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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】磁極子、電動機、磁極子の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2793 20220101AFI20231128BHJP
   H02K 21/24 20060101ALI20231128BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H02K1/2793
H02K21/24 M
H02K1/22 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020115426
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013098
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 舞帆
(72)【発明者】
【氏名】林 俊平
(72)【発明者】
【氏名】笠井 信吾
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-249347(JP,A)
【文献】特開2011-055577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 21/24
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鉄心と、
第2鉄心と、
第1極が前記第1鉄心の方を向くとともに第2極が前記第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、
前記第1鉄心及び前記第2鉄心における、電機子と対向しない面及び前記永久磁石と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、
を備え
前記支持部材は、前記永久磁石が前記第1鉄心又は前記第2鉄心の方へ移動することを抑制する複数の突起を有する
磁極子。
【請求項2】
前記複数の突起は、前記永久磁石における第1面側に配置される突起である第1面側突起を複数有するとともに、当該永久磁石における前記第1面とは反対側の面である第2面側に配置される突起である第2面側突起を複数有し、
前記第1鉄心は、複数の前記第1面側突起間に配置され、
前記第2鉄心は、複数の前記第2面側突起間に配置される
請求項に記載の磁極子。
【請求項3】
前記複数の前記第2面側突起における一方の当該第2面側突起は、他方の当該第2面側突起の方に屈曲した一方側屈曲部を有し、当該他方の当該第2面側突起は、当該一方の当該第2面側突起の方に屈曲した他方側屈曲部を有し、
前記第2鉄心には、前記一方側屈曲部及び前記他方側屈曲部を収容する凹部が形成されている
請求項に記載の磁極子。
【請求項4】
第1鉄心と、
第2鉄心と、
第1極が前記第1鉄心の方を向くとともに第2極が前記第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、
前記第1鉄心及び前記第2鉄心における、電機子と対向しない面及び前記永久磁石と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した複数の突起を有し、前記複数の突起における一方の突起は、他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、
前記第1鉄心は、前記一方の突起と前記他方の突起とで囲まれた部位に配置されるとともに、当該一方の突起の屈曲部と当該他方の突起の屈曲部との間に配置される凸部を有す
極子。
【請求項5】
前記第2鉄心及び前記永久磁石は、回転軸の軸方向に見た形状が全て同一である
請求項に記載の磁極子。
【請求項6】
第1鉄心と、
第2鉄心と、
第1極が前記第1鉄心の方を向くとともに第2極が前記第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、
前記第1鉄心及び前記第2鉄心における、電機子と対向しない面及び前記永久磁石と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した複数の突起を有し、当該複数の突起における一方の突起は、当該複数の突起における他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、
前記第1鉄心には、前記複数の突起が嵌り込む凹部が形成されてい
極子。
【請求項7】
前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した、前記複数の突起と対向する他の複数の突起を有し、当該他の複数の突起における一方の突起は、当該他の複数の突起における他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、
前記第2鉄心には、前記他の複数の突起が嵌り込む凹部が形成され、
前記第1鉄心、前記永久磁石及び前記第2鉄心は、前記複数の突起と前記他の複数の突起との間に配置されている
請求項に記載の磁極子。
【請求項8】
前記第1鉄心、前記第2鉄心及び前記永久磁石を有するユニットを複数有し、
さらに、複数の前記ユニット相互間の距離を維持するように当該複数の当該ユニット間に配置された中間支持部材を備える
請求項1からのいずれか1項に記載の磁極子。
【請求項9】
前記ユニットは、前記第1鉄心に対して、前記第2鉄心と直交する方向に配置された第3鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第3鉄心の方を向くように配置された第2の永久磁石と、を有し、
前記中間支持部材は、隣り合うユニットの前記第2の永久磁石間に配置される
請求項に記載の磁極子。
【請求項10】
電機子と、
回転軸を有し、前記電機子と対向して配置された磁極子と、
を備えるアキシャルギャップ形の電動機であって、
前記磁極子は、第1鉄心と、当該第1鉄心に対して前記電機子とは反対側に配置された第2鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、当該第1鉄心及び当該第2鉄心における前記回転軸の軸方向に伸びる面、又は、当該第2鉄心における当該電機子とは反対側の面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、
を備える電動機。
【請求項11】
分割された状態の外側支持部材に対して、複数の第1鉄心と、複数の第2鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第2鉄心の方を向くように当該第1鉄心と当該第2鉄心との間に第1永久磁石を嵌め込み、
複数の前記第1鉄心の内の隣り合う当該第1鉄心の間に第2永久磁石を嵌め込み、
複数の前記第2鉄心の内の隣り合う当該第2鉄心の間に第3永久磁石を嵌め込み、
分割された状態の内側支持部材に対して、複数の第3鉄心と、複数の第4鉄心と、第1極が当該第3鉄心の方を向くとともに第2極が当該第4鉄心の方を向くように当該第3鉄心と当該第4鉄心との間に第4永久磁石を嵌め込み、
複数の前記第3鉄心の内の隣り合う当該第3鉄心の間に第5永久磁石を嵌め込み、
複数の前記第4鉄心の内の隣り合う当該第4鉄心の間に第6永久磁石を嵌め込み、
前記第1鉄心と前記第3鉄心との間に第7永久磁石を配置し、前記第2鉄心と前記第4鉄心との間に第8永久磁石を配置し、
前記分割された状態の外側支持部材と前記分割された状態の内側支持部材とを組み合わせることでサブユニットを構成する
磁極子の組立方法。
【請求項12】
複数の前記サブユニットにおける、前記分割された状態の内側支持部材同士を接合するとともに、前記分割された状態の外側支持部材同士を接合する
請求項11に記載の磁極子の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁極子、電動機、及び、磁極子の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電機子と可動子との間のギャップに生じる磁束数を増大させることができる電動機が提案されている。
例えば、特許文献1に記載されたアキシャルギャップ形の電動機は、以下のように構成されている。すなわち、電動機は、円環扇形板状をなす鉄心の1つの主面以外の5つの面のそれぞれに永久磁石が取り付けられた複数の磁極ブロックが回転軸を中心とした環状方向である可動方向に並べて構成された回転子と、回転子と軸方向に向き合うように配置された円盤状の電機子とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-75848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたアキシャルギャップ形の電動機においては、永久磁石や鉄心を立体的に配置させる必要があるので、永久磁石や鉄心を回転可能に支持するという点で、さらなる改善の余地があった。一方で、磁極子から発生する磁束が低下したり、電動機の体積を増加したりして、電動機の特性が低下することは好ましくない。
本発明は、特性を低下させることなく、磁石や鉄心を支持することができる磁極子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、第1鉄心と、第2鉄心と、第1極が前記第1鉄心の方を向くとともに第2極が前記第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、前記第1鉄心及び前記第2鉄心における、電機子と対向しない面及び前記永久磁石と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、を備える磁極子である。
ここで、前記支持部材は、前記永久磁石が前記第1鉄心又は前記第2鉄心の方へ移動することを抑制する複数の突起を有しても良い。
また、前記複数の突起は、前記永久磁石における第1面側に配置される突起である第1面側突起を複数有するとともに、当該永久磁石における前記第1面とは反対側の面である第2面側に配置される突起である第2面側突起を複数有し、前記第1鉄心は、複数の前記第1面側突起間に配置され、前記第2鉄心は、複数の前記第2面側突起間に配置されていても良い。
また、前記複数の前記第2面側突起における一方の当該第2面側突起は、他方の当該第2面側突起の方に屈曲した一方側屈曲部を有し、当該他方の当該第2面側突起は、当該一方の当該第2面側突起の方に屈曲した他方側屈曲部を有し、前記第2鉄心には、前記一方側屈曲部及び前記他方側屈曲部を収容する凹部が形成されていても良い。
あるいは、前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した複数の突起を有し、前記複数の突起における一方の突起は、他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、前記第1鉄心は、前記一方の突起と前記他方の突起とで囲まれた部位に配置されるとともに、当該一方の突起の屈曲部と当該他方の突起の屈曲部との間に配置される凸部を有しても良い。
また、前記第2鉄心及び前記永久磁石は、回転軸の軸方向に見た形状が全て同一であっても良い。
あるいは、前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した複数の突起を有し、当該複数の突起における一方の突起は、当該複数の突起における他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、前記第1鉄心には、前記複数の突起が嵌り込む凹部が形成されていても良い。
また、前記支持部材は、回転方向に並べられるとともに半径方向に突出した、前記複数の突起と対向する他の複数の突起を有し、当該他の複数の突起における一方の突起は、当該他の複数の突起における他方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、当該他方の突起は、当該一方の突起の方に屈曲した屈曲部を有し、前記第2鉄心には、前記他の複数の突起が嵌り込む凹部が形成され、前記第1鉄心、前記永久磁石及び前記第2鉄心は、前記複数の突起と前記他の複数の突起との間に配置されていても良い。
また、前記第1鉄心、前記第2鉄心及び前記永久磁石を有するユニットを複数有し、さらに、複数の前記ユニット相互間の距離を維持するように当該複数の当該ユニット間に配置された中間支持部材を備えても良い。
また、前記ユニットは、前記第1鉄心に対して、前記第2鉄心と直交する方向に配置された第3鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第3鉄心の方を向くように配置された第2の永久磁石と、を有し、前記中間支持部材は、隣り合うユニットの前記第2の永久磁石間に配置されても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、電機子と、回転軸を有し、前記電機子と対向して配置された磁極子と、を備えるアキシャルギャップ形の電動機であって、前記磁極子は、第1鉄心と、当該第1鉄心に対して前記電機子とは反対側に配置された第2鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第2鉄心の方を向くように配置された永久磁石と、当該第1鉄心及び当該第2鉄心における前記回転軸の軸方向に伸びる面、又は、当該第2鉄心における当該電機子とは反対側の面を覆うとともに、当該第1鉄心、当該第2鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材と、を備える電動機である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、分割された状態の外側支持部材に対して、複数の第1鉄心と、複数の第2鉄心と、第1極が当該第1鉄心の方を向くとともに第2極が当該第2鉄心の方を向くように当該第1鉄心と当該第2鉄心との間に第1永久磁石を嵌め込み、複数の前記第1鉄心の内の隣り合う当該第1鉄心の間に第2永久磁石を嵌め込み、複数の前記第2鉄心の内の隣り合う当該第2鉄心の間に第3永久磁石を嵌め込み、分割された状態の内側支持部材に対して、複数の第3鉄心と、複数の第4鉄心と、第1極が当該第3鉄心の方を向くとともに第2極が当該第4鉄心の方を向くように当該第3鉄心と当該第4鉄心との間に第4永久磁石を嵌め込み、複数の前記第3鉄心の内の隣り合う当該第3鉄心の間に第5永久磁石を嵌め込み、複数の前記第4鉄心の内の隣り合う当該第4鉄心の間に第6永久磁石を嵌め込み、前記第1鉄心と前記第3鉄心との間に第7永久磁石を配置し、前記第2鉄心と前記第4鉄心との間に第8永久磁石を配置し、前記分割された状態の外側支持部材と前記分割された状態の内側支持部材とを組み合わせることでサブユニットを構成する磁極子の組立方法である。
また、複数の前記サブユニットにおける、前記分割された状態の内側支持部材同士を接合するとともに、前記分割された状態の外側支持部材同士を接合しても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特性を低下させることなく、磁石や鉄心を支持することができる磁極子等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る電動機の概略構成の断面図の一例を示す図である。
図2】(a)は、磁極子を、電機子側から軸方向に見た形状の一例を示す図である。(b)は、磁極ユニットを軸方向に見た形状の一例を示す図である。(c)は、支持部材を軸方向に見た形状の一例を示す図である。
図3】磁極ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
図4】磁極子を、回転方向に直交な面及び半径方向に直交な面で切断した断面図の一例である。
図5】半径方向に隣り合うティース部に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の、断面図の一例を示している。
図6】回転方向に隣り合うティース部に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の断面図の一例を示す図である。
図7】他方側支持部材の固定方法の一例を示す図である。
図8】磁極ユニットと支持部材との半径方向の固定方法の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る電動機の概略構成の断面図の一例を示す図である。
図10】磁極ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
図11】支持部材の構成の一例を示す図である。
図12】磁極子の組み立て方法の一例を示す図である。
図13】磁極子の組み立て方法の一例を示す図である。
図14】磁極子を、回転方向に直交な面及び半径方向に直交な面で切断した断面図の一例である。
図15】半径方向に隣り合うティース部に、互いに逆向きに磁路が形成されるとともに、軸方向に対向するティース部に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の、断面図の一例を示している。
図16】回転方向に隣り合うティース部に、互いに逆向きに磁路が形成されるとともに、軸方向に対向するティース部に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の一例を示している。
図17】サブユニットの変形例の一例を示す図である。
図18】一の分割部材と他の分割部材の組み合わせ部位の変形例を示す図である。
図19】外側支持部材を構成する第一分割部材と第二分割部材との組み合わせ部位を示す図である。
図20】焼き嵌めにより固定された磁極子の一例を示す図である。
図21】支持部材の一対の突起群及び鉄心の変形例の一例を示す図である。
図22】(a)は、一対の突起群の変形例の一例を示す図であり、(b)は、鉄心及び永久磁石の変形例の一例を示す図であり、(c)は、鉄心及び永久磁石を一対の突起群に嵌め込んだ状態の一例を示す図である。
図23】(a)は、鉄心及び永久磁石の変形例の一例を示す図であり、(b)は、鉄心及び永久磁石を一対の突起群に嵌め込んだ状態の一例を示す図である。
図24】(a)は、中間支持部材、R第2磁石の変形例の一例を示す図であり、(b)は、中間支持部材とR第2磁石とを嵌め合わせた状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る電動機1の概略構成の断面図の一例を示す図である。図1は、図2のI-I部の断面図である。
図2(a)は、磁極子20を、電機子10側から軸方向に見た形状の一例を示す図である。図2(b)は、磁極ユニット30を軸方向に見た形状の一例を示す図である。図2(c)は、支持部材50を軸方向に見た形状の一例を示す図である。
図3は、磁極ユニット30の構成の一例を示す斜視図である。
電動機1は、磁界を発生させる電機子10と、軟磁性体の回転軸5を有する回転子である磁極子20とを備えた、シングルステータ構造のアキシャルギャップ形の電動機である。電機子10と磁極子20とは、それぞれ円盤状であり、回転軸5の軸方向に一定の距離のギャップを介して配置されている。
【0009】
以下の説明において、磁極子20が移動する方向を「回転方向」と称する場合がある。また、回転軸5の中心線から回転軸5の外周面に向かう方向を「半径方向」と称する場合がある。また、回転軸5の軸方向を「軸方向」と称する場合がある。軸方向において、一方の端部側(図1においては上側)を「一方側」、他方の端部側(図1においては下側)を「他方側」と称する場合がある。
【0010】
(電機子10)
電機子10は、ベース部材11と、ベース部材11に巻かれたコイル12と、を有している。
ベース部材11は、円盤状のヨーク部111と、ヨーク部111における軸方向の他方側の面から軸方向に突出した複数のティース部112とを有している。複数のティース部112は、回転方向に等間隔に並べられている。各ティース部112は、軸方向に見た場合に、扇形状である。ベース部材11は、軟鉄、ソフトフェライト等の軟磁性体によって構成されている。また、ベース部材11は、中央部に、回転軸5を回転可能に支持するベアリング113を有している。
コイル12は、各ティース部112に巻き回されている。
【0011】
(磁極子20)
磁極子20は、回転方向に複数個(本実施形態においては10個)並べられた磁極ユニット30と、複数の磁極ユニット30を支持する支持部材50とを有している。
【0012】
支持部材50は、半径方向の内側に設けられた内側支持部材51と、半径方向の外側に設けられた外側支持部材52とを備えている。内側支持部材51は、円筒状の部材であり、軸方向における一方の端部に、外周面から外側に突出する内側突出部51aが磁極ユニット30と同数設けられている。外側支持部材52は、円筒状の部材であり、軸方向における一方の端部に、内周面から内側に突出する外側突出部52aが磁極ユニット30と同数設けられている。
【0013】
また、支持部材50は、軸方向の他方側に設けられた他方側支持部材53を備えている。他方側支持部材53は、中央部に回転軸5が通る貫通孔が形成された円盤状の部材である。他方側支持部材53の内径は、内側支持部材51の内周面の径よりも大きく、内側支持部材51の外周面の径よりも小さい。他方側支持部材53の外径は、外側支持部材52の内周面の径よりも大きく、外側支持部材52の外周面の径よりも小さい。
【0014】
複数の磁極ユニット30は、軸方向の一方側が内側突出部51a及び外側突出部52aにて、軸方向の他方側が他方側支持部材53にて支持されることにより、軸方向の移動が抑制される。
磁極ユニット30と支持部材50との固定方法については後で詳述する。
なお、支持部材50は、非磁性材料にて成形されている。例えば、支持部材50は、アルミニウム、チタン、樹脂にて成形されていることを例示することができる。
【0015】
磁極ユニット30は、軸方向の一方側であって半径方向の内側に設けられた第1内ブロック31と、軸方向の他方側であって半径方向の内側に設けられた第2内ブロック32と、軸方向の一方側であって半径方向の外側に設けられた第1外ブロック41と、軸方向の他方側であって半径方向の外側に設けられた第2外ブロック42とを有している。
【0016】
第1内ブロック31は、円弧状であって平板状の軟磁性体の鉄心311と、鉄心311における6面の内、内周面及び一方側の面以外の4面それぞれを隠すように設けられた、4個の永久磁石312とを有している。各永久磁石312は、対向する鉄心311の一面と略同じ大きさの主面313を有している。各永久磁石312は、鉄心311に同一の磁極を向けて配置される。
第1内ブロック31の鉄心311における電機子10と対向するように開放された一面は回転子磁極315となる。回転子磁極315は、各永久磁石312が鉄心311を向く主面313の磁極と同一磁極となる。また、各永久磁石312の外側を向く面(主面313とは反対側の面)は回転子磁極315の反対磁極となる。
【0017】
第2内ブロック32は、円弧状であって平板状の軟磁性体の鉄心321と、鉄心321における6面の内、内周面及び他方側の面以外の4面それぞれを隠すように設けられた、4個の永久磁石322とを有している。各永久磁石322は、対向する鉄心321の一面と略同じ大きさの主面323を有している。各永久磁石322は、鉄心321に同一の磁極を向けて配置される。
【0018】
第1外ブロック41は、円弧状であって平板状の軟磁性体の鉄心411と、鉄心411における6面の内、外周面及び一方側の面以外の4面それぞれを隠すように設けられた、4個の永久磁石412とを有している。各永久磁石412は、対向する鉄心411の一面と略同じ大きさの主面413を有している。各永久磁石412は、鉄心411に同一の磁極を向けて配置される。
第1外ブロック41の鉄心411における電機子10と対向するように開放された一面は回転子磁極415となる。回転子磁極415は、各永久磁石412が鉄心411を向く主面413の磁極と同一磁極となる。また、各永久磁石412の外側を向く面(主面413とは反対側の面)は回転子磁極415の反対磁極となる。
【0019】
第2外ブロック42は、円弧状であって平板状の軟磁性体の鉄心421と、鉄心421における6面の内、外周面及び他方側の面以外の4面それぞれを隠すように設けられた、4個の永久磁石422とを有している。各永久磁石422は、対向する鉄心421の一面と略同じ大きさの主面423を有している。各永久磁石422は、鉄心421に同一の磁極を向けて配置される。
【0020】
以下、第1内ブロック31、第2内ブロック32、第1外ブロック41、及び、第2外ブロック42を区別する必要がない場合には、まとめて「磁極ブロック40」と称する場合がある。また、鉄心311、鉄心321、鉄心411、及び、鉄心421を区別する必要がない場合には、まとめて「鉄心401」と称する場合がある。また、永久磁石312、永久磁石322、永久磁石412、及び、永久磁石422を区別する必要がない場合には、まとめて「永久磁石402」と称する場合がある。また、回転子磁極315及び回転子磁極415を区別する必要がない場合には、まとめて「回転子磁極405」と称する場合がある。
【0021】
なお、上述した、隣り合う永久磁石、例えば、永久磁石312と永久磁石322、永久磁石412と永久磁石422、永久磁石312と永久磁石412、永久磁石322と永久磁石422、永久磁石312と永久磁石312、永久磁石322と永久磁石322、永久磁石412と永久磁石412、永久磁石422と永久磁石422は、一体であっても良い。つまり、鉄心311と鉄心321との間に配置された永久磁石312と永久磁石322とは一体であっても良い。また、鉄心411と鉄心421との間に配置された永久磁石412と永久磁石422とは一体であっても良い。また、鉄心311と鉄心411との間に配置された永久磁石312と永久磁石412とは一体であっても良い。また、鉄心321と鉄心421との間に配置された永久磁石322と永久磁石422とは一体であっても良い。また、隣り合う鉄心311と鉄心311との間に配置された2つの永久磁石312は一体であっても良い。また、隣り合う鉄心321と鉄心321との間に配置された2つの永久磁石322は一体であっても良い。また、隣り合う鉄心411と鉄心411との間に配置された2つの永久磁石412は一体であっても良い。また、隣り合う鉄心421と鉄心421との間に配置された2つの永久磁石422は一体であっても良い。
【0022】
隣り合う磁極ブロック40同士は、面と面とが接するように配置される。そして、電機子10に対向するように配置された、複数の第1内ブロック31及び第1外ブロック41の内、隣接する2つの磁極ブロック40の回転子磁極315、415は互いに異なる磁極となる。つまり、回転子磁極315、415の磁極が交互に反転するように第1内ブロック31及び第1外ブロック41が並べられている。そのため、複数の第1内ブロック31及び第1外ブロック41の内、隣り合う2つの磁極ブロック40の接触面は一方がS極となり他方がN極となる。また、複数の第1内ブロック31及び第2内ブロック32の内、隣り合う第1内ブロック31と第2内ブロック32の接触面は一方がS極となり他方がN極となる。また、複数の第1外ブロック41及び第2外ブロック42の内、隣り合う第1外ブロック41と第2外ブロック42の接触面は一方がS極となり他方がN極となる。また、複数の第2内ブロック32及び第2外ブロック42の内、隣り合う第2内ブロック32と第2外ブロック42の接触面は一方がS極となり他方がN極となる。これらにより、隣接する2つの磁極ブロック40は磁力によって互いに引きつけ合うので、複数の磁極ブロック40を容易に配置することが可能になっている。
【0023】
以上のように構成された磁極子20は、第1内ブロック31の回転子磁極315及び第1外ブロック41の回転子磁極415が、軸方向に直交するように電機子10の方を向き、4つの側面の内の2つの側面が回転方向に直交する方向を向き、残りの2つの側面が半径方向に直交する方向を向くように配置される。これにより、回転方向及び半径方向のそれぞれにおいて、回転子磁極315及び回転子磁極415の磁極が1つずつ反転する。
また、第2内ブロック32は第1内ブロック31と接するように配置され、第2外ブロック42は第1外ブロック41と接するように配置されている。そして、第2内ブロック32及び第2外ブロック42は、それぞれ、4つの側面の内の2つの側面が回転方向に直交する方向を向き、残りの2つの側面が半径方向に直交する方向を向くように配置される。
【0024】
鉄心401は、その周囲を取り囲む永久磁石402によって磁化されている。複数の磁極ブロック40の内、S極が鉄心401に面する永久磁石402から出た磁束が鉄心401内を進む。鉄心401には4面に永久磁石402が取り付けられているため、これらの4つの永久磁石402のそれぞれから出た磁束が鉄心401の内部を進み、それぞれの磁束が、電機子10の方へ軸方向に進行して回転子磁極405から、電機子10との間の隙間に出る。かかる磁束は、放射状に分岐し、隣り合う磁極ブロック40のN極の回転子磁極405に進入する。このN極の回転子磁極405には、隣り合う全ての磁極ブロック40からの磁束が進入する。そして、N極の回転子磁極405となる鉄心401には永久磁石402のN極が面しているため、磁束はさらにこの鉄心401の内部を進み、回転方向、半径方向、軸方向に分岐して永久磁石402に入る。
【0025】
図4は、磁極子20を、回転方向に直交な面及び半径方向に直交な面で切断した断面図の一例である。図4は、図2のIV-IV部の断面図である。図4において、矢印は磁化方向を示しており、極性はS→Nである。
図4に示した例では、複数の第1内ブロック31の内、S極が鉄心311に面する永久磁石312から出た磁束が鉄心311内を進む。鉄心311には4面に永久磁石312が取り付けられているため、これらの4つの永久磁石312のそれぞれから出た磁束が鉄心311の内部を進み、それぞれの磁束が、電機子10の方へ軸方向に進行して回転子磁極315から、電機子10との間の隙間に出る。かかる磁束は放射状に分岐し、隣り合う第1内ブロック31のN極の回転子磁極315から鉄心311の内部に、及び、第1外ブロック41のN極の回転子磁極415から鉄心411の内部に進入する。その後、磁束は、鉄心311、鉄心411の内部を進む。そして、鉄心311の内部を進んだ磁束は、さらに、軸方向に進むとともに、回転方向及び半径方向に分岐して永久磁石312に入る。また、鉄心411の内部を進んだ磁束は、さらに、軸方向に進むとともに、回転方向の両方向に分岐して永久磁石412に入る。
【0026】
回転子磁極405は、当該回転子磁極405を含む鉄心401に面した永久磁石402の磁極と同一極性となる。つまり、鉄心401に永久磁石402のS極が面している場合、当該鉄心401の回転子磁極405はS極となり、鉄心401に永久磁石402のN極が面している場合、当該鉄心401の回転子磁極405はN極となる。
【0027】
図5は、半径方向に隣り合うティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の断面図の一例を示す図である。
上記のような構成のアキシャルギャップ形の電動機1において、電機子10の半径方向に隣り合うコイル12に逆向きの電流を流すと、コイル12の周囲に磁界が発生し、図5に示すような、ティース部112と、ヨーク部111とを通る磁路が形成される。このとき、ティース部112における磁極子20と対向する面が電機子磁極13となる。半径方向に隣り合う2つのティース部112のうち、一方のティース部112の電機子磁極13がS極となり、他方のティース部112の電機子磁極13がN極となる。
【0028】
図6は、回転方向に隣り合うティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の断面図の一例を示す図である。
図6に示した例においては、回転方向に隣り合うティース部112の内、一方のティース部112の電機子磁極13がS極となり、他方のティース部112の電機子磁極13がN極となる。
【0029】
したがって、コイル12に電流が流れると、電機子磁極13と、回転子磁極315、415とが磁力によって吸引または反発される。
図5図6には、電機子磁極13と、回転子磁極315、415とが吸引される場合の磁路を示している。
そして、電機子10のコイル12に流す電流の方向とタイミングが制御されることで、磁極子20の回転方向や回転速度が制御される。
【0030】
上述した実施形態に係る電動機1は、各鉄心401を永久磁石402が取り囲んでいるため、従来型の円環扇形板状の永久磁石が電機子に対向配置された構造の回転子に比べて、回転子磁極405に生じる磁束が増大される。
【0031】
次に、他方側支持部材53の固定方法について説明する。
内側突出部51aと外側突出部52aとの間の隙間に、複数の磁極ユニット30を、軸方向の他方側から嵌め込んだ後に、他方側支持部材53を、複数の磁極ユニット30又は外側突出部52aの少なくともいずれかに固定する。
【0032】
図7は、他方側支持部材53の固定方法の一例を示す図である。
図7(a)に示すように、各磁極ユニット30の第1外ブロック41及び第2外ブロック42における、回転方向及び半径方向の中央部に軸方向の貫通孔45を形成するとともに、他方側支持部材53に雌ねじ531を形成する。そして、貫通孔45に通したボルト55の雄ねじを、他方側支持部材53に形成された雌ねじ531に締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定する。
なお、他方側支持部材53に雌ねじ531を形成する代わりに貫通孔を形成し、磁極ユニット30に形成された貫通孔45と他方側支持部材53に形成された貫通孔とに通したボルト55を、他方側支持部材53における他方側の面に配置されたナットに締め付けても良い。
【0033】
あるいは、図7(b)に示すように、他方側支持部材53における外側支持部材52と対向する部位に、複数(例えば磁極ユニット30の数と同数)の貫通孔532を等間隔に形成するとともに、外側支持部材52に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、貫通孔532に通したボルト56の雄ねじを、外側支持部材52に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
【0034】
また、図示はしていないが、他方側支持部材53における内側支持部材51と対向する部位に、複数(例えば磁極ユニット30の数と同数)の貫通孔(不図示)を等間隔に形成するとともに、内側支持部材51に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、他方側支持部材53の貫通孔に通したボルト(不図示)の雄ねじを、内側支持部材51に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
【0035】
あるいは、図7(c)に示すように、図7(a)に示した固定方法と図7(b)に示した固定方法とを組み合わせても良い。
なお、他方側支持部材53を固定するのは、特にボルト55やボルト56による締め付けに限定されない。例えば、他方側支持部材53と、外側支持部材52、内側支持部材51、第2外ブロック42、第2内ブロック32とを、溶接や接着にて固定しても良い。
【0036】
図8は、磁極ユニット30と支持部材50との半径方向の固定方法の一例を示す図である。
図8(a)に示すように、外側支持部材52における、各第1外ブロック41の鉄心411と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心411に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、外側支持部材52に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、鉄心411に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
なお、第1外ブロック41の鉄心411の代わりに、第2外ブロック42の鉄心421にボルト57を締め付けても良いし、第1外ブロック41の鉄心411に加えて、第2外ブロック42の鉄心421にボルト57を締め付けても良い。
【0037】
あるいは、図8(b)に示すように、内側支持部材51における、各第1内ブロック31の鉄心311と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心311に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、内側支持部材51に形成された貫通孔に通したボルト58の雄ねじを、鉄心311に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
なお、第1内ブロック31の鉄心311の代わりに、第2内ブロック32の鉄心321にボルト58を締め付けても良いし、第1内ブロック31の鉄心311に加えて、第2内ブロック32の鉄心321にボルト58を締め付けても良い。
【0038】
あるいは、図8(c)に示すように、外側支持部材52における、各第1外ブロック41の鉄心411と鉄心411との間に配置された永久磁石412に対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、永久磁石412に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、外側支持部材52に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、永久磁石412に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
なお、第1外ブロック41の鉄心411と鉄心411との間に配置された永久磁石412の代わりに、第2外ブロック42の鉄心421と鉄心421との間に配置された永久磁石422にボルト57を締め付けても良いし、鉄心411と鉄心411との間に配置された永久磁石412に加えて、第2外ブロック42の鉄心421と鉄心421との間に配置された永久磁石422にボルト57を締め付けても良い。
【0039】
あるいは、図8(a)を用いて説明した態様に代えて、鉄心411に雌ねじを形成する代わりに外周面から凹んだ凹部(不図示)を形成するとともに、図8(d)に示すように、外側支持部材52に形成された貫通孔と鉄心411に形成された凹部とに円柱状のピン59を嵌め込むことで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
なお、第1外ブロック41の鉄心411の代わりに、第2外ブロック42の鉄心421にピン59を嵌め込んでも良いし、第1外ブロック41の鉄心411に加えて、第2外ブロック42の鉄心421にもピン59を嵌め込んでも良い。
【0040】
図8(a)~図8(d)を用いて説明した態様は適宜組み合わせても良い。例えば、図8(e)に示すように、外側支持部材52に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、鉄心411に形成された雌ねじに締め付けるとともに、内側支持部材51に形成された貫通孔に通したボルト58の雄ねじを、鉄心311に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
あるいは、図8(f)に示すように、図8(e)に示した態様に加えて、さらに、外側支持部材52に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、永久磁石412に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット30と支持部材50とを固定しても良い。
【0041】
なお、内側支持部材51及び外側支持部材52と、磁極ユニット30とを固定するのは、特に、ボルト57やボルト58による締め付け、ピン59の嵌め込みに限定されない。例えば、内側支持部材51及び外側支持部材52と、磁極ユニット30とを、溶接や接着にて固定しても良い。
【0042】
以上説明したように、磁極子20は、第1鉄心の一例としての鉄心311と、第2鉄心の一例としての鉄心321と、第1極の一例としてのS極が鉄心311の方を向くとともに第2極の一例としてのN極が鉄心321の方を向くように配置された永久磁石(例えば、永久磁石312,322)と、を備える。また、磁極子20は、鉄心311及び鉄心321における、電機子10と対向しない面及び永久磁石(例えば、永久磁石312,322)と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、鉄心311、鉄心321及び永久磁石(例えば、永久磁石312,322)を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材50を備える。例えば、内側支持部材51は、鉄心311及び鉄心321の内周面を覆うとともに、鉄心311及び鉄心321が内側に移動することを抑制する。また、他方側支持部材53は、電機子10と対向しない、鉄心321における軸方向の他方側の面を覆うとともに、内側支持部材51の内側突出部51aと他方側支持部材53とで、鉄心311、鉄心321及び永久磁石(例えば、永久磁石312,322)が軸方向に移動することを抑制する。
【0043】
また、磁極子20は、第1鉄心の一例としての鉄心411と、第2鉄心の一例としての鉄心421と、永久磁石(例えば、永久磁石412,422)と、を備える。また、磁極子20は、鉄心411及び鉄心421における、電機子10と対向しない面及び永久磁石(例えば、永久磁石412,422)と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、鉄心411、鉄心421及び永久磁石(例えば、永久磁石412,422)を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材50を備える。例えば、外側支持部材52は、鉄心411及び鉄心421の内周面を覆うとともに、鉄心411及び鉄心421が外側に移動することを抑制する。また、他方側支持部材53は、電機子10と対向しない、鉄心421における軸方向の他方側の面を覆うとともに、外側支持部材52の外側突出部52aと他方側支持部材53とで、鉄心411、鉄心421及び永久磁石(例えば、永久磁石412,422)が軸方向に移動することを抑制する。
【0044】
このように、支持部材50が、鉄心311,321,411,421における、出力に寄与しない磁束が漏れる面を覆う。これにより、当該面に、磁性体が近接するもしくは接触することを抑制することができる。その結果、鉄心311,321,411,421から出力に寄与しない磁束が漏れ、出力に寄与する磁束、言い換えれば、電機子10の方へ向かう磁束が低下することを抑制することができる。従って、磁極子20によれば、電動機1の磁気効率を向上させることができる。
【0045】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る電動機2の概略構成の一例を示す図である。
図10は、磁極ユニット70の構成の一例を示す斜視図である。
電動機2は、磁界を発生させる2つの電機子10と、回転軸5を有する回転子である磁極子60とを備えた、ダブルステータ構造のアキシャルギャップ形の電動機である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
2つの電機子10は、軸方向に直交する面に対して対称となるように配置されている。
【0046】
磁極子60は、回転方向に複数個(本実施形態においては10個)、並べられた磁極ユニット70を有している。
磁極ユニット70は、鉄心311に相当する鉄心71と、鉄心321に相当する鉄心72と、鉄心411に相当する鉄心73と、鉄心421に相当する鉄心74とを有している。また、磁極ユニット70は、鉄心71と鉄心72との間に配置された永久磁石であるZ内磁石81と、鉄心73と鉄心74との間に配置された永久磁石であるZ外磁石82とを有している。また、磁極ユニット70は、鉄心71と鉄心73との間に配置された永久磁石であるR第1磁石83と、鉄心72と鉄心74との間に配置された永久磁石であるR第2磁石84とを有している。また、磁極ユニット70は、鉄心71と、隣り合う磁極ユニット70の鉄心71との間に配置された永久磁石であるθ第1内磁石85と、鉄心72と、隣り合う磁極ユニット70の鉄心72との間に配置された永久磁石であるθ第2内磁石86とを有している。また、磁極ユニット70は、鉄心73と、隣り合う磁極ユニット70の鉄心73との間に配置された永久磁石であるθ第1外磁石87と、鉄心74と、隣り合う磁極ユニット70の鉄心74との間に配置された永久磁石であるθ第2外磁石88とを有している。
【0047】
Z内磁石81は、第1の実施形態に係る鉄心311と鉄心321との間に配置された、永久磁石312と永久磁石322とを一体にした永久磁石に相当する。Z外磁石82は、第1の実施形態に係る鉄心411と鉄心421との間に配置された、永久磁石412と永久磁石422とを一体にした永久磁石に相当する。R第1磁石83は、第1の実施形態に係る鉄心311と鉄心411との間に配置された、永久磁石312と永久磁石412とを一体にした永久磁石に相当する。R第2磁石84は、第1の実施形態に係る鉄心321と鉄心421との間に配置された、永久磁石322と永久磁石422とを一体にした永久磁石に相当する。
【0048】
θ第1内磁石85は、第1の実施形態に係る隣り合う鉄心311間に配置された、2つの永久磁石312を一体にした永久磁石に相当する。θ第2内磁石86は、第1の実施形態に係る隣り合う鉄心321間に配置された、2つの永久磁石322を一体にした永久磁石に相当する。θ第1外磁石87は、第1の実施形態に係る隣り合う鉄心411間に配置された、2つの永久磁石412を一体にした永久磁石に相当する。θ第2外磁石88は、第1の実施形態に係る隣り合う鉄心421間に配置された、2つの永久磁石422を一体にした永久磁石に相当する。
【0049】
鉄心71と鉄心72とは、軸方向に直交な面に対して対称形状である。鉄心71における一方側の内部には、回転方向の全域に亘って一方側の面から凹んだ凹部711が形成され、鉄心72における他方側の内部には、回転方向の全域に亘って他方側の面から凹んだ凹部721が形成されている。鉄心71における他方側の内部には、回転方向の中央部に他方側の面から凹んだ凹部(不図示)が形成され、鉄心72における一方側の内部には、回転方向の中央部に一方側の面から凹んだ凹部722が形成されている。
【0050】
鉄心73と鉄心74とは、軸方向に直交な面に対して対称形状である。鉄心73における一方側の外部には、回転方向の全域に亘って一方側の面から凹んだ凹部731が形成され、鉄心74における他方側の外部には、回転方向の全域に亘って他方側の面から凹んだ凹部741が形成されている。鉄心73における他方側の外部には、回転方向の中央部に他方側の面から凹んだ凹部732が形成され、鉄心74における一方側の外部には、回転方向の中央部に一方側の面から凹んだ凹部742が形成されている。
鉄心71~74における電機子10と対向するように開放された一面は回転子磁極75となる。回転子磁極75は、各永久磁石が鉄心71~74を向く主面の磁極と同一磁極となる。
【0051】
Z内磁石81の内周面の径は、鉄心71の内周面の径と同じであり、Z内磁石81の外周面の径は、鉄心71の外周面の径と同じである。Z内磁石81の回転方向の大きさは、鉄心71の回転方向の大きさよりも大きい。
Z外磁石82の内周面の径は、鉄心73の内周面の径と同じであり、Z外磁石82の外周面の径は、鉄心73の外周面の径と同じである。Z外磁石82の回転方向の大きさは、鉄心73の回転方向の大きさよりも大きい。
【0052】
R第1磁石83の内周面の径は、鉄心71の外周面の径と同じであり、R第1磁石83の内周面の回転方向の大きさは、鉄心71の外周面の回転方向の大きさと同じである。また、R第1磁石83の内周面の軸方向の大きさは、鉄心71の外周面の軸方向の大きさと同じである。また、R第1磁石83の外周面の径は、鉄心73の内周面の径と同じであり、R第1磁石83の外周面の回転方向の大きさは、鉄心73の内周面の回転方向の大きさと同じである。また、R第1磁石83の外周面の軸方向の大きさは、鉄心73の内周面の軸方向の大きさと同じである。そして、R第1磁石83における軸方向の両端面は、同じ形状である。R第1磁石83には、回転方向の両端面それぞれから回転方向に突出した凸部831が設けられている。
【0053】
R第2磁石84の形状は、R第1磁石83の形状と同様であり、その詳細な説明は省略する。
R第1磁石83とR第2磁石84とは、R第1磁石83の軸方向の他方側の端面と、R第2磁石84の軸方向の一方側の端面とが接触するように配置される。これにより、R第1磁石83の軸方向の一方側の端面は、鉄心71の軸方向の一方側の端面よりも、他方側に位置する。また、R第2磁石84の軸方向の他方側の端面は、鉄心71の軸方向の他方側の端面よりも、一方側に位置する。
【0054】
θ第1内磁石85は、略直線状であり、半径方向の大きさは、鉄心71における半径方向の大きさよりも大きい。θ第1内磁石85における外側の端部には、回転方向の両端面それぞれから回転方向に突出した凸部851が設けられている。θ第1内磁石85の軸方向の大きさは、鉄心71の軸方向の大きさよりも小さい。θ第1内磁石85の回転方向の大きさは、鉄心71の回転方向の大きさよりも小さい。
θ第2内磁石86の形状は、θ第1内磁石85の形状と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0055】
θ第1外磁石87は、略直線状であり、半径方向の大きさは、鉄心73における半径方向の大きさよりも大きい。θ第1外磁石87における内側の端部には、回転方向の両端面それぞれから回転方向に突出した凸部871が設けられている。θ第1外磁石87の軸方向の大きさは、鉄心73の軸方向の大きさよりも小さい。θ第1外磁石87の回転方向の大きさは、鉄心73の回転方向の大きさよりも小さい。
θ第2外磁石88の形状は、θ第1外磁石87の形状と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0056】
(支持構造)
また、磁極子60は、複数の磁極ユニット70を支持する支持部材100を備えている。また、磁極子60は、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86と、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88との間、隣り合う磁極ユニット70のR第1磁石83及びR第2磁石84間の隙間に配置される直方体状の中間支持部材151を備えている。また、磁極子60は、R第1磁石83、θ第1内磁石85及びθ第1外磁石87における、軸方向の一方側に配置されて、これらの磁石が軸方向の一方側に移動するのを抑制する第1Rθ磁石抑え部材152を備えている。また、磁極子60は、R第2磁石84、θ第2内磁石86及びθ第2外磁石88における、軸方向の他方側に配置されて、これらの磁石が軸方向の他方側に移動するのを抑制する第2Rθ磁石抑え部材153を備えている。また、磁極子60は、鉄心71の凹部711に配置されて、鉄心71が軸方向の一方側に移動するのを抑制する第1内鉄心抑え部材154と、鉄心72の凹部721に配置されて、鉄心72が軸方向の他方側に移動するのを抑制する第2内鉄心抑え部材155とを備えている。また、磁極子60は、鉄心73の凹部731に配置されて、鉄心73が軸方向の一方側に移動するのを抑制する第1外鉄心抑え部材156と、鉄心74の凹部741に配置されて、鉄心74が軸方向の他方側に移動するのを抑制する第2外鉄心抑え部材157とを備えている。
【0057】
図11は、支持部材100の構成の一例を示す図である。
支持部材100は、半径方向の内側に設けられた内側支持部材110と、半径方向の外側に設けられた外側支持部材120とを備えている。
内側支持部材110は、円筒状の部材であり、外周面から外側に突出する一対の突起群150を磁極ユニット70と同数有している。また、内側支持部材110は、一対の突起群150間であって軸方向の中央部に、外周面から外側に突出した2つの凸部155を、磁極ユニット70と同数有している。内側支持部材110は、回転方向に、複数に分割可能に成形されており、これら複数の部材を組み合わせることにより、円筒状となる。図11には、複数に分割可能な内側支持部材110を、組み合わせた状態を示している。
【0058】
外側支持部材120は、円筒状の部材であり、内周面から内側に突出する一対の突起群130を磁極ユニット70と同数有している。また、外側支持部材120は、一対の突起群130間であって軸方向の中央部に、内周面から内側に突出した2つの凸部140を、磁極ユニット70と同数有している。外側支持部材120は、回転方向に、複数に分割可能に成形されており、これら複数の部材を組み合わせることにより、円筒状となる。図11には、複数に分割可能な外側支持部材120を、組み合わせた状態を示している。
【0059】
一対の突起群130と、一対の突起群150とは同様であるので、一対の突起群130について代表して説明する。
一対の突起群130は、回転軸5の中心から見た場合に左側に位置する左側突起群131と、右側に位置する右側突起群132とを備えている。
左側突起群131は、軸方向の一方側から他方側へ並んだ4つの直方体状の突起である、第1左側突起131a、第2左側突起131b、第3左側突起131c、第4左側突起131dを有している。
右側突起群132は、軸方向の一方側から他方側へ並んだ4つの直方体状の突起である、第1右側突起132a、第2右側突起132b、第3右側突起132c、第4右側突起132dを有している。
【0060】
例えば、第2左側突起131bと第2右側突起132bとの間の間隔は、鉄心73の回転方向の大きさと同じであり、Z外磁石82の回転方向の大きさよりも小さい。第2左側突起131b及び第2右側突起132bと、第3左側突起131c及び第3右側突起132cとの間の軸方向の大きさは、Z外磁石82の軸方向の大きさと同じである。そして、Z外磁石82は、第2左側突起131b及び第2右側突起132bと、第3左側突起131c及び第3右側突起132cとの間に嵌め込まれ、軸方向の移動が抑制される。鉄心73は、第1左側突起131a及び第2左側突起131bと、第1右側突起132a及び第2右側突起132bとの間であって、Z外磁石82の一方側に配置される。その際、2つの凸部140の一方側の凸部が、鉄心73の凹部731に収容される。鉄心74は、第3左側突起131c及び第4左側突起131dと、第3右側突起132c及び第4右側突起132dとの間であって、Z外磁石82の他方側に配置される。その際、2つの凸部140の他方側の凸部が、鉄心74の凹部741に収容される。
【0061】
一対の突起群130の第1左側突起131a及び隣り合う一対の突起群130の第1右側突起132aと、当該一対の突起群130の第2左側突起131b及び当該隣り合う一対の突起群130の第2右側突起132bとの間の軸方向の大きさは、θ第1外磁石87の軸方向の大きさと同じである。また、一対の突起群130の第1左側突起131aと、隣り合う一対の突起群130の第1右側突起132aとの間の回転方向の大きさは、θ第1外磁石87の回転方向の大きさよりも小さい。これらより、θ第1外磁石87は、一対の突起群130の第1左側突起131a及び隣り合う一対の突起群130の第1右側突起132aと、当該一対の突起群130の第2左側突起131b及び当該隣り合う一対の突起群130の第2右側突起132bとの間に嵌め込まれ、軸方向の移動が抑制される。そして、θ第1外磁石87に設けられた両凸部871が、例えば、一対の突起群130の第1左側突起131a及び隣り合う一対の突起群130の第1右側突起132aよりも内側に位置する。
【0062】
同様に、一対の突起群130の第3左側突起131c及び隣り合う一対の突起群130の第3右側突起132cと、当該一対の突起群130の第4左側突起131d及び当該隣り合う一対の突起群130の第4右側突起132dとの間の軸方向の大きさは、θ第2外磁石88の軸方向の大きさと同じである。また、一対の突起群130の第3左側突起131cと、隣り合う一対の突起群130の第3右側突起132cとの間の回転方向の大きさは、θ第2外磁石88の回転方向の大きさよりも小さい。これらより、θ第2外磁石88は、一対の突起群130の第3左側突起131c及び隣り合う一対の突起群130の第3右側突起132cと、当該一対の突起群130の第4左側突起131d及び当該隣り合う一対の突起群130の第4右側突起132dとの間に嵌め込まれ、軸方向の移動が抑制される。
【0063】
上述したように、外側支持部材120が一対の突起群130を有することで、Z外磁石82、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88を保持する。
同様に、内側支持部材110が一対の突起群150を有することで、Z内磁石81、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86を保持する。内側支持部材110が有する一対の突起群150と、Z内磁石81、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86との相対的な大きさは、外側支持部材120の一対の突起群130と、Z外磁石82、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88との相対的な大きさの関係と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
(組立方法)
図12図13は、磁極子60の組立方法の一例を示す図である。
先ず、図12(a)に示した、分割された状態の外側支持部材120に対して、先ず、図12(b)に示すように、鉄心73、鉄心74及びZ外磁石82を嵌め込む。
その後、図12(c)に示すように、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88を嵌め込む。
その後、図12(d)に示すように、鉄心73の内側にR第1磁石83を配置し、鉄心74の内側にR第2磁石84を配置する。そして、事前に、分割された状態の内側支持部材110に対して、鉄心71、鉄心72、Z内磁石81、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86を組み込んだ物にて、図13(a)に示すように、R第1磁石83及びR第2磁石84を挟み込む。
【0065】
その後、図13(b)に示すように、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88と、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86との間の隙間に、中間支持部材151を、軸方向から挿入する。
その後、図13(c)に示すように、軸方向の両側から、第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153を中間支持部材151に固定して、R第1磁石83、R第2磁石84、θ第1内磁石85、θ第2内磁石86、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88における軸方向の端面を覆う。第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153を中間支持部材151に固定する方法は、ボルトやビスなどにてネジ締結する方法、溶接、溶着、接着にて接合する方法、であることを例示することができる。
【0066】
その後、図13(d)に示すように、鉄心71における凹部711を抑える第1内鉄心抑え部材154を、内側支持部材110に固定する。また、鉄心72における凹部721を抑える第2内鉄心抑え部材155を、内側支持部材110に固定する。また、鉄心73における凹部731を抑える第1外鉄心抑え部材156を、外側支持部材120に固定する。また、鉄心74における凹部741を抑える第2外鉄心抑え部材157を、外側支持部材120に固定する。
第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155を、内側支持部材110に固定する方法、及び、第1外鉄心抑え部材156及び第2外鉄心抑え部材157を、外側支持部材120に固定する方法は、ボルトやビスなどにてネジ締結する方法、溶接、溶着、接着にて接合する方法、であることを例示することができる。
これにより、サブユニット60aが完成する。
【0067】
そして、同様にして組み立てたサブユニット60a同士における、分割状態の内側支持部材110同士及び分割状態の外側支持部材120同士を組み合わせる。その際、一のサブユニット60aと他のサブユニット60aとの間に、内側支持部材110、外側支持部材120に嵌め込んでいない磁極ユニット70を、挟み込む。あるいは、分割状態の内側支持部材110同士及び分割状態の外側支持部材120同士を組み合わせた後に、磁極ユニット70を構成する鉄心71等の各部品を、嵌め込んでも良い。そして、サブユニット60a同士を組み合わせた後、内側支持部材110同士及び外側支持部材120同士を接合して磁極子60を完成させる。内側支持部材110同士及び外側支持部材120同士の接合方法は、溶接、溶着、接着であることを例示することができる。
【0068】
すなわち、上記組立方法においては、先ず、分割された状態の外側支持部材120に対して、複数の第1鉄心の一例としての鉄心73と、複数の第2鉄心の一例としての鉄心74と、第1極が鉄心73の方を向くとともに第2極が鉄心74の方を向くように鉄心73と鉄心74との間に第1永久磁石の一例としてのZ外磁石82を嵌め込む。その後、複数の鉄心73の内の隣り合う鉄心73の間に第2永久磁石の一例としてのθ第1外磁石87を嵌め込み、複数の鉄心74の内の隣り合う鉄心74の間に第3永久磁石の一例としてのθ第2外磁石88を嵌め込む。
一方、分割された状態の内側支持部材110に対して、複数の第3鉄心の一例としての鉄心71と、複数の第4鉄心の一例としての鉄心72と、第1極が鉄心71の方を向くとともに第2極が鉄心72の方を向くように鉄心71と鉄心72との間に第4永久磁石の一例としてのZ内磁石81を嵌め込む。その後、複数の鉄心71の内の隣り合う鉄心71の間に第5永久磁石の一例としてのθ第1内磁石85を嵌め込み、複数の鉄心72の内の隣り合う鉄心72の間に第6永久磁石の一例としてのθ第2内磁石86を嵌め込む。
そして、鉄心73と鉄心71との間に第7永久磁石の一例としてのR第1磁石83を配置し、鉄心74と鉄心72との間に第8永久磁石の一例としてのR第2磁石84を配置し、分割された状態の外側支持部材120と分割された状態の内側支持部材110とを組み合わせることでサブユニット60aを構成する。
そして、複数のサブユニット60aにおける、分割された状態の内側支持部材110同士を接合するとともに、分割された状態の外側支持部材120同士を接合する。
【0069】
図14は、磁極子60を、回転方向に直交な面及び半径方向に直交な面で切断した断面図の一例である。図14において、矢印は磁化方向を示しており、極性はS→Nである。
図14に示した例では、S極が鉄心71,73に面する永久磁石から出た磁束が当該鉄心内を進み、それぞれの磁束が、一方側に設けられた電機子10の方へ軸方向に進行して回転子磁極75から、電機子10との間の隙間に出る。かかる磁束は放射状に分岐し、隣り合う鉄心71,73のN極の回転子磁極75から当該鉄心の内部に進入し、当該鉄心内部を進む。そして、当該鉄心の内部を進んだ磁束は、回転方向及び半径方向に分岐するとともに、さらに、軸方向に進み、Z内磁石81又はZ外磁石82に入る。Z内磁石81に入った磁束は、その他方側に設けられた鉄心72を進むとともに、当該鉄心72の周囲に設けられた永久磁石はS極が当該鉄心72に面しているので、これらの永久磁石から出た磁束が当該鉄心72内を進む。そして、それぞれの磁束が、他方側に設けられた電機子10の方へ軸方向に進行して回転子磁極75から、電機子10との間の隙間に出る。また、Z外磁石82に入った磁束は、その他方側に設けられた鉄心74を進むとともに、当該鉄心74の周囲に設けられた永久磁石はS極が当該鉄心74に面しているので、これらの永久磁石から出た磁束が当該鉄心74内を進む。そして、それぞれの磁束が、他方側に設けられた電機子10の方へ軸方向に進行して回転子磁極75から、電機子10との間の隙間に出る。
S極の永久磁石が面する鉄心71の他方側に設けられた鉄心72にはN極の永久磁石が面しているので、隣り合う鉄心72,74から侵入した磁束が、軸方向の一方側に進み、当該鉄心71内に進入する。
【0070】
図15は、半径方向に隣り合うティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成されるとともに、軸方向に対向するティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の、断面図の一例を示している。
電動機2において、電機子10の半径方向に隣り合うコイル12に逆向きの電流を流すとともに、軸方向に対向するコイル12に同じ向きの電流を流すと、図15に示すような、ティース部112と、ヨーク部111とを通る磁路が形成される。これにより、半径方向に隣り合う2つのティース部112のうち、一方のティース部112の電機子磁極13がS極となり、他方のティース部112の電機子磁極13がN極となる。また、電機子磁極13がS極となるティース部112に軸方向に対向するティース部112の電機子磁極13がN極となる。
【0071】
図16には、回転方向に隣り合うティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成されるとともに、軸方向に対向するティース部112に、互いに逆向きに磁路が形成された場合の一例を示している。
図16に示した例においては、回転方向に隣り合うティース部112の内、一方のティース部112の電機子磁極13がS極となり、他方のティース部112の電機子磁極13がN極となる。また、電機子磁極13がS極となるティース部112に軸方向に対向するティース部112の電機子磁極13がN極となる。
【0072】
したがって、コイル12に電流が流れると、電機子磁極13と、回転子磁極75とが磁力によって吸引または反発される。
図15図16には、電機子磁極13と、回転子磁極75とが吸引される場合の磁路を示している。
そして、電機子10のコイル12に流す電流の方向とタイミングが制御されることで、磁極子60の回転方向や回転速度が制御される。
【0073】
以上説明したように、第2の実施形態に係る磁極子60は、第1鉄心の一例としての鉄心71と、第2鉄心の一例としての鉄心72と、Z内磁石81と、を備える。また、磁極子60は、鉄心71及び鉄心72における、電機子10と対向しない面及びZ内磁石81と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、鉄心71、鉄心72及びZ内磁石81を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材100を備える。例えば、内側支持部材110は、鉄心71及び鉄心72の内周面を覆うとともに、鉄心71、鉄心72及びZ内磁石81が内側に移動することを抑制する。また、第1内鉄心抑え部材154や第2内鉄心抑え部材155は、鉄心71、鉄心72及びZ内磁石81が軸方向に移動することを抑制する。
【0074】
また、磁極子60は、第1鉄心の一例としての鉄心73と、第2鉄心の一例としての鉄心74と、Z外磁石82と、を備える。また、磁極子60は、鉄心73及び鉄心74における、電機子10と対向しない面及びZ外磁石82と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、鉄心73、鉄心74及びZ外磁石82を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材100を備える。例えば、外側支持部材120は、鉄心73及び鉄心74の外周面を覆うとともに、鉄心73、鉄心74及びZ外磁石82が外側に移動することを抑制する。また、第1外鉄心抑え部材156や第2外鉄心抑え部材157は、鉄心73、鉄心74及びZ外磁石82が軸方向に移動することを抑制する。
【0075】
このように、支持部材100が、鉄心71,72,73,74における、出力に寄与しない磁束が漏れる面を覆う。これにより、当該面に、磁性体が近接するもしくは接触することを抑制することができる。その結果、鉄心71,72,73,74から出力に寄与しない磁束が漏れ、出力に寄与する磁束、言い換えれば、電機子10の方へ向かう磁束が低下することを抑制することができる。従って、磁極子60によれば、電動機2の磁気効率を向上させることができる。
【0076】
外側支持部材120は、Z外磁石82が鉄心73又は鉄心74の方へ移動することを抑制する複数の突起の一例としての、左側突起群131の第2左側突起131b及び第3左側突起131c、右側突起群132の第2右側突起132b及び第3右側突起132cを有する。これにより、外側支持部材120は、Z外磁石82を支持することが可能となる。
また、複数の突起は、Z外磁石82における第1面の一例としての一方側の面側に配置される突起である第1面側突起の一例としての第2左側突起131b及び第2右側突起132bを有するとともに、Z外磁石82における第2面の一例としての他方側の面側に配置される突起である第2面側突起の一例としての第3左側突起131c及び第3右側突起132cを有する。そして、鉄心73は、複数の第1面側突起間の一例としての第2左側突起131bと第2右側突起132bとの間に配置され、鉄心74は、複数の第2面側突起間の一例としての第3左側突起131cと第3右側突起132cとの間に配置される。これにより、外側支持部材120は、鉄心73、鉄心74の回転方向の移動を抑制することが可能となる。
【0077】
また、磁極子60は、鉄心73、鉄心74及びZ外磁石82等を有する磁極ユニット70を複数有し、複数の磁極ユニット70相互間の距離を維持するように隣り合う磁極ユニット70間に配置された中間支持部材151を備える。これにより、磁極ユニット70、あるいは、磁極ユニット70を構成する部品が回転方向に移動し難くなる。また、回転方向からの衝撃に対する強度を高めることができる。
【0078】
また、磁極ユニット70は、鉄心73に対して、鉄心74と直交する方向に配置された第3鉄心の一例としての鉄心71と、S極が鉄心73の方を向くとともにN極が鉄心71の方を向くように配置された第2の永久磁石の一例としてのR第1磁石83と、を有する。そして、中間支持部材151は、隣り合う磁極ユニット70のR第1磁石83間に配置される。これにより、R第1磁石83が回転方向に移動し難くなる。それゆえ、回転方向からの衝撃に対する強度を高めることができ、R第1磁石83の破損を抑制することができる。また、中間支持部材151は、隣り合う磁極ユニット70のR第2磁石84間に配置される。これにより、R第2磁石84が回転方向に移動し難くなる。それゆえ、回転方向からの衝撃に対する強度を高めることができ、R第2磁石84の破損を抑制することができる。
【0079】
加えて、θ第1外磁石87の回転方向の両端面から突出した凸部871が、鉄心73とR第1磁石83の凸部831との間の隙間に入り込んでいる。これにより、R第1磁石83が回転方向に移動し難くなる。θ第2外磁石88とR第2磁石84との関係も同様であるので、R第2磁石84も回転方向に移動し難い。それゆえ、回転方向からの衝撃に対する強度を高めることができ、R第1磁石83及びR第2磁石84の破損を抑制することができる。
【0080】
また、中間支持部材151は、θ第1内磁石85及びθ第2内磁石86と、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88との間の隙間に配置される。これにより、θ第1内磁石85、θ第2内磁石86、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88が半径方向に移動し難くなる。それゆえ、半径方向からの衝撃に対する強度を高めることができ、θ第1内磁石85、θ第2内磁石86、θ第1外磁石87及びθ第2外磁石88の破損を抑制することができる。
【0081】
また、磁極子60においては、鉄心71に形成された凹部711に第1内鉄心抑え部材154が嵌められ、鉄心73に形成された凹部731に第1外鉄心抑え部材156が嵌められている。かかる構成により、磁極子60における、一方側に配置された電機子10に対向する面を平坦にすることができる。これにより、電機子10と、磁極子60の鉄心71や鉄心73との間に生じる空隙(エアギャップ)を低減させることができる。ただし、この空隙の増加分をいとわない場合には、鉄心71,73に、凹部711,731を形成しなくても良い。
なお、磁極子60における軸方向の他方側の構成も同様である。
【0082】
(支持構造の変形例)
図12図13には、磁極子60の10個の磁極ユニット70の内、各サブユニット60aが4つの磁極ユニット70を含み、サブユニット60a同士を組み合わせる際に、2つの磁極ユニット70をその間に挟み込んでいる例を示しているが特にかかる態様に限定されない。
【0083】
図17は、サブユニット160aの変形例の一例を示す図である。
例えば、磁極子(不図示)が16個の磁極ユニットを有し、磁極子が回転方向に4つ、90度に分割されたサブユニット160aとする構成の例を示している。各サブユニット160aは、内側支持部材及び外側支持部材が回転方向に4つ、90度に分割されたものと、4個の磁極ユニットを有している。かかる態様である場合には、4つのサブユニット160aを組み合わせることで円環状の磁極子が完成する。サブユニット160a同士を組み合わせる際に、その間に、磁極ユニット70を挟み込むことは不要となる。これにより、全てのサブユニット160aを同一の形状とすることが可能となり、生産性が高まる。
【0084】
全てのサブユニットを同一の形状とする点においては、磁極子が有する磁極ユニットの総数の約数にて分割すれば良い。例えば、磁極ユニット70の数が16個である場合には、2つ、4つ、8つに分割することで全てのサブユニットを同一の形状とすることが可能となる。また、磁極子が有する磁極ユニット70の総数にて分割しても全てのサブユニットを同一の形状とすることが可能となる。例えば、磁極ユニットの数が16個である場合には、16つに分割することで全てのサブユニットを同一の形状とすることが可能となる。
【0085】
第2の実施形態に係る10個の磁極ユニット70を有する磁極子60においても、2つ、5つ、10つに分割し、各サブユニットが、磁極ユニット70の総数/分割数の磁極ユニット70を有することで全てのサブユニットを同一の形状とすることが可能となる。
ただし、サブユニットを同一の形状とすることにこだわらなければ、分割数は特に限定されない。例えば、磁極ユニット70を4個有するサブユニットを2つと、磁極ユニット70を2個有するサブユニット1つとに分割しても良い。
【0086】
分割した内側支持部材110同士や分割した外側支持部材120同士を組み合わせる部位の形状は特に限定されない。以下、内側支持部材110を分割したものと外側支持部材120を分割したものとをまとめて「分割部材」と称して、組み合わせ部の変形例について説明する。
例えば、図17に示すように、分割部材200の回転方向の一方の端部に、端面から回転方向に突出した複数の凸部201を設けるとともに、分割部材200の回転方向の他方の端部に、端面から回転方向に凹んだ複数の凹部202を設ける。複数の凸部201は、図17に示すように、軸方向に並ぶように設けられているとともに、分割部材200の厚さ方向(半径方向)に2つに分けられた部位のどちらか一方に設けられるように、交互に設けられている。また、複数の凹部202は、図17に示すように、軸方向に並ぶように形成されているとともに、分割部材200の厚さ方向(半径方向)に2つに分けられた部位のどちらか一方に形成されるように、交互に形成されている。
そして、一の分割部材200の凸部201を、他の分割部材200の凹部202に嵌め込むことで、一の分割部材200と他の分割部材200とを組み合わせても良い。かかる態様により、一の分割部材200と他の分割部材200とが軸方向及び半径方向にずれることが抑制される。
【0087】
図18は、一の分割部材210と他の分割部材210との組み合わせ部位の変形例を示す図である。
図18(a)に示すように、分割部材210の回転方向の一方の端部に、端面から、半径方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に突出した凸部211を設け、回転方向の他方の端部に、端面から、半径方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に凹んだ凹部212を設けても良い。そして、一の分割部材210と他の分割部材210とを半径方向に相対的に移動させて、一の分割部材210の凸部211を、他の分割部材210の凹部212に嵌め込むことで、一の分割部材210と他の分割部材210とを組み合わせても良い。かかる態様により、一の分割部材210と他の分割部材210とが軸方向及び回転方向にずれることが抑制される。なお、凸部211及び凹部212の数は特に限定されず、1つでも良いし、図18(a)に示すように複数でも良い。
【0088】
また、図18(b)に示すように、分割部材220の回転方向の一方の端部に、端面から、回転方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に突出した凸部221を設け、回転方向の他方の端部に、端面から、回転方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に凹んだ凹部222を設けても良い。そして、一の分割部材220と他の分割部材220とを回転方向に相対的に移動させて、一の分割部材220の凸部221を、他の分割部材220の凹部222に嵌め込むことで、一の分割部材220と他の分割部材220とを組み合わせても良い。かかる態様により、一の分割部材220と他の分割部材220とが軸方向及び半径方向にずれることが抑制される。なお、凸部221及び凹部222の数は特に限定されず、1つでも良いし、図18(b)に示すように複数でも良い。また、凸部221及び凹部222の形状は、三角柱状に限定されず、図18(c)に示す直方体状、立方体状、円錐状であっても良い。
【0089】
また、図18(d)に示すように、分割部材230の回転方向の一方の端部に、端面から、軸方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に突出した凸部231を設け、回転方向の他方の端部に、端面から、軸方向が柱方向となる三角柱状に回転方向に凹んだ凹部232を設けても良い。そして、一の分割部材230と他の分割部材230とを軸方向に相対的に移動させて、一の分割部材230の凸部231を、他の分割部材230の凹部232に嵌め込むことで、一の分割部材230と他の分割部材230とを組み合わせても良い。かかる態様により、一の分割部材230と他の分割部材230とが回転方向及び半径方向にずれることが抑制される。なお、図18(d)に示すように、一の分割部材230と他の分割部材230とを軸方向に相対的に移動させて嵌め込む際に、一の分割部材230と他の分割部材230とが突き当たる面233を設けても良い。
【0090】
なお、上述した例では、第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153、第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155、第1外鉄心抑え部材156及び第2外鉄心抑え部材157を、内側支持部材110及び外側支持部材120が分割された状態であるときに固定しているが、特にかかる態様に限定されない。第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153、第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155、第1外鉄心抑え部材156及び第2外鉄心抑え部材157は、分割された状態の内側支持部材110及び外側支持部材120を組み合わせて円環状にした後に、固定しても良い。かかる場合には、第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153、第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155、第1外鉄心抑え部材156及び第2外鉄心抑え部材157を、円環状にすることが可能となる。
【0091】
(磁極ユニット70と支持部材100との半径方向の固定方法)
図8を用いて説明した方法を用いて、磁極ユニット70と支持部材100とを半径方向に固定しても良い。
例えば、図8(a)に示すように、外側支持部材120における、各鉄心73と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心73に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、外側支持部材120に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、鉄心73に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット70と支持部材100とを固定しても良い。
さらに、外側支持部材120における、各鉄心74と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心74に雌ねじ(不図示)を形成し、外側支持部材120に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、鉄心74に形成された雌ねじに締め付けても良い。
【0092】
上述した方法に代えて、あるいは、上述した方法に加えて、図8(b)に示すように、内側支持部材110における、各鉄心71と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心71に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、内側支持部材110に形成された貫通孔に通したボルト58(図8(b)参照)の雄ねじを、鉄心71に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット70と支持部材100とを固定しても良い。
さらに、内側支持部材110における、各鉄心72と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、鉄心72に雌ねじ(不図示)を形成し、内側支持部材110に形成された貫通孔に通したボルト58の雄ねじを、鉄心72に形成された雌ねじに締め付けても良い。
【0093】
上述した方法に代えて、あるいは、上述した方法に加えて、外側支持部材120における、各θ第1外磁石87と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、θ第1外磁石87に雌ねじ(不図示)を形成する。そして、外側支持部材120に形成された貫通孔に通したボルト57(図8(c)参照)の雄ねじを、θ第1外磁石87に形成された雌ねじに締め付けることで、磁極ユニット70と支持部材100とを固定しても良い。
さらに、外側支持部材120における、各θ第2外磁石88と対向する部位に、貫通孔(不図示)を形成するとともに、θ第2外磁石88に雌ねじ(不図示)を形成し、外側支持部材120に形成された貫通孔に通したボルト57の雄ねじを、θ第2外磁石88に形成された雌ねじに締め付けても良い。
【0094】
また、ボルト57,58にて締め付ける代わりに、図8(d)に示すように、ピン59を嵌め込むことで磁極ユニット70と支持部材100とを固定しても良い。
また、ボルト57,58や、ピン59にて固定する代わりに、例えば、磁極ユニット70と支持部材100とを、溶接又は接着にて固定しても良い。
【0095】
内側支持部材110及び外側支持部材120は、回転方向に分割可能である代わりに、軸方向に分割可能であっても良い。
例えば、内側支持部材110,外側支持部材120を、軸方向に2つに分かれた円筒状の部材同士を組み合わることで構成しても良い。
図19は、外側支持部材120を構成する第一分割部材241と第二分割部材242との組み合わせ部位を示す図である。
図19に示すように、第一分割部材241の軸方向の他方の端部に、端面から軸方向に他方側に突出した複数の凸部241aを設けるとともに、第二分割部材242の軸方向の一方の端部に、端面から軸方向に凹んだ複数の凹部242aを設ける。複数の凸部241aは、図19に示すように、回転方向に並ぶように設けられているとともに、第一分割部材240の厚さ方向(半径方向)に2つに分けられた部位のどちらか一方に設けられるように、交互に設けられている。また、複数の凹部242aは、図19に示すように、回転方向に並ぶように形成されているとともに、第二分割部材242の厚さ方向(半径方向)に2つに分けられた部位のどちらか一方に形成されるように、交互に形成されている。
【0096】
そして、第一分割部材241の凸部241aを、第二分割部材242の凹部242aに嵌め込むことで、第一分割部材241と第二分割部材242とを組み合わせても良い。かかる態様により、第一分割部材241と第二分割部材242とが回転方向及び半径方向にずれることが抑制される。また、内側支持部材110及び外側支持部材120を、軸方向に分割可能に構成することにより、磁極ユニット70を構成する鉄心71等の部品を支持部材100に対して軸方向に挿入することで組み付けることができる。
【0097】
なお、内側支持部材110、外側支持部材120を、軸方向に分割するのは2つに限定されない。
例えば、内側支持部材110、外側支持部材120を、磁極ユニット70を構成する鉄心71等、軸方向に重ねる部品の数と同数で分割しても良い。第2の実施形態に係る電動機2においては、磁極ユニット70を構成する部品の積層数は、例えば、鉄心73、Z外磁石82、鉄心74の3つであるので、鉄心73が配置される部位、Z外磁石82が配置される部位、鉄心74が配置される部位の3つに分割することを例示することができる。
なお、軸方向に、さらに、鉄心と永久磁石とが積層される場合には、積層される鉄心が配置される部位と永久磁石が配置される部位毎に分割しても良い。つまり、軸方向に、鉄心、永久磁石、鉄心、永久磁石、鉄心、永久磁石、鉄心と、7つの部品が積層される場合には、7つに分割しても良い。すなわち、鉄心と永久磁石との組数がnである場合には、2n+1の数に分割しても良い。
【0098】
磁極ユニット70と支持部材100とを固定する方法として、焼き嵌めする方法を採用しても良い。
図20は、焼き嵌めにより固定された磁極子60の一例を示す図である。
より具体的には、上述したようにして磁極子60を組み立てた後、外側支持部材120の外周面の径よりも小さな径の内周面を有する円筒状のリング170を用いる。このリング170を加熱して内周面の径を外側支持部材120の外周面の径よりも大きくした状態で、リング170の内側に磁極子60を配置すれば良い。焼き嵌めすることで、磁極ユニット70と支持部材100とを強固に固定することが可能となる。なお、リング170の材質は、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属、又は、熱硬化性樹脂であることを例示することができる。軽量化の観点からは、アルミニウムが最も好ましい。
【0099】
なお、リング170を用いて焼き嵌めする場合には、分割状態の内側支持部材110同士及び分割状態の外側支持部材120同士を組み合わせることなく、回転方向の端面同士を接触させた状態でリング170の内側に磁極子60を配置すれば良い。つまり、図17及び図18を用いて説明した、凸部201,211,221,231や、凹部202,212,222,232を設けなくても良い。
【0100】
(一対の突起群130の変形例)
図21は、支持部材100の一対の突起群及び鉄心の変形例の一例を示す図である。
一対の突起群130を構成する突起の形状は直方体状に限定されない。例えば、左側突起群131及び右側突起群132の内の一方の突起群(例えば左側突起群131)を構成する突起の先端が、他方の突起群(例えば右側突起群132)の方へ回転方向に屈曲していても良い。より具体的には、図21に示すように、左側突起群131の第2左側突起131b及び第3左側突起131cが、先端に、右側突起群132の方へ回転方向に屈曲した屈曲部131fを有すると良い。また、右側突起群132の第2右側突起132b及び第3右側突起132cが、先端に、左側突起群131の方へ回転方向に屈曲した屈曲部132fを有すると良い。
【0101】
そして、屈曲部131f,132fを有する突起に対応する位置に配置される鉄心に、屈曲部131f,132fを収容する凹部を形成する。例えば、左側突起群131の第3左側突起131cが屈曲部131fを有し、かつ、右側突起群132の第3右側突起132cが屈曲部132fを有する場合には、図21に示すように、鉄心74における一方側の内部に、屈曲部131f,132fをそれぞれ収容する凹部76を形成すると良い。また、第2左側突起131bが屈曲部131fを有し、かつ、第2右側突起132bが屈曲部132fを有する場合には、鉄心73における他方側の内部に、屈曲部131f,132fをそれぞれ収容する凹部(不図示)を形成すると良い。これら屈曲部131f,132f、凹部76等により、鉄心73,74の軸方向の移動が抑制される。
【0102】
図22は、支持部材100の一対の突起群、鉄心及び永久磁石の変形例の一例を示す図である。図22(a)は、一対の突起群の変形例の一例を示す図であり、図22(b)は、鉄心及び永久磁石の変形例の一例を示す図であり、図22(c)は、鉄心及び永久磁石を一対の突起群に嵌め込んだ状態の一例を示す図である。
一対の突起群130の左側突起群131及び右側突起群132が有する突起の数は、4つに限定されない。
図22(a)に示す変形例に係る左側突起群131は、一方側の端部に設けられた第1一方側突起131gと、他方側の端部に設けられた第1他方側突起131hの2つの突起を有する。また、変形例に係る右側突起群132は、一方側の端部に設けられた第2一方側突起132gと、他方側の端部に設けられた第2他方側突起132hの2つの突起を有する構成でも良い。そして、第1一方側突起131g及び第1他方側突起131hは、先端に、右側突起群132の方へ回転方向に屈曲した屈曲部131jを有する。また、第2一方側突起132g及び第2他方側突起132hは、先端に、左側突起群131の方へ回転方向に屈曲した屈曲部132jを有する。
【0103】
図22(b)に示す変形例においては、鉄心73に相当する鉄心273、Z外磁石82に相当するZ外磁石282、鉄心74に相当する鉄心274は、軸方向から見た形状が全て同一である。そして、鉄心273、Z外磁石282、鉄心274は、それぞれ、内側の端面における回転方向の中央部に、当該端面から内側に突出した凸部273a,282a,274aを有する。鉄心273、Z外磁石282、鉄心274は、凸部273a,282a,274aが、回転方向における屈曲部131jと屈曲部132jとの間の隙間に位置し、その他の扇状の部分が、第1一方側突起131gと第2一方側突起132gとで囲まれた部位に位置する形状である。
【0104】
上述した一対の突起群と、鉄心273、Z外磁石282及び鉄心274との構成により、鉄心273、Z外磁石282及び鉄心274を、軸方向に、第1一方側突起131gと第2一方側突起132gとの間に挿入することが可能となる。また、かかる構成により、鉄心273及び鉄心274が、回転方向及び半径方向に移動することが抑制される。
なお、第1外鉄心抑え部材156、第2外鉄心抑え部材157にて、鉄心273、Z外磁石282、鉄心274が軸方向に移動することが抑制される。
【0105】
同様に、内側支持部材110の一対の突起群と、鉄心71に相当する鉄心、Z内磁石81に相当する永久磁石及び鉄心72に相当する鉄心との構成を、上述した外側支持部材120の一対の突起群と、鉄心273、Z外磁石282及び鉄心274との構成と同じにしても良い。
第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155にて、これらの鉄心、永久磁石、鉄心が軸方向に移動することが抑制される。
【0106】
図23は、鉄心及び永久磁石の他の変形例を示す図である。図23(a)は、鉄心及び永久磁石の変形例の一例を示す図であり、図23(b)は、鉄心及び永久磁石を一対の突起群に嵌め込んだ状態の一例を示す図である。
図23に示した、他の変形例においては、鉄心73に相当する鉄心373における一方側の端面に、第1一方側突起131gが嵌り込む凹部373aと、第2一方側突起132gが嵌り込む凹部373bとが形成されている。また、鉄心74に相当する鉄心374における他方側の端面に、第1他方側突起131hが嵌り込む凹部374aと、第2他方側突起132hが嵌り込む凹部374bとが形成されている。
【0107】
鉄心373、Z外磁石82に相当するZ外磁石382及び鉄心374は、軸方向に、第1一方側突起131g及び第2一方側突起132gと、第1他方側突起131h及び第2他方側突起132hとの間に配置される。
かかる構成により、第1外鉄心抑え部材156、第2外鉄心抑え部材157を設けなくても、鉄心373、Z外磁石382及び鉄心374が、軸方向に移動することが抑制される。
【0108】
同様に、内側支持部材110の一対の突起群と、鉄心71に相当する鉄心、Z内磁石81に相当する永久磁石及び鉄心72に相当する鉄心との構成を、上述した外側支持部材120の一対の突起群と、鉄心373、Z外磁石382及び鉄心374との構成と同じにしても良い。
かかる構成により、第1内鉄心抑え部材154、第2内鉄心抑え部材155を設けなくても、これらの鉄心、永久磁石及び鉄心が、軸方向に移動することが抑制される。
【0109】
(中間支持部材151、R第2磁石84の変形例)
図24は、中間支持部材、R第2磁石の変形例を示す図である。図24(a)は、中間支持部材、R第2磁石の変形例の一例を示す図であり、図24(b)は、中間支持部材とR第2磁石とを嵌め合わせた状態の一例を示す図である。
図24に示した変形例においては、中間支持部材151に相当する中間支持部材251は、回転方向における両端面から、それぞれ回転方向に突出する突出部251aを有している。また、R第2磁石84に相当するR第2磁石284は、回転方向における両端面から突出した凸部831を有しておらず、代わりに、回転方向の両端部に一方側の端面から凹んだ凹部284aを有している。
【0110】
そして、組み付ける際に、隣り合うR第2磁石284を並べた後に、隣り合うR第2磁石284の凹部284aに中間支持部材251の突出部251aが嵌まるまで、隣り合うR第2磁石284間に中間支持部材251を挿入する。
これにより、R第2磁石284が軸方向に移動することが抑制される。
【0111】
(第1Rθ磁石抑え部材152、第2Rθ磁石抑え部材153の変形例)
第1Rθ磁石抑え部材152は、全てのR第1磁石83における一方側の面を覆うように円環状であるが、特にかかる態様に限定されない。また、第1Rθ磁石抑え部材152は、θ第1内磁石85及びθ第1外磁石87における一方側の面を覆うように円環状であるが、特にかかる態様に限定されない。例えば、中間支持部材151の両側にあるR第1磁石83の端面の一部と、θ第1内磁石85における外側部位の端面と、θ第1外磁石87における内側部位の端面とを覆うように十字状であっても良い。かかる構成である場合には、この十字状の押え部材間の領域にあるR第1磁石83や、この十字状の押え部材と第1内鉄心抑え部材154との間の領域にあるθ第1内磁石85や、この十字状の押え部材と第1外鉄心抑え部材156との間の領域にあるθ第1外磁石87の一方側の端面を、第1内鉄心抑え部材154の位置まで拡大させることが可能となる。
同様に、第2Rθ磁石抑え部材153を十字状にすることで、R第2磁石84や、θ第2内磁石86や、θ第2外磁石88の他方側の端面を、第2内鉄心抑え部材155の位置まで拡大させることが可能となる。
【0112】
なお、第1の実施形態に係る電動機及び第2の実施形態に係る電動機においては、鉄心(例えば鉄心71)における、電機子10と対向しない面及び永久磁石(例えばZ内磁石81)と対向しない面の少なくとも一つの面を覆うとともに、当該鉄心及び当該永久磁石を支持する、非磁性材料にて成形された支持部材(例えば支持部材100、支持部材50)を、アキシャルギャップ形の電動機に適用している。しかしながら、この支持部材を適用するのはアキシャルギャップ形の電動機に限定されず、例えば、ラジアルギャップ形等の、電気エネルギーを回転運動に変換する電動機に適用しても良い。
【符号の説明】
【0113】
1,2…電動機、5…回転軸、10…電機子、20…磁極子、30,70…磁極ユニット、50,100…支持部材、51,110…内側支持部材、52,120…外側支持部材、53…他方側支持部材、71,72,73,74,311,321,401,411,421…鉄心、75,315,405,415…回転子磁極、81…Z内磁石、82…Z外磁石、83…R第1磁石、84…R第2磁石、85…θ第1内磁石、86…θ第2内磁石、87…θ第1外磁石、88…θ第2外磁石、130,150…一対の突起群、151…中間支持部材、312,322,402,412,422…永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24