および関連付けられた対照試料アリコート搭載安定時間、更には他の対照試料属性は、制御ユニットに通信可能に接続されたデータベースに格納することができる。あるいは、一意の対照試料アリコート識別情報および関連付けられた対照試料アリコート搭載安定時間、更には他の対照試料属性は、RFIDタグ上に格納することもできる。
【0119】
本明細書において使用する場合、「読み取り手段」(reading means)という用語は、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るように構成されたデバイスに関する。例えば、読み取り手段は、バーコード・リーダ、RFIDリーダ、またはカメラでもよい。あるいは、読み取り手段は、書き込み機能も含むRFIDリーダ/ライタであってもよい。
【0120】
本明細書において使用する場合、「廃棄ユニット」(disposal unit)という用語は、対照試料アリコート搭載安定時間が既に経過しており、したがってもはや診断検査の有効性を判断するために使用できない対照試料アリコートを廃棄するように構成されたデバイスに関する。一実施形態では、廃棄ユニットは、保管庫または少なくとも2つのアナライザとは空間的に分離される。他の実施形態では、廃棄ユニットは、保管庫または少なくとも2つのアナライザの内1つ以上に含まれてもよい。
【0121】
一実施形態では、実験室システムは別設保管庫を備え、この別設保管庫は規定温度を有し、別設保管庫は、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るように構成された他の読み取り手段を含む。この方法のステップh)は、更に、次のステップを含む。
【0122】
- 対照試料アリコートが別設保管庫に到達するまたは別設保管庫から離れる毎に、他の読み取り手段によって、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るステップである。
【0123】
この方法のステップi)は、更に、次のステップを含む。
【0124】
- 一意の対照試料アリコート識別情報を読み取ったとき、他の読み取り手段によってタイム・スタンプを生成するステップを含む。
【0125】
一実施形態では、実験室システムは、更に、対照試料アリコート管上の栓を取り除くように構成された栓除去デバイス、および対照試料アリコート管上で栓を嵌める栓嵌入デバイス、あるいは対照試料アリコート管上の栓を取り除く/嵌めるように構成された栓除去/嵌入デバイスを備え、栓除去デバイスおよび栓嵌入デバイス、または栓除去/嵌入デバイスは、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るために他の読み取り手段を含む。この方法のステップh)は、更に、次のステップを含む。
【0126】
- 栓除去デバイスおよび栓嵌入デバイス、または栓除去/嵌入デバイスによって対照試料アリコート管が閉じられるそして開かれる毎に、他の読み取り手段によって一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るステップである。
【0127】
この方法のステップi)は、更に、次のステップを含む。
【0128】
- 一意の対照試料アリコート識別情報を読み取ったとき、他の読み取り手段によってタイム・スタンプを生成するステップである。
【0129】
この方法のステップj)は、更に、次のステップを含む。
【0130】
- 対照試料アリコートが1つ以上の開放で保持された期間を、制御ユニットによって計算するステップである。
【0131】
一実施形態では、1つ以上のベッセルの各ベッセルは、一意のベッセル識別情報を含み、この一意のベッセル識別情報は、少なくとも対照試料搭載安定時間に関連付けられ、この方法のステップc)は、更に、次のステップを含む。
【0132】
- 制御ユニットによって、一意のベッセル識別情報に関連付けられた対照試料搭載安定時間を、生成された各対照試料アリコートの各一意の対照試料アリコート識別情報に割り当てるステップである。
【0133】
また、本開示は、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する実験室システムに関する。この実験室システムは、対照試料全量から対照試料アリコートを生成するように構成された分取デバイスと、対照試料アリコートを保管するように構成された保管庫と、対照試料アリコートを輸送するように構成された輸送システムと、診断検査を実行し、1つの対照試料を測定することによってこの診断検査の有効性を判断するように構成された少なくとも2つのアナライザと、制御ユニットとを備える。分取デバイス、保管庫、および少なくとも2つのアナライザは、輸送システムに動作可能に接続される。分取デバイス、保管庫、輸送システム、および少なくとも2つのアナライザは、制御ユニットに通信可能に接続される。そして、実験室システムは、本明細書において説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップa)~e)を実行するように構成される。
【0134】
実験室システムの一実施形態では、実験室システムは、更に、1つ以上のベッセルを分取デバイスに供給する前に、凍結乾燥対照試料を対照試料全量に再現するように構成された再現デバイスを備える。
【0135】
一実施形態では、実験室システムは別設保管庫を備える。この別設保管庫は、輸送システムに動作可能に接続され、更に制御ユニットに通信可能に接続される。前述の保管庫は、対照試料アリコートの一時的な保管のために構成され、別設保管庫は対照試料アリコートの長期保管のために構成される。そして、実験室システムは、本明細書において説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップa)~g)を実行するように構成される。
【0136】
更なる実施形態では、実験室システムは、更に、輸送システムに動作可能に接続された廃棄ユニットを備える。保管庫、少なくとも2つのアナライザ、および輸送システムは、規定温度を有し、保管庫および少なくとも2つのアナライザは、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るように構成された読み取り手段を含む。そして、実験室システムは、本明細書において説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップa)~e)およびステップh)~l)を実行するように構成される。
【0137】
実験室システムの一実施形態では、実験室システムは別設保管庫を備える。この別設保管庫は、規定温度を有し、この別設保管庫は、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るように構成された他の読み取り手段を含む。実験室システムは、ステップa)~l)までを実行し、更に、この方法のステップh)中に、次のステップを実行するように構成される。
【0138】
- 対照試料アリコートが別設保管庫に到達する毎または別設保管庫から離れる毎に、他の読み取り手段によって一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るステップである。
【0139】
そして、実験室システムは、この方法のステップi)中に、更に次のステップを実行するように構成される。
【0140】
- 一意の対照試料アリコート識別情報を読み取ったときに、他の読み取り手段によってタイム・スタンプを生成するステップである。
【0141】
実験室システムの一実施形態では、実験室システムは、更に、アリコート上の栓を取り除くように構成された栓除去デバイス、およびアリコート上で栓を嵌める栓嵌入デバイス、あるいはアリコート上の栓を取り除く/嵌めるように構成された栓除去/嵌入デバイスを備える。栓除去デバイスおよび栓嵌入デバイス、または栓除去/嵌入デバイスは、一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るために他の読み取り手段を含む。実験室システムは、ステップa)~l)を実行するように構成され、更に、この方法のステップh)中に、次のステップを実行するように構成される。
【0142】
- 栓除去デバイスおよび栓嵌入デバイス、または栓除去/嵌入デバイスによって対照試料アリコートが閉じられるまたは開かれる毎に、他の読み取り手段によって一意の対照試料アリコート識別情報を読み取るステップである。
【0143】
そして、実験室システムは、この方法のステップi)中に、更に次のステップを実行するように構成される。
【0144】
- 一意の対照試料アリコート識別情報を読み取ったときに、他の読み取り手段によってタイム・スタンプを生成するステップである。
【0145】
そして、実験室システムは、この方法のステップi)中に、更に次のステップを実行するように構成される
【0146】
- 対照試料アリコートが1つ以上の開放で保持された期間を、制御ユニットによって計算するステップである。
【0147】
更に、本開示は、本明細書において説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップを、本明細書において説明するような実験室システムに実行させる命令を含むコンピュータ・プログラムに関する。
【0148】
更に、本開示は、本明細書において説明するように、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法のステップを、本明細書において説明するような実験室システムに実行させる命令を含むコンピュータ・プログラムが格納されているコンピュータ読み取り可能記憶媒体に関する。
【0149】
他の、そして更に一層の目的、特徴、および利点は、例示的な実施形態についての以下の説明、および原理を更に詳しく説明するのに役立つ添付図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0150】
図1図1は、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する実験室システムの模式図を示す。
図2図2A図2Dは、実験室システム内において診断検査の有効性を判断するために対照試料を供給する方法の実施形態の流れ図を示す。
図3図3Aおよび図3Bは、有効性判断スケジュールの各時間セグメント中における有効性判断時間スケジュール、対照試料アリコート、および等分量の推移(course)の例を示す。
図4図4Aおよび図4Bは、有効性判断スケジュールの各時間セグメント中における有効性判断時間スケジュール、対照試料アリコート、および等分量の推移の他の例を示す。
図5図5は、有効性判断時間スケジュールの他の例を示す。
図6A図6Aは、有効性判断時間スケジュールの他の例を示す。
図6B図6Bは、有効性判断時間スケジュールの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0151】
図1において、実験室システム(38)内において診断検査の有効性を判断するために対照試料(36)を供給する実験室システム(38)の模式図を示す。実験室システム(38)は、1つ以上のベッセル(62)に含まれる対照試料全量(44)から対照試料アリコート(42)を生成するように構成された分取デバイス(40)を備える。更に、実験室システム(38)は、対照試料アリコート(42)を保管するように構成された保管庫(46)を備える。図1に示すように、搬送システム(47)は、対照試料アリコート(42)を受け取り、保持し、輸送し、および/または放出することができる。更に、実験室システム(38)は、診断検査を実行し、1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するように構成された少なくとも2つのアナライザ(50、52)を備える。図示する実施形態では、少なくとも2つのアナライザ(50,52)の各々は、2つの別個のモジュール型アナライザ・システム(51,53)の中の1つモジュール型アナライザ・システムのアナライザ・モジュールであり、各モジュール型アナライザ・システムは4つのアナライザ・モジュールを含む。更に、実験室システム(38)は、対照試料アリコート(42)が搭載された搬送システム(47)を、分取デバイス(40)、保管庫(46)、および少なくとも2つのアナライザ(50,52)間で輸送するように構成された輸送システム(48)を備える。分取デバイス(40)、保管庫(46)、および少なくとも2つのアナライザ(50,52)は、輸送システム(48)に動作可能に接続されている。更に、実験室システム(38)は制御ユニット(54)を備える。図1における破線で示すように、制御ユニット(54)は、分取デバイス(40)、保管庫(46)、および少なくとも2つのアナライザ(50,52)に通信可能に接続されている。制御ユニット(54)はユーザ・インターフェース(80)を含む。ユーザ・インターフェース(80)は、有効性判断時間スケジュール(58)を表示および/または設定するために、あるいは有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって実験室システム(38)内において診断検査の有効性を判断するために供給されるベッセル(62)の数および対照試料全量(44)についての情報を表示および/または設定するためにある。更に、制御ユニット(54)は、コンピュータ・プログラムが格納されているコンピュータ読み取り可能記憶媒体(78)を含む。コンピュータ・プログラムは、図2および図6において更に詳しく説明するように、方法(10)のステップ(12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34)を実験室システム(38)に実行させる命令を含む。
【0152】
図示する実施形態では、実験室システム(38)は、対照試料アリコート(42)の長期保管のために構成された別設保管庫(70)と、対照試料アリコート搭載安定時間(68)が既に経過しておりしたがってもはや診断検査の有効性を判断するために使用できない対照試料アリコートを廃棄する廃棄ユニット(74)とを備える。実験室システム(38)が保管庫と別設保管庫(70)とを備える場合、前者の保管庫は対照試料アリコートの一時的保管のために構成される。更に図1に示すように、保管庫(46)、別設保管庫(70)、および少なくとも2つのアナライザ(50,52)は、対照試料アリコート(42)の一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取り、対照試料アリコート(42)が保管庫(46)、別設保管庫(70)、および少なくとも2つのアナライザ(50,52)に到達する毎に、またはこれらから離れる毎にタイム・スタンプを生成するように構成された読み取り手段(76)を含む。
【0153】
図2A図2Dは、実験室システム(38)内において診断検査の有効性を判断するために対照試料(36)を供給する方法(10)の実施形態の流れ図を示す。図1に示すように、実験室システム(38)は、分取デバイス(40)、保管庫(46)、輸送システム(48)、少なくとも2つのアナライザ(50,52)、および制御ユニット(54)を備える。図2Aは、方法(10)の第1実施形態を示す。方法(10)のステップa)(12)において、制御ユニット(54)は、以下で図3から図6において更に説明するように、有効性判断時間スケジュール(58)に基づいて、対照試料アリコート(42)の総数、および対照試料アリコート(42)毎の等分量(56)を決定する。次いで、方法(10)のステップb)(14)において、対照試料全量(44)を収容する1つ以上のベッセル(62)を分取デバイス(40)に供給する。対照試料全量(44)は、少なくとも、総数の対照試料アリコート(42)の等分量(56)の和である。続いて、分取デバイス(40)は、方法(10)のステップc)(16)において、決定された等分量(56)を有する対照試料アリコート(42)を、決定された総数だけ生成する。方法(10)のステップd)(18)において、制御ユニット(54)は、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を保管庫(46)に輸送するように、または少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送するように、輸送システム(48)を制御する。
【0154】
図2Bに示すように、方法(10)の第2実施形態では、第1実施形態の方法(10)のステップd)(18)の後に、制御ユニット(54)は、方法(10)のステップe)(20)において、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を保管庫(46)と少なくとも2つのアナライザ(50,52)との間で輸送するように、輸送システム(48)を制御する。
【0155】
図2Cは、実験室システム(38)が保管庫(46)と別設保管庫(70)とを備える場合の方法(10)の第3実施形態を示す。方法(10)の第3実施形態のステップa)~c)(12,14,16)は、第1実施形態について以上で説明したのと同じステップa)~c)(12,14,16)である。しかしながら、方法(10)のステップd)(18)において、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、方法(10)のステップc)(16)の直後に、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)が一時的保管のために保管庫(46)に、または少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送される予定になっている場合、制御ユニット(54)は、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を一時的保管のために保管庫(46)に輸送するように、または少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送するように、輸送システム(48)を制御する。そして、他の対照試料アリコート(42)を、長期保管のために、別設保管庫(70)に輸送する。有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)が、ステップc)(16)の直後に、一時的保管のために保管庫(46)にも、少なくとも2つのアナライザ(50,52)の1つにも輸送されるように予定されていない場合、有効性判断時間スケジュール(58)が開始したときに、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を一時的保管のために保管庫(46)に、または少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つに輸送する前に、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)および他の対照試料アリコート(42)を、長期保管のために別設保管庫(70)に輸送する。少なくとも1つの対照試料アリコート(42)が一時的保管のために保管庫(46)に、または少なくとも2つのアナライザ(50,52)の1つに輸送された後、制御ユニット(54)は、方法(10)のステップe)(20)において、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって少なくとも1つの対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を保管庫(46)と少なくとも2つのアナライザ(50,52)との間で輸送するように、輸送システム(48)を制御する。有効性判断時間スケジュール(58)の次の時間セグメント(64)において、または少なくとも1つの対照試料アリコート(42)に対照試料(36)が残っていない場合、または対照試料アリコート搭載安定時間(68)が既に経過している場合、制御ユニット(54)は、方法(10)のステップf)(22)において、少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)を別設保管庫(70)から、一時的保管のための保管庫(46)に、または少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、少なくとも2つのアナライザ(50.52)の内1つに輸送するように、輸送システム(48)を制御する。方法(10)のステップf)(22)の後、制御ユニット(54)は、方法(10)のステップg)(24)において、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって、少なくとも1つの他のアリコート(42)の1つの対照試料(36)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、一時的保管のための保管庫(46)と少なくとも2つのアナライザ(50,52)との間で、少なくとも1つの他の対照試料アリコート(42)を輸送するように、輸送システム(48)を制御する。
【0156】
図2Dにおいて、生成された各対照試料アリコート(42)が、少なくとも対照試料アリコート搭載安定時間(68)に関連付けられた一意の対照試料アリコート識別情報(72)を含む場合の方法(10)の第4実施形態を示す。一意の対照試料アリコート識別情報(72)は、実験室システム(38)上で少なくとも1つの対照試料アリコート(42)を追跡し、その廃棄を制御するために使用することができる。つまり、実験室システム(38)は、更に、輸送システム(48)に動作可能に接続された廃棄ユニット(74)を備える。保管庫(46)、少なくとも2つのアナライザ(50,52)、および輸送システム(48)は、規定温度を有する。更に、保管庫(46)および少なくとも2つのアナライザ(50,52)は、一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取るように構成された読み取り手段(76)を含む。方法(10)の第4実施形態のステップa)~e)(12,14,16,18)は、第2実施形態について以上で説明したのと同じステップa)~e)(12,14,16,18)である。方法(10)のステップh)(26)において、対照試料アリコート(42)が保管庫(46)および少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上に到達する毎に、またはこれらから離れる毎に、保管庫(46)および少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上の読み取り手段(76)は、一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取る。次いで、方法(10)のステップi)(28)において、保管庫(46)および少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上の読み取り手段(76)は、一意の対照試料アリコート識別情報(72)を読み取ったときに、タイム・スタンプを生成する。生成されたタイム・スタンプに基づいて、制御ユニット(54)は、ステップj)(30)において、対照試料アリコート(42)が1つ以上の規定温度に保持された期間、対照試料アリコート(42)がある回数の温度変化を受けた間の期間、または対照試料アリコート(42)が少なくとも2つのアナライザ(50,52)の内1つ以上にある回数輸送された間の期間を計算する。続いて、制御ユニット(54)は、方法(32)のステップk)(32)において、計算した期間を、対照試料アリコート搭載安定時間(68)と比較する。最後に、方法(10)のステップl)(34)において、計算した時間期間が対照試料アリコート搭載安定時間(68)を超過する場合、制御ユニット(54)は、対照試料アリコート(42)を廃棄ユニット(74)に輸送するように輸送システム(48)を制御する。
【0157】
図3Aは、有効性判断時間スケジュール(58)の例を示す。図示する有効性判断時間スケジュール(58)は、3日という規定時間期間(63)を有する、5つの時間セグメント(64)、時間セグメント1~時間セグメント5を含む。図示する時間セグメント(64)は、異なる長さを有する。時間セグメント1~時間セグメント4は、16時間という長さの対照試料アリコート搭載安定時間(68)を有する。最後の時間セグメント5は、対照試料アリコート搭載安定時間(68)の半分のみである、8時間の長さを有する。図示する例では、有効性判断時間スケジュール(58)は、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)、アナライザA~アナライザEについて、そして5つの時間セグメント(64)の各々について、対照試料アリコート(42,CSA)が、対照試料アリコート(42,CSA)の1つの対照試料(36,CS)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送されることが予定される、複数の有効性判断時点(66)を定める。図3Aに示すように、第1時間セグメント1の第1有効性判断時点(00:00)において、第1対照試料アリコートCSA1がアナライザA(50)に輸送されるように予定され、第1時間セグメント1の第2有効性判断時点(04:00)において、第1対照試料アリコートCSA1がアナライザB(52)に輸送されるように予定されている等となっている。更に図示のように、対照試料アリコートCSA2~CSA5は、第1時間セグメント1の間保管庫(46)に保管される。何故なら、これらは、第1時間セグメント1後に初めて、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送されるように予定されているからである。対照試料アリコートCSA2は、第2時間セグメント2の第1有効性判断時点(00:00)においてアナライザB(52)に輸送されるように予定されている。時間セグメント2の第2有効性判断点は次の日の00:00であるので、対照試料アリコートCSA2は、アナライザB(52)から保管庫(46)に逆輸送され、その後時間セグメント2の第2有効性判断点においてアナライザA(50)に輸送される。このように、制御ユニット(54)は、2つの連続する有効性判断時点間の期間が規定時間閾値を超過するとき、対照試料アリコートCSA2を保管庫(46)に輸送するように、輸送システム(48)を制御する。対照試料アリコートCSA3は、有効性判断時間スケジュール(58)の第3時間セグメント3の有効性判断時点(66)にしたがって、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上または保管庫(46)に輸送され、対照試料アリコートCSA4は、有効性判断時間スケジュール(58)の第4時間セグメント4の有効性判断時点(66)にしたがって、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上または保管庫(46)に輸送され、対照試料アリコートCSA5は、有効性判断時間スケジュール(58)の第5時間セグメント5の有効性判断時点(66)にしたがって、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上または保管庫(46)に輸送される。
【0158】
図3Bは、図3Aにおいて以上で示したような有効性判断スケジュール(58)の各時間セグメント(62)の間における対照試料アリコート(42,CSA)および等分量(56)の推移(course)を示す。図示する例では、時間セグメント(64)の数に基づいて、有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって診断検査の有効性を判断するための対照試料アリコート(42,CSA)の総数を決定する。そして、時間セグメント(64)の中の1つにおける有効性判断時点(66)の数に基づいて、時間セグメント(64)の中の1つにおける対照試料アリコート(42,CSA)の等分量(56)を決定する。つまり、図3Aに示すように有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって診断検査の有効性を判断するためには、5つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA1~対照試料アリコートCSA5が必要とされる。時間セグメント1および時間セグメント4に関して、4つの有効性判断時点を定め、対照試料アリコートCSA1の等分量および対照試料アリコートCSA4の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、4つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。時間セグメント2および時間セグメント3に関して、3つの有効性判断時点を定め、対照試料アリコートCSA2の等分量および対照試料アリコートCSA3の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、3つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。最後の時間セグメント5に関して、1つの有効性判断時点のみを定め、対照試料アリコートCSA5の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、1つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。更に図3Bに示すように、時間セグメントの各有効性判断時点の後に、対応する輸送された対照試料アリコート(42,CSA)の等分量(56)は、1つの対照試料(36,CS)だけ減少する。何故なら、1つの対照試料(36,CS)が、対照試料(36,CS)の次の測定のために、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つによって吸入されたからである。例えば、対照試料アリコートCSA1の等分量は、時間セグメント1の第1有効性判断時点(00:00)においてアナライザA(50)に輸送される前では、デッド・ボリューム(60,DV)と、4つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。時間セグメント1の第1有効性判断時点(00:00)の後、対照試料アリコートCSA1の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、3つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。
【0159】
また、図3Aおよび図3Bは、第1時間セグメント1の第1有効性判断時点(00:00)の前に、対照試料全量(44)を収容するベッセル(62)を分注デバイス(40)に供給することを示す。対照試料全量(44)は、太い外輪郭で示すように、5つの対照試料アリコートCSA1~CSA5の等分量(56)の和である。
【0160】
図4Aは、有効性判断時間スケジュール(58)の他の例を示す。有効性判断時間スケジュール(58)の最初の2つの時間セグメント(64)、時間セグメント1および時間セグメント2だけが示されている。図示する例では、有効性判断時間スケジュール(58)は、5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)について、そして2つの図示する時間セグメント(64)の各々について、対照試料アリコート(42,CSA)の1つの対照試料(36,CS)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために対照試料アリコート(42,CSA)が5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送されることが予定される、複数の有効性判断時点(66)を定める。図4Aに示すように、2つのアナライザAおよびB(50,52)に対して、時間セグメント1において同じ第1有効性判断時点(00:00)が定められている。したがって、有効性判断時間スケジュール(58)の時間セグメント1に対して、2つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA1およびCSA2を決定する。このように、第1時間セグメント1の第1有効性判断時点(00:00)において、対照試料アリコートCSA1はアナライザA(50)に輸送されるように予定され、対照試料アリコートCSA2はアナライザB(52)に輸送されるように予定される。次いで、第1時間セグメント1の第2有効性判断時点(04:00)において、第1対照試料アリコートCSA1をアナライザC(82)に輸送する。時間セグメント1の第3有効性判断点は12:00であるので、対照試料アリコートCSA2をアナライザB(52)から保管庫(46)に逆輸送し、その後、時間セグメント1の第3有効性判断点においてアナライザD(84)に輸送する。第1時間セグメント1の間、対照試料アリコートCSA3、CSA4、およびCSA5は保管庫(46)に保管されている。何故なら、これらは、第2時間セグメント2の間になって初めて、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上の輸送されるように予定されているからである。有効性判断時間スケジュール(58)の時間セグメント2において、3つのアナライザA、B、およびE(50,52,86)に対して、同じ第1有効性判断時点(16:00)が定められ、2つのアナライザCおよびD(82,84)に対して、同じ第2有効性判断点(00:00)が定められている。したがって、3つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA3~対照試料アリコート5を、有効性判断時間スケジュール(58)の時間セグメント2に対して決定する。つまり、第2時間セグメント2の第1有効性判断時点(16:00)において、対照試料アリコートCSA3はアナライザ(50)に輸送されるように予定され、対照試料アリコートCSA4はアナライザB(52)に輸送されるように予定され、第5対照試料アリコートCSA5はアナライザE(86)に輸送されるように予定されている。時間セグメント2の第2有効性判断点は次の日の00:00であるので、対照試料アリコートCSA3および対照試料アリコートCSA4をアナライザA(50)およびアナライザB(52)から逆に保管庫(46)に輸送し、その後、時間セグメント2の第2有効性判断点(00:00)において、これらをアナライザC(82)およびアナライザD(84)に輸送する。
【0161】
図4Bは、図4Aにおいて以上で示したような有効性判断スケジュール(58)の図示した各時間セグメント(64)の間に必要とされる対照試料アリコート(42,CSA)および等分量(56)の推移を示す。有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって診断検査の有効性を判断するための対照試料アリコート(42)の総数を、時間セグメント(64)の数、および少なくとも1つの同じ有効性判断時点(66)が時間セグメント(64)毎に定められた5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の最大数に基づいて決定する。そして、時間セグメント(64)の1つの対照試料アリコート(42,CSA)の等分量(56)を、時間セグメント(64)の1つの有効性判断時点(66)の数、および少なくとも1つの時間セグメント(64)のの中の1つに対して少なくとも1つの同じ有効性判断時点(66)が定められた5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の最大数に基づいて決定する。図示する例では、図4Aに示したような有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって診断検査の有効性を判断するために、2つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA1および対照試料アリコートCSA2を第1時間セグメント1に対して決定し、3つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA3から対照試料アリコートCSA5、を第2時間セグメント2に対して決定する。時間セグメント1に関して、4つの有効性判断時点を5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)に対して定め、2つの対照試料アリコートを決定し、対照試料アリコートCSA1の等分量および対照試料アリコートCSA2の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、2つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。時間セグメント2に対して、5つの有効性判断時点を5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)に定め、3つの対照試料アリコートを決定する。ここで、対照試料アリコートCSA3、CSA4、およびSCA5の等分量(56)の差が、対照試料(36,CS)の1つの分量以下となるように、5つの有効性判断時点(66)に必要とされる5つの対照試料(36,CS)を3つの対照試料アリコート(42,SCA)に分配する。したがって、対照試料アリコートCSA3の等分量(56)および対照試料アリコートCSA4の等分量(56)は、デッド・ボリューム(60,DV)と、2つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。そして、対照試料アリコートCSA5の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、1つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、1つの対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する。更に図4Bに示すように、時間セグメントの各有効性判断時点の後、対応する輸送された対照試料アリコート(42,CSA)の等分量(56)は、1つの対照試料(36,CS)だけ減少する。何故なら、1つの対照試料(36,CS)が、対照試料(36,CS)の次の測定のために、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つによって吸入されたからである。
【0162】
図5は、有効性判断時間スケジュール(58)の他の例を示す。図示する有効性判断時間スケジュール(58)は、3日間という規定時間期間(63)に対して、長さが1日である3つの有効性判断サイクル(65)、有効性判断サイクル1~有効性判断サイクル3を含む。有効性判断時間スケジュール(58)は、1つの有効性判断サイクルに対して、時間スケジュールと、対照試料アリコート(42,CSA)の1つの対照試料(36,CS)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)の内1つ以上に対照試料アリコート(42,CSA)が輸送されることが予定される、複数の有効性判断時点(66)とを定める。次いで、有効性判断時間スケジュール(58)の規定時間期間(63)の間に、有効性判断サイクルを3回繰り返す。図5Aに示すように、第1有効性判断サイクル1および第2有効性判断サイクル2の間に、第1対照試料アリコートCSA1を、1つの有効性判断サイクル(65)の各第1有効性判断時点(00:00)においてアナライザA(50)に輸送し、各第2有効性判断時点(04:00)においてアナライザB(52)に輸送し、各第3有効性判断時点(08:00)においてアナライザC(82)に輸送し、各第4有効性判断時点(12:00)においてアナライザD(84)に輸送し、各第5有効性判断時点(16:00)においてアナライザE(86)に輸送する。第2有効性判断サイクル2の第1有効性判断時点(00:00)は、第1有効性判断サイクル1の第5有効性判断時点(16:00)の8時間後であるので、対照試料アリコートCSA1を保管庫(46)に逆輸送し、その後、有効性判断サイクル2の第1有効性判断点において、それをアナライザA(50)に輸送する。このように、第1有効性判断サイクル1および第2有効性判断サイクル2に対して、同じ対照試料アリコートCSA1を決定する。何故なら、対照試料アリコート安定時間(68)は2日であり、したがって、1回の有効性判断サイクル(65)の長さの2倍になるからである。第2対照試料アリコートCSA2は、最初の2回の有効性判断サイクルの間保管庫(46)に格納されている。何故なら、これは、最初の2回の有効性判断サイクル1および2の後の第3有効性判断サイクル3になって初めて、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上の輸送されるように予定されているからである。図示する例では、規定時間期間(63)、有効性判断サイクル(66)毎の有効性判断時点、および対照試料アリコート安定時間(68)に基づいて、対照試料アリコート(42,CSA)の総数を決定する。そして、有効性判断サイクル(65)当たりの有効性判断時点(66)の数、および対照試料アリコート安定時間(68)に基づいて、対照試料アリコート(42,CSA)毎に等分量(56)を決定する。このように、図示する有効性判断時間スケジュール(58)にしたがって診断検査の有効性を判断するためには、2つの対照試料アリコート(42,CSA)、対照試料アリコートCSA1および対照試料アリコートCSA2が必要となる。有効性判断サイクル1および有効性判断サイクル2に関して、10個の有効性判断時点(66)を定め、対照試料アリコートCSA1の等分量は、デッド・ボリューム(60,DV)と、10個の対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する(図示せず)。第3有効性判断サイクル3に関して、5つの有効性判断時点(66)を定め、対照試料アリコートCSA2の等分量(56)は、デッド・ボリューム(60,DV)と、5つの対照試料(36,CS)を構成する分量とを含み、各対照試料は、診断検査の有効性を1回判断するために必要とされる分量を有する(図示せず)。
【0163】
図6Aおよび図6Bは、有効性判断時間スケジュール(58,59)の他の例を示す。図6Aでは、有効性判断時間スケジュール(58)の内最後の3つのセグメント(64)、時間セグメント6~時間セグメント8だけが示されている。有効性判断時間スケジュール(58)は、5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)に対して、そして3つの図示する時間セグメント6~8の各々に対して、対照試料アリコートC(42,CSA)の1つの対照試料(35,CS)を測定することによって診断検査の有効性を判断するために、対照試料アリコート(42,CSA)が5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送されるように予定される、複数の有効性判断時点(66)を定める。図6Aに示すように、対照試料アリコートCSA8は、時間セグメント6の第1有効性判断時点(08:00)において、アナライザC(82)に輸送され、次いで保管庫(46)に逆輸送され、その後時間セグメント1の第2有効性判断点においてアナライザB(52)に輸送される。実験室システム(38)は、保管庫(46)に加えて、別設保管庫(70)も備えている。この実験室システムの設定では、保管庫(46)は、対照試料アリコート(42,CSA)の一時的保管のために構成されており、例えば、保管庫(46)内にある対照試料アリコート(42,CSA)は4℃に保持されており、したがって、解凍時間が必要ないので、有効性判断のために素早く利用可能である。別設保管庫(70)は、対照試料アリコート(42,CSA)の長期保管のために構成されており、例えば、別設保管庫(70)内にある対照試料アリコート(42,CSA)は、-20℃で保管することができ、したがって、対照試料アリコート搭載安定時間よりも長く実験室システム(38)に保持することができる。例えば、有効性判断スケジュール(58)の時間セグメント6の終了まで、対照試料アリコートCSA9を実験室システム(38)の別設保管庫(70)に保管し、時間セグメント7の第1有効性判断時点(00:00)において、アナライザA(50)に輸送する。対照試料アリコートCSA9が最初に別設保管庫(70)から搬出された後、次に一時的な保管のために保管庫(46)に逆輸送され、その後時間セグメント7の第2有効性判断点(08:00)において、更にアナライザC(82)に輸送される。このように、時間セグメント毎に、他の対照試料アリコート(42,CSA)を別設保管庫(70)から搬出することができ、次いで1つの時間セグメントの間に、5つのアナライザA~E(50,52,82,84,86)の内1つ以上と保管庫(46)と間で輸送する。図6Aの下部に、有効性判断スケジュール(58)の各時間セグメント(62)中における、対照試料アリコート(42,CSA)および等分量(56)の推移を示す。
【0164】
アナライザの動作中に、予測しなかった出来事または予定になかった出来事が起こり、そのために有効性判断および有効性判断の結果が後に要求されるということも起こり得る。例えば、図6Aにおいてアスタリスクで示すように、アナライザD(84)に対して有効性判断結果が要求されると、時間セグメント6の第1有効性判断時点(08:00)と第2有効性判断時点(16:00)との間で、予期せずに対照試料(36,CS)をアナライザD(84)に輸送しなければならなくなる。有効性判断時間スケジュール(58)では、時間セグメント6の第1有効性判断時点(08:00)と第2有効性判断時点(16:00)との間には本来有効性判断時点がアナライザD(84)に定められていないが、操作者による即座の介入は必要ない。予期しない出来事が発生した後にアナライザD(84)に対して有効性判断結果を生成するために、制御ユニット(54)は時間セグメント6の第1有効性判断時点(08:00)と第2有効性判断時点(16:00)との間に新たな有効性判断時点(12;00)を定める。次いで、図6Aにおいて矢印で示し、図6Bにおいて更に説明するように、続く有効性判断時点(66)において5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送されるはずであった対照試料アリコート(42,CSA)または次々に送られる対照試料アリコート(42,CSA)は、ここでは、有効性判断時間(58)において元々定められていたよりも早く少なくとも1つの有効性判断時点において、5つのアナライザ(50,52,82,84,86)の内1つ以上に輸送される。
【0165】
図6Bは、予期しなかった出来事または予定になかった出来事が発生し、時間セグメント6の第1有効性判断時点(08:00)と第2有効性判断時点(16:00)との間に新たな有効性判断時点(12:00)が制御ユニット(54)によって定められた後における、図6Aに示した有効性判断スケジュール(58)の更新バージョンを示す。有効性判断スケジュール(58)の更新バージョンに基づいて、対照試料アリコートCSA8は、ここでは、図6Aに示したように有効性判断時間スケジュール(58)によって最初に定められた保管庫(46)ではなく、新たに定められた有効性判断時点(12:00)においてアナライザD(84)に輸送される。続いて、時間セグメント6の本来定められていた第2有効性判断時点(16:00)において、対照試料アリコートCSA8をアナライザB(52)に輸送する。次いで、時間セグメント6の本来定められていた第3有効性判断時点(20:00)において、他の対照試料アリコートCSA9を別設保管庫(70)からアナライザE(86)に輸送し、その後時間セグメント7の第1有効性判断時点(00:00)においてアナライザA(50)に輸送する。最後に、時間セグメント7の第2有効性判断時点(08:00)において、他の対照試料アリコートCSA11を別設保管庫(70)からアナライザC(82)に輸送する。図6Aに示すように、元の有効性判断時間スケジュール(58)の時間セグメント8の第1有効性判断時点(16:00)には、対照試料アリコートCSA11はもはや入手可能でないので、元の時間セグメント8の有効性判断時点(16:00)は、この時点では、次の有効性判断時間スケジュール(59)の第1時間セグメント1の第1有効性判断時点(16:00)として定められる。したがって、元の有効性判断時間スケジュール(58)の本来定められていた時間期間(63)が終了する前に、次の有効性判断時間スケジュール(59)のために、対照試料全量(44)を収容する1つ以上の新たなベッセル(62)を供給しなければならない。したがって、例えば、予期しなかった出来事または予定になかった出来事が起きた時点において、制御ユニット(54)のユーザ・インターフェース(80)上に警告を表示して、本来定められていた時間期間(63)が終了する前に、次の有効性判断時間スケジュール(59)のための対照試料全量(44)を収容する1つまたは複数の新たなベッセル(62)を供給しなければならないことを示す。更に、1つ以上の新たなベッセル(62)および新たな有効性判断時間スケジュール(59)のための対照試料全量(44)についての情報、ならびに次の有効性判断時間スケジュール(59)のために対照試料全量(33)を収容する1つ以上の新たなベッセル(62)をいつ供給しなければならないかについての情報を、制御ユニット(54)のユーザ・インターフェース(80)上に表示する。図6Bに示す例では、操作員は、次の有効性判断時間スケジュール(59)の第1時間セグメント1の第1有効性判断時点(16:00)の前に、次の有効性判断時間スケジュール(59)のための対照試料全量(44)を収容する1つ以上の新たなベッセル(62)を供給しなければならない。つまり、操作者は、対照試料全量(44)を収容する1つ以上の新たなベッセル(62)を供給する十分な時間があり(予期しなかった出来事が起きてから24時間後まで)、予期しなかった出来事または予定になかった出来事が起こったときに直ちに1つの対照試料を供給する必要はない。以後の有効性判断時点のために決定された対照試料アリコート(42,CSA)の対照試料(36,CS)は、予期しなかった出来事の後診断検査の有効性を判断するために使用することができるので、検査結果の遅延および動作中断時間の危険性を更に減らすことができる。図6Bの下部において、有効性判断スケジュール(58)の更新バージョンおよび次の有効性判断時間スケジュール(59)の各時間セグメント(62)中における、対照試料アリコート(CSA,42)および等分量(56)の推移を示す。
【0166】
以上の明細書では、本開示の完全な理解が得られるようにするために、多数の具体的詳細について明記した。しかしながら、この具体的な詳細は、本教示を実施するために採用されなくてもよいことは、当業者には明白であろう。他方では、本開示を曖昧にするのを回避するために、周知の素材(material)や方法については詳細に説明しなかった。
【0167】
特に、開示した実施形態の変更および変形は、以上の説明を参照すれば可能であるのは確かである。したがって、添付した請求項の範囲内で、本発明は、以上の例において具体的に考案した以外の方法でも実施できることは理解されよう。
【0168】
以上の明細書全体を通じて、「一実施形態」(one embodiment)、「実施形態」(an embodiment)、「一例」(one example)、または「例」(an example)に言及するときは、例または実施形態と関連付けて説明した特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。つまり、本明細書全体を通じて種々の箇所(splaces)において「一実施形態において」、[実施形態では」、「一例」、または「例」という語句が現れるときは、必ずしも全てが同じ実施形態または例を指すわけではない。
【0169】
更に、1つ以上の実施形態または例において、特定の特徴、構造、または特性が任意の適した組み合わせおよび/またはサブコンビネーションで組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B