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特許7391790女性用衛生パッド及び着用者の皮膚から微生物を隔離するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】女性用衛生パッド及び着用者の皮膚から微生物を隔離するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/539 20060101AFI20231128BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20231128BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20231128BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20231128BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61F13/539
A61F13/472
A61F13/475 130
A61F13/511 300
A61F13/53 300
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020131780
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2021041145
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/099778
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ディグビジァイ、ラワト
(72)【発明者】
【氏名】ハン、レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、リジャン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ヤファン
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】山崎 勝司
【審判官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-148328(JP,A)
【文献】特表2004-513672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
月経中の女性ユーザの生殖器領域の外部及び近接の領域から微生物を隔離するための方法であって、
第1の女性用衛生パッドを提供する工程と、
前記パッドを、ある期間、下着又は他の保持具内で、月経液を排出する際に月経液を受容するのに好適な位置における、前記ユーザの生殖器領域に近接した位置で着用する工程と、
前記パッドを前記ある期間後に除去して、第2の女性用衛生パッドと交換する工程と、を含み、
前記第1及び前記第2の女性用衛生パッドの各々が、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性層と、を備え、
前記トップシートが、親水性繊維を含む繊維状不織布ウェブ材料を含み、
前記吸収性層が、HIPEの重合によって形成された連続気泡発泡体を含み、
前記トップシート及び前記吸収性層が、互いに直接向かい合わせの関係で配設され、少なくとも15cmの結合領域内の複数の取り付け点で互いに取り付けられ、
前記トップシートと前記吸収性層との間の前記結合領域内の各々の第1の識別可能な取り付け点が、前記第1の識別可能な取り付け点の6mmの半径内で、前記トップシートと前記吸収性層との間の前記結合領域内に、隣接する第2の識別可能な取り付け点を有し、
前記パッドの各々が、実質的に抗菌剤を含まない、方法。
【請求項2】
前記トップシートと前記吸収性層との間の取り付けが、前記結合領域内に前記トップシートと前記吸収性層との間に散在した非結合領域を残しつつ、結合領域を形成するように不連続的又は断続的に堆積された接着剤によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不織布ウェブ材料が、植物繊維を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記不織布ウェブ材料が、綿繊維を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記不織布ウェブ材料が、レーヨン繊維を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記不織布ウェブ材料が、熱可塑性ポリマー樹脂から紡糸された繊維を含む、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記不織布ウェブ材料が、水流交絡されている、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
相対的により小さな気泡の外方に面する副層と接触して配設された、相対的により大きな気泡の着用者に面する副層を含む、少なくとも2つの吸収性副層を前記吸収性層が含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記繊維状不織布ウェブ材料が、CWPDを有し、前記吸収性層が、CWPAを有し、前記CWPAが、前記CWPDよりも大きく、前記吸収性層が、1mm~5mmのキャリパを(湿潤前に)有する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記CWPAが、少なくとも40mJ/mだけ、前記CWPDよりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維状不織布ウェブ材料が、20gsm~50gsmの坪量を有する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記繊維状不織布ウェブ材料が、0.20mm~0.60mmのキャリパを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維状不織布ウェブ材料が、綿繊維を含み、74kg/m~110kg/mの密度を有する、請求項11又は12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記吸収性層が、少なくとも前記結合領域に存在する穿孔の配列を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記女性用衛生パッドが、以下の値のうちの1つ以上:
CFUmean、黄色ブドウ球菌(S.aureus):5.2未満、
CFUmean、大腸菌(E.coli):3.5未満、並びに
CFUmean、カンジダ・アルビカンス(C.albicans):5.2未満、及び/又は
CFUavg :4.6未満、を呈するように更に構成されている、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
経験及び消費者調査により、女性用衛生パッドのユーザは、製品自体が進化したため、このような製品について様々な期待及び選好を高めていることが分かっている。これらの期待及び選好としては、(1)月経液の排出前に、パッドが、乾燥時に皮膚に対して柔らかく、通気性があり、快適であること、(2)パッドが、流体の排出後に皮膚に対して過度に湿潤していない(すなわち、いくらか又は実質的に乾燥している感触を維持する)こと、(3)排出される月経液を、通常の使用/着用時間にわたって、ユーザの皮膚から離して、かつ漏出させることなく、容易に受け入れ、吸収し、収容し、隔離し、効果的に保持するように、パッドが好適な吸収性能を有すること、(4)外方に面する表面上で外衣を通して視認可能であり得る過度に暗い着色を提示せず、吸収された流体が着用者の皮膚から収容され、隔離されるという視覚的示唆を提供するように、パッドが吸収された流体を少なくともいくらか隠蔽すること、(5)快適性、着用者の身体の動きの調節、及び着衣の下の着用を目立たせない目的のために、パッドが可能な限り薄く(嵩高でなく)、可撓性及び柔軟であること、並びに(6)パッドが、使用中/着用中の皮膚又は生殖器領域付近の微生物の存在又は増殖を実質的に支持しないこと、が挙げられる。現在知られている製品設計、及び現在知られており、かつこれらの製品の構成要素として使用される材料に関しては、これらの期待及び選好を全て、同時に完全に満たすことはできない。ユーザ/消費者市場を十分に満足させる製品を提供するために、製造元は、優先度のバランスを慎重に取り、競争力のあるコスト/価格の制約の下で、これらの期待と選好の各々に多かれ少なかれ対応する製品機能を提供しなければならない。
【0002】
多くの現在市販されている女性用衛生パッドは、有孔フィルムから形成されたトップシートを有する。ポリマーフィルム(多くの場合、ポリエチレン系フィルム)は、実質的に吸収性ではなく、したがって堆積された流体を保持しないため、多くの消費者にとって、トップシート材料として好適であることが見出されており、ポリマーフィルムは、以下の吸収性構成要素による流体の排出及びその後の吸収後に、いくらか乾燥している感触を維持する傾向がある。典型的なフィルムトップシートには、フィルムを通して十分な通路を提供するために、フィルムを通る開口のパターン、単位表面積当たりのサイズ、幾何学的密度、及び数値密度が提供され、そこを通って排出された流体がトップシートの下の吸収性材料に通過し得る。いくつかの例では、開口は、小さな可撓性の漏斗状構造を各開口に付与し、一方向逆止弁と類似する様式で機能させる真空形成プロセスを介して形成され得る。しかしながら、一部の消費者は、皮膚に対して「プラスチック」の感触を否定的に知覚する場合がある。
【0003】
好適な坪量の不織布及びポリマー繊維から形成された不織布は、一部のユーザにとって、乾燥時にフィルムよりもより好ましい感触を提供することができるが、親水性であるように処理されない限り、下の吸収性構造体により吸収され得るように、それらを介して水性流体を容易には受容又は吸い上げない。この問題に対処するために、このような不織布は、様々なプロセスによって開口が設けられ得る。しかしながら、有孔不織布は、機械的弱点又は寸法の不安定性(製造ライン上の加工性に悪影響を及ぼす)を有する場合があり、及び/又は望ましいレベルの吸収された流体の視覚的隠蔽を提供しない場合がある。更に、このような不織布に必要とされる相対的により大きい開口は、下の吸収性構造体内の取り除かれた吸収性材料の小片を、孔を通って、かつ開口からふり分けることを可能にし得るが、これは、品質の否定的な消費者知覚の一因となり得る。
【0004】
通常は、疎水性のポリマー繊維を処理して親水性を付与し、開口が流体を受け入れて、その中を通過する流体の移動を容易にする必要なく、トップシート材料のための不織布ウェブを形成するために使用され得る。通常は、親水性繊維(例えば、好適に加工された綿繊維及びレーヨン繊維など)は、開口を必要とせずにトップシート材料のための不織布ウェブを形成するために使用され得る。これらは、有孔フィルムと比較して、乾燥時に一部の消費者にとって皮膚に対してより心地よい感触を有し得る。好適に製造された親水性繊維から形成された不織布は、吸い上げ作用を介して排出された月経液(水性である)を容易に受け入れ、内部に分散させることができる。しかしながら、いくつかの種類の親水性繊維から形成された不織布は、保持する傾向があり、それによって、全ての排出された流体を、下の吸収性材料に通過させることができないか、又は再湿潤(下の吸収性材料からの流体の再捕捉)の影響を受けやすい場合がある。構成繊維は親水性であるため、不織布は、排出された流体の一部を引き付ける及び/又は保持する傾向があり、すなわち、不織布は、より望ましくは、着用者と吸収された流体との間のバリアとして機能するのではなく、排出された流体を受け入れて、下の吸収性構造体を通して伝えるための一方向の通路と共に、吸収性構造体の機能的部分である。したがって、親水性繊維で形成されたトップシートは、望ましくないことには、流体の排出後に着用者の皮膚に対して湿潤感を与える場合があり、いくらかの流体自体を保持するため、吸収された流体の実質的な隠蔽を提供しない場合がある。加工された綿(慣例的な加工では、天然油及びワックスのストリッピング加工)は、親水性だけでなく、水性流体に対して強い親和性を有し、繊維自体の内部及び繊維間の間隙空間内にその両方を保持する傾向を有するため、トップシート材料としての使用に特に問題がある。
【0005】
排出された月経液で湿潤しているトップシートは、着用者の皮膚及び生殖器領域に近接した位置で微生物の増殖を支持する媒体及び構造を提供することができる。これは、健康及び/又は臭気制御に関する懸念事項から、一部の消費者によって望ましくないと見なされる。
【0006】
いくつかの現在市販されている製品は、このような増殖を制限又は低減することを表明する、抗菌剤の広告された包含を通じて細菌の増殖を防止又は低減することを目的としている。しかしながら、抗菌剤の包含は、材料及び製造コストを追加する場合があり、製造元及び/又は販売元の一部に追加された規制適合性の努力を必要とする場合があり、生殖器領域における通常の健康な微生物叢への悪影響を最小化又は回避する必要性を含む他の懸念を提示し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、現在知られているよりも多くのユーザ/消費者の期待及び選好を製造元がうまく満足させることを可能にするトップシート材料、吸収性材料、及びパッド構造の組み合わせにおける改善の余地が残っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】トップシートが観察者に面している状態の、女性用衛生パッドの平面図である。
図2A図1の女性用衛生パッドの概略横方向断面図である。
図2B】吸収性層の副層を描写するために拡大された、図2Aの図面の拡大部分2Bである。
図3A】トップシートが吸収性層に結合され得る結合領域内の接着剤堆積パターンのいくつかの例の平面図である。
図3B】トップシートが吸収性層に結合され得る結合領域内の接着剤堆積パターンのいくつかの例の平面図である。
図3C】トップシートが吸収性層に結合され得る結合領域内の接着剤堆積パターンのいくつかの例の平面図である。
図4】以下に記載される毛管作業ポテンシャル測定方法で使用するための機器の構成の概略図である。
図5】本明細書に記載される病原菌隔離測定法で使用される投入プレートの斜視図である。
図6図5に描写された投入プレートの上面斜視図である。
図7】本明細書に記載される病原菌隔離測定方法の説明に記載される様々なその特徴及び寸法を特定する、図5に描写された投入プレートの試験流体リザーバ9003の上面図である。
図8図6に示した線8-8を通して取られた、図6に描写された投入プレートの横方向垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
「製品のアレイ」は、構造及び/又は組成において互いに実質的に異なり、共通の商標に関連して、共通の取引経路又は異なる取引経路での販売用に同時に提供される、少なくとも第1及び第2の製品を意味し、各製品は、その製品の特定の構造及び/又は構成によって満たされる特定の必要性、目的、又は要望に対処するために製品が提供されるという効果に対して、購入者に対処される情報を含むか、若しくはそれに関連付けられている。
【0010】
水平面上で開かれ、平らに置かれた女性用衛生パッドに関して、「横方向」は、長手方向に対して垂直かつ水平平面に平行な方向を指す。
【0011】
水平平面上に平らに広げられて平らに置かれ、前方端から後方端まで測定される長さを有する女性用衛生パッドに関して、「長手方向」は、長さが測定される線と平行で水平平面に平行な方向を指す。「長さ」は、長手方向で測定される寸法を指す。
【0012】
女性用衛生パッドに関して、用語「前側」、「後側」、「前方」、及び「後方」という用語は、ユーザにより通常着用される位置、並びに直立時のユーザの身体の前側及び後側に対応するパッドの特徴又は領域に関する。
【0013】
水平面上で開かれ、平らに広げられて置かれた女性用衛生パッド、又は水平平面上に平らに置かれた不織布ウェブ材料に関して、「z方向」は、水平平面に垂直な方向を指し、水平平面に平行な任意の平面は、「x-y平面」と称され得る。パッドがユーザによって着用されているとき(したがって、湾曲構成に付勢されている)、パッド上の任意の特定の点位置における「z方向」は、特定の点位置においてパッドの着用者に面する表面に垂直な方向を指す。製造中の不織布ウェブに関して、「z方向」は、機械方向及び横断方向の両方に直交する方向を指し、機械方向及び横断方向に平行な任意の平面は、「x-y平面」と称され得る。
【0014】
女性用衛生パッドに関して、「着用者に面する」は、使用中に、同じz方向に沿って位置する構成要素又は構造の別の特徴部よりも着用者に近い、パッドの構成要素又は構造の特徴を指す相対的な位置用語である。例えば、トップシートは、トップシートの反対側の外方に面する表面よりも着用者の近くに位置する着用者に面する表面を有する。
【0015】
女性用衛生パッドに関して、「外方に面する」は、使用中に、同じz方向に沿って位置する構成要素又は構造の別の特徴部よりも着用者から遠くにある、パッドの構成要素又は構造の特徴を指す相対的な位置用語である。例えば、トップシートは、トップシートの反対側の着用者に面する表面よりも着用者から遠くに位置する外方に面する表面を有する。
【0016】
説明
図1及び図2Aを参照すると、女性用衛生パッド10は、液体透過性トップシート20と、液体不透過性バックシート30と、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性層40と、を含むことができる。この吸収性層は、周辺部41を有する。外周部41の外側の領域では、トップシート及びバックシートは、接着剤結合、熱接着、圧力結合などを含むがこれらに限定されない任意の好適な機構によって、積層された様式で一緒に結合されてもよく、それによって、トップシート20とバックシート30との間の適所に吸収性層40を維持及び保持することができる。パッド10は、パッドの主部分よりも相対的に大きい幅寸法によって外周部41の外側に横方向に延在する対向するウィング部分15を含んでもよい。主部分及びウィング部分の下面を形成するバックシートの外側表面は、その上に接着剤35の堆積物を有してもよい。接着剤堆積物35は、ユーザがパッドをその股領域内のパンツの内側に接着させて、ウィング部分を下着の脚部開口部の内側縁部を通って、かつその周りにラップ部分を包み、それらを股部領域の下着の外側/下側に接着させることを可能にするために提供され、補助保持支持体を提供し、下着の脚縁部を汚すことから保護することを助けることができる。パッド10がパッケージ化されると、接着剤堆積物35は、剥離フィルム又は紙の1枚以上のシート(図示せず)によって被覆されてもよく、これは、ユーザが剥離フィルム又は紙を除去し、使用のためにパッドを配置するまで、接着剤堆積物35を覆う/遮蔽する。
【0017】
トップシート
トップシート20は、任意の好適な親水性不織布ウェブ材料から形成され得る。再び図を参照すると、トップシート20は、吸収性層40の着用者に面する表面に隣接して位置付けられ、任意の好適な取り付け又は結合方法によって、そこに及びバックシート30に接合され得る。トップシート20及びバックシート30は、吸収性層40の周辺部41の外側の周辺領域において互いに直接接合され得、吸収性層の着用者に面する表面及び外方に面する表面、又はパッドに含まれる追加の任意選択的な層に直接接合することによって間接的に接合され得る。
【0018】
パッド10は、着用者の皮膚に対して適合し、柔らかな感触であり、刺激がないものなど、任意の既知の、又は他の有効なトップシートを有し得る。好適なトップシート材料は、着用者の皮膚と接触しているときに快適であり、排出された月経液がそれを通って急速に浸透することを可能にする、液体透過性材料を含む。好適なトップシートは、織布材料及び不織布ウェブ材料などの、様々な材料から作製され得る。
【0019】
トップシートとしての使用に好適であり得る不織布ウェブ材料の非限定的な例としては、天然繊維、改質天然繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせから作製された繊維状材料が挙げられる。いくつかの好適な例としては、米国特許第4,950,264号、同第4,988,344号、同第4,988,345号、同第3,978,185号、同第7,785,690号、同第7,838,099号、同第5,792,404号、及び同第5,665,452号に記載されている。
【0020】
いくつかの実施例では、トップシートは、米国特許第8,728,049号、米国特許第7,553,532号、米国特許第7,172,801号、米国特許第8,440,286号、米国特許第7,648,752号、及び米国特許第7,410,683号に記載されるような房(tuft)を含んでもよい。トップシートは、米国特許第7,655,176号又は米国特許第7,402,723号に記載されているような、個別の毛髪様フィブリルのパターンを有してもよい。好適なトップシート材料の追加の例としては、米国特許第8,614,365号、米国特許第8,704,036号、米国特許第6,025,535号及び米国特許出願公開第2015/041640号に記載されているものが挙げられる。別の好適なトップシートは、米国特許出願公開第2017/0258647号に詳述されるような三次元基材から形成されてもよい。トップシートは、米国特許出願公開第2016/0167334号、米国特許出願公開第2016/0166443号、及び米国特許出願公開第2017/0258651号に記載されているように、1つ以上の層を有してもよい。
【0021】
本明細書で企図されるように、トップシート20が切り取られ得る構成要素の不織布ウェブ材料は、親水性にされ(又は増加した親水性を有し)、皮膚に対して好適に柔らかな感触になるように処理されるように、天然の親水性又は好適に処理された、綿、亜麻、麻、ジュート、又はそれらの混合物などのセルロース系植物繊維を主に(重量で)若しくは完全に含むか、又はそれからなる、不織布ウェブ材料であってもよい。植物由来繊維は、天然製品に対する消費者の選好に訴えるために好ましい場合がある。他の例では、レーヨン(ビスコース、リオセル、MODAL(Lenzing AG、Lenzing、Austriaの製品)及び銅アンモニアレーヨンを含む)などのセルロース系材料から誘導される半合成繊維が使用され得る。
【0022】
不織布ウェブは、有限長の繊維が制御された方法で形成ベルト上に分配及び蓄積され、所望の繊維の分布を有するバットを所望の坪量に形成し得る、任意の好適なプロセスを介して形成されてもよい。好適なプロセスとしては、カーディング、エアレイイング、及び湿式レイイングが挙げられ得る。バットは、カレンダー加工、ニードルパンチング、及び水流交絡(例えば、スパンレース加工)を含み得るプロセスによって、繊維を圧密化し、それらをz方向に絡ませるように処理されてもよい。
【0023】
いくつかの例では、綿繊維などの植物繊維を含むか、又はそれからなる不織布から切断されたトップシートが好ましい場合がある。いくつかの例では、不織布ウェブ材料は、カーディングプロセスによって形成されてもよい。他の例では、不織布ウェブ材料は、エアレイイング又は湿式レイイングプロセスによって形成されてもよい。更に他の例では、不織ウェブ材料は、有限長の植物系繊維を物理的にブレンド又は長いが不明確な長さの紡糸繊維の流れと物理的にブレンド又は混合し、ポリマー樹脂から紡糸され、形成ベルト上に配置される、例えば、米国特許第8,017,534号、米国特許第4,100,324号、米国特許出願公開第2003/0200991号、米国特許第5,508,102号、米国特許出願公開第2003/0211802号、欧州特許第0333228号、国際公開第2009/10938号、米国特許出願公開第2017/0000695号、米国特許出願公開第2017/0002486号、米国特許第9,944,047号、米国特許出願公開第2017/0022643号及び米国特許出願公開第2018/0002848号に記載されるような、ウェブを形成する共形成プロセスで形成されてもよい。
【0024】
親水性トップシートの頂部(着用者に面する)表面に接触する流体が、トップシートの底部(外方に面する)表面へのz方向での毛管現象によって好適に迅速に移動し、そこで吸収性層内に引き込まれ得ることを確実にするために、トップシートを形成する不織布ウェブ材料が適切な重量/体積密度を有することを確実にし、それによって流体が不織布材料内で移動し得る構成繊維の間及びそれらの間の間隙通路の好適な存在を反映することが重要であり得る。あまりに密に圧密された繊維を有する不織布は、不十分な数及び容積の間隙通路を有し、不織布は、迅速なz方向流体移動を促進するよりも、妨害することになる。一方、十分な繊維間接触及び/又は十分に小さい間隙通路を提供するのに十分に圧密されていない繊維を有する不織布は、毛管現象によるz方向への吸い上げに不十分な潜在性を提供する場合がある。不織布ウェブ材料が、綿繊維を主に又は全体的に含む例では、液体がz方向に移動して吸収性層に到達しなければならないトップシート材料の量を制限することに対して、吸収された流体の遮蔽及び機械的強度(加工に必要とされる)の優先度をバランスを取る目的で、ウェブは、20gsm~50gsm(本明細書では「gsm」は、グラム/mを意味する)、より好ましくは25gsm~45gsm、更により好ましくは30gsm~40gsmの坪量を有することが望ましい場合がある。併せて、ウェブは、74kg/m~110kg/m、より好ましくは83kg/m~101kg/mの密度を有することが望ましい場合があり、密度は、キャリパ(以下に記載されるキャリパ測定法を使用して測定したz方向の厚さ)で除した坪量として計算される。代替的に、又は上記の値の制御と組み合わせて、トップシート材料のキャリを制御して、不透明度及びロフト(より高いキャリパを求める)のための競合するニーズを、排出された流体が着用者に面する表面から外方に面する表面にトップシートを通過して下の吸収性層に到達しなければならないz方向距離の制限に対してバランスを取ってもよい。したがって、トップシート材料の製造は、0.20mm~0.60mm、より好ましくは0.25mm~0.55mm、更により好ましくは0.30mm~0.45mmの厚さを有するトップシート材料を作り出すように制御されることが望ましいことがある。本明細書の目的のために、キャリパは、以下に記載されるキャリパ測定方法を使用して測定される。
【0025】
ボール体からの分離直後に、綿繊維は、天然ワックス及び油性化合物が繊維の表面上に存在するため、自然に疎水性である。綿繊維を種子から分離するためにジンニング後、生の綿繊維の塊(保管され、ベイル内で輸送される)は、典型的には、繊維マトリックス内に捕捉された、及び/又はワックス及び油に付着された相当量の不純物(粒子、植物物質の小片など)を含み、これが、綿繊維を変色させ、それを多くの用途に不適なものにする。生の綿繊維をほとんどの用途に商業的に許容可能にするために、繊維は最初に、不純物を除去するために、いくつかの工程で処理されなければならない。典型的なプロセスはまた、天然ワックス及び油を除去し、綿繊維を親水性にする。油、ワックス、又はシリコーンなどの疎水化剤は、綿繊維及び綿系繊維構造体を疎水性及び非吸収性にするために再導入することができるが、本明細書では、無孔疎水性綿系トップシートは、流体の排出を好適切に受け入れて、吸い上げることができないため、不適であろう。
【0026】
不純物を除去するための処理に続いて、綿繊維の塊を更に機械的に処理して、それをその意図される最終使用条件及び構造に変換する。その親水性のために、処理された綿繊維のいかなる塊も-織物/布の構成要素、紙製品、不織布ウェブ製品、又は吸収性製品として現れようが、水性流体をある程度吸収し、毛管吸い上げ特性を呈するであろう。
【0027】
レーヨン(ビスコース、リオセル、テンセル、銅アンモニアレーヨンなどを含む)繊維は、再生セルロースから製造される。分子レベルでは、綿繊維と化学的に類似している。繊維レベルでは、レーヨン繊維には、複雑な表面形状及び実質的なカール又は捲縮が付与され得、自然に親水性である。レーヨン繊維の塊は、典型的には、綿繊維の塊のものを超える吸収性特性を有する。
【0028】
吸収性及び吸い上げ性能は、繊維が更に処理される方法に応じて変化してもよく、これによって操作されてもよい。端部構造における繊維塊の圧密化(すなわち、高密度化)のレベル、及び端部構造内の個々の繊維の配向などの要因は、吸収性及び吸い上げ性能に影響を及ぼし得る。
【0029】
したがって、本明細書で企図される目的のために、上で考察される好適な坪量、密度、及び/又はキャリパを付与されたものと組み合わせて、トップシートを作製するために使用される綿及び/又はレーヨン系不織布ウェブは、ウェブ構造体の形成の機械方向又はx-y平面に沿って主に付勢される配向ではなく、いくつかのz方向の配向を含む方向配向性を有する繊維の実質的な数が付与される不織布ウェブ製造プロセスを介して形成されることが望ましい場合がある。繊維が、水平な形成ベルト(例えば、エアレイイング、湿式レイイング、カーディングなど)上のバットに繊維を分配及び敷設する任意の好適なプロセスに続いて、繊維のいくつか又はその部分をz方向に強制的に再配向させる追加のプロセス工程を採用することができる。好適なプロセス工程は、ニードルパンチング及び水流交絡を含み得る。微細で高速の水噴流のアレイが、有孔ベルト又はドラム上で運ばれるときにバットに向けられる水流交絡は、繊維を破壊することが少なく、かつ繊維糸及び表面毛羽立ち(ウェブの主要構造体から延びる自由繊維端)を形成することが少ない状態での繊維の再配向におけるその有効性のために望ましい場合がある。真空水除去システム(空気が、z方向にウェブを通して、かつバットを搬送するドラム又はベルト上のオリフィス又は細孔のパターンを通して引き込まれ、水流噴射された水を引っ張る)は、ほぼオリフィス又は細孔のパターンで、ウェブの繊維マトリックス内に形成、追加、開放、及び/又は明確な小さいz方向通路を作り出す傾向があるため、望ましい場合がある。理論に束縛されることを意図するものではないが、z方向に配向された繊維(又はその部分)の数が増加して、z方向通路が、ウェブがz方向に水性流体を吸い上げる能力及び傾向を増加させると考えられる。トップシートでは、このことは、材料が、トップシートの着用者に面する表面からトップシートの外方に面する表面へ、すなわち、下の吸収性層に直接下方に流体を吸い上げることができ、それによって、流体をx-y平面方向に沿って吸い上げることができる(排出された流体からの染みを横方向及び/又は長手方向に広げさせる)ことを意味するであろう。
【0030】
吸収性層
いくつかの例では、吸収性層40は、吸収性連続気泡発泡体材料の層から形成されてもよく、又はこれを含んでもよい。いくつかの例では、発泡体材料は、吸収性連続気泡発泡体材料の少なくとも第1及び第2の副層40a、40b(図2B)を含んでもよく、副層は、互いに直接向かい合わせに接触している。このような例では、以下でより詳細に説明する目的のために、着用者に面する副層は、相対的により大きな気泡発泡体材料であってもよく、外方に面する副層は、相対的により小さな気泡発泡体材料であってもよい。
【0031】
連続気泡発泡体材料は、油中水型高内相エマルション(high internal phase emulsion、「HIPE」)の連続油相の重合によって製造される発泡体材料であってもよい。
【0032】
油中水型HIPEは、2つの相を有する。1つの相は、重合されるモノマーと、HIPEの安定化に役立つ乳化剤と、を含む、連続油相である。油相はまた、1つ以上の光開始剤を含んでもよい。モノマー成分は、油相の約80重量%~約99重量%、及びある特定の例では約85重量%~約95重量%の量で含まれ得る。油相に可溶性であり、かつ安定な油中水型エマルションの形成に好適な乳化剤成分は、油相の約1重量%~約20重量%の量で油相中に含まれ得る。エマルションは、約20℃~約130℃、及びある特定の例では約50℃~約100℃の乳化温度で形成され得る。
【0033】
一般的に、モノマーは、油相の約20重量%~約97重量%の量で含まれてもよく、少なくとも1つの実質的に水不溶性である一官能性アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートを含んでもよい。例えば、この種のモノマーは、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートなどのC4~C18アルキルアクリレート及びC2~C18メタクリレートを含み得る。
【0034】
また、油相は、油相の約2重量%~約40重量%、ある特定の例では約10重量%~約30重量%の、実質的に水不溶性である多官能性架橋アルキルアクリレート又はメタクリレートを含んでもよい。この架橋コモノマー又は架橋剤を添加して、得られるHIPEフォームに強度及び弾性を付与する。この種の架橋モノマーの例は、2つ以上の活性化アクリレート、メタクリレート基、又はこれらの組み合わせを含有するモノマーを含む。この基の比限定的な例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,1 2-ドデシルジメタクリレート、1,14-テトラデカンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート(2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート)、ヘキサンジオールアクリレートメタクリレート、グルコースペンタアクリレート、ソルビタンペンタアクリレート等が挙げられる。架橋剤の他の例は、エチレングリコールアクリレート-メタクリレート及びネオペンチルグリコールアクリレート-メタクリレートなどの、アクリレート部分とメタクリレート部分との混合物を含有する。混合架橋剤中のメタクリレート対アクリレート基の比は、必要に応じて、50:50から任意の他の比まで様々であってもよい。
【0035】
任意の第3の実質的に水不溶性であるコモノマーを、油相の約0重量%~約15重量%、ある特定の例では約2重量%~約8重量%の重量パーセントで油相に添加して、HIPEフォームの特性を改変することができる。ある特定の場合において、結果として得られるHIPE発泡体に強靱性を付与する、「強靱化」するモノマーが所望され得る。これらとしては、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、及びクロロプレンなどのモノマーが挙げられる。理論に縛られるものではないが、かかるモノマーは、重合中(「硬化」としても知られている)HIPEを安定化させて、より優れた強靱性、引張強度、耐摩耗性などが得られる、より均質かつより良好に形成されたHIPEフォームをもたらすのに役立つと考えられる。また、モノマーを添加して、米国特許第6,160,028号に開示されているように難燃性を付与することもできる。モノマーを添加して、色(例えば、ビニルフェロセン)を付与し、蛍光特性を付与し、放射線耐性を付与し、放射線に不透明度を付与し(例えば、鉛テトラアクリレート)、電荷を分散させ、入射赤外光を反射し、電波を吸収し、HIPE発泡体ストラット又は気泡壁の表面を湿潤性にし、又はHIPE発泡体における任意の他の所望の特性を付与することができる。場合によっては、これら追加のモノマーは、HIPEのHIPEフォームへの変換プロセス全体を遅延させる場合があるが、望ましい特性を付与すべきである場合は、このトレードオフは必須である。したがって、このようなモノマーを使用して、HIPEの重合速度を減速させることもできる。この種のモノマーの例は、スチレン及び塩化ビニルを含む。
【0036】
油相は、HIPEを安定化させるために、乳化剤を更に含んでもよい。HIPEで使用される乳化剤としては、(a)分岐鎖C16~C24脂肪酸;直鎖不飽和C16~C22脂肪酸;及び直鎖飽和C12~C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート、及びソルビタンモノエステル、ソルビタンモノラウレートジグリセロールモノオレエート(diglycerol monooleate、DGMO)、ポリグリセロールモノイソステアレート(polyglycerol monoisostearate、PGMIS)、及びポリグリセロールモノミリステート(polyglycerol monomyristate、PGMM);(b)分岐鎖C16~C24脂肪酸、直鎖不飽和C16~C22脂肪酸、又は直鎖飽和C12~C14脂肪酸のポリグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート、及びジグリセロールモノエステル;(c)分岐鎖C16~C24アルコール、直鎖不飽和C16~C22アルコール、及び直鎖飽和C12~C14アルコールのジグリセロール一脂肪族エーテル、並びにこれら乳化剤の混合物を挙げることができる。米国特許第5,287,207号及び米国特許第5,500,451号を参照のこと。使用することができる別の乳化剤は、コハク酸アルキル、グリセロール、及びトリグリセロールから形成されるコハク酸ポリグリセロール(polyglycerol succinate、PGS)である。
【0037】
このような乳化剤、及びそれらの組み合わせ物は、それらが、油相の約1重量%~約20重量%、ある特定の実施形態では、約2重量%~約15重量%、及びある特定の他の実施形態では、約3重量%~約12重量%を構成するように、油相に添加され得る。ある特定の例では、特に、例えば、約65℃を超えるより高い温度で、気泡サイズ、気泡サイズ分布、及びエマルションの安定性の更なる制御を提供するために、共乳化剤も使用され得る。共乳化剤の例には、ホスファチジルコリン及びホスファチジルコリン含有組成物、脂肪族ベタイン、長鎖C12~C22二価脂肪族四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-ヒドロキシエチル、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-アミノエチル、短鎖C1~C4一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4モノヒドロキシ脂肪族四級アンモニウム塩が挙げられる。特定の例では、ジタロージメチルアンモニウムメチルサルフェート(ditallow dimethyl ammonium methyl sulfate、DTDMAMS)を補助乳化剤として使用してもよい。
【0038】
含まれる任意の光開始剤は、油相の約0.05重量%~約10重量%、及びいくつかの例では、約0.2重量%~約10重量%含まれ得る。より少量の光開始剤は、HIPEフォームに光をより透過させて、HIPEフォームのより深部で重合させることができる。しかしながら、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在することが所望され得る。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成を伴って、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本開示の想到される範囲内で発泡体の形成に使用するために選択される光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、特定の例では、約250nm~約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が油相中に存在する場合、好適な種類の油溶性光開始剤としては、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、及びアシルホスフィンオキシドが挙げられる。光開始剤の例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンと組み合わせられた2,4,6-[トリメチルベンゾイルジホスフィン]オキシド(これら2つの50:50ブレンドは、Ciba Speciality Chemicals(Ludwigshafen,Germany)によりDAROCUR 4265として販売されている);ベンジルジメチルケタール(Ciba GeigyによりIRGACURE651として販売されている);α-,α-ジメトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsによってDAROCUR1173として販売されている);2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE907として販売されている)、1-ヒドロキシシクロへキシル-フェニルケトン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE184として販売されている);ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE819として販売されている);ジエトキシアセトフェノン、及び4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Ciba Speciality ChemicalsによってIRGACURE2959として販売されている);並びにオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](Lamberti spa(Gallarate,Italy)によってESACURE KIP EMとして販売されている)が挙げられる。
【0039】
HIPEの分散水相は、水を含み、また、反応開始剤、光開始剤、又は電解質等の1つ以上の成分を含んでもよく、ある特定の例では、この1つ以上の成分は、少なくとも部分的に水溶性である。
【0040】
水相中に含まれる1つの成分は、水溶性電解質であってもよい。水相は、水相の約0.2重量%~約40重量%、ある特定の例では、約2重量%~約20重量%の水溶性電解質を含有し得る。電解質は、主に油溶性であるモノマー、コモノマー、及び架橋剤が水相にも溶解する傾向を最低限に抑える。電解質の例としては、カルシウム又はマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物、及びナトリウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物が挙げられる。かかる電解質は、リン酸塩、ホウ酸塩、及び炭酸塩、並びにこれらの混合物などの無機対イオンを含む、重合中にpHを制御するための緩衝剤を含み得る。水溶性モノマーを水相中で使用してもよく、その例は、アクリル酸及び酢酸ビニルである。
【0041】
水相中に含まれ得る別の成分は、水溶性フリーラジカル反応開始剤である。反応開始剤は、油相中に存在する重合性モノマーの合計モル数に基づいて最高約20モルパーセントで存在し得る。ある特定の例では、開始剤は、重合性モノマーの総モルに基づいて約0.001~約10モルパーセントの量で油相中に含まれ得る。好適な開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、アゾ開始剤、過硫酸塩-二硫酸塩、過硫酸塩-アスコルビン酸のようなレドックス対、及び他の好適なレドックス開始剤が挙げられる。ある特定の例では、乳化系を妨げる恐れのある早期重合の可能性を低減するために、モノマー相への開始剤の添加は、乳化工程の終わり付近、又は乳化直後に実行されてもよい。
【0042】
光開始剤は、水相中に存在する場合、少なくとも部分的に水溶性であってもよく、油相の約0.05重量%~約10重量%、及びある特定の例では、約0.2重量%~約10重量%を構成してもよい。少量の光開始剤は、HIPEフォームに光をより透過させて、HIPEフォームのより深部で重合させることができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成を伴って、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本開示の想到される範囲内で発泡体の形成で使用するための光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、ある特定の例では、約200nm~約350nm、及びある特定の例では、約350nm~約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が水相中に含まれる場合、好適な種類の水溶性光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、及びチオキサントンが挙げられ得る。光開始剤の例としては、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェート脱水物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルシクロヘキサノン、4-ジメチルアミノ-4’-カルボキシメトキシジベンザルアセトン、及び4,4’-ジスルホキシメトキシジベンザルアセトンが挙げられる。他の使用可能な好適な光開始剤は、米国特許第4,824,765号にリストされている。
【0043】
前述の成分に加えて、他の成分がHIPEの水相又は油相のいずれかに含まれてもよい。例としては、酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン光安定剤;可塑剤、例えば、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジノニル;難燃剤、例えば、ハロゲン化炭化水素、リン酸塩、ホウ酸塩、無機塩、例えば、三酸化アンチモン又はリン酸アンモニウム又は水酸化マグネシウム;染料及び顔料;蛍光剤;充填剤粒子、例えば、デンプン、二酸化チタン、カーボンブラック、又は炭酸カルシウム;繊維;連鎖移動剤;臭気吸収剤、例えば、活性炭微粒子;溶解ポリマー;溶解オリゴマー;並びに同様物が挙げられる。
【0044】
HIPE発泡体は、HIPEの連続油相を含むモノマーの重合から製造される。ある特定の例では、HIPE発泡体層は、1層以上の副層を有してもよく、均質又は不均質なポリマー連続気泡発泡体のいずれかであってもよい。均質性及び不均質性は、同じHIPE発泡体内の異なる層に関連し、これは均質なHIPE発泡体の場合には類似し、不均質なHIPE発泡体の場合には異なる。不均質なHIPE発泡体は、化学組成、物理的特性、又はその両方に関して異なっている少なくとも2つの異なる副層を含有してもよく、例えば、これらの副層は、発泡体密度、ポリマー組成、比表面積、又は細孔サイズ(気泡サイズとも呼ばれる)のうちの1つ以上に関して異なり得る。例えば、細孔サイズに関して異なるHIPE発泡体では、それぞれの副層の平均細孔サイズは、少なくとも約20%、及びある特定の例では、少なくとも約35%、更に他の例では、少なくとも約50%異なってもよい。別の例では、HIPE発泡体層の副層における差が密度に関する場合、層の密度は、少なくとも約20%、特定の例では、少なくとも約35%、更に他の例では、少なくとも約50%異なってもよい。例えば、HIPE発泡体の1つの層が0.020g/cmの密度を有する場合、別の層は、少なくとも0.024g/cm又は約0.016g/cm未満、ある特定の例では、少なくとも約0.027g/cm又は約0.013g/cm未満、更に他の例では、少なくとも約0.030g/cm又は約0.010g/cm未満の密度を有し得る。層間の差がHIPE又はHIPE発泡体の化学組成に関する場合、差は、例えば少なくとも約20%、ある特定の例では、少なくとも約35%、更なる例では、少なくとも約50%の、少なくとも1つのモノマー成分の相対量の差を反映し得る。例えば、HIPE又はHIPE発泡体のうちの1つの副層がその配合中に約10%のスチレンを含む場合、HIPE又はHIPE発泡体の別の副層は、少なくとも約12%、及びある特定の例では、少なくとも約15%を構成してもよい。
【0045】
異なるHIPEから形成される別個の副層を有するように構造化されたHIPE発泡体層は、所望の性能特性の範囲を有するHIPE発泡体層を提供することができる。例えば、第1の発泡体副層が、第2の発泡体副層よりも相対的により大きい細孔サイズ又は気泡サイズを有する、第1及び第2の発泡体副層を含むHIPE発泡体は、吸収性物品で使用されるとき、第2の副層よりも迅速に入ってくる流体を吸収することができる。例えば、HIPE発泡体層を使用して女性用衛生パッドの吸収性層を形成するとき、第1の発泡体副層は、第1の発泡体副層と比べて相対的により小さい細孔サイズを有する第2の発泡体副層上に重層化することができ、これは、より大きな毛細管圧を発揮し、第1の発泡体副層から獲得した流体を引き込み、第1の発泡体副層のより多くの流体を獲得する能力を復元させる。HIPE発泡体の細孔サイズは、1~200μmであってもよく、及びある特定の例では、100μm未満であってもよい。2つの主な平行表面を有する本開示のHIPE発泡体層は、約0.5~約10mmの厚さ、ある特定の例では、約2~約10mmの厚さであってもよい。HIPE発泡体層の所望の厚さは、HIPEフォーム層を形成するために使用される材料、HIPEがベルト上に堆積される速度、及び得られたHIPEフォーム層の意図される使用に依存するであろう。
【0046】
本開示のHIPE発泡体層は、相対的に連続した気泡である。これは、隣接している気泡と実質的に遮られずに連通しているHIPE発泡体層の個々の気泡又は細孔を指す。このように実質的に連続気泡であるHIPE発泡体構造体の気泡は、HIPE発泡体構造体内である気泡から別の気泡へ流体を移送するのに十分な大きさの気泡内開口部又は窓部を有する。本開示の目的で、HIPE発泡体は、少なくとも1μmのサイズのHIPE発泡体中の気泡の少なくとも約80%が、少なくとも1つの隣接した気泡と流体連通している場合、「連続気泡」と見なされる。
【0047】
連続気泡であることに加えて、ある特定の例では、HIPE発泡体は、HIPE発泡体に水性液体を吸収させるのに十分に親水性であるように適合されている。いくつかの例では、HIPE発泡体の内面は、重合後にHIPE発泡体内に残存する残留親水化界面活性剤又は塩によって、若しくは本明細書に引用される参考文献に記載されるものなどの選択された後重合HIPE発泡体処理手順によって親水性にされてもよい。
【0048】
ある特定の例では、例えば、それが女性用衛生パッドの吸収性層を形成するために使用されるとき、HIPE発泡体層は、可撓性であり、かつ適切なガラス転移温度(Tg)を呈することができる。Tgは、ポリマーのガラス質状態とゴム質状態との間の遷移の中間点を表す。一般に、使用温度よりも高いTgを有するHIPE発泡体は、強度が高い場合があるが、相対的に剛性でもあり、潜在的に破砕する傾向(脆性)がある。ある特定の例では、相対的に高いTg又は過剰な脆性のいずれかを呈する本開示のHIPE発泡体の領域は、不連続であるだろう。これら不連続の領域も、一般に高い強度を示すので、HIPE発泡体の全体的な強度を損なうことなく低密度で調製することができる。
【0049】
可撓性を必要とする用途を意図するHIPE発泡体は、HIPE発泡体が全体的に、使用中の温度で許容可能な強度を有する限り、可能な限り低いTgを有する少なくとも1つの連続した領域を含むべきである。ある特定の例では、この領域のTgは、およそ周辺温度条件で使用される発泡体については、約40℃未満となり、他の特定の例では、Tgは、約30℃未満となる。使用温度が周辺温度よりも高いか、又は低い適用で使用されるHIPE発泡体に対して、連続領域のTgは、使用温度よりも10℃未満高く、使用温度と同じある特定の例、及び更なる例では、可撓性が所望される使用温度よりも約10℃低くてもよい。したがって、モノマーは、可能な限り低いTgを有する対応するポリマーを提供するように選択される。
【0050】
本開示の想到される範囲内の吸収性層及び/又は副層を形成するのに有用なHIPE発泡体、並びにそれらの製造のための材料及び方法としては、参照により本明細書に矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる、米国特許第10,045,890号、米国特許第9,056,412号、米国特許第8,629,192号、米国特許第8,257,787号、米国特許第7,393,878号、米国特許第6,551,295号、米国特許第6,525,106号、米国特許第6,550,960号、米国特許第6,406,648号、米国特許第6,376,565号、米国特許第6,372,953号、米国特許第6,369,121号、米国特許第6,365,642号、米国特許第6,207,724号、米国特許第6,204,298号、米国特許第6,158,144号、米国特許第6,107,538号、米国特許第6,107,356号、米国特許第6,083,211号、米国特許第6,013,589号、米国特許第5,899,893号、米国特許第5,873,869号、米国特許第5,863,958号、米国特許第5,849,805号、米国特許第5,827,909号、米国特許第5,827,253号、米国特許第5,817,704号、米国特許第5,817,081号、米国特許第5,795,921号、米国特許第5,741,581号、米国特許第5,652,194号、米国特許第5,650,222号、米国特許第5,632,737号、米国特許第5,563,179号、米国特許第5,550,167号、米国特許第5,500,451号、米国特許第5,387,207号、米国特許第5,352,711号、米国特許第5,397,316号、米国特許第5,331,015号、米国特許第5,292,777号、米国特許第5,268,224号、米国特許第5,260,345号、米国特許第5,250,576号、米国特許第5,149,720号、米国特許第5,147,345号、及び米国特許出願公開第2005/0197414号、米国特許出願公開第2005/0197415号、米国特許出願公開第2011/0160326号、米国特許出願公開第2011/0159135号、米国特許出願公開第2011/0159206号、米国特許出願公開第2011/0160321号、並びに米国特許出願公開第2011/0160689号に記載される発泡体及び方法も挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの例では、図1に反映されるように、HIPE発泡体から形成された吸収性層は、パッドの長手方向軸と横方向軸100、200との交点を覆う、予想される排出位置(結合領域25と一致及び/又は共位置)内に配設された少なくとも第1のパターンを含む、1つ以上のパターンの穿孔42を含み得る。穿孔42は、HIPE発泡体吸収性層のz方向深さ全体を貫通して、又は着用者に面する層のみ若しくはその着用者に面する部分に部分的に貫通して、穿孔、切断、ないしは別の方法で形成され得る。本明細書に記載されるように、HIPE発泡体吸収性層がトップシートと直接接触して配置される場合、介在する捕捉層又は別の材料で形成された他の層は、穿孔42は、HIPE発泡体が毛管現象によって流体を分配及び吸収するのに十分な時間を有するまで、相対的に少量の月経液の急速な排出の分配において、受容し、一時的に保持し、かつ補助するためのリザーバの群として機能し得る。加えて、このような穿孔は、吸収性層の曲げ剛性を低下させるのに役立ち、これは、着用者のパッドの快適性を増加させることに役立ち得る。例えば、結合領域25によって占有される領域内に、1.0mm~4.0mm、及びより好ましくは、1.5mm~3.5mmの平均半径又は他の最大寸法を有する穿孔のパターンが含まれてもよい。パターンは、1cm当たり3.0~9.0個の穿孔、及びより好ましくは1cm当たり4.0~8.0個の穿孔の数値密度で穿孔を含んでもよい。適切な平均サイズ、数値密度、及び穿孔のパターンによって占有される表面積を選択する際に、製造元は、予想される排出位置に近接しかつその付近の位置に吸収性材料を保持する必要がある場合に所望される「リザーバ」の体積のバランスを取ることを望む場合がある。好適な吸収性層の例と組み合わせたこのような穿孔の構成に関する更なる詳細は、米国特許第8,211,078号に見出すことができる。
【0052】
ALWAYS INFINITYパッド(The Procter&Gamble Company,Cincinnati,Ohioよって製造及び販売されている)などの現在の製品では、HIPE発泡体材料が流体を吸収するのに必要な時間の間、排出された流体のための一時的なリザーバとして機能するように、このような穿孔を含むことが有用であると考えられている。これは、トップシートと下にあるHIPE発泡体層との間に別の材料の介在する獲得/分配層を有しない、有孔フィルムの非吸収性トップシートを有する製品に特に有用であると考えられている。しかしながら、本明細書に記載されるように、HIPE発泡体吸収性層を親水性繊維系の(例えば、綿系の)不織布トップシートと組み合わせると、繊維トップシートがトップシート及び捕捉/分配層の両方として機能し、排出された流体を効果的に捕捉し、下にあるHIPE発泡体層がトップシートから引き込まれ、それを吸収するのに必要な時間にわたって効果的に保持する、驚くべき相乗効果をもたらす。したがって、親水性繊維不織布トップシートを含むいくつかの例では、トップシート自体が、HIPE発泡体層が、トップシートから流体を吸収するために必要な時間中に、所望のレベルの流体の分配及び貯蔵を提供することができるため、上記のようなHIPE発泡体層内に穿孔のパターンを含むことが不要であるか、余分であるか、又は望ましくないと見なすことができる。
【0053】
HIPE発泡体で形成された吸収性層は、通常であり、かつ女性用衛生パッドに対して予想される月経中のパッドの使用/着用の時間、例えば、4~8時間にわたって、トップシートから排出された流体を効果的に引き込む能力を有するように、十分なCWPA(以下に記載される)を付与されるべきである。以下に記載されるように、材料のCWPAは、その体積によって部分的に影響を受ける。したがって、HIPE発泡体から形成される吸収性層40は、標準サイズのパッドに満足のいく体積を提供するキャリパを(湿潤前に)有することが所望される場合がある。当然ながら、相対的に厚いパッドを製造することができるが、着衣の下での快適性及び目立たせないために、可撓性/柔軟性及び薄さの要望を考慮すると、日中使用に望ましくないと見なされる。製造元は、これらの競合する目的のバランスを取る必要がある。したがって、本明細書で企図されるHIPE発泡体吸収性層を有する女性用衛生パッドでは、層がその着用者に面する表面積の大部分で、1mm~5mm、又はより好ましくは1.5mm~3.5mm、又は更により好ましくは2.0mm~3.0mmのキャリパを(湿潤前に)有することが望ましい場合がある(HIPE発泡体層のキャリパは、拡大/顕微鏡観察及び/又は写真撮影、若しくは他の容易にする技術並びに機器を利用して、有用と思われる範囲で視覚的に測定され得る)。吸収性層40が本明細書に記載される2つの副層40a、40bを含む場合、上部副層40aは、0.64mm~3.2mm、又は好ましくは0.96mm~2.24mm、又は更により好ましくは1.28mm~1.92mmのキャリパを(湿潤前に)有することが望ましい場合があり、また下部副層40bは、0.16mm~0.80mm、又はより好ましくは0.24mm~0.56mm、又は更により好ましくは0.32mm~0.48mmのキャリパを(湿潤前に)有することが望ましい場合がある。
【0054】
吸収特性及びトップシートと吸収性層との間の界面
水性流体の吸収性/親水性構造体の親和性及び吸収性は、部分的に、その毛管吸収圧によって特徴付けることができる。毛管吸収圧(capillary absorption pressure、CAP)は、以下に記載される毛管作業ポテンシャル測定方法の工程に従って測定することができる。これは、構造体が水性流体中に引き込まれる傾向の大きさを反映する値である。吸収性構造体対飽和レベルのCAPのプロットが、(流体の吸収の最初に)初期最大値を有し、構造体が流体中に引き込まれ、その完全な吸収能力、すなわち、完全飽和に近づくにつれて減少することが理解されよう。
【0055】
吸収性/親水性構造体の脱着に対する耐性、又は吸収された流体を保持するための傾向は、部分的に、その毛管脱着圧(capillary desorption pressure、CDP)によって特徴付けることができる。以下に記載される毛管作業ポテンシャル測定方法における工程に従っても測定され得るCDPは、構造体に吸収かつ保持された水性流体を駆動(又は引き込む)に必要な圧力(又は圧力差)の大きさを反映する値である。構造体対飽和レベルのCDPのプロットが、(構造体から任意の流体がそれを出る前に)初期最小値を有し、流体がそれを去るにつれて増加することが理解されよう。
【0056】
所与の構造体のCAP及びCDPは、構造体内の固体表面の親水性の程度、固体表面中/間の構造体内の間隙空間若しくは空隙、気泡若しくは細孔の平均サイズ、並びに構造体の単位体積当たりの構造体内の間隙空間、気泡、若しくは細孔の数の関数である。
【0057】
積層されたトップシート/吸収性層の組み合わせが、排出された流体をトップシートの上面から着用者から離れたz方向に効果的に移動させることができるように、本明細書に記載される他の条件に加えて、吸収性層のCAPは、トップシートの吸収された流体含有量の選択されたレベル、好ましくは相対的に低いレベルで、トップシートのCDPよりも大きくなければならない。積層されたトップシート/吸収性層の組み合わせを、許容可能な速さで着用者から離れたz方向に排出された流体を移動させることができるように、すなわち、トップシートが過剰に吸い上げる時間を有さず、それによって排出された流体を平坦な方向に沿って分配し(すなわち、広げ)(トップシート上に望ましくないほど大きい染みを形成する)、その上の流体の排出の直後に着用者が過度に湿潤していると感じないように、例えば、20パーセントの飽和度における吸収性層の毛管吸収圧は、同じ飽和度におけるトップシートの毛管脱着圧よりも大きくなければならず、ここでは、パーセント飽和は、流体によって占有される材料の総細孔容積のパーセントであり、試験流体は、以下に記載されるCapillary Work Potential(毛管作業ポテンシャル)測定法で指定される生理食塩水である。
【0058】
所与の材料構造体の総吸収性は、以下に記載される毛管作業ポテンシャル測定方法を使用して測定したときに、吸収モード(capillary work potential in absorption、CWPA)、及び排液又は脱着モード(capillary work potential in drainage or desorption、CWPD)における毛管作業ポテンシャルによって更に特徴付けることができる。CWPAは、記載された方法の条件下で、ある量の水性流体の引き込みにおいて吸収性材料が性能する作用の尺度である。CWPDは、記載された方法の条件下で構造体によって吸収かつ保持された水性流体を排出又は引き込むのに必要な作用の尺度である。水性流体の親水性及び吸収性である所与の構造体の場合、CWPDは、吸収性構造体の特性(親水性;気泡/細孔のサイズ及び容積)は、流体を保持する傾向があるために、CWPAよりも大きいであろう。所与の構造体のCWPA及びCWPDは、CAP及びCDPに影響を及ぼす特徴及び特性、並びに構造体内の構造中の間隙空間若しくは間隙、又は気泡若しくは細孔の総体積によっても影響を受ける。したがって、構造体のCWPA及びCWPDは、構造体の総体積(すなわち、サイズ)によって部分的に影響を受けることが理解されよう。
【0059】
吸収性層40がトップシートに吸収された流体のトップシート20を排出して、2つ(吸収性層及びトップシート)にとって十分に満足のいくパッドを提供することを確実にするために、吸収性層は、トップシートのCWPDよりも大きいCWPAを有するべきである。この条件が満たされない場合、吸収性層は、トップシートから流体を十分に排出せず、(1)排出後にトップシートが許容不能な湿潤感を保持しないことを確実にすること、及び(2)トップシートが排水されたまま維持され、パッド10の妥当な使用時間にわたって流体の連続的な排出を受け入れる能力を有することの両方を確実にする。
【0060】
本明細書に記載されるようなHIPE発泡体から形成された吸収性層が、脱脂綿トップシートからの流体を、繰り返しの排出にわたって許容可能な速さで、すなわち、パッドの妥当な使用時間にわたって流体を引き込むのに十分大きい毛管吸収圧を有するように製造され得ることが発見された。
【0061】
トップシートが親水性及び吸収性ウェブ材料から形成される実施例では、トップシート材料は、上述のように、下にある材料が、トップシートの脱着圧よりも高い吸収能力及び吸収圧を有しない限り、その着用者に面する表面及び外方に面する表面上に、及びウェブ材料の繊維の間及び表面に沿った間隙空間内で、流体を保持する傾向があり得、トップシートと下にある吸収性層との間に十分な直接接触が維持されて、流体がトップシート構造体内の繊維表面から、下にある吸収性層構造体内の材料表面に直接移動することを可能にするのに十分な直接接触が存在し、その結果、下にある吸収性層は、トップシートから流体を引き込むことができる。吸収性材料が完全に飽和している時間の前に、流体に対するより大きな親和性を有する隣接する材料が、十分な直接接触しない限り、吸収性材料は吸収された流体を放出しないことになる。したがって、流体移動を妨害することなく、十分な接触を維持するのに十分な構造体を提供することが重要である。材料の介在層若しくは構造体、又はトップシートよりも吸収性が低いか、又は吸収性層よりも吸収性が高い材料の少なくとも介在層若しくは構造体は、少なくとも結合領域25内に、より好ましくは、吸収性層40の着用者に面する表面領域の大部分にわたって、更により好ましくは、吸収性層40の着用者に面する表面領域の全体にわたって、トップシート20の材料と、吸収性層40の材料との間に介在させるべきではなく-これは、多くの現在の女性用衛生パッドに提供されるシステムとは異なり、トップシートと吸収性コアとの間に別個の流体獲得/分配材料層を含む。
【0062】
いくつかの実施例では、トップシート20と吸収性層40との間の十分な直接接触は、それらをz方向のすぐそばに接着結合する、トップシートと吸収性層との間の接着剤の堆積物(複数可)によって、もたらされてもよい。接着剤は、接着剤が存在しない領域(非結合領域)で散在した接着剤堆積物のパターン又は配置で適用されてもよく、その結果、接着剤は、2つの層をz方向のすぐそばで保持する一方で、層間のz方向流体移動を妨害するために領域は接着剤が存在しないままである。
【0063】
図1及び図3A図3Cを参照すると、トップシート及び吸収性層が、少なくとも流体の排出を受容すると予想されるトップシートの領域内で、z方向の十分に近接して保持されることを確実にするために、長手方向軸と横方向軸線100、200.との交点を含む位置にパッド上に結合領域25を配設することが望ましい場合がある。結合領域25は、パッドが使用中のときに予期される排出位置の下に確実に存在するのに十分なサイズであるべきであるが、これには、下着内の着用者による配置の合理的なわずかな変動が伴う。したがって、結合領域は、少なくとも15cm、より好ましくは少なくとも30cmの面積を有することが望ましい場合がある。更により好ましくは、結合領域は、吸収性層の着用者に面する総表面積の少なくとも半分である領域を有することが望ましい場合がある。(注記:図3A図3Cは、本明細書では、実際のサイズ又はスケールの描写として提示されない。)
【0064】
トップシート20及び吸収性層が使用中に十分にz方向に近接して留まることを確実にするために、トップシートが吸収性層に結合される結合領域内の任意の識別可能な第1の点位置27内に留まることが望ましい場合があり、第1の点位置の10mmの半径以内、より好ましくは6mmの半径以内、5mmの半径、4mmの半径、及び更により好ましくは3mm半径rを有する、トップシートが吸収性層に結合される第2の点位置が存在する。3つの非限定的な例を示す、図3A図3Cを参照すると、この特徴を付与するために、(接着剤堆積物26又は他の結合機構を介して)結合部の様々なパターン又は配置を採用してもよいことが分かる。各点位置27の半径r内には、トップシートと吸収性層との間の結合が示された実施例に存在する、多数の追加の点位置が存在する。
【0065】
接着剤の連続堆積物を適用して、トップシート及び吸収性層を結合領域25の全体に結合することができるが、このような連続的な接着剤堆積物は、トップシートから吸収性層への流体の移動を妨げる障壁を形成し得ることが理解されよう。したがって、結合機構が接着剤の堆積物である実施例では、堆積物は、トップシートと吸収性層との間の非結合領域と散在する結合領域を形成するように不連続又は断続的なパターン又は配置で配置されることが好ましい。加えて、吸収性層が連続気泡発泡体(本明細書で企図されるHIPE発泡体など)で形成される場合、選択された接着剤が、接着剤堆積位置で発泡体層と化学的、分散的、又は拡散接着を介して吸収性層への接着をもたらさないことが望ましい場合があるが、むしろ、これは、その形状を少なくとも部分的に想定し、このような位置で固化して、機械的インターロックを形成し、これによって接着剤がトップシートを吸収性層に保持することを可能にすることによって、泡層への接着を機械的にもたらす。このような接着剤は、発泡体材料の分子構造又は組成を変化させず、潜在的にその流体吸収特性又は機械的強度に悪影響を及ぼすことがないために、好ましい場合がある。一例では、HIPE発泡体と共に使用するのに好適な接着剤は、Bostik,Wauwatosa,Wisconsin(現在、Arkema,Columbes,Franceの子会社)からのH1750ホットメルト接着剤であり得る。
【0066】
不織布ウェブ材料から形成され、親水性繊維(綿繊維など)を含むか、又はそれからなる女性用衛生パッド用の無孔トップシートは既知であり、いくつかの女性用衛生製品が現在まで含まれている。(本明細書での、「無孔」不織布トップシートは、その表面積の大部分が、トップシートの湿潤前に、x-y平面方向に沿って0.5mmを超える平均サイズ(最大寸法)を持続する、それらを完全に貫通する穴又は孔を形成する任意のプロセスに供されていない)。それらの天然/植物系材料起源が一部の消費者によって好まれているが、綿系トップシートは、これらを従来含まれている捕捉/分配及び吸収性層構造によって、排液に対して抵抗性にさせる、それらの実質的な吸収性、すなわち、毛管吸収及び脱着圧力の結果として、他の消費者には好まれていない。月経液の排出に続いて、従来の吸収性構造体の上に重ね合わされた綿系トップシートを有するパッドは、多くのユーザが不快と感じる長時間にわたって皮膚に対して保持された湿潤した布のように感じる可能性がある。このジレンマは長年にわたって存在しており、本発明者の知るところによれば、以前には満足のゆくように対処されていなかった。
【0067】
しかしながら、トップシートから流体を引き込まれるに十分な毛管吸収能力を有するように適合/製造された、HIPE発泡体吸収性層又は他の層と直接、十分な向かい合った関係で重ね合わされた無孔親水性繊維トップシート(綿系トップシートなど)は、いかなる吸収性層も介在することなく、また本明細書に記載されるような他の構造的特徴と組み合わせて、吸収性層によって流体を実質的に排出され、かつ排出後に皮膚に対してはるかに乾燥した感触を回復するであろう。本明細書に記載されるように、好適に構成され、かつ製造されたHIPE発泡体吸収性層は、例えば、このようなトップシートよりも月経液に対してより大きな親和性を有し、それによって、2つが、互いに十分に効果的な近接接触関係で配設及び保持されるときに、トップシートから流体を引き込み、かつ保持する能力を有することが発見された。吸収性層が十分な体積を有する場合、これは、パッドの適度に好適な使用時間にわたってこの機能を果たすことができる。
【0068】
バックシート
バックシート30は、吸収性層40の外方に面する表面に隣接して位置付けることができ、任意の好適な取り付け方法によってこの面に接合することができる。例えば、バックシート30は、均一な連続層の接着剤、パターン層の接着剤、又は独立した線、螺旋若しくは点の配列の接着剤によって、吸収性層40に固定されてもよい。代替的に、取り付け方法は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、若しくは他の任意の好適な取り付け機構、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。他の実施例では、吸収性層40が、バックシート30に直接接合されないことが企図される。
【0069】
バックシート30は、液体(例えば、尿、月経液)に対して不透過性、又は実質的に不透過性であってもよく、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料も使用することができる。本明細書で使用する場合、「可撓性」という用語は、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシート30は、吸収性層40内に吸収され、かつ収容された流体が、下着及び他の衣類などのパッド10と接触し得る着用者の衣類の物品から逃れ、これに到達することを防止するか、又は少なくとも実質的に阻止することができる。しかしながら、いくつかの例では、バックシート30は、蒸気が吸収性層40から逃げることを可能にする(すなわち、バックシートが通気性であるように作製される)が、他の例では、バックシート30は、蒸気が逃げることを可能にしないように作製される(すなわち、これが非通気性であるように作製される)場合がある。したがって、バックシート30は、ポリエチレン又はポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムを含む場合がある。バックシート30に好適な材料は、例えば、約0.012mm(0.5mil)~約0.051mm(2.0mil)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。当該技術分野において既知の任意の好適なバックシートが本発明と共に利用されてもよい。
【0070】
バックシートのいくつかの好適な例は、米国特許第5,885,265号、米国特許第4,342,314号、及び米国特許第4,463,045号に記載されている。本明細書で使用するのに好適な単層通気性バックシートとしては、例えば、英国特許第2184389号、英国特許第2184390号、英国特許第2184391号、米国特許第4,591,523号、米国特許第3,989,867号、米国特許第3,156,242号、国際公開第97/24097号、米国特許第6,623,464号、米国特許第6,664,439号、及び米国特許第6,436,508号に記載されているものが挙げられる。
【0071】
バックシートは、米国特許第6,462,251号に記載されるように、2つの層、すなわち、蒸気透過性の有孔形成フィルム層を含む第1の層と、通気性ミクロ孔質フィルム層を含む第2の層とを有し得る。本明細書で使用するための二重又は多層通気性バックシートの他の好適な例としては、米国特許第3,881,489号、米国特許第4,341,216号、米国特許第4,713,068号、米国特許第4,818,600号、欧州特許第203821号、欧州特許第710471号、欧州特許第710472号、及び欧州特許第0793952号に記載されているものが挙げられる。
【0072】
吸収性発泡体を含む吸収性層との近接接触に配置されたトップシート不織布材料の好適な組み合わせを利用して、吸収性層と組み合わせたトップシートの再湿潤特性をユーザが許容可能なレベルにまで調整することができる。
【0073】
微生物増殖制御
更に、驚くべきことに、綿系トップシートを有する女性用衛生パッド内の再湿潤特性は、トップシートから離れたパッドの位置において、排出された経血によって支持される任意の微生物を除去及び/又は隔離することの使用における効果を有するように、本明細書に記載されるような構造体の材料並びにアセンブリの選択を介して、操作され得ることが発見された。これは、一部の消費者によって所望され得、有益な審美性(例えば、臭気制御)、皮膚の健康及び/又は生殖器の健康効果を有し得る。以下に記載される微生物隔離測定法に従って試験/測定したときに、以下の範囲内の値を呈するように、本明細書に記載される構造体内の選択された材料から、女性用衛生パッド構造体を組み立てることができることを発見した:
CFUmean、黄色ブドウ球菌(S.aureus):約3.8超であるが、約5.2未満、
CFUmean、大腸菌(E.coli):約2.6超であるが、約3.5未満、並びに
CFUmean、カンジダ・アルビカンス(C.albicans);約2.3超であるが、約5.2未満、及び
CFUavg:約2.9超であるが、約4.6未満である。
【0074】
理論に束縛されるものではないが、現在まで限られた量のデータが収集されているため、上記のようなこれらの範囲の限界は近似的であり、実際の限界は、上記の数値のプラス又はマイナス0.5以内であり得ると考えられる。したがって、本明細書の目的のため、及び本明細書に記載されるCFUの量の測定に関して、「約」は、記載される値のプラス又はマイナス0.5以内を意味する。
【0075】
理論に束縛されることを意図するものではないが、このような低レベルCFUavg測定値を呈する女性用衛生パッドを構築することにより、排出された月経液によって支持され得る微生物を、トップシート及びその着用者に面する表面から離れて効果的に隔離し、それによって、パッドの適度な着用時間にわたって、着用者の皮膚及び生殖器領域に近接するこのような微生物の過剰集団の可能性を低減すると考えられる。
【0076】
比較目的のために、「抗菌」又は同様の広告/マーケットクレームに関連して、抗菌剤を含むとして広告されているアジアで現在販売されているいくつかの女性用衛生パッド製品の試料、(ナノ銀調製物又はクウセン(Kuh-Seng)ソフォラ・フラベスケンス(sophora flavescens)の抽出物を含有する調製物)を、本明細書の説明と一致するプロトタイプ試料と共に試験した。以下の表1に見られるように、比較製品は、プロトタイプ試料のものと同様のレベルでCFUmean値及びCFUavg値を呈することはなかった。試験された特定のプロトタイプ試料は、本明細書の説明に従って、現在市販されているINFINITY女性用衛生パッド(The Procter & Gamble Company,Cincinnati,Ohio製のもの)と同じ組成及び構造体を有する2層のHIPE発泡体吸収性層を有していた。
【0077】
【表1】
【0078】
驚くべきことに、上記の範囲内に含まれる相対的に低いCFUmean及びCFUavg濃度は、現在既知であるか、又は今後開発される、抗生物質、消毒剤、銀、銀ナノ粒子(ナノ銀)、硫黄若しくは抗菌植物抽出物(例えば、ソフォラ・フラベスケンスの抽出物)を含有する調製物又は化合物などの、微生物を死滅させるか、又は微生物の増殖若しくは繁殖を制限するように適合された添加された抗菌剤又は化合物の任意の相当量も含める必要なく達成することができる。更に、有効な臭気抑制は、現在知られている揮発性香料成分、又は追加の臭気中和剤などの任意の相当量の添加された臭気マスキング剤を必要とせずに達成することができると考えられる。
【0079】
したがって、理論に束縛されることを意図するものではないが、本明細書に記載される構成要素の好適な組み合わせ及びアセンブリを介して、親水性綿系トップシート材料の自然な傾向/能力を十分に制限して、吸収性層から排出された流体を反応させること(又は逆に、又は組み合わせて、トップシートの下の吸収性構造体の傾向又は感受性を制限して、獲得/吸収された流体を、圧力下でトップシートに戻す傾向又は感受性を制限すること)は、排出された流体を吸収性構造体内(例えば、HIPE発泡体吸収性構造体の気泡内)に隔離し、保持し、それによって、着用者の皮膚及び生殖器領域に近接した位置における微生物の増殖/繁殖を阻害する効果を有すると考えられる。同時に、理論に束縛されることを意図するものではないが、このような隔離及び阻害効果をもたらすことは、抗菌剤が使用されないため、生殖器領域の周囲に存在する正常かつ健康な微生物叢に対していかなる有害な影響も及ぼす可能性が低いと考えられる。したがって、本明細書に記載される構造体及び組成物の女性用衛生パッドを使用して、驚くべきことに、パッドで抗菌剤の任意の実質的な含有又は使用を必要とせずに、月経中の着用者の皮膚及び生殖器領域に近接した微生物から隔離し、及び/又はその増殖を阻害することができる。
【0080】
トップシート不織布材料と吸収性層とのこのような好適な組み合わせを含む女性用衛生パッドの記載される微生物の増殖/繁殖を制限するための方法の有効性のためには、妥当である着用の持続時間後、すなわち、第1のパッドの吸収能力を超えず、及び/又は流体が実質的にたまらず、それにより吸収性発泡体の気泡の外側のパッドの領域中の微生物の増殖又は繁殖を支援することができることを確実にするのに十分に短い時間後に、着用済みパッドを同様の構成の新しいパッドで置き換える必要があることが理解されよう。したがって、好適に望ましい可撓性かつ低いバルク/キャリパ(したがって、限定された吸収能力)のパッドでは、交換前の着用時間が8時間を超えず、より好ましくは6時間を超えず、更により好ましくは4時間を超えないことが望ましい場合がある。
【0081】
前述の説明と一致して、パッケージ化された女性用衛生パッド製品が製造されてもよく、パッド自体は、上記の範囲内のCFUmean値及びCFUavg値を呈するように構成されており、個々のパッド又はパッケージに関連付けられる表示と組み合わされて、パッドが皮膚及び/又は生殖器領域に近接した微生物の増殖を隔離、制御、又は制限するように構成されていることを消費者に示す。表示は、パッドが、上記で特定された例、又は任意の他の添加された抗菌剤若しくは臭気制御剤などの、添加された抗菌剤及び/又は臭気制御剤を実質的に含まないことを消費者に更に示してもよい。組み合わせて又は代替的に、パッド製品は、パッドが、皮膚及び/又は生殖器領域に近接する微生物の増殖を隔離、制御若しくは制限するように構成かつ適合されていること、並びに/又はパッドが、添加された抗菌剤及び/若しくは臭気制御剤を実質的に含まないことを消費者に示す情報及び/又は表示を含む、印刷、聴覚、視覚、視聴覚、電子、又は任意の他の形態の通信媒体を介して識別及び販売されてもよい。
【0082】
加えて、このようなパッケージ化された女性用衛生製品は、対象の製品と、微生物の増殖の制御の必要性又は要望を含まない異なるニーズ又は要望に対処される、異なる構成要素及び/又は構成を有する別の女性用衛生パッド製品と、を含む製品のアレイの一部として提供されてもよい。対象の製品(微生物増殖制限特徴を示す情報及び/又は表示に関連付けられる)は、いくつかの実施例では、特徴及び任意の他の関連付けられる要因に基づいて、異なる価格で、例えば、アレイの他の構成製品のうちの1つ以上よりも高い価格で提供されてもよい。1つの非限定的な例では、アレイは、HIPE発泡体吸収性コアと有孔フィルムトップシートとを組み合わせた第1のパッド製品と、より高い価格で提供され、綿トップシート及び微生物増殖制限特徴を示す情報並びに/又は表示と関連付けられる、HIPE発泡体吸収性コアと綿系トップシートとを組み合わせた第2のパッド製品とを含んでもよい。別の非限定的な例では、アレイは、有孔フィルムトップシートとセロロース繊維及び吸収性ゲル化材料を含む吸収コア構造体を組み合わせた第1のパッド製品と、より高い価格で提供され、綿トップシート及び微生物増殖制限特徴を示す情報並びに/又は表示と関連付けられる、HIPE発泡体吸収性コアと綿系トップシートとを組み合わせた第2のパッド製品とを含んでもよい。更に別の非限定的な例では、アレイは、主としてポリマー繊維から形成された不織布トップシートと、セロロース繊維及び吸収性ゲル化材料を含む吸収コア構造体を組み合わせた第1のパッド製品と、より高い価格で提供され、綿トップシート及び微生物増殖制限特徴を示す情報並びに/又は表示と関連付けられる、HIPE発泡体吸収性コアと綿系トップシートとを組み合わせた第2のパッド製品とを含んでもよい。上記の各実施例では、消費者には、共通の商標に関連付けられた製品の中で、また異なる特徴又は利点、例えば、綿トップシート及び微生物増殖制限特徴に対して異なる価格を支払うかどうかの選択肢が提供される。
【0083】
試験/測定方法
微生物の隔離測定
この微生物隔離測定法は、定義された条件下で再湿潤することによってトップシートに移動することができる、選択された培養微生物の量を測定し、この測定は、任意の特定の構造体の吸収性物品が微生物を隔離することができる程度を反映し、その増殖は、排出された月経液によって、トップシートの着用者に面する表面から離れた位置で支持され、それによって、このような微生物の着用者の皮膚への移動が低減される。特定の微生物種を含有する人工月経液(Artificial Menstrual Fluid、AMF;以下に記載されるように調製された)量を、吸収性物品に一連の投入量で導入し、各連続投入量は、前の投入量が吸収された20分後に開始する。このような投入に続いて、濾紙を使用して移送手順を行う。次いで、濾紙を、既知の体積の栄養素ブロス(以下に記載されるように調製されたTween及びレシチン(Modified Letheen Broth with Tween and Lecithin、MLBTL)を有する改変Letheen Broth)と、ストマッカーにおいて特定の時間にわたって配合する。得られたストマッカー処理されたMLBTLのアリコートを生理食塩水で希釈して希釈系列を作成し、この希釈系列のうち、2~3個の希釈勾配をペトリ皿に添加し、硬化するまで焼き戻しされた栄養培地で分散させる。プレートを反転させ、特定の時間インキュベートした後、存在するコロニーを計数する。試験前に、吸収性物品の試料を、23℃±2℃、及び50%±2%相対湿度で2時間調整する。
【0084】
各微生物種の試験の投入部分については、特定の投入プレートが必要とされ、以下のように説明される。図5図8を参照すると、投入プレート9001は、投入プレートが載置される平坦な水平表面上に0.1psi(689.5Pa)の圧力をかけるように、透明なPLEXIGLAS GS(Evonik Performance Materials GmbH,Essen Germany)、又は731gの全量を有する、長さ10.2cm×幅10.2cm×高さ3.2cmの全体の寸法の同等の材料から構築される。長手方向チャネル9005は、プレートの長さに及び、プレートの頂面において深さ13mm、幅28mmであり、横方向壁は、15mm幅の底面に対して115°の角度を形成するように傾斜する。中央試験流体ウェル9004は、プレートの頂面において長さ26mm、深さ24mm、及び幅38mmであり、横方向壁はまた、15mm幅の底面に対して115°の角度を形成するように下方に傾斜する。試験流体ウェル9004の底部には、流体が下層の物品上に導入されるために、プレートの底部/基部面を通って開放する「H」形状の試験流体リザーバ9003が存在する。試験流体リザーバ9003は、全長25mm、幅15mm、及び深さ8mmを有する。リザーバの長手方向脚部は、各々4mm幅であり、2mmの半径9006の丸みを帯びた端部を有する。脚部の内側部分は、3.5mm離れている。長手方向脚部を接続する中央横方向部分は、各々3mmの半径9007を有する側壁を有する。リザーバの長手方向側面は、14mmの半径9008で示されるように外側に曲がり、15mmの横方向全幅9009によって境界が定められている。長手方向チャネル9005の横方向外側に位置する2つのウェル9002(長さ80.5mm×幅24.5mm×深さ25mm)が、投入プレートに提供され、均等に分配された深さまで等しい重量のリードショットを装填して、プレートの全体質量を731gに調整する。
【0085】
各種の試験の微生物移動部分については、特定のパッド添加重りアセンブリが必要とされ、以下のように説明される。パッド添加重りアセンブリは、パッドを詰めた重りアセンブリがその上に載置する平坦な水平表面に、その下に0.5psi(3,447.4Pa)の圧力を加えるために、長さ20.0cm×幅6.0cmの基部を有し、かつ4,218gの全体質量を有する。パッド添加重りアセンブリは、以下のように構築される。ポリエチレンフィルムの単層(厚さ0.02~0.04mm;任意の便利な供給源)をベンチ表面上に平らに置く。基部(20.0cm×6.0cm)と同じサイズに切断された、一片の独立気泡可撓性断熱発泡体(McMaster-Carr,Princeton,NJから入手可能なBuna-N/PVC発泡断熱シート、厚さ1インチ、密度4.5ポンド/立方フィート、又は等価物など)を、フィルムの頂部の中心に置く。ハンドルを備えた金属重量(20.0cm×6.0cm;必要な質量に達するように調整された厚さ)を、両面テープを使用して断熱発泡体に取り付ける。次に、ポリエチレンフィルムを断熱発泡体の周囲に巻き付け、透明テープを使用して金属重量の側部に固定する。
【0086】
この試験は、3つの異なる試験液(各微生物種について1つ)を使用して実行され、これらの試験の全ては、ベース液(以下に記載される調製物)として人工月経液(AMF)を有する。3つの試験液の各々は、AMFベース液に添加される特定の種の細菌又は酵母を含有し、各種はAMFベース液に添加され、試験液1mL当たり10 CFUの濃度をもたらす。3種の異なる細菌/酵母種は、黄色ブドウ球菌(ATCC 6538;グラム陽性最近)、大腸菌(ATCC 8099;グラム陰性細菌)及びカンジダ・アルビカンス(ATCC 10231;酵母)である。調製された試験液を個々の無菌容器に入れ、完全に混合する。細菌又は酵母をAMFに一旦添加すると、試験液を連続的に撹拌し、適切な部位特異的バイオセーフティプロトコルに従って使用後すぐに廃棄されなければならない。3つの異なる試験液の各々について、以下の手順を実行する。
【0087】
試験試料を調製するために、最初に、存在する場合には包装材からそれを取り出す。それが折り畳まれた場合には、静かに広げ、しわを滑らかにする。各測定に新しい試験試料を使用する。
【0088】
各試験試料に、以下のように試験液を投入する。試料のトップシート(身体に面する側)を上向きにし、ウィングが存在する場合には折り畳まれた状態で、剛性の水平の平坦な表面上に試験試料を配置する。「H」形状の試験流体リザーバ9003の長手方向脚部が試験試料の長手方向軸に垂直になるように、試験試料上に投入プレート9001を配置し、開口部を試験試料のウィングの中点の中心に置く。試験試料がウィングを有しない場合、「H」形状の試験流体リザーバ9003は、試験試料の吸収性コアの長手方向中点に配置されるべきである。機械的ピペットを使用して、2.0mlの試験液体(最初に十分に混合された)を「H」形状の試験流体リザーバ9003に添加する。全ての流体が試験試料によって吸収されると、20分のタイマーを開始し、投入プレート9001を試験試料上の定位置に残す。20分が経過した後、4.0mlの試験液体(最初に十分に混合された)を「H」形状の試験流体リザーバ9003にピペットで移す。全ての流体が吸収されると、20分のタイマーを開始し、再度、投入プレート9001を試験試料上の定位置に残す。20分が経過し後、2.0mlの試験液体(最初に十分に混合された)を「H」形状の試験流体リザーバ9003にピペッティングすることによって、試験液の最終投入量を添加する。全ての流体が吸収されると、20分のタイマーを開始する。20分が経過した後、微生物移動試験に直ちに進む。
【0089】
微生物移動試験(各微生物及び各試料について)は、以下のように実施される。投入プレート9001を試験試料から取り出し、脇に置く。2枚の乾燥濾紙(15cm×15cm;好適な定性的濾紙は、Ahlstrom-Munksjo North America,LLC,Alpharetta,GAから入手可能なAhlstrom Grade 632、又は等価物である)を、試験試料上の投入位置の中心に静かに配置する。試験試料の長手方向軸に平行な長辺を有するように配向された、パッド添加重りアセンブリ(上述のように調製された)のパッド添加側を静かに配置し、0.01秒正確なタイマーを始動させる。30秒後、パッド添加重りアセンブリを除去する。無菌技術を使用して、2枚の濾紙のシートをそれぞれ2枚のストマッカー循環器(任意の便利な供給源)に迅速に移動させる(別個のストマッカー循環器が濾紙の各シートに使用される)。次に、Tween及びLecithinを含む50mLのModified Letheen Broth(MLBTL)(以下に記載の調製物)を各ストマッカー循環器に添加し、250rpmで2分間配合する。
【0090】
以下の希釈工程及び播種工程を、2つの個々のストマッカー循環器の各々からのアリコートで実施する。無菌的に、1.0mLのストマッカー処理したMLBTLを、ストマッカーから9.0mLの滅菌生理食塩水(0.9重量%の塩化ナトリウム)にピペットで移す(すなわち、1/10又は10-1の希釈物)。以下に指定される範囲内の個々のコロニーの計数可能数が結果として得られることを確実にする目的で、2~3の追加の希釈勾配(例えば、1/100、1/1000など)を選択し、滅菌生理食塩水を使用して調製し、次いで、個々の無菌容器に配置する。1.0mLの各希釈勾配を、各々の希釈物でラベル付けされた別個の滅菌ペトリ皿に無菌的にピペットで移す。約10~15mLの無菌で焼き戻したトリプチックソイ寒天(Tryptic Soy Agar、TSA)(滅菌;任意の便利な供給源)を、各ペトリ皿に添加する。プレートを旋回させて分散させ、寒天を硬化させる。プレートを反転させ、30~35℃の温度でインキュベートする。細菌含有試験液(黄色ブドウ球菌及び大腸菌)からのプレートを48時間インキュベートする。酵母含有試験液(カンジダ・アルビカンス)からのプレートを36時間インキュベートする。インキュベーション期間後、少なくとも30個のコロニーであるが、300個以下のコロニーを生じた、ストマッカー源のうちの1つからの希釈プレート上の個々のコロニーの数を計数し、CFU予備1(すなわち、希釈のCFU数)として記録する。ここで、希釈度(例えば、1/100)を、播種された量(例えば、1.0mL)で乗算して、希釈係数として記録する。最後に、CFU予備1を希釈係数で割り、CFU1として記録する。同様に、適切に選択された希釈プレート上のコロニーを他のストマッカー源から計数し、CFU予備2として記録した後、CFU2を計算して記録する。ここで、CFU1及びCFU2を添加し、この合計の10 logを取り、試験した特定の微生物種の同定と共にCFU最終として報告する。3つの試験試料について手順を繰り返して、3つのCFU最終値を得る。関連する微生物種の同定と共に、CFUmeanとして3つの値の平均を計算し記録する。使用される全ての機器(投入プレート、パッド添加重りアセンブリ、ストマッカー循環器など)は、適切な部位特異的バイオセーフティプロトコルに従って試験試料間で完全に洗浄及び消毒される。
【0091】
この全手順を、3つの異なる試験液の各々について三通りの試験試料で繰り返す。
【0092】
最終報告値は、本明細書においてCFUavgと指定され、試験された3種の微生物種についてそれぞれ得られた3つのCFUmean値の計算された平均値である。
【0093】
人工月経液(AMF)調製(試験液ベース)
人工月経液(AMF)は、脱線維ヒツジ血液、リン酸緩衝生理食塩水、及び粘液成分の混合物から構成される。AMFは、23℃で7.15~8.65センチストークスの粘度を有するように調製される。
【0094】
AMFの粘度は、低粘度回転粘度計(好適な器具は、ULアダプタ(Cannon Instrument Co.(State College,PA))又は同等品を備えるCannon LV-2020 Rotary Viscometerである)を使用して実施される。粘度範囲のための適切なサイズのスピンドルが選択され、器具は、製造元に従って操作及び較正される。測定は、23℃±1℃及び60rpmで行われる。結果は、0.01センチトークス単位で報告される。
【0095】
AMF調製に必要な試薬としては、38%以上のヘマトクリット値を有する脱線維ヒツジ血液(無菌条件下で採取、Cleveland Scientific,Inc.(Bath,OH)から入手可能、又は同等品)、2%水溶液として調製されるとき、3~4センチストークスの標的粘度を有する胃粘素(粗形態、Sterilized American Laboratories,Inc.(Omaha,NE)から入手可能、又は同等品)、10%v/v乳酸水溶液、10%w/v水酸化カリウム水溶液、リン酸ナトリウム二塩基性無水物(試薬グレード)、塩化ナトリウム(試薬グレード)、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物(試薬グレード)及び蒸留水(各々VWR International又は同等の供給源から入手可能)が挙げられる。
【0096】
リン酸緩衝生理食塩水は、2つの個々に調製された溶液(溶液A及び溶液B)からなる。1Lの溶液Aを調製するために、1.38±0.005gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。1Lの溶液Bを調製するために、1.42±0.005gのリン酸ナトリウム二塩基性無水物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。リン酸緩衝生理食塩水を調製するために、450±10mLの溶液Bを1000mLビーカーに加え、撹拌プレート上で低速で撹拌する。較正されたpHプローブ(0.1までの精度)を溶液Bのビーカーに挿入し、撹拌しながら十分な溶液Aを添加して、pHを7.2±0.1にする。
【0097】
粘液成分は、リン酸緩衝生理食塩水、水酸化カリウム水溶液、胃粘素、及び乳酸水溶液の混合物である。粘液成分に添加する胃粘素の量は、調製したAMFの最終粘度に直接影響する。目標粘度範囲(23℃で7.15~8.65センチストークス)内のAMFを得るために必要とされる胃粘素の量を決定するために、粘液成分中に様々な量の胃粘素を有する3バッチのAMFを調製し、次いで、3つの点を通る最小2乗法で線形フィットを行い、濃度対粘度曲線から必要とされる正確な量を内挿する。胃粘素の良い範囲は、通常38~50グラムである。
【0098】
約500mLの粘液成分を調製するために、460±10mLの事前に調製したリン酸緩衝生理水及び7.5±0.5mLの10%w/v水酸化カリウム水溶液を、1000mLの丈夫なガラスビーカーに添加する。このビーカーを撹拌ホットプレート上に配置し、撹拌しながら、温度を45℃±5℃にする。所定量の胃粘素(±0.50g)を秤量し、45℃にされた既に調製された液体に、凝集せずにゆっくりと振り入れる。ビーカーを覆い、混合を継続する。15分にわたって、この混合物の温度を50℃超に、ただし80℃以下にする。この温度範囲を維持しながら、穏やかに撹拌しながら2.5時間加熱し続ける。2.5時間経過後、ビーカーをホットプレートから外し、40℃未満まで冷却する。次に、1.8±0.2mLの10%v/v乳酸水溶液を添加し、十分に混合する。粘液成分混合物を121℃で15分間オートクレーブし、5分間冷却させる。粘液成分の混合物をオートクレーブから取り出し、温度が23℃±1℃に達するまで撹拌する。
【0099】
ヒツジ血液及び粘液成分の温度を23℃±1℃にさせる。500mLのメスシリンダを使用して、事前に調製した粘液成分のバッチ全体の体積を測定し、その体積を1200mLのビーカーに添加する。等量のヒツジ血液をビーカーに添加し、十分に混合する。前述の粘度法を使用して、AMFの粘度が7.15~8.65センチストークスであることを確認する。粘度目標が満たされない場合は、バッチが廃棄され、別のバッチが作製され、必要に応じて粘液成分を調節する。
【0100】
認定されたAMFは、即時使用を意図しない限り、4℃で冷蔵する必要がある。AMFは、調製後4℃で最大48時間、気密容器内に貯蔵され得る。試験前に、AMFは、23℃±1℃にする必要がある。試験が完了した後に、いかなる未使用部分も廃棄される。
【0101】
Tween及びレシチンを含む改変されたLetheen Broth(MLBTL)の調製
ストマッカーで使用される栄養素ブロス(MLBTL)は、特定の追加成分を脱水されたLetheen Broth(Becton,Dickinson and Company,Franklin Lakes,New Jerseyから、DIFCO Letheen Broth,アイテム268110として入手可能、又は等価物)に特定の追加成分を添加することによって調製される。脱水されたLetheen Brothは、25.7gの粉末を1Lの水で再構成させる場合、これらの適切な成分を適切な量で含有しなければならない:5.0gの牛肉抽出物、10.0gのプロテオースペプトンNo.3、5.0gのポリソルベート80(Millipore-Sigma,St.Louis,Missouriから入手可能なTWEEN 80、又は等価物)、0.7gのレシチン、及び5.0gの塩化ナトリウム。
【0102】
滅菌容器内で、1Lの精製水中に、以下の乾燥成分を懸濁させ、十分に混合する。
25.7gのLetheen Broth(上記のとおり)
5.0gのトリプトン
10.0gのプロテオースペプトンNo.3
2.0gの酵母抽出物
0.1gの重硫酸ナトリウム
10.0gのポリソルベート80(TWEEN 80)
9.3gのレシチン
【0103】
混合物を頻繁に撹拌しながら加熱し、1分間沸騰させて、乾燥成分を完全に溶解させる。調製したMLBTLの外観は、25℃で6.9~7.3の範囲のpHで、中琥珀色、曇った/濁ったものである。(調製されたMLBTLがこれらの特性を有しない場合、調製工程は、新鮮な成分を使用して繰り返されなければならない。)121℃で15分間オートクレーブする。以下に示唆された安定した典型的な対照培養物を使用して、調製されたMLBTLを性能について試験する。
【0104】
【表2】
【0105】
(調製されたMLBTLがこれらの性能基準を有しない場合、調製工程は、新鮮な成分を使用して繰り返されなければならない。)
【0106】
調製したMLBTLを周囲条件下(20~25℃)で保存し、90日後に廃棄する。
【0107】
細孔容積分布を介した毛管作業ポテンシャル
細孔容積分布は、試料チャンバ内の試料に、段付きの制御された差圧が適用される際に、該試料の内外への流体移動を測定することによって、多孔質試料内の有効細孔の推定気孔率を決定する。次いで、各圧力で多孔質試料によって吸収/排出される流体の増分及び累積量を決定する。次に、該試料の面積によって正規化された多孔質試料によって行われる作業は、毛管作業ポテンシャルとして計算される。
【0108】
方法の原理
均一な円筒形細孔について、細孔の半径は、以下の方程式による、細孔を満たす又は空にするために必要とされる差圧に関連し、
差圧=[2γ cosΘ)]/r
式中、γ=液体表面張力、Θ=接触角、r=細孔半径である。
【0109】
天然及び製造された多孔質材料に含有される細孔は、多くの場合、空隙、孔、又は導管などの用語で考えられ、これらの細孔は、一般的には完全に円筒形ではなく、均一でもない。それにもかかわらず、上記の方程式を使用して、差圧を有効細孔半径に関連させ、差圧の関数として材料の内外への液体移動を監視することによって、該多孔質材料中の有効細孔半径分布を特徴付けることができる。(不均一な細孔が有効細孔半径の使用によって均一に近似されるため、この一般的な方法論は、顕微鏡などの他の方法によって得られる空隙寸法の測定と正確に一致する結果を生じさせない場合がある)。
【0110】
細孔容積分布方法は、上記の原理を使用し、参照により本明細書に組み込まれる、「Liquid Porosimetry:New Methodologies and Applications」by B.Miller and I.Tyomkin published in The Journal of Colloid and Interface Science(1994),volume 162,pages 163-170に説明されている装置及び手法を使用して実施化される。この方法は、周囲(「lab」)気圧と試料試験チャンバ内の試料を取り囲むわずかに上昇した気圧(正差圧)との間の空気圧差が変化する際の、多孔質試料を出入りする液体体積の増分を測定することに依存する。試料は、試料チャンバの乾燥に導入され、試料チャンバは、流体ブリッジが開放された後に試料への流体の取り込みを防止するために十分な正差圧(実験室に対して)で制御される。流体ブリッジを開放した後、空気圧差は、0まで段階的に減少させられ、このプロセスでは、試料内の細孔の部分集団が、それらの有効細孔半径に従って液体を捕捉する。試料内の流体の質量が最大である最小差圧に到達した後、差圧が開始圧力に向かって再び段階的に増加させられ、液体が試料から排出される。段付きシーケンスの吸収部分は、最大差圧(最小対応する有効細孔半径)で始まり、最小差圧(最大の対応する有効細孔半径)で終わる。シーケンスの排水部分は、最小圧力差で始まり、最大圧力差で終了する。吸収/排液シーケンス全体を空にしながら、チャンバ上で測定された各特定の圧力工程についての任意の流体移動を補正した後、各差圧における試料(mg)による流体取り込み、並びに累積体積(mm/mg)が決定される。
【0111】
試料のコンディショニング及び試料調製
細孔容積分布方法は、23℃±2.0℃の温度かつ50%±2%の相対湿度で維持された部屋内で、少なくとも2時間調整された試料に対して実施され、全ての試験は、同じ環境条件下かつこのような調整された室内で実施される。しわ、裂け目、穴などの欠陥を有する損傷した製品又は試料は、いずれも試験されない。本明細書に記載のとおり調整された試料は、本発明の目的上、乾燥したものと見なされる。試料のどの側が使用中に着用者に面することを意図しているかを判定し、次いで、それを長さ55mm×幅55mmに切断する。試料の質量を測定し、0.1mg単位で記録する。3つの試料が、任意の所与の被試験材料について測定され、これら三通りの結果が平均されて最終的な報告値を得る。
【0112】
装置
本方法に好適な装置は、「Liquid Porosimetry:New Methodology and Applications」by B.Miller and I.Tyomkin published in The Journal of Colloid and Interface Science(1994),volume 162,pages 163-170に説明されている。更に、0mmHO~1098mmHOの差圧の試料チャンバ圧を制御することができる任意の圧力制御スキームが、この参照で説明される圧力制御サブシステムの代わりに使用されてもよい。好適な全体的な器具類及びソフトウェアの一例は、TRI/Autoporosimeter(Textile Research Institute、TRI)/Princeton Inc.of Princeton,NJ,USA)である。TRI/オートポロシメータ(TRI/Autoporosimeter)は、多孔質材料の細孔容積分布(例えば、有効細孔半径5μm~1200μmの範囲内の異なるサイズの細孔容積)を測定するための自動コンピュータ制御器具である。Automated Instrument Software Releases 2000.1又は2003.1/2005.1若しくは2006.2、又はData Treatment Software Release 2000.1(TRI Princeton Inc.から入手可能)などのコンピュータプログラム、及びスプレッドシートプログラムが、測定されたデータを収集及び解析するために使用され得る。
【0113】
好適な機器の概略図を図4に示す。機器は、密封された空気加圧試料チャンバ810内に存在する試料805と直接流体連通する流体リザーバ802を有する秤800からなる。リザーバ802と試料チャンバ810との間の流体連通は、弁815によって制御される。プレキシガラスプレート804(長さ55mm×幅55mm)の頂部上に配置された重り803を使用して、試験試料上に0.25psiの封圧を適用して、試験全体にわたって試料と流体飽和膜806との間の良好な接触を確実にする。膜806(直径90mm、厚さ150um、細孔サイズ1.2μm;混合セルロースエステルフィルターRAWP09024;Millipore Corporation of Bedford,MAから入手可能)を、以下のように、マクロ多孔性フリット807(直径90mm、厚さ60mmのMonelプレート;Mott Corporation,Farmington,CTから入手可能、又は等価物)に取り付ける。KRYLON噴霧塗料(FilmToolsから入手可能な、Gloss White Spray Paint#1501、又は等価物)を、接着剤として使用して、膜806をフリット807に接着する。調製された膜/フリットアセンブリを使用前に乾燥させる。
【0114】
試験用機器を調製するために、試料チャンバ810の内側基部812を試験流体で充填する。試験流体は、脱イオン水1L当たり9.0gの試薬グレードNaCl(液体密度は1.0g/cmであり、表面張力γは72.3±1mN/mであり、接触角cosΘ=0.37である)を添加することによって調製された、脱気された0.9%生理食塩水である。膜/フリットアセンブリ、膜806側を試料チャンバ810の内側基部812上に配置し、それをロッキングカラー809で定位置に固定する。リザーバ802及び接続チューブ816を、試験流体で充填する。弁815を開けて、接続チューブ内、又は膜/フリットアセンブリ内の細孔内に気泡が閉じ込められないことを確実にする。試料チャンバ810の脚部811を使用して、必要に応じて試料チャンバを一様のレベルにして、試料チャンバの高さ(及び/又はリザーバ802内の流体の量)を調節して、膜806の上面をリザーバ802内の流体の上面と同じ水平面にする。
【0115】
次のように、一連の段階的差圧(mmHO単位)を通してシステムを進捗するようにプログラムする。1098、549、366、275、220、183、137、110、92、78、69、61、55、50、46、42、39、37、34、32、31、29、27、24、22、20、18、14、9.2、6.9、5.5、4.6、5.5、6.9、9.2、14、18、20、22、24、27、29、31、32、34、37、39、42、46、50、55、61、69、78、92、110、137、183、220、275、366、549、1098。これらの圧力は、5μm(1098mmHO)~1200μm(4.6mmHO)の有効細孔半径に相関する。1つの圧力段階から次の段階に移る基準は、秤800で測定される試料への流体取り込み/試料からの流体排出が、15秒間、10mg/分未満であることである。
【0116】
方法手順
漏れについてシステムをチェックし、最大試験圧力を以下のように達成することができる。液体弁815を開けて、試料チャンバ810の頂部808を定位置に配置し、チャンバを封止する。(接続部814を介して)チャンバ810に十分な空気圧を加えて、1098mmHO(5μmの有効細孔半径)の差圧を達成する。液体弁815を閉じた後、試料チャンバを開く。試料805(着用者側を下に向けて)を膜806上に直接配置し、次いで、カバープレート804及び拘束重り803を試料の上で中心に置く。頂部808を交換し、試料チャンバ810を再密閉する。液体弁815を開けて、液体リザーバ802と試料との間の流体の移動を可能にし、予め指定された差圧のシーケンスを通して試験を進行させる。シーケンス全体にわたって各圧力段階で試料によって吸収(又は排出)された流体の量は、0.1mg単位で取り込み量として記録される。
【0117】
別個の「ブランク」測定は、試料805、カバープレート804、又は膜/フリットアセンブリ上に存在する拘束重り803を有しない、空の試料チャンバ上のこの同じ方法手順(差圧の同じ段階的シーケンス)に続いて実行される。観察された任意の流体移動は、圧力段階の各々で記録される(mg)。試料の流体取り込み量データは、試料の測定における対応する値からこの「ブランク」測定値の流体取り込み値を減算することによって、空の試料チャンバと関連付けられた任意の流体移動について補正され、ブランク補正された試料取り込み量として0.1mg単位で記録される。
【0118】
毛管圧、累積体積及び毛管作業ポテンシャルの決定
試験シーケンスの吸収及び排液部分の両方の各々の圧力段階における試料の%飽和は、ブランク補正試料取り込み量(mg)で最大ブランク補正試料取り込み量(mg)を割り、次いで100を乗じることによって計算することができる。シーケンス全体にわたって収集されたデータから、当業者は、次いで、任意の所与の毛管吸収圧(CAP)又は毛管脱着(排液)圧(CDP)における%飽和を決定することができる。CAP及びCDPは、任意の指定された%飽和について0.1mmHO単位で報告される。
【0119】
累積体積は、以下の等式を用いて圧力段階の各々から計算される:
累積体積(mm/mg)=ブランク補正試料取り込み量(mg)/流体密度(g/cm)/試料の質量(mg)
【0120】
毛管作業能力(CWP)は、試料の面積によって正規化された試料によって行われる作業である。台形公式は、サイクルの吸収及び排液部分についてのnのデータポイントにわたる累積体積の関数として、i番目の圧力を積分するために使用される。
【0121】
【数1】
式中
=試料の質量(mg)
CV=累積体積(m/mg)
P=空気圧(Pa)
=片側の試料の面積(m
【0122】
CWP、CWPA、及びCWPDを0.1mJ/m単位で報告し、CWPAは圧力シーケンスの吸収部分を表し、CWPDは圧力シーケンスの排液部分を表す。
【0123】
不織布ウェブのキャリパ測定
不織布ウェブ材料の試験試料のキャリパ、又は厚さは、試料が載置される基準プラットフォームと、特定の時間にわたって試料上に特定の量の圧力を加える圧力足部との間の距離として測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0124】
キャリパは、2.0kPa±0.01kPaの定常圧力を試験試料にかけることができる圧力足部を備えた手動式マイクロメータで測定する。手動で操作されたマイクロメータは、0.001mmに正確な読み取り値を有する自重型器具である。好適な器具は、VWR Internationalから入手可能なMitutoyo Series 543 ID-C Digimaticである。圧力足部は、試験試料よりも小さい直径を有し、必要な圧力をかけることが可能な、平坦な接地した円形可動面である。好適な圧力足部は、25.4mmの直径を有するが、測定される試料のサイズに応じて、より小さい又はより大きい足部を使用することができる。試験試料は、圧力足部の表面よりも大きく、かつ圧力足部の表面に平行な水平平坦なプラットフォームによって支持される。システムは、製造元の指示に従って較正かつ操作される。
【0125】
必要に応じて、吸収性物品から試験試料を取り出す。試験試料を吸収性物品から切除するとき、試験試料にいかなる汚染又は寸法的変形も付与しないように注意を払う。試験試料は、折り目又はしわを含まない領域から得られ、圧力足部よりも大きくなければならない。
【0126】
キャリパを測定するために、最初に、水平平坦な基準プラットフォームに対してマイクロメータをゼロにする。試験試料を、試験位置が圧力足部の下で中心にある状態で、プラットフォーム上に置く。全圧力が試験試料に加えられるまで、3.0mm±1.0mm/秒の下降速度で圧力足部を静かに下げる。5秒待った後、試験試料のキャリパを0.01mm単位で記録する。同様に、合計5つの複製試験試料について繰り返す。全てのキャリパ測定についての相加平均を計算し、0.01mm単位で報告する。
【0127】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0128】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、それと矛盾しない限りにおいて、かつ除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他のいかなる参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0129】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
【0130】
前述の開示を考慮して、以下の非限定的な実施例が想到され、かつ特許請求される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8