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特許7391803無線通信システム、無線装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0446 20230101AFI20231128BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20231128BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20231128BHJP
   H04J 3/16 20060101ALI20231128BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W84/18
H04W56/00 130
H04J3/16 Z
H04J3/00 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020153344
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047429
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 瑞旭
(72)【発明者】
【氏名】兪 ユ
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163305(JP,A)
【文献】特開2018-157410(JP,A)
【文献】特開2019-121906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04J 3/16
H04J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置を含む無線通信システムであって、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
所定の時間長である予め定められた数の複数のスロットを含むフレームのタイミングを同期して管理し、
前記フレームに含まれる少なくとも1つのスロットに対して排他的に対応付けられ、
前記フレームにおける自装置に対応付けられたスロットにおいてデータを送信可能であり、
予め定められたX個(Xは、2以上の整数)の前記フレームを含むアップリンク周期、および、予め定められたY個(Yは、2以上の整数)の前記フレームを含むダウンリンク周期のタイミングを同期して管理し、前記X個と前記Y個とは、異なる値であり、
予め定められた規則に従って、前記複数の無線装置のそれぞれにおけるホップ数を、前記アップリンク周期における少なくとも1つの前記フレーム、および、前記ダウンリンク周期における少なくとも1つの前記フレームに割り当て、前記ホップ数は、対象の無線装置からルート位置の無線装置へとデータを送信する最短経路上における、データを送信する無線装置の数を表し、
前記アップリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける上り方向のデータを送信し、
前記ダウンリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける下り方向のデータを送信し、
前記アップリンク周期である第1アップリンク周期に含まれる前記X個のフレームのうちの第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第1フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数とを、同一とし、
前記第1アップリンク周期とは異なる前記アップリンク周期である第2アップリンク周期に含まれる、前記X個のフレームのうちの第2フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数と、同一とし、
前記第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームに割り当てる前記ホップ数とを異なる値とする
無線通信システム。
【請求項2】
前記アップリンク周期である第1周期は、N1個(N1は、2以上の整数)のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、前記第1周期に含まれるn番目(nは、1以上N1以下の整数)のフレームに、N1により除算した剰余が(N1-n)となる前記ホップ数を割り当てる
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項3】
記ダウンリンク周期である第2周期は、N2個のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第2周期毎に、N2個のフレームの位置を表すm(mは、1以上N2以下の整数)を、1から順に1ずつ増加させながら、m番目のフレームに前記ホップ数を割り当て、
前記m番目のフレームに対する前記ホップ数の割り当てにおいて、
(N1-j)<mではない場合、前記m番目のフレームに、N1により除算した剰余が(m-1)となる前記ホップ数を割り当て、
(N1-j)<mである場合、前記m番目のフレームに、N1により除算した剰余が(m-2)となる前記ホップ数を割り当て、
前記jは、0から(N1-1)までの間を、前記第2周期毎に1ずつ増加する値であり、
前記複数の無線装置のそれぞれは、N1個の前記第2周期毎に、前記ホップ数の割り当てを繰り返す
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記ダウンリンク周期である第1周期は、N1個(N1は、2以上の整数)のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第1周期に含まれるn番目(nは、1以上N1以下の整数)のフレームに、N1により除算した剰余が(n-1)となる前記ホップ数を割り当てる
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記アップリンク周期である第2周期は、N2個のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第2周期毎に、N2個のフレームの位置を表すm(mは、1以上N2以下の整数)を、1から順に1ずつ増加させながら、m番目のフレームに前記ホップ数を割り当て、
前記m番目のフレームに対する前記ホップ数の割り当てにおいて、
(N1-j)<mではない場合、前記m番目のフレームに、N1により除算した剰余が(N1-m)となる前記ホップ数を割り当て、
(N1-j)<mである場合、前記m番目のフレームに、N1により除算した剰余が(N1-(m-1))となる前記ホップ数を割り当て、
前記jは、0から(N1-1)までの間を、前記第2周期毎に1ずつ増加する値であり、
前記複数の無線装置のそれぞれは、N1個の前記第2周期毎に、前記ホップ数の割り当てを繰り返す
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
記ダウンリンク周期である第2周期は、N2個のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第2周期に含まれるm番目(mは、1以上N2以下の整数)のフレームに、N1により除算した剰余が、(m-1)番目のフレームに割り当てた剰余と同一または1大きい値となる前記ホップ数を割り当て、且つ、N1により除算した剰余が0から(N1-1)までのそれぞれの前記ホップ数を前記第2周期に含まれるN2個のフレームの何れかに割り当てる
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
記ダウンリンク周期である第2周期は、N2個のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第2周期に含まれるm番目(mは、1以上N1以下の整数)のフレームに、N1により除算した剰余が(m-1)となる前記ホップ数を割り当て、
前記第2周期に含まれる(N1+1)番目からN2番目以下のフレームには、前記ホップ数を割り当てない
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
記ダウンリンク周期である第2周期は、N2個のフレームを含み、
前記複数の無線装置のそれぞれは、
前記第2周期に含まれるm番目(mは、1以上N2以下の整数)のフレームに、N2により除算した剰余が(m-1)となる前記ホップ数を割り当てる
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1周期に含まれるN1個のフレームの数および前記第2周期に含まれるN2個のフレームの数のうちの大きい方の数は、小さい方の数の整数倍ではない
請求項3、5から8の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1周期に含まれるN1個のフレームの数および前記第2周期に含まれるN2個のフレームの数の少なくとも一方は、奇数である
請求項3、5から9の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記複数の無線装置のそれぞれは、前記上り方向へと送信する実体データと、前記下り方向へと送信する実体データとを含むメッセージパケットを、ブロードキャスト送信する
請求項1から10の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置を含む無線通信システムに備えられる無線装置であって、
所定の時間長である予め定められた数の複数のスロットを含むフレームのタイミングを同期して管理し、
前記フレームに含まれる少なくとも1つのスロットに対して排他的に対応付けられ、
前記フレームにおける自装置に対応付けられたスロットにおいてデータを送信可能であり、
予め定められたX個(Xは、2以上の整数)の前記フレームを含むアップリンク周期、および、予め定められたY個(Yは、2以上の整数)の前記フレームを含むダウンリンク周期のタイミングを同期して管理し、前記X個と前記Y個とは、異なる値であり、
予め定められた規則に従って、前記複数の無線装置のそれぞれにおけるホップ数を、前記アップリンク周期における少なくとも1つの前記フレーム、および、前記ダウンリンク周期における少なくとも1つの前記フレームに割り当て、前記ホップ数は、対象の無線装置からルート位置の無線装置へとデータを送信する最短経路上における、データを送信する無線装置の数を表し、
前記アップリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける上り方向のデータを送信し、
前記ダウンリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける下り方向のデータを送信し、
前記アップリンク周期である第1アップリンク周期に含まれる前記X個のフレームのうちの第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第1フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数とを、同一とし、
前記第1アップリンク周期とは異なる前記アップリンク周期である第2アップリンク周期に含まれる、前記X個のフレームのうちの第2フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数と、同一とし、
前記第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームに割り当てる前記ホップ数とを異なる値とする
無線装置。
【請求項13】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置を含む無線通信システムに備えられる無線装置として情報処理装置を機能させるプログラムであって、
前記情報処理装置を、
所定の時間長である予め定められた数の複数のスロットを含むフレームのタイミングを同期して管理し、
前記フレームに含まれる少なくとも1つのスロットに対して排他的に対応付けられ、
前記フレームにおける自装置に対応付けられたスロットにおいてデータを送信可能であり、
予め定められたX個(Xは、2以上の整数)の前記フレームを含むアップリンク周期、および、予め定められたY個(Yは、2以上の整数)の前記フレームを含むダウンリンク周期のタイミングを同期して管理し、前記X個と前記Y個とは、異なる値であり、
予め定められた規則に従って、前記複数の無線装置のそれぞれにおけるホップ数を、前記アップリンク周期における少なくとも1つの前記フレーム、および、前記ダウンリンク周期における少なくとも1つの前記フレームに割り当て、前記ホップ数は、対象の無線装置からルート位置の無線装置へとデータを送信する最短経路上における、データを送信する無線装置の数を表し、
前記アップリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける上り方向のデータを送信し、
前記ダウンリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける下り方向のデータを送信し、
前記アップリンク周期である第1アップリンク周期に含まれる前記X個のフレームのうちの第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第1フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数とを、同一とし、
前記第1アップリンク周期とは異なる前記アップリンク周期である第2アップリンク周期に含まれる、前記X個のフレームのうちの第2フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数と、同一とし、
前記第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームに割り当てる前記ホップ数とを異なる値とする
ように機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線通信システム、無線装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置により、社会インフラまたは自然環境を監視するセンサ等を接続する無線通信システムが知られている。この無線通信システムは、山間部等の人が頻繁に立ち入ることが困難な場所にセンサおよび無線装置を設置することができるので、低いコストで対象物を監視することができる。この無線通信システムの課題の一つは、無線装置の省電力化である。無線通信システムは、無線装置の省電力化を図るために、送受信する時以外は可能な限り無線装置をスリープ状態とする、といった対策がされる。
【0003】
一方、この無線通信システムは、無線装置の制御およびファームウェアの更新等を、遠隔地から行えることが要求されている。この要求を満たすため、無線通信システムは、無線装置に対して、無線装置が生成したセンサデータを集約装置へ向かう方向に送信するためのアップリンクの通信スロットのスケジューリングに加えて、集約装置が生成した制御データを下位側の無線装置へ向かう方向に送信するためのダウンリンクの通信スロットのスケジューリングをしなければならない。しかし、アップリンクの通信スロットとダウンリンクの通信スロットとを別のタイミングに設定した場合、無線装置は、アップリンクの通信スロットのスケジューリングのみを行った場合よりも、送信回数が増える。この結果、無線装置は、スリープ状態でいられる時間が短くなり、消費電力が増大し、例えば電池寿命が短くなる。
【0004】
例えば、複数の無線装置のうちの一部の無線装置に対して、アップリンクの通信スロットとダウンリンクの通信スロットとを同じタイミングに割り当てるスケジューリング方法がある。これにより、一部の無線装置は、アップリンクの送信処理とダウンリンクの送信処理とを同一のタイミングで行うことができ、スリープ状態でいられる時間を長くすることができ、消費電力が抑制され、例えば電池寿命が長くなる。
【0005】
しかし、このような方法を用いたとしても、アップリンクの通信スロットとダウンリンクの通信スロットとを同じタイミングに割り当てることが可能な無線装置は、無線通信システムに備えられる複数の無線装置のうちの一部に限定され、その状態が継続する。マルチホップネットワークを構成する無線通信システムは、複数の無線装置のうちの1台の無線装置の電池が切れてしまった場合、人による電池交換作業が必要になる。従って、このような無線通信システムは、一部の無線装置の消費電力を抑えるのではなく、複数の無線装置の全体の消費電力を均等に抑える必要がある。このため、マルチホップネットワークを構成する無線通信システムは、アップリンクの送信処理およびダウンリンクの送信処理を実現しつつ、マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置の消費電力を少なくすることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-233072号公報
【文献】特許第6471005号公報
【文献】特許第6524304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、複数の無線装置の消費電力を少なくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る無線通信システムは、マルチホップネットワークを構成する複数の無線装置を含む。前記複数の無線装置のそれぞれは、所定の時間長である予め定められた数の複数のスロットを含むフレームのタイミングを同期して管理する。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記フレームに含まれる少なくとも1つのスロットに対して排他的に対応付けられる。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記フレームにおける自装置に対応付けられたスロットにおいてデータを送信可能である。前記複数の無線装置のそれぞれは、予め定められたX個(Xは、2以上の整数)の前記フレームを含むアップリンク周期、および、予め定められたY個(Yは、2以上の整数)の前記フレームを含むダウンリンク周期のタイミングを同期して管理する。前記X個と前記Y個とは、異なる値である。前記複数の無線装置のそれぞれは、予め定められた規則に従って、前記複数の無線装置のそれぞれにおけるホップ数を、前記アップリンク周期における少なくとも1つの前記フレーム、および、前記ダウンリンク周期における少なくとも1つの前記フレームに割り当てる。前記ホップ数は、対象の無線装置からルート位置の無線装置へとデータを送信する最短経路上における、データを送信する無線装置の数を表す。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記アップリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける上り方向のデータを送信する。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記ダウンリンク周期に含まれる自装置の前記ホップ数が割り当てられた前記フレームにおいて、前記マルチホップネットワークにおける下り方向のデータを送信する。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記アップリンク周期である第1アップリンク周期に含まれる前記X個のフレームのうちの第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第1フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数とを、同一とする。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記第1アップリンク周期とは異なる前記アップリンク周期である第2アップリンク周期に含まれる、前記X個のフレームのうちの第2フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームと同一タイミングとなる前記ダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てる前記ホップ数と、同一とする。前記複数の無線装置のそれぞれは、前記第1フレームに割り当てる前記ホップ数と、前記第2フレームに割り当てる前記ホップ数とを異なる値とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図。
図2】集約装置の構成を示す図。
図3】無線ノードの構成を示す図。
図4】通信周期を設定するフローチャート。
図5】フレームの構成を示す図。
図6】アップリンク周期およびダウンリンク周期を示す図。
図7】複数の無線装置のそれぞれのホップ数を示す図。
図8】アップリンク周期のホップ数の割当処理のフローチャート。
図9】上りデータの送信タイミングを示す図。
図10】第1実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当のフローチャート。
図11】第1実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図。
図12】第1実施形態の同時送信フレームを示す図。
図13】第2実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当のフローチャート。
図14】第2実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図。
図15】第2実施形態の同時送信フレームを示す図。
図16】第3実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当のフローチャート。
図17】第3実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図。
図18】第3実施形態の同時送信フレームを示す図。
図19】無線装置から送信されるパケットの一例を示す図。
図20】変形例に係る無線ノードの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る無線通信システム10について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム10の構成を示す図である。無線通信システム10は、複数の無線装置20を備える。
【0012】
複数の無線装置20は、木構造のマルチホップネットワークを構成する。複数の無線装置20のうち、木構造のルート位置の無線装置20を、集約装置22と呼ぶ。また、複数の無線装置20のうちルート位置以外の無線装置20を、無線ノード24と呼ぶ。
【0013】
複数の無線ノード24のそれぞれは、上流側の1つの無線装置20と無線通信により接続される。また、集約装置22および複数の無線ノード24のそれぞれは、下流側の1または複数の無線装置20と無線通信により接続される。なお、最も下流側の無線ノード24(リーフ位置の無線ノード24)は、下流側に無線装置20が無線接続されていない。
【0014】
なお、下流側の無線ノード24から、上流側の集約装置22または無線ノード24へとデータを送信する無線経路を、アップリンクと呼ぶ。また、上流側の集約装置22または無線ノード24から、下流側の無線ノード24へとデータを送信する無線経路を、ダウンリンクと呼ぶ。
【0015】
マルチホップネットワークは、ある送信元の無線装置20から、直接的には無線接続されていない受信先の無線装置20へと、他の無線装置20を中継して、データを送信する。すなわち、マルチホップネットワークは、データをバケツリレー方式で転送する。
【0016】
また、複数の無線装置20は、予め定められた無線通信方式で無線通信をする。無線通信方式は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11 a/b/g/n/ac等の無線LAN(Local Area Network)である。また、無線通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、または、920MHz帯無線等であってもよい。無線通信方式は、例えば、LANまたはPAN(Personal Area Network)等に用いられる他の無線規格の通信方式であってもよい。
【0017】
また、複数の無線装置20のそれぞれは、固有の識別情報が割り当てられる。図1の例においては、9個の無線装置20が示されており、9個の無線装置20に対して、#0,#1,#2,#3,#4,#5,#6および#7および#8の識別情報が割り当てられている。
【0018】
なお、複数の無線装置20は、木構造のマルチホップネットワークに代えて、他の構造のマルチホップネットワークを構成してもよい。この場合、複数の無線装置20のうちの何れか1つが、集約装置22として機能する。また、集約装置22以外の無線装置20から、集約装置22へと向かう最短経路をアップリンクと呼び、反対方向への経路をダウンリンクと呼ぶ。また、2つの集約装置22の間に形成される通信経路のうちの一方は、アップリンクとなり、他方はダウンリンクとなる。
【0019】
図2は、集約装置22の構成を示す図である。集約装置22は、無線インタフェース部32と、送受信処理部34と、集約装置スケジューラ36と、データ収集/生成部38とを有する。
【0020】
無線インタフェース部32は、予め定められた無線通信方式により他の無線装置20と無線信号の送受信を行う。送受信処理部34は、無線インタフェース部32により受信された信号の受信処理、および、送信データを含むパケットを生成して無線インタフェース部32にパケットを送信させる送信処理を行う。
【0021】
集約装置スケジューラ36は、予め設定された規則に基づき、アップリンクの通信周期、ダウンリンクの通信周期、および、無線送信のタイミング等を設定する。データ収集/生成部38は、複数の無線ノード24のそれぞれから受信した上り方向のデータを記憶する。また、データ収集/生成部38は、下り方向へと送信するデータを生成する。
【0022】
図3は、無線ノード24の構成を示す図である。無線ノード24は、無線インタフェース部32と、送受信処理部34と、無線ノードスケジューラ40と、データ生成部42とを有する。
【0023】
無線インタフェース部32および送受信処理部34は、集約装置22と同様の機能を有する。無線ノードスケジューラ40は、集約装置22または既にネットワークに参加済みの他の無線ノード24から、アップリンクの通信周期、ダウンリンクの通信周期、および、無線送信のタイミング等を取得する。データ生成部42は、上り方向へと送信するデータ、および、下り方向へと送信するデータを生成する。
【0024】
図4は、通信周期を設定するフローチャートである。集約装置22は、図4に示す流れで通信周期を設定し、設定した通信周期で同期して動作するように、複数の無線ノード24に通信周期のタイミングを通知する。なお、無線通信システム10は、集約装置22に代えて、他の何れかの無線ノード24が通信周期を設定して、集約装置22および他の無線ノード24に通信周期のタイミングを通知してもよい。
【0025】
まず、S11において、集約装置22は、フレームのタイミングを設定する。フレームについては、図5を参照して後でさらに説明する。
【0026】
続いて、S12において、集約装置22は、アップリンク周期のタイミングを設定する。アップリンク周期は、予め定められたX個(Xは、2以上の整数)のフレームを含む。すなわち、アップリンク周期は、フレームのX倍の時間長である。
【0027】
続いて、S13において、集約装置22は、ダウンリンク周期のタイミングを設定する。ダウンリンク周期は、予め定められたY個(Yは、2以上の整数)のフレームを含む。すなわち、ダウンリンク周期は、フレームのY倍の時間長である。
【0028】
なお、X個とY個とは異なる値である。アップリンク周期およびダウンリンク周期については、図6を参照して後でさらに説明する。
【0029】
集約装置22は、設定したフレームのタイミング、アップリンク周期のタイミングおよびダウンリンク周期のタイミングを複数の無線ノード24に通知する。タイミングの情報を受信した無線ノード24は、更にその情報を周囲に通知してもよい。そして、集約装置22および複数の無線ノード24のそれぞれ、すなわち、ネットワークに参加している複数の無線装置20のそれぞれは、フレームのタイミング、アップリンク周期のタイミングおよびダウンリンク周期のタイミングを同期して管理する。これにより、ネットワークに参加している複数の無線装置20の全ては、共通の通信周期でデータの送受信をすることができる。
【0030】
図5は、フレームの構成を示す図である。フレームは、予め定められた数の複数のスロットを含む。複数のスロットは、全ての同一の時間長である。複数のスロットのそれぞれは、所定の時間長であり、例えば、100ミリ秒といった時間である。スロットは、1つの無線装置20が、1回の送信処理を実行する期間である。
【0031】
フレームは、複数の無線ノード24の個数に、集約装置22の個数である1を加えた数以上のスロットを含む。すなわち、フレームは、ネットワークに参加している複数の無線装置20の個数以上のスロットを含む。
【0032】
集約装置22および複数の無線ノード24のそれぞれ、すなわち、ネットワークに参加している複数の無線装置20のそれぞれは、フレームに含まれる少なくとも1つのスロットに対して、排他的に対応付けられる。つまり、スロットは、ネットワークに参加している何れか1つの無線装置20が対応付けられている。なお、スロットは、2個以上の無線装置20が重複して対応付けられていない。また、フレームは、何れの無線装置20も対応付けられていない空のスロットを含んでもよい。また、フレームは、同一の無線装置20が対応付けられた2以上のスロットを含んでもよい。
【0033】
複数の無線装置20のそれぞれが対応付けられるスロットの位置は、例えば、フレーム毎に固定されている。図5に示す例の場合、複数のフレームのそれぞれの1番目のスロットは、#0の無線装置20が対応付けられる。2番目のスロットは、#1の無線装置20が対応付けられる。そして、9番目のスロットは、#8の無線装置20が対応付けられる。
【0034】
そして、複数の無線装置20のそれぞれは、フレームにおける自装置に対応付けられたスロットにおいてデータを送信可能である。つまり、複数の無線装置20は、自装置が対応付けられていないスロットにおいて、データを送信することができない。これにより、複数の無線装置20のそれぞれは、フレーム毎に、他の無線装置20と干渉せずに、少なくとも1回、データの送信をすることができる。
【0035】
図6は、アップリンク周期およびダウンリンク周期を示す図である。アップリンク周期は、データを上流側の無線装置20へと送信するタイミングを管理するための通信周期である。ダウンリンク周期は、データを下流側の無線装置20へと送信するタイミングを管理するための通信周期である。
【0036】
アップリンク周期は、X個のフレームを含む。ダウンリンク周期は、Y個のフレームを含む。
【0037】
XおよびYは、何れも2以上の整数である。XとYとは異なる値である。XおよびYは、何れが大きくてもよい。ただし、XおよびYのうち大きいの方の数は、小さい方の数の整数倍ではない。つまり、X>Yである場合、Xは、Yの整数倍ではない。Y>Xである場合、Yは、Xの整数倍ではない。また、XまたはYのうちの少なくとも一方は、奇数であることが好ましい。
【0038】
集約装置22は、ユーザにより入力された上限値を受け取り、受け取った上限値以下となるようにXおよびYを決定してもよい。例えば、集約装置22は、上限値を超えない範囲で、可能な限り大きな数となるように、XおよびYを決定してもよい。集約装置22は、XおよびYを大きくするほど、アップリンク周期およびダウンリンク周期を長くすることができる。アップリンク周期およびダウンリンク周期を長くした場合、フレームに対する無線装置20の割当処理(詳細を後述)の結果、複数の無線装置20のそれぞれは、単位時間当たりのデータの送信回数が減る。従って、XおよびYを、上限値を超えない範囲で可能な限り大きな数とすることにより、無線通信システム10は、無線装置20のデータ送信回数を減らして消費電力を下げるとともに、マルチホップによるデータの転送遅延時間を上限以下に抑えることができる。
【0039】
図6は、フレームが10個のスロットを含み、X=5、Y=6に設定されたアップリンク周期およびダウンリンク周期の例を示している。図6の例の場合、アップリンク周期は、50個のスロットを含む。ダウンリンク周期は、60スロットを含む。例えば、スロットが100ミリ秒である場合、アップリンク周期は、5秒となり、ダウンリンク周期は、6秒となる。
【0040】
図7は、複数の無線装置20のそれぞれのホップ数を示す図である。複数の無線装置20のそれぞれは、予め定められた規則(例えば、予め定められたアルゴリズム)に従って、アップリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれおよびダウンリンク周期に含まる複数のフレームのそれぞれに対して、複数の無線装置20のうちの何れかの無線装置20を割り当てる。
【0041】
ここで、予め定められた規則は、無線装置20のホップ数を、各フレームに割り当てる。ホップ数は、対象の無線装置20からルート位置の無線装置20(集約装置22)へとデータを送信する最短経路上における、データを送信する無線装置20の数を表す。すなわち、ホップ数は、無線装置20が生成したデータが、ルート位置の無線装置20(集約装置22)に届くまでに必要な最小のデータ送信回数である。なお、ルート位置の無線装置20(集約装置22)のホップ数は、0となる。ホップ数は、0以上の整数であり、Hと表される。
【0042】
例えば、図7の構成の木構造であれば、♯1の無線装置20のホップ数は、0となる。♯1および♯8の無線装置20のホップ数は、1となる。♯2の無線装置20のホップ数は、2となる。♯3および♯6の無線装置20のホップ数は、3となる。♯4および♯7の無線装置20のホップ数は、4となる。♯5の無線装置20のホップ数は、5となる。
【0043】
そして、複数の無線装置20のそれぞれは、予め定められた規則に従って、複数の無線装置20のそれぞれにおけるホップ数を、アップリンク周期における少なくとも1つのフレームに対して割り当てる。アップリンク周期に対する割当処理の一例については、図8を参照して説明する。
【0044】
さらに、複数の無線装置20のそれぞれは、予め定められた規則に従って、複数の無線装置20のそれぞれにおけるホップ数を、ダウンリンク周期における少なくとも1つのフレームに対して割り当てる。ダウンリンク周期に対する割当処理の一例については、図10を参照して説明する。
【0045】
なお、複数の無線装置20は、互いに共通規則(例えば共通アルゴリズム)により、フレームに対してホップ数を割り当てる。これにより、複数の無線装置20は、それぞれが別個に割当処理を実行しても、同一のフレームに対しては、同一のホップ数を割り当てることができる。これにより、複数の無線装置20は、相互に、割り当てたホップ数を表すデータを送受信しなくてよいので、通信量を減らすことができる。
【0046】
また、複数の無線装置20のそれぞれは、アップリンク周期に含まれるフレームに対するホップ数の割り当てを先に実行してから、ダウンリンク周期に含まれるフレームに対するホップ数の割り当てを後に実行してもよいし、逆順に実行してもよい。
【0047】
そして、複数の無線装置20のそれぞれは、アップリンク周期に含まれる自装置のホップ数が割り当てられたフレームにおいて、マルチホップネットワークにおける上り方向のデータを送信する。上り方向のデータの送信タイミングの一例については図9を参照してさらに説明する。
【0048】
また、複数の無線装置20のそれぞれは、ダウンリンク周期に含まれる自装置のホップ数が割り当てられたフレームにおいて、マルチホップネットワークにおける下り方向のデータを送信する。下り方向のデータの送信タイミングの一例については図11を参照してさらに説明する。
【0049】
図8は、アップリンク周期のホップ数の割当処理の一例を示すフローチャートである。例えば、無線装置20は、アップリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、図8にフローチャートに従って、ホップ数を割り当てる。
【0050】
まず、S21において、無線装置20は、N1に、アップリンク周期に含まれるフレームの数を表すXを代入する。N1は、第1周期を表す。また、無線装置20は、nに、1を代入する。nは、整数であり、第1周期内におけるフレームの位置を表す。
【0051】
続いて、S22において、無線装置20は、第1周期に含まれるn番目のフレームに、H%N1=N1-nを満たすホップ数を割り当てる。ここで、H%N1は、HをN1で除算した剰余を表す。すなわち、無線装置20は、第1周期に含まれるn番目のフレームに、N1により除算した剰余がN1-nとなるホップ数を割り当てる。
【0052】
続いて、S23において、無線装置20は、n=N1であるか否かを判断する。n=N1である場合(S23のYes)、無線装置20は、本フローを終了する。n=N1ではない場合(S23のNo)、無線装置20は、処理をS24に進める。S24において、無線装置20は、nに1を加算する。無線装置20は、S24の後に、処理をS22に戻す。
【0053】
複数の無線装置20のそれぞれは、このような図8に示すフローチャートにより割り当てたホップ数に基づき、アップリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、上りデータを送信可能な無線装置20を決定する。そして、複数の無線装置20のそれぞれは、それぞれのアップリンク周期に含まれる自装置のホップ数が割り当てられたフレームにおいて、上り方向のデータを送信する。
【0054】
図9は、上りデータの送信タイミングを示す図である。N1=X=5である場合、無線装置20は、図8に示す処理を実行することにより、各アップリンク周期に含まれる5個のフレームのそれぞれに対して、図9に示すようなホップ数を割り当てることができる。
【0055】
具体的には、アップリンク周期の1番目のフレームは、剰余が4となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、アップリンク周期の1番目のフレームは、ホップ数が4、9、14、19…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯4および♯7(ホップ数が4)の無線装置20は、アップリンク周期に含まれる1番目のフレームにおいて、上り方向のデータを送信する。
【0056】
また、アップリンク周期の2番目のフレームは、剰余が3となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、アップリンク周期の2番目のフレームは、ホップ数が3、8、13、18…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯3および♯6(ホップ数が3)の無線装置20は、アップリンク周期に含まれる2番目のフレームにおいて、上り方向のデータを送信する。
【0057】
また、アップリンク周期の3番目のフレームは、剰余が2となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、アップリンク周期の3番目のフレームは、ホップ数が2、7、12、17…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯2(ホップ数が2)の無線装置20は、アップリンク周期に含まれる3番目のフレームにおいて、上り方向のデータを送信する。
【0058】
また、アップリンク周期の4番目のフレームは、剰余が1となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、アップリンク周期の4番目のフレームは、ホップ数が1、6、11、16…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯1および♯8(ホップ数が1)の無線装置20は、アップリンク周期に含まれる4番目のフレームにおいて、上り方向のデータを送信する。
【0059】
また、アップリンク周期の5番目のフレームは、剰余が0となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、アップリンク周期の5番目のフレームは、ホップ数が0、5、10、15…といった無線装置20がアップリンク周期の5番目のフレームに割り当てられる。
【0060】
以上のような処理をアップリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、複数の無線装置20のそれぞれのホップ数を、アップリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができる。これにより、ネットワークに参加している複数の無線装置20の全ては、アップリンク周期毎に、上りデータを少なくとも1回送信することができる。
【0061】
さらに、以上のような処理をアップリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、アップリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、アップリンク周期に含まれるフレームの数(N1=X)により除算することにより得られる剰余が1ずつ減少するように、ホップ数を割り当てる。具体的には、無線装置20は、アップリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を、4→3→2→1→0の順で割り当てる。
【0062】
これにより、例えば、ホップ数が4(剰余が4)の無線装置20から、ホップ数が0(剰余が0)の無線装置20へとデータを上り方向に送信する場合、無線通信システム10は、1回のアップリンク周期において、4回のデータ送信をすることができる。従って、無線通信システム10は、下流側の無線装置20により生成されたデータを、短時間に、上流側の無線装置20に送信することができる。
【0063】
なお、無線装置20は、ネットワークに参加している複数の無線装置20のそれぞれを、アップリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができれば、他の規則(他のアルゴリズム)により、割当処理を実行してもよい。この場合、無線装置20は、上り方向のデータをバケツリレー方式により短時間で転送することができるような、効率の良い割当処理を実行することが好ましい。
【0064】
また、無線装置20は、図8のフローチャートに示した処理を、アップリンク周期に適用せずに、ダウンリンク周期に適用してもよい。この場合、無線装置20は、S21において、第1周期を表すN1に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数を表すYを代入する。また、この場合、S22において、無線装置20は、第1周期に含まれるn番目のフレームに、H%N1=n-1を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第1周期に含まれるn番目のフレームに、N1により除算した剰余がn-1となるホップ数を割り当てる。これにより、無線装置20は、ダウンリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N1=X)により除算することにより得られる剰余が1ずつ増加するように、ホップ数を割り当てることができる。具体的には、無線装置20は、ダウンリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を、0→1→2→3→4の順で割り当てることができる。これにより、無線通信システム10は、1回のダウンリンク周期において、4回のデータ送信をすることができる。従って、無線通信システム10は、上流側の無線装置20により生成されたデータを、短時間に、下流側の無線装置20に送信することができる。
【0065】
図10は、第1実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
アップリンク周期に対して図8に示す処理によりホップ数を割り当てた場合であって、Xに対してYが1大きい場合、無線装置20は、ダウンリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、図10にフローチャートに従って、ホップ数を割り当てる。
【0067】
まず、S31において、無線装置20は、N1に、アップリンク周期に含まれるフレームの数を表すXを代入する。N1は、第1周期を表す。また、無線装置20は、N2に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数を表すYを代入する。N2は、第2周期を表す。
【0068】
また、無線装置20は、mに1を代入する。mは、整数であり、第2周期内におけるフレームの位置を表す。無線装置20は、jに、0を代入する。jは、0からN1までの間を1ずつ増加する整数であり、N1個の第2周期内における第2周期の位置を表す。なお、N1個の第2周期における先頭の第2周期は、j=0となる。
【0069】
続いて、S32において、無線装置20は、N1-j<mであるか否かを判断する。N1-j<mでない場合(S32のNo)、無線装置20は、処理をS33に進める。N1-j<mである場合(S32のYes)、無線装置20は、処理をS34に進める。
【0070】
S33において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N1=m-1を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余がm-1となるホップ数を割り当てる。
【0071】
S34において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N1=m-2を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余がm-2となるホップ数を割り当てる。S34を実行することにより、無線装置20は、第2周期において、(N1-j)番目のフレームに割り当てるホップ数と、(N1-j+1)番目のフレームに割り当てるホップ数とを同一とする。
【0072】
S35において、無線装置20は、m=N2であるか否かを判断する。m=N2である場合(S35のYes)、無線装置20は、処理をS37に進める。m=N2ではない場合(S35のNo)、無線装置20は、処理をS36に進める。S36において、無線装置20は、mに1を加算する。無線装置20は、S36の後に、処理をS32に戻す。
【0073】
S37において、無線装置20は、jに1を加算する。続いて、S38において、無線装置20は、j=N1であるか否かを判断する。j=N1-1である場合(S38のYes)、無線装置20は、本フローを終了する。すなわち、無線装置20は、N1個分の第2周期に対してホップ数を割り当てた場合、処理を終了する。
【0074】
j=N1-1ではない場合(S38のNo)、無線装置20は、処理をS39に進める。S39において、無線装置20は、mに1を代入する。無線装置20は、S39の後に、処理をS32に戻す。
【0075】
複数の無線装置20のそれぞれは、図10に示すフローチャートにより割り当てたホップ数に基づき、N1個のダウンリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、下りデータを送信可能な無線装置20を決定する。さらに、複数の無線装置20のそれぞれは、N1個のダウンリンク周期毎に、下りデータを送信可能な無線装置20の割り当ておよび決定を繰り返す。なお、下りデータを送信可能な無線装置20の割り当てパターンは、N個のダウンリンク周期毎に同一となる。従って、複数の無線装置20のそれぞれは、N個のダウンリンク周期毎に、同一のパターンで、N個のダウンリンク周期に対する下りデータを送信可能な無線装置20を決定する。そして、複数の無線装置20のそれぞれは、ダウンリンク周期に含まれる自装置のホップ数が割り当てられたフレームにおいて、下り方向のデータを送信する。
【0076】
図11は、第1実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図である。N1=X=5、N2=Y=6である場合、無線装置20は、図10の処理を実行することにより、jが0であるダウンリンク周期に含まれる6個のフレームのそれぞれに対して、図11に示すようなホップ数を割り当てることができる。
【0077】
具体的には、j=0のダウンリンク周期の1番目のフレームは、剰余が0となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、j=0のダウンリンク周期の1番目のフレームは、ホップ数が0、5、10、15…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯0および♯5(ホップ数が0)の無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、1番目のフレームで下り方向のデータを送信する。
【0078】
また、j=0のダウンリンク周期の2番目のフレームは、剰余が1となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、j=0のダウンリンク周期の2番目のフレームは、ホップ数が1、6、11、16…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯1および♯8(ホップ数が1)の無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、2番目のフレームで下り方向のデータを送信する。
【0079】
また、j=0のダウンリンク周期の3番目のフレームは、剰余が2となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、j=0のダウンリンク周期の3番目のフレームは、ホップ数が2、7、12、17…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯2(ホップ数が2)の無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、3番目のフレームで下り方向のデータを送信する。
【0080】
また、j=0のダウンリンク周期の4番目のフレームは、剰余が3となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、j=0のダウンリンク周期の4番目のフレームは、ホップ数が3、8、13、18…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯3および♯6(ホップ数が3)の無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、4番目のフレームで下り方向のデータを送信する。
【0081】
そして、j=0のダウンリンク周期の5番目のフレームおよび6番目のフレームの両方は、剰余が4となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、j=0のダウンリンク周期の5番目のフレームおよび6番目のフレームの両方は、ホップ数が4、9、14、19…といった無線装置20が割り当てられる。従って、図7に示したネットワークにおける♯4および♯7(ホップ数が4)の無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、5番目のフレームおよび6番目のフレームで下り方向のデータを送信する。
【0082】
また、j=0~(N1-1)のそれぞれのダウンリンク周期において、1番目から(N1-j)番目のフレームは、剰余が(m-1)となるホップ数の無線装置20が割り当てられ、(N1-j+1)番目からN2番目までのフレームは、剰余が(m-2)となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。この結果、j=0~(N1-1)のそれぞれのダウンリンク周期において、(N1-j)番目のフレームおよび(N1-j+1)番目のフレームの両方は、剰余が(N1-j-1)となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。
【0083】
以上のような処理をダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、複数の無線装置20のそれぞれのホップ数を、ダウンリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができる。これにより、ネットワークに参加している複数の無線装置20の全ては、ダウンリンク周期毎に、下りデータを少なくとも1回送信することができる。
【0084】
さらに、以上のような処理をダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、ダウンリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N1=X)により除算することにより得られる剰余が1ずつ増加または同一となるように、ホップ数を割り当てる。
【0085】
具体的には、無線装置20は、j=0のダウンリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を0→1→2→3→4→4の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=1のダウンリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を0→1→2→3→3→4の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=2のダウンリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を0→1→2→2→3→4の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=3のダウンリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を0→1→1→2→3→4の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=4のダウンリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を0→0→1→2→3→4の順で割り当てる。
【0086】
これにより、例えば、ホップ数が0(剰余が0)の無線装置20から、ホップ数が4(剰余が4)の無線装置20へとデータを下り方向に送信する場合、無線通信システム10は、1回のダウンリンク周期において、4回のデータ送信をすることができる。従って、無線通信システム10は、上流側の無線装置20により生成されたデータを、短時間に、下流側の無線装置20に送信することができる。
【0087】
なお、無線装置20は、ネットワークに参加している複数の無線装置20のそれぞれを、ダウンリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができれば、他の規則(他のアルゴリズム)により、割当処理を実行してもよい。この場合、無線装置20は、下り方向のデータをバケツリレー方式により短時間で転送することができるように、割当処理を実行することが好ましい。
【0088】
例えば、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余が(m-1)番目のフレームに割り当てた剰余と同一または1大きい値となるホップ数を割り当て、且つ、N1により除算した剰余が0から(N1-1)までのそれぞれのホップ数を第2周期に含まれるN2個のフレームの何れかに割り当てる、処理を実行すればよい。なお、この場合、無線装置20は、第2周期に含まれる1番目のフレームには、N1により乗算した剰余が0となるホップ数を割り当てる。これにより、無線装置20は、j=0~(N1-1)のそれぞれの第2周期において、何れか2つ以上のフレームに対して同一のホップ数を割り当てることができる。
【0089】
さらに、図10のフローチャートの処理は、Xに対してYが1大きい場合の処理を示しているが、Xに対してYが2以上大きくてもよい。この場合、無線装置20は、j番目の第2周期において、(N1-j)番目のフレームから、YとXとの差数のフレームに対して連続して、(N1-j)番目のフレームと同一のホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、(N1-j)番目のフレームから、(N1-j+(N2-N1))番目のフレームまで、(N1-j)番目のフレームと同一のホップ数を割り当てる。そして、無線装置20は、(N1-j+(N2-N1))番目より後のフレームに対しては、N1により除算した剰余がm-(N2-N1)となるホップ数を割り当てる。
【0090】
また、無線装置20は、Yに対してXが1大きい場合、図9のフローチャートに示した処理を、ダウンリンク周期に適用せずに、アップリンク周期に適用してもよい。この場合、無線装置20は、S31において、第1周期を表すN1に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数を表すYを代入し、第2周期を表すN2に、アップリンク周期に含まれるフレームの数を表すXを代入する。
【0091】
また、この場合、S33において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N1=N1-mを満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、N1-j<mではない場合、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余がN1-mとなるホップ数を割り当てる。
【0092】
また、この場合、S34において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N1=N1-(m-1)を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、N1-j<mの場合、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余がN1-(m-1)となるホップ数を割り当てる。これにより、無線装置20は、アップリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N1=Y)により除算することにより得られる剰余が1ずつ減少または同一となるように、ホップ数を割り当てることができる。
【0093】
例えば、X=6、Y=5の場合、無線装置20は、j=0のアップリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を4→3→2→1→0→0の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=1のアップリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を4→3→2→1→1→0の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=2のアップリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を4→3→2→2→1→0の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=3のアップリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を4→3→3→2→1→0の順で割り当てる。また、無線装置20は、j=4のアップリンク周期において、先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、剰余を4→4→3→2→1→0の順で割り当てる。
【0094】
図12は、第1実施形態におけるアップリンクおよびダウンリンクの複数のフレームのそれぞれに割り当てられたホップ数の一例を示す図である。
【0095】
図8および図10に示すフローチャートに示した処理を実行することにより、無線装置20は、アップリンク周期に含まれるX個のフレームのうち、一部のフレームに割り当てるホップ数と、このフレームと同一タイミングとなるダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数とを同一としている。さらに、無線装置20は、アップリンク周期毎に、ダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数と同一となる一部のフレームの位置、および、割り当てるホップ数を変えている。
【0096】
ここで、アップリンク周期に含まれるX個のフレームのうち、ダウンリンク周期に含まれる同一タイミングのフレームとホップ数が同一となるフレームを、同時送信フレームと呼ぶ。
【0097】
例えば、X=5、Y=6の場合、図12に示すように、第1アップリンク周期において、同時送信フレームは、3番目のフレームであり、剰余が2であるホップ数が割り当てられる。第1アップリンク周期に続く第2アップリンク周期において、同時送信フレームは、1番目のフレームであり、剰余が4であるホップ数が割り当てられる。第2アップリンク周期に続く第3アップリンク周期において、同時送信フレームは、4番目のフレームであり、剰余が1であるホップ数が割り当てられる。第3アップリンク周期に続く第4アップリンク周期において、同時送信フレームは、2番目のフレームであり、剰余が3であるホップ数が割り当てられる。このように、同時送信フレームに割り当てられているホップ数は、アップリンク周期毎に変更されている。
【0098】
同時送信フレームにおいてデータを送信する無線装置20は、上り方向のデータと下り方向のデータとを同一タイミングに送信することができる。従って、同時送信フレームにおいてデータを送信する無線装置20は、消費電力を少なくすることができる。
【0099】
さらに、無線通信システム10は、同時送信フレームにおいてデータを送信することができる無線装置20を、アップリンク周期毎に変更している。従って、無線通信システム10は、複数の無線装置20の消費電力を少なくすることができる。
【0100】
なお、無線装置20は、図12に示すようなパターンを生成するアルゴリズムに限らず、少なくとも無線通信システム10に含まれる複数の無線装置20のそれぞれに対して、何れかのタイミングで同時送信フレームが割り当てられていれば、どのようなアルゴリズムで、各フレームにホップ数を割り当ててもよい。
【0101】
例えば、無線装置20は、次のようなアルゴリズムで、アップリンク周期に含まれるX個のフレームのそれぞれ、および、ダウンリンク周期に含まれるY個のフレームのそれぞれにホップ数を割り当ててもよい。すなわち、無線装置20は、任意のアップリンク周期である第1アップリンク周期に含まれるX個のフレームのうちの第1フレームに割り当てるホップ数と、第1フレームと同一タイミングとなるダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てるホップ数とを、同一とする。さらに、無線装置20は、第1アップリンク周期とは異なる任意のアップリンク周期である第2アップリンク周期に含まれる、X個のフレームのうちの第2フレームに割り当てるホップ数と、第2フレームと同一タイミングとなるダウンリンク周期に含まれるフレームに割り当てるホップ数と、同一とする。そして、無線装置20は、第1フレームに割り当てるホップ数と、第2フレームに割り当てるホップ数とを異なる値とする。
【0102】
これにより、無線通信システム10は、同時送信フレームにおいてデータを送信することができる無線装置20を、アップリンク周期毎に変更することができる。従って、無線通信システム10は、複数の無線装置20の消費電力を少なくすることができる。
【0103】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る無線通信システム10を説明する。第2実施形態に係る無線通信システム10は、第1実施形態と同一の略構成を有する。
【0104】
第2実施形態に係る無線通信システム10は、ダウンリンク周期に対するホップ数の割当処理が第1実施形態と異なり、他の処理は同一である。以下、第2実施形態に係る無線通信システム10については、第1実施形態との相違点について説明する。
【0105】
図13は、第2実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当処理の一例を示すフローチャートである。
【0106】
アップリンク周期に対して図8に示す処理によりホップ数を割り当てた場合、第2実施形態に係る無線装置20は、ダウンリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、図13にフローチャートに従って、ホップ数を割り当てる。
【0107】
まず、S51において、無線装置20は、N1に、アップリンク周期に含まれるフレームの数を表すXを代入する。また、無線装置20は、mに1を代入する。
【0108】
S52において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N1=m-1を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N1により除算した剰余がm-1となるホップ数を割り当てる。
【0109】
S53において、無線装置20は、m=N1であるか否かを判断する。m=N1である場合(S53のYes)、無線装置20は、本フローを終了する。m=N1ではない場合(S53のNo)、無線装置20は、処理をS54に進める。S54において、無線装置20は、mに1を加算する。無線装置20は、S54の後に、処理をS52に戻す。
【0110】
図14は、第2実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図である。N1=X=5、Y=6である場合、無線装置20は、図13の処理を実行することにより、ダウンリンク周期に含まれる6個のフレームのそれぞれに対して、図14に示すようなホップ数を割り当てることができる。
【0111】
例えば、ダウンリンク周期の1番目のフレームから5番目のフレームは、第1実施形態と同様のホップ数の無線装置20が割り当てられる。しかし、第2実施形態において、ダウンリンク周期の6番目のフレームは、ホップ数が割り当てられない。
【0112】
以上のような処理をダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、複数の無線装置20のそれぞれのホップ数を、ダウンリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができる。これにより、ネットワークに参加している複数の無線装置20の全ては、ダウンリンク周期毎に、下りデータを少なくとも1回送信することができる。
【0113】
さらに、以上のような処理を、それぞれのダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、ダウンリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N1=X)により除算することにより得られる剰余が1ずつ増加するように、ホップ数を割り当てる。
【0114】
これにより、例えば、ホップ数が0(剰余が0)の無線装置20から、ホップ数が4(剰余が4)の無線装置20へとデータを下り方向に送信する場合、無線通信システム10は、1回のダウンリンク周期において、4回のデータ送信をすることができる。従って、無線通信システム10は、上流側の無線装置20により生成されたデータを、短時間に、下流側の無線装置20に送信することができる。
【0115】
なお、無線装置20は、YよりXが大きい場合、図13のフローチャートに示した処理を、ダウンリンク周期に適用せずに、アップリンク周期に適用してもよい。この場合、無線装置20は、S51において、第1周期を表すN1に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数を表すYを代入する。また、この場合、無線装置20は、S51~S54のmを、nに置き換えて処理を実行する。さらに、無線装置20は、S52において、第2周期に含まれるn番目のフレームに、H%N1=N1-nを満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるn番目のフレームに、N1により除算した剰余がN1-nとなるホップ数を割り当てる。これにより、無線装置20は、アップリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N1=Y)により除算することにより得られる剰余が1ずつ減少または同一となるように、ホップ数を割り当てることができる。
【0116】
図15は、第2実施形態におけるアップリンクおよびダウンリンクの複数のフレームのそれぞれに割り当てられたホップ数の一例を示す図である。
【0117】
図8および図13に示すフローチャートに示した処理を実行することにより、無線装置20は、アップリンク周期に含まれるX個のフレームのうち、一部のフレームに割り当てるホップ数と、このフレームと同一タイミングとなるダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数とを同一としている。さらに、無線装置20は、アップリンク周期毎に、ダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数と同一となる一部のフレームの位置、および、割り当てるホップ数を変えている。
【0118】
このような第2実施形態に係る無線通信システム10は、同時送信フレームにおいてデータを送信することができる無線装置20を固定せずに変更している。従って、第2実施形態に係る無線通信システム10は、複数の無線装置20の消費電力を少なくすることができる。
【0119】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態に係る無線通信システム10を説明する。第3実施形態に係る無線通信システム10は、第1実施形態および第2実施形態と同一の略構成を有する。
【0120】
第3実施形態に係る無線通信システム10は、ダウンリンク周期に対するホップ数の割当処理が第1実施形態および第2実施形態と異なり、他の処理は同一である。以下、第3実施形態に係る無線通信システム10については、第1実施形態および第2実施形態との相違点について説明する。
【0121】
図16は、第3実施形態のダウンリンク周期のホップ数の割当処理の一例を示すフローチャートである。
【0122】
アップリンク周期に対して図8に示す処理によりホップ数を割り当てた場合、第3実施形態に係る無線装置20は、ダウンリンク周期に含まれる複数のフレームのそれぞれに対して、図16にフローチャートに従って、ホップ数を割り当てる。
【0123】
まず、S61において、無線装置20は、N2に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数を表すYを代入する。N2は、第2周期を表す。また、無線装置20は、mに1を代入する。
【0124】
S62において、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、H%N2=m-1を満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるm番目のフレームに、N2により除算した剰余がm-1となるホップ数を割り当てる。
【0125】
S63において、無線装置20は、m=N2であるか否かを判断する。m=N2である場合(S63のYes)、無線装置20は、本フローを終了する。m=N2ではない場合(S63のNo)、無線装置20は、処理をS64に進める。S64において、無線装置20は、mに1を加算する。無線装置20は、S64の後に、処理をS62に戻す。
【0126】
図17は、第3実施形態の下りデータの送信タイミングを示す図である。X=5、N2=Y=6である場合、無線装置20は、図16の処理を実行することにより、ダウンリンク周期に含まれる6個のフレームのそれぞれに対して、図17に示すようなホップ数を割り当てることができる。
【0127】
具体的には、ダウンリンク周期の1番目のフレームは、6により除算した剰余が0となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の1番目のフレームは、ホップ数が0、6、12、18…といった無線装置20が割り当てられる。
【0128】
また、ダウンリンク周期の2番目のフレームは、6により除算した剰余が1となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の2番目のフレームは、ホップ数が1、7、13、19…といった無線装置20が割り当てられる。
【0129】
また、ダウンリンク周期の3番目のフレームは、6により除算したが剰余が2となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の3番目のフレームは、ホップ数が2、8、14、20…といった無線装置20が割り当てられる。
【0130】
また、ダウンリンク周期の4番目のフレームは、6により除算した剰余が3となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の4番目のフレームは、ホップ数が3、9、15、21…といった無線装置20が割り当てられる。
【0131】
また、ダウンリンク周期の5番目のフレームは、6により除算した剰余が4となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の5番目のフレームは、ホップ数が4、10、16、22…といった無線装置20が割り当てられる。
【0132】
そして、ダウンリンク周期の6番目のフレームは、6により除算した剰余が5となるホップ数の無線装置20が割り当てられる。つまり、ダウンリンク周期の6番目のフレームは、ホップ数が5、11、17、23…といった無線装置20が割り当てられる。
【0133】
以上のような処理をダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、複数の無線装置20のそれぞれのホップ数を、ダウンリンク周期に含まれる少なくとも1つのフレームに割り当てることができる。これにより、ネットワークに参加している複数の無線装置20の全ては、ダウンリンク周期毎に、下りデータを少なくとも1回送信することができる。
【0134】
さらに、以上のような処理を、それぞれのダウンリンク周期に対して実行することにより、無線装置20は、ダウンリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、ダウンリンク周期に含まれるフレームの数(N2=Y)により除算することにより得られる剰余が1ずつ増加するように、ホップ数を割り当てる。
【0135】
これにより、例えば、ホップ数が0(剰余が0)の無線装置20から、ホップ数が5(剰余が5)の無線装置20へとデータを下り方向に送信する場合、無線通信システム10は、1回のダウンリンク周期において、5回のデータ送信をすることができる。従って、無線通信システム10は、上流側の無線装置20により生成されたデータを、短時間に、下流側の無線装置20に送信することができる。
【0136】
なお、無線装置20は、YよりXが大きい場合、図16のフローチャートに示した処理を、ダウンリンク周期に適用せずに、アップリンク周期に適用してもよい。この場合、無線装置20は、S61において、第2周期を表すN2に、アップリンク周期に含まれるフレームの数を表すXを代入する。また、この場合、無線装置20は、S61~S64のmを、nに置き換えて処理を実行する。さらに、無線装置20は、S62において、第2周期に含まれるn番目のフレームに、H%N2=N2-nを満たすホップ数を割り当てる。すなわち、無線装置20は、第2周期に含まれるn番目のフレームに、N2により除算した剰余がN2-nとなるホップ数を割り当てる。これにより、無線装置20は、アップリンク周期の先頭のフレームから末尾のフレームの方向に、アップリンク周期に含まれるフレームの数(N2=X)により除算することにより得られる剰余が1ずつ減少するように、ホップ数を割り当てることができる。
【0137】
図18は、第3実施形態におけるアップリンクおよびダウンリンクの複数のフレームのそれぞれに割り当てられたホップ数の一例を示す図である。
【0138】
図8および図16に示すフローチャートに示した処理を実行することにより、無線装置20は、アップリンク周期に含まれるX個のフレームのうち、一部のフレームに割り当てるホップ数と、このフレームと同一タイミングとなるダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数とを同一としている。さらに、無線装置20は、アップリンク周期毎に、ダウンリンク周期のフレームに割り当てるホップ数と同一となる一部のフレームの位置、および、割り当てるホップ数を変えている。なお、図18では、ホップ数が少ない無線装置20における同時送信フレームを示しているが、例えば、第2アップリンク周期においては、例えば、ホップ数が29の無線装置20は、上りデータと下りデータとを最初フレームにおいて送信することができる。
【0139】
このような第3実施形態に係る無線通信システム10は、同時送信フレームにおいてデータを送信することができる無線装置20を固定せずに変更している。従って、第3実施形態に係る無線通信システム10は、複数の無線装置20の消費電力を少なくすることができる。
【0140】
(第1変形例)
図19は、無線装置20から送信されるパケットの一例を示す図である。第1実施形態から第3実施形態において、無線装置20は、上り方向のデータと下り方向のデータとをまとめてパケット化して送信してもよい。この場合、無線装置20は、上り方向へと送信する実体データと、下り方向へと送信する実体データとを含むメッセージパケットを、ブロードキャスト送信する。
【0141】
無線装置20は、ユニキャスト送信ではなく、ブロードキャスト送信によりメッセージパケットをすることにより、複数の宛先、例えばアップリンクでメッセージを受信すべき装置とダウンリンクでメッセージを受信すべき装置の双方に送ることができる。メッセージパケットを受信した無線装置20は、メッセージパケット内における上りデータおよび下りデータのそれぞれを適切に抽出して、必要な処理、例えば上り方向への中継および下り方向への中継行う。
【0142】
メッセージパケットは、例えば、ヘッダと、上りデータを識別する上りサブヘッダと、上りデータと、下りデータを識別する下りサブヘッダと、下りデータとを含む。無線装置20は、メッセージパケットを受信した場合、ヘッダおよびサブヘッダを解析することにより、上りデータおよび下りデータを適切に抽出することができる。
【0143】
なお、メッセージパケットは、上りデータと下りデータとをメッセージ受信者が区別できればよいので、図19に示したフォーマットに限らず、他のフォーマットであってもよい。例えば、メッセージパケットは、サブヘッダに代えて、メッセージ全体のヘッダに上りデータと下りデータを識別できるフラグまたはデータタイプを識別するタイプ情報等を含んでもよい。
【0144】
(第2変形例)
図20は、変形例に係る無線ノード24の構成を示す図である。第1実施形態から第3実施形態において、無線通信システム10は、複数の無線装置20(集約装置22および複数の無線ノード24)のそれぞれが、同一の規則(アルゴリズム)により、無線送信のタイミングを決定していた。これに対して、変形例に係る無線通信システム10は、複数の無線装置20のうちの集約装置22が、全ての無線装置20の無線送信のタイミングを決定する。そして、集約装置22は、複数の無線ノード24のそれぞれに対して、決定した無線送信のタイミングを示す情報を全ての無線装置20に対して通知する。
【0145】
この場合、無線ノード24は、図20に示すように、無線ノードスケジューラ40に代えて、送信スロット通知部52を備える。送信スロット通知部52は、集約装置22から送信された無線送信のタイミングを示す情報を取得して記憶する。これにより、無線ノード24は、自身がアップリンク周期およびダウンリンク周期のそれぞれにおいてデータを送信可能なスロットおよびフレームを判別することができる。そして、無線ノード24は、集約装置22から受け取った情報に示されたフレームおよびスロットにおいて、データを送信する。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
10 無線通信システム
20 無線装置
22 集約装置
24 無線ノード
32 無線インタフェース部
34 送受信処理部
36 集約装置スケジューラ
38 データ収集/生成部
40 無線ノードスケジューラ
42 データ生成部
52 送信スロット通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
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図19
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